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【ミ】『忘れじの瑕、コメットテイル』
228
:
『サヨナラ_エレジィ・タウン』
:2019/06/12(水) 15:29:43
>>224
(小石川)
『緑里』:
「昼から乗るのは初めてですけど〜〜〜、いいんじゃないですか?」
「ま〜〜〜;『ロマンチックさ』には欠けますけど」
「……」
「晩にまた来れるとも限らないし?」
空を見上げ、返答する緑里。
観覧車には、緑里の言葉通り『時間』のせいか、
たいした待ち時間もなく乗車することができた。
『少女』:
「それではァ、ごゆっくり『紅鏡町』の景色をお楽しみくださァ〜〜〜い」
パレードの衣装……遊園地の『制服』なのか?
楽隊のような恰好をしたスタッフらしき少女が、案内を務めた。
そして……
〜〜〜〜〜♪
ファンシーなBGMとともに、ゴンドラが赤い空に向けて上昇し始める。
歪みは、もう少し上がって『木』にさえぎられて見えない……『地上』にあるのだろうか。
>>225
(黒峰)
「へ? 何言ってんの? ……普通に『青空』に見えるけどォ?
『寝ぼけてる』んじゃないの? それかなに、なんかポエムなの?」
笹井には、見えていない。
彼女と、あるいは女生徒と自分の違いは何なのだろうか?
あるいは笹井と女生徒も『同じ』とは限らないのかもしれないが。
「そんなんなってたら皆騒ぐし、なんか錯覚とか、そういうのでしょ」
ザワ…
吹く風に揺れる花壇の花の音が聞こえる程度には、誰も騒いでいる様子もない。
赤い空を目にしている人間は、非常に『限られている』のは、ほぼ間違いないだろう。
>>226
(宗海)
「展示物じゃなくっても、刃物ッスからね」
――――『流星刀』は、特に異変などもなく『展示』されている。
それを納めるためであろう『鞘』はさすがに隕鉄製ではないようだが、
実用品としては過度なほど、緻密な細工が施された『工芸』的な美。
オ オ オ ォ ォ ォ ・ ・ ・
「……」
鎮座する刀身の光沢は、『鋼』とは異なる・・・『宗海』の目にもそれが分かる。
分かる? 違う。『知っている』。
ある冬の田園風景、『上ノ田村』――――宗海は『それ』に近いものを、既に『知っている』。
「どうスか? 『流星刀』――――――なんか、感じます? 『歴史』とか」
「……『神秘』とか」
出雲が、その『鞘と刃』に視線を向けながら声をかけてきた。
他にこの展示を見ている客は、少なくとも『今のところ』は、誰もいないようだった。
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