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Key Of The Twilight

725アグル ◆Hbcmdmj4dM:2017/02/02(木) 23:43:12
【黄昏の塔】

大義の為、か…。

「俺は四神の一人として、その本分を全うする為、あなたを討った。そしてその屍をも乗り越えて、前に進ませて貰う…。
…なんて、流石に都合が良すぎないかな。まあ、そう言うことにさせて貰いますよ。アグルが納得するかは分からないけど」

苦笑混じりに言って、レグナは静かに言葉を紡ぐ。

「愛する者の為に刃を握る…、その気持ち、俺にも分かりますよ」

彼は己が信じる正義の為に戦った。例えそれが破滅へ向かう道だと知っていても。それを言えば、自分もアグルも同じようなものだと思う。
誰が正しくて、誰が間違っているかなんて一概に決めつけることは出来ないのだ。ただ今回はこちらが勝利した。それだけの話。

レグナはユーリの亡骸に向けて、お疲れ様です。と小さく頭を下げた。そして…

「いててて…、やっぱ無茶し過ぎたよなぁ…」

崩れるようにその場に膝をつく。
限界などとっくに通り越していた。あの力は身体への負荷が大き過ぎたようだ。全身が悲鳴を上げている。

「アグルー‼」

その時、ふと何者かの声が聞こえた。誰だろうと目を向ければ、赤髪の少女と黒髪の青年がこちらへ駆け寄ってくるのが見えた。
アグルの友人だろうか。それならば、それらしい対応をした方が良いだろう。レグナは笑顔を見せて言った。

「あー、えっと、心配かけたかな?ごめん、この通りピンピンしてるから安心して良いよ。今はもう一歩も動けないけど」

自分は何か変なことを言っただろうか。少女が驚いたような表情でこちらを見ている。

「どうしたの!?何か少し見ない間にさわやかキャラになっちゃってるけど!?さては好感度欲しさにキャラ変えを!?」

「………まあ、色々ありまして」

説明すると長くなるので、そこは一先ず置いておくことにする。

「そんなことよりさ、この塔のことなんだけど。今ここでは100年前の再現が起こってるみたいだ。
俺達はそれに選ばれた役者って訳。それらが意味するところは俺にはよく分からないんだけど、取り合えず頂上にボスがいるみたいだよ」

続けてレグナは苦笑を浮かべる。

「俺はちょっと暫く動けないと思うから、二人は先に行ってて欲しいんだ。出来れば後で合流すると思うから。無理そうだったら君らを信じて、街に帰って寝てることにする」


…………

魔物の蔓延る塔をひたすら登り、たどり着いた先は最上階の一つ手前。

未来への時間移動。黄昏の塔の再誕。
もう何が起きても驚かないつもりでいたが…、流石にこれには肝を潰した。

目の前には、もういない筈の彼の姿があった。

自分にとっては3年ほど前、この世界からすれば100年も昔…。かつてこの光景と同じものがそこにあった。

冷たく響く彼の声。
イスラは苦笑の混じった息を吐いた。

「そういうことを言うのか。久し振りの再会なんだから思い出話に花を咲かそうとか、気の利いたことは思わないのか?」

そこで彼の時間はあの時に止まったままなのだと気づく。思い出も何もないか。
そして言った。

「思うわけがない。あの戦いから少なくとも100年分の命がこの世に産まれた。その命の分だけそれぞれの人生があり、100年分の笑顔が生まれた。
もちろんそこには辛い歴史も醜い歴史もあったと思う。だがそれらを全部ひっくるめた上で今の人達がいる。
…きっと人の本質は永遠に変わることはないんだと思う。
綺麗な面もあれば、醜い面もある。強い面もあれば、弱い面もある。それが人だ。
迷い、苦しみ、時には過ち。そして笑い。皆懸命に今日を生きている。
それが生きるってことなんだと俺は思う」


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