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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2
439
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』
:2017/04/12(水) 23:09:29
>>436-437
「……」
「……」
「……」
しばらく無言のままで、この女性の話に耳を傾ける。
聞き終えると、自分はどうすべきかを考え始めた。
あくまで個人的な感覚ではあるけれど、彼女の話は全くの偽りとは思えない。
こんな大掛かりなことをしているということが、それを裏付けているように思える。
そして、父とのやり取りは、自分が交わした夫とのやり取りを思い起こさせた。
やがて――いくらかの逡巡の後に自身の行動を決定する。
「……あなたの夢のために――」
「あなたがお父さんと約束した夢のために――必要なことなんですね?」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「もし、そうなら――お 手 伝 い し ま す」
悩みを抱えている人間の力になりたいという自身の性質。
そして、彼女の境遇に同情する気持ち。
その二つの要因が重なり、一つの言葉となって発せられていた。
ただ――そう言いながらも、頭の中は未だに酷く混乱していた。
そのために思考力が鈍っていたことは否定できない。
もし、この時の自分の言動を後になって振り返ってみたとしたら、
疑問を覚えることになっていたかもしれない。
しかし、今の自分は、この場を覆い尽くす独特の雰囲気に圧倒されてしまっていた。
この『異様』とも言える特有の空気の中で、普段通りの判断力を保つことは難しい。
今この時において、確かなことはそれだけだった……。
そんな折、『アイアン・セイヴィアー』がスタンドを振り翳す光景が視界に入った。
謎の女性の味方をする――という訳ではないが、これは止めなければいけない。
確かに彼女は、彼女自身の目的のために、自分達を閉じ込めている。
けれども、あの鋼の剣で攻撃されなければならない程の悪人でもない。
ここで攻撃したら、それこそ取り返しのつかない結末になりかねない。
ザッ
「――待って下さい!
あなたが彼女を危険視する気持ちも……理解できます……。
ですが、穏便に解決できる可能性も、まだ残っているのではないでしょうか……」
「もし力による解決が必要になった時は、微力ながら私も助力するつもりです。
ですから――どうか……どうか、ここは剣を収めていただけませんか……?
お願いします……!」
『アイアン・セイヴィアー』の正面に立ち、彼の瞳を見つめて懇願する。
その右手には、先程落としかけた『スーサイド・ライフ』が握られている。
『剣』と『ナイフ』の対峙――もしかすると傍目には、そう見えるかもしれない。
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