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【場】『 私立清月学園 ―城址学区― 』

1『星見町案内板』:2016/01/24(日) 23:57:56
『H城』の周囲に広がる『城址公園』の敷地を共有する『学び舎』の群れ。
『小中高大一貫』の『清月学園』には4000人を超える生徒が所属し、
『城郭』と共に青春を過ごす彼らにとって、『城址公園』は広大な『校庭』の一つ。

『出世城』とも名高い『H城』は『H湖』と共に『町』の象徴である。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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408火野一稀『ザイセルフ』【高2】:2018/10/24(水) 04:50:26
>>407

「なるほどなァ……流れ、ね」

その言葉にあまり共感は出来なかった。
目の前の彼女と自分が同じ人間でありながら別人なのだと理解する。
人の中にあって流れを感じない時はなかった。
だからその流れの中で真っ直ぐに立つと決めた。
流れに逆らってでも真っ直ぐ歩くと決めた。

「多分……お前んとことはやってねェも思う」

わざわざ喧嘩をした相手の名前や所属している組織を聞き出したりはしない。
そういうのを必要としないのだ。

「別にあだ名とかはねェ」

そこまでの仲の相手はいない。
小学生の時でもあだ名はつけられなかった。

「別に下の名前でもいいけど、せっかくなら付けてくれよ」

「センスとかきにしねェし」

少し欲しがってみた。
人生を振り返る歳ではないが、いつか貰っておけばと思うかもしれない。
どうせなのだから、貰ってしまおうと思った。

「アタシも呼び方考えた方がいいか?」

409日沼 流月『サグ・パッション』【高2】:2018/10/24(水) 06:05:05
>>408

「流月、流れに『逆らう』のは好きなんだけどさ。
 ずっと逆らい続けなきゃいけないのは疲れるじゃん?
 それって、ただ逆向きに流されてるだけっていうか……」

「だから『流れ』が無い場所も欲しくなるわけよ」

               へへっ

日沼 流月の笑いはふざけた笑いで、
意味のない笑いなのかもしれなかった。
意味は、いらない・・・無くて"も"いい。

「へー、ないのね。それじゃせっかくだし考えようかな。
 ……『逆に』さ、フルネームで呼ぶとか考えたけど、
 それって流月が呼びづらいだけだから本末転倒だよね。ぷぷ……」

少し考えるような顔つき手つきで、巻いた髪を指で巻き直した。
ネジが巻き直されるように、思い出したように手を打った。

「だから! 『ヒノッチ』でいいんじゃね? って思うわけよ。
 これくらいのが流月が呼びやすいし、覚えやすいでしょ?
 変にひねったあだ名より、呼ばれた時『反応』しやすいでしょ!」

           にっ

「決まりね、ヒノッチ」

と日沼は新しく笑って、あだ名らしきものが決まった。
ずっとそう呼ばれるのかは分からないが、そういう流れが出来た。

「……ん? 流月の呼び方は流月でいいけど?
 考えてくれるなら……楽しみにしてみよっかな!
 それとも逆に全然期待しないでいる方がよかったり〜?」

410火野一稀『ザイセルフ』【高2】:2018/10/24(水) 23:54:03
>>409

腕を組む。
流れや逆らうという言葉。
そこを大事にしている、というかそこにこだわりがあるのだろうか。

「ヒノッチ……あー、いいんじゃねぇかな」

特に断る理由もない。

「期待しないでいい」

「流月でいいなら流月でいいだろ」

411日沼 流月『サグ・パッション』【高2】:2018/10/25(木) 00:30:33
>>410

「ヒノッチ、クールだね〜。
 じゃあ流月って呼んでちょうだい。
 なんだかんだそれが自然だし」

    ヘヘ…

日沼は軽い笑いを浮かべる。
それから、下ろしていた腰を上げ、
スカートの埃を落としながら動き出す。

      ザッ

「じゃ、仲も深まったということでね、
 流月はあっちに寝に戻ろうと思うわ。
 でもなんか用事あったら起こしてね」

「『自撮りがツイッターで10リツイートされた』――――
 ってくらいの用でもいいよ。ぷぷ、そういう柄でもないか」

   ザッ

     ザッ

             ゴロ

そういうと日沼は元の位置に帰り、
元と同じような転がる姿勢に戻る。

つまり、お互い元の自分の目的に還るわけだが、
なにかまだ話したい事があるなら多分日沼は起きる。

412火野一稀『ザイセルフ』【高2】:2018/10/25(木) 23:29:30
>>411

「クールか? そうか」

火の文字を持つが案外クールなのかもしれない。
ぶっきらぼうなだけなのかもしれないが。

「分かったよ、流月」

寝に行く彼女を止めはしない。
火野は座ったまま目を閉じた。
風が吹いていた。
それ以上、火野は話さなかった。
彼女自身も暇をしていたのだ。
特にあてもなくたどり着いた屋上。
そして一時の会話。
それで十分だった。
だから、それ以上火野は話さなかった。
静かに眠った。

413今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2018/12/19(水) 23:51:25

         ビュ   オオオっ

「寒〜〜〜〜っ」
「いや〜寒いですね! もう12月だもんなあ」

            『モウ少シ、厚着スベキデス』
            『帽子ナド 被ッテミテハ?』

「いや〜、だって1月とか2月はもっと寒いでしょ?」
「今本気で防寒すると、後がなくなるといいますか」

偶然一人で、通学路を歩いている。
これは帰り道で、空は少し暗いくらいの時間。

傍には先生が出てるから、もしかしたら目立っちゃうかも。
あんまり見える人っていないし、見えてない方が変な子だと思われそうだ。

変じゃないし、フツーなんだけど。

414小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/12/23(日) 16:38:24
>>413

   コツ 
        コツ 
             コツ

近くの脇道から靴の音が聞こえ、まもなく喪服を着た人影が姿を現した。
喪服の上から藤色のコートを羽織っている。
黒い帽子の下で、視線が少女とスタンドに向けられた。

  「こんにちは……」

  「また……お会いしましたね」

       スッ――

その顔に穏やかな微笑を浮かべて挨拶し、丁寧に頭を下げる。
そして少女の隣に立ち、共に歩き始めた。
向かう方向は同じらしい。

  「――今お帰りですか?」

冬の風は冷たく、暖かさが恋しくなる季節だ。
だけど、この凛とした空気を吸うと、心が引き締まるような思いを感じる。
だから自分は、どちらかというと冬が好きな方だった。

415今泉『コール・イット・ラヴ』:2018/12/23(日) 21:48:43
>>414

「あっ、どうもどうも。お久しぶり」
「ってほどではないか」

               『コンニチハ、小石川サン』

「こんにちは小石川さん。お元気ですか?」

            ニコニコ

思いがけない知り合いに会って、ちょっと驚く。
道が一緒なのかな? 意外とご近所だったりして。

「ええ、学校から出たところでして」

家まではまだけっこう、時間がある。

「いや〜、お話する相手が出来て良かったです!」
「今日ばかりは、一人で歩く羽目になると思ってたから」


               『先生モ イマスヨ 今泉サン』

「先生は特別枠ですよ!」
「テレビで言うと私と先生はMCと言いますか」
「今日のゲストが小石川さんって感じで」

それにしても今日は寒い。
寒さって、みんな同じように感じるのかな。
だったらそれは、フツーに良いことだと思う。

「小石川さんも、どこかにお出かけだったんです?」

416小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/12/23(日) 22:48:33
>>415

「私も、今泉さん達とお話ができて嬉しいです」

「今は何となく寂しい気分だったもので……」

歩調を合わせて歩いていく。
自分も、ちょうど誰かと話をしたい気分だった。

「ゲスト――ですか……」

「よろしくお願いしますね」

そう言って、緩やかに口元を綻ばせる。

「私は……この辺りを少し歩いていたんです」
 
「散歩をするのが好きなので……」

二人の間を静々と微風が流れる。
その風に乗って、仄かなラベンダーの香りが辺りに漂う。

「自然公園の方へ行くことも多いです」
 
「森林浴――のようなものでしょうか……」

自然公園の木々の中を散歩することは多い。
心が乱れている時は、自然の中で過ごすと気持ちを落ち着けることができる。

417今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2018/12/23(日) 23:13:02
>>416

「私の場合、先生と二人分ですからね!」
「寂しいなんてのとは無縁にさせますよ」

         『ソノ通リデス』
         『ワタシハ “ココロ”ヲ 癒ス能力デハ ナイデスガ』
         『話セル トイウ事ガ ソノ代ワリニ ナリマスノデ』

「そんな大げさな事でも無いとは思いますが」
「えーと、よろしくお願いしますっ」

なんか重めな事を言い出す先生と、小石川さんと並んで歩く。

「散歩ですか〜、いいですね」
「森林浴もいいですね」
「森林浴、すごく小石川さんって感じ」

ラベンダー?だっけ、このにおい。
小石川さんって『花』のイメージがある。

「私、遊びに行くのってストリートの方が多くって」
「自然公園ってあんまり詳しくないんですよね」
「ピクニックとか、友達と行ったりはフツーにしますけど」

        『タマニハ 草花ニ 囲マレルノモ イイモノデスヨ』

「ですよね!」

「そこでなんですけど」
「小石川さんおすすめのスポットとかあります?」

418小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/12/24(月) 00:06:29
>>417

心を癒す能力ではない。
その言葉を聞いて、無意識に『コール・イット・ラヴ』へ視線を向ける。
見抜かれているような気がしたからかもしれない。

  「……今泉さんの先生は、いつも傍にいてくれるんですね」

  「素敵なことだと思います」

自分には、その人がいなくなってしまったから。
だけど、今は隣に知人の少女がいる。
彼女の存在が、心を過ぎる寂しさを少し薄れさせてくれていた。

  「そうですね……」

自分が好きな場所は、いくつかあった。
どこがいいだろう。
少し考えてから、言葉を続ける。

  「――自然公園の奥に、広い花畑があるんです」

  「夏は向日葵……秋はコスモスが見頃になります」

  「今の季節なら、もうすぐスイセンが咲き始める頃でしょうか……」

  「白い花が一面に咲いていて……とても綺麗な景色が見られますよ」

最初に思い浮かんだのは、その場所だった。
自分も、近い内に訪れるつもりでいた。

  「今泉さんは、どんな場所へ行かれるんですか?」

時には街の方に足を向けることもある。
けれど、それほど詳しいというわけではなく、あまり知っている方とは言えない。

419今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2018/12/24(月) 00:52:42
>>418

「そうですかね?」

       『先生ハ ソウイウモノデスカラ』
       『役目ヲ 果タスノガ ヨロコビ デス』

「まあ、素敵に越した事はないですね!」
「ありがとうございます」

先生はフツーのスタンドとは多分、違う。
それは私がフツーじゃ無いってコト……じゃない。

きっと。

・・・きっと。

「お花畑ですか!」
「いいですね〜。そういうところでピクニックしたいな」
「ロマンチックすぎますかね?」

       『芸術的デ イイト思イマスヨ』
       
「芸術はあんまり分からないですけど」
「それこそ、ステキな感じになりそうですよねっ」

お花に詳しいとかじゃない。
けど、お花畑ってフツーにイイ感じだと思う。
なんで?っていうのは、私には分からないんだけど。

「私ですか? そーですね、色々行きますけど」
「小石川さんが好きそうなところだと〜〜〜」

「う〜ん」

「表通りの『うさぎカフェ』……は、
 お洋服が毛だらけになっちゃいそうだし」

「そうですねえ、小石川さん『スイーツ』とか好きですか?」

420小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/12/24(月) 01:40:33
>>419

これまで、それほど多くのスタンドを見てきた経験はない。
ただ、彼女と並んで歩く『コール・イット・ラヴ』は珍しいと感じる。
少なくとも、自分のスタンドとは違っている。
もっとも、『コール・イット・ラヴ』程ではなくとも、
『スーサイド・ライフ』も似た種類が多いタイプではないかもしれない。
いずれにしても、その両方が精神の形であることは共通しているのだろう。

『補修』と『自傷』――ある意味では対照的とも呼べる能力。
それを持つ二人が並んで歩いているというのは、少し不思議な感覚を覚える。
もしかすると、これが『スタンド使いを結ぶ縁』というものなのかもしれない。

  「ええ、私も喫茶店で時々いただくことがあります……」

  「多いのは……甘さを抑えたシフォンケーキなどでしょうか……」

  「ハーブティーと合わせると、とても美味しいですよ」

自分の行動範囲は、そう広いものではない。
その中に、そういった品を扱う喫茶店がある。
静かな雰囲気が気に入って、今まで何度か足を運んだことがあった。

  「私の好みを気にして下さって、ありがとうございます……」

  「今泉さんのご自由に話していただいて大丈夫ですよ」

  「――私は、それで十分に楽しいですから……」

あまり悩ませてしまうのは申し訳ないと思う。
『コール・イット・ラヴ』の言葉通り、話しているだけでも心は癒されるのだから。

421今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2018/12/24(月) 02:21:20
>>420

「小石川さんって何かとオシャレですよね〜」
「ラベンダーとか」「ハーブティーとか」

           『ステキナ ゴ趣味 デスヨネ』
           『先生トシテ 興味深イ デス』

「生徒としても興味深いです!」

それがイヤミにならないんだもんなあ。
オトナの女性、ってこういう感じなのかな。

「ん。えー、そうですか?」
「私の好み100%だと、逆にちょっと話し辛いっていうか」
「遠慮とかじゃなくって、フツーに」

遠慮なのかもしれないけど。
自分としては、そういうつもりってわけではない。

「でもそうですね、好きに話すなら〜っ」
「『パンケーキ』が美味しい喫茶店があるんですよ」
「あっ、これも表通りです」

「フツーのパンケーキって、割と派手っていうか」
「アイスとフルーツとクリームと、って」「賑やかじゃないですか」

頭の中に先週食べたパンケーキが浮かんでくる。
あれも、美味しかったんだと思う。

「そこのはもっとシンプル!」
「バターと蜂蜜とアイスクリームだけでして」

               『ミントモ ノッテマシタヨ』

「そうでしたっけ? あは、よく覚えてますね」
「ともかく、それをカフェオレと一緒に食べてる時は……」

               ニコ

「あっ美味しいもの食べてるな〜!って気持ちになりますねえ」

422小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/12/24(月) 03:08:36
>>421

時折頷きながら、少女の話に耳を傾ける。
あまり自分が知らない話というのは、やはり新鮮に感じられる。
そこが、彼女と自分の違いの一つなのだろう。

  「パンケーキも美味しいですね……」

  「家で焼くこともありますが……お店のようにはできませんね」

  「初めて作った時は、少し焦がしてしまいましたから……」

過去の失敗を思い出しながら、静かに微笑する。
あれは、自分が結婚する前のことだった。
思い返すと、あの頃が遠い昔のような気がする。
まるで何十年も経っているような錯覚さえ覚えるが、
実際はそんなに長い時間は経過していない。
少なくとも自分の記憶は、昨日の事のように鮮烈に残っているのだから。

  「私も……お店でシフォンケーキとハーブティーをいただいている時は、
   それと同じような気持ちを感じます」

  「美味しいものを食べて、幸せを分けてもらっているような……」

  「――今泉さんと似ていますね」

          クスッ

これまでと比べ、やや明るく笑う。
好みだけではなく、部分で自分と彼女が違うことは何となく察せられる。
それは当たり前のことで、何の不思議もない。
けれど、何もかもが違うとも言い切れない。
こうして話してみると、少なからず共通する部分も見つかるのだと、改めて思う。

423今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2018/12/24(月) 23:21:11
>>422

「へぇ〜自分で作れるんですか!」
「ホットケーキなら作った事ありますけど」
「パンケーキはやった事ないなあ」

「……でも、なんだか意外ですね」
「小石川さんも、料理焦がしたりするんだ」「って」

          『誰デモ 失敗ハ アルモノデス』
          『驚クノハ 失礼 デスヨ』

「それはそうなんですけども」
「なんでも出来ちゃうイメージなので」

            アハハ

小石川さんってほんと、ソツがないイメージ。
だからそういうフツーな話もあるのは当たり前でも意外なんだ。

「あは、そうですねっ」

「美味しい物を食べた時の気持ちが、『幸せ』だって」

          『……』

「それって、とってもフツーで、素敵なコトだと思います!」

食べ物は美味しい。
美味しい物を食べたら、しあわせ。

その『フツー』は私にも、小石川さんにも同じことで。
それは私にとって、すごく素晴らしくってステキなフツーだ。 

「っと、そろそろ家ですね。小石川さん、お話楽しかったです!」

424小石川文子『スーサイド・ライフ』:2018/12/25(火) 00:12:01
>>423

「散歩の途中で知らない道に入って、迷ってしまったこともありましたから……」

「しっかりしないといけませんね」

     クス

「今泉さんの言われた通り、美味しいものを食べると幸せになれます」

「そんな時は、自分が感じた幸せを、今度は誰かに分けてあげたいと――
 私は、そう思うんです……」

「私と言葉を交わしたことで少しでも今泉さんが楽しかったと思って下さったなら、
 私も嬉しく思います」

そうして幸せを繋げていくことができたとしたら、それは素敵なことだと感じる。
大げさなことでなくてもいい。
日常の中にある、ほんの少しの些細なことの積み重ねを、
これからも続けていきたいと思う。

「こちらこそ、楽しい時間を過ごすことができました」

        スッ……

少女とスタンドに向き直り、丁寧に頭を下げる。

「またいつか、お話できることを楽しみにしています」

「今泉さん、『先生』――それでは……」

           コツ……
                コツ……
                     コツ……

別れの挨拶を告げて、前に向かって歩き始める。
少女のスタンド『コール・イット・ラヴ』は、心を癒す能力ではない。
けれど、自分は彼女に少しだけ心を癒したもらえたような――
何となく、そんな気がしていた。

425今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2018/12/25(火) 22:55:14
>>424

「それもフツーに意外なエピソード〜っ」

小石川さんってもしかして、結構お茶目なヒトなのかも。
そんな事を考えたりする。フツーに口には出さないけど。

「ほんとにとっても楽しかった、ですよ」
「小石川さんみたいなお姉さんって知り合いにも少ないし」
「お話してくれることも新鮮ですし!」

「はい、またお会いしましょーっ」

             『小石川サン、サヨウナラ』
             『オカラダニハ オキヲツケテ』

先生は頭を下げる。
私は手を振る。

     スタ

            スタ

こうして、私はフツーに楽しい一日を終える事が出来たのだった。

426今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2018/12/25(火) 23:22:32

それとはまた、別の日のこと。

「寒〜〜〜〜っ」

冬休み期間が始まった。
けど、私は学校に来ている。
大声では言えないけど補修ってやつ。

「…………」

補修だから友達もあんまり来てない。
普段遊んでてもみんな勉強してるんだなあ。

まあ、私もまずかったのは国語くらいだし。
フツーに他の教科は『セーフ』だったわけで。

         スタ

            スタ

なんとなく、まだ学校を出る気分にもならないし、
それに今日補修だからって遊び断っちゃったし、
あてもなく真冬の城址公園を、フツーに歩いてみたりする。

427今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2018/12/28(金) 00:08:49
>>426(撤退)

そしてフツーに帰ったのだった。

428ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』【高2】:2019/01/10(木) 03:00:23

      ザッ

          ザッ

「……」

雪が降っていた。
白と黒で揃った姿が、
今日は白に偏っていた。

(おや)

      チラ

(雪だるま)

自分も作ろうと思った。
座り込んで雪を集める。

  ベシャッ
      ベシャッ

人は今少ないが、
ここは中庭で、
隅の方でもない。

人の目につく可能性はそこそこあった。

429石動織夏『パイオニアーズ・オーバーC』【中3】:2019/01/10(木) 22:48:22
>>428
「おっ……雪だるまか?」
シャチのような頭の少年が一人現れた。
「こんな寒いってのに元気だねぇ」
ゼンチに気さくに話しかける。

430ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』【高2】:2019/01/10(木) 23:23:17
>>429

「ええ、雪だるまです」

    ベシャ

「寒いうちしか、
 出来ませんから。
 ……手は冷たいですが」

織夏に振り向く。

「――――初めまして」

挨拶する。
群れるのが好きというわけではないが、
『縁』については一つでも多い方がいい。

「月並みな言い方ですが、
 随分お洒落な髪型で」

(これはまるで、
 『シャチ』のような。
 あるいは『サメ』?)

「セットは、ご自分で?」

そして話題を探すのだ。
ゼンチなりの『コミュ力』ってやつである。

431石動織夏『パイオニアーズ・オーバーC』【中3】:2019/01/10(木) 23:35:32
「はじめまして。俺は石動織夏(いするぎ おるか)
その格好からすると先輩学年かな?」

「手が冷たい、か……ちょっと手を出してみな」

「実は俺ちゃん、魔法使いでね。手をちょっと温めるおまじないぐらいはできるんだ」

「ああ、この髪型?
クセ毛だよ。なんか放っておくとこの髪型になっちまうんだ。」

432ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』【高2】:2019/01/10(木) 23:59:29
>>431

「ええ、高等部二年生――――
 善知鳥 雷(うとう らい)です。
 お気軽に、『ゼンチ』とお呼び下さい」

「改めてよろしくお願いします、石動さん」

       ペコリ

雪を弄ったまま話すのも悪い。
やや不出来な雪だるまを背に、
立ち上がって石動に向かい合う。

「マホウ」

「……魔法ですか?
 それは、いったい」

(――スタンド?
 すぐそう決めるのは、
 良くない気もしますね)

「エエ、では、そうですね。
 ……お願いしてみましょうか」

      ゴソゴソ

(危険は、感じませんし)

左の手袋を外して、手を出す。
もう片方は『タトゥー』があるので。
まあ、隠してはいるのだけど。

「……エッ」

「クセ、ですか。
 それはまた……
 お似合いではありますが」

実際似合っていたので、
セットだと思ったのだ。
まさか天然だったとは……

433石動織夏『パイオニアーズ・オーバーC』【中3】:2019/01/11(金) 00:13:53
「ウトウさんか……確か鳥の名前だったっけ。俺がオルカだから動物つながりってわけだ」

「ちちんぷいぷい……」
人魚のような姿のパイオニアーズオーバーCを発現。

「お手手パチン」
〈オーオオオオオオ…………〉
その涙の『泡』をゼンチの手にパチンと当てる。

「ほい、これでちょっと温まるはずだぜ」
パイオニアーズオーバーCの能力の副次効果だ。

>1.気体、液体、炎、電流など『不定形物』の中を『水中』と同じような感覚で『泳ぐ』事が出来る。
>2.『不定形物』から直接にダメージを受ける事もない。毒等の影響も受けない。

炎などの高温はもちろん冷気などの低温で直接ダメージを負うことがなくなるという副次効果。
固体である雪の冷気は防げないが、寒風の冷気は十分防げるだろう。

「ポカポカしてこないかい?」
ゆえに寒風を無視できる程度に体が温まってくるはずだ。

434ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』【高2】:2019/01/11(金) 00:30:58
>>433

「鳥、らしいです。
 実物を見たことは、
 実はないのですが」

「オルカ――――ああ!
 シャチの仲間の、ですね。
 『奇遇』に感じます」

などとのんきな事言ってると、
あれよあれよとスタンドが出た。

「……!」

(『人魚』とはなんとも、
 珍しいヴィジョンですが)

     パチンッ

「これ、は……!」

   ポカ ポカ

「不思議な感覚です。
 『魔法』は伊達じゃない、
 といった所でしょうか」

「どうもありがとうございます」

(ありがたい……とはいえ)

こうも簡単にスタンドを見せるのも、
実際いかがなもの、なのだろう。

「その、石動さんは――――
 普段から『魔法』をお使いに?」

おせっかいなようだったが、気になった。

435石動織夏『パイオニアーズ・オーバーC』【中3】:2019/01/11(金) 00:39:59
「まぁ、な。
魔法が使えそうな時は結構使っちまってる。
使えるものは使う主義なんだ、なんかおかしいかい?」

「おっと、俺が魔法使いなのはちょっとだけヒミツな?」

436ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』【高2】:2019/01/11(金) 01:03:40
>>435

「いえ」

「隠すつもりがあれば、
 問題はないと思います」

        コク

「もちろん、言い触らしません。
 しっかり秘密をお守りします。
 このゼンチにお任せあれ」

小さく頷く。
そして。

「お返しになるかは、分かりませんが」

         シュル

左手に手袋を付け直す。

「私も、『魔法使い』です。
 自慢の『魔法』を持っていまして」

          メギャァ ―――ン

「愛銃、『イースト・ミーツ・ウェスト』」

「人気が無いとはいえ、
 見せびらかすには、
 少々物騒ですので……
 『一目』だけでご容赦を」

一瞬だけその手に現れた、
緑の鱗に覆われた『拳銃』。

・・・今はもう、雪を掬うただの手だ。

「――――さて」

「私はもう少し雪だるまを。
 この魔法が、解けないうちに」

「石動さんは、どうなさいますか?」

437石動織夏『パイオニアーズ・オーバーC』【中3】:2019/01/11(金) 20:15:51
「銃の魔法……そういうのもあるのか!」

「せっかく声かけたんだ、俺も雪だるま作っちゃうぜ!」
自分にもパイオニアーズの泡を当てる

「雪だるまを作ろう〜♪」
鼻歌を歌いながら雪球を転がしていく

438ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』【高2】:2019/01/11(金) 21:23:16
>>437

「先輩風を吹かせるようですが」

「人魚、動物、器具、銃。
 色んな魔法がありますよ。
 とても、興味深い事に」

多くの力を目にしてきた。
一期一会かもしれないが、
記憶には残り続けている。
優しい力も、恐ろしい力も。

「アッ」

「転がした方が……
 丸くしやすそうですね。
 手で丸めるよりも」

      ゴロゴロ…

「〜〜〜♩」

やや調子外れの鼻歌と共に、
同じように雪玉を転がしていく。

作ったってすぐ無くなるものだけど、
これは記憶の中だけじゃあなく、
明日の朝また来るまでは残っててほしいと思う。

439石動織夏『パイオニアーズ・オーバーC』【中3】:2019/01/11(金) 21:42:48
「色んな魔法、か」

「じゃあ、雪だるまを長持ちさせるような魔法もあるかもしれないな」
雪だるまを作り上げ、そんなことをつぶやく。

440今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/02/12(火) 01:45:05

私立清月学園・・・の、『学生食堂』。

ご飯を食べるはずだった友達が職員室に呼ばれた。
フツーに、他の友達グループにあとから合流するのも考えた。

「相席いいですかっ?」

けど、ちょうどいいところに知り合い(>>438)がいた。
今日はこの人と一緒に食べることにしようかな。断られなければだけど。

441今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/02/12(火) 01:46:27
>>440
(知り合いは>>438のひとじゃなくって、>>442のひとだ)

442鉄 夕立『シヴァルリー』【高2】:2019/02/13(水) 22:02:38
>>440

『ビクッ』

「…あ、ああ」「今泉さんか」「こんにちは」

「もちろん構わない、どうぞ」

それまで『スマホ』を操作していた青年は、声をかけられ今泉の方を見ると
サッと目を逸らしつつも、机を挟んで反対側の席を押した。
高等部二年生、『剣道部』の鉄 夕立(くろがね ゆうだち)。
あるいは人懐っこい今泉なら、彼が少し『女性』を苦手としていること。
しかし、できる限りそれを『克服』したいことも知っているかもしれない。

「今泉さんは、普段から『食堂』で昼食を?」

『パキッ』

割り箸を割る鉄の前には、『もりそば』が置かれていた。

443今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/02/13(水) 23:15:17
>>442

「どーもです、鉄センパイっ!」
「よいしょっ」「すみませんね〜急に」

        カタンッ

座って、足元に荷物を置いた。
鉄センパイ。剣道部で、いっこうえの人だ。
確か……女子と話すのが苦手なんだよね。
悪い事しちゃったかも。だから一応、謝った。

でも、フツーに喋れてると思うんだけどな。

「いつもじゃないですよ」
「今日は学食で食べる子と約束してたんです」

「まあ、その子が職員室に呼び出されちゃったんで」
「あはは」「こうして鉄センパイと相席になったんですよ」

         パキ

割り箸を割る。

「スマホ、何見てたんです?」「『パズルゲーム』とか?」

私の今日のメニューは学食の『清月うどん』だ。フツーのうどんだ。

444鉄 夕立『シヴァルリー』【高2】:2019/02/13(水) 23:33:47
>>443

「今日も今泉さんは元気そうで何よりだ」

快活な今泉の挨拶に、斜め下を見ながら鉄は笑った。
目線こそ合わせられないが、これでも鉄の中では中々打ち解けられている方である。
初対面の時こそ、単語でしか喋れず声も聞き取り辛く、『コミュ症』と言われても当然なほどだ。
ここまで喋れるようになったのは、それほど今泉が親しみやすい雰囲気だったのかもしれない。


『チュルル』

「なるほど」「先生もタイミングが悪いな…災難だったね」
「オレの方も、母が少し体調を崩してしまって」
「いつもは『弁当』を作ってもらってるんだけど、今日は『学食』なんだ」

もりそばを合間で食べつつ、今泉の話に頷く。

「最近『風邪』や『インフルエンザ』が流行ってるからな…キミも気をつけて」


>「スマホ、何見てたんです?」「『パズルゲーム』とか?」

「ん」「ああ…」
「この前学校の外で知り合った人にね。『LINE』を送ったんだ」

『チュルチュル』

445今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/02/13(水) 23:46:57
>>444

「私はいつでもフツーに元気です」「でも逆に」
「今は、風邪ひくのがフツーってくらいマスクの子多いですけどね」
「センパイこそ、予防大切ですよ! 身近な人がなってるんですし」

おしゃれとか予防とかでつけてる子も多いだろうけど。

「それにしても、いや〜ほんと災難でしたよっ!」

あやうく一人で食べることになるところ……
だけどこれは口に出さない。鉄センパイがそうだし。
私も一人で食べる日がないわけでもないし。

「もうちょっとタイミング考えて欲しいですよね」
「しんどい授業中とかならむしろ呼び出し万歳なのに」

怒られるような呼び出しでもないし、ね。

「へえ〜、学校以外の友達ですかっ!」
「いや、友達とは言ってなかったか」

「当てて良いです? センパイの……剣道関係の人!ですか?」

フツーに彼女さんかな?とか、考えない事も無いんだけど。
中学の時の友達とかに言う言い方じゃないし。

でも鉄センパイって部活にストイックなイメージだし、そう答えたんだ。

446鉄 夕立『シヴァルリー』【高2】:2019/02/13(水) 23:59:59
>>445

『コクリ』

「確かに、な」「今日は帰りに『ポカリ』とか『ヨーグルト』とか買っていく予定だったけど」
「オレ含め家族の分の『マスク』も買っていくとするよ」

年下ながら、しっかりしている今泉さんの言葉に頷く。
同じ空間の中で過ごす以上、感染リスクは他の人よりも高いだろう。
武道をやっているから健康体の自負はあるが、それでも感染する可能性は低い方がいい。

「…今泉さんは、長女だったりするのかな?」

ふと気になったので、聞いてみた。彼女の家庭環境について自分は全く知らなかった。


>「当てて良いです? センパイの……剣道関係の人!ですか?」

「いや、残念ながら違うな」フフッ
「正解は…」「………」

「いや、何というか…本当にただ、街であった人なんだよな…」

よく考えなくても、そうとしか説明できない。
これで正解できる訳がないので、早々に答えをバラしておく。
実際に接点は『スタンド』なわけだが、これは話すわけにはいかないだろう。

「『烏兎ヶ池神社』って知ってる?」「そこの『巫女』さんをやってる人なんだ」

447今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/02/14(木) 00:22:08
>>446

「それがいいですよ。今風邪ひくと期末テストとかもあるし」
「期末……やだな〜っ」「今回は現文頑張らなきゃ」

風邪引いて休んだら受けずに済むかな。
フツーに再試験とかになる気もするし、『先生』も怒りそうだけど。
それで。

「あはは」「そう見えます?」

私は、笑って、笑顔を浮かべた。

「あれ、外しちゃいましたねっ」
「てっきり他校の『ライバル』とかかと」

それから、センパイの正解を聴いて笑った。

「それにしても」「巫女さんと知り合いなんですねえ」
「私あんまり、神社って行かないんですけど」
「『烏兎ヶ池』……えーっと、どこでしたっけ」

「どうしてまた、巫女さんと知り合ったんですかっ?」

鉄センパイのことだし、ナンパしたとかじゃないと思う。
何か困ってるところを助けてあげたとか、そういう方向かな。

448鉄 夕立『シヴァルリー』【高2】:2019/02/14(木) 00:43:35
>>447

「『期末テスト』か…」
「あまり成績が悪いと部活に出られなくなるから、こちらもある程度頑張らなきゃな」

今泉さんに応じて、こちらもぼやく。
とはいえ『勉強』も嫌いではない。毎日の積み重ねで着々と分かることが増えていくのも、一種の自己鍛錬だ。
とはいえ、同じ鍛錬ならどちらかと言えば身体を動かす方がより好きな訳だが。

>「あはは」「そう見えます?」

「……?」「オレも外したかな」

笑顔を浮かべるが、答えまでは辿りつかせない今泉に首を傾げる。何となく、珍しい反応だと感じた。
彼女に限って家庭内の不和などあるとは思えないが、追求するほどでもないだろう。

「他校の『ライバル』とは、あまり親しくなりたくないかな…」「剣が鈍る」
「もちろんそれはそれ、と割り切れる人も沢山いるんだろうけど」「オレはそういうのが、とても苦手でね…」

溜め息をつく。我ながら、心が弱いと思う。
剣道では『気剣体の一致』が大事だが、もし親しい相手と打ち合うことになれば、自分は気後れしてしまうだろう。
…むしろ、してしまった。

「ここ…らしいよ」「オレもまだ行ったことないんだけれど」

スマホの画面を今泉さんの方へ向ける。
そこには、『烏兎ヶ池神社』の場所が地図アプリにピン留めされていた。
もっともたった今もりそばを食べ終えたから検索してみたばかりだが。

「………」

「えぇっと」

「街中で知り合って、ふとした共通点があって、それでその人は『悩み』…というほど本人は気にしていないんだが」
「それに関して解決できるかもしれない知り合いがいて、その辺りで連絡先を交換したんだ…」

なんともグダグダな説明だ。うまく『スタンド』を隠して伝わりやすくすることは自分には難しい。

「出会いといえば、今泉さんは?」「最近、新たな友人とか、面白い出来事はあった?」

なので、ボールを相手に投げてみた。

449今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/02/14(木) 01:02:06
>>448

「えーっ、そういうペナルティあるんですね!?」
「厳しいなあ」「私、部活は入ってないので」
「そこはまあ、気楽なんですけど」

     アハハ

まあ点数低いのはやばいんだけど。
私、成績あんまりよくないからなあ。

「鉄センパイ、真面目ですよねえ」
「ほんとに『剣士』みたいです」
「というか『サムライ』ですねっ」

ストイック、っていうのかな。
不器用っていうのは失礼だよね。
きっとフツーに、いい人なんだと思う。

「どれどれっ」

        ズイ

少し身を乗り出して、地図を見た。

「えーっと……川沿いの方かな」
「バスとか通ってるのかな」「あーっ、なんか」
「友だちがパワースポットがどうとか言ってたかも」

私自身はいったことないけど、話は聞いたかも。

「おお〜っ、人脈パワーですねえ。流石ですっ」
「っと、私ですか?」「そうですね〜」「うーん」

あの『町』のことは・・・フツーじゃないよね。
ユメミンとかになら話しても良い気がするけど。

「ちょっとした旅行みたいなことはしましたよっ」
「芽足さん……は分からないかな」「新しい友だちと一緒に!」

ぼかして話そうかな。

「まあ、有名な観光地とかじゃないし、お土産もないですけどねっ。日帰りだったし」

450鉄 夕立『シヴァルリー』【高2】:2019/02/14(木) 01:25:11
>>449

「『部活』にもよるけどね」
「『文武両道』を掲げている所なんかは、部活を言い訳に勉学を疎かにはさせてくれないな」
「まぁ部活に熱中し過ぎて、成績が下がると親からの印象も悪くなるし」

例え部活側にそういった制約がなくとも、成績が下がれば口を出す親もいるだろう。
どちらにせよ、部活にのめり込むならある程度勉強が出来るに越したことはない、という話だ。

「そ、そうか?」「そう言われるのは結構嬉しいな」

自分とて男なので、『侍』っぽいと言われると、中々の嬉しさと少しの恥ずかしさがこみ上げる。思わず頬をかいた───。

「ッ!」

と、今泉さんがスマホを見るために身を乗り出してきたので、緊張のあまり、思わず後ろに身を引いてしまう。
こればかりはいつのまにか身に付いてしまった悲しい習性なので、仕方がない。
むしろ、これを予想して画面をもっと彼女の方へと近付けるべきだった。

「…すまない」

小さく頭を下げ、謝罪する。できれば不快に思っていなければいいが。
…とにかく、話題を変えよう。

「『パワースポット』」
「そうなんだ、若い子の間ではちょっと有名なんだな…」

一歳しか変わらないわけだが、それでも男子高校生と女子高校生では、基本的にそういった情報への敏感さに差が出る。
と思っている。多分。自分が疎いだけではない、と願いたい。
そんな事を考えながら、今泉さんの旅行の話を聞く。

(…ん?)

なんとなく、旅行みたいなこと、に歯切れの悪さを感じた。
いや、その点でいえば先ほどの自分はもっと酷かったが。計画された旅ではなかった、という事なのだろうか。

「そうなのか、じゃあこの『S県』の中で?」「どの辺りなんだろう」

開いたままの『地図アプリ』を指差して、訊いてみよう。

451今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/02/14(木) 01:41:00
>>450

「へぇーっ……うちって結構マジメ学校ですよね」
「けっこうどこもこんな感じなのかな」

他の学校の知り合いもいる。
けど、そういう踏み込んだ話ってしないかも。

「あっ」

と。

「すみません、こちらこそ」
「テンション上がって乗り出しちゃいました」「あはは」

そうだそうだ、鉄センパイはこういうの苦手なんだ。
椅子を引いて、元通りに座り直した。
思わずフツーにやってしまった。怒ってはないよね?

「そうですねえ。うーん、有名ではないかもですけど」
「ネットで検索しても」「上の方には出てこなかった記憶が」
「あんまり、宣伝熱心じゃないのかも?」

「まあ、私の友達はけっこうよかったって言ってましたね」

2ページ目くらいに出て来た気がするんだよね。
写真とかもあんまりでないし……見せてもらったような気はする。
あの写メがその神社なのかは、ちょっと自信ないけど。

「あっ」「えーとですね」
「この県ではないっていうか〜」

地図の上で指をさまよわせて・・・

「ここはですね……」
「ヒミツってことでお願いします」

そのままひっこめた。

             ニコッ

「芽足さんと私の秘密旅行なので、場所は秘密ってことで」
「べつに、そういう約束したとかではないんですけどねっ」

「お侍様、そういうことでご勘弁くださいませんか!」

なんて冗談も言ったりして、ごまかしておく。
説明しづらい話になるし……フツーじゃないと思われそうだ。

452鉄 夕立『シヴァルリー』【高2】:2019/02/14(木) 21:51:17
>>451

「…いや、本当に。こんなオレにも話しかけてくれる今泉さんには、感謝しかない…」ズーン

こちらが申し訳ないのに、この快活な少女に謝罪までさせてしまうとは、更にいたたまれなくなる。
両手を顔の前で組みながら、額を乗せ溜め息をつく。

「この臆病さを笑ってくれる人ならありがたいが、『キモい』『怖い』と思わせてしまった事もあるからな…」
「でもこうして何度も話していければ、いずれはもう少しマトモになるかもしれない」
「今泉さんの優しさに甘えるようで申し訳ないが、またその内お世話になるよ」

ぎこちなくも微笑んで、チラリと一瞬だけ今泉さんと目を合わせる。
すぐに視線をさっと下ろすことになるのだが。

「ふぅん、知る人ぞ知る、といった感じか」
「あまり商売っ気のない、真面目な神社なのかな…まぁ行ってみれば分かるか」

鳥舟さんからも誘われていたし、一度お邪魔させてもらおう。元々、神社の雰囲気は好きな方だ。
あまり人混みはない方がいいが。

「・・・・・・・・・・」「なるほど」

「うむ、致し方ない。立ち入った質問は控えよう、大切な想い出ならば土足で踏み入る訳にも行かぬ」

若干渋い声で今泉さんのフリに乗りつつ、同時に思考する。

この県ではない?日帰りなのに?計画された旅行ならば、不可能ではないだろう。
だが、先ほどの『旅行のようなもの』という言葉からは、あまりそういった雰囲気はない。
しかし、ウソをついていたとしても踏み込む気はない。詮索されたくない事の一つや二つ、人にはあるだろう。
ましてや年頃の女性とならば尚更だ。


だから、これは何となくの行動だ。
どちらにしろゴミ箱の近くを通るのに、ゴミを投げて入るか試してみるかのようなものだ。
入らなければ、それでいい。

『その芽足さんは、同い年の友人なのかい?』

(確か、こうでいいんだったか?『スタンド会話』・・・)

453今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/02/14(木) 23:58:42
>>452

「おおげさですよ〜、あははは」

「センパイ、フツーにコミュ力あると思うんですけど」
「でも」「私で練習になるならお付き合いしますよ」

       ニコ〜ッ

目が合ったから、いい感じの笑顔を返した。

「どうなんでしょうねえ」
「水を有料で売ってたとか聞いたような」
「もし行ったらどんな感じか教えてくださいよ」

「秘密じゃなければ、ですけどっ」

自分で神社に行くことは無い気がする。
ちょっと遠いし。他にも神社あるし。
大学受験とか、するならお参りしに行くのかな。

「ははーっ、なんとご寛大な。ありがたきしあわせ!」

「……」

       シュルルルル

              『今泉サン コンニチハ』

≪あっ、先生を出しちゃった。こんにちは先生≫

スタンドの声、っていうのかな。
あんまりやったことはないけど何となくわかる。
出そうとしたんだけど、先に先生が出て来ちゃった。

≪そうですね。同級の芽足ヨロズさんって言うんですけど≫
≪面白くって、いい子なんですよ。友だちです≫

≪……センパイも、『そう』なんですねっ≫

この学校だけでもう何人目だっけ。あんがい、珍しくないのかな。

454鉄 夕立『シヴァルリー』【高2】:2019/02/15(金) 00:48:10
>>453


『ッ!』

『驚いた。喋るスタンドもいるんだな…』
『こんにちは』

突然現れた『スタンド』の方を見ながら、周囲から変に思われない程度に小さく頭を下げる。
仮に意思があるならば、挨拶をしておくのは大事だろうから。

しかし、どうやら予想は当たったのだろうか。
自分と同じようにハッキリしない口調になってしまった理由は、ひょっとしてそれも同じ『スタンド』が関わっているから、か。

『そうなんだ。オレも最近よくスタンド使いに会うから、もしかして、と思ったけど』
『今泉さんもそうだったとは』
『芽足ヨロズさん、か。覚えておこう』

それならば、先ほどのように隠し事をする必要もない。改めて説明しよう。

『さっき話した神社の巫女さんも、スタンド使いでね』
『ただ、まだヴィジョンを見たことがないらしいから、それでオレを目覚めさせてくれた人に相談しにいったんだ』

455今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/02/15(金) 01:30:15
>>454

先生は礼儀正しく、頭を下げて挨拶している。

      『自己紹介ガ 遅レマシタネ』
      
           コール・イット・ラヴ
      『〝世界はそれを愛と呼ぶ〟』
      『先生、あるいは〝アイ〟ト オヨビクダサイ』

              ペコリ

≪そういうわけで、私の先生です≫
≪スタンド使い、っていうほど『使う』わけじゃないですけど≫

だから私は改めて、先生を紹介した。

      『先生ハ 先生ガ ヤルベキコトヲ スルダケデス』

≪フツーのスタンドは、自分で動かせるんですよね〜≫
≪まあ、スタンドにフツーとかないのかなって、思ったりもしますけど≫

いろんなスタンドがある。
一番フツーなスタンド、なんてきっと無いんだと思う。

≪へえ〜っ≫

≪やっぱり『神』っぽいスタンドなんですかね≫
≪そういうのは関係ないのかな≫

≪目覚めさせてくれた人……私と一緒かな≫≪和国さんですか?≫

違うなら、ユメミンが会った『音仙』って人かな。まだほかにもいるのかな。

456鉄 夕立『シヴァルリー』【高2】:2019/02/15(金) 02:00:16
>>455

『今泉さんの一つ上、高等部二年生の鉄です。よろしくお願いします、アイさん』
『そして、こちらはオレのスタンドの「シヴァルリー」です』

こちらも己のスタンド、『シヴァルリー』を出して挨拶をする。
もっとも、こちらはアイさんのように自らの意思で話したりはできないが。
スタンド会話を用いても、『シヴァルリー』を通して自分の声を出すだけだ。

『「自動操縦型」…「音仙」さんの言っていたタイプか』
『「シヴァルリー」は自分の意思で動かせるというか、むしろ勝手には動いてくれないな』
『話相手にもなってくれそうで、素敵だ』

人懐っこくて話しやすい今泉さんには、よく似合っているスタンドだな、と思う。

『「和国」さん?いや、オレの場合は「音仙」という女性だ』『やっぱり一人だけじゃなかったんだな、こういうことができるのは…』

『その巫女さん─────鳥舟さんは少し特殊で、スタンドの名前だけは分かってるんだって』
『「ヴィルドジャルタ」』『…もし仮に神様だとしたら、少し危なそうな感じがするな』

言葉のフィーリングだけでのイメージだが。
自分の『シヴァルリー』は逆に、能力はともかく見た目は名前から推測しやすい出で立ちだ。

『スタンド使いといえば、中等部二年生の松尾さんもそうだったよ』
『黒髪でメガネをかけて風紀委員の女の子なんだけど』

できれば危険のない『スタンド使い』の情報は共有しておきたいと考え、あの少女の名を口にする。
友人のまた友人ともなれば、お互いが危険な超能力を持っていたとしても、争いに発展することはないだろう。
…そもそも、こんな良い子達がケンカをするところなど想像できないが。杞憂だろうか。

457今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/02/15(金) 02:40:18
>>456

         『鉄サン、〝シヴァルリー〟サン、ヨロシクオ願イシマス』

《シヴァルリー! 噛みそうな名前ですね!》
《見た目はかっこいい感じ……》

《わ、素敵ですって、先生! 褒められてますよっ》

         『アリガトウゴザイマス』
         『〝シヴァルリー〟トテモ強ソウデ 素敵デスネ』

《よかったですね先生》

先生のは、社交辞令なのかな。
スタンド同士だと強そうとかわかったりするのかも。

自動操縦型。私とは違うフツーの性格がある先生。
喋らないスタンドと、どっちが良かったのかな?
今は先生が私のフツーだ。他はあんまり思いつかない。

《へえ、『音仙』! 他の人も、その人に貰ったって》
《それが誰なのかは、内緒ですけど》

《それにしても、名前だけですか〜》
《スタンドくれた人が意地悪したんですかね》
《ヴィルドジャルタ》 《どういう意味なんだろ》

         『恐ラク、造語カ 固有名詞デショウ』
         『良イ〝スタンド存在〟ナラ イイノデスガ』

《ですねえ。暴れ出したりしたら怖いですしね》

先生はフツーにいい人だからいいけど。
もし好き勝手する『自動操縦』がいたら、怖いと思う。

《松尾さん、なるほど〜。覚えておきます》
《やっぱりけっこういるんですね、スタンド使い》

知らないような知ってるような名前だ。
二個下の後輩だから、中等部の時に会ってるかも。
もしかしたら名前をど忘れしてるだけかも。

またいつか、会ったら分かるかな。

《ふう……ごちそうさまでしたっ》

そういうわけで、自分の分の料理は食べ終えたんだ。
スマホを取り出して、何か連絡が来てないか見ておこう。

458ユメミン『ドクター・ブラインド』:2019/02/15(金) 03:09:22
>>457

ピコン♪

『イズミンきょうヒマ??ガッコーおわったらどっかいこ!!』

その時、ちょうど『ライン』の通知が入った。
時計を持った『白ウサギ』と、それを追う『アリス』のスタンプが添付されている。
送ってきたのは――――例の人物のようだ。

459鉄 夕立『シヴァルリー』【高2】:2019/02/15(金) 03:22:37
>>457

>《それにしても、名前だけですか〜》
>《スタンドくれた人が意地悪したんですかね》

『どうなんだろうな』
『彼女の話を聞く限りでは、どうやら生まれついての「スタンド使い」の可能性があるんだ』
『「音仙」さん、「和国」さん、「生来のもの」』
『最低でも、スタンドに目覚める理由はこれだけあるらしい』

『神託』に関しては、言わないでもいいだろう。
神秘めいた言葉だし、あまり他人に吹聴する話でもなさそうだ。
…しかし、やはり他にもスタンド使いを目覚めさせる事が可能な人間がいたか。
『和国』さんとは、どんな人間なのだろう。機会があれば、是非とも会ってみたいものだ。
その人はまた、どんな理由で人々に『スタンド』を見出しているのだろうか。

「ご馳走様でした」

今泉さんが食べ終えたのに合わせて、こちらも手を合わせる。
そういえば、と思い自分も『地図アプリ』を消してスマホを見てみたが、新着の通知はなかった。
やはり当然、仕事中だろう。
そこで気付く。スマホの時計が、まもなく昼休みが終わる時刻を指し示していた。

「もうこんな時間か…少し話し込んでしまったな」
「それでは、オレはこれで失礼するよ」「また今度ゆっくり話そう」

「ありがとう、今泉さん」ペコリ

立ち上がり、少女へと向けて一礼をする。そして食器を持つと、置き場へと向かっていった。

460今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/02/16(土) 00:53:54
>>458(ユメミン)

あっユメミンからだ。

『ヒマだからどっか行きましょう』
『授業終わるまでにまたラインしますね』

スタンプで彩って、そんな内容を返した。

>>459(鉄さん)

《一口に『スタンド使い』って言っても、色々あるんですね》

スマホから顔を上げて、お話の続きをする。

《生まれつきスタンド持ってるって》
《どんな気持ちなんだろうなあ》

そんな事をしているうちにもういい時間だ。
昼休みの後は……英語だったかな。
眠くなっちゃいそうな、気がするな。

「いえいえ、楽しかったですよ〜」
「今度は、放課後にでも話しましょうね!」
「練習にもなりますし」「私は楽しいですし」

センパイは真面目な人で、でも冗談もわかる。
これはきっと楽しいってことなんだろうな。

「それじゃ、また!」

         『マタ オ会イシマショウ』

            ペコー

         『寒イ季節ナノデ オ身体二オ気ヲツケテ』

461日沼 流月『サグ・パッション』【高2】:2019/02/20(水) 01:21:21

「あ〜〜〜」


       ボ  ―― ッ ・・・


               「……」

(カラオケの『カラ』ってなんだっけ?
 オケはオーケストラ。だったはずだし。
 コレで調べたら一瞬で分かるけど、
 流月の反骨精神がそれを邪魔しちゃうや)

スマホを片手に持ってベンチに座り、空を見ていた。
物思いにふけっているように見えなくもないが、
数カ所が逆巻いた金とも銀とも言えない髪が、
不良がサボってるだけって真実を示してもいる。

           ダラァ〜ッ

                   コンッ

何気なく石を蹴とばしたら、ムカつくくらい真っ直ぐ飛んだ。

462三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2019/02/21(木) 00:27:16
>>461

  ――――コツンッ

飛んできた小石が、巻き毛の頭に当たりました。
辺りを見回して、クルリとカールした睫毛が、そちらへ向けられました。
そのまま、ゆっくりと歩いていきます。

     トスッ

「危ないです」

隣に座ってから、一言言いました。
真面目そうな生徒です。
そして、結構年下のようです。

463日沼 流月『サグ・パッション』【高2】:2019/02/21(木) 01:06:16
>>462

「あン?」

         キョロッ

やや目つきのよろしくない視線を向けた。
改造されてはいるが高等部の制服。
詳しいなら細部の色などで2年だと分かるだろう。

「あ〜。石!? ごめんごめん。
 蹴ったら思ったより飛んじゃってさ。
 ケガしてない? ばんそうこ持ってるけど使う?」

      ゴソゴソ

学生かばんではない、私物らしいかばんを漁って。

 ルナ
「流月、『不良』だからさァ〜〜〜ッ。
 ケガした時のためにばんそうこ持ってんのよ」

             ゴソゴソ

            「あった。はい」

あまりこう、『傷を治してくれる』感が無い……
『ファンシーなキャラクター』の絆創膏を箱ごと渡してきた。

464三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2019/02/21(木) 01:35:55
>>463

「大丈夫です」

「――――まだ生きてますから」

冗談のような口ぶりですが、表情は真顔です。
こちらは制服ではなくジャージ姿でした。
ポケットから土の付いた軍手がはみ出ています。

「ありがとうございます」

    ペコリ

頭を下げて絆創膏を受け取りました。
血は出ていません。
大した傷ではないでしょう。
でも、つい考えてしまうのです。
もし放っておいて化膿して病気になって――――『死んでしまったら』と思うと。

「一つだけいただきます」

箱から一つ取り出して、それを小石の当たった額に貼りました。
箱の方は、二人の間に置いておきます。
それから制服に目を留めました。

「高等部――――二年生の方ですか」

「剣道部の鉄先輩を知っていますか?」

神社の前で会った鉄先輩を思い出しました。
同じ学年なら、もしかすると名前を聞いたことがあるかもしれません。
とても生徒の多い学校なので、定かではないですけど。

465日沼 流月『サグ・パッション』【高2】:2019/02/21(木) 02:02:42
>>464

「いやいや、死なれたりしたらさ、
 『逆』に流月が大丈夫じゃなくなるわ。
 流月の石のせいだからお礼はいーよ」

           ゴソゴソ

「礼儀正しいのね」

絆創膏の蓋を指で押さえつつ、
かばんの小さなポケットに入れなおした。

「剣道部〜? ま〜流月は2年だけどね。
 鉄、鉄……のどまで出て来てるんだけど。
 クロガネ……あ、思い出した。ほんとに。
 えーーーーっと、ユウダチ……だっけ」

「知ってるっちゃ〜知ってる、かなァ……」

(女子と喋る時めっちゃキョドるやつだ、った気がする)
 
印象的な姿が頭の中にあったので、
幸か不幸かはともかく、思い出せた。

「なに、落とし物拾ったとか? 土触った後っぽいじゃん?
 それか『果たし状』とかならしっかり届けてやるけど。ぷぷっ」

そう言いながら、土に汚れた軍手に視線が向いていた。
このフシギ系な少女?に特別興味があるとかじゃないが、
3つは離れてそうな後輩があの同級生に何の用かは気になる。

466三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2019/02/21(木) 02:37:37
>>465

「『花壇の手入れ』です――――担当なので」

そう言って、校庭の一角を指差します。
そこには花壇がありました。
目立たない場所にあるせいか、少し地味な雰囲気でしょうか。

「用事らしい用事はないです」

「少し前、道に迷っていた時に助けていただきました」

「同じ学年の先輩なら、ご存知かと思ったので」

さっき流月先輩は、自分のことを『不良』だと言っていました。
『不良』という言葉には、怖い人というイメージがあります。
ですが、流月先輩は話しやすい感じがします。

「あっ――――」

「まだ挨拶をしてませんでした。中等部一年の三枝千草です」

「『三つの枝に千の草』と書きます」

「あの、流月先輩と呼んでもいいですか?」

「それとも苗字でお呼びした方がいいでしょうか?」

467日沼 流月『サグ・パッション』【高2】:2019/02/21(木) 03:01:02
>>466

「ああ、流月も昔やってたなァ〜〜〜ッ。
 なんだっけ、園芸委員? 緑化委員?
 ボランティア活動みたいなヤツでしょ?
 今なら絶ッ対『反抗』してたと思うわ〜ッ」

「水かけるくらいはしてもいいけどさ」

花壇に視線を向けて、すぐに戻した。

「あそ、んじゃいいや! ご存知ではあるけど、
 まじで知ってるだけだし……駄弁る仲でもないし。
 もし話すことあったら感謝してたって伝えとこっか?」

向こうから話しかけに来ることはないだろうし、
こちらからも探してまで声を掛ける気はしない。

「流月の事は『日沼さん』って呼んでいいよ。
 『流月センパイ』でもいいけど。好きに呼べばいい。
 ちなみに漢字は、『お日様の沼』に『流れる月』ね」

逆巻いた数カ所の髪が、風に揺れる。

「んで、もう言ったけどさ、高等部の二年で部活とかしてない。
 それでさ――――ただの帰宅部じゃなくって、『不良』なわけよ」

表情が明るい悪意に彩られるが、
それがそのまま害意に代わる様子はない。

「まっいわゆる『アウトロー』ってやつよ。どう、憧れちゃう?」
 
           「ぷぷ、ちゃわなさそうなカオしてるけどさぁ」

468三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2019/02/21(木) 07:12:01
>>467

「はい、美化活動です。『生徒会活動』の一つですけど」

「中等部の生徒会で書記をしているので……」

面倒な仕事を押し付けられただけ、と言う人もいるかもしれません。
でも、与えられた仕事は精一杯やり遂げないといけません。
千草は『立派な人』になりたいのです。
この仕事も、その目標に近付くための小さな一歩です。
少しずつ積み重ねることが、夢を叶えるために必要なことだと思っています。

「ありがとうございます。鉄先輩に会うことがあったら、その時はお願いします」

「――――『日沼先輩』」

           ペコリ

「はい――――」

       ニコ

「千草は、たくさんの人に尊敬されるような『立派な人』になりたいと思っています」

「『アウトロー』になったら、それが難しくなってしまいそうなので……」

「――ごめんなさい」

  ペコリ

不良になりたいという気持ちはないです。
でも、日沼先輩のことは嫌いになれません。
何となく、『親しみ』のようなものが感じられるからだと思います。

「日沼先輩も、昔は花壇の世話をされていたんですね」

「どうして先輩は『不良』になったんですか?」

昔の日沼先輩は、千草と似ている部分があったのかもしれません。
でも、今の先輩は『不良』だそうです。
共通点を感じるせいか、先輩が今の先輩になった理由が少し気になりました。

469日沼 流月『サグ・パッション』:2019/02/21(木) 15:41:00
>>468

「へぇ〜〜ッ、生徒会? 流月と『反対』ね。
 いや、不良の『反対』なら風紀委員か……
 ともかく、マジメ君だ! えらいと思うよ」

         イヒヒ

「流月は『反抗』するのが好きだからさァ〜ッ!
 こうして不良としてやっていってるわけだけど、
 べつにみんな不良になるべきとか思わないしさ。
 それだと、不良なのが普通になっちゃうじゃん?」

      「だから謝んなくていいよォ」

謝られると悪い事した気分になる。
悪い事したくて不良になったんじゃあない。
なにもかもお決まりだらけの世界への『反骨』だ。
お決まりに従ってりゃうまくいくなんて、幻への。

「それで、なんだっけ……えー、あ、花壇ね!。
 なんかそういうさ、水やり当番とかない?
 流月のそんときの担任の自己ルールだったかな。
 もうあんま覚えてないけどさ〜っ、やってたよ」

流月は花壇に気だるげに視線を向けた。
三枝のおかげか、花は生命を謳歌しているようだった。

「流月もさ、やっぱり生まれた時から不良だったわけじゃないしね。
 生まれた時から不良だったら、今頃は……医者でも目指してるかな」

    「こう見えて流月、地頭いいからさ! ぷぷっ」

目を細めて、吹き出すように笑う。
不良ではあるが無軌道ではない。軌道があってこそ逆の道を行けるのだ。

470三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2019/02/21(木) 22:57:13
>>469

「えらい――ですか……」

「……えへ」

褒められたので、嬉しそうに口元を緩ませました。
だけど、まだまだ自分は未熟者です。
これに慢心せず、もっとえらくなれるように頑張りたいです。

「『反抗』するのが好き……難しいです」

「でも、みんなが不良だったら不良が普通になるというのは何となく分かります」

『反骨精神』というのでしょうか。
そういう感情は、千草の中には見当たりません。
もう少し大人に近付いたら、その時に分かるのかもしれないです。

「――――凄いです、日沼先輩」

先輩とは反対に、目を大きく見開いて感心した声を上げました。
お医者さんという仕事は、相当に立派な人でないとなれないと思います。
それを目指せた日沼先輩は、本当に賢い人なんでしょう。

「千草も、いつか先輩みたいになれるように頑張ります」

「あの……『今の先輩』じゃなくて『今の先輩になる前の先輩』ですけど」

「でも――『今の先輩』も千草は好きです」

471日沼 流月『サグ・パッション』【高2】:2019/02/22(金) 00:05:43
>>470

「好きとか、はずいから! 素直すぎでしょ!
 べつに宣言しなくても好きに目指したらいいよ。
 流月の人生ってやつに、著作権とかはないからさ」

「いつか自伝書くとしたら別だけどね! ぷぷ。
 千草も自伝書くなら流月のことリスペクトしといてね!
 ヘレン・ケラーの自伝の『サリバン先生』くらいにさァ」

などといって、ベンチから立ち上がった。
見れば時間は区切りのいいものでもなくて、
立ち上がる前に時計を見た意味はなさそうだった。

「千草はえらいし、すごくマジメっぽいから、
 きっと流月より立派な人になれると思うわけよ。
 わかんないけどさァ、そんな気がするから」

「それじゃ、そろそろ行くね。
 剣道部の鉄君の事はちゃんと覚えてるから、
 もしあったら伝えとくよ……んじゃ、バイバイ!」

そうして、そのまま何処かへ歩いて行った。
学園にいれば、また会う時もあるかもしれない……

472三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2019/02/22(金) 00:34:25
>>471

「ヘレン・ケラーの自伝ですか?まだ読んだことがないです」

「明日、図書室へ行って探してみますね」

その話について、千草は詳しく知りませんでした。
千草の知らないことを知っている日沼先輩はえらいと思います。
自分にはない部分を、積極的に見習っていきたいです。

「はい、ありがとうございました。日沼先輩」

「よかったら、先輩ともまたお会いできれば嬉しいです」

「その時には、他のお話も聞かせてください」

        ペコリ

姿勢を正して、歩いていく先輩を見送ります。
少ししてから、千草も中等部の校舎へ向かって歩き出しました。
家に帰る前に着替えないといけません。

473三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2019/02/24(日) 04:40:26

今の時間帯は放課後です。
校庭の片隅にしゃがんでいる生徒がいました。
学校指定のジャージを着て、手には軍手をしています。

     ザック ザック

片手に持ったスコップで地面を軽く掘っていきます。
除草作業の最中なのです。
この草はどうやら根っこが深そうです。

474三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2019/03/01(金) 01:39:44
>>473

     ザック ザック
               ポイッ

根っこを掘り出した草を軽く放り投げます。
その先には手押し車が置いてありました。
そこには山程の草が積もっています。

「――こんなところでしょうか」



【撤退します】

475今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/03/25(月) 03:11:29

「・・・・・・」

      ドシャ

           アアーーーッ


              「・・・いたた」

階段から転げ落ちたんだよね。
それも、けっこうな勢いで。しかもあんまり人がいない校舎で。

「先生〜〜〜」

        シュル

              『今泉サン』
              『足元ニハ 気ヲ付ケテト アレホド』

           シュル

「いやあ、床が濡れてたみたいで」「あいたっ」
「歩きスマホとかはしてないですよっ」
「ほら、スマホ、ポケットの中。今のでぶつけちゃったんで」
「これの修理もおねがいします、一応」

                シュル

                    コール・イット・ラヴ
              『〝世界はそれを愛と呼ぶ〟』
              『スグニ 補修ヲ 開始シマス』

   シュル  シュル

まあ、フツーに、直せばいいだけなんだけど。痛いのは痛いし。それに……
廊下にへんなポーズで倒れて、テープでぐるぐる巻きにされてるのは、フツーじゃないし。
だから誰もここを通らないといいな、って思いながら、先生の補修が終わるのを待っている。

476三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2019/03/25(月) 20:53:38
>>475

    ヒョコッ

階段の手前の廊下の陰から、ジャージ姿の小柄な生徒が顔を覗かせました。
クルリとカールした睫毛と巻き毛が特徴的です。
何か音が聞こえたような気がして、様子を見に来たのでした。

        「あっ」

             「大丈夫で――――」

言いかけて、途中で言葉が止まってしまいました。
マスキングテープを体に巻いたスタンドが見えたからです。
もしかすると、このスタンドが原因で転んだのでは?
一瞬そんなことを考えましたが、すぐに間違いだと思い直しました。
どうやら治しているらしいと気付いたからです。

「えっと」

「大丈夫――みたいですね」

ちょっと考えてから、そう続けました。
少しずつ近づいていきます。
でも、その歩みは遅いです。
『怪我』という状況を見ると、無意識に『死ぬこと』を連想してしまうからです。
千草は、そういうものが怖いのです。

477今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/03/26(火) 00:06:14
>>476

首だけで振り向いて、そっちの方を見た。
中等部の子、かな。ジャージだからはっきりはわかんないけど。

「大丈夫に見える? まあ、フツーに大丈夫なんだけど」
「見えるってことは……先生が見えるんだ?」

             『今泉サン、動カナイデ』

じゃあ、敬語じゃなくっていいよね。

「いててっ」

             『動イタラ痛イデスヨ』

「あはは、階段から落ちちゃってえ」
「もしそこ、昇るなら気を付けた方がいーよっ」
「床、濡れてたみたいだから」

「……どしたの? なんか固まってる?」

何だか歩くの、遅いよね。
まあ私も、知らない先輩がいきなり倒れてたらそうなるのがフツーかも。

478三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2019/03/26(火) 00:36:37
>>477

「階段――から」

歩み寄ろうとしていた途中で、足を止めました。
廊下の壁に手をついて、軽く俯きます。
少し顔色が悪いように見えるかもしれません。

「すごく――」

「すごく痛そうです」

打ち所が悪ければ死んでしまうかもしれないです。
それを想像して、ちょっとだけ『クラッと』来てしまいました。
こういう事故の現場に出くわすと、よくこうなります。

「ふぅ……」

「――はい、見えます」

「その……先輩の『先生』が」

深呼吸して少し落ち着いたので、改めて先輩のスタンドを見てみます。
自分で喋っているところを見ると、自分の意思があるのでしょうか。
こんなのは、今まで見たことがありません。

479今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/03/26(火) 00:59:16
>>478

「すごく、痛いよ。フツーにねっ。あはは」
「治るけど、痛いんだよねえ」「フツーに。みんなと一緒」

         ニコ 

「『先生』っ、見えるんですってっ」

    シュルルルルル

         『エエ、ソノヨウデスネ』
         『ハジメマシテ。今泉サンノ 先生デ』

              シュルル

         『〝コール・イット・ラヴ〟』
         『ト、モウシマス』
         『補修中デスノデ、言葉ダケデ御容赦ヲ』

┌───────────────────────────┐
│ 『先生』と呼ばれるスタンドは・・・                    │
│ まるで『ミイラ』のように『マスキングテープ』に覆われていた。   │
│ 色とりどりの模様に全身を覆い隠されていた。.             │
│ シルエットは女性的で、物腰も併せ『女教師』を思わせる。    │
│ その辺りが・・・『先生』と呼ばれる理由なのは、想像しやすい。  │
└───────────────────────────┘

「まあ、見えるからどうってわけでもないんだけど」
「説明とか、しなくて済むのはラッキーだったかも」

         『今泉サン、少シ姿勢ヲ横ニ』

「いたた、こうですかっ」

         『エエ、アリガトウゴザイマス』
          
                 シュルシュル

先生にテープを巻いて貰いながら、中等部の子を見て、私は笑う。

          ニコ…

「『先生』は、傷を治してくれるスタンドなんだ!」
「だから怖くないよ。絵面は、フツーに怖いかもだけどっ」

         『コワクナイデスヨ。補修ニ 必要ナ事デス』

なんだかそわそわしてるの、スタンドを見るの、慣れてないのかな。
慣れてなくってもフツーだけど。私は、なんだか慣れて来ちゃったよね。

480三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2019/03/26(火) 01:28:43
>>479

「――はい」

        トスッ

先輩が笑いかけてくれたので、いくらか気が楽になりました。
誰かが来ても邪魔にならないように、壁際に背中を預けて腰を下ろします。
そこで『補修』の様子を見守ることにしました。
先輩の怪我が無事に治るかどうかを、ちゃんと見届けておきたかったのです。
このまま立ち去ってしまうと、気になって仕方がなくなってしまうからです。

「あの……」

「ご挨拶が遅れました」

「中等部一年生の三枝千草といいます」

「『三つの枝』に『千の草』と書きます」

「今泉先輩、『先生』――よろしくお願いします」

           ペコリ

膝を抱えて座った状態のまま、お辞儀をします。
少し行儀が悪いかもしれません。
でも、先輩が倒れているのに自分が立っているのは何だか申し訳なかったのです。

「千草は『妖甘』さんに絵を描いてもらいました」

「今泉先輩は『道具屋』さんですか?」

「それとも『音泉』さんですか?」

481今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/03/26(火) 01:58:54
>>480

                       イマイズミミライ
「はじめましてっ。私、高等部一年の『今泉 未来』」
「字は、多分三枝くんの考えてるまんま! フツーな字だよ」

                 『ヨロシク オネガイシマス』

「よろしくねっ」
「今泉先輩って。あは、良い響き〜」
「私部活とかやってないから、あんまりそう呼ばれないんだよね」

後輩の知り合いも、中等部3年とか2年ならいるんだけどね。
1年になると、あんまりいない。三枝くんくらい話すのは初めてかも? どうだっけ。

        シュルルル

          『補修 完了デス』
          『完治マデ シバラクオマチヲ』

「ありがとうございます、先生。5分、かかりますっ?」

          『一カ所 ダケデスガ』
          『他ニ 重傷ハ感知デキマセン』

「多分、左ひざですよね。そこは動かさないようにしなきゃ」

先生に答えて、少しだけ姿勢を動かして三枝くんを見る。

「いたた……三枝くん、スタンドくれる人詳しいんだね」
「私は『妖甘』さんだけど」
「オンセン?って人は名前だけ知ってる」
「けど、『道具屋さん』は初めて聞いたなあ」

「『スタンドくれる人』……そういえば、なんでくれるんだろうね?」
          
なんとなく、そんなことが頭に浮かんだ。フツーに、趣味とかなのかな。

482三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2019/03/26(火) 02:25:18
>>481

「今泉先輩も『妖甘』さんなんですね」

「同じ『出身』の人には初めて会いました」

「――何だか嬉しいです」

    ニコリ

「最初に出会った人は『道具屋』さんの出身でした」

「その次が『音泉』さんの出身で――」

「『なんで』――ですか……」

改めて考えてみると、不思議な気がします。
きっと何か理由があるんだと思いますが、それはなんでしょうか。
人差し指を唇に当てて、少し考えてみました。

「『見てみたいから』……でしょうか?」

「スタンドは、その人の内面の象徴だと聞きました」

「『それを見てみたいから』というのはどうでしょうか?」

もしかすると間違っているかもしれません。
でも、千草にはこれくらいしか考え付きませんでした。
本当のところは、本人に聴いてみるしかないのかもしれません。

「そういえば、今泉先輩も絵を描いてもらったんですよね」

「千草の絵は『根で棺桶を包む花畑』でした」

「先輩は、どんな絵だったか教えてくれませんか?」

483今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/03/26(火) 02:59:36
>>482

「『同じ中学出身だから嬉しい』みたいな感じだよねっ」
「まあ、うちは中高一貫だからそういうのあんまりないけど」

高校から入ってくる子もフツーにいるけどね。

「私の内面が、先生?」

           『先生ハ、先生』
           『今泉サンハ、今泉サンデスヨ』

「ですよね〜っ。私、先生みたいにマジメじゃないし」
「不真面目ってつもりもないですけど。フツーって感じで」
「まあ、よくわかんないですけどね。自分の中身が、なにかなんて」

「わかんないから、見たいって言うのはあるのかも?」

スタンドをくれる人には他人のこころがわかるのかな。
私のこころは、一体どういう仕組みになってるのかな。

「絵? うん、貰った貰った」

「三枝くん、『棺桶』だなんてイメージとちょっと違うかも」
「でも、『花畑』はなんかそれっぽいかなっ」

           ニコ

「えーっと、私は」
「『手をつなぎ輪になった学生』……だったかな?」
「どうかな、それって私っぽい?」

それは私の理想なのかもしれない。
フツーの事なのかもしれないけど。

「あは、初対面でイメージ聞いても、わかんないよねっ」

             『今泉サン、モウスグ 補修完了シマス』

484三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2019/03/26(火) 03:25:03
>>483

「今泉先輩とは会ったばかりなので、まだ先輩のことはよく知りません」

「でも、その絵は今泉先輩に似合ってると思います」

「何となく――ですけど」

「そこから『先生』が生まれたのかもしれませんね」

「その……そんな気がします」

スタンドは『理想』や『願望』からも生まれるものなのでしょうか。
それは、自然と納得のいく解釈でした。
もしかすると、千草にとっての『墓堀人』も、そうなのかもしれないからです。
決して苦しむことのない穏やかで安らかな最期。
それこそが、千草にとっての『人生の目標』だからです。

「『先生』、先輩の怪我が治りそうなんですね」

「――よかったです」

          ニコリ

まるで自分のことのように安心して、落ち着いた笑みを浮かべました。
怪我が治るというのは、言い換えれば『死が遠ざかる』ということです。
だから、それを見ると安心できるのです。

485今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/03/26(火) 04:06:25
>>484

「似合ってるかな。あは、ありがとうね」
「友だちがたくさんいると良いと思うし」
「手を繋いで、輪になる。それはきっといいことだろうからっ」

「先生がどうして生まれたのかは、わかんないけど」

         『私モ、ワカリマセン』『デスガ――――』

         『コウシテ今泉サンニ 指導ヲスル』
         『ソコニハ、カケガエノナイ価値ガアリマス』
         『私ハ、ソレデ構イマセン――――』

「先生、やさしいですねえ。流石先生だなあ」

         『先生デスカラ』
         『デハ、補修ノ時間ヲ終ワリマス』
         『今泉サン、足元ニハ重々キヲツケテ!』
         『三枝サン、マタオアイシマショウ。オ元気デ』

               シュルルルルッ

マスキングテープが全部外れて、私はちゃんと立った。

「よし、もう痛くないっ」
「私そろそろ行くね。三枝くんと話せて楽しかったよ」
「それと……ありがとうね、治るまで見ててくれてっ」

         ニコ

「それじゃ、またね〜っ」

そういうわけで、私は下の階に降りていくんだ。

ケガが治ったのを見て笑ってくれた三枝くんは、多分凄くフツーにいい子だ。 
ケガしたのは痛かったけど、また新しく仲良くなれそうな人に会えてよかったのかも。

486三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2019/03/26(火) 21:22:29
>>485

「こちらこそ、ありがとうございました」

「今泉先輩、どうぞお大事に」

「――というのは、もう必要ないんですよね……」

「またお会いすることがあれば、その時はよろしくお願いします」

「それでは失礼します」

           ペコリ

立ち上がって頭を下げてから、くるりと背を向けて歩いていきます。
職員室に行って、雑巾をもらってきましょう。
床が濡れたままだと、また誰かが足を滑らせるかもしれません。

「――――これも立派な人になるための一歩です」

今泉先輩は、とても話しやすくて親しみの持てる先輩でした。
また一人、尊敬できる人と知り合えて嬉しいです。
これは、きっと千草が『人生の目標』を叶えるための一歩になると思います。

「そうですよね――――『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』」

487今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/04/12(金) 02:42:13

「…………」

     サラサラサラ

部屋を、考えてるんだよね。
図書室でインテリアの本とか借りて。
ノートに書いてみたりとかして。

すぐ引っ越すなんて話じゃないんだけどね。
こういうの、考えるのがフツーに楽しいから。

           サラサラ …コンッ

「っと」

そうこうしてたら消しゴムに手が当たって、ちょっと遠くに落としちゃった。

488??『????・???』:2019/04/12(金) 22:55:18
>>487

 貴方が落とした消しゴムは、一人の女子生徒の靴のそばに落ちた。

「……あ」

小柄な女性だ。少し厚めの眼鏡と、黒い髪で目立たない容姿をしている。

「……どうぞ」

屈みこんで拾い上げ、開いてた本を閉じて貴方に近づき消しゴムを手元へ置く。

「……インテリア 好きなんですか?」

目立たない女性は、控えめに尋ねた。

489今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/04/13(土) 00:01:42
>>488

「あ、どうもどうも」「ありがとうございます!」

      スッ

消しゴムを受け取って頭を下げる。
わざわざ持ってきてくれるなんて親切だ。

「あっ、見ちゃいましたっ?」
「あ、じゃなくて本か」「そうですねえ」

ノート見られたかと思った。
見られてるかもしれないけど。
いや、見られて困りもしないけどね。

「えーと、インテリアが好きっていうか」
「まあ、フツーに興味があるっていうかっ」

手元の本は『家具選びのいろは』とか、
そういうのを本棚から持ってきて、揃えてる。

「そういう……えーと、何さんでしたっけ」
「まあいっか」「そういう貴女は、好きなんですかっ?」

「もしかして、詳しかったりします? インテリアの選び方とか!」

490??『????・???』:2019/04/13(土) 00:19:45
>>489

>詳しかったりします? インテリアの選び方とか!

「インテリアの選び方 ですか」

少女は、厚めの眼鏡を軽く弄り。少し考える仕草を終えて呟く。

「例えば風水や占いが好きなら、それに従ったものを選びますよね」

「けど 大半は自分の好むもの。気に入ったものを選ぶのが一番
好きな色 好きな食べ物 好きな映画 それ等に因んで連想する
ものを繕っていけば後悔のないもの……だけ ど」

「…………私は、逆に『自分が一番好きでないもの』
それを一つだけ決めますね」

「どうしてだと思います?」

491今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/04/13(土) 01:37:27
>>490

「好きなもの、ですか〜」

「あは、占いはフツーに好きなんですけど」
「風水っていうのは、よくわかんないんですよね」
「この機会に勉強してみようかなっ」

って、そういう話じゃないんだよね。
この人にはなにかフツーとは違う理論があるみたい。

「そうですね、あとは」「マスキングテープとか」
「うーん、でもそれだと家っぽくはないですよねえ」
「『ドールハウス』とか好きになってみようかな」
「家だけに」

興味はちょっと、あると思うんだよね。
アーケード街?だっけ、あそこにお店あるよね。

「え、好きじゃないもの?」

「うーん、なんででしょっ? なんでしたっけ」
「あの、ことわざの」「あっ、『臥薪嘗胆』?」

「あえて嫌いなものを部屋に置いて、モチベ上げていくみたいな……ですかっ?」

492??『????・???』:2019/04/13(土) 18:40:02
>>491(お気になさらず)

>あえて嫌いなものを部屋に置いて、モチベ上げていくみたいな

表情の伺うのが難しい眼鏡の下の口元が綻びの形を作る。

「臥薪嘗胆、なんて大仰なものでも無いですけどね。
生活し続けていく内に、大体長い歳月の中で気に入ったものや
好みも移り変わっていくんですよ」

「真っ白な壁も、いずれ染みで淀んでしまうから。
そう言う時はフローリングでもすれば壁は良いですけど
住み慣れた空間の全部を取り換えるのは難しいですから…」

「だから、最初から一つだけ明確に『黒』を入れておけば
あぁ、他の色も少々最近は好みから少し離れて来たけど
あの『黒』よりは良いと……少々廃退的な思考ですけどね」

493今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/04/13(土) 22:10:56
>>492

「へ〜。なんだかすごい話ですねっ」

なんだかむずかしい話だ。
この人、ものすごく賢い人なんじゃないかな。
私、そこまではっきり嫌いなものってあるかな。
好きなものが変わっても変わらないくらい・・・

・・・

・・・・・・考えても、仕方ないかな。

「ちなみに、えーと」「・・・」
「ごめんなさい、お名前なんでしたっけ」

「あなたも、部屋にそういう『嫌いなもの』とか置いてるんですか?」

この人は何が嫌いなのかな。
フツーに虫とか? そんなのは、いくらなんでも置きたくないよね。

494??『????・???』:2019/04/13(土) 22:42:49
>>493

>お名前なんでしたっけ

「……名前 ねぇ」

その問いかけは、極ありふれた 初対面な人間と会話するにあたって
特筆して何も可笑しくない質問だ。
 だが、少女はそれに本棚を背もたれにするようにして姿勢を変えて
腕を組み、ほんの少しだけ雰囲気を変えて告げる。

「正直 名乗るのは気が進まないんです。
いえ、そちらに自己紹介するのが嫌だって話では無いですし
犯罪歴がある訳でもないです。貴方に対し好印象はありますし
現在進行形でlike(好き)でありlike(同様)な方だなとも思ってます。
何故名乗りたくないのかって?
 私自身が半端者でしてね。自分自身の名と言うのが曖昧模糊で
その名前自身が 私と言う存在を表す呼称だ! としっかり
胸を張って言える気がしないんですよ」

ですので、お好きなように呼んでくださればと 少々蠱惑的な
微笑を少女は模った。

>『嫌いなもの』とか置いてるんですか?

「えぇ、ありますよ。ちょっとした画家に頼んでね。
何時もベソっかきなマンモーニな少女の自画像を部屋に飾ってます。
見る度に胸がムカムカしますが……臥薪嘗胆、それですね。
随分と自戒の役に立ってくれてます」

私は、貴方の事を何と呼べば宜しいでしょう? 

そう、少女は図書を愛する友好の士である貴方に問いかけ返した……。

495今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/04/13(土) 22:57:06
>>494

「へ」

「へぇ〜〜〜」

何言ってるんだろこの人。
ちょっと困っちゃった。

えーっと、つまり『名前に自信がない』のかな。
自分が何なのか、よくわかんないってコトなのかな。
そんなの、私だって同じなんだけど。

           イマイズミ ミライ
「私、高等部1年の今泉未来ですっ」
「呼び方は、なんでもいいですよ」
「あ、もちろんフツーなあだ名の範囲でですけど!」

でも、そう考えたらわからなくもないかな。

「名前がわからないとあだ名も考えにくいですねえ」
「う〜ん」「メガネ……」「は、そのまますぎか。あはは」

それでもいいって言いそうだけど。

「ベソっかき……」「は、嫌いなものだし」
「どうしましょうね」

「あ。じゃあ、逆に好きなものってなんですかっ?」

496??『????・???』:2019/04/13(土) 23:10:54
>>495

クッ クッ クッ

貴方の困った表情を読み取ったのか、少し低い笑い声を
隠そうとせず鳴らす。少々意地の悪い性格なのだろうか?
だが敵意は然程無さそうにも思える。

「今泉 未来……周りからは愛称でいずみんとか
呼ばれた事が一度はありそうですね」

>逆に好きなものってなんですかっ?

パチ…

その言葉に、少しだけ瞬きと真顔に顔つきが変化した。
少し黙考と唇に指を這わせたあと、口開く。

「んー……私は猫が好きですかね。ミー ミーと
可愛らしく泣く三毛の子猫が」

「それじゃあ、これから私はミーと名乗りましょう。
そして貴方をミライと呼びましょう」

ミーとミライ。口ずさむのにも語呂が良いじゃないですか

少女は軽やかに笑った。

497今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/04/14(日) 01:31:27
>>496

「あ、わかります?」「呼ばれますよ、イズミンって」
「やっぱり頭いいんですねっ」

もしかしたら、どこかで聞いてたのかな。
苗字はあだ名にしやすいし、偶然かもだけど。

「へ〜、猫」
「かわいいですよね」
「私も猫、フツーに好きですよ」

犬派猫派なんていうけど、比べられないよね。

「ミーさんですね、じゃあそう呼ばせてもらいますっ」
「よろしくお願いしますね、ミーさん」

って言ってたら、職員の人がこっち見てる。
ちょっと長いことしゃべりすぎたかな。

「ミーさん、ラインとかしてます?」
「図書館だし、おしゃべりし続けるのには向いてないかなって」

「連絡先交換して、あとでゆっくり話しません?」

498遊部『フラジール・デイズ』:2019/04/14(日) 21:08:26
>>497(切りが良いので、ここら辺で〆させて頂きます)


「lineは……しませんね」

(少なくとも、何時『私』が『誰』になるか不明な現段階では な)

この女学生と会話して解る。彼女は特に隔たりない白か黒で言えば
白(安全圏)に間違いなく与す存在だ。

(それでも、いずれ何処かで。この若干無益とも思える所作や邂逅が
思わぬ価値となって発掘されるのかも知れない)

「ですけど連絡先は勿論交換しますよ。未来とは友達でいたいですから」

敬称抜きで、そのまま名を告げたのは。出来うる限りの親愛を示そうと
思ったからだった。

黒も白も、様々な混濁色な我等であるものの。今は束の間の安らぎ(日常)
を受け入れるのも……やがて到達すべき道の為には必要だ。

499今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/04/14(日) 23:29:49
>>498

「あれっ、そうなんですか」
「それじゃあメールアドレスですねっ」

珍しいけど、いなくはないよね。
連絡先を交換して……

「よし」

「それじゃ、また後でお話ししましょうね」

    ヒソヒソ

今ごろ声を潜めたりして。
とりあえず、ここではこれで、お話は終わりだ。

500今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/04/19(金) 00:05:51


┌────────────────┐
│  中庭に置き忘れられたスマホだ。 │
└────────────────┘

         〜〜〜♪


              〜〜〜♪

┌───────────────────────────┐
│      白いケースが、マスキングテープで飾られている。      │
└───────────────────────────┘

                ┌────────────┐
                │ ・・・着信音が鳴っている。  │
                └────────────┘

501?????『?????』:2019/04/22(月) 20:45:34
>>500

通りがかった一人の女子生徒が、偶然スマホを見つけた。
着信音が鳴るソレを一瞥し、どうしようかと考える。
やがて、おもむろにスマホに手を伸ばした。

          ピッ

「――もしもし」

「えっと、私は持ち主の人じゃないんですけど――」

「たまたま鳴ってるのを見かけたので……」

電話口に向かって、遠慮がちに呼びかける。
話しながら、中庭のベンチに腰を下ろした。
電話の向こうにいるのは持ち主の知人か、それとも持ち主本人だろうか。

502今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/04/22(月) 23:42:52
>>501

「もしもし、未来―――――――――――――」

           「・・・」

              「未来の、知り合いですか?」

┌───────────────────────────┐
│電話口の向こうから聞こえるのは、落ち着いた男の声だ。     │
│話しぶりからして、このスマートフォンの持ち主ではないのだろう。│
└───────────────────────────┘

                ┌────────────────┐
                │   ・・・知り合いなのだろうか?    │
                └────────────────┘

503?????『?????』:2019/04/23(火) 00:32:23
>>502

雰囲気からすると、持ち主の知人なのだろう。
言い方からして、相応に近い間柄なのも分かる。

「はい、同じ学校の友達です」

「未来さんは……近くにはいないみたいですね」

「たぶん置き忘れ――だと思いますけど……」

       チラリ

「あの……未来さんのご家族の方でしょうか?」

会話を続けながら、液晶画面を確かめる。
登録されていれば、相手を確認できるはずだ。

504今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/04/23(火) 01:26:32
>>503

「そうか――――――友達。未来の…………私、は」

┌────────────────────────┐
│     知らない人間の名前を呼ぶ声ではない。       │
│  なにか、電話越しには、あるいは空気の振動でも・・・.  │
│    伝わりきらない『こころ』のようなものがあった。     │
└────────────────────────┘

「未来の…………」

        ┌──────┐
        │   ・・・・・・。  │
        └──────┘

           「……『父』です。はじめまして」

┌───────────────────┐
│ 画面には、『番号』しか表示されていない。   │
└───────────────────┘

  「…………すみません、切ります」

          「…………ああ」

      「未来と、これからも、仲良くして……あげてください」

505?????『?????』:2019/04/23(火) 01:54:22
>>504

「あ、お父さん――なんですね」

何も気にしていないような、何気ない口調で答える。
しかし、どこか『躊躇い』を感じる言い方が気になった。

「はい、分かりました」

表示されているのは『番号』だけ。
あるいは、そこに何かしらの事情があるのかもしれない。

「未来さんは、大事な友達ですから」

だけど、それは自分が踏み込むべきことではないだろう。
多分そう思う。

「これからも一緒に楽しく過ごせたらなって」

だから、それについて尋ねることはしなかった。
気にならないと言えば嘘になるけど。

「――そう思ってます」

足元に視線を向け、それから空を眺める。
ふと、持ち主の顔が思い浮かんだ。

「あの……未来さんに何か伝えることが?」

「もし良ければ、私が――」

そこまで言って、口を閉じる。
――やめよう。

「……いえ、何でもありません」

「この電話は、きちんと未来さんに返しておきますから」

「――それじゃあ、失礼します」

506今泉『コール・イット・ラヴ』【高1】:2019/04/23(火) 02:23:14
>>505

「――――――ありがとう。未来をどうか、よろしく」

      ┌──────────────┐
      │   そうして、電話は切れた。  │
      └──────────────┘

        ┌──────┐
        │   ・・・・・・。  │
        └──────┘

    ┌──┐
    │ ・・・.│
    └──┘

・・・。

「…………」

            スタ スタ スタ

携帯落としちゃった。落としたのかなくしたのか、わかんないけど。
でも中庭にいたときはフツーに触ってた記憶あるし、このあたりにあると思うんだよね。

507夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/04/23(火) 02:55:16
>>506

     ピッ

「――……」

通話を切って、手の中のスマホをボンヤリと眺める。
最初は何てことない思い付きだった。
少しだけ『ネコ』被って、ちょっとした『サプライズ』でもやろうかなと。
ホラ、前回(ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1456056964/8)は、
すぐバレたし。
そしたら、何だか思いもしない方向に行ってしまった。

「――――おん??」

       サッ

向こうからイズミンが近づいてくるのが見えた。
素早くスマホをポケットに入れる。
ベツにパクろうってワケじゃあない。

  「イッズミ〜〜〜ン」
          
      「イッズミ〜〜〜ン」

          「イズミンは『ナニか』をさがしているようだ」

              「では、ナニをさがしているか??」

                  「『めいたんていユメミン』がスイリしてみせよう」

                      「それは――――『おとしたケータイ』だ!!」

                  ババッ

ポケットからスマホを取り出してイズミンに見せる。
しそこなった『サプライズ』の代わりだ。
悪戯っぽい笑みを浮かべた表情には、先程までの深刻な様子など微塵も残っていない。


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