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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

803Evie ◆XksB4AwhxU:2015/10/29(木) 18:57:55
廃棄小説スレの>>146を読んで、ずっと前にプロットだけ作って放置していたアリキリの短編を投下。
この後どうなるかは全く決めてなかったのでお蔵入りしてました。
設定固まっていないのをいいことに結構好き勝手に書いてしまったものです。

【ekou-1-】

「え……何、これ?」
「見てのとおりだ」

石井はソファに深く体を沈めて、頭を抱えていた。
テーブルの上には、無残に潰れた携帯電話の残骸。
基盤とコードはまだバチバチと爆ぜるような音をたてている。
石塚はそっと、石井のケータイ(だったもの)を拾い上げる。
ひび割れて何も映らなくなったモニタを撫でると、指先にちりっとかすかな痛みが走った。
「……僕は、思い出してしまったんだ」
文章にすれば圏点がついているであろうゆっくりとした発音。
石塚はそれで何もかも悟ったが、あえて分からないふりをして「なにを?」と聞き返した。
ついでにいつもの癖で軽く首を傾げてみせると、石井はふうっと息をつく。
「いや……分からないならいい。知らない方がいい事だ」
「そっか。分かった」
「聞かないのか?」
食い下がらなかったのが不思議だったのか、眉根をよせて少しだけ腰を浮かせ問うてくる。
「石井さんが言いたくないなら、今はまだそれでいいよ」
信頼をこめた一言に、石井は今度こそホッとして表情をやわらげた。
「……いや、話すよ。君との間に隠し事はしたくない」
「嫌な話?」
「ああ。君はとても信じられないだろうし、僕を軽蔑すらするかもしれない。
 だが、事実は小説より奇なり、だ。僕は君に嘘はつかない。座ってくれ」
言われるがまま、ソファに腰を下ろして向かい合う。石井はどう切り出すべきか迷っているのか、
組んだ指をせわしなく動かして、床に落とした視線を彷徨わせている。
(……この人も、こういう顔するんだなあ……)
いつもより弱った相方を見つめながら、石塚はつい一時間前の電話を思い出していた。

遠くから聞こえる着信音に、ゆっくりと意識が浮上する。
まだ完全に覚醒していない頭を振って、ベッド脇に置いておいたケータイを手探りでとる。
名前は表示されていなかった。市外局番から始まる10ケタのそれが、石井の自宅の番号だと思い出すのに
たっぷり5コールを要した。やわらかい枕に顎を乗せて、耳に当てる。
「……もしもし?」
『もしかして寝起きか?
 それならなおさら悪いが、すぐに僕の家へ来てくれないか。大変なことが起きた。
 ……とても電話では説明できない事態なんだ、頼む!』
それきり、ぷつっと電話は切れてしまった。
「あ、ちょっ……石井さん?」
あの声音から言って、ただならぬ事態なのは間違いない。
だが、悠長に電話してきたということは、彼自身に危険が迫っているわけではなさそうだ。
石塚は起き上がり、適当に服を身につけて手早く身支度を終える。家の鍵とケータイをポケットにねじこんだ所で、
ふと、開いたままのチェストの引き出しが目に入った。石塚は引き出しに手をかけると、一気に開けた。


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