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【場】『汎用場所スレッド ―プラチナ―』

1オレはいったい誰なんだッ!?:2016/01/22(金) 22:05:56

 なかなか気にいった いい所だぜ

2オレはいったい誰なんだッ!?:2016/01/22(金) 22:06:48
・曖昧な町の曖昧な『場所スレ』。
 ここでは最初に動いた方が、町にありそうな好きな場所を明示する事が出来ます。
・場所スレですが『野バトル』や『野イベント』も継続してここでやって頂いて構いません。
・専用場所スレが立った場所に関してはその専用場所スレで動くようお願いします。
・スレッド名後部の『―プラチナ―』は他の汎用場所スレと
  区別をつける為の『識別名』であり、内容には一切関係ありません。
・このスレッドは、次スレ以降、【場】『汎用場所スレッド ―プラチナ― その○』
  のような形で続いていく予定です。

3壬生『オール・オブ・ミー』:2016/01/24(日) 20:30:59
駅前の大衆食堂で食事をしている。

「このチャーハンちょっと辛いな……」

ちょうどお昼時で店内はほぼ満席、見たところ空いている席は壬生の隣しかなさそうだ。

4亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/24(日) 21:10:50
>>3
「……こういったところで食事するのも一つの経験と思ったが」

どうもこの場に不釣り合いな『高そーなスーツ』をまとって入店。

「ふん……満席じゃあないか」
『美津也サマ、アチラガ空イテイルヨーデゴザイマス』

ススー

『壬生』のもとに、静かに『メイド服』を着た『スタンド』が寄ってくる。

5壬生『オール・オブ・ミー』:2016/01/24(日) 21:20:16
>>4
「まあ別に食えぬほどでも無……!?」

ぎょっとした目でスタンドを見る。
レンゲを握る手は口元に向かう途中で固まったままだ。

6亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/24(日) 21:35:51
>>5
『ササ……コチラデゴザイマス、美津也サマ』

主を手招く『スタンド』。

「ふん、要らない世話を……」

悪態をつきつつ、そちらへと向かう『本体』。
席の近くまで来たところで、固まっている壬生に目を留める。

「……?」

不思議そうな顔をしながら、席につく『スーツ』。

『ア……申シ訳ゴザイマセン、驚カセテシマイマシタカ?』

『スタンド』が、話し掛けてくる。

7壬生『オール・オブ・ミー』:2016/01/24(日) 21:47:14
>>6
「え?
 あ、ああ……いや、お構い無く……?」

スタンドがメイドってマジかよとかそもそもこんな場所で堂々とスタンド出すなよとかいろいろ言いたい気持ちを抑えつつ、
一つ深呼吸して気持ちを落ち着けて食事を再開する。

「……」

しかしやはり気になるようで、チラッチラッと亘理……というより『ラブフール』を見ている。

8亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/24(日) 21:59:18
>>7
『ソウデスカ……ゴ食事、オ楽シミクダサイネ』

ペコリ、と一礼する『スタンド』。
『本体』の方は、席に座ったまま、何かを待っているようだが……

『ア、美津也サマ。ソノ……ゴ自分デ注文ナサッタ方ガ』
「何……?そういうものなのか?
チッ、仕方ないな……おい店主、この『おすすめ定食』とかいうのを一つ」

エラそーな感じで注文を済ませる。
『スタンド』は、座席の埃やら、スーツのよれやらを
細々と手入れしている。

「……ゴホン」
「あー、失礼。何かご用で?」

注文を終えて、少し店内を見渡し……
そこで、『壬生』の視線に気がついたようで、
わざとらしく咳払いをしたあと、声をかけてきた。

9壬生『オール・オブ・ミー』:2016/01/24(日) 22:10:15
>>8
「……用、というわけではないんだが……。
 その、なんだ。
 気を悪くされたらすまないが、『それ』……『スタンド』だよな?
 まるで召使いか何かのようだが……」

レンゲを置いて右手で『ラブフール』を指差す。
明らかな困惑顔で、『ラブフール』のようなスタンドは見たことがないのだろう。

10亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/24(日) 22:23:10
>>9
「ン? ああ、『こいつ』のことか。
そんな大したものじゃない。名前は『ラブフール』」
『ヨロシクオ願イシマス』

傍らの『スタンド』を指差して、運ばれてきた定食に手を付け……
はたと気付いたように、顔を上げる。

「……いや、何だと?見えているのか?
おい、お前ひょっとして気付いてたんじゃないのか」
『アッ、ハイ。先ホド、少々ビックリサレテイタヨーデシタノデ……』
「そーいうことは先に言えッ」

『ラブフール』に短く言い捨てると、『壬生』の方へと向き直る。

「いや、驚いた……こいつ――『スタンド』は、
『屋敷』でも、誰一人見えるヤツはいなかったんだ。
こんなところで、出会うなんて」

11壬生『オール・オブ・ミー』:2016/01/24(日) 22:38:58
>>10
「まあ、そうだろうな。
 具体的に何人に一人とかは知らないが、スタンド使いがレアなのは間違いないだろう。
 俺もほとんど出会ったことがない。
 だからこそあんたのスタンドがこっちに向かってきた時は驚いたよ」

レンゲを握り直して食事を再開する。
……よく見ると壬生の左腕は、肘のあたりからスーツの袖がだらんと垂れ下がっている。

「『屋敷』ってことはあんた、スタンドだけじゃなく本物の人間の召使いもいたりするような身分なのか?
 それがなんでこんな店に……」

12亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/24(日) 22:54:28
>>11
「やはり珍しいのか……あー、その口ぶりからすると、
貴方の『スタンド』はこいつのように『動き回る』ってことはないのか?」

食事は後回しにして、『壬生』に尋ねる。
『腕』の方にはちらりと目をやったが、すぐに視線を逸らした。
気にはなるが、尋ねるのも不躾だろう、と思ってか、見なかったことにしたようだ。

「ああ、『使用人』は……『いた』。
だが、それは過去の話だ……すっかり『落ちぶれ』てね。
今は、屋敷に残ったのは僕一人だ。人間ってのは『現金』なものだからな……ところで」

パクッ

そう自嘲気味に言うと、『定食』(今日は『炒飯+唐揚げセット』だ)の
『炒飯』を一口食って、顔をしかめる。

「こいつは『コショウ』が効きすぎていないか……?
だいたい、僕はあまりこの『炒飯』とやらがあまり好きじゃあないんだ。
それでもまだ、『パラパラ』なのは評価してやらんでもないが……」

13壬生『オール・オブ・ミー』:2016/01/24(日) 23:10:25
>>12
「……すまない、失礼なことを聞いた」

少々図々しかったと反省、素直に謝っておく。

「この店は俺もあまり来たことはないが、確かに辛い。
 確か店主の息子が修行中だとかいう話を聞いたことがある。
 『ハズレ』に当たったのかもしれないな。
 ……しかしチャーハンそのものが好きでないとは、結構珍しいと思うぞ」

辛さを紛らわすため、コップの水をグイッと飲む。

14亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/24(日) 23:21:18
>>13
「いや、貴方が謝ることじゃあない……
そうだ、失礼ついでに一つ。その『腕』はどうしたのか、聞いても?」

向こうが謝ってきたので、『釣り合い』が取れるかな、
などとひどく『姑息』なことを考えつつ、気になってはいたので尋ねてみた。

「子どもの頃に一度だけ、父と『中華飯店』にいったことがあったんだが……
そこの炒飯が、びっくりするくらい油で『ギトギト』でね……その記憶がいまだに強いんだ」
「しかし喉が渇くな……」

グイィ

『アッ、オ替エシマス』

コップの水を飲み干す――と、『ラブフール』が
空になったコップを持って、『ウォーターサーバー』へと向かう。
『見える』ぶんにはまだいいが、そうでなければちょっとした『怪奇現象』だ。

15壬生『オール・オブ・ミー』:2016/01/24(日) 23:35:50
>>14
「ああ、この腕は、数年前にバイクの運転中に『事故』を起こしてしまってね……。
 それが切っ掛けでオシャカになってしまったよ。
 以来バイクに乗れないのがどうにもつらい」

袖の上から肘付近をさする。
自嘲気味ではあるが、それほど暗さは感じさせない口調だ。
と、『ラブフール』が壬生のコップを持って水を替えに行く。

「……いや、ありがたいんだが、な……。
 スタンド使いでない周りからすると、コップが宙に浮いているように見えるわけで……あまりよろしくないんじゃあないか?」

近くの席で食事をしていた客が、横を通り過ぎたコップを見て目をパチクリさせている。

16亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/24(日) 23:52:04
>>15
「……なるほど。いや、悪いことを聞いた」

納得と答えてくれたことへの感謝を示すように、そう言った。
と、『壬生』の声に『ラブフール』の行動に気付いたのか、
顔をそちらに向ける。

「……勝手なことを。目立つだろうが」
『アッ、スミマセン、ツイ……オ屋敷ノツモリデ』

「どうしましょう?」といった様子でオロオロする『ラブフール』。
空中で右往左往する『コップ』。

「ああ、もう……さっさと取って、戻って来い。
できるだけ目立つなよ……」
『ハ、ハイッ』

溜息混じりに声をかけると、少し急ぎ気味に『定食』を食べ始める。

「いや、済まん。どうも要らん世話を焼きたがるヤツでね。
騒ぎになる前に、さっさと出た方が良さそうだ……」

17壬生『オール・オブ・ミー』:2016/01/25(月) 00:07:23
>>16
「まあ悪い人間……いや、悪いスタンドでないことは分かる。
 実際水のおかわりは欲しかったところだ」

先に食べ始めていた分、亘理より先にチャーハンを食べ終え、ふうと一息つく。

「ところで、お互い珍しいスタンド使いという出会いなわけだし、記念に名前を聞いても?
 俺は『壬生オルオ』という」

18亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/25(月) 00:16:05
>>17
「……毎日顔を突き合わせる身からすると、少し鬱陶しくはあるがね」

バクバク

『炒飯』をイヤそーに掻き込むと、唐揚げに手をつける。
『ラブフール』が言いつけ通り、人目を避けてこそこそ戻ってきて、
コップをそっと『壬生』の前に置く。

コトン

『アノ……ドウゾ』

「そうだな……これも何かの『縁』ってやつかも知れん。
僕は亘理 美津也。こいつの名前は……もう言ったっけな」

19壬生『オール・オブ・ミー』:2016/01/25(月) 00:25:40
>>18
「ああ、ありがとう」

『ラブフール』にお礼を言って水を飲む。
なんかさっきの客から視線を感じる気がするが、ここは無視。

「亘理さんね。
 『スタンド使いはひかれあう』なんて話も聞く……ひょっとしたらまたどこかで出会うかもしれないな。
 それじゃ、お先に。
 ごちそうさま」

席を立ち、レジを済ませて店を出て行く。

20亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/25(月) 00:35:56
>>19
「『惹かれ合う』か……現にこうして出くわしたことだし、
そういうものかも知れないな。……それじゃあ、『また』」

先に店を出た壬生からやや遅れて食事を終え、会計を済ませて店を出る。

『……イカガデシタカ?美津也サマ』
「味付けが全般的にキツい。唐揚げは油が多かったしな……」
「だがまあ……意外な発見もあったし、悪くはなかった」

そう言いながら、屋敷へと帰った。

21『噂』:2016/01/26(火) 17:07:40
街のどこかに………
『捨てられた博物館』があるらしい。

ここはどの辺りだったか?
『博物館』の場所はこのあたりではなさそうだが……。

22道星有香『ペット・ネームズ』:2016/01/28(木) 21:53:06
郊外の『果樹園』。
雪が積もっている。5センチ程。
時刻は昼。休日。

「ん〜…。迷ってしまいましたねぇ。『また』…。」

もこもこ服を着込んだ私服の若い女がいた。
キョロキョロと周囲に目を配っている。

23亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/28(木) 22:29:06
>>22
「……この季節、『果樹園』に人がいるとはな。
様子も妙だし、何しに来たんだ……?」

散歩の途中で『道星』を見かけた。
厚手のジャケットとデニム。足元は路面を考慮したスノーブーツだ。

『ソーデスネ……チョット、聞イテミマショウカ。
アノ、ドウカナサイマシタカー?』

『メイド服』を着た『スタンド』、『ラブフール』が
『道星』の近くまで移動して声をかける。

24道星有香『ペット・ネームズ』:2016/01/28(木) 22:32:56
>>23

「はいそれはですねぇ。って…。えっ」

答えかけた口をポカンと開いたまま、一歩後退する。

「スタンド?」

25亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/28(木) 22:42:08
>>24
『ハイ♪ 『ラブフール』ト申シマス』

そう言って、ぺこりと一礼する『ラブフール』。

「……おい、待て……お前は雪なんて関係ないかも知れないが、
僕にとっちゃ、ひどく歩きづらいんだ」
ザッ ザッ

後から、『亘理』もそちらへと歩いていく。

26星道有香『ペット・ネームズ』:2016/01/28(木) 22:46:11
>>25
「み、道星有香と申します」

 ペコリ

アルバイトで練習したとおりキチンと頭を下げた。
後から歩いてくる亘理を見て小首をかしげる。

「ラブフールさんですか?
 私、スタンドが喋ってるはじめてみました‥」

27亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/28(木) 22:50:51
>>26
『喋ル『スタンド』ハ珍シイノデショウカ? 他ノ『スタンド』ノ方ト
ソンナニ面識ガナイモノデスカラ、良クワカラナクテ……』

こちらも首を傾げる『ラブフール』。

「……驚かせてしまったようだが……あー、
こんなところで何をしていたんだ?」

『亘理』がそこに到着する。

28星道有香『ペット・ネームズ』:2016/01/28(木) 22:57:51
>>27
亘理のほうに向き直る。

「迷っちゃいました。果樹園。リンゴの木がいっぱい。
 同じような景色がずうう〜〜と続くんです」

ずうう〜〜っと、と言いながら両手を前に突き出すジェスチャー。

「あっ、私のこと迷子のマヌケ野郎って思いました?
 違う。違う。誰だって迷うんです。
 ラブフールさんだって」
「果樹園に用事なかったですよね?」
「これ、名推理です」

29亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/28(木) 23:04:11
>>28
「…………」

『道星』の独特な語り口に、困惑気味の表情を浮かべた。
しばらくして、意味を飲み込んだのか口を開く。

「ええと、つまり『迷子』なんだな」
『ドチラニ向カワレテイタノデスカ?』

本体とスタンド、『ステレオ』で話し掛ける。

「ついでに言うと僕は散歩してただけだ。別に迷っちゃあいないさ」

30道星有香『ペット・ネームズ』:2016/01/28(木) 23:11:32
>>29
「ひゃぁぁ〜〜。残念です名推理ハズレです…。
 迷推理です。まようって書くほう。迷子だけに。
 うふふっ…」

自分で言った事に一人で笑う。

「私のバイト先がこのあたりにあるんです。
 ある…。ん…。ん…。ん〜?
 あった…。あれ?ありましたっけ?」

 クルッ

ラブフールに尋ねた後、亘理のほうも向く。

31亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/28(木) 23:18:13
>>30
「…………あ、ああ」

『道星』の『リアクション』が読めないのか、かなり戸惑う『亘理』。
それを後目に、普通にやり取りをする『ラブフール』。

『アルバイトノ『オ勤メ先』デスカ?
イエ、私ニハ何トモ……』
「……この街は随分と『曖昧』だからな……
だが君が『ある』と言うなら、多分『ある』んだろう。
ちなみに……勤め先ってのはどんなところなんだ?」

32道星有香『ペット・ネームズ』:2016/01/28(木) 23:27:58
>>31
「ハンサム顔です」

亘理の顔を覗き込んで一言呟く。
ラブフールのほうを向く。

「ん〜。隠れ家カフェです。良い所ですよ。
 いつも隠れた場所にあって。静かで。で…。
 いつも?場所?あれれェ〜〜〜??……。
 あ…。
 曖昧です。場所が…曖昧でしたよぉ〜〜〜……??
 私はどこに向かおうとしてたんでしょうねぇ?ねぇ?」

半笑いの顔で、ラブフールの肩を小突こうとする(本体で)。

33亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/28(木) 23:39:28
>>32
「なッ!?」

突然の『ハンサム』呼ばわりに一層の動揺を見せる『亘理』。

『カフェ、デスカ。『素敵』デスネ……
美津也サマハ、『ハーブティー』ガオ好キナンデスヨ』

動じない『ラブフール』。
肩を小突こうとする『道星』だが、見事に空を切る。スタンドだからね。

「おいおい……自分の勤め先だろう。
しっかり覚えておけよ……」

そう言いながら、『亘理』は視線を宙にさ迷わせる。
そういえば、自分の勤める会社の存在もいまひとつ『曖昧』なことに気付いたのだ。

「……ま、まあ、とにかくこんなところにいたら風邪をひく。
今日のところは一旦帰った方が良いんじゃあないか?」

34道星有香『ペット・ネームズ』:2016/01/28(木) 23:48:15
>>33
「?」

腕はスカッと空を切った。
よろめきそうになる体を戻しながら、亘理にニヤリと笑う。

「うふふっ。得意です。ハーブティー」

  ガバッ

亘理が動揺したスキをついて、
体を急接近させて服の匂いを『嗅ぎたい』(言い切りではない)。
匂いがわかったらすぐに身を離す。

「とりあえずラブフールさんの匂いを」「辿って帰ります」
「…『店も無い』みたいですから。匂いもしません…」

35亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/28(木) 23:55:17
>>34
ガバッ
「!?」

さっきから動揺しっぱなしの『亘理』の『匂い』を嗅いだ。

「な……何のつもりだ?」
『美津也サマ……? ドウナサレマシタ?』

こちらも身を離す『亘理』。
『ラブフール』が、スッ、と間に入り込む。

「ま……まあ、僕も帰るとするか……ところで、僕は『亘理 美津也』だ。
『ラブフール』はこいつの名前で、僕のじゃあない」

身を翻しつつ、そう言って『ラブフール』を指し示す。

36道星有香『ペット・ネームズ』:2016/01/29(金) 00:04:40
>>35
スタンドを体に重ねるように発現し、拳に『ブタの鼻』を設置する。

「ちょっとだけ……。スタンド、見せるのはちょっとだけですよ。
 なにか恥ずかしい感じがしますし…」

拳につけた『ブタの鼻』をひくつかせる。

「失礼しました。他意はないです。
 さっき言ったとおり、匂いを辿るためにいるんです」
「あっ、ミッキーさんって呼ばれてませんでした?」「それともミッツー?」

  タッ タッ タッ タ……

しゃべりながら拳を前に付きだしたポーズ。
そのまま小走りで『果樹園』の出口まで向かって行った。
→道星有香 『TOBE(落ちます)』

37亘理 美津也『ラブフール』:2016/01/29(金) 00:12:55
>>36
「『鼻』……ふむ、そういう『スタンド』なのか。
いきなり匂いを嗅がれたから、何かと思ったが」

納得したのか、動揺が収まった様子を見せる『亘理』。
今更、表情に余裕が出てきた。

「僕の歩いてきた道を辿って帰るつもりか……
ええと、その場合はどこに出るんだろうな……」

まあ、考えても仕方ないか、と呟くと、家路についた。

『アノ……ミッキー様トミッツー様デシタラ、ドチラガヨロシイデショウカ』
「……気に入ったのか」

その後しばらく『ミッツー様』呼ばわりされたらしいが、それは別の話。

38シェン・ウェイ『デイ・ライク・トゥデイ』:2016/02/03(水) 23:13:45
「……やはり、違う」

『病院』の敷地内に設置されたベンチに座り、
2種類の処方箋の袋を見比べている髪を黄色く染めたアジア系の男。

「同じ場所にある病院の名前が、
 先週と今週で何故、違う?」

39鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/03(水) 23:37:56
>>38

一人の女がいる。
長い癖のある黒髪を揺らしている。
和服をきた女だ。

「いや、先週と今週でお名前が?」

「じゃあ先週はなんてお名前やったんかな?」

にこりと笑ってあなたの隣に座る。

40シェン・ウェイ『デイ・ライク・トゥデイ』:2016/02/03(水) 23:54:21
>>39
隣に座った女の顔を確認し、見覚えが無いことを確認したあと、
2度3度とまばたきをした後で処方箋の袋に目を落とす。

「『未明医療センター』、だ」

先週受け取り、既に空になっている袋を示す。

「先々週は、更に違う名前だった
 気もするが……不確かだ」

41鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/04(木) 00:05:15
>>40

「?」

ぱちぱちと同じようにまばたきをする。
まるで鏡に映したようにマネをしていた。

「ふうん。なるほどぉ……」

手を合わせ感心しているのかふんふんと声を漏らす。
うなずいて相槌をうつ。

「今週、先週、先々週。」

「キミ、えらい病院に用があるんやね?」

「なんか病気してるん?」

白い人差し指がぴっと伸びる。
そして鈴木はその指で唇を撫でている。

「何週間も通わなあかんのに、入院はせん病気?」

42シェン・ウェイ『デイ・ライク・トゥデイ』:2016/02/04(木) 00:21:40
>>41
「……」

男は女の仕草に数秒、目が追いかけそうになるが
目を逸らして無理矢理、視線を切る。

「それしか手段が取れないだけだ」

男は視線を戻し、顎に手を当てて
記憶を探りながら、話を続ける。

「放っておくよりはマシ、という意味だが。
 ……アンタ、どこかの店のキャストだったか?」

日雇いで黒服(兼用心棒)をやった店の
キャスト――キャバ嬢の1人だと、男は思っているようだ。

43鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/04(木) 00:34:51
>>42

「うふふ。」

「そう。」

深く聞きはしない。
話したくないところに突っ込んでも徳はない。
それになにより

(メンドくさいことに首ぃ突っ込みたくないしぃ。)

「キャスト?」

その言葉に首をかしげる。
聞きなれない言葉だ。

「演劇?や、ん?」

「ウチとキミは初対面やよ?」

「誰かと勘違いしてはる?」

44シェン・ウェイ『デイ・ライク・トゥデイ』:2016/02/04(木) 00:50:20
>>43
「そうか」

男は顎から手を離し、処方箋の袋を
半分の半分ほどに折り畳んで、
くたびれたスーツのポケットに押し込んだ。

「知り合いのように話しかけられたのでな、
 何処かの店の人間かと思ったのだが、失礼した」

女に話しかけられた理由は男にはわからないが、
無下にする理由も無かった。

「アンタは、誰かの見舞いにでも来たのか?」

45鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/04(木) 00:59:46
>>44

「うん。そうよ。」

「うふふ。ごめんねぇ。」

「ちょっとキミに興味がわいたんよぉ。」

くすくすと笑っている。
しかし突然、ぴたりと笑いが止まる。
代わりに目を細めてじぃっと顔を見つめている。

「そういうお店が好きなん?」

「女の子がようけおるとこ。」

いたずらっ子っぽい表情を浮かべているがそれは心からでた表情ではなかった。

(まぁ、男の人やし当然よね。)

女性が嫌いな男性はつまりそういうものだろう。

「ウチはまぁ、定期健診みたいなもんよ。」

「問題なしやったけど。」

46シェン・ウェイ『デイ・ライク・トゥデイ』:2016/02/04(木) 01:20:23
>>45
「まともに就ける職が、そういう所しか無かっただけだ」

今、男の身に降りかかっている
最新の『理不尽』の副産物が無ければ、
更に困窮していただろうと考えると、
男の心境はやや複雑ではあった。

「嗜みの点で言っても嫌いではないが、
 人に誘われていく程度、だ」

顔を見つめられて、男は思わず上体を女から引いてしまう。

「そうか、心身に問題が無いというのは何よりだ。
 明日の陽に当たれるかを心配しなくていい、
 というだけで気の持ちようが違う」

47鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/04(木) 01:26:58
>>46

「ふうん。」

(……普通やない人、かな。)

(まぁ、ウチには関係ないしなにより……そんなんあんま興味ないんやけどね。)

口から出る言葉、考える言葉、表に出す表情。
噛み合わない。
にこにこと楽しそうに笑っているが、その実心の底からは笑っていない。

「なんで引くん?」

そしてまたいたずらっ子っぽい顔だ。
自分でもどうかと思うほどのパターン化された表情の変化。
偽物っぽいか、そう思う。

「……キミはウチとは違うみたいやね。」

明日の陽に当たれるかを心配する人間。

「よかったら聞かしてくれへんかな?キミのこと。」

「あ、ウチは鈴木怜。よろしゅうに。」

48シェン・ウェイ『デイ・ライク・トゥデイ』:2016/02/04(木) 01:45:33
>>47
指摘されて、男は引いた上体を戻す。

「祖国、といっていいかはわからんが……
 香港に居た頃は身内以外の女子供には
 この仏頂面のウケが悪くてな」

女と話している男は、ずっと無表情、
というほどでは無いにしろ、
眉間のあたりぐらいしか表情が動いていない。

「オレについて、面白い事はあまり無いと思うが……
 シェン・ウェイだ。よろしく」

49鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/04(木) 22:44:32
>>48

「香港出身なんや。」

「ウチは日本出身やわ……見たらわかるか。」

仏頂面の男と対照的にころころと表情を変える鈴木。
そっちの方が女の子らしいと受けがいい可能性があるからだ。

「ウチ、キミのそういいう顔好きやけどなぁ。」

実際仏頂面は嫌いではない。
色々と思い入れのある表情だ。

(面白いかどうかはウチが決めることよ。)

「シェン・ウェイさん。」

相手の名前を呼ぶ。
確認するために。でなければ忘れてしまいそうだから。
自分の目の前にいる人間ですら、必要でなければ名前を忘れてしまいそうだ。

「そうやねぇ……先週と今週で名前が違うって経験、他の場所でもある?」

50シェン・ウェイ『デイ・ライク・トゥデイ』:2016/02/04(木) 23:26:16
>>49
「いや、名前のことに気付いたのは
 今日が初めてだ」

鈴木の質問に、男は顎に手を当てて考える。
何度か仕事に入った店も恐らくは名前が変わっていたのだろうが、
物理的に気付いたのは今だった。

「だが、町の道行きを思い出せないことが
 最近あった。それで目的地に行き損ねてな」

「短くない期間、住んでいる人間も記憶が
 あやふやな様子だったな」

51鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/04(木) 23:36:15
>>50

「ふうん。」

「ウチは最近道に迷うっていうか、なんや行きたい場所に行かれへんってこと」

「確かに増えたかも。」

以前買い物に行こうとして目的の店に行けなかったことがある。
その時は行くのが面倒になり
適当にその時所属していたサークルの友人にパシりとなって買ってきてもらった。
なぜかその友人は迷わずに目的の場所についたらしい。

「記憶があやふや……小説みたいやね。」

そんな小説に心当たりはないが。

「そういえば、目的地ってどこ?」

「病院、は違うよね?スーパーとか?」

52シェン・ウェイ『デイ・ライク・トゥデイ』:2016/02/04(木) 23:55:54
>>51
「……」

男は思わず天を仰ぐ。またこのパターンか、と。

「…………『夜の店』に行こうとしただけだ。
 男が『そういう店』に行ってもおかしなことではないだろう?」

天から再び視線を鈴木に戻した男は、
淡々と事実を口にした。

「ともかく、行こうとして二度と行けていない場所が
 いくつかあるのは確かだな。
 いや、場所は合っているが無くなった場所もあるかもしれないな」

男の口調がやや早くなる。

53鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/05(金) 00:09:28
>>52

「ふふっ。」

「くくく。シェン・ウェイさん急に口ぃ早なってるよ。」

「なんや焦ってんの?」

くっくっと大声を上げないように笑う。
笑うのは申し訳ないとは思うが、笑いをこらえることができなかった。

「言いたなかったらごまかせばよかったのに。」

(や、それかすでにごまかしてるんかな?)

「でも、正直なんはエエことやねぇ。」

まだ、笑っている。
ニ、三度深呼吸をして呼吸を整える。

「そういうお店に行かなアカンぐらいなんやったら、ウチが相手しよか?」

「うふふふふ。」

にぃっと歯を見せる。
真っ白な歯がきれいに並んでいる。
鈴木はしばらく上目遣いでじぃっと見つめた後

「……二度と行けていない場所。なんか、調べる必要ありそうやね。」

(ウチはメンドくさいし、あんま興味ないけど。)

と言って腕を組んだ。

54シェン・ウェイ『デイ・ライク・トゥデイ』:2016/02/05(金) 00:22:14
>>53
「下手に嘘をついて、より痛い目を見る例を
 随分と見てきているものでな」

鈴木が笑うのを見ながら、
男は自身の喉仏を撫ぜ、努めて喋りを元に戻そうとする。

「……日本の女性は奥ゆかしいと聞いていたが、
 思いの外、オープンだったのか?
 そんな事を言われたのは二人目だ」

上目遣いの鈴木に対し、男はまばたきを
増やしながら、そんな感想を述べた。

「そうだな、この病院にも二度と行けなくなるのは困る。
 ……病院に行かずとも、死にそうではあるが」

55鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/05(金) 00:47:49
>>54

「そやねぇ。嘘つきはアカンね嘘つきは。」

「他人を騙したりして、傷つけたり自分の好き勝手するんは、ね。」

(うふふ。)

どの口が言うのかそんな言葉が口をついて出てくる。
まじめに、しかし内心ほくそ笑みながら話していた。

「うふふ。冗談やなかったら、こんなこと言われへんよ。」

「少なくともウチは。」

まさかこんなことをいう人間が二人といるとは思わなかった。

「……そう。」

視線が下に落ちる。
その表情もどこか、暗い。

「死にそう……か。」

「ウチ、キミになんもしてあげられへんわ。」

「なんか、ウチ程度にできることなんかなさそうやしね。」

56シェン・ウェイ『デイ・ライク・トゥデイ』:2016/02/05(金) 00:59:17
>>55
「いや……落ち込むことは無い」

急にトーンを落とした鈴木の様子に、
男は両手を自身の膝の上に置いて、続ける。

「『異性と唇を重ねなければ死ぬ』と神から天啓を受けた、
 などとのたまう、会ったばかりの男の言葉を
 間に受ける方が奇異なのだろう……恐らくは」

男は思わず、視線を落とした鈴木の顔を覗きこもうとする。

57鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/05(金) 01:12:13
>>56

「『異性と唇を重ねなければ死ぬ』」

「まるで童話のお姫様みたいやね。」

冗談めかして言ってはいるがその声色は暗く重い。

「まぁ、でもシェン・ウェイさんからすれば重大なことなんやろ……?」

視線を落としている鈴木は男が顔を覗こうとしていることに気づけない。
悲しそうにしている。
その目は少し潤んでいるように見えるし、口は真一文字に結ばれている。
先ほどまでにこにこ笑っていたのが嘘のようだ。

「ウチ、そろそろ帰るわ。その……うん……」

そういって立ち上がる。
気まずそうに視線をそらしたまま、鈴木は聞く。

「……もしも。」

「ウチがキミを助けたげるって言ったらどうする。」

「今ここでウチが助けたげるって言ったら?」

58シェン・ウェイ『デイ・ライク・トゥデイ』:2016/02/05(金) 01:38:20
>>57
「……?
 確かに生き死にの話しではあるが……」

鈴木の様子の変わりように男は戸惑っていた。
人というのは、他人の生き死にに、敏感なものなのか、と。

「もしも、だとしても
 そんな奇異なことを短期間で2人から言われるとはな」

息を大きく吐いて、言葉を続ける。

「なりふり構わず、その申し出は受けるべきなんだろう。
 だが、まあ一朝一夕で死ぬわけではない。今は、という意味だが」

「それに男女が唇を交わすというのは、それなりに意味が重いものだろう。
 本当にどうしようもなくなるまで、自身でどうにかするのが
 筋というものだと、オレは考えている」

59鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/05(金) 23:38:27
>>58

「生き死にの話聞いてると、ぞくっとするんよ。」

「明日は我が身って思うしね。」

それがこの感情の揺れを引き起こしているのだろうか。

「筋……そう。」

男の話を聞き終えて、鈴木はそう呟いた。
白い指が鈴木の唇に触れる。
そして、すっと形をなぞるように動いた。

「キミの人生やし、そう思うんやったらその通りにするんが一番やろね。」

60シェン・ウェイ『デイ・ライク・トゥデイ』:2016/02/06(土) 00:02:53
>>59
「自分の生き死になど、
 もっと先だと思っていたんだがな」

鈴木の動作に男は奪われるが、
視線を切るように一度、目を逸らす。

「好意を無下にしてすまない」

61鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/06(土) 00:13:51
>>60

「好意を無下にやなんてそんな……べつにかまんよ。」

ふふ、と笑う。
唇に指が触れたまま。

「目の前でお隠れになられたら、気ぃ滅入るし。」

「それだけやよ。」

ここでようやく、鈴木は笑って見せた。

62シェン・ウェイ『デイ・ライク・トゥデイ』:2016/02/06(土) 00:28:40
>>61
「そうか」

男はそれだけ返して視線を戻し、
鈴木の様子を見て――右手を後ろに回して背中を掻いた。

「そうだな……適当な所で人を頼るようにしよう」

無意識に背中を掻いていたのに気づいた男は
手癖をやめ、それを誤魔化すようにスーツの襟元を正す。

「見知った顔に気を滅入られても、オレも困る」

男はベンチから立ち上がり、鈴木を振り返る。

「何かの縁だ、次にタイミングが
 合ったら缶コーヒーでも奢ろう」

63鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/06(土) 00:47:04
>>62

「うふふ。」

「べつに奢ってもらわんでもエエよ。」

笑う鈴木。
ひらひらと手を振っている。

「苦いんは苦手やねん。」

男に背を向けて歩き出す。
次に会うのはいつになるだろうか。
鈴木が急に立ち止まり、振り返った。

「もし生きて会えたら、またお話聞かせてや?」

だからそれまで死なないでくれ、と言いたいのかもしれない。
満足したのかまた歩き出す。
直にその背中は見えなくなるだろう。

(死はアカン……)

(あの破滅はアカン。あれだけは好きになられへん破滅や……)

64シェン・ウェイ『デイ・ライク・トゥデイ』:2016/02/06(土) 01:05:20
>>63
「ああ、また」

男は鈴木の後姿を見えなくなるまで、
見ていたが――我に返ったように頭を振った。

「歯車がズレたな……
 自分で思っている以上に気が参っていたか?」

しばらく、右手を後ろ手にして、
背中を掻いた後、再び頭を振って家路に着いた。

65白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/07(日) 00:41:42

      ガバッ

『虹』の朝は比較的早い。
今、まさに起きたところだ――場所は『アーケード街』。

      キョロ
           キョロ


「…………」

   サッ  サッ

ここは屋根があり、シャッター街ゆえ人が少ない。
一晩限りの寝床にするには、まあまあ適していた。

    (つっても……
     永住は出来ないですし……)

          (都合のいい『場所』が、
             ありゃいいんですけど。)

ただ、いつ住民に追い払われるかは分かったもんじゃあない。安心はない。
まあともかく、朝っぱらのシャッター降り放題なアーケード街を歩く。
これから公園でも行って、タコ焼きをじゃんじゃん売ってやるとするか……

     「……ん?」

        キラ

               「あっ!」

と、『虹』の視界に、落ちた『100円玉』が入った。
周囲に人がいないか、しっかり見回して、確かめる・・・・

     キョロ   キョロ

                  (しめしめ、こりゃ思わぬ臨時収入ですよ。)

66アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/07(日) 22:19:21
>>65
コインを前に、周囲を見回す。
幸い、人気の少ない朝のアーケード街、周りには誰もいない……

「エー……と、あれ……?
コッチじゃなかった、デシタっけ……?」

……白い『水玉の子ゾウ』と、傍らにたつ『少女』を除けば、の話だが。

67白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/07(日) 22:39:59
>>66

「うぉぉっ……!?」

         「ぞ、象がいやがるです!?」

流石にこれには驚愕だ。
なんでまた、象が?

(場所が曖昧なことはあっても……
  生き物の分布まで曖昧になったですか……!?)

        (それにまた、 
          妙なガラの象で。)

水玉模様の象なんてはじめてだ。
いやまあ、世間は広いし、そういうのもいるかもだが……

(と、とにかく……どうにかして追い払わねばですよ。)

100円玉のためだ。

            ズン

まず、足で100円玉を踏んでキープ! そして。

「やい! そこのお前!
  ……こんなところで、何をしてるです?」

         「この辺のお店はまだ開かないですよ。」

声をかけてみる。
黙っていても、恐らく去ってはくれないだろう。

68アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/07(日) 22:50:23
>>67
「エーと、何をしてるか、ってイウと・・・・・・」

ぼやっと、空を見上げた。
今日の空は、青いかどうか。

「何をシテたんでしたっけ・・・?」

おっと会話の成り立たないアホが一人登場〜ッ
どうやら、『何をしにきたのか』をうっかり忘却したようだ。
ついでに言うと『どこへ行く予定だったか』もだッ

「ソモそも・・・ここは、どこでショウ」

少女は、奇妙なイントネーションで問いかける。

69白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/07(日) 22:59:18
>>68

屋根から覗き見える空は、青空だ。
雲は多少あるが。

「ここは見ての通り、アーケード街ですけど……」

          「あー、地名はしらねーですけどね。」

      クル
         リ

首だけ回して周囲を見る。
まずまぎれもなく、アーケード街に違いない。

(こいつ……記憶喪失か何かですか?
  めんどくさいことになりそうですね……)

         (……待てよ?)

妙な様子に、目を細めて。

       ポン

と手を打つ。

「ヘイ! 行く場所が決まってやがらないです?
 何なら……イーちゃんが、この辺りを軽く案内してやるですよ。」

          「代金はたったの500円!
            とってもお買い得ですゥ〜〜。」

    ニコニコ

思いついたのは、100円を600円にする方法だ。
まあ頼むかは自由意志だし、悪徳商法とかではない……

70アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/07(日) 23:15:18
>>69
「『Arcade』・・・デスか?」

無駄に発音が良かった。
それはともかく、どうも『迷った』ようで、
辺りをキョロキョロ見回している。

「エッ! 案内してくれルンですか?」

そんなわけで、『白鷺』の提案に顔をパアッと輝かせる……が、
代金と聞いて、少し表情が曇った。

「『500円』・・・・・・
月々の『お小遣い』の『6ぶんの1』デスか・・・・・・・
でも、マダこの街のコトもわかってイナイし、必要なのカモ・・・うぅ」

どーやらだいぶ『悩んでいる』ようだ。

71白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/07(日) 23:15:38
>>70

72白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/07(日) 23:21:06
>>70

「そう、アーケードです。」

     コクリ

悪い発音で返しつつ、頷く。

「おお、そりゃもう案内するですよ。
  代金さえいただけるなら、しっかりと――って。」

          「……」

(……ここは500円せしめるのが得策。
  ですけれど……それで逃げられたら世話ないですね。)

『ゲンさん』(※1)は言った。
『デカい魚を釣るのは難しい』――と。

「……じゃあ400円でもいいですよ。
 これならお前の小遣いの、ええと……6分の1より安いです。」

そういうわけで、交渉が始まるのだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――
※1・・・ホームレス。63歳、自称元社長。現在行方不明。

73アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/07(日) 23:37:47
>>72
「・・・・・・400、円・・・!」

きらーん、と目が光った気がした。

「イイですネ・・・実にイイ価格設定だと思いマス」

うんうんと頷く。
何がどう『イイ』のかは、多分彼女にも分かっていない。

「デモ『もう一声』・・・マカりませんカ?」

そして、彼女は意外と『セコ』かった。
交渉は、『継続』のようだ……

74白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/07(日) 23:45:28
>>73

「でしょう? ただの案内じゃなくて……
  このイーちゃんの案内で、この値段ですよ?」

        「お買い得です〜。」

何が得なのか分からないサービスだ。
こいつを連れてると入れない店とかありそうだが……

            ・・・しかし。

「んなっ……」

交渉はまだ終わらない。
面食らう虹。

(し、下手に出たのが良くなかったですか!?
  ……どうするです? 正直丸儲けなのは変わりないし……)

「……じゃあ、370円。
 これ以上はこっちも生活があるですよ。」

           ケチな刻み方だ・・・・・・

75アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/07(日) 23:50:30
>>74
「『350』円」

ド ド ド ド ド ド ド ド

「アナタに生活がアルように、私にも『お小遣い』のカベがアリます。
『コレ』で・・・手をうちまセンか・・・?」

妙な『迫力』をかもし出してきた。
実のところ、いくらであろうと『丸損』なのだが、その辺には気付いていない。

「さあ・・・・・・ゴ決断を」

76白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/07(日) 23:58:25
>>75

「……ケチなやつですねェ〜〜〜」

そもそも案内で金をとる方がケチだ。
まあ、ともかく。

     「…………」

「よしっ!」

        パチ

「しょうがねえ、それで手を打ってやるですよ。
 とびっきり親切なイーちゃんに感謝するです。」

          (しめしめ、これで何度か銭湯に行けるですよ。)

指を鳴らして(意味のない動作だ)言う。
まあ、元は0円だし、こんなものだ。

              ・・・・さて。

「んで……お前。
 さっきから気になってたですけど!」

        「なんなんですか!? 
         その……象みたいなのは!」

なんか妙に溶け込んでいたが……アーケードに象がいるのはおかしい。
流れ的に考えて、この少女のペットなのだろうか?

77アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/08(月) 00:12:52
>>76
>「しょうがねえ、それで手を打ってやるですよ。
> とびっきり親切なイーちゃんに感謝するです。」

「!」

パ ァ ア ア ア

なんか凄い笑顔になった。演出的には、バックから光が差す感じだ。

「アリガトです!やっぱり『イーちゃん』サンは凄いネ!」

ギュッ

『白鷺』の手を取り、ぶんぶん振り回すと(言い切り)、

「〜♪」

ルンルン気分で、多分白鷺が聞いたことのない言語の鼻歌を歌い出した。

「〜♪・・・エ?
ああ、コノ子は『ヒンドゥ・タイムズ』ッテいいマす。
イイ子デスよ?」

何か問題でも?という調子で首を傾げる『アハナ』。
ゾウ……『ヒンドゥ・タイムズ』も、同じように首を傾げている。

78白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/08(月) 00:22:02
>>77

   ギュッ

「! ……ったく、調子いいやつですねェ〜。
  いいです? お金はちゃんと払ってもらうですからね!」

       「スゴイのは認めるですけどね。」

  「っと。」

            スイッ
 
ケチなことを言いつつ、歩き出す。
その際、靴紐を触るふりをしてさりげなく100円玉を拾う。

「……」

(こいつ、どこ出身なんですかねえ。
  ……まあ、イーちゃんには関係ないですけど。)

       テコテコ

歩きつつ・・・・

「ヒンディ? そういう名前なんです?
  ……まあ、お前の国ではよくいるんです? こういう象は。」

        「イーちゃん初めて見たですよ。」

まるで当然のように答えられたので、そういう物かな、と思う。

79アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/08(月) 00:26:58
>>78
さりげなく『100円』を回収する『白鷺』。
一方『アハナ』は『空』を見ていた。

「・・・・・・?
私、『日本』生まレですヨ?
日本にハ、『ゾウ』って『動物園』ニシかいないデスよね」

歩きながら、不思議そうな顔をして答える。

「デモ、この子は『特別』」

ニコ

『ヒンドゥ・タイムズ』の背を撫でながら、にっこり笑う。

80白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/08(月) 00:40:58
>>79

(ケケ、ナイスタイミングですぅ〜〜。)

           ゴソ

懐に入れた。
無事、臨時収入獲得だ。

「あれ? そうだったですか。
 外国語みたいな歌、歌ってたもんだから。」

      キョトン

      「まあ……動物園にはいるですね。」

灰色の巨体を思い返す。
水玉のは知らない。

「特別ゥ? ……まっ、別になんでもいいですよ。
 暴れ出したりしないなら……んで、お前。どんなとこ行きたいです?」

目を細めつつ、要件を聞く。
よもや眼の前のそれが――己の『相棒』と同じ存在とは、思わない。

               (なんか、ナゾなやつですねぇ。)

81アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/08(月) 01:03:14
>>80
「ああ・・・・・・アレは、『ベンガル語』の歌デス。
私のママ、『インド』カラ来たノデ」

言われてみれば……彼女の顔立ちは、だいぶ『濃い』。

「もちろん、暴れタリはしないデス。イイ子デスから」

安心して下さい、とばかりに言い切る。

「ソウですネ・・・・・・アッ、私『プラネタリウム』見てみたいデス。
ダメならチッチャい『星図表』売ってるオ店トカでもイイです。
コノ辺りに、ないでショウか?」

無邪気に希望を言う『アハナ』。……果たして『ある』のかどうか。

82白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/08(月) 01:19:34
>>81

「おお、ハーフってやつですか。
 言われてみりゃそんな顔です……インドといえば、カレーの国ですね。」

      「あと……
        すごい川があるとか?」

などと言いつつ、歩いていく。

「イイ子なら安心です。
  まっ、よく見たら優しそうなやつですし。」

『ヒンドゥ・タイムズ』は実際謎だ。
とはいえ、無害そうだし……見た目にも、なんかかわいらしい。

          ・・・・そして。

「プラネタァ〜〜?」

(この辺に……あったですかねぇ?
 あったような、なかったような。曖昧、ですけど……いや、ワンチャンあるですよ。)

          「……あ、あいわかったです。
            今からそれっぽいトコ、目指してみるですよ。」

                  「ちゃんと着いて来るですよ?」

    テコ  テコ

ここは・・・・この、『曖昧な町』に一つ、賭けてみよう。
この前はスーパーに行こうとしたら着けたのだ。プラネタもワンチャンあるに違いない。

                 ・・・・失敗したこともあるが。
                      そうだ。ダメで、もともとだ。

83アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/08(月) 01:33:32
>>82
「アハハ、ソンなイメージデスよね……私も、
ママから聞いた話デしか知らないんデスけど。
……ママの思い出、私にはピンと来ないコトもあります」

ちょっと寂しそうな口振りだった。

「そうでショ?
特にこの『肌触り』がトッテモ……ア」

しばらく歩き……雑談していた『アハナ』が足を止める。

「ありマシタね!」

――そこに、プラネタリウムが『あった』。
アーケード街の片隅に鎮座する『プラネタリウム』――
『不条理』と言えなくもないが、有り得ないとまでは言い切れない存在だ。

「わ! わ! 入りマショうか、『イーちゃん』!」

『アハナ』は、無邪気にはしゃいでいる。

84白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/08(月) 01:53:14
>>83

「……そんなもんですか。
 ま、いつかインドに行けば分かるかもですよ?」
 
       テコ テコ

「肌触りぃ?
 ざらざらしてそーですけど……」

        「あ?」

               「のわぁっ!!」

(ほっ……ほんとに、ありやがったです!?
  こ……今回は、曖昧っぷりに救われたカタチですね……)

ここまでいつも救われてる気もするが。

       「……ど、」

「……ど〜ですか? ほら、プラネタ!
  イーちゃん迫真の案内っぷりですね。じゃ、そういうわけで――」

――プラネタリウム。
元からそこにあったのかのように。
なんとも、この場所に、『しっくり来ている』ではないか。

 「って」

     「イーちゃんもです!?
      しょ……しょーがねえですねえ。案内のついで、です。」
                           
ここでほって帰るのは非情というもの。
嫌というほど毎晩星空を見てはいるが……これとはまた別だろう。

   「でもイーちゃんお金ないですからね。
      お代金とかは……お前に任せるですよ?」

                   ・・・・ケチりつつ。
                      一緒に入ることにしよう。

85アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/08(月) 02:11:28
>>84
「代金…………任しときナサーイ!」

何故か『エセ外人』風に答えつつ、入場する。
一人頭『700円』、学生・高齢者『350円』、乳幼児『無料』ナリ。

『白鷺』と二人で『学生料金(問題あるまい)』で入場し、
比較的スカスカな席に座る。
そして『上映』が始まる……

「おォ・・・・・・キレイです、イーちゃん、ほら、
アレが『冬の大三角』デス、見て見てッ……!」

………………

ひとしきりアハナが『はしゃいだ』後、
二人は再び『プラネタリウム』の前に。

「ふー……満喫しまシタ」

アハナはひどく『ご満悦』の様子だ。

「これは『イーちゃん』にも『奮発』するベキでショウ……」

そう言って、『白鷺』に、『370円』手渡す。
『奮発』ぶりは『セコい』彼女であった。

86白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/08(月) 02:23:16
>>85

「心強いやつですよお前は。」

そういうわけで上映が始まり・・・・

      「んが……」

    「み、見てるです、見てるです。
      はしゃぐんじゃねえですよ……」

………………

(久々に柔らかい椅子に座ったですね……)

危うく寝かけたが……
そこは横がうるさかったので耐えられたわけ。

       「んぐぐ」

   グィーッ

猫のような伸びをして。

「おう、そりゃあ案内したかいがあったですよ。
  んで、ほれ、約束の代金を――っとぉ。」

         「お前中々……
          話の分かるやつですねぇ。」

   チャリン
         チャリン

20円あればたこ焼き以外の物が食べられる。
つまり……駄菓子だ。

これは無視できないアドバンテージを得たことになる・・・・

「そういや、自己紹介がまだでしたね。
 イーちゃんは白鷺 虹(しらさぎ いりす)って言うですよ。」

      「この町でぶらぶらしてるんで……
        また、ごひいきにしてくれです〜〜♪」

    ニコニコ

予想より少し儲かったのもあって、気分の良い笑みを浮かべる。
特に何もないのなら、ここで二人は別れ、改めて虹の一日が続くというわけだ。

                     『現在のイーちゃん通帳』→470円

87アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/08(月) 02:34:37
>>86
「私、『響・あさひ・アハナ』デス。
マタ私が迷ったトキは、お世話にナリます・・・・・・よろしくネ」

そう言って笑う『アハナ』。ふんわりと『ジャスミン』の香りがした。
そうして二人は別れ……アハナは、帰り道でまたぞろ『迷った』が、
それはまた別のお話。


【今日の出費:(結局)『1070円』
 今月の小遣い:残額『1930円』】

88北条『オブ・モンスターズ・アンド・メン』:2016/02/10(水) 23:20:12
「ん、ンン」

89北条『オブ・モンスターズ・アンド・メン』:2016/02/10(水) 23:23:21
「ん、ンン〜」

ここは『森』――その中にそびえる『古びた鉄塔』の真下である。
元々は何かの電波塔だったのだろうか? 周囲に似た施設はなく、推測は難しい。
ましてやこの街であれば、突如ここに現れた――というのも有り得る話である。

「いや、いや、中々の眺めですなあ・・・」

そんな『鉄塔』を見上げ、スマホを構え、
パシャパシャと撮影する、白衣の女性が一人。

「これはコレクションが一つ増えますな・・・。
 明日には『消えてる』かも知れませんが・・・」

90北条『オブ・モンスターズ・アンド・メン』:2016/02/11(木) 00:24:48
>>89
「ふん、ふん、ふ〜ん」

ひとしきり撮影を終えると、女性は満足そうにその場を後にした。

91アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/11(木) 22:15:31
「……坊主が屏風二上手にボウびュの……マタ噛みまシた」

『駅前』、『大衆食堂』の脇にひっそり立っている小さな『喫茶店』。
『カフェオレ』片手に、何やらブツブツ言ってる少女が一人。
オーバーサイズな毛糸のセーターでモコモコしたシルエットが特徴的だ。

92鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/12(金) 02:11:46
>>91

鈴木怜は喫茶店の店員である。
しかし、その勤務態度は決していいとは言えない。
あくまで裏では、の話ではあるが。

「すぅ……すぅ……んぁ……」

スタッフルームで目を覚ます。
目の前には自分と同じホール担当の店員。
交代の時間はとっくに過ぎているらしい。
面倒くさいとごねながらもホールへと向かう。

                               「鈴木さん鈴木さん。」

「ん?なに?」

店員の一人が声をかけてくる。
どうやらぶつぶつと独り言を言っている客がいるらしい。

(別に放っといたらエエやん。)

少し様子を見てきて、そういわれた。

「お客さま。いかがかなさいましたか?」

先輩命令では仕方がない。
それに、先ほどのサボタージュもある、ここは従順に従っておこう。
少女に声をかける。

93アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/12(金) 13:49:24
>>92
「……難しいデすね……ん?」

声のした方を見る。
彫りの深い少女だ。額に点があると似合いそう。

「『早口言葉』を練習シてマシた。
私、『滑舌』ガあんマリ良くナいのデ」

奇妙なイントネーションで、少女は言う。
問題は本当に『滑舌』なのか……?
そして何故ここでやっているのかは、説明してくれなかった。

「ア、店員サンもどうデす?
『坊主が屏ズに……丈夫がボウブの……』」
「…………何か違いマすね」

94鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/12(金) 23:31:13
>>93

「はぁ……早口言葉、ですか?」

なぜここで?
見た感じ日本人ではなさそうだ。
日本の文化には疎いのか。
いや、日本以外でも喫茶店で早口を言葉をいう文化はなかろう。

(その前に日本語覚えた方がエエんやないやろか?)

「坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた。」

きれいで丁寧な発音。

「どうでしょう。もうすこし簡単なものを試してみては?」

一つ、鈴木の中には考えがあった。
この客とのやりとりで勤務時間をつぶせばいいのでは?と。

95アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/12(金) 23:43:00
>>94
「早口言葉デす。
ええと、家で練習シてると、ママが不思議そーナ顔をスるので、
デモ外は寒いデすから、それで、ココで。……ウルさかったデすか?」

「わあ……! 
上手デすね、何か『コツ』とかはアルのでショウか」

『鈴木』の滑舌に、感心の声を上げた。

「簡単なモノ……『東京特許きょキャキョキュ』トカ、
『赤巻紙青巻紙黄ミャき紙』トカ、そーイウのデすか?」

どれもちゃんと言えていないが、とにかくいくつか例を挙げてみる。

96鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/13(土) 00:11:23
>>95

「あぁ……なるほど……」

理由は分かった。
だが、なにも喫茶店でなくても。
……どこでやっていても同じか?

「うるさかったわけではないんですけど、他のお客様が少し、不思議がられるかと……」

あと店員からいらぬ注目を集めることになる。

「コツ?まぁ、口の開きと舌の動きに気ぃつけるとか……」

「んー……まぁ、とりあえず『生麦生米生卵』から始めてみては?」

97アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/13(土) 00:41:16
>>96
「不思議ガラれる……」

そう言って、店内を見渡す。

「むむ、もうチョっと、声を小さくスるベキでショウか……
このクライなら目立たないデす?」ヒソヒソ

声を抑えて、答える。

「私、ちっちゃい町で生まれて、他のコと『違う』ッテ、昔カら言われてマした。
見た目モ、言葉も、なんか『違う』っテ。
イヤだけど……でも、ショウがないのカな、とも思ってマシた。
ダカラ、あんまりソウいうの、気にしなイよーニしてて……」
「ソノ、『ヘン』だったら、謝りマす」

なおも小声で、続ける。
蚊が鳴くような声、と言うか、消え入りそうな調子、と言うべきか。

「え、えと、『生麦……生米……な、ニャま卵』……」

98鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/13(土) 01:05:15
>>97

(そもそも早口言葉をやめるっちゅうんは……)

ないようだ。
まぁ、別に時間をつぶしたい鈴木としてはもう少し時間を引き延ばしたいところだ。

「……変やないよ。」

「気にせんとき。」

思わず敬語も抜ける。
店員としてではなく、鈴木怜という人間としての言葉。

(破滅でもなんでもない、悲観かな?まぁ、なんでもエエか。)

気にしてもどうしようもない。
見た目は生まれ持ったものだ。
しかし、言葉は何とかなる。
何とかできるのだ。

「もっとゆっくり、一音ずつ言ってみて。」

「舌の動き口の動きを確認するみたいにね。」

99アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/13(土) 01:23:04
>>98
>「……変やないよ。」

>「気にせんとき。」

「……アリがとう、ございマす。
アッ、ダメですネ。今ドヨドヨしてた気がシマす」

『鈴木』の言葉に、『救われた』ように上を向く。
『気を使われた』と受け取ったのか、『本心』と思ったか、
その辺りはアハナの中でも『半々』といったところだ。

「ユックリ、ですネ……『なまむぎ』、『なマごめ』、
『ン……なッ、ま、た、ま、ゴ』。ア、言えマした!」

ちょっと『噛みかけた』が、ともかく何とか言い切ることができた。
傍から見れば些細なことだが、ひどく嬉しそうな顔を浮かべている。

「アリがとうゴざいます、店員サン!」

……気付けば、『早口言葉』一つで結構な時間が経過している。
もしかしたら『速く戻ってこい』的な、裏方からの視線を感じるか・も。

100鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/13(土) 01:47:18
>>99

「べつにかまんよ。」

なんてことないことだ。
礼を言われるまでもない。
自分の思う通りに行動したまでだ。

「よくできました。」

にっこりと柔らかな太陽のような笑みを浮かべる。
黒い癖のある髪が揺れる。

「練習したら上手くなるよ。きっと。」

(あ。)

裏から視線を感じる。

(店長……)

この店で鈴木が唯一頭が上がらない人間。
寝てサボっていたのと加えてこれは少し、不味い。
あの店長はまだ落せていない……!

「そ、それじゃあ……あはは、これからも頑張ってねぇ。」

「ごゆっくり。」

笑顔を崩さず裏へと戻る。
こういう時に限ってなにも注文が来ない。
ひどい話だ。

(おしおき……かなぁ……)

少し、頭の痛い鈴木であった。

101アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/13(土) 01:56:09
>>100
「えへへ、アリがとうゴざいマす!
私、頑張りマすね!」

『鈴木』の言葉に応えて、ニッコリと笑う。
ほのかに『ジャスミン』の香りがした。

「はい!
……この街、イイ人がいっぱいイます。『いいマチ』デす……
私、モっと頑張れル気がシます」

そうのん気に言うと、カフェオレをのんびり飲み干し、帰っていった。
『鈴木』がどうなったかは、つゆ知らぬことである。

102白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/14(日) 23:30:48

ここは『公園』――今は近くで手伝っていた『仕事』の帰りだ。

今日はバレンタインだ。
チョコレートの日という事だ・・・

     モグ
        モグ

          「〜〜〜♪」

チョコをかじっている『虹』。
いったいどこでそんなカロリー源を?

               ・・・答えはゴミ箱だ!

(もったいねえことをするやつも、いやがるもんですねえェ〜〜)

今日はバレンタイン。
誰だか知らないがチョコを作ったのに捨てられた女に感謝だ。

   ウロ
             ウロ

(他のゴミ箱も探してみるですかね。
  この辺は、あんま縄張り強くはないですし……)

                     ――トレジャーハンティングだ。

103母里栄光『ブラッドバス』:2016/02/16(火) 02:44:18
>>102

「………………………」

この日、俺こと母里栄光は――――『公園』のベンチで『ポッキー』を食べていた。
姉と母がくれたものである。
姉二人と母がくれたので、三箱である。
なんで同じもん三つ買ってんだよさては打ち合わせ済みだなお前らポッキー三連星って一発ネタやりたいだけだなお前ら。
……とかそういう一幕があり、家にいると露骨に『ホワイトデー』の希望品(大体高級品だ)をアピールされるので、逃げてきたのだ。
今年のバレンタインは『日曜日』なので、女友達が義理チョコをくれるとして週明けになるだろうし。
まぁ彼女がいない以上その辺はしゃあないわな、と久しぶりに唯一の戦利品となった家族にもらったチョコを食べていたのだ。

が……

「(……ホームレスか? ちょっと前に流行った『ホームレス中学生』って奴か?)」
「(すげぇなあの女ゴミ箱漁ってチョコ食ってんぞ)」

……あんまりにもあんまりな光景を見てしまった。
半ば茫然と、眼鏡越しに『虹』の姿を見ている。

104白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/16(火) 03:17:23
>>103

薄汚れたホームレス少女こと、『虹』を観察する『母里』。

「オッ! また出てきたですよぉ〜〜♪」

           ゴソ

ちょうど別のゴミ箱からチョコを発掘したところだ。
ピンクのハート型の箱に入っているではないか……

         ポイ

(こいつは中々本格的なラブが伝わってくるですねェ。
  まあ……ゴミになるくらいならイーちゃんが食供養してやるです。)

          (メッセージカードは、
            犬も食わねぇですけど。)

箱についてたカードは捨てた。
動きに迷いがない。

    「……」

   ゴソ    パキン

                「……・んん。」

           モグモグ

    「……んんっ!?」

箱もさっさとすてて、中のハート型チョコに齧り付く。
幸か不幸か、『母里』にはまだ気づいていない。
     
「う……ウゲッ! なんじゃこりゃッ!!」

           ペッ ペッ

    「うゲエッ! ぺっ、ぺっ!
      か、髪の毛入れてやがったです!!?」

                  ・・・捨てられるにも、
                      理由はあるようだ。

105母里栄光『ブラッドバス』:2016/02/16(火) 03:24:24
>>104

      ポリポリ

「(うおっ、スゲーマジで食ってる食ってる。ありゃ『年季』入ってんな)」
「(でもやめとけって、捨てられたチョコなんて大概……)」

                ポリポリ

>    「うゲエッ! ぺっ、ぺっ!
>      か、髪の毛入れてやがったです!!?」

                    ポリポリ

「(……ほらな)」
「(『手作り』で『気合いの入った奴』、それが『あんま知らない奴』から来たらヤベーんだって)」
「(『アイドル事務所』じゃ手作りのプレゼントは全部捨ててるって話だしな。おーこわ)」

         ポリポリ

……なんか見てて面白くなってきた。
悠々とポッキーを食いながら、『観賞』させていただくとしよう。
気分はポップコーン片手に映画見てる状態だ。

106白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/16(火) 03:41:38
>>105

「ち、チクショぉ〜〜〜……
 ウエッ! と、とんでもねえですよこの女ァ……」

         ペッ  

この世の悪夢のような様相で残りのチョコを捨てる。
流石にこれは気味が悪すぎる・・・・

(イーちゃんをだまくらかしやがって……ん?)

   「……ん?」

           キョロ  キョロ

        (なんかチョコの匂いが……
          それに、音もしやがるですね……)

視線をさまよわせる。
その目は完全に『人間』より『野良猫』のそれだ。

                キョロ ・・・

                      ピタ

――『母里』と、目があった。
いや、違う。より正確には、その手の『ポッキー』とだ。

          (……! あいつですか!
            いいもん持ってやがるですね……)

                (さっきから……なーんか、
                 視線感じてたのも……あいつですかね?)

107母里栄光『ブラッドバス』:2016/02/16(火) 03:53:20
>>106

「(わはは、『ノラ』だな『ノラ』)」
「(完全に野生化した犬猫の類だわ。人も落ちようと思えば落ちぶれるもんよのー)」

すっかり野次馬気分でノンキしてたわけだが。


――――――――――――――目が合った。


「げっ」

        シュバッ

音速で目を逸らす。
見てるのは『ポッキー』な気がしたので音速で背中に隠す。

     ピョー   ピョー

口笛まで吹いて完璧な誤魔化しっぷりだ!

「(やっべー見られちまったか?)」
「(あーいうのは『対岸の火事』だから面白いんであって、関わり合いになるとメンドクサソーだからな……)」

野次馬の鑑のような精神であった。

108白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/16(火) 04:02:46
>>107

          キラッ

(あっ! あの野郎……知らんふりしやがる気ですね?)

         (……なんとしても! 今日は!
           もうちょいチョコが食べたいですよ。)


目を逸らしてももう遅い。
少しだけ、逡巡するような間があったが――

     ズン
            ズン

無言で迫りくる野良人間『虹』。
近付けば分かるがやはり薄汚いし、目は猫っぽい。

「……」

     「…………」

             ズン

           「やいっ、そこのお前。
             今日はバレンタインですねぇ?」

                      ・・・話しかけてきたぞ。

109母里栄光『ブラッドバス』:2016/02/16(火) 04:13:08
>>108

「(頼むぞーこっちくんなよー……)」

……願いは虚しく。
当然『目が合った』という過去を覆すことはできず、少女はこちらに近づいてくる。
それでもギリギリまで『知らんぷり』を決め込んでいたが……

「……………………」

>           「やいっ、そこのお前。
>             今日はバレンタインですねぇ?」

     「………………ハァ〜……」

これ見よがしに、ため息をついた。
めんどくせぇ。
とてもだ。とてもめんどくせぇ。
だが、絡まれてしまったからには仕方ない。
物凄く『めんどくさそー』な顔で、若干すごみを効かせつつ、顔を向ける。
眼鏡、赤シャツ、黒ジャケット。
『ホストかヤクザの下っ端みたい』と友人に評された、お気に入りのファッションがここで生きてくるだろう。多分。

            ギロッ

「……礼儀がなってねぇなぁ、チンチクリン」
「いきなり『やい』だの『そこのお前』だの、随分エラソーな物言いじゃねぇか。ええ?」

問題はない。
何を隠そうこの母里栄光、自分より弱い奴には徹底的に強気に出れるのだから!

110白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/16(火) 04:23:09
>>109

         「ぐぬっ……」

なんか『悪そう』な雰囲気に一瞬ひるむが……
チョコを得たい気持ちは本物だ。

           「……礼儀ィ〜〜?」

「人さまのライフスタイルをジロジロ見やがるのは、
  ちょっと『礼儀』がある行動じゃあ、ねえですよねェ〜〜?」

そのためなら――プライドとか、常識とか、そういうのは置いておける。
ふつーの16歳は凄まれたら逃げるが、『虹』はまだ食い物をせびれる。

「イーちゃんに敬意を払われてえなら……
  食い物でもよこさねえと無理な話ってことですよ。」

             フン

野良に『かまった』時点でそれは敗北だと思い知らせる!
正直内心暴力とかはこわいが……

「まあ今日はバレンタインだし……
 隠してるポッキーを一本くれれば敬語くらい使ってやるです。」

                    ・・・意味不明の交渉を仕掛ける。
                      男子中学生並みにチョコが欲しいのだ。

111母里栄光『ブラッドバス』:2016/02/16(火) 04:44:35
>>110

「あぁん?」
「(チッ、あんま効いてねぇ……流石に『バイタリティ』ってのがちげーなこいつ)」

そう、この少女は『ホームレス少女』なのだ……
その辺の少女とはモノが違うのは明らかッ!
多少すごんだ程度で去っていくわけが無いッ!

「ハッ、『ゴミ漁り』で髪の毛食って顔顰めてたのはどこのどいつだぁ?」
「んな目立つことしといて『ジロジロ』もクソもあるかよ、チビ」

それでも決して弱みを見せることはできない。
直感がある……少しでも弱みを見せれば!
この少女はハイエナのように貪欲に食らいついてくるとッ!
故に『エラソー』な態度を崩さず、足を組んで応対する。

「『餌付け』がお望みならまず芸をぶふぉっ」

ところでなんか噴き出した。

「ぶはははははッ!」
「おまっ、ポッキー1本! ポッキー1本て! やっすいなおい! ぎゃははははは!!」

なんかツボにはまってしまったのだ。
いやまぁ敬語に元手はいらないのだからある意味安いどころか高いのかもしれないが。

「ひーっ! ひーっ!」
「笑わせんなっつーの殺す気かよ!」

「はー……そんなに『ポッキー』欲しいか? うん?」

ひとしきり腹を抱えて笑った後、ポッキーを一本取り出してひらひら振っている。

112白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/16(火) 05:07:34
>>111

          「ぬぐっ」

痛いところを突かれたが――

「ふ……フン! なぁに言ってるですか!
 ああいうことしてると、人間やりやがることは二種類!」

       「『見てみぬふり』」
              
              「『ジロジロ見る』」

「おめーは後者!
 わざわざジロジロ見てやがったですよ!」

こういう屁理屈の時は口が回るのだ……経験のたまものか。
まあともかく引き下がる気もなく。

              ・・・そのとき。

「うおっ!」

いきなり噴き出したのに驚く。

「こ……この礼儀知らずがァ〜〜……」

        (クソッ、惨めな気分ですねェ〜!!
          ん? けど……待てよ?
           こいつは意外にチャンスかもですよ!)

まあ流石に一通り憤るが……
そこはプライドの低さ、すぐに思考に戻れる強み。

「そんなに欲しくねえならお前の相手はしてねえです。
  …………んで、一体何が条件ですか。王道を行く土下座とか?」

        (クク、今の内に笑ってろです。
         最後に笑うのはこのイーちゃんですよ。)

振られているポッキーを妙に座った目で眺める『虹』。
ゲンさん(※1)は言っていた。『敵が油断してる時がチャンス』――と。

                  ・・・ポッキーは必ずもらうぞ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
※1・・・元社長を名乗るホームレス。63歳。虹に様々な格言を残す。

113母里栄光『ブラッドバス』:2016/02/16(火) 22:31:08
>>112

「おーおー、それじゃ『社会規範』から外れたことしてたのはどっちだ?」
「『ゴミ漁り』してたテメーか? それともそんな妙なことしてるガキを見てた俺か?」
「暴漢を殴り倒すのは責められるべきか? おかしなことやってる奴を観察するのはいけないことか?」

『虹』の反論に、次々と捲し立てる。
言い訳を並べ立てることにおいて、負けるつもりはない……まぁ論点がズレ始めているが。

「ま、ともかくだ」

――――閑話休題。

「『土下座』ねぇ……まぁあんま面白くねぇなぁ。『趣味』じゃねぇし……」

ゆらゆらポッキーを振りながら、目を細めてそれを見て。

「どーせポッキーの一本だ。そのままくれてやるぜ。ありがたく敬えよ」

           スッ

ほれ、と『ポッキー』を一本差し出した。
が――――もちろん、タダでくれてやるつもりはない。
『虹』が『ポッキー』を取ろうとした瞬間……「やっぱやーめた」と手を引っ込めて自分で食べるッ!
油断しているように見えて、実のところ眼鏡の奥の瞳は『虹』の挙動をつぶさに観察しているのだ!
相手が獣のように『ポッキー』をひったくる可能性を警戒しッ! さらに『ポッキーの箱』を奪われないようにも警戒しているッ!
そう、全力でイジる気満々である。ろくなもんじゃねぇ。

114白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/16(火) 23:05:54
>>113

    「ぐっ」

「お、おかしなことでも……
 イーちゃん達の社会では当たり前のことですよ!」

そういう問題でもなかろう。
あわや論点を見失った言い合いになる所で――――

差し出されたポッキー。

「え? ……え?
 く、くれるですか!?」

    「……急にどういう風の吹き回しです?」

         ジロ

怪しい・・・・だが動かないわけにはいかない。

(経験上……こういうのは何かワナがあるです。
 イーちゃんそう簡単に信じたりはしないですよ……)

       (しかし眼の前の獲物を逃がすのも愚策……)

「いや……まあまあ、そう焦るなですよ。
 ここは一つ、イーちゃんの芸を見てからでも遅くはないです。」

         「くれるならお返しする、
          これも礼儀ってやつですよ。」

ここで『虹』は奇策に打って出る。
何を仕掛けて来るか分からないなら――『見れば』いいのだ。

          ギュイ  ィィイー ン

 「えー、じゃあ音楽を一つ……
  タイトルは『イーちゃんの情熱バレンタイン』」

          ピン
                  ギュインッ!

                  ――『五弦ギター』が発現する。

115母里栄光『ブラッドバス』:2016/02/16(火) 23:23:37
>>114

「いや別に『ポッキー』ひとつでやっきになるもんでもねーし?」
「『餌付け』ってのもおもしれーかな、と思っただけだよ」

ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながらポッキーを揺らす……
……が、警戒されているか。
仕方あるまい。これも野生動物特有の『嗅覚』という奴か……

「(まっ、それならそれでからかいようはあるがな……)」
「ほーん。芸か? いいぜ、面白かったら『チップ』は弾んでやるよ」

とはいえ、少女にできることなどたかが知れている。
何をする気かは知らないが、この『優位』は決して崩れることは……

>          ギュイ  ィィイー ン

「……あ?」

>          ピン
>                  ギュインッ!

「………………」


「……うおぉぉぉぉぉおおッ!?」


           シュババッ

『スタンド』ッ!
それを見た瞬間、母里の行動は素早かったッ!
自分の荷物をひっつかみ、目にもとまらぬ速さでベンチの裏に身を隠して距離を取るッ!(まぁスCだが)

「て、ててててテメェッ! 何するつもりだッ!?」

その声は明らかに恐怖に震えているッ!

116白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/16(火) 23:40:24
>>115

「フン、それじゃ、黙って聞いていやがれです。」

       「……?」

           「……あっ!? やいっ!
            に、逃げんじゃねえェーですよ!!」

いきなり逃げ隠れした『母里』に驚愕!
思わずギターから手を離すが、五弦が体に繋がり落ちない。

           ・・・

              ・・・少し静寂。

「な、何って……今言ったですよ!
 寒さを吹き飛ばすイーちゃんのオリジナルソングをお届け――」

       「……んんっ!?」

   ギュイン
           ギュイン


「お前ッ! ひょっとして……
 イーちゃんの『デンちゃん』が、聞こえてやがるですか!?」

                 ・・・デンちゃん?

    ギュイィィィイィン

    「ど、どうなんですかっ!」

           ともかく『虹』は挑発的にギターを鳴らしつつにじり寄る。
             なんかしらないがビビってるみたいなので嫌がらせ半分だ。

117母里栄光『ブラッドバス』:2016/02/16(火) 23:56:22
>>116

「やめろぉぉぉぉーーーッ!」

        「その『ギター』をッ!」

              「弾くんじゃねぇぇぇぇーーーーッ!」

ベンチの裏から必死の形相。
なぜこんなにビビっているのかと言えば――――この少女が『攻撃』を行おうとしているのではないかという疑念があるからだ。
『ゴミ箱』を漁ってチョコを食うような『バイタリティ』のある少女だ。
流石に大怪我をするほどのなにかはすまいが、何かしらの『攻撃』によって『ポッキー』を奪おうとしている可能性はあるッ!
故に、『虹』がにじり寄ればそのまま『母里』も下がっていき――――

「今すぐやめねぇと――――」

        ズギャンッ

「――――俺も『ブラッドバス』を抜くしかなくなるだろーがよォッ!」

――――傍らに、『ブラッドバス』を発現した。
円形の『大盾』を構えた、屈強な人型だ。

「言っとくが俺の『ブラッドバス』は手加減抜きだぜェ……ッ!?」

半狂乱といった表情で、凄んで見せる。

118白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/17(水) 00:05:50
>>117

「なっっ――」

「なんですかァァそいつは!!
 いっ、意味が分からねえこと言ってんじゃねえですッ!!」

突如現れた『ブラッドバス』!
正直状況が呑み込めないが――

    「まっ」

         「待ちやがれ……です。」

 「分かったです、
  演奏は止めるですよ。」

              ピタ

指の動きを止める――ただしギターは発現したままだ。
『虹』としてもポッキー一本のためにヤバイ目には会いたくない!

「『デンちゃん』は危なくねえです……
 っってもお前は信じそうもねえですがッ!」

       「危険なことはねえです!
         イーちゃんが演奏するだけッ!」

これは半分ほどでまかせだが――危険がない! それは事実だ。
実際、さっきまでの演奏で、何らおかしなことは起こってはいないようだぞ。

         「イーちゃん芸を見せるつもりが、 
            こいつはとんだヤブヘビでやがりますよ……」
 
                     ・・・逆に後ずさる。

119母里栄光『ブラッドバス』:2016/02/17(水) 00:28:10
>>118

「うるせぇぇぇぇーーーッ!」
「先に仕掛けてきたのはテメーだろうがッ!」

母里は明らかにビビっている……それがヤバイッ!
窮鼠猫を噛む、とでも言おうか! 大型犬よりも小型犬の方が凶暴であるように!
現在の母里は、恐怖から身を守ろうと『攻撃性』を発揮しているッ!

「よっ、よぉし……そうだ、わかりゃいいんだよわかりゃ……」

だが、『虹』が演奏を止めたことでどうにか『狂乱状態』からは脱したようだ。

「危なくねぇだと……?」
「信用できねーぜ……じゃあなんだって人に聞こえない『演奏』をやろーとしてたんだっつーの!」

そして、当然『虹』の言葉には『耳を貸さない』。
自らのスタンドの戦闘力の高さの裏返しか。『スタンドは危険な物』という認識が母里にはある。

「まぁなんでもいい……しまえ、それ」
「テメーがしまったら……俺も引っ込めてやる。いいな? テメーからだ。テメーからしまえ」

       ゼェーッ
                  ゼェーッ

……肩で息をしている。
極度の緊張状態であることが見て取れるだろう。

120白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/17(水) 00:38:12
>>119

「はぁァ〜〜〜?
 イーちゃんは……音楽をやろうとしただけでしょうーが!!」

      「危ないとかなんとか!
       お前の被害妄想ですよッ!」

『虹』にスタンドを『攻撃』と結びつける発想はない。
ただポッキーが欲しかっただけなのだ……

   「『デンちゃん』を弾いたのはッ!」

         「ただちょっと……
           『未来が見える』からですよ。」

     ギュゥゥーーン ・ ・ ・

「それでポッキーを逃がさねえつもりだったのに。
  ほんっと、ヤブヘビですよ。まさか見えるやつもいやがるなんて。」

『五弦ギター』のヴィジョンが音の余韻を残して消えていく。
……しょうもない理由もついでに明かしつつ。

   「無駄カロリー使っちまったです。」

             「ホラッ、お前のも……
               はやいとこひっこめろですよ。」

121母里栄光『ブラッドバス』:2016/02/17(水) 00:59:26
>>120

「あ?」
「……なるほどテメーは……それを弾いて『未来予知』みてーなことができんのか……」

          ゼェーッ
              ゼェーッ

「だがフツー警戒するぜ……テメーがその『デンちゃん』とやらで俺を攻撃しねーと誰が保証してくれるんだ?」
「『超能力者』ってのはそういうことだ……『人の能力』を『超える』と書いて『超能力』って書くんだぜ」
「警戒しねーってのはアホのやる『無神経』なことだ。違うか?」

ゆっくりと息を整えつつ……『ブラッドバス』を解除した。
運動したわけでもないのに、汗もダクダクだ。

「相手が『剣』を抜いたら誰だって警戒するよなァァ〜……」
「自分も『剣』を持ってるなら自分も抜く。誰だってそーする。だから俺はなーんも悪くねぇ」

額の汗を拭いながら、そう言い訳する。
自らの左手の筋肉をほぐすように揉み、直立して改めて『虹』を見下ろす。

「だがこれ以上絡まれてもメンドーなんで『ポッキー』はくれてやる」
「それで今回のことは『チャラ』だ……お互い恨みつらみはナシ……それでいいな?」

122白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/17(水) 01:11:10
>>121

「だいたい合ってる……です。」

「んなこと言っても、こっちは『攻撃』っつー発想がねえんですよ。
 ……まっ。ポッキーさえもらえるなら、イーちゃんは満足ですし?」

『虹』はそもそもスタンドを知らない。
いや――今回で知った。

  (迂闊に出すと……
   ヤべえ奴に絡まれかねない、ですね。)

          (今思えば鈴木も……
            見えてたからあ―いう反応だったです?)

自分の『デンジャラス・マジカル・ノイズ』の『同類』が、この町にはいるのだ。

「恨みもつらみもねーです……
  イーちゃん、そういうのは引きずらないですし。」

        「『デンちゃん』が、 
         危なく見えるってのも。」

              「なんとなァ〜〜く分かったですしね。」

そういうわけで、ポッキーを受け取ってこの場は丸く収めよう。
これもなんとなくだが――『この相手に踏み込んでいくのは危険』な気も、する。

123母里栄光『ブラッドバス』:2016/02/17(水) 01:27:35
>>122

「俺の『ブラッドバス』は木の机ぐれーなら一発で叩き壊す」
「そういうこった」

フン、と鼻を鳴らしながら、カバンの中から『ポッキー』をひと箱取り出す。
まだ未開封のやつだ。
良心――――というより、ここで変にケチって恨みを買いたくないという思惑があった。
本質的に、臆病なのだ。

「ほらよ」

     ヒョイッ

それを投げ渡す。

「……チッ、ちょいとからかってやるつもりが無駄に疲れちまった」

124白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/02/17(水) 01:39:40
>>123

「……冗談ってわけでも、
 あながち……ねえんでしょうね。」

       パシッ

         「……ふんっ。
          せいぜいカロリーにするですよ。」

ポッキーを受け取り、ポケットに突っ込む。
満足感はあるが、妙に疲弊してしまった。

「んじゃ、イーちゃんはもう行くですからね。
 ……他のホームレスの事は、あんま見ねえほうがいいですよ。」

        「音楽の代わりに、
         ちょっとした助言が礼です。」

               トテ
                   トテ

                        ・・・歩き去る。

125母里栄光『ブラッドバス』:2016/02/17(水) 02:05:39
>>124

「ハッ、テメェも気ィつけるこった」
「よっぽどヤバイんでもなきゃ『手作り』はやめとけ。ビョーキになってもしらねーからな」

張り合うように吐き捨てて。
荷物を纏め、こちらも歩き去る。
(なお手作り品は『髪の毛』ぐらいならまだしも『血』とか入ってるものもあって衛生的に非常に危険である)

「――――――チッ」

……舌打ち残して、去っていく。

126鳳来山 鳳華『クラウド・ナイン』:2016/02/21(日) 23:18:37
とある『学校』の昼休みの時間…
この学校は高校なのか?
或いは中高一貫の場所なのか?
とても曖昧だ。
今わかっていることは生徒数が多くて
学食がおいしくて
それと清潔だということだろうか。

そんな学校の『食堂』にて
「お弁当はいいって言ったのになぁ…」
文句をブツブツとこねながら、彼女はちょっと豪勢な弁当を食べていた。
なんだか高級そうな食べ物が入っている。
学食を食べたい食べたいと考えていたのだが、
メイドさんが朝早く、頼んでも居ないのにお弁当を作ってしまうらしいのだ。

学校では相変わらずあんまり他の人が話しかけることはない。
相変わらず退屈だが、それでも今までよりは彼女の気持ちはいい感じだった。

「まぁ、いっかー…
 ちょっとぐらい多めに食べても…」
と、こっそり財布を取り出して、パンでも買おうとしているようだ…

127アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/22(月) 00:05:56
>>126
「あッ、スミませーん」

と、そんな『鳳来山』に声をかける人影が。
彫りの深い女子生徒が、立っている。手にはこちらも『弁当箱』が。

「ココ、空いテますよネ?
掛けサせてもらって、大丈夫デすか?」

少し風変わりなイントネーションで、彼女は尋ねる。

128鳳来山 鳳華『クラウド・ナイン』:2016/02/22(月) 00:13:39
>>127
「ん、はい?」
ふと、顔を上げるとそこには…
他の国の人に見える女性が立っている。

どうやら相席を希望のようだ。
「構わないよ、別に。
 …どうぞー。」
そう言って向かい合った場所の席を指す。
(…話しかけられるなんて久しぶりかな…)
ふと、思い返してみる。

凰華は、お嬢様な上に、露出の多い格好をすることも多いので、
そういう意味では有名であったが…話しかけられることはあんまりなかったのである。

「ここで、いいの…?」
ふと、彼女に再び顔を向けてみた。

129アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/22(月) 00:34:27
>>128
「あ、エっと。・・・・・・マズかったデすか?」

ここで良いのか、という『鳳来山』の問いに、
少し不安そうにそう返す。
何か『マナー違反』でもあったのかな、というような表情だ。

『鳳来山』は、もしかしたら、最近学校に
『インド系のハーフ』が転校してきた、という話を聞いた、
と思い出すかもしれない。

「アの・・・・・・私、転校シてきたバかりで。
まだココのこと、良くワカらないデす」

そういう彼女の弁当箱からは、スパイシーな香りがした。

130鳳来山 鳳華『クラウド・ナイン』:2016/02/22(月) 00:45:08
>>129
「あ、いやいや別にそんなことじゃないわよ!
 ただ、あー、まぁ、
 私に話しかけるヒトなんて珍しいなーなんて、思っただけ」
ちょっと慌てて取り繕う。
彼女のちょっと片言な話し方…
海外の人なのだろうと感じる。

「そういえば…
 あなたがその、インド人のハーフの転校生って人なの?
 …ここに来たばかりかぁ。じゃー、いろいろと大変なんじゃない?」
凰華の話し方は気さくなものだ。
普段スリルを求める過激な体質も、
こういう日常の場では鳴りを潜める。

(…やっぱりインドはカレーが主食なのかな…)
ふと、彼女の弁当箱から香るスパイシーな匂いを嗅いで、
なんとなく感じた。ベタな話かな、とか思いながら。

131アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/22(月) 01:09:21
>>130
「・・・・・・ソウなんデすか?
何か、理由がアるのでショウか」

不思議そうに、首を傾げる。

「あッ、ハイ。『アハナ』といいマす。フルネームだと、響・あさひ・アハナ。
ヨロシクです・・・・・・ソレじゃ、失礼シて」

ペコリと頭を下げると、遠慮気味に席に座り、
弁当箱を広げる。
中身は、『鳳来山』の予想通りと言うべきか、魚の『カレー』だ。
保温用の耐熱容器に入っていたようで、ほかほかと湯気と
スパイシーな香りが立ち上る。
広い『食堂』だからいいが、比較的クセの強い香りだ。人を選ぶ、と言ってもいいだろう。

132アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/22(月) 01:13:07
>>130
> …ここに来たばかりかぁ。じゃー、いろいろと大変なんじゃない?」
「ソウですね・・・・・・マダ分からないコトばかりデす。
でも、この街、イイ人が一杯イます。ダカラ、大丈夫・・・と、思いマす」

コクリと頷きつつも、前向きな言葉を返す。

133鳳来山 鳳華『クラウド・ナイン』:2016/02/22(月) 02:00:34
>>131
「ん…まぁーその…
 いろいろとあるんだよ。色々と…」
彼女のちょっと露出が大きい格好がそうさせるのかもしれないし
彼女の育った家のせいかもしれない。
色々と身に覚えがあるだけに、彼女もちょっとバツが悪そうに微笑んだ。

「アハナさんね…
 私の名前は鳳来山・凰華(ほうらいざん おうか)っていうわ。
 まぁ、こちらこそよろしく。」
そう言って軽く手を振ってみせた。
とても彼女の様子は温室育ちのお嬢様には見えないだろう。

「いい人ばかり…かぁ。
 まぁ夜道は危険だからそのへんだけは用心してね。
 スリルがほしい、とかならまた別だけど」
と言いつつかるく微笑みながら彼女も弁当に口をつける。

「ふーむ……中々の匂いね。
 それって結構美味しいの?」
と言ってちらっと魚のカレーを見る。
癖の強い香りだが、食欲は増進される。

134アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/22(月) 19:36:38
>>133
「イロイロ……デすか」

そういうものかも知れない、と頷く。
自分の場合は、『外見』や『言葉』といった分かりやすい要素が『浮く』要因だったが、
必ずしもそう『単純』な話ばかりでは無いのだろう。

「ハイ、ヨロしくデす、『凰華』サン。
エヘヘ、お近づきのシルシに、一口、いかがデすか?
母が作っテくれたんデす」

挨拶ついでに、『鳳来山』がカレーに関心を示しているのに気づき、オススメしてみる。

135鳳来山 鳳華『クラウド・ナイン』:2016/02/22(月) 20:01:22
>>134
「その通り。
 色眼鏡なしで話しできる人は、かなり嬉しいよ。」
そう言ってアハナの顔をじっと見る。
学校で誰かと話をするのも、若干久しぶりにも思える。

「どうもよろしく。アハナさん。
 ……ん、そのカレーを?」
と、彼女が持っているカレーを改めて、じっと見る。

「確かに…ちょっと興味あるから、
 頂いてみちゃおうかなぁー。」
そう言って彼女は周囲を確認する。

(流石にツバが付いてる食器で直にっていうのは…)
「とりあえず、ここにお願いね。」
と言って、学食に置かれている小皿を取って彼女のそばに置いた。

136アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/22(月) 21:43:44
>>135
「気兼ねナく話せるのは、いいモノですよネ……
この町二来てカら、そういう機会が増えテ、嬉しいデす」

うんうん、と頷いた。

「アッ、ハイ。
コボさないよーニ……よいしょ」

スプーンですくいあげたカレーを、小皿に慎重に注いでいく。
……少し『跳ねた』のはご愛嬌。

137鳳来山 鳳華『クラウド・ナイン』:2016/02/22(月) 21:53:37
>>136
「確かに。こんなふうに話せる友達はいいよねー。
 …この街の人って結構……そんな感じなのかなぁ。
 なんて言えばいいのか…すぐ仲良く慣れるみたいな?」
と、ため息を付きながら答える。

少し考え事するような顔をしてから
「おっと…あっ。」
ちょっとだけ跳ねたカレーが若干制服にシミを作ってしまう。
「まぁ、こんくらいなら別にいいかな。」
と、軽く微笑んでからカレーに口をつける。

(…辛かったりするのかなぁ。)
とまぁ、辛いだろうなということは予想しているが…

138アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/22(月) 22:26:03
>>137
「ソウですネ、そんなフウに感じマス……とっても素敵ナことに」

にこにこしながら、そう答えた。
この町に来てから、イヤな思い出というものは無いようだった。

「アッ、ゴメんなさいッ」

跳ねたカレーを見て、とっさに立ち上がる。
『シミ』になるとしつこいのは、よく知っているのだ。

「今取らないと、シミになっテしまいますよ。
ちょっと失礼シて…………」

ドギャンッ

……少女の傍らに、白い『子ゾウ』が現れる。

139鳳来山 鳳華『クラウド・ナイン』:2016/02/22(月) 22:37:55
>>138
「それならいい…」
と、ひとまず嬉しそうに答えた。

さて、シミになった部分をちらっと見た凰華は
「あ、いやその…
 ウチで洗えば大丈夫だからその…」
と、気を使わないように手をふろうとしたところで…

ドギャンッ
彼女の傍らに現れた『子ゾウ』の姿を目で追ってみる。

「はっ…!」
と、さっきまで慌てていた様子がすっかり落ち着く。

「それってもしかして…」
そう言って『子ゾウ』を指す。
どうやら彼女には『見えている』らしい。

140アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/22(月) 23:25:56
>>139
「あれッ・・・・・・このコ、『見えて』マす?」

『鳳来山』の反応に、むしろこちらが驚いた。
ゾウの鼻から、『泡風呂』よろしく水を出し、
『ハンカチ』に染み込ませようとしているところであった。

「この町二来て、このコが他のヒトに発見サレたのは『二人目』デす。
私の他にも、こーいう力を持っテる人がいるナンテ、
思いもシませんデした」

141鳳来山 鳳華『クラウド・ナイン』:2016/02/22(月) 23:31:25
>>140
「……やっぱり普通の人には見えない奴だったわけね…
 ええ、その通り…私には『視えて』居るわ。」
そう言ってニッコリと微笑んだ。
驚いたというよりも、楽しそうな様子に見える。

「でも、私のものとはだいぶ違う…
 やっぱり同じ力は一つとして存在しない…ということかしらね。」
そう言って、彼女のスタンドである子ゾウが鼻から水を噴き出しているのを見る。

「私も、結構近くに力を持っている人がいるなんて、
 知らなかったわ。中々、面白いじゃないの。」
驚きよりも先に彼女に湧き上がるのは
学校でも退屈が無くなりそうという期待。
(もしかしたら、他にもいるかもね…)
と、学生の中に居るであろう『スタンド使い』の存在を楽しげに思い浮かべる。

「その水が…あなたの能力ということなのかしら?」

142オレはいったい誰なんだッ!?:2016/02/22(月) 23:45:32
>>141
「ハイ・・・・・・見えないヒトには、本当に見えないミたいデす。
『実体』がナいから、触るコトも出来ないデすし・・・・・・」

と言いながら、ハンカチを丁寧に折り畳んで差し出す。

「『面白い』でショウか・・・・・・確かに、こーいう
『関わり』が出来るのは楽しみデスが」

「アッ、はい。正確には『行水』スルための能力デす。
だから水の他にも、入浴剤トか、出せるんデすよ」

143アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/22(月) 23:46:38
>>142

144鳳来山 鳳華『クラウド・ナイン』:2016/02/22(月) 23:53:16
>>142
「私もそうだね。
 今のところ、能力を見て気づいた人は
 一人位だったし……
 もっと能力を持ってる人がいるんだろうね…多分、この街には」
と、この街の奇妙な雰囲気を感じ取りつつも、
その顔は楽しげだ。
「まぁ、こういう見えないものが見える通しだとちょっと楽しいわよねー。」

差し出されたハンカチを手にとって
「あ、ありがとう…
 行水する能力ねぇ…」
そう言って、シミの付いた箇所にハンカチを当ててみる。

「へぇー、お風呂で使ったら便利そうねーそれ…
 生活に使える能力ってのは、いいわねー。」
と、若干彼女の能力を羨むように答える。

145アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/23(火) 00:49:53
>>144
「ハイ、『行水』・・・・・・『沐浴』でもイイですガ、
ソウいうことに適した能力デす」

そう言いながら、『子ゾウ』の横腹をさする。
『子ゾウ』が、なんだか『楽しげ』な表情をしたような気がした。

「ソウですね、シャワータイムがいつも楽しみデすし・・・・・・
水、イクラでも出まスから、その気ニなれば、ここを水浸しニも出来るト思いまス」

やらないですけどね、と言って微笑む。

そんなことを言っているうちに、弁当はだいぶ消化されており、
そして『昼休み』の終わりも、また近づいてきているようだ。

146鳳来山 鳳華『クラウド・ナイン』:2016/02/23(火) 19:21:16
>>145
「なるほどねー…
 よく見たら、結構可愛らしい感じがするわ……」
と言って子ゾウに軽く触れようと……
しても

「って、普通にはさわれないんだったわね…」
と、照れくさそうに頭を掻いた。

「流石に…水浸しはまずいわよねー。
 ……とはいえ、掃除洗濯…
 水を出せるってのは便利な能力だわ…」
と、微笑みながら答えた。
凰華のスタンドは……戦闘向きではあるが
生活との密着という点では不向きなスタンドといえる…かも知れない。

「ふー…
 にしても、あなたのお弁当はなかなか美味しかったわねー。」
と言って、自分の弁当も片付けてしまった。

(…おかずを上げたほうが良かったかな…)
と、少し気になった様子で彼女を見る。

147アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/23(火) 19:31:36
>>146
「ソウですね……デも、『解除』したら水も消えてシマいマす。
『洗濯』に使うナら、『脱水』要らずデ良いのデすが」

冗談なのかマジなのか、微妙な発言をしつつ。

「ン……ごちそうさまデした。ママには感謝デす」

と、こちらも食べ終わったようだ。
パン、と手を合わせる(仏教徒じゃなさそうだが)。

「・・・・・・?」

そして『鳳来山』の視線に気付いて、不思議そうな顔をした。
『おかず交換』とか、そういうことをしたことがないのだ。

「ドウしましたか・・・・・・?
アッ、私、やっぱり何かマズいコトを」

148鳳来山 鳳華『クラウド・ナイン』:2016/02/23(火) 19:36:22
>>147
「まぁ確かに…
 洗濯に一番ちょうどいいわねー、
 解除したら消える…だったら、汚れを落としてから解除すれば…」
結構真面目な顔で答える。
他人の能力にも興味がありそうだ。

「あっと、こちらもごちそうさま」
と、釣られるように両手を合わせる。

「…あ、いや別に?
 お弁当美味しかったから、
 ちょっとね。よかったなーなんて…」
と言って両手を振って答える。

「手作りカレーだったのねー。
 母の手料理…
 いい感じねー。」
と、ごまかすように言葉を並べる。

149アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/23(火) 20:26:12
>>148
「ソウすれバ、かなりクイックに『洗濯』が済みマすね!
ママも喜びソーです」

なんだか所帯じみた『スタンド』トークであった。

「オイシかったデすか! それはトッても『嬉しい』デす」

不安そうな表情から一転、笑顔がぱぁっと輝いた。

「ママは忙しイので、ヒマを見てお料理作ってクレるのは『珍しい』デスけどネ。
その『ラッキー』は、やっぱり人に『おすそ分け』シタイものデす」

ニコニコしながらそう言って、席から立ち上がる。

「……ソロそろ、『予鈴』の鳴るコロですネ。
名残惜しイですガ、『凰華』サン、教室に戻りまショウ」

150鳳来山 鳳華『クラウド・ナイン』:2016/02/23(火) 20:31:49
>>149
「おまけに水道代もかからないわけだし…
 節水できるじゃないの〜!」
と、彼女も嬉しそうに答える。
スタンド使い通しの会話の割には随分とのほほんとしたものであった。

「うん、日本のカレーと比べても…
 複雑な味わいで結構良かったと思うなー。
 若干辛かったけど、まぁそれくらいなら普通普通。」
と、彼女の笑顔を見て、一緒に笑いかけた。

「珍しい…そうかぁー。
 じゃあ大事に食べなきゃだねー。
 私は、素晴らしい料理だと思う。」
と、行ったところで、時計を確認する。

「…あらら、もうこんな時間なのねぇ。
 時間が立つのは…結構速いわ…
 それじゃ、また暇な時間にでも。」
と言って、彼女は席を立つ。

「んじゃー、お先にィー」
と言って手を振り、教室へと去っていった。

151アハナ『ヒンドゥ・タイムズ』:2016/02/23(火) 20:47:03
>>150
「ハイ、それでは。楽しかったデすッ」
パタパタ

手を振って『鳳来山』を見送り、教室へと戻った。
その日一日、なんだかゴキゲンだったそうな。

152鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 00:20:54
ここは駅前の喫茶店。
こじんまりとしているものの、きちんとした店だ。
今は営業時間中であり、鈴木はアルバイト中である。

「はいー。ホット3オレンジ2-。」

「チーズケーキ2とチョコケーキ1でぇ。」

厨房に注文を伝えてホールに戻る。
太陽のような温かみのある笑顔を浮かべつつ仕事をこなしていく。

(……しんど。ウチ、なんで働いてるんやろぉ?)

(もっと他の人が働いたら楽できるのに。)

だがその心は汚れきっていた。
別段他人が働いていないのではない。
鈴木が特別怠け者なのだ。

「あ、はい。注文ですねぇ。」

鈴木があなた(>>152)のテーブルへとやってきた。

153露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 00:43:36
>>152
 例えばの話をしよう。
 例えば――例えば道を歩いていて、『あなたに2万ドルの懸賞が当たりました』……そう言われたとする。
 誰も信じないだろう。それどころか疑う筈だ。
 だがこれが200ドルだったり、2ドルだったりしたらどうだ?
 受け取る人間も多い……だろう。きっと。
 つまりは『現実味』だ。
 妙な額よりも、少額の方が『そんなものなのかな』と受け入れてしまうのが人間の心理という奴。

 でも一方で。
 あんまりにも現実離れしすぎた……20万ドルとかなら、逆にそれを『貰ってしまう』のかもしれない。
 それも人間だからな。

 「どれにしようかなぁ〜〜〜〜、こっちもいいよなぁ〜〜〜〜」

 つまり何が言いたいかというと、だ。

 ――馬鹿馬鹿しい。

 そんな実験を行う側ならともかく、受ける側に回るなんて都合がいい話はない。
 ないだろう。
 ない筈なんだ。
 ないに決まってるんだけど……その無いものを探してるってのは不毛な話なんじゃあないだろうか。



「……あ、俺ブレンドで」


 隣の椅子に荷物を重ねた、明るい茶髪と赤いフレーム眼鏡がメニューも見ずに注文を告げた。

 鈴木の事を一瞥もしない。何だか判らんが不機嫌そうだ。

 連れらしき黒髪の青年はまだメニューを前に首を捻っており、その隣に座った何となく穏やかそうな女は微笑でそれを眺めてた。

 大学生の集団、らしい。何の組み合わせだろうか。

154鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 01:04:34
>>153

(しんど。)

(何時から働いてるやろか。)

(生きてくため……かぁ。)

テーブルに行き、注文を受ける。

「はい、ブレンド。」

「えっと……そちらのお客様は……?」

連れの客に注文はないかと振る。
メニューを見ているのだから考え中だろうが、まぁ聞いておこう。

「こちらのケーキセットなど、いかがでしょう?」

(注文決めてから呼んでぇや……)

155露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 01:18:59
>>154
 「ケ、ケーキセット……!? うおお……ここで第三の選択肢かぁ……!」と黒髪。

 「あ、なら私はそれで」と女。


「……いや決めてから呼べって話だろ。マジな話」


 そして茶髪が、視線を外しながら毒づいた。

 鈴木だけに聞こえるぐらいの声の低い囁きで、物凄く不機嫌そうだ。女なら生理中を疑う声色である。

 仲良し集団……とは言いがたいだろう。そこだけ見れば。


「……んで、俺が言いたいのは単純なんスよ。
 『やるならやるでちゃんと調べればいい』……シンプルっすよね?
 不思議探したいなら、図書館でも何でも行って古新聞漁るなり、その辺の人に聞き込みするなりすりゃあいいんスよ」


 「でも……こうやって集まるのも悪くないだろ? 折角の不思議発見サークルなんだし」と男。
 なお、メニューはまだ決めてない。

 「ケーキセット、おすすめのケーキはなんですか?」と女。


「……振り回される俺の身にもなれっつーの。マジ勘弁願いてーっスわ」

156鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 01:49:46
>>155

(しんど。)

(モメるんやったら外でやってねぇ。)

そこまで面倒みきれる気はしない。
仲良し集団でないのなら今すぐにでも破滅を見せていただいても鈴木は一向にかまわない。

(仕事中やなかったらなぁ……)

「おすすめは甘いものがお好きでしたらショートケーキ、苦手でしたらチーズケーキでしょうか。」

「……不思議発見サークル?」

「お客様方はサークルの方で?」

少し気になる単語であった。
どうせこの男は注文を即決できそうになさそうなので聞いてみる。

157露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 02:05:21
>>156
 「えっと……それじゃあ、ショートケーキで」と女。
 もう一人はまだ唸っている。
 鈴木の質問に答えようとしたが、茶髪にメニューを指差されていた。

「ん? ああ、そーっスよ。不思議発見サークル」

 手持ち無沙汰そうにしていた茶髪が、途端に笑顔を見せた。
 目尻が下がって人懐っこい笑み。
 さっきまでのそれとは打って変わった明るい態度だ。

「んで、あっちが部長。……そっちが副部長。
 ……いや、サークルだから会長っスかね」

 女が会長。黒髪の男の方が副会長らしい。
 心なしか、男の方を指す際に目尻が強張っている風にも見えなくはない。

「興味あるんスか? 不思議発見とか」

158鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 02:20:59
>>157

「ショートケーキのケーキセットですね。コーヒーと紅茶どちらにいたしましょう?」

次の質問。
マニュアル通りしかしこれが一番手っ取り早い。

「不思議発見サークル。」

(……)

この変わりよう。
自分と同じタイプの人間か?
鈴木は少し疑う。
いや、そうではないかもしれないが……

(破滅させたいなぁ……三人ちゅうより、この二人。)

「へぇ。会長さんと副会長さんですかぁ……」

「お偉いんですねぇ。」

にっこり微笑む。

(目ぇ今……や、うん。)

「興味……?私は怖いのダメなので……お化けとかはちょっと。」

「それより不思議な方とか不思議なことを知っている方の方がよっぽど興味がありますよ。」

あなたの方を向いて微笑んだ。

159露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 02:36:27
>>158
 「私は……紅茶かな。コーヒーはあんまり得意じゃなくて」と女。
 「ナポリタン……そういう選択肢もあるのか」と黒髪。

「……選択肢どんだけ増やすんだよ」

 小声で茶髪。
 女の方を見る目が普通……というより柔らかそうなのに対して、男を見る目には若干の厳しさが混じる。
 本当に普通なら気が付かない程度に。
 同じような、笑顔を仮面として使うことを知っているタイプ以外には……判らないぐらいに。

 「わ、私は別に……偉いとか……」と女。
 「いやほら、前会長からも保証されてるし大丈夫だよ! この人も言ってるし!」と男。

「……」

 鈴木の笑顔を受ければ、何事もない風に笑い返して黒髪へと話を振る。

「へえー、怖いのにそーゆーのに興味はあるんスか?
 ……だそうですけど、副会長サマ? 俺よりも詳しいっスよねー、オカルトとか」

160露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 02:40:22
>>159
>>158
 「私は……紅茶かな。コーヒーはあんまり得意じゃなくて」と女。
 「ナポリタン……そういう選択肢もあるのか」と黒髪。

「……選択肢どんだけ増やすんだよ」

 小声で茶髪。
 女の方を見る目が普通……というより柔らかそうなのに対して、男を見る目には若干の厳しさが混じる。
 本当に普通なら気が付かない程度に。
 同じような、笑顔を仮面として使うことを知っているタイプ以外には……判らないぐらいに。

 「わ、私は別に……偉いとか……」と女。
 「いやほら、前会長からも保証されてるし大丈夫だよ! この人も言ってるし!」と男。

「……」

 鈴木の笑顔を受ければ、何事もない風に笑い返して黒髪へと話を振る。

「へえー、怖いの『ニガテ』なのにそーゆーのに興味はあるんスか?
 ……だそうですけど、副会長サマ? 俺よりも詳しいっスよねー、オカルトとか。
 ちょっと俺には『不思議な人間』とかも思い付かないモンですしねぇ……」

161鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 02:55:27
>>160

「紅茶で。」

「お悩みのようでしたら、また後でご注文お受けいたしますが?」

長々と同じテーブルにいると全体の工程がストップしてしまう。
長話もいいが、それは無言の間とは違うことだ。

(うふふ。面白い子ぉ。)

「前会長、ですか。」

「あ、副会長さん、お詳しいんですかぁ?」

にっと笑う。

「よろしければお教えいただきたいです。」

(キミのこともね、茶髪くん?)

全体を俯瞰で見るようにして茶髪も観察しておく。

162露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 03:16:23
>>161
              ロギ
 「あ、え、えっと……露木、そこでオレに振るの!?」と男。
 鈴木に笑いかけられた副会長は、その魅力に揺さぶられてか明らかに戸惑った。
 身振り手振りを交えて、しどろもどろに応対する。
 そう、これが普通の反応。

 「あはは……でも、不思議な話かぁ……」と女。
 鈴木の言葉を額面通りに受け取って、顎に指を当てて俯いた。
 ただ、どことなく集中しきれてない。鈴木の事が――違う意味で――気になっているようである。

「……あー」

 茶髪――露木は、女をチラリと眺めていた。それから頭を掻く。
 己の取った行動が失策だったと言わんばかりに。
 やってしまった悪戯が、思った以上に被害を出すことを理解した少年のように。

「……そういえば、俺も不思議な人間に心当たりあるかもなぁー。なんて、急に思い付いたんスけど」

163鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 03:29:27
>>162

(露木さん、ね。)

「?」

丸い瞳を丸くして小首をかしげてみる。
男のこの反応、見覚えがある。
嫌というほど見てきたものだ。
いや、正しくは嫌ではない。嬉しい。
自分の魅力を確かめられるからではない。
それが破滅に通じるからだ。

「おぉ。どんな方ですか?露木さん。」

柔らかな笑みは浮かべない。
口元を優しく緩ませるだけだ。
笑顔を一番いい顔を見せるのは獲物だけでいい。
少なくとも今は。

164露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 03:37:43
>>163
 「え、そうなの秤くん……?」と女。
 「なんだよ、こんなに身近に居たのか! 先言ってくれよ!」と男。

 露木は、二人に構わず鈴木だけを見詰めている。
 だというのに副会長のような、内から出る熱は感じない。
 親しみを感じる目尻の下がった笑顔であるが、どことなく警戒が滲んでいる気がした。
 そして、露にするつもりもなければ、それ以上に隠すつもりも特には無さそうだった。
 判るなら判るで仕方ない――という風なのは、野生の動物の警告のようなものでもある。

「そうなんスよねー。いやあ、意外かも知れないっスけど」

 と、ポケットからトランプを取り出して……扇状に広げてみた。
 全部背を向けた状態で、右手一つで鈴木に差し出される。

「所謂『超能力』! ………………とか使えちゃったりして」

165露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 03:46:20
>>164
>>163
 「え、そうなの秤くん……?」と女。
 「なんだよ、こんなに身近に居たのか! 先言ってくれよ!」と男。

 露木は、二人に構わず鈴木だけを見詰めている。
 だというのに副会長のような、内から出る熱は感じない。
 親しみを感じる目尻の下がった笑顔であるが、どことなく警戒が滲んでいる気がした。
 そして、露にするつもりもなければ、それ以上に隠すつもりも特には無さそうだった。
 判るなら判るで仕方ない――という風なのは、野生の動物の警告のようなものでもある。

「そうなんスよねー。いやあ、意外かも知れないっスけど」

 と、ポケットからトランプを取り出して……扇状に広げてみた。
 全部背を向けた状態で、右手一つで鈴木に差し出される。

「所謂『超能力』! ………………とか使えちゃったりして」


「例えば」

       『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』

「このトランプ……見ての通り、どこにでもある普通の『トランプ』っスけど…………」

         『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』

「俺が使うと……『疚しいことがあると反応するトランプ』になるんスよねぇ〜〜〜〜〜」

                     『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』

166鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 14:33:54
>>165

(女の子に下の名前で呼ばれるぐらいの仲……)

(……この二人に副会長さんが割って入った?や、まだ決まったわけやないけど。)

観察。気になるのはこの露木の顔。
恐らくだがこの男は自分にとって好ましいタイプの人間ではない。
油断がない。付け入る隙も無い。
そういう男なのか?

「超能力?」

向けられたトランプ。
引け、ということか?

「疚しいこと?」

「私、疚しいことなんて微塵もありませんので。」

トランプに手を伸ばす。
そう、鈴木怜に疚しいことなどない。
彼女は遊んでいるだけだ。
そのオモチャが他人の心や人生であったというだけのこと。
何一つ疚しくなどないのだ。

167露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 15:32:34
>>166
「ああ、そのまま普通に好きなの一枚引いて貰うだけでいいんで……」

 鈴木が伸ばした応じるようにズイ、と更に右手を強調する風に差し出される。
 もしも鈴木が今までマジックを見る機会があるのなら、この行動の名前にも聞き覚えがあるだろう。
 ――『ミスディレクション』。
 派手に目につく方に注意を引き付けて、もう一方やそれ以外の部分で仕込みをする……という手法。
 ありふれていて、だからこそ詰まらない……超能力でも何でもない『騙しの手品』だ。
 その証拠に、視線を避けるように左手が椅子の背凭れの後ろに回されている。

 何の躊躇いもなく伸ばされた鈴木の手を、笑顔を崩さぬまま僅かに値踏みする風に露木は、
 わざとらしく、足を組み直した。
 そのまま『余裕綽々』とか『自分の方が明らかに主導的だ』と言わんばかりに偉そうに、右手と、扇状に広げたトランプを突き出している。

 それを、鈴木の指が摘まんだ。
 後は『引く』だけだ。

 そう、露木が本当に『超能力者』で、彼の言葉通り『トランプが疚しい事に反応する』のなら何も起こらない。
 呵責がないので指先も震えない。
 これがただのブラフ(ハッタリ)なら、一体何を目的にしているかはともかく――鈴木から炙り出せる事はない。何も。

 もっとも、ミスディレクションなど仕掛ける以上は……。
 これが『超能力』などではなく、単なる『手品』の一種であると考える方が自然だ――――――

 

          『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』


「おたくサンの言葉どーり、何もなければ……『何事もなくカードを引ける』」


             『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』


 …… ミスディレクション?


      『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』


「そう、『本当に』『何も疚しいところがなければ』『とても簡単』っスよ」


        『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』

       ・・・ ・・・ ・・・ ・・
 ……『椅子の後ろに隠した左手』で、一体何を『仕込む』と言うのだ?


                    『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』


「でも……『もし』、『万が一』……」


            『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』


「全く自分では『罪悪感』とか『罪の意識』とか感じてなくて…………
 それどころか『上手いことやってやったぜ』とか……『達成感』を覚えるような事だとしても」


       『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』



「『隠すべき』事が……あったなら…………カードを引くときに『何か起こる』……か、も」


 「オイオイオイオイ、それっていくらでもイチャモンつけらんねー? 不思議な力じゃなくねえ?」と副会長。
 「え、えっと……」と戸惑う風に会長。

168鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 16:17:47
>>167

「いやん。」

「こわいこわい。」

わざとらしい言葉。
柔らかな表情、視線。
その目の奥でなにかが蠢く。それが何かを鈴木は知らない。

意外ではないが鈴木は露木が何をしているかを考えようとしていない。
相変わらず俯瞰で見るようにして観察しているが、何も引っかかっていない。
小細工を扱い、理想の人物を演出し、騙し喰らってきた割りに鈴木は『騙しの手品』を警戒しなかった。
組まれた足も隠された左手も鈴木は興味がない。

「『隠すべきこと』?」

「ウチのへそくりとか?」

最早店員としての振るまいなどどうでもいい。
今ここにいるのはこの喫茶店の店員ではない。
鈴木怜だ。

「引かせてもらうわ。」

指に力を入れ、カードを引く。
その瞬間、鈴木の体に刺青が浮かぶ。
顔に首に制服から覗く腕や脚に無数の牙の刺青。
それはスタンド使いにしか見えないものだ。

「出たらエエなぁ。スペードの四」

169露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 16:57:55
>>168
「タロットだとか御札だとか…………
 なんつーか昔から、人間とその手の『札』とオカルトの相性は『イイ』と思うんスよねぇ〜〜〜〜〜」

 薄ら笑いを浮かべたままの露木。

「そうそう、ヘソクリとか……そーゆーのとか……『隠されてるのが暴かれる』……
 表に『捲られる』のが…………」

 そのまま、鈴木がカードを引くのを笑顔の仮面のまま観察していた。
 彼の左手に僅かに力が込められたのが見える。
 そう、『そのまま』。『そのまま』進む。
 その――


     パチン


「……ッ」

         『ズギュン』

 ――筈だった。


 ここで弁明が許されるとするならばそうしよう。
 『隠している事があればカードが反応する』などというのは無論の事、露木の出任せだ。
 露木は鈴木の正体には気付いてなどいないし、勿論鈴木の嗜好なんて知るよしもない。
 ただ単純に。
 ちょいとした『当て付け』みたいな事をしようとした事。
 そうしたら――鈴木が感じるのと同様に――露木も『同じタイプの人間だ』と気付いた事。
 それが思った以上の大物の気配であり、己がそんな大物引き入れてしまった事。
 自分が、居心地が良いと感じる場所から『イチャモン』をつけて遠ざけようとした事。

 だから――だから断じて、これは露木の予定外だった。

(オイオイオイオイオイオイオイオイ、大物どころか……トンでもねー『厄ネタ』じゃあねーですか、この女……!)

 露木が左手の指を弾く音に合わせて、鈴木が手にして居たのとは別に……カードの扇から『スペードの4』が弾かれるように宙を舞った。
 そして、認識する。
 鈴木が手にして居たカードにも同様の衝撃が走り、何の備えもなければ摘まんだカードを取り零したであろう事……
 それを露木が『疚しい事がある』……と冗談めかして指摘しようとした意図であろうという事を…………

 だがそれはいい。
 それより何より――

      『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』


「……『望んだ』トランプが…………『本心』が飛び出したって事は…………
 『正直者』って事っスねぇ〜〜〜〜〜…………この場合は……」

(冗談じゃあねえ……何が『正直者』だッ。
 普通、こんな場面で……店の中でスタンド出すかコイツ……!?
 『能力』使おうとした俺が言える事でもねーとしてもよぉ〜〜〜〜〜〜! …ッスけど)


 『コ¨コ¨コ¨コ¨』

                 『コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨コ¨』


 ――そこに、居た。

 『廃墟に巣食うオオガラス』みたいなボロボロの黒のマントで身体を覆い……
 紳士めかした幅広の中折れ帽を頭に乗せた……
 『長い嘴めいているペストマスク』を被った――――異形の人型が。

 ――――『人型スタンド』だ。

170鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 18:36:58
>>169

「正直者。ほんまぁ?おおきに。」

「ウチ、正直者なんよ。」

にっこりと笑う。心持ち注文を決めかねていた男に見せるように。
あぁ正直だ。自分の好奇心に。欲望に。
だからこそ良心の呵責というものがない。

「カードが飛び出した原理は分からんけど、もしかして……」

「ほんまに超能力?」

スペードの四を手に取って仕掛けがないか確認しようとする。
仕掛けなどあるはずもないのに。

「うーん。タネ、ないかなぁ。」

目を細め露木を見つめる。
その焦点は露木にあっていない。
人型のそれに注がれている。
刺青だらけの女がペストマスクの人間を見つめる。
なんとも奇妙である。

「あ。」

背後に視線を向ける。
そこには苛立った様子の店員が一人立っている。

(しくった……店長……)

「あ、ああ。そちらのお客様、ご注文は決まりましたでしょうか?」

男に言葉をかける。
注文が決まっていてもいなくても、このテーブルを離れるつもりだろう。

171露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 21:35:16
>>170
(ガキの頃……森の中で見た……ジキリタス…………『鈴生り』の紫色の花……)

 鈴木の破顔一笑を向けられた露木は、無意識に震える手で自分の腕を抑えていた。
 「おおー、スゲー! いつの間に練習したんだよ!」とか「秤くん、何でもできるよね」という声援は耳に入らない。
 呑まれそうになった笑顔から自分を繋ぎ止める風に、コートの裾を握り締める他ない。

(この女はそれだぜ……見た目はともかく、紛れもない『毒草』ッ
 善とか悪とか……罪悪感とかチャチな話じゃあねえ……!
 悪意や害意があるのに常人のそれとは『質』と『意味』が決定的に違うタイプだッ、獣でも人間でもなく『牙のある毒草』…………)

「……さあ、タネを明かしたら『超能力』じゃあなくなっちまうんでね」

 鈴木に見詰められた人型スタンド――『ワイド・アウェイク』が稼働する。
 だらりと両手を下げてはいるが、臨戦態勢だ。
 本体である露木ではなく、副会長と、会長を庇う風に間に立つ。
 露木の顔も殆ど笑顔というよりは、あからさまに戦闘の気配を隠さないものとなっていたが、

「あ」

 鈴木と同じく視線を移して、呆気に取られた風に店員を見詰める。
 なお、
 「ピザトーストも…………いや、すみません、後で頼みます」と副会長。

 優柔不断らしい。

172鈴木 怜『メカニカル・ライフ』:2016/02/28(日) 22:46:44
>>171

「?」

鈴木怜。おおらかで優しい人柄を演じる彼女。
その本質は実に怠惰で、また悪質である。
破滅を愛する性質、それが彼女の根源である。

「やん。いけず。」

ちょっと唇を尖らせる鈴木。
視界の端に人型を捉えている。
相手がどうだか知らないが戦闘の意志はない。
スタンドを解除する。牙が消え女のみが残る。

「……後で、ですね。かしこまりました。」

そういってから注文の繰り返しを始める鈴木。
それは一人の店員としての作業でしかなく、そこに鈴木怜という女性はなかった。

「これ、お返ししますね。」

鈴木は露木の前に引いたトランプを置いた。
ハートのQ、そこにペンで何か文字が書かれている。
注文を繰り返す時に書いていたらしい。

また遊ぼうね。

そう書かれた文字の隣には携帯電話の番号とメールアドレスらしき文字の羅列。
恐らく鈴木の連絡先だろう。
背を向けて厨房に歩き出す鈴木。
笑顔のまま怒った上司の元へと戻っていく。
恐らく、このテーブルに来ることはないだろう。
少なくとも今日は。

173露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/02/28(日) 23:03:42
>>172
「…………………………」

「……………………………………」

「………………………………………………」


                             「ぷはぁ〜〜〜〜〜〜〜」


 背を向けて去っていく鈴木を見て、漸く人心地ついた露木。

 少なくとも――。
 少なくとも今までの露木の人生では『出会う事がなかった未知のタイプ』であった。
 調子に乗って思い上がった馬鹿か、お利口サン気取る馬鹿か、気に入らない類いの馬鹿か、何も考えてない馬鹿か、お人好しのバカ……
 ……分類はそれだけだ。

 「…………今の店員さん、こう、なんかアレだよな! おしとやかっつーか、三歩下がって二歩下がるっていうか! 大和撫子っていうか!」
 と、何も考えてない馬鹿。
 「えっと……ああいう子がタイプなんだ……?」
 と、お人好しのバカ。

 そして、

「…………マジ勘弁願いてーンすけど」

 交遊関係には……どの馬鹿にも分類できない、『馬鹿みたいに得体のしれない女』が追加された。

 一応電話帳にも。
 その辺は律儀だった。

174白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/04(金) 23:27:50

ここは――アーケード街。
『虹』が最近居座っている場所の一つだ。

ひな祭りが終わって、ひなあられが投げ売られる。
菱餅とか、そういうのもある。廃棄もあるぞ。
ゴミ捨て場を確保している連中は、おこぼれにあずかれる。

しかし――

「ケッ!」

    (桃の節句だかなんだかしらねえですが……
      イーちゃんにはちっとも美味しくないイベントですよ!)

『虹』は、主要なゴミ捨て場を確保できていない。
たこ焼きの支給と、小学生の残した給食で食いつないでいるのだ。

          トテ
          
            トテ

(なんか……おもしれぇ事でもないですかねえ。
 出来れば満腹感の得られるような面白いことが……)

あまり望みは濃くないが……まあ願うのは自由ではないか。
世の少女諸君は桃の節句を存分楽しんだのだろうし、おこぼれの一つや二つ……と。

                 『現在のイーちゃん通帳』→169円

175露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/04(金) 23:44:17
>>174
(大体っスよ。大体、大学っつーのは『勉強』するところって奴じゃあねーんですか?)

 ハンバーガーを片手に申し訳程度に首を動かして辺りを見回す。
 目標は不思議発見だが、目的はまた別の話だ。

 ――とりあえず時間を潰す。

 そもそも、だ。
 そもそもの話雛祭りだか難だか知らないが、それと不思議発見というのにどんな関連性があるのか。
 雛祭りらしく雛人形がストリップを行っているところを激写すればいいのだろうか? 多分黄色い救急車を呼ばれる。
 それにしたって……。
 それにしたって、歩き回って見付かるものでもないだろう。

(会長サマはあれでいて頑固だから手に負えないってヤツだし……あーあ、何やってんだかねえ)

 貴重な休日を、だ。

(あ〜? ……あれも不思議っちゃあ不思議なんスかねぇ〜〜?
 人面犬ならぬ犬人間とかカラス人間ってヤツ?)

 徐にスマホを取り出して『虹』に剥けてみる。

176白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/04(金) 23:51:27
>>175

ここはアーケード街で、店はけっこう閉まっていて、雛祭りの名残がある。

歩き回っていても不思議はまあ、そうそう見つからない。
だが、『犬』でも『烏』でもない――『野良猫少女』がここにいる。

        チラ


「……あん?」

     「アッ! やいっ!
       なァ〜にを撮ってやがるですかッ!」

  フシャーッ!

向けられたスマホに、カメラを連想した。
撮られるのはあんまり愉快じゃあないし、それに。

「イーちゃんを撮るなら撮影料よこせです。
 一枚100円、400円上乗せでパフォーマンス有ですよ!」

        「ワンコインでお得ですゥ〜」

           ズイッ

図々しくも、右手を差し出す。
タダで撮らせるよりは、なんか貰いたい気分なのだ。腹が減った。

177露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/04(金) 23:57:59
>>176
「ゲッ」

 まさか気付くとは……やっぱり野生の勘か?
 小学生の頃、一度だけ父親と行ったハイキングでやたら野鳥がカメラに敏感だった事を思い出した。
 しかもなんつーバイタリティーだ。強かというかなんというか……。
 バラバラにしても中々死なないで同族食いをしてたザリガニっぽさもあるぞ。

 ……丁度いいな。主に時間潰し的な意味で。

「はぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」

「おいおいおいおい、おいおい……まさか……まさかのイチャモンっスか〜〜〜〜〜〜?
 『証拠』もね〜〜〜のにぃ〜〜〜〜〜?」

 屋台で吹っ掛けられたときの『バカ言っちゃいけないよ』のポーズ。

「これは『めーよ毀損』っつー奴じゃあ、ねーんですか〜〜〜〜〜〜〜〜〜? 所謂一つの警察案件みてーなヤツだったり?」

178白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/05(土) 00:17:28
>>177

ザリガニや野鳥はお金がなくても生きている……
寝床とかも野外だし、余計な物を持っていない。
『虹』も同じだ。物が無いことで精神が研ぎ澄まされる『悟り』かもしれない……

    「グヌ」

(しまった、気のせいだったですか……!
  いやいや、気のせいもチャンスにするのがイーちゃんですよ!)

別にそういうわけでも無い気はするが……

ともかく一瞬押し黙る。
しかし、ここで負けてはいられない。

「……いやァ? イーちゃんは、
 あくまで『撮るなら』って、先に言ってやっただけですよ?」

        「お前も……仮に撮ったとして!
         後から言われたら困るですよねえ?」

              「100%親切心の値段提示ですゥ〜♪」

などと屁理屈をいいつつ、さらに。

    クイ   クイ

        顎でスマホを示して。

「それに……撮る気がねえなら!
 そのスマホ、なァ〜んでイーちゃんに向けてやがったです?」

『怪しまれることはするな』――ゲンさん(注1)から聞いた言葉だ。
彼が警察に捕まったのは、なにか怪しいことでもして睨まれたからだろうか……?

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(注1)・・・一時期一緒に行動していたホームレス。元社長らしい。

179露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/05(土) 00:29:46
>>178
(……しまった。昔からこーゆーとこあるんだけど、どーにも……。
 どーにもよくねーの引き当てるっつーか……。
 どーにも『面倒くせー』タイプだったじゃあねーの、この場合っつーのは……)

 初めはちょっとからかって時間でも潰してやろう……と思ってたけど、こうも食い付きがいいとは思わなかった露木だ。
 インスタントラーメンを作ろうとしてたら、いつの間にかカップ焼きそばで湯切り前にソースを入れてしまったのに近い感覚である。
 つまりは、そう、面倒くせー。

「へぇ〜〜〜〜〜〜? 参考になったっスね〜〜〜〜〜〜。
 『使うかどうか』よりも『払うかどうか』が重要なお話っスけどね!」

 だが……そう、だが、だ。
 だが……やっぱりゴメンナサイして面倒臭さを回避するのか? 
 いや、むしろここは徹底抗戦ッ!
 思いっきり時間と共にからかい倒してやる……その覚悟が重要なのだ!

「『向けた』ァ〜〜〜〜〜〜? 俺は友人からの着信があったから取り出しただけっスけど〜〜〜〜〜〜?
 まーた『イチャモン』っスか〜〜〜〜〜〜?
 お金の代わりに名誉毀損ポイント『倍点ドン!』みてーなぁー?」

 ……の、ワリに、言動は完全に同じ土俵である悲しさだ。

180白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/05(土) 00:50:19
>>179

『虹』としては――プランは二つある。
1.このままめんどくさくさせてとりあえずお金を払わせる。
2.同情とかそーいうのでなんとか金を恵んでもらう。
3.現実は非情である(これは虹は想定したくない。)

             ・・・金がほしい。

(同情を引くというのは少しミジメですが……
 徒労に終わっちゃあ、お話にもなりやがらねえですからね!)

どうにかして!
何かを得たいのだ。

      「ヌグ」

「お……お前が撮る気がないなら……
 パフォーマンスも見たくないなら……
 そりゃもちろん、払う必要なんてねえですよォ〜〜?」

             「イーちゃんはセージツですからね!」

誠実なやつは、お金をむしろうとはするまい。
とはいえ、死活問題だ。

(しかし、ウマい切り口が見つかりやがらねえですね……ん?)

     「……んん?」

               「着信ん〜〜?」

   キラッ☆

目を輝かせる『虹』!
着信という言葉――そこに野生の勘で食いついた。

「やいやいやいやい、ホントに着信なんかあったんですかァ?
 もしほんとだってんなら、それこそ……『証拠』を見せやがれですよッ!!」

               ・・・鬼の首を取ったような顔だ。
                  もし着信がほんとならどうするんだろう。

181露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/05(土) 00:58:05
>>180
(いや……なんつーか……めんどーっつーか。
 いや、面倒なのは面倒なんスけどよォ〜〜〜〜〜、こう、なんつーか……面白い面倒さっつーか……)

 このどうにか、と食い付こうとするハングリーさ。
 露木には無いものなので、ある意味好感が持てる。かなり。ちょっと真似できないし。
 そう…………かなり。かなり面白い。

「プライバシーですし? いやほら個人情報ですし?」

「それにこういうの、『疑われる』側じゃなくて『疑う側』が証拠を出さなきゃなんねーってので、俺は潔白を証明する必要ねー000ですわ。いやマジ。
 疑わしきは被告人の有利にとか言いますしー?」

 クレーン車がアームで釣り上げるように腕を曲げながら、スマートフォンの背を虹の前でヒラヒラと翳してみる。
 パン食い競争のパンや、馬の前のニンジンみたいに。

182白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/05(土) 01:16:54
>>181

ハングリーさというか本当にHungry(空腹)なのだ。
生きるためにはプライドだって捨てられる(限度はある)のだ。

「な、なにィ〜〜ッ」

     「い、いやっ」
  
           「……グぬ……」

   ブンブン

上手い追及を考えるも……
かなり無意味に振り回す腕がむなしく空を切るのみ。

「……ククゥ〜〜ッ」

         ダン  ダン

妙な悔し声を出して、地団駄を二回ほど踏む。
そもそもそれを追求したとしても、お金がもらえるわけではないのだ。

「…………50円ッ!
 50円くれたら今日んところはもう許してやるです……」

         「疑うのもやめてやるです!
           お金で時間を買えるですよ!」

これ以上無駄な時間を過ごしたく無かろう――という推測だ。

こうなったらもう、直接交渉しかない。    
『虹』的にも時間を無駄にするというのもなんだし、こういう諦めは悪いのだ。

183露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/05(土) 22:25:49
>>181
(見てて飽きないっつーかよぉ〜〜〜〜〜〜。
 そうそうそう、これですよこれ! この不敵さ! これが俺ッ、露木秤ってヤツなんだよ!)

 お人好しのバカと話が通じない馬鹿に振り回されているが……。
 そう、こういう人の食えなさが元来の自分のキャラクターッ! 人の食えねえって言うか人を食ったような態度がね!

 その点、実にこの『イーちゃん』とやらはグッドだ! からかいがいがある!
 ドンドン好感度が上がっていくぞッ!


「ゆ・る・すゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」

           ニヤニヤ

「おいおいおいおい、おいおいおいおい」

  ニヤニヤ

「オタクさん何か勘違いしてねーっスか?
 この場合『疑われてた』のを許して水に流してやる方はあくまでも俺の方だと思うンすけどォ〜〜〜〜〜〜〜?」

                   ニヤニヤ

「『貴重な時間を使わせてしまって申し訳ありませんでした』『どうかお見逃しください』
 ……って言うのはそっちの方なんじゃあねーっスかねぇ〜〜〜〜〜〜? もしもぉーし?」

 まだいたいけない小学生のとき、悪戯のやり過ぎで女子を泣かせてしまった事を思い出すッ!
 楽しかった昔を思い出していい気分だ!
 ついでにこれ見よがしにハンバーガーを齧ってみようかな! ポテトもあるぞ!


(俺は別に悪くねーんスよ、ぜんっぜん!
 浮浪者の『フリ』をしてる悪戯な小学生を『懲らしめてる』だけ! それこそ証拠もねーっスからね!)

184露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/05(土) 22:26:49
>>182
>>183

185白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/05(土) 23:07:10
>>183-184

下唇を噛んで震える『虹』――このまましてやられるというのか。

      「グッ」

  「ヌ」

         「……」

    シュン

プライドが低く、死活問題を背負うゆえに、
『虹』は基本的に、こういう金や食い物へのあきらめが悪い。

           キョロ  キョロ

「……ぐ、ぬ、ぐぅぅぅ……わ……」

(ここで騒いで……
 やばいのはイーちゃんの方ですね……)

        「分かった……分かったです!
         謝ってやるです、なんなら土下座でも……」

   「……してやるですよ。
    時間の無駄はよくねえですし……」

そういうとき、『妥協』を――しなくてはならない時がある。
プライドとか、そういうのを多少……投げ売ってでも、『カロリー』が欲しい!

「その代わり……そのハンバーガー!
 あるいはそのポテトを一口……分けてくれやがれです……!」

        ・・・美味しいカロリーが!

              「価値的には50円より安いですよ!
                ……しかも謝罪のおまけつき、超お得ですゥ!」
 
                        ・・・無くてはならない!

186露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/05(土) 23:21:01
>>185
(こういう時間……ここぞという時間だよなぁ〜〜〜〜〜〜!
 会長サマがいるから普段できねえ『悪い顔』を! この分で『補給』するタイミングじゃあないっスかぁー?)

 時間が無駄になる……確かに普通はそう考えるだろう。
 そのカロリーってのも『無駄』なんだろうな……。
 だが、この男にはそんなものは全くなかった! むしろ『引き伸ばすだけ引き伸ばして』『暇潰ししてやるぜ!』と考えていた。

「ンン〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」

             パクッ

   モニュ モニュ

            ムシャムシャ

                       ゴクン・・・


「な〜〜〜〜〜〜ンか、最近『疲れてる』から空耳みてーなモンが聞こえたンすけど〜〜〜〜〜〜」

  パクッ

「独り言だけど……なーんか、やけに『上から目線』じゃあないっスかねぇ〜〜〜〜〜〜」

        ムシャムシャ

「『お願いだから謝らせてください』じゃあねーンすかァ〜〜〜〜〜〜? この場合」


                 「……いや、全く完全に独り言っスけどね。独り言」


   パクッ

187白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/05(土) 23:46:26
>>186

「き、きィィィ〜〜〜〜ッ……!」

       ダン
 
            グギギ

(クソがァァ〜〜……こ、こいつ!
  イーちゃんのことをなめくさってやがるですね……!)

        (まあ舐められても仕方ない……
          とはいえ、これは腹立ちまくるですよォ〜ッ)

地団駄を踏んでから歯を食いしばる。
プライドを捨てる用意はあるが、捨て場がなくては意味がないではないか!

    (しかし……腹が立つより……
      減っちまう方がイーちゃんピンチ……
       ちくしょォ〜〜〜うまそうに食いくさってですゥゥ)

   グヌヌ

          ヌヌヌヌ

「オッ……なァァんか心変わりしてきたですねェ〜〜……」

        「独り言とは」

              「関係ないですがァァ〜〜〜」

前置いて。
プライドはないがそういう意地はある!

「……お願いだから謝らせてくれやがれです。
 その代わりにハンガーガーをどうかこのイーちゃんめに……」

     「挟まってる肉だけでもいいですからどうかァァ〜〜〜〜」

           ヨヨヨ

                 ・・・同情を誘う路線を混ぜていくスタイルだ。

188露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/05(土) 23:59:07
>>187
「ンン〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」

(実に気分がイイっスねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
 元はと言えばそっちから『イチャモン』つけて来なきゃ平和だったのに、つけて来たからこーなるってモンなんスよ。
 『大人げない』? 『カワイソー』?
 ……そんなのぜんっぜん思わねーっスね! 全く! むしろコイツ面白いぜッ)

 この露木秤に少女を『憐れむ』とか『許す』なんて発想はない……
 あるのはただシンプルに……『煽りつけて』『勝利する』だけよ!

 ……。

 こんなの会長サマに見られたら割腹するがね!
 あと最近知り合った『あの女』! 彼女に知られるのも別の意味で不味い!
 だがまぁここには居ない。いいとしよう。

 ここから先の事は……特に見せる訳にはいかない。


「そこまで言うんなら仕方ねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っスね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

   「『どうしても謝りたいなら』」

           「『謝ってくれても』」

                「『イイ』」

        「……かも」


「なんか完全にそんな気分になって来たよなァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

189白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/06(日) 00:20:51
>>188

捨て場を見つけた『虹』の行動は早い。
露木が『やなやつ』とは分かったが、長引かせ狙いとは気づいてない。


          ザザーッ


「お時間取らせてしまって、
  大変申し訳なかったですゥゥ〜〜」

                ペコォォ

足元にしゃがんで謝罪姿勢に入る――土下座一歩手前の姿勢だ!

          「この通りッ
           謝罪してるですんでェ〜」

     「どうかッ」

  ペコ

「どうかみじめなイーちゃんに、
  恵みの『肉』をおよこしくだされですゥ〜〜〜」

       (イーちゃんは目的のためなら、
         もはや土下座なんぞ痛くもかゆくもねえ女!)

                   (さあ……どう出るですかァ〜〜ッ?)

知り合いとか関係なく、どこに出しても恥ずかしくない『ヤバい状況』だ。
もっとも、この辺に人とかはいないのでどうなるかは『露木』の采配次第ってところか。

                                ・・・どーする?

190露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/06(日) 00:34:47
>>189
(ンッン〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
 まるで小学校の頃の算数の中年教師のババアの机の中にトリモチを仕掛けたときみてーに晴れやかな気分だぜ)

 そして、だからこそ……


「だが急に気分じゃ『なくなった』ッ! 『急に』ッ!」


    ヒョイ パクッ

   モッシャ
                        モッシャ

    ゴクン


 咀嚼、飲み込み……  い ず れ も マ ッ ハ ! ! ! !


 人がいるとか居ないとか……別に居ても構わないのだ。
 何故ならば、

「おいおいおいおい、いきなりどーしたの? 地面に這いつくばって」

「『転んじゃった』? それともコンタクトレンズとか探してるの、オタク?」

 恐らく(多分)一瞬は呆然とするだろう『イーちゃん』の隣にかがみこんで肩に手を置き『優しいお兄さんアピール』だ。

191白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/06(日) 01:14:28
>>190

    ヒョイ パクッ

   モッシャ
                        モッシャ

    ゴクン


「……は?」

                 「…………」

             ダンッ!

思い切り立ち上がる『虹』。
その顔には困惑とか絶望とかもだが――そう、一種の『確信』があった。

(微塵でも可能性を信じたイーちゃんが馬鹿だったです……)

             (世の中)
 
    (人間)

            (……そうそう信じられねえと。
              分かってたはずですよ、イーちゃんは。)


「……いやァ、こういうポーズがしたくなっただけですよ。
 イーちゃん、地べたを這い回るのは慣れてやがるですしィィ〜〜?」

         パッ  パッ

膝を二回ほどはたいて、土汚れを落とす。
プライドはないがあんまきたないのはNGだし、通報リスクも上がる。
 
            「お気づかい感謝ですゥ〜〜♪ けど。
              イーちゃんは大丈夫だから、気にするなです。」

      「心配するならァ〜〜
       50円ほどくれた方がイーちゃんのためですよ。」

お金とはとても大事な物だ……いつでもどこでも使えるし、信用できるものだ。

192露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/06(日) 01:23:55
>>191
(やっぱ……何て言うか…………思った以上にタフだ。
 ただチャチな『慰め』とか『憐れみ』を欲しがった『卑屈さ』というよりも……。
 なんというか……痩せ我慢も忘れてない『気高さ』がある……)

 ハッキリ言おう。

 ……舐めてた。正直な話。完全に。

 自分からちょっかいを出してきた癖にすぐに卑屈な下手になり、
 目の前で獲物をかっさらったらピーピー泣き出すような非力(他力)本願さが有ると思っていたが……。
 そこんとこはどーにも、読み違えていたらしい。


「ごほん……なんつーか、悪かった。謝るよ。マジな話」

「……で」

「ところでここで俺が『急に飯を奢りたい気分になった』っつって……オタク信じますゥー?」

                    「代わりに条件あるけど」

193白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/06(日) 01:41:01
>>192

『慰め』や『憐れみ』が腹を満たし生に繋がるならそーする。
『下手に出る』ことで肉やイモが貰えるなら、そーする。
何もくれねえし意味もねえなら、土下座なんてしない。

そういうことができることが――『虹』の『プライドが無い』ということ。

「……謝るゥゥゥ〜〜〜?」

           「……」

  「まっ! どうしてもっていうなら?
    許してやってもいいですが? その場合モノを――」

                   「奢りィィィィィ〜〜〜〜〜ッ!?」

(どう考えても怪しいし、『信じがたい』ですがァ〜……?
  ……しかァし、ここで素直に帰るってのは。
   イーちゃん、満腹チャンスを捨てることになるかもですね。)

普通ならこーいうのは『お前の施しなんて受けるか!』と断るのか?
だが、『虹』には、そういうプライドもないので、ここはチャンスに賭けるのだ。

                 ・・・浅い信頼はするのだ。

「その条件ってのは何ですゥ?
 土下座はお嫌いってことは〜〜イーちゃんの身体目当てですかァァ?」

        「キャッ! ですぅ!」

            ジロォォ

         疑念たっぷりにぃ〜〜〜、イヤミっぽく、そう問いかける。

194露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/06(日) 02:00:49
>>193
「はぁぁぁぁぁぁぁぁあ!? 身体ァァァァア〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」

           グ グ グ

「おめーみてーな子供相手にンな事考えるレベルに落ちぶれてはいねーですよ! マジな話!」

「それこそ勘弁願いてーっスわ! つーか鏡見ろ鏡! 買ってやるから!」

  ゼー ハー

          ゼー
                                   ゼー


 そんな最悪のレッテル貼られたらこの先生きていけねーし。
 そんなんを他人に知られたらそれこそ破滅だし……。
 こう…………仮にイーちゃんが『ボンッ・キュッ・ボンッ!』でもノーセンキューだ。『間に合ってる』。


「…………」

「なんつーか、うちのサークル……『不思議なもの』を探しててっスねぇー。
 それこそ図書館でも使えばいいのにワザワザ足で探してくれちゃってよぉー」

       「……んで」

「その手の『不思議な事』とか『もの』とかを俺に報告くれたら、その度に奢ってやるっつー話っスよ。
 ……今回は別に教えてくれなくても奢ってやるけど」


 後頭部をポリポリ掻きつつ。

「あ、もし『マジに食うもんヤバくて倒れそー』とかならここにくれば、不思議情報とかなくても奢るっスから」

「これは別に『カワイソー』とか『何とかしてあげなきゃ』とか『後味が悪い』とかそーゆーのじゃなくて……
 こう、倒れられたら自分の足で不思議探す手間がまた増えちまうってだけだからっスからね。深い意味はないっつーもンで」

                「もう一度言うが、深い意味はないっつーもンだから」

195白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/06(日) 02:29:08
>>194

「子供ォォォ〜〜〜ッ!?
 イーちゃんこれでも中学出てるですよ!」
  
          「鏡なんか見るまでもねえです!
           イーちゃんバッチいのは百も二百も承知ですよ!」

   「なめくさりやがってですゥ……
     イーちゃんもお前なんか御免ですよ!!」


   ウガァァッ

体系は貧相だし、顔はまあ……猫っぽいが、それ以上に『薄汚い』。
まあ、自覚はあってもあんまり言われたいことではないが……妥当だろう。

                フー    フー

「……ったく……」

        「…んで? フシギ?ですかァ?
         変わったことしてやがるんですねえ。」

       ピク 

「ケッ! 正直、眉唾な話ですがねぇ〜〜……!
 しかも、相当シャクですが! ……いざという時には覚えとくですよ。」

                「……」

      (一体どういう風の吹き回しか!
       まったくもってわからねえですが……)

嘘臭いと思う気持ちも、かなりあるが……覚えることに損はない。
不思議というなら、手元に一つ、種はあるし。
死ぬほど困ったときにすがる藁は多いほうがいい。

           「んでっ!」

「んで……今回は何をおごってくれやがるですか。
 その辺に生えたキノコとか、川の水とかはノーカンですよォ……?」

                           ・・・とても信じられなくはあるが!

196露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/06(日) 12:44:25
>>195
「中学ゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!? 幼稚園とか小学校じゃなくてェェエ!?」

   「コイツぁおったまげたなァァァァア〜〜〜〜〜〜。いや、マジビックリ!」

「え、つーか鏡の使い方とか判るンすかァ〜〜〜? そんなに貧相でバッチイのにィィ〜〜〜〜〜〜?」

    ゴホン   ゴホン


 身長差で見下しつつ、咳払い。
 いかんいかん、ついついそういう言動に出てしまう。きっとイーちゃんの人徳が為せるワザだろう。

「? いや、フツーに店で奢ってやるんすケド?」


   「つっても……」


    ゴソゴソ
            ガサガサ


              パカッ


「手持ちが今『こんだけ』しかないから、あんま高いモノとかは無理っスけどね」


   『ゴゴゴ』

                       『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

              『ゴゴゴ』

 ……『諭吉さん』だ。
 野口さんも何人かいる。


 『ゴゴゴゴゴ』                                          『ゴゴゴゴゴ』

「いちおー言っとくけど、その辺サスガに遠慮とかしとけよ。こっちも裕福ってワケじゃあねーンですから」

197白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/06(日) 22:57:43
>>196

「はあぁぁッ!? ダァレが小学生ですかッ!
 おめー、目ん玉しっかり着いてやがるですかァ〜〜!?」

           「それにッ」

       「ばっちいのとッ!
         鏡を見られるのはッ!
          別ですけどねェェ〜〜〜ッ!!?」

     キシャァァ

鏡が見られるからこそみじめなきもちになるのだ。
もっとも、きもちがどうあれ見た目がバッチいのは同じだが……

「ぐ、本当でしょうねェ〜〜〜?」

         「フンッ、お前の金銭力で、
          本当にイーちゃんの満足する――――」

   『ゴゴゴ』

                       『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

              『ゴゴゴ』


      「んがッ」

                 「ぐ」

          「うぐ」

こんな大金を目にするのは――人生はじめてではないか!?
万札自体リアルで見るのはいつ以来だ……!?

     「ぐぐぐ」
 
           ガク    ガク

「こ、こ……この金持ちがァ〜〜ッ……」

ふるえる。

「それだけあるなら……あるならですよ!
 高めのファミレスでも……いいってことですねェッ!?」

              「男に二言はねえ、ですよねェ〜〜ッ!」

『虹』が想定しているのは一人2000円くらいかかるファミレスだ。
食生活がしょぼいので、いわゆる高級料理ってやつは想像できない……哀れ……

198露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/06(日) 23:54:11
>>197
「いや、鏡見てたら普通外見気にするっしょ」

 ……でもバッチイ方がいいのか? ホームレスとしては……。
 綺麗なお嬢様がゴミ箱を漁ってたら救急車と警察を呼ばれるが、薄汚い野良少女なら通報されなくてすみそーだしな。


「……」

 本当に憐れな生物を見るような目をした。というか涙が出てきた。
 貧相なのを否定しないあたり、多分食生活も不憫なんだろうな。カワイソーに。
 ……いや、本当気の毒になってきた。少し優しくしてやりたくなった。

「ハイハイ、スパゲッティーでもハンバーグでも好きなだけ頼んでイイっスよ。好きなだけ」

            ポン  ポン

 頭に手を置きつつ――

                        「……あ、でもお子様ランチか?」

 ごめん優しくするのと弄るのは別の話だ。

199白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/07(月) 00:28:15
>>198

「気にしたくても出来ねえってこともあるですよ。」

水浴びはしている。
お金がたまったら銭湯にいく。
それでもばっちいのがイリス・クオリティってところか――

           ・・・ともかく。

        「おっしゃ!
         言ったですね――って。」

「……なっ、何を泣いてやがるですか!
  言っとくですが、泣いても笑っても!
    イーちゃん、腹一杯まで注文するですからね!」

頭は若干べたべたしていた。シャンプーで頭など洗ってない。

         「ハンバーグとかステーキとかをッ! ですゥ!
           誰がお子様ですか! 気安くボディタッチするなです!」

                      ・・・そういうわけで、食べに行くのだ。
                          これでカロリーが満たされ、強くなるぞ。

200露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/07(月) 00:43:13
>>199
「うっわ。バッチィ……」

 手に着いた脂に顔を顰める。
 ズボンの裾で拭こうかと考えて――やめた。
 それが失礼だから……とかではない。手は洗えばいい。だが、ズボンを洗うとなると……?
 そう、洗濯機。水道代が高くつくのだ。

 なので……

           ムンズ

     ファサ ・ ・ ・

                  フキフキ

 イーちゃんはスカートだったか……?
 スカートならその裾を『めくり』……スカートでないならシャツのその裾を『めくり』、拭く。
 裾ってのは意外と肌との接触が少ないから、そこそこ着てても汗が染み込まなくてキレーなのよね。
 気安いボディタッチはアウトだが、ボディタッチじゃないのでセーフセーフ。

「いやァ〜〜〜高校生ぐらいはガキっつーか、もっと大人になってからそーゆー事言えっつーかー?」

 なので服を掴んで拭いてもセーフセーフ。露木的にはセーフ。

「ハイハイ、お子様ランチにホットミルクね。りょーかいりょーかい」

            「ところでオタク、名前なんつーの? そういやあさあ」

201白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/07(月) 01:37:05
>>200

「……人の頭を勝手に触るお前がわりいですよ。」

         (そろそろ銭湯に行きてえですねえ。)

イーちゃんの一張羅は長めのスカートだ。
問題なくお手拭きに出来るというわけだ・・・・・・

           ムンズ

     「ぎゃあぁぁッ!?」

     ファサ ・ ・ ・

                  フキフキ

            「や、や、やめろですッ!
              このどスケベ野郎がぁ〜〜ッ!」

    ギャー    ギャー

騒ぐ『虹』。

こういうのは『ガキ相手』だと余計にまずいんじゃないだろうか・・・?
まあ、『虹』の場合警察通報リスクとかは低いので安心かもしれない。

「ったく……!
 していい事と悪い事があるですよ!」

していい事なんてそうそうあっただろうか……?
適当に言ってるだけかもしれない……ともかく。

     「ハンバーグかステーキと!
       ドリンクバーのホットココアとかですッ!
        もういいからあとは現地に連れてくですよッ!!」

   ダン    ダン

地団駄の音だ。このへんの地面もけっこう踏み鳴らされてきたか……

「ハァ ハァ ……とんでもねえ野郎ですよ、おめーは。
 ……名前? イーちゃんは『白鷺 虹(シラサギ イリス)』です。」

            「……おめーは? おめーはなんて言うですか?
              人に聞くなら、教えてくれやがるんですよねえ?」

202露木 秤『ワイド・アウェイク』:2016/03/07(月) 21:51:57
>>201
「自意識過剰だっつーの。そもそも、俺は気にしてねーっスから。大丈夫大丈夫」

 別にパンツ見てるワケじゃあないし平気だろう。そもそも気にしてないからな(露木は)。
 という身勝手な論理だ。
 イーちゃんを女の子というよりも風変わりな小動物と見なしているのかもしれない。

「サスガに俺も『しちゃいけない事』する度胸はねーっスから大丈夫ってワケで」

 このままスカートを捲りあげて顔に被せて提灯お化けみたいに結ぶのはセーフ。
 スカートを捲りあげてその中をマジマジと除くのはアウトだ。実に判りやすい話である。
 ……人道的にどっちがアウトかは置いておこう。

 まあ、これから人道的に限りなくセーフな、空腹の人間にご飯を奢る行為をするのだ。
 つまりは何をしてもセーフの範疇だ。

「なるほど、『白鷺 虹(シラサギ イリス)』……なら、そうだな」

    「ここは……やっぱりしっくり来るのは…………」


                           「……ちゃん」

「サギリスちゃんと呼ばせて貰いましょーかねー。いや、なんか小動物っぽいし?」

   「あ、ライスちゃんでもしっくり来るかもなァー」

         ニヤニヤ

「あー、俺の名前……?」

「露木 秤(ロギ ハカリ)……気軽にろーちゃんって読んで構わねーよ、イーちゃんサン」

                                     「……呼ばれたことねーけど」

203白鷺 虹『デンジャラス・マジカル・ノイズ』:2016/03/07(月) 23:19:32
>>>202

「なっ、あんつーめちゃくちゃな……!」

         「なぁーにが! 大丈夫ですか!
           ……ったく、マジにとんでもねえ野郎ですよお前。」

二回言うほどとんでもないのだ。
まあ、ここまで堂々とされると逆に何かセーフな気もする。

「飯奢りがなけりゃ、料金が発生してやがったとこですよ。
 そこんとこはイーちゃんの……サ、サギリスちゃんン〜〜〜?」

思わぬ名づけに眉を八の字にする『虹』。

        「なぁあんですか、その珍妙なァ〜〜……・
         あっ しら『サギ!』い『リス!』ってことですゥ……!?」

     「……」

  「……ま、まあ? 小動物ってのは余計ですが?
   イーちゃんってお前に呼ばれるよりはマシですねえ……」

やぶさかではないらしい。  
そして――

「ロギ ハカリ……ロギハカ……ロギカリ……
 ……いまいち、語呂が良くねえ感じしやがりますねえ。」

             「んじゃ! ろーちゃんと呼んでやるです。
               イーちゃんと似たあだ名をありがたく思うですよ。」

対抗してなんか気の利いたあだ名をつけようとしたが、無理だった。
なので甘んじて提示された物を使うサバイバル精神なのだ・・・・

「……んじゃ……行こうです。ろーちゃん。」

        「イーちゃんもう腹がペコペコですよ!
          誰かさんのせいでカロリー使いすぎたです!」

                   ・・・こうして、二人はファミレスに行ったわけだ。
                       『虹』は身も心も――満腹になれたに違いない。

204九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/03/26(土) 01:06:50
「……なんで?」

図書館の中、本棚を見つめて一人の女がつぶやいた。
何か不服なのかぶつぶつと呟いている。

「おかしい。」

「ここはエッセイの棚やないはず……」

「おかしい。」

ぶつぶつ呟きつつ、歩いている。
周りが見えていない。
人やモノにぶつかってもおかしくない状態である。

205九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/03/29(火) 01:13:59
>>204

「まぁ、いっか。」

どこかへと帰っていった。

206道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/08(金) 22:13:12
学校にいる。
道星有香の属している『いいトコの高校』は、大学の附属高校。
大学は、地続きの敷地内に存在しており、一部施設(図書館など)は使用できる。

そんなことはさておき、道星有香がいるのは『大食堂』。
炒飯を乗せたトレーを手にどこに座ろうかと、テーブルの間をうろついているのだった。

207A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/10(日) 00:36:01
>>206

「うろ……」


道星がうろついていると、同じくうろついている人物がいた。
道星とは違い、どこに座ろうかと考えているわけではなさそうだ。
なぜなら食事を持っているわけでもないし、
高校生にも大学生にも見えないからだ。


「……うろ」


うろうろと言いながらうろうろしているのはどう見ても迷い込んだ小学生だ。
着ているシャツには『侵入者』と毛筆風のプリントがしてある。

208道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/10(日) 21:44:57
>>207
「んー。迷ったのかな?」

腰を屈めて声をかける。口調はお姉さんは子どもに対するそれだ。
とりあえず体が動いていた。
心配して声をかけたというよりは好奇心が勝る。「学校に犬が迷い込んできたぞ!」みたいな感覚。
声をかけ終わってから保護者同伴のお子様かもと思い当たる。

209A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/10(日) 22:47:39
>>208

「ヒトはみな運命の迷い子……」


小学生の女の子は道星に合わせ腰をかがめて答えた。
せっかく合わせた目線の高さがずれた上に、返答内容が意味不明だった。


「わたしはここはどこかよく知らない。
 まいごと言えばそうとも言えるけど、
 帰ることができないわけでもないし、
 そもそも目的地があるわけじゃないんだけど、
 わたしって迷子かなのな?」


首をかしげるような動きをした数舜後、質問に質問で返してきた。
少女は迷子の定義に悩んでいる。

近くに保護者らしき人物は見当たらない。

210道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/10(日) 23:07:13
>>209
「?」
A子の返答に困惑した表情……笑顔のまま眉をハの字に寄せた。
道星は、平時は「人を困惑させる側」のキャラなので珍しい表情かも知れない。
相手と目線を合わせる為にさらにその場に屈み込んだ。これが続けば土下座することになりそう。

「誰かと一緒に来たのかな?」
こちらも質問に質問で返すことになった。
A子とは会話にならないという保護者がいるのかちょくせつ尋ねる。

211A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/10(日) 23:14:04
>>210

「?」


少女はさらに屈みこむ……ことはせずに、
道星の持つ、炒飯を乗せたトレーにそっと手を添えてアシストした。


「わたしはひとりで来たよ」


かしげた首を反対側にかしげ直しつつ少女は答えた。まともな返答だ。

212道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/10(日) 23:28:11
>>211
「ん…あ、ありがとう…」
アシストして貰ったのはわかったのでお礼を言う。
不思議な子だけど悪い子ではない…?

「じゃあ」――親類のお兄さんお姉さん目当てに一人で来たのかなと考える。
しかし、A子いわく「目的地はない」とのこと。――「じゃあ、迷子じゃん」
迷子だと結論づけた。

「わかる。ここなんだか広くてカッコ良いもんねー」
「冒険してみたくなっちゃう気持ち、お姉さんわかるなー」
道星も、迷子経験者だ。急にA子に親近感を覚えてフレンドリーな口調に変わった。
普段の敬語使いも取り払って自分を「お姉さん」呼び。年上の優越感に浸るモードに入った。

213A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/10(日) 23:40:03
>>212

「わたしは迷子だったのか……」


素直に迷子であることを受け入れた。


「かっこいい? かっこいい……
 うーん、イスとテーブルが沢山あって広い。
 かっこいい……かな。わかる。
 冒険したくなる。わかる」


大食堂がカッコいいという意見に対し、少女は少し考えたものの同意した。
心が通じ合った(かもしれない)


         「うおっ」

                  「どうした?」

       「……いや」


トレーを持って歩いてきた男性が、2人を見てビクッと驚く。
屈みこんでいたのでテーブルに隠れてよく見えなかったのだろう。
男性たちは奇異の目で2人を見てから、通路を迂回して目的地のテーブルへ向かっていった。
ここで話すのは邪魔かもしれない。

214道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/10(日) 23:53:54
>>213
「あっ」「すみません」
  男子二人に軽く頭を下げて数歩退く。
  炒飯を持ったままでは長々と会話できないと気づく。
  A子を友達に引き渡して外に送ってもらいたいけれど、周囲に友達は見当たらなかった。

「どうしよ……先生に引き渡すようなことでもないですよねえーーー……」
「ねえ、ここのプリン美味しいよ。奢る。私、これからご飯なんだけど……、待っててもらう間、食べて」
  自分が対応するしかなさそうだと諦める。
  子どもには炒飯かきこむまで待っててもらってから、になるけれど。
  子どもを待たせて自分だけぱくぱく食べるのはさすがに罪悪感あるので、軽めのデザートでも与えとこう。

215A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/11(月) 00:02:25
>>214

「プ、プリンを……!?」


驚愕に打ち震える少女。


「わ、わたしをプリンで懐柔しようとはいったいなにが目的なのだ……
 でもプリンを貰えるならパンツくらいなら見せてもいい」


少女は警戒心を露わにした。
が、プリンの魅力に抗えなかったか、のこのこと道星についてきた。

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217道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/11(月) 23:29:33
>>215
「うふふ。プリンおいしい?」

買う場面、席に座る描写などを『吹っ飛ばし』て食べる場面に移りたい。
二人は、カウンター席に隣り合って座っている。窓からの景色が一望できる。大学構内の緑地だ。
道星は、プリンを前にするA子を微笑ましく眺めてつつスマホを取り出して、A子に見せた。

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「…………。ねえ、出合い系って知ってる?」
「さっきぱんつ見せてくれるっていいましたよねえ……ねえ?」

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218A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/11(月) 23:43:54
>>217

「プリンっておいしいけど、実を言うと特別すきってほどでもない。
 でもなんか他のおかしとは違う、なんか特べつ感があるよね。
 このさかさまにしてプルプルしてるのをつついて食べるのが
 単なるあじ以上の子供ごころを擽るものがあるというか」


なにか言いつつ、目はプリンに釘付けだ。
カルメラを上にしたプリンを必要以上につついてプルプルさせながら
元々赤い頬をさらに紅潮させて食べている。


「……出会い系? よくは知らない。
 わたしは10代女子ではないし……」


8歳である。


「……!
 食べてから言うとは卑怯な……
 まさかほんとうにわたしのパンツを狙って……?」

219道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/11(月) 23:49:40
>>218
「うふふふふふふふ。私の狙いが……」
「……だったら…どうするんですかぁ〜〜〜〜」
「今から……ここで……うふふふふふふ……」


   ガ シイッ!

A子の腕を掴もうとする。


「なんてねー」「冗談です。じょーだん」

ふくっと笑いを漏らす。

220A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/11(月) 23:57:32
>>219

「まあ……その……見せるだけなら……
 え、ここで!?」


雲行きの怪しくなった話に、食べるのを中断し、
プリンを掬った半端なポーズで固まる少女。


「ほわ!? あっ」


そこへ腕を掴む(掴もうとする)ものだから、驚いてビクッと体が反応する。
腕が大きくブレ、中途半端に上げられた手のスプーンにあったプリンのかけらが道星へと飛んでいく。

221道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/12(火) 21:23:16
>>220
「あのねダメですよ。女の子がパン…っ、とか気軽にそんなこと言っちゃダメ」
「私が冗談だからよかったもの。もしも本気だったら貴方は――ああー…」

軽く窘めて話を落とそう。A子から放たれたプリンは……炒飯のうえに入った。

「あーー」

炒飯+プリン  「んー」   クチャクチャ
                    マゼマゼ

「パクリ」  「…………」「(´〜`)」

222A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/13(水) 00:39:30
>>221

「ごめんなさい。びっくりしてつい。
 でもびっくりさせたのはお姉ちゃんだから、わたしのわるさは4割程度です」


微妙に自分の罪を軽く見積もる。


「混ぜるのか……」


少女は混ぜられる炒飯とプリンを見ながらつぶやく。
まあしかし服とかに当たらなくてよかったと言うべきか。


「おいしい?
 お姉ちゃんの表情を見るにおそらくまずいと推察されるが」

223道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/13(水) 22:30:10
>>222
「いえいえ気にしてないから。
 ……そうですねえ変な味ですねえ。調整しないとです。
 うーん。さらに混ぜるなら、そうですねえ。
 ベビースターラーメンとか、でしょうか」

 咀嚼しながら、『新しい炒飯』の方向性を検討する道星。
 こうした日々の試行錯誤と探究心が趣味の創作料理に繋がるのだ。


  カチャン

「ごちそうさまでした。それで、ええっと。
 私の食事に付き合って貰ったのは、
 あなたを出口までご案内するためなのですがー。
 どうします? まだ探検する?
 と言っても、……
 私のお昼休みが終わる頃には、ゴーホームして貰いますが」

224A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/14(木) 00:12:46
>>223

「ごちそうさまですた」


プリンをプルプルさせて遊んでいたので食べるのが遅かったが、
道星が食べ終わりそうだと気づくと急いで食べた。


「そうだったの。
 お姉ちゃんやさしいね。やさしいお姉ちゃん。
 私財(プリン代)をなげうってわたしをあんないしようとしてくれるだなんて。
 もうすこし探そうとおもったけど、
 お姉ちゃんのおてを煩わせるようならわたしはもう帰ることにする」

「だけどわたしはここがどこなのか知らないけど、帰るだけならひとりで帰れるのよ。
 なぜなら適当に歩けばいいだけだからね。
 道順なんて知らなくても行くばしょがわかっていればだいじょうぶなんだ。
 フツーのヒトにはわからないかもしれないけれどね」

225道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/14(木) 22:56:18
>>224
「迷子の子猫さんを置いといて
 じゃあさよならお元気にーーー
 と……放置できる性格ではないのですよ」

お礼を言われて少し照れたように目線を窓に逃がした。
プリンを急かしてしまったのは悪いことしたな、と思う。


「強気ですねえー。
 いやうーん。わかるけれど……確かに。
 確かに、この町にはそういうところ、あるよね」

A子が食べたプリンも自分のトレーに載せて、席を立つ。

「じゃあ、付き合うよ。
 あなたが絶ェ対〜に迷子にならないとしても!
 常識的に考えて校内に子ども一人を
 うろうろさせる訳ないでしょ。

 あと、『やさしいお姉ちゃん』には
 道星有香という名前があるので
 そちらの名前で貰えます?
 やさしいでは気恥ずかしいです」

226A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/14(木) 23:13:31
>>225

「子猫? どこにいる?」


きょろきょろしはじめた。
たとえ話を理解できなかったようだ。


「わたしが一人でうろつくのはヤバイです?
 常識的にまずいです?
 猫いないよ?」


当然、猫は見つからなかったようだ。
食堂にいたら問題だが。


「いっしょに来てくれるとはやさしいをとおり越してやさしすぎるぜ・・・
 ありがとう、ゆかお姉ちゃん。
 わたしのことは『魔導覇王ヴァジュジャリオン』か『えーこ』と呼んでくれたまい」

227道星有香『ペット・ネームズ』:2016/04/15(金) 22:41:15
>>226
「えーこちゃんですね」

トレーを然るべき場に返し、食堂を出る。


「あくまでえーこちゃんが主役の冒険ですし、
 私は後ろから付いていきますよ。
 あっ、大学の方に行ってみません?
 学生一人では行きづらくても、えーとちゃんとなら平気かも」

228A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/04/16(土) 01:10:51
>>227

「『魔導覇王ヴァジュジャリオン』がスルーされた・・・ガ〜ンだな」


全然ガーンと思ってなさそうな平坦な口調で言った。
道星の服の裾を掴みながらついていく。


「冒険じゃないよ。探し物なのよ」


ここでA子の探す『珠』について知ってもよいのだ。
スタンドについてはともかく、話していればなんか小さい『珠』探してるんだなぁということはわかるだろう。


「よぉし。せっかくだからわたしは大学へ行くぜ」


そんなわけで2人は大学を探索するのだった。
探し物は見つかったかって?
闇雲に探してみつかるわけがないじゃあないですか。
メルヘンやファンタジーじゃあないんだし……           〜おわり〜

229九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/20(金) 00:05:03
「野菜買(こ)うた……お菓子買うた……」

アーケード街を一人の少女が歩く。
手ぬぐいを頭に巻き、首からは木札を下げている。

「果物も買うたやろ……あと、なんやっけ……」

少女は気付いていない。
自分の手に持った買い物袋。
その容量いっぱいいっぱいの袋の持ち手が既に限界であることを。

ブチッ

「んえ?」

持ち手が千切れ、袋の中身をぶちまけてしまった。
どうしよう……
なにか袋の代わりになるものとか
そういうのものを持った人は辺りにいないだろうか?

230A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/21(土) 00:06:15
>>229

「こっこれは」


角を曲がって小学生の女の子が歩いてきた。


「お菓子がおちているんのだ」


女の子はどう見ても手ぶらであった。


「ここでわたしが
 まえから来たお姉さんにぶつかる可能性が90%
 ひだりのお菓子をひろう可能性は5%
 みぎの果実をひろう可能性が5%」

231九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/21(土) 00:39:41
>>230

なんかよくわからん肉のかば焼きさん的なモノが落ちている。

「おっと」

ぶつかってしまった。
木札の女がA子に向き直る。

「ごめんなぁ」

「ケガとかしてない?」

232A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/21(土) 00:54:52
>>231

「グギャアア」


ぶつかるとモンスターの断末魔みたいな声を出してしりもちをつき、
そこから横にゴロンゴロンと転がって1mくらい移動したところで止まった。


「まさかほんとうにぶつかるとは……ぬかったわ」

「しっかりしなさい! 傷はあさいわよ!」

「俺はもうだめだメアリー……ぐふっ」

「ジョセフ―!」


立ち上がって倒れている人を心配するようなジェスチャーと、
再度地面に寝転がって瀕死の人間の真似を繰り返した。


「ジョセフは死んだ……だがこの世にひかりとやみがある限り、
 また悪の大魔王は蘇るだろう……

 はい、かばやきさん」


地面を転がるうちに拾ったかば焼きさん的なものを九重に渡す。
怪我? 無いよ。

233九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/21(土) 01:05:47
>>232

「うわぁあああ」

楳図何某の漫画みたいな顔をして驚く九重。

「ちゅうか」

「なんでやねん」

謎の行動をとるA子を見て思わず言葉が零れる。
やけにハイな一人劇じゃないか。

「あぁ、どうも……」

話の流れと行動が一致していないのでは?
かばやきさんを受け取る。
視線を合わせてにっこり笑う九重。

「お嬢ちゃん、あの袋とか持ってへんかな?」

「これ、ちぎれてもうて」

これとは先ほどまで持っていた袋だったものだ。

「あ、お嬢ちゃんお名前なんていうんや?」

234A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/21(土) 01:17:55
>>233

九重がにっこりと笑うと、女の子も目を細めて笑顔を返した。
赤い頬っぺたが特徴的だ。
あとシャツに書かれた『私は貝です』という文字も特徴的だ。


「ほほう、わたしがふくろを持っているように見えるならば
 お姉さんは節穴eyeと言わざるを得ない」


手ぶらだ。手ぶらである。大事なことなので3度言いました。


「だがこのシャツを貸してしんぜよう。
 ふくろ代わりにはなるじゃろう……」


九重にシャツが渡された。
小学生はブラジャーとかつけてないので胸は手で押さえておく。
手ぶらである。4度目だが先の3度とは意味が違うので気を付けましょう。
ここテストにでるからなー。


「わたしか? フッ、通りすがりの少女Aとでも名乗っておこう……」

235九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/21(土) 01:33:15
>>234

「いやまぁ……そうやんなあ……」

まぁ、そうだとは思ったが。
実際そうだと分かるとしょんぼりする。

「シャツ?」

「いやいやいやいやアカンアカンアカン!」

A子に押し付ける様にシャツを返す。
何をやっているんだ。人間としての恥じらいがないのだろうか。

「少女A?」

「なんかの犯人みたいやな」

素直な感想であった。

「あーどないしよかな。諦めて手で持ってくか……」

頭に巻いた手ぬぐい越しに頭をかいた。

236A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/21(土) 01:40:23
>>235

「モガモガ」


モガモガ言いながら『私は貝です』シャツを着た。
ところで、お姉さんとか呼んじゃってるけど、実際九重さんは何歳くらいなんでしょうか?


「ところでお姉さんの名前は? 少女Jあたりでいい?」


人に名を聞くときは自分からという格言を知らぬと見える。
だがこいつがAとかいうふざけた名乗りなので適当でもよいぞ。


「待て、じゃあやっぱりわたしのシャツを使って、
 かわりにその手ぬぐいをわたしの胸にまいたらどないや?」

237九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/21(土) 01:52:45
>>236

「モガモガちゃうっちゅうねん」

「ウチ?」

一瞬目を丸くしてから

「九重 空。ここのえ そら。13歳」

ぺこりと挨拶だ。
挨拶は重要である多分。

「自分、手ぬぐい胸に巻けるん?」

いや、よしんば巻けたとしてどうするんだ。
どこかの民族的ではないだろうか。
それもありなのか?

「ちゅうか」

「自分、関西出身か?それともちゃうとこ?」

「返答次第ではシバきたいんやけど」

ぱっと平手を上げる。

238A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/21(土) 02:03:45
>>237

「わたしは8歳だぞ!」


胸をはってから少し考えて、九重に倣って小さく頭を下げた。
お辞儀をするのだ!


「シバくというのは叩くといういみ? なぜ?
 この町が関西ならばわたしは関西出身ということになるな。
 この町がどの辺の地方にあるのかしらんけど」


と言いつつさっと姿勢を低くし両手で頭をガードする。

これは……狩守魔我亜怒(かりすまがあど)!
知っているのか雷電!?
さる吸血鬼の長が用いる鉄壁の防御法と言われる……
その名の通り、狩人から身を守る魔の防御法であると言われる。
この姿を吸血鬼を崇拝する邪教の神官たちが崇めたことが、現在のカリスマの語源となったのはあまりにも有名である(民明書房)

239九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/21(土) 02:21:54
>>238

「8歳かぁ……」

若いながらも自分にもこういう時期があったのだなと思う九重。

「いや、ちゃう土地の言葉使っとるやつって腹立たへん?」

「……いや、ここ関西圏やっけ。それとも中部やっけ」

「ちゅうかこの町どこにあるんや……?」

いまいち思い出せない。
勘違いか?それともなにか、別の理由か?

「アカンな。記憶がとんどるんかな……」

ぶつぶつ独り言を漏らしながら、落とした商品を袋に戻していく。

「まぁ、抱えたらエエか」

「……なに頭抱えてるん?」

雷電は知っていても九重は狩守魔我亜怒を知らないようだ。

240A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/21(土) 02:28:25
>>239

「シバくって言うから防御してたのよ」

「そらちゃんさんお姉さまは関西からきたの?
 いや、ここも関西である可能性もあるけど」


ガードを解いて一緒に拾うのを手伝う。


「ふくろは無いがわたしも荷物を持つことはできる。できる……
 大変なら荷物を持つのを手伝う? 手伝いますか?」

241九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/21(土) 15:36:39
>>240

「あぁ、なるほど。まぁ、シバかんから安心し―や。なんやそんなつもりものうなったし」

「いや関西から越してきたんやで? ……あれ? ホンマに越してきたっけ?」

「んー? 絶対そうや。絶対絶対。100パー……でもなんか……え?」

混乱しているようだ。
ぐるぐる目になりそうだ。
今度は九重が頭を抱えた。

「お、手伝ってくれんの?」

頭を抱えていた手を放し、A子の手を握る。
そしてそれをぶんぶんと上下に振った。
シェイクシェイク。

「でも、自分持てるんか?」

「これ、持てる?」

そういって持ち手がちぎれていない袋を差し出す。
色々なものが入っていてパンパンだ。

242A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/22(日) 00:27:52
>>241

「だいじょぶか……?
 まあ、うちもよく引っ越すし、あんまり気にしないほうがいいぞ」


シェイクされた。
もしもA子が炭酸だったら大変なことになっていただろう。
だがA子は人間だった……
人間なのだ……


「オウ、イエスイエス
 オフコース」


持ってみようではないか。
なに。13歳が片手で持てるなら8歳でも両手なら持てるという計算よ。

243九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/22(日) 00:34:09
>>242

「そ……そうやんなあ……」

「昔の記憶とか飛んどる気ぃもするけど大丈夫やんね……」

そう。人間はシェイクされても大丈夫だ。
しかし全身シェイクならどうだろうか。
いや、今は言うまい。ここから先は大人の世界。

「じゃあお願い。」

A子、荷物を両手でキャッチ。
持てる!持てるぞ!!しっかりとキャッチだ!!!

「おぉー行けるやん。行けるやん。」

「じゃあ、ちょっとだけお願いできる?」

スマホをいじり、どこかに連絡をする九重。

「行こか」

244A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/22(日) 00:43:37
>>243

「重いぜ」


持てることは持てるが、腕が疲労していくことは必至。
こうなればしかたがあるまい。とA子はこっそり『腕輪』を発現させる。
『マイ・リトル・クッケンハッケン』!
犬頭のミニな兵士が現れ、荷物を下から支えてくれる。
パワー:Eで支えてくれる(気休めレベル)


「レッツアンドゴー」


スタンドなので一般人には見えない。
一般人じゃない人が近くにいたら見えてしまって困りますね(棒)

245九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/22(日) 00:58:52
>>244

「ごめんなぁ」

買いすぎてしまった。
悪いことをしたな、と九重は一人思う。

「……」

「……ん?」

「なんか……なんか見えとる……?」

持ち手がちぎれた袋を両手で抱えながら歩く。
しかし視界には謎の犬頭。

「え? え?」

歩きながらも疑問が生じる。

246A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/22(日) 01:06:08
>>245

「ふう、ふう」


犬頭の兵をもう一匹増やしてパワー:E+パワー:Eで200万パワー!!
いつもの2倍のジャンプが加わり、200万×2の400万パワー!!
そして、いつもの3倍の回転を加えれば、400万×3の
バッファローマン!お前をうわまわる1200万パワーだーっ!!


「……?
 それでどこに行くのん?」


などということはなく2匹に増えても大差ないぞ。
パワーEはリス並みの力だぞ。
スペース上の関係でこれ以上は増やせないぞ。
A子は荷物を運ぶのに大変で九重の様子にはあまり気づいていないぞ。

247九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/22(日) 01:14:04
>>246

パEでウォーズマンならパAはサイコマンだろうか。

「あ、アーケードを抜けたら道路があるはずやから、そこまで家の人に迎えに迎えに来てもらうんよ」

犬頭をちらちら見ながら歩く。

「それで、あの、そのぉ……」

歯切れが悪い。
先ほどまでハキハキ喋っていたのが嘘のようだ。

「その犬頭の化けもんはなに?」

248A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/22(日) 01:25:04
>>247

実際で言うとパEはカニベースかな……


「まえを見てあるかないと危いよ」


九重がやたら見てくるので、A子も九重と同じ方向を振り向いてみると、
金髪リーゼントの不良が改造自転車に乗っていた。
A子は見なかったことにした。


「犬頭……!?
 キサマッ……いや貴様はさすがに感じわるいか。字面はいいのにね。
 ソラチャンッ! 見えているなっ わたしの『マイ・リトル・クッケンハッケン』がッ
 ソラチャンも『選ばれしもの』だったというわけか……
 クオックオックオッ(笑い声)

 というわけでこれは『マイ・リトル・クッケンハッケン』。
 ……の犬Bと犬C」

249九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/22(日) 01:31:30
>>248

カニベースかわいそう。

「え、そうやね……」

いやでも気になるだろうと言いたそうだ。
実際気になる。
金髪リーゼントとか言うチーズかけハンバーグ頭は無視する。

「なんや自分急に」

「笑い方もおかしいしやな」

とりあえず突っ込んでおこう。

「犬BとC?」

「なんか、それとおんなじ類のもんを昔見たことがある気ぃが……」

「ん? ん?」

250A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/22(日) 01:42:22
>>249

「わたしの言動はノリといきおいだから気にしないでおk。
 『みえる』ってことはソラお姉ちゃんも『スタンド使い』なんじゃないの?」


犬頭がさらに2匹出てきて、九重の周囲をうろうろする。
手に持った剣がぶっそうだ。


「アーケードを抜けたら道路にでる……って保証も無いってことはわかる?」

251九重 空『ノー・リモアーズ』:2016/05/22(日) 01:52:31
>>250

「あぁ、そうなん?」

「スタンド?」

あの時も、そう教えられたはずだ。
しかし、あの時は出なかったなにも。

(今やったら出来るかな……)

「でろっ。スタンドぉ〜」

出ないなにも。

「アカンな。」

やはりというか。予想の範囲内だった。

「……まぁ、うん。でもあったらエエやん?」

「なかったら嫌やんちゅうかなかったらなかったで行動したらエエし」

「そういえば、そのスタンドって一体……ふわぁ……」

あくび。
大口をかけている。しかし手は袋を持っているために口を隠せない。

「えと……えー……うん……?」

「出す……こつ……とか、その……ん……や、えー……おし……えて……」

眠そうだ、とても。
ぐらり、と体が大きく傾いたが一歩踏み出してこけない様にこらえた。

「……」

252A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/22(日) 02:05:37
>>251

「出せないのか?
 出したことないのか?
 形がないタイプとかだったりしない?」


疲れてきたのか、はひはひ言いながら歩くA子。


「ど、どしたの急に。
 なんでいきなり眠そうなの? ナルコプレシーなの?」

「うーん、わたしのどこで知ったのかわからない知識によると、
 防衛本能とかで発現したりもするらしいよぉ。
 防衛本能刺激と、眠気覚ましに刺してみるる?」


うろうろしていた犬2匹が、剣を構えて九重の足にダッシュしてきたぞ。
パワーはEだが剣は包丁並みの切れ味だ。
本当に刺す気なのか、脅しであってギリギリで止める気なのかはわからないが、
マジで刺さったらコピー用紙で肌切ったくらいの傷はつきそうだ。

253九重『ノー・リモアーズ』:2016/05/22(日) 23:06:06
>>252

「形がないとかあるん……?」

よくわからない。全く未知の領域である。
そういうのもあるのか……!
という感じだ。

「ナル……コ……?」

「むつかしい言葉……しってん……なぁ……」

うとうとうとうと。
眠そうだ。今にも意識を失いそうなぐらい。

「……」

犬頭の兵士が九重に迫る。
九重の反応はない。
返事もない。

シュンッ

これが返事だとでも言うように
九重の側に人型のヴィジョンが現れる。
白紙の切れ端が集まったかのようなヴィジョン。
それが、座り込むように佇んでいた。

「止まりなさい」

凛とした声。
空のそれと同じだが、なにか……

「犬鍋にしてしまうわよ」

254A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/23(月) 00:22:41
>>253

 『キャワワン!』

     『キュウーン』


勢いがよくてうまく止まれなかったのか、突撃してきた犬頭たちは
すっころぶようにコロコロと地面を転がった。
あるいはなんか怖い声にびびったのかもしれない。


「……なんかでた。けど……」

「?」

「そらお姉ちゃん?
 眠気なくなった……?」


ちなみに犬なのは頭だけで体は人型だ。
でも尻尾も生えてる。

255九重『ノー・リモアーズ』:2016/05/23(月) 00:28:27
>>254

「冗談ですわ」

犬頭に向かってそう告げる。
が、意味は通じているか分からない。

「そらお姉ちゃん?」

「……」

「えぇ、なくなったわ。」

柔らかな笑みを浮かべて応じる。
座り込んでいたヴィジョンが立ち上がり、頭に巻いた手ぬぐいを解いた。
そしてそれを袋の中へ突っ込む。

「行きましょう」

「願えば行きたいところにつくのだから」

256A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/23(月) 00:34:09
>>255

「そのなんかわしゃわしゃしたのがそらお姉ちゃんの『スタンド』なのね」


犬頭のスタンドたちは尻尾を巻いてA子のほうへ戻っていった。


「……?
 覚醒したら世界が違ってみえる的なやつとかなのかな……」


急にクールキャラになったようなお姉ちゃんに
不思議そうにしながらついていく。
なんだか目的地に対する意識も強くなったようだし、すぐ着くだろう。

257九重『ノー・リモアーズ』:2016/05/23(月) 00:41:48
>>256

「そう。これが私のスタンド。名前は現在議会で検討中よ」

「覚醒? ……まぁ、そんなものね」

「間違いではないわ」

歩き続ける。
迷いはない。一歩一歩確実に進んでいく。

「ねぇ、一つ聞いてもいいかしら?」

「もし自分がもう一人いたら……そうね、スタンドとかでなく自分が自分の目の前に立っていたら」

「あなたどうする?」

258A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/23(月) 00:50:46
>>257

「議会ってどこのなの!?」


さっきまでスタンドを出したこともなさそうだったのに、
もう議案が提出されていてA子は驚いた。


「え? もうひとりじぶんが……え? なんで?
 うーん、よくわかんないけど、
 じぶんが2人いたら
 一日こうたい制で学校行けば休みが二倍になると思う」

「お、アーケードの出口だ」


重い荷物を抱えてえっちらおっちら歩いていたため時間がかかったが、
そろそろアーケードを抜けるようだ。
向こう側は山だったり田んぼだったりせず、ちゃんと道路になっている。

259九重『ノー・リモアーズ』:2016/05/23(月) 01:00:50
>>258

「議会は常に我々の心の中にあるのよ」

涼しげに、こともなげに答える。

「そう。交代制」

「その発想はなかったわ。それも議会に提出するべきかもね」

くすくすと笑う九重。
そして、アーケードの出口に差し掛かる。

「あら、もう来ているみたい」

視線の先に黒い車。
窓ガラスがスモークで隠されており、中の様子は見えない。
車からスーツを着た男が現れ、二人から荷物を受け取った。

「それじゃあ、ここでお別れね」

「あなたのお名前聞いてなかったかしら?」

「教えていただける?」

260九重『ノー・リモアーズ』:2016/05/23(月) 01:01:44
>>259 (追記)

「少女Aじゃあなく本当の名前はないのかしら?」

261A子『マイ・リトル・クッケンハッケン』:2016/05/23(月) 01:11:38
>>259

「ふーん?
 よいしょ。はいどぞ」


首を傾げつつ、荷物を渡した。


「……親につけてもらったなまえとか、戸籍に載ってるなまえが、
 『本当のなまえ』?」

「わたしのなまえは……
 わたしのなまえはうーん、やっぱりAって呼んでほしいな。A子で」

「じゃあねー、バイバイ! そらお姉ちゃん」


それだけ言うと、A子は赤い頬っぺたをさらに照れたようにさらに赤くさせて、
逃げるように小走りで去っていった。


「ひゃー」

262九重『ノー・リモアーズ』:2016/05/23(月) 01:22:19
>>261

九重はにっこりとA子に微笑むと

「さようなら」

と一言だけ呟いて車に乗り込んだ。
車はすぐに発進し見えなくなった。


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