したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が901を超えています。1001を超えると投稿できなくなるよ。

大河×竜児ラブラブ妄想スレ 避難所2

1まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2009/10/29(木) 01:36:02 ID:???
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレの避難所です。
アクセス規制で本スレに書けない、とかスレに書けないような18禁のエロエロ話を投下したい時とかに
お使いください。
    / _         ヽ、
   /二 - ニ=-     ヽ`
  ′           、   ',
  ',     /`l  / , \_/ |
  ∧    〈 ∨ ∨ ヽ冫l∨
    ',   /`|  u     ヽ
    ', /          /
    /  ̄\   、 -= /                   __
  / ̄\  `ヽ、≧ー                    _  /. : : .`ヽ、
 /__ `ヽ、_  /  、〈 、           /.:冫 ̄`'⌒ヽ `ヽ、 / 〉ヘ
/ ==',∧     ̄ ∧ 、\〉∨|         /.: : :′. : : : : : : : . 「∨ / / ヘ
     ',∧       | >  /│        /: :∧! : : : :∧ : : : : | ヽ ' ∠
      ',∧      |、 \   〉 、_       (: :/ ,ニ、: : :ィ ,ニ=、 : : 〉  ,.イ´
      ',∧      |′   ∨ ///> 、  Ⅵ: '仆〉\| '仆リヽ:|\_|: :|
      / /     |     └<//////> 、 八!`´、'_,、 `´イ. :|////7: !
    /_/       |、       ` </////>、\ ヽ丿  /. : :|//// : .丶
    ,'          |′         ` <//∧ : > </.: : :////〉: : : . ヽ
    ,'          |            / 个:<〉. :〉》《/.: ://///: : : : : : . \
   ,'           |、          〈 . : :│: |/. :/│/.:///////: : : : : : : : : . )
  ,'            |′           \:ノ. : |: :/Ⅳ/.:〈//////: : : : : : : : : :ノ
  ,'            |            /. : : : :|:///∧ : ∨///: : : : : : : : : . \

本スレ
【とらドラ!】大河×竜児【アマアマ妄想】Vol17
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1255435399/

70 ◆QHsKY7H.TY:2010/01/15(金) 19:37:46 ID:???
ここまで。
間が開いてしまったのもあって少し急ぎ足気味になってしまいました。

次回、最終回の予感。

71高須家の名無しさん:2010/01/16(土) 23:03:41 ID:???
面白い内容で原作者に似せた文体なら最高じゃないか

>>102
おしまい、という言葉がないので続くと信じていますが
なぜそこで切るんですか気になるじゃないですか!

という内容を投稿しようとしたらまさかの規制
オノレ俺が何をした…

72高須家の名無しさん:2010/01/17(日) 21:22:42 ID:SdhEBcbo
>>71
俺も規制なんだぜブラザー……

>>まとめ様
神様仏様まとめ様!
更新お疲れ様です!
まとめに自分の書いたものが載るのは大変嬉しいことでございます。
これからもよろしくお願いいたします。

>>70
乙!
二人のギクシャク感が心に辛い……
波乱の予感しかしない次回が気になる!
焦らずに納得いくものを書き上げてくださいませ。

73まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2010/01/18(月) 01:46:04 ID:???
まとめサイト更新しました。
相変わらず規制中なのでこちらで報告ー


私のプロバイダーで悪さを働いているのは誰だァ!

74 ◆QHsKY7H.TY:2010/01/20(水) 19:00:43 ID:???
大河最後の日……乙です。

まとめ人様もいつも乙でございます。

さて皆様たくさんの感想をありがとうございます。

ドラとら!ラスト10レス行きます。

と思ったらまだ規制中でしたのでこちらに。
代理投稿歓迎。

75ドラとら! ◆QHsKY7H.TY:2010/01/20(水) 19:02:09 ID:???
***



明日から修学旅行というこで、今日は修学旅行で必要になりそうなものの買い物をすることにしていた。
大河はちゃんと準備したのか気になったが、当の本人からは、

「大丈夫」

と太鼓判を押されてしまっているので一人分の買い物だ。
でも本当に大丈夫なのだろうか。
俺の見る限り“全く準備をしている様子”が見られないのだが。
そう不審に思いながら買い物をしていると、

「あれぇ?高須君?」

サングラスをかけた川嶋と鉢合わせた。

「よう、お前も買い物か?」
「まぁ似たような物だけど……ってかなんで高須君ここにいんの?」
「いや、なんでって……明日からの買い物に」
「は?寝てるの?」
「なにがだよ?」

川嶋が俺を睨むようにして見つめ、しかしふっと表情を和らげる。

「ふぅん、まぁいいけど。私は高須君が“針”を折れなくても何の関係も無いし」
「何のことだよ?」
「知らない、か。いよいよ終わりかな、あ〜あ」

川嶋はどこまでも人をくったような言葉を放つ。

「よくわかんねぇ奴だな」
「そう、私はミステリアスな女なの、そんな私のこと気になる?高須君」
「いや」
「……なんかそれはそれでムカツクけど……まぁいいや。タイガ−の決めたことだし」

「大河?」
「んん〜?タイガーのこととなると反応するんだ?反応しちゃうんだ?高須君可っ愛い〜」

「い、いやそんなんじゃ……」
「じゃあ反応しないでよ」
「っ!?」

俺が誤魔化そうとした直後、川嶋は何処までも低い声で俺に怒ったようにそう言う。

「惑星に見捨てられた人工衛星は……ゴミでしかないよ…………なぁ〜んちゃって♪」


川嶋は意味深にそう言うと俺を無視して歩いて行ってしまう。
どこまでが本気で、何処までがジョークなのか、川嶋はそれすら明かさずに俺の視界から消えた。



***

76ドラとら! ◆QHsKY7H.TY:2010/01/20(水) 19:03:12 ID:???
家に帰ってもどうにも川嶋の言葉が頭から離れない。
それを言えば、櫛枝についカッとなった時からずっとそうかもしれない。
はぁと溜息を吐いて、ふとカーテンの奥の大河の部屋をのぞき見る。
窓越しからのそれは、カーテンがかかっている上に電気も点いていないようで、中の様子などわからない。
櫛枝はともかく、川嶋にも大河のことで責められているような気がしてならない俺は、考えないようにしていた大河のことを考え始め、

『ピピピピピピ』

タイミング悪く携帯が鳴る。
相手は……櫛枝?

「もしもし?」
『高須君?今どこ?』
「家だけど……」
『一人?』
「ああ」
『……ごめんよ高須君、ある意味君が正しかったよ』
「……何のことだ?」
『……大河を泣かせちゃった』
「は?」
『高須君が言ってたメールの内容、それを私は無理矢理見たんだ。大河の為を思えば、見るべきじゃなかったかもしれない。でも私は知っちゃったから』
「な、何をだよ?」
『大河は……修学旅行に行かない』
「へ?」

何を言い出すのだ、急に。

『本当は大河に泣いてお願いされてるんだ、絶対高須君には言わないでって。だからこれ以上私は大河を裏切りたくない』
「お、おい?」
『でも!!そんな大河を助けられるのはやっぱり高須君だけなんだよ!!』
「い、一体何があったんだ!?」
『それは……私の口からは言えない。大河との約束だから』
「おい!!」
『だから、大河の部屋に行って。大河は君に手紙を用意している筈だから。それで君が自分でこれからを考えて』
「ちょっと待ってくれ!!櫛枝!!一体何が何だか……」
『ツー……ツー……』
「おい?おい!!……くそ、切れてる……」

何が何だかわからない。
とにかく大河の部屋へ行けというなら行ってみようじゃないか。



***

77ドラとら! ◆QHsKY7H.TY:2010/01/20(水) 19:04:34 ID:???
「で、どうやって入れってんだ」

家には当然のように鍵がかかっていた。
ここの家はオートロック。
ちょっとやそっとじゃ開かない。
鍵はこの前、大河が自分の無くしたからしばらく貸した奴返してと言われ、渡していたので持っていない。
そもそも、インターホン鳴らしても出てこないってことは留守だろうし、手紙ってなんなんだ?
わけがわからねぇ。
明日会って聞けば……でも修学旅行来ないとか行ってたしなぁ。

「しょうがねぇな」

俺はケータイで大河に電話をかける。
こういう時は本人に聞くのが一番……あれ?

『現在、この電話は使われておりません。こちらは……』

「な、何だよこれ!?」

俺は焦ってもう一度確認し、確かに逢坂大河でダイヤルするが、

『現在、この電話は使われておりません。こちらは……』

帰ってくる無機質なアナウンスは同じ。
何だかとってもやばいような気がしてきた。
こうなっては是が非でも中に入らなければならない。
でもどうやって…………そうだ。
俺は一つ思いつき、一度高須家へと帰った。



***



「頼むぞ……」

俺が考えた作戦は至極簡単なものだった。
それはウチのベランダから大河の部屋に侵入する、というもの。
普段とは逆の立場に内心苦笑を漏らしながらデッキブラシで窓が開かないか試してみる。

大河のずぼら、というかミスに期待するのはこれが初めてじゃなかろうか。
どうか閉め忘れててくれよ。
そう思いながら俺はデッキブラシを持って……結構難しいなコレ。
ちなみにこんな顔でこんな真似してるのが見つかったらまず間違いなく警察に掴まる。

俺はビクビクしながらもデッキブラシを操り続け……、

「あ、開いた……!!」

大河の部屋に侵入することに成功した。
成功して、テーブルに置いてある俺の赤いカシミヤのマフラーと手紙を見て、驚愕した。

それは……。



***

78ドラとら! ◆QHsKY7H.TY:2010/01/20(水) 19:05:50 ID:???
竜児へ。
修学旅行楽しかった?
これを見てるってことはきっともう私はそこにいないよね。
ごめんね、何も言わずに行っちゃって。
でも、竜児の為を思ったらこの方がいいかなって思ったんだ。
私さ、前に再婚した父親がいるって言ったよね?
その父親がさ、夜逃げ……しちゃったらしいんだよね。
なんか事業に失敗して一杯借金作っちゃったとかでさ、今もどこにいるかわかんないらしいんだ。
それをママが教えてくれてね、あ、このママってのは本当の母親なんだけど、だから親権を移して自分が私を引き取るって言ってて、そっちに行くことになったの。
それがちょうど修学旅行の日の前の晩だから、私が修学旅行には行かなかったのはそういうワケ。
この前のメールは、そういった話でさ、ママとはそのあとちゃんと電話でも話したし会って話して、まぁこういうことになったの。
あ、ママはさ、再婚してて今お腹に赤ちゃんいるんだよね、男の子だっていうから私お姉ちゃんになるよ。
アンタには世話になったから、一応直筆で理由をこうやって教えといてあげる。
それにさ、一つ謝らないといけないことがあるし。
クリスマスの晩にね、私いつだったかの竜児のポエムノート、最初だけ見ちゃったんだ。

なんていうか、北村君のこと、ごめん。
謝っても許してもらえないかもしれないけど、ごめん。
多分実際に会ったら口じゃ言えないだろうから、こうやって謝罪を文にしたんだ。
それじゃあ元気でね、竜児。

あ、それと、“もう手を冷やしちゃダメ”だよ、きっと竜児の手を掴んでくれる人はいるから。



いい?



神の前に、人は平等なのよ。



***

79ドラとら! ◆QHsKY7H.TY:2010/01/20(水) 19:06:49 ID:???
「な、なんだよこれ」

読み終えて、立ち尽くす。
じゃあね、ってどういうことだ?
母親に引き取られる?
何の話だ?
真っ暗な部屋には、あったはずの家具がほとんど無い。
もう、ここに誰もいないかのように。
何だか寂しくなって、慌ててこの部屋から、大河がいないという現実から逃げて、自分の家に戻る。
戻って、居間に座って、それで終わり。
持ってきた手紙を何度読み返しても、内容は変わらない。

「櫛枝、俺にどうしろっていうんだ」

頭を抱える。
櫛枝は恐らくこの話を既に知っているのだろう。
だから俺に教えた。
だが、俺がこれを知ったから、どうしろというのだ。
どうしようも出来ないじゃないか。
なにもしようが無いじゃないか。
俺は所詮大河の周りを回るだけの人工衛星……見捨てられたゴミでしか無いんだから。

俺は、俺には、何も出来ない。
そう思った時のことだった。



「……イヤダヨゥ」



声が、聞こえた。

80ドラとら! ◆QHsKY7H.TY:2010/01/20(水) 19:08:36 ID:???
それは大河の声じゃないのに、大河の声のようで。
振り向くとそこにはカバーが掛かった鳥籠。
ウチの家族であるインコちゃんがいる場所で。
インコちゃんは何かをリピートするように、



「……ソンナノイヤダヨゥ」



大河の声をリピートするように、



「……ナニガビョウドウヨ」



大河の気持ちを代弁するように、



「……リュウジガイイノニ」



そこに大河がいるように、



「……リュウジガスキ、ナノニ」



俺が最も聞きたかったそれを、



「……セッカクキヅイタノニ」



今も胸に燻っている、



「……リュウジシカイナイ、ノニ」



この想いを、



「りゅうじぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」



突き動かした。

81ドラとら! ◆QHsKY7H.TY:2010/01/20(水) 19:09:46 ID:???
***



最後の叫びは大河の声そのものを脳内で聞いた。
こうしてはいられない。
俺は学際からずっと大河を好きになる資格は無いと自分に言い聞かせていた。
そんなのは逃げだ。
資格?そんなもの、何処に必要だったんだ!!
俺は携帯を取り出し、

「北村?夜にすまない、頼みがるんだ」

友人に無茶なお願いをした。



***



景色が素早く動いていく。
季節も相まって、このスピードはとんでもなく寒い。
俺は友人に校則違反であるバイクでの送りをお願いした。
歩いていては間に合わない気がしたから。
北村はそんな俺のお願いに、

「高須の頼みだ、いたしかたあるまい」

と行って引き受けてくれた。
駅についた後は北村に礼を言って分かれ、大河を探し始めた。
何となく、直感でこの駅だと感じたのだ。
夏にみんなで旅行に行った駅。
あいつはここを使う、と。
根拠なんて無い。
でも今できるのはこれだけだ



***



『プァーーーン!!』

大きい音が鳴って列車が発車する。
次の列車は、十分後に発射のようだ。
大河がどの列車に乗るのかなんてわからない。
もう乗ってしまったのかもしれないし、別の駅かもしれない。
もしかしたら飛行機ということもある。
それでも俺は探し続けた。

82ドラとら! ◆QHsKY7H.TY:2010/01/20(水) 19:11:00 ID:???
『プァーーーン!!』

また次の列車が出た。
この時間、列車はほとんど分単位で発射する。
次の列車の発射は五分後。
そんな電光掲示板の表示を見ていると、後ろの方でゴトッと音が鳴った。
振り返るとそこには、

「な、なんで……」

真っ白いコートに身を包んだフワフワロングヘアーの小さなエンジェル、大河が居た。




***



「大河!!」

竜児は私に駆け寄ってくる。
私は咄嗟に……逃げた。
ローラー付の旅行鞄を引っ張りながら駆け足で列車に乗る。

「待ってくれ大河!!」

どうしてここがバレたのかわからない。
なんでここにいるのかもわからない。

「俺は……」

ガタンとローラーが大きな音を立てて列車に乗る。
竜児は流石に中までは入ってこない。
発射まであと三分程度だろうか。
そう思って竜児の顔を改めて見た途端、



「大河が好きだ!!」



告白された。



***

83ドラとら! ◆QHsKY7H.TY:2010/01/20(水) 19:12:11 ID:???
『白線よりお下がり下さい』

そんなアナウンスが流れ始めたこの瞬間、俺は思いを偽ることなくストレートに吐き出した。

「え……あぅ……?」

大河は驚いて、顔を真っ赤に染め上げて口を奮わせている。

「俺は、ずっとお前が好きだった、お前ももう思い出してるみたいだけど、あのクリスマスからずっと」
「あ、ああああ……」
「確かにお前の言う通り、いつかは俺を理解してくれる人も現れるかもしれない」
「え、えっと……」
「でも、俺はお前がいい、いや、お前じゃなきゃ嫌なんだ、俺の手を暖めてくれるのはお前がいいんだ!!」
「……!!」
「俺は、お前と一緒じゃないと生きていけない!!」

そうやって全て思いを吐き出した所で、

『プシューーッ』

扉が閉まる。
大河は慌てたように丸い窓に張り付いてこちらを見つめている。
結局、大河は俺に一言も返さぬまま、行ってしまった。



***



トボトボと家に帰る。
仕方がなかったとはいえ、何も言葉を返してもらえなかったのはやっぱり少し辛い。
既に時間は日付を超え、三時を示している。
櫛枝にはメールで俺の取った行動を報告した。
返信に、

『よくがんばったよ、高須君』

と書かれていたのが、少し俺の体の重みを軽くした。
家に帰って、死んだように布団に横になる。
多分今眠ったら明日は起きられない。
確か朝五時に学校集合、だったし大河のいない修学旅行に興味は……無い。
あ、でも積み立ててでずっとお金払って来たんだからMOTTAINAIな。
払い戻してもらえるかなぁ。

「……っ……つ!!」

涙が、止まらない。
結局、俺は大河に言うだけで止められなかった。
仕方のないことかもしれないけど、それがとてつもなく悔しかった。
そう悔し涙を流しているウチに、まどろんだ。



***

84ドラとら! ◆QHsKY7H.TY:2010/01/20(水) 19:13:42 ID:???
朝、日の光と共に目が覚める。
時計は朝七時を示し、まず間違い無く自分は寝過ごしたことを悟る。
こりゃあ後で何か言われるな、と思いつつ起きあがり、伸びを一つ。
体の機能は睡眠を取ったため万全だが、心が空っぽなのがわかる。
これから大河のいない生活が始まるのだ。
それを思うと気が重くなり、ノロノロと襖を開けて居間に顔を出し、朝ご飯は何にしようと考えたところで、

「おっそいのよ、この犬」

オレンジが乗った卓袱台に付いて正座宜しく、こちらを睨み付ける子虎が一匹。

「………………」

いかん、まだ寝ているようだ。大河が好きすぎて幻覚を見るなんていくらなんでもどうかしている。

「大変だったんだから!!あ、あああ、アンタが私がいないと生きていけないとか言うから!!し、死なれちゃ困るし!!」

しかし、幻覚にしてはいやにリアルだ、もしかしたら夢という線かもしれない。

「ママにお願いしてちょっとこっちに行ってくるって許可貰うのだって凄く怒られたし始発に乗って来るのだって……ちょっと聞いてんの!?」

バゴッ!!
強力な蹴りをくらい目が覚めた。

「たい─────が……?」

目が覚めて、それが本当に夢だった事に気付いた。
自分は普通に布団の上で時間は七時。最高で最悪な夢を見たと自己嫌悪。
どうせならあれが予知夢だったらいいのに。そういや泰子が自分はプチ超能力者で一回分だけ超能力を使える力を上げるとか昔言ってたっけ。
どうせなら今がいいのにと思いつつ、起きあがって今度こそ朝ご飯は何にしようと考え居間に入った所で、

「おっそいのよ、この犬」

いかん、まだ起きてなかったらしい。
夢の状況そのままに、目の前にはオレンジが乗った卓袱台に付いて正座している少女がいる。

「私寝てないってのにアンタはグースカ寝てるし、ママにお願いしてちょっとこっちに行ってくるって許可貰うのだって凄く怒られたし始発に乗って来るのだって……ちょっと聞いてんの!?」

バゴッ!!
強力な蹴りをくらった。これで目が覚め……あれ?

「何よ、不思議そうな顔をして?誰の為に戻ってきてやったと思ってるの?」

目の前には相変わらず大河。

「た、大河!?」
「まだ寝ぼけてるの?当たり前でしょうが。だいたい私言ったわよね?昔から、虎と並び立つ者は竜と決まってる、私は逢坂大河、アンタはこれからも私の為に私の傍らに居続けなさいって!!」
「いや、でもお前……」
「グダグダ言わない!!アンタの為に戻って来たんだから……返事、言いに来た、んだから……!!私だって、私も……」

オレンジが乗った卓袱台越しに、大河は感極まったように一粒涙を流し、俺の手を暖めるように掴んで、

─────────好きだよ

少し甘酸っぱい、そんな返事を受けた。
聖なる夜から始まった恋。
これから二人にはたくさんの障害が立ちはだかるだろう。
それでも二人はもう絶望に暮れることは無い。
何故なら、思いを通じ合わせた二人を合わせて、世界は、神の前に平等なのだから。

85 ◆QHsKY7H.TY:2010/01/20(水) 19:18:10 ID:???
ここまで。
これで長々と書いてきたドラとら!は終わりです。
皆さんありがとうございました。
まとめ人様もわざわざ区切り毎のアイキャッチを作ってくださり本当にありがとうございました。

全部書き切れたのは皆さんおかげです。
もう一度、皆さん本当にありがとうございました。


あ、蛇足ですが私はキリシタンやキリスト教信者ではありません(爆)

86高須家の名無しさん:2010/01/20(水) 23:16:36 ID:???
>>85
乙&GJ!

原作的イベントとオリジナル展開の組み合わせ方が上手くて、読んでてどんどん惹き込まれたよ。
この竜虎の未来にも幸あれ。

87高須家の名無しさん:2010/01/20(水) 23:29:40 ID:???
連投規制ひっかかった……

88高須家の名無しさん:2010/01/20(水) 23:53:22 ID:???
携帯で支援一つ入れてもダメ……
誰か 続き 頼む。

89高須家の名無しさん:2010/01/21(木) 00:09:20 ID:???
代理の代理、感謝!

90高須家の名無しさん:2010/01/21(木) 23:12:51 ID:W3W3r8oA
>>85
お疲れ様でした。
悲しいお別れに終わらなくて良かった!
ドキドキしたぜ。
最後も大河らしくてGJ!

代理もその代理も乙!

91 ◆QHsKY7H.TY:2010/01/26(火) 21:33:15 ID:???
規制が解けない(泣)

みんなたくさんの感想ありがとう!

代理の人と代理の代理の人代理ありがとう!

避難所での感想もありがとう!

>>165
三題噺ってあんなに短いのに話が上手く詰まってていつもすごいなぁ。
>>184どれだけキスしてたんだぁぁぁぁ!?
>>191酔った竜児と襲われる大河、何か襲った方が途中で逆になりそうなイメージがあるなw


>>167
ありがとう、設定気に入ってもらえて良かった。
最近出番の少ないインコちゃんには最高の舞台を用意したつもりだよ。

>>169
おお?オレンジわかった?

>>171
ありがとう、竜児最後の日と大河最後の日も原作っぽい感じで良かった。

>>179
匂いフェチキターー!
良ければ慌てずゆっくり読んでみてください。

>>181
ありがとう、そうしますw

>>189
確かに最近無かったギシアンキター!!

さて、>>181の方に言った傍から短編行きます。3レス消費。

と思ったら憎き規制。
くそぅ。
まとめ人様が避難所を用意してくれてるからまだ良いけどこれじゃおちおたお礼も書けないな。
まとめ人様、避難所のご用意ありがとうございます。

というわけで代理投稿歓迎。

92ヤキモチ ◆QHsKY7H.TY:2010/01/26(火) 21:35:26 ID:???
この春、晴れて恋人同士になった二人は、しかしだからとてそう大きく変わることも無く過ごしていた。
今までほとんど同棲そのもののような生活をしてきたのだ。
当然それは無理からぬことではあるのだが、こんな時、決まってほころびを見つけ、それを大きくするのは大河だった。

「ねぇ竜児」
「おぅ、どうした」

土曜の午後。
お休みの日にはこうして大河は竜児の家に遊びに来る。
慣れ親しんだ実家のような高須家は大河にとっても気持ちの良い場所だった。

「私たち、晴れて恋人同士、になったのよね?」
「おぅ?何だ藪から棒に」
「いいから答えて」

マイ座布団だとばかりに毎回同じ座布団を使う大河は、今日もその座布団に座り、しかし真面目くさったように切り出す。
大河がいることで今日は一緒に買い物でもしようかと思いチラシを見ていた竜児は、大河の真面目っぷりに少々驚いた。
ちなみにこの買い物、二人で遊ぶ為では無く今日の晩ご飯の為の買い物である。
大河は夕方には家に帰ってしまうので竜児の食事は食べられないが、それはそれとして二人だと買い物がはかどるのだ。
メニュー決めはもちろん、お一人様○パックなんていう限定商品にも人海戦術は有効となる。
……閑話休題。
そんないつもと変わらぬ竜児に対して、大河は若干の敵意を持ったような眼差しをしている。

「竜児」
「おぅ、なんだ」

これは何か俺がやったか?と竜児は自身の行動を思い起こしつつ大河にいつも通り反応する。
しかし、

「そう、それよ」
「は?」

大河はビシィ!!と竜児に指を指し、不満そうに頬を膨らませる。

「その返事が悪い」
「は?いつも通りじゃねぇか」
「いつも通りだから悪いんじゃない」

大河は段々と怒りのボルテージを上げていく。

「すまん大河、意味がわからねぇ」

大河のことは大概理解出来るようになったと思っていたが、わからないものはわからない。
不満ですという面持ちをしたまま大河は、

「全然照れっていうか、喜びが感じられない」

竜児にとって意味不明な事を言い出す。

93ヤキモチ ◆QHsKY7H.TY:2010/01/26(火) 21:36:40 ID:???
「どういうことだ?」
「あんた最初にみのりんに竜児って下の名前口にされた時有頂天になってたわよね?」

それは二年の時の休み時間。
当時竜児の意中の人、櫛枝実乃梨はデコ職人の内職アルバイトをしていて、クラスの女子達のケータイをデコレーションしていた。
その時に言われたのだ。

『高須君のもやってあげようか?竜児って後ろに』

その日、竜児は家に帰ってから下の名前を呼ばれた事に舞い上がり……閑話休題。
かくして、竜児は確かに以前、下の名前を呼ばれただけで有頂天になった実績がある。

「何か、実は私はみのりんよりも好かれて無いんじゃないかなって思うんだけど」
「いや、それはお前がずっと俺と一緒で違和感が無くなったからだろ?」
「どうかしら?竜児はみのりんの為に結構な詩を作ってたみたいだけど私用には作って無いみたいだし」
「お前、作って欲しいのか?」
「キモイからイヤ」
「なら言うなよ」
「でも、何かこう、何て言うの?ガーッと竜児の思いを表現するような痴態?みたいなものが無いのも自信無くすっていうか」
「痴態って、お前な」
「みのりんの時に散々やっていた変なことを私の時に全くやらないってのは少し自信無くすわけよ、女としては」
「むぅ……」

大河の言い分は無茶苦茶だが、気持ちは少しわかる。
竜児とて、もし自分のことで悶えるような大河を見ればそれこそ通報されかねない凶眼をギラギラさせることだろう。
しかし、それはそれとして、大河だからこそ尚の事そういった姿は見せられないし見せたくない。
だが流石は大橋の虎。
竜児のそんな考えなどお構い無しに無理難題を持ち上げる。

「そうだ竜児、今ここで私に告白してよ。ほら、竜児が一杯作ってた詩風にして」
「えぇ!?」

人には恥というものがあり、羞恥心という心が存在する。

「ほら、今なら私しかいないし誰かに聞かれる心配も無いわ」
「い、いや、でも……」

恥ずかしい。
この上なく恥ずかしい。
ちなみにすぐに詩が頭の中で出来ちゃったのも恥ずかしい。

「いいからさっさと言うのだ愛犬」
「あ、愛犬っ!?」
「ちょ、何喜んでるのよ?」

大河はうわぁ、というように汚いものでも見るかのような目つきで竜児を見る。

「よ、喜んでねぇよ!!ここに来て犬扱いされた事に驚いてんだよ!!」

実は内心ちょっぴり、ほんのちょっぴり料理に使うときの塩ひとつまみ程度には『愛』犬と言われた事にキュンと来たのは内緒だ。
最も大河の態度にそれ以上のダメージを受けたのだが。

94ヤキモチ ◆QHsKY7H.TY:2010/01/26(火) 21:37:23 ID:???
「ふぅん、その割りには嬉しそうに見えたけど。まぁいいわ、さぁどんと来なさい」
「い、言わねぇよ!!」
「いいじゃない別に。減るもんじゃなし」
「精神的な何かが磨り減るんだよ!!」
「根性無しねぇ」
「じゃあお前言ってみろ」
「……私?な、なななななんで私が言わなきゃならないのよ!?」
「俺だけなんて不公平だ、お前が言ったら俺も考えるさ」
「ず、ずるい!!なら私も竜児が言ったら言う!!」
「いや、お前そんなこと言って結局言わないつもりだろ!?」
「酷い竜児!!婚約者を疑うの!?」
「逆だ!!お前の行動パターンを見通してんだよ!!」
「……チッ」

お互い一歩も引かぬ口論の末、大河の舌打ち。
ゼェゼェと息遣いを荒くしながら肩で息をし、見詰め合う事数分。

「……なぁ」
「……何よ」
「そろそろ買い物行かねぇか、時間無くなっちまう」
「……そうね」

時計を見ればもう夕方。
日もオレンジになりつつある。
二人はそそくさと外に出てスーパーへと向かい出した。

「大河、今日は何食べたい?」
「う〜ん、言っても実際に私が食べられるわけじゃ無いからあんまり思いつかないのよね」
「そういうもんか」
「そうよ、あ〜あ、早く毎日竜児のご飯が食べられるようになりたい」
「俺もお前と毎日今のような会話のやり取りがしてぇよ」
「………………」
「………………」

お互い、今の言葉を最後に少し口を噤む。
まだ来ぬ未来、それに思いを馳せて。

「……ねぇ竜児」
「……ん?」
「そういえば竜児って私には晩御飯とか好み聞くけど、みのりんとそういう話したことあったっけ?」
「う〜ん、そういやねぇな。多分だけど」
「……そっか」

竜児の言葉に大河は口端に笑みを乗せて、

「ね、手繋ごっか」

小さい掌を差し出し、竜児が何をする間も無く手をギュッと掴む。

「ちょっ、大河?」
「ほら、さっさと行こう」

竜児の困惑も何処吹く風。
大河ははしゃいだ子供のように竜児を引っ張って歩く。
そんな大河は、小さく、小さく小さく、

「……良かった」

そう呟いた。

95 ◆QHsKY7H.TY:2010/01/26(火) 21:41:18 ID:???
書き忘れてた。
これは最近完結したドラとら!とは一切関係無い三年生の頭くらいの時間軸のお話ですw

96高須家の名無しさん:2010/01/27(水) 02:07:06 ID:???
>>95
乙!

初々しい恋人な感じがいいねえ。

97 ◆x6jzI2BeLw:2010/01/29(金) 01:26:24 ID:???
>>95
いいですねえ、この感じ。
さり気なく幸せな感じが伝わって来ます。
乙でした。
早く規制解除されるといいですね。


などと言っている私が巻き込まれました。
こちらのお世話になります。
代理投稿歓迎です。

本スレ>>111の続きとなります。
コメント&感想などありがとうございます。
まとめ人様にタイトルを付けてもらいました。
いつもいつもありがとうございます。

では、以下行きます。

98しあわせの逢坂タイガー伝説2 ◆x6jzI2BeLw:2010/01/29(金) 01:28:40 ID:???

ただいまと外出から帰って来た泰子を交えて高須家で始まるいつもの晩餐。
居間のちゃぶ台の上で大きな土鍋がぐつぐつと音を立ててたくさんの湯気を産み出している。
「あち・・・はふはふ」
頬を大きく膨らませながら、ハムスターよろしく頬張っているのはもちろん大河だった。
「大河、やけどすんなよ」
竜児の注意など何処吹く風で、大河は鍋から小鉢に移したいい色に出汁の染み込んだお肉を次々にお腹へ収めて行く。
「ほら、肉ばっかりじゃなくて、野菜も食え」
竜児は大皿に用意しておいた追加用の白菜を鍋に補充しながら、しんなりといい食べ頃になったえのきや野菜を大河の小鉢へ送り込む。
「野菜は後回し、今はお肉の時間よ」
そう言いながらも大河は竜児が小鉢へ入れてくれた野菜に箸をつけ、平らげる。
「竜児、おかわり」
空になった茶碗を竜児へ突き出す大河。
「おう」
竜児は大河から茶碗を受け取り、しゃもじで山盛りにご飯をよそってやる。
炊き立てのご飯で満室状態だった高須家の炊飯器に空き室が目立ち始め、竜児が操るしゃもじが炊飯釜の底をこすった。
「ほらよ、何杯目だ?」
茶碗を大河へ渡してやりながら、竜児は感嘆するように言う。
「まだ、四杯目よ」
まだ、まだいけると大河の食の進み具合は絶好調だった。
「ほどほどにしとけよ、また、いつかみたいにお腹が痛くなってもしらねえからな」
大丈夫、もうあんなドジはしないからと大河は涼しい顔。
以前、食べ過ぎで救急病院へ駆け込んでひどい目に大河はあっているのだ。
だから、今日はおやつも間食もしてないし、このくらいぜんぜん平気と咀嚼の合い間にしゃべりまくる。

99しあわせの逢坂タイガー伝説2 ◆x6jzI2BeLw:2010/01/29(金) 01:30:10 ID:???

「飲み込んでから、話せ」
口中にご飯を含みながら大河が話すせいで、大河の口元からご飯粒がひと粒、竜児へ向かって飛び出す。
「たく、もったいない」
竜児は大河から飛んで来て自分の服の袖口に付いたご飯粒を指先でつまむと、そのまま口に含んだ。
「あれ?」
土鍋の中を掻き回していた大河が首を傾げる。
「どうした?」
「竜児、もうお肉無い」
「ねえって・・・あんだけあったんだぞ」
「だって、ほら」
大河は土鍋の中のお肉指定席付近を箸で引っ掻き回す。
大河の箸に掛かったのはしらたきだけだった。
「おまえ、ひとりでどんだけ肉食ってるんだ」
呆れる様な竜児の声。
「いいじゃない・・・好きなんだし」
無いんだもうお肉と・・・名残惜しそうに大河は未練たらしく土鍋の中を探し回る。
そして見つけたわずかな肉の欠片を大事そうに口へ運ぶ大河。
「はい、大河ちゃん」
そんな大河を見ていた泰子が自分用に取って置いた肉を大河へ差し出す。
「や、やっちゃん、いいよ・・・それはやっちゃんが食べて」
受け取れないと大河は遠慮する。
「好きなんでしょ、お肉」
遠慮しなくていいよ、と泰子に微笑まれ、大河ははにかむ様に肉を受け取った。
「ありがと、やっちゃん」
「それでこそ大河ちゃんだよ」
受け取ってもらえて泰子も嬉しそうになる。
その一連の動作を見ていた竜児はやれやれと言う感じで席を立ち、冷蔵庫から追加の肉を持って来る。
「何よ、まだあるんじゃない、けちけちしないで早く出しなさいよ」
泰子へ向けていた笑顔とはうって変わり、竜児にはこのドケチ犬と言わんばかりの顔を見せる大河。
「言っとくがな、これは明日の弁当用だ」
「じゃあ、食べちゃったら・・・」
「当然、弁当は肉抜きだ」
竜児にそう言われ大河は思案顔になる。
眉間にしわを寄せ、重大な決断を下すかの如くおもむろに口を開く。
「耐え難きを耐え・・・ここは引くわ。竜児!」
「おう」
「仕舞って、お肉」
苦渋の決断だと両手をぐっと握り締め、大河は耐え忍ぶ有様を見せる。
「いいのか?」
竜児はこれ見よがしに大河の前にタッパーに入った肉をちらつかせる。
目線がチラチラとお肉を追い駆け、大河は思わず身を乗り出す。
「ほらよ」
竜児は苦笑しつつ、肉を一切れ土鍋に入れた。
「いいの?」
「ああ、弁当の肉が少し減るけどな」
その辺は上手く工夫してやるさと竜児は請け負う。
「・・・やっぱり、おいしい」
ほくほく顔で最後の一切れとなったお肉をおいしそうに頬張る大河を見ながら、竜児は何とも言えない幸福感を味わっていた。

100しあわせの逢坂タイガー伝説2 ◆x6jzI2BeLw:2010/01/29(金) 01:31:58 ID:???

「そうだ、竜ちゃん」
流しで食器を洗い終え、手を拭きながら居間へ戻って来た竜児へ向かって泰子が言い出す。
「何だよ?」
「修理だけど、明後日になるって」
「マジかよ」
困った様な声を出す竜児。
「修理って?」
食後の満腹感に浸り、例の如く寝転がっていた大河が起き上がり、口を挟む。
「ああ、家の風呂釜が壊れちまってさ」
風呂に入れないと竜児は言う。
「じゃあ、私の家に来たら」
我が家のお風呂を開放しましょうと大河は言う。
「いいのかよ?」
「うん、全然平気」
「・・・だってさ、泰子。どうする?」
「う〜ん。大河ちゃんのお家の借りてもいいんだけど・・・そうだ」
あごに指先をあて考えていた泰子はいいアイディアがひらめいたと竜児と大河に告げた。

・・・銭湯、行かない?




古きよき時代の建物と言う言葉がピッタリ来る銭湯。
「しかし、よく残ってたよな」
竜児は建物を見上げ感心する。
「これが、銭湯?」
大河は見慣れぬ建物に興味津々だった。
「そっか銭湯、初めてだっけか?」
「うん」
うなづく大河に当たり前かと竜児は思う。
普段があれだからあんまり気にもしないが、出るところへ出ればいいとこのお嬢様だもんな、大河は・・・。
「竜児は来たことあるの?」
「おう、子供の頃にな」

当然の事ながら竜児は男湯の暖簾を潜り、大河と泰子は女湯の暖簾を潜る。
「あんまり、はしゃいで泰子に迷惑掛けんなよ」
別れ際に竜児は注意を怠らない。
何せ、近所の銭湯へ行くだけだと言うのに一泊旅行かと言う位、大荷物を持って来た大河。
ついさっき、一緒に行くかと誘われて大河はふたつ返事をすると、脱兎の如く自宅のマンションに戻り、支度を整えて帰って来たのだ。
「着替えとタオルがあればいいんだよ・・・なんなんだこの荷物は?」
お風呂に浮かべるひよこのおもちゃでも入ってるんじゃないだろうなと言った竜児は大河に荷物が入ったバッグで叩かれたのだが、大河は上機嫌のままだった。
銭湯なんて初めて・・・と高いテンションのままやって来てしまったと言う次第なのだ。

101しあわせの逢坂タイガー伝説2 ◆x6jzI2BeLw:2010/01/29(金) 01:33:44 ID:???

「大丈夫だって・・・きゃん!」
そう調子よく返事した大河は言い終えるや否や入り口の段差につまずいて派手にこける。
「失敗、失敗」
それでもすぐに立ち上がり、照れくさそうに番台の向こうに消える大河を見送り、ホントに大丈夫かよと竜児は心配になる。
さすがの竜児も女湯までは大河のドジをフォローしてやれないからだ。
なるようになるか・・・と竜児は諦めにも似た境地で脱衣所へ向かった。

中へ入り、大河はもの珍しく周囲を見渡す。
「ねえねえ、やっちゃん、どうするの?」
銭湯の作法を泰子に問う大河。
そんな大河に泰子は微笑むとあれこれ教え始めた。
「この籠に脱いだお洋服を入れるの・・・入れたらあの棚に置いて・・・」
うんうんと大河は頷く。
一通り説明を終えた泰子がブラウスのベルトに手を掛けるのを見て、大河も後に続く。
大河が長めの靴下を脱ぐのに手こずっている内に泰子はさっさと身軽な状態になっていた。
「・・・わっ!」
「どうしたの?大河ちゃん」
大河の視線は泰子の豊かなお胸に注がれていた。
「やん、大河ちゃんのエッチ」
大河の食い入るような視線に、ひょうきんに応じる泰子。
その昔、箸でつんつんしてしまったくらいあこがれる豊年満作な世界を目の当たりにして大河は目が点になる。
そして脱ぎ掛けていた自分のインナーのホックを外す手が止まる。
その下に隠れた飾りの無いありのままの自分があまりにもみすぼらしく感じてしまったからだ。
シュンとしてしまった大河の心の中を優しく包むように泰子が言う。
「きれいだと思うよ。大河ちゃんの」
思い掛けない泰子の言葉に大河のうつむいていた顔が持ち上がる。
「きれい?私のが?」
「そう・・・とっても・・・服を着ててもやっちゃんには何もかもお見通しだよ」
だから、安心してと付け加えられた泰子の声に後押しされて、大河は止めていた手を動かす。
小さな衣擦れの音と共に大河の女の子を象徴する小高い頂が外気にさらされる。
「・・・変じゃない?」
頬を薄いピンク色に染めながら大河が聞く。
「全然・・・思ってた以上にきれい・・・自信持っていいからね」
力強く言う泰子に大河は勇気付けられる。
「でも、ちっちゃい・・・」
自分の手のひらで覆い隠せてしまえそうなカップサイズ。
大河は両手でそれぞれのふくらみを押さえる。
「やっぱり・・・小さいよ」
泰子にきれいと言われて気を良くしたものの、大きさの不足をどうしても大河は感じてしまう。
「そうね・・・今はまだだけど・・・大河ちゃんのこと、本当に大事にしてくれる男の子が現れたら、きっと愛情を込めて育ててくれると思うの」
「・・・愛情込めて?」
「そう」
今、自分が押さえているふたつのふくらみ・・・いつか、自分以外の手が触れる時が来る。
自分はどんな顔でその時を迎えるんだろうと大河は思う。
それは遠い未来なのか、近い将来なのか、そして・・・誰が・・・。
そこまで思い至った大河の脳裏に浮かぶ竜児の顔。
なんでここに竜児がと思ったものの、もう止まらなかった。
あれこれ想像した大河は首から上が熱したニクロム線みたいに赤くなる。

102しあわせの逢坂タイガー伝説2 ◆x6jzI2BeLw:2010/01/29(金) 01:35:47 ID:???

「竜ちゃんにはもったいないくらいかも」
このひと言に大河が激しく反応する。
「な、なんでそこに・・・り、り、竜児があ・・・」
たった今、想像してたとも言えず、あわあわとうろたえる大河。
「あらあ、大河ちゃん、竜ちゃんのこと嫌い?」
悪戯めいて聞く泰子。
「・・・少なくとも、キライじゃない」
少し間を置いて大河は真面目に答えた。
「だったらいいこと教えてあげる」
「いい事?」
「そう・・・竜ちゃんはね・・・あんまりお胸の大きな娘は好みじゃないんだあ」
「何でやっちゃんがそんなこと知ってるの?」
「何でかなあ」
不思議そうな顔をする大河に笑ってはぐらかす泰子。
その昔、竜児が隠し持っていたHな本をこっそり見ちゃったからとは竜児の名誉のため伏せる泰子だった。



一通り髪も体も洗い終えて、カランの前から立ち上がった大河を泰子が呼び止める。
「何?やっちゃん」
「髪、やってあげる」
長いままじゃ、湯船に入れないでしょと泰子は言い、大河を再度座らせると手早く髪留めを使い大河の髪をアップにした。
「ありがとう、やっちゃん」
「どう致しまして。でも、大河ちゃんの髪、きれいね」
ほとんど枝毛も無くてうらやましいと泰子は大河の髪を誉める。
「全然、そんな風に思ってなかった・・・今日、竜児に言われるまで」
ぼさぼさになった髪を竜児が直してくれたと大河は打ち明ける。
「竜ちゃん、なんて言ったの?」
「やっちゃんとおんなじこと言った・・・きれいだって」
ちょっとは女心が理解出来るようになって来たのかしらねえと、泰子は息子の精神的な成長を嬉しく思った。

103しあわせの逢坂タイガー伝説2 ◆x6jzI2BeLw:2010/01/29(金) 01:37:33 ID:???

浴槽へ飛び込もうとした大河の足が止まる。
「どしたの?」
泰子の問いに大河は疑問を口にする。
「お風呂がふたつあるんだけど・・・」
同じ大きさの浴槽が仕切りを隔てただけでふたつ並んでいる。
どう違うのかと大河は言う。
この質問に泰子は右が熱いお風呂で左がぬるいお風呂だと簡潔に答えた。
「ふ〜ん」
そう言われて大河は浴槽の隅っこに温度計があるのに気がついた。
右は43度左は39度を示している。
「やっちゃんはぬるい方がいいかな・・・大河ちゃんもそうする?」
・・・ん、そうすると大河は言い掛けて既に熱めの浴槽に肩までどっぷり浸かったお婆さんと目が合う。
その目は「若いのお、お主」と言っているように大河に見えた。
「熱いのにする」
意地っ張り大河の面目躍如なのだが、泰子が心配そうに言う。
「大丈夫?熱いわよ」
「平気だって」
家でも熱いのに入っていると経験者の余裕をかまし、慣れた素振りで浴槽へ足を入れる大河。
つま先から伝わる想像以上の熱気が大河のこめかみをひくつかせる。
「こ、これくらい・・・全然・・・ぬ、ぬるいくらい」
どうにか両足を浴槽に入れたものの、そこから先は恐る恐ると言った感じで大河は体を湯に沈めて行く。
体と湯が触れる面積が増えるたび、あまりの熱さに大河は身をよじる。
「へ、平気よ・・・何よ、これくらい・・・何だっての・・・えい!!」
最後は掛け声と共に一気に全身をお湯に浸した大河。
「ぬるいわ・・・ふへへ」
・・・と、勝ち誇った様子で余裕のあるところを見せて居られたのは1分に満たなかった。
「・・・釜茹での刑・・・げ、ん、か・・・い・・・」
額に大粒の汗を浮かべ、真っ赤な顔をしてすっかり茹で上がった大河が浴槽を飛び出す。
そしてそのまま片足を浴槽の縁に引っ掛け、見事おでこから床のタイルにダイビング。
「きゃあ、大河ちゃん!!」
泰子の悲鳴を耳に大河は己の浅はかさを呪った。
・・・つまんない意地は張るもんじゃないわ。


天井近くにある男湯と女湯の境の開口部から聞こえて来る喧騒に混じって聞き慣れた声の悲鳴。
湯船で寛いでいた竜児は頭に載せたタオルを取り落としそうになる。
・・・何、やってんだ、あいつら。
続いて聞こえる声に竜児は思わず湯船の中で立ち上がり、大声を出す。
「たいが〜!、大丈夫かあ!!」
・・・りゅうちゃああん・・・たいがちゃああんが・・・ころんだああ・・・
泰子の声が反響して聞こえる。
あれだけ言ったのに・・・ドジめ・・・・。
竜児は湯船の中で頭を抱えた。

104しあわせの逢坂タイガー伝説2 ◆x6jzI2BeLw:2010/01/29(金) 01:39:25 ID:???

「お待たせ」
銭湯の外へ出た大河は待ちくたびれた様子で立っていた竜児に声を掛ける。
「遅いぞ・・・いつまで入ってるんだよ」
「だって・・・仕方ないじゃない。いろいろあったんだから」
言い難そうに大河は竜児に言う。
「まったく・・・怪我とかしなかったよな」
仕方ないと言う口調に心配さをにじませて竜児は大河を気遣う。
「おでこ、ぶつけた」
「どれ、見せてみろ」
そう言うと竜児は大河の前髪をかき分けおでこを顕にする。
少し赤くなった痕が残る大河の白い額。
「もう少し気をつけろ、後に残ったらしゃれにならねえ」
ぶっきらぼうの中にも竜児の真剣な真情が読み取れて大河はただ「うん」とだけ答えた。
少し遅れて泰子が銭湯から出て来たのを確認すると竜児は帰宅を宣言する。


「持ってやるよ」
半分怪我人なんだからと竜児は大河のバッグを奪い取る。
触れた竜児の手の冷たさに大河ははっとする。
「竜児・・・」
「何だよ?」
「ずいぶん・・・待った?」
「ああ、15分くらいな」
「え〜、竜ちゃん、そんなに待ってたの?外じゃなくて中で待ってれば良かったのに」
「中で待ってたら、ふたりとも出て来たのが分からねえだろ」
泰子の声に竜児は大河と泰子を待たせたくなかったと言った。
「・・・ごめんね」
「何で大河が謝るんだ」
「私が・・・ドジしちゃったの・・・お湯に上せて倒れた私をやっちゃんが介抱してくれたから」
だから、出るのが遅くなったと大河は竜児に詫びた。
「いいんだ」
気にすることじゃないと竜児は空いた右手で大河の頭の天辺を軽くポンと叩いた。
「・・・竜児」
大河は竜児を見上げ、申し訳ない気持ちが込み上げて来るのを抑えられない。
「・・・手袋」
そう言うと大河は両手でたった今、頭を叩いた竜児の手を包み込む。
「ちょっとは暖かいでしょ?」
「ああ」
大河がしてくれた人肌の手袋は竜児にとって心地よさ満点だった。
「良かった」
そう微笑んだ大河だったが、ふとさっきのことを思い出し、竜児の手を包む指先に神経が集中してしまう。
・・・もしかしたら、この手が・・・私の・・・。
大河は顔が火照るのを止められなかった。
「・・・何だよ大河。上せたのまだ引いてないのか?」
赤ら顔の大河を見て竜児は言う。
「・・・違うわよ」
大河は竜児から顔を背けるようにして小声で聞こえないように付け加えた。
・・・上せてるのはお風呂じゃなくて、竜児、あんたによ・・・・・・。

105 ◆x6jzI2BeLw:2010/01/29(金) 01:43:35 ID:???
以上です。

106高須家の名無しさん:2010/01/31(日) 00:35:31 ID:Mf.zk6.M
クリームソーダの人のサイトにスレに投下しなかった作品が発表されてるな。

107 ◆x6jzI2BeLw:2010/02/01(月) 00:55:24 ID:???
未だ規制中・・・

代理投稿ありがとうございます。
代理投稿の呼びかけもありがとうございます。
それからコメントなどもありがとうございます。

ひたすら、ありがとうを連呼するのみですが(汗

週明けに解除されてなかったら長くなりそうな悪寒・・・。

しかし、今の銭湯ってどんな感じなんだろう。
近所にはもう一軒も無いしね。

108高須家の名無しさん:2010/02/01(月) 01:19:23 ID:???
番台さんがいるような銭湯は最近ほんと見なくなったよね
ウチの周りもスーパー銭湯ばっかりだ。風情が無いよなー

109高須家の名無しさん:2010/02/02(火) 12:52:13 ID:???
また規制だー

うちの近所にはまだ普通の銭湯が点在してるよ
田舎だから

110喫茶店に入るには微妙な勇気がいる:2010/02/02(火) 19:09:55 ID:3nGOqFd2
ちいさな喫茶店にて
「カランカラン」と入口の鈴が鳴り1人の青年が入店してきた。
 
「いらっしゃいませ」
「今日は冷えるねマスター、もう暦の上じゃ春だってのに」
「ほんとですね、今夜は雪でも降るんじゃないですか」
「全くだよ、俺の懐も冷える一方だ」
「コーヒーでも飲んで暖まってください、レギュラーでよろしいですか?」
「ああ、それとケーキかなにかある?疲れた時には甘い物を摂りたくなるからな」
「そういえば、お客さん、大分疲れてるみたいですね、そんなに険しい眼をして」
「目つきが悪いのは生まれつきだ、でも他人から見ても疲れているのは判るか・・・」
「何か悩み事があるならここで愚痴をこぼしていったらどうですか」
「はっ?」
「男は見栄張ってナンボの生き物、学校でも家庭でも愚痴はこぼせない、赤の他人だからこそ話せることもあるんですよ」
「・・・別に悩みなんてねーけど、・・・大体読者の目があるからな」
「大丈夫です、うちはお客さんのプライバシーは完璧に守られるんで、読者からは誰か判りません」
「ああ、そうなんだ」
「はい、このSSは全編こんな感じです。誰だか全然わからないので何でも喋れますよ、ちなみにここでは顔見知りと出会っても知らないフリをするのがルールです」
 
そこまで言うとマスターはカウンターの中から一枚のボードを取り出し青年に見せる
 
1 好きなだけ愚痴を言ってください
 
2 1人で来店してください
 
3 知り合いに会っても知らないフリをしてください
 
4 ここで聞いた事は他言しないで下さい
 
「このようなルールになっています。何のしがらみにもとらわれず愚痴を吐ける場所、それがこの店なんですよ」
「愚痴ねえ・・・いつも愚痴ってるからな俺、そんなに溜まっては・・・」
 
「カランカラン」とドアの鈴が鳴り別の客が入店してくる
 
「チャオ〜、マスター」
「いらっしゃいませ、いつものカフェオレでよろしいですか?」
そして青年の隣に座るが新たに入店したモデルのような美しい女と青年は目が合うと互いに黙り込んでしまう
 
「どうしましたお2人とも急に黙り込んじゃって、まさか・・・」
そう言ってマスターは再びボードを掲げ2人の客に見せる
 
1 好きなだけ愚痴を言ってください
 
2 1人で来店してください
 
3 知り合いに会っても知らないフリをしてください
 
4 ここで聞いた事は他言しないで下さい

111喫茶店に入るには微妙な勇気がいる:2010/02/02(火) 19:10:37 ID:3nGOqFd2
奇妙な静寂を破り、青年はもう1人の客に話しかける
「あの・・・結構この店には来るんですか?さっきいつものカフェオレって・・・結構愚痴とか溜まってるんですか」
「いやいや、ちょっとね、ほんの2・3回ぐらいかな、ウン」
「50回ぐらい来てますね」
「あ、ちょっとマスター、余計なこと言わないで、お願い」
「え、では今日も愚痴をこぼしに来たんですか?」
「いやいや、今日はただお茶を飲みに・・・」
再び会話に割り込むマスター
「また、クラスの恋愛がらみの揉め事のことですか?」
「マスター!余計なこと言うなって言ってるだろ!やめてエエエエ」
「へっ、へえ〜、クラス内の恋愛での揉め事ですか、大変そうですね、そりゃ愚痴も出ますわ」
引きつった笑みを浮かべる青年
「いやいや、違うのよ!泥沼化が眼に見えてるけど別に悪口とか言ってるわけじゃなくてね・・・」
「そうですね、ネチネチ悪口って言うか、毎回簡潔に「死ね」って言ってるだけですもんね」
「マスター死ね!お前が死ねエエ!」
血相を変えて叫ぶもう一人の客
「いやいや、聞いて下さいよお客さん、このモデルさんのクラスである男子生徒と女子生徒がいつも一緒にいるのに付き合ってないと言い張ってるのがうざくて仕方ないそうなんですよ」
「ゲッ、ゲホ・・・それは本人達の言うとおり付き合ってないんじゃないかな?」
「その割にはモデルさんが男の子にちょっかいだすとすぐにやきもち焼いて手に負えないそうです」
「それの何処が愚痴なんだ?」
「男の子は本命がいるいるのに、いつまでも女の子の父親のように振舞っていて、本命と女の子が親友なのにそんな事続けてたら悲惨な事になるとの忠告を無視してるそうです」
「マスター!例のボード出して、この人にちゃんと読ませて!特に4番目を」
もう1人の客に頼まれ、青年にボードを見せるマスター
 
1 好きなだけ愚痴を言ってください
 
2 1人で来店してください
 
3 知り合いに会っても知らないフリをしてください
 
4 ここで聞いた事は他言しないで下さい
 
「ちょっと!四番目を肝に銘じときなさいよ!」
「おっ、おう・・・、わかったよ」
 
そのとき女性の声が店内に響く
 
「ちょっとマスター!せっかく来たのに何であたしに気づかないのよ!」
 
カウンター席の後ろに立っていたのは小さな体とはアンバランスな美しい顔をした女の子だった。そしてその目は虎のように鋭かった 
「申し訳ありません、カウンター席でよろしいですか?せっかくですからこの二人の愚痴を聞いてあげて下さい」

112喫茶店に入るには微妙な勇気がいる:2010/02/02(火) 19:11:14 ID:3nGOqFd2
「そんなことよりマスター、もっと面白い話は無いの?・・・かっ片思いの相手の攻略法とか・・・」
「すいませんねタイガーちゃん、ここで聞ける話は平凡な愚痴ばっかりなんですよ、ところで、さっきの話を聞いてました?」
「別に何も聞いてないわよ!」
そう言って二人の客を睨みつけるタイガーちゃん、手には木刀が握られている
 
「そうですか、ところでタイガーちゃん、今日も三白眼の男の子の話ですか?」 
テンションの高くなったマスターとは対照的にお互い顔を会わすと黙り込んでしまう3人
 
「・・・あれ、どうしました皆さん、血の気が0で顔色が真っ青ですよ、モデルさん口から泡吹いてますけど・・・」
「どうしたの大丈夫?」
とか言いながらモデルさんをボコボコにするタイガーちゃん
「わっ、私、忘れ物したから帰るわ!マスターお代は今度払うわ!」
そういい残し店からダッシュで逃げ去るモデルさん、
「おい、待てエエエ!俺を怒り狂う狂虎の隣に1人残して逃げるつもりかアアア!」
必死に叫ぶ青年
 
「ああ、タイガーちゃんはこの人がお気に入りですか、いいですね中々お似合いですよ、例の男なんてやめて乗換えたらどうですか?」
顔を真っ赤にして黙りこくるタイガーちゃん
「マスター、このタイガーちゃんは良く店に来るの?」
「そうですね、去年の五月あたりからですから、かれこれ半年以上ですね」
「色々悩みがあるんだな…」
「クラスメートで隣に住んでる男子生徒のことが気になって困ってるって愚痴をいつも聞かされてますよ、」
「マスター!嘘言わないでよ!そいつとは別に好きな人がいるって言ったじゃないの!」
「ですが、いつもこの店で話すのはその男子のことばっかりではないですか」
「どんな話なんだ?」
「結構重い内容でしてね、いつも自分を見守ってくれる男子には好きな人がいて、しかも相手は自分の親友、2人が付き合い出したらもうその人の傍に自分が居てはいけないのが辛いとのことです」
ブホッっと思いっきりコーヒーを噴出す青年
 
急に席を立つタイガーちゃん

113喫茶店に入るには微妙な勇気がいる:2010/02/02(火) 19:11:46 ID:3nGOqFd2
「マスター!あたしちょっと友達に電話してくるわ」
 
そう言って店から出てゆく
 
そして青年も慌てて
 
「マスター!俺ちょっと急用思い出したから帰るわ!代金はここに置いておくぞ」
「ちょっと待って下さいお客さん」
「なんだよ!」
 
「ひとつ、言っておきたいことがありましてね、私は何十年も人の愚痴を聞いてきました何千何万の愚痴を聞き続けてきました
人の悪口、仕事の不満、気の滅入る話ばかりです。ですがそんな愚痴を何故何十年も聞き続ける事ができたのか
 
愚痴の裏には愛情があるからですよ
 
こんなに一生懸命やってるのに思い通りに行かない、こんなに大好きなのにどうしてこの人は思い通りにならない、さっきのモデルさんもそうだったでしょ
愚痴って言うのは全て思い通りにならない愛情からくるただのぼやき
ただのノロケ話とかわらないんですよ」
 
しばしの沈黙の後
 
「・・・ここまで言えばわかりますよね、お客さん、いや、「三白眼」さん。タイガーちゃんの事、ヨロシクお願いしますね、今日はもう閉店します」
 
店が閉まりドアの前で立ちすくむ三白眼の前にタイガーちゃんが現れる
 
「あれ?もう閉店しちゃったの?」
「あ・・・ああ、急用があるとかで」
「・・・そう、残念ね、コーヒー飲みたかったのに」
「飲みにいくか?」
「・・・えっ?」
「コーヒー飲みたいなら、・・・付き合ってやってもいいって言ってんだよ」
「いいの?」
「え?」
「朝まで愚痴に付き合ってもらうかもしれないわよ」
「・・・フッ、構いやしねーさ」
 
三白眼はタイガーちゃんの手を取って2人で走り始める
 
 
「だって俺はもう、愚痴の本当の意味を知っているから・・・」
 
 
 
 
その時喫茶店の向かいにある狩野商店から買い物袋を持った竜児が出てきて手を繋ぎ走って行く三白眼とタイガーちゃんを見て一言
「誰だアレは?」
終わり

114高須家の名無しさん:2010/02/02(火) 23:05:13 ID:qK.86EI6
これ、いいのだろうか。
丸々銀魂のパクリっぽいんだけど。

115高須家の名無しさん:2010/02/02(火) 23:13:03 ID:???
あんまり潔癖な流れはやだな
出典を明らかにすればいいと思うんだけど
書いた人も一言断ればいいのにな

116高須家の名無しさん:2010/02/03(水) 18:06:46 ID:???
規制巻き込まれたorz

『恵方巻』

「う〜ん……」
「竜児、どうしたのよ?」
「いや、恵方巻の具をどうしようかと思ってな……」
「そんなに悩むことなの?」
「おう、なにせ七福神に因んで七種類って話だからな。定番のやつはともかく、オリジナルで考えるとなると味のバランスとかもあるし……」
「それなら私にいいアイデアがあるわ」
「おう、何だ?」
「バラ、ヒレ、もも、かた、ロース、ハラミ、サーロインで七種類」
「全部肉じゃねえか!」

《定番はかんぴょう、キュウリ、シイタケ、卵(だし巻)、うなぎ(あなご)、でんぶとあと一種ということらしい》

117高須家の名無しさん:2010/02/03(水) 21:27:37 ID:???
「ん……竜児……」
「大河……いいか?」
「あ、ちょっと待って」
「え?」
「え〜っと、北がこっちだから……」
「おい大河……こんな時に方位磁石とか持ち出して何やってるんだよ?」
「そりゃもちろん、竜児の恵方巻を食べる用意に決まってるじゃないの。ちゃんと西南西を向かないと」
「……こりゃまたド直球なネタで来やがったな……」
「はい、準備OK。途中で向き変えちゃ駄目だからね」
「よしわかった、それなら大河も終わるまで声出すんじゃねえぞ」

ギシギシンッ!ンッ!

118高須家の名無しさん:2010/02/04(木) 01:23:10 ID:???
潔すぎてフイタwwww

119高須家の名無しさん:2010/02/04(木) 18:31:21 ID:BYeFhqhc
どっちも直球だw
ワロタwww

120 ◆Eby4Hm2ero:2010/02/06(土) 01:55:34 ID:???
只今規制中……
代理投稿歓迎です。

121とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2010/02/06(土) 01:56:02 ID:???
お題 「向けて」「落として」「竜児」



「大河ちゃん、どうしちゃったんだろうね〜……」
「おう……」
 卓袱台の上には虚しく冷めゆく料理が一人分。
 大河が三日前から突然食事を食べに来なくなったのだ。それだけではなく昼の弁当まで拒否をする始末。
 理由を聞いても『そんな気分じゃない』とかなんとか、はっきり言ってわけがわからない。
 一応コンビニ飯やインスタント、惣菜等で食事はしているらしいのだが……
「あいつ、ちゃんと栄養とれてるのか?野菜食ってないんじゃねえかな……」
「心配だねぇ〜……」
「おう……」


 翌日。
「おう……しまった」
 今日は泰子は早出なので、夕食は竜児一人だけ。だが皿の上には揚げたてトンカツが二枚。
 大河の分は下拵えまでにしよう思っていたのだが、気がついたらいつもの癖で揚げてしまっていたのだ。
「冷めたのを暖めなおすと味が落ちるしなあ……。しかたねえ、明日カツ丼にするか弁当にまわすか……」
 竜児が呟いた時、どばぁん!と久しぶりに響いたのはドアの音と、
「竜児ーっ!おなかすいたーっ!」
「た、大河!?」
「ごはん何?あ、とんかつ!やった!ほらグズ犬、さっさと用意しなさいよ!冷めちゃう!」
「お、おう……」

 ぱくり、とトンカツを一切れ口に入れ、もぐもぐ、ごっくん。
 たちまち大河は相好を崩し、
「……っくぅ〜〜!これこれ、この味!やっぱ竜児のごはんは美味しいわ〜」
「……それじゃ、何でここんとこ食べに来なかったんだよ」
「んとね、ちょっと再確認したくなったのよ」
「……何を?」
「私、毎日当たり前のように竜児の料理食べてたけど、考えてみればほんの何ヶ月か前までは手料理そのものに縁が無かったのよね。
 それを思い出しちゃって、そしたら、ここでごはん食べてることの意味っていうのかな、考えちゃって……
 で、一度ちょっと離れてみようかなって」
「おう、そうだったのか……心配したんだぞ、俺も泰子も」
「ごめんね、上手く説明できなくて」
「まあいいさ、こうやって戻って来たんだし。さ、冷める前に食っちまえよ」
「うん。ねえ竜児」
「おう?」
「離れてわかったのはね、竜児のごはんが食べられて、私やっぱり幸せなんだってこと」
「おう……」
 竜児の頬に、つうと流れる一滴。
「……あれ?何でだ?」
「何よ竜児、泣いてるの?」
「いや、わかんねえ。わかんねえけど……うん、多分俺も今幸せだから……だと、思う……」
「……よっしゃ!」
 大河が小さくガッツポーズ。
「……え?」
「まさかこんなに上手くいくなんて思わなかったわ。感激のあまり泣き出すなんてね」
「え?え?」
「本で読んだのよ。男の子の気を引くのには『落として上げる』のがいいって。
 竜児にこんなに効果があるなら、北村君にだってきっと……!」
「……おう、そうだな!これなら北村もイチコロだぜ!実際に体験した俺が言うんだから間違いねえ!」
「でしょでしょ!早速北村君用に向けてのシチュエーションを考えないと!」
「ところで大河、お前そもそも北村に冷たい態度がとれるのか?」
「……ゔ」
「それに落とした時、上げる前に完全に気持ちが離れちまう可能性もあるよなあ」
「うう……」
「……憶えとけ、これが『上げて落とす』ってやつだ」
「ううう……」


「ねえ竜児」
「おう?」
「さっき話したのも、嘘じゃないから」
「……おう」

122高須家の名無しさん:2010/02/07(日) 22:28:57 ID:???
これはニヤニヤが止まらないw

123 ◆QHsKY7H.TY:2010/02/17(水) 20:54:52 ID:???
新作投下しようと思ったらまたアク禁だった。

なのでこっちに投下します。
代理投稿歓迎、というかしてくださってる方いつもありがとうございます。

124ゲームは一日一時間〜一時間目〜 ◆QHsKY7H.TY:2010/02/17(水) 20:56:45 ID:???
「ねぇ竜児、これ聞いてみて」
「おぅ?」

大河はニコニコしながら竜児にプレイステーションポータブル、通称PSPを近づける。

『だーいすき!!』
「おわっ!?」

唐突に聞こえて来たのはここに居るはずの大河の声での大音量による告白。
思わず胸がドキドキしてしまった。

「あー驚いてる驚いてる」

大河はしてやったりとしたり顔。

「な、何だよ今のは」
「竜児『Routes』ってゲーム知ってる?これ結構面白いんだよ」

大河がそう説明していると、何故か発してもいない自分の声がPSPから聞こえて来た。

「ちょっと待て!!何でゲームから俺の声が聞こえてくる!?」
「ああこれ?えっとねぇ、なんとヒロインと主人公の声優が私たちと一緒なのだ!!」
「いや、だからってお前これは……」

PSPから流れてくる大河のバリバリストロヴェリィボイス。

「ああこれ?一旦落ちると甘々になるみたい……って何耳塞いでるのよ竜児」

竜児は耳を塞いで何やらブツブツ言っている。

「これは大河じゃないこれは大河じゃないこれは大河じゃない、そもそも俺にこんな甘い声を大河は出さない」

それを見た大河はニヤリと笑うと差し足抜き足忍び足。
竜児の耳元に近寄ると、小さく小さく、甘く甘く、呟く。

「りゅうじぃ?」
「ひゃー!?」

途端、竜児は大河のような叫び声を上げる。
それを見て大河は大笑いした。

「な、何だよ!!」

竜児は気分を悪くしたのか、そう言い捨てて何処かへ言ってしまう。
一人になった大河はふっと表情を消すと、PSPにポケットから出したイヤホンを繋ぎ、

「竜児の声、聞こえるよ」

トロンとした笑みを浮かべてゲームを再開し出した。

125ゲームは一日一時間〜二時間〜:2010/02/17(水) 20:59:25 ID:???
「うう、わかる、わかるよぉ」

ふと竜児が気付くと、大河はいつの間にかプレイステーション2、通称PS2をやっていた。
また何か変なゲームをやっているのかと竜児が訝しがりながら見たパッケージ。
それは、

「Fate/stay night?ああ、結構人気出たビジュアル伝記ノベルか」

しかし、そうなると大河が涙ながらにわかると言っている意味がわからない。

「竜児、私この人の英語の授業なら真面目に受ける気がする」
「一気に謎が解けたな、っていうかつまりお前は担任の授業は真面目に受ける気がねぇとそういうことか」

Fate/stay nightには英語教師として藤村『大河』という女性が出てくる。
これがまた冬木の虎と呼ばれているキャラで、しかも大河という自身の名前を気に入っていない。
だというのに、

「虎を深く憎み、同時に深く愛しているなんて……なんて素晴らしいのかしら」
「まぁ確かに似てる部分はあるわな、虎って呼ばれたり、そういや剣道も強いんだっけ」
「そう、そうよ!!この人こそ私の指標となる人物よ!!そうだ、竜児アンタは料理が上手いから士郎よ!!」
「でえっ!?俺そんなに強くねぇよ!!」
「いいのよ!!無駄に細かいし」
「それに俺が士郎でお前が藤ねぇになったら物語的に恋愛要素絡まねぇぞ」
「あ……」

忘れてたとばかりに大河はコントローラーを取り落とす。
瞬間画面では、

『ソコツものがー!!』

とタイガー道場よろしく藤ねぇのデンドエンドった後の画面になっていた。
大河しばし悩んだ後、ポチリと電源を落とす。

「もうやんないのか?」
「ん、ここにエコエコ大魔神がいるから、あんまりゲームやってると電気代云々って文句言われるし」

本当に理由がそれだけなのかはわからない。
わからないが、

「じゃ、買い物にでも行くか」

竜児も大河に習ってゲームの事は頭の隅に追いやった。
ちなみに……あと十分大河がゲームを続けていたら大河の考え通りの事を竜児が言っていたのは言うまでも無い。

126ゲームは一日一時間〜二時間目〜:2010/02/17(水) 20:59:40 ID:???
「うう、わかる、わかるよぉ」

ふと竜児が気付くと、大河はいつの間にかプレイステーション2、通称PS2をやっていた。
また何か変なゲームをやっているのかと竜児が訝しがりながら見たパッケージ。
それは、

「Fate/stay night?ああ、結構人気出たビジュアル伝記ノベルか」

しかし、そうなると大河が涙ながらにわかると言っている意味がわからない。

「竜児、私この人の英語の授業なら真面目に受ける気がする」
「一気に謎が解けたな、っていうかつまりお前は担任の授業は真面目に受ける気がねぇとそういうことか」

Fate/stay nightには英語教師として藤村『大河』という女性が出てくる。
これがまた冬木の虎と呼ばれているキャラで、しかも大河という自身の名前を気に入っていない。
だというのに、

「虎を深く憎み、同時に深く愛しているなんて……なんて素晴らしいのかしら」
「まぁ確かに似てる部分はあるわな、虎って呼ばれたり、そういや剣道も強いんだっけ」
「そう、そうよ!!この人こそ私の指標となる人物よ!!そうだ、竜児アンタは料理が上手いから士郎よ!!」
「でえっ!?俺そんなに強くねぇよ!!」
「いいのよ!!無駄に細かいし」
「それに俺が士郎でお前が藤ねぇになったら物語的に恋愛要素絡まねぇぞ」
「あ……」

忘れてたとばかりに大河はコントローラーを取り落とす。
瞬間画面では、

『ソコツものがー!!』

とタイガー道場よろしく藤ねぇのデンドエンドった後の画面になっていた。
大河しばし悩んだ後、ポチリと電源を落とす。

「もうやんないのか?」
「ん、ここにエコエコ大魔神がいるから、あんまりゲームやってると電気代云々って文句言われるし」

本当に理由がそれだけなのかはわからない。
わからないが、

「じゃ、買い物にでも行くか」

竜児も大河に習ってゲームの事は頭の隅に追いやった。
ちなみに……あと十分大河がゲームを続けていたら大河の考え通りの事を竜児が言っていたのは言うまでも無い。

127ゲームは一日一時間〜三時間目〜 ◆QHsKY7H.TY:2010/02/17(水) 21:01:44 ID:???
「なんだ、またゲームやってるのか、大河」
「ん」

大河はこちらにパッケージを見せる。

『龍が如く』

「おぅ、これって結構人気のあるゲームじゃねぇか、確か極道になるゲームだよな」
「そう主人公が堂島の龍って呼ばれるの、これは1だから遥って女の子に出会って……って感じね」
「ほぉ、こういっちゃ何だか珍しく俺たちに絡みのないゲームじゃないか」
「そう?」

竜児がそう言った時、

『おじさん、あれあれ』

画面からは大河の声が聞こえて来た。

「……まさか」
「えへへ」

遥という少女の声は竜児の直感通りだった。
中の人が同じなのだ。
しかし、それだけだ、それだけ。

「これは遥が桐生に護ってもらうんだよ」
「桐生ってのが主人公なのか」
「そう、堂島の龍」
「……ん?龍?」

嫌な予感がする。
龍→竜。
極道→目つき悪い、というか恐い。
護られる少女→大河と同じ。

「全然関係無くねぇじゃねぇか!!」
「そ、そぉ?」
「目を逸らすな!!お前わかっててやってるだろ!?」
「べっつにぃ……あ、そうだ竜児」
「別にって……なんだよ」
「ほら、今画面で遥が桐生に聞いてるじゃない?『ソープって何?』って」
「うぉぉう!?」
「ここで桐生は風呂だって言った後誤魔化しちゃうんだよね、ねぇソープって何?銭湯?」
「さ、さぁ?」

ジトーっと横目でしばらく大河は竜児を睨む。
惚けてないで早く教えろということだろう。

「黙ってないで何とか言うのだこのエロ犬!!」
「エロ犬ってお前絶対意味わかって言ってんだろ!?」
「さ、さぁ?」
「俺と同じ惚け方してんじゃねぇ!!」

128 ◆QHsKY7H.TY:2010/02/17(水) 21:08:22 ID:???
間違って二時間目を二回も投下してしまった。
すいません。

今回はちょこっとネタの新シリーズ開拓してみた。
今度はアニメも書いてみるつもり。

ゲームもそのうち四時間目以降を思いついたら書くかも。
他の方で思いついたら方がいたら書いて下さっても結構です。

129まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2010/02/21(日) 16:32:53 ID:???
まとめサイト更新しました。

うおおお…携帯で狐ぽをゲットしてお試し●をもらおうとしたらキャンペーン終了で2000Pしかもらえなかった…ッ!
チクショウ!早く規制解けやがれ!

あーBD化しないかナー
消失面白かったナー

130高須家の名無しさん:2010/02/21(日) 23:13:23 ID:???
>>129
乙です。
いつも、ありがとうございます。

と、規制中の自分も言ってみる。

131高須家の名無しさん:2010/02/23(火) 03:22:05 ID:???
今日の「フェアリーテイル」でハッピーとエルザの人格が入れ替わってた。
……えーと、中の人的に大河とやっちゃん?w

132 ◆x6jzI2BeLw:2010/03/01(月) 00:46:53 ID:???
新作投下しようと思えば規制中。
規制解除はいつでしょう(笑)

そんなわけでお世話になります。
代理投稿歓迎と言うかお願いします。

以下、新作「超しあわせの逢坂タイガー伝説」
たまにはタイトル付けよう・・・って本スレ>>322の意見のままじゃないかw
ちなみに前作と余り関係はなかったりする。

ではいきます。

133超しあわせの逢坂タイガー伝説 ◆x6jzI2BeLw:2010/03/01(月) 00:48:49 ID:???

「高須、呼んでるぞ」
クラスメートに呼ばれた竜児が声のした方へ振り向くと、教室の入り口にちょこんと立っている大河の姿。
竜児を認めるとお弁当が入った袋を軽く振り回しながら、早くしろと急き立てる。
「おう、今行く」
昼休みが始まったばかりの教室は授業の緊張から解放された緩い空気が漂う。
立ち上がった竜児は既に机を合わせ島を作ってお弁当を広げていた女子生徒から声を掛けられる。
「相変わらず、仲いいのね」
「まあな」
「前みたいにここで食べれば?わざわざ外へ行かなくてもいいんじゃない」
「そうしてもいいんだけどな・・・あいつがさ」
竜児が目線を流す先で仁王立ちしている大河。
あんな小柄な体の何処にこんな存在感を示せるのかと言うくらい目立っている。
「ああ、相当怒ってたもんね、逢坂さん」
くすくすと可笑しそうに笑う。
「りゅーじ」
何、のんびりしてるんだと催促の声をあげる大河に女子生徒は肩をすくめる。
「お待ちかねみたいよ」
「わりい」
ひと声掛けてから竜児は大河の側へ駆け寄る。
「遅い。昼休み終わっちゃうじゃない」
あんたは悠久の時を生きているのかと数十秒の遅刻をした竜児を責め立てる大河。
「怒るなよ」
「怒ってなんかないわ」
その台詞とは裏腹に口調に表れる大河の不快指数。
「何なの?・・・あの女?」
「クラスメートだろうが」
「ホント、面白くないクラスね・・・ああ、不愉快」
そのままぷいっと身を翻すと大河はスタスタと竜児より先に歩き出す。
「大河」
竜児は慌てて大河の背中を追い掛けた。

134超しあわせの逢坂タイガー伝説 ◆x6jzI2BeLw:2010/03/01(月) 00:50:15 ID:???

このところ屋上へ続く階段の踊り場が大河と竜児のランチ会場になっていた。
三年生になり、クラスも別れてしまった竜児と大河だが、お昼を一緒に取る習慣は二年生の頃から変わっていない。
あの頃は竜児が大河のために弁当を用意していたが、母親と暮らし始めた大河の昼食を心配してやる必要が竜児には無くなっていた。
それでも世話好き竜児のこと。
いつも小さなタッパーに大河用のおかずを用意するのを忘れない。
なにせ、新学期、間もない頃に竜児は大河に弁当を取られているのだ。

「たまには竜児の作ったの、食べたい」
じっと大河に己が作った弁当を見つめられ、竜児としては嬉しくないわけが無いのだが、そこは心を鬼にして断固拒否の姿勢を見せた。
「お袋さんに悪いだろ、ちゃんと自分のを食え」
「・・・うん」
しょぼんとする大河にたちまち鬼の竜児は仏の竜児に早変わりする。
「・・・食え」
弁当箱ごと大河へ差し出す。
「その代り、ちゃんとお袋さんの作ったのも食べるんだぞ」
「いいの?」
「ああ、男に二言はねえ」
「それじゃ、遠慮なく」
以前の大河ならいただきますとそのまま竜児の弁当をきれいに平らげただろう。
だが、目の前の大河はそんなことをしなかった。
自分のお弁当箱のふたへ竜児の弁当を半分移し変えると、隙間が空いた竜児の弁当箱へ自分の弁当の中身を半分入れた。
「これで万事解決」
そう言うと大河はおいしそうに竜児が作った物から箸を付け始めた。

その翌日からだ、ランチの席に大河用の小さなタッパーが付く様になったのは。

135超しあわせの逢坂タイガー伝説 ◆x6jzI2BeLw:2010/03/01(月) 00:51:43 ID:???

階段の段差をベンチの椅子代わりにして並んで座る竜児と大河。
不機嫌そうなのもお弁当箱を開く頃にはすっかり影を潜め、食欲の旺盛さを見せ付ける。
「あ、それちょうだい」
竜児のお弁当箱へ箸を伸ばし、おかずを掴み取ると大河はさっそく口元へ運ぶ。
「おま、ちゃんと用意してあるだろ」
「お弁当はお弁当箱から食べてこそおいしいのよ」
「なんだそりゃ」
「その代り、これあげる」
そう言うと大河は自分の弁当箱の中から厚焼きたまごを一切れ、箸でつまんで竜児の口元へ持って行く。
「はい、竜児」
「はいって・・・なあ」
ちょっとためらう竜児に大河はじれったさを隠さない。
「いいから食べて」
「お、おう」
遠慮がちに小さく開いた竜児の口中へ大河はたまご焼きを押し込む。

もぐもぐと咀嚼する竜児を大河は見つめる。
「ど、どう?」
ごっくんとたまご焼きが竜児ののどを通過した頃合を見はらかって大河が訊ねた。
「甘すぎるんじゃねえか・・・砂糖が多すぎだ・・・」
お袋さんへ言っておけと続けようとした竜児はどよんと落ち込む大河にうろたえる。
「ど、どうしたんだよ?」
「・・・いいの・・・まだまだだって・・・分かったから」
「まだまだって・・・?」
ここまで言い差して竜児はあっと声を上げそうになった。
大河の落ち込んだ原因に思い当たったからだ。
「なあ、大河・・・もしかして、今のたまご焼き・・・」
こくんとうなづく大河に竜児は自分の予想が当ったことを確信した。
そして同時にデリカシーが足らなかったことを痛感した。
・・・きっと、何回も焦がして、失敗したんだろうな。
キッチンで奮闘する大河を想像して竜児はちょっとだけ胸が熱くなった。

「もうひとつ、もらっていいか?」
「いいのよ、無理に食べないで」
「いや、急にたまご焼きが食べたくなったんだ、ぜひ、食わせてくれ」
大真面目に竜児は大河に頼んだ。
竜児を見つめた大河はややあってぷっと噴き出した。
「し、仕方ないわね・・・食べたいって竜児が言うなら」
これまた大河も崩した顔を再度引き締め、真面目くさってまた同じ様に竜児の口元へたまご焼きを運んだのだった。

136超しあわせの逢坂タイガー伝説 ◆x6jzI2BeLw:2010/03/01(月) 00:53:25 ID:???

2年C組でこんなことをやっているなら竜児と大河のバカップルめとクラスメートは生暖かく見守ったことだろう。
なにせ、手乗りタイガーとして恐れられていた逢坂大河とヤンキーとして一目置かれていた高須竜児のふたりが、最終的には駆け落ちもどきのことまでやって結ばれるのを逐一目撃して来た当事者なのだ。
多少のことで動揺などするはずが無い。
しかし、クラス替えがあり、必ずしもその辺りの事情を詳しく知らないクラスメートの中にあってふたりのラブラブ振りは行き過ぎた物として一部のクラスメートの反感を買ってしまったのも事実だった。
大橋高校と言う進学校の中でも特に竜児がいる国立理系選抜クラスは受験に対する意識が違う。
昼休みも惜しんで参考書を開いている手合いも無きにしも非ずで、そんな連中から他所でやれとクレームを付けられたのだ。

「ふうん・・・この程度で気が散るなんて・・・成ってないわね・・・そんな脳みそじゃ、おぼつかないんじゃない、志望校」
冷たさの権化の様に大河はクレーム相手に言い放った。
不遜ともいえる顎を上げた姿勢で低い位置から相手を見下す大河にしまったと言う顔をするクラスメート。
すっかり丸くなっていた大河に油断しきって本来、大河が持っている本質を忘れてしまっていたのだ。
まさに虎の尾を踏んだに等しい自殺行為だった。
おまけに学力と言う点から言っても大河は成績上位で、下手をすれば文句を言った奴の方が順位が下でもおかしくないくらい。
進退窮まったと立ち尽くすクラスメートの危機を救ったのはさっき竜児に話し掛けていた女子生徒だった。
立ち往生するクラスメートに言い過ぎたことを謝りなさいと言う一方で大河へも釘を刺して来た。
「逢坂さんも、もう少し控えめに・・・ね」
「・・・帰る!」
ズバリ言われて真っ赤な顔で立ち尽くした大河はそう叫ぶと食べ残したお弁当をそのままにして竜児のクラスを飛び出した。

「言い過ぎたかしら」
大河の去った扉を見ながらつぶやく女子生徒。
さっきの危機に突っ立ているだけで何も出来なかった竜児はこの問いに助かったと素直に頭を下げた。
「しかし、あの大河に良く言えたよな」
驚きを隠さない竜児。
「あら、逢坂さんて正当な理由もなくいきなり何かする人?」
「いや、それはねえな」
「でしょ」
何でそんなに詳しいんだとの竜児の疑問に、元C組にいた竜児のクラスメートの名前を挙げ、自分の親友だからねと種明かしをしてみせる女子生徒。
「逢坂さんが机投げて暴れたとか、クラス中で腫れ物にでも触るみたいにしてたとか・・・」
ネタはいろいろ知ってるわよと楽しそうに笑った。

その日以降、絶対に大河は竜児のクラスに足を踏み入れないようになった。
不愉快千万というわけだ。
「こっち来てよ」
自分のクラスへ来いと言う大河に竜児は首を振った。
「何?来るのが面倒なの?」
「いや、大河のところへ行ってもいいんだけどさ、川嶋がいるだろ」
「ああ、ばかちー。腐れ縁で同じクラスになったのよね」
冷やかされるのがどうもと言う竜児に大河は同意した。
「そうね。ばかちーごときに貴重な昼休みを邪魔されたくないわ」
そんなわけで階段の踊り場でランチタイムを過ごす事になったのだが、これはある意味、貴重な時間ともなっている。
以前は竜児の家に行けば嫌でもふたりだけの時間と言うのがあったのだ。
しかし、母親と暮らし始めた大河にとって、二年生の頃みたいな竜児とだけ一緒に居られる時間と言うのが取り難くなっている。
それがここに居れば誰も来ないので遠慮なくふたりだけの世界を構築出来るのだ。

137超しあわせの逢坂タイガー伝説 ◆x6jzI2BeLw:2010/03/01(月) 00:54:44 ID:???

「ごちそうさま。今日もおいしかった」
満足気にお弁当箱を片付ける大河。
「たまご焼き、また作ってくれるか?」
「がんばってみる・・・けど上手く行かなくても文句言わないでよ」
「言わねえ、大河が作ってくれるなら」
「そんな風に言われるとプレッシャー感じちゃうけど、少しくらいはお料理、上手になりたいし」
「あせんなくていいんだぜ」
「・・・いつか、やってみたいんだ」
「何を?」
「はい、お弁当って・・・竜児に手渡すの。全部、自分の手作りで・・・それで竜児がおいしそうに食べてくれるの。今の私じゃ全然、無理だけどね」
「一歩ずつ、やってけば夢じゃなくなるさ」
「本当?」
「ああ、今日のたまご焼きだって、味付けさえ間違ってなかったら結構いけたぜ」
「お世辞でも嬉しいよ、竜児」
「世辞じゃねえ、本気で言ってるんだ」
「ありがと・・・竜児」
言い終えると大河は竜児の肩へ自分の頭をそっと載せた。

「大河」
「なんか・・・ものすごく幸せな気分」
目を細くして夢見心地な表情を見せる大河。
「お腹、いっぱいになったからだろ」
「竜児」
ムードないなあと大河は竜児の背中を軽く叩いた。
「おう、わりいな・・・でも、俺もそんな気分だ」
「でしょ」
我が意を得たりと大河は笑う。
そして小さなあくびを漏らす。
「何だか、眠くなっちゃった・・・ねえ、竜児」
「何だ?」
「枕・・・借りるね」
そう言うと、大河はずるずると竜児に沿って体を倒し、膝の上へ上半身を預けた。
「大河、おい」
「予鈴、鳴ったら・・・起こして・・・・・・」
本当に眠かったらしく大河はそのまま寝息を立て始めた。

膝の上で子供のように丸まって眠る大河を竜児は見下ろす。
・・・夜中にミルクをあげる為、何度も起きるって言ってたっけ、大河は。
・・・赤ちゃんの世話も大変だよな。
優しい目で竜児は大河を眺める。
嫁にする・・・一生、添い遂げると誓った少女が全幅の信頼を寄せるみたいにして自分の手の中でまどろんでいる。
竜児は感慨深く、大河を見つめる。
わずか一年前だよな、傷ついた猫みたいに牙をむき出して襲って来たのは。
木刀を振り回した挙句、倒れた大河を思い出す竜児。
大河との二人三脚があれから、始まったんだと竜児は過去を振り返る。
足並みが乱れて、転んだりしたけど、こいつがパートーナーで良かったって思う。
そんなことを考えながら竜児は寝ている大河の柔らかな頬を指先で軽く突付いた。
寝息が少し乱れて、甘えたような声を大河は上げる。

予鈴が鳴っても起きない大河をいたわる様に竜児は本鈴寸前までそのままでいた。

138超しあわせの逢坂タイガー伝説 ◆x6jzI2BeLw:2010/03/01(月) 00:56:22 ID:???

「・・・ふぇ、朝?」
寝ぼけた声で起き上がった大河はそこに竜児が居るのを認め、不思議そうな表情を浮かべる。
「・・・竜児?ああ、朝ごはんの時間・・・早く起してくれればいいの・・・・・・に?」
パジャマを脱ごうとする動作を見せた大河は途中で手が止まる。
なんで自分が制服を着ているのかと怪訝そうに首を傾け、それから、竜児をまっすぐ見た。
その大河の顔が急速にカラーピンクで侵食されていくのを竜児は黙って見守る。
寝ぼけて以前に住んでいたマンションで竜児に起された気でいたのだ、大河は。
「目、覚めたか?」
「さ、覚めてるわよ、とっくに」
強がりを言う大河だが、顔の火照りはまだ消えていない。
そして、今の時間が本鈴ギリギリだと知り、怒り出す。
「なんで、もっと早く起さないのよ」
少し乱れた髪を気にするように大河は竜児へ洗面所へ寄る暇も無いと文句を言う。
「・・・いや、大河の・・・寝顔があんまりかわいくて」
ずっと見てたと竜児は言う。
「起すのもったいなくて・・・その、悪かった」
女の子の身だしなみまで気を遣ってやれなくてと竜児は大河へ謝る。
「寝顔って・・・ずっと?」
「ああ・・・」
大真面目にかわいいと言う竜児に大河の顔は真冬の電気ストーブさながらに赤みを増す。
やがて、顔の熱さに耐え切れなくなったかのように大河はうつむく。
「なんか知らないけど・・・ありがと」
ぼそぼそと話した大河だが竜児にはしっかり伝わった。



とりあえず、ここまで。

139 ◆Eby4Hm2ero:2010/03/02(火) 04:57:04 ID:???
2chが鯖落ち中なんで、とりあえずこちらに。
復活したら転載します。

140とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2010/03/02(火) 04:57:44 ID:???
お題 「千円」「寄る」「自習」



 五時間目の授業が自習となれば、クラスの大半は友達と駄弁る、雑誌を読む、寝る等々で真面目に勉強しようというのはむしろ少数派で。
 竜児としてはその少数派でありたい所だが、それを許さないのが目の前に一人。
「ねえ竜児、やっぱり晩ご飯はすき焼き食べたい」
「駄目だ」
「すき焼き〜、すき焼き〜、すき焼き〜、すき焼き〜」
「今日は魚の特売日だからサバミソだって言ったじゃねえか」
「竜児だって昨日のテレビ見たじゃない。美味しそうだったじゃない。食べたいじゃない!」
「ああいうのは百グラム千円以上するような高い肉使ってるから美味いんだよ。今のうちの予算で使える肉じゃ、期待外れでがっかりするのがオチだぞ」
「うう〜……それじゃ……せめてお肉!お肉食べなきゃこの衝動が治まらないから!」
「お前なあ……」
「お肉お肉お肉お肉お肉お肉お肉お肉……」
「ああもう、わかったわかった。帰りにスーパー寄るから、安くなってるやつでいいな?」
「わ〜い、竜児ありがと〜!」
「しかたねえ、鯖は明日の弁当に使うか……」
「ほら竜児、四時から豚バラ薄切りがタイムサービスだって!生姜焼き!」
「大河……お前はなんでチラシとか持ってきてるんだよ……まさか最初から!?」
「んん〜?なんのことかしら〜?」

141まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2010/03/03(水) 01:41:34 ID:???
要望があったため、全SSをひとつにまとめたページを作成しました。
かなりの量なので携帯で開こうとするとエラーで途中で止まるかもしれませんので注意。
検索等にお使いください。

そして本スレは規制どころか鯖落ち中で近づけやしないデス。

142高須家の名無しさん:2010/03/03(水) 02:09:46 ID:???
>>141
おおおおおお疲れ様です
検索が楽になります

143高須家の名無しさん:2010/03/14(日) 13:17:03 ID:Gz551/dI
本スレ、アゴの方、GJ!した。感想投稿しようとおもったら、500KB超えてた!
すまん、所用で新スレ立てられないが、誰か頼む〜!!

144高須家の名無しさん:2010/03/14(日) 19:31:19 ID:c88fdrnQ
【とらドラ!】大河×竜児【ハラハラ妄想】Vol20 でよろしく

145高須家の名無しさん:2010/03/14(日) 22:41:51 ID:gZgUS2rY
アゴの方、いい作品だ。

ソワソワ妄想で新スレ立てようとしたら、弾かれた。

146高須家の名無しさん:2010/03/14(日) 23:21:54 ID:???
三題噺の方もアゴの方もよかったよ〜
乙です!

新スレたててきました
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1268576015/

147高須家の名無しさん:2010/03/28(日) 21:56:56 ID:CIW9Nrvk
銀魂最終回。神楽(CV釘宮)がナレーションから何からこなすクリスマス回。
おもいっきり大河思い出した(w。釘宮の声でクリスマスにちょっと寂しい
物言いされると、しばらくトラウマに苦しみそう。

148高須家の名無しさん:2010/03/31(水) 04:08:58 ID:???
>>147
>おもいっきり大河思い出した(w
俺もだw

149高須家の名無しさん:2010/04/01(木) 19:42:57 ID:???
何でかわからないがアク禁になった。(荒らしはしてませんよ)
ハラハラ妄想の人がエイプリルフールネタはないか?という方がいたため
作って投下→書き込めねえ、なぜだ?(ハラハラ妄想>>86の作者ですのでまだ初心者)→仕方がないからこっちへ投下

エイプリルフールネタは?という方がいたので試験投下 ちなみに86でギシアンを試験投下した者です、
駄文&読みにくい&粗悪&変態?かもしれませんがよければ是非どうぞ
ちなみに「秋になったら畑に行こう」がベースです。 年齢設定は大学1年生

「りゅーじ、私たちって結婚するんだよね?」
大橋高校でつい最近まで危険度レベルMAXに降臨していた彼女、手乗りタイガーこと逢坂大河はいつものように
遊びに来て、高須家の居間で食後のごろごろタイムを貪っていた。(さしずめ食後の野生の
トラのように…、すなわちそれだけ彼女にとって高須家は安心できる場所でもある。)
そして食器洗いをしながら「おう!」と答えたのは某指定暴力団○×組に所属し
「自宅にならトカレフの2丁や3丁、他にも小麦粉に似た何かやチョコに似た何かならたくさんあるぜ…」
という顔をした男子、高須竜児である。
最も外見だけであり根の性格はヤーさんとは正反対どころかお人好し。
(その性格ゆえに大橋高校の美少女3名を悩ませたと言う伝説が高校に残ってるとか残ってないとか…。)
そしてこの二人が付き合ってから約一年弱が過ぎたある日のこと…

「ってことは結婚式もやるんだよね?」
「おう!もちろんそのつもりだ。俺が『18になったら嫁に来いよ』
とは言ったものの、やはり状況が変わってるし、それに俺がちゃんと稼いだお金で
お前にウェディングドレス着せたいしな。そういや大河、お前はどんなドレスがいい?」
「う〜〜ん」と考えてから三分は経過した時に彼女はあることを思いついた。そして
「私は竜児の中学時代の緑色のジャージがいい!!」
「はい?」
「だ〜か〜ら、2年生の秋に竜児とみのりんとイモ掘りした時のジャージよ。」
「ああ、あの時の… ってかお前普通結婚式に着るか?」
「はあ〜」
「なんだよ…、そのいかにも呆れてますっていうため息は。」
「これだから…、いいわ犬にちゃんと説明してあげる。あの時あんたは
『お前を守る守護ドレスだ!嫁に行くときにも是非着てほしいな』って言ったのよ。」
「ああ!そう言えば確かに俺言ったけな、そんなこと。でもお前本気か?」
と、大河に聞いたら笑ってやがる… 、一体何なんだ?と思った矢先に大河が口を開いたため思考を中止した。
「じゃあ竜児、今日は何月何日?」
「質問に質問で返すな。え〜と4/1だけど…、あーっ」
「わかった竜児?今日はエイプリルフール、本当に着るわけないじゃん、
まあ私はそれでも構わないけど世間から見ればちょっとね…。
でもこれは本当、竜児ありがとう。
あの時の私たちって自分で言うのも難だけど変な関係だったじゃん、
それなのに竜児は私のこと心配してくれて…」
「おう!気にするなって」
「ふぁ〜あ、ごめ…竜児眠くなっちゃった。」
「それは仕方ないな、弟の世話で疲れてんだろ?ふぁ〜あ、やべ俺も眠くなってきた、一緒に寝ようぜ大河。」
「うん!」
そして卯月の心地よい風に抱かれ竜虎は夢の中へ。いつかするであろう自分たちの結婚式の夢を見ながら…

150高須家の名無しさん:2010/04/02(金) 06:19:15 ID:???
>>149
GJ!
大河のイタズラっぽい笑みが見えるようだ。


アク禁に巻き込まれるのは2chでは珍しくないことだから気にせずにw
運営系の規制情報板板や雑談系2の批判要望板あたり見ると状況がわかるかも。

151 ◆Eby4Hm2ero:2010/04/03(土) 04:09:40 ID:???
規制巻き込まれた……というかメッセサンオー祭の影響で大手ISP軒並み全滅らしい。
地域絞り込み無しでocn丸ごと規制とか。

152とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2010/04/03(土) 04:10:39 ID:???
お題 「秘めて」「あたり」「ぶつけた」


「どうしよう……」
 逢坂大河はとぼとぼと帰り道を歩く。
「どうしよう……よりにもよって、あいつに……」
 高須竜児。
 北村君の友達。
 初対面、始業式の日にぶつかった時は失礼な奴だと思ったけれど、よく北村君と話している様子を見れば悪い人間じゃない様ではあった。
 だが、だからこそ、アレを北村君に渡してしまうのではないだろうか。
 ずっと秘めてきた想いを綴った手紙を。

 そもそも、書きはしたものの渡すつもりは……そんな勇気は無かったのだ。
 それが、たまたま北村君の机に鞄が置いたままなのに気がついて。教室には他に誰も居なくて。
 千載一遇のチャンスだと思った。でも決心がつかなかった。鞄を開けたまま迷って……丁度その時にあのバカが来て……思わず放り込んでしまった。
 それが、あいつの鞄だとは気づかずに。

 結局手紙はそのまま、高須竜児の鞄の中で。
 『高須竜児』の事をほとんど何も知らない以上、取り返す事は極めて難しい。
 連絡網のプリントを見れば電話番号ぐらいはわかるだろうが……そこまでだ。
 家に帰れば、あいつは手紙を見つけるだろう。
 ラブレターだと気づくかもしれない。中身を読んでしまうかもしれない。
 思い返せば自分でも恥ずかしくなるような内容だ……笑うだろうか。バカにするだろうか。
 それをもし北村君に伝えられてしまったら。クラスに広められてしまったら。
 ……そうなったらもう、生きてはいけない。

 と、その時。
「……あれは!」
 見覚えのある後姿。どこかにぶつけたのだろうか、後頭部のあたりをさすりながら前を歩くのは間違い無く高須竜児。
 咄嗟に物陰に隠れる。幸いこちらに気がついた様子は無い。
 なんという天の配剤。このまま後をつければあいつの家がわかる。そうすれば、手紙を取り戻すことだって出来るかもしれない。
「……あれ?」
 ぶつかったり、転びそうになったり、それでも見つからないように、見失わないように必死に尾行を続けて。
 気づけばなんだかよく知っている道を歩いている。というか、いつもの登下校のルートをそのままに。
 やがて辿りついた終着点は。
「……嘘」
 高須竜児が入っていったのは、大河の住むマンションの隣……ボロい木造一戸建ての二階。
 今まで隣人など気にした事も無かったが、それがまさかあの男だったとは。

 そして、夜。
 大河は木刀を手に、寝室の窓から塀の上を経由して隣家二階のベランダへ。
 手紙の事を知られてしまったのは間違い無い。それを無かったことにするためには高須竜児の息の根を止めるか、せめて記憶を飛ばさなければいけない。
 正面から行けば当然あいつは抵抗するだろう。ならば、寝込みを襲うのが一番確実だ。
 降り立った目の前の窓をそっと開ける。鍵はかかっていない。
 中を覗けば、人の気も知らずに安らかに眠る高須竜児。思わず睨み付けるが、ここからでは上手く殴れそうにないし、中に入ろうとよじ登れば気が付かれるかもしれない。
 横を見れば、おそらく居間に入るための大きな窓。こっそり侵入するならこちらからだろう。
 靴を脱ぎ、木刀を握り締め、サッシに手をかけ……
 いざ、参る。

153高須家の名無しさん:2010/04/03(土) 20:30:40 ID:???
>>152
乙です!こういうのもいいね
本スレ109の人も乙!
続きが気になるw

規制早く解けるといいな…

154高須家の名無しさん:2010/04/04(日) 00:06:33 ID:???
149の作者です。152の方がメッセサンオー祭で…ということでwikiで「メッセサンオー」
と検索したらその会社の個人情報がネットで閲覧可能状態になり、
これを利用して2ちゃんねるに個人情報を広めた馬鹿がいるらしい。
道理で本スレに書き込もうと思ったら解除されない訳ですよwwww

155高須家の名無しさん:2010/04/04(日) 03:19:41 ID:???
>>まとめ人さん
毎度毎度、更新おつです。またタイトルで遊んでるww

>>152
GッッJ!
なんて違和感のない襲撃ビフォー。
一巻読むときは頭の中でこれをねじ込むことにするわ

携帯も使えなくなってけっこう経つけど、巻き添えはマジかんべん

156高須家の名無しさん:2010/04/05(月) 21:02:28 ID:6fdUMDW6
本スレが妙に過疎ってると思ったらこういうことだったのね。
かくいう私もアク禁でしてね……。

>>149
乙!
(・∀・)ニヤニヤ

>>152
乙!
大河の尾行にすら気づけない辺りが流石ミスター鈍犬ですねw

157 ◆Eby4Hm2ero:2010/04/07(水) 07:09:10 ID:???
まだ規制中。通報は行ってるらしいんで早く対応してくれocn。

代理投稿ありがとうございます。

158とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2010/04/07(水) 07:09:44 ID:???
お題 「春田」「姉」「思い当たる」



「ただいま〜」
「……竜児、ちょっといい?」
「お、おう?」
 買い物から帰ってきた竜児を出迎えたのは、妙に固い表情の大河。
 卓袱台を挟んで向かい合わせに座り、大河は真剣な顔で竜児を見つめる。
「ねえ竜児、何か私に隠してることない?」
「はあ?」
「隠してることがあるんじゃないかって聞いてるのよ!」
「……特に思い当たる事はねえぞ」
「ふうん……じゃあ、これは何?」
 言って大河が取り出したのは、一冊の本。
 半裸の女性と『お姉さんが教えてア・ゲ・ル♪』等の扇情的なセリフが表紙を飾る、それはどう見ても十八禁なシロモノで。
「……っ!お前、それ……どうして……」
「シャーペンの芯が切れちゃったのよ。で、竜児の借りようと思って引出し探してたら……。
 私という恋人がありながら、どういうことなのかしらねえ?」
「ま、まて大河。それは俺のじゃねえ、春田のだ」
「誰のだろうと一緒よこのエロ犬!」
「違うって、頼まれて買ってきたやつなんだよ。だからその本、袋も開けてなかっただろ」
「は?なんでロン毛虫があんたにエロ本なんかを頼むのよ?」
「それはだな、その、買う時にだな、俺なら私服で行けば年齢確認されねえから。それで、偶にな」
「ふん……ま、いいわ。信じてあげる」
「ほっ……」
「で、こいつはエロ毛虫のだとして……竜児はこーゆーの持ってないわけ?」
「うっ……そ、それは……」
「……持ってるのね……この浮気者!」
「浮気じゃねえ!俺の心は大河一筋だ!」
「じゃあなんで他の女の裸なんて見てるのよ!」
「仕方ねえだろ、男ってのは生理的にある程度、その、処理しないといけねえんだから」
「……それはその、いわゆる……オカズがどうのって……やつ?」
「……お、おう……」
「……それなら……わ……わわ……わた、わたしを見ろ!そして使え〜ぃ!」
「ちょ、ま、待て!おい大河、脱ぐなーっ!」

159高須家の名無しさん:2010/04/07(水) 18:45:00 ID:???
エイプリルフールネタの作者です。三題噺の方のは面白く投稿する前から読んでました。
代理投稿してくださった方、本当にありがとうございます。

160 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/07(水) 20:01:18 ID:???
お久しぶりです。

まとめ人様いつも乙です。

三題噺さんはほんと定期的で尊敬しますね。
このスレが今だ廃れないのは間違いなくまとめ人様と氏の力が大きいと思う。

エイプリルフールの方の最後の一緒に寝ようぜを別の意味で捉えた俺はきっと汚れてる。

さてパンツネタがはやっていた時に、思いついたネタが纏まってきたので数日に分けて久々に投下します。

代理投稿大歓迎。

161逢坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/07(水) 20:03:53 ID:???
※十八禁ではありません

◆side大河

「おはよぉ」
「おぅ」

大河は目を覚ますと、寝ぼけ眼のまま居間へと足を踏み入れ、ぷんと漂うおみそ汁の匂いに反応した。

「今朝は……大根ね」
「おぅ、よくわかったな」

竜児は昔と変わらぬECOと入ったエプロンをしたまま卓袱台にみそ汁とご飯を置いていく。
これまた変わらぬような朝の風景。
しかしこれらは主婦顔負けの家事スキルを持つ高須竜児によって栄養のバランスが取れるよう考えられたメニューだった。

「あんたも飽きないわねぇ、たまには私がやってもいいのに」

結婚して三ヶ月。
お互い仕事をする身である為、家事は分担が基本だが竜児は暇があれば大河の分もやってしまう。
だってそこに家事が残っているのだ、やらねば失礼ではないか。
そこに埃が落ちていれば拾い、ついでにカビチェックをして、料理の仕込みをする時間があれば料理しておかねば失礼ではないか。

「誰に失礼だってのよ」
「おぅ!?口に出ていたか?」
「顔に書いてんのよ」

大河はいつも通り「いただきます」をすると食事を始める。
高校生の時から殆ど変わらないこのやり取り。

「2DKって言っても二人で住むんだったら案外十分よね」

さらには借りているアパートの広さまで一緒だった。
竜児の母、泰子は「新婚生活の邪魔はしないでがんす〜♪」と和解した両親、竜児にとっての祖父母と住む旨を言いだし、竜児と大河も仕事の関係から元のアパートからは離れざるを得なかった。
それでも似たような場所はあるもので、ここにしようと決めた場所が“あのアパート”と中がそっくりだったのだ。

「そうだなぁ、泰子と二人の時もあんまり手狭感は無かったかなぁ……っと、もうこんな時間か」

竜児も思い出しながら時計を見、

「悪い、先行くぞ」
「ん、あんたもそんなに時間無いなら朝の洗濯は私に任せても良かったのに」
「いや、大河にあんまり負担かけたくねぇし」

そう言い残すと竜児は慌てて飛び出していく。

162逢坂流高須大河の小作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/07(水) 20:07:11 ID:???
ぽつんと残される大河。
別に寂しいとかじゃない。
今までにも似たような事はあったし、一人分しか食事が卓袱台に乗っていないあたり竜児は先に食べたのだろう。
時刻は七時十五分。
自分の出勤時間は八時半までだが竜児は七時四十五分まで。
場合によっては早出で七時までとかの日もある。
お互い社会人になったのだからそこに文句を言うつもりも無い。
普段は一緒にいようとする時間も作ってくれるし、自分の為を思って無理に早く起こさず、寝かせておいてくれるのも悪いとは言わない。
だが、

「何で竜児は求めてこないのよ」

最近の大河の思いはその一言に尽きた。
本当に変わらないのだ。
高校生の時と態度、対応が。
これでは高校生の時の生活の延長のようなものだ。
別にそれ自体にも文句を言うつもりは無いが、

「わ、私達はふ、夫婦であるからにして、そ、その“ふふう”の営みと申しますか、その、ほら、“ふうう”らしい“性活”……じゃなかった、生活は無きにしもあらずなわけでいて……」

自分にいろいろ言い訳をしている内に携帯が鳴り出し、そろそろ着替えないとマズイ時間だと気付く。

「あ、ヤバッ!?」

慌ててご飯をかきこみ、きちんと「ごちそうさま」をしてから慌ただしく着替えて大河も家を出て行く。



***



「お疲れ様でーす」

仕事が終わり、大河は帰路についていた。
今日も忙しくはあったが、このまま行けば家には七時半位には着くだろう。
竜児もよっぽどの事が無い限り夜はそんなに遅くならない。
今日は竜児の夕飯当番だし、遅くなる旨のメールも無いことから既に夕飯の仕込みをしている可能性も考えられる。
そこまで竜児のことを思って、ふと大河は今朝考えていた事を思い出した。

「私、やっぱり“そういう魅力”は無いのかしらね」

竜児が自分を好いていてくれていることは伝わって来る。
しかし何故かそれは“好き”という枠の中にのみ収まっていて、いわゆる青年思考へとは発展していかない。
小学生の恋愛、と言われれば反論できないような、そんなストイックな関係が続いていた。
嫌というわけではないが、竜児も男だ。
我慢しているのではないか、もしくは自分にはそういった魅力が不足しているのではないか。
そんな疑心暗鬼に陥りそうになってしまう。
何せ学生時代、“哀れ乳”として蔑まれた経験があるのだ、虚勢でもスタイルに自信があるとは言えなかった。

「はぁ……馬鹿竜児」

疲れていた体が、さらに疲れたような錯覚を伴ってガックリと肩を落とす。
気付けば歩いているのは商店街。
もうあと5分ほどで家には着くだろう。
と、商店街の一角にあるランジェリーショップに急に目が行った。
最近は嗜好の凝った物も多く大河も女なだけに興味は深い。
このまま帰ればあと5分で家に着くが、寄り道して悪いわけでも無い。
少し迷い足をしていた大河だが、ついには足をランジェリーショップへと向け、帰宅を十分ほど遅らせた。

163逢坂流高須大河の小作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/07(水) 20:08:42 ID:???
***



「ただいまー」
「おぅ、おかえり……ん?何か買ってきたのか?」
「うん」

予定より若干遅くなった大河は別に悪びれもせずよいしょと既に料理が乗っている卓袱台の前に座る。
別に小さいテーブルでも良かったのだが、慣れてしまった上に前の家のを使えるのに捨てるのはMOTTAINAIという事で、そのまま使用していた。

「おい、着替えてからにしろよ、制服汚れるぞ」
「あんたねぇ、私もいつまでも高校生じゃないんだから」
「そりゃそうだけど飯の時くらい仕事のことは忘れようぜ」

竜児のもっともな言い論に、う〜と少し大河は唸ったあと、「わかったわよ」と着替えに向かう。

「おーい大河ー?これ食べ物かー?何が入ってるんだー?冷蔵庫入れとくかー?」

大河は着の身着のまま部屋に戻った為、買ってきた袋をその場に起きっぱなしにしてきてしまっていた。

「なんだと思うー?」

戸を隔てた先で大河は特段気負いも無く、着替えながら謎かけのようにして返事をした。


「わからーん、開けてもいいのかー?」

綺麗好きで家事大好きの竜児のことだ。
その辺に置いておくことが許せず、食べ物ならきちんと冷蔵庫などに入れておきたいのだろう。

「別にいいけどーそれって私のー……」

ショーツだよ、という前に竜児の竜児らしくないドタバタという騒々しい音が聞こえた。

着替えを終え大河が居間に戻ると、竜児は正座して卓袱台に着き、大河が買ってきた袋は壁際、それも竜児から最も遠くなるような位置に置いてあった。

「あんた何してんの?」

大河は不思議そうにしながら袋を持ち上げる。

「い、いや何でも無い!!さぁさっさと飯を食っちまおうおぜ!!」
「?うん」

大河は不思議そうに頷きながら席について食事を始める。
袋にはテープで封がしてあった筈だが、その封が切れていた。
異変はその後、三日後に訪れる。



***

164逢坂流高須大河の小作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/07(水) 20:09:58 ID:???
◆side竜児

大河が洗濯し、畳んで置いておいてくれた洗濯物。
大河もかなり家事が板につき、洗濯程度ではまごつかなかくなったので最近の竜児は安心、もとい油断していた。
部屋の入り口付近に置いてある洗濯物を竜児は自分のクローゼットに仕舞おうと洗濯物を手に取る。
白いシャツを仕舞い、トランクスを仕舞い、靴下を仕舞い、白いショーツを仕舞……、

「ん?」

竜児は目を擦り、何度も今自分が手に持っている物を凝視する。
柔らかいシルクの手触り。
それは男性用の物とは全く違う三角形を模していて。

「……こ、これは……っ!?」

それは洗われたとはいえまず間違いなく大河の……ショーツだった。
しかも見覚えがある。

「あの晩に買ってきてた奴じゃねぇか……!!」

竜児はあの日、どうせ食べ物か何かだろうと思いこんで袋を開けてしまい、そこに輝く真っ白の園を見てしまっていたのだ。

「や、やばい……いやこれは大河のミスなわけで俺に責任は……」

そう自分に言い聞かせながら手に持つ真っ白なショーツを見やると、喉がゴクリと鳴る。

これは大河が身につけた物であり、ある意味自分なんかよりも大河に近しいというか大河そのものというか……。
悩めば悩むほど混乱し、頭を抱え込み、頭にシルクがファサと乗ってしまい「ぎゃあ!!」と転げ回る。

「何やってんだよ俺……これじゃ変態だ」

今度は冷静にショーツを離してから頭を抱えるが、先程まで触っていた手が温もりを覚えているかのような錯覚を起こしまた自己嫌悪して部屋を転がり回る。

「お、落ち着け、いや落ち着こう、たかがパンツじゃないか」

たかがパンツ、されどパンツ。

「〜〜〜っ!!」

無茶で無謀で無理だった。
そもそも大河という嫁は無神経、無遠慮、無防備と無が三つ揃っている。
風呂上がりは胸元がはだけているし、裸足は色っぽいし、スカートは似合うしフリフリは似合うし何着せても似合うし!!
普段から一線を越えようとする内心を抑えるのに一体どれだけの労力を必要としているのかわかっているのだろうか。
男の安っぽいプライドだが、それでも欲情に身を任せてがっつくような真似はしたくないのだ。
だというのに……これだ。
竜児はその凶眼でもってギロリと純白の三角形を睨み、

「ねぇ竜児」
「うわぉう!?」

どうやったらそんな発音ができるのかというような奇声を上げてばっと背中にそれを隠す。

165逢い坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/08(木) 23:47:54 ID:???
代理投稿ありがとうございます。続きいきます。


「ん?今何か隠さなかった?」
「べ、別に何も。それよりお前入ってくるならノックくらいしろといつも言ってるだろ」

急に部屋に入ってきた大河に、内心汗をだらだらと掻きながら竜児は平静を装った。

「ふぅん、まぁいいけど」
「いいやよくない」
「あーはいはいノックねノック。なんならやり直す?」
「いや、別にそこまでしなくてもいいが……」
「でしょ?細かいこと気にしすぎなのよ竜児は。で例のドラマ始まっちゃうわよ?一緒に見るんじゃなかったの?」

気付けば時間は結構経っていて、確かにもうすぐ二人で楽しみにしていた連続ドラマの放送時間だ。

「おぅ、すぐ行くよ」
「ん、お茶淹れとく」

大河はすぐに踵を返し居間へと向かい、再び竜児が一人になる。
咄嗟に背中に隠した白いショーツ。
皺が着いてしまったそれは竜児の掌でくしゃくしゃに丸まっている。
竜児はしばし逡巡し、自分のベッドの枕、その下にショーツを隠すと居間へと向かった。



***



時刻は既に夜中の二時。
真っ暗な部屋の中、アイロンを動かす黒い影が一つ。

「よし」

影……竜児はそう言うとうっすらとした布を手に取った。
それは先程のショーツ、ではなくただのあて布だ。

「シルクをアイロンかけるにはあて布をしねぇとな」

あて布の下には、例の純白ショーツ。
皺一つ無い真っ白なショーツに満足した竜児は早速行動を開始した。
スラリと静かに襖を開け、ゆっくりとばれぬように大河の部屋の前へ。
一度深呼吸すると、スーッと自身の部屋の襖を開ける時よりも慎重に襖を開ける。
すっと鼻に大河の香りが入ってきて、思わずドキリとしながら大河が寝ているであろうベッドに視線をやると、案の定大河はベッドで丸くなっている。
使っているベッドはかつてと違い天蓋付ではなく、竜児とお揃いで新たに買いそろえたものだ。
以前のアパートで使っていた物もまだ使えたが、それを居間のアパートに持って行く時の運送費を考えると新しく買った方が安上がりと言うことで、この際お揃いにした。
竜児は素早く周りを見渡し、クローゼットに近づいていく。
あとはこれを仕舞えば終わりである、そう思った時、その辺に散らばる……否、今日回収していった洗濯物群がクローゼットの前に仕舞わずに畳んだまま置かれている事に気付いた。
悩み所である。
これが明日使う、もしくは仕舞うと決めているものならここに一緒に置かなければならない。
しかしそうでないなら引き出しを開き、パンツの園を拝む必要がある。
……急に罪悪感が湧き出てきた。
いくら夫婦間と言えど相手の下着の引き出しを開けていいものか。
特に男から女のというのは……。

「う〜む」

散々竜児は悩み、決断した。



***

166逢坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/08(木) 23:49:36 ID:???
◆side大河

「……ふわぁ」

目が覚め、今日も一日が始まるんだと体を起こす。
竜児に起こしてもらうのは悪いからと自分から起きる努力をしてはいるが、週に一回くらいは起こして貰っているのが現状だ。
まぁ、起こして貰いたいという欲求もあるので、このくらいがベスト、とは思っている。
身を起こし、ぼやけた視界で昨日クローゼットの傍に置いておいた今日の着替えをみやる。

「……あれ?」

ぱっと目が覚めた。
何故か一番上にショーツがある。
これは昨日仕舞わなかっただろうか……いや、そう言えば仕舞っていない。

「仕舞い忘れかな、でもなんでこれが一番上に?」

手に持ってみて……違和感。

「何か、買い立てっていうか……アイロン、かしらこれ」

随分とピンッと綺麗になっている。
経験上、一度使用して洗濯したあとだと、少しは皺、というか使用感というものが残るものなのだが。

「えっと、もしかして竜児?」

考えられる可能性はそれぐらいしかない。
あの万年家事大好き夫のことだ、彼ならばショーツ一つにここまでぴっしりとしたアイロンがけをするに違いない。
普通はあんまりショーツってアイロンかけないけど。
まぁそれはおいておいて、問題は理由だ。

「なんで竜児が私のショーツ持ってたのかしら?」

そこでハッと昨晩のことを思い出す。
昨晩、竜児は何か背中に隠すような素振りを見せていた。
まさか……。

「夜な夜な私に見つからぬように私の下着をオカズにしてたってコト?」

わからないが、現状考えられる可能性が大河にはそれしか思い当たらない。
もしそうならば心境複雑である。
下着をオカズにしていたのならば自分にもそういった魅力がある、ということになる。
まぁ、竜児が自分よりも下着に興奮する、などと言い出す変態で無ければだが。

「それは無い……わよね?」

イマイチ夫の性癖に自信が持てないが、そこはまぁ竜児を信じるコトにした。
さて、そうなると竜児は我慢していることになる。

「こ、これは妻として、甲斐甲斐しく、いやいや慎ましく?ああもう何て言えば良いのよっ!?とにかく竜児のその気に気付いてあげなきゃダメってことよね、うん」

混乱気味な大河だが、やることはきちんと定まっていた。
そう思うとこれから竜児に会うのがとても勇気のいることのような気がした。



***

167逢坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/08(木) 23:51:13 ID:???
「お、おはよぉ」
「おぅ」

いつもと変わらぬ声で竜児は挨拶をし、いつもと変わらぬ様で朝食の用意をしている。
それでも今朝は結婚した次の日の朝くらいに緊張しながら大河は挨拶をした。

「きょ、今日もい、良い天気ね!!」
「はぁ?」

竜児は窓の外から空を見上げる。
かつてのアパートと違うことはお隣に日を遮る大きなマンションが無いことだ。
そこから見える空はどんより曇り空だった。

「今日は曇りだぞ?大丈夫か大河?」

あまりに普通で普通な反応。
大河は肩透かしを喰らった気分だった。

「さっき天気予報でも降水確率80%だったし傘忘れんなよ?」

ぱっぱっと手の水を切ると竜児はECOエプロンを外して玄関へと向かう。

「悪い、今朝も早いんだ。飯は用意しといたから、それじゃ行ってくる」
「あ、うん。いってらっしゃい」

バタン、と玄関の扉が閉じてポツーンと一人取り残される。
いつものことではあるが、今日は力みすぎていただけに一気に脱力した。
ペタン、とその場に座り込み、ボーッと竜児が出て行った玄関を見つめる。

「普通、だったわね……」

さっきまでの自分の緊張を返せと言いたくなるほど竜児は普通でいつも通りに感じた。
こうまで普通だと、自分の考えがただの勘違いや思いこみの類では無いかと考え直す。
竜児のことだからたまたま落ちていたショーツを見つけて親切にもアイロンがけをしておいたとか。
そんな親切は大きなお世話でもあるんだが。

「まぁ、昔はやっちゃんもいたんだし今更下着くらいでどうこうってのは無い、かも」

パタリ、と横に倒れ、グゥとお腹が鳴る。
こんな時でもお腹が空く自分に少々呆れながらよいしょと起きあがり、竜児が用意してくれた食事に手をつけ……、

「……ん?」

違和感に気付いた。

「薄い……」

味が若干薄いのだ。
こんなことは過去、高校時代に竜児が病気に気付かず無理していた時以来だと記憶している。
あの時ほど酷くは無いが、どうにも今一歩味が足りていない。

「……?体調でも悪いのかしら?」

今日、帰ってきてみたら注意深く竜児を観察してみようと大河は決めた。



***

168逢坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/08(木) 23:52:48 ID:???
「な、何だ?俺の顔に何かついてるか?」

晩、お互い帰ってきてから向かい合って食事している最中、大河は竜児の顔を注意深く見つめていた。
竜児は酷く熱心に見つめられる視線に羞恥と焦りの色が濃く現れていた。
大河は身を乗り出し、念のために竜児の額に額をコツンとぶつけてみる。

「お、おい!?危ないだろ!?」

卓袱台の上にはまだ食事が乗っており、その上に浮くようにしている大河はとても不安定で“危険”だった。

「今朝ね、あんたの作ったおみそ汁が少し薄かったのよ、それでアンタ体調壊してるんじゃないかと思って。ほら、高校の時にもあったじゃない」
「だったら口で言え口で!!お前は口よりも先に行動が多いぞ!!」
「はいはい、熱は無いみたいだからもういいわよ」

大河はぱっと指定位置に戻り、箸を持つと、竜児が真っ赤になっているのがわかった。

「?アンタやっぱ熱あるんじゃ?」
「いや無い!!全く無い!!っていうかお前それ俺のシャツ!!」
「あ?ああ、コレ?そういやお風呂上がりに着替え忘れたから借りてそのままだった」

大河は下はハーフパンツ、上は竜児のシャツだった。

「いいじゃない別に、減るもんじゃないし」
「お、お前という奴は……いや、いい。わかったから後でちゃんと着替えろよ」
「はいはい」

大河は竜児の言葉を話半分に聞き流して食事を続けた。



***



◆side竜児

カポーン。
湯気漂うお風呂場の中、文字通り竜児は風呂に入っていた。
バシャバシャと湯を顔にかけてしつこいぐらいに洗う。

「あの馬鹿……!!」

竜児の顔は依然真っ赤だった。
だが決してのぼせたわけでも風邪をこじらせているわけでも無い。
竜児は額に手の甲を当てて天井を見つめる。
先程この額には嫁の額が重なっていた。

「っ!!」

思い出してまた顔をバシャバシャする。
あの体勢は大河にとって不安定で危険であり、竜児にとっても不安定で“危険”だったのだ。

169◇fDszcniTtk:2010/04/09(金) 22:29:07 ID:6Q0IsbCw
.TY氏、ナイスです。楽しみにしています。




しばらく消息を絶ちます。

ってのは、ガンガン作品を発表していた時には少しはおかしみもあったろうね。
いまはだめだ。だめだけど、ちょっと現実世界から離れてくるよ。







「ジョジョーッ!!おれはスピンオフ三巻を読むぞォ!」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板