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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
1
:
名無しさん
:2004/11/27(土) 03:12
コソーリ書いてはみたものの、様々な理由により途中放棄された小説を投下するスレ。
ストーリーなどが矛盾してしまった・話が途切れ途切れで繋がらない・
気づけば文が危ない方向へ・もうとにかく続きが書けない…等。
捨ててしまうのはもったいない気がする。しかし本スレに投下するのはチョト気が引ける。
そんな人のためのスレッドです。
・もしかしたら続きを書くかも、修正してうpするかもという人はその旨を
・使いたい!または使えそう!なネタが捨ててあったら交渉してみよう。
・人によって嫌悪感を起こさせるようなものは前もって警告すること。
803
:
Evie
◆XksB4AwhxU
:2015/10/29(木) 18:57:55
廃棄小説スレの
>>146
を読んで、ずっと前にプロットだけ作って放置していたアリキリの短編を投下。
この後どうなるかは全く決めてなかったのでお蔵入りしてました。
設定固まっていないのをいいことに結構好き勝手に書いてしまったものです。
【ekou-1-】
「え……何、これ?」
「見てのとおりだ」
石井はソファに深く体を沈めて、頭を抱えていた。
テーブルの上には、無残に潰れた携帯電話の残骸。
基盤とコードはまだバチバチと爆ぜるような音をたてている。
石塚はそっと、石井のケータイ(だったもの)を拾い上げる。
ひび割れて何も映らなくなったモニタを撫でると、指先にちりっとかすかな痛みが走った。
「……僕は、思い出してしまったんだ」
文章にすれば圏点がついているであろうゆっくりとした発音。
石塚はそれで何もかも悟ったが、あえて分からないふりをして「なにを?」と聞き返した。
ついでにいつもの癖で軽く首を傾げてみせると、石井はふうっと息をつく。
「いや……分からないならいい。知らない方がいい事だ」
「そっか。分かった」
「聞かないのか?」
食い下がらなかったのが不思議だったのか、眉根をよせて少しだけ腰を浮かせ問うてくる。
「石井さんが言いたくないなら、今はまだそれでいいよ」
信頼をこめた一言に、石井は今度こそホッとして表情をやわらげた。
「……いや、話すよ。君との間に隠し事はしたくない」
「嫌な話?」
「ああ。君はとても信じられないだろうし、僕を軽蔑すらするかもしれない。
だが、事実は小説より奇なり、だ。僕は君に嘘はつかない。座ってくれ」
言われるがまま、ソファに腰を下ろして向かい合う。石井はどう切り出すべきか迷っているのか、
組んだ指をせわしなく動かして、床に落とした視線を彷徨わせている。
(……この人も、こういう顔するんだなあ……)
いつもより弱った相方を見つめながら、石塚はつい一時間前の電話を思い出していた。
遠くから聞こえる着信音に、ゆっくりと意識が浮上する。
まだ完全に覚醒していない頭を振って、ベッド脇に置いておいたケータイを手探りでとる。
名前は表示されていなかった。市外局番から始まる10ケタのそれが、石井の自宅の番号だと思い出すのに
たっぷり5コールを要した。やわらかい枕に顎を乗せて、耳に当てる。
「……もしもし?」
『もしかして寝起きか?
それならなおさら悪いが、すぐに僕の家へ来てくれないか。大変なことが起きた。
……とても電話では説明できない事態なんだ、頼む!』
それきり、ぷつっと電話は切れてしまった。
「あ、ちょっ……石井さん?」
あの声音から言って、ただならぬ事態なのは間違いない。
だが、悠長に電話してきたということは、彼自身に危険が迫っているわけではなさそうだ。
石塚は起き上がり、適当に服を身につけて手早く身支度を終える。家の鍵とケータイをポケットにねじこんだ所で、
ふと、開いたままのチェストの引き出しが目に入った。石塚は引き出しに手をかけると、一気に開けた。
804
:
Evie
◆XksB4AwhxU
:2015/10/29(木) 18:59:06
「聞いてるのか?」
不機嫌そうな石井の声が、やけに近くで聞こえた。
思案に沈んでいた石塚は、そこではっと顔を上げる。すると、顔色の悪い石井の視線とまともにかち合った。
「これからは君にも気をつけて欲しいんだ。
なるべく一人で動くのはやめろ。変なやつから声をかけられたら、
すぐに逃げろ。もしくは僕を呼んでくれ。それと……今はまだ、
黒の芸人とは仕事以外で不用意に関わらない方がいい。
君にとっては一方的な押しつけになって悪いが、従ってくれ」
お願いの形をとってはいるが、その口調には厳しい響きがある。
すぐ頷かなかったのを拒絶ととったのか、石井は今度は命令口調になった。
「いいから、言うことを聞くんだ。
今まで僕の指図が間違っていたことがあったか?」
石井の心配はもっともで、だからこそ首を横に振れない。
分かっていたが、石塚の首はやけに緩慢な動作で深く前へ垂れた。
「……うん、分かった。石井さんの言うとおりにする」
「分かってくれたんならいい。
それと、最後に一つだけ。
……もし、石を手に入れたら。それが誰かからの贈り物だろうと、拾い物だろうと、
とにかくまっさきに、僕に知らせるんだ。いいね?」
肩に手を置いて、語尾に力を込める。
毎度思うが、石井のこの人心掌握術はどこで学んだのか。
澄んだ声と美しい滑舌を聞いているうちに、何もかも見透かされているような気分になる。
「それと、これを」
渡されたのは、石井が片手で走り書きしていたメモだった。
いつもより雑な字で、何人かの名前と電話番号が書いてある。
その中でもアンジャッシュの二人には名前の横に星マークがついていた。
「それが、いわゆる白ユニットの芸人だ。そこに名前が上がっている人は安全だと思っていい。
僕がいなかったら、彼らに助けを求めろ。いいね?」
石塚は操られるように「うん」と返事をして頷いた。そこでやっと満足気に石井の手が離れる。
立ち上がると、石井も後からついてきた。もう話は終わったろうし、ここにこれ以上用事はない。
石井は玄関の鍵を開けると、深いため息をついて眉間をおさえた。
「悪いな、神経がピリピリしていて……とても一人じゃ立ち直れそうになかった」
「いいって。俺にできることならなんでも」
「ありがとう。でも……僕は、守られるより、守る方がいい。
君は僕の後ろにいてくれ。それだけでいいんだ」
その物言いが少し引っかかったが、石塚は構わず外へ出ようとした。
しかし、ドアノブにかかった手に、後ろから出てきた石井の手が重なって動きを阻む。
「石塚くん」
振り返ると、自分より低い位置にある石井の目とまともにかち合った。
「本当に、石は持ってないんだね?」
嘘をつくのは難しい。澄み切った目で相手を見つめて、疑う余地を与えるな。
低めの声で、ゆっくりと、否定しろ!__頭のどこかでそんな声が聞こえた。
一秒も経たないうちに、唇が微笑の形を作る。
「ああ、持ってない」
石井は安心したように肩の力を抜いて「じゃ」と短く挨拶した。
扉がゆっくりと閉まる。石塚は音のない舌打ちをして、その場を後にした。
帰る道すがら、パーカーのポケットに手を入れて中を探った。
指先が硬いものに当たる。引き出すと、石塚の手には虹色の光を内包した結晶が乗っている。
「石井さん……」
ぎゅっと握りしめる。手のひらが角で痛い。ぎりぎりと握りこんだ。
その痛みが、さっきの嘘を責めたてているようで石塚は下を向いた。
本当はこの石を見せて、一緒に頑張ろうと言うつもりだった。
しかし、弱り切った石井を見た瞬間、その言葉は声にならなかった。
自分はあの人に何をしてやれるのか。この石はどんな役に立つのか。それが分からなくなった。
(もっと、強い石ならよかったな。
そしたら、俺が石井さんを守ってあげられるのに)
思い出されるのは、混沌と血の匂いで満ちた1999年。ずっと見ていた、石井の背中。
気がつくと、自宅マンションのすぐ手前まで来ていた。
憂鬱な気分のまま、階段をのぼる。鍵を開けて玄関に入ると、ポケットのケータイが鳴った。
デフォルトの着信音ということは、未登録の番号だろうか。
「はい、石塚です」
しかし、電話の相手は無言のままだ。一旦耳から離して画面の番号を確認する。
やっぱり、知らない番号だ。
「もしもし?……どちら様ですか?」
やや怒りをこめて聞くと、電話の相手は笑いながら言った。
805
:
Evie
◆XksB4AwhxU
:2015/10/29(木) 19:03:22
『俺だよ、俺』
「……三村さん?」
石塚は四つ折りになったメモを取り出した。白の芸人たちの名前の横、特に接触が多く要注意すべきな
ホリプロの黒ユニット所属芸人たちの名前がある。電源ボタンに指が伸びたところで、
まるで見ているかのように三村が言った。
『おいおい、もうちょっと話聞けって。お前にはライブでぶっ叩かれた貸しがあんだからよ。
悪の組織、黒のユニットからお電話だぜ』
「……一応、悪いことしてるって自覚はあるんですね。
あと、俺の相方を洗脳マシーンみたいに言わないでください」
『洗脳だろ?お前の意思で決めたことかよ、それ』
「あのねえ、言っときますけど、俺はキャブラー大戦もこの体で知ってたんですからね!
こんな弱っちい石で何させたいのかは知りませんけど、俺は黒に協力する気なんて1ミリも」
気がつくと、電話の向こうは再び無音に戻っていた。
「……もしもし?」
「お、石塚のくせにいい感じの部屋じゃねえか」
すぐ近くで聞こえた三村の声に、勢い良く振り向く。
うっかり鍵をかけないままだった玄関に、二人の男が立っていた。
石塚はケータイをポケットにしまって、テーブルの上のペン立てからカッターナイフを取り出す。
刃をチキチキと出す間に二人はもう部屋に上がりこんでいた。
「……無理すんなって、お前に人は刺せねえよ。
別にお前をとって食おうってわけじゃねえ。仕事上がったついでに来ただけだ」
カッターは右手に構えたまま、石塚は壁に背中を当てる。二人は勝手によっこらせ、と腰を下ろした。
石塚の背中を冷や汗が垂れて、刃先が震えた。さまぁ〜ずの能力はよく知っている。自分一人で……
いや、石井がいても太刀打ちできるとは言いがたい相手だということも。
「お前にな、ちょっと聞きてえことがあんだよ」
大竹が、プラチナクォーツの入った左のポケットを指さした。
一瞬、この石で一瞬だけ隙を作れば逃げられるかもしれない。
……が、ベッドの上にあった名刺入れは、あっという間に三村の手の中に収まった。
話し合いと表現するにはあまりに一方的な流れに、抗議しようと口を開きかけた石塚を、
大竹が手で制して部屋の空気を張り詰めさせる声で言った。
「上手くおしゃべり出来たら、ご褒美だ」
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