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【個】『門倉不動産』【他】

1『門倉派』:2022/07/24(日) 21:12:16

『星見駅北口』を出てしばらく歩く。

『こんなに歩かされるなんて、これは道でも間違えたかな?』と思う頃に
ようやく現れるのが雑居ビルの一階にある『門倉不動産』―――

文字通りの『不動産屋』にして、これからは
『アリーナ』で『ショー興行』を目論む『門倉派』の根城だ。

詳細は>>2

313一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/17(金) 06:06:51
>>312
「あわ…あわわ…一抹貞世ですぅぅ…!!」

ヘルメットを受け取りながら思案する。
確かに『インダルジェンス』なら大抵のアクセスは作れる。
しかして美作さんの要望を叶えられるかは…

「ふぁっ!? 一緒に移動!? お洒落で怖い!!」

意味の分からないことを言いながら中学1年に成り立ての身体で何とか美作さんの背後に乗る。
二人乗りなんて初めてなので落ちないか般若心経を唱えながら恐怖心に耐える。

314美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/17(金) 12:46:33
>>313

一抹のスタンドについては以前に聞いた事があった。
『悪感情』を『鎮静』する『インダルジェンス』。
今回は頼る機会はなさそうだが、貴重な能力である事は確かだろう。

「あはは……ゆっくり走るから大丈夫よ。私に掴まっていていいからね」

        ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ

声を掛けながらキーを回すと、点火したエンジンがアイドリングを始める。

「――そういえば『七篠さん』ってどういう人?先輩だって聞いたけど」

            グォンッ

周囲を確認してハンドルを握り、二人を乗せた車体が滑るように動き出す。
おそらく、そう時間が経たない内に『門倉不動産』が見えてくるはずだ。
『門倉派』の拠点だが、まだ言うべきタイミングではないと考え、
自分が『アリーナ』の一員である事は伏せてある。

315一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/17(金) 16:54:45
>>314
「大丈夫…大丈夫…バイクに轢かれた事があるから怖くない…!」

「七篠先輩ですか? 程々に勇気があって礼儀正しい方です。
 かなりスタンド能力が物騒なんですが戦闘は好みませんね」

「優しい娘で野生動物のスタンド使いを二人で助けてあげたんです」

「悲しい事に私がきっかけで2度ぐらい事件に巻き込まれまして。
 私が夏の魔物に取り憑かれても決して諦めない芯の強い娘です」

七篠先輩の事が誇らしいのか嬉しそうに喋る一抹。
だが、彼女のスタンド能力については恐れているようだ。

316美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/17(金) 18:50:33
>>315

「…………かなり『ハード』な体験してるのねぇ」

『試合』を『観戦』した事はあるが、実際の『戦闘』は更に激しいのだろう。
そういう領域には踏み込めないし、踏み込みたいとも思わない。
『門倉派』は――今の『美作くるみ』は、
『場を与えられる側』ではなく『機会を提供する側』だ。

      ギュオオオオオオオオオオッ

「最近、私も『事件』に巻き込まれた事があったわ。
 『ローグライクゲーム』の世界に放り込まれたっていうか……
 そこまで『危険』じゃあなかったのは幸いだけど」

          キ キ ィ ッ

やがて辿り着いたのは『雑居ビル』の前だった。
最寄りの駐車場にバイクを停め、エンジンを切ってシートから降りる。
ポケットから『門倉不動産の鍵』を取り出し、入口に向かって歩き出す。

「『ここ』よ――――『門倉不動産』。
 知り合いがやってるお店でね。
 たまに手伝う代わりに、お休みの時には使わせてもらってるの」

        カチャリ

解錠した扉を開け、一抹に笑い掛ける。

「飲み物を出そうと思うんだけど、一抹君は何が好き?
 ええと……コーヒーと紅茶と緑茶があるみたいよ」

317一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/17(金) 19:31:30
>>316
「ハード…いや、まぁ、毎年のように酷い目に遭ったり知らない派閥
 にいつの間にか入れられたり…」

「『ローグライク』…? それって普通に危険じゃ…」

雑居ビルに着いてからは落ちないようにバイクから降りる。
なるほど美作さんはここを借りて発信の場にしているのか!

「バイクに乗った事がなかったので楽しかったです!」

「やはり抹茶はマイナーですよね」ボソッ

「砂糖入りの紅茶をください! 苦いのは苦手で…」

318美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/17(金) 20:18:52
>>317

室内にはローテーブルとソファーがあり、そこが応接スペースになっている。
また、仕事用のデスクや書類棚も見えた。
奥の方には給湯室があるようだ。

「あははは…………今度は『抹茶』も用意しておくから、
 今日のところは『砂糖入りの紅茶』をお出しするわ」

         コト

給湯室で温かい紅茶を用意し、スティックシュガーと共にテーブルの上に置く。

「さて、それじゃあ『アクセサリー』について話しましょうか」

              ス

取り出してみせたのは『鈴蘭の押し花』だった。

「この『押し花』は『お友達』にもらった物でね。それから『これ』――――」

もう片方の手には、3cm角の『透明な立方体』が乗っている。

「この『アクリルキューブ』と『押し花』を使って、
 『ペンダントトップ』を作りたいと思ってるの。
 私の方で『作り方の手順』を考えて、
 あらかじめ『必要になりそうな物』は準備しておいたから」

『アクリルキューブ』と『押し花』をテーブルに並べ、
さらに『別の二つ』を見せる。
『アクリル用カッター』と『アクリル用接着剤』だ。
どうやら、これで全部らしい。

319一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/17(金) 21:31:25
>>318
「いえいえ、そこまでしなくても…抹茶はマイナーですから…」

謎の失意を抱えながら紅茶を待つ。
門倉……何処かで聞いたような気がするが…?
今はそれよりも美作さんの依頼を聞こう。

「私の『インダルジェンス』はトップクラスの精密動作性と
 それなりのパワーを持っています。だから…」

ttp://marbleart.sakura.ne.jp/

ttps://takumi.leadkonan.jp/work/page43.html

「とかどうですか?」

320美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/17(金) 22:11:42
>>319

「私が考えていたのは、この『アクリルキューブ』の中に、
 『鈴蘭の押し花』を閉じ込めたアクセサリーなの」

アクリルキューブを手に取ると、自分の『プラン』を語り始める。

「まず、アクリルキューブを二つに割って、
 その間に押し花を挟んで接着するでしょう?
 そして、『鈴蘭の入ったアクリルキューブ』を、
 『鈴蘭の形の彫刻』に仕立てる。
 まるで『鈴蘭の中に鈴蘭がある』みたいに。
 もちろん、それが『可能』なら…………」

今度は一抹の提示したアイディアに見入り、注意深く検討していく。

「『マーブルアート』――――コレ、すっごくキレイねぇ。
 ただ、ちょっとキレイすぎて、押し花が負けちゃってる感じはするわね。
 とっても素敵なアイディアなんだけど、あくまでも『主役』は『鈴蘭』だから、
 なるべく『素材の良さ』を活かしたいのよ。
 私が『アクリル』を選んだのも、それが理由だから」

アクリルはガラスよりも透明度が高く、軽くて丈夫な素材だ。
鈴蘭の存在感を妨げないし、身に着けて動く事を含めても都合が良かった。
そこまで考えた時、不意に重要な事を思い出す。

「一抹君の『インダルジェンス』――どんなスタンドなのか見せてもらえない?
 それを知らないと、お互いの認識に『ズレ』が出ると思うし……」

321一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/17(金) 23:15:12
>>320
「なるほど、主役は『鈴蘭でしたか。であれば、美作さんの
 アイディアの方が優れています。」

アクセサリーが主役より目立ってはいけない。
誰が使うのか分からないが基礎の基礎を忘れていた。

「えっ、私のスタンドですか? この間も聞かれたような…」

「えっとですね。私のスタンドは戦闘に向いてないし、能力も派手
 でも何でもないです」

『ディヴァイン・インダルジェンス』を発現する。
身体のいたるところに十字架の意匠がある近距離パワー型なのが見て分かる。

「パワーは猛獣並、スピードは人並み、精密動作性は精密機器並み
 ハッキリ言って能力が戦闘向きでないので使えるモノは使って
 勝つしかない珍妙なスタンドです」

「そして、私のスタンド能力は『悪感情』の『鎮静』。
 さらに頭に触れれば『安息』を与えて安らかな世界へ…」

「それと私の切り札がこれ! 『慈悲の刃』です!」

手の甲から『20cm』まで刃がいきなり飛び出た。
普段から出しておけば良いのに出さないのには理由がありそうだ。

「実はこの刃の耐久性は猛獣に殴られたら折れる程度でして…
 それに加えて『無痛』の斬撃なものですから…」

「しかし、これでも20人ぐらいは斬っているのですよ
 どうですか? 弱そう? 強そう? それとも?」

322美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/18(土) 00:01:09
>>321

「この前は『聞いた』だけで、『見た』訳じゃないでしょう?
 『百聞は一見にしかず』よ」

大きく目を見開いて、『インダルジェンス』――
正確には『ディヴァイン・インダルジェンス』を観察する。

「私は『戦闘』に関しては『素人』だから、
 そっちに関するコメントは差し控えさせてもらうわ。
 ただ、そんな私から見ても、十分『強そう』に見えるわね」

常人を遥かに上回る『腕力』と、それ以上の『精密性』。
さらに『武器』まで持っているとなれば、弱そうに見える訳がなかった。
美作自身が『非戦闘員』だからこそ、尚更そう感じる。
だが、彼のように『戦闘力が欲しい』とは全く思わない。
何故なら、『プラン9・チャンネル7』には、
圧倒的な『情報拡散力』があり、それは『美作だけが持つ力』だからだ。

「しかも、随分と『経験豊富』なのねぇ。
 そんなに戦ってるとは思わなかったからビックリしちゃった。
 『スタンド使いは争いに巻き込まれる』って言ってたのも納得できたわ」

       フフッ

言葉とは裏腹に、表情には余裕が窺える。
『戦闘経験』こそないが、美作も自分なりに活動を続けてきた。
たとえ危機に直面したとしても、多少の事なら切り抜けてみせるという自負だ。

「見せてくれてありがとう。
 その『慈悲の刃』があるなら、『カッター』は必要なさそうね。
 じゃあ、早速だけど――――」

           トッ

そう言いながら、『アクリルキューブ』を一抹の方に押し出す。

「とりあえず『真っ二つ』にしてもらえるかしら?」

323一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/18(土) 00:15:41
>>322
「何十人斬ったのも戦いに勝ったりしたのも夏の魔物から助けられた
 のは沢山いる先輩や街のみんなのお陰です」

「戦闘に素人…? 情報系のスタンド使いの形ですか!
 なら、お願いがあるんです!」

「血の繋がりも何もかも違うけど絆だけは本物の義兄。
 小林 丈。水球を操る事が出来るスタンド使いを探してくれませんか!」

ひとしきり喋り終えた後に『慈悲の刃』で『アクリルキューブ』を真っ二つにする。
本体である一抹が興奮しているにもかかわらずズレ一つなく『アクリルキューブ』を『インダルジェンス』は真っ二つにした。
一抹本人の言う通り精密機器に匹敵する精密動作性だ。

324美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/18(土) 00:55:12
>>323

「一抹君の事を教えてもらって悪いんだけど、私の能力は『秘密』よ」

        ピッ

片目を閉じながら、口元で人差し指を立てる。

「でも――『小林君』なら知ってるわ。『ブリキの金魚』を使う人でしょう?」

かつて美作は、『小林丈』に出会った事があったのだ。
もう随分と昔の話だが、その時に交わしたやり取りは覚えている。
小林は『シャボン玉』を舞わせ、美作は『歌声』を披露した。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453049221/392-399)

「私にとっても知人だし……協力するのは構わないわよ。
 今は忙しいけど、落ち着いたら力を貸すから」

『プラン9・チャンネル7』の能力を使えば、
町中のスピーカーを利用して、情報提供を呼び掛ける事も出来る。
そこで本人が見つかればいいし、そうでなくとも手掛かりが得られるかもしれない。
ただ、美作は『門倉派』の正式な構成員で、そちらの活動も抱えていた。
やるからには中途半端は出来ない。
そこが辛いところだ。

     「――――――っと」

見事に『真っ二つ』になったアクリルキューブを見て、思わず感嘆の吐息が漏れる。

「実際に見てみると迫力あるわねぇ。こんなに綺麗に割れるなんて」

気を取り直し、工程の続きを告げる為に口を開く。

「次は、この二つの間に『接着剤』を塗って、『押し花』を挟んで固定するの。
 ええと、やってみてもらえる?」

325一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/18(土) 01:36:14
>>324
「いいんですよ、私の能力はバレても損もしない得もしない」

「けれど、美作さんのスタンドは自分とは違う。価値が違う」

秘密にするということやはり真正面から戦えないタイプ。
戦闘力に自信があるスタンド使いは自分から種を明かす傾向がある。
バレてもあまり被害の少ない『インダルジェンス』とは違うのだ。

「彼は2度も私の命を救った恩人にして義兄。
 噂によると夏の魔物を始末した後に知らない男と立ち去ったとか…」

「もし、それが本当ならば…私は…」

本物の殺意というものが少年の瞳に現れる。
何を犠牲にしようとも怨敵を殺す。
中学1年生のする目とは思えないものだった。

「あ、あっ、作業の続きをしなきゃ!」 

『インダルジェンス』が溢れない最低限の接着剤を塗って押し花をズレないように最低限の力で挟んで固定する。
高度な精密動作性によるものだからかケチをつけるところが無いほどの完成度だ。

326美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/18(土) 02:17:00
>>325

『プラン9・チャンネル7』の能力を秘密にしたい理由は、
単純な戦闘力とは別次元で強力すぎるから。
もし美作が『やろう』と思えば、知っているスタンド使い達の情報を、
星見町全域に公表する事も出来てしまう。
確かに『プラン9』は戦えない。
直接的に危害を加えるよりも、もっと恐ろしい事が可能なのだ。
『そうしない』のは、本体が『モラリスト』である点に尽きるだろう。

「うん、さすがの完成度ね。
 ほんの少しのズレもないし、本当にピッタリよ。
 思わず拍手したくなっちゃうくらいだわ」

一抹の瞳に浮かんだ『感情』を見て取ったが、敢えて追求はしなかった。
何も言わない方が良い時もあるのだ。
『喋りのプロ』だからこそ、『喋るべきではないタイミング』も心得ている。

「――――さて!ここからが『一番大事な部分』よ。
 『鈴蘭が入ったアクリルキューブ』を『鈴蘭の形』にして欲しいの。
 さっきも言った通り『鈴蘭の中に鈴蘭がある』みたいにね」

『最後の仕上げ』となる『彫刻』を『ディヴァイン・インダルジェンス』に委ねる。
このパワーと精密性に『慈悲の刃』が加われば、おそらく問題ないはずだ。
やや身を乗り出した姿勢で、一抹の作業を見守る。

327一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/18(土) 04:44:24
>>326
「もしも、美作さんに宿敵のようなスタンド使いが現れたらどうします?」

「私の場合は『悪霊』を操り堅牢を極めた鎧に何十ものスタンド。
 つまり、普通のスタンド使いでは絶対に敵わない最強の存在」

「しかし、その男と真反対の性質を持つ『慈悲の刃』を先輩に
 貸し出した途端、無敵の鎧は剥がれ何十ものスタンドは剥がれた」

「もしかすると美作さんにもそういった宿敵と相対することが
 あるかもしれませんね」

「だから危ない時は読んでくださいね。
 知り合いがうっかり死んでるなんて洒落になりませんから…」

「…………………………」

それっきり一抹は黙り『鈴蘭が入ったアクリルキューブ』を『鈴蘭の形』にする作業に入った。
『アクリルキューブ』は『インダルジェンス』の神業に等しい彫刻作業で少しづつ削り『鈴蘭の形』になった
『インダルジェンス』のパワーと神業を可能とする精密動作性で僅かな部分を削り『鈴蘭の中に鈴蘭がある』ように見えるモノが出来上がった。

「ふぅ〜お仕事完了です…! たぶん!」

「まだ加工して欲しいモノが有れば言ってください。
 我が家は古い物を義父がコレクションしていて木蝋とかありました」

328美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/18(土) 18:23:44
>>327

一抹の言葉を受けて、しばし黙考する。
少なくとも『スタンド関連』において、
『宿敵』と呼べる程の相手に出会った事はない。
強いて言えば、それに該当しそうなのは『コヤコヤ』か。
実際、今まさに競い合っている最中なのだから。
『プラン9・チャンネル7』と同じ『機械仕掛けの鳥』を持つ者であり、
『ラジオ』と『配信』の違いこそあれ、
情報発信を行う『インフルエンサー』という共通点もあった。

「……『宿敵』……『宿敵』ねぇ……」

「それなら、むしろ『歓迎』したいくらいよ。
 しのぎを削る『ライバル』の存在は、私にとっても『プラス』になるから。
 もちろん『戦闘』はゴメンだけど、
 『エンターテインメント』なら何時でも勝負してあげるわ」

「『私と互角に張り合える人がいれば』ね」

美作の表情には『自信』が見て取れる。
自分の得意分野なら、誰にも負けないという強い意思が。
それは一抹が秘める鋭さとは別種の強さだった――――。

「――――――とうとう『完成』したみたいね。
 お見事な出来栄えよ、パーフェクト!
 フフ、一抹君に頼んで良かったわ」

『アクリル製の鈴蘭』を手に取り、その完成度に目を見張る。
神業的な精密性と『慈悲の刃』によって製作された芸術品だ。
これが『魔法によって作られた物』と判定されるかどうかは分からないが、
『りんの一部』である『鈴蘭の押し花』と合わさる事で、効果は上がると信じよう。

「…………『木蝋』?」

確かに『魔法使い』らしくはあるが、それよりも欲しい物がある。

「『古い物』って事は『アンティーク』よね。
 そのコレクションに『トランク』なんてないかしら?
 『1m』くらいの物が入ると助かるんだけど……」

『サーベルを入れたいから』などという事は口が裂けても言えなかった。

329一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/19(日) 06:02:00
>>328
「宿敵とは必ずしも良い者ではありませんから…
 運命をドン底に突き落とす『厄災』」

「しかし、「美作さんの『宿敵』か…
 真っ当に戦わずにこちらを翻弄するみたいな…?」」

「あぁ! 『アンティーク』の丁度いい『トランク』ならあります!
 義父は偏屈ですが私の頼みは断れないんです!」

一抹の義父は偏屈者だが息子には甘いようだ。
上手いこと一抹を使えば『トランク』は手に入るだろう。

330美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/19(日) 17:36:42
>>329

一抹の言葉を聞いて、美作は柔らかく微笑んだ。

「『私の宿敵』は『私自身』よ。
 私は『自分の能力を活かしたい』と思ってるけど、簡単には出来ない理由があるの。
 『使いたい気持ち』と『使っちゃいけない気持ち』の狭間で揺れていて、
 その相反する思いを両方とも納得させなきゃいけない。
 だから、『美作くるみ』にとっての宿敵は『美作くるみ』」

もし『美作の宿敵』に成り得る者がいたとすれば、
単純な殴り合いなどにはならない事だけは確かだ。
『言葉』というのは恐るべき武器になる。
誰かを貶める事も傷付ける事も、場合によっては殺す事も出来るのだから。
そんな風に『情報』を使う者がいたとしたら、美作は許せないだろう。
美作にとっての『宿敵』というのは、
使い方を誤れば大きな被害を及ぼしてしまう『自分自身』だった。

「『宿敵』とは言えないけど、私の『ライバル』になるかもしれない人はいるわね。
 そういう相手がいるからこそ、私も張り合いがあるのよ」

ここを訪れた『コヤコヤ』に応対し、『魔法使い試験』でも関わる事になった。
それは何か『引き合うもの』があったせいなのか。
ともかく今は『試験』に集中しなければ。

「じゃあ、お義父さんに頼んで『トランク』を貸してもらえる?
 さすがに高価な物でしょうから、もらう訳にはいかないしね。
 それから『タダヒト派』と『最中派』の連絡先を聞いておくわ」

        スッ

「これを一抹君に。この前は電話越しで渡せなかったから」

『星見FM放送名義』の名刺を取り出し、一抹に差し出す。
『Electric Canary Garden:パーソナリティー・美作くるみ』と綴られている。
番組の『イメージキャラクター』である『電気カナリア』のイラストが添えられていた。

331一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/19(日) 20:07:17
>>330
「もしかして『死亡発動型』スタンド…
 そんなわけないですよね」

「使うとモラルに反する、または被害が大きいとか…」

思い返せば一抹の戦ってきた敵は個人規模の破壊力しか持たなかった。
美作さんのポリシーからすると安易に使ってはいけないものだろうか。

「ライバル! 良いですね! 私もライバルが欲しいです!
 いや、赤月先輩は、あれは、何だろうか…」

「先ずはタダヒト派の緒方さんの連絡先をお渡しします。
 タダヒトはエクリプス全盛期にかなりエクリプス狩りををした
 ようで今でも『悪霊』と化した残党を狩るほどです」

「ただ、リーダーの『タダヒト』さんが忙しいので連絡が取れる
 かは運任せですね」

「続いて最中派の北落さんの連絡先を…
 彼女は時間を巻き戻す能力を持ちますが…持っているんですが…」

「最中派は女性の性を食い物にするドクズのカスな派閥です。
 私も頼まれて一戦しただけなのに何故か最中派所属に…」

タダヒト派について語る時は誇らしいものを語るようであたったが…
最中派には良い思い出がないのか親の敵の如くボロクソに語った。

「わっ! わーわー!!私の記念品ボックスに仕舞っちゃいます!」

余程、嬉しいのか小さい身体でぴょんぴょん跳ね回る。
大人びても初戦は中学1年の男子である。

「あっ、『トランク』は持って来てもらいますか?
 義父なら私が頼めば来てくれますよ!」

332美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/19(日) 20:47:30
>>331

『門倉派』の掲げる理念は特殊で、『アリーナ』の中では少数派だ。
他の派閥と関わる機会は、あまりないだろう。
しかし、連絡手段を持っていて損はしない。

「フフ、解説ありがとう。
 私の知らない事が色々と分かって勉強になったわ。
 私も『アリーナ』の試合は観戦した事があるし、
 一度だけ『競技選手』として参加した経験もあったから、
 ちょっと気になったの」

それらは紛れもなく事実だが、
自らが『アリーナの一員』である事は口にしていないので、
全てを語っている訳でもなかった。

「そうね……『トランク』は『ここ』に持ってきてもらえるかしら?
 返す時には一抹君に伝えるから」

無事に『トランク』を借り受けたら、このやり取りも終わりに向かうだろう。

333一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/20(月) 00:35:54
>>332
「ちょっと待ってくたさいね…」

スマホを取り出すとニコニコで電話を掛け始める一抹。
相手が出たのは興奮した様子で要件を語りだす。

「お義父さん! お義父さん! あの古いトランクを譲りたい人がね…」

「えっ、嫌だじゃないよ。夏の魔物の時に助けてくれた人がね
 どうやら必要としてるらしいんだ!」

「それも美作くるみさんだよ! とにかく来てね!」

「『門倉不動産』って場所にいるからね! バイバイ!!」

半ば強引に了承を取付けた一抹が嬉しそうに振り返る。
何度も死の淵に叩き込まれようが無事なのは図太さ故かもしれない…

334美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/20(月) 06:33:49
>>333

こちらが頼んだ事とはいえ、
予想していた以上に一方的な要求になってしまい、苦笑しつつ肩を竦める。

「あはは…………急に無理を言って、お義父さんには申し訳ない事をしちゃったわね。
 まぁ、確かに『魔物事件』で私が果たした役割は、
 なかなかのものだったとは思ってるけど。
 その為に『電波の私的利用はしない』っていうポリシーも曲げてる訳だから」

事実、美作がメディアを使って拡散しなければ、
あれほど爆発的に広まる事はなかったはずだ。
他の面々とは違い、直接的に事態の解決に当たってはいないものの、
被害者を救う上で大きなウェイトを占めていた事は間違いない。
それを免罪符にするつもりはないが、今回の交渉においては有利な条件だった。

「ところで、どうして私が『トランク』なんて欲しがるのか気にならない?
 実は、ちょっとした『イベント』の企画に携わっていて、
 その『小道具』として使いたいのよ。
 今は進行途中の段階だから、
 詳しい内容は『企業秘密』で明かせないけど、十分に活用させてもらうわ」

『トランク』が届くまでの間、
『試験』に支障が出ない程度に事情を説明しておき、引き渡しの円滑化を図る。

335一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/20(月) 19:28:10
>>334
「何となくお仕事で使われるのだろうな、とは予想できますが…
 もしかしてとっておきの手品をするとか!」

「むむっ、やっぱり大規模な情報操作能力の予感!」

「いや、やっぱり分かりません!」

と、しばらくの間を二人で喋っていると外で自動車が停車する音がした。
窓から外が見えるなら年季の入った軽トラックが見えるだろう。
自動車から降りる音がすると老いたにもかかわらずドスの効いた声が聞こえてきた。

「一抹がお邪魔してるのは此処でしょうか?」

その声に反応した一抹が扉を開けると同時に老いた老人のものとは思えない拳が一抹の顔面に叩き込まれ部屋の隅まで一気に吹き飛ばされた。

「私の名前はアイラト。息子が迷惑をかけたお詫びにきました。
 トランクの他にも軽トラに積んできました。よろしければ…」

どこか傲慢なところのある、明王様に似た顔つきの自尊心が強そうな強面の老人が軽トラを指差す。
顔には少なくない古傷が刻み込まれたロシア人顔。
確実に若い頃はナニカしらのそういった仕事をしていたのが予想できる。

336美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/20(月) 20:44:05
>>335

いきなり予想外の光景を見せられて呆気に取られたが、こちらも『プロ』だ。
なるべく表情には出さないようにする。
しかし、それを以てしても完全に隠し切る事は不可能だった。

「はじめまして、私は『美作くるみ』という者です」

挨拶の言葉と共に、『アイラト』に頭を下げる。

「いえいえ、ご迷惑だなんて。
 一抹君には私から『お手伝い』をお願いしたんですよ。
 ここは私の顔を立てると思って、そのくらいで許してあげて下さい」

本来なら家庭の事情に首を突っ込む事などしないが、
目の前で『家庭内暴力』が行われたとなれば、話が違ってくる。
さすがに『通報』は差し控えるものの、
今回の件に関しては、元を辿れば自分に責任があった。
したがって、美作には一抹を弁護する『義務』が生じるのだ。

「では、『トランク』は有り難くお借り致します。
 こちらの用事が済みましたらお返ししますので」

彼が乗ってきた軽トラに近付き、予定通り『トランク』を引き取る。
これだけでも十分ではあるのだが、わざわざ持ってきてくれた以上、
無碍にするのも憚られたので、念の為に他の品々も確認しておく。
もしかすると『掘り出し物』が見つかるかもしれない。

337一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/20(月) 21:39:53
>>336
「いや、こいつはまだ懲りてない。
 だから痛い目を見た方がいいんですよ」

アイラトがトランクを大事そうに美作に差し出す。
手入れはある程度されているがアンティークな雰囲気が隠しきれない。

「お義父さんはそう言うけどロシアのマフィアでしたことから
 逃げて結婚してケジメのひとつも取れないひとでなしだよ」

「スタンド使いにしか入れない事情にスタンド使いじゃない
 お義父さんが入るのは傲慢じゃないかな?」

鼻血を服で拭いながら実の父を挑発する一抹。
なんとも殺伐とした親子関係だが元マフィアに育てられた結果がこれだ。
両者とも修羅の道を生きる者ゆえに譲らない。

「どうか、他のアンティークを見てやってください。
 もう老いた身が持つだけじゃ物が可愛そうだ」

「ということで何でも持って行ってください!」

(『アンティーク』品は言い切りで発見してOKです!)

338美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/20(月) 23:16:26
>>337

丁重にトランクを受け取ってから、軽トラの荷台を覗き込む。

「…………ずいぶん沢山お持ちなんですねぇ」

          ソッ

しばらく目移りした後、その中から手に取ったのは、
古めかしい『アンティークリネン』だった。
すなわち100年以上前に製造されたリネン製品を指す。
贅沢な装飾が惜しげもなく施された芸術的な織物だ。

「ありがとうございます。こちらを使わせて頂きますね」

改めて礼を言いながら、内心で『親子喧嘩』にため息をつく。
本来は『代表』が対処すべき状況だが、生憎『門倉良次』は不在だ。
この『美作くるみ』が『代理』を務めなければならない。

「『迷惑を掛けたお詫びに来た』と仰いましたが、率直に申し上げますと、
 この場で乱暴な振る舞いをされる事は、我々にとって迷惑なのです。
 『どうしても』と言われるなら、『ここから立ち去った後』になさって下さい。
 不在中の『代表』に代わってお伝えしますが、
 この場所では『暴力行為』は一切お断りしていますので」

「ここは『アリーナ』――『門倉派』の『本拠地』です。
 あまり目に余るようですと、『No.2』として『然るべき対応』を取らざるを得ません」

努めて落ち着いた口調でアイラトに告げた後、今度は一抹に向き直って耳打ちする。

「『そういう訳』だから、一抹君も『続きは帰ってから』にしてね。
 ここで喧嘩されると、ウチの『看板』に傷が付いちゃうから」

これは『忠告』だ。
小規模ではあるが、ここは『アリーナ派閥の拠点』。
マフィアであろうと修羅であろうと、無関係な揉め事の持ち込みは容認しかねる。

「私達の目的は『エンターテインメント』の追求。
 このトランクやリネンも、その為に役立たせてもらうつもりよ」

       ス ッ

一抹に『もう一枚の名刺』を差し出す。
『アリーナ構成員』としての名刺だ。
そこには『門倉派:広報担当・美作くるみ』と綴られている。

339鷲見 健治『2NDハンド・ファイア』:2024/05/21(火) 00:18:13
>>338
「ここの人の広報担当だったんですか?」

「なら、今度のこれは広報に関わること!
 古い煙草とか珍しいアルカナカードとかありますよ」

と、言いつつ『インダルジェンス』でアイラトを『鎮静』して自分に都合良く進める一抹。
やはり子供と言えどスタンド使いであることに変わりはない。
その姿勢がアイラトを激怒させるのだろう。

「今度からまたスタンド使いに関わっちゃ「ごめん無理だよ」

「ほら、お義父さん謝ろうね?」

一抹に促されるままに謝罪させられるアイラト。
『インダルジェンス』は無力とは言ったがそうはとても思えない光景だった。

「もうちょっと探しても良いんですよ?
 ショー?みたいなことをするみたいですが…」

物に執着しない一抹にとって価値が分からないものばかりだ。
だから価値が分かる美作さんに全てを任せる。

「でも、もう陽も暮れて来たから帰りましょうか。
 事務所をいつまでも占拠するのもアレですし…」

トラックに乗った一抹は貰った名刺を手にぶんぶんと手を振る。
とんでもない親子だったが気前は異様に良かったのであった。

340美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/21(火) 20:39:38
>>339

大抵のスタンド使いなら、一般人相手に手も足も出ないという状況は少ないだろう。
たとえ戦闘向きでない能力であっても、工夫次第では戦えるはずだ。
そうではない能力を持つ美作だからこそ、門倉の掲げる理念を高い次元で共有できる。

「――――お二人共、ご理解いただけた事に感謝します」

おそらくは、ここを出た後で喧嘩が再開するのだろうが、そこまでの責任は持てない。

「そう、私達は『ショービジネス』をしているのよ。
 今回の『責任者』は私だから、内容に相応しい品物を吟味してるの。
 どれも素敵な品々だと思うけど、何でもいいって訳でもないから」

          カチャ…………

「ええと…………『ジランドール(枝付き燭台)』と『木蝋』をもらえる?」

荷台に積まれたアンティークの中から、さらに二つを手に取る。
既に『何をやるか』は決まっており、それに沿った小道具が必要だ。
ただ、『古い煙草』や『アルカナカード』は嵩張る物でもないし、
また別の機会に役立つ可能性もあるので、一緒に頂戴しておいた。

「今日は色々ありがとう。お陰様で随分と助けられたわ。
 良かったら、また会いましょうね。それから『ラジオ』もよろしく」

雑居ビルの外に立ち、一抹に向けて手を振り返す。
これで一連の準備は完了した。
あとは『当日』までの微調整を残すのみとなった。

(『門倉派』の『第一回興行』…………必ず『成功』させてみせる)

静かな決意を胸に秘め、遠ざかる軽トラを見送った。

341名無しは星を見ていたい:2024/06/15(土) 22:17:39
問題名:『傲慢の勧誘』
出題者:門倉
主な状況:

『門倉』が『何でも屋』や『門倉派』の為に、
『有用なスタンド使い』を探しているのを、
風の噂で知る事が出来た者も居るだろう。

そんな人物がたまたま、この『門倉不動産』を訪れ、
『スタンド使いとしてのアピール』のため、
『スタンド能力』や『スタンド名』などを見せつける。

そんな事もあるといいな、と『傲慢』にも『門倉』は思っている。


必要条件:『スタンド』をしっかりと使おう。
     実行途中で自らの『スタンド名』と『決め台詞』を口に出そう。

備考:『魔法の呪文はおこのみで!』関連の活動です。
  対応いただける方は、以下のURLおよび※の説明をご確認ください。

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/319

※『朝山』&『木崎』チームのうち、『朝山』が諸事情により抜けたため、
※『門倉』&『木崎』チームとなり、緊急で『魔法使い』の情報や
※小道具となりうる『魔法使い由来のアイテム』の入手先を探しています。
※上記の問題は『門倉』が『演出』しているものであり、『解決』は、
※『門倉』および『木崎』に『観察される事が前提である』事をご了承ください。

342美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2025/05/13(火) 18:03:31
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1688977700/227-229の続き

>(高宮)

店内のソファに腰掛けて、時折スマホを眺めつつ、
『高宮一三』の来訪を待っていた。
目の前のローテーブルには紙袋が置かれている。
事前に連絡した通り、『S県A市』のお土産を持参したのだ。

        ────チラ

そろそろ来る頃だろうかと思いながら、入口に視線を送る。

343高宮一三『メモリーズ』:2025/05/17(土) 16:51:52
>>342

「お、お疲れ様です……」

緊張した面持ち。
地味で目立たない格好でやってきた。

344美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2025/05/17(土) 18:05:45
>>343

美作が持っていたスマホの画面には、『高宮のSNSアカウント』が表示されていた。
今は『最近の投稿』をチェックしていたところだ。
何か新しい内容は見つけられただろうか?

        「あぁ!」

                ────パッ

『本人』の来訪に対し、すぐに明るい笑顔を作り、スマホをしまって立ち上がる。

     「お久し振りね。来てくれてありがとう」


ぎこちない雰囲気は察したが、こちらも内心は似たようなものだった。
せっかく協力してもらったというのに、結果的には上手くいかなかったのだから。
しかし、その感情を表には出さず、片手でソファを指し示す。

「立ち話もなんだし、とりあえず座ってもらえる?今、お茶を淹れるから」

           スッ

高宮に着席を促しつつ、給湯室に歩いていく。

「コーヒーや紅茶もあるけど、高宮さんは何が好き?」

いつの間にか、壁の一ヶ所に『Electric Canary Garden』のステッカーが貼られている。
前に来た時にはなかったはずだ。
さほど不自然ではないが、一度は高宮の目にも留まるだろう。

345高宮一三『リプレイサブル・パーツ』:2025/05/18(日) 13:54:21
>>344

SNSには最近の定期ライブの様子やコーヒーチェーンの新作が云々といった様子が並ぶ。
公式なアカウントなので当たり障りがないのかもしれない。

「あ、あはは……どうも、ありがとうございます」

(不動産で待ち合わせってあるんだな……)

「あ、コーヒーでお願いします……」

「……やっぱ、自分でいれますよぉ、すす、座っててください!」

一度座ったが、尊敬する人間を顎で使うのがいたたまれなくなった。
ステッカーを横目に追いかけていった。

346美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2025/05/18(日) 16:00:21
>>345

どのような内容であれ、SNSが普段通りに更新されていることを確認できて、
心なしか安心している自分がいた。

「そう?お客様に淹れてもらうなんて、なんだか気が引けるけど……」

声を掛けられて立ち止まり、少しだけ考える。

「でも、高宮さんは何処に何があるか知らないでしょうし、私も一緒に行くわ」

そう言葉を返して、高宮と共に給湯室に入っていく。

「あのステッカーはね、壁に傷が付いちゃったから貼ってあるの。
 恥ずかしいから内緒にしておいてくれる?」

          フフッ

高宮が横目で見ていたステッカーを指差し、イタズラっぽく微笑む。
他者のスタンド能力が絡むので、詳しい経緯は説明できないが、
『イカルス・ライン』の『矢文』が突き刺さった跡(>>218-219)が残り、
誤魔化すための応急処置として貼ったのだ。
それを放った『薄島漣』にも『お礼』をしようと連絡を取ったのだが、
まだ返信は届いていない。

「キャビネットにコーヒーとかスティックシュガーが置いてあるはずよ。
 お湯は沸かしてポットに入れてあるから、それを使って」

              ソッ

      「カップは……これでいいかしら?」

高宮に教えながら手近な棚に腕を伸ばし、マグカップを引っ張り出す。
ポップなフォントの『Electric Canary Garden』のロゴと、
番組のイメージキャラクター『電気カナリア』が描かれている。
『可愛いカップがいい』という『コヤシキコヤネ』の要望に応え、
宣伝も兼ねて美作が持ち込んだ『オリジナルグッズ』だった(>>176)。

347高宮一三『リプレイサブル・パーツ』:2025/05/20(火) 23:10:12
>>346

「あ、ありがとうございます……」

恐縮して縮こまる。
適当なコーヒーパウダーを取り出し、カップに入れる。
濃いめが好みだ。

348美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2025/05/21(水) 10:23:29
>>347

それとなく高宮の手元を見守りつつ、今度は品よくニコリと笑う。

「高宮さんは濃いめのコーヒーが好きなのね。新しい発見だわ」

        コト

カップや諸々を載せられるように、トレイを準備しておく。

「事前に伝えた『トラブル』の件だけど、
 私も色々と埋め合わせする方法を考えていて、
 いつか形にしたいと思ってるの。
 ただ、実は『本業』の方でもイベントの企画が進んでて、
 そっちの方も詰めなくちゃならないから、今ちょっと余裕がなくて」

「星見FM主催で『コンテスト』を開催する計画があるのよ。
 せっかくだし、高宮さんの意見も参考にさせてもらえる?」

高宮の準備が整ったタイミングで、給湯室を出て事務所に戻る。

349高宮一三『リプレイサブル・パーツ』:2025/05/22(木) 10:54:22
>>348

「い、意見ですか……?」

(参考になるのかな)

彼女の自認はその辺の一般人とそう変わらない。
むしろ、そういった芸能の世界を知っているせいか自分が力になれることなどないように思えた。

「コンテストって、どんなのですか?」

350美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2025/05/22(木) 18:54:58
>>349

改めてソファに座り直し、自分のカップを手元に置いた。

「『映える写真』をSNSで募集して、優秀作には賞品を出すの」
 
    「いわゆる『フォトコンテスト』よ」

             「でも、その前に…………」

おもむろに紙袋を持ち上げ、順番に中身を出していく。

「忘れない内に『お土産』を渡しておかないとね。
 まず、『Aれもんグミ』。
 高宮さんはグミが好きだって聞いたから」

『A市』の名物である国産レモンを使った甘酸っぱいグミだ。
お徳用サイズで、たっぷり入っている。
さらに、今度は10個入りの『温泉まんじゅう』を引っ張り出した。

「これは『紫芋まんじゅう』。
 紫芋を使った餡は、ちょっと珍しい感じだし、
 うさぎの焼印が押されていて可愛かったわ」

最後に取り出したのは、『牛乳瓶を入れる箱』を模した小箱だった。

「こっちは『Aプリン6本セット』。
 牛乳瓶の形をした容器にプリンが詰まってるのよ。
 カラメル、いちご、エスプレッソ、抹茶、だいだい、フロマージュの6種類。
 私も食べてみたんだけど、とっても美味しかった」

             ────ス

スマホをテーブルに載せて、
『一泊二日小旅行』の動画リストから『Part3』を再生する。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1688976640/85)

「ちゃんと保冷剤も入れてあるけど、
 高宮さんが持ち帰るまでは、冷蔵庫で冷やしておきましょうか」

『お土産の説明』を終えて、濃いめに淹れられたコーヒーを一口飲んだ。

351高宮一三『リプレイサブル・パーツ』:2025/05/23(金) 22:52:33
>>350

「ぜ、全部持って帰りますよ! 不動産屋さんに何回も来るの気まずいですし……」

「グミ……ありがとうございます……好きです」

でかいグミは貴重だ。

「フォトコンテストですか……?」

イベントについても聞いてみる。

352美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2025/05/24(土) 11:58:15
>>351

「あはは、分かってるわよ。
 今日、高宮さんが帰るまでは、冷蔵庫に入れておいた方がいいかなって」

    「まぁ、そこまで神経質にならなくてもよかったかもね」

         スッ

           「はい、どうぞ」

お土産を紙袋に戻し、それを高宮に手渡した。

「まだ検討中の段階なんだけど、ちょっと見てもらえる?」

スマホのメモ帳アプリを立ち上げ、画面を見せる。

──────────────────────────────────────

★フォトコンテスト概要

・見る人の目を引く『映える写真』を撮影し、
『#星見FMフォトコンテスト』の『ハッシュタグ』を付けて、
 『SNS』に投稿してください。

・『被写体』は『自由』です。
・『投稿回数』に制限はありませんが、
 『最終的な選考対象』になる写真は『最新の投稿のみ』です。
・写真を投稿する際には、
 『キャプション(写真の説明)』と『ラジオネーム』を忘れずに。
・投稿された写真には、パーソナリティーの『美作くるみ』が、
 SNS上で『コメント』します。
・『投稿を見た人からのコメント』や『グッド!(高評価)』も歓迎します。 

・『金賞』は『5万円分』、『銀賞』は『3万円分』、
 『銅賞』は『1万円分』の『ギフトカード』が授与されます。
・入賞できなかった方にも、『参加賞』として、
 『Electric Canary Gardenオリジナルグッズ』の詰め合わせをプレゼントします。
・皆さんからの『評価』と、星見FM放送スタッフによる厳正な『選考』を合わせ、
 『Electric Canary Garden』の番組内にて、最終的な『結果』を発表します。

──────────────────────────────────────

「――――今、こんな感じの企画を考えてるの」

353高宮一三『リプレイサブル・パーツ』:2025/05/25(日) 23:26:25
>>352

「へぇー……結構賞金額とかも大きいんですね……」

「映えか……」

色々目を通しながら考えているようだ。

「いいですねぇ」

354美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2025/05/26(月) 11:12:09
>>353

「この企画は旅行中に考えてたの。
 旅行の間、たくさん動画や写真を撮ってたから、
 そういうイベントができないかと思ってね。
 私が提案して進めてるんだけど、第三者の意見も聞いておきたくて」

本当は『オフ』で出掛けたのだが、
なんだかんだ仕事のことが頭から抜けず、新しいアイデアを練っていたのだ。

「高宮さんに賛同してもらえて一安心よ」

        ニコッ

「この概要は原案だけど、高宮さんから見て気になる所はない?
 詳細を詰める時の参考にしたいから、アドバイスしてくれると助かるわ」

355高宮一三『リプレイサブル・パーツ』:2025/05/27(火) 00:28:22
>>354

「気になるところ……」

少し考えて。

「これで大丈夫じゃないです?」

あくまでFMのイベントであるし、縛りの強い選考会ではなくお祭りであるべきだ。

「公序良俗とかマナー系はまぁ分かるでしょって感じですし」

356美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2025/05/27(火) 13:41:21
>>355

「ありがとう。ひとまず問題なさそうね。この方向で進めることにするわ」

        ズズ……

カップを持ち上げ、高宮が淹れてくれたコーヒーを口にする。
砂糖は入れる時もあるし、入れない時もある。
今回は後者の気分だった。

「それと、あくまでも非公式の意見として聞いて欲しいんだけど、
 私は『スタンドを使った写真』が来ることも想定してるの。
 ほら、私も高宮さんも『スタンド使い』でしょ?」

             ズギュンッ

美作の肩に、高宮も見たことのある『機械仕掛けの小鳥』が出現する。

「でも、審査は『一般人の目線』で行われるから、
 あんまり突拍子もない写真は審査対象から弾かれちゃう。
 『見映えが良くて現実に有り得そうな範囲』に収まってるのが理想よ」

357高宮一三『リプレイサブル・パーツ』:2025/05/28(水) 00:05:09
>>356

「スタンド……写真……」

自身のスタンドも撮影に利用出来そうではあるが武器の形をしているためそれも怪しいところだ。
精神に根付いたそれの形がやや物騒なのは気になるが、己の持っているものから撮影を連想できなかった。

「それこそ、スタンドを使って撮った写真なんて合成に見えるかもですね?」

358美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2025/05/28(水) 06:55:19
>>357

「スタンドが実体化していない限り、そのまま写ることはないから、
 説得力のある『工夫』が必要になるでしょうね。
 だけど、例えば人型のヴィジョンで物を持ち上げて、
 『まるで浮いてるように見せる』なんていう安直な方法は、
 間違いなく『合成』を疑われるわ。
 その辺りは参加者の手腕が問われる所よ」

自分の肩に留まる『プラン9・チャンネル7』に視線を向ける。

「少なくとも『私の』は無理そう。
 残念ながら、写真撮影に活かせる能力じゃないから。
 でも、もしかして高宮さんならできるかも」

再び高宮一三に目線を戻し、おもむろに言葉を続ける。

「いずれは正式に告知することになると思うけど、
 よかったら高宮さんも参加を検討してみてくれる?
 『トラブルの埋め合わせ』もさせてもらいたいし、
 やっぱり参加者は1人でも多い方が嬉しいの」

359高宮一三『リプレイサブル・パーツ』:2025/05/29(木) 00:59:36
>>358

「いやぁ……あはは……無理ですよ……」

「分かりました、都合が合えばぜひ」

自分の知名度にも関わるかもしれないところだ。
打算的にも気持ち的にもそうしたいと思う。

360美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2025/05/29(木) 10:33:05
>>359

高宮のスタンドは見たことがあるし、どんなことができるかも知っているが、
『活かし方』については未知数であり、それを見られるのは楽しみでもあった。

「そう言ってもらえると、とっても心強いわ」

              グイッ

何か言いそびれたことがないか考えつつ、残っているコーヒーを飲み干す。

「あとは……うん、大丈夫そうね。
 とりあえず大体の説明はできたと思う。
 もしかしたら今後も連絡することがあるかもしれないから、
 一応だけど注意しておいて」

「――私からは以上よ。改めまして、今日は来てくれてありがとう」

高宮側から何もなければ、彼女を見送るために立ち上がろう。

361高宮一三『リプレイサブル・パーツ』:2025/05/31(土) 16:01:47
>>360

「こちらこそ、ありがとうございました」

「また、よろしくお願いします」

そう言って立ち去った。

362美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2025/05/31(土) 18:44:03
>>361

「高宮さんの活動も応援してるから」

        フフッ

「お互いに『上』を目指しましょう」

入口に立ち、去っていく高宮を見送った後、再び事務所内に戻る。

           「さてと……」

                    ドサッ

スマホを持ち上げ、『薄島宛のメッセージ』を送ると、ソファに身を沈めた。
高宮と話せたことは、良い刺激になったと思う。
全身にエネルギーが満ちていく感覚だ。

「あなたの力は、こんなものじゃないはずよね」

「そうでしょう――『美作くるみ』」


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