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2102/5:2005/12/24(土) 07:31:30 ID:5YmKs1X2
 ああ。そうか。私、この人とぶつかったんだ。男子生徒のようだけど、視界がぼやけて
よく視えない。どうやら、衝撃で眼鏡が外れて落ちたらしい。
 と、その時だった。
「……あれ? もしかして、委員長?」
 聞き覚えのあるその声に、私の心臓がトクン、と反応する。
 顔をよく見ようと、眼を凝らし、顔を少し近づける。
『……もしかして、別府君?』
 私の言葉に、彼は少し戸惑ったような仕草をした。
「いや。そりゃそうだけど?」
 そうか。彼からすれば、私がどのくらい視えているかよく分からないんだ。普通なら、
同じクラスの人の顔を見て分からないなんて有り得ないし。
 私は、目を擦ると、彼の顔をよく見ようとじっと見つめた。うん。確かに別府君だ。
それから自分がしている事に気づき、慌てて顔を逸らす。人の顔を凝視するなんて、何て
失礼な事をしてしまったんだろう。
『め……眼鏡、探さないと……』
 顔が赤くなったの、気づかれなかっただろうか。内心ではドキドキしながら、ごまかす
ように言うと、私は床を見回す。
「ちょ、ちょっと待って!」
 急に別府君に制止され、私は驚いて彼を見た。
「お……俺が探すよ。よく見えないんだろ。それに、ぶつかったのだって前を良く見てな
かった俺が悪いんだし」
 よく見えないと言っても、そこまで見えない訳じゃないんだけど。それに、私も前をよ
く見てなかった事は同じだし。そう言おうと思ったが、言葉にならず、私は無言で彼を見
ただけだった。
 とりあえず立ち上がろうと、彼は片膝を立てた。そしてグッと足に力を入れる。
 バキッ!
 その瞬間、彼の足の下で何かが壊れるような音がした。




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