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帰宅した770です。続き
身体を突き刺すような冷たい空気に包まれ微かな風が身体をひきしめるように容赦なく吹き続ける。
風呂上りに星空を見ながらタバコを口にして意味もないくだらない考え事に更けるのが真冬の日課。
―コンコン
背後から窓ガラスを叩く音がして振り向くと、寝巻きに半纏を羽織ったちなみが立っていた。
両手にマグカップを持っている為だろうか…「開けて」と唇が動いた気がした。
ゆっくりと手にしていたタバコを押し潰し窓を開ける。
「どうしたの?寒いよ?」
「・・・外の空気でも吸いながらコーヒーでも飲もうと思っただけです・・・タカシさんに用はありません」
「2杯も飲むの?コーヒー好きなんだね」
「・・・・」
「・・・・」
目を背けながらマグカップを差し出すちなみ。
「・・・・よくよく考えたら就寝前の過剰な水分摂取はよくないです」
「あはは。そういえば叔父さんが言ってたよ。ちなみちゃん小さい頃はよくおねしょを」
突如足の親指に刺すような痛みが走り、最後まで言葉を発することはできなかった。
「うがぁあ」
「・・・バカ・・知らない」
そう言って、ベランダの淵にマグカップを置いてそっぽを向いてしまった。
雪のように白い肌に肩下30cmほどまで伸ばされた長い黒髪がよく似合っている。
心なしか頬が赤く染まっている。
さっきの事ちゃんと謝っておかないとな。
「ありがとう」
「・・・・別にタカシさんの為に淹れたわけではありませんから・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「さっきはごめんね。俺も忘れるから・・・ね」
「気にしてません・・・・それに・・・忘れなくても・・・・いい」
沈黙が流れ、階下のどんちゃん騒ぎや大通りを流れる車の音が真冬の澄んだ冷たい空気を通せば心地よい音を奏でる。
気まずいわけでもなく、不思議と心が落ち着く沈黙だった。
「これ・・・着て・・・」
沈黙を破り、いつの間にか半纏を脱いだちなみが伏し目がちに差し出してきた。
さすがにまだ怒ってるのかな…目も合わせてくれないとはさすがにこの年頃の子は難しい。
「大丈夫だよ。ちなみちゃんこそ寒いでしょ?」
「目のやり場に・・・・困る・・・」
そう言われて思い出した。風呂上りにバスタオルを肩に掛け、ズボンだけというワイルドスタイルだったのだ。
女子高生を前にして、こんな姿をするのはどうみても変態です。
「あ、ごめ・・・」
慌てて半纏を羽織ろうと手を伸ばした瞬間――
背筋にゾクっとする何かを感じた。
ゆっくりと部屋の中を見た僕は悪魔という存在を生まれて初めて目視した。
満面の笑顔を浮かべ、真冬だというのに短パンにキャミソールといういでたちをした悪魔の姿を…
「父さん!強い妖気です!」
「ちっ」
ん?ちなみちゃんが舌打ちをしたように聞こえたが気のせいだろうか…
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