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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

368『そらの異邦』:2016/11/17(木) 20:25:05
>>367

 貴方は、『霊薬』の造り主である。 『こうら』
彼の老人を思い出した。日が沈んでいくのを確認しながら
 コーラを製造する機械音が響く建物を通過し、街燈が街並みを
照らそうとする中で、貴方は再びあの倉庫の場所に戻って来た。

 こうらさんは、その場所にいた。小さなストープがパチパチと音立てる中
その上には小さな鍋が煮え立っており、食欲が少し湧くスープの香りが漂う。
 
 老人は、遠い場所を最初こそ見つめていたものの。貴方が声をかけると
再び生気を瞳に宿し、そして僅かに安堵の色を浮かべ口開く。

 「戻ってこれたか……悪魔には、出会えたか?
霊薬は、どうやら飲んだようじゃな。効能は今日中に消えるじゃろう
 純度がな、アレでも低い。十年か前であれば三日三晩意識が淀みなく
覚醒するものとて作れたが……材料は、もう手に入れるのが叶わなくてな」

「……もう何十年も前になるかな。儂は あの悪魔に出遭った。
昔の頃の儂の姿を借りて、昔の儂の声を使い……
 奇妙な奴だったよ。だが、どうも憎めない奴じゃったな」

そう、過去を懐かしむ老人の声は懐古の念に溢れていた。

 『うん? 何だこの爺さん。俺達、精神寄生生命体の宿主なのか?
いや、でも過去形だな……ぉぃぉぃ 俺達 寄生生命体を この爺さんは
消し去ったって言うのか!? どんな末恐ろしい事をしたって言うんだ…』

 エイリアンは、如何にも怯えた口調と 貴方の姿を織りなす。
老人の話は続く。

 「……この町はな。昔は全ての者が 本当の家族のように 支え 
生命の躍動感に溢れていた。
 だが、今や 
今や、この常陽町には。翳りだけが 目に付く……振り払う術も力も儂にはない。
 仲間も、もう居ない……儂は、酷く疲れたよ とても疲れた。
…………儂 は ……一人 か
 この 呪われてしまった  町  で……一人  終わりまで 立ち続ける
 ………………だが それ でも。
儂は…………この町と添い遂げると 決めたんじゃ…………」

 こうらさんは、瞼を閉じかけようとしていた。
命に別状はない、ただ 酷い睡魔に覆いつくされようとしてるだけだ。


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