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Key Of The Twilight

836シデン:2018/05/11(金) 07:22:11

今となっては窮屈な部屋を、麒麟は背中の両翼を広げて天井ごと周りの壁を破壊する。
降り注ぐ瓦礫をものともせず外に出るや、しなやかな首をめぐらせて辺りに目を向けた。

…外郭は完成。
中央棟の最上階には、闇の管理者とも並ぶ因子の持ち主であるメルフィの姿が。
階下では城の節々で闘いが繰り広げられているのか、噴煙が上がっているのが見てとれる。

麒麟は一度瞑目すると、顔を上げ、再び城の最上階に視線を戻す。
その目には、そこにいるであろう黄龍の姿を思い浮かべているようであり…、

『我が主…、ようやく嘗ての姿を取り戻しました。
これで貴方様の本懐に添うべく、十全に力を振るえそうです』

そう感慨深そうに呟いて、麒麟がその大きな身体を身震いさせれば、抜け落ちた羽根の一枚一枚が魔物と変じ、夥しい数のそれが塔を伝って下界へ殺到する。

それは過去、最大の災厄。
山野という山野を焼き払い、大海という大海を穢し、世界を蹂躙し尽くした破壊の権化。

全ての龍穴遺跡が機動し、塔を支配していたスピカが潰えたことで、最後の闇の封印が解かれ、麒麟と謂われる霊獣もまたその真の力を解放するにいたる。

地上では黒き雨によって濡れて変質した大地より魔物が沸き上がり、上空からは塔を伝って麒麟の分身でもある精鋭が下界へ押し寄せる。

惑星を取り巻くように巡り、人々に恩恵を与えていたレイラインのエネルギーもその全てが陰のもの…、つまり闇の性質に変わる。

それによって生じる世界の法則に乱れ。

風は死に、大地は濃密な瘴気に満ち溢れ。
世界は生気を根こそぎ失ってしまったかのような、闇に沈む。

同時に、闇の力を持つ者にとっては、己の力が最も高まる時であり、
しかし闇と相反する聖の力を持つ者にとっては、一番力の弱まる時…。



世界はうち震える。終わり、再び生まれ変わることを歓喜するように。
鳴り響く祝福の鐘の音が、世界の終焉を言祝いでいた――。


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