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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

157小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/07/17(日) 19:45:19
>>156

  ――この女性(ヒト)が……『ゴースト』……。

     ドクンッ

背後にいる者の正体を確認し、思わず息を飲む。
その透明感を帯びた姿を一目見ただけで、『彼女』が自ら名乗る前から、それが誰なのかは理解できた。
初めて存在を知った時から、会ってみたいと思っていた『ゴースト』――その『彼女』が、
自分の目の前に立っているのだ。
こうして相対してみると、彼女からは確かに自分と似たものを感じる。
それは外見の共通点というよりも、むしろ内面から滲み出る雰囲気によるものだ。
そのことに気付いた時、小人達が自分と『彼女』を見間違えていた理由も納得できた。
そして、また新たな疑問も生じる。
『彼女』が身に纏う『哀愁』は、どこからくるものなのだろう?
愛する者を失った自分と同じように、『彼女』にも何か背負っているものがあるのだろうか……。

  「――初対面でこんなことを言うのは失礼かもしれませんが……
   私はあなたに『不思議な親近感』を覚えています。
   あなたに近付いていく度に、その思いは強くなっていきました……。
   あなたという人が他人とは思えないのです」

こちらに向けられた文字通り透き通るような『彼女』の瞳を見つめて口を開く。
向かい合っていると、まるで鏡を見ているような気分だ。
しかし、改めて考えてみると、不思議な道のりだった。
最初は、取材に行き詰まっていた有菜を手助けするためだった。
だが、思いがけず小人達と出会ったことで、少しずつ奇妙な世界に引き込まれていった。
そして、最後には自分の意志で、工場を司る『ゴースト』に会いたいと強く思うようになっていた。
こうして、もう一人の自分とも思える『彼女』に巡り会ったことは、果たして偶然なのだろうか。
最初に足下に転がってきた金平糖(リトルスター)――その導きに従った自分がここまで来たのは、
もしかすると『運命』だったのかもしれない。
今の自分は、そんな心持ちだった。

  「ですから――教えて下さい。あなたのことを。そして、この場所のことを。
   もし、あなたが話したくないなら、全てを教えて欲しいとは言いません。
   ですが……できる限りのことを話してもらいたいのです」

もし――これが『運命』だというのなら、自分は受け入れよう。
だからこそ、自分が知ることのできる全てを知っておきたい。
自分の意志を伝え、静かに『彼女』の返事を待つ……。


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