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【個】『門倉不動産』【他】

1『門倉派』:2022/07/24(日) 21:12:16

『星見駅北口』を出てしばらく歩く。

『こんなに歩かされるなんて、これは道でも間違えたかな?』と思う頃に
ようやく現れるのが雑居ビルの一階にある『門倉不動産』―――

文字通りの『不動産屋』にして、これからは
『アリーナ』で『ショー興行』を目論む『門倉派』の根城だ。

詳細は>>2

292美作くるみ『プラン9・チャンネル7 』:2024/05/07(火) 15:42:10
>>291

まるで『生命』を宿しているかのように、
複雑な『刺繍』が形を成していく様は、一種の『パフォーマンス』に近い。
そこには見ている者を惹きつけるだけの力がある。
美作も例外ではなく、思わず息をする事さえ忘れてしまいそうだった。

「さすがに全身が映るような鏡は置いてませんねぇ。
 ここは一応『不動産屋』ですし…………」

『パートナー』の姿を上から下まで眺め、仕上がり具合を確かめる。

「少なくとも、私からは『完璧』な仕事に見えますよ」

         グ ッ

『最大級の賛辞』と共に親指を立てる。
その状況における『ベスト』を出せるのが『プロ』だ。
ただ、必ずしも『ベスト』と『完璧』は一致しない。
たとえ『プロ』であっても、『完璧』というのは気軽に使えない表現だが、
それに値する成果を見せてくれた。
やはり、これ程の人材を腐らせておくのは惜しい。

「キリシマ君もお疲れ様。
 これで一層、身が引き締まったんじゃない?
 最後まで『全力』を尽くしましょう」

『戦装束』を纏ったキリシマに目配せし、『次の行動』を匂わせる。
『現場の下見』や『音響関係』などは、『本番前』に済ませておきたい。
常に『ベスト』を出すのが『プロ』であり、
やるからには一歩でも『完璧』に近付けたかった。

「ついでと言ってはなんですけど、もう少し付き合ってくれません?
 ちょっとした『アンケート』を取らせてもらいたいんです。
 もし自分が『パフォーマー』として舞台に立ったとしたら、
 どんな『キャッチフレーズ』と『決め台詞』がいいか教えて欲しいんですよ。
 あくまで『もしも』の話なので、気軽に答えてみて下さい」

「参考までに『林檎さんの回答』を。
 『キャッチフレーズ』は『選ばれた恋』でした。
 『決め台詞』は――――」

       ソッ

  「『あたしは林檎。ねぇ、禁断の果実。味わってみたいかしら?』」

『林檎』のように人差し指を唇に添えて小首を傾げ、
『林檎の声色』を真似て発した言葉が空中に溶けていく。

「――――林檎さん程は可愛らしく出来ませんけれど。
 それはそれとして、今後の『興行』の為にも、
 是非『空織さんの言葉』を頂きたいですね」

これは『魔法使い試験』にも使われる可能性があるが、
その点については伏せておかなければならなかった。

293キリシマ・アキト『候補生 』:2024/05/07(火) 15:48:05
>>291-292

「フ…………フフフ…………フフフフフ…………!!」

     バッ!

              バッ!

                        バッ!

次々に『独自のポーズ』を繰り出し、自らの身体で『着心地』をチェックしていく。
その動きにはキレがあり、与えられた『枷』を物ともしていない。
無論、キリシマ自身の身体能力だけではなく、
空織の『工夫』によるところが大きいだろう。

「これで心置きなく『戦える』……!
 文句のつけようもなく素晴らしい出来栄えだ……!」

『魔法の力』が込められた装束。
キリシマにとって、それは単なる衣装以上の意味を持つ。
美作は『人間性の肯定』が『サタニズム』の本質だと言った。
この『精神の高揚』が『悪魔』を呼び出す『礎』となる。
心の奥底で、そんな感覚を抱いていた。

  「『仕立て師』殿には心より感謝したい」

       ス ゥ ッ
 
         「――――『どうもありがとうございます』」

姿勢を正し、深々と『お辞儀』をして謝意を示す。

「フ……『当然』だ……。
 オレが目指す道は『この先』にある。
 『契約』を果たし、『使命』に邁進しなければな……」

          バッ!

美作に言葉を返しながら、さらに『ポーズ』を決めた。
そして、そのままの体勢で二人のやり取りを見つめる。
美作の意図は理解しているので、余計な口は挟まない。

294空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2024/05/07(火) 21:22:39
>>293 (キリシマ)

「今回の仕様はなにぶん初めて尽くしだったもんで、
 いくらか心配な気持ちもあったが……」

「…………『杞憂』だったな」


 くたびれた三十絡の目には、
 キリシマ少年の『活力』と『実直さ』が時々
 あまりに眩しく感じるな。


「『どういたしまして』。この先、衣装のことで
 話したいことがあれば何でも相談してくれ」


 ジャケットの内ポケットから
 連絡先の書かれた名刺を取り出し、少年に手渡す。


 これで今日の仕事は『一段落』だ。

295空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2024/05/07(火) 21:41:06
>>292 (美作)


「……………………」  「なるほど」


 「美作さん、君も中々すごい『胆力』だな」


 14、15の女の子の決め台詞を真似する成人女性、
 普通に考えると『危険信号』なのだが……

 不思議と妙に『様になっている』。
 そこで、美作氏も立派な『元アイドル』だったことを思い出す。


 そんな美作氏の真っ直ぐな称賛を
 心地よく受けとりつつも、
 質問に対しては明確に苦笑して首を振る。


「わたしはもともと表舞台に立つような性質じゃない。
 そういう人たちを支える『裏方』の人間だ。
 考えてみたが、そんなフレーズは何一つ思い浮かびそうにないな。
 だが『もしも』を答えるなら――」


  「『もう言った』。それでいいだろう」


 苦笑いしながら、猫を手で追い払うような仕草。
 もともと『皮肉屋』の性分だ。これ以上は勘弁願いたい。


 ……わたしの性格を知る美作氏にしては、
 ずいぶんとまた『妙な質問』だな?

 そんな『怪訝さ』を一瞬顔に浮かべつつも、
 黙々と帰り支度を始める。


「ちなみに……
 君は我々にとって一番重要なことを
 まだわたしに伝えていないが――
 後で連絡してくれるのか?」

296キリシマ・アキト『候補生 』:2024/05/08(水) 13:51:14
>>294

「フ……『仕立て師の護符』……確かに受け取った……。
 まだオレは持つべき身分ではないが、『契約』を果たした暁には、
 用意してもいいかもしれないな……」

両手で『名刺』を受け取り、丁寧に財布の中にしまう。

「『仕立し師』殿に『儀式』を見せられないのが残念でならない。
 だが……!必ずや『成就』させよう……!」

本来であれば特等席を用意すべき相手だが、この件に限ってはそうはいかない。
その代わり、『試験の成功』が『恩返し』になるだろう。
今や『最終調整』も間近に迫っている。

「――――この誇り高き『紋章』に誓って…………!!」

297美作くるみ『プラン9・チャンネル7 』:2024/05/08(水) 13:55:52
>>294-296

「ちゃんと分かってくれてると思いますけど、
 『こういう事』を誰の前でもやってると思わないで下さいね?」

空織の反応から、まだ錆びついていなかったらしい事を悟り、ほんの少し安心した。

「あ!それも『アリ』ですね!
 敢えて自己紹介しない事で『シニカル』なキャラクターを強調する…………。
 そういう人が合間に入ると、結構いいアクセントになるんじゃないでしょうか?
 意外性のある演出で、なかなかイケますよ。
 いやぁ、ステージに立ってもらわないのが勿体ないくらいですねぇ」

突き出された『皮肉』を笑って受け流し、さらなる『アイディア』を仄めかす。
空織が『皮肉屋』であるように、美作は『タフ』なのだ。
あらゆるものは『チャンス』に繋がり、そうやってここまで来たのだから。

「もちろん『結果』が出たら、ご連絡します。
 こうして確認してくれた以上、『これっきりサヨナラ』なんてナシですよ?」

『名刺』を手に取るキリシマを見て、ふと思い至る。

「あぁ、そうそう…………私、空織さんに『名刺』渡してましたっけ?」

名刺入れから『二枚の名刺』を取り出し、それらを差し出す。
一枚は『星見FM放送』の『ラジオパーソナリティー』としての物で、
番組の『イメージキャラクター』である『電気カナリア』が描かれている。
もう片方は『アリーナ』名義であり、
『門倉派:広報担当・美作くるみ』と綴られていた。

「今後『門倉代表』に用がある時には、
 『そちら』を出してもらえれば話が早いと思いますよ」

298空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2024/05/09(木) 11:04:47
>>296 (キリシマ)

「その刺繍……紋章を編んだ特殊な『糸』は、
 まだこの世に呼び名のないまったく新しい糸だ。
 まだ存在しない君の『たてがみ』と同じくな」


  「だから君が力に目覚めた暁には、
   君のスタンドからその糸の名を貰うことにしよう」


 『エラッタ・スティグマ』がキリシマ少年に目礼すると、
 そのまま仕付け糸を解くように虚空へと消えていく。


「君の一世一代の大舞台、わたしも楽しみにしている。
 当日は現地で応援するよ。
 もちろん衣装の最後の『手直し』も兼ねて舞台を―――」



    「――――えっ……
     み、『見せられない』……?」   ガーン




>>297 (美作)


「『局の名刺』は前回貰ったが、
 『こっちの名刺』は初めてだな……」


  「ってちょっと待て待て待て待て、違う違う。
   わたしが言ってるのはそういうことじゃない」


 名刺入れを懐にしまいつつ、
 ほとんど口角泡を飛ばす勢いで美作氏に詰め寄る。


「君はそもそも一番重要な『日程』をわたしに伝えていないだろ。
 当日はわたしも予定を空けねばならんから、
 早めに連絡をしてもらわんと―――」



    「――――えっ……
     け、『結果だけ』……?」     ガガーン

299空織 清次『エラッタ・スティグマ』:2024/05/09(木) 11:16:31
>>296-297 (美作・キリシマ)

「わたしは現地に『観戦』しに行ってはいかんのか?
 わたしが仕立てた衣装を背負って舞台に立つ、
 キリシマ君の人生を懸けた大一番を?」

「招待席とかないの?」



          ガガガーン



 今回の件を『公開リハーサル』(>>254)としか
 聞いていない空織は、二人の急な突き放しに
 露骨にしょぼくれた顔をする。


  それからも空織はゴニョゴニョと、

 『いや観戦やら招待やらの前にそもそもわたしは
  衣装スタッフとして絶対に同行すべきで……』だとか、

 『当日の現場や本人の様子を見て
  ぜったい手直しを加えた方が……』とか、

  必死に持論をまくし立てるのだが、
  やがてどっかでグヌヌ……と引き下がることになった。
  (あまり少年に見せたくない『三十路の拗ね』だ)


「クッ…………わかった、もういい……
 だが一つだけ言っておくぞ」


「わたしはな、『自分がいちど仕立てた衣装は生涯面倒を見る』。
 布の前に立つときはいつもその覚悟を持って挑んでるんだ」

「それを『これっきりサヨナラなんてナシですよ』――だと?
 それはこっちのセリフだ! まったく……」


「いいか、キリシマ君。
 君の横にいる『プロデューサー様』はな、
 澄ました顔しているがとんだ『人誑し』だからな。
 ちょっと甘い言葉かけられたからって誘いに飛びつくなよ」


 わたしみたいになるからな―――などと
 露悪的な顔で少年に大人げない忠告をすると、
 そのまま大股で入口までずんずん一人で歩いていく。
 そこでクルッと振り返り、二人に向かって別れの言葉を叫ぶ。


「―――じゃあな、諸君!
 キリシマ君、君の成功を心から祈る!」

「だがたとえどんな結果になろうとも、君ならいつか
 自分だけの『たてがみ』を絶対に手に入れられるだろう!
 それからひどい薄情者の美作さん!」


「君が今回の件をわたしに依頼してくれたことに心から感謝する!
 おかげで忘れかけていた『夢』を一つ思い出せた!
 君の厚意に救われた一人のテーラーがいたってことを、
 どうか覚えておいてくれたまえ!」


    「――『黒猫堂』の話もな! 忘れるなよ!」


 最後に悪童のような笑顔を二人に見せると、
 果し状を叩きつけるみたいにドアを閉める。
 

 そうして空織は『門倉不動産』の看板を背に、
 春の陽光に向かって歩き始める。

 その足取りは真っすぐで軽やかで、もはやふらついてはいなかった。

300美作くるみ『プラン9・チャンネル7 』:2024/05/09(木) 15:46:52
>>298-299

困ったように肩を竦めた済まし顔で、正当な権利を主張する空織の弁論を眺める。
常識的に考えれば、『テーラー』には同席する権利がある。
そう考えるのは至って自然な事で、本来なら一緒に来てもらいたいところだ。

「あらら、人聞きが悪いですねぇ。
 『事前に少数の人達の前で』と伝えた時、空織さんは確認しませんでしたよ。
 『そこに私は入っているんだろうな?』って」

だが、今回だけは『NG』だった。
一人の『プロ』として『仕事』に『私情』は持ち込めない。
無事に『試験』が終わったら、『結果』と同時に事情を説明するつもりでいる。

(空織さん、ゴメンなさい。この埋め合わせは今度させてもらいますから)

心の中で謝罪しつつ、立ち去る空織に向けて、にこやかに片手を振る。

            ――――――フフッ

「こんなに大人げない空織さんの事を、私が忘れるはずないじゃないですか。
 あなたは『素晴らしいテーラー』で、それと同じくらい『素敵な友人』ですよ。
 いつか一緒に『黒猫堂』で一杯やりましょう」

確かな足取りに安堵しながら、遠ざかる空織を見送った。
その姿が見えなくなると、美作は表情を引き締める。
『材料』は全て揃った。
空織を含め、多くの知人に力を貸してもらったお陰だ。
彼らの助力を活かす為にも、
『最終試験』では『最高の成果』を披露しなければならない――――。

301キリシマ・アキト『候補生 』:2024/05/09(木) 15:53:08
>>298-300

こうして『条件』が整った今、残るは『魔法陣を描く道具』と『場所』くらいだ。
『その他の小道具』は必要だろうか。
美作には何か考えがあるようだが、十分に納得させられるものであれば、
その提案に従う事には異論はない。

「フ……『美作くるみ』は、オレの『メフィストフェレス』……。
 既に『悪魔の誘い』に乗ってしまった身では、
 この運命から降りる事は叶わないさ……」

        ス ゥ ッ

「そして、『悪魔』に『魂』を売り渡したからこそ、
 誇り高き『鬣』を手に入れてみせよう」

音もなく姿勢を正し、己の『決意』を真っ直ぐに告げる。

「また会おう!『悪魔の織手を従えし仕立て師』よ!」

別れの挨拶と共に、空織の背中に深々と頭を下げた。
『魔法の力が宿った衣装』を身に纏っている。
その事実はキリシマの心に火を灯す。

「……『本当の戦い』は『これから』だ」

静かな闘志を滾らせながら、自らに言い聞かせるように呟きを漏らした。

302美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/09(木) 20:31:53
>>301

「――――ええ、その通りよ」

『空織清次』と別れた後、キリシマが発した呟きに答えるように美作は言った。

「あくまでも『本番』は『これから』。
 それと、ちょっと『予定変更』するわ」

ソファーに座り直し、フライトジャケットからスマホを取り出す。

「最初はね、『ラジオアプリ』を使おうと思ってたの。
 キリシマ君が『リクエスト』した曲を私が流して、
 それに合わせて踊ってもらうつもりだった」

そこまで言うと、小さく首を横に振る。

「でも、そんな程度の『演出』じゃあ満足できなくなっちゃったから。
 それに、『もっといいアイディア』があるのよ」

『魔法陣』を描くのが『候補生』であれば、『補助』は可能というルールだった。
美作自身も『傍観者』に徹する気は毛頭ない。
これは『美作の戦い』でもあるのだから。

「キリシマ君から何か聞きたい事は?」

303キリシマ・アキト『候補生』:2024/05/09(木) 20:37:51
>>302

「フ……だから『曲を決めておけ』と助言していた訳か……。
 『悪魔を憐れむ歌』をリクエストするつもりだったが、
 そういう事なら別の機会に回すとしよう……」

美作の向かいに腰を下ろしながら、合点がいったように頷く。
『ラジオパーソナリティー』としての立場を活かした演出は悪くない。
だが、『魔法使い試験』のサポートとしては、
少々インパクトが不足している点は否めなかった。

「オレが気に掛かっているのは『魔法陣を描く道具』だ……。
 『魔法使い』にとっては『衣装』と同等か、
 それ以上に重要な要素になるだろうな……。
 まさか忘れている事など有り得ないとは思うが……」

正面から美作を見据え、口元に不敵な笑みを浮かべる。

「『そちら』の方も、何か『企み』があるんじゃあないか……?」

304美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/09(木) 20:40:32
>>303

「『ダンス』の練習に集中してもらう為に、今まで黙っていたの。
 だけど、そろそろ伝えておきましょうか」

キリシマを見つめ返す美作の顔は、奇妙な『自信』に満ちていた。

「『魔法陣を描く道具』は『もう手に入れてある』。
 正真正銘『魔法の力』が込められた道具よ。
 こんな形で役に立つとは思わなかったけど、
 私の『とっておき』を貸してあげるわ」

そこで、ふと不安げな色が表情に混じる。

「ただし、すごく『危険』なの。
 くれぐれも取り扱いには注意してね」

『魔法によって作られた物』を用意すれば、
『パフォーマンス』の評価は上がる可能性が高い。
それを踏まえた上で、美作には『切り札』があった。
大きな『インパクト』と『魔力』を兼ね備えた『小道具』が。

「『今』は渡せない。
 それと、この事は誰にも言っちゃダメ。
 特に『私から借りた』なんて事は、絶対に口に出さないで」

「――――『約束』してくれる?」

305キリシマ・アキト『候補生』:2024/05/09(木) 20:44:01
>>304

「フ……言わずとも分かっているだろう……。
 その質問の答えは『無論そうする』だ……!」

少しの迷いも躊躇もなく、首を縦に振って『肯定』を示す。

「元より断る理由など何もない……。
 『メフィスト』の『魔道具』が手に入るのであれば、
 我が魂に懸けて『血の署名』を行う覚悟は出来ているさ……」

美作の面持ちからは相当な自信が感じ取れた。
それだけでも、かなりの『大物』であろう事は察しがつく。
この好機を逃す手はない。

「しかし……!しかしだ……!
 丁重に取り扱う為には、深く知らねばならない……。
 それが『危険な代物』であるなら尚更だ……」

    「…………もう少し『詳しい話』を聞かせて欲しい」

306美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/09(木) 20:48:31
>>305

「率直に言うと――――――『剣』よ。
 『刃渡り1m』の『サーベル』。
 『レプリカ』じゃあなく『本物』の」

キリシマの問い掛けに対し、真剣な顔色で端的な説明を口にする。
美作は『スタンド能力で生み出された世界』から、
一振りの『サーベル』を持ち帰っていた。
いわば『異世界の魔剣』だ。
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1653187672/444

この国の『銃刀法』に抵触してしまうので、
仕方なく自宅に保管していたのだが、
まさか日の目を見る時が訪れるとは考えもしなかった。
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1664796340/196

「『危険』の意味は分かってくれたでしょう?
 これを出すのは、私も『勇気』が要るんだから」

情報化社会においては、ささいな事柄が大きなスキャンダルに発展しかねない。
誰かに見られて、あらぬ噂を立てられる可能性を考えると、
迂闊に処分する事も出来なかった。
それを表舞台に出すのは、決して小さくない決断を必要としたのだ。

「『当日』には持ってくるから、そのつもりでいて」

307キリシマ・アキト『候補生』:2024/05/09(木) 20:51:04
>>306

「フ…………フフフ…………フフフフフ…………!!」

美作の言葉を聞いた瞬間、無意識に『歓喜の笑い』が溢れる。
にわかには信じ難いが、どうやら『真実』らしい。
しかし、まさか『剣』とは。
全くの予想外だが、これでテンションの上がらない男子高校生はいないだろう。
もちろん、キリシマ・アキトも例外ではなかった。
『魔法使い』と言えば『杖』のイメージが強いが、
『剣を使う魔法使い』には違った魅力を感じる。
しかも『本物の魔剣』。

  ――――――『超カッコいい』じゃあないか!!

「『魔力を秘めた装束』に『魔力を秘めた剣』…………」

          バ ッ ! !

「今…………オレの中に宿る『戦意』は『最高潮』に達している…………!!」

両手の拳を握り締め、勢い良く立ち上がって天を仰ぐ。
しばらくして落ち着きを取り戻し、美作に向き直った。
もう一つ済ませておくべき事がある。

「……そうなると、次は『場所探し』。
 我が『心の火』が衰えない内に向かうとしよう……」

308美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/09(木) 20:54:16
>>307

「『鉄は熱い内に打て』――その意見には『賛成』よ。
 どんな場所がいいかは決めてあるから、良さそうな所を探しに行きましょうか」

キリシマに続いて席を立ち、マグカップを片付けた後で、
ポケットから『バイクのキー』を引っ張り出す。

         カチャリ

『門倉不動産』を出て扉を施錠し、その足で駐車場に向かう。

「フフッ、何だか私も熱くなってきたわ」

    ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ

      「ちょっと飛ばすから、しっかり掴まっていて」

                  ギュオオオオオオオオオオッ

二人を載せた『ホーネット』は、力強くエンジン音を響かせて疾駆し、
瞬く間に街の彼方へ消えていった――――。

309美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/16(木) 16:48:02
>(一抹)

駅前の駐車場に、一台の『中型バイク』が停まっている。
その傍らで、時折スマホを眺めながら、一抹貞世を待っていた。
『オールブラック』の『モードストリート』を身に纏う姿は引き締まった印象だ。

310美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/16(木) 17:53:06
>>309

【対応してくださる方々へ】

ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/319

311一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/17(金) 01:13:58
>>309
駅前の中型バイクの傍らにいる美作くるみらしき人物に近づく。
引っ込み思案なので勇気を出すのに時間がかかったが…

「み、美作くるみ…さん…ですか…」

涼しく刺すような玲瓏とした風貌のあどけない少年声が震わせて話しかける。

312美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/17(金) 02:57:31
>>311

呼び掛ける声に反応し、見下ろしていたスマホから顔を上げる。

「もしかして一抹君?こうして顔を合わせるのは初めてね。
 急に呼び出したのに、わざわざ来てくれてありがとう」

      ニコッ

「そう――――私が『美作くるみ』。どうぞよろしく」

特技の一つである一分の隙もない笑顔で、待ち人を出迎えた。

「今日は連絡した通り、『アクセサリー』を作りたいと思ってるの。
 それで一抹君にお願いしたい事は…………」

           スッ

途中で言葉を切り、『ヘルメット』を差し出す。

「その前に、とりあえず移動しましょう。
 落ち着いて話せる場所があるから、後ろに乗ってくれる?」

               チャリッ

シートに腰を下ろし、手の中で『キー』を弄ぶ。

313一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/17(金) 06:06:51
>>312
「あわ…あわわ…一抹貞世ですぅぅ…!!」

ヘルメットを受け取りながら思案する。
確かに『インダルジェンス』なら大抵のアクセスは作れる。
しかして美作さんの要望を叶えられるかは…

「ふぁっ!? 一緒に移動!? お洒落で怖い!!」

意味の分からないことを言いながら中学1年に成り立ての身体で何とか美作さんの背後に乗る。
二人乗りなんて初めてなので落ちないか般若心経を唱えながら恐怖心に耐える。

314美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/17(金) 12:46:33
>>313

一抹のスタンドについては以前に聞いた事があった。
『悪感情』を『鎮静』する『インダルジェンス』。
今回は頼る機会はなさそうだが、貴重な能力である事は確かだろう。

「あはは……ゆっくり走るから大丈夫よ。私に掴まっていていいからね」

        ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ

声を掛けながらキーを回すと、点火したエンジンがアイドリングを始める。

「――そういえば『七篠さん』ってどういう人?先輩だって聞いたけど」

            グォンッ

周囲を確認してハンドルを握り、二人を乗せた車体が滑るように動き出す。
おそらく、そう時間が経たない内に『門倉不動産』が見えてくるはずだ。
『門倉派』の拠点だが、まだ言うべきタイミングではないと考え、
自分が『アリーナ』の一員である事は伏せてある。

315一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/17(金) 16:54:45
>>314
「大丈夫…大丈夫…バイクに轢かれた事があるから怖くない…!」

「七篠先輩ですか? 程々に勇気があって礼儀正しい方です。
 かなりスタンド能力が物騒なんですが戦闘は好みませんね」

「優しい娘で野生動物のスタンド使いを二人で助けてあげたんです」

「悲しい事に私がきっかけで2度ぐらい事件に巻き込まれまして。
 私が夏の魔物に取り憑かれても決して諦めない芯の強い娘です」

七篠先輩の事が誇らしいのか嬉しそうに喋る一抹。
だが、彼女のスタンド能力については恐れているようだ。

316美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/17(金) 18:50:33
>>315

「…………かなり『ハード』な体験してるのねぇ」

『試合』を『観戦』した事はあるが、実際の『戦闘』は更に激しいのだろう。
そういう領域には踏み込めないし、踏み込みたいとも思わない。
『門倉派』は――今の『美作くるみ』は、
『場を与えられる側』ではなく『機会を提供する側』だ。

      ギュオオオオオオオオオオッ

「最近、私も『事件』に巻き込まれた事があったわ。
 『ローグライクゲーム』の世界に放り込まれたっていうか……
 そこまで『危険』じゃあなかったのは幸いだけど」

          キ キ ィ ッ

やがて辿り着いたのは『雑居ビル』の前だった。
最寄りの駐車場にバイクを停め、エンジンを切ってシートから降りる。
ポケットから『門倉不動産の鍵』を取り出し、入口に向かって歩き出す。

「『ここ』よ――――『門倉不動産』。
 知り合いがやってるお店でね。
 たまに手伝う代わりに、お休みの時には使わせてもらってるの」

        カチャリ

解錠した扉を開け、一抹に笑い掛ける。

「飲み物を出そうと思うんだけど、一抹君は何が好き?
 ええと……コーヒーと紅茶と緑茶があるみたいよ」

317一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/17(金) 19:31:30
>>316
「ハード…いや、まぁ、毎年のように酷い目に遭ったり知らない派閥
 にいつの間にか入れられたり…」

「『ローグライク』…? それって普通に危険じゃ…」

雑居ビルに着いてからは落ちないようにバイクから降りる。
なるほど美作さんはここを借りて発信の場にしているのか!

「バイクに乗った事がなかったので楽しかったです!」

「やはり抹茶はマイナーですよね」ボソッ

「砂糖入りの紅茶をください! 苦いのは苦手で…」

318美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/17(金) 20:18:52
>>317

室内にはローテーブルとソファーがあり、そこが応接スペースになっている。
また、仕事用のデスクや書類棚も見えた。
奥の方には給湯室があるようだ。

「あははは…………今度は『抹茶』も用意しておくから、
 今日のところは『砂糖入りの紅茶』をお出しするわ」

         コト

給湯室で温かい紅茶を用意し、スティックシュガーと共にテーブルの上に置く。

「さて、それじゃあ『アクセサリー』について話しましょうか」

              ス

取り出してみせたのは『鈴蘭の押し花』だった。

「この『押し花』は『お友達』にもらった物でね。それから『これ』――――」

もう片方の手には、3cm角の『透明な立方体』が乗っている。

「この『アクリルキューブ』と『押し花』を使って、
 『ペンダントトップ』を作りたいと思ってるの。
 私の方で『作り方の手順』を考えて、
 あらかじめ『必要になりそうな物』は準備しておいたから」

『アクリルキューブ』と『押し花』をテーブルに並べ、
さらに『別の二つ』を見せる。
『アクリル用カッター』と『アクリル用接着剤』だ。
どうやら、これで全部らしい。

319一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/17(金) 21:31:25
>>318
「いえいえ、そこまでしなくても…抹茶はマイナーですから…」

謎の失意を抱えながら紅茶を待つ。
門倉……何処かで聞いたような気がするが…?
今はそれよりも美作さんの依頼を聞こう。

「私の『インダルジェンス』はトップクラスの精密動作性と
 それなりのパワーを持っています。だから…」

ttp://marbleart.sakura.ne.jp/

ttps://takumi.leadkonan.jp/work/page43.html

「とかどうですか?」

320美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/17(金) 22:11:42
>>319

「私が考えていたのは、この『アクリルキューブ』の中に、
 『鈴蘭の押し花』を閉じ込めたアクセサリーなの」

アクリルキューブを手に取ると、自分の『プラン』を語り始める。

「まず、アクリルキューブを二つに割って、
 その間に押し花を挟んで接着するでしょう?
 そして、『鈴蘭の入ったアクリルキューブ』を、
 『鈴蘭の形の彫刻』に仕立てる。
 まるで『鈴蘭の中に鈴蘭がある』みたいに。
 もちろん、それが『可能』なら…………」

今度は一抹の提示したアイディアに見入り、注意深く検討していく。

「『マーブルアート』――――コレ、すっごくキレイねぇ。
 ただ、ちょっとキレイすぎて、押し花が負けちゃってる感じはするわね。
 とっても素敵なアイディアなんだけど、あくまでも『主役』は『鈴蘭』だから、
 なるべく『素材の良さ』を活かしたいのよ。
 私が『アクリル』を選んだのも、それが理由だから」

アクリルはガラスよりも透明度が高く、軽くて丈夫な素材だ。
鈴蘭の存在感を妨げないし、身に着けて動く事を含めても都合が良かった。
そこまで考えた時、不意に重要な事を思い出す。

「一抹君の『インダルジェンス』――どんなスタンドなのか見せてもらえない?
 それを知らないと、お互いの認識に『ズレ』が出ると思うし……」

321一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/17(金) 23:15:12
>>320
「なるほど、主役は『鈴蘭でしたか。であれば、美作さんの
 アイディアの方が優れています。」

アクセサリーが主役より目立ってはいけない。
誰が使うのか分からないが基礎の基礎を忘れていた。

「えっ、私のスタンドですか? この間も聞かれたような…」

「えっとですね。私のスタンドは戦闘に向いてないし、能力も派手
 でも何でもないです」

『ディヴァイン・インダルジェンス』を発現する。
身体のいたるところに十字架の意匠がある近距離パワー型なのが見て分かる。

「パワーは猛獣並、スピードは人並み、精密動作性は精密機器並み
 ハッキリ言って能力が戦闘向きでないので使えるモノは使って
 勝つしかない珍妙なスタンドです」

「そして、私のスタンド能力は『悪感情』の『鎮静』。
 さらに頭に触れれば『安息』を与えて安らかな世界へ…」

「それと私の切り札がこれ! 『慈悲の刃』です!」

手の甲から『20cm』まで刃がいきなり飛び出た。
普段から出しておけば良いのに出さないのには理由がありそうだ。

「実はこの刃の耐久性は猛獣に殴られたら折れる程度でして…
 それに加えて『無痛』の斬撃なものですから…」

「しかし、これでも20人ぐらいは斬っているのですよ
 どうですか? 弱そう? 強そう? それとも?」

322美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/18(土) 00:01:09
>>321

「この前は『聞いた』だけで、『見た』訳じゃないでしょう?
 『百聞は一見にしかず』よ」

大きく目を見開いて、『インダルジェンス』――
正確には『ディヴァイン・インダルジェンス』を観察する。

「私は『戦闘』に関しては『素人』だから、
 そっちに関するコメントは差し控えさせてもらうわ。
 ただ、そんな私から見ても、十分『強そう』に見えるわね」

常人を遥かに上回る『腕力』と、それ以上の『精密性』。
さらに『武器』まで持っているとなれば、弱そうに見える訳がなかった。
美作自身が『非戦闘員』だからこそ、尚更そう感じる。
だが、彼のように『戦闘力が欲しい』とは全く思わない。
何故なら、『プラン9・チャンネル7』には、
圧倒的な『情報拡散力』があり、それは『美作だけが持つ力』だからだ。

「しかも、随分と『経験豊富』なのねぇ。
 そんなに戦ってるとは思わなかったからビックリしちゃった。
 『スタンド使いは争いに巻き込まれる』って言ってたのも納得できたわ」

       フフッ

言葉とは裏腹に、表情には余裕が窺える。
『戦闘経験』こそないが、美作も自分なりに活動を続けてきた。
たとえ危機に直面したとしても、多少の事なら切り抜けてみせるという自負だ。

「見せてくれてありがとう。
 その『慈悲の刃』があるなら、『カッター』は必要なさそうね。
 じゃあ、早速だけど――――」

           トッ

そう言いながら、『アクリルキューブ』を一抹の方に押し出す。

「とりあえず『真っ二つ』にしてもらえるかしら?」

323一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/18(土) 00:15:41
>>322
「何十人斬ったのも戦いに勝ったりしたのも夏の魔物から助けられた
 のは沢山いる先輩や街のみんなのお陰です」

「戦闘に素人…? 情報系のスタンド使いの形ですか!
 なら、お願いがあるんです!」

「血の繋がりも何もかも違うけど絆だけは本物の義兄。
 小林 丈。水球を操る事が出来るスタンド使いを探してくれませんか!」

ひとしきり喋り終えた後に『慈悲の刃』で『アクリルキューブ』を真っ二つにする。
本体である一抹が興奮しているにもかかわらずズレ一つなく『アクリルキューブ』を『インダルジェンス』は真っ二つにした。
一抹本人の言う通り精密機器に匹敵する精密動作性だ。

324美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/18(土) 00:55:12
>>323

「一抹君の事を教えてもらって悪いんだけど、私の能力は『秘密』よ」

        ピッ

片目を閉じながら、口元で人差し指を立てる。

「でも――『小林君』なら知ってるわ。『ブリキの金魚』を使う人でしょう?」

かつて美作は、『小林丈』に出会った事があったのだ。
もう随分と昔の話だが、その時に交わしたやり取りは覚えている。
小林は『シャボン玉』を舞わせ、美作は『歌声』を披露した。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453049221/392-399)

「私にとっても知人だし……協力するのは構わないわよ。
 今は忙しいけど、落ち着いたら力を貸すから」

『プラン9・チャンネル7』の能力を使えば、
町中のスピーカーを利用して、情報提供を呼び掛ける事も出来る。
そこで本人が見つかればいいし、そうでなくとも手掛かりが得られるかもしれない。
ただ、美作は『門倉派』の正式な構成員で、そちらの活動も抱えていた。
やるからには中途半端は出来ない。
そこが辛いところだ。

     「――――――っと」

見事に『真っ二つ』になったアクリルキューブを見て、思わず感嘆の吐息が漏れる。

「実際に見てみると迫力あるわねぇ。こんなに綺麗に割れるなんて」

気を取り直し、工程の続きを告げる為に口を開く。

「次は、この二つの間に『接着剤』を塗って、『押し花』を挟んで固定するの。
 ええと、やってみてもらえる?」

325一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/18(土) 01:36:14
>>324
「いいんですよ、私の能力はバレても損もしない得もしない」

「けれど、美作さんのスタンドは自分とは違う。価値が違う」

秘密にするということやはり真正面から戦えないタイプ。
戦闘力に自信があるスタンド使いは自分から種を明かす傾向がある。
バレてもあまり被害の少ない『インダルジェンス』とは違うのだ。

「彼は2度も私の命を救った恩人にして義兄。
 噂によると夏の魔物を始末した後に知らない男と立ち去ったとか…」

「もし、それが本当ならば…私は…」

本物の殺意というものが少年の瞳に現れる。
何を犠牲にしようとも怨敵を殺す。
中学1年生のする目とは思えないものだった。

「あ、あっ、作業の続きをしなきゃ!」 

『インダルジェンス』が溢れない最低限の接着剤を塗って押し花をズレないように最低限の力で挟んで固定する。
高度な精密動作性によるものだからかケチをつけるところが無いほどの完成度だ。

326美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/18(土) 02:17:00
>>325

『プラン9・チャンネル7』の能力を秘密にしたい理由は、
単純な戦闘力とは別次元で強力すぎるから。
もし美作が『やろう』と思えば、知っているスタンド使い達の情報を、
星見町全域に公表する事も出来てしまう。
確かに『プラン9』は戦えない。
直接的に危害を加えるよりも、もっと恐ろしい事が可能なのだ。
『そうしない』のは、本体が『モラリスト』である点に尽きるだろう。

「うん、さすがの完成度ね。
 ほんの少しのズレもないし、本当にピッタリよ。
 思わず拍手したくなっちゃうくらいだわ」

一抹の瞳に浮かんだ『感情』を見て取ったが、敢えて追求はしなかった。
何も言わない方が良い時もあるのだ。
『喋りのプロ』だからこそ、『喋るべきではないタイミング』も心得ている。

「――――さて!ここからが『一番大事な部分』よ。
 『鈴蘭が入ったアクリルキューブ』を『鈴蘭の形』にして欲しいの。
 さっきも言った通り『鈴蘭の中に鈴蘭がある』みたいにね」

『最後の仕上げ』となる『彫刻』を『ディヴァイン・インダルジェンス』に委ねる。
このパワーと精密性に『慈悲の刃』が加われば、おそらく問題ないはずだ。
やや身を乗り出した姿勢で、一抹の作業を見守る。

327一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/18(土) 04:44:24
>>326
「もしも、美作さんに宿敵のようなスタンド使いが現れたらどうします?」

「私の場合は『悪霊』を操り堅牢を極めた鎧に何十ものスタンド。
 つまり、普通のスタンド使いでは絶対に敵わない最強の存在」

「しかし、その男と真反対の性質を持つ『慈悲の刃』を先輩に
 貸し出した途端、無敵の鎧は剥がれ何十ものスタンドは剥がれた」

「もしかすると美作さんにもそういった宿敵と相対することが
 あるかもしれませんね」

「だから危ない時は読んでくださいね。
 知り合いがうっかり死んでるなんて洒落になりませんから…」

「…………………………」

それっきり一抹は黙り『鈴蘭が入ったアクリルキューブ』を『鈴蘭の形』にする作業に入った。
『アクリルキューブ』は『インダルジェンス』の神業に等しい彫刻作業で少しづつ削り『鈴蘭の形』になった
『インダルジェンス』のパワーと神業を可能とする精密動作性で僅かな部分を削り『鈴蘭の中に鈴蘭がある』ように見えるモノが出来上がった。

「ふぅ〜お仕事完了です…! たぶん!」

「まだ加工して欲しいモノが有れば言ってください。
 我が家は古い物を義父がコレクションしていて木蝋とかありました」

328美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/18(土) 18:23:44
>>327

一抹の言葉を受けて、しばし黙考する。
少なくとも『スタンド関連』において、
『宿敵』と呼べる程の相手に出会った事はない。
強いて言えば、それに該当しそうなのは『コヤコヤ』か。
実際、今まさに競い合っている最中なのだから。
『プラン9・チャンネル7』と同じ『機械仕掛けの鳥』を持つ者であり、
『ラジオ』と『配信』の違いこそあれ、
情報発信を行う『インフルエンサー』という共通点もあった。

「……『宿敵』……『宿敵』ねぇ……」

「それなら、むしろ『歓迎』したいくらいよ。
 しのぎを削る『ライバル』の存在は、私にとっても『プラス』になるから。
 もちろん『戦闘』はゴメンだけど、
 『エンターテインメント』なら何時でも勝負してあげるわ」

「『私と互角に張り合える人がいれば』ね」

美作の表情には『自信』が見て取れる。
自分の得意分野なら、誰にも負けないという強い意思が。
それは一抹が秘める鋭さとは別種の強さだった――――。

「――――――とうとう『完成』したみたいね。
 お見事な出来栄えよ、パーフェクト!
 フフ、一抹君に頼んで良かったわ」

『アクリル製の鈴蘭』を手に取り、その完成度に目を見張る。
神業的な精密性と『慈悲の刃』によって製作された芸術品だ。
これが『魔法によって作られた物』と判定されるかどうかは分からないが、
『りんの一部』である『鈴蘭の押し花』と合わさる事で、効果は上がると信じよう。

「…………『木蝋』?」

確かに『魔法使い』らしくはあるが、それよりも欲しい物がある。

「『古い物』って事は『アンティーク』よね。
 そのコレクションに『トランク』なんてないかしら?
 『1m』くらいの物が入ると助かるんだけど……」

『サーベルを入れたいから』などという事は口が裂けても言えなかった。

329一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/19(日) 06:02:00
>>328
「宿敵とは必ずしも良い者ではありませんから…
 運命をドン底に突き落とす『厄災』」

「しかし、「美作さんの『宿敵』か…
 真っ当に戦わずにこちらを翻弄するみたいな…?」」

「あぁ! 『アンティーク』の丁度いい『トランク』ならあります!
 義父は偏屈ですが私の頼みは断れないんです!」

一抹の義父は偏屈者だが息子には甘いようだ。
上手いこと一抹を使えば『トランク』は手に入るだろう。

330美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/19(日) 17:36:42
>>329

一抹の言葉を聞いて、美作は柔らかく微笑んだ。

「『私の宿敵』は『私自身』よ。
 私は『自分の能力を活かしたい』と思ってるけど、簡単には出来ない理由があるの。
 『使いたい気持ち』と『使っちゃいけない気持ち』の狭間で揺れていて、
 その相反する思いを両方とも納得させなきゃいけない。
 だから、『美作くるみ』にとっての宿敵は『美作くるみ』」

もし『美作の宿敵』に成り得る者がいたとすれば、
単純な殴り合いなどにはならない事だけは確かだ。
『言葉』というのは恐るべき武器になる。
誰かを貶める事も傷付ける事も、場合によっては殺す事も出来るのだから。
そんな風に『情報』を使う者がいたとしたら、美作は許せないだろう。
美作にとっての『宿敵』というのは、
使い方を誤れば大きな被害を及ぼしてしまう『自分自身』だった。

「『宿敵』とは言えないけど、私の『ライバル』になるかもしれない人はいるわね。
 そういう相手がいるからこそ、私も張り合いがあるのよ」

ここを訪れた『コヤコヤ』に応対し、『魔法使い試験』でも関わる事になった。
それは何か『引き合うもの』があったせいなのか。
ともかく今は『試験』に集中しなければ。

「じゃあ、お義父さんに頼んで『トランク』を貸してもらえる?
 さすがに高価な物でしょうから、もらう訳にはいかないしね。
 それから『タダヒト派』と『最中派』の連絡先を聞いておくわ」

        スッ

「これを一抹君に。この前は電話越しで渡せなかったから」

『星見FM放送名義』の名刺を取り出し、一抹に差し出す。
『Electric Canary Garden:パーソナリティー・美作くるみ』と綴られている。
番組の『イメージキャラクター』である『電気カナリア』のイラストが添えられていた。

331一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/19(日) 20:07:17
>>330
「もしかして『死亡発動型』スタンド…
 そんなわけないですよね」

「使うとモラルに反する、または被害が大きいとか…」

思い返せば一抹の戦ってきた敵は個人規模の破壊力しか持たなかった。
美作さんのポリシーからすると安易に使ってはいけないものだろうか。

「ライバル! 良いですね! 私もライバルが欲しいです!
 いや、赤月先輩は、あれは、何だろうか…」

「先ずはタダヒト派の緒方さんの連絡先をお渡しします。
 タダヒトはエクリプス全盛期にかなりエクリプス狩りををした
 ようで今でも『悪霊』と化した残党を狩るほどです」

「ただ、リーダーの『タダヒト』さんが忙しいので連絡が取れる
 かは運任せですね」

「続いて最中派の北落さんの連絡先を…
 彼女は時間を巻き戻す能力を持ちますが…持っているんですが…」

「最中派は女性の性を食い物にするドクズのカスな派閥です。
 私も頼まれて一戦しただけなのに何故か最中派所属に…」

タダヒト派について語る時は誇らしいものを語るようであたったが…
最中派には良い思い出がないのか親の敵の如くボロクソに語った。

「わっ! わーわー!!私の記念品ボックスに仕舞っちゃいます!」

余程、嬉しいのか小さい身体でぴょんぴょん跳ね回る。
大人びても初戦は中学1年の男子である。

「あっ、『トランク』は持って来てもらいますか?
 義父なら私が頼めば来てくれますよ!」

332美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/19(日) 20:47:30
>>331

『門倉派』の掲げる理念は特殊で、『アリーナ』の中では少数派だ。
他の派閥と関わる機会は、あまりないだろう。
しかし、連絡手段を持っていて損はしない。

「フフ、解説ありがとう。
 私の知らない事が色々と分かって勉強になったわ。
 私も『アリーナ』の試合は観戦した事があるし、
 一度だけ『競技選手』として参加した経験もあったから、
 ちょっと気になったの」

それらは紛れもなく事実だが、
自らが『アリーナの一員』である事は口にしていないので、
全てを語っている訳でもなかった。

「そうね……『トランク』は『ここ』に持ってきてもらえるかしら?
 返す時には一抹君に伝えるから」

無事に『トランク』を借り受けたら、このやり取りも終わりに向かうだろう。

333一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/20(月) 00:35:54
>>332
「ちょっと待ってくたさいね…」

スマホを取り出すとニコニコで電話を掛け始める一抹。
相手が出たのは興奮した様子で要件を語りだす。

「お義父さん! お義父さん! あの古いトランクを譲りたい人がね…」

「えっ、嫌だじゃないよ。夏の魔物の時に助けてくれた人がね
 どうやら必要としてるらしいんだ!」

「それも美作くるみさんだよ! とにかく来てね!」

「『門倉不動産』って場所にいるからね! バイバイ!!」

半ば強引に了承を取付けた一抹が嬉しそうに振り返る。
何度も死の淵に叩き込まれようが無事なのは図太さ故かもしれない…

334美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/20(月) 06:33:49
>>333

こちらが頼んだ事とはいえ、
予想していた以上に一方的な要求になってしまい、苦笑しつつ肩を竦める。

「あはは…………急に無理を言って、お義父さんには申し訳ない事をしちゃったわね。
 まぁ、確かに『魔物事件』で私が果たした役割は、
 なかなかのものだったとは思ってるけど。
 その為に『電波の私的利用はしない』っていうポリシーも曲げてる訳だから」

事実、美作がメディアを使って拡散しなければ、
あれほど爆発的に広まる事はなかったはずだ。
他の面々とは違い、直接的に事態の解決に当たってはいないものの、
被害者を救う上で大きなウェイトを占めていた事は間違いない。
それを免罪符にするつもりはないが、今回の交渉においては有利な条件だった。

「ところで、どうして私が『トランク』なんて欲しがるのか気にならない?
 実は、ちょっとした『イベント』の企画に携わっていて、
 その『小道具』として使いたいのよ。
 今は進行途中の段階だから、
 詳しい内容は『企業秘密』で明かせないけど、十分に活用させてもらうわ」

『トランク』が届くまでの間、
『試験』に支障が出ない程度に事情を説明しておき、引き渡しの円滑化を図る。

335一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/20(月) 19:28:10
>>334
「何となくお仕事で使われるのだろうな、とは予想できますが…
 もしかしてとっておきの手品をするとか!」

「むむっ、やっぱり大規模な情報操作能力の予感!」

「いや、やっぱり分かりません!」

と、しばらくの間を二人で喋っていると外で自動車が停車する音がした。
窓から外が見えるなら年季の入った軽トラックが見えるだろう。
自動車から降りる音がすると老いたにもかかわらずドスの効いた声が聞こえてきた。

「一抹がお邪魔してるのは此処でしょうか?」

その声に反応した一抹が扉を開けると同時に老いた老人のものとは思えない拳が一抹の顔面に叩き込まれ部屋の隅まで一気に吹き飛ばされた。

「私の名前はアイラト。息子が迷惑をかけたお詫びにきました。
 トランクの他にも軽トラに積んできました。よろしければ…」

どこか傲慢なところのある、明王様に似た顔つきの自尊心が強そうな強面の老人が軽トラを指差す。
顔には少なくない古傷が刻み込まれたロシア人顔。
確実に若い頃はナニカしらのそういった仕事をしていたのが予想できる。

336美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/20(月) 20:44:05
>>335

いきなり予想外の光景を見せられて呆気に取られたが、こちらも『プロ』だ。
なるべく表情には出さないようにする。
しかし、それを以てしても完全に隠し切る事は不可能だった。

「はじめまして、私は『美作くるみ』という者です」

挨拶の言葉と共に、『アイラト』に頭を下げる。

「いえいえ、ご迷惑だなんて。
 一抹君には私から『お手伝い』をお願いしたんですよ。
 ここは私の顔を立てると思って、そのくらいで許してあげて下さい」

本来なら家庭の事情に首を突っ込む事などしないが、
目の前で『家庭内暴力』が行われたとなれば、話が違ってくる。
さすがに『通報』は差し控えるものの、
今回の件に関しては、元を辿れば自分に責任があった。
したがって、美作には一抹を弁護する『義務』が生じるのだ。

「では、『トランク』は有り難くお借り致します。
 こちらの用事が済みましたらお返ししますので」

彼が乗ってきた軽トラに近付き、予定通り『トランク』を引き取る。
これだけでも十分ではあるのだが、わざわざ持ってきてくれた以上、
無碍にするのも憚られたので、念の為に他の品々も確認しておく。
もしかすると『掘り出し物』が見つかるかもしれない。

337一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/20(月) 21:39:53
>>336
「いや、こいつはまだ懲りてない。
 だから痛い目を見た方がいいんですよ」

アイラトがトランクを大事そうに美作に差し出す。
手入れはある程度されているがアンティークな雰囲気が隠しきれない。

「お義父さんはそう言うけどロシアのマフィアでしたことから
 逃げて結婚してケジメのひとつも取れないひとでなしだよ」

「スタンド使いにしか入れない事情にスタンド使いじゃない
 お義父さんが入るのは傲慢じゃないかな?」

鼻血を服で拭いながら実の父を挑発する一抹。
なんとも殺伐とした親子関係だが元マフィアに育てられた結果がこれだ。
両者とも修羅の道を生きる者ゆえに譲らない。

「どうか、他のアンティークを見てやってください。
 もう老いた身が持つだけじゃ物が可愛そうだ」

「ということで何でも持って行ってください!」

(『アンティーク』品は言い切りで発見してOKです!)

338美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/20(月) 23:16:26
>>337

丁重にトランクを受け取ってから、軽トラの荷台を覗き込む。

「…………ずいぶん沢山お持ちなんですねぇ」

          ソッ

しばらく目移りした後、その中から手に取ったのは、
古めかしい『アンティークリネン』だった。
すなわち100年以上前に製造されたリネン製品を指す。
贅沢な装飾が惜しげもなく施された芸術的な織物だ。

「ありがとうございます。こちらを使わせて頂きますね」

改めて礼を言いながら、内心で『親子喧嘩』にため息をつく。
本来は『代表』が対処すべき状況だが、生憎『門倉良次』は不在だ。
この『美作くるみ』が『代理』を務めなければならない。

「『迷惑を掛けたお詫びに来た』と仰いましたが、率直に申し上げますと、
 この場で乱暴な振る舞いをされる事は、我々にとって迷惑なのです。
 『どうしても』と言われるなら、『ここから立ち去った後』になさって下さい。
 不在中の『代表』に代わってお伝えしますが、
 この場所では『暴力行為』は一切お断りしていますので」

「ここは『アリーナ』――『門倉派』の『本拠地』です。
 あまり目に余るようですと、『No.2』として『然るべき対応』を取らざるを得ません」

努めて落ち着いた口調でアイラトに告げた後、今度は一抹に向き直って耳打ちする。

「『そういう訳』だから、一抹君も『続きは帰ってから』にしてね。
 ここで喧嘩されると、ウチの『看板』に傷が付いちゃうから」

これは『忠告』だ。
小規模ではあるが、ここは『アリーナ派閥の拠点』。
マフィアであろうと修羅であろうと、無関係な揉め事の持ち込みは容認しかねる。

「私達の目的は『エンターテインメント』の追求。
 このトランクやリネンも、その為に役立たせてもらうつもりよ」

       ス ッ

一抹に『もう一枚の名刺』を差し出す。
『アリーナ構成員』としての名刺だ。
そこには『門倉派:広報担当・美作くるみ』と綴られている。

339鷲見 健治『2NDハンド・ファイア』:2024/05/21(火) 00:18:13
>>338
「ここの人の広報担当だったんですか?」

「なら、今度のこれは広報に関わること!
 古い煙草とか珍しいアルカナカードとかありますよ」

と、言いつつ『インダルジェンス』でアイラトを『鎮静』して自分に都合良く進める一抹。
やはり子供と言えどスタンド使いであることに変わりはない。
その姿勢がアイラトを激怒させるのだろう。

「今度からまたスタンド使いに関わっちゃ「ごめん無理だよ」

「ほら、お義父さん謝ろうね?」

一抹に促されるままに謝罪させられるアイラト。
『インダルジェンス』は無力とは言ったがそうはとても思えない光景だった。

「もうちょっと探しても良いんですよ?
 ショー?みたいなことをするみたいですが…」

物に執着しない一抹にとって価値が分からないものばかりだ。
だから価値が分かる美作さんに全てを任せる。

「でも、もう陽も暮れて来たから帰りましょうか。
 事務所をいつまでも占拠するのもアレですし…」

トラックに乗った一抹は貰った名刺を手にぶんぶんと手を振る。
とんでもない親子だったが気前は異様に良かったのであった。

340美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/21(火) 20:39:38
>>339

大抵のスタンド使いなら、一般人相手に手も足も出ないという状況は少ないだろう。
たとえ戦闘向きでない能力であっても、工夫次第では戦えるはずだ。
そうではない能力を持つ美作だからこそ、門倉の掲げる理念を高い次元で共有できる。

「――――お二人共、ご理解いただけた事に感謝します」

おそらくは、ここを出た後で喧嘩が再開するのだろうが、そこまでの責任は持てない。

「そう、私達は『ショービジネス』をしているのよ。
 今回の『責任者』は私だから、内容に相応しい品物を吟味してるの。
 どれも素敵な品々だと思うけど、何でもいいって訳でもないから」

          カチャ…………

「ええと…………『ジランドール(枝付き燭台)』と『木蝋』をもらえる?」

荷台に積まれたアンティークの中から、さらに二つを手に取る。
既に『何をやるか』は決まっており、それに沿った小道具が必要だ。
ただ、『古い煙草』や『アルカナカード』は嵩張る物でもないし、
また別の機会に役立つ可能性もあるので、一緒に頂戴しておいた。

「今日は色々ありがとう。お陰様で随分と助けられたわ。
 良かったら、また会いましょうね。それから『ラジオ』もよろしく」

雑居ビルの外に立ち、一抹に向けて手を振り返す。
これで一連の準備は完了した。
あとは『当日』までの微調整を残すのみとなった。

(『門倉派』の『第一回興行』…………必ず『成功』させてみせる)

静かな決意を胸に秘め、遠ざかる軽トラを見送った。

341名無しは星を見ていたい:2024/06/15(土) 22:17:39
問題名:『傲慢の勧誘』
出題者:門倉
主な状況:

『門倉』が『何でも屋』や『門倉派』の為に、
『有用なスタンド使い』を探しているのを、
風の噂で知る事が出来た者も居るだろう。

そんな人物がたまたま、この『門倉不動産』を訪れ、
『スタンド使いとしてのアピール』のため、
『スタンド能力』や『スタンド名』などを見せつける。

そんな事もあるといいな、と『傲慢』にも『門倉』は思っている。


必要条件:『スタンド』をしっかりと使おう。
     実行途中で自らの『スタンド名』と『決め台詞』を口に出そう。

備考:『魔法の呪文はおこのみで!』関連の活動です。
  対応いただける方は、以下のURLおよび※の説明をご確認ください。

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/319

※『朝山』&『木崎』チームのうち、『朝山』が諸事情により抜けたため、
※『門倉』&『木崎』チームとなり、緊急で『魔法使い』の情報や
※小道具となりうる『魔法使い由来のアイテム』の入手先を探しています。
※上記の問題は『門倉』が『演出』しているものであり、『解決』は、
※『門倉』および『木崎』に『観察される事が前提である』事をご了承ください。


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