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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

246『そらの異邦』:2016/09/18(日) 09:42:42
>>245(お気になさらず、こちらこそ返信遅れて申し訳ありません)

貴方は日が暮れてから廃ビルに向かう事を考える。正午辺りから出たと考え
星羅に見送られ電車で二時間、コーラ工場を適当に見回ったのも含めても
約二時間半と言った程度。いまの時節は未だ幾分涼しい時節に差し掛かってるとは
言え十分に太陽は空を照らしてる。時間を潰す事に支障はない

 >やぁ、こうらさん、だっけ? ご機嫌いかが?

  
    「……   ?  ……っ !   ?!」

蛇喰は興味と悪戯心を交え、先ほどの話の件の人物である『こうらさん』へ
ウイスキーをチラつかせるようにして、話しかけた。

 変化は如実にその時起きた。夢現な力ない瞳で脱力した顔を浮かべた老人は
貴方のほうに顔を向け、そして声を掛けられた事に気づくと同時に、その顔には
力が込められ、瞳には先ほどとは異なる強い光が灯るのを視た。

 「お前さん……っ お前さんは……この町のもんじゃないな? いや、何も言うなっ!」

生まれたての小鹿のように足を震わせつつ起き上がりながらも、片手を壁に支え空いた手で
貴方の口元へ翳すようにして言い切る。その声には生気と正気が伴っている。
 ウイスキーなどに目は暮れてない。ただ、『執念』とも言える『必死』さを老人は気配に滲ませてる。

「儂は、この町にもう何十年。いや、生まれた時からこの年まで一月単位で離れた事ない!
全てとは言わずも町の者の顔は見れば良く解る! お前さんが余所者かどうかぐらいもな。
 ――逃げろ。早く逃げろっ 悪い事は言わん。いますぐ此処からっ 町から!」

 こうらさん、は震えていた。薬や酔いではない、あからさまな『恐怖』がその顔や体に張り巡らされていた。

「何故、この町へ来た?? このっ この町は……もう儂の知る町ではないっ。
いいかっ、よく聞け。儂が狂ってると、まともだと告げる者等は言うっ。
それでも、頼むっ。お願いだ、狂人の言葉だと思っても受け流さず、聞いてくれ。
 ――この町は呪われてるんじゃ。
何処も、何処も儂の知る昔のまま、自然と移ろいゆく変化はあるものの平凡な日常の風景の中に。
言葉では……言葉では、あぁ言えん! 表現が出来ん。だが、だが何処かが異常だと儂は知ってる!
まるで普段住んでる国の中に、一つだけ異様な国がすぐ隣の家の裏に突然建てられたように。
だが、誰も気づかん。儂が必死に他の者に告げても聞き入れようとせん……『異邦』
そう、まるで自分自身が何処か別の国の人間なのでは? と疑ってしまう。だが、儂はこの町の者だ
どんなに身も心も踏みつぶされ変わり果てようと、この町で生きこの町で死ぬんじゃ。
そうせねばならん……そうせねばならぬ。
 ……あんたは、あんたは何処か普通の人間と異なる気配を宿してる。何処か……そう、儂が以前
出逢った『悪魔』のように、何か特別さを 感じる。
 あんたの、あんたのもしかすれば助けになるかも知れん。
逃げる事が出来ぬ、と言う理由あるならば。来なさい……残り少ないが、あんたの役に立てるかも知れん」

 『こうらさん』は、そう堰を切るように喋ると。ゼェゼェと息を切らしつつ、少しおぼつかない足取りながらも
先導となって歩き始めた。……付いて行けば、老人の住む家屋に辿り着くだろう。
 だが、話はまともそうであるが。窪田曰く彼は心と頭に障害を負ってしまった哀れな病人らしい。
彼の話を真と捉えるか、それとも戯言と見るかは……貴方次第だ。


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