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企画もの【バトル・ロワイアル】新・総合検討会議
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雑談、キャラクターの情報交換、
今後の展開などについての総合検討を主目的とします。
今後、物語の筋に関係のない質問等はこちらでお願いします。
規約はこちら
>>2
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「なんですかジジイ。人の顔をじろじろと…… 惚れましたか?」
「……ぴーぴーぷー♪ ぴーぴーぷー♪」
「半端に上手い口笛でごまかしてるんじゃありません」
「うう…… その…… おぬしの荷物を見ておったのじゃよ」
「荷物を?」
「わしが持ち帰ったスピーカーとまひる殿の集音マイクセットだけでは
通信機を作るには少々部品が足りぬようでの。
紗霧殿はなにやら方々でモノを拾い集めておるようじゃし、
他に部品を調達できそうなものを持っておらんかと思ったのじゃ」
「それならそうとさっさと言いなさい、このウスノロジジイ。
確か女性型ロボットの残骸が…… このへんに……(がさごそ)」
「(じーっ……)」
「女の子のカバンの中を覗くもんじゃありません。このセクハラジジイ」
「セクハラとは失敬な! わしは既に三次元からの解脱を果たした……」
「なんだかこの部屋暑いですね。スカートの内に熱が篭っていけません。(ちらっ)」
「おおっ!」
「……どの口が解脱などと抜かしますか」
「違う! これは孔明のワナじゃ!」
「選択肢をあげましょう。
このロボットの部品で思い切り殴られるか(ガツン!)、
思い切り投げつけられるか(ドカッ!)。
どちらにします?」
「あうあう…… せめて選択してから攻撃してくれい……」
「ご心配なく。体験版です。さ、それを返しなさい。そして選びなさい」
「こ、これが壊れては本末転倒じゃでの。わしが預かっておくのじゃ。
よーし、頑張って分解するぞい!」
「ちっ。逃げたかジジイ」
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<紗霧の思考、再開>
ジジイ、甘いですね。
誤魔化しは及第点あげてもいい出来でしたけど、最後にホッとした顔をしたから台無しです。
単独行から戻ってからのぎこちない態度も気にかかってましたが、ようやく確信が持てました。
ズバリ、私に不信感を抱きましたね?
まあ、疑われるのなんて慣れっこです。
疑われてから意識を逸らすのも、疑いを信用に変えるのも慣れっこです。
人の顔色と呼吸を読んで泳ぎ続けた私ですから、もう習性として染み付いてます。
ジジイの疑念も「何を気にしているか」さえ把握できればなんとかなるでしょう。
広場まひるとランスはなんとでもなるでしょう。
ユリーシャもランスさえ抑えておけば問題無いでしょう。
ただ…… 高町恭也。
ああいうタイプは初めてです。
初めて会った頃は単に生真面目でナイーブな体育会系かと思ってましたが、
どうもそれだけではない奥深さと安定感を見せ始めています。
―――俺は月夜御名さんを信用していない―――
―――でも、月夜御名さんという才能を信じることはできます―――
なんですか、その空前絶後のばっさり感は?
私個人のことなんてどうでもいいっていう風にも取れますよ?
それってちょっと失礼じゃないですか?
逆に猛烈に信用させたくなったんですけど?
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……なんだか感情的になってしまいましたね。
頭を冷やす為にこの小屋で見つけたアイテムでも吟味しましょうか。
さて―――
使い捨てカメラと香辛料、日用品。これはユリーシャに持たせましょう。
戦力として勘定できないんです。
せめて荷物持ちくらいはやってもらわないと。
でも、失ってもそれほど惜しくない物しか持たせられませんね。
次、人死にが出るとしたらまずこの子でしょうから。
釘セットは恭也さんに渡しましょう。
飛針とやらは釘のような形状とのことですから、代用品として使えるはずです。
工具一式は…… 既にジジイに渡してましたね。
あとは…………
…………
……
<紗霧の思考、終了>
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あれれ、意外にも夜叉姫は対主催も視野に入れているんだね。
てっきりステルス100%だと思ってたよ。
それにしてもパーティーにとっての彼女の存在は難しいところだよね……
敵に回しても味方につけても厄介なのは間違いないけど、
このパーティーを集団としてまとめられそうなのって彼女しかいないしね。
恭也くんの判断はけっこう良いトコ突いてると思うよ。
おや?
まひるくんがきゃあきゃあ言ってるね。
ああ、なるほど。
目覚めたランスくんが、スラックスを突き破らんばかりの朝勃ちを、
まひるくんとユリーシャちゃんに誇示してるからなんだ。
がはは、と高笑いしながらね。
いいのかな、そんな下品なバカをやっても。
夜叉姫はそういうの嫌がるよ?
しかも思考中は静かにしてたいタイプだし。
あーあ。
ランスくん調子に乗って、夜叉姫に向けて突き出しちゃったよ。
ほら、彼女が不機嫌な顔して後ろ手にバットを握ったよ?
まあ、フルスイングしてもランスくんは死なないと思うけど……
同じ男としてバットにバットを叩きつけるのは勘弁してあげて欲しいな。
……ダメ?
「目障りです」
「ぅぎゃぁぁああああああァ!!」
↓
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【グループ:紗霧・ランス・まひる・恭也・ユリーシャ・野武彦】
【現在位置:西の小屋】
【スタンス:主催者打倒、アイテム・仲間集め、包囲作戦】
【備考:全員、首輪解除済み】
【ユリ―シャ(元№01)】
【所持品:生活用品(new)、香辛料(new)、使い捨てカメラ(new)】
【高町恭也(元№08)】
【所持品:小太刀、鋼糸、アイスピック、銃(50口径・残4)、保存食、
釘セット(new)】
【魔窟堂野武彦(元№12)】
【所持品:軍用オイルライター、銃(45口径・残7×2+2)、
白チョーク数本、スコップ(小)、鍵×4、謎のペン×7、
ヘッドフォンステレオ、まじかるピュアソング、
スピーカーの部品、智機の残骸の一部、集音マイクセット、工具(new)】
【月夜御名紗霧(元№36)】
【スタンス:反抗者を増やし主催者へぶつける、計画の完遂、モノの確保、
状況次第でステルスマーダー化も視野に】
【所持品:スペツナズナイフ、金属バット、レーザーガン、ボウガン、
スコップ(小)、メス1本、指輪型爆弾×2、小麦粉、
文房具とノート、白チョーク1箱、謎のペン×8、
薬品数種類、医療器具(メス・ピンセット)、対人レーダー、解除装置】
※ 魔窟堂はスピーカーの部品、智機の残骸の一部、集音マイクセットの
改造・組み合わせで、通信機的なモノが作れないかと検討中
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>>419 に以下一文を追加
※ タイガージョーの支給品は集音マイクセットでした
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
以上です。
問題なければ土曜あたりに本スレに投下します。
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多忙&風邪につき、更新が大幅に遅れてしまってすみません。
風邪は治ったので明晩くらいにSSは更新できそうです。
コンテンツはいつになるか分かりませんが。
>大きな楡の火の下で 〜leeward〜
ついに主催陣に死者が。
双葉の行動はえげつないのに、不快感を殆ど感じないのは標的が素敵医師だからかなw
芹沢と双葉を使い潰すつもりが、逆に振り回されて終わるとは道化に相応しい最後でした。
素敵医師の回想話とも繋がっていて上手いと思いました。アインどうするんだ?
残り主催者は4名ってことは、透子はカウントしないのかな?
仮投下も含めて乙でした。
仮投下分の内容は問題ないと思います。
こちらのまとめはSS仮投下時にアップします。
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>>420
此方も問題なしです。
むしろ創作意欲が広がって、メール欄を書こうと思い立ったくらいでした。
>>284さんの作品が投下終了後、よければ書きたいと思います。
此方の例の話は連休明けに仮投下を予定してます。
その次にメール欄、決着がつき次第、後編へと移ろうと思います。
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大変遅れてしまいましたが、新作仮投下します。
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サイレンの音が聞こえる。
わたし……いつの間にかねちゃったんだ。
「……!」
その意味を理解してわたしの胸を不安と恐怖が覆いつくす。
恭也さんの顔が頭をよぎり、わたしはきゅっと眼をつぶった。
『これより、第七回放送を行う。死者は無い。以上』
放送は唐突で簡単だった。
その朗報に不安が消え、安堵がじわじわとわたしの心を満たしていく。
よかった……。
いまのわたしにはそう思うのがやっとだった。
あの手帳を読んだ後、わたしはまた力をコントロールできなくなったからだ。
透子さんと別れたあと、近くの『蓋』の先を確かめようと蓋を開けた。
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開けた下には通路があって、おの先には扉があった。
鍵が掛かっていたので、上へ引き返し、それからあの手帳を読んだ。
それがわたしの力が暴走しかけたきっかけだった。
いくつか力の暴走の痕跡を残しながら、昔の事やリスティのこと恭也さん達のことを思い出しながら
わたし自身を落ち着かせて、かろうじておさえることができた。
ようやく荷物を持てる様になった時にはわたしはへとへとに疲れていた。
そして、気がついたらこの家の前にいた。
わたしは頭の中を整理するために頭を動かし、部屋を見渡した。
幸い、部屋は荒れてない。
疲れは残ってるけど、たいしたことない。
窓のほうを見る、まだ日は暮れてない。
次に首を左の方へ向けると、そこには表紙が少し焦げてる一冊の手帳があった。
あの後何気に拾った、先日に亡くなった北条まりなさんって人の手帳。
それを見てとくんとくんと、わたしの心の鼓動がまた早くなった。
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―――――――――――――――――――――――――――――――
―――情報提供者による参加候補者達(今大会不参加)
神崎愁、鳴海孝之、天城小次郎、沢村司、遠場透、槙原耕介
加えて、高部絵里、フィアッセ=クリステラ、レティシア、八車文乃、綾小路 光、天上 照
―――――――――――――――――――――――――――――――
わたしの目はひとつの名前にふたたび釘付けになる。
――槙原耕介
わたしたちの住むさざなみ荘の管理人であり、わたし達にとって大事な人。
殺し合いが始まったあの時、わたしがこの島から逃げ出そうとしたのは、わたしの知ってる人が参加者にいなかったからだ。
恭也さん達がいたから、今は逃げきれなくてよかったとおもってる。
「……」
さっき確認したとき、女の人らしき参加者候補の情報は前のページにあった。
情報提供者のとまりなさんが勤めていた組織の情報のとで二つに分けられてる。
例えば共通する情報ではフィアッセさんて人は恭也さんの知り合いだった。
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ちょっと興味あるけど、今は“槙原耕介”がわたしの知ってるおにーちゃんかどうか確認するのが先。
力を暴走させないように意識しながら、わたしは覚悟を決めて手帳を読み続けた。
□ ■ □ ■
わたしは手で目をこすりながら、手帳から目をはなす。
途中から小さな字でびっしり書かれているので読みにくい。
わたしは深呼吸をしながら、ひとつの事に結論をつけた。
……少なくても、その手帳に書かれていた“槙原耕介”って人は、わたしの知ってるおにーちゃんとは違う。
年齢、背の高さ、などはわたしの知ってる限りのおにーちゃんと同じ。
データを取った時期もあの夏の日とほぼ同じ。
だけど、さざなみ荘の管理人じゃないし、性格もわたしの知ってるのとは違う。
愛お姉ちゃんの事も少し書かれてるけど、それもわたしの知ってる人とちょっと違っていた。
何より海鳴市の事が書かれてない。
「……………………」
すべて嘘だと思えばかんたん。
だけど、この島で起こってることを考えればまったく嘘だと思えない。
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わたしは混乱した頭を落ち着かせようと深呼吸をしようとした瞬間、ある単語が頭にうかんだ。
――平行世界
この島には色んな異世界にいたとしか思えない人が多くいる。
だけどもし、よく似た……よく確かめないとわからないくらいくらいの世界があるなら……。
まりなさんがいた世界にまた違うおにーちゃんやわたしがいてもおかしくない。
じゃあ……わたし達は勘違いで連れさられたの?
も、もしかしたら恭也さんも……!
わたしは慌てて別のページをめくった。
そのページにはまりなさんの仲間の前に何度か現れ、情報を提供したレイって名乗った人の事が書かれていた。
彼自身の情報は乏しく、わたしと同じ超能力者らしいって事と、容貌くらいしか書かれてない。
(まりなさんはこの人を犯人の一味と思ってたらしい)
これだけじゃ何で選ばれたのか……恭也さん達がわたしのいた世界の人かどうか分からない。
「!」
わたしは力の暴走の危険に気づき、振り返った。
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「はあ……」
暴走の兆候はない。
高まる動悸を意識しながら、今度は参加させられた人のページを探して、見つけた。
木ノ下泰男・日本・夏
法条まりな・日本・春
高橋美奈子・日本・夏
涼宮 遙・日本・夏
伊頭遺作・日本・夏―――
何人か放送で聞いた名が載ってた。 でも先のページをめくる。
首輪を解除できるかも知れない人のリストも載ってたけど、後回し。
「!」
――高町恭也
見つけた。
わたしは恭也さんの――別人かもしれないけど、彼の項目を読み始めた。
-
□ ■ □ ■
「………………」
恭也さんも違ってた。
風芽丘に通ってなかったから。
手帳を閉じてわたしはベッドに寝転がった。
わたしの胸に不安とわずかな安堵が胸を満たす。
整理しながら、全部読むのは時間がかかりそうだ。
怖いけどやっぱり、恭也さん達と会わなきゃいけない。
それと、あまりやりたくないけど……主催者からも情報を集めなきゃいけない。
まりなさんの世界だけかも知れないけど、すでに何度も殺し合いの大会が開かれてる。
もしかしたらわたしのいた世界でも行われてるかもしれない。
……それでなくてもいつさざなみ荘のみんなが巻き込まれるかわからない。
何もこの殺し合いの元凶が別の殺し合いのと同じとは限らないから。
わたしは手帳をかたく握り締めた。
紛失しちゃったらいけえない、必要な分メモしよう。わたしは筆記具を探す。
すぐにメモ用紙と鉛筆を見つけたわたしは、窓の方を見た。
もうすぐ日が沈そう。
疲れを少しでも取るために、光合成をしようとわたしは出入り口の前に立ち、ノブを握った。
「……」
些細だけど、気になることを思い出した。
まりなさんのいた世界の恭也さん、わたしよりも年下だったんだ。
↓
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【仁村知佳(№40)】
【現在位置:廃村・井戸付近の民家】
【スタンス:恭也達との再会、主催者達と場合によっては他の参加者達の
心を読んでの情報収集
手帳の内容をいくつか写しながら、独自に推理を進める
恭也が死ねばスタンス変更を考える】
【所持品:???、まりなの手帳、筆記用具とメモ数枚】
【能力:超能力、飛行、光合成、読心】
【状態:疲労(小)】
【備考:まだ知佳は森林火災の事や定時放送のズレには気づいていません。
大会不参加のキャラや手帳記載の対象参加者の中には
いわゆる“同一の別人”が何人か混ざってます】
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仮投下終了です。
内容説明等で色々書きたいのですが、今日は用事があるので続きは今夜に。
SSまとめをアップしました。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org11621.zip.html
パスは rowa です。
連休中にもう一度上げると思います。
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本投下時には多少描写を追加しますが内容の大筋は変わらないです。
現生存者などの情報が、これ以上記載されてるかどうかは、今後の展開次第ということで。
前にしてた6人組SS予約は一旦取り下げます。他の人にお任せします。
問題が無ければ今度の月曜日の夜に本投下します。
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>>421でご指摘の件の修正と本投下、終了しました。
次回予定は「絶望20:00」。
透子と紳一、レプリカN−22が登場、
週末に仮投下を予定しております。
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>>431
質問を一つしたく。
このケースに限らずなのですが
まりなのいた方はスパロボのように世界が一緒の所にいる同一人物
(知佳のいた世界にはまりながいない原作準拠orまりながいない世界、まりながいた世界は別の知佳がいるスパロボのような世界)
と
両者とも同じ構成の世界、どの世界から誰が連れて来られてあっちでは連れて来られてない世界
(無限にある木の枝のような可能性の平行世界Ver)
と
まりな世界ではまりなと知佳が混在してるけど知佳世界はまりなはおらず知佳とファントムが混在してるみたいに組み合わせが複数ある
(あくまで例なので事実とは違います)
のどちらでしょう?
基本存在を知ってたりと混在してる参加者達も多ければ、仮にAを認知してそうなの立場にいるのに知らない人もいるので
2番目の人達もいれば3番目の人達もいる(ファンタジー系は絶対にそうですね)だと思うのですが
どうでしょうか?
あぁ、自分でも何だか書いてて混乱気味ですみませんw
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質問の一番基本な意図を忘れていたorz
どういう平行世界関係か、です。
もうちょっと解りやすく変えてみました。
まりなの世界はスパロボ基準は確定
他の人達は別である(一番目と三番目)
基本構成は同じ(二番目)
のどれかかな?
で二番目と三番目の混在かな、と思いました。
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携帯からなので長いレスができませんが。
まりなと知佳に限らず大体の現代風の世界には現代風限定でのキャラがいてもおかしくないという感じで書きました。
当然、ファンタジーキャラはいませんし、時代が大きく違うキャラもいません。居てもおかしくないのに存在しないケースも選択できるように現生存のキャラの名前を出しませんでした。電池が残り少ないので、
詳しい説明はまた夜9時に。
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帰還しました。
>まりな世界ではまりなと知佳が混在してるけど
知佳世界はまりなはおらず知佳とファントムが混在してるみたいに組み合わせが複数ある
>まりなの世界はスパロボ基準は確定
他の人達は別である(一番目と三番目)
どちらかと言えばこっちのつもりで書きました。
ただ、>>429で挙げられたのを加えた分で、まりな世界住人は全員出揃ってしまうかもしれませんね。
現生存者や紳一のは扱いが難しそうなので。
それと追加・修正の為に、すいませんが本投下と素材UPは一日延長させていただきます。
明日の夜8時頃に本投下させていただきます。
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>>438
了解しました、ありがとうございます。
頭の中がごっちゃになっていたのですみませんでした。
此方のルドプラ会話は明日または明後日の夜に試験投下いたします。
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これから本投下します。
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投下終了です。
>バンカラ夜叉姫・雌伏編
予約時、状況は前より良くなってるのに何故雌伏?と思いましたが……なるほど。
苦労性だなあ……紗霧の一人称見ていてちょっとムカつきましたがwwww
魔窟堂の評価、話が進む度に低下の一途を辿ってるなあ……遅刻続きだからだろうか?
恭也は地味ながらに貢献してるのが印象的。
そしてランスとまひる合掌。
それぞれのキャラが立っていて面白かったです。
今回のを収録したまとめは明日UPします。
その時に次の予約を入れる予定です。
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参加者配布用の地図ができました。
それに加え、一部修正したまとめをUPしました。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org16773.zip.html
パスは negi です。
ケイブリス単体を予約します。
内容はメール欄の予定ですので、こちらの本投下が後の方になっても大丈夫だと思います。
今週の土曜日には仮投下ができると思います。
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メール欄忘れてました。
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少々遅れ気味です。
日曜の夜には……
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以下17レス、「絶望20:00」改め「絶望+」を
仮投下させて頂きます。
問題なければ火曜晩に本スレに投下しようと思います。
次回は「( ゚∀゚)o彡゚ おっぱい!おっぱい!」。
カモちゃんとカオス、ザドゥが登場。火曜晩の仮投下予定です。
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>400
(二日目 PM6:23 E−8・漁協付近)
夕陽が遠く水平線へと溶け、宵月が薄ぼんやりと浮かび上がる。
その月の化生の如きなま白い少女が、集落から漁協詰所へと歩みを進めていた。
彼女は監察官・御陵透子。
楡の木広場にて検索網に掛かった勝沼紳一の有り得ぬ記録に違和感を覚え、
その理由を探るべく、彼の足跡を辿っている。
(わたしの直感も当てにならない)
(これ以上の追跡に意味なんてないかも)
ここまで追跡してきた紳一の記録は、透子の常識を揺さぶるに十分なものだった。
しかし、その彼が行ってきたことや今後行うと予想できることは、
ゲームの進行にはなんら影響はないと、透子は考えていた。
(それに…… この男はくだらなすぎる)
(―――頭痛い)
透子はうんざりした表情でため息をつく。
無表情・無感動で以って知られる透子からこれほどの反応を引き出すとは、
ある意味、紳一は快挙を達成したといえよう。
(それでもここまで来たのだし)
(漁協詰所での記録までは読んでおこう)
透子は歩きながら、拾い集めた紳一の記録を思い出す。
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
-
(一日目 PM4:18 D-8地点・衣装小屋付近)
前後の記憶ははっきりしない。
気付けば俺は真人と一緒に走っていた。
磯で転倒したとき足元から広がった黄緑色のガスに包まれたこと。
それが記憶にある最後の情景。
おそらくあれは毒ガスで、俺は一旦そこで気絶したのだろう。
その時点から、集落の入り口までの記憶が欠落している。
まあいい。
その辺りは腰を落ち着けてから真人に聞こう。
それにしても宙に浮いているかと思えるほど体が軽い。
心臓の痛みも息苦しさも無い。
それに引きかえ、真人はかなり不調のようだ。
俺があいつのペースに合わせて速度を落とさなくてはならないのだから、
よほどあの毒ガスを吸い込んでしまったのだな。
《追ってくる気配は無いな。適当な民家に入ってお前の怪我を手当てをしよう》
「……」
《真人、聞こえないのか?》
「……」
返答はなく、真人の足も止まらない。
どうやら返事をする余裕もないらしい。
それとも、鼓膜がやられたのか?
俺は時折咳き込みながらやや後方を走っている真人に目線を送る。
-
その時、俺は初めて気づいた。
真人がその背に小柄な男を背負っていることに。
ああ、なるほどな。
幾ら俺が絶好調とはいえ、走りでお前に先行するなんておかしな話だと思っていた。
しかし、なぜ背負っているんだ?
女を運ぶなら判るが、そんな男を助けてやる義理や余裕はないだろう。
それとも、俺の途切れた記憶の中のどこかで、
その男を助けなくてはならない事情が発生したのか?
必勝はちまきなぞを巻いている妖しげな男を助けねばならない事情が。
ん?
必勝はちまき……
!!
待て。
待て待て待て待て。
ソレは無い。
流石にソレは無いだろう。
見覚えのあるスーツだ。見覚えのあるパンツだ。見覚えのある革靴だ。
全てオーダーメイドだ。俺が身に着けているはずのものだ。
だからといって、そんな。
幾らなんでも、お前が背負っているソレが俺だなどと……
だとしたらお前の隣を走っている俺はなんなのだ!?
まるで俺は―――
《亡霊、みたいじゃないか》
-
どのくらい立ち尽くしていたのだろう。
気付けば真人を見失っていた。
俺はあいつを求めて手当たり次第に集落の家々を覗いて回った。
ドアノブに触れられないことが判ったとき「まさか」と思った。
扉を通り抜けられることが判ったとき「もしや」と思った。
そして横たわる自分の肉体を発見したとき―――
俺は「やはり」と思わざるを得なかった。
《ふ、ふははははははははははははははははは……》
笑うしかなかった。
あまりに惨めで滑稽な死に様だったから。
だってそうだろう?
俺はまだこの島でまだ一枚の処女膜すら破っていない!
あっちからもこっちからも処女の匂いが漂ってくるというのに!
ははっ…… つまりはそういうことか。
処女を犯すことなく絶命した俺の絶望が未練となり、
成仏できずに亡霊と化したのだな。
ならば為すべきは明白だ。
死してなお犯す。
少女を犯さなければ、死んでいる甲斐も無いというものだ。
《ははっ》
右頬がいやらしく吊り上がり、俺らしい歪んだ笑みが浮かんだ。
-
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
つまり有り得ない記録とは死後の記録。
つまり辿るべき足跡とは亡霊の足跡。
その予想を超えるイレギュラーな存在のあり方は透子に衝撃を与えた。
しかし。
(くだらない)
透子は紳一の執着の源を思い出して思わずそう呟いた。
(でも、とても厄介)
透子は、亡霊そのものを見ることはできない。
感じることも話すことも出来ない。
なぜなら彼女が行使できる能力は、記録の検索/閲覧。
生者の残した思いを読み取るが如く、亡霊の発した残留思念を読み取ったに過ぎない。
例えば目の前に紳一の亡霊がいるとして、その存在に透子が気づくのは、
周辺の空間検索をして紳一の情報を拾った上で、その内容を読み解いて後となる。
時間にして分単位のタイムラグが発生してしまうのだ。
しかも、明確な位置は捉えられない。
それを指して透子は厄介だと判ずるのだ。
そしてまた、このゲームの全ての記録を司る智機にも紳一は捉えられない。
集音マイクにも赤外線カメラにもサーモグラフィにも引っかかることは無い。
それは紳一が己が亡霊だと認識してから5分後に、
ほかならぬ智機自身の手によって証明されていた。
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
-
かちゃり。ドアノブか静かに回転し、ゆっくりと玄関が開いた。
「こちらP−4。現在地、D-8地点・衣装小屋1F」
現れたのは白衣に身を包んだ眼鏡の少女だった。
ボリュームたっぷりの硬質な銀髪は寸分の狂い無く切り揃えられている。
一瞬、彼女と目が合ったように感じられて身じろぎしたが、
彼女は俺の存在に気づくことなく遺体のそばまで寄ってきた。
そうか。俺の姿は見えないのか。
「これより、ナンバー20:勝沼紳一の遺体検分と記録を開始する」
少女は白衣のポケットから取り出した医療器具を用いて遺体を調べ始めた。
独り言をぶつぶつと呟く様は、トランス状態に陥っているかのようだ。
俺はしばし彼女を観察することに決めた。
彼女の後頭部からは排気口のような2本の筒が出ている。
青い手袋を両腕に嵌めているのかと思っていたが、あれは自前の腕だ。
そして首筋と指先の関節部分を曲げたとき、僅かに走る亀裂のようなライン。
この少女、もしやロボットか?
―――まあいい。
人か機械かの違いなど些細なこと。
問題は処女か非処女か。
この一点に尽きる。
俺はしゃがみ込んでいる彼女の正面にポジションを移し、
警戒心なく開かれた両膝の付け根に目を凝らす。
そこには金属の光沢を持った下着が装着されていた。
《貞操帯…… だとっ!?》
-
俺はあまりのショックに思わず声を上げてしまった。
気づかれたか!?
慌てて少女を見やるが、彼女は俺の焦りなどどこ吹く風で検分を続けている。
そうか。声も聞こえないのか。
真人からの返事がなかったのも、そういうことだったのか。
しかし…… 貞操帯か。それはいい。
すなわち導き出される真実は2つ。
1つ この少女ロボットはセックスが出来る。
2つ この少女ロボットは処女である。
ははは、これは洒落が効いている!!
アイアンメイデンをファントムペニスがレイプとはな!!
「それにしてもこの男、期待はずれもいいところだ。
聖エクセレント女学院バスジャック事件の主犯という経歴から、
もうすこし活躍してくれるものと思っていたのだが……」
検分を終えたらしい少女はまたぶつぶつと独り言。
俺ほどの男を前に随分勝手なことを言っているが、それがいい。
生意気な女を恥と苦痛と快楽で堕とすことこそが至高の快楽なのだから。
《ならば今こそ期待に応えよう!》
リビドー、装填完了。剛直、レディーセット。
俺は両腕を広げ、がばりと彼女を抱きすくめた!
―――すかっ。
-
俺がすり抜けたことにも気づかず、少女ロボットは小屋を出て行った。
まあ、そうだろう。
壁抜けができるしな。
姿も見えないしな。
声も聞こえないしな。
触れることが出来ぬのも、また必然だ。
しかし、しかしだ!
少女を犯す為に亡霊となった俺だ。
例外的に少女くらい触れるはずだと思うだろう!
少なくとも剛直だけなら突っ込めると期待するだろう!
だというのに…… なんという……
なんという絶望!!
ただひたすら少女を犯す為だけに亡霊と化したというのに、
その本願を亡霊ゆえに成就できぬとは!!
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=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
(やっぱりくだらない)
透子は軽い眩暈を覚え、目を瞑る。
(くだらないけど……)
(この在り方は、未知)
透子思うところの「この在り方」とは、以下のようなものを指す。
・思考する
・移動する
・感情がある
・性欲がある
・陰茎が勃起する
それらは透子の知る幽霊という存在にはありえない特徴だ。
透子が認識する幽霊とは、すなわち―――
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
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あまりの絶望に滂沱たる涙を流し頭上を振り仰ぐ俺の耳に、声が届いた。
微かな、微かな、声が。
《ただいま、フォスター》
女の声だ。鈴を転がすような、清楚で上品な声だ。
その声だけで美少女なのだと確信が持てる、美しい声だ。
だが―――それがなんだと?
いかに美少女とて、犯すことのできない俺には意味のないことだ。
いや、目の前のご馳走に手をつけることができないのなら、
いっそご馳走に気づかないほうが幸せなのに。
《ただいま、フォスター》
だというのに俺ときたら……
なぜ、息を殺して声を捉えようとしている?
なぜ、耳を凝らして位置を探ろうとしている?
なぜ、導かれるように階段を上ろうとしている?
理性では押さえが利かぬ、これは業か本能か。
頭の中を埋め尽くすのは処女だけだ。
心に赤々と燃えているのは強姦だけだ。
無駄であっても無意味であっても、傷つく結果になるとわかりきっていても、
俺は禁断の青い果実を追い求めてしまうのだな。
虹の橋を渡らんと荒野を行く孤独な旅人のように。
《留守中ご迷惑を……》
果たして2Fで俺の到着を待っていたのは、メイド服の亡霊だった。
-
情熱的な長い赤髪に、憂いを含んだ顔立ちの少女だった。
ゆらゆらと輪郭が安定していない。
足許に倒れているのは心臓と思しき位置に僅かな血痕を残す少女の死体。
俺が死んでから初めて出会う亡霊だった。
俺の唇の端が再び吊り上がる。
生身の人間には触れられなかった。
しかし、亡霊同士ならどうだ?
俺は恐る恐る手を伸ばし、メイド少女の肩を軽く叩く。
おお、やったぞ!
俺の手が少女の方に触れている!
《君はそれなりに楽に逝けたようだな》
《留守中ご迷惑を……》
《1Fに俺の死体があるのだが、笑えるぞ?》
《ただいま、フォスター》
この焦点の合わぬ目…… 成り立たぬ会話…… 繰り返されるうわごと……
まるで2回目の陵辱を加えた少女のようだな。
殺されるのも犯されるのも同じ絶望だということか。
残念だ。
正気の少女が陵辱で壊れていく様が楽しいのだが、この際贅沢は言ってられんな。
まあ、手間をかけずに犯せるというメリットもあるしな。
《まずは顔に似合わぬそのけしからん乳から味わわしてもらおうか》
-
ああ、なんという胸のやわらかさよ!
普段なら鬱陶しい衣服の戦意の感触すら今は心地良い。
俺は少女の胸に顔を埋め、その青い香りを存分に吸い込む。
《ただいま、フォスター》
少女はこの期に及んでなお、錯乱したままうわごとを繰り返している。
それはいい。想定内だ。
しかし、俺の鼻腔がとらえた香りが想定外だった。
まさか、この女……
俺は重いエプロンドレスのスカートをめくり上げ、
その下のペチコートもめくり上げ、
レースの意匠がまぶしい下着に鼻先を潜り込ませた。
そして、臭いを嗅ぐ。
祈る思いで。
《頼む、俺の思い違いであってくれ……》
俺の危惧は正しく、現実は非情だった。
俺は再び絶望した。
中 古 女 だ !
こんな清楚な声と外見をしているというのに、なんという裏切り!!
ふざけるなこの糞ビッチめ!!
一瞬感じてしまったときめきを返せ!!
-
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
(ほんとうにくだらない)
透子は頭痛すら覚え、眉間を揉み解す。
閉じた瞼のその裏で、クレアの霊体を思い返す。
(あれが普通)
そう、透子の認識する亡霊とはこのメイド服の少女クレアの如きものだった。
死を迎えた現場から動くこと無き残留思念。
死の瞬間に抱いた思いを何度も繰り返し、
記録空間にひたすらばら撒き、
ばら撒いた分だけ己を消費し、
やがて輪廻の流れに飲み込まれてゆく。
空間検索者・透子にとっては、屑データで空間を圧迫する鬱陶しい存在。
透子の世界に於いての霊とはそうしたもの。
決して能動的に行動したり新たな思念を発生させられる存在ではないのだ。
その常識を、紳一が覆した。
透子にとってはあまりにもくだらない執着によって。
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
-
キッチンには見苦しいデブの亡霊がいた。
この男も存在が希薄で、うわごとを繰り返していた。
《エネミー》《これは毒?》《エネミー》
俺はなんとなしに理解する。これが普通なのだ。俺が特殊なのだ。
はは…… なんとも皮肉な話だ。
生きている間、心臓病で不自由な生活を送っていた俺が、
死んでしまえば誰よりも健常だというのだから。
よし、状況は飲み込めた。
メイドの裏切りには絶望したが、殺し上等のこの島ならば、
他にも死んだ少女にはこと欠かないだろうしな。
俺の欲望を満たすことはいくらでもできそうだ。
そうだ。
昼間真人とともに攫ったあの少女……
まひるといったか。
あの娘のところへ行こう。
俺たちへの逆レイプの後、あの連中はウチに帰るといって、
漁港方面へと向かったはずだ。
あの辺りの建物を虱潰せば見つかるだろう。
どうせ俺は誰にも気づかれないんだ。
まひるをストーキングしてやる。
まひるが誰かに殺されるまで尾行してやる。
そして殺されて亡霊になったら……
ははっ。
その時こそ犯して犯して犯しまくってやるぞ!
-
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
(くだらない)
(ほんとうにくだらない)
何度目かの溜息をつく透子が漁協詰所を視界に捉えたその時、
管制室のレプリカ智機・N−22からコールが入った。
『御陵透子、聞こえますか』
「聞こえる」
『ザドゥ様と芹沢の救助に協力していただきたい』
「まだ懲りないの?」
『状況が変わりました。
現在朽木双葉の幻術は解け、ザドゥ様から救助要請が入っています。
また2人は戦線から離脱し参加者3名とは距離があります』
透子とて強い望みを持ちゲームの成功を願う者。
彼女なりに現状が主催者対参加者の構図へと書き換わりだしたと理解しているし、
ザドゥ、芹沢の2人を欠いては益々天秤が参加者に傾くことも理解している。
今、智機から入った状況の変化が事実ならば、協力するに吝かでない。
「……やってみる」
透子は強く願う。
具体的な手段などは考えない。
現出する変化は世界と指輪が勝手に決めることだから。
(ザドゥと芹沢が無事に森から脱出できるように―――)
-
透子が感じる世界の読み替え。
それは感覚的なもので理屈では説明しづらいが、彼女は「通る」と表現している。
透子がルドラサウムから与えられた契約のロケット。
世界の読み替えを行うとき、ここを彼女の願い―――
彼女の感覚では思惟/情報が通ってゆく感じがするのだ。
透子の胸に、その「通った」感じがしなかった。
(願いの強さが足りないのかも)
透子はさらに念じる。
念じるがしかし、一向に通る感じがしない。
感じるとすればそれは「止められている」感覚。
『なんの変化も捉えられませんが……』
N−22の声に篭る不安の響きは、透子の不安が伝染した故か。
透子は胸に垂らした契約のロケットに指を伸ばす。
人差し指がロケットに触れた。
途端、透子の象牙細工の如き肌からさらに血の気が引き、白磁の如き肌となった。
「……読み替えは出来ない」
『どういうことです?』
「だって」
透子が持ち上げたロケットはひび割れ、色を失っていた。
↓
-
【監察官:御陵透子】
【現在位置:F−8・漁協詰所付近】
【スタンス:① 紳一(亡霊)の記憶検索
② ルール違反者に対する警告・束縛、偵察】
【所持品:契約のロケット(破損)、通信機】
【能力:記録/記憶を読む】
【備考:疲労(小)】
※ 世界の読み替えに大きく制限が掛かった模様。現時点では詳細不明。
※ 記録/記憶を読む力は、世界の読み替え由来の能力ではありません。
-
>>445
仮投下乙です。
紳一、おまいの気持ちはよくわかるぞ……。某スレ住人としてだが。
でももう確実な処女は双葉と透子だけなんだよなあ。
アインは黒に近いグレーだし。本感想は本投下の時に。
内容に問題はないと思います。
遅れてしまいましたが、これから新作『考える魔獣』を仮投下します。
-
>>224
(二日目 PM6:10 本拠地・管制室)
主催者の基地はそれなりに広い。
地上にある病院や学校と比べてもかなり広い。
それぞれ、主催者の個室、管制室、集会場、食糧庫、武器庫、参加者の所持品保管庫、
書斎、トレーニングルームなど、大小多くの部屋や通路があり未だ使われてない部屋も多い。
その部屋のひとつは現在、加入者ケイブリスの個室として使われている。
当の彼は現在その部屋でまだ食事を取っていた。
ズズズ……。
茶をすする。
ケイブリスは目を閉じ香りを愉しみつつ、茶の味を存分に味わう。
――美味い。
今はなき友人の家にいた茶飲み友達でもあった某執事が出していたものには到底及ばないが
これは中々のものだ。丁寧に入れ方まで張り紙で説明されている。
自分に合った座布団と湯飲みがない不満はあったが、そんな不満はとうに吹き飛んだ。
-
次に巨大なスプーンを冷えた鍋の中に入れ、その中身を口に運んで、味わいながら飲み込む。
デザート代わりのクリームもそれなりに美味だ。
誰が準備したか知らないが中々、気が利くじゃねえかとケイブリスは思った。
もう一度茶をすすり中身を空にする。
彼は湯のみ代わりの壷を脇に置いて仰向けに寝転がった。
何度か、げぷっ……とゲップをしている内に、心地よい睡魔が彼に訪れる。
だが、食事中にスピーカーを通じて智機から一言、
『動いてもらうことになるかも知れんから、次の連絡が来るまで寝ないでここで待機してほしい』
と言われたのを思い出して、これはまずいなと思い彼は身を起こした。
「あいつ何してんだ?」
ケイブリスは怪訝に思う。もっとも何をしてるか確かめる気はないが。
鎧の修繕もランスを探すのも今は智機に頼る他なく、ゲームの成功条件や透子の存在がある以上、
うかつに動けないのはケイブリス自身も理解していることだ。
「ち、しょうがねえ」
-
ケイブリスはぶっきらぼうにそう呟くと、彼は部屋に備え付けられたスピーカーを見た。
部屋の外の音はほぼ聞こえない、防音仕様の個室。
今は静寂が包む部屋に居て、彼は思う。
あの妙な所よりはマシだなと。
□ ■ □ ■
ケイブリスがこの島に来る前、プランナーの誘いに乗ったその直後。
彼は気を失った。
気が付けば彼はあたり一面黒い部屋にいた。
地面はあるが、どこが上か下かよく解らない、周囲は黒なのにどこか明るいという妙な空間。
神はしばらくここで待てといってすぐに去っていった。
乏しいが食料が足元にあったのでとりあえず待つことにした。
10数分経った、が何の連絡もなかった。
プランナーを呼んでみたが、返事はない。
呼びかけはすぐに怒鳴り声に変わったが、それでも返事はなかった。
彼は怒鳴りちらしつつも、彼は空間内を歩き、走り、暴れた。
それでも景色は変わらず、神も現れなかった。
その後、彼は諦めてふて寝してしまった。
-
ケイブリスはぶっきらぼうにそう呟くと、彼は部屋に備え付けられたスピーカーを見た。
部屋の外の音はほぼ聞こえない、防音仕様の個室。
今は静寂が包む部屋に居て、彼は思う。
あの妙な所よりはマシだなと。
□ ■ □ ■
ケイブリスがこの島に来る前、プランナーの誘いに乗ったその直後。
彼は気を失った。
気が付けば彼はあたり一面黒い部屋にいた。
地面はあるが、どこが上か下かよく解らない、周囲は黒なのにどこか明るいという妙な空間。
神はしばらくここで待てといってすぐに去っていった。
乏しいが食料が足元?にあったのでとりあえず待つことにした。
10数分経ったが、何の連絡もない。
プランナーを呼んでみたが、返事はなかった。
呼びかけはすぐに怒鳴り声に変わったがそれでも返事はなかった。
彼は怒鳴りちらしつつも、彼は空間内を歩き、走り、暴れた。
それでも景色は変わらず、神も現れなかった。
次第に彼は疲れ寝てしまった。
-
気が付けば、また一面の黒だった。
それに失望しつつ 飯を食い、物思いにふけった。
思索に飽き、また寝る。
再び起きた時、プランナーが目の前に現れ告げた。
<<仕事だ>>
□ ■ □ ■
「俺様はどれくらい待たされたんだろうな?」
思い出してると腹が立って来た。
暴れたいが、怪我とお茶の葉のこともあり、自制し触手を伸ばして茶を入れる作業を始める。
「あー腹立つぜ。でも、あいつも同じ目にあったんだろうな」
ケイブリスは口元に嘲りの笑みを浮かべ、かつて敵対していたある魔人の顔を脳裏に浮かべた。
まりなの手帳で大きく要注意人物と振られていたのと同名のレイという男。
何とか読めた文章から外見的特長が一致。
ケイブリスは“レイ"を同一人物とみなし、同時に自分よりも前にあの神に使われていたと判断した。
何であの神に従ってたのかの判断まではできなかったが。
-
(まあ、ここにはいねえだろうがな)
智機から説明を受けた時、運営陣の中にはレイは含まれてはいなかった。
だからケイブリスはシンプルにいないと判断した。運営陣にいないならそれに越した事はない。
そもそもこちらは恋人を人質をとって利用していたんだ、顔を合わせば確実に敵対する。
だから仲間ではない方がいい。
フンッと鼻息を立てると、彼の触手が器用に動きこぽこぽと壷にお湯を注ぐ。
(あいつを復活させるくらいならカミーラさん達を復活させろよな……)
魔獣は苛立ちに歯を噛み締めながら、思い人や茶飲み友達を想う。
ランスに対する憎悪をも募らせながら。
(終わったら、やってみるか)
この仕事を成功させ、魔王となったなら今度は知人の復活を神に依頼してみるかと考える。
魔王となった己を誇示した時の彼女らの反応も楽しみだ。
想像すればするほど心が躍り、やる気がみなぎる。
壷を手で掴み、一度臭いを嗅いで茶の湯を一気に飲み干す。
ケイブリスは壷を元の位置に戻し、胡坐をかいて同盟者である智機の連絡を悠然と待ち続けた。
↓
-
【主催者:ケイブリス(刺客4)】
【スタンス:反逆者の始末・ランス優先、智機と同盟】
【所持品:なし】
【能力:魔法(威力弱)、触手など】
【備考:左右真中の腕骨折】
【現在位置:本拠地・ケイブリスの部屋】
-
>>466と>>467を重複してしまいましたorz
問題がなければ月曜日の夜に本投下させていただきます。
予約は未定、まとめは今週の水曜日までにUPする予定です。
-
修正
>>462の(二日目 PM6:10 本拠地・管制室)
は(二日目 PM6:10 本拠地・ケイブリスの部屋) です。
-
これから本投下を始めます。
-
本投下終了。
初期構想はケイブリスのエロ本探しでした。
どうしても智機とかち合ってしまうので没に。
メール欄も出す予定でしたが、入れるタイミングがなかったのでこれまた没に。
-
『今一度、教えていただきたい! このゲームの有り方を! 我々の役目を!』
「役目か……」
静けさを取り戻した空間にぽつんと浮かび続けているプランナーは先程の来訪者の言葉を思い出していた。
機械と思えぬ強い意思を持った目が思い起こされる。
『……私達は……いや、私は何をすれば良いのですか!?』
「そんなことは解りきってることだ……。唯一つ我が主プランナーを喜ばせるだけ」
初めはなんだっただろう。
気づけば自分とハーモニットとローベンパーンがいた。
命じられた役割は唯一つ、ルドラサウムを楽しませる。
逆らえばその存在は抹消。
ただそれだけを永遠に行ない、これからも行ないつづける為の道具。
理不尽……と思ったことがなかったわけでもない。
見てて面白くない。
飽きた。
たったそれだけの気まぐれで何度世界をリセットし、三人で構築しなおしたか解らない。
思い望んだものとかけ離れ、自身らの判断でリセットしたこともあったが、時にはルドラサウムの気まぐれでリセットを止められ続けさせられたこともある。
トロスと呼ばれる魔王を作った。
彼に従うべき七人の魔人を作った。
やがて魔人の一人が力をつけ、トロスを倒した。
故にリセットした。
-
才能限界値を取り入れた。
魔人が魔王に従うべく、魔人は魔王が作り出す存在にし血の盟約を作った。
魔王の起源は1000年とした。
臆病なスラルが他の生物達に脅かされて頼みにきたので無敵属性を与えた。
その結果、スラルは500年で死んだ。
スラルが消滅したので新たにナイチサを任命した。
ところがナイチサがあまりにも人類を殺しすぎたためにルドラサウムが飽き掛けた。
対抗策として生物の死滅数に応じて力を増し、神にすら対抗できる勇者を作った。
結果、魔王倒せるまで力の上がった勇者との戦いでナイチサは、何とか勇者を倒すものの致命傷を負い、寿命が縮まった。
次の魔王はナイチサに任命されたジルだった。
ジルはナイチサの件を反省し、人間牧場を作ることで勇者の力があがらないよう人間の数を維持しつづけた。
やがてエターナルヒーローと呼ばれる人間たちが謁見に来た。
彼らの願いを面白いように叶えてやった。
魔剣カオス、聖刀日光、これで人類にも多少の希望と反抗の目ができた。
次の魔王はジルの愛人であり、先のエターナルヒーローであるカオスの使い手であったガイだった。
二重人格の隙をつかれ、ジルに無理矢理愛人にされたガイはジルが寿命の延命を図るとカオスを用いてジルを斬り、封印した。
その時の返り血で彼は魔王になった。
こともあろうにガイは人間領に不干渉を決め込んだ。
思い望んだものとかけ離れたのでリセットしようとしたが、人間同士が争いをはじめルドラサウムが喜んでいたので取りやめた。
聖魔戦争による魔人と人間の戦いはルドラサウムを大いに喜ばせた。
-
やがてガイも寿命が来た。
次の魔王はガイが異世界から呼寄せた人間の少女だった。
人間の少女は魔王に覚醒するのを嫌がり、逃走した。
これにより魔人達が真っ二つに分かれ、魔人同士の戦争が起き、プランナーのレールと違うもののまたルドラサウムを楽しませた。
その折、人間に一人の王が誕生した。
その王は今までとは桁外れのスピードで戦争を行い、次々と人間の国を統一していった。
ルドラサウムはその様子を見て今までにないほど喜んでいた。
人間の国を統一し終えたと思うと今度は魔人達に戦争を仕掛けた。
ルドラサウムは更に喜んだ。
そして予想を覆し、魔人の領土すら統一してしまった。
その後、無理な統一がたたり、各国は再びばらばらになりつつある。
「敷かれたレールか……」
どれだけ色々なものを講じたか解らない。
その度に自分が作り出し任命したものたちに覆された。
トロスを殺した魔人。
無敵を欲しがったスラル。
メインプレイヤーを全滅させかけたナイチサ。
勇者を無効化させたジル。
魔王率いる魔人と魔物が人間を蹂躙する構図を打ち破ったガイ。
魔王不在とはいえ、あろうことか魔人領すら支配下に置いた人間の王。
-
彼の思い望んだ構図の通りに世界が動いていったことなど殆どない。
常に何時も彼らはプランナー達の思惑とかけ離れた行動を取り続ける。
与えられた役目にもがきつづけ、抵抗し、束縛から離れて行く。
「結局何をしても常に同じと言うわけだな……」
反乱する参加者達
願いを叶えることに躍起になる運営者達
結局今までと同じなのだ、とプランナーは思った。
違う存在があるとすれば……
「我々か……」
何をしてもルドラサウムのためだけに存在する三超神である己。
何があろうとルドラサウムのためだけに動く己。
己らだけが常に違う。
(何を考えることがある。
そうやってずっと過ごしてきたではないか。
弄ることを楽しく思わなければやっていけなかった。
……やっていけなかった?
違う、楽しんでいたのだ。
そうしなければ……)
-
「下らないな……」
そこまで考えるとプランナーは思考を止めた。
「何が楽しくなければか……。
己はただそれだけ。ルドラサウムを楽しませるためだけの存在。
楽しくある必要などない」
『今後は、『許可』は行なわない。お前がどのような行動に移ろうと役目を果たしているのならば好きにするがいい。
私は『お前達』に今後『干渉』しない……』
「……だからこんなことを言ったわけではない」
不公平な肩入れは箱庭のバランスを崩してしまう。
それがプランナーの気質であり、敷くレールだからだ。
『……やり過ぎではないでしょうか?』
智機の言い分が最もであり、そう思ったから不公平を止めただけではないか。
-
<<んー、いいね、いいね。盛り上がってきたよ>>
鏡を介して島を覗いているルドラサウム。
<<爆発になったおかげで反乱してるぷちぷちにも大分目が出てきたね。
ザドゥもあの様子じゃただではすまなさそうだし……。
機能停止だったら、あの後で即座に救助が可能だったのにねぇ。
もしかしたら願いを叶える場が回ってくるかな?
そしたらどんな風に叶えてやろう?
素直に適えてやろうかな、それともひねくれてやろうかな。
楽しみだな>>
<<ルドラサウム様……>>
ルドラサウムの前にプランナーが現われる。
全長2kmを超えるルドラサウムの前にはプランナーの巨体と言えど、赤子以下にすら過ぎない。
普段、ルドラサウムの前では、我侭な彼の楽しみの一環としてため口を使っているプランナーだが、このゲームにおいては主に対してと敬語を用いていた。
<<あ、プランナー。どう? さっきの爆発で反乱の成功する目も大きくなったし、楽しみが増えそうで良かったよ>>
機能停止じゃなくて爆発ってところが域だね。
と無邪気にプランナーに対してルドラサウム。
ランダムな結果ではあるが、解りきりながらもルドラサウムはそれを喜んでいる。
(結局、そうなのか……)
自分が幾ら構築しようとルドラサウムの楽しみなど彼の気分次第。
-
<<そのことで一つ申し上げたい旨がありまして参りました>>
<<ん? なに?>>
<<やはり先程の爆発は少々やりすぎではなかったかと思いまして……>>
<<良いよ。おかげで盛り上がりそうだからね>>
<<いえ、そうではなく。彼女にだけ手を貸すのはやはり不公平であるべきかと……>>
<<硬いなぁ、プランナーは……。別に良いじゃないか>>
<<それに許可し続けるのは、ゲームバランスの崩壊を招いて面白くもないかと……>>
今後、彼女の許可を許しつづけていたら、引き起こされる方法がランダムであるとはいえ、
反乱者や運営内部のゴタゴタがある以上、使う機会、透子が使わざるを得ない場は何度も巡ってくるだろう。
そこで使われつづけてはつまらないものになる可能性が高い。
そのようにプランナーは進言した。
<<んー、まぁ、確かにそうなんだけど……>>
透子の性格からそうそう使うことはないともルドラサウムは思うが、プランナーの言うことも一理ある。
今はであって、なってからでは遅いだろうし、いちいちあれは許可してこれは許可しないとプランナーが判断を介入するのも
解りきったツマラナイ結果しかもたらさないだろう。
それに基本的な運営はプランナーに任せてるのだ。
せっかくの面白い舞台を潰すようなことならいざ知らず、彼は自分を楽しませる為の存在なのだ。
彼は面白くするために奔走しているのだ。
以前のように面白くて見つづけたいから続行させたい、というわけでもない彼なりの考え合ってのものだから別に良いだろう。
-
<<まぁいいか。別に彼女の『読み替え』自体は前報酬じゃなくて、この世界において許してただけだしね>>
<<ありがとうございます>>
(通ったか……。所詮、ルドラサウムにしてみれば面白くなれば何とでも良いのであろうからな……)
<<用件はそれだけかな?>>
<<はい。ありがとうございました。
それでは、私の方は備えなければならないので……失礼させていただきます>>
プランナーがルドラサウムのいた場所から消え去っていく。
<<さぁて、話してる間にどうなったかな、と……>>
先程まで彼がいたことなど何事もなかったかのようにルドラサウムは再び島を覗き始めた。
(これでいいのだ……)
彼の場所へと戻ったプランナーもまた島を見出した。
これで箱庭の中の人物達は、正しく平等になっただろう。
後は各々の既に所有してるものだけ。
果たして箱庭の中の人物達はどう動くのだろうか。
また予想外のことをしでかしてくれるのだろうか。
と思いながら。
-
お待たせしました。
設定をどうするか等で悩み遅れていました。
鬼畜王ということもあり、今ロワの開始時の設定でもあったトロス設定の方を用いることにしました。
途中の競合しても良い部分は新情報の設定を用いてます。
どうでもいいですね、はいorz
問題がなければ、明日の晩には本投下したいと思います。
-
仮投下乙です。
問題はないと思います。
色々と参考になる話だと思いました。
前報酬は透子の読み替えを容易に行えるようにしてたのと解釈して良いのですね。
-
以下8レス、「( ゚∀゚)o彡゚ おっぱい!おっぱい!」を
仮投下させて頂きます。
問題なければ週末の晩に本スレに投下しようと思います。
次回は「最優先事項」。
レプリカ智機たちが登場予定で、週末の晩の仮投下予定です。
-
物が燃えるということは一種の化学反応だ。
ある一定の温度に達すると、酸素が物体と連続して結合し続ける。
故に周りを火に囲まれようとも、酸素さえなければ燃えることは無い。
これを今回の森林火災に当てはめて、導き出される解答は次の如し。
足元の草があまり燃えない楡の木広場は既に酸欠状態にある。
ザドゥが早々に広場を放棄し、風上へと移動したのはこの判断による。
全く正しい。
それが、通常の科学の範疇にある火事ならば。
結論を述べよう。
風上に向かうというザドゥの判断は誤まりだ。
ベストの選択は救援物資が届くまでその場で待機すること。
なぜならこの火災は尋常の火災ではなく、
朽木双葉とその下僕たる木々が命を削って炎の流れを制御していたから。
少なくとも双葉が絶命するまでは、楡の木広場の酸素が尽きることはない。
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
>>505
(二日目 PM6:12 G−4地点 楡の木広場・北東外れ)
楡の木広場、北東の外れ。
ザドゥは森林の手前で立ち尽くし、次の一歩を踏み出せずにいた。
風上にゆけばなんとかなる。その思いが吹き飛んでいた。
-
ザドゥの歩みを阻むは煙。
尋常の数倍ではない。異常を数倍した量と密度で煙が満ちている。
密集する木々が各々に煙を上げ、それが枝葉に絡んで滞留するからだ。
視界の確保は事実上不可能。5歩先の炎すら目視できない。
ばさりばさり。ザドゥはマントを大きく振るう。
左右に何度も繰り返し、繰り返し。
それは火の粉を払う為ではなく、煙を払う試みだ。
煙が散った。
散った煙が周囲の煙を呼んだ。
視界を占めるのは変わらぬ白煙。
試みは失敗に終わった。
ザドゥは煙を視線で殺せとばかりに睨めつける。
(立ち止まるは後退するに等しい。迷っていても埒が開かぬ。
視界が確保できぬなら、他の四感を駆使するまで!)
打つ手を失ったザドゥは森林への突撃を決意する。
即断即決。躊躇は害悪。
ザドゥのその気質、吉と出るか凶と出るか。
「よし、行くぞ芹沢!」
―――返答がない。
嫌な予感を胸に、ザドゥが振り返る。
予感は的中。
後ろに待機していたはずの芹沢が、姿を消していた。
-
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
「わったしをよーぶのはだぁれっかなっ♪
わったしをよーぶのはどぉこっかなっ♪」
誰かに呼ばれている。
ふとそのように感じたカモミール・芹沢は、ザドゥに動くなと命じられたことを
瞬時に忘れて、呼ばれたと思しき方向へと進んでいる。
姿勢は四つん這い。そのことについてはザドゥの言いつけを守っている。
《……おーい…… こじゃあ……》
また聞こえた。それは前方の炎の中からの声だった。
芹沢にとって聞き覚えのない声だった。
しわがれた老人のような、或いは煙草で喉が焼けたような。
どちらかというと不快な声質の。
「あれぇ? だーれもいないんだけどぉ?」
芹沢は大げさにきょろきょろと頭を振って周囲を確認。
人影は無い。
あるのはただ、禍々しい暗紫の刀身を炎に晒す一本の剣。
柄に施された目のような装飾がぎょろりと動いて、視線が芹沢の胸に固定された。
《わぁ〜おぅ♪ ダイナマイツ!》
親父臭い下品な野次を上げたのはその刀、魔剣カオス。
この剣は軽量化を図ったアインに捨てられていた。
-
《もうちょっと胸を突き出して。肘でこう、おっぱいを持ち上げるように!》
「んー、こう?」
《うほほほーい! 女豹のポーズ完成じゃ!
アインの嬢ちゃんみたいなスレンダーボディも悪かないが、
やっぱり女はぱっつんぱっつんのむっちんむっちんが一番じゃのう!》
「あはは、えっちな刀さんだねぇ」
《おうともエッチじゃわい。エッチが全てじゃわい。
だからもっとエッチに、そのまま尻を左右に振ってくれぃ!》
「がおー、がおー♪」
《この……ねえ、ぷりんって。お尻がぷりんぷりんってなってますよ?
ああああっ、心のちんちんを今すぐ出したい!挟みたい!擦りたい!》
そのやりとりは場末のキャバクラが如し。
生死が一瞬で交錯する火災の只中にあって信じられぬ程の能天気さを晒している。
しかし、それもむべなるかな。
未だ芹沢を蝕み続けるクスリは彼女を過剰に過ぎる多幸間で包み込んでいた。
彼女はこの状況を危機だと認識できないのだ。
「でねぇ、刀さん。どうしてあたしを呼んだのかな? おっぱいが見たかっただけ?」
《そうそう、儂、誰かに拾ってもらおうと呼びかけておったんじゃ。
のぅねーちゃん、儂を拾ってみませんか? 意外とお役にたちますよ?》
「おっけー♪」
芹沢は快諾すると即座に左腕を伸ばし、炎に巻かれるカオスを躊躇い無く掴む。
彼女はかなりの熱さを覚悟していた。
感覚がすこぶる鈍い異形の腕ならば耐えられるかな、と思っていた。
しかし、掴んだその柄は、ひんやりと心地よい温度を掌に伝えてきた。
-
「冷たくてきもちーね♪」
《このカオス、火災程度ではびくともせんのじゃよ。
じゃからね、ねーちゃん。
儂をそのぷりんぷりんの胸に、こうぎゅーっと挟み込んでくれんかの。
火照った体をひんやり冷まして気持ちいいこと請け合いですよ?》
「うんいーよー。ぎゅーーっ!」
《げへへへへ。おっぱい!おっぱい!》
芹沢の抱擁に、正確にはその胸の感触にカオスの両眼がだらしなく歪む。
ザドゥが声を頼りに芹沢を発見したのはその時だった。
「何をしている芹沢!!」
ザドゥが怒りの形相で芹沢ににじり寄る。
芹沢は振り返ってにぱっと笑い、ぶんぶんと勢いよく手を振った。
「あははー、ザッちゃん、やほー♪」
「やほーではない! あれほど俺から離れるなと……」
《まあまあザッちゃんとやら、そう憤るでない》
芹沢の胸に抱かれた刀剣から聞こえる声に一瞬身を固くしたザドゥだが、
その剣が性欲丸出しの目線を芹沢の胸に向けていることに呆れ、
ほぼ反射的にそれを叩き落した。
「ややこしい荷物を増やすな。行くぞ。もう離れるなよ」
《ああっ、捨てないで捨てないで!
この火災から脱出したいのじゃろ。ならば儂が役立つ…… かもよ?》
-
「役に立つ、と?」
ザドゥはカオスの言葉を復唱し、続きを促す。
《状況もおまえさんの精神も切羽詰っとるようじゃし、要点だけ言うぞ。
儂を振れば闘気が疾る。闘気はすなわち剣風を生む。周囲の煙を払える程度にはな》
「ほう」
視界の確保。
それは今のザドゥが最も欲している事。
《但し、儂を振るえば振るうほど、その心は闇に飲まれやすうなる。
気をしっかり持ち、心を穏やかに振るうんですよ?》
「ふん。それがどうした」
ザドゥはカオスの忠告を鼻で笑う。
笑いながら一度捨てたその剣を拾い上げて、言った。
「俺の心はとうに漆黒だ」
ザドゥはカオスを左手に握り、刃を寝かせて右肩に担ぐ。
煙に覆われた森林を向き、膝を落とす。
瞑目。深呼吸。―――瞠目。
「しっ!」
口腔より迸る気合一閃。その豪腕より放たれたるは横薙ぎ。
巻き上がる剣風が煙を鋭く切り裂いた。
……わずか3mほど。
-
「……ふん。意外としょぼいな」
《あー……済まん。威力はな、剣士としての資質に比例するんじゃ》
カオスの世界において、各種技能は単純化されレベルという単位で表される。
その格付けにザドゥを当てはめるなら、格闘レベルは伝説級の3にすら達しようか。
しかし、物事には得手不得手がある。
《わしの見立てによると、ザッちゃんの剣レベルは0の素人級じゃな。
逆にねーちゃんの剣レベルはギリギリ2の達人級かの。
上手くすれば必殺技なんかが出せちゃいますよ?》
「はいはーい! あたしがやりまーす! ひっさーつ!」
「ダメだ!」
「びぇぇぇん! ザッちゃんが怒ったぁ!」
「今のおまえはな、芹沢……」
ザドゥはそこで口を閉ざした。
今の芹沢に余力は無い。体力も、気力も、判断力も。
そこに来て精神を消耗するこの剣を持たせることは自殺行為だ。
噛んで含めるように諭したとて今の芹沢には理解できまい。
しかし、その思いを渦中の魔剣は理解したようだった。
《……女をかばうか。男じゃな、ザッちゃん》
「女ではない。部下だ」
斜に構えた笑みを一つ。
ザドゥはカオスを擦り上げる。
↓
-
【グループ:ザドゥ・芹沢】
【現在位置:G−4地点 楡の木広場北東外れ → 東の森北東部】
【スタンス:炎から逃げつつ救助を待つ】
【主催者:ザドゥ】
【所持品:ボロボロのマント、通信機、魔剣カオス(new)】
【能力:我流の格闘術と気を操る】
【備考:軽度の一酸化炭素中毒、右手に中度の火傷あり、疲労(大)、ダメージ(小)】
【カモミール・芹沢】
【所持品:虎徹刀身(魔力発動で威力増大、ただし発動中は重量増大、使用者の体力を大きく消耗させる)
鉄扇、トカレフ】
【能力:左腕異形化(武器にもなる)、徐々に異形化進行中(能力上昇はない)、死光掌4HIT】
【備考:アッパートリップ、脱水症(中)、疲労(大)、腹部損傷】
※ カタパルトによる救助は7分後、学校からの救助は到着時間未定
-
>>484 さん
前報酬等については、以下のように考えていました。
「巡る因果」とも共存可能かと思います。
【前報酬】
パートナーの記憶/記録を島内にばら撒くこと
【契約のロケット】
世界の読み替えを制限するアイテム。
通常であれば
①透子が願う
②願いに準じた世界に読み変わる
の2ステップで発動する能力を、
①透子が願う
②プランナー(あるいはその手下)が願いを認めるか否か判定する
③願いに準じた世界に読み変わるor発動しない
の3ステップかかる&発動しない場合がある
ようにするもの。
また、ロケット破損による能力制限は(メール欄)な上に、
強くイメージしないと通らない、と考えています。
-
もう一つ。
次回予定の「最優先事項」の冒頭で、レプリカ智機の種類や残機数を
整理したく思っています。
素案を以下2レスに上げますので、ご意見ありましたらお願いします。
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ここで、オートマン・椎名智機が保有するレプリカについて整理しよう。
レプリカには大まかに数えて3種類ある。
1つ、白兵戦仕様、Dシリーズ。識別色は赤。
1つ、通常仕様、Nシリーズ。識別色は橙。
1つ、情報収集仕様、Pシリーズ。識別色は青。
識別色はアンテナ機能を備えたカチューシャにペイントされている。
Dシリーズの機体数は3/4機(残存/開始時)。
稼働時間は戦闘モードで4時間だが、後述のアタッチメントによって増減する。
基本身体能力はランス程度、基本装甲はなみ以下。
ルドラサウムから与えられた強化パーツを取り付けた精鋭たち。
各種アタッチメントを装備することでその能力は大きく変化する。
キャタピラ、軽ジェットエンジンなどの移動機器。
耐熱装甲、工学迷彩スーツなどの装甲。
高周波ブレード、ビーム砲などの武装
無限のバリエーションであらゆる局面に対応できる万能さが魅力だ。
但し、強化パーツの制御には多大なリソースを占有する為、
オリジナルが同期できないというデメリットもある。
なお、強化パーツの一つは、虎の子として本拠地の倉庫に保管されている。
このパーツを後述のNシリーズに組み込むことで、Dシリーズに昇格させることが可能となる。
Nシリーズの機体数は38/150機。
稼働時間は戦闘モードで4時間、デスクワークモードで10時間。
基本身体能力は月夜御名紗霧程度、基本装甲は通常の作業用ロボット程度。
正しい意味でのレプリカで、ハード/ソフト共にオリジナルに等しい。
基本身体能力を超えない範囲での武装は可能で、内蔵型スタンナックルを有する。
-
Pシリーズの機体数は6/6機。
スペックその他はNシリーズに等しく、識別されるのは役割と権限の違い故。
担う役割は現場での情報収集。哨戒活動。
有する権限は情報収集端末への常時アクセス権と、優先レベル3以下の命令拒否権。
特殊装備はスタングレネードと最高速40Km/hのカスタムジンジャー(セグウェイ)、
バッテリーパック×2。
ゲーム開始前から今に至るまで島内の担当領域から情報を収集/発信し続けている。
参加者に対して隠密行動を是とし、被発見時には交戦せず闘争するよう刷り込まれている。
また、Pシリーズが破壊された場合はNシリーズに同種の装備と権限を与え、
新たなPシリーズとして登録変更される仕組みだ。
最後に、全てのレプリカに共通する特徴を記そう。
この種の機械の例に漏れず、智機も基本的に熱に弱い。
冷却ユニットは水冷式。蒸気の排出は後頭部の排気口から、冷却水の補充は口から行われる。
内臓しているのは通信機と充電コード。
充電については全機ともに本拠地と学校の専用充電機にて3時間、
島内各所の建物のいくつかに仕込まれた特殊なコンセントにて10時間が必要となる。
そして―――最優先事項に【ゲーム進行の円滑化】が設定されていること。
マザーボードに焼き付けられているそれは、決して覆ることはない。
-
ようやく本投下終了できました。
毎度の支援に感謝です。
>>497 8行目 修正
× 交戦せず闘争するよう
○ 交戦せず逃走するよう
-
さらに訂正。すみません。
起動中(&直近起動予定)のレプリカの数を抜いてました。
>>496 23行目
× Nシリーズの機体数は38/150機。
○ Nシリーズの機体数は46/150機。
-
>>483 >>485
仮投下お疲れ様でした。
ともあれ感想
>絶望
本投下乙です。
各登場人物の様々な絶望の形の表現と、記憶を辿ってのみの紳一の登場はうまいと思いました。
タカさんのまひるに対する強チン未遂は見たんだろうかw
透子達の世界の死の解釈もなるほど……。
クレア……夢はあくまで夢か。
イノケン再登場は意外でした。何故か対主催だっただけにちょっとカワイソス。
>>496-497
智機のまとめと整理参考になります。
ただ218話で説明されていた高機動型が抜けていますよ。
それと184話で鬼作に致命傷を与えたレプリカも、結構怪力だったみたいです。
もっともそれらは全部破壊されましたし、218話の機体説明は一部と取れますので
もし修正されるならちょっと補足するだけで大丈夫だと思います。
>ルドラサウムから与えられた強化パーツを取り付けた精鋭たち。
よく考えてみれば、これってメール欄のが今後使われる可能性があるって事ですよね。
それは強いわw
-
所用で休暇を取っていたので、眠くてダウンしてしまい、
昼間の投稿となりました。
この時間の支援ありがとうございました。
-
>>484
>前報酬は透子の読み替えを容易に行えるようにしてた
>>494
此方が考えていたのは245話から『存在の維持』+『記憶の維持』+『記録を島内にばら撒く事(この辺はプランナーとルドラサウムの意地の悪さですね)』でした。
ので>>494とほぼ同じです。
ですので、巡る因果においては、ルドの台詞で
読み替え自体は、世界において行使を許していただけで、前報酬ではない
という風にしました。
ですが、前報酬が具体的に何であるか明示してるわけではないので
この辺りの下りを書く時にその方がご自由に弄っていいと思います。
-
次の投下は、今週末で内容は>>422のメール欄の予定です。
その話かもしくは後編の中で
事実、智機が外へと自在に動かしきれる手駒はもはや20を切り始めていた。(ここは数を合わせれると思います)
うち10体は管制室の防衛として、そこで何が起きても対処されるべくスタンバイされている。
これを割けば、事実、丸裸を意味する。
運営本拠地の防衛に現在10体は常備している。
此方をなくせば、管制室が最初と最後の砦となってしまう。
つまり、もう無駄に投下することが厳しくなってきたと言うことだ。
というような描写をしようと思っていたのですが
>>496-497との競合は大丈夫でしょうか?
後編は( ゚∀゚)o彡゚ おっぱい!おっぱい!の投下後に取り掛かろうと思います。
-
>>501
本投下乙でした。
>巡る因果
鬼畜王の設定をうまくまとめたと思いました。
おかげでこれから先進めやすくなったと思います。
なんかプランナーが気の毒になってきた(^^;
プランナーの口調など、謎が色々と解けた内容で興味深かったです。
透子の方、こちらも把握しました。
最新262話までのまとめと地図を更新しました。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org24043.zip.html
パスは rowa です。
新コンテンツはもう少し掛かりそうです、申し訳ありません……。
アイン単体で予約します。双葉にたどり着く前です。
内容はメール欄なので、先に構わず進んでも大丈夫な内容だと思います。
新コンテンツ素材も含めて、今度の日曜日中までに仮投下する予定です。
予定タイトルは「檻の外、箱庭の中」です。
-
レプリカ智機関連のご意見ありがとうございます。
>>500 さん
Nシリーズについて、下記のような記述を追加しようと思います。
リソースを大量消費するパーツ―――
例えば高機動レッグや強化アームなどの換装も物理的には換装可能だが、
フリーズやシステムクラッシュを誘発してしまう欠点もある。
この場合、常駐ソフトを切る事で実運用可能なレベルまで緩和できるのだが、
無論、切ったソフト(例えば他のパーツ制御)に由来する機能は使用不可となる。
-
>>503 さん
「最優先事項」のあらすじは以下の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(>>505のメール欄①)した結果(>>505のメール欄②)と判明。
しかし(メール欄③)で頼れず(メール欄④)に踏み切る。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
そこで提案なのですが、こんな対応はどうでしょうか。
①>>422の作品と「最優先事項」を、同じ時間の出来事とする
②>>422の作品を先に投下していただく。>>503の描写はそのまま
③「最優先事項」を後から投下する。内容は上記のまま
オリジナルの思惑をレプリカたちがいきなりひっくり返すことで、
本能に根ざした認識のズレやら落差やらが逆に強調できるのでは、
と考えます。
お手数ですがご返答または代案のほう、お願いいたします。
-
>>506
ども、ありがとうございます。
>>505->>506のメール欄は当メール欄の①と②で①ですよね。
①であるなら>>506の通りの方向で、此方で>>503を強調しつつ
①がやっちまってありゃりゃーと言う側面を混ぜ当方作で上手く合作できると思いますので
此方は>>506の案でOKです。
細かい部分での擦り合わせは作品投下しあわないと解らないでしょうからその時に。
もし②で行ないたかったというのがあれば、後編に最優先事項にあわせたシーンを挿入することもできます。
-
>>507
①です。
その頃②は>>293の後編の状態にあるのだと「最優先事項」で少し触れる予定です。
では、>>506の流れということで、宜しくお願い致します。
-
ttp://d1s.skr.jp/ergr/
>>504に対応しました。
各話のlinkだけは修正しきれてませんが、それ以外は全てweb対応にファイル名やリンク箇所の全角文字を変更できてると思います。
一応>>284氏にと圧縮したものも上げておきます。
ttp://d1s.skr.jp/ergr/negibr.zip
此方は284氏の受け取りを確認次第消します。
-
>>509
更新乙です!
圧縮したものも受け取りました。
ありがたく使わせていただきます。
それでは作業に戻ります。
-
遅れてしまいましたがこれから仮投下します。
タイトルは本投下の際に変えると思います。
描写は追加すると思いますが、それほど加えません。
まとめは先日を含めた都合により火曜日の夜のUPになりそうです。
ゴメンナサイ。
-
>>505
(二日目 PM6:13 東の森・双葉への道)
広場中央に長谷川の姿はなかった。
辺りは炎と煙に囲まれ、巨木にいたであろう双葉の姿を確認する事もできそうにない。
わたしは長谷川追跡を続行すべく即座に広場の外周を観察する。
見つけた。
一ヶ所だけ火が途切れてる箇所がある。
罠の可能性も考えて、わたしは他に抜け道がないかどうか観察する。
今度は見当たらない……長谷川はあそこから逃げたんだろうか?
顎から汗が流れ落ちた。その直後、どこかの木が爆ぜ大きな欠片が地面に落ちる音がした。
燃え盛る音と熱風が一層強くなったような気がした。
頭の奥から鼓膜にかけてキーンと耳鳴りがする。
わたしは他に道はないと悟り、抜け道の入り口まで走った。
突如、目の前が暗くなった。
「!?」
わたしは急停止して、視線を下にして目を何度も瞬かせた。
目が見えなくなったらという不安を打ち払いたくて。
地面を凝視すると火に照らされた枯れ草がはっきり確認できた。
幸いにも視力が失われた訳ではなさそうだ。
ザドゥから一気に離れたのがいけなかったのだろうか?
わたしは前を見つめ思った。
これも敵の誘いだろうか?
わたしはこれまで罠と知りつつあえて何度も敵の誘いに乗り続けた。
けど今度は違うものであってほしいと思う。
-
病院で撃った時、猛獣でさえ殺せる攻撃を当てたのにも関わらず奴は生きていた。
今度は止めを刺して、本当に死んだのかを確認しなきゃいけない。
結果、わたしが火に巻かれ命を落とす事になってでも。
「……」
不安と焦りが心を満たしつつあるのを感じ取り、振り払うようにわたしは頭を振る。
道自体が何かのまやかしか何かでないか凝視し、耳を澄ませ、決断しその道に足を踏み入れる。
両端には遠目ながらも燃え移っていない木や草がところどころ確認できた。
わたしは煙を吸わないように姿勢を屈め、ゆっくり前進していく。
きーんと言う耳鳴りは未だに続いている。
戦闘に支障がなければいいけど……。片目失明はもとより胃とわき腹も痛む。
力を出し切れるだろうか……わたしがアインであり続ける以上、命を失う事に恐れはない。
けど……長谷川に返り討ちにされるのは怖い。
人質を取っていたとはいえ、あのザドゥと長時間渡り合ったほどの相手、どんな方法で来るか。
「……………………………………………………」
ぱちっ……ぱちぱちぱちっ、バキばき……
突然、両脇の樹が爆ぜて火の粉が舞った。
まった火の粉は燃えてない木々にいくつか飛ぶ。
駄目ね……急がないと。
わずかに歩幅を広く、わずかに歩調を速めながら進む。
未だに鳴る耳鳴りに連動するように後方から熱風が流れる音が聞こえた。
そしていきなり目の前に黒い塊が降ってきて、音を立てて地面を叩いた。
「!」
遅れた!
-
大木の欠片が砕け、周囲に飛び交い、わたしは腕で防御しながら全速力で迂回、息を止め一気に前進した。
一瞬振り向き、後方から火の手が来ないのを確認。 息継ぎをしさらに前進した。
「はぁ……はぁ……ごほっごほっ……」
火の粉はわたしに移らなかったが、ちょっと煙を吸いこんでしまった。
わたしはすすを吐き出そうと何度も咳をする。
胃と肺がきりきり痛む。
そんな状態でも耳鳴りはして、ちょっと鬱陶しかった。
わたしは咳をし終え、ゆっくりと追跡を再開した。
右を見て、今いる場所の横が燃え移ってないことを確認する。
それ以外は相変わらず炎と煙に覆われている、火の手が上がるのが早すぎる気がする。
次にわたしの口から出た言葉は、思いとは別に陳腐な感想だった
「地獄のようね」
自らの不幸を嘆いてのことじゃない。
こんな陳腐な台詞口にしなきゃよかったと思ったに過ぎない。
この火災で死んだ者なんて一人も出ないかも知れないのに。
その時だった。
「……っ」
左腕が突然痛み出し、わたしは小さく声をあげた。
右目で左腕を見る。
服の裾が燃えていた。
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