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Key Of The Twilight

831ヤツキ ◆ruQu1a.CGo:2018/05/07(月) 20:06:28
>>778の訂正項です。

「久し振りだが、思い出話に花を咲かせる暇は無いらしい。」

既にヤツキの身体は膝下が光となって消え、肩先や末端部分も粒子となりつつあった。
言葉通り、時間はない。

「聞いていただろうが、俺は役目を全うした。」

100年前は敵対した者達が、今はこうやって同じ地を、仲間として踏み締めている。
時を越え、世代を越えた力と想いがあれば。

ーー必ずや、上手くいく。

「世界の免疫力とも言える闇が集まり、溢れるこの闇の巣と黄昏の塔。
闇を管理し、使役していたステラが逝くとならば、誰かがその任を継がなければならない。

今はまだ抑え込まれているが、ステラと言う制御系を失えば、この無尽蔵の闇は世界を食い尽くすだろう。
だが、適性を持った誰かが、闇を使役し、この塔諸共地中深くに沈めてしまえば……一時的にだが闇は活動を停止する筈だ。
強度と高さは問題無い、沈み込めば地殻を超えて核へ届く。」


ーーセナよ、今こそその力を発揮する時だ。

「幸い、今この場に闇の素養を持つ者は数多く居るようだ。
話し合って、決めるといい。

……素養が無い俺は剣を振るうしか出来なかった。」

闇の素養を持つ者、闇の王子であるセナとリト。
それに仕えてきたアブセル。

吸血鬼であるノワールと、異界の闇を宿していたメイヤ。
人柱になれ、と言うしか無いのは辛いが、今はそうするしかないのだ。

「そろそろ、時間か。」

視界に映る面々を見、ヤツキは静かに目を閉じた。
そして、抱き抱えるステラと共に、その身体は光に包まれる。

その様は淡雪が夜空へ舞い散り、月明かりに融けるようだった。

ーーイスラ、悪いが先にいく。
ーーお前と共に戦えて……良かった。


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