したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

439小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/12(水) 23:09:29
>>436-437

  「……」

  「……」

  「……」

しばらく無言のままで、この女性の話に耳を傾ける。
聞き終えると、自分はどうすべきかを考え始めた。
あくまで個人的な感覚ではあるけれど、彼女の話は全くの偽りとは思えない。

こんな大掛かりなことをしているということが、それを裏付けているように思える。
そして、父とのやり取りは、自分が交わした夫とのやり取りを思い起こさせた。
やがて――いくらかの逡巡の後に自身の行動を決定する。

  「……あなたの夢のために――」

  「あなたがお父さんと約束した夢のために――必要なことなんですね?」

              ・  ・  ・ ・  ・ ・  ・
  「もし、そうなら――お 手 伝 い し ま す」

悩みを抱えている人間の力になりたいという自身の性質。
そして、彼女の境遇に同情する気持ち。
その二つの要因が重なり、一つの言葉となって発せられていた。

ただ――そう言いながらも、頭の中は未だに酷く混乱していた。
そのために思考力が鈍っていたことは否定できない。
もし、この時の自分の言動を後になって振り返ってみたとしたら、
疑問を覚えることになっていたかもしれない。

しかし、今の自分は、この場を覆い尽くす独特の雰囲気に圧倒されてしまっていた。
この『異様』とも言える特有の空気の中で、普段通りの判断力を保つことは難しい。
今この時において、確かなことはそれだけだった……。

そんな折、『アイアン・セイヴィアー』がスタンドを振り翳す光景が視界に入った。
謎の女性の味方をする――という訳ではないが、これは止めなければいけない。
確かに彼女は、彼女自身の目的のために、自分達を閉じ込めている。
けれども、あの鋼の剣で攻撃されなければならない程の悪人でもない。
ここで攻撃したら、それこそ取り返しのつかない結末になりかねない。

     ザッ

  「――待って下さい!
   あなたが彼女を危険視する気持ちも……理解できます……。
   ですが、穏便に解決できる可能性も、まだ残っているのではないでしょうか……」

  「もし力による解決が必要になった時は、微力ながら私も助力するつもりです。
   ですから――どうか……どうか、ここは剣を収めていただけませんか……?
    お願いします……!」

『アイアン・セイヴィアー』の正面に立ち、彼の瞳を見つめて懇願する。
その右手には、先程落としかけた『スーサイド・ライフ』が握られている。
『剣』と『ナイフ』の対峙――もしかすると傍目には、そう見えるかもしれない。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板