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ジャネットはいつもどおり、朝5時半に目を覚ました。いつもどおり顔を洗い、コーヒーを家族全員分いれてから部屋に戻った。胃が空っ
ぽのところにコーヒーを飲むのはあまり健康によろしくない、などとテレビは言うけれど、日課になってしまったことはそう簡単に変えら
れるものではない。彼女は今日も、いつもどおりマグカップを持って階段を上った。
部屋に戻ると、ジャネットは伸びをして机に向かった。早朝は集中しやすいと気づいてからは、彼女は平日、休日の別なく、このスケジュ
ールを守っている。鉛筆を握ると、彼女は思いをめぐらせる。ここのところイメージの題材にしているのは、木の葉だ。全体のフォルム、
光の当たり方、葉脈の流れ、刻みの角度、厚いところ、薄いところ、色のつき方・・・すべてに神経を遣いながら頭に思い浮かんだ木の葉
をスケッチしていく。非常な集中力を要するこの作業は、また、彼女にとって自己表現の時間でもあり、彼女がもっとも大切にしている時
間だった。朝早く起きる価値があると彼女は考えている。しかし、今日は普段と様子が違う。少し前から何者かの視線を感じていた。
『・・・“何者か”・・・ってこともないんだけど』
ジャネットは軽くため息をつくと、窓から身を乗り出して堂々と覗きをしている不届き者のもとへと向かうのだった。
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