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Key Of The Twilight
822
:
アブセル
:2018/03/17(土) 23:21:34
【ポセイドン邸】
初めは要領を得なかったそれも、言葉を重ねる内ユニの言わんとしていることが分かってくる。
誰のことを指しているのか、何を伝えようとしているのか。
理解して、アブセルは深い溜め息を吐いた。
「…つまりあの人は誰かを人質に取られてる。だから悪い奴の言いなりにならざるを得なかった…ってことか」
ユニの言う女の子は、おそらく彼の妹のことだろう。
幼い時に見たきりだが、仲睦まじいあの兄妹の姿はよく覚えている。
アブセルは髪の間に指を差して頭を乱暴に掻いた。
「だったら…、何で初めからそう言ってくれないんだよ。何でわざと憎まれるようなことばっかり言うんだよ…っ」
…いや、理由は分かってる。
他人に助けを求めた瞬間、人質の安否がどうなるかなんて馬鹿でも想像がつくことだ。
そしてそれは、今この時をおいても同様の筈で。
「……っ」
あの人は一体いつから、その辛い生活を強いられていたのだろう。
あの日、彼の住む屋敷に訪れた時は家族に囲まれてあんなに幸せそうにしていたじゃないか。
アブセルの中に苦々しい気持ちが募っていく。
ジルが苦しんでいる時、自分は何をしていた。
ジルに憧れだけを押し付けて、さながらヒーローのような完璧な想像に仕立て上げ、ジルの苦悩を知ろうとも分かろうともしなかった。
あの人は一人でずっと苦しんでいたのに。
「助けないと…」
ジルが自分から助けを求められないのなら、こちらが勝手に彼らを救えばいいだけの話だ。
アブセルは小さく息をつき、再びユニの方に意識を向けた。
「…ユニ、よく話してくれたな。
後は俺が何とかするから心配すんな。リトにも俺から上手いこと説明しとくし…」
ユニの肩を軽く叩き、安心させるように言う。
そして、
「で、その女の子は今どこにいるんだ?」
珍しく頼りがいになるところを見せたと思ったら、その数秒後にはこの他力本願である。
これがアブセルがいまいち人から信用されない原因の一つであろうことは、多分本人も知らない。
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