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終わらないはずの口喧嘩が、今日に限って途切れた。
無言の時間を誤魔化すように、アイツは明後日の方を見つめていて。
私は赤信号の長さにイラついた振りをしながら、足元の水溜りに視線を逃がしてる。
どうしてだろう? 何だか、ちょっと、、気まずい。
いつもよりずっと近くに居るのに。肩が触れそうなほど側に居るのに。
何かを言おうとするたびに言葉に詰まって。
視線が絡まるたびに居心地の悪さを感じる。
……気に入らない。
またいつもの口喧嘩に戻りたいのに。
もっと近くに歩み寄りたいのに。
「ねぇ、こっちに寄ったら?」
たったそれだけの言葉を出すのに苦労する。
「ん?」
「そのままじゃ濡れるでしょ」
「いいのか? 俺は濡れてるぞ」
「大した事じゃないわよ」
この距離が埋まることに比べれば。
「じゃ、ちょっとだけ」
ほんの少しだけ、距離が縮まる。
肩から伝わる冷たい感触……でも、まだ遠い。
「このぐらいしないと濡れるでしょ」
後ろからそっとアイツの腕を組む。
「でも、これじゃまるで………」
「まるで?」
「いや、なんでもない」
そう言うと、アイツはまたそっぽを向いてしまう。
ひょっとして、気にしてたのかな?
私がアイツを気にしていたように。
アイツも私を……。
そうならいいな。そうだといいな。
なぜだか、その時は素直にそう感じる事が出来て。
すこしだけなら――
そう、ほんの少しだけなら素直になるのも悪くはないかな?
そんな事を思いながら、濡れたアイツの腕にそっと頬を沈めた。
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