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「あなたは昔から男の子だよ?」√しずく

1名無しさん@転載は禁止:2021/06/29(火) 01:17:26 ID:PnTHZ.Y.
春。
出会いと別れの季節、春。

それはここ、虹ヶ咲学園にも当然訪れる。
三年生は卒業して、新入生が新たに加わる。

それは今までもあったことだし、今更戸惑うこともない。

たった一つだけ、あることを除けば。

歩夢「──どうしたの? 今日は朝からなんだか調子が悪そうだけど……」

侑「あ、あぁ……いや、なんでもないよ、歩夢」

歩夢「ならいいんだけど……何か困ってることとか、悩みごとがあったら、なんでも相談してね!」

幼馴染みの上原歩夢。
自分で言うのもなんだけど、可愛い女の子だと思う。そんな子が幼馴染みだと……羨ましがられるんだ。

そう──特に、今は。

歩夢「そういえば、今日は身体測定があるんだって。『女子』は更衣室使うみたいだけど、間違って入っちゃだめだよ〜」

自分が──女の子から、男の子に変わってしまっている今は。

☆☆☆

侑「はぁ〜〜〜なにがなんだか……」

まさか眠りから覚めたら男の子になっちゃってるなんて……いや、わけわかんないよ。
わけわかんないけど、仕方ないから順応する。

わかっていることは、歩夢とは変わらず幼馴染みであること、自分のことは僕と呼ぶ事、そして一番驚いたのは、ここではスクールアイドル同好会が存在しないこと。

スクールアイドルという文化自体はあるようだけど……。

先生「はい、身長169センチ、体重は57キロね」

侑「ご、57……」

先生「ん? どうしたの?」

侑「いえ……」

女の子の体のときを、かんがえるとちょっとショックだったけど、別にこれくらいが普通、というかちょっと軽いらしい。

むしろ身長はもう少し欲しいくらいだね、なんて言われた。

(むしろ、視線が高くなって変な感じ)

まさか歩夢を見下ろす日が来るとは思わなかった。

(でも、なにはともあれ、だよね)

どんな理屈、ファンタジーで私が男の子になってしまったのかはわからないけど、普通に日常を送らないと。

もしかしたら、そのうち元に戻れるかも……しれないし。

「え〜と、となると気を付けないといけないことは……」

うっかり女子トイレにはいらない、男子のちんちん見えても動揺しない、僕っていうこと、男の子っぽく過ごすこと。

79名無しさん@転載は禁止:2021/07/11(日) 22:34:18 ID:u7nrDIoo
★★★

先に行った人たちを見送っていると、ついに私達の出番になった。

向かうは森の中。ちゃんと人が歩くための人工的な道だけれど、薄暗い照明のせいでかなり心もとない。

虫の鳴き声がリンリンと響いて、落ち着く様な、そうでもないような。

侑「しずくちゃん、怖くない?」

しずく「だ、大丈夫ですよ? 特に、なにもないですしっ!?」

しずくちゃんの肩が跳ねる。
私達の背後から、何かがペチャリ! と落ちるような音がしたからだ。

私達は二人して振り返った。

しずく「な、なんですかこれ? こんにゃく?」

侑「というより、なんだろうスライム? ……あせったあ」

80名無しさん@転載は禁止:2021/07/11(日) 22:43:43 ID:u7nrDIoo
しずく「……ま、まぁ。これくらいなら全然平気ですね」

侑「結構ビックゥなってたけど」

しずく「そんなことないですよ、さぁ早く行きましょうっ、先輩!」

そう言いしずくちゃんは振り返った。

しずく「ぴっ」

そこには。

侑「えっ、ぅわっ!?」

一体いつの間にいたのか……そこにはゾンビがいた。
もちろん、それが驚かせ役の人だということはわかっている。

でもすごいメイクだ、本当に全身に鳥肌がたった。
そして、一切の音も立てず気配を消してやってきて……かなり本気というのは本当らしい。

81名無しさん@転載は禁止:2021/07/11(日) 22:49:49 ID:u7nrDIoo
ゾンビ役「ぅ゛ぉ……」

しずく「ひゃぁぁぁっ!?」

侑「あ」

ゾンビ役「あ」

何か言おうとしてさらに驚かせようとしたその矢先……しずくちゃんはものすごいスピードで逃げ出した!

もう見えない!

侑「……」

ゾンビ役「……」

気まずっ。

ゾンビ役「……あっ、えっと。追いかけてあげて、この先まだまだこんなのあるから、多分あの子……」

と完全にオフの状態で心配されている間にも、奥から「きゃぁぁぁ!?」としずくちゃんの悲鳴が聞こえてきた。

侑「ですね。……じ、じゃあ僕はこれで」

★★★

82名無しさん@転載は禁止:2021/07/11(日) 22:59:28 ID:u7nrDIoo
★★★

ゾンビ役2「ゔぉおおっ!!」

しずく「いやぁぁぁ!」

もうどれだけ叫んだかわからない。
虚勢を張っていた自分を叩きつけたい。

作り物や演出だとわかっていても怖いものは怖い。

しずく「はぁ、はぁ、はぁ……」

わけもわからないまま闇雲に走り回っていた。
先輩ともはぐれた。

しずく「も、戻らないと……」

今来た道を……。
真っ暗な……。

しずく「う……」

83名無しさん@転載は禁止:2021/07/11(日) 23:04:19 ID:u7nrDIoo
「……ーぃ」

しずく「!」

侑「おーーーい、しずくちゃーん!」

しずく(先輩……!)

侑「あぁよかった、いたいた。大丈夫?」

しずく「……も、もちろん平気です」

……そんなわけないのに。

侑「ふふ、そっか。……お、それってさ」

しずく「え?」

先輩が指差すのは、折り返し地点ともなる、持ち帰るべき古びたコインのようなもの。

侑「ちょうどここだったんだね。よし、じゃあこれを持って帰ればオッケーだね」

84名無しさん@転載は禁止:2021/07/11(日) 23:09:35 ID:u7nrDIoo
侑「よし、しずくちゃん。それじゃあ戻ろうか」

しずく「……」

なんだか、すっきりとしない。

しずく「……」

だから、先輩の服の袖を指で掴んだ。

侑「しずくちゃん?」

しずく「……ごめんなさい。本当は、怖いです」

侑「……」

しずく「だから……戻るまでは、こうしていて良いですか?」

見方によれば、意地を張ったくせに……と思われそうだ。
でも先輩は、そんなことはまったくおもってないようで……。

侑「うん、もちろん」

今はその笑顔が、とても私を落ち着かせてくれた。

★★★

85名無しさん@転載は禁止:2021/07/11(日) 23:16:56 ID:u7nrDIoo
★★★

肝試しも終わり、入浴を済ませて今日はこれで就寝を残すのみとなった。

男女は別れて、広間に布団を並べて眠った……とは終わらない。

こんな状況で素直に寝る、という人も少ないだろう。

「なぁなぁ、結構可愛い子いるよな」
「一年な、いいよな〜」

そういう、恋バナみたいなものだ。
あまり面識がないからこそ、何も考えずに好みの女の子の話がしやすいのかもしれない。

★★★

「ねぇねぇ、虹ヶ咲のあの男子、みた?」
「ねー、めっちゃイケメンじゃない? カッコいい系っていうより、カワイイ〜系の」
「わかる〜」

しずく(先輩の話……?)

86名無しさん@転載は禁止:2021/07/11(日) 23:19:13 ID:u7nrDIoo
今回はここまで。
しずく√、栞子√くらい丁寧になりそうです。

あとしずく√のSとかMとか。それは最初からどっちもやりたいなぁとは思っていました。

また明日に。

87名無しさん@転載は禁止:2021/07/12(月) 00:00:02 ID:q7lRvZaw
しずくはどっちにもなれそうだしな。そして肝心なところで風邪をひく歩夢

88名無しさん@転載は禁止:2021/07/12(月) 00:36:27 ID:KH58XipM
パワプロの紫杏みたいなりそうだな

89名無しさん@転載は禁止:2021/07/12(月) 01:44:19 ID:QiQbAqHE
言いたいことはわかるけど紫杏としずくちゃんは本質が違いすぎて

90名無しさん@転載は禁止:2021/07/12(月) 23:53:21 ID:cZZgr0mo
「去年はいなかったよね? 途中からはいったのかな」
「虹ヶ咲……あ、ねぇねぇ」

そこで私がよばれていることに気付いた。

しずく「あっ、はい。なんですか?」

「あのニジガクの男の子、2年生から入ってきたの?」

しずく「はい。というより、私がお願いしたから巻き込んでしまったようなものなんですけど……」

「えっ、そうなの? いやいや、ナイス」
「でもなんで今さらお願いしたの?」
「いやそんなの決まってんじゃん、イケメン先輩といたいからじゃん」

しずく「えっ、ちが……!」

とんでもない誤解。
そう言うつもりじゃないのに!

91名無しさん@転載は禁止:2021/07/12(月) 23:58:09 ID:cZZgr0mo
しずく「私はただ、先輩にしか出来ない役柄を……」

言い訳なのか、訂正なのか。
とにかく私は、たくさん口を動かすのだった……。

★★★

「あの一年の子ケツでかくね?」
「な、清楚な感じなのにめっちゃエロいわそれ」

侑(……)

しずくちゃんか……?

「普通に胸もあるしな」
「完璧じゃん、顔も可愛いし」
「さくらざかだっけ?」

しずくちゃんだ。

侑(間違えられてるっー!)

92名無しさん@転載は禁止:2021/07/13(火) 12:23:14 ID:/6Lju0zM
しずくちゃん可愛い

93名無しさん@転載は禁止:2021/07/13(火) 18:47:29 ID:p6bClGtE
キモオタが勝手にでかいって言っているようだが、同じ同好会内にその上位互換が5人もいるんだけどな

94名無しさん@転載は禁止:2021/07/13(火) 23:38:07 ID:UbA1Nm/o
「彼氏とかいんのかな〜」
「処女っぽいわ」
「お前夢見すぎ。むしろああいうタイプはヤりまくってた方がエロいわ」

侑(すごい勝手を言われてるな……)

ただの男子の雑談なのに、少しムッとしてしまった。

「マン毛とかも処理してねー方が……」

侑(あぁもう、寝よう……)

ちょっと、嫌な気分。
男子ってそんな話ばっかりなのかな……そう思いながら、耳をふさぎながら眠った。

★★★

95名無しさん@転載は禁止:2021/07/14(水) 06:41:12 ID:mHfKJF92
二日目の朝、朝食の後。

しずく「先輩、おはようございます」

侑「おはよう、しずくちゃん」

ジャージ姿のしずくちゃん。
これから私達のグループはランニングだ。

しずく「よく眠れましたか?」

侑「ん、それなりにね」

96名無しさん@転載は禁止:2021/07/14(水) 06:48:00 ID:mHfKJF92
そろそろ多めに。

97名無しさん@転載は禁止:2021/07/14(水) 16:52:05 ID:uTK3thrQ
清楚系が濃いといいのは同意

98名無しさん@転載は禁止:2021/07/14(水) 23:46:52 ID:mHfKJF92
本当はあんまりだったけれど。

しずく「よし、それじゃあ今日も頑張りましょう、先輩!」

振り返り先に向かうしずくちゃん。
不意に、視線が下へ向いてしまって。

『あの一年の子ケツでかくね?』

侑(ケツか……)

──確かにしずくちゃんのお尻は大きいかもしれない。

だけどあくまで、総合的に見た結果、目立ってしまっているというところだろう。
大きさだけなら、エマさんや果林さんのほうが大きい。

侑(……あれ、なんでそんなこと知ってるんだ)

まぁそれはともかく。

99名無しさん@転載は禁止:2021/07/14(水) 23:58:07 ID:mHfKJF92
上から順番に見ていくと、最後のヒップで(あれ、この子ケツでっか……)となるのだろう。

そしてしずくちゃん自身の清楚なイメージがそれを更に強くしている。

……うん、何を冷静に分析してるんだろ。

侑(いかん、私まで頭の中がお猿さんになってしまう)

しずく「せんぱーい、いきますよー」

侑「うーん! 今行く!」

★★★

ランニングはしばらく続いた。
朝の日差しを浴びながら走るのは、結構いい気分だ。
その分、汗もかくけど。

汗をかくのは気持ちがいい。運動して出てきた汗なら、そこまで気持ち悪くはない。
むしろ気持ちいいかもしれない。

しずく「ふぅ……」

しずくちゃんは代謝が良いのか、人一倍汗をかいている。
タオルあげよう。

侑「しずくちゃん、これ……」

しずく「うわぁぁ!?」

侑「えっ!? なになに、どうしたの」

しずく「えっ、あ、先輩……どうしました?」

侑「い、いや汗いっぱいかいてたから、タオル渡そうかと……」

100名無しさん@転載は禁止:2021/07/15(木) 00:05:42 ID:ZKXH.gU.
しずく「あ、あぁ、そうだったんですね。ありがとうございます」

★★★

私はよく汗をかく。

しずく(臭わないかな……)

ふだんからよく汗をかく人の汗は臭いにくい、とは言うけど、やっぱり気になるものは気になる。

汗臭いって思われたら、ちょっと嫌だし……。

しずく(先輩に、臭いと思われたりしたら……)

侑『えっ、汗くさ……』

しずく(……)

無いだろうけど。
万が一があるから。

しずく(というか、何を意識してるんだろ……)

誰にだって思われたら嫌なのに。

101名無しさん@転載は禁止:2021/07/15(木) 00:14:14 ID:ZKXH.gU.
しずく(これも全部、昨日の夜の……)

散々質問責めされた挙げ句、結論は『私が先輩に片想いをしているヒロイン』みたいなことになっていた。

しずく(飛躍しすぎだよ……)

もちろん先輩のことは好きです。
でも、それはLOVEじゃなくてLIKE。

しずく(先輩に、片想い……ね)

余計な言葉が頭の中で転がり続ける。

やめよう、この話題!

しずく(さっ、切り替えていこ!)

102名無しさん@転載は禁止:2021/07/15(木) 00:22:08 ID:ZKXH.gU.
★★★

今日のメインイベント。
昨日伝えられた題材を元にエチュードをするというもの。

私達は、修羅場。
役者の人数は7人。

男子3人、女子4人。

「では、みんなそれぞれここから紙を一つとってください」

中には、絶対に言わないといけないセリフが書かれた紙がはいっていて、それにあって状況にどうやって持っていくが重要らしいが……。

「いやっ、終わったこれ!」
「それもうお前、最後に出てこないとインパクト無くなるな」

103名無しさん@転載は禁止:2021/07/15(木) 00:23:56 ID:ZKXH.gU.
侑「何引いたの……あっ、あ〜……そういうね」

「そういうことじゃん?」
「お前は?」

侑「僕ね、『浮気なんてするんじゃなかった〜!』だって」

「オチじゃん」

侑「ある意味楽かもね」

104名無しさん@転載は禁止:2021/07/15(木) 00:32:43 ID:ZKXH.gU.
そんなこんなで、エチュードが始まる。

★★★

物語は、至ってシンプル。
私は、六股をかけた浮気男。

一人目の女の子とデートの約束をして、待ち合わせをしていたら……。

しずく「ちょっと、誰よその女!」

二人目の女の子を演じるしずくちゃんがやってきて、浮気現場を目撃!当然、このセリフが飛び出す。

しかしここから、その黄金テンプレのようなセリフ以外にとっさに何も出てこなかったのか、残りの二人の女の子も。

「ちょっと誰よその女!」
「ちょっと誰よその女!」

と被った。だけどそれが展開が見えた天丼のようで逆にウケていた。

そして問題は。

「ちょっとぉぉ! 誰よその女ァァ!」

よりにもよってそのセリフが絶対に言わないといけない言葉だった男子が飛び出してきたことによってめちゃくちゃなことになる。

結果はまあそこから警官役のもうひとりの男子が「現行犯逮捕だ!」とかもう勢いだけの展開で、逮捕された私が。

侑「浮気なんてするんじゃなかった〜!」

で、終わり。なんだこれ!

でも、なんだか面白かった。

105名無しさん@転載は禁止:2021/07/15(木) 00:37:12 ID:ZKXH.gU.
★★★

しずく「ふふふ、は〜面白かった……」

侑「しずくちゃん、笑いすぎ」

しずく「だって、先輩途中で慌てふためくところが迫真過ぎて……ふふ」

合宿が終わり、帰りのバスの中。
思い出話に花を咲かせていた。

「二人は仲がよいねぇ」

前の座席の三年生の先輩がそういじってきた。

「写真をとってあげよう」

スマートフォンのカメラを向けられる。

「はい、チーズ」

私達は二人してピースをして写真を撮ってもらった。

「後でみんなの写真もグループにあげとくねー」

106名無しさん@転載は禁止:2021/07/15(木) 00:41:45 ID:ZKXH.gU.
ポコポコと、携帯が震える。

侑「おお、いつの間にこんなに写真を……」

しずく「先輩たち、練習より写真とってる時間のほうが多かったんじゃないですか?」

「ふふ〜、まぁまぁ。これも大切なことだよ」

★★★

歩夢ママ「歩夢、もう熱は大丈夫?」

歩夢「うん、もう大丈夫だよ……ん?」

演劇部のグループに、たくさんの写真が並ぶ。

歩夢「楽しそう……私もいければよかったなぁ」

歩夢(……あ。侑くんのピンショット……♡)

こっそり、保存。
誰にもバレずに侑くんの写真を手に入れる。
棚からぼたもち……かな?

107名無しさん@転載は禁止:2021/07/15(木) 00:44:13 ID:ZKXH.gU.
……でも。

歩夢「……」

ある一枚の写真。

あの、桜坂しずくちゃんとのツーショット。
仲良くピースまでして。

歩夢「……」

大丈夫……この子は……しすくちゃんは、私のことを応援してくれてる。
だから……大丈夫。

歩夢(これくらいで不安になっちゃだめ。……でも、私ももっと、頑張らないと)

★★★

108名無しさん@転載は禁止:2021/07/15(木) 00:44:34 ID:ZKXH.gU.
今回はここまで。
また明日に。

109名無しさん@転載は禁止:2021/07/15(木) 00:58:30 ID:CIVuq5q.
写真一枚で喜んでるのいじらしくて可愛いけどそんなだからなかなか勝てないんだろうな

110名無しさん@転載は禁止:2021/07/15(木) 01:20:41 ID:WZW4GQV6
歩夢ちゃん…

111名無しさん@転載は禁止:2021/07/15(木) 01:46:15 ID:PeAjr8DI
1年生組√が歩夢に対して容赦ないな

112名無しさん@転載は禁止:2021/07/16(金) 00:10:45 ID:4F/jUE92
★★★

夏合宿はおわったけれど、まだまだ夏休みは続いている。

「よーし、一回通しでやってみようか」

通しというのは、途中で演技を辞めることなく、本番のように進めていくことだ。
もちろん台本も持たないし、時間も測る。

★★★

「──はい、ストップ。うん、57分。ちゃんと60分以内だね」

審査にあたっての条件があり、上映時間は60分以内という決まりがある。

113名無しさん@転載は禁止:2021/07/16(金) 13:58:14 ID:WIGPYHtU
通しってそういう意味だったんだ、
中断せずに最後までやるって事は台詞間違えてもそのまま続行か…、演劇って大変なんだな。

114名無しさん@転載は禁止:2021/07/16(金) 23:59:15 ID:4F/jUE92
もうみんなの前で演じることにも慣れてきた。だけど問題は、これが舞台の上でできるか、だ。

場面転換の暗転、音響、それらのタイミングを合わせることもとても重要だ。

だからこそ演劇は練習すればするほど連携を高めることができる。

同じ演技の仕方だけじゃなく、少し変えてみればそのほうが良かったりと、様々な気付きや改善点。

通しでやる事のメリットはそこだろう。デメリットは、やっぱり時間がかかること。

115名無しさん@転載は禁止:2021/07/17(土) 00:04:56 ID:xt5Fu0aU
「やっぱりいいねぇ〜、こんなにぴったりな子がいるなんてあの時は思わなかったよ!」

侑「なら良かったです。でも、前の人はなんで急にやめちゃったんですか?」

「転校しちゃったんだよ。あーあ、澁谷くん。光るものがあったのになぁ」

まぁそういうことなら仕方ない。その澁谷って人にも、事情があるんだ。

しずく「先輩、ちょっといいですか?」

侑「うん、なに?」

116名無しさん@転載は禁止:2021/07/17(土) 00:12:28 ID:xt5Fu0aU
しずく「最後の、ヒロインと主人公のキスシーンなんですけど……」

そう、しずくちゃんの言う通り。
今回の脚本は、最後に私としずくちゃんのキスシーンで〆ている。

当然本当にしたりはしない。触れる、というところで暗転して誤魔化すのだ。

しずく「ちょっと先輩、遠すぎるかなぁって」

侑「え、えぇ? 結構近いと思うけど」

「まぁ高咲くん、照れがはいってるからね〜」

そりゃあ照れもする。
演技、するフリとは言えひどく緊張する。

歩夢「……」

しずく「先輩、これはあくまでお芝居なんです。本当にするわけではないですし、どれだけ顔が近くても私は嫌がったりしませんから」

侑「そ、そう? ……それなら、次は……そうするよ」

歩夢「……」

117名無しさん@転載は禁止:2021/07/17(土) 00:21:37 ID:xt5Fu0aU
★★★

歩夢「侑くん、デレデレしてる」

侑「え?」

帰り道、突然そんな事を言われた。

歩夢「可愛い後輩の女の子とたくさん触れ合えてデレデレしてる」

侑「いやぁ、でもあれは……部活動だし」

先を歩く歩夢の背中から、なんだか冷ややかなオーラが浮かんで見える。

歩夢「ふーん……」

歩夢「……いきなり可愛い子たちに囲まれて、楽しいだろうね」

侑「いきなりって。歩夢だって可愛いじゃん」

歩夢「へっ?」

118名無しさん@転載は禁止:2021/07/17(土) 00:25:04 ID:xt5Fu0aU
歩夢「……私も?」

侑「いや、歩夢は昔から可愛いよ」

歩夢「……」

……はっ。

侑(あっ、やべっ。普通にいつもみたいな接し方しちゃった。今だとちょっとアレな発言なのかな……)  

歩夢「そ、そっか。……侑くん」

侑「ん?」

歩夢「……」

★★★

そうだ。
もう行動に移さないと。

今まで、いつも後手にまわってばかりだった。

歩夢(そうだ、もういま伝えてしまおう……!)

119名無しさん@転載は禁止:2021/07/17(土) 00:28:13 ID:xt5Fu0aU
歩夢「私っ──」

そんなタイミング、侑くんの携帯が鳴った。

侑「あっ、ごめん……ちょっとまって」

歩夢「ぁ、う、うん……」

侑「もしも……」

しずく『あ、先輩ですか?』

侑「しずくちゃん?」

歩夢「!」

120名無しさん@転載は禁止:2021/07/17(土) 01:18:32 ID:KpQrI//2
まだ君の番じゃないと神様が言っている…

121名無しさん@転載は禁止:2021/07/17(土) 01:22:14 ID:ADRp6bMQ
澁谷くん…

122名無しさん@転載は禁止:2021/07/17(土) 06:58:10 ID:jcSeI65o
澁谷くんか、Liella!!ちゃん編をやるときはかのんちゃんが男の子になるってことなのかな、めっちゃ楽しみ

123名無しさん@転載は禁止:2021/07/17(土) 07:07:34 ID:xt5Fu0aU
しずく『先輩、明日は何か予定はありますか?』

侑「明日? いや、特にないよ」

しずく『あ、ホントですか? もし良かったら、明日一緒に出掛けませんか? というより、かすみさん達が先輩を呼ぼうって言ってて』

侑「あー。……かすみさん達、ってことは他にもいるんだ?」

しずく『璃奈さんと栞子さんです。3人とも、なぜか先輩のことをすごく気に入ってて……先輩も皆と仲がいいみたいですし』

侑「ふふ、後輩に慕われてるのは嬉しいね。」

124名無しさん@転載は禁止:2021/07/17(土) 19:40:38 ID:B.YhIW1k
澁谷くんは口調変えなくていいから楽そう

125名無しさん@転載は禁止:2021/07/18(日) 20:17:10 ID:0sf0ZjSU
歩夢の他√での頑張りを描写しようとするとしんどいので、割愛です。毎度のことでしたけど、裏ですごく頑張っているのだと補足してください。

この後再開

126名無しさん@転載は禁止:2021/07/18(日) 21:27:25 ID:jUqu/qtw
しっかり描写するとかわいそうすぎて√の子とのいちゃいちゃにも読んでて影響しそうだしね

127名無しさん@転載は禁止:2021/07/19(月) 00:32:44 ID:6rCnpQdI
侑「うん、そういうことなら行くよ」

しずく『ありがとうございます、待ち合わせ場所は、学園近くの駅前に、11時にお願いします』

侑「うん、それじゃあまた明日」

私が通話を切ると、歩夢がすぐに内容を聞いてきた。

歩夢「なんの、電話だったの?」

侑「明日遊ぼってさ。一年生四人たちとね」

歩夢「……そうなんだ」

侑「歩夢も来たら?」

歩夢「……ううん。私はいいよ、誘われたのは侑くんだし……」

侑「そう?」

歩夢「それに、しずくちゃん以外の子は知らないし……ね? 気にしないで行ってきなよ」

侑「うーん、まぁ、それなら……」

★★★
★★★

翌日、駅前にて。

侑「あち〜」

陽炎が見えそうだ。

128名無しさん@転載は禁止:2021/07/19(月) 00:38:00 ID:6rCnpQdI
ちょっと早めに、10時45分。
4人はまだ来てはいなかった……と思っていたけど。

しずく「先輩、おはようございます」

侑「おはよう、しずくちゃん。他のみんなは?」

しずく「もうすぐ着くって、さっき連絡がありました。……あ、ほら、さっそく」

栞子「おまたせしました」

侑「栞子ちゃん、待ち合わせ時間よりも早いんだから、待ってないよ」

129名無しさん@転載は禁止:2021/07/19(月) 00:49:25 ID:6rCnpQdI
しずく「後は璃奈さんとかすみさん、ですね」

それからほどなくして、かすみちゃんと璃奈ちゃんもやって来た。

かすみ「おっはようございま〜す!」

璃奈「こんにちは、先輩」

侑「よーし、これで全員揃ったね」

思えば、これもなかなか奇妙な状況だなぁ。

可愛い女の子4人と遊びに行く……なかなか贅沢なイベントだ。

130名無しさん@転載は禁止:2021/07/19(月) 01:12:01 ID:6rCnpQdI
しずく「……あの、先輩」

侑「うん、なになに?」

しずく「実は、一つお願いがあって……」

★★★

どうしてこうなった。

かすみ「えぇ〜……先輩、可愛すぎです」

栞子「話には聞いていましたが、まさかこれほどとは……」

璃奈「絶対に男の人ってわからない」

どうして……今、女装させられているんだ……!?

しずく「だって先輩も断らないですし……」

侑「い、いやそうなんだけどさ……」

みんなが見てみたいからって……。

かすみ「……先輩、その格好で遊びません?」

侑「ええっ!? 正気!?」

栞子「いえ、これなら怪しまれたりすることはないと思います」

侑「そんな、栞子ちゃんまで!?」

131名無しさん@転載は禁止:2021/07/19(月) 01:13:33 ID:6rCnpQdI
今回はここまで。
スーパースター!の最初は変則的ですが侑√やります。
また明日に。

132名無しさん@転載は禁止:2021/07/19(月) 05:58:53 ID:pFRG2pdk
侑√あり!?え、めっちゃ楽しみなんだけど!ありがてぇ

133名無しさん@転載は禁止:2021/07/19(月) 15:29:44 ID:DWaTmgaQ
>>131
今までにない展開で楽しみ

134名無しさん@転載は禁止:2021/07/19(月) 15:30:09 ID:DWaTmgaQ
虹ではアフターやらない感じですか?

135名無しさん@転載は禁止:2021/07/19(月) 19:08:00 ID:x2z/3dCQ
何個前か忘れたけどやらないって言ってたよ

136名無しさん@転載は禁止:2021/07/19(月) 22:46:26 ID:6rCnpQdI
侑「いっ、いやいやいや。僕、最悪変質者のレッテルはられるよ!? 万が一他のクラスメイトに見られたりしたら……」

璃奈「大丈夫。罰ゲームってことにすれば」

侑「やらない方向には向かってくれないの!?」

137名無しさん@転載は禁止:2021/07/19(月) 22:56:53 ID:6rCnpQdI
しずく「すみません先輩……」
 
侑「しずくちゃん……」

しずく「私も、ちょっと今の先輩と遊んでみたいです」

侑「」

あれ? もしかして逃げ場なし?

★★★

……そういうわけで。
とても不本意だけれど、このままの格好──ある意味これが本当の私ではあるけれど──で街を歩く事に。

しずく「先輩、大丈夫ですよ。どこからどうみても女の子です」

侑「そ、それ褒めてるの?」

138名無しさん@転載は禁止:2021/07/20(火) 05:40:01 ID:c7z0ZDT2
かのゆうってこと?

139名無しさん@転載は禁止:2021/07/20(火) 22:03:29 ID:2T39am9k
ニジガクの侑ちゃん以外のメンバーが全員男の子になって侑ちゃんハーレムとかもありそうやけど、ゆうぽむが確率的に一番高そう

140名無しさん@転載は禁止:2021/07/21(水) 00:10:28 ID:S03SsKzc
釈然としないけど、そうだと思わないと逆にやってられないか。

しずく「先輩、こういう時はおもいっきり女の子になっちゃえば、バレません」

侑「?」

しずく「堂々としていれば、不審に思われることもなくなります」

侑「……」

侑「そう……なの?」

しずく「間違いありません」

侑「そ……そっかぁ」

そういう、もんなのかな?
なんか言いくるめられている気もするけど。

141名無しさん@転載は禁止:2021/07/21(水) 00:27:48 ID:S03SsKzc
侑「そ、そういうことなら……」

口車に乗せられたわけじゃないけど、それならじゃあ普通に遊んでみようかな?

侑「よーし、じゃああとは流れでなんとかなれー!」

★★★

「ねねw 君たち四人でお出かけ?」
「俺たちも混ぜてよーw」

なんでやねん。

侑(まさか一人は男って思わないんだろうな……)

142名無しさん@転載は禁止:2021/07/21(水) 00:31:05 ID:S03SsKzc
5人の間違いでした。

143名無しさん@転載は禁止:2021/07/21(水) 00:34:18 ID:S03SsKzc
かすみ「ひ、ひえぇ……先輩、ナンパです……」

栞子「な、なんという……」

璃奈「……」

しずくちゃん以外の一年生ズは私の背中に隠れてしまう。

しずく「あの、すみません。私達急いでるので」

「どこ行くの? どっか行くなら俺たち奢っちゃうよ?」

しずく「いえ、大丈夫です」

侑「……」

「えぇ〜、いいじゃんいいじゃん、ちょっとくらいさぁ」

侑「ちょっと──そのへんにしときなよ」

144名無しさん@転載は禁止:2021/07/21(水) 00:40:28 ID:S03SsKzc
そう呼びかけても、ナンパ二人組は聞く耳を持たない。

「絶対楽しい思いさせるからさw 行こうよ──」

手がしずくちゃんと私に伸びる。

いや、もうなりふり構ってられない。
こうなったらみんなを連れて思い切り逃げ出して──

?「やめなよ。怖がってるでしょ」

「あ?」

しずく「え……澁谷さん?」

侑(澁谷? ……たしか、転校したっていう……)

かのん「あんまりしつこいなら、通報するよ」

145名無しさん@転載は禁止:2021/07/21(水) 00:49:36 ID:S03SsKzc
「あー? 関係ないだろ」

かのん「だったら何?」

「ちょっと向こうで話そうか」

もう私達よりも、邪魔をしてきた澁谷……かのん君をどうにかしてやりたい、という気持ちらしい。

しずく「あの、澁谷さん」

かのん「大丈夫。みんなはもう行ってなよ」

★★★

そう言って、かのん君は路地裏へ連れて行かれた。

かすみ「や、やっぱり通報しようよ! あんなの絶対……!」

侑「というか、助けに行こう! 僕行ってくる!」

しずく「あっ、先輩!」

どうしても動けなかった。
やっぱりどうしても、こわかったんだ。

侑「かのん君、だいじょ……あ、あれ?」

「うぅ……」
「て、てめぇ……」

かのん「……」

侑(え? ……か、勝ったの?)

146名無しさん@転載は禁止:2021/07/21(水) 00:54:15 ID:S03SsKzc
侑「あ、あの……」

かのん「ん? ……あぁ、さっきの。大丈夫?」

侑「う、うん。おかげで……」

かのん「それなら良かった……じゃあ、俺はこれで」

侑「あ、待って。みんなも……」

かのん「いや、大丈夫。……知り合いと会うと、ちょっと気まずいんで」

侑「ど、どうして?」

かのん「……学校、やめたんで」

侑(え……転校じゃ、なかったの?)

かのん「……まぁ、なにか縁があったらまた会いましょう」
★★★

147名無しさん@転載は禁止:2021/07/21(水) 00:57:49 ID:S03SsKzc
今回はここまで。
スーパースター!ではかのゆうからです。なんかよくわかりませんけど、かのんが一年生ということにトキめいてしまったので、それで行くことにしました。

侑√に関してだけは、やさぐれMAXかのんで行きます。かなり先(このペースだと来年もあり得る)になりそうですが。

また明日に。

148名無しさん@転載は禁止:2021/07/21(水) 19:28:31 ID:Boqmg/Qo
期待

149名無しさん@転載は禁止:2021/07/22(木) 00:35:54 ID:IEwjhsWM
明日からたくさん再開。
かのゆうは、こればかりはただの趣味のオンパレードになるかもしれません。ただシンプルに攻略される侑が書きたいだけでもあります。

150名無しさん@転載は禁止:2021/07/22(木) 00:54:37 ID:5eO1dGmI
ポム君じゃダメだったの…?

151名無しさん@転載は禁止:2021/07/22(木) 01:05:35 ID:CKQIJfNE
ポム君の分は歩夢ちゃんの方で存分にやってもらえれば

152名無しさん@転載は禁止:2021/07/22(木) 04:14:33 ID:UTUW8fgs
ぽむ♂は色んな意味で強そう

153名無しさん@転載は禁止:2021/07/22(木) 06:50:53 ID:70oTkaxg
かのゆうかぁ、たしかにかのんちゃん一年生ってのは結構くるものがあるね
主の描く作品結構好きやから楽しみ!

154名無しさん@転載は禁止:2021/07/24(土) 13:44:17 ID:e8vmkm52
更新来ない…

155名無しさん@転載は禁止:2021/07/24(土) 16:21:49 ID:svcXn8nE
1が書きたいものを書きたい時に書くのは前提として、陰ながら続き楽しみにしてるよ

156名無しさん@転載は禁止:2021/07/24(土) 16:55:09 ID:82oB2HGY
白い部屋の筆の速さ正直見習ってくれ

157名無しさん@転載は禁止:2021/07/24(土) 17:05:53 ID:f2nUQBz2
何年もこのペースで続けてる凄さをお前はわかってない

158名無しさん@転載は禁止:2021/07/24(土) 21:10:33 ID:WPl0S87Y
1作目いつ書いたか絶対知らなさそう

159名無しさん@転載は禁止:2021/07/24(土) 21:25:16 ID:sxLlBptc
提供していただくだけでありがたいのに、文句言うなよ。主の書きたいタイミングで書いてくれればいいんやからな、過去作でも掘り返して気長に待つことできんのか

160名無しさん@転載は禁止:2021/07/24(土) 22:39:35 ID:zbEpDBvs
>>158
SSで古参面は草
μ's時代から読んでるとなんか偉いんですかね真姫ちゃんルートが好きでした

161名無しさん@転載は禁止:2021/07/24(土) 23:39:08 ID:cVk5NFpM
途中で飽きたりして離れず長年追い続けてるってのは偉いだろうに

162名無しさん@転載は禁止:2021/07/24(土) 23:41:25 ID:svcXn8nE
喧嘩しないで

163名無しさん@転載は禁止:2021/07/25(日) 00:01:56 ID:Q0UXzvME
しずく「あっ! 先輩……あれ? 澁谷さんは……」

侑「それが……」

★★★

私はそこで澁谷くんがナンパ二人をやっつけて、そのまま立ち去ってしまったことを四人に伝えた。

しずく「あの人、喧嘩強かったんだ……」

かすみ「でも助かったね」

侑「……ごめんね、本当は僕がなんとかしたほうが……」

栞子「いえ、高咲さんは今女の子ですから」

璃奈「栞子ちゃん、それな」

侑「ふ、フォロー……なのかな?」

164名無しさん@転載は禁止:2021/07/25(日) 00:10:33 ID:Q0UXzvME
とにもかくにも、危機は去った。
あとは普通にお出かけを楽しむだけだ。
澁谷くんに、感謝しながら。

★★★

しかしまぁ、私は女装(?)が似合う(??)のか。
驚くほど誰からも気にもされない。

変にチラチラ見られたりしてたら(あ、バレてる……?)って焦ってしまいそうだから、少し安心。

というか私もだいぶ気楽に遊んでる。

165名無しさん@転載は禁止:2021/07/25(日) 00:19:44 ID:Q0UXzvME
かすみ「先輩先輩、スタバの新作飲みました?」

璃奈「侑せんぱい、ゲーセンの新しい体験型ゲーム、一緒にしたい」

栞子「あの本屋さんの隣のカフェ、コーヒーがとても美味しかったんです。後で行きませんか?」

侑「あはは、順番にね」

後輩たちにあっちに行こう、こっちに行こうと腕を左右に引っ張られる。(璃奈ちゃんは背中)

……。

悪くない……いや、良い。

166名無しさん@転載は禁止:2021/07/25(日) 00:31:19 ID:Q0UXzvME
しずく「もう、皆。先輩は一人しかいないんだからね」

侑「大丈夫だよしずくちゃん。僕も行きたいからさ」

今日は可愛い後輩たちとのお出かけを楽しもう。

★★★

スタバ行ってゲーセンで遊んでカフェ行って。

侑「しずくちゃんは、行きたいところはない?」

しずく「私ですか? 私はみんなの行きたいところで……」

かすみ「もう行ったから、あとはしず子だよ!」

167名無しさん@転載は禁止:2021/07/25(日) 02:43:38 ID:Q0UXzvME
しずく「……じゃあ、カラオケ」

★★★
★★★

侑「みんなはカラオケ来たら何歌うの?」

かすみ「シル・ヴ・プレジデントとか可愛くて歌っちゃいますね〜」

栞子「レベッカのフレンズです」

璃奈「グッバイ宣言」

侑「おぉ、時代の高低差半端なくて笑っちゃったよ」

168名無しさん@転載は禁止:2021/07/25(日) 02:52:08 ID:Q0UXzvME
https://youtu.be/PWbRleMGagU

ヨルシカ『雨とカプチーノ』

侑「で、しずくちゃんはこれね」

しずく「好きなんですよね、ヨルシカ」


かすみ「侑先輩は何歌うんです?」

侑「僕はねぇ……私立恵比寿中学……」

かすみ「え?」

あ、いやそれは今は違うか。 
男の子だから変か……。

侑「……最近はドライフラワーとか」

かすみ「切ないですねずいぶん」

169名無しさん@転載は禁止:2021/07/25(日) 02:56:16 ID:Q0UXzvME
侑「はは、ほんとにね。歌詞みたいな経験なんてないけど、結構好きなんだ」

まぁ、そんな他愛もない会話を交えながら順番に歌っていった。

★★★

しずく「うーん! 歌ったぁ〜……!」

かすみ「まだ空あかるーい」

栞子「ですが、もう時間も時間です」

璃奈「そろそろお開き?」

170名無しさん@転載は禁止:2021/07/25(日) 08:52:34 ID:PbCd4SdE
ヨルシカ良いよな……

171名無しさん@転載は禁止:2021/07/25(日) 23:35:56 ID:Q0UXzvME
侑「そうだね。そろそろ帰ろうか」

★★★

かすみちゃん、栞子ちゃん、璃奈ちゃんと別れ、最後は変え方向が同じしずくちゃんと歩いていた。

侑「……」

しずく「先輩? どうしたんですか、神妙な顔を……」

侑「いや……なんか、普通にこの格好のまま遊んだな、って」

別に、嫌ではないけれど……なんだろう、ほんのわずかに芽生えつつある男の子のプライド的なものが傷付いている気がする。

172名無しさん@転載は禁止:2021/07/25(日) 23:43:48 ID:Q0UXzvME
侑「ねぇ、次は普通の格好で出掛けようよ」

しずく「……」

侑「うえっ、なに? 僕なんか変なこと言ったかな……?」

しずく「いえ……また一緒に遊びに出てくれるんだな、と」

侑「そりゃあまぁ。僕も楽しかったからね」

何度も言うけれど、可愛い後輩たちに囲まれるのは良いものだから。
 
しずく「……そうですね。じゃあ、次は先輩の行きたいところに行きたいです」

侑「ありがと。どこにしようかな……」

次の遊びの計画を考える。
夏休みはまだ終わらない、次はどこへ行こうか──

侑「暑いし、プールとかいきたいね」

173名無しさん@転載は禁止:2021/07/25(日) 23:49:41 ID:Q0UXzvME
しずく「あっ! いいですね、私も行きたいです」

★★★

しずく「ふぅ」

一日遊び回って、家に帰ってきた。
靴下がもう蒸れきっていて歩いたところに跡が出来ていた。

しずく「あぁ、シーブリーズ買っとけばよかった……」

夏の日には必需品だ。

しずく「プール、かぁ……」

シャワーを浴びながらぽそりと呟く。
ただ自分に言い聞かせるために。

鏡に映る自分の身体を見る。

174名無しさん@転載は禁止:2021/07/25(日) 23:51:50 ID:Q0UXzvME
しずく「……」

しずく「あれ、我ながら結構いいスタイルかも……」

おっぱいは……それなり。
お腹周りも腹筋やトレーニングのおかげですっきりしてるし……。

……お尻の大きさは、プラスになるのか、マイナスになるのかちょっとわからないけど。

175名無しさん@転載は禁止:2021/07/25(日) 23:54:22 ID:Q0UXzvME
しずく「……」

しずく「って、なにをそんなに意識してるんだか……」

先輩とプールに行くからって……二人きりじゃないけども。

しずく「……ちょっと下の毛整えておこ……」

……。
……はみ出すような、あれじゃないけど……一応ね。

176名無しさん@転載は禁止:2021/07/26(月) 00:03:28 ID:KACPiNBk
★★★

かすみちゃんたちにプールに行かないかと連絡をしたところ、二つ返事でオッケーが来た。

そして今日は、その当日。

一足先に着いていた私はみんなを待っていた。

侑「……お、きたきた」

しずく「おまたせしてすみません、先輩」

侑「あはは、約束の時間よりも前だよ」

後はかすみちゃんたち3人……いつ来るのかな、なんて思っていたときだった。

しずく「あれ、かすみさんから……もしもし?」

かすみちゃんからの電話。
少し遅れそうとか、そういう連絡かな?

しずく「うん……もういるよ。……え? 線路に? 車が? そんなことあるの?」

侑(うん?)

しずく「あー……うん。わかった。じゃあ……先に、はいってるね」

侑「……なにかあったの?」

しずく「いや、それが……」

★★★

簡単に言うと。
かすみちゃん、栞子ちゃん、璃奈ちゃんは3人とも同じ電車に乗っていて。

電車が走る線路に、なぜか車が落ちてきていて復旧作業にかなり時間がかかるらしい。

侑「そんなことある?」

しずく「あるみたいです……」

聞けば聞くほどなんじゃそりゃ。ってなるけど……まぁ嘘つく理由もないし、本当なんだろう。

しずく「降りて移動するみたいなので、先に中で遊んていて、と」

侑「なるほどね」

177名無しさん@転載は禁止:2021/07/26(月) 00:05:14 ID:KACPiNBk
今回はここまで。

大した物を書いてるわけでもないですが、読んでくれる人がいるだけで嬉しいです。
また明日に。

178名無しさん@転載は禁止:2021/07/26(月) 00:31:05 ID:ZSUQeiKg
色んなキャラに感情移入して読んでると辛くなる時もあるけど楽しみに読ませてもらってます


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