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「あなたは昔から男の子だよ?」√しずく
1
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/06/29(火) 01:17:26 ID:PnTHZ.Y.
春。
出会いと別れの季節、春。
それはここ、虹ヶ咲学園にも当然訪れる。
三年生は卒業して、新入生が新たに加わる。
それは今までもあったことだし、今更戸惑うこともない。
たった一つだけ、あることを除けば。
歩夢「──どうしたの? 今日は朝からなんだか調子が悪そうだけど……」
侑「あ、あぁ……いや、なんでもないよ、歩夢」
歩夢「ならいいんだけど……何か困ってることとか、悩みごとがあったら、なんでも相談してね!」
幼馴染みの上原歩夢。
自分で言うのもなんだけど、可愛い女の子だと思う。そんな子が幼馴染みだと……羨ましがられるんだ。
そう──特に、今は。
歩夢「そういえば、今日は身体測定があるんだって。『女子』は更衣室使うみたいだけど、間違って入っちゃだめだよ〜」
自分が──女の子から、男の子に変わってしまっている今は。
☆☆☆
侑「はぁ〜〜〜なにがなんだか……」
まさか眠りから覚めたら男の子になっちゃってるなんて……いや、わけわかんないよ。
わけわかんないけど、仕方ないから順応する。
わかっていることは、歩夢とは変わらず幼馴染みであること、自分のことは僕と呼ぶ事、そして一番驚いたのは、ここではスクールアイドル同好会が存在しないこと。
スクールアイドルという文化自体はあるようだけど……。
先生「はい、身長169センチ、体重は57キロね」
侑「ご、57……」
先生「ん? どうしたの?」
侑「いえ……」
女の子の体のときを、かんがえるとちょっとショックだったけど、別にこれくらいが普通、というかちょっと軽いらしい。
むしろ身長はもう少し欲しいくらいだね、なんて言われた。
(むしろ、視線が高くなって変な感じ)
まさか歩夢を見下ろす日が来るとは思わなかった。
(でも、なにはともあれ、だよね)
どんな理屈、ファンタジーで私が男の子になってしまったのかはわからないけど、普通に日常を送らないと。
もしかしたら、そのうち元に戻れるかも……しれないし。
「え〜と、となると気を付けないといけないことは……」
うっかり女子トイレにはいらない、男子のちんちん見えても動揺しない、僕っていうこと、男の子っぽく過ごすこと。
224
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 00:28:25 ID:yAUT36II
歩夢(そういう、ところなのかな……私のだめなところって……)
歩夢(あれ、じゃあ私……もうどうしたって──)
侑「──歩夢?」
歩夢「あっ、う、うん。なぁに?」
侑「なんだか考え込んでたけど……」
歩夢「う、ううん、大丈夫。なんでもないよ」
侑「ほんと? ……なにかあったら相談しなよ。いつでも聞くから」
歩夢「……っ!」
歩夢(もう……なんでそんなに……)
だから諦めたくないんだよね……。
225
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 00:33:51 ID:yAUT36II
★★★
侑「しずく、しずく……か」
侑「まあ、それくらいは普通か……」
侑「……」
あれ、なんだ?
侑「うーん……さっきからしずくの事ばかり……」
最近良く話すからかな?
何からでもしずくを連想して、気付いたらあの子のこと考えてるな……。
侑「……寝よ」
★★★
しずく「高咲、侑先輩……か」
……本当は。
本当は、別にみんなが皆、しずくと呼び捨てにはしない。
変な嘘をついてしまった。
しずく「……しずく、しずく。……うん、嫌じゃない」
むしろ、やっぱりちょっと好き。
しずく「明日は、先輩とどんなお話ができるかな……」
しずく「おやすみなさい……」
と、そんなときだった。
226
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 00:37:42 ID:yAUT36II
LINE電話に着信。
名前は、高咲侑。
しずく「……もしもし、先輩?」
侑『あ、ごめん……寝てた?』
しずく「いえ、まだ……どうしました?」
侑『あぁ、いや……特に、なにかあるわけじゃないんだけどさ。なんか、眠れなくて』
227
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 00:40:35 ID:yAUT36II
しずく「……あ、夜ふかしですか? だめですよ、ちゃんと寝ないと」
侑『はは……それを言われたら、何も言い返せないね』
しずく「先輩、悪い人だ」
侑『まさか。僕ぐらい良い人はそうそういないよ。町内一位だよ』
しずく「ふふ、すごく狭い範囲ですね」
侑『謙虚だからね』
228
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 00:44:03 ID:yAUT36II
しずく「……先輩」
侑『うん』
しずく「私達、会ってからまだ4ヶ月くらいですけど……すごく仲良くなりましたよね」
侑『そうだね。一年生の子たちが、みんな良く懐いてくれて……』
しずく「先輩は幸せものですね。可愛い一年生四人に囲まれて」
侑『あ、しっかり自分も含めたね』
しずく「ふふ、調子に乗りました」
侑『でも可愛いのは本当だね』
しずく「……」
いけない。
いま、すごくドキッとした。
229
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 00:46:44 ID:yAUT36II
しずく「……先輩って、簡単にそういう事言いますよね」
侑『電話越しだからかな? ちょっと言いやすいね』
しずく「……やっぱりプレイボーイだ」
侑『違うって!』
しずく「いーえ、絶対そうです」
侑『もう〜……』
しずく「……」
しずく「じゃあ……一つだけ質問に答えてくれたら許してあげます」
侑『うん、なになに?』
しずく「……一年生四人の中で、誰が一番可愛いと思いますか?」
230
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 00:48:39 ID:yAUT36II
侑『……』
しずく「……」
だめ……変なこと言った。
だいたいそんなことを聞いて、どうしようって言うの。
しずく「ごめんなさい、やっぱり今のは──」
侑『しずくが一番可愛いと思う』
しずく「無しで……えっ」
231
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 00:52:28 ID:yAUT36II
思わず携帯を落としてしまった。
しずく「あっ……! す、すみません、携帯落としました」
侑『び、びっくりした……すごい音……』
しずく「す、すみません」
侑『い、いや……』
しずく「……」
侑『……』
しずく「えと……何の話でしたっけ……」
侑『えー……まぁ、その。誰が一番可愛いか、って……』
しずく「で、でしたね……」
侑『……いや。ごめん。今の忘れて』
しずく「えっ……」
侑『無し、今のナシ。キモいよね、今のは』
しずく「そっ──」
そんなことない!
嘘にしないで!!
しずく「そんなことないです! すごく! うれ、し、ぃ……です……」
232
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 00:54:42 ID:yAUT36II
面と向かって──電波越しだけれど──嬉しいと伝えることが、その途中で恥ずかしくなり、尻すぼみ。
しずく「……」
侑『……』
しずく「……先輩」
侑『は、はい』
しずく「……ありがとうございます」
侑『ど、どういたしまして……?』
233
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 00:58:39 ID:yAUT36II
だめだ。
これは何か、ひとつ。
先輩に仕返しがしたい。
こんなに心を惑わせて。
なら……同じ方法で仕返しをしよう。
しずく「……あの、先輩。私も先輩に思っていたことがあるんです」
侑『な、なに?』
しずく「私も──」
──だめだ、やっぱり恥ずかしい。
そんなことを伝えることが、何を意味するのか。いや、そこまで深い意味はないかもしれない。ただの、称賛……それ以上なんかじゃ、ないはず。
でもやっぱり、恥ずかしくて……言葉の続きは、力のない、囁くような声になってしまった。
ボソボソと、耳元に手を添えるような。
しずく「……私も、先輩のこと、一番かっこいいとおもってます」
そこで私は耐えきれず──電話を切った。
234
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 01:04:28 ID:yAUT36II
★★★
しずく『……私も、先輩のこと、一番かっこいいと思ってます』
侑「!?」
な……な、なんだ……いまの……。
耳元でこしょこしょと囁かれたような……あ、ぁあ……!
侑(うぅわぁぁあ〜〜〜ッ!!)
ベッドで悶える。
だめだ、あんなの電子ドラッグだ。
まじで指先痺れてる。
しかも言葉の内容!
侑(うっぁぁあやっば今ので目が冴えすぎる!)
なんだよなんだよなんなんだよっー!
侑(可愛いすぎるぞ桜坂しずくっ……!?)
訳がわからないほど愛おしい。
どうしたらいいんだこのパッション。
侑「くぅぅ〜……!」
あ、会いたい〜。
声だけじゃだめだこれ!
侑「早く、明日になればいいのに……」
★★★
しずく「ぅぅうぅ〜……!」
235
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 01:09:06 ID:yAUT36II
侑『しずくが一番可愛いと思う』
しずく「そんなの卑怯ですよ……!」
もう、もう、もう!
一体私のことをどうしたいですか!
しずく「頭の中先輩だけになっちゃう……」
歩夢先輩……。
しずく「……歩夢先輩も、こんな気持ちなのかな……」
……。
しずく「え……?」
歩夢先輩と……同じ気持ち?
それって……。
しずく「嘘、だってそれじゃ私……」
先輩のことが……好きってことじゃ……。
しずく「〜〜〜っ!?」
ぶわっと汗がでる。
体が熱くなる。
だめ、だめ! 気づいちゃだめ!
しずく「だって、こんなのつらいよぉ……!」
こんなっ、きもち……抑えられるわけない……。
しずく「歩夢先輩……ごめんなさい……」
私は……悪い後輩です……。
しずく「私……私も、先輩のこと……好きになっちゃいました……」
236
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 01:11:01 ID:yAUT36II
今回はここまで。
なんか理亞√で気に入ってたところをほぼ流用してしまいました。
また明日に。
やっぱりポムくんも人気ですね。いっそ両方やりますか。
237
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 01:19:21 ID:SXo/DTJI
どっちが泣くかはわかってるんだけど歩夢にとってもしずくにとってもきつい展開になりそう
両方書いてくれるの嬉しいけど、当分先でしょうしその時に書きたいように書いてくれたら
238
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 01:29:36 ID:YpadSDlI
大量投下うれしい
いいねいいね
239
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 01:33:07 ID:OO5PlnX6
なんか急にしずくの方から接近というかアプローチしてきたというか
そんなにプール遊びに行ったのが大きかった?
240
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 01:44:44 ID:SXo/DTJI
その前の夏合宿から徐々にじゃない
241
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 02:20:13 ID:Whk.19f2
なんか花男ならぬ花女を見ている気分だわ
242
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 02:24:52 ID:Whk.19f2
>>239
君はそういう経験ないの?
243
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 08:21:11 ID:dwx0XLmY
>>242
展開的に、急にしずくが呼び捨てにさせたりして侑くんに積極的に異性として近付いてきてるというか、もっと言えば自分を女として意識させようと誘惑気味になってるのが気になったから書き込んだまでだよ
経験云々は関係ないでしょ
煽ってるつもりなのか判断に困るけど、強いて言うなら結婚してるし子供も2人いるよ
244
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 10:46:06 ID:N7by1ObY
肝試し後からしずくが気になってる描写は結構書かれてる
夢にまで出て来てるしそこまで急には感じなかったな
245
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/07/29(木) 23:51:04 ID:yAUT36II
★★★
侑「あっ」
しずく「ぁ……」
どうせ部室で会うけど。
今日はその前に、通学路でばったり。
しずく「お、おはようございます……先輩」
侑「おはよう、しずく」
しずく「ぐ、偶然ですね! こんなところで……」
侑「だね……」
しずく「……」
侑「……」
か、会話が……続かない!
246
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/02(月) 00:17:49 ID:El9yx5g.
このあと再開
247
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/02(月) 07:51:19 ID:mN9ViYL2
しません
248
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/02(月) 16:59:53 ID:El9yx5g.
侑「あー……夏休み、あと少しで終わりだね」
しずく「そう、ですね」
侑「遊び呆けられるのも終わりか〜」
しずく「……」
侑「……」
侑「あのさっ」
しずく「は、はい」
侑「明後日花火大会あるでしょ?」
しずく「あぁ……確か、部活のみんなで行こうって言っていた……」
侑「しずくは行くの?」
しずく「はい、もちろん。……先輩は?」
249
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/02(月) 18:01:58 ID:El9yx5g.
侑「もちろん行くよ。今から楽しみ」
しずく「……はい、私も楽しみです」
★★★
歩夢「侑くん、花火大会は会場まで一緒に行こう?」
侑「あぁ、そうしようか」
歩夢ももちろん部員だから花火大会へ。
侑「浴衣きるの?」
歩夢「う、うん! 着ちゃおうかな……」
侑「いいね、絶対似合うと思う」
歩夢「そ、そう? ……じゃあ一番に見せてあげるね!」
250
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/02(月) 18:02:13 ID:El9yx5g.
明日夜再開。
251
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/02(月) 19:03:51 ID:.erZ9qSU
集団で行く花火大会…
展開予想しちゃいそうになってしまう
252
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/02(月) 20:23:42 ID:BRvLQd5o
>>251
花火大会の会場で部活仲間からはぐれちゃって侑としずくが二人きりになるとか?
253
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/04(水) 01:05:41 ID:JdzwpcCU
憧れの先輩と夏祭り浴衣デートでトイレ混んでて漏らす漫画一時期よく貼られてたの思い出した
254
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/04(水) 09:56:39 ID:bxnS8WwQ
★★★
花火大会集合は現地にて。
侑「わ〜、やっぱり結構人多いね」
歩夢「そ、そうだね。これだけ多いと……はぐれちゃうかもね」
人混みの暑さ。
夏の暑さ。
相まって少し苦しいけれど。
それも花火大会というものだ。
255
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/05(木) 00:39:56 ID:lxZwouyY
しずく少し難しいですね。
例のコロナワクチンの副反応で出来るかはわかりませんが、大したことなければ明日再開。
256
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/05(木) 17:40:19 ID:fX3b/J2Y
御自愛を…、貴方あってこそのssです
257
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/05(木) 18:20:28 ID:lxZwouyY
絶対今日無理です。回復次第やります。
258
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/05(木) 18:34:48 ID:I/EC2CNs
痛いの?熱出てるの?
259
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/06(金) 00:04:51 ID:JO2uWunI
ロキソニン飲んでしっかり寝なよ
回復までまってるよ
260
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/08(日) 01:13:46 ID:FS3MqeCE
「お〜い、高咲くん上原さ〜ん、こっちこっち」
先についていた先輩達が手を振ってこっちを呼んでいる。
侑「おまたせしました」
「いんや、みんなも今着いたくらいだよ」
皆それぞれ浴衣や好きな服。
女子はだいたい浴衣で……。
からん、かこん、と草履の音。
複数ある中のたった一つに私は反応した。
261
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/08(日) 02:39:34 ID:WthNYKqA
おかえりなさい
262
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/08(日) 21:02:06 ID:FS3MqeCE
深い青色に金魚が泳いでいるデザイン。
ハーフアップではなくポニーテールにしていて、普段はみない姿だった。
着ている物も、髪型も。一粒でニ度美味しいとはこれか。
しずく「──先輩、こんばんは」
侑「やっほ」
うわぁ。
可愛いなぁ。
263
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/09(月) 06:46:58 ID:3kg5iydA
どうしよう、それしか考えられないな。
「よーし、皆集まったみたいだし、そろそろ行こうか」
★★★
やっぱり花火大会といえば屋台。
チョコバナナ、イカ焼き、りんご飴。
何から手を付けたっていい。
264
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/09(月) 14:14:47 ID:z1TXcee.
隣に浴衣の歩夢がくっ付いてんだよね?
265
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/09(月) 22:35:44 ID:3kg5iydA
侑「歩夢、なにか食べる?」
歩夢「じゃあ……りんご飴」
侑「いいね、買お買お」
しずくは他の先輩たちと一緒にいる。
歩夢が一緒にいるし、声をかけるのもなんだか憚られた。
別に悪いことじゃないんだけど。
侑「はい、歩夢」
歩夢「ありがとう、侑くん」
嬉しそうにりんご飴にかじりつく歩夢。
そんなにりんご飴とか好きだったっけ?
266
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/10(火) 01:49:56 ID:BdbYD8N6
歩夢「……」
★★★
人混みの中をかき分けて。
急ごう、もうすぐ花火が咲く。
「いやぁ、なかなかいいねぇ。ここからだといい眺めがみられそう」
「あれ……高咲くんと上原さんは?」
「しずくもいないね。3人でいるのかな」
★★★
侑「……歩夢、ここ?」
歩夢「うん、そうだよ……というか、幼い頃はよくここで一緒に見たじゃない」
歩夢に連れてこられた場所は、少し人気のない離れたスポット。
良い、眺めだった。
267
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/10(火) 01:57:17 ID:BdbYD8N6
歩夢「……ここで、一緒に見たかったんだ」
侑「……そうなんだね」
花火が打ち上がりはじめる。
侑「わぁ……!」
歩夢「……」
侑「やっぱり、花火は綺麗だね歩夢……ん?」
私は花火を見上げていたけれど、歩夢は花火を見てはいなかった。
私のことを、見つめていた。
268
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/10(火) 02:05:02 ID:BdbYD8N6
侑「……歩夢? どうしたの?」
歩夢「あのね、侑くん……」
その言葉は、漫画のように。
歩夢「私、侑くんのことが好き」
花火の音で、かき消されやしなかった。
私の耳に、まっすぐ届いた。
侑「……え?」
歩夢「ずっと、ずっと好きでした。……だから、私と付き合ってほしい」
侑「ぁ……」
★★★
今更。
幼い頃から知っていて、歩夢の良いところも悪いところも分かっている。
もう私達の関係は幼なじみにはとどまらないほどなんだ。
だから……。
侑「ごめん……歩夢。僕も歩夢のことは好きだよ。だけど……僕の好きと、歩夢の好きは……違うものなんだ」
歩夢「っ……」
侑「……それに」
269
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/10(火) 09:36:38 ID:BdbYD8N6
侑「いま、ちょっと気になる子もいるからね」
歩夢「……それって」
侑「……それは恥ずかしくて言いにくいよ。……歩夢だって別に聞きたく……」
歩夢「聞かせて」
侑「……」
侑「……しずく、ちゃんだよ」
歩夢「……」
歩夢「そっか……あの子かぁ……」
歩夢「……馬鹿みたい、私……」
侑「歩夢……」
歩夢「ううん、いいの。仕方ない」
歩夢(誰も悪くない)
270
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/10(火) 12:34:27 ID:kX7N2mhY
歩夢ちゃん……
271
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/10(火) 17:29:02 ID:9eK6kNR6
普通の子ならかすみ編でぼろぼろになって諦めるだろうけどそれでもまだ頑張れる時点ですごい
272
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/10(火) 18:04:54 ID:pxrnIur.
これ菜々√でバキバキに歩夢ちゃん折る予定らしいけど歩夢√で侑くんに告白されても歩夢ちゃん素直に信じられないよね
またかすみ√みたいになるんじゃないかって悩むのすら吹っ飛ぶくらいのハッピーエンドを期待してる
273
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/10(火) 20:12:09 ID:jIMtYimw
二股で捨てられるという最低の扱い受けても幻滅せずに
好きでいられるほどの想いだから反動が怖くもある
274
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/11(水) 11:31:34 ID:S.TP3cJ6
歩夢「……侑くん」
歩夢「私に足りないものって……なんなのかな」
侑「歩夢に……」
歩夢「……ううん、やっぱりなんでもない」
歩夢「……」
歩夢「ねぇ、侑くん。私と付き合ってくれたら、どんなことでもするっていったら、どうする?」
侑「どう、って……」
歩夢「侑くんが望む事だったらどんな内容でも。エッチなことでも、なんでも」
侑「……」
侑「そういう、事じゃないんだよ。歩夢」
275
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/11(水) 11:41:12 ID:S.TP3cJ6
侑「好きだから、そういうことをしたくなるんだよ」
侑「誰でもいい訳じゃない。僕は、ね」
歩夢「……」
歩夢「うん……」
歩夢「……じゃあしずくちゃんとは、そういうことしたいって思うんだ……」
侑「……」
侑「かもね……」
★★★
侑「かもね……」
最後の最後で聞いてしまった。
その頃にはもう顔が真っ赤だったと思う。熱く、夏のせいじゃない火照り。
しずく(──)
276
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/11(水) 12:56:04 ID:S.TP3cJ6
しずく(嘘……)
二人がどこかへ離れていくところを、好奇心──本当にそれだけか──で後を追った。
するとどうでしょう。
しずく(先輩、私のことを……気になってるって……)
しかも、その気になったらエッチなことをシたくなるかもしれない、とか。
しずく(ど、どうしよう……)
次から会うとき……どんな顔していれば……!?
しずく(でも……)
嬉しい反面。
歩夢さんのことが過る。
しずく(……もしかして、私のせいなのかな)
277
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/11(水) 13:30:14 ID:aQ72/LSI
悪くないんだけど、何故か今回読んでてしずくの顔が思い浮かばないというかイメージされないというか…
278
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/11(水) 13:51:01 ID:2eSG9gIU
かすみ√でもえっちしたのは付き合ってだいぶ経ってる上に歩夢ちゃんからでしたね……
279
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/11(水) 18:06:33 ID:cnVKXTaQ
自分はあまり小悪魔寄りなのよりこれくらいの方がしずくちゃんのイメージかな
280
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/12(木) 10:55:55 ID:c9nipLZ.
歩夢にド変態プレイさせろ
281
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/12(木) 19:36:07 ID:d5nmsGfA
今までで一番難しいかもしれません。
自分で書いてて頭の中で声が再生しにくいあたり、皆さんはどうでしょうか。
282
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/12(木) 19:55:01 ID:XopNW.V2
率直な感想を言うと今の段階だとすでに栞子√くらい丁寧な感じは出せてない気がする
しずくちゃんらしくないわけではないけどしずくちゃんが恋愛するとこうなるのか、みたいな感じではないって言うのかな
気を悪くしたらごめんなさい
283
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/12(木) 20:55:09 ID:N5RqgJLw
俺の中のしずくちゃんだと、手を引いて無理にでも二人をくっつけさせようとするかな
あくまで俺の中でだけど
284
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/12(木) 22:30:55 ID:HM6TIO66
これがしずくっていうのが人によって少しずつ異なるのがしずくらしいのかもしれないな
キャラが固まってないという意味じゃなくてどれもあり得そうで掴みどころがないという
285
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/12(木) 22:38:09 ID:cG/V4th2
演劇部で仮面で本当の自分を隠してるという背景があるから、人によって色んなしずくがあるんだろうね。
286
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/13(金) 00:27:46 ID:KZGMo5sk
仮にそうだったとしても。
私は……。
この気持ちを抑えたくない、
しずく(歩夢先輩、ごめんなさい)
私きっと、嫌な後輩になってしまいます。
287
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/13(金) 00:51:38 ID:KZGMo5sk
★★★
花火を見ていた。
ずっと消えないはずの花火を。
あなたと見るはずだった花火も、今となってはもう目を伏せてしまいたい。
それでも見るの。
もしかしたら、こうして隣で花火を見ることができるのは。
これが最後なのかもしれないから。
★★★
花火を見ていた。
特に意味はないはずだった花火を。
綺麗だった。
確かにそれは綺麗だった。
でも、欲を言うなら。
隣にいるのが、あの子なら。
どう思えたのか、確かめたかった。
288
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/13(金) 00:54:04 ID:KZGMo5sk
★★★
花火を見ていました。
隙間から、一人。
花火を見ている、というよりもまるで私が花火に覗き込まれている気分だった。
人のことを覗き見して。
それでも空に咲く花はきらびやかで。
でも、見上げる桜の花は、きれいなんでしょうか。
……。
いえ……。
しずく(結局私は……)
289
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/13(金) 01:12:12 ID:KZGMo5sk
怖がっているだけ。
しずく(歩夢先輩から何かを思われることを)
逆の立場から、私だって何かを思うかもしれない。
思わない、とも言い切れない。
だからいま必要なのは。
しずく(もっと、わがままになる)
あとから欲しくなったとしても。
あとから好きになったとしても。
それが、強欲で卑怯と思われても。
それでいいと思えるような人と出会い、変えられてしまったのだから。
290
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/13(金) 01:13:12 ID:KZGMo5sk
夜再開。
しずく√もなんとか良い感じにできるよう努力します。
夜再開。
291
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/13(金) 01:15:29 ID:C4Cmjdk2
>>287
切なすぎる…
292
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/15(日) 00:11:28 ID:zDmQPSTo
★★★
夏休みも終わりがやってきた。
また明日から学校だ。
侑「大会ももうすぐだ……」
あと一ヶ月程度。
いま、私達がやっているの反復練習。
できる限り完成度を高めていくことだ。
293
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/15(日) 16:47:46 ID:zDmQPSTo
侑「……」
歩夢のことが少し気掛かりだけど……考えても仕方ない。
侑「さ、寝よう……」
★★★
しかしどうしたことか、練習中に。
「しずくー、急に動きが固くなったね」
しずく「す、すみません……」
しずくの演技が少し崩れてきていた。
294
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/15(日) 23:22:42 ID:zDmQPSTo
特にラストのキスのところで、嘘だろっていうくらい体が固くなっている。
今まではそんなことはなかったのに。
「いまさら照れだしたの?」
しずく「い、いえ、そういうことでは……」
「逆に高咲くんは自然とできるようになったね」
侑「そうですね。演技は演技……って割り切るようにしたら、段々と」
295
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/15(日) 23:37:29 ID:zDmQPSTo
しずく「すみません……」
「まぁそれ以外は特に問題はないから、もう少しそこをなんとかしようか」
しかしその後の練習でも、しずくの体がほぐれる事はなかった。
★★★
侑「──もしかして、僕なにかしずくにしちゃったかな」
しずく「え、え?」
帰り道──歩夢はいない──で、しずくにそう訊いてみた。
もしかしたら私になにか原因があるのかもしれないから。
しずく「そ、そんなわけは!」
侑「そうなの? ……じゃあ、今日は一体」
しずく「ちょ、ちょっと疲れていたのかもしれません! 明日からは、全然普通にできますから……」
侑「……」
296
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/15(日) 23:43:46 ID:zDmQPSTo
何かを隠している。
明らかにしずくの様子はおかしかった。
侑「しずく、悩みとかあるなら相談しなよ」
しずく「ぇ……」
侑「演劇については、しずくのほうが先輩だけど」
侑「こういう時は、頼ってよ。先輩、だからさ」
もしも本当に何も悩みがないなら、心配しすぎと言われるかもしれないけれど、それならそれでいい。
やっぱりこの子は放っておけないから。
しずく「……ありがとうございます、先輩」
しずくは足を止めて、私のことを見た。
しずく「──先輩にお話したい事が、あるんです」
297
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/15(日) 23:46:18 ID:zDmQPSTo
今回はここまで。
しずく√でこういうのがあってほしいとかって何かありますか? がっつり参考にしようと思っています。
また明日に。
298
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/15(日) 23:48:41 ID:DlyNGZjI
ラストでエチュードじゃないけど演劇のセリフみたいな感じで会話して終わるとかどうですか
299
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/16(月) 00:05:07 ID:eSf3Yi66
演劇だけにとらわれず、JKらしさを出すしずくも見たい
300
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/16(月) 00:22:16 ID:t0eJ.Oic
せっかく同じ部活なんだし悪意なく歩夢ちゃんに見せつけてまくって下さい
301
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/16(月) 14:27:31 ID:zvKZx6rc
打ち上げ花火のとこの三人の心情を表す文章がとても綺麗すぎて、涙流しながら読んでた。
昨日久々に手持ち花火をやってたんだけど、急にこの文章思い出して情緒不安定になってた。
302
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 00:15:29 ID:DwBam0.o
★★★
話したいことがあると伝えられて。
私はしずくに連れられて、とある喫茶店に来ていた。
人が少なく、静かで居心地はいい。
侑「……それで、話って?」
しずく「はい」
アイスコーヒー(ミルク入り)を一口相槌代わりに含んだ。
しずく「私先輩のことが好きです」
吹き出しそうになった。
303
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 00:22:35 ID:DwBam0.o
侑「んぐっ!?」
いや逆流して鼻に入ってきた。
リアル鼻から牛乳をやらかすところだった。
しずく「だ、大丈夫ですか先輩!?」
侑「い、いや大丈夫……大丈夫だけど……」
それどころじゃない気が……。
侑「……いや、えーと」
侑「……え?」
しずく「いろいろ、ここに来るまでに考えたんです」
しずく「たくさん悩んだり、モヤモヤしたりするくらいなら……思い切って言ってしまおうって」
しずく「……それに」
侑「それに……?」
しずく「私、聞いちゃったんです。……その、先輩が……私のこと、気になってる、って……」
侑「!」
しずく「そ、それで、その。じゃあ、それなら……両想いなのかなー、っとか思い出して、あの……!」
次第に自分の大胆な発言に、顔が赤くなっていくしずく。
ついには手で顔を覆ってしまった。
侑(そうだったんだ……)
確かに……それなら。
私達は両想いなのかもしれない。
今ここで付き合っちゃえばいいのかもしれない。
だけど……。
侑「……ありがとう、しずく」
しずく「!」
侑「……」
侑「でも……少し待ってほしい」
304
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 00:29:08 ID:DwBam0.o
これは私の、自分との気持ちの戦い。
侑「……あの話を聞いていたのなら知ってるかもしれないど、歩夢との交際を断ったんだ」
侑「大切だった幼なじみの、ね……」
しずく「……」
侑「それはそれで気持ちの整理が微妙についてないんだ」
侑「……それだけなんだけどね」
しずく「……確かに、私も思うところはあります」
しずく「私も……横から入って、歩夢先輩の好きな人を取ろうとしている事に、罪悪感がないわけじゃありません」
しずく「……でも、だから諦めてしまうのも、嫌だったんです」
305
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 00:39:08 ID:DwBam0.o
侑「……じゃあ、どうする?」
しずく「……」
しずく「……このままじゃ、あんまりにも私はずるいですからね」
しずく「歩夢先輩の今まで……10年くらいでしょうか。それだけの想いを超えるんですから、たった出会って半年程度の私が得るには、虫が良すぎるかもしれません」
侑「……」
しずく「先輩」
侑「うん」
しずく「この大会……最優秀賞を取れたら」
しずく「私とお付き合いしてください」
306
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 00:41:09 ID:jjthPzG6
甘いよ
リアルな女はコロコロ気が変わるんだから
今回は最優秀取れたら〜だけど、本来なら侑くんが気持ちの整理…だなんて言ってる間にも好きじゃなくなってるよ
307
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 00:43:18 ID:Fy7O6ZLo
理想の展開なのか理想の女性像なのか分からんけど恋愛に関して美化しすぎ
さては
>>1
恋愛したことないな?
セクロス描写の腕は上がったみたいだけど素人との恋愛はまだだったか?
308
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 00:44:51 ID:DwBam0.o
今回はここまで。
本当は最初の大会は地区予選程度で、その後も県大会などがあるので、全国一位になれたら……としようと思ったのですが、それをやると長ったらしくなってダレるので今回はご愛嬌ということで。
菜々√はだいぶ王道な内容です。この子でやりたいことが多すぎます。
最後の歩夢√はちょっと地の文が増えそうです。
また明日に。
309
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 00:47:22 ID:8gyKp1Rc
こんなところで恋愛論について語るなよ
ダサい
310
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 00:54:38 ID:t.pCYlIs
しずく√より菜々√の方がプロット出来てそう
311
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 02:34:53 ID:Qur/gvDk
せつ菜はしずく以上に人によってキャラが変わりそうだ
場合によっては誰それ感がキツくなりそう
312
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 07:05:29 ID:DwBam0.o
そう言われると少し怖いですね。
313
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 07:47:46 ID:ufH1qwek
>>307
誰もがリアル求めてこれ読んでる訳じゃないだろ
さては思慮が足りない童貞かな
314
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 09:39:53 ID:usC.yHto
どうやっても誰かのイメージから外れるなら逆に気にせず自分のイメージで書けばいいと思う
菜々√でやりたいこと全部やった後にスーパースターに移るために歩夢√を駆け足で流すことにならないといいなって
315
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 23:33:25 ID:0h9Y7yP2
しず子のイメージはこれが理想かな
一言では言い表せない掴み所がないキャラだしラ!シリーズの中でも屈指の難しさだね
桜坂しずく(28)「わたしの理想のヒロイン」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1592051291/
桜坂しずく(30)「やがてひとつの……」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1606007112/
316
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 23:46:38 ID:DwBam0.o
★★★
その日は、その言葉を最後に別れた。
頭の中で繰り返される。
侑「……最優秀賞、ね」
それって一番、一位……ってことだよね。
それは演劇初心者の私がいて成せる事なのか。
侑「……」
不安になるくらいなら、大人しくOKをしてしまえばよかったのに。
侑「私も大概にしとかないとな……」
これじゃ、なんのために歩夢を振ったのか、わからなくなる。
侑(もしかしたら、私もまだ確信が持てていないのかもしれない)
317
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/17(火) 23:55:51 ID:DwBam0.o
もしかしたら私は、愛想よく接してくる姿に勘違いしているだけなのかもしれない。
好きって言われたから、じゃあ好きですと言うのも違う。
持論だけど。
だけどたしかに私は、あの瞬間。
『先輩のことが好きです』
胸が締め付けられた。
318
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/18(水) 00:12:41 ID:DNdlJNxE
本当に人の心を惑わせてくれる。
侑(桜坂しずく……)
もしかしたら、あんな子は一人としていないのかもしれない。
侑(不思議な子だよ……まったく)
★★★
それからのしずくは、迷いがなくなったように見えた。
全てを完璧にこなして、もう完成形と呼ぶにふさわしいほどに仕上がりつつあった。
319
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/18(水) 00:28:32 ID:DNdlJNxE
以前あれだけ「勘違いしているだけなのかもしれない」とか思っていたくせに。
侑(……それだけ私と……?)
既に悶々としてきていた。
そりゃあそうだろう。
しずく「すみません、ここは全員が出てきたほうが……」
「あー、確かに。いいね、それでやってみよう」
もちろん、仮にあの条件が無かったとしてもしずくは全力でやるだろう。
でも、どうしても私は知ってしまっている。
侑(……ダメだダメだ、私も集中しないと!)
320
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/18(水) 00:33:29 ID:DNdlJNxE
★★★
日が過ぎ、いつかまだかと待っていたその日は、ついにやってくる。
「明日がついに練習の成果をぜんぶ出す日だよ! 今日はゆっくり休んで明日に備えて!」
ドキドキしてきた。
あした、ついに舞台に立つのかと思うと。
寝て起きたらもうその日になってしまっているだろう。
そんなふうにそわそわしていたら、ラインが1件。
相手はしずくだった。
その内容は至ってシンプルだった。
侑「『明日は頑張りましょう』、か。……ふふ」
なんだか笑ってしまった。
理由はわからないけれど、すこしほぐれた気もする。
侑「……さぁ、寝よう」
明日、全部が決まる。
321
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/18(水) 00:33:46 ID:DNdlJNxE
今回はここまで。
また明日に。
322
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/18(水) 04:34:11 ID:Yjxgi1xk
ワクワク
323
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/08/18(水) 23:43:14 ID:DNdlJNxE
★★★
明日が本番だと言うのに、私はとてもおちついていた
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