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Key Of The Twilight
710
:
ユーリ
◆.q9WieYUok
:2017/01/27(金) 15:13:23
【黄昏の塔】
全てを凍結させる絶対なる死の吐息。
白銀の奔流は確かに、敵影を飲み込んだ。
時間すらその動きを停め、氷結した塔の一角。
その中を眩い光が照らし、停まった時間が動き出す。
それは創世の光、世界を構築する四大元素の一つ。
光は力となって、氷結し、凍てついた時間を溶かしいく。
そして、周囲に凍気ではなくマナが満ち溢れた頃。
黒狼から人の姿へ戻った後、左半身を失っていた為にバランスを崩したユーリは、膝を着いた状態でアグルを、レグナを見据えていた。
「ならば、大義の為に俺を貫け。」
魔装と闇の力を失った今、ユーリの命は後数刻しか保たないだろう。
先の言葉は強者として、悪役としての矜持か。
「俺は愛する女の為に戦った。
その女が世界を無意識の内に滅ぼそうとしているのを知りながらもな。
今思えば、俺はイオリが羨ましかったのだろう……
一族の掟と、この世界の有り方に絶望した俺とは逆。」
折れた刀を支えにし、ユーリは続ける。
「俺は翼を持たなかった、いや、切り捨てた。
全てを灼き尽くす蒼焔の翼、実にアイツらしい……」
それは独白か、一言一言続ける度にその声は覇気を無くしていく。
「この塔は時間の巻き戻しにより出現した。
その頂きに座するは闇の王女、この世界における冥府の女王。
100年前とは役者の数もその役割も違うが、目的は同じだ。
世界を闇に閉ざし、滅ぼす。
闇の残滓だった消えゆく星が恒星となった、その意味は俺には分からない。
だが、その輝く闇星は……いずれ黄龍すら呑み込む奈落の渦中となるだろう。
……行け、塔の番人を倒したお前達はこの先に進む権利がある。」
そして。
「地を這う犬に、狼にとって自由と言う名の大空は遠かった。
光輝くその翼で、世界を照らしてみせろ。」
ユーリの黒瞳から光がゆっくりと消え、それと同時にその心臓も動きを停めた。
ーーーーー
「終わったようだな。」
階下で行われていた激闘、その終わりを察し、ヤツキは口を開いた。
「ならば、次は俺達の番だ。」
轟音と破砕音から続く雷鳴と極寒の凍気。
それらが止んだフロアは、再び静寂に包まれていた。
ヤツキが声を掛けた先、その視線の先には宿敵とも好敵手とも呼べる一人の男の姿。
その名を呼び、ヤツキは腰の刀に手を置いた。
「イスラ、俺はお前を待って居た。
この世に蘇ったその意味を、全うする為にな。」
二人が居るのは最上階より一つ下、何もない伽藍の空洞。
視界に映る階段を昇れば、塔の頂きはすぐそこだ。
「だが、その前に問いたい。
100年前の俺達の戦いに意味はあったのか?
蘇ってから、しばらくの間世界を放浪した。
その間に見たのは、止まない戦争、環境汚染。
文化と技術が発展した所で、本質は変わらない様に見えた。
なぁイスラ、世界はやはり滅ぶべきだと思うか?」
最上階へと登る階段の前で、ヤツキはイスラへ問い掛けた。
その声は、低く、冷たい。
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