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Key Of The Twilight
843
:
メイヤ
◆ruQu1a.CGo
:2018/06/11(月) 20:15:20
【黄昏の塔】
炎を掻き消す闇と赤黒い空。
過去と現在、二人の天照大神が放った炎は萎む様に消えたと言う事は、恐らくポセイドンの力も……いや、聖なる属性、陰陽で言えば陽に属する者はその力を殆ど発揮出来ない状態なのだろう。
(確かに、俺の白焔も出せないな……)
対して、陰に属する闇の力は120パーセント以上増幅されているのがわかる。
鳳の力により焼失した筈の異界の闇が、セナが巻き起こした闇渦に反応して蠢いたのだ。
完全とは言わすとも、ほぼ焼失した筈の闇が励起し、今この瞬間も増殖している事から、上記の事が考えられる。
「セナ…さんだったか?今の一撃で魔物は一掃出来たけど、長くは保たない。
第二波、第三波と来たらどうしようもなさそうだ。」
魔物を一掃したセナの力に胸の内がざわめき、蠕動するがソレを無視してメイヤは続ける。
「先々代……先の剣士の言葉通り、誰かがこの塔を沈めないとならないし、迷う時間もない。」
吸血姫のノワールと二人の闇の王子。
素質はあれど開花に至らないアブセルと、闇の残滓がこびり付いた器の自分。
メイヤは闇の素養を保つ者を指差し、その名前を呼ぶ。
そして最後に、自身の胸元を左手の親指で指した。
「……だから、俺が行く。
月は過去からの脱却、未来への好転を示すとも聞いた。
この塔では一族の者が2人死んだ、いや、3人か。
墓標にするには丁度良い。」
アグルに敗れたユーリと、メイヤ自身が破ったクウラ。
先々代であるヤツキの死地も、ここと言って間違いではないだろう。
「吸血鬼の姫も、闇の王子もここで死んでいい存在じゃあない。
逆に言えば元より俺は存在しなかった筈の人間だし、三回程死んでるから四度目があってもおかしくはないだろう?」
取捨選択と消去法、主観ではあるが問題はないだろう。
メイヤは頂上に立つ面々を見渡し、言い切った。
「異界の闇を宿していた器であるこの身体は、魔玉に近い性質を持っている。
他に適任者は居ても、覚悟は出来てないだろう?
だから、皆は先に行け。」
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