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「……バキ?」
『……どうかしたの? 何か、音がしたけど』
ああ。何かとても嫌な予感がする。別府君が下を見る。釣られて私も下を見る。
その視線の先には――
私の愛用の眼鏡が、再起不能な姿で転がっていた。
私は、壊れた眼鏡を拾い上げた。レンズは割れ、フレームもひしゃげている。どう見て
も、買い直すしかないようだ。
『(この眼鏡…… お気に入りだったのにな……)』
私は軽くため息をついた。
高校受験の時に視力が落ちて買って以来、ずっと使っていたので愛着がある。コンタク
トが嫌いな私としては、肌身離すことの出来ない持ち物だったのだ。
「あの……いや、その…… マジでゴメン……」
本当に申し訳無さそうな声で、別府君が謝罪を述べる。こんな元気の無い彼の声は聞い
た事が無かった。
私は別に、別府君を責める気持ちは無かった。もちろん、彼に責任はあるのだけど、悪
気があってやった事ではないし、むしろ親切心が裏目に出た格好なのだから。
ただ、コンタクトを付けなければならない事を考えて、ちょっと憂鬱になった。
何故か、私は直接目に何かを付ける、という事に抵抗感があって、そのせいか今でもコ
ンタクトには馴染めずにいた。それに付けるのも慣れていなくて時間が掛かる。古文の授
業は、コンタクトなしで受けなければならないだろう。
『……どうしよう。これが無いと、ほとんど見えないのに……』
そんな言葉が、自然に出た。
「そんなに目、悪かったのか?」
別府君が聞いてくる。私は、コクリ、と頷いた。
『黒板の字も見えないし、ノートも取れないもの』
別府君を見つめると、彼は申し訳無さそうな顔をして廊下に正座している。
「一応聞くけど……替えの眼鏡とか、そういうの持ってる訳……ないよな?」
聞きにくそうに、彼は言った。
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