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800以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2007/05/22(火) 15:58:40 ID:90x..TqI
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「タカシと同じ大学に行くわけじゃないわ。
 私がもともと行きたかった大学にタカシが勝手に入ったのよ」

大学の合格発表の日、かなみは俺に向かってこんな台詞をはいた。
自慢じゃないが俺は国立大学に通っている。付近の大学の中では高いレベルであり家からも近い。
妹が国立大学に入学を決めたとき、俺は純粋に喜んだ。
しかし、俺の大学内での威厳を保つ為には大学内でのかなみとの遭遇は極力避けねばならない。
そんなわけにもいかないのが現実なのだ。
というか、今朝の一件からかなみの下僕としての立場を確定させてしまった俺は通学の送迎運転手として従事することになった。

車が家を出てから既に15分は過ぎたころだろうか…
車内にはなんともいえないどんよりした空気が流れていた。
かなみは車に乗ってから一度も言葉を発してはいない。
走り出して5分ほどはかなみのご機嫌を伺おうと話しかけたのだがすべて無視されている。

「ねぇ・・・」
「ひゃい」

噛んだ。

「携帯」
「・・・」
「け い た い」

視線はフロントガラスを見据えたまま、かなみが右手をこちらに突き出している。
恐らくは携帯をよこせという意味だろうが…
携帯電話というのは人のプライベート満載である。
易々と他人に渡して見せるようなものでは断じてない。

「な、何にお使いになられるのでしょうか・・・」
「暇」

…暇つぶしだった。俺の携帯電話は暇をつぶすだけ理由で他人に操作されることになった。
差し出された携帯を受け取るったかなみは当たり前のように操作を始めた。
しかし、俺だってバカじゃない。しっかりと暗証番号でロックしてあるからこそ差し出したのだ。

「・・・・番号」
「・・・・」

無視してみせたが、俺のふとももに鈍い痛みが走る。
運転する俺のふとももにかなみが縦に握ったコブシを振り下ろしたのだ。
知ってるかい?油断しているときにこれをされるとかなり効くんだ。
だが俺は叫び声もあげずに痛みに耐える。ここでひいたら俺のプライベートが晒される。
そんなことは御免だ。

「暗証番号・・・」
「・・・・かなみの誕生日」
「え・・・・おにいちゃん・・・覚えててくれたんだ・・・」

頬を紅く染めながらかなみが俺の携帯電話に4桁の番号を入力した。
もちろん嘘なわけだが。

「・・・・」
「あはははは・・・冗談に決まって・・いひゃい!ひゃめへ・・・ごふぇんあはい」

乾いた笑いでその場を和ませようとした俺の左頬がひっぱられる。

「あんた自分の立場わかってるの?」

俺の頬をひっぱる力がいっそう強くなる。

「いひいひひゅうにーれふ」

―さようなら、昨日までの幸せな俺
―こんにちわ、かわいそうな俺




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