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65:病弱な男とツンデレ2/3:2005/09/26(月) 23:45:37 ID:zAIT3FB2
 ―――――そうして、日沈。
 …彼女の影が、薄く延び始めた。

『そろそろ時間だ。私は帰ることにするよ』
 じゃあまた、あさって。
 今度は、学校で会おうね。


 白い病室が、黒く染まる。
 …また、ひとりの夜がきた。
 それを思うと、少し、かなしくなった。

『…さびしい、か?』
 ……うん。僕にとって、夜はひとりでいることなんだ。
 さびしいに、決まってるじゃないか。

『じゃあ、もうすこしだけ、ここにいてやろう』
 ありがと。…うれしいな。
『あえて言うが、おまえの為だからな。
  私の望んだことじゃないぞ。わかったな?』
 それでも、いいよ。
 …ただ、そばにいてくれるだけで、うれしいから。

 ここ数年で、医療はどんどん発達してきた。
 不治の病ってやつも、今は薬一つで何とかなる。
 とはいっても、やっぱりハンデってやつがある。
 …そのおかげで、いろんな人に迷惑をかけている。

『なんだ、悩みごとか?』
 うん。……どうして、僕は生まれてきたのかな、って。
『どうして、そんなことを考えるんだ…?』
 だって、僕は迷惑をかけるだけの存在だ。
 …邪魔なだけじゃ、ないかな。

『……そうか?迷惑を掛けるのは人生の常だろう。
  だが、迷惑を掛けた分、きちんと返すのも常だろうな』
 でも、僕にはそれを返せる自信がないんだ。
 父さんと、母さんに、何をすればいいのかすら、わからない。

『自信なんて、なくても問題ないさ。それを返せなくても、いい。
  …だから、せめて、おまえに出来ることを、精一杯やり遂げろ』
 僕に、なにができるんだろう。…それすら、わからない。

『簡単なことだ。…一秒でもながく、生きていればいいんだよ』
 それなら、僕にも何とか出来そうだ。
 ―――――ありがと、僕はがんばる。




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