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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】
1
:
名無しさん
:2004/11/25(木) 19:54
「自分も小説を書いてみたいけど、文章力や世界観を壊したらどうしよう・・・。」
「自分では面白いつもりだけど、うpにイマイチ自信がないから、
読み手さんや他の書き手さんに指摘や添削してもらいたいな。」
「新設定を考えたけど矛盾があったらどうしよう・・・」
など、うpに自身のない方、文章や設定を批評して頂きたい方が
練習する為のスレッドです。
・コテンパンに批評されても泣かない
・なるべく作者さんの世界観を大事に批評しましょう。
過度の批判(例えば文章を書くこと自体など)は避けましょう。
・設定等の相談は「能力を考えようスレ」「進行会議」で。
345
:
◆1En86u0G2k
:2006/02/18(土) 01:19:06
こんばんは。よゐこがメインのゆるい話を考えてみました。
添削していただけるとありがたいです。
346
:
◆1En86u0G2k
:2006/02/18(土) 01:21:08
あるバラエティー番組が収録されている某テレビ局のスタジオ。
各自がそれぞれの仕事をこなし、順調に進んでいたはずのその進行に異変が起きたのは、ちょうど撮影スケジュールを半分ほど過ぎたころだった。
「…で、その辺有野さんは…。……えっ?」
「…………」
「……、一旦止めます!」
司会を務める女子アナウンサーの声が戸惑いを残して中途半端に消え、場に不自然な空白が空いた。
スタッフが慌てたように指示を飛ばす。芸人のやりとりに笑いが起きていた舞台裏が、急にどたばたしはじめた。
それというのも、番組に出演しているはずのよゐこの大きい方こと有野晋哉が、なぜか突然その場から消えたのだ。しかもさっきまでは(積極的に前に出ているわけではなかったが)確かに何度か発言もしていたはずなのに。
「有野さんは?有野さんどこ行っちゃったんだ!?」
大勢の目が集まる収録中に姿を消すことなど普通に考えればできるはずがないのだが、現に有野の姿は見当たらない。
予想外の事態に混乱するスタッフをちらっと見て、ぽつんと取り残された格好の有野の相方・濱口優は困ったように頭を掻き、自分の左側へ顔を向けた。
「…やっぱりおかしなことになってるで」
「……うん…」
彼の言葉に返事をしたのは今目下捜索されているはずの、有野だった。
347
:
◆1En86u0G2k
:2006/02/18(土) 01:23:54
状況を説明するには数時間前までさかのぼる必要がある。
黒側の連中に襲われたので、石を使って撃退した。
話はそれだけなのだが、「石を使った」ことが有野にとっては誤算だった。本当はそんなもん使わんで逃げたらよかった、というのが本音だ。数で攻められ、濱口の能力だけでは対応しきれなかったというやむを得ない事情からだったが−ともかく有野は自分の能力を使い、襲ってきた人々にすみやかにご退場を願った。
最後の1人が気を失うのを確認し、ふう、と息をついた有野は、すでに身体を覆う不快な倦怠感に嫌な予感をつのらせながら、念のために濱口にこう尋ねた。
「………どう?」
「…うん、薄い」
「………」
有野の能力は影を操ること。
そしてエネルギーの消費による負荷は、文字通り「影が薄くなる」ことだった。
時間を現在に戻そう。
つまりはじめから椅子に座ったまま一歩も動いていない有野は、存在感の極端な欠如によって、いなくなった、と周りに思い込まれているのだった。
途中まではなんとか目立たない程度で済んでいたものの、微妙に収録が長引いたせいで気力がさらに減少したのか、彼の気配は今、それはもう見事に消えていた。何度か「ここにいますけどー」と呼び掛けてみたが、その声もどうやら認知されていないらしい。濱口は有野の石のことをよく知っていたし、それになにより相方であるから本当はそこにいるのだと正しく認識できていたが、さすがにこの妙な状況を解決する手段までは持っていなかった。
有野が「見つからない」こともあり(この知らせを聞いて有野の両肩がガクンと下がったのを濱口は見た)収録はそのままなし崩し的に休憩時間に入った。
共演者の1人が事情を飲み込めない顔のまま濱口に「相方どうしちゃったんだろうねえ」などと声を掛けてくる。濱口はねえ、と曖昧に笑い、傍らの有野にこっそり合図を送ってスタジオを抜け出した。
348
:
◆1En86u0G2k
:2006/02/18(土) 01:27:46
「…アカンなぁ、完っ全にお前の気配消えとるわ」
「もぉ…腹立つわー、人の目の前で『有野さん?有野さん!?』て…俺ここにおるっちゅうねん!」
「ははは」
「いや、笑わんといてよ…どうしよかなぁ」
スタジオの突き当たりにある人通りの少ない廊下。相方の心底困った声とぐったりした横顔に、濱口はようやく笑いを飲み込んだ。
確かに何の断りもなく番組中に「いなくなった」と思われているのはあまりいい状況ではなかった。番組の進行云々だけでなく責任が問われる話にもなる。
有野の目の前で有野がいなくなったことに関して自分だけが怒られている情景が頭に浮かび、濱口はややこしくなってきたな、と眉を寄せて呟いた。
「どうしたらええの?それ」
「うーん、もうちょっと気力戻ったら多分、みんなに気付いてもらえるぐらいにはなると思うねんけど」
有野は自分の言葉に自分で傷付いたような表情を浮かべる。
と、揃ってため息をついた彼らに声を掛ける者がいた。
「おう、何やってんだ?2人して」
「カトさん…」
2人の目の前には深夜からゴールデンに至るまでずっと共演してきた仲間であり付き合いの長い男、極楽とんぼの加藤浩次が立っていた。
349
:
◆1En86u0G2k
:2006/02/18(土) 01:32:49
「そっか、お前らこっちで収録やってんのな」
聞けば加藤は隣のスタジオで別番組の収録に参加しており、偶然そちらも休憩に入ったところらしい。
相変わらず慌ただしいスタッフの出入りを不思議そうに眺める彼に、濱口がここまでの状況を簡単に説明する。
「…あー、石か。有野のあれ、そういう意味じゃ一番きっつい副作用だよなあ」
冗談じゃねえよな正当防衛だっつうのに。
乱暴だが気遣うように声をかけてくれる加藤の目がちゃんと自分の姿を見ていることに安堵しながら、有野は僕どうしたらいいっすかね、と途方に暮れた声を出した。
「このまんまやったら2人とも絶対怒られるんですよね」
「えー、おかしいって!有野ここおるやんけ!」
「そりゃ納得いかねえわなあ…よし、ちょっと待っとけ」
加藤はバタバタとスタジオの方へ駆け出していくと、ほどなくして手に紙コップを持って戻ってきた。
「気力が戻りゃいいんだろ?ちょっと強引だけど、多分これで元気は出るから」
そう言ってポケットから何かを掴み出すと、目を閉じて意識を集中する。
すると手の中で濃淡のある灰色の光が輝いた。2人の持つそれぞれの石に波動が伝わる。
「「あ」」
濱口が目を丸くし、有野がカトさんも持ってたんや、と呟く。
光が収まると加藤はコップの中身を確かめ、よし、と頷いてそれを有野に差し出した。
「…何すか?これ」
「俺の能力。液体なら何でも酒になるんだ。飲みゃ気力も体力も回復する。飲んどけ」
収録中に酒入れるのはあれだけど、この状況なら仕方ねえだろ。加藤はそう続ける。
有野はおそるおそる中の液体を少しだけ飲み、「わっ、ほんまに酒や」と驚いて目を見張った。
「マジで?すごいやん、カトさん!有野ちょっと俺にも飲まして!」
「バカ、やめとけ!お前酒弱えだろ、飲めない奴には逆効果なんだよ!」
あわてて止められた濱口が不服そうな表情を浮かべる中、有野はコップに入った分をすべて飲み干し、はあ、とひとつ息を吐いた。身体の中を液体が通っていく感じに続いて、そこから確かにエネルギーが全身へ浸透していくような感覚が広がる。
まとわりついていた独特の疲労感は次第に薄まり、やがて消えていった。
350
:
◆1En86u0G2k
:2006/02/18(土) 01:35:47
「あ…なんか効いてきた。ありがとう、カトさん」
「おう。多少存在感出てきたぞ」
「マジっすか。早いなあ」
有野が苦笑するのと同時に、「あーー!!」と大声がその廊下に響き、3人は思わずビクっと身を固くする。
何事かと振り返ってみれば、スタッフの1人が有野の方を指差してわたわたと叫んでいた。
「あ、有野さん!!どこ行ってたんですか!?探したんすよお!」
「え、いや、俺どこにも行ってへんよ?」
「うわーよかったあ!有野さん見つかりましたー!確保しましたーー!!」
有野の声など耳に入っていない様子のその若いADは、興奮した声で報告しながらスタジオへ走っていく。
「…確保されてもうたな」
「まあ、これで大丈夫だな」
「俺犯人ちゃうわぁ…」
うんざりした顔で呟く有野を横目に、濱口と加藤は思わず顔を見合わせて笑ってしまう。
「再開しまーす!」
活気に満ちた声がスタジオから聞こえる。3人はじゃあ、と挨拶を交わし、それぞれの仕事場へと戻っていった。
共演者やスタッフに適当な理由を説明して頭を下げ(しかし濱口にだけ聞こえる声で有野は「理不尽や」と呟いた)、その後は何のトラブルも起きることなく、収録は終了した。
余談だがその番組が放送されたころ、それまでいつも以上に地味だった有野がある地点から急に目立ち始め、いつになく積極的に発言も重ねていたので、笑いつつも「珍しいこともあるもんだ」と首を傾げた視聴者も多かったという噂だ。
最も彼がなぜ唐突にそんな存在感を発揮したのか−アルコールが入ると有野はたまにとても活発になるのだがーその理由は本人たちと加藤しか、知り得ないことなのだけれど。
351
:
◆1En86u0G2k
:2006/02/18(土) 01:38:31
有野晋哉
石:テクタイト(隕石の衝突によって生じた黒色の天然ガラス。石言葉は霊性)
能力:自分の影を実体化(多少なら変形も可)させて操る。または影と同化して移動する(※気力を大幅に消費する)。
条件:自分に影ができていること。影の濃さは強さと比例し、その時の影の長さで伸ばせる範囲の限度が変わる。
同化しての移動はあくまで平面的なものに限られ(空間は移動できない)他の大きな影に入ったりすると解除される。同化と同時に影の操作は不可能。
自分の完全な同意者であれば、他者の影を使用したり一緒に影と同化することができる。
石を使って減った気力の分、吐き気・頭痛など体調が悪化するほか、存在感が薄れ他人に認知されなくなる(いてもいないと思われるので、結果的に無視されたような状態になる)。
ただし有野と近しい人物はその影響を受けにくい。
廃棄スレで投下されていた能力をベースに、負荷などを追加してみました。
(98さん、丁寧なお返事と詳細設定、ありがとうございました!)
加藤さんは能力スレで挙がっていたものを参考にしています。
話の構成上濱口さんの能力を使うシーンが出てこなかったので、とりあえず有野さんの分を。
改悪になっていなければよいのですが…
ご指導よろしくお願いします。
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