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【場】『汎用場所スレッド ―プラチナ―』

1オレはいったい誰なんだッ!?:2016/01/22(金) 22:05:56

 なかなか気にいった いい所だぜ

151アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/23(火) 20:47:03
>>150
「ハイ、それでは。楽しかったデすッ」
パタパタ

手を振って『鳳来山』を見送り、教室へと戻った。
その日一日、なんだかゴキゲンだったそうな。

152鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 00:20:54
ここは駅前の喫茶店。
こじんまりとしているものの、きちんとした店だ。
今は営業時間中であり、鈴木はアルバイト中である。

「はいー。ホット3オレンジ2-。」

「チーズケーキ2とチョコケーキ1でぇ。」

厨房に注文を伝えてホールに戻る。
太陽のような温かみのある笑顔を浮かべつつ仕事をこなしていく。

(……しんど。ウチ、なんで働いてるんやろぉ?)

(もっと他の人が働いたら楽できるのに。)

だがその心は汚れきっていた。
別段他人が働いていないのではない。
鈴木が特別怠け者なのだ。

「あ、はい。注文ですねぇ。」

鈴木があなた(>>152)のテーブルへとやってきた。

153露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 00:43:36
>>152
 例えばの話をしよう。
 例えば――例えば道を歩いていて、『あなたに2万ドルの懸賞が当たりました』……そう言われたとする。
 誰も信じないだろう。それどころか疑う筈だ。
 だがこれが200ドルだったり、2ドルだったりしたらどうだ?
 受け取る人間も多い……だろう。きっと。
 つまりは『現実味』だ。
 妙な額よりも、少額の方が『そんなものなのかな』と受け入れてしまうのが人間の心理という奴。

 でも一方で。
 あんまりにも現実離れしすぎた……20万ドルとかなら、逆にそれを『貰ってしまう』のかもしれない。
 それも人間だからな。

 「どれにしようかなぁ〜〜〜〜、こっちもいいよなぁ〜〜〜〜」

 つまり何が言いたいかというと、だ。

 ――馬鹿馬鹿しい。

 そんな実験を行う側ならともかく、受ける側に回るなんて都合がいい話はない。
 ないだろう。
 ない筈なんだ。
 ないに決まってるんだけど……その無いものを探してるってのは不毛な話なんじゃあないだろうか。



「……あ、俺ブレンドで」


 隣の椅子に荷物を重ねた、明るい茶髪と赤いフレーム眼鏡がメニューも見ずに注文を告げた。

 鈴木の事を一瞥もしない。何だか判らんが不機嫌そうだ。

 連れらしき黒髪の青年はまだメニューを前に首を捻っており、その隣に座った何となく穏やかそうな女は微笑でそれを眺めてた。

 大学生の集団、らしい。何の組み合わせだろうか。

154鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 01:04:34
>>153

(しんど。)

(何時から働いてるやろか。)

(生きてくため……かぁ。)

テーブルに行き、注文を受ける。

「はい、ブレンド。」

「えっと……そちらのお客様は……?」

連れの客に注文はないかと振る。
メニューを見ているのだから考え中だろうが、まぁ聞いておこう。

「こちらのケーキセットなど、いかがでしょう?」

(注文決めてから呼んでぇや……)

155露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 01:18:59
>>154
 「ケ、ケーキセット……!? うおお……ここで第三の選択肢かぁ……!」と黒髪。

 「あ、なら私はそれで」と女。


「……いや決めてから呼べって話だろ。マジな話」


 そして茶髪が、視線を外しながら毒づいた。

 鈴木だけに聞こえるぐらいの声の低い囁きで、物凄く不機嫌そうだ。女なら生理中を疑う声色である。

 仲良し集団……とは言いがたいだろう。そこだけ見れば。


「……んで、俺が言いたいのは単純なんスよ。
 『やるならやるでちゃんと調べればいい』……シンプルっすよね?
 不思議探したいなら、図書館でも何でも行って古新聞漁るなり、その辺の人に聞き込みするなりすりゃあいいんスよ」


 「でも……こうやって集まるのも悪くないだろ? 折角の不思議発見サークルなんだし」と男。
 なお、メニューはまだ決めてない。

 「ケーキセット、おすすめのケーキはなんですか?」と女。


「……振り回される俺の身にもなれっつーの。マジ勘弁願いてーっスわ」

156鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 01:49:46
>>155

(しんど。)

(モメるんやったら外でやってねぇ。)

そこまで面倒みきれる気はしない。
仲良し集団でないのなら今すぐにでも破滅を見せていただいても鈴木は一向にかまわない。

(仕事中やなかったらなぁ……)

「おすすめは甘いものがお好きでしたらショートケーキ、苦手でしたらチーズケーキでしょうか。」

「……不思議発見サークル?」

「お客様方はサークルの方で?」

少し気になる単語であった。
どうせこの男は注文を即決できそうになさそうなので聞いてみる。

157露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 02:05:21
>>156
 「えっと……それじゃあ、ショートケーキで」と女。
 もう一人はまだ唸っている。
 鈴木の質問に答えようとしたが、茶髪にメニューを指差されていた。

「ん? ああ、そーっスよ。不思議発見サークル」

 手持ち無沙汰そうにしていた茶髪が、途端に笑顔を見せた。
 目尻が下がって人懐っこい笑み。
 さっきまでのそれとは打って変わった明るい態度だ。

「んで、あっちが部長。……そっちが副部長。
 ……いや、サークルだから会長っスかね」

 女が会長。黒髪の男の方が副会長らしい。
 心なしか、男の方を指す際に目尻が強張っている風にも見えなくはない。

「興味あるんスか? 不思議発見とか」

158鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 02:20:59
>>157

「ショートケーキのケーキセットですね。コーヒーと紅茶どちらにいたしましょう?」

次の質問。
マニュアル通りしかしこれが一番手っ取り早い。

「不思議発見サークル。」

(……)

この変わりよう。
自分と同じタイプの人間か?
鈴木は少し疑う。
いや、そうではないかもしれないが……

(破滅させたいなぁ……三人ちゅうより、この二人。)

「へぇ。会長さんと副会長さんですかぁ……」

「お偉いんですねぇ。」

にっこり微笑む。

(目ぇ今……や、うん。)

「興味……?私は怖いのダメなので……お化けとかはちょっと。」

「それより不思議な方とか不思議なことを知っている方の方がよっぽど興味がありますよ。」

あなたの方を向いて微笑んだ。

159露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 02:36:27
>>158
 「私は……紅茶かな。コーヒーはあんまり得意じゃなくて」と女。
 「ナポリタン……そういう選択肢もあるのか」と黒髪。

「……選択肢どんだけ増やすんだよ」

 小声で茶髪。
 女の方を見る目が普通……というより柔らかそうなのに対して、男を見る目には若干の厳しさが混じる。
 本当に普通なら気が付かない程度に。
 同じような、笑顔を仮面として使うことを知っているタイプ以外には……判らないぐらいに。

 「わ、私は別に……偉いとか……」と女。
 「いやほら、前会長からも保証されてるし大丈夫だよ! この人も言ってるし!」と男。

「……」

 鈴木の笑顔を受ければ、何事もない風に笑い返して黒髪へと話を振る。

「へえー、怖いのにそーゆーのに興味はあるんスか?
 ……だそうですけど、副会長サマ? 俺よりも詳しいっスよねー、オカルトとか」

160露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 02:40:22
>>159
>>158
 「私は……紅茶かな。コーヒーはあんまり得意じゃなくて」と女。
 「ナポリタン……そういう選択肢もあるのか」と黒髪。

「……選択肢どんだけ増やすんだよ」

 小声で茶髪。
 女の方を見る目が普通……というより柔らかそうなのに対して、男を見る目には若干の厳しさが混じる。
 本当に普通なら気が付かない程度に。
 同じような、笑顔を仮面として使うことを知っているタイプ以外には……判らないぐらいに。

 「わ、私は別に……偉いとか……」と女。
 「いやほら、前会長からも保証されてるし大丈夫だよ! この人も言ってるし!」と男。

「……」

 鈴木の笑顔を受ければ、何事もない風に笑い返して黒髪へと話を振る。

「へえー、怖いの『ニガテ』なのにそーゆーのに興味はあるんスか?
 ……だそうですけど、副会長サマ? 俺よりも詳しいっスよねー、オカルトとか。
 ちょっと俺には『不思議な人間』とかも思い付かないモンですしねぇ……」

161鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 02:55:27
>>160

「紅茶で。」

「お悩みのようでしたら、また後でご注文お受けいたしますが?」

長々と同じテーブルにいると全体の工程がストップしてしまう。
長話もいいが、それは無言の間とは違うことだ。

(うふふ。面白い子ぉ。)

「前会長、ですか。」

「あ、副会長さん、お詳しいんですかぁ?」

にっと笑う。

「よろしければお教えいただきたいです。」

(キミのこともね、茶髪くん?)

全体を俯瞰で見るようにして茶髪も観察しておく。

162露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 03:16:23
>>161
              ロギ
 「あ、え、えっと……露木、そこでオレに振るの!?」と男。
 鈴木に笑いかけられた副会長は、その魅力に揺さぶられてか明らかに戸惑った。
 身振り手振りを交えて、しどろもどろに応対する。
 そう、これが普通の反応。

 「あはは……でも、不思議な話かぁ……」と女。
 鈴木の言葉を額面通りに受け取って、顎に指を当てて俯いた。
 ただ、どことなく集中しきれてない。鈴木の事が――違う意味で――気になっているようである。

「……あー」

 茶髪――露木は、女をチラリと眺めていた。それから頭を掻く。
 己の取った行動が失策だったと言わんばかりに。
 やってしまった悪戯が、思った以上に被害を出すことを理解した少年のように。

「……そういえば、俺も不思議な人間に心当たりあるかもなぁー。なんて、急に思い付いたんスけど」

163鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 03:29:27
>>162

(露木さん、ね。)

「?」

丸い瞳を丸くして小首をかしげてみる。
男のこの反応、見覚えがある。
嫌というほど見てきたものだ。
いや、正しくは嫌ではない。嬉しい。
自分の魅力を確かめられるからではない。
それが破滅に通じるからだ。

「おぉ。どんな方ですか?露木さん。」

柔らかな笑みは浮かべない。
口元を優しく緩ませるだけだ。
笑顔を一番いい顔を見せるのは獲物だけでいい。
少なくとも今は。

164露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 03:37:43
>>163
 「え、そうなの秤くん……?」と女。
 「なんだよ、こんなに身近に居たのか! 先言ってくれよ!」と男。

 露木は、二人に構わず鈴木だけを見詰めている。
 だというのに副会長のような、内から出る熱は感じない。
 親しみを感じる目尻の下がった笑顔であるが、どことなく警戒が滲んでいる気がした。
 そして、露にするつもりもなければ、それ以上に隠すつもりも特には無さそうだった。
 判るなら判るで仕方ない――という風なのは、野生の動物の警告のようなものでもある。

「そうなんスよねー。いやあ、意外かも知れないっスけど」

 と、ポケットからトランプを取り出して……扇状に広げてみた。
 全部背を向けた状態で、右手一つで鈴木に差し出される。

「所謂『超能力』! ………………とか使えちゃったりして」

165露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 03:46:20
>>164
>>163
 「え、そうなの秤くん……?」と女。
 「なんだよ、こんなに身近に居たのか! 先言ってくれよ!」と男。

 露木は、二人に構わず鈴木だけを見詰めている。
 だというのに副会長のような、内から出る熱は感じない。
 親しみを感じる目尻の下がった笑顔であるが、どことなく警戒が滲んでいる気がした。
 そして、露にするつもりもなければ、それ以上に隠すつもりも特には無さそうだった。
 判るなら判るで仕方ない――という風なのは、野生の動物の警告のようなものでもある。

「そうなんスよねー。いやあ、意外かも知れないっスけど」

 と、ポケットからトランプを取り出して……扇状に広げてみた。
 全部背を向けた状態で、右手一つで鈴木に差し出される。

「所謂『超能力』! ………………とか使えちゃったりして」


「例えば」

       『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』

「このトランプ……見ての通り、どこにでもある普通の『トランプ』っスけど…………」

         『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』

「俺が使うと……『疚しいことがあると反応するトランプ』になるんスよねぇ〜〜〜〜〜」

                     『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』

166鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 14:33:54
>>165

(女の子に下の名前で呼ばれるぐらいの仲……)

(……この二人に副会長さんが割って入った?や、まだ決まったわけやないけど。)

観察。気になるのはこの露木の顔。
恐らくだがこの男は自分にとって好ましいタイプの人間ではない。
油断がない。付け入る隙も無い。
そういう男なのか?

「超能力?」

向けられたトランプ。
引け、ということか?

「疚しいこと?」

「私、疚しいことなんて微塵もありませんので。」

トランプに手を伸ばす。
そう、鈴木怜に疚しいことなどない。
彼女は遊んでいるだけだ。
そのオモチャが他人の心や人生であったというだけのこと。
何一つ疚しくなどないのだ。

167露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 15:32:34
>>166
「ああ、そのまま普通に好きなの一枚引いて貰うだけでいいんで……」

 鈴木が伸ばした応じるようにズイ、と更に右手を強調する風に差し出される。
 もしも鈴木が今までマジックを見る機会があるのなら、この行動の名前にも聞き覚えがあるだろう。
 ――『ミスディレクション』。
 派手に目につく方に注意を引き付けて、もう一方やそれ以外の部分で仕込みをする……という手法。
 ありふれていて、だからこそ詰まらない……超能力でも何でもない『騙しの手品』だ。
 その証拠に、視線を避けるように左手が椅子の背凭れの後ろに回されている。

 何の躊躇いもなく伸ばされた鈴木の手を、笑顔を崩さぬまま僅かに値踏みする風に露木は、
 わざとらしく、足を組み直した。
 そのまま『余裕綽々』とか『自分の方が明らかに主導的だ』と言わんばかりに偉そうに、右手と、扇状に広げたトランプを突き出している。

 それを、鈴木の指が摘まんだ。
 後は『引く』だけだ。

 そう、露木が本当に『超能力者』で、彼の言葉通り『トランプが疚しい事に反応する』のなら何も起こらない。
 呵責がないので指先も震えない。
 これがただのブラフ(ハッタリ)なら、一体何を目的にしているかはともかく――鈴木から炙り出せる事はない。何も。

 もっとも、ミスディレクションなど仕掛ける以上は……。
 これが『超能力』などではなく、単なる『手品』の一種であると考える方が自然だ――――――

 

          『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』


「おたくサンの言葉どーり、何もなければ……『何事もなくカードを引ける』」


             『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』


 …… ミスディレクション?


      『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』


「そう、『本当に』『何も疚しいところがなければ』『とても簡単』っスよ」


        『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』

       ・・・ ・・・ ・・・ ・・
 ……『椅子の後ろに隠した左手』で、一体何を『仕込む』と言うのだ?


                    『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』


「でも……『もし』、『万が一』……」


            『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』


「全く自分では『罪悪感』とか『罪の意識』とか感じてなくて…………
 それどころか『上手いことやってやったぜ』とか……『達成感』を覚えるような事だとしても」


       『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』



「『隠すべき』事が……あったなら…………カードを引くときに『何か起こる』……か、も」


 「オイオイオイオイ、それっていくらでもイチャモンつけらんねー? 不思議な力じゃなくねえ?」と副会長。
 「え、えっと……」と戸惑う風に会長。

168鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 16:17:47
>>167

「いやん。」

「こわいこわい。」

わざとらしい言葉。
柔らかな表情、視線。
その目の奥でなにかが蠢く。それが何かを鈴木は知らない。

意外ではないが鈴木は露木が何をしているかを考えようとしていない。
相変わらず俯瞰で見るようにして観察しているが、何も引っかかっていない。
小細工を扱い、理想の人物を演出し、騙し喰らってきた割りに鈴木は『騙しの手品』を警戒しなかった。
組まれた足も隠された左手も鈴木は興味がない。

「『隠すべきこと』?」

「ウチのへそくりとか?」

最早店員としての振るまいなどどうでもいい。
今ここにいるのはこの喫茶店の店員ではない。
鈴木怜だ。

「引かせてもらうわ。」

指に力を入れ、カードを引く。
その瞬間、鈴木の体に刺青が浮かぶ。
顔に首に制服から覗く腕や脚に無数の牙の刺青。
それはスタンド使いにしか見えないものだ。

「出たらエエなぁ。スペードの四」

169露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 16:57:55
>>168
「タロットだとか御札だとか…………
 なんつーか昔から、人間とその手の『札』とオカルトの相性は『イイ』と思うんスよねぇ〜〜〜〜〜」

 薄ら笑いを浮かべたままの露木。

「そうそう、ヘソクリとか……そーゆーのとか……『隠されてるのが暴かれる』……
 表に『捲られる』のが…………」

 そのまま、鈴木がカードを引くのを笑顔の仮面のまま観察していた。
 彼の左手に僅かに力が込められたのが見える。
 そう、『そのまま』。『そのまま』進む。
 その――


     パチン


「……ッ」

         『ズギュン』

 ――筈だった。


 ここで弁明が許されるとするならばそうしよう。
 『隠している事があればカードが反応する』などというのは無論の事、露木の出任せだ。
 露木は鈴木の正体には気付いてなどいないし、勿論鈴木の嗜好なんて知るよしもない。
 ただ単純に。
 ちょいとした『当て付け』みたいな事をしようとした事。
 そうしたら――鈴木が感じるのと同様に――露木も『同じタイプの人間だ』と気付いた事。
 それが思った以上の大物の気配であり、己がそんな大物引き入れてしまった事。
 自分が、居心地が良いと感じる場所から『イチャモン』をつけて遠ざけようとした事。

 だから――だから断じて、これは露木の予定外だった。

(オイオイオイオイオイオイオイオイ、大物どころか……トンでもねー『厄ネタ』じゃあねーですか、この女……!)

 露木が左手の指を弾く音に合わせて、鈴木が手にして居たのとは別に……カードの扇から『スペードの4』が弾かれるように宙を舞った。
 そして、認識する。
 鈴木が手にして居たカードにも同様の衝撃が走り、何の備えもなければ摘まんだカードを取り零したであろう事……
 それを露木が『疚しい事がある』……と冗談めかして指摘しようとした意図であろうという事を…………

 だがそれはいい。
 それより何より――

      『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』


「……『望んだ』トランプが…………『本心』が飛び出したって事は…………
 『正直者』って事っスねぇ〜〜〜〜〜…………この場合は……」

(冗談じゃあねえ……何が『正直者』だッ。
 普通、こんな場面で……店の中でスタンド出すかコイツ……!?
 『能力』使おうとした俺が言える事でもねーとしてもよぉ〜〜〜〜〜〜! …ッスけど)


 『コ¨コ¨コ¨コ¨』

                 『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』


 ――そこに、居た。

 『廃墟に巣食うオオガラス』みたいなボロボロの黒のマントで身体を覆い……
 紳士めかした幅広の中折れ帽を頭に乗せた……
 『長い嘴めいているペストマスク』を被った――――異形の人型が。

 ――――『人型スタンド』だ。

170鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 18:36:58
>>169

「正直者。ほんまぁ?おおきに。」

「ウチ、正直者なんよ。」

にっこりと笑う。心持ち注文を決めかねていた男に見せるように。
あぁ正直だ。自分の好奇心に。欲望に。
だからこそ良心の呵責というものがない。

「カードが飛び出した原理は分からんけど、もしかして……」

「ほんまに超能力?」

スペードの四を手に取って仕掛けがないか確認しようとする。
仕掛けなどあるはずもないのに。

「うーん。タネ、ないかなぁ。」

目を細め露木を見つめる。
その焦点は露木にあっていない。
人型のそれに注がれている。
刺青だらけの女がペストマスクの人間を見つめる。
なんとも奇妙である。

「あ。」

背後に視線を向ける。
そこには苛立った様子の店員が一人立っている。

(しくった……店長……)

「あ、ああ。そちらのお客様、ご注文は決まりましたでしょうか?」

男に言葉をかける。
注文が決まっていてもいなくても、このテーブルを離れるつもりだろう。

171露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 21:35:16
>>170
(ガキの頃……森の中で見た……ジキリタス…………『鈴生り』の紫色の花……)

 鈴木の破顔一笑を向けられた露木は、無意識に震える手で自分の腕を抑えていた。
 「おおー、スゲー! いつの間に練習したんだよ!」とか「秤くん、何でもできるよね」という声援は耳に入らない。
 呑まれそうになった笑顔から自分を繋ぎ止める風に、コートの裾を握り締める他ない。

(この女はそれだぜ……見た目はともかく、紛れもない『毒草』ッ
 善とか悪とか……罪悪感とかチャチな話じゃあねえ……!
 悪意や害意があるのに常人のそれとは『質』と『意味』が決定的に違うタイプだッ、獣でも人間でもなく『牙のある毒草』…………)

「……さあ、タネを明かしたら『超能力』じゃあなくなっちまうんでね」

 鈴木に見詰められた人型スタンド――『ワイド・アウェイク』が稼働する。
 だらりと両手を下げてはいるが、臨戦態勢だ。
 本体である露木ではなく、副会長と、会長を庇う風に間に立つ。
 露木の顔も殆ど笑顔というよりは、あからさまに戦闘の気配を隠さないものとなっていたが、

「あ」

 鈴木と同じく視線を移して、呆気に取られた風に店員を見詰める。
 なお、
 「ピザトーストも…………いや、すみません、後で頼みます」と副会長。

 優柔不断らしい。

172鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 22:46:44
>>171

「?」

鈴木怜。おおらかで優しい人柄を演じる彼女。
その本質は実に怠惰で、また悪質である。
破滅を愛する性質、それが彼女の根源である。

「やん。いけず。」

ちょっと唇を尖らせる鈴木。
視界の端に人型を捉えている。
相手がどうだか知らないが戦闘の意志はない。
スタンドを解除する。牙が消え女のみが残る。

「……後で、ですね。かしこまりました。」

そういってから注文の繰り返しを始める鈴木。
それは一人の店員としての作業でしかなく、そこに鈴木怜という女性はなかった。

「これ、お返ししますね。」

鈴木は露木の前に引いたトランプを置いた。
ハートのQ、そこにペンで何か文字が書かれている。
注文を繰り返す時に書いていたらしい。

また遊ぼうね。

そう書かれた文字の隣には携帯電話の番号とメールアドレスらしき文字の羅列。
恐らく鈴木の連絡先だろう。
背を向けて厨房に歩き出す鈴木。
笑顔のまま怒った上司の元へと戻っていく。
恐らく、このテーブルに来ることはないだろう。
少なくとも今日は。

173露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 23:03:42
>>172
「…………………………」

「……………………………………」

「………………………………………………」


                             「ぷはぁ〜〜〜〜〜〜〜」


 背を向けて去っていく鈴木を見て、漸く人心地ついた露木。

 少なくとも――。
 少なくとも今までの露木の人生では『出会う事がなかった未知のタイプ』であった。
 調子に乗って思い上がった馬鹿か、お利口サン気取る馬鹿か、気に入らない類いの馬鹿か、何も考えてない馬鹿か、お人好しのバカ……
 ……分類はそれだけだ。

 「…………今の店員さん、こう、なんかアレだよな! おしとやかっつーか、三歩下がって二歩下がるっていうか! 大和撫子っていうか!」
 と、何も考えてない馬鹿。
 「えっと……ああいう子がタイプなんだ……?」
 と、お人好しのバカ。

 そして、

「…………マジ勘弁願いてーンすけど」

 交遊関係には……どの馬鹿にも分類できない、『馬鹿みたいに得体のしれない女』が追加された。

 一応電話帳にも。
 その辺は律儀だった。

174白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/04(金) 23:27:50

ここは――アーケード街。
『虹』が最近居座っている場所の一つだ。

ひな祭りが終わって、ひなあられが投げ売られる。
菱餅とか、そういうのもある。廃棄もあるぞ。
ゴミ捨て場を確保している連中は、おこぼれにあずかれる。

しかし――

「ケッ!」

    (桃の節句だかなんだかしらねえですが……
      イーちゃんにはちっとも美味しくないイベントですよ!)

『虹』は、主要なゴミ捨て場を確保できていない。
たこ焼きの支給と、小学生の残した給食で食いつないでいるのだ。

          トテ
          
            トテ

(なんか……おもしれぇ事でもないですかねえ。
 出来れば満腹感の得られるような面白いことが……)

あまり望みは濃くないが……まあ願うのは自由ではないか。
世の少女諸君は桃の節句を存分楽しんだのだろうし、おこぼれの一つや二つ……と。

                 『現在のイーちゃん通帳』→169円

175露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/04(金) 23:44:17
>>174
(大体っスよ。大体、大学っつーのは『勉強』するところって奴じゃあねーんですか?)

 ハンバーガーを片手に申し訳程度に首を動かして辺りを見回す。
 目標は不思議発見だが、目的はまた別の話だ。

 ――とりあえず時間を潰す。

 そもそも、だ。
 そもそもの話雛祭りだか難だか知らないが、それと不思議発見というのにどんな関連性があるのか。
 雛祭りらしく雛人形がストリップを行っているところを激写すればいいのだろうか? 多分黄色い救急車を呼ばれる。
 それにしたって……。
 それにしたって、歩き回って見付かるものでもないだろう。

(会長サマはあれでいて頑固だから手に負えないってヤツだし……あーあ、何やってんだかねえ)

 貴重な休日を、だ。

(あ〜? ……あれも不思議っちゃあ不思議なんスかねぇ〜〜?
 人面犬ならぬ犬人間とかカラス人間ってヤツ?)

 徐にスマホを取り出して『虹』に剥けてみる。

176白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/04(金) 23:51:27
>>175

ここはアーケード街で、店はけっこう閉まっていて、雛祭りの名残がある。

歩き回っていても不思議はまあ、そうそう見つからない。
だが、『犬』でも『烏』でもない――『野良猫少女』がここにいる。

        チラ


「……あん?」

     「アッ! やいっ!
       なァ〜にを撮ってやがるですかッ!」

  フシャーッ!

向けられたスマホに、カメラを連想した。
撮られるのはあんまり愉快じゃあないし、それに。

「イーちゃんを撮るなら撮影料よこせです。
 一枚100円、400円上乗せでパフォーマンス有ですよ!」

        「ワンコインでお得ですゥ〜」

           ズイッ

図々しくも、右手を差し出す。
タダで撮らせるよりは、なんか貰いたい気分なのだ。腹が減った。

177露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/04(金) 23:57:59
>>176
「ゲッ」

 まさか気付くとは……やっぱり野生の勘か?
 小学生の頃、一度だけ父親と行ったハイキングでやたら野鳥がカメラに敏感だった事を思い出した。
 しかもなんつーバイタリティーだ。強かというかなんというか……。
 バラバラにしても中々死なないで同族食いをしてたザリガニっぽさもあるぞ。

 ……丁度いいな。主に時間潰し的な意味で。

「はぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」

「おいおいおいおい、おいおい……まさか……まさかのイチャモンっスか〜〜〜〜〜〜?
 『証拠』もね〜〜〜のにぃ〜〜〜〜〜?」

 屋台で吹っ掛けられたときの『バカ言っちゃいけないよ』のポーズ。

「これは『めーよ毀損』っつー奴じゃあ、ねーんですか〜〜〜〜〜〜〜〜〜? 所謂一つの警察案件みてーなヤツだったり?」

178白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/05(土) 00:17:28
>>177

ザリガニや野鳥はお金がなくても生きている……
寝床とかも野外だし、余計な物を持っていない。
『虹』も同じだ。物が無いことで精神が研ぎ澄まされる『悟り』かもしれない……

    「グヌ」

(しまった、気のせいだったですか……!
  いやいや、気のせいもチャンスにするのがイーちゃんですよ!)

別にそういうわけでも無い気はするが……

ともかく一瞬押し黙る。
しかし、ここで負けてはいられない。

「……いやァ? イーちゃんは、
 あくまで『撮るなら』って、先に言ってやっただけですよ?」

        「お前も……仮に撮ったとして!
         後から言われたら困るですよねえ?」

              「100%親切心の値段提示ですゥ〜♪」

などと屁理屈をいいつつ、さらに。

    クイ   クイ

        顎でスマホを示して。

「それに……撮る気がねえなら!
 そのスマホ、なァ〜んでイーちゃんに向けてやがったです?」

『怪しまれることはするな』――ゲンさん(注1)から聞いた言葉だ。
彼が警察に捕まったのは、なにか怪しいことでもして睨まれたからだろうか……?

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(注1)・・・一時期一緒に行動していたホームレス。元社長らしい。

179露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/05(土) 00:29:46
>>178
(……しまった。昔からこーゆーとこあるんだけど、どーにも……。
 どーにもよくねーの引き当てるっつーか……。
 どーにも『面倒くせー』タイプだったじゃあねーの、この場合っつーのは……)

 初めはちょっとからかって時間でも潰してやろう……と思ってたけど、こうも食い付きがいいとは思わなかった露木だ。
 インスタントラーメンを作ろうとしてたら、いつの間にかカップ焼きそばで湯切り前にソースを入れてしまったのに近い感覚である。
 つまりは、そう、面倒くせー。

「へぇ〜〜〜〜〜〜? 参考になったっスね〜〜〜〜〜〜。
 『使うかどうか』よりも『払うかどうか』が重要なお話っスけどね!」

 だが……そう、だが、だ。
 だが……やっぱりゴメンナサイして面倒臭さを回避するのか? 
 いや、むしろここは徹底抗戦ッ!
 思いっきり時間と共にからかい倒してやる……その覚悟が重要なのだ!

「『向けた』ァ〜〜〜〜〜〜? 俺は友人からの着信があったから取り出しただけっスけど〜〜〜〜〜〜?
 まーた『イチャモン』っスか〜〜〜〜〜〜?
 お金の代わりに名誉毀損ポイント『倍点ドン!』みてーなぁー?」

 ……の、ワリに、言動は完全に同じ土俵である悲しさだ。

180白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/05(土) 00:50:19
>>179

『虹』としては――プランは二つある。
1.このままめんどくさくさせてとりあえずお金を払わせる。
2.同情とかそーいうのでなんとか金を恵んでもらう。
3.現実は非情である(これは虹は想定したくない。)

             ・・・金がほしい。

(同情を引くというのは少しミジメですが……
 徒労に終わっちゃあ、お話にもなりやがらねえですからね!)

どうにかして!
何かを得たいのだ。

      「ヌグ」

「お……お前が撮る気がないなら……
 パフォーマンスも見たくないなら……
 そりゃもちろん、払う必要なんてねえですよォ〜〜?」

             「イーちゃんはセージツですからね!」

誠実なやつは、お金をむしろうとはするまい。
とはいえ、死活問題だ。

(しかし、ウマい切り口が見つかりやがらねえですね……ん?)

     「……んん?」

               「着信ん〜〜?」

   キラッ☆

目を輝かせる『虹』!
着信という言葉――そこに野生の勘で食いついた。

「やいやいやいやい、ホントに着信なんかあったんですかァ?
 もしほんとだってんなら、それこそ……『証拠』を見せやがれですよッ!!」

               ・・・鬼の首を取ったような顔だ。
                  もし着信がほんとならどうするんだろう。

181露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/05(土) 00:58:05
>>180
(いや……なんつーか……めんどーっつーか。
 いや、面倒なのは面倒なんスけどよォ〜〜〜〜〜、こう、なんつーか……面白い面倒さっつーか……)

 このどうにか、と食い付こうとするハングリーさ。
 露木には無いものなので、ある意味好感が持てる。かなり。ちょっと真似できないし。
 そう…………かなり。かなり面白い。

「プライバシーですし? いやほら個人情報ですし?」

「それにこういうの、『疑われる』側じゃなくて『疑う側』が証拠を出さなきゃなんねーってので、俺は潔白を証明する必要ねー000ですわ。いやマジ。
 疑わしきは被告人の有利にとか言いますしー?」

 クレーン車がアームで釣り上げるように腕を曲げながら、スマートフォンの背を虹の前でヒラヒラと翳してみる。
 パン食い競争のパンや、馬の前のニンジンみたいに。

182白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/05(土) 01:16:54
>>181

ハングリーさというか本当にHungry(空腹)なのだ。
生きるためにはプライドだって捨てられる(限度はある)のだ。

「な、なにィ〜〜ッ」

     「い、いやっ」
  
           「……グぬ……」

   ブンブン

上手い追及を考えるも……
かなり無意味に振り回す腕がむなしく空を切るのみ。

「……ククゥ〜〜ッ」

         ダン  ダン

妙な悔し声を出して、地団駄を二回ほど踏む。
そもそもそれを追求したとしても、お金がもらえるわけではないのだ。

「…………50円ッ!
 50円くれたら今日んところはもう許してやるです……」

         「疑うのもやめてやるです!
           お金で時間を買えるですよ!」

これ以上無駄な時間を過ごしたく無かろう――という推測だ。

こうなったらもう、直接交渉しかない。    
『虹』的にも時間を無駄にするというのもなんだし、こういう諦めは悪いのだ。

183露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/05(土) 22:25:49
>>181
(見てて飽きないっつーかよぉ〜〜〜〜〜〜。
 そうそうそう、これですよこれ! この不敵さ! これが俺ッ、露木秤ってヤツなんだよ!)

 お人好しのバカと話が通じない馬鹿に振り回されているが……。
 そう、こういう人の食えなさが元来の自分のキャラクターッ! 人の食えねえって言うか人を食ったような態度がね!

 その点、実にこの『イーちゃん』とやらはグッドだ! からかいがいがある!
 ドンドン好感度が上がっていくぞッ!


「ゆ・る・すゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」

           ニヤニヤ

「おいおいおいおい、おいおいおいおい」

  ニヤニヤ

「オタクさん何か勘違いしてねーっスか?
 この場合『疑われてた』のを許して水に流してやる方はあくまでも俺の方だと思うンすけどォ〜〜〜〜〜〜〜?」

                   ニヤニヤ

「『貴重な時間を使わせてしまって申し訳ありませんでした』『どうかお見逃しください』
 ……って言うのはそっちの方なんじゃあねーっスかねぇ〜〜〜〜〜〜? もしもぉーし?」

 まだいたいけない小学生のとき、悪戯のやり過ぎで女子を泣かせてしまった事を思い出すッ!
 楽しかった昔を思い出していい気分だ!
 ついでにこれ見よがしにハンバーガーを齧ってみようかな! ポテトもあるぞ!


(俺は別に悪くねーんスよ、ぜんっぜん!
 浮浪者の『フリ』をしてる悪戯な小学生を『懲らしめてる』だけ! それこそ証拠もねーっスからね!)

184露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/05(土) 22:26:49
>>182
>>183

185白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/05(土) 23:07:10
>>183-184

下唇を噛んで震える『虹』――このまましてやられるというのか。

      「グッ」

  「ヌ」

         「……」

    シュン

プライドが低く、死活問題を背負うゆえに、
『虹』は基本的に、こういう金や食い物へのあきらめが悪い。

           キョロ  キョロ

「……ぐ、ぬ、ぐぅぅぅ……わ……」

(ここで騒いで……
 やばいのはイーちゃんの方ですね……)

        「分かった……分かったです!
         謝ってやるです、なんなら土下座でも……」

   「……してやるですよ。
    時間の無駄はよくねえですし……」

そういうとき、『妥協』を――しなくてはならない時がある。
プライドとか、そういうのを多少……投げ売ってでも、『カロリー』が欲しい!

「その代わり……そのハンバーガー!
 あるいはそのポテトを一口……分けてくれやがれです……!」

        ・・・美味しいカロリーが!

              「価値的には50円より安いですよ!
                ……しかも謝罪のおまけつき、超お得ですゥ!」
 
                        ・・・無くてはならない!

186露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/05(土) 23:21:01
>>185
(こういう時間……ここぞという時間だよなぁ〜〜〜〜〜〜!
 会長サマがいるから普段できねえ『悪い顔』を! この分で『補給』するタイミングじゃあないっスかぁー?)

 時間が無駄になる……確かに普通はそう考えるだろう。
 そのカロリーってのも『無駄』なんだろうな……。
 だが、この男にはそんなものは全くなかった! むしろ『引き伸ばすだけ引き伸ばして』『暇潰ししてやるぜ!』と考えていた。

「ンン〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」

             パクッ

   モニュ モニュ

            ムシャムシャ

                       ゴクン・・・


「な〜〜〜〜〜〜ンか、最近『疲れてる』から空耳みてーなモンが聞こえたンすけど〜〜〜〜〜〜」

  パクッ

「独り言だけど……なーんか、やけに『上から目線』じゃあないっスかねぇ〜〜〜〜〜〜」

        ムシャムシャ

「『お願いだから謝らせてください』じゃあねーンすかァ〜〜〜〜〜〜? この場合」


                 「……いや、全く完全に独り言っスけどね。独り言」


   パクッ

187白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/05(土) 23:46:26
>>186

「き、きィィィ〜〜〜〜ッ……!」

       ダン
 
            グギギ

(クソがァァ〜〜……こ、こいつ!
  イーちゃんのことをなめくさってやがるですね……!)

        (まあ舐められても仕方ない……
          とはいえ、これは腹立ちまくるですよォ〜ッ)

地団駄を踏んでから歯を食いしばる。
プライドを捨てる用意はあるが、捨て場がなくては意味がないではないか!

    (しかし……腹が立つより……
      減っちまう方がイーちゃんピンチ……
       ちくしょォ〜〜〜うまそうに食いくさってですゥゥ)

   グヌヌ

          ヌヌヌヌ

「オッ……なァァんか心変わりしてきたですねェ〜〜……」

        「独り言とは」

              「関係ないですがァァ〜〜〜」

前置いて。
プライドはないがそういう意地はある!

「……お願いだから謝らせてくれやがれです。
 その代わりにハンガーガーをどうかこのイーちゃんめに……」

     「挟まってる肉だけでもいいですからどうかァァ〜〜〜〜」

           ヨヨヨ

                 ・・・同情を誘う路線を混ぜていくスタイルだ。

188露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/05(土) 23:59:07
>>187
「ンン〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」

(実に気分がイイっスねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
 元はと言えばそっちから『イチャモン』つけて来なきゃ平和だったのに、つけて来たからこーなるってモンなんスよ。
 『大人げない』? 『カワイソー』?
 ……そんなのぜんっぜん思わねーっスね! 全く! むしろコイツ面白いぜッ)

 この露木秤に少女を『憐れむ』とか『許す』なんて発想はない……
 あるのはただシンプルに……『煽りつけて』『勝利する』だけよ!

 ……。

 こんなの会長サマに見られたら割腹するがね!
 あと最近知り合った『あの女』! 彼女に知られるのも別の意味で不味い!
 だがまぁここには居ない。いいとしよう。

 ここから先の事は……特に見せる訳にはいかない。


「そこまで言うんなら仕方ねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っスね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

   「『どうしても謝りたいなら』」

           「『謝ってくれても』」

                「『イイ』」

        「……かも」


「なんか完全にそんな気分になって来たよなァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

189白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/06(日) 00:20:51
>>188

捨て場を見つけた『虹』の行動は早い。
露木が『やなやつ』とは分かったが、長引かせ狙いとは気づいてない。


          ザザーッ


「お時間取らせてしまって、
  大変申し訳なかったですゥゥ〜〜」

                ペコォォ

足元にしゃがんで謝罪姿勢に入る――土下座一歩手前の姿勢だ!

          「この通りッ
           謝罪してるですんでェ〜」

     「どうかッ」

  ペコ

「どうかみじめなイーちゃんに、
  恵みの『肉』をおよこしくだされですゥ〜〜〜」

       (イーちゃんは目的のためなら、
         もはや土下座なんぞ痛くもかゆくもねえ女!)

                   (さあ……どう出るですかァ〜〜ッ?)

知り合いとか関係なく、どこに出しても恥ずかしくない『ヤバい状況』だ。
もっとも、この辺に人とかはいないのでどうなるかは『露木』の采配次第ってところか。

                                ・・・どーする?

190露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/06(日) 00:34:47
>>189
(ンッン〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
 まるで小学校の頃の算数の中年教師のババアの机の中にトリモチを仕掛けたときみてーに晴れやかな気分だぜ)

 そして、だからこそ……


「だが急に気分じゃ『なくなった』ッ! 『急に』ッ!」


    ヒョイ パクッ

   モッシャ
                        モッシャ

    ゴクン


 咀嚼、飲み込み……  い ず れ も マ ッ ハ ! ! ! !


 人がいるとか居ないとか……別に居ても構わないのだ。
 何故ならば、

「おいおいおいおい、いきなりどーしたの? 地面に這いつくばって」

「『転んじゃった』? それともコンタクトレンズとか探してるの、オタク?」

 恐らく(多分)一瞬は呆然とするだろう『イーちゃん』の隣にかがみこんで肩に手を置き『優しいお兄さんアピール』だ。

191白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/06(日) 01:14:28
>>190

    ヒョイ パクッ

   モッシャ
                        モッシャ

    ゴクン


「……は?」

                 「…………」

             ダンッ!

思い切り立ち上がる『虹』。
その顔には困惑とか絶望とかもだが――そう、一種の『確信』があった。

(微塵でも可能性を信じたイーちゃんが馬鹿だったです……)

             (世の中)
 
    (人間)

            (……そうそう信じられねえと。
              分かってたはずですよ、イーちゃんは。)


「……いやァ、こういうポーズがしたくなっただけですよ。
 イーちゃん、地べたを這い回るのは慣れてやがるですしィィ〜〜?」

         パッ  パッ

膝を二回ほどはたいて、土汚れを落とす。
プライドはないがあんまきたないのはNGだし、通報リスクも上がる。
 
            「お気づかい感謝ですゥ〜〜♪ けど。
              イーちゃんは大丈夫だから、気にするなです。」

      「心配するならァ〜〜
       50円ほどくれた方がイーちゃんのためですよ。」

お金とはとても大事な物だ……いつでもどこでも使えるし、信用できるものだ。

192露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/06(日) 01:23:55
>>191
(やっぱ……何て言うか…………思った以上にタフだ。
 ただチャチな『慰め』とか『憐れみ』を欲しがった『卑屈さ』というよりも……。
 なんというか……痩せ我慢も忘れてない『気高さ』がある……)

 ハッキリ言おう。

 ……舐めてた。正直な話。完全に。

 自分からちょっかいを出してきた癖にすぐに卑屈な下手になり、
 目の前で獲物をかっさらったらピーピー泣き出すような非力(他力)本願さが有ると思っていたが……。
 そこんとこはどーにも、読み違えていたらしい。


「ごほん……なんつーか、悪かった。謝るよ。マジな話」

「……で」

「ところでここで俺が『急に飯を奢りたい気分になった』っつって……オタク信じますゥー?」

                    「代わりに条件あるけど」

193白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/06(日) 01:41:01
>>192

『慰め』や『憐れみ』が腹を満たし生に繋がるならそーする。
『下手に出る』ことで肉やイモが貰えるなら、そーする。
何もくれねえし意味もねえなら、土下座なんてしない。

そういうことができることが――『虹』の『プライドが無い』ということ。

「……謝るゥゥゥ〜〜〜?」

           「……」

  「まっ! どうしてもっていうなら?
    許してやってもいいですが? その場合モノを――」

                   「奢りィィィィィ〜〜〜〜〜ッ!?」

(どう考えても怪しいし、『信じがたい』ですがァ〜……?
  ……しかァし、ここで素直に帰るってのは。
   イーちゃん、満腹チャンスを捨てることになるかもですね。)

普通ならこーいうのは『お前の施しなんて受けるか!』と断るのか?
だが、『虹』には、そういうプライドもないので、ここはチャンスに賭けるのだ。

                 ・・・浅い信頼はするのだ。

「その条件ってのは何ですゥ?
 土下座はお嫌いってことは〜〜イーちゃんの身体目当てですかァァ?」

        「キャッ! ですぅ!」

            ジロォォ

         疑念たっぷりにぃ〜〜〜、イヤミっぽく、そう問いかける。

194露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/06(日) 02:00:49
>>193
「はぁぁぁぁぁぁぁぁあ!? 身体ァァァァア〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」

           グ グ グ

「おめーみてーな子供相手にンな事考えるレベルに落ちぶれてはいねーですよ! マジな話!」

「それこそ勘弁願いてーっスわ! つーか鏡見ろ鏡! 買ってやるから!」

  ゼー ハー

          ゼー
                                   ゼー


 そんな最悪のレッテル貼られたらこの先生きていけねーし。
 そんなんを他人に知られたらそれこそ破滅だし……。
 こう…………仮にイーちゃんが『ボンッ・キュッ・ボンッ!』でもノーセンキューだ。『間に合ってる』。


「…………」

「なんつーか、うちのサークル……『不思議なもの』を探しててっスねぇー。
 それこそ図書館でも使えばいいのにワザワザ足で探してくれちゃってよぉー」

       「……んで」

「その手の『不思議な事』とか『もの』とかを俺に報告くれたら、その度に奢ってやるっつー話っスよ。
 ……今回は別に教えてくれなくても奢ってやるけど」


 後頭部をポリポリ掻きつつ。

「あ、もし『マジに食うもんヤバくて倒れそー』とかならここにくれば、不思議情報とかなくても奢るっスから」

「これは別に『カワイソー』とか『何とかしてあげなきゃ』とか『後味が悪い』とかそーゆーのじゃなくて……
 こう、倒れられたら自分の足で不思議探す手間がまた増えちまうってだけだからっスからね。深い意味はないっつーもンで」

                「もう一度言うが、深い意味はないっつーもンだから」

195白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/06(日) 02:29:08
>>194

「子供ォォォ〜〜〜ッ!?
 イーちゃんこれでも中学出てるですよ!」
  
          「鏡なんか見るまでもねえです!
           イーちゃんバッチいのは百も二百も承知ですよ!」

   「なめくさりやがってですゥ……
     イーちゃんもお前なんか御免ですよ!!」


   ウガァァッ

体系は貧相だし、顔はまあ……猫っぽいが、それ以上に『薄汚い』。
まあ、自覚はあってもあんまり言われたいことではないが……妥当だろう。

                フー    フー

「……ったく……」

        「…んで? フシギ?ですかァ?
         変わったことしてやがるんですねえ。」

       ピク 

「ケッ! 正直、眉唾な話ですがねぇ〜〜……!
 しかも、相当シャクですが! ……いざという時には覚えとくですよ。」

                「……」

      (一体どういう風の吹き回しか!
       まったくもってわからねえですが……)

嘘臭いと思う気持ちも、かなりあるが……覚えることに損はない。
不思議というなら、手元に一つ、種はあるし。
死ぬほど困ったときにすがる藁は多いほうがいい。

           「んでっ!」

「んで……今回は何をおごってくれやがるですか。
 その辺に生えたキノコとか、川の水とかはノーカンですよォ……?」

                           ・・・とても信じられなくはあるが!

196露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/06(日) 12:44:25
>>195
「中学ゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!? 幼稚園とか小学校じゃなくてェェエ!?」

   「コイツぁおったまげたなァァァァア〜〜〜〜〜〜。いや、マジビックリ!」

「え、つーか鏡の使い方とか判るンすかァ〜〜〜? そんなに貧相でバッチイのにィィ〜〜〜〜〜〜?」

    ゴホン   ゴホン


 身長差で見下しつつ、咳払い。
 いかんいかん、ついついそういう言動に出てしまう。きっとイーちゃんの人徳が為せるワザだろう。

「? いや、フツーに店で奢ってやるんすケド?」


   「つっても……」


    ゴソゴソ
            ガサガサ


              パカッ


「手持ちが今『こんだけ』しかないから、あんま高いモノとかは無理っスけどね」


   『ゴゴゴ』

                       『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

              『ゴゴゴ』

 ……『諭吉さん』だ。
 野口さんも何人かいる。


 『ゴゴゴゴゴ』                                          『ゴゴゴゴゴ』

「いちおー言っとくけど、その辺サスガに遠慮とかしとけよ。こっちも裕福ってワケじゃあねーンですから」

197白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/06(日) 22:57:43
>>196

「はあぁぁッ!? ダァレが小学生ですかッ!
 おめー、目ん玉しっかり着いてやがるですかァ〜〜!?」

           「それにッ」

       「ばっちいのとッ!
         鏡を見られるのはッ!
          別ですけどねェェ〜〜〜ッ!!?」

     キシャァァ

鏡が見られるからこそみじめなきもちになるのだ。
もっとも、きもちがどうあれ見た目がバッチいのは同じだが……

「ぐ、本当でしょうねェ〜〜〜?」

         「フンッ、お前の金銭力で、
          本当にイーちゃんの満足する――――」

   『ゴゴゴ』

                       『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

              『ゴゴゴ』


      「んがッ」

                 「ぐ」

          「うぐ」

こんな大金を目にするのは――人生はじめてではないか!?
万札自体リアルで見るのはいつ以来だ……!?

     「ぐぐぐ」
 
           ガク    ガク

「こ、こ……この金持ちがァ〜〜ッ……」

ふるえる。

「それだけあるなら……あるならですよ!
 高めのファミレスでも……いいってことですねェッ!?」

              「男に二言はねえ、ですよねェ〜〜ッ!」

『虹』が想定しているのは一人2000円くらいかかるファミレスだ。
食生活がしょぼいので、いわゆる高級料理ってやつは想像できない……哀れ……

198露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/06(日) 23:54:11
>>197
「いや、鏡見てたら普通外見気にするっしょ」

 ……でもバッチイ方がいいのか? ホームレスとしては……。
 綺麗なお嬢様がゴミ箱を漁ってたら救急車と警察を呼ばれるが、薄汚い野良少女なら通報されなくてすみそーだしな。


「……」

 本当に憐れな生物を見るような目をした。というか涙が出てきた。
 貧相なのを否定しないあたり、多分食生活も不憫なんだろうな。カワイソーに。
 ……いや、本当気の毒になってきた。少し優しくしてやりたくなった。

「ハイハイ、スパゲッティーでもハンバーグでも好きなだけ頼んでイイっスよ。好きなだけ」

            ポン  ポン

 頭に手を置きつつ――

                        「……あ、でもお子様ランチか?」

 ごめん優しくするのと弄るのは別の話だ。

199白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/07(月) 00:28:15
>>198

「気にしたくても出来ねえってこともあるですよ。」

水浴びはしている。
お金がたまったら銭湯にいく。
それでもばっちいのがイリス・クオリティってところか――

           ・・・ともかく。

        「おっしゃ!
         言ったですね――って。」

「……なっ、何を泣いてやがるですか!
  言っとくですが、泣いても笑っても!
    イーちゃん、腹一杯まで注文するですからね!」

頭は若干べたべたしていた。シャンプーで頭など洗ってない。

         「ハンバーグとかステーキとかをッ! ですゥ!
           誰がお子様ですか! 気安くボディタッチするなです!」

                      ・・・そういうわけで、食べに行くのだ。
                          これでカロリーが満たされ、強くなるぞ。

200露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/07(月) 00:43:13
>>199
「うっわ。バッチィ……」

 手に着いた脂に顔を顰める。
 ズボンの裾で拭こうかと考えて――やめた。
 それが失礼だから……とかではない。手は洗えばいい。だが、ズボンを洗うとなると……?
 そう、洗濯機。水道代が高くつくのだ。

 なので……

           ムンズ

     ファサ ・ ・ ・

                  フキフキ

 イーちゃんはスカートだったか……?
 スカートならその裾を『めくり』……スカートでないならシャツのその裾を『めくり』、拭く。
 裾ってのは意外と肌との接触が少ないから、そこそこ着てても汗が染み込まなくてキレーなのよね。
 気安いボディタッチはアウトだが、ボディタッチじゃないのでセーフセーフ。

「いやァ〜〜〜高校生ぐらいはガキっつーか、もっと大人になってからそーゆー事言えっつーかー?」

 なので服を掴んで拭いてもセーフセーフ。露木的にはセーフ。

「ハイハイ、お子様ランチにホットミルクね。りょーかいりょーかい」

            「ところでオタク、名前なんつーの? そういやあさあ」

201白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/07(月) 01:37:05
>>200

「……人の頭を勝手に触るお前がわりいですよ。」

         (そろそろ銭湯に行きてえですねえ。)

イーちゃんの一張羅は長めのスカートだ。
問題なくお手拭きに出来るというわけだ・・・・・・

           ムンズ

     「ぎゃあぁぁッ!?」

     ファサ ・ ・ ・

                  フキフキ

            「や、や、やめろですッ!
              このどスケベ野郎がぁ〜〜ッ!」

    ギャー    ギャー

騒ぐ『虹』。

こういうのは『ガキ相手』だと余計にまずいんじゃないだろうか・・・?
まあ、『虹』の場合警察通報リスクとかは低いので安心かもしれない。

「ったく……!
 していい事と悪い事があるですよ!」

していい事なんてそうそうあっただろうか……?
適当に言ってるだけかもしれない……ともかく。

     「ハンバーグかステーキと!
       ドリンクバーのホットココアとかですッ!
        もういいからあとは現地に連れてくですよッ!!」

   ダン    ダン

地団駄の音だ。このへんの地面もけっこう踏み鳴らされてきたか……

「ハァ ハァ ……とんでもねえ野郎ですよ、おめーは。
 ……名前? イーちゃんは『白鷺 虹(シラサギ イリス)』です。」

            「……おめーは? おめーはなんて言うですか?
              人に聞くなら、教えてくれやがるんですよねえ?」

202露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/07(月) 21:51:57
>>201
「自意識過剰だっつーの。そもそも、俺は気にしてねーっスから。大丈夫大丈夫」

 別にパンツ見てるワケじゃあないし平気だろう。そもそも気にしてないからな(露木は)。
 という身勝手な論理だ。
 イーちゃんを女の子というよりも風変わりな小動物と見なしているのかもしれない。

「サスガに俺も『しちゃいけない事』する度胸はねーっスから大丈夫ってワケで」

 このままスカートを捲りあげて顔に被せて提灯お化けみたいに結ぶのはセーフ。
 スカートを捲りあげてその中をマジマジと除くのはアウトだ。実に判りやすい話である。
 ……人道的にどっちがアウトかは置いておこう。

 まあ、これから人道的に限りなくセーフな、空腹の人間にご飯を奢る行為をするのだ。
 つまりは何をしてもセーフの範疇だ。

「なるほど、『白鷺 虹(シラサギ イリス)』……なら、そうだな」

    「ここは……やっぱりしっくり来るのは…………」


                           「……ちゃん」

「サギリスちゃんと呼ばせて貰いましょーかねー。いや、なんか小動物っぽいし?」

   「あ、ライスちゃんでもしっくり来るかもなァー」

         ニヤニヤ

「あー、俺の名前……?」

「露木 秤(ロギ ハカリ)……気軽にろーちゃんって読んで構わねーよ、イーちゃんサン」

                                     「……呼ばれたことねーけど」

203白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/07(月) 23:19:32
>>>202

「なっ、あんつーめちゃくちゃな……!」

         「なぁーにが! 大丈夫ですか!
           ……ったく、マジにとんでもねえ野郎ですよお前。」

二回言うほどとんでもないのだ。
まあ、ここまで堂々とされると逆に何かセーフな気もする。

「飯奢りがなけりゃ、料金が発生してやがったとこですよ。
 そこんとこはイーちゃんの……サ、サギリスちゃんン〜〜〜?」

思わぬ名づけに眉を八の字にする『虹』。

        「なぁあんですか、その珍妙なァ〜〜……・
         あっ しら『サギ!』い『リス!』ってことですゥ……!?」

     「……」

  「……ま、まあ? 小動物ってのは余計ですが?
   イーちゃんってお前に呼ばれるよりはマシですねえ……」

やぶさかではないらしい。  
そして――

「ロギ ハカリ……ロギハカ……ロギカリ……
 ……いまいち、語呂が良くねえ感じしやがりますねえ。」

             「んじゃ! ろーちゃんと呼んでやるです。
               イーちゃんと似たあだ名をありがたく思うですよ。」

対抗してなんか気の利いたあだ名をつけようとしたが、無理だった。
なので甘んじて提示された物を使うサバイバル精神なのだ・・・・

「……んじゃ……行こうです。ろーちゃん。」

        「イーちゃんもう腹がペコペコですよ!
          誰かさんのせいでカロリー使いすぎたです!」

                   ・・・こうして、二人はファミレスに行ったわけだ。
                       『虹』は身も心も――満腹になれたに違いない。

204九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/03/26(土) 01:06:50
「……なんで?」

図書館の中、本棚を見つめて一人の女がつぶやいた。
何か不服なのかぶつぶつと呟いている。

「おかしい。」

「ここはエッセイの棚やないはず……」

「おかしい。」

ぶつぶつ呟きつつ、歩いている。
周りが見えていない。
人やモノにぶつかってもおかしくない状態である。

205九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/03/29(火) 01:13:59
>>204

「まぁ、いっか。」

どこかへと帰っていった。

206道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/08(金) 22:13:12
学校にいる。
道星有香の属している『いいトコの高校』は、大学の附属高校。
大学は、地続きの敷地内に存在しており、一部施設(図書館など)は使用できる。

そんなことはさておき、道星有香がいるのは『大食堂』。
炒飯を乗せたトレーを手にどこに座ろうかと、テーブルの間をうろついているのだった。

207A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/10(日) 00:36:01
>>206

「うろ……」


道星がうろついていると、同じくうろついている人物がいた。
道星とは違い、どこに座ろうかと考えているわけではなさそうだ。
なぜなら食事を持っているわけでもないし、
高校生にも大学生にも見えないからだ。


「……うろ」


うろうろと言いながらうろうろしているのはどう見ても迷い込んだ小学生だ。
着ているシャツには『侵入者』と毛筆風のプリントがしてある。

208道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/10(日) 21:44:57
>>207
「んー。迷ったのかな?」

腰を屈めて声をかける。口調はお姉さんは子どもに対するそれだ。
とりあえず体が動いていた。
心配して声をかけたというよりは好奇心が勝る。「学校に犬が迷い込んできたぞ!」みたいな感覚。
声をかけ終わってから保護者同伴のお子様かもと思い当たる。

209A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/10(日) 22:47:39
>>208

「ヒトはみな運命の迷い子……」


小学生の女の子は道星に合わせ腰をかがめて答えた。
せっかく合わせた目線の高さがずれた上に、返答内容が意味不明だった。


「わたしはここはどこかよく知らない。
 まいごと言えばそうとも言えるけど、
 帰ることができないわけでもないし、
 そもそも目的地があるわけじゃないんだけど、
 わたしって迷子かなのな?」


首をかしげるような動きをした数舜後、質問に質問で返してきた。
少女は迷子の定義に悩んでいる。

近くに保護者らしき人物は見当たらない。

210道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/10(日) 23:07:13
>>209
「?」
A子の返答に困惑した表情……笑顔のまま眉をハの字に寄せた。
道星は、平時は「人を困惑させる側」のキャラなので珍しい表情かも知れない。
相手と目線を合わせる為にさらにその場に屈み込んだ。これが続けば土下座することになりそう。

「誰かと一緒に来たのかな?」
こちらも質問に質問で返すことになった。
A子とは会話にならないという保護者がいるのかちょくせつ尋ねる。

211A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/10(日) 23:14:04
>>210

「?」


少女はさらに屈みこむ……ことはせずに、
道星の持つ、炒飯を乗せたトレーにそっと手を添えてアシストした。


「わたしはひとりで来たよ」


かしげた首を反対側にかしげ直しつつ少女は答えた。まともな返答だ。

212道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/10(日) 23:28:11
>>211
「ん…あ、ありがとう…」
アシストして貰ったのはわかったのでお礼を言う。
不思議な子だけど悪い子ではない…?

「じゃあ」――親類のお兄さんお姉さん目当てに一人で来たのかなと考える。
しかし、A子いわく「目的地はない」とのこと。――「じゃあ、迷子じゃん」
迷子だと結論づけた。

「わかる。ここなんだか広くてカッコ良いもんねー」
「冒険してみたくなっちゃう気持ち、お姉さんわかるなー」
道星も、迷子経験者だ。急にA子に親近感を覚えてフレンドリーな口調に変わった。
普段の敬語使いも取り払って自分を「お姉さん」呼び。年上の優越感に浸るモードに入った。

213A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/10(日) 23:40:03
>>212

「わたしは迷子だったのか……」


素直に迷子であることを受け入れた。


「かっこいい? かっこいい……
 うーん、イスとテーブルが沢山あって広い。
 かっこいい……かな。わかる。
 冒険したくなる。わかる」


大食堂がカッコいいという意見に対し、少女は少し考えたものの同意した。
心が通じ合った(かもしれない)


         「うおっ」

                  「どうした?」

       「……いや」


トレーを持って歩いてきた男性が、2人を見てビクッと驚く。
屈みこんでいたのでテーブルに隠れてよく見えなかったのだろう。
男性たちは奇異の目で2人を見てから、通路を迂回して目的地のテーブルへ向かっていった。
ここで話すのは邪魔かもしれない。

214道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/10(日) 23:53:54
>>213
「あっ」「すみません」
  男子二人に軽く頭を下げて数歩退く。
  炒飯を持ったままでは長々と会話できないと気づく。
  A子を友達に引き渡して外に送ってもらいたいけれど、周囲に友達は見当たらなかった。

「どうしよ……先生に引き渡すようなことでもないですよねえーーー……」
「ねえ、ここのプリン美味しいよ。奢る。私、これからご飯なんだけど……、待っててもらう間、食べて」
  自分が対応するしかなさそうだと諦める。
  子どもには炒飯かきこむまで待っててもらってから、になるけれど。
  子どもを待たせて自分だけぱくぱく食べるのはさすがに罪悪感あるので、軽めのデザートでも与えとこう。

215A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/11(月) 00:02:25
>>214

「プ、プリンを……!?」


驚愕に打ち震える少女。


「わ、わたしをプリンで懐柔しようとはいったいなにが目的なのだ……
 でもプリンを貰えるならパンツくらいなら見せてもいい」


少女は警戒心を露わにした。
が、プリンの魅力に抗えなかったか、のこのこと道星についてきた。

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217道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/11(月) 23:29:33
>>215
「うふふ。プリンおいしい?」

買う場面、席に座る描写などを『吹っ飛ばし』て食べる場面に移りたい。
二人は、カウンター席に隣り合って座っている。窓からの景色が一望できる。大学構内の緑地だ。
道星は、プリンを前にするA子を微笑ましく眺めてつつスマホを取り出して、A子に見せた。

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218A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/11(月) 23:43:54
>>217

「プリンっておいしいけど、実を言うと特別すきってほどでもない。
 でもなんか他のおかしとは違う、なんか特べつ感があるよね。
 このさかさまにしてプルプルしてるのをつついて食べるのが
 単なるあじ以上の子供ごころを擽るものがあるというか」


なにか言いつつ、目はプリンに釘付けだ。
カルメラを上にしたプリンを必要以上につついてプルプルさせながら
元々赤い頬をさらに紅潮させて食べている。


「……出会い系? よくは知らない。
 わたしは10代女子ではないし……」


8歳である。


「……!
 食べてから言うとは卑怯な……
 まさかほんとうにわたしのパンツを狙って……?」

219道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/11(月) 23:49:40
>>218
「うふふふふふふふ。私の狙いが……」
「……だったら…どうするんですかぁ〜〜〜〜」
「今から……ここで……うふふふふふふ……」


   ガ シイッ!

A子の腕を掴もうとする。


「なんてねー」「冗談です。じょーだん」

ふくっと笑いを漏らす。

220A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/11(月) 23:57:32
>>219

「まあ……その……見せるだけなら……
 え、ここで!?」


雲行きの怪しくなった話に、食べるのを中断し、
プリンを掬った半端なポーズで固まる少女。


「ほわ!? あっ」


そこへ腕を掴む(掴もうとする)ものだから、驚いてビクッと体が反応する。
腕が大きくブレ、中途半端に上げられた手のスプーンにあったプリンのかけらが道星へと飛んでいく。

221道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/12(火) 21:23:16
>>220
「あのねダメですよ。女の子がパン…っ、とか気軽にそんなこと言っちゃダメ」
「私が冗談だからよかったもの。もしも本気だったら貴方は――ああー…」

軽く窘めて話を落とそう。A子から放たれたプリンは……炒飯のうえに入った。

「あーー」

炒飯+プリン  「んー」   クチャクチャ
                    マゼマゼ

「パクリ」  「…………」「(´〜`)」

222A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/13(水) 00:39:30
>>221

「ごめんなさい。びっくりしてつい。
 でもびっくりさせたのはお姉ちゃんだから、わたしのわるさは4割程度です」


微妙に自分の罪を軽く見積もる。


「混ぜるのか……」


少女は混ぜられる炒飯とプリンを見ながらつぶやく。
まあしかし服とかに当たらなくてよかったと言うべきか。


「おいしい?
 お姉ちゃんの表情を見るにおそらくまずいと推察されるが」

223道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/13(水) 22:30:10
>>222
「いえいえ気にしてないから。
 ……そうですねえ変な味ですねえ。調整しないとです。
 うーん。さらに混ぜるなら、そうですねえ。
 ベビースターラーメンとか、でしょうか」

 咀嚼しながら、『新しい炒飯』の方向性を検討する道星。
 こうした日々の試行錯誤と探究心が趣味の創作料理に繋がるのだ。


  カチャン

「ごちそうさまでした。それで、ええっと。
 私の食事に付き合って貰ったのは、
 あなたを出口までご案内するためなのですがー。
 どうします? まだ探検する?
 と言っても、……
 私のお昼休みが終わる頃には、ゴーホームして貰いますが」

224A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/14(木) 00:12:46
>>223

「ごちそうさまですた」


プリンをプルプルさせて遊んでいたので食べるのが遅かったが、
道星が食べ終わりそうだと気づくと急いで食べた。


「そうだったの。
 お姉ちゃんやさしいね。やさしいお姉ちゃん。
 私財(プリン代)をなげうってわたしをあんないしようとしてくれるだなんて。
 もうすこし探そうとおもったけど、
 お姉ちゃんのおてを煩わせるようならわたしはもう帰ることにする」

「だけどわたしはここがどこなのか知らないけど、帰るだけならひとりで帰れるのよ。
 なぜなら適当に歩けばいいだけだからね。
 道順なんて知らなくても行くばしょがわかっていればだいじょうぶなんだ。
 フツーのヒトにはわからないかもしれないけれどね」

225道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/14(木) 22:56:18
>>224
「迷子の子猫さんを置いといて
 じゃあさよならお元気にーーー
 と……放置できる性格ではないのですよ」

お礼を言われて少し照れたように目線を窓に逃がした。
プリンを急かしてしまったのは悪いことしたな、と思う。


「強気ですねえー。
 いやうーん。わかるけれど……確かに。
 確かに、この町にはそういうところ、あるよね」

A子が食べたプリンも自分のトレーに載せて、席を立つ。

「じゃあ、付き合うよ。
 あなたが絶ェ対〜に迷子にならないとしても!
 常識的に考えて校内に子ども一人を
 うろうろさせる訳ないでしょ。

 あと、『やさしいお姉ちゃん』には
 道星有香という名前があるので
 そちらの名前で貰えます?
 やさしいでは気恥ずかしいです」

226A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/14(木) 23:13:31
>>225

「子猫? どこにいる?」


きょろきょろしはじめた。
たとえ話を理解できなかったようだ。


「わたしが一人でうろつくのはヤバイです?
 常識的にまずいです?
 猫いないよ?」


当然、猫は見つからなかったようだ。
食堂にいたら問題だが。


「いっしょに来てくれるとはやさしいをとおり越してやさしすぎるぜ・・・
 ありがとう、ゆかお姉ちゃん。
 わたしのことは『魔導覇王ヴァジュジャリオン』か『えーこ』と呼んでくれたまい」

227道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/15(金) 22:41:15
>>226
「えーこちゃんですね」

トレーを然るべき場に返し、食堂を出る。


「あくまでえーこちゃんが主役の冒険ですし、
 私は後ろから付いていきますよ。
 あっ、大学の方に行ってみません?
 学生一人では行きづらくても、えーとちゃんとなら平気かも」

228A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/16(土) 01:10:51
>>227

「『魔導覇王ヴァジュジャリオン』がスルーされた・・・ガ〜ンだな」


全然ガーンと思ってなさそうな平坦な口調で言った。
道星の服の裾を掴みながらついていく。


「冒険じゃないよ。探し物なのよ」


ここでA子の探す『珠』について知ってもよいのだ。
スタンドについてはともかく、話していればなんか小さい『珠』探してるんだなぁということはわかるだろう。


「よぉし。せっかくだからわたしは大学へ行くぜ」


そんなわけで2人は大学を探索するのだった。
探し物は見つかったかって?
闇雲に探してみつかるわけがないじゃあないですか。
メルヘンやファンタジーじゃあないんだし……           〜おわり〜

229九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/20(金) 00:05:03
「野菜買(こ)うた……お菓子買うた……」

アーケード街を一人の少女が歩く。
手ぬぐいを頭に巻き、首からは木札を下げている。

「果物も買うたやろ……あと、なんやっけ……」

少女は気付いていない。
自分の手に持った買い物袋。
その容量いっぱいいっぱいの袋の持ち手が既に限界であることを。

ブチッ

「んえ?」

持ち手が千切れ、袋の中身をぶちまけてしまった。
どうしよう……
なにか袋の代わりになるものとか
そういうのものを持った人は辺りにいないだろうか?

230A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/21(土) 00:06:15
>>229

「こっこれは」


角を曲がって小学生の女の子が歩いてきた。


「お菓子がおちているんのだ」


女の子はどう見ても手ぶらであった。


「ここでわたしが
 まえから来たお姉さんにぶつかる可能性が90%
 ひだりのお菓子をひろう可能性は5%
 みぎの果実をひろう可能性が5%」

231九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/21(土) 00:39:41
>>230

なんかよくわからん肉のかば焼きさん的なモノが落ちている。

「おっと」

ぶつかってしまった。
木札の女がA子に向き直る。

「ごめんなぁ」

「ケガとかしてない?」

232A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/21(土) 00:54:52
>>231

「グギャアア」


ぶつかるとモンスターの断末魔みたいな声を出してしりもちをつき、
そこから横にゴロンゴロンと転がって1mくらい移動したところで止まった。


「まさかほんとうにぶつかるとは……ぬかったわ」

「しっかりしなさい! 傷はあさいわよ!」

「俺はもうだめだメアリー……ぐふっ」

「ジョセフ―!」


立ち上がって倒れている人を心配するようなジェスチャーと、
再度地面に寝転がって瀕死の人間の真似を繰り返した。


「ジョセフは死んだ……だがこの世にひかりとやみがある限り、
 また悪の大魔王は蘇るだろう……

 はい、かばやきさん」


地面を転がるうちに拾ったかば焼きさん的なものを九重に渡す。
怪我? 無いよ。

233九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/21(土) 01:05:47
>>232

「うわぁあああ」

楳図何某の漫画みたいな顔をして驚く九重。

「ちゅうか」

「なんでやねん」

謎の行動をとるA子を見て思わず言葉が零れる。
やけにハイな一人劇じゃないか。

「あぁ、どうも……」

話の流れと行動が一致していないのでは?
かばやきさんを受け取る。
視線を合わせてにっこり笑う九重。

「お嬢ちゃん、あの袋とか持ってへんかな?」

「これ、ちぎれてもうて」

これとは先ほどまで持っていた袋だったものだ。

「あ、お嬢ちゃんお名前なんていうんや?」

234A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/21(土) 01:17:55
>>233

九重がにっこりと笑うと、女の子も目を細めて笑顔を返した。
赤い頬っぺたが特徴的だ。
あとシャツに書かれた『私は貝です』という文字も特徴的だ。


「ほほう、わたしがふくろを持っているように見えるならば
 お姉さんは節穴eyeと言わざるを得ない」


手ぶらだ。手ぶらである。大事なことなので3度言いました。


「だがこのシャツを貸してしんぜよう。
 ふくろ代わりにはなるじゃろう……」


九重にシャツが渡された。
小学生はブラジャーとかつけてないので胸は手で押さえておく。
手ぶらである。4度目だが先の3度とは意味が違うので気を付けましょう。
ここテストにでるからなー。


「わたしか? フッ、通りすがりの少女Aとでも名乗っておこう……」

235九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/21(土) 01:33:15
>>234

「いやまぁ……そうやんなあ……」

まぁ、そうだとは思ったが。
実際そうだと分かるとしょんぼりする。

「シャツ?」

「いやいやいやいやアカンアカンアカン!」

A子に押し付ける様にシャツを返す。
何をやっているんだ。人間としての恥じらいがないのだろうか。

「少女A?」

「なんかの犯人みたいやな」

素直な感想であった。

「あーどないしよかな。諦めて手で持ってくか……」

頭に巻いた手ぬぐい越しに頭をかいた。

236A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/21(土) 01:40:23
>>235

「モガモガ」


モガモガ言いながら『私は貝です』シャツを着た。
ところで、お姉さんとか呼んじゃってるけど、実際九重さんは何歳くらいなんでしょうか?


「ところでお姉さんの名前は? 少女Jあたりでいい?」


人に名を聞くときは自分からという格言を知らぬと見える。
だがこいつがAとかいうふざけた名乗りなので適当でもよいぞ。


「待て、じゃあやっぱりわたしのシャツを使って、
 かわりにその手ぬぐいをわたしの胸にまいたらどないや?」

237九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/21(土) 01:52:45
>>236

「モガモガちゃうっちゅうねん」

「ウチ?」

一瞬目を丸くしてから

「九重 空。ここのえ そら。13歳」

ぺこりと挨拶だ。
挨拶は重要である多分。

「自分、手ぬぐい胸に巻けるん?」

いや、よしんば巻けたとしてどうするんだ。
どこかの民族的ではないだろうか。
それもありなのか?

「ちゅうか」

「自分、関西出身か?それともちゃうとこ?」

「返答次第ではシバきたいんやけど」

ぱっと平手を上げる。

238A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/21(土) 02:03:45
>>237

「わたしは8歳だぞ!」


胸をはってから少し考えて、九重に倣って小さく頭を下げた。
お辞儀をするのだ!


「シバくというのは叩くといういみ? なぜ?
 この町が関西ならばわたしは関西出身ということになるな。
 この町がどの辺の地方にあるのかしらんけど」


と言いつつさっと姿勢を低くし両手で頭をガードする。

これは……狩守魔我亜怒(かりすまがあど)!
知っているのか雷電!?
さる吸血鬼の長が用いる鉄壁の防御法と言われる……
その名の通り、狩人から身を守る魔の防御法であると言われる。
この姿を吸血鬼を崇拝する邪教の神官たちが崇めたことが、現在のカリスマの語源となったのはあまりにも有名である(民明書房)

239九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/21(土) 02:21:54
>>238

「8歳かぁ……」

若いながらも自分にもこういう時期があったのだなと思う九重。

「いや、ちゃう土地の言葉使っとるやつって腹立たへん?」

「……いや、ここ関西圏やっけ。それとも中部やっけ」

「ちゅうかこの町どこにあるんや……?」

いまいち思い出せない。
勘違いか?それともなにか、別の理由か?

「アカンな。記憶がとんどるんかな……」

ぶつぶつ独り言を漏らしながら、落とした商品を袋に戻していく。

「まぁ、抱えたらエエか」

「……なに頭抱えてるん?」

雷電は知っていても九重は狩守魔我亜怒を知らないようだ。

240A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/21(土) 02:28:25
>>239

「シバくって言うから防御してたのよ」

「そらちゃんさんお姉さまは関西からきたの?
 いや、ここも関西である可能性もあるけど」


ガードを解いて一緒に拾うのを手伝う。


「ふくろは無いがわたしも荷物を持つことはできる。できる……
 大変なら荷物を持つのを手伝う? 手伝いますか?」

241九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/21(土) 15:36:39
>>240

「あぁ、なるほど。まぁ、シバかんから安心し―や。なんやそんなつもりものうなったし」

「いや関西から越してきたんやで? ……あれ? ホンマに越してきたっけ?」

「んー? 絶対そうや。絶対絶対。100パー……でもなんか……え?」

混乱しているようだ。
ぐるぐる目になりそうだ。
今度は九重が頭を抱えた。

「お、手伝ってくれんの?」

頭を抱えていた手を放し、A子の手を握る。
そしてそれをぶんぶんと上下に振った。
シェイクシェイク。

「でも、自分持てるんか?」

「これ、持てる?」

そういって持ち手がちぎれていない袋を差し出す。
色々なものが入っていてパンパンだ。

242A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/22(日) 00:27:52
>>241

「だいじょぶか……?
 まあ、うちもよく引っ越すし、あんまり気にしないほうがいいぞ」


シェイクされた。
もしもA子が炭酸だったら大変なことになっていただろう。
だがA子は人間だった……
人間なのだ……


「オウ、イエスイエス
 オフコース」


持ってみようではないか。
なに。13歳が片手で持てるなら8歳でも両手なら持てるという計算よ。

243九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/22(日) 00:34:09
>>242

「そ……そうやんなあ……」

「昔の記憶とか飛んどる気ぃもするけど大丈夫やんね……」

そう。人間はシェイクされても大丈夫だ。
しかし全身シェイクならどうだろうか。
いや、今は言うまい。ここから先は大人の世界。

「じゃあお願い。」

A子、荷物を両手でキャッチ。
持てる!持てるぞ!!しっかりとキャッチだ!!!

「おぉー行けるやん。行けるやん。」

「じゃあ、ちょっとだけお願いできる?」

スマホをいじり、どこかに連絡をする九重。

「行こか」

244A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/22(日) 00:43:37
>>243

「重いぜ」


持てることは持てるが、腕が疲労していくことは必至。
こうなればしかたがあるまい。とA子はこっそり『腕輪』を発現させる。
『マイ・リトル・クッケンハッケン』!
犬頭のミニな兵士が現れ、荷物を下から支えてくれる。
パワー:Eで支えてくれる(気休めレベル)


「レッツアンドゴー」


スタンドなので一般人には見えない。
一般人じゃない人が近くにいたら見えてしまって困りますね(棒)

245九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/22(日) 00:58:52
>>244

「ごめんなぁ」

買いすぎてしまった。
悪いことをしたな、と九重は一人思う。

「……」

「……ん?」

「なんか……なんか見えとる……?」

持ち手がちぎれた袋を両手で抱えながら歩く。
しかし視界には謎の犬頭。

「え? え?」

歩きながらも疑問が生じる。

246A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/22(日) 01:06:08
>>245

「ふう、ふう」


犬頭の兵をもう一匹増やしてパワー:E+パワー:Eで200万パワー!!
いつもの2倍のジャンプが加わり、200万×2の400万パワー!!
そして、いつもの3倍の回転を加えれば、400万×3の
バッファローマン!お前をうわまわる1200万パワーだーっ!!


「……?
 それでどこに行くのん?」


などということはなく2匹に増えても大差ないぞ。
パワーEはリス並みの力だぞ。
スペース上の関係でこれ以上は増やせないぞ。
A子は荷物を運ぶのに大変で九重の様子にはあまり気づいていないぞ。

247九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/22(日) 01:14:04
>>246

パEでウォーズマンならパAはサイコマンだろうか。

「あ、アーケードを抜けたら道路があるはずやから、そこまで家の人に迎えに迎えに来てもらうんよ」

犬頭をちらちら見ながら歩く。

「それで、あの、そのぉ……」

歯切れが悪い。
先ほどまでハキハキ喋っていたのが嘘のようだ。

「その犬頭の化けもんはなに?」

248A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/22(日) 01:25:04
>>247

実際で言うとパEはカニベースかな……


「まえを見てあるかないと危いよ」


九重がやたら見てくるので、A子も九重と同じ方向を振り向いてみると、
金髪リーゼントの不良が改造自転車に乗っていた。
A子は見なかったことにした。


「犬頭……!?
 キサマッ……いや貴様はさすがに感じわるいか。字面はいいのにね。
 ソラチャンッ! 見えているなっ わたしの『マイ・リトル・クッケンハッケン』がッ
 ソラチャンも『選ばれしもの』だったというわけか……
 クオックオックオッ(笑い声)

 というわけでこれは『マイ・リトル・クッケンハッケン』。
 ……の犬Bと犬C」

249九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/22(日) 01:31:30
>>248

カニベースかわいそう。

「え、そうやね……」

いやでも気になるだろうと言いたそうだ。
実際気になる。
金髪リーゼントとか言うチーズかけハンバーグ頭は無視する。

「なんや自分急に」

「笑い方もおかしいしやな」

とりあえず突っ込んでおこう。

「犬BとC?」

「なんか、それとおんなじ類のもんを昔見たことがある気ぃが……」

「ん? ん?」

250A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/22(日) 01:42:22
>>249

「わたしの言動はノリといきおいだから気にしないでおk。
 『みえる』ってことはソラお姉ちゃんも『スタンド使い』なんじゃないの?」


犬頭がさらに2匹出てきて、九重の周囲をうろうろする。
手に持った剣がぶっそうだ。


「アーケードを抜けたら道路にでる……って保証も無いってことはわかる?」


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