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【ミ】『想貌』

1『敗残者』:2019/01/18(金) 00:26:01
彼らは何処へ消えたのか――――

【過】『武闘列伝』
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453728318/

2『スリル!』:2019/01/18(金) 00:53:27


     「チャオ、……聞けッ! チャオ!」


 誰が、こんな名前を付けたのだろう。

  エクリプス
 『 月 蝕 』だなんて、一時の幻になぞらえて――――


    「アイツが、『タダヒト』が来やがる……。
                    . . .
     アダージョもヤラれた、あの方も――――」


吹き飛んだ四肢に目をくれることはなく
『兄貴』は『 』を掴み、オレへと放り投げる。


    「行け、それを持って……遠くに逃げろ!」


    「お前が、やるんだよ……! チャオ!」


用意した愛車に乗る度、やれ助手席がキツいだの、荷物を減らせだの、
文句ばかりタレていた『兄貴』の『残骸』は、オレが背負えるくらいには、軽くなっていた。


    「――――そうだ、それでいいんだ……」


そう、思ったはずなのに。


    「     .   . .   。 」


                       ・


                       ・


                       ・

3『スリル!』:2019/01/18(金) 01:28:25


「ヘッヘッヘッ、『平石基』さんで、らっしゃいますねェ?」


夕方、『平石』が児童公園を横切ろうとした時だった。
薄汚れたベンチに腰掛けていた『浮浪者』が立ち上がり、
せむしの痩躯を引きずるように、歩み寄ってくる。


   「怪しい、……者ではあるんですがねェ」

   「『真っ当』なお話を、しに来たんでさァ」


不気味にもヘラついた笑みを浮かべた『浮浪者』は、
腐った卵のような臭いを醸し出しながら、『平石』の手の届く位置まで近づく。


   「アタシの名は、『曳舟利和』。

    この通り、『仲介人』をやらせて頂いとりますわ」


         スススゥゥ――――


せむしの身体を丸めて、卑屈なまでの辞儀と共に、
差し出された『名刺』には、こう書かれている。


         <仲介人  曳舟利和>


   「一晩で、『百万円』が稼げる『請負』を、

    ドンと引き受けて頂ける、『スタンド使い』をご所望でらっしゃる」


   「それが、アタシの『クライアント』の『需要』でさァ」


『名刺』が手に取られるのを待ちわびるように、『曳舟』は探り目を入れてくる。


(※『平石』はスタンド能力、持ち物、背格好の開示をお願いします。)

4平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/18(金) 17:58:48
『キック・イン・ザ・ドア』:
体の所々が歯車で構成される人型のヴィジョン。
手から『歯車』を生み出す。
『歯車』を機械に差し込むと、機械は『歯車』という異物に反応する。

破壊力:B スピード:B  射程距離:E
持続力:C 精密動作性:C 成長性:D

【基本】
・体の所々が歯車で構成される人型のヴィジョン。
・DFあり。視聴覚共有なし。
・手から『歯車』を生み出せる。
・『歯車』を機械に差し込むことで能力が発動する。

【歯車】
・スタンドの手から発現されるスタンド物質。
・大きさは最小で百円玉、最大で拳ほどの大きさの範囲なら自由。
・パBで破壊される。
・一度に発現できる数は2つ。
・機械に触れた場合のみ、透過する様に内部に差し込める。

【停止】
・侵入した『歯車』によって機械の動作が滞り、機械が『停止』すること。
・『歯車』全体が差し込まれた後、即座に発動する。
・『停止』できる時間は『1秒』から『10秒』の間で侵入させる時に自由に設定できる。
・『停止』は電源が落ちるなど外見的にも停止しているとわかる状態になる。
・時間経過後、即座に起動し『停止』前に行っていた機能を実行する。

【暴走】
・『歯車』同士が噛み合い、機械全体に作用すること。
・『停止』している対象にもう一つ『歯車』を差し込むと発動する。
・『停止』を解除し、差し込む際に本体が指示した動作を行い続ける。
・この状態の機械に触れる、操作を行おうとすると機械からパCの衝撃による『反発』が行われる。
・指定された『停止』の時間が経過した後、機械は破損し『暴走』も終了する。


平石基:
身長189cm。スーツに革のトレンチコート着用。履物は同じく革製の登山ブーツ。
所持品は『スマートフォン』『財布(免許証と保険証とポイントカードが2枚と、3242円)』『煙草とライター』。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「…」

怪しい男だ。
だが名刺を手に取る。

「あんたは『オレの名前』と」 大事なことなので、言葉を一旦切って、「『スタンド使い』ってことを知ってるんだな」
「……余計なお世話だろうけど、風呂は入った方が『感染症』とか『病気』のリスクを減らせるよ……」

ヘキエキしつつ、『話の続きを』、うながそう。

5『スリル!』:2019/01/18(金) 21:23:58
>>4(平石)
差し出された名刺を手に取ると、
『曳舟』は揉み手をしながら、後ずさっていく。

長身の『平石』と相まって、その『卑屈さ』が協調される。

>「あんたは『オレの名前』と」

>「『スタンド使い』ってことを知ってるんだな」


   「勿論、でごぜェやす」

>「……余計なお世話だろうけど、
>風呂は入った方が『感染症』とか『病気』のリスクを減らせるよ……」


   「勿論、でごぜェやす……。

    ……が、『平石』の旦那に依頼する『仕事』に比べれば、
    ノミやシラミ程度、歯牙にもかけねェことですわなぁ……」


      ガサ          「数週間前から、尋常じゃあない頻度で、
                    『煽り運転』での『死亡事故』が、急増してるのは、
          ゴソ       ――――『平石』の旦那なら、存じてましたかねェ?」


『防寒具』も兼ねていたのであろう。
『曳舟』の服の下から取り出された『新聞紙』には、
ビッシリと『星見町』での『交通事故』について、記載されている。


    「今、『世間』で騒がれてるにも拘わらず、

     ――――何より、事故車の『ドライブレコーダー』には、
     他の『車両』が映っていなかった、唯の『一台』も、……ヘヘッ」


『スタンド』に目覚めたばかりだが、『平石』はあることに気付いている。
“スタンドヴィジョンは『テレビ』や『ビデオ』には映らない”、その法則に。


    「『スタンド車両』の『煽り運転』を、
     旦那の『キック・イン・ザ・ドア』で、『撲滅』していただけやせんかァ?」


目ヤニとデキモノに隠れた『曳舟』の両目が、鈍い輝きを見せる。
それが『本題』だと、『平石』に告げているのだ。

6平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/18(金) 23:47:22
>>5

>   「勿論、でごぜェやす」

そうだろう。当然、ってわけだ。

>   「勿論、でごぜェやす……。

>    ……が、『平石』の旦那に依頼する『仕事』に比べれば、
>    ノミやシラミ程度、歯牙にもかけねェことですわなぁ……」

そうなんだろう。当たり前のことだ。

>      ガサ          「数週間前から、尋常じゃあない頻度で、
>                    『煽り運転』での『死亡事故』が、急増してるのは、
>          ゴソ       ――――『平石』の旦那なら、存じてましたかねェ?」

勿論だ。新聞で防寒してるわけじゃないけどな。

>    「今、『世間』で騒がれてるにも拘わらず、

>     ――――何より、事故車の『ドライブレコーダー』には、
>     他の『車両』が映っていなかった、唯の『一台』も、……ヘヘッ」

「…」「それは、」
「そうなのか? じゃあ…いや、それは」「知らなかったな」

平石基は日常生活で『車両を運転する』ことは少ない。
だから、自身の実体験に基づくことのない『煽り運転の危険性』を実感してはいない(報道で知ってはいる)。
だから、

>    「『スタンド車両』の『煽り運転』を、
>     旦那の『キック・イン・ザ・ドア』で、『撲滅』していただけやせんかァ?」

興味は一つだ。『キック・イン・ザ・ドア』。現代文明機構を悉く――これは『平石基の解釈』だ――『武器化』せしめるその能力。
果たして。それは。『何』に対して。『どこまで』有効であるのか。『平石基はそれを知らない』。

「いいとも。『煽り運転』で人を傷つけるだなんて、同じ『運転免許証』を持ってる身としては切歯扼腕の思いでいたところだ。」
「こう見えて『時事』には敏感でね。まさに『渡りに船』ってやつだ。それもあんた『達』の思惑通りだとしてもだ」
「見る目はあると思うよ。『キック・イン・ザ・ドア』でなら、そう」
「『撃滅』してごらんにいれるとも」「『撲滅』より強めの言葉を使ったけど、弱そうに思うかい?」「自信の現れだと思ってくれよ。『曳舟』さん」

きっとそこには何かしらの『答え』があるだろう。
『何故』『オレはスタンド使いになったのか』。勿論、のことだが『曳舟』は――『だから、声をかけてきた』のだろう。

「(まあ、何だっていいさ。フツーじゃないんだ。フツーじゃないことなんて、いくらでも)」

「それで、『オレはどこに行けばいいんだ』?」

鈍い、『曳舟』の視線に真っ向から、微笑んで問う。

7『スリル!』:2019/01/19(土) 00:28:21
>>6(平石)
己に目覚めた『異能』は、果たして何処まで『通じる』のか。
何時の日かの『大通り』で、ふと脳裏を過ぎった『疑問』に、
『答え』を出すにはうってつけの『仕事』だと、『平石』は判断したのか――――


>「それで、『オレはどこに行けばいいんだ』?」


       「ヘッヘッヘッ、流石でさァ」            フ
                                    ァ
       「引き受けてくれると、 
         .この『曳舟』は確信しておりやしたァ」      サ.
                                     ・
                                    ・

下卑た笑みを浮かべる『曳舟』。
彼は恭しく一礼をすると、傍の『ベンチ』に近寄り、
手にした『古新聞』を敷き広げる。

                      . .
        「間もなく、『依頼人』の一派の方が、
            『平石』の旦那を迎えにやってきますわ」


        「あたしも、旦那ほどの『スタンド使い』を
         託せたとあっては、鼻も高々というものですわなァ」


        「さぁさぁ、どーぞお座り下せぇ。
           無糖と微糖、どっちがお好みですかァ〜〜〜〜ッッ」


     ジャラッ
              ジャラッ
                       ジャラッ    ..ジャリン


今日はまだ暖かいとはいえ、真冬の公園は決して心地よくはない。
『曳舟』は道路角の自販機に『小銭』を押し込んで、『平石』にコーヒーを買ってくれるらしい。
それを飲んでいる内に、迎えの者はやってくるのだろう。

8平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/19(土) 00:42:55
>>7
「……ありがとう」

座ろう。「微糖で」注文も忘れない。
そして、ならば、考えなければならない。『依頼』してくるなら、考えて分からないことは聞かなければならない。
思い出す。記憶を探る。分からなければ、『新聞』(臭うかもだが関係ない。必要なことだと思う)なり、『曳舟』に聞くなり、
スマホでニュースを調べるなり、あるいは『来たヤツ』に聞く――これは必ずやらなければ。

つまり、今日の今、このときまで発想すらしなかったことを。
それは何だ? そうだ。決まっている。

・『被害に合った車両の、どんな細かいことでもいい。車種でも、運転手の属性や性別でも、走行経路でも、『共通点』を、思い出し、探し、問い合わせたい。
・『共通点』が無ければ――可能な限り、今ここで出来る限り、『被害の状況』に関する情報を思い出そう(報道で知ってはいる、のだ)。

「…あっ」「熱いのはニガテなんだ、『つめた〜い』ヤツを」「あ、もう買った? じゃあだましだまし飲むよ、悪いな…」

どーでもいいが、平石基は、猫舌である。

9『スリル!』:2019/01/19(土) 01:23:25
>>8(平石)
『微糖』の缶コーヒーを片手に、『平石』は考える。
尻に敷かれた『新聞』や『ネットニュース』をソースに、
事件に対する『情報収集』を進める。

(※『曳舟』がボタンを押す寸前、『平石』の要望は間に合った。)

>・被害に合った『車両』の共通点。

『車両』は『大型トラック』から『スポーツカー』、果ては『バイク』まで。
車種に一貫性はないが、共通点は存在する。『場所』だ。

ここ数ヶ月の『自動車事故』が、全て『星見IC』から『湖東PA』の間、
およそ『20km』の範囲で集中的に起こっている。

事態を重く見た『高速道路』の『管理会社』が注意喚起をホームページに記載し、
それを発見したことで、『平石』にも解ったのだ。

>・『被害』の状況。

――――が、ここで『平石』は首を傾げる。
『自動車事故』は多い。……だが、『煽り運転』との報道はされていない。

『自動車』のスタンドが起こした『煽り運転』であれば、
当然ながら『目撃者』はいないので、唯の『事故』と処理されるはずだが、
一体、『曳舟』や『依頼人』は何を以って『煽り運転』だと言ったのか……。


              カァー
                              カァー

何時の間にか、どっぷりと日が暮れていた。
そして、『曳舟』もまた、気付かぬ間にその姿を消している。


              ブ ロ ロ ロ ロ ロ ロ ・  ・  ・

10『スリル!』:2019/01/19(土) 01:25:24

              ブ ロ ロ ロ ロ ロ ロ ・  ・  ・


     「かつて、この町には『エクリプス』と呼ばれる『組織』が暗躍してました」


     「その『悪行』に業を煮やした『スタンド使い』達が結集し、『討伐』を決行しました。
      かくして『悪』は滅びて、『星見町』には平穏な日々が戻ろうとしている――――」


『平石』を迎えに来たのは、二十代後半の『女性』だった。
『緒方』と名乗った女性は、ベンチで古新聞を読み耽る『平石』を怪訝そうに眺めていたが、
互いに事情を説明し、『平石』は緒方の運転する『ミニ・クーパー』に同乗する。


     「一命を取り留めた被害者は、ほとんどが『入院中』ですが、
      一人だけ、スタンドを『視認』出来る被害者が、
      あの『車両』の詳細を、教えてくれました」


『ミニ・クーパー』は事件現場を下見するため、『星見IC』へ向かっている。
彼女も『スタンド使い』のようだが、『平石』の他に請負人はいないらしい。


     「下品な『電飾』の施された、真っ赤な『アヴェンダドール』。
      かつて、『エクリプス』に所属していた、『運び屋のチャオ』の車です」


     「既に『再起不能』だと思っていましたが、
      まだ生き残っていたなんて、驚きです……」


     「そして、まだ性懲りもなく、悪事に手を染めていることも、
      ――――この町に、まだ『穢れ』が残っているなんて」


落ち着いたパンツルックの似合う女性だが、
『エクリプス』を語る口調には、押し殺した『憤り』が籠る。

11平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/19(土) 01:50:05
>>9-10

「………」「ああ、あんたの話は聞いてる」

『興味』は――『エクリプス』だとか、『討伐』だとか、『穢れ』だとか、そういうことには無い。
『アヴェンダドール』。『運び屋のチャオ』。『星見ICから湖東PA』。

「その、『一人だけ見える』って被害者が、『煽り運転』だと教えてくれたのか?」

おそらく、最初のあいさつ以降初めて、こちらから質問をする。
今のところは特に意味のない確認だ。だが疑問は解消しなければならない。
『共通点』は『範囲』だけ。理由は何だ? 被害車両で特定できない。極端な話、『現金輸送車を狙って襲う』みたいなことではないのはわかる。
目的がわからない。理解できない。『だったら』『何故』? 理由が無い――無視できない発想だ。激情の発露。
『穢れ』と断じる彼女には、これは言えない。『わけもなくブッ放したい』のは、『分からないこともない』、なんてことは。

「……オレはその『エクリプス』だとか何だとかは全然知らないんだが」
「怒らせる気はないけど、怒らせたら悪い。先に謝っておくが」
「そんなにヒドい連中だったのか? つまり、その、『もう滅んだ』ってのに、そんな悪し様に表現する(『穢れ』という言葉)ような?」

考えていたら何となく悪い気がしてきて、『緒方』との会話を試みてみる。

12『スリル!』:2019/01/19(土) 02:29:10
>>11(平石)
>「その、『一人だけ見える』って被害者が、
>『煽り運転』だと教えてくれたのか?」


    「ええ、執拗に張り付いて、挑発を繰り返したそうです」

    「そして、急接近する『アヴェンダドール』を避けようと、
     ハンドル操作を誤って、側壁に激突したと、後で伺いました」

    「『ブレーキ』も、間に合わなかったと――――」


『緒方』は事故の様子を痛々しそうに語る。
この口振りでは、現場の写真や被害者の容態を確認済みなのだろう。

       カッチ
                  カッチ
                             カッチ . .  .

そして、『平石』は『エクリプス』の『悪行』について問い掛ける。
交差点の信号待ちで『ミニ・クーパー』が停車し、タイミングも良かったのだ。

   「かつては『星見町』に『月』を墜落させようとした、……そう伺っております。
    おぞましい能力を用い、数多の人々を傷付け、もう帰らぬ方も少なくありません」

   「『運び屋のチャオ』も、彼が秘密裏に持ち込んだ物資の数々が、
    『エクリプス』を組織たらしめ、『悪事』に加担したのは間違いありません」

『緒方』は『平石』の質問を、『無神経』とは捉えなかったようだ。
淡々と、『憤り』を押し殺した口調で、その存在を説明していく。

   「勿論、『エクリプス』は、『組織』としては『壊滅』しました。

    ……しかし、その『残党』は潜伏し、闇に紛れて『悪行』に及んでいる。
    規模は小さくなったとしても、彼らのせいで、誰かが泣いている……」


      ブ ロ ロ ロ ロ ロ ロ ロ ロ ・  ・  ・


   「スタンドの『犯罪』は、決して『露見』することはない。
    ですから、私たちが『闇』のままに片づけなければ――――」


            ┌────────────┐
            │ 注意! 死亡事故多発!  |
            └────────────┘


『事故』の影響か、各所に設置された『電光掲示板』が注意を呼び掛ける。
『ミニ・クーパー』は『星見IC』を抜けて、『高速道路』に入る。


   「『一晩』だけの付き合いになりますが、
    貴方は『危険』を承知の上で、この車に同乗した『パートナー』です。

    ――――これ以上の『犠牲』は、絶対に食い止めましょう」


『緒方』は固く、『平石』に呼び掛けた。

13平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/19(土) 02:46:45
>>12
「……」

『煽り運転』の状況はやはり良く分からない。『そうする理由』が、分からないからだ、と思う。
信号の赤を見ながら、『月』と『チャオ』の話を聞く。感慨は無い。勿論その時点では『スタンド使い』では無かった。
過去のことなのだ。だがその残党がいて、誰かが泣いて、それに『緒方』は、怒っている。

>   「『一晩』だけの付き合いになりますが、
>    貴方は『危険』を承知の上で、この車に同乗した『パートナー』です。

>    ――――これ以上の『犠牲』は、絶対に食い止めましょう」

「……そうだな」

「オレとあんたに、『モチベーション』の差と『理由の違い』はあるが」

『金』のためと、そして、いわばこれは『腕試し』に近い。命がけのやつだ。
何を、どこまで、成せるのか。これは憤怒でも怨恨でもない、まして正義じみた何ものも介在しない、単なる純粋な好奇心に近い。

「手は抜かないよ」

それだけは決めている。

14『スリル!』:2019/01/19(土) 22:03:39
>>13(平石)
>「手は抜かないよ」

『平石』の返答を聞いて、『緒方』の唇が僅かに動いた。
弧を描くように、『平石』の返答を好ましく思ったのか。

     「――――では、参りましょう。

      ここから『20km』が『事故現場』の集中地帯、
      私も何度か通っていますが、手掛かりはありませんでした」


『緒方』は左側に位置する『第一走行車線』に入り、
『時速80km』ほどの法定速度にて、走行を続ける。


      「この時間帯に入るのは、初めてですが。
       ――――貴方の目からも、現場を確認して下さい」


前方に見える『追い越し車線』の一角には、
真新しい『花束』が置かれている。

対向車線を仕切るひしゃげたガードレールには、
『死亡事故発生』の物々しい『ステッカー』が貼られ、
明らかに『事故現場』だというのが解った。

15平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/19(土) 22:27:42
>>14
「あんたが見て分からないものを、シロートのオレが見て分かるもんなのかね…」

手は抜かないとは言ったが、容易く限界を超えられるわけではない。『プロ(?)の目』には及ばない。

「あそこで、」

・『カーブ』している?

「『急接近されて』」「『避けようとして』…」

サイドミラーか、バックミラーで、何とはなしに後方にも目をやりながら、

「ハンドル操作を誤った、だっけ。よっぽど焦るもんなんだな。オレは煽られたことないから…」
「『追い越し車線』で右にハンドルを切るなんてな」「………」
「あと、なあ。『緒方』さん。ここって『高速道路』だよな」「あのあれ、『花束』だと思うんだが」
「『遺族』の人のなかにも、かなり『キマってる』ヤツがいるみたいだな」

 高速道路
「『ここ』で『花束供えたヤツがいる』――ってのは、寒気がするね」「それとも走りながら放り投げたのかな」「どっちにしろ、だよな」

16『スリル!』:2019/01/19(土) 22:48:32
>>15(平石)
  「一見して解らなくても、
  貴方の『スタンド能力』で精査できませんか?」


問い返す『緒方』だが、『平石』の様子を見るに、
そうした『能力』でないと解ったのか、追及はしなかった。

>「ハンドル操作を誤った、だっけ。よっぽど焦るもんなんだな。オレは煽られたことないから…」
>「『追い越し車線』で右にハンドルを切るなんてな」「………」

『平石』の言う通りだ。
『道路』がマトモに見えてさえいれば、在り得ない『選択』なのだが、
追い込まれたドライバーは、正常な判断能力を失うものなのだろうか……。

>「『遺族』の人のなかにも、かなり『キマってる』ヤツがいるみたいだな」

             ピクッ

『平石』にとっては、何の気もない発言だったのだろう。
だが、『緒方』の横顔は明らかに『硬直』している。

> 高速道路
>「『ここ』で『花束供えたヤツがいる』――ってのは、寒気がするね」
>「それとも走りながら放り投げたのかな」

    「私の『ロンドン・コーリング』は『遠距離操作型』ですので、
     『運転中』であっても、ある程度の『遠隔操作』は可能です。

     ――――『ヴィジョン』に、ではありますが、
     ちゃんと膝を付かせて、『花束』を供えましたので」


            ブ ロ ロ ロ ロ ロ ロ ロ ロ ・ ・ ・ 


.

17平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/19(土) 23:04:28
>>16
「……」「えっ」

きまずい。

「……そうか」「その」「……」
「オレの『キック・イン・ザ・ドア』は『調べる』力は無い」

話題を変えよう。ミラーのチラ見も続ける。

「だから『見て分かること』しかわからない。今のところ、『異常』は無いみたいだが…」
「今日は『お休み』ってことなのかな?」

『車のスタンド』なのは分かるが、その『能力』は謎に包まれている。
単純に轢いてくるわけでもなさそうだ。『煽り運転』で『事故』を起こす…のが、現状確認できる『事実』だ。

18『スリル!』:2019/01/19(土) 23:26:52
>>17(平石)

       カッチ
                  カッ 


    ブロロロロロロロロ―――――

┌────┐
│ 90km/h .|  「そうかも知れませんね」
└────┘

                                        ┌────┐
            .「『チャオ』が何故、人を襲うのか。     │100km/h |
           私達は、まだ何も掴めていませんから」 └────┘


『追い越し車線』に車線変更をした『緒方』は、
表情を変えないまま、アクセルを踏んで『加速』する。

人によっては、精神状態の変動で『運転』に支障が出るものもいるが、
『緒方』にはそれが顕著に表れたようだ。

┌────┐
│110km/h |  「情報が足りないまま、
└────┘  勇み足だったかも――――」


                           _ i /
               ┌────┐      ノ
               │120km/h |      ゥ
               └────┘    ン /
                             ・

チラリと覗いた『ミラー』から、朧げな『車影』が見える。
『急加速』での接近ではない。急に『発現』したかのようだ。

『車影』は後方からグングン接近し、『ミニ・クーパー』は張り付こうとする。

19平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/19(土) 23:36:30
>>18
「……」

「……なあ」

『スピード』を出し過ぎていないか?
そう言おうとして、『ミラーの車影』を認める。
『煽り運転』。
『スピードの出しすぎ』。
単純に、『加速させる』ってことか?『アクセルを』、『踏ませて』、『制御不能なスピードになるまで』……

「『キック・イン・ザ・ドア』」

   ギャ  リ ン!

「『十秒』だッ」

『スタンド』を発現! 即座に『歯車』を『ミニ・クーパー』に差し込み、『十秒間停止』!!
少なくとも『アクセル』の機能が働くことは無くなる。ライトも全部消える。十秒間、この車は単に転がっているだけのハコだ。
ある程度の『減速』は望める…かもしれない。
だが今重要なのは、『接近する車影』だ。ミラーではなく体ごと振り返って目視確認。『アヴェンダドール』を、視認したい。

20『スリル!』:2019/01/19(土) 23:50:23
>>19(平石)
『加速』と『車影』、その二つを関連付けた『平石』は、
『キック・イン・ザ・ドア』を発現し、『歯車』を挿入する。

   ギャ  リ ン!

                 オ  ォ   ン ...


     「こ、これはッ!」


『エンジン』が停止し、『加速』の止んだ『ミニ・クーパー』は、
慣性に任せるだけに前進し、急激に減速していく。


           フッ . . .


   カッチ
               カッチ  . . .


咄嗟に『ハザードランプ』を光らせ、第一車線に移動する。
『減速』した瞬間、『車影』は音もなく消え去った。
だが、『平石』には朧気にだが、あれが『スポーツカー』だと確認できた。


      「今のは、恐らく、『チャオ』の『アヴェンダドール』。

       ――――急に現れて、何もなく消え去った。
       間違いなく、『スタンド』の力です」


      ブロロロロ  ロ  ロ


『十秒』が経過し、『エンジン』の稼働が再開する。
近くに『車両』がなかったから出来た『芸当』だったが、
一歩間違えれば、『事故』も起きうる展開だっただろう。

21平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/19(土) 23:59:10
>>20
「車が」
「他の車がいたら、大事故だな」

冷や汗は『緒方』に気付かれているだろう。

「今、どーいうことだったんだ? 『スピード』を出しすぎてた」
「無意識に?」

まず、それを確認しよう。
今のが『チャオ』だとして、まだだ。分からないことがとても多い。
『襲撃』されている側だ、と自覚をあらたにしよう。

22『スリル!』:2019/01/20(日) 00:32:04
>>21(平石)
『平石』の頬を冷や汗が伝う。
『緒方』も同様だ。『ミニ・クーパー』は運転を再開する。

>「今、どーいうことだったんだ? 『スピード』を出しすぎてた」
>「無意識に?」

『緒方』は非常に困惑した表情を見せる。
『平石』からの『質問』が解らない、ということではなく、
どうやって『説明』すべきか、という様子だ。


   「『スピード』は、私の『自意識』で出してたのですが、

    ―――――『120km/h』に差し掛かった時点で、
    あの『アヴェンダドール』が姿を見せた」


現在のスピードは『90km/h』、『アヴェンダドール』は影も形もない。


   「もう一度、あのスピードで走れば……」

23平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/20(日) 00:48:45
>>22
「そ、そうなんだ」「けっこー飛ばす方なんだな」
「なるほど…」

『急いでいる』ときは、そりゃ、『飛ばす』。そうでないときも、飛ばす人は飛ばす。
今までの『被害者』も、そうだったのだろうか。

「『120km/h』で、後ろから追いかけてくる…」「『減速』すると、消えていなくなる」

それが今、体験したことだ。

「『お休み』じゃなかったってことだな」「うん」

ところでこの車、『サンルーフ』は付いているだろうか?
もしあったら、開けておいてもらうよう頼みたい。寒いが。

「もう一度、『120km/h』……自分でも意外なんだが、割と『スピード恐怖症』なところがあるみたいだ。さっきは悪かった」
「飛ばしてくれ」

24『スリル!』:2019/01/20(日) 01:03:06
>>23(平石)
『サンルーフ』を確認するが、
『ミニ・クーパー』には搭載されていない。


     「では、行きましょう」


   ブロロロロロロロロ ―――――――

追い越し車線に移動し、『加速』を始める。
『100km/h』、『110km/h』、  ...


          ブゥン!
                     「あれは――――」


朧気な『アヴェンダドール』がその姿を見せる。
張り付こうとする『アヴェンダドール』を突き離そうと、
『緒方』は『ミニ・クーパー』を加速させていく。

25平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/20(日) 01:24:04
>>24
「来た」

「…」

実際、加速すると何やら恐怖感がこみあげてくる気がするが、弱音は吐けない。
さっきのこともある。

「さて…どう来るか」

『出方を探る』のは、悠長なのかもしれない。
きっと、おそらく、ここから先はもっともっと、『加速する』――多分。

26『スリル!』:2019/01/20(日) 20:40:35
>>25(平石)

      ブォォォォ――――  ンン

『アヴェンダドール』は瞬く間に『ミニ・クーパー』に張り付き、
第一車線に回り込むと、ピッタリと『ミニ・クーパー』に並走する。


      「『平石』さん、敵の確認を!」


『時速120km』を維持したまま、『緒方』が叫ぶ。
助手席に座る『平石』は、『車影』が間近で確認できる。


     オ   ォ      「SHUUUUUUUU...」

        ォ              「FUUUUUUUUUU...」


朧気な『アヴェンダドール』の奥、運転席に光る目がハッキリと見える。


           ゴスッ
                      ギギギギギギッッ!!!

『アヴェンダドール』が幅寄せをし、『ミニ・クーパー』のボディが擦れる。

27平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/20(日) 23:24:01
>>26
窓を開けたい。寒いけど。

「『運転手』がいるぞッ」「寄せられる――!」

煽り運転というよりは、もっとこれは『危険』な…
それに対して、果たして、『何が出来るのか』     「さて!」

   ギャリ  ン!!

ブッつけ本番、力試しといこう。『キック・イン・ザ・ドア』、その指に『歯車』をはさみ!
そのまま『アヴェンダドール』を、『幅寄せ』てくるその車体を、『ブン殴る』!
勿論、当然、『歯車』は『差し込む』つもりだ。まずは試しの『三秒停止』だ。

28『スリル!』:2019/01/20(日) 23:34:21
>>27(平石)
スイッチを入れて『窓』を開け、
接近する『アヴェンダドール』に『拳』を振るい――――


          スカッ    「!?」


その拳が『空を切る』。
まるでヴィジョンを鉄パイプで殴ったかのように、
手応え一つなく、『歯車』も挿入されなかった。


          ギギギギギッッ!!!


だが、『アヴェンダドール』は依然として、
『ミニ・クーパー』への体当たりを敢行している。
車体のパワー差はある。このままでは『押し込まれる』。


          ブォォ―――――ッッ!!


『緒方』は更にアクセルを踏み込んだ。
『一馬身』ほど距離を取り、車影の攻撃から脱出する。


         「今、確かにヴィジョンの攻撃を『すり抜けた』――――」


既に『130km/h』を超えて、『ミニ・クーパー』は走行する。
追跡する『アヴェンダドール』の朧気な姿は――――


          オォォ   ァァァ アアアアア――――ンンンッッ!!!


『緒方』が『悪趣味』と称した、ド派手なボディーが光り輝く。
より『鮮明』な姿を映し出した『アヴェンダドール』が、
『ミニ・クーパー』の背後にピッタリと張り付いた。


         「スピードを出せば出すほど、

          ――――『実体』を取り戻す……?」

29平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/21(月) 00:16:53
>>28
「『スピード狂の幽霊』ってか?」「バカバカしいとも言い切れないな…」

『キック・イン・ザ・ドア』の拳は確かにスリ抜けた。
『スタンド』ですら触れもしない『スタンド』…だが、『高速』で張り付いてくる車体は、確かに先程よりもよっぽど鮮明――!

「いつも透明で、120キロ出してるヤツに追いすがって、ブツけてきて」
「それ以上の速度で『ハッキリ見える』ようになっていく…」「って感じか」

小さな疑問として『見えない』ハズなのに『煽られて事故る』のは不自然だと思っていた。
何せ『スタンド』は『スタンド使い』にしか見えない。だが、一定以上のスピードの相手に『幅寄せ』『接触』してくるなら事故にもなるし、
あるいは唯一『見えた』って被害者も『スタンド使い』では無いってことも考えられる。
上記のことを口に出して『緒方』にも聞いてもらい、それから、

「(いや、『実体を取り戻す』ってのが曲者だ。その通りかもしれないし、間違ってるかもしれない)」

って思い直した。

「『取り戻す』ってのは」「こんなタイミングであれだが、確認するぞ。『残党』であって『死人』じゃないんだよな?」
「運転手は確かに、目が見えた、と思うんだが」「……いや、『スタンドごと現れたり消えたり』するような『スタンド使い』って」

いるのか? ともかく対処すべきは『アヴェンダドール』だ。背後に張り付かれたらどっちみち拳は届かないだろう。

 ギ  ァ ッ

可能性のあることはブチ込む。とっくに『人が死ぬ速度』だ。
『歯車』をもう一枚発現、『二枚』、『投擲』する! 鮮明になった『アヴェンダドール』に差さるかどうか、だ。
当然、『差さったならば』、『停止→暴走(指定操作は『現状進路・速度を維持』、つまりハンドル操作や加減速には『反発』)』!
差さらなくとも…『運転手』的に、進行方向から飛来物がカッとんでくるのは…普通ならかなり怖い。何らかの反応があるか見る。
何となく『噛み合ない』『カーチェイス』みたいになっているが、

「なんとか『主導権』はこっちが欲しいな。なあ?」

30『スリル!』:2019/01/21(月) 20:56:31
>>29(平石)
『拳』がすり抜ける、不可解な『感触』を確かに覚える。
追いすがる『アヴェンダドール』をハッキリと目視しながら、
『平石』は思いついた考えを、『緒方』へと語り並べる。


    「ええ、そして……もっと言うのであれば――――」

    「唯一、見えた『被害者』は、
     スタンドが見える『サングラス』を掛けていました」


          ギ     ァッ!


『キック・イン・ザ・ドア』は二枚の『歯車』を発現し、
       . . . .
『ドア』をすり抜け、宙を滑りながら、
背後の『アヴェンダドール』へとぶち込んだ。


           ガギャッ!
                        バギャァッ!


二枚の『歯車』はフロントガラスをぶち抜いた。
ヒビ割れて『白化』したせいで、『運転手』の様子は解らないが、
大きく車体が『揺れ』ているのを見ると、ダメージはあるようだ。


――――だが、『暴走』はしない。


>「こんなタイミングであれだが、確認するぞ。
>『残党』であって『死人』じゃないんだよな?」

               . .
          「その、はずでした……」

『緒方』は唇を噛み締める。
彼女の背後にも、機械的なヴィジョンが姿を現した。

                         スチャラッ
                                  チィィ...
  「私の『ロンドン・コーリング』は、

    人々の『息吹』、『バイタルサイン』を読む能力」

  「――――全く以って、在り得ない話の、はずですが……」


          ォ   オ  オ   才  オ .  .  .


        「この『運転手』には、
                         『鼓動』がないッ!」


正体の知れない『アヴェンダドール』から逃げるように、
『緒方』は加速を続ける。―――――既に、『時速140km/h』。


              フ   ッ


不意に、『道路』が消えた。

31『スリル!』:2019/01/21(月) 21:00:01


        『誘導灯』が光りながら、


                            『エンジン音』が響きながら、


        周囲の一切が『漆黒』となる。



                                   ド


                           ド

                                          ド


                                ド


                                       ド



        ―――― ― ― ォォオオオオンンンッ!!!!


      『アヴェンダドール』だけが、その派手な電飾を響かせ、
      『ミニ・クーパー』を刈り取ろうと、四駆を唸らせる。

32平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/22(火) 00:07:24
>>30
「その人のおかげで、『煽り運転』って分かっただけ良かったね、って話だな…
 そして、くそ…ダメージは通るみたいだが…!」

あわよくば、と思ったが、やはり『歯車』は噛まない。
ガラスにヒビを入れさせるほどの手裏剣、その程度の意味合いだ。いや、スリ抜けないのが分かった。良いことだ。

「…鼓動が無い」「…そうか」「いや、そんな気がしてた、ってワケじゃないんだが――『スタンドごと』出たり消えたり、ってのがね」
「『生きた人間が乗ってるわけじゃない』、可能性が、高い」「と」
「うおッ」

そして『漆黒』! 助手席でも驚くのだ、運転手の緊張も最高潮に達することだろう。
『誘導灯』。『エンジン音』。高速道路の光景ではあるが、それだけ抜き出したこの、禍々しいことといったら。死にそうだな。

「だが『地面』はあるし、『ダメージ』も通るってわけだ」

思いついたことは、順番に、全部やる。幸い『運転』は任せられる。

「よく狙うのにも限界はあるが、くそ。ええい!」

既にかなり危険な速度だが、窓から首を出して後方目視!
『アヴェンダドール』の『前輪』を狙うためだ。そいつに『歯車』を踏ませる…平然と乗り越えるか、
いい具合にスピードに乗って、前方の視界も悪いことだろう、ハンドルをミスって『自爆』したら最高だ。さすがにタイヤをバーストさせることはできないだろうが。
だから、再び『歯車を投擲する』ッ!!狙いは『アヴェンダドール』の『前輪』、うまいこと踏むように!

33『スリル!』:2019/01/22(火) 22:45:20
>>32(平石)

        ヴヴゥゥゥ―――z____ 
                            ォォォオオオオ オ゙ ン ン―――――


      「前が、見えない――――」


エンジンが『異音』を発しながら、『ミニ・クーパー』は暗闇を駆ける。
懸命にハンドルを握る『緒方』は冷や汗を吹き出し、壮絶な表情を浮かべている。
『アヴェンダドール』をどうこうするより、『スピード』の維持に精一杯のようだ。


      シュバッ!!


一方、窓から頭を突き出した『平石』は強烈な『風』を浴びながら、
既に車体の半分を追いつかせた『アヴェンダドール』の『前輪』目掛けて、
異能の歯車を投げ放つ。 ――――その一撃は、


            ガギッ
                        ――――『前輪』に踏みつけられ、


                     パシュッ...

『解除』された。
『破壊』による『強制解除』とは異なることを『実感』する。
タイヤに触れて『減速』した瞬間、『歯車』が消え去ったのだ。


           グァァァァァ――――z______


               ゴゴゴッ
                             ギギギギギッッ!!!!

『アヴェンダドール』が鼻先を突っ込ませ、
車体全体を使って、『ミニ・クーパー』を押し込んでいく。
ふと、『緒方』が思いっきりハンドルを切り――――


                ギャァァァァンンン!!!



        ププーッ!!!

                     「なぁーに、やってんだよぉ!!!!」


暗闇の中、クラクションと男の『怒声』だけが聞こえてきた。
息も絶え絶えになりながら、『緒方』が掠れ声を発する。

 
         「ば、『バイタルサイン』が、見えた、から――――」


         「車を、思いっきりズラ、し、」     ギャォォンッ!!!


            プーッ!
                           プーッ!   プーッ!!!

          「私達が『見えて』、ないだけ――――」


                「まだ、『車』がある、……!」


無茶苦茶な軌道で『蛇行運転』をしながら、『緒方』が叫ぶ。

34平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/22(火) 23:36:05
>>33
「―――」    絶体 絶命。
「―――っぐ」

『減速で消えた』…? 『クラクション』。『他の車は存在する』。『漆黒』。何故だ?『高速だから』――?

「落ち着いて『運転』…に、集中してくれ…!
 『バイタルサイン』が見えるなら…『車の流れ』も…くそ、無茶だよな! でもがんばれ、何とかする…!」

実際ブッ飛んだ『無茶ぶり』だと分かっているが、運転自体は頼るしか無い。
もう『停止』したところで(ブレーキでも歯車でも)、『安全な速度』に到るまでに『追突』は免れない…と思う。
ミニ・クーパーがどんなに頑丈か知らないが、既にそういう次元のスピードではない…と思う。

「考えろ―――」「考え――」

『アヴェン・・・長い。『敵』はスタンドで、『高速域』で実体化する(いや、『すり抜けなくなる』か)が、『人』が乗っている可能性は少ない。
ある程度以上のスピードで『漆黒』の、『そう見える』ように『させられる』…? たぶん140キロ以上で。
『何も見えない』、ヘッドライトでも照らせない、暗闇にする。そういう『能力』か。『それ以下の遅さ』は、『見えなくなって』しまう…。
機械の見た目、なのに悔しいことだ。『歯車』が当たったが、『差』せない。―――

>二枚の『歯車』はフロントガラスをぶち抜いた。
>ヒビ割れて『白化』したせいで、『運転手』の様子は解らないが、

「…」「割と的確に追ってきたな…」

ぴったり追って、並んで、寄せて…寄せるのは、横の視界だ。追って並ぶのは、前方の視界だ。見えるのか?あれで?
見えないが、『緒方』のような『能力』? 暗闇で獲物を捕らえるような、そーいう生き物の…車が? 車の『スタンド』…それはハッキリしている…。

「視界無しとして、音…エンジン音はどうする?無し。臭い…排気ガスに個性は無いよな。皮膚、舌…震動を感じて――自分のが邪魔じゃないか?」
「…車に乗っているなら、フロントガラスがあんな状態で、高速走行を、するか…?」「車自体に目があるってのか?」「『ワイルドトラックス』みたいに…」
「あるいは」「別の視界があるのか…」

間違っているかもしれないし、何かに近付いているのかもしれない。
『蛇行運転』にも『アヴェンダドール』は追従しているだろうか? また『寄せ』てきそうか?

「(そして)」「(オレの『スタンド』は…)」「(『時速140キロ以上で走る鉄の塊を、ブッ叩けるのか』?)」

また、そうするべきなのか…?『歯車』は当たった。拳も、今度は当たる。先にすり抜けたのが、幸運にすら思える.よく考えてみれば。
いかに『キック・イン・ザ・ドア』の膂力が人を越えているとはいえ、あんなスピードのものを殴り飛ばすことが…
いや、だめだ。『ここで戦おうという発想』そのものが良くない…! ここは『敵の領域』で『こっちが大いに不利』すぎる。
『スピードを落とせば敵は消える』、それは先程経験した。何より、『何も見えない』のでは、なにもわからない…!

「『どこまで』見える、『緒方』! 『バイタルサイン』だ… とにかく『スピード』を落とさないことには」
「『真っ暗闇』ではどうしようも無いッ! とにかく『敵』が横にいて、『後方』が空いたタイミングに、ブレーキをかけるしか…!」

『キック・イン・ザ・ドア』がどこまで通用するかわからないが、『敵』の体当たりや幅寄せに備えつつ、
『緒方』にさらなる無茶ぶり…『急減速』を要求しよう…! 思いついたことは順番に全部やる。暗いと、わからないのだ。

35『スリル!』:2019/01/23(水) 00:11:10
>>34

「え、えェ、――――ひゃっ!」

         グォォッッ!!
                         ビーッ!
                                     ビーッ!

         「死にてぇのかバカヤロー!」

                       「テメェ殺すぞ星見ナンバー!」

蛇行する『ミニ・クーパー』に対し、
『アヴェンダドール』は猟犬のように容赦なく襲い掛かる。
実体のある『車両』を回避する『ミニ・クーパー』に対し、
それらを『無視』して『一直線』に走り抜け――――

        ガァンッ!
                       ゴガッ!

『アヴェンダドール』の体当たりが『ミニ・クーパー』のボディを歪め、
助手席に座る『平石』の身体を容赦なく揺らしていく。


            ゴスッ!
                        「ぁ う!」


揺れに従って、『緒方』と側頭部同士をぶつけ合う。
絶体絶命の状況下、『平石』は『緒方』に対し、『減速』を指示する。

                        . . . . .
        「で、 ――――『できません』っ!!」

              「エンジンブレーキも、全然利かないッ!」


                ガゴッ!


   「ざけんじゃねェぞゴラァ!」

                                プップー!!

          「マーク貼っとけクソボケェ!!!」


悲痛な『緒方』の叫びを裏打ちするかのように、
スピードメーターは依然として『140km/h』を差し続ける。
『敵の領域』であると察した『平石』の直感は正しい――――


      「あっ」
                      「あああああ!!!!!」


           ギャギャギャギャギャギャギャギャッッッ!!!!!


暗闇の中で『ミニ・クーパー』が滑るように車体を『曲げ』、
タイヤのグリップ力が有るにも拘わらず、体感的な『スピード』が変わらない。
『緒方』が何とか車体を修正しようと、血管の浮いた手でハンドルを回し――――


                  ド

                        ォ
                                  「『アヴェンダドール』ッッ!!!」

                   オ/
                   ・

『ミニ・クーパー』の横っ腹に、『アヴェンダドール』の鼻先が突き刺さる。
このまま押し込まれ、―――――『大破』は免れない。

36平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/23(水) 23:30:33
>>35
『痛感』の極みだ。敵の条件はわかっていた筈だ。最初の『停止』のときに。
そのあとで無計画に『加速』するのを止めるのは、自分自身の役目だった筈だ。
ならばここまで、切羽詰まった状況には陥らなかったかもしれない。気付けた筈だ.推理は可能だった筈だ。
だが後悔しているヒマはない。『減速』は効かない。そういう『領域』。だから視界も利かない。
この『領域』に飛び込むこと自体が間違いだった。いや、今更、その『後悔』すら遅い。
思考するべきは別に在る。少なくとも、『生存』は『絶対条件』だ。考えられる、最も確実な、回避方法。
『遅くなる』ことだ。『アヴェンダドール』は脅威だが本質的ではない――と、思う。
もちろん…『バキバキに罅割れたフロントガラス』ごしに『こっちの横っ腹を正確に狙える』ことは…脅威ではある。

「『滑走』してるわけじゃないんだろう、『緒方』…」「単に…『ブレーキがきかない』だけだ…そうだよな?」
「最大、十秒間だ」「『停止』させるが………」「くそ」「『祈れ』」「無事をな」

もちろん足掻く。
『殴り壊す』ことは出来ないだろう。だが。『突き刺さった鼻先』を、どんなに僅かでも、『離す』こともできないほど、『キック・イン・ザ・ドア』は『非力』か?
『歯車』を『クーパー』に差し込み、ふたたび『停止』させる!
それで『速度の差』が如実に生まれれば、大いに弾き飛ばされるだろうが、こっちは減速し続ける。
しつこく『突っ込んで』くるようなら、『腕力』を以て『どかさなければならない』。
ともかく、試すのは『この環境下での減速』だ。『機械』に噛み込んで『停める』、問答無用の能力。それがどこまで、通じるだろうか…?

37『スリル!』:2019/01/25(金) 21:58:10
>>36(平石)

        | il
        ト   i |        『アヴェンダドール』がぶちかました『助手席』のドアが、
           ホ            『平石』の脇腹に押し込まれ、痛烈な衝撃が走る。

            ア /       だが、『平石』はあがく。
             ・          『歯車』を『ミニ・クーパー』に挟み――――


           ズザザザザザザァァァ――――z_______


『エンジン』が停止し、車載モニタがブラックアウトする。
助手席の『窓ガラス』には亀裂が走り、割れた『フロントガラス』から、
『チャコ』の顔が覗く。『平石』と、視線を交わらせる。

        「ニガ        さ  な   ャ」

                 「アニ、   を」

                    「とお、ぐ     に
                           _/
                   . .
ハンドルを握る『南米系』の青年だった。
ズル剥けた『表皮』、大きく抉れた『頬骨』、凄惨な『死に顔』が、
夜目が利き始めた『平石』へ、否応にも『亡霊』であると告げてくる。

              フォ ・ .    衝突によって、互いに『減速』し、
                  。     ふと、『平石』は『暗闇』から解放される。
                 ’

只ならぬ『暴走』を警戒した他ドライバーが『減速』をしたのだろう、
後続車両がハザードランプを焚き、『後方道路』を徐行している。
――――が、その光景を視界で捉えられたのは、『ほんの』一瞬。


     「い、いやァァァ ァ゙   ァ゙ ―――!!!」


この世の終わりとばかりに、『緒方』は金切り声を上げる。
『ハンドル』の操作が利かない以上、彼女にはそれしかできなかった。


           ズザザザザザザァァァ――――z_______


『実体』を保ったまま、『アヴェンダドール』が突っ込む先、
『湖西PA』へ至る『分岐点』、それを示す『看板』を支える『鉄柱』、
その根本へ叩きつけるように、『ミニ・クーパー』は『押し込まれる』―――――

38平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/26(土) 17:56:39
>>37
『暗闇』は解除された。140km/hを切った、ということだ。減速は『可能』だ。
問題は、『敵』そのものと、そして『速度』…

「『緒方』」「くそ、祈れ!堪えろ…『これはオレ自身も把握できて無い』!!」

   ギ  ァ リリリリリリ リ

『キック・イン・ザ・ドア』の渾身で、『アヴェンダドール』を『連打』するッ!
真っ直ぐ後ろに下がらせるのではなく、『クーパー』の進行方向に向けて、ズラすように、可能ならば、そうなるように『殴る』!
おそらく、それでも、『敵』のパワーは上回ってくるだろう。ならば使うしか無い。だから『連打』を開始するほんの直前、
『もう一枚の歯車』を、『クーパー』に噛ませる。
『指定した操作以外を受け付けない』。『操作や接触に反発する』。二つ目の歯車が機械に与える『能力』――『暴走』だ。
指定する操作は当然、『フルブレーキ』!
『反発』の威力も乗せて、『アヴェンダドール』を『撃退』するッ!!

「っ」

身構え、堪える。平石の理解において、『暴走状態のクーパー』に『接触』しているのは…運転席と助手席の『搭乗者』も、例外ではないからだ。
一発で危険があるわけではない。ともかく『停止』と『連打』と、『反発に耐える』ことを継続する…可能な限り。可能な限りだ。

39『スリル!』:2019/01/27(日) 21:14:29
>>38(平石)


         ギ  ァ リリリリリリ リ

      ド                     ラッシュ
       ガ              「両拳の『乱撃』ッ!」
          ガ   l |
             力  ァ、        「―――それ、でも……!」
                  \_
                     \ /
                            ・

全力であれば『重機』や『ブロック塀』さえも破壊できる、
『キック・イン・ザ・ドア』の『最大出力』が、『アヴェンダドール』に突き刺さる。


           ズザザザザザザァァァ――――z_______

              ブロロロロロォォオオオオンンンッ!!!!


だが、『アヴェンダドール』は健在だ。
『バンパー』や『ボンネット』は歪み、パーツは吹っ飛ぶ。
それでも、『車体』のパワーが上回り、『推進力』は減じない。


        ス       故に、『キック・イン・ザ・ドア』は、
         チ
          ャッ     もう一枚の『歯車』を、装填する。


      パァァンッ!              「ぅ、ぎゃあ!」


『ハンドル』、『アクセル』、『シート』の全てから、
『拒絶』の衝撃を受けた『緒方』が悲鳴を上げる。

それは、『平石』も例外ではない。
まるで『振動』によって弾かれるように、全身を『衝撃』が襲う。


       「こ、これで、本当に――――」


本当に、大丈夫なのか?
『緒方』の問い掛けは、『アヴェンダドール』の軌跡が答えた。


               ヴ
          ゥ           「『チャコ』が、
            _ゥ                        . .
    __―   ̄                      逸れ、たァァ〜〜〜ッッ!!!」
 

『ミニ・クーパー』を動かすために『減衰』した車体に対し、
『キック・イン・ザ・ドア』のラッシュ、そして『反発』のパワーが合わさり、
辛うじて、『アヴェンダドール』が大きく車体を曲げる。


          スゥ     そして、二台の車が、
             ゥ   『湖西PA』まで残り『500m』に迫ろうという時……
           .・
               ・     .『アヴェンダドール』は、まるで『夜』に溶けるように、
                  その『姿』を消していく――――


     「ハァ……    ハァ……

      『チャコ』、消え、ました……ね……」


      ブ、    ブロロロォォォ―――z____


『暴走』の効果が解除され、『緒方』は満身創痍ながらも、
無理矢理『ミニ・クーパー』を走らせ、『スマートIC』を抜けていく。
『高速道路』を降りて、国道へと移動する方針のようだ。

40平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/27(日) 23:02:28
>>39
「…ごほっ」

全力だった。渾身だった。『自爆技』にすら縋った。その『甲斐』はあったようだ。
何とか『運転』と『走行』は出来ている。高速を降り、一般道なら『チャコ』は出てこない。出てこないだろうか?

「危なかった…」「荒っぽくなってスマなかったな」

窓の外に目をやりつつ、

「『にがさな』… 『にがさなきゃ』 か?」
「『あに を とおくに』」
「『チャコ』の…『スタンド』だか『亡霊』だかが、そう言っていた気がする」
「『あに』?兄弟がいるのか、それとも名前か」「知っているか?」

先程の戦闘中に聞こえた、亡霊の言葉。何かの手がかりになるだろうか。『緒方』に質問してみる。

41『スリル!』:2019/01/28(月) 00:08:08
>>40(平石)

        ――――  トゥン♪

             ≪料金 ハ 410 円 デス≫

『一般道』を抜けてからも、『平石』は安心できない。
敵影が映らないか、ミラーを注視するが、
『アヴェンダドール』が追ってくる気配はない。


      「彼に血の繋がった『兄弟』がいるかどうかは、
       私も調べてはいませんが……」

      「『エクリプス』に出入りする切欠となり、
       『チャオ』が最も尊敬していた、『兄貴分』の男」


ハンカチで冷や汗を拭いながら、『緒方』は質問に答える。


      「『吉仲瞬一』、元々は『チャオ』が働いてた、
       .大手の『自動車工場』の部門長でした。

        『エクリプス』に必要な物資や製品を手配し、
        『チャオ』を通じて運んでいた……」


『ミニ・クーパー』はただっ広い『駐車場』に停まった。
大型の『複合商業施設』だが、駐車場を中心とし、
『コの字』に低層のテナントが並ぶ、『オープンモール』のタイプだ。


      「彼は、『タダヒト』さんが、その手で『再起不能』にしましたが、
         『チャオ』は彼と共に、あの『アヴェンダドール』で逃走しました。

       出血量も多く、共に『高速道路』での『自動車事故』によって、
       『再起不能』になったと、伺っていました」


       ガチャッ


憔悴しきった表情だが、『緒方』はヨロヨロと運転席から出ると、
後部座席からハンドバッグを取り出し、『平石』を見やる。


      「まずは、『アヴェンダドール』の能力を、考えましょう。
       ……その上で、私達がこれからどうするのか、決めなければ」

42平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/28(月) 00:26:16
>>41
『緒方』に続いて、車を降りよう。
体に怪我や異常がないか、ちょっと屈伸して確かめよう。

「…あにをとおくに。アニ、をとおくに」「『兄貴を遠くに』か?」

どう聞こえたかを反芻しながら、『緒方』の話と繋ぎ合わせてみる。
兄貴を遠くに逃がさなきゃ、と言ったとすると、その話は繋がるように思う。

「『再起不能』…『死んだ』ってことか?」

確かにあの『顔』は、生きた人間のそれとは言い難かった。
『幽霊』になって、いつまでも事故り続けているのだろうか。なんともやりきれない話のように思える。

>      「まずは、『アヴェンダドール』の能力を、考えましょう。
>       ……その上で、私達がこれからどうするのか、決めなければ」

「そうだな。賛成。」「ドッとつかれた」

どうするのだろう。どこか店で休むのだろうか。着いて行くことにしよう。

43『スリル!』:2019/01/28(月) 21:46:28
>>42(平石)

            ググ...
                     ―――ビキキッ !


降車したその場で軽く屈伸するが、全身の節々が痛む。
急カーブや急ブレーキに身体を強張らせた『引き攣り』が多いが、
『アヴェンダドール』の衝撃を受けた『脇腹』は、ズキズキと痛みが走る。

だが、『キック・イン・ザ・ドア』の操作に支障が出るほどではなく、
あの『カーチェイス』を思い返せば、『奇跡的』な軽傷と言えるだろう。

                 ・

                 ・

                 ・


    「『兄貴を遠く』に、
     ――――『チャコ』が、そう言ったと?」


『ホームセンター』の『フードコート』に、二人は腰を落ち着けた。
他の店もあったが、『緒方』の買い物ついでに立ち寄った形だ。


    「……間違いなく、死んでいるのでしょうね。
     その最後は『交通事故』だと、聴いてますから……」


二人の『生死』を問われれば、『緒方』は言葉を濁しながら、呟いた。
知り合いが手を下したとなれば、『悪人』とは言え、やるせないのだろう。


『緒方』は紙パックの『オレンジジュース』を飲み終えると、
購入した『スケッチブック』に、サインペンで何やら書き込んでいる。


    「あの『アヴェンダドール』の能力について、

     ……私達が『体感』した限りを、図式してみました」


運転中は『恐慌』していた『緒方』だったが、落ち着きを取り戻したようだ。
手中のスケッチブックをひっくり返し、白黒の『図』を『平石』に確認させる。

44『スリル!』:2019/01/28(月) 21:48:31
>>43
【時速120km/h】

←━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【現実世界】━
←::::【加速世界】::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
              [アヴェンダドール]
←::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::│::::::::::::::::::::::::::::::::::::【加速世界】:::::
                    ↓
              [アヴェンダドール(影)]

                     [ミニ・クーパー]
←━【現実世界】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

       ┌────────────────────┐
       │加速する『アヴェンダドール』は、          │
       │『ミニ・クーパー』を一方的に攻撃できる!    │
       └────────────────────┘



【時速130km/h】

←━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【現実世界】━
←::::【加速世界】::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
              [アヴェンダドール]
←::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::↑::::::::::::::::::::::::::::::::::::【加速世界】:::::
                    ↓
              [アヴェンダドール]

                     [ミニ・クーパー]
←━【現実世界】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


       ┌───────────────────┐
       │『アヴェンダドール』は実体を取り戻し、    .│
       │此方からの攻撃が通じるようになる!    ...│
       └───────────────────┘

【時速140km/h】
←━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【現実世界】━
←::::【加速世界】::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
              [アヴェンダドール]
                    ↑
                    │ [ミニ・クーパー]
←::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::│::::::::::::::::::: ↑::::::::::::【加速世界】:::
                    │       .|
              [          ]  .!
                          ↓
                     [ミニ・クーパー]
←━【現実世界】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


       ┌───────────────────────┐
       │『アヴェンダドール』は『現実世界』から消失し、      │
       │『ミニ・クーパー』を『加速世界』に引きずり込む!    │
       └───────────────────────┘

45平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/29(火) 20:57:06
>>43-44
「そう、聞こえたってだけなんだがな」

『フードコート』で一息つきながら、こたえる。
煙草は吸いたいがどうせ『室内禁煙』だ。帰ればいつでも吸える。帰れば。

「その図に加えることを言う前に、オレの能力を説明しておく」
「知ってるか? それでも一応は聞いてくれ」「『歯車』を噛ませる。一枚なら『機械を停止させる』。二枚噛ませると『暴走』させる」
「そういう『能力』だ。あと力も強い。その上で」

「『アヴェンダドール』には、オレの『歯車』が噛まない」

「実体化した時に当たった筈だが、ガラスが割れただけだった。干渉はできるが、あれは『機械』ではないってことだ」
「まあ…『運び屋』的にはスゴくいいんだろうな。どこでも車が出せるし、渋滞知らずだ。『加速世界』ってのは良いね」
「オレの意見で付け加えるなら、『アヴェンダドール』を『逸らす』ことは可能だが、破壊はできないってところだな」
「感覚として『限界』が知れたのは良いことだが、状況的には良くないな」

可能なら『スケッチブック』にメモ書きを加えつつ、言う。

「一息にこちらから言うばかりで悪いが、それはそっちでまとめてくれ。
 ヤツを『破壊』することは現状、無理だ。対抗策を言うぞ。非現実的なことだ。
 戦車で走ってみる。まあ今スマホで調べたが、140キロも出せる戦車は無いし運転もムリだろ。
 ここからは単純に、オレの聞いたことから発想した疑問だ」

「『逃がさなきゃ』って言ってんのに、なぜ逃げずに『ぶつかってくる』のか?」

「『兄貴を遠くに逃がす』って言ってるように聞こえた。なのに逆だ。延々ぶつかり続けてる。事故り続けているわけだ」
「そこが引っ掛かるんだが」「『幽霊』で」「『そこから離れられない』みたいな」「そーいう話なら、『スタンド使い』より『霊能者』のほうが適任じゃないか?」
「あんがい『供養』してやったら成仏したりして」「いや、そんな顔しないでくれ。冗談だよ」

とにかく思いついたことを述べてみる。少なくともここは安全地帯だし、意見交換の場でもあるだろう。
変なところに気合の入ったホラー・パニック・エンタメ映画なら、設定をガン無視して幽霊が突っ込んでくるかもしれないが。

「何にせよ、どうやれば『根を絶てるか』だよな。オレは運転手の顔を見たが、ありゃどう見ても『死体』だった」
「そいつを例えば破壊できたとして」「死人を殺せるって法は無い気がする。それとも『実は生きてた』かだな…」

思いつくままに喋っているが、確認しようがない/多分そうではない、という感覚は強い。
今のところは、『その可能性を潰すために言葉を発している』という感じだ…。

46『スリル!』:2019/01/30(水) 19:42:18
>>45(平石)
頭を整理するための矢継ぎ早な『考察』を、
『緒方』は最後まで訊き届け、厚手の封筒を出した。

「解りました。唯、私が『重要』だと理解したのは、

 貴方が『機械』を操れる、その一点が最も重要」

『封筒』には、分厚い『札束』が覗く。

「スタンドエネルギーで操る『機械』なら、
 スタンドに干渉できるはず。

 つまり、『アヴェンタドール』を『破壊』できる。
 そうでしょう、『平石』さん?」

『ホームセンター』、『家電屋』、『中古車センター』、
数多の『販売店』が集うモール、機械は選り取り見取りだ。

47平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/01/31(木) 23:20:27
>>46
「(実際『生きてる』可能性だってゼロってわけじゃ…)」

>「スタンドエネルギーで操る『機械』なら、
> スタンドに干渉できるはず。

> つまり、『アヴェンタドール』を『破壊』できる。
> そうでしょう、『平石』さん?」

「………」
「……」
「…」

そういうものなの?

「そーいうもんか」「うん」「なるほど」

戦車は要らないというわけだ。
考えよう。130km/hは絶対条件として、『クーパー』は道具を使うのに適さない気がする。
『アヴェンダドール』と鍔迫り合いするのは大いに危険だ。
何より、『暴走』させられるのは一つだけ。…当然だ。『停止』した道具で何をするっていうんだ?

「『スタンドに干渉できる』か…」
「『手で扱う』道具は駄目だ。『反発』が起こる。『暴走』させた上で、『扱う』必要がない、」
「…『危険なもの』」

爆弾だ。市販の肥料だけで爆薬を作ることはできないし、それが『スタンド』に効くわけがないが、
『暴走』――危険な不具合を起こして爆発する『機械』なら、爆弾にできる。
電化製品。バッテリーなら良いだろう。だが『最悪の事故』を最小の被害に抑える造りでは? 炸裂しても規模は意外に小さいのでは。関係ないか? いや、不安だ。
燃料式はどうか? 爆発力は燃料のタンクの大きさ次第か。点火装置と燃料を遮断する機能を暴走させれば良い。車一台を走行不能に破壊するのは、期待ができる。
燃料式だ。車。本末転倒だろう。ガソリン式の農業機械。タンクが小さい。人間ではなく車をフッ飛ばすのだ。溶接機。電源とガスがいる。だめだ。
単独で、燃料があれば稼働して、燃焼室を『暴走』させて、手頃な……

「発電機はどうだ」

不謹慎な話だが、『爆発』に関してはある程度『実績』もある。そういう『事故』が発生している。
そうした事例はあくまで飛び散った燃料が原因で大惨事を引き起こしているものだが、かといって『爆発』そのものが、
『車のボンネットなり、シャーシ下なり、あるいは運転席で』発生したならば、十分に『危険』な現象であることに変わりはない。

「軽トラと、大型の発電機と、トラックシートだな」「…お金、足りる?」

48『スリル!』:2019/02/02(土) 20:27:51
>>47(平石)
『平石』は『発電機』の『爆弾』を想定し、
加えて、運搬に必要な『資材』を提案する。


    「……いいですね。
     かの震災以降、ホームセンターでも
     取り扱いが増えているはずです。

     私は『トラック』を用意してきますから、
     『平石』さんは他の物資を調達してきてください」


購入に様々な『申請』が必要なのだろう。
『緒方』は『トラック』の購入を申し出、封筒を『平石』に押し付ける。


>「…お金、足りる?」


     「この『仕事』は、本来は『3人』以上で行うはずでした。

      『曳舟』の手配違いか、貴方一人だけになってしまいましたが、
      ……ともかく、余剰な『報酬』が残っている、ということです」

渡された『封筒』から、確かな質量を感じる。
『金』は十分なようだ。

49平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/02/02(土) 23:45:50
>>48
「分かった」「…」

『余分な報酬』を渡されたとき、渋面を作らないように努力しよう。
ネコババされる可能性を考えていないのか? いや、思い直せばネコババしたところで絶対に追い詰められるのか。
それにしたって、素直に渡しすぎではないか。

「と、上の空のオレがスリだとかひったくりにあったら目も当てられないな」

気を取り直し、『ホームセンター』に向かおう。発電機とトラックシートが目当てだ。
大体売ってあったとして、最大のものでも40kgそこそこだろう。『キック・イン・ザ・ドア』で充分に投擲できる筈だ。そういうのがいい。
それにトラックシート。…そうだ。『荷台』で待機するわけだから、余るだろうお金でハーネス安全帯とランヤードも調達しておきたい。
万一の場合、時速140kmで放り出される可能性があるからな…。


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