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「あなたは昔から男の子だよ?」√ランジュ
1
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/06/30(金) 18:21:34 ID:CEVJq1oA
思えば、遠くへ来たものだと。
あの子のステージを、この場所から見ていると特にだ。
間違いなくワールドクラスのパフォーマンス。
そんな彼女と、ここまで来た。
ランジュ「さぁ──全員私達の虜にしてあげるわ!」
2
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/06/30(金) 18:22:05 ID:CEVJq1oA
春。
出会いと別れの季節、春。
それはここ、虹ヶ咲学園にも当然訪れる。
三年生は卒業して、新入生が新たに加わる。
それは今までもあったことだし、今更戸惑うこともない。
たった一つだけ、あることを除けば。
歩夢「──どうしたの? 今日は朝からなんだか調子が悪そうだけど……」
侑「あ、あぁ……いや、なんでもないよ、歩夢」
歩夢「ならいいんだけど……何か困ってることとか、悩みごとがあったら、なんでも相談してね!」
幼馴染みの上原歩夢。
自分で言うのもなんだけど、可愛い女の子だと思う。そんな子が幼馴染みだと……羨ましがられるんだ。
そう──特に、今は。
歩夢「そういえば、今日は身体測定があるんだって。『女子』は更衣室使うみたいだけど、間違って入っちゃだめだよ〜」
自分が──女の子から、男の子に変わってしまっている今は。
☆☆☆
侑「はぁ〜〜〜なにがなんだか……」
まさか眠りから覚めたら男の子になっちゃってるなんて……いや、わけわかんないよ。
わけわかんないけど、仕方ないから順応する。
わかっていることは、歩夢とは変わらず幼馴染みであること、自分のことは僕と呼ぶ事、そして一番驚いたのは、ここではスクールアイドル同好会が存在しないこと。
スクールアイドルという文化自体はあるようだけど……。
先生「はい、身長169センチ、体重は57キロね」
侑「ご、57……」
先生「ん? どうしたの?」
侑「いえ……」
女の子の体のときを、かんがえるとちょっとショックだったけど、別にこれくらいが普通、というかちょっと軽いらしい。
むしろ身長はもう少し欲しいくらいだね、なんて言われた。
(むしろ、視線が高くなって変な感じ)
まさか歩夢を見下ろす日が来るとは思わなかった。
(でも、なにはともあれ、だよね)
どんな理屈、ファンタジーで私が男の子になってしまったのかはわからないけど、普通に日常を送らないと。
もしかしたら、そのうち元に戻れるかも……しれないし。
「え〜と、となると気を付けないといけないことは……」
うっかり女子トイレにはいらない、男子のちんちん見えても動揺しない、僕っていうこと、男の子っぽく過ごすこと。
3
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/06/30(金) 18:22:53 ID:CEVJq1oA
明日から再開です
4
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/06/30(金) 20:03:37 ID:RHZ7W.32
期待
5
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/01(土) 11:11:59 ID:Bz1eDnzI
久しぶりも個人ルート
6
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/02(日) 23:59:51 ID:mH2E1UJI
それでもなんとかこの世界にも適応出来て。
最近は趣味で打ち込みで作曲とかを。
人に言うのもなんだか恥ずかしいから、1人で細々と楽しんでいる。
あまり上手くは出来ないけど、VOCALOIDに歌ってもらったり。
侑「自分で歌ったりも考えたけど、羞恥心が勝っちゃうな」
そんな感じで私は私でこの世界で楽しんでいる。
7
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/03(月) 00:39:31 ID:q0nA67LY
結構登録者も増えてきて、コメントも貰えて。
楽しみつつ、他の動画も漁っていると。
ど〜考えても聞き覚えのある歌声が。
侑「これランジュちゃんだよね……」
てか名前も思いっ切りランジュだし……。
侑「ファンも多いなぁ」
その辺りは流石というべきか。
ランジュちゃんとは学校で話したことはまだない。
というより繋がりが無いからね……。
侑「……ランジュちゃんとコラボ出来たりなんかしたら、面白そうだけどなぁ」
8
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/03(月) 00:52:31 ID:q0nA67LY
どうお誘いすればいいか分かんないけど、そんな機会があれば嬉しいなって。
そんな事を思いながら、私は新たな曲を電子の海へ放流。
★★★
ランジュ「……これって」
最近どこかで間違いなく聞いたイントロ。
そう、どこかで……。
ランジュ「あの時……音楽室……」
でもこれは今まさにアップロードされたばかり。
だからあの時、これを弾いたり出来るって言うのなら。
ランジュ「……」
9
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/03(月) 22:55:51 ID:q0nA67LY
★★★
とある日。
ランジュ「你好! あなた、侑……であってるわよね?」
侑「へ?」
渡り廊下で突然話しかけられる。
向かいから、確かにこちらに歩いてきているなとは思っていたけど、少し驚いてしまう。
侑「な、なに?」
ランジュ「実はね……ううん、ここじゃ何だし、放課後時間あるかしら? その時に話しましょ」
★★★
ランジュちゃんに誘われ、放課後ファミレスに。
ランジュ「来てくれてありがとう、いきなり呼び出しちゃって悪かったわ」
侑「ううん、大丈夫……でも、話って?」
ランジュ「えぇ……単刀直入に訊くけれど」
携帯を操作し、とある画面を私に向ける。
それは当たり前だけど、私にとって見覚えのありすぎる画面。
私がYou Tubeに登録しているアカウントだった。
ランジュ「このYUって……ふふ、そのままね。貴方のことよね?」
侑「そ、それは……」
一瞬気まずいと思ったけど、……でも、まぁ隠す事はないのかもしれない。
侑「うん……そうだよ。でもなんでわかったの?」
ランジュ「昨日アップした新曲、もっと前に音楽室で弾いてたでしょ? それでもしかしたらって」
10
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/03(月) 22:59:37 ID:WrvufOOs
わくわく
11
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/03(月) 23:12:16 ID:q0nA67LY
侑「……あれ、じゃあ。普段から聴いてくれてるってこと?」
ランジュ「そうなの!」
興奮したように私の手を両手で握りしめる。
天真爛漫な様は変わっていない。
不意な行動にドキッとする。
ランジュ「私、ずっと貴方のファンだったの! それがまさか同じ学校だとは思いもしなかったわ!」
キラキラとした目で思いの丈を打ち明けられる。
ランジュ「古参よ古参!」
侑「あ、あはは……ありがとう」
ランジュ「……それで、もし良かったら、なんだけど」
12
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/03(月) 23:20:11 ID:q0nA67LY
憧れの目から。
今度は真剣な眼差しに。
ランジュ「私の為に……曲を作ってくれないかしら」
侑「……ランジュちゃんに?」
ランジュ「私もそれなりに活動してるの。ほら、これ」
そうして見せられたのは、やはりというべきか以前見つけたあのアカウントだった。
ランジュ「カバーも良いけど……私だけの歌で、皆を魅了したいの」
……どうやらこの世界でも、ランジュちゃんのやりたい事は変わらないみたいだ。
ランジュ「もちろん誰でも良かったわけじゃないのよ? 本当に貴方の作る音楽が好きだから……」
13
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/03(月) 23:32:22 ID:q0nA67LY
ランジュ「もちろんお礼もするわ! だから……」
侑「……ううん、大丈夫だよ」
なんなら、私からもお願いしたかったくらいなんだから。
侑「僕もそのアカウント……ランジュちゃんって知る前から、気になってたんだ。そんなランジュちゃんに歌ってもらえるなら、それがお礼だよ」
そう伝えるとさっきよりも更に笑顔を輝かせて。
ランジュ「谢谢! 嬉しいわ、ふふっ……!」
お互いの間にテーブルが無ければ抱きついてきそうな勢いだった。
ランジュ「それにしても、侑も私のファンだったなんて……」
14
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/03(月) 23:43:44 ID:q0nA67LY
ランジュ「私達、両想いね!」
侑「ぶっ……」
そこそこのボリュームで言うものだから、思わずキョドってしまう。
侑「り、両想いはちょっと違うかな……」
……とにかく。
私達の関係性はここからはじまる。
★★★
侑「さて……ランジュちゃんの新曲か」
となれば生半可なものは作れない。
ランジュちゃんにも、何よりランジュちゃんのファンの為にも。
そして、あまりにも私の曲調からも変化させすぎてもね。
ランジュちゃんは、これが好きと言ってくれたんだから。
15
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/03(月) 23:47:47 ID:q0nA67LY
今回はここまで。
侑の作曲スピードはアニメみたいな爆速です。
あとランジュの中国語はやめときます。ぐっちゃぐちゃになりそうなので。
また明日に。
16
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/04(火) 22:58:53 ID:f4gPd3lI
侑「よし……」
とりあえずサンプル程度に3つくらい。
侑「う〜ん……」
普段なら満足できるモノなんだけど、人にあげるとなるとどこか微妙に感じてしまう。
初めての経験だ……。
侑「……でも根詰めすぎてもだし、そろそろ寝ようかな」
気付けば日付が変わっていた。
しかし布団の中に入っても、頭の中では。
侑(あぁやっぱり……こうすれば……いや……)
★★★
ランジュ「大丈夫? すごく眠そうだけど……」
侑「う、ううん大丈夫……」
17
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/04(火) 23:08:13 ID:f4gPd3lI
結局上手く寝付けなかったな……。
侑「と、とりあえず……サンプル、作ってきたよ。気にいるものがあるといいんだけど」
ランジュ「えっ、もう? ……すごく早いのね」
イヤホンを手渡し、サンプルを聴き出す。
真剣な表情で聴いてくれる。
でもその分私の緊張も高まる。
時間を考えると、3つ分を聴き終えたのか、イヤホンを外すランジュちゃん。
侑「ど、どうかな」
ランジュ「……わ」
侑「へ?」
ランジュ「やっぱり侑はすごいわね! 一晩でこんなに良いの作ってくるなんて……!」
18
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/04(火) 23:13:55 ID:f4gPd3lI
侑「ほんと? 良かった……」
ランジュ「全部いいから、どうしたらいいのか迷っちゃう」
侑「あ、良かったら全部そのまま最後までやるよ」
ランジュ「本当に!?」
喜びが抑えられないと言った顔を近付けてくる。
本当に本当に嬉しそうだ……。
侑(うっ、可愛い……)
なんだか邪な、下心が芽生えそうになる。
だめだめ、そんなんじゃ。
19
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/05(水) 23:00:20 ID:L9pN4MuA
侑「気に入って貰えるように、頑張るよ」
ランジュ「ええ、よろしく頼むわ!」
★★★
その晩から私は残り3曲の仕上げに入る。
あーでもないこーでもないと、もっとこうしたいとか。
侑「楽しいな……」
誰かのため……今までも聴いてくれる人の為には作っていたけど。
たった1人の為に。
侑「……頑張るか」
20
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/05(水) 23:23:36 ID:L9pN4MuA
★★★
ランジュ「……侑、前よりも眠そうだけど大丈夫?」
侑「う、うん。大丈夫……」
完徹しちゃった。
侑「……どうかな?」
ランジュ「……聴かせてもらうわ」
しばらくランジュちゃんは聴き続けていた。
不思議と緊張が走る。
今回は前と違い、表情が大きく変わらない。
侑(あれ……駄目だったかな)
ランジュ「……侑」
21
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/06(木) 00:10:51 ID:bM5RgNlo
侑「な、なに?」
ランジュ「……きっと、すごく頑張ってくれたんだと思う。ううん、それどころじゃない。正直に言うわね」
イヤホンを外して真剣な顔。
私はそれを正面から受け止める。
ランジュ「本音を言うと、ちょっと怖いくらい。なんでたったの1日……いや、帰ってからだから実質半日……それだけでこんなに」
ランジュ「……天才だと思う。誇張抜きよ、そして私は本当に幸運だった」
ランジュ「私と……ううん。その前に言うことがあるわね」
そこでランジュちゃんはようやくニコりと笑い。
ランジュ「ぜんぶぜーんぶ、とっても嬉しいわ! でも、ちゃんと寝ないとだめよ?」
侑「う、うん……ごめん」
22
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/06(木) 00:11:34 ID:bM5RgNlo
今回はここまで。
感想があると喜びます。
また明日に。
23
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/06(木) 09:10:29 ID:nlpo/yWE
第一印象や序盤から好印象なんだな
スクスタメインストーリーやアニメの序盤とは全然違うな
24
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/06(木) 11:21:57 ID:r/18xvP6
ここの侑は誰に頼れず曲を作ってるよな
よく考えたらランジュに嫌われる理由もあまりないね
25
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/06(木) 23:38:29 ID:bM5RgNlo
ランジュ「とりあえず、話はまた明日にしましょ? 今日一日乗り切って、夜は早く寝なさい」
まるで子供みたいにあやされる。
……ランジュちゃんってこんなにお姉さん感あったっけ。
侑「……」
まず〜い……なんかドキドキしてしまう……。
単純か私は。
ランジュ「そうだ、LINE交換しておきましょ。これから連絡する事もたくさんあるでしょうし」
侑「うん、そうだね……」
そこで初めてお互いの繋がりを得る。
私の友達の枠にランジュと加わった。
★★★
26
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/07(金) 00:05:52 ID:ZlLSRHBo
そしてランジュちゃんに言われた通り早めに寝て、すっきりとした頭で迎えた朝。
を、飛ばしてお昼休み。
ランジュ「と、いうわけで。すごく今さらだけど、私達お互いのこと、まだよく知らないわよね」
侑「それで一緒にお昼を、と」
ランジュ「そういうことね! こういうのも、お友達同士みたいでいいわよね」
そしてランジュちゃんらしい、お肉がたくさんのお弁当箱を開けながら。
ランジュ「侑はいつからこの活動を始めたの? 最初の投稿は3ヶ月前だけど……」
侑「音楽作り出したのもその時だよ」
ランジュ「え?!」
とは言っても、ちょっとずるみたいなものだけど……経験自体は、あるわけだから。
ランジュ「とんでもない才能の塊ね……」
侑「そう言われると照れちゃうなぁ、でもランジュちゃんだってすごいよ。というか、僕なんかより何倍も……」
ランジュちゃんのTwitterとかInstagramのフォロワー数やYou Tubeの登録者数も、大人気配信者と変わらない数だ。
そんな子が私の曲聴いて好きと言ってくれた時点で、私からすればものすごく幸せなんだけど……。
ランジュ「今はまだ皆、アナタを見つけられてないだけよ。何かの弾みで広がれば、もっともっと皆の目、いや耳に届くはずよ」
27
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/07(金) 00:20:49 ID:ZlLSRHBo
ランジュ「才能、実力はもちろん大事だけど、ソレ以上に運も必要よ」
ランジュ「むしろ、最後に物を言うのは運ね」
侑「……それに愛されるのも、才能かな」
ランジュ「ま、それは言えてるわね! 運も実力の内って事ね」
会話は弾む。
気付けばお昼休み終了のチャイムがなるまで。
他愛もない話を続けていた。
ランジュ「はぁ、なんだかあっという間ね。……そうだ、放課後、曲についての話をしましょ」
★★★
そして放課後。
今日もまた例のファミレスで会議。
そこでいろんな話をした。
仮歌を取ること、歌詞はどうしようかとか、いつ頃出そうかとか……。
その会話の中で、私は一つの疑問を。
侑「ランジュちゃんは、……最終的な目標ってあるの?」
ランジュ「私は……」
ニッ、と笑う。
そして大胆不敵に。
ランジュ「私はナンバーワンになりたい。私の歌で、……皆を虜にしたい」
それでね、と続ける。
ランジュ「その為に……アナタと手を組みたいと思ったの」
侑「僕と?」
ランジュ「1人じゃ難しい事はわかってる、だからパートナーが必要、そう思ったの」
ランジュ「……もちろんいつまでもずっと、なんて無理強いはしないわ。こんなの口約束でしか無いから、侑が嫌になれば、いつだって止めたっていい。……だめかしら?」
28
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/07(金) 00:22:49 ID:ZlLSRHBo
今回はここまで。
感覚としてはヨルシカや、YOASOBIみたいなものですね、コンポーザー侑とボーカルランジュ。
また明日に。
29
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/07(金) 23:40:00 ID:ZlLSRHBo
侑「……もちろんOKだよ。一緒に頑張ってみよう」
こうして私達は手を組み、二人だけのユニットが産まれた。
ここから私達の長い道が始まる。
侑「ランジュちゃんは……どこに行きたいの?」
ランジュ「目指す場所は決まってるわ──日本武道館よ!」
★★★
30
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/08(土) 00:16:45 ID:6UvEwyPE
侑「おお……」
数日後、ランジュちゃんに送った仮歌を、しっかり歌い直してくれた物がデータとして送られてきた。
MIXも流石というべきか上手い。
侑「めちゃくちゃ良いなこれ……」
相当再生数も行くんじゃないのかこれ……。
我ながらいい仕事したよ。
あとは貰ったこれを微調整を繰り返して……。
侑「よし、ランジュちゃんのOKが出れば……」
ランジュちゃんも真剣なようで、なんでもかんでもOKは出さない。
本気だからこそ改善点や微妙だと思えばはっきり言うし。
侑「その分、こっちも熱くなるよね……」
31
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/08(土) 00:17:49 ID:6UvEwyPE
栞子編並みにじっくりとした内容になるかと。
また明日に。
32
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/08(土) 02:18:58 ID:M0bnUt1U
待ってます
33
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/09(日) 01:39:05 ID:8pRjVD4M
明日夜時間が許す限り更新します。
34
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/10(月) 02:13:43 ID:Pawz1XYw
だけどその分、お互いの納得出来るものに変わっていく。
特にランジュちゃんは妥協を許さないから。
……そうして産まれたものが、ようやく。
侑「よし、それじゃあ後は……」
ランジュ「お互いがコラボの告知をしてから投稿、ね。侑の方のVOCALOIDVerと同時でいいわよね?」
侑「うん、それで大丈夫」
35
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/10(月) 02:21:05 ID:Pawz1XYw
互いの登録者から更に拡散されるように、出来ることはいろいろやってみる。
侑「でも多分、影響が大きいのは僕の方だよね」
どちらかといえば、ランジュちゃんに広げてもらっているようなものだから。
ランジュ「今後の為には必要なことよ。……それに、いつかは」
今回の件で一つ定めた目標。
それなりに、私達のこのコンビが広まった辺りで共有のアカウントを作ろうと。
ランジュ「まずは、今回のこれがただのコラボじゃないって事を認知してもらってからになるわね」
36
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/10(月) 02:29:52 ID:Pawz1XYw
侑「その為にも、精力的な活動を、ってね」
月1で出していきたい。
ランジュ「だから、この最初がとっても重要ってわけね」
侑「緊張する?」
ランジュ「まさか。緊張する必要なんか無いわ」
ランジュはさらりと続ける。
ランジュ「こんなに良いものが出来たんだもの。自信しかないもの」
37
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/10(月) 16:50:37 ID:Pawz1XYw
明日再開。
次回から二人が遊びに行きだしたりします。
38
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/10(月) 17:14:41 ID:VGes8z3E
そこまであらすじ予告しなくても良いんじゃない?
39
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/10(月) 23:35:00 ID:MCH0QaXg
たのしみ
40
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/11(火) 16:11:55 ID:kzyJ.K42
侑「そうだね……僕もそう思えるよ」
自分たちの作った物には自身を持たないと。
そうじゃなきゃ、目標になんて届かない。
そんな想いを胸に、私達はそれぞれ投稿した。
41
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/11(火) 17:12:02 ID:kzyJ.K42
★★★
そして翌日。
それがまぁ、どうした事か。
私達の予想を遥かに超えて。
侑「おお〜……」
ランジュ「ふふふ……」
やったね! とか嬉しいとかはあるけど。
ちょっとビビってる。
侑「あ……すご、この人が拡散してるんだ」
Twitterを確認するとその界隈で名前の通った人らが複数人私達の動画を見ていたようで。
それが原因のようだ。
ランジュ「言ったでしょ、こういう事が大事だって!」
流石に喜びを隠せない様子のランジュちゃん。
ランジュ「今日はお祝いね! 帰りに寄り道して行くわよ!」
42
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/13(木) 17:45:48 ID:DAN6fyKg
明日再開で。
43
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/14(金) 09:13:38 ID:2oxfvnck
ご機嫌な足取りのランジュちゃん。
大人びているようで、子供のようにはしゃいでる。
天真爛漫とはこの事を言うのか。
だってさっきから掴んでる。
私のシャツの袖。
ランジュ「お気に入りのお店があるの、今日はそこにしましょ!」
早く早くと急かすようにグイグイと引っ張られる。
侑「そんなに慌てなくても」
ランジュ「だって嬉しいんだもの、はやくいろいろ話したいし」
44
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/14(金) 17:55:32 ID:2oxfvnck
★★★
侑「……」
ランジュ「どうしたの、そんなにキョロキョロして」
侑「ううん、いや……」
入ったお店に男が私一人だけだから……とは言いにくい。
ランジュ「ここのスイーツはどれもこれも美味しいから好きなのを選んでみてほしいわ」
侑「それなら……」
45
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/16(日) 22:53:36 ID:nLA5O5xs
お互いに好きなものを頼み、ウズウズとしてたまらなかった気持ちをお互いにぶつけ合う。
ランジュ「素晴らしいスタートダッシュを切れたわね!」
侑「僕の方も登録者数増えたよ。やっぱり効果がしっかり出ているね」
まだまだ目指すべき場所には遠いけれど、最初の一歩としては最高のものだった。
ランジュ「やっぱり侑のセンスがすごいのね」
侑「いやいや、ランジュちゃんの歌の才能がすごいんだよ」
お互いにお互いを褒め合う。
この功績は、あなたのおかげなんだ、って。
46
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/18(火) 00:14:26 ID:GTcuyEAU
定員さんが注文したものを運んでくるまでずっと、続いた。
それから私は気付いた事がある。
そんなに大した事ではないけれど、とても印象に残るたった一つの事。
笑顔がとっても素敵だって事。
★★★
それからランジュちゃんの距離感が段々近くなってきたんだ。
ランジュ「侑! お昼にしましょ!」
お昼休みになれば私を連れ出し一緒にご飯。
引っ張っていくものだから皆の視線を集めてしまう。
47
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/18(火) 00:15:15 ID:GTcuyEAU
定員さんが注文したものを運んでくるまでずっと、続いた。
それから私は気付いた事がある。
そんなに大した事ではないけれど、とても印象に残るたった一つの事。
笑顔がとっても素敵だって事。
★★★
それからランジュちゃんの距離感が段々近くなってきたんだ。
ランジュ「侑! お昼にしましょ!」
お昼休みになれば私を連れ出し一緒にご飯。
引っ張っていくものだから皆の視線を集めてしまう。
48
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/18(火) 00:26:01 ID:GTcuyEAU
ランジュ「侑! 帰りにカラオケよっていきましょ!」
遊びに誘われ二人だけでカラオケに行く。
少し緊張をしてしまうのは、やっぱり心の何処かで意識しているなのかな。
心は一応女の子のはずなんだけどな。
それにしても……。
侑(当たり前なんだけど、歌、上手いなぁ……)
カラオケでもその歌声を響かせる。
それを隣で聴けるんだからこれ以上ない程の特等席だ。
49
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/18(火) 00:29:01 ID:GTcuyEAU
また明日に。
50
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/19(水) 23:37:25 ID:Dl3UhUTE
ソレ以上に、ただ想うこと。
楽しいな、と。
自然と笑えて、心が満たされる。
ランジュ「……良かった」
侑「へ?」
ランジュ「侑、私と会う時なんだか固かったから。……やっぱりいきなり近付きすぎちゃったかもって不安になっちゃって」
51
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/19(水) 23:44:18 ID:Dl3UhUTE
ソレ以上に、ただ想うこと。
楽しいな、と。
自然と笑えて、心が満たされる。
ランジュ「……良かった」
侑「へ?」
ランジュ「侑、私と会う時なんだか固かったから。……やっぱりいきなり近付きすぎちゃったかもって不安になっちゃって」
52
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/20(木) 00:12:17 ID:Vrp4r1ho
侑「ランジュちゃん……」
ランジュ「これからも、ううん、これからもっと仲良くなれるように努めるわ!」
★★★
それから家に帰っても、LINEでの会話が途切れない。
次はどんなものにしようかとか、普通に土日に遊びに行こうとか。
気付けば朝になっている事があった。
53
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/20(木) 00:30:42 ID:Vrp4r1ho
波長が合うのか出会って日は浅い筈なのに、仲が深まるのは早かった。
そしてそれから一ヶ月後。
季節は夏、海──
ランジュ「夏フェスよ!」
侑「いわゆるサマソニだね」
国内で行われる最大級の都市型ロックフェスティバル。
それのチケットが取れたとのことで、一緒に行こうと誘われたんだ。
54
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/20(木) 00:32:44 ID:Vrp4r1ho
興味はあるけどサマソニ行った事はありませんので雰囲気で書きます。
また明日に。
結構早めに高校は卒業します。
55
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/20(木) 23:47:43 ID:Vrp4r1ho
高校生にはちょいと、いやかなり大きい額だけど。
それでも夏の一つの想い出なら、それくらい使ったって平気だ。
ランジュ「2日間あるから泊まりになるわね」
侑「そうだね、ホテルとかも取らないといけないね」
二人できゃっきゃと夏の遠出の予定を決める。
こういうのは予定を決めているときが一番楽しいとも言うけどどうなんだろう。
侑(いや、ランジュちゃんとなら)
そんなワケ無いよね。
当日が、一番楽しいに決まってる。
56
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/20(木) 23:55:42 ID:Vrp4r1ho
ランジュ「あ、こことかいいんじゃない?」
侑「本当だ、安い安い! ここにしようよ」
ホテル予約アプリでそのまま予約して、次は
57
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/21(金) 00:09:39 ID:xUUnIg1g
移動手段だとか、どんな格好で行こうかなとか。
途中からはもはやそれとは関係のない話で盛り上がったり。
ランジュ「そして、これよね」
侑「うん……ふふ、でもランジュちゃん、我慢できるの?」
前のコラボから日が経ち、次弾のランジュちゃんとの新曲は実は完成していた。
すぐにアップロードしようとしたけれど。
ランジュ「サマソニの前にアップロードして、帰ってきてから反響を見るの!」
それも一つの楽しみ、ということで。
★★★
58
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/21(金) 00:16:32 ID:xUUnIg1g
そしていよいよやって来ましたサマソニ当日。
侑「うっわ〜……すっごい暑い!」
ランジュ「カンカン照りってやつね〜……でもこれも一つの醍醐味ね!」
とにかくまぁ人が多い。
当たり前だけどね!
ランジュ「こんな中ではぐれちゃったら探すのも大変ね……」
侑「そうだねー、手でも繋いでおく?」
軽く冗談のつもりで言ったつもりだった。
ランジュ「そうね、それが一番安全ね」
そう言い、何の躊躇いもなく私の出を握ってきた。
侑「へ?」
ランジュ「?」
そっちが言い出したのに何を驚いているんだと。
顔にそう書いていた。
59
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/21(金) 00:25:02 ID:xUUnIg1g
ランジュ「まっ、いいわ。とにかく行くわよ侑! 今日という日は二度と来ないんだから!」
ランジュちゃんの手のひらの温度に気を取られそうになるけれど。
その言葉に、照れくささも飛ぶ。
侑「……そうだね! 思いっ切り楽しもう!」
★★★
テレビで観たあのバンド、逆に普段はテレビには出ないあのグループ、フェス系といえばこの人たち。
否応無しにも、会場のボルテージが上がっていく。
それにつられて私とランジュちゃんも声を出して飛び跳ねる。
最高に楽しい時間。
眼の前に集中して、他の事が脳の外側へ流れていくみたいだ。
それは時間の流れにも影響して、本当にあっ、という間に1日目が終わってしまった。
60
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/21(金) 00:29:51 ID:xUUnIg1g
★★★
ランジュ「最っ高の初日だったわ! やっぱり来るって決めて正解……!」
侑「これがまだ明日もあるってのもまた最高……!」
宿泊するホテルへと向かう最中、今日の感想を語り合う。
周りにもサマソニ参加者が帰宅しているのか、同じように感想を熱く話している人たちがちらほらと。
「かわいー……」
「フェスデートかな……」
ランジュ「……」
侑「ランジュちゃん?」
ランジュ「あ、ううん……その、ね? 侑……嫌って訳じゃないんだけど、そろそろ……」
侑「え? あ……」
小さく聞こえた声で気付いた。
……私達、ずっと手繋いだままここまで歩いて来ていた。
61
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/21(金) 00:37:25 ID:xUUnIg1g
★★★
ランジュ「……」
侑の事は、いいお友達だと思っている。
そしてこれからの私とのタッグパートナーでもある……だから、意識するだなんて事はしないと思っていた。
だから手だって繋いだって平気だったけど……。
ランジュ(……周りからは、そう見えるのね)
自分でも単純だと思う。
それだけでちょっとドキドキしてしまうんだから。
ランジュ(ま、まぁ、これから侑とは長い付き合いなんだから! これくらいの事で動揺してたらやっていけない!)
だから大丈夫、平常心平常心。
ランジュ「あっ、ほら侑。今夜泊まるトコ、ここよ」
★★★
ランジュ「……へ?」
侑「……へ?」
「予約上では一部屋に2名となっておりまして……」
侑「……今から変更とかって」
「申し訳ございませんが既に他のお部屋も予約が埋まっていて……」
ランジュ「……」
侑「……」
62
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/21(金) 00:40:58 ID:xUUnIg1g
★★★
まぁ、これに関してちゃんと確認しなかった私達のミスだし。
仕方ないね、と部屋に入るが。
侑「えっ、ベッドも1つじゃん」
ランジュ「わっ……」
枕は2つあるけど……。
侑「……」
ランジュ「……」
侑「……とりあえず、汗かいちゃってるし……シャワー浴びてきたら?」
ランジュ「しゃわッ!?」
侑「い、いや変な意味とかじゃなくてさ!!」
63
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/21(金) 00:42:01 ID:xUUnIg1g
今回はここまで。
64
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/21(金) 04:20:09 ID:eG0OlzpY
ランジュちゃん可愛い
65
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/21(金) 12:19:50 ID:HFUNi78I
野暮なツッコミだろうけど、
>>56
でランジュが理由なく安いホテルを選ぶのはちょっと違和感あるかな
66
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/21(金) 23:58:12 ID:xUUnIg1g
で、でも今のは私も言葉のチョイスが悪かったかもしれない。
ランジュ「……うん」
しおらしくなってしまうランジュちゃん。
ごそごそと着替えなどをまとめてシャワールームに向かった。
★★★
ランジュ「……」
汗が染みてしまった服を脱いでいく。
下着も同様に汗で湿っていた。
ランジュ「……」
すぐ後ろ、扉の向こうに侑がいる。
そんな近さで今、何一つ身に纏わない姿でいる。
覗いたりはしないって分かっているし、そこは新来しているけど。
どうにも心が落ち着かない。
ランジュ「……」
シャワーにうたれながら、手のひらの感触を思い出す。
ランジュ「そういえば……男の子と手を握るなんて、初めて」
67
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/22(土) 00:27:59 ID:g6R3a4no
男の子。
ランジュ「あ……そっか……」
当たり前の事に今更気付く。
そうよね、当たり前なんだけど。
男の子とお泊まりしてるのよね……。
ランジュ「平常心平常心……」
さすがにこんな状況で、いつも通りではいられなかった。
68
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/22(土) 00:49:29 ID:g6R3a4no
最後に冷たいシャワーで身を引き締めて、よしっと小さく呟きシャワールームを後にした。
★★★
ランジュ「おまたせ」
侑「あ、ぁあ、うん……」
まだ濡れた髪。
ホテルのものではなく自前の寝間着。
でもそれがまた可愛い。
ランジュ「……次、侑の番よ」
侑「う、うん。そうするね」
着替えを手に持ち、ランジュちゃんと交代でシャワールームに。
そして扉を閉めてから。
ランジュ『あっ、待って侑っ、一回外に……!』
どうしてそう叫んだかはすぐにわかった。
侑「ぅ、うん、すぐでる……」
畳むまでは良かったんだろう。
でもそれを持っていくのを忘れてしまったと思われる今日着ていた服と、下着がそこにあった。
★★★
ランジュ「……みた?」
侑「……みてない」
侑(赤か……)
ランジュ「……なら良い」
69
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/22(土) 00:50:18 ID:g6R3a4no
今回はここまで。
確かにランジュなら一番いいとこの一番いい部屋!とかになりそうですね。
70
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/22(土) 06:44:40 ID:6TS/jRKA
意識し始めたランジュちゃんええぞ……
71
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/23(日) 00:25:18 ID:dSmvxZkg
背を向けられるけれど、耳まで赤くなっている事が分かる。
心の中でごめんと謝りながら、シャワーを浴びた。
なぜか冷水だった。
★★★
しかし問題なのはここからだ。
シャワーは別々で何も問題なかったけれど。
侑「……僕はソファで寝るよ」
あまりにもテンプレの様なセリフでソファに腰掛ける。
ランジュ「……ううん」
少し考えたあと。
普段よりもかなりボリュームの小さな声で。
ランジュ「私……一緒のベッドでも、構わない……」
72
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/23(日) 00:42:59 ID:dSmvxZkg
侑「えっ、いやでも……」
ランジュ「……も」
侑「え?」
ランジュ「……何も、しないでしょ?」
何も、……って。
その言葉の意味するところは。
『なにか』が起きる事を。
想定はするけれど、それが起きない信頼してくれているんだ。
……もちろん何もする気はない。
手を出すなんてあるわけ無い。
でも、今。
問題なのは。
この場に『そういう空気』が漂ってしまったことだ。
73
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/23(日) 01:05:09 ID:dSmvxZkg
侑「……大丈夫、何も、無いよ。起きない」
ランジュ「じゃあ……」
すっ、とベッドを半分空けてくれる。
一つの薄い掛け布団を、二人で分ける。
ランジュ「おやすみ……」
侑「……」
いや、眠れそうにないよ……。
すぐ隣でランジュちゃんがいる。それが鼓動を早めて仕方ない。
……30分くらい経っただろうか。
変わらず私は眠れていない。
誤魔化すように寝返りを打つ。
侑「あ……」
ランジュ「!」
こちらに顔を向けていたランジュちゃんと目が合う。
74
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/23(日) 01:24:53 ID:dSmvxZkg
ランジュ「ね、眠れない?」
侑「う、うん……」
ランジュ「私も……」
……私達の部屋なんだから、小声で話す必要なんかないのに。
ランジュ「……明日もあるんだから、寝ないと」
侑「……眠たくなる、まで今日の感想でも話そうか」
75
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/24(月) 01:50:27 ID:G3vYohzM
ええぞ
76
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/24(月) 02:14:45 ID:Qsw477Rk
ベッドの上で、お互いが向き合い。
視線と視線が一直線。
とにかく今は、喋る事を止めない。
間が空いて、無言になったら何故かお互いを見つめるフェーズに入ってしまう。
それが一番この場に、よくわからない空気を運んできてしまう。
無駄にドギマギして、余計に眠れなくなる。
ランジュ「……私、今回で思ったことがあるの」
77
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/24(月) 02:28:47 ID:Qsw477Rk
侑「……なに?」
ランジュ「私達のファンが集まって、満席の日本武道館も夢だけど……今日みたいなフェスにも呼ばれるくらい大きくなりたい」
ランジュ「私達にはそれが出来ると思ってる。……今はまだ、井の中の蛙だとも言われるだろうけれど」
ランジュ「きっと、絶対に……」
侑「……ランジュちゃんは、どうしてその夢を叶えたいの?」
ランジュ「そんなの決まってるじゃない……好きだから」
歌うことが、と。
……そして私の手にランジュ自身の手のひらが重ねられる。
ランジュ「……だから、一緒に頑張りましょ、侑」
侑「……うん」
手のひらに広がる温もり。
……それを感じていると、気付けば目の前から小さな寝息。
侑「……手、握ったまま寝ちゃった」
まぁ、いいか……。
私も……ようやく眠たくなってきた……。
侑「おやすみ、ランジュちゃん」
★★★
78
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/24(月) 16:43:52 ID:Qsw477Rk
★★★
よく眠れたおかげか、2日目も元気いっぱいに参戦することが出来た。
でもはしゃぎすぎて疲れ過ぎた。
またホテルに戻ってくる頃には二人してクタクタになっていた。
ランジュ「出し切ったわね……」
侑「流石にはしゃぎすぎたねー」
でもすごく満足度のある疲労だ。
侑「楽しかったね、本当に」
ランジュ「また来年も一緒に行きましょ!」
そんな約束をして、私達のサマソニが終わった。
★★★
ランジュ「っと、それと忘れてないかしら? 帰ってきたら、新しく出した曲がどれだけ伸びてるか確認するって」
侑「もちろん覚えてるよ!」
79
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/24(月) 16:53:35 ID:Qsw477Rk
ランジュ「そうだ、せっかくだし私の家に来ない? 新曲の話し合いもしたいし」
侑「それじゃあお呼ばれしようかな」
ランジュ「それじゃ、明日家で待ってるわね。LINEで住所送っておくから」
侑「うん、わかった」
……あれ、でもそういえば。
ランジュちゃんって一人暮らししてたような……。
80
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/24(月) 18:05:42 ID:Qsw477Rk
また明日に
81
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/25(火) 16:15:01 ID:80f2f0Qk
そこにお呼ばれされたって事は……二人きりなんだけども。
侑(い、いやまぁ、純粋に誘ってくれてるんだ。そういうのは意識しないでいよう)
あのサマソニのお泊りを乗り越えたんだ、どうってこと無いさ。
★★★
★★★
ランジュ「ふぅ……」
気付けばお部屋のお掃除が捗っていた。
ランジュ「思わず普段なかなかしない所もやっちゃって時間掛かっちゃったわね……」
82
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/25(火) 16:52:30 ID:80f2f0Qk
お気に入りの紅茶も用意して……。
ランジュ「……準備しすぎかしら」
でも大切なお客様を招くんだから、これくらい普通よね。
カップを用意して待っていると、インターホンが鳴り、待っていた人がやって来た事を伝える。
ランジュ「はーい、いらっしゃい! 待ってたわ、侑!」
侑「お邪魔します」
83
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/25(火) 17:28:16 ID:80f2f0Qk
★★★
ランジュ「今紅茶を淹れていた所だから、ちょっと待ってて」
2人分の紅茶を用意して侑の元へ。
侑「ありがとう、……さてさて」
ランジュ「どうなってるかしら……」
期待と不安、どちらもある。
前回がたまたま伸びただけだったじゃないと思いたくて。
いざ動画の再生数を確認すると──
ランジュ「……あ、っえ?」
侑「いやっ、あってるあってる!十万じゃない!桁もう一個……」
私達の不安なんて、する必要なんて無かった。
前回よりも更に勢いがすごく、急上昇もカテゴリでも1位を取っていた。
ランジュ「やっ、やったわ〜! やっぱり私達ってすごいのね!」
侑「わっ……」
喜びが爆発したランジュちゃん。
その勢いをそのままに私に思い切りハグをしてきた。
侑「ら、ランジュちゃん……」
ランジュ「ふふ、ふふふ……!」
全然気付いてない。
84
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/25(火) 17:29:31 ID:80f2f0Qk
また次に。
85
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/25(火) 19:05:38 ID:IrgnbaY2
やはりこういう丁寧のが好きだな
86
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/26(水) 17:30:53 ID:20hNBNsc
むぎゅっとランジュちゃんのたわわなモノが押し付けられている。
だけどそれを指摘するのもなんだか……。
言いにくいというか……。
侑「ま、まぁまぁ落ち着いて……」
だから平静を装ってハグを剥がす。
……ちょっともったいない気もするけれど。
ランジュ「本当にあの時侑の事見つけられて良かったわ。……あ、でも」
ランジュ「……」
侑「ランジュちゃん?」
ランジュ「……ううん、その」
ランジュ「侑が……音楽作ってたから会えて良かったってわけじゃないのよ?」
87
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/26(水) 17:40:58 ID:20hNBNsc
ランジュ「出会い方はどうにしろ、きっと侑とは仲良くなれてたと思う」
侑「……ありがとう。僕もそう思うよ、本当に」
ランジュ「……うん、これからもよろしくお願い……」
ランジュ「だから、その……」
なにかもじもじと指を遊ばせている。
迷っているような、思い切りがつかないというような。
ランジュ(うぅん、こういうのは勢いよ! ミアもそう言ってたんだし……!)
ランジュ「んっ……!」
侑「!?」
顔が近づいたと思えば、頬にチュッと唇が触れた。
侑「ら、ランジュちゃん!?」
88
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/26(水) 17:49:26 ID:20hNBNsc
ランジュ「こ、これはお友達同士なら普通なの、親しい仲になりたいならこうだって……」
侑「だ、誰に教わったの……?」
ランジュ「アメリカ育ちの友達……」
侑(あっ絶対ミアちゃんだこれ……)
ランジュ「だから、侑もお返しに……」
瞳を閉じて頬を差し出してくる。
その頬が赤く染まっていて、明らかに恥ずかしがっていた。
侑「い、いやそれは……」
多分面白がって冗談を吹き込まれている……とつたえようとしたけれど。
ランジュ「侑は……嫌?」
侑「い、嫌じゃないけど……」
ランジュ「じゃあ、して……?」
……そ、そんな顔されたら。
嫌だなんて言えない……。
侑「じ、じゃあ……」
何故かお互い正座。
激しく緊張しながらも……私もランジュちゃんの頬にキスをした。
ランジュ「……これでもっと仲良くなれるわね」
侑「……そうだね」
89
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/26(水) 17:49:58 ID:20hNBNsc
また明日に。
90
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/26(水) 20:37:43 ID:W9ZEjTvs
ええぞ〜!
91
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/26(水) 20:43:46 ID:qr4q8xTg
じゃあ、他の子にもするのかと言うね
歩夢が近くでベッタリし始めたらどうするのやら
92
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/27(木) 09:32:11 ID:lZlSzuLM
★★★
照れ照れと。
相手の目が見られない。
ランジュ(……やっぱりミアの言う通りだったわ)
だって、こんなに胸がドキドキしてるんだもの。
嫌だったらこんな気持ちにならない。
嬉しいから……。
ランジュ「……さっ! 喜んでるのもこれくらいにして、次の曲作りに取り掛かりましょ!」
★★★
とは言ったものの。
ランジュ「きゃあっ! このワンちゃん可愛い〜♡」
二人でYou Tubeで可愛い犬やらYouTuberやらの動画を見漁っていた。
93
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/27(木) 09:39:30 ID:lZlSzuLM
普段は1人だから集中できるけど。
誰かといたら、まぁ、ねぇ?
遊んじゃうよ。
侑「……こうやってYou Tube観てると、自分達の動画がランキング上位にあると不思議な感じだね」
ランジュ「これを当たり前ってなるくらいになっていきたいわね」
ランジュ「……そう考えたらこうしてる場合じゃないわね! そろそろ作業に……」
新たに気合を入れよう……とした時。
くぅ〜……と小さくお腹の音。
ランジュ「あぅ……」
侑「あはは、もう時間も時間だしね。なにか食べに行こうよ」
94
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/27(木) 17:43:12 ID:lZlSzuLM
それから2人でお昼にして、少しぶらついた後またランジュちゃんの家に戻り、陽が落ちるまで作業を続けた。
侑「そろそろ今日のところは帰ろうかな」
ランジュ「そうね……」
ちらりと時計を見る。
たしかにもうそんな時間ね、とランジュちゃんも続けた。
玄関まで見送ってくれる。
侑「じゃ、ランジュちゃん。またね」
ランジュ「うん……。ねぇ、侑」
侑「ん? どしたの?」
玄関での段差があるからだろう。
ランジュちゃんは私の肩に手を置いてバランスを取って。
また頬に触れるだけのキスをした。
ランジュ「……お、お別れの挨拶でもするって言うから……」
侑「そ、そっか……」
再びの沈黙。
それを破るのもランジュちゃんだ。
ランジュ「……しないの?」
侑「えっ、ぁ、する……」
私も少し背伸びして、ランジュちゃんの頬にキス。
ランジュ「えへ……また明日も来る?」
侑「……うん、そうする。また来るよ」
95
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/27(木) 17:43:56 ID:lZlSzuLM
また明日に。
それでまだ付き合ってないのか、をたくさんやりたいですね。
96
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/28(金) 09:32:39 ID:r62McHGM
★★★
ミア『……それで本当にキスしたのか』
ランジュ「ほっぺよ! それに勧めたのはミアじゃない」
ミア『ま、それもそうだね。でも驚いたよ、ランジュがそんなにゾッコンになるとは』
ランジュ「……別にそんなのじゃないわよ」
ミア(頬にキスする関係が普通なわけないけど……)
97
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/28(金) 09:42:28 ID:r62McHGM
ランジュ「とにかく! 私は日本で侑と一緒に天下を取るわ」
ミア『その時を楽しみにしてるよ。いつか日本に行ったときは会わせてよ』
ランジュ「えぇ、もちろんよ!」
★★★
一方その頃。
私は未だに頬にあの感覚が残っている気がしていた。
一瞬だけど、確かな柔らかな唇。
侑「……」
傍から見ればなんともまぁ過剰なスキンシップ。
日本だよここ。
友達同士で頬にキスとかしないよ!
侑「いや、嫌じゃないんだけどさ……」
なんなら嬉しい。
98
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/28(金) 09:51:31 ID:r62McHGM
でもこうなってくると……。
また次会ったときもするのかなって、期待してしまう。
また明日って言ったし……また明日もするのかな……。
侑「い、いやいけないいけない。これじゃ目的がワケ分からなくなっちゃう」
あくまで友達であり、パートナーなんだから。
明日は平常心を保って対面しようか……。
99
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/28(金) 09:54:49 ID:r62McHGM
あまり関係ないですが、一番最初の璃奈√、キャラがあまり掴めて無くて自分で書いたのに違和感がすごいです。
また夕方頃に。
100
:
名無しさん@転載は禁止
:2023/07/29(土) 17:31:40 ID:wglywetU
明日再開です。
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