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【ミ】『忘れじの瑕、コメットテイル』

288『サヨナラ_エレジィ・タウン』:2019/07/23(火) 23:33:02
>>286(黒峰)

「まあね〜、しょせんは観光地って感じ?
 住む町って感じじゃないっていうかさ、
 住む人のことはあんま考えてなさそうだよね」

「観光で来たり、写真で見る分にはキレーだけど」

       パシャッ   パシャッ

写真にはやはりひずみは写らないようだった。
そういうもの、なのだろう。

「いいけど、バス戻らなくていいの?
 別にいいか。このツアー、予定通りじゃないっぽいし」

       「なんかおかしなことになってるんでしょ?」

いい加減な物言いだが、黒峰の語る『異常』への理解があるのか、
彼女なりにツアー全体の先行きのあやしさを感じているのか、承諾された。
特に学校内で止められるようなこともなく――――二人は校外に出る事となる。
何かやり残した事が無ければ、近くにあるバス停から遊園地のほうに向かえそうだ。

>>287(小石川)

眼窩に戻る前、その目が見た笹暮の目は『覚悟』があった。
引き留めるようなものではなかった――――小石川に出来る事はなかった。

「そうですか〜〜〜ッ。残念ですね〜
 ちなみに、こっちにも何も無かったですね」
 
                    「気になるもの、とかは」
      ザッ  ザッ

「そろそろ戻らないとヤバいですもんね〜〜〜、行きましょ行きましょ」

緑里は何をそれ以上言うでもなく、歩き出している。
森の出口はそう遠くはないし、タクシーなどを駆使すれば、
恐らくは――――ぎりぎりになるかもしれないが、バスには戻れるはずだ。

「…………『どこか』」

                    ザッ   ザッ

「小石川さん、『どこか』ってのは〜〜〜」  「……?」    ザッザッザッザッザッ 

                       「……足音?」

その彼が、思い立ったかのような顔で何かを言おうとしたとき――――前方から、足音が聞こえてくる。

                                 ・・・『何か』がこちらに来ている。
                                     ・・・やり過ごすか、それとも。


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