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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

349 ◆1En86u0G2k:2006/02/18(土) 01:32:49
 「そっか、お前らこっちで収録やってんのな」

 聞けば加藤は隣のスタジオで別番組の収録に参加しており、偶然そちらも休憩に入ったところらしい。
 相変わらず慌ただしいスタッフの出入りを不思議そうに眺める彼に、濱口がここまでの状況を簡単に説明する。

 「…あー、石か。有野のあれ、そういう意味じゃ一番きっつい副作用だよなあ」

 冗談じゃねえよな正当防衛だっつうのに。
 乱暴だが気遣うように声をかけてくれる加藤の目がちゃんと自分の姿を見ていることに安堵しながら、有野は僕どうしたらいいっすかね、と途方に暮れた声を出した。

 「このまんまやったら2人とも絶対怒られるんですよね」
 「えー、おかしいって!有野ここおるやんけ!」
 「そりゃ納得いかねえわなあ…よし、ちょっと待っとけ」

 加藤はバタバタとスタジオの方へ駆け出していくと、ほどなくして手に紙コップを持って戻ってきた。
 「気力が戻りゃいいんだろ?ちょっと強引だけど、多分これで元気は出るから」
 そう言ってポケットから何かを掴み出すと、目を閉じて意識を集中する。
 すると手の中で濃淡のある灰色の光が輝いた。2人の持つそれぞれの石に波動が伝わる。

 「「あ」」
 濱口が目を丸くし、有野がカトさんも持ってたんや、と呟く。
 光が収まると加藤はコップの中身を確かめ、よし、と頷いてそれを有野に差し出した。

 「…何すか?これ」
 「俺の能力。液体なら何でも酒になるんだ。飲みゃ気力も体力も回復する。飲んどけ」

 収録中に酒入れるのはあれだけど、この状況なら仕方ねえだろ。加藤はそう続ける。
 有野はおそるおそる中の液体を少しだけ飲み、「わっ、ほんまに酒や」と驚いて目を見張った。

 「マジで?すごいやん、カトさん!有野ちょっと俺にも飲まして!」
 「バカ、やめとけ!お前酒弱えだろ、飲めない奴には逆効果なんだよ!」

 あわてて止められた濱口が不服そうな表情を浮かべる中、有野はコップに入った分をすべて飲み干し、はあ、とひとつ息を吐いた。身体の中を液体が通っていく感じに続いて、そこから確かにエネルギーが全身へ浸透していくような感覚が広がる。
 まとわりついていた独特の疲労感は次第に薄まり、やがて消えていった。


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