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Key Of The Twilight

655ユニ他 ◆wxoyo3TVQU:2016/11/06(日) 23:56:16


「酷い娘ね・・・」

父を亡くし、このあと葬儀も控えている。なのに、父を失った悲しみはあまり無いのだ。
リトを虐げていた恨みの方が強いのか、父に対して感情が湧かない。

父を偲ぶべき時に、自分はあろうことか、別の男のことを考えている。

再会し、抱きしめられて、鼓動が早くなるのを感じた。
彼の身をあんじていたから、安心した。違う、それだけではないのだと、気付いてしまった。

自分は彼を---

「ヨノ。」

呼びかけられてはっとする。いつ来たのか、ナディアが傍らに立っていた。

「お姉様・・・」

「どうしたんだ、ぼうっとして」

「お姉様、ジルを覚えていますか?」

「またその話か。よく此処に遊びに来てたガキだろ?年下のくせにお前に対して妙に生意気だった。」

「ジルに会ったんです。」

「外に出ないお前がどうやって会うんだよ。それいぜにあの兄妹はずっと行方不明だ。あの年齢で自力で生きていられる筈がない。」

「そんなこと・・・」

「葬儀の準備が出来た。始めるよ。」

言ってナディアは部屋を出て行く。
ジルは生きていたのに、ナディアは死んだものと認識しているらしい。
ヨノは歯痒さを覚えながら手の中の匂い袋を抱き締めた。

「ジルか・・・」

部屋を出たナディアは不意にその名を呟く。

「最近、何処かで聞いたような・・・」

何か引っかかる。ナディアはふとそう思うも、深くは気にせずその場を後にした。


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