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愛「へー……3人の名前に因んでるのかぁ」

27名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:31:58 ID:oW3lrayM

かすみ「愛先輩の事を本気で嫌ってるなら、皆もう同好会に来たりしないでしょ」

かすみ「かすみ達に馴れ馴れしいのは、もう愛先輩の個性みたいなとこありますし」

愛  「かすみ……」

かすみ「確かに先輩は、いろいろアレですけど」

かすみ「いろいろ、アレですけど」

愛  「そんな強調せんでも……」

かすみ「ですけど……でも、かすみ達が学園とか同好会に馴染めたキッカケ作ってくれた所もあります……」

かすみ「りな子もしず子も、先輩の事はどこかで尊敬してますよ。嫌いだなんて思ってません。きっと」

愛  「かすみも?」

かすみ「ノーコメントです」

愛  「……プラスに解釈しておくね」

かすみ「はいはい……かすみも、ちゃんと分かってますから」

かすみ「ちゃんと、そういう程度を考えて後輩と接しましょうね」ポスポス

愛  「…………」ムズッ

愛  「ちょっとチューして良い?」

ガスンッ!

愛  「だばっふ!?」

かすみ「だから!」

かすみ「そこで! 空気読まないから! りな子が怒るんですよ! このオバカ!」

愛  「うごご……」ヒリヒリ

28名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:32:35 ID:oW3lrayM

───菜々はスクスタ前からオタ系だと思ってた


璃奈「意外……歩夢先輩ってゲームとかやる人だったんだね」

歩夢「あはは、お恥ずかしながら」

璃奈「いや本当に意外だよ。コントローラー持ってるイメージ湧かないもん。え、いつからやってるの?」

歩夢「あー確か小さい頃……幼稚園に入るより前だから本当に小さい頃だね」

歩夢「わか……部長のお兄さんがね、やってたのをやらせてもらったのが、わたしの確かゲーム初プレイ」

歩夢「もうタイトルは憶えてないけど、確かマリオさんだったと思う」

璃奈「へえ……そんな感じ全然ないけど、ゲーム歴わたしより長いんだね」

璃奈「わたし、初めてゲームやったの小学校に上がってからだったよ」

歩夢「良かったら対戦してみる? こう見えて強いよ、わたし」💪ムンッ

璃奈「いいね、いま何やってる?」

歩夢「んふふ、今やってるのはね───」

愛 「…………」

29名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:33:05 ID:oW3lrayM

璃奈「わあ……スゴい。これ全部、菜々先輩なの?」

菜々「あ、あはは、そうです。そんなに見られると恥ずかしいですね」

璃奈「カナヲに、こっちはプリキュア。これ八九寺真宵ちゃん……? え、これアスカ……それにティファまでやってるの」

璃奈「うわ、際どいのもある……“本物”だね先輩」

菜々「あああ、そんな見ないでえ……」😵

璃奈「でも先輩、本当に楽しそうに写ってるね」

菜々「……ええ、まあ、数少ない趣味ですよ」

菜々「昔からプリキュアですとか、そういうアニメが好きで、綺麗な衣装に憧れがあったんです」

菜々「小5か……その辺りだったかな、内緒でコスプレした写真を上げたら割と反響があって、そこから調子付いちゃって」

璃奈「小5? かなり早い内から目覚めてたんだね」

菜々「えへへ。それで気付いたら、こんな事になってて……」

菜々「まあ確かに楽しい、ですね。スクドル始める前までは、自分を表現する唯一の場でした。皆さん寛容ですし、居心地良くて」

菜々「……でも親からは、なかなか理解されなかったんですけどね……」

璃奈「そんな落ち込まないで。わたし達だって理解してるよ。素敵な趣味だと思う」

菜々「ありがとうございます。……へへっ、でもやっぱり恥ずかしい」😳

愛 「…………」

30名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:33:49 ID:oW3lrayM

愛 「ヘイヘイ璃奈」✋

璃奈「天王寺璃奈です───え」

愛 「どうよ?」

璃奈「愛先輩、その髪……」

愛 「そ、いつもと変えてみた。前髪は解いて、あとアイライン気持ち丸っぽく控えめにしてね」

愛 「個性そのまま、歩夢みたいな柔らかい感じに寄せてみた!」

愛 「どう? いつもより優しそうな感じするっしょ! ぬへへ」

璃奈「言動が伴ってないけど」

愛 「ぬぐぇ……ま、まあ、要するにメイクは良い感じって事だよね」😅

愛 「で、見たとこ璃奈はさ、あんまそういう、メイクとか拘り無さそうな感じじゃん」

璃奈「う、うん。あんまり時間掛けた事ないよ」

愛 「愛さんね、ノートの件からずーっと考えてさ。まあ結局こんな事しか思い付かなかったんだけど……」

愛 「璃奈さえ良ければ、メイクで印象を変える技……覚えてみない?」

璃奈「えっ」

31名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:34:30 ID:oW3lrayM

愛  「表情が上手く出せなくても、メイクで人からの視線を変える事は出来る」

愛  「アタシには、これが精一杯だけどさ。何かしら璃奈の役には立ちたかったんだ」

愛  「どう? やってみる?」

璃奈 「……」

璃奈 「うん……先輩が良いなら、覚えてみたい」

愛  「勿論だぜ」

璃奈 「…………」

璃奈 (急にそれっぽい事するんだもんなぁ。この人って)

璃奈 (何かズルい気もする)

愛  「よっしゃ! んじゃ早速……」

ガラッ

かすみ「こんにちはー……ってあれ、まだ愛先輩とりな子だけですか?」

璃奈 「あっ……」

しずく「お疲れさまです。2人とも何かしてたんですか?」

愛  「ん、あー2人ともお疲れー。まあちょっとね」

かすみ「ちょっとりな子、アンタまた先輩に何かされて……」

愛  「何もしてねーわ! 人をいじめっ子みたいに」😡

しずく「……あれ? 何か愛先輩いつもと雰囲気が……」

かすみ「ん……言われてみれば髪型が違いますね」

愛  「あーこれね」

愛  「……」チラリ

璃奈 「……」モジモジ

愛  「まあ丁度良いか! 2人ともコッチおいでよ、良いコト教えたげる!」

かすみ「?」

しずく「?」

32名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:35:04 ID:oW3lrayM

───少しだけ2人の距離の近さが羨ましい菜々


歩夢「菜々ちゃん、ところで変なこと訊くんだけどさ」

菜々「……何となく分かりますよ、実は私もなんです」

歩夢「ふふ、そうなんだ……」

歩夢「……」

菜々「……」


2人「愛ちゃん(さん)が、やたらドヤ顔してくる」


歩夢「あははっ」

菜々「えへへっ」

2人「はあー……」😰

33名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:35:32 ID:oW3lrayM

菜々「何なんでしょうね? まあ愛さんが変なのは、いつもの事ですけど」

歩夢「菜々ちゃんも言うようになったね……でも、その通り過ぎて何も言えないや」

菜々「あはは、私もコツが掴めてきたんですね。それで、何だと思います? あの謎ドヤは」

歩夢「うーん……あのパターンだと多分、勝手に1人で、わたし達に対抗心的なもの燃やして、勝手に1人で動いて……」

歩夢「で、勝手に1人で勝った気になってる。これが有力かな」

菜々「……歩夢さんの領域には程遠いですね、私……」

歩夢「何の自慢にもならないけど、愛ちゃん歴5年目ですので」😁

菜々「でも……そんな対抗心なんて燃やされるような事しましたっけ? 私達……」

歩夢「うーん、全く心当たり無い」

菜々「そもそも私、最近あまり愛さんと話してもないですし」

歩夢「……」

菜々「……」

菜々「あ、もしかして璃奈さん関連とか」

歩夢「うわーありそうで困る」

菜々「むーん……でも本当に何なんでしょうね」

歩夢「ま、いっか……暫くすれば自然と治まるでしょ。どうせ愛ちゃんだし」

菜々「そうですね、愛さんですしね」

歩夢「話変わるけど、璃奈ちゃんと言えば最近メイクが……」

34名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:37:01 ID:oW3lrayM
***


愛 「へっきしょい!」

部長「うわっちょ!? あっち向いてやれよ!」


***

35名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:37:39 ID:oW3lrayM

───でも愛先輩になら化けて出てほしい


愛 「テスト明けだー!」

愛 「あーもう何もする気ねー! アイ活やる気すら起きねー!」

歩夢「……とか言っといて、当たり前みたいに人の家来てるじゃん」

愛 「だってゲームやりたいもん。何か新しいのある!?」

歩夢「上原家をプレイスペースか何かだと思わないでほしい」

愛 「ははは……あー、ところで今日あいつはどうしたん? 帰る時も居なかったけど」

歩夢「今日は、学園から直で横浜に行くって言ってたよ」

愛 「横浜……えー何で? 遠いし、ここと反対方向じゃん」

歩夢「うん。ちょっと制作部の人達で大事な話があるんだって。何か新しい機材の調達に関する事みたい」

愛 「ふーん……テスト明けなのに大変だコト。いろいろ御世話になってるし、今度プリンでも奢ってやろうか」

歩夢「良いんじゃない? 意外と甘い物も好きだし、きっと喜ぶよ」

愛 「おう。オススメは、最近出たセブンのデカい抹茶味のやつね、よろしく言っといて♪」

歩夢「いや今のは愛ちゃんが財布を出す流れでしょ」

36名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:38:16 ID:oW3lrayM

愛 「さあてゲームやるぜー! テスト明けだし……こう、癒やし系のやつがやりたいね♪」

愛 「何かある?」

歩夢「愛ちゃんはさあ……」

歩夢「…………」

歩夢「はあ、もういいや……こないだ面白そうだったからダウンロードしたやつならあるよ」

愛 「お、マジでか。良いね、どんなの?」

歩夢「2007年に出たゲームのリマスター版みたい」

愛 「2007……! そりゃまた古い物を」

歩夢「南の島が舞台で、なかなか癒やし系だよ。たまにキャラの挙動が変な所あるけど」

愛 「おおお、パーフェクトだよ歩夢ぅ」

歩夢「待ってて、いま立ち上げるから……」

愛 「ワクワクだぜ」ウキウキ

……………………

……………………

Aztec:Madre Santisima!

愛 「…………」

Aztec:Prophet! Help me!!

愛 「…………」

37名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:38:44 ID:oW3lrayM

愛 「歩夢……騙したな?」

歩夢「ほらほら、早くアズテックさん助けに行かなきゃ」ニヤニヤ

愛 「何が癒やし系だよオイ!? 確かに南の島だけど、バチクソのドンパチゲーじゃねえかい!」

愛 「南の島って言ったら普通スポーツ系とか爽やかな感じのやつかと思うじゃん!? 実銃片手に血ヘド吐いて全力疾走だよ!!」

愛 「のっけからパワードスーツのゴツいブラザー出てきた時点で、何か変だなって思ってたわ!」

Jester:Shit! Son of a bitch!!

歩夢「あー、アズテックさん死んじゃってる……かわいそう……」

愛 「白々しい事この上ねえ!」

愛 「歩夢オメー恨むぞヘイ! 憶えとけよヘイ! 枕元で出てやるからな!」カチカチ

歩夢「でも続けるんだね……」

愛 「当たり前だい! ここでやめるとか有り得ねーし! アズテックの敵討ちだオラッ!」

歩夢「でも、この後そのジェスターさんも」

愛 「それ以上言ったら化けて出るだけじゃ済まさんからなヘイ!」

Jester:Adios, amigo...

38名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:39:42 ID:oW3lrayM

───難関校は入ってからが難関


-スクールアイドル同好会 部室-

愛 「…………」カリカリ

璃奈「愛先輩?」

愛 「ん? あ、璃奈。おつかれ」

璃奈「うん」

璃奈「それ、勉強してるの? 部室で……」

愛 「そーだよ?」

愛 「うちのクラス、明後日に英語の小テストがあるんだ」

愛 「しかも論述問題付き。いくつかの課題からランダム出題のね」

愛 「事前通知される分は、今の内に書けるようにしときたいんだよ」

璃奈「そ、そうなんだ……」

愛 「別に気は遣わなくても良いからねー。うるさくしても大丈夫だよ」ヘラヘラ

璃奈「はあ、しないけど」

39名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:40:11 ID:oW3lrayM

愛 「…………」カリカリ

璃奈「…………」

璃奈(先輩が勉強に集中してる所……初めて見た)

愛 「…………」カリカリ

璃奈(こうして見ると……本当に格好良い人だなぁ)ジー

璃奈(普段のアレさえ無ければなー)ジー

璃奈(……考えてみれば、先輩だって、この学園に入学出来た1人なんだ)

璃奈(難関な入学試験に、厳しい人格適性検査。入学してからも続く高難度、高密度の授業内容)

璃奈(毎日の予習復習程度に集中出来ないようじゃ、ここには居ないよね。そもそも)ジー…

愛 「……」カリカリ

愛 「……」

愛 (すっげー見られてんだけど)カリカリ

愛 (アタシ何かしたっけか今日)カリ…カリ…

40名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:41:58 ID:oW3lrayM

───果林「ある日ふと悟るのよ。考えるだけ無駄って」


彼方「おい後輩、何か寄越せ」

愛 「…………」🎧♪

彼方「おーい」

愛 「……♪♪」

彼方「むかっ」

彼方「ヘイ!」バッ

愛 「っどぅおぁあー!?!」ビクゥ!!

彼方「彼方ちゃん先輩のお呼びだぜ?」

愛 「何すんじゃビビるわ! 心臓いま移動したわ何センチか!」

彼方「叩けば直るさ。……んー相変わらずゴキゲンなの聴いてるね」キャプテンデェーップゥー♪

愛 「その通りだよ聴いてたんだよ音楽! アタシが婆さんだったら死んでたからな!」

愛 「返せそれ!」

41名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:42:22 ID:oW3lrayM

愛 「それで何な訳? アタシだって暇じゃないんだけど?」

彼方「いや、思いっきしリラックスしとったやん自分……」

彼方「まあ率直に言うと、何かちょーだいって話なんだけど」

愛 「……何かとは?」

彼方「お菓子だよ、お菓子。キミいつも持ってんだろ、何かしら」

愛 「アタシがデップーだったら、何も言わず頭ブチ抜いてる所だね」

彼方「悪いが、彼方ちゃんアニメとか見ないのよん」

愛 「洋画だっつの。はあ……ならボンタン飴どーぞ(投げやり)」

彼方「それは飽きたー。他に何か無いの?」

愛 「注文多いな。後は黒飴に……あ、きなこ餅と品川巻もありますけど」ゴソゴソ

彼方「相変わらずシブいもんばっか持ってんな君……もう思考は婆さんだろ」

愛 「何だと」

彼方「まあ貰う身で文句は言うめえ。じゃ、きなこ餅ちょーだい」

愛 「はいはい……ったく何様なんだろうね、この先輩は」

彼方「彼方ちゃん様だぜ」モグモグ

彼方「うんめー!」😋

42名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:42:44 ID:oW3lrayM

愛 「アンタ本当に自由だね。悩みとか無いっしょ?」

彼方「1年通して悩み通しさ。彼方ちゃん思慮深い姉だからね」

愛 「どーだかね」

彼方「君に彼方おねーちゃんの苦労は分からんよん。毎日、九州にリモート授業をお届けする大変さはね」

愛 「何だそら」

愛 「…………」

愛 (まったく……あいつが連れて来るからどんな逸材かと思えば、文字通り逸脱したのが来たわ)

愛 (副部長も頭抱えてたし、大体どんな人なのか察しは付いてたけど、こりゃ慣れるのに苦労しそうだね)

愛 (でも来年! 後輩が来るまでの我慢だ! いーっぱい可愛がって癒やされるぞ!)

愛 (アタシは後輩から愛される先輩になるぜ! パパに貰った名前の通りな!)

43名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:43:40 ID:oW3lrayM

───愛先輩の悪い癖


璃奈「いたた……うう」ヨタヨタ

  ヒソヒソ… ネーミテアレ…

      ウワッイタソー… コロンダノカナ…

璃奈「…………」

璃奈(早く行こ)

……………………

……………………


愛 「あれ、璃奈?」

璃奈「あ、愛先輩」ヨタヨタ

愛 「どしたの、何かヨタヨタ歩いて……って」

愛 「!?」

璃奈「あ、ええと」

愛 「璃奈その脚……! 血だらけじゃん?!」

璃奈「あー……」

愛 「ソックスまで破けて……どうしたの転んだの!?」

璃奈「ちょっと来る途中でイロイロ……」

璃奈「もう学校着くし、すぐ保健室行くから」ヨタヨタ

愛 「……」

44名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:44:03 ID:oW3lrayM

愛 「璃奈、ちょっと待って」

璃奈「んっ?」

愛 「背中、乗って」

璃奈「え」

愛 「アタシの背中に乗って。保健室まで連れて行くから」

璃奈「へ……へ?」

愛 「その怪我じゃ、歩くのも億劫でしょ。ほら」シャガミ

璃奈「で、でも……その」

愛 「なに見てんの! 見世物じゃないよ!」

璃奈「!」

通行人A「……」ソソクサ

通行人B「……」メソラシ

璃奈「あ……」

愛 「さ、気にしないで。早く行こ」ニコ

璃奈「…………」

璃奈「ありがと……」

45名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:44:41 ID:oW3lrayM

璃奈(愛先輩、こういう時は本当に格好良い……)

愛 「よっ……おおう、璃奈ってば軽いね」オンブ

愛 「でも、こういう時は、ちゃんと誰かに頼らなきゃ駄目だよ」

愛 「女の怪我は重大な事なんだからね」

璃奈「うん」

愛 「それじゃなくても、アタシらカラダが資本なんだから……」

愛 「じゃ、行くよー」

璃奈「うん……」

璃奈「…………」

璃奈(先輩……)

璃奈(わたし、普段はああ接してるけど……先輩のこと別に……)

愛 「…………」ムズッ

愛 「それに早く消毒しないと、傷にバイ菌が入って……」

璃奈(嫌いなんかじゃ───)

愛 「そのまま化膿する可能性もあるんだからね!」ドヤ

璃奈「…………」

46名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:45:02 ID:oW3lrayM

愛 「…………」

愛 「…………」

愛 「あ、えーと今のはね……」

璃奈「ねえ」

愛 「ひっ」

璃奈「 怪 我 人 」←耳元で低音

愛 「ハイ…スンマセン…」

璃奈「愛先輩のオバカ」

璃奈(やっぱり嫌い)

47名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:45:48 ID:oW3lrayM

───父親は鬼籍に入ってる設定ですが活かされる事は恐らく無い


-巣鴨 宮下家-

ジリリリリン ジリリリリン

ガチャン…

愛「ハイ、宮下で御座います…」

愛「はあ……」

愛「あー、申し訳ありません、母は只今、海外に居りまして……」

愛「言伝でしたら私の方で承りますが……ハイ」ガサガサ

愛「ハイ……あ、少々お待ちください」チキチキ

愛「……ハイ、大丈夫です」

愛「……ハイ、○○高校バレー部、同窓会の××様ですね」メモメモ

愛「再来月の……第一土曜日……ハイ」メモメモ

愛「銀座の○○○にて、16:00……現地集合……ハイ」メモメモ

愛「21:00、現地解散……分かりました」メモメモ

愛「ハイ、確かに承りました。必ず伝えますので……」

愛「え、私ですか? ああ、申し遅れました、わたし娘の愛と申します……ええ」

愛「え、そうですか?」

愛「あはは……いえいえ、そんなことは……」テレテレ

愛「あはは……はい、はい……では、失礼しまーす」

愛「はい……はい」

ガチャン……

愛「フヒー」

48名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:46:12 ID:oW3lrayM

愛「あ、もしもし璃奈? ゴメンね待たせて」スマホ

愛「いやー何か知らないけどさ、ママの高校時代の同級生みたい」

愛「うん、同窓会のお誘いだって……あ、聞こえてたの?」

愛「アッハハ、アタシのママ、今ヨーロッパに居るし、行けるか分かんないのにさ♪」

愛「てゆーか、ママがバレー部に居たことすら初耳だよアタシ」ケラケラ

愛「…………」

愛「璃奈? どしたん?」

愛「ん……え、ここに? いやアタシ以外居ないよ? 飼猫なら居るけど。ハーイ半蔵」

猫「ニャー」

愛「おばーちゃんは買い物に行ってるし……うん、アタシだけ」

愛「アッハハ、急にどーしたん? 変な璃奈だなあ」ヘラヘラ

愛「……」

愛「え、ちょ待ってよ。マジでアタシ以外いないよね? 怖くなってきたんだけど」

<ガタッ

愛「のあっひょっわっ!?!」ビクッ

49名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:55:37 ID:oW3lrayM

───愛先輩、渾身の作


璃奈「…………」パクパク

愛 「うーん」

愛 「毎回思うんだけどさー」

璃奈「?」

愛 「いや、璃奈の昼御飯が少なくないかなって」

璃奈「そう?」

愛 「少ないよー……煮豆の缶詰とサンドイッチ2個だけじゃん」

愛 「女子高生の食事じゃないねそりゃ。ガチサバイバル生活でなら豪華かもだけど」

璃奈「んー……実際、毎日これで足りてるし、問題は無いと思うよ」

愛 「…………」

50名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:56:05 ID:oW3lrayM

-次の日-

璃奈「…………」

璃奈「先輩、なにこれ」

愛 「璃奈の弁当だよん」

璃奈「私の……って」

愛 「作ってきた」

璃奈「あ、愛先輩のは?」

愛 「あるよ?」

璃奈「…………」

璃奈「いや、でも悪い……」

愛 「悪くない」

璃奈「え」

璃奈「で、でも」

愛 「いいから」

愛 「食べな」

璃奈「……」

璃奈「……いただきます」

愛 「ハイハイ、召し上がってちょーだい」

愛 「弁当箱は放課後に返してねー」スタスタ

璃奈「あ……」

璃奈「…………」

璃奈(お母さんみたい……)

51名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:58:38 ID:oW3lrayM

璃奈(手作り……なんだよね)

璃奈「……」パカ…

璃奈「あ、美味しそ」

璃奈(あれ? 何か紙が入ってる……)

璃奈(…………)



“ 愛さんの愛妻弁当! たんと食べんとー! ”



璃奈「…………」

璃奈「…………」

璃奈「…………」クシャクシャ……ポイ

璃奈「いただきます」

52名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 05:00:27 ID:oW3lrayM

───本国版はやめとけ


璃奈「あれ、愛先輩それって……」

愛 「んー?」ゴクゴク…

愛 「あーその通り。レッドブルだよ」

璃奈「あまり好きじゃなかったんじゃないの、エナドリ」

愛 「いやー最初はそうだったんだけど、アタシ璃奈に影響されたんだね」

愛 「あの後、何だかんだ興味が湧いちゃって、イロイロ調べたんだよグーグル先生で」

愛 「で、そういや知ってたけど飲んだことはないなーって思ってさ」

璃奈「レッドブルってモンスターより人を選ぶ味だと思うけど……」

愛 「まあね、最初は何か薬っぽいなって思ったんだけど、飲んでる内に楽しみ方が分かってきて」

愛 「甘過ぎずビターな感じがアタシ的にヒット賞でさ。何となく見掛けたら買ってる内に、いつの間にかファンに」エヘ

璃奈「……」

愛 「アタシらエナドリコンビだね♪」

璃奈「……糖尿病がどーとか言ってたクセに」ジト

愛 「あっ」

愛 「ご、ゴメンよー……食わず嫌いしちゃったんだよ愛さん。特例で許しとくれー」←

璃奈「一口飲んだし食わず嫌いじゃないじゃん……」プイス

愛 「り、璃奈ー……」

璃奈「ふんだ。本国版モンスター飲んで出直してきて」

53名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 05:19:48 ID:oW3lrayM

───普通の会話


璃奈 「かすみ……何かイライラしてるの?」

かすみ「あ、分かる?」

璃奈 「何か雰囲気がね。歩き方からしてそうだった」

かすみ「りな子アンタ、案外よく人のこと見てるね……」

かすみ「あー実は、朝から嫌なのに遭遇してさあ」

璃奈 「嫌なの?」

かすみ「そ、いわゆる厄介なファン。朝の駅で呼び止め、からのサインだの握手だの、しつこく強請られて」

かすみ「こっちは急いでるってのに、超ウザかったわ……」

璃奈 「うわ、悲惨」

璃奈 「え? ていうか……そもそもウチ、そういうのイベント以外では全部NGって規約にあるよね?」

かすみ「先輩も言ってたよね。そういうのは全部断れって」

かすみ「でも、分かってても来るよ、ああいう人は。欲のためなら規約なんて平気でポイだよ」

璃奈 「……仕方ないとは思うけど、そういう人達もファンに居るって考えると正直イヤだなぁ……」

かすみ「分かる分かる。普段は考えないようにしてるけどね」

かすみ「で、朝テンションもあって余計に頭きてさー……ちょっとキレて、最後は駅員さんの御世話になっちゃった」

かすみ「いま考えると、駅員さんも忙しい時間帯だったのに申し訳ない事したかも」

璃奈 「いやいや、それは流石に仕方ない……かすみ正しい対応したよ」

54名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 05:20:23 ID:oW3lrayM

璃奈 「部長先輩も危険を感じたら迷うなって言ってたじゃん。変な事にならなくて済んだし結果オーライだよ」

かすみ「まあねー。アイドルは楽しいけど、ああいうイラつかせられるのは2度とゴメンだなぁ。こっちも気分沈むし」

かすみ「りな子は何か無い? そういう本気でイラついた事とか」

璃奈 「愛先輩と会ってから、イラついてない日の方が少ないよ」

かすみ「……ふっ、あっははは! りな子も言うじゃん」

璃奈 「……まあ、それは冗談として(あんま冗談でもないけど)、イラつく事なら普通にある」

璃奈 「予想付くよね、わたしの“表情の事”だよ」

かすみ「あっ……」

かすみ「あー、その……それって」

璃奈 「別に気は使わなくていいよ。大丈夫だから」

かすみ「や、やっぱあるんだね、そういうの。昔から?」

璃奈 「割とね。もう最近は、何か言われても何とも思わなくなってきてるくらい」

かすみ「ふーん……」

璃奈 「中でも一番ムカついたのは……やっぱアレかな? 中1くらいの頃に言われたやつ」

璃奈 「虹ヶ咲の中等部って……何て言うか、ちょっと多くて。そういう自分の家柄とか裕福さに酔ってるみたいな人」

かすみ「あっ、何かそれだけで察せる。中学生に全能感を与えるのって絶対に良い事ない」

璃奈 「うん。その手の人達がグループになってね、何か色々と威張り散らしてたりしたの」

璃奈 「で、わたしなんだけど、一時期そのグループから……何か目付けられちゃって」

かすみ「……」

璃奈 「多分、良いターゲットが出来たと思ったんだろうね。毎日のように顔の事で嫌味とか言われてさ」

かすみ「なるほど……厄介な事に巻き込まれたね」

55名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 05:20:44 ID:oW3lrayM

璃奈 「それで、いい加減どうにかしようって思い始めた頃、昼御飯を食べてる時に言われたんだよね」

かすみ「な、なんて?」

璃奈 「何か主犯みたいな人の取り巻き1人から……顔筋も無いのにどうやって食べてるのって」

かすみ「うーわ……」

璃奈 「普通に泣いたよ。そんな事を平気で言える人が居るっていうのがムカつくし悲し過ぎて」

璃奈 「でも問題なのはそこからでさ……」

かすみ「え、もしかして本格的に虐めが始まったりとか」

璃奈 「その逆」

かすみ「?」

璃奈 「そういう嫌な人が多いのは本当なんだけど、まあ腐っても難関の名門校って事なんだろうね」

璃奈 「学校って勉強する場じゃん? そこで虐めなんてものが起こってる事が許せない層っていうのも、一定数いてさ」

かすみ「…………」

璃奈 「イメージつかない?」

かすみ「あんまり……」

璃奈 「まあ簡単に言うと、お前らが気分悪い事してるせいで勉強に集中出来ないだろ! っていう主張の人達」

かすみ「え! そ、そんなの居るの!?」

璃奈 「うん。将来のために命掛けて来てる人達も居るからね、虹ヶ咲」

璃奈 「そういう人達と、わたしに突っ掛かってきてたグループで……何か最終的に、学年全体巻き込んで冷戦みたいな状態になって」

かすみ「えええ!?」

璃奈 「うん、それで真面目に学校生活送らない奴と一緒の授業は嫌だって……信じられる? 集団ボイコット起こったの」

かすみ「ぼいこッ」

56名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 05:30:48 ID:oW3lrayM

かすみ「えマジで!? 中学で!? そんな事あるの!?」

璃奈 「あったんだよ、それが。最終的に都教委まで動いて……わたしが発端みたいなものだし、本当どうしたら良いやらだったよね」

璃奈 「ちょっとだけど、ニュースでも取り上げられてたよ」

かすみ「はー……壮絶じゃん。この平和な学園でそんな事があったとか、想像つかないわ……」

かすみ「で、どうなったの最終的に」

璃奈 「20人かそのくらい厳重注意。4、5人は謹慎。1人は暴力行為と喫煙がバレて退学」

璃奈 「結局そういうのが1ヶ月は続いて、もう気まずいったら無かったよね」

璃奈 「話が逸れたけど、以上わたしのムカついたエピソードでした」

かすみ「何か半分以上、虹ヶ咲の黒歴史って感じだったけど」

璃奈 「まあね。でもまあ今はムカつく事も無く、楽しくやれてるよ。良い感じに」

かすみ「……その楽しいに、愛先輩は入ってる?」

璃奈 「それコメントしなきゃ駄目?」

57名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 06:04:15 ID:ESrnzrwE

───副部長と愛先輩


-スクールアイドル同好会 部室-


果林「はいこれ。急がなくて良いけど、協力よろしくね」ピラリ

愛 「何これ? “ファッションと心境に関するアンケート”……?」

果林「ちょっといま、卒論のデータ用にアンケート取ってるの」

愛 「卒論って……え、卒業論文!? あんのウチ!?」

果林「普通科は無いんじゃなかった? あるのは確かLD科と芸術科だけよ」

愛 「な、なーんだ……一瞬ガチでビビったわ」

果林「ふふ、なかなか苦行よ。大学ほど本格的じゃないけど」😏

愛 「はえー……ただでさえアタシら忙しいのにねぇ」

果林「本当よね。最低でも2万字は書けって。あー気が遠くなるわ……」

愛 「ほほう」

58名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 06:04:43 ID:ESrnzrwE

愛 「ちなみにテーマは?」

果林「主に中高生の期間における服飾嗜好と、社会流行の変化に関する心理的影響および───」

愛 「あ、ゴメン。愛さんついて行けそうにない……」

果林「でしょうね。専門的だもの」フフフ

愛 「にしてもアンケートって、何人くらいに取るん?」

果林「最低でも100人、理想としてはその10倍くらいは取りたいけど無理よね。まあ出来るなら2、300程度には」

愛 「ひゃく! お、多いね……アタシで何人目?」

果林「昨日に始めたばかりだから、あなたで12人目よ……」

愛 「ははは、先の長い道のりだねぇ」

果林「そうね……えっちらおっちらって感じよ」

愛 「……」

愛 「あっそうだ。良かったら、アタシのツテで100人チョイ助けてあげよっか?」

果林「えっ!?」

59名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 06:05:38 ID:ESrnzrwE

果林「ちょ、な」

果林「え、マジ? マジで言ってる?」

愛 「対象者の条件は何かある? ツテって言っても友達から友達に伝っていく感じだから未成年ばっかだけど」

果林「クリティカルよクリティカル! 対象は主に中学〜大学生くらいの男女!」

愛 「良いね」

愛 「なら多分……そうだね、多くなれば200人くらいはイケると思うよ。期待してくれて大丈夫」スマホポチポチ…

果林「え、何ホント? 良いの? そんなの頼んで大丈夫なの?」

愛 「良いの良いの。気の良い連中だし、まあ果林の頼みなら喜んで飛び付くって」ポチポチ…

果林「…………」

愛 「で、今からちょっと呼び掛けてみるけど、どう? やる?」

果林「…………」

果林「あなた、最高よ」

愛 「はいはい。愛さん超サイコー」ポチッ

果林「やっぱり持つものは信頼し合える友達ね!」💪イエスッ!

彼方「呼んだ?」

果林「寝てろ」

60名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 06:07:02 ID:ESrnzrwE

───愛ちゃん歴5年の貫禄


愛 「今度、うちの地元で大きな清掃活動イベントがあるんだけどさー」

愛 「友達を3人以上誘うと、全員に商品券2000円分が貰えるんだよ。23区内で使えるやつ」

璃奈「ふーん」

愛 「菜々とエマっちも来るって言ってたから、よかったら璃奈も一緒に」

璃奈「うん、行くよ」

愛 「なーんでさー」

愛 「…………」

愛 「……ん、あれ?」

璃奈「どしたの、テスト明けの部長先輩みたいな顔して」

愛 「え、来るの? 璃奈?」

璃奈「うん、商品券は欲しいし」

璃奈「……どうかしたの?」

愛 「いや……うん、うん分かった。じゃあチラシあげるね」ピラリ

璃奈「うん」

愛 「それに日時は書いてあるから、巣鴨駅の近くのセブンに集合で……」

璃奈「はいはい」

果林「2人とも、そろそろ練習始めるよ」

璃奈「はーい」

璃奈「行こ、先輩」

愛 「あ、うん……」

愛 「…………」

愛 (無意識に拒否られるの前提で考えてたわアタシ。普通の清掃活動なのに)

愛 (ちょっと考え直した方が良いのかな。自分の振る舞い)

61名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 06:07:23 ID:ESrnzrwE

愛 「───って事があってさ」

歩夢「ふーん、珍しい事もあるんだね」

愛 「……ど、どういう意味で御座いましょう」

歩夢「愛ちゃんが、ちゃんと自分のオバカさを振り返られる人だって分かって嬉しくて」

愛 「うん、あのね」

愛 「愛さんね、歩夢がそうやってアタシにだけ無駄に辛辣なの、マジで辛いんだからね本当」

歩夢「愛ちゃんと長く深い関係やってると大抵こうなるんだよ」

歩夢「この人の事は、あれこれ考えるだけ余計な労力だなって、ある時ふと悟るの」

愛 「泣いていいスか?」

歩夢(遠くから眺めてるだけならカッコいいんだけどね)

歩夢(どうせなら、もっと中身も真面目に振舞うようにすればいいのに。きっと、そうすれば璃奈ちゃん達の対応も変わるよ)

歩夢「まあ何にしろ、そうして気付けたなら救いはあるよ。これからは気を付けるようにしようね」

愛 「むう……」

62名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 06:18:34 ID:ESrnzrwE
また今度ね

63名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 13:42:02 ID:WCXBfAF2
もとのやつ読んだことないけどこっちだけでいい?

64名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 14:28:40 ID:wprXlVds
>>63
大丈夫だけど>>1の通り勝手に組み上げた設定ばかりなんで、呼称違いも駄目な人は控えた方が良いかも

65名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 14:29:52 ID:wprXlVds

───残念ながら恵まれた方ではありませんでした


愛 「そーいや璃奈ってさ、中等部から虹ヶ咲に居たんだよね」

璃奈「……内部進学」

愛 「だよね! 知り合いにも1人いるよ内進生。中等部の制服カワイイよねー」

璃奈「そう?」

愛 「丁度いま中等部の制服あるから、ちょっと着てみて……」ガサゴソ

璃奈「ヴェルデ先輩たすけて!!!」ダッ

愛 「ちょ、冗談だって……てか久々に聞いたわ璃奈の大声」

……………………

……………………

愛 「ところで、中等部で部活は何やってたん璃奈。……ちなみにアタシは中学時代バスケ部♪」

愛 「僭越ながら青春というものに興じておりまして候」ドヤ

璃奈「あ、あっそう……」ヒキ…

愛 「璃奈は? 何部で青春?」

璃奈「別に青春じゃないけど……ユーチュー部ってとこ」

愛 「……」

愛 「何て?」

璃奈「ユーチュー部」

愛 「……」

愛 「You……Tube……?」

66名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 14:30:24 ID:wprXlVds

璃奈「YouTubeは知ってるでしょ流石に」

愛 「それはまあ……」

愛 「字面的に動画作って投稿する感じの?」

璃奈「そう。部活全体でユーチューバーするの」

愛 「へー!」

愛 「そんなんあるんだ!」

璃奈「うん」

璃奈「私の代は映画のレビュー動画とかを投稿してたよ」

愛 「え、なにそれ見たい。それ超見たいんだけど」

愛 「璃奈のレビューもあったんでしょ?」

璃奈「あ、あったけど……卒部したから削除してるよ?」

愛 「…………」

愛 「えー」

璃奈「ろ、露骨に残念そうな顔しないでよ……」

璃奈「それに、残ってたとしても見せないからね」

璃奈「顔は出してないけど恥ずかしいもん」

愛 「なんだよー……見たかったのに」シューン…

璃奈(…………)

璃奈(本当は幽霊部員で、一度も撮ったこと無いんだけどね)

67名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 14:30:52 ID:wprXlVds

───おや? 愛先輩の様子が……


-山手線 品川・東京方面行き車内-

───間もなく 新宿 新宿 お出口は……

愛  (が、ガチで眠い……瞼が言うこと聞かない)ウツラウツラ

愛  (周りがおじさんの背中だらけで良い感じに寄り掛かれちゃうし、しかも揺れが揺籠的に……)ガタンガタン

愛  (こ、このままじゃ愛さん立ったまま寝落ちしてしまう……ぐぬぬ)

愛  (この状況じゃスマホ出したら迷惑だし、何か気を紛らわせるもの無いか……)

男子C「子どもっていや知ってるか? 1年生の女子でさぁ」

男子D「1年生女子? あーもしかして情報科の……」

男子C「あ、やっぱ知ってるか」

愛  (ぬ? ……情報科? もしかして虹ヶ咲の男子かな)

男子C「スゲーよなマジで。トラックに轢かれそうになってるトコなんてさぁ……」

男子D「俺ン友達でそこ見た奴居てさ。ガチで漫画のワンシーンみたいだったってよ」

男子D「でも脚が血だらけになってたみたいだけど……」

男子C「血? うわ……女子でそれはキッツいな」

男子C「でも虹学の誇りだわな。人命助けた訳だし、後で表彰とかされるんじゃね」

男子D「な、本当にな。寧ろされて然るべきだと思うけど」

愛  「──────」

愛  「──────」

気を抜けば1秒後には意識を失うかもしれない程キツい睡魔だった

でも、意識を向けられる場所が出来た途端、それは呆気なく吹き飛んだ

68名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:19:36 ID:9EV17tXc

───翌日


-虹ヶ咲学園 第一教務室-

愛 「はい失礼しまーす」ガラリラ

愛 「数学の小泉先生いらっしゃいますかー?」

先生「いるよー。どうした宮下、珍しいな」

愛 「あ、センセー。おっはよーん」ガサリ

先生「ん、おはよう」

先生「……で、何だ。その袋」

愛 「うん、ちょっと折り入って頼みがあるんだけどさぁ」

先生「お、おう……」

愛 「数学準備室の冷蔵庫、昼休みまでで良いから使わせてくーださい」

先生「冷蔵庫ォ? 何でまた急に」

愛 「んふふ、ちょっとねー」

69名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:20:18 ID:9EV17tXc

───国交科はレポート課題あり(日本人生徒は全文英語で)


果林「そういえば、そろそろ1年生は修学旅行の時期よね」

璃奈「うん……」

愛 「2年もねー」ヒョコ

果林「いいわねえ2人とも……今年は何処にしたの、旅先」

璃奈「遥が誘ってきて、ホノルルになった」

愛 「遥が?」

璃奈「うん、かすみとしずくも一緒。あと……何か生徒会の人が居た」

愛 「へえ……アタシは去年ロンドンだったから、今年は香港にしたよ」

愛 「美味しい物たーくさん食べるんだー」

果林「あら、偶然ね」

璃奈「何が?」

果林「私1年の時に香港で、2年はホノルルだったのよ」

璃奈「ああ……」

愛 「へーぇ! どっちも経験者だったんだ」

璃奈「銃声とか聞こえたりした? ホノルル」

果林「それはファイブオーの中だけよ……」

果林「でも、美味しいトンカツ屋さんはあったわ」

璃奈「え……ハワイまで行ってトンカツ?」

70名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:20:56 ID:9EV17tXc

果林「まあ、どっちも良い所よ。期待して損は無いかな」

愛 「おぉー今から楽しみだぜ」

愛 「……ぬふっ、それはそーと璃奈ァ(ねっとり)」

璃奈「(ゾワッ)ちょっと御手洗いに……」

愛 「このパターン前もやったぞー?」ガシッ

璃奈「ふぎっ」

果林(あ、まーたいつものが始まったわ)

愛 「いつの間にか遥とも仲良くなってんじゃーん? 学科も違うのにぃ」

璃奈「だ、だからなに。良いでしょ、わたしが誰と仲良くたって」

愛 「そーなんだけどさあ」

愛 「こうね? 璃奈に友達が出来ていくのは、まあ嬉しいんだけどね? まあ、なんつか……」

璃奈「…………」

愛 「何か寂しいぢゃん♥」クネクネ

璃奈「気持ち悪い」ズバッ

愛 「ぐうぅッ!?」

果林(無様ね)

71名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:26:11 ID:9EV17tXc

愛 「そ、それでさ、璃奈的には───」

果林「どうせ自分と遥ちゃんどっちが好き、とか言うんでしょ?」

愛 「……ねえ、アタシそんな分かりやすい?」

果林「少しは自分の言動を顧みなさい」

愛 「果林先輩にそれを言われるとは」

果林「何ですって」

璃奈「…………」ジトッ

愛 「あっ」

璃奈「…………」

愛 「…………」

愛 「どっちが好き?」シレッ

璃奈「遥」

愛 「ほげっ」ガーン

果林「見えてる地雷に突き進むのね……」

愛 「さ、寂しくなったら香港まで電話してイイヨー」グイグイ

璃奈「大きな御世話です」グググ…

72名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:26:42 ID:9EV17tXc

───同好会の健康優良児3人組


-月曜日-

しずく「あ、愛先輩! おはようございます」

愛  「ん? あ、おっはとぅーす」

しずく「はい! こんな所で会うのは珍しいですね」

しずく「……あれ、でも今日は朝練ありませんよね? 先輩も、この時間に登校するんですか?」

愛  「いや、いつもは今より遅いよ……それがさ」

愛  「昨日、都心全域で濃い霧が発生したでしょ?」

しずく「? ですね」

愛  「それの湿気で関節とか内臓が潤ったから、目覚めも動きもスムーズでさ」

愛  「もうギュインギュインって感じ」

しずく「───」

しずく「あ、そうなんですね」ニコッ

愛  「遠慮せずツッコんで良いんだよ」ニヤリ

しずく「そういうノリは誰にでも通じる訳じゃないんです」ニコッッッ

愛  「こわいっス……」

愛  (クソッ! アタシの後輩こんなんばっかだぜ!)

愛  (いや原因ほぼアタシだけども! だけどもだけど!)

73名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:27:05 ID:9EV17tXc

愛  「そういうシズは、いつもこの時間に来てるん?」

しずく「はい! わたし朝の4時半くらいには起きてますので……」

愛  「え……」

しずく「住んでる所が都心から距離あって……余裕を持って登校したいので、毎日その時間に」

愛  「───」

愛  「ねえシズって……いつも何時に寝てらっしゃるん」

しずく「え? ええと……基本、21時半過ぎるくらいには布団に入っちゃいますね」

愛  「おお」

しずく「それくらいが一番良い眠り方出来るので」

愛  「ひょええ、今時レアリティ高いこと。規則正しさの見本みたい」

しずく「……」ムッ

愛  「?」

しずく「御心配なさらずっ! 自分が古臭い事くらい分かってますよーだ! へっ」😠

愛  「え、な、何でお怒りなさるの……良い事じゃんそれは」

愛  「アタシなんか、いつも11時くらいだもん、寝るの」

しずく「先輩は逆に不健康過ぎます!」

愛  「へっ」😏

74名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:27:46 ID:9EV17tXc

菜々 「…………」

璃奈 「…………」

愛  「ところで、何でそこの2人そんな微妙な空気してんの?」

しずく「?」

璃奈 「いや……別に」

菜々 「誰か早くツッコんでくれないかなと……」

愛  「???」

しずく「???」

菜々 「天王寺さん見ました? マジなのですか2人は……」

璃奈 「……もうメンドい。わたしから行く」

璃奈 「あのね、2人とも」

愛  「おう?」

璃奈 「今どき高校生にもなって、12時までに布団入ってる方が珍しいよ」

菜々 「その通りです」

愛  「…………」

しずく「…………」

愛  「ええええええええ……? まぁーたまたー(笑)」

しずく「信じられない……璃奈さんが、そんな御冗談を……」

璃奈 「ねえ交代しようよ菜々先輩。無駄に腹立つんだけどこれ」

菜々 「も、もうちょっと頑張ってください……」

75名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:28:06 ID:9EV17tXc

愛  「え、なに? マジの本気で言ってんの?」

璃奈 「大マジだよ」

璃奈 「知らないけど、昭和の女子高生でも2人よりは遅く寝てたと思う」

愛  「うそお」

しずく「え、じゃ、じゃあ……一体2人は何時に……」

菜々 「普通は明けて半、特に遅い時だと2時近くに」

璃奈 「いつも1時過ぎ、遅くて2時くらい」

愛  「…………」←頭押さえてる

しずく「冗談ですよね……?」

愛  「いや……まあ、それが本当だとしてね? うん」

愛  「2人とも、そんなに遅くまで何してんの一体」

璃奈 「それは言えない」

菜々 「右に同じです」

愛  「何なんだようっ!」

しずく「私たちをからかって楽しいんですか!」

璃奈 「大真面目なんだけど……」

菜々 (世間的に見れば我々の方が不健康なのは間違い無いんですけどね、まあ)

76名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:28:31 ID:9EV17tXc

……………………

……………………

愛  「歩夢と部長に訊いてみたけど……2人とも12時過ぎだった……」

しずく「彼方先輩に訊いたら1時頃って返ってきた……ショックです……」

菜々 「かすみさんも1時頃ですって!」ドヤッ

璃奈 「果林先輩は早めだけど12時くらいには寝るって言ってる」

璃奈 「ほらね、これで証明された」

璃奈 「高校生にもなって、そんな規則正しい生活してる人は天然記念物なんだよ」

菜々 「そうですそうです!」

愛  「そうかなあ……」

しずく「納得いきません……うぅ」

菜々 「ね! エマ先輩もそう思いますよね!!」

エマ 「?」←8時半就寝

77名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:28:57 ID:9EV17tXc
今更だけどMate推奨

78名無しさん@転載は禁止:2021/06/18(金) 07:39:26 ID:OI.vAxxA
スレタイどゆこと?

79名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:21:02 ID:2KBBvsEU
>>78
最後の方に持ってくるつもりのネタに関することとだけ

80名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:21:17 ID:2KBBvsEU

───後日、栗原はるみのレシピ本あげた


愛 「あ」

璃奈「どしたの」

愛 「いやね? アタシ、料理出来るんだよ」

璃奈「……はあ」

璃奈(また何か始まったよ)

愛 「そんでさ、歩夢も菜々も一通り作れはする訳ね、料理」

璃奈「…………」

愛 「見たトコ、シズもかすみも出来そうだし───」

愛 「果林先輩もエマっちも出来る……意外や意外、カナ先輩は料理上手」

愛 「そんで部長も、何ならカナ先輩級に上手いっぽい」

璃奈「……御手洗い行ってくるね」スタスタ

愛 「さっき行ってたっしょー?」ガッシ

璃奈「は、離して痴漢! 良いじゃん別に! 1週間ピザ出前してたって!!」バタバタ

愛 「はっ?」

璃奈「はっ?」

愛 「ちょっと待てコラ思いもしない新情報来たんだけど?!」

璃奈「はっ!」

81名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:21:50 ID:2KBBvsEU

愛 「え、なに? 璃奈ん家、御両親が殆ど帰らないのは知ってたけど……」

璃奈「…………」

愛 「まさかガチで毎日ピザーラお届けな訳?」🍕💨

璃奈「ピザハットだし……だって料理なんてワケ分かんないんだもん」🍕🎩

愛 「マージか」

愛 「こないだのアレ(>>22)で何となくそーじゃないかって思ってたけど……」

璃奈「料理なんて出来なくたっていいもん……」

愛 「ふむ……」

愛 「よし、わかった」←矢部警部補のポーズ

璃奈「あ、結構です」

愛 「アタシ教えに行くから璃奈ん家の住所……ちょっと」

愛 「ねえ前から皆に言おうと思ってたんだけど、アタシのセリフ先回りするのやめよ?」

璃奈「やだよ(低音)。愛先輩にプライベート知られるなんて」ジト

愛 「そ、そんなストーカーに向けたみたいな声を……」

愛 「んーじゃあ璃奈がウチに……」

璃奈「わざわざ渋谷を通り越して巣鴨まで来いって?」

愛 「ぐぬぬ」

82訂正:2021/06/22(火) 04:23:49 ID:2KBBvsEU

愛 「え、なに? 璃奈ん家、御両親が殆ど帰らないのは知ってたけど……」

璃奈「…………」

愛 「まさかガチで毎日ピザーラお届けな訳?」🍕💨

璃奈「ピザハットだし……だって料理なんてワケ分かんないんだもん」🍕🎩

愛 「マージか」

愛 「こないだのアレ(>>49)で何となくそーじゃないかって思ってたけど……」

璃奈「料理なんて出来なくたっていいもん……」

愛 「ふむ……」

愛 「よし、わかった」←矢部警部補のポーズ

璃奈「あ、結構です」

愛 「アタシ教えに行くから璃奈ん家の住所……ちょっと」

愛 「ねえ前から皆に言おうと思ってたんだけど、アタシのセリフ先回りするのやめよ?」

璃奈「やだよ(低音)。愛先輩にプライベート知られるなんて」ジト

愛 「そ、そんなストーカーに向けたみたいな声を……」

愛 「んーじゃあ璃奈がウチに……」

璃奈「わざわざ渋谷を通り越して巣鴨まで来いって?」

愛 「ぐぬぬ」

83名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:26:53 ID:2KBBvsEU

───わたしは知ってる


男子A「うちの女子って、マジでレベル高いの多いよなぁ」

男子B「まあな。それに性格も良い人ばっかりだし……」

男子A「そこはまあ、あの人格適性検査の結果だからな」

男子A「俺達も一応、そこパスしてきた人間だぜ?」

男子B「はは、まあそうなんだけど」

男子A「俺が知ってるのだと……2年の宮下先輩なんか最高だな」

男子B「あー俺も知ってる。あんな外見でスッゲぇ優しくて、友達も多いらしいな」

璃奈 「…………」

男子A「良いよなーギャップあるってのは。まず人として憧れるわー」

男子B「人から聞いた話だけど、何か女子人気もエグいらしい。あの人」

男子A「あー解るかも、それ。男から見てもカッコいいもんな、シッカリしてるし」

男子A「俺も、もーちょいイケメンに生まれてたらなぁ……あんな人と飯食いに行きてぇわ」

男子B「な。でも宮下先輩も良いけど、俺は3年の───」

璃奈 「…………」

84名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:27:21 ID:2KBBvsEU

……………………

……………………

璃奈「こんにちはー」ガラリラ

璃奈「……って」

愛 「ゲッホゴホ、うおぇ……」🌈

璃奈「ちょ、何してんの先輩」

菜々「あ、天王寺さん」

璃奈「菜々先輩……なにこれ。何があったの」

菜々「わ、分かんないんです。ジュース飲んだと思ったら急に……」

璃奈「……」チラリ

コーラの缶「どーも」

璃奈「それってまさか……」

愛 「ちょっと前……メントス食べ、たの……忘れてた」

愛 「げほっ、えぼふっ」オエー

璃奈「やっぱり……愛先輩のオバカ」

菜々「え、え、どういう事ですか?」

璃奈「これはメントスガイザーって言ってね……」

愛 「説明は、いい、から……みず」ゲホッ

……………………

……………………

85名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:30:20 ID:2KBBvsEU

璃奈 「…………」ピクッ

璃奈 「…………」

男子A「?……な、なあオイ」

男子B「どした?」

男子A「何か……天王寺さん笑ってないか?」

男子B「は? 天王寺さんが?」

男子B「…………」チラッ

璃奈 「…………」

男子B「そうか? 別にいつも通り無表情だけど」

男子A「あれー……? 確かに笑ってたと思ったんだけどな」

男子B「気のせいだろ、きっと。あんま触れてやるなよ、気にしてるみたいなんだから」

男子A「わ、分かってるよ。んー……でもなぁ」

男子B「まあ良いじゃん。それより、朝香先輩と近江先輩が昨日さ……」

86名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:32:00 ID:2KBBvsEU

───初期の彼女はウィスパーボイス


-スクールアイドル同好会 部室-

愛 「こーんちはー! 歩夢もう来て……」

愛 「る……」

璃奈「?」

果林「あら、愛じゃない」

果林「あっそうそう、グッドニュースよ。ついさっき、部長君が1年生の子をスカウトしてきたの」

果林「こちら、情報科の璃奈ちゃん。割と入部に乗り気な感じよ」

璃奈「えと……こんにちは」ポソポソ

璃奈「1年の……てんのうじ、です」ポソポソ

果林「見て、可愛いわよね。まだ正式に入るかは分からないけど───」

愛 「…………」

愛 「…………」カタカタ

果林「……愛? どうかした?」

璃奈「?」オドオド

愛 「…………」カタカタカタカタ



愛 「 こ れ ア タ シ の ー ー ー ッ ! ! 」

 ガ バ ァ ッ !



璃奈「─────────」

果林「ちょ」

87名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:33:00 ID:2KBBvsEU
.



───キャアアアアアアアアアアアアアアアアアァ?!?!



.

88名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:34:28 ID:2KBBvsEU
愛 「ごめん、マジごめんて」ヒリヒリ…

璃奈「…………」←果林の背後に隠れてる

果林「あなた……どういうつもりよ。まして初対面の子に」

愛 「あんまり可愛くて……その、美味しそうだったもんで……」

璃奈「!?」ササッ

果林「愛!」

愛 「いや、ホントホント! 美味しそうは流石に冗談だけど、マジ反射的なの……」

愛 「こうね? 守ってあげたいなーと! そう背筋にビビッときてさ! 気付いたら身体が勝手に……ね?」

果林「ね、じゃないわよ。……アンタとは1年やってきたけど、付き合い方を改めるべきかしら」

愛 「ちょ! 悪気は無いんだって! ゴメンね? えーと、てんのうじ? さん?」

璃奈「……」[果林] _・`)チラッ

璃奈「てんのうじ……りな、です……」

愛 「リナね、おっけ。アタシ宮下愛、さっきは脅かして本当に……」

璃奈「へんなこと……しない?」ポソポソ

愛 (かっわ)

果林「愛!!」グアッ

愛 「まだアクションすら取ってないんだけど!?」

89名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:36:18 ID:2KBBvsEU

愛 「うーん……よし、もう決めた! 即決で決めた!」

果林「……一応、訊いておくわ。なにを?」ゴゴゴ

愛 「ごめん副部長、ちょっと声と顔と身長が怖いんだけど」

果林「身長は関係無いわよ。暫く私からアンタへの信頼は地の底だから、そのつもりで」

愛 「厳し過ぎる……」

愛 「と、とりあえず、決めたってのはね……璃奈のこと」

璃奈「ふぇ」ビクッ

愛 「そ、そんな怖がんないで……単に、アタシが璃奈の1番のファンになるって事だから」

璃奈「へ?」

愛 「璃奈の良さに最初に気付いたって事と、あと1番に熱心なファンって2つの意味でね」

愛 「そういう事だから! それに部員同士って意味でも、これからヨロシクね!」

璃奈「…………」

璃奈「よろしく……おねがいします」ポソポソ

愛 「おう!」

果林「……まあ、良しとするわ」

果林「でも言っとくけど、最初に璃奈ちゃんの良さに気付いたのは部長君よ」

愛 「……」ガクッ

果林「ちなみに2番目は部長君と一緒だった歩夢。私が3番目」

果林「あなた4番目よ」

愛 「う、うっせーやい! 話の腰を折るなし!」

璃奈(へんなひと……)

90名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:36:53 ID:2KBBvsEU

───そんなの憶えてなかったんだもん(璃奈談)


-豊島区巣鴨 和菓子屋美舟庵-

愛 「こんちはー! いつもの豆大福と月餅……を」

遥 「いらっしゃいま───」

遥 「…………」

愛 「…………」

愛 「んん、遥?」

遥 「え……あれ、愛先輩だ」

愛 「ん、んー? ここ美舟庵で合ってる? よね?」

遥 「ですけど……愛先輩もしかして、御実家は巣鴨に?」

愛 「う、うん。てか、何で遥がココに」

栞子「近江さん? お客さん来たの?」ガタ

栞子「って、ああ、愛さんですか。いらっしゃい」

愛 「栞子ちゃん……」

遥 「え、え? お2人お知り合い?」

愛 「え?」

栞子「え?」

遥 「え?」

愛 「…………」

愛 「……うん」

愛 「状況整理、開始!」✋

……………………

……………………

91名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:41:22 ID:2KBBvsEU

愛 「栞子ちゃんがウチの内部進学生で生徒会にいるのは知ってたけど……」

愛 「まさか遥まで生徒会に居たなんて知らなかったわー。彼方先輩ってば何も言わないんだもん」

栞子「ね、こんな所で繋がってるなんて思わなかった」

愛 「遥は今日どうして?」

遥 「あー、恥ずかしい話なんですけど、私ちょっと成績に不安があって」

栞子「“ちょっと”?」

遥 「あはは……それで、今日は昼前から明日の朝まで、ここで三船さんと勉強する事に」

愛 「明日の朝!? え、徹夜すんの!?」

栞子「徹夜は近江さんが言い出したの。私は反対したんだけど、聞かなくて」

愛 「大丈夫なんそれ……やる気あるのは良いけど、身体に悪くない?」

遥 「大丈夫ですよ! 徹夜は流石に今回だけのつもりです!」

遥 「それに、友達の家に来て勉強するのって何か楽しいですもん。きっと寝ようとしても眠れませんから」

栞子「……そう浮かれ気分じゃ勉強しても頭に入らないでしょ」

遥 「そ、そんな事ないよお。明日には一気に優等生だよ、わたし!」

愛 「まあ、本気でやるなら、後で少し昼寝でもしといた方が良いかもね」

92名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:42:53 ID:2KBBvsEU

愛 「で、いまは何してんの? 遥が店番してたけど」

栞子「いまは、お昼御飯が食べ終わったから少し休憩中」

遥 「三船さんのおじいさんが店の奥に居るんですけど、何か忙しいみたいで……」

遥 「折角だから、勉強見てくれる御礼で私が店番しよっかなーって!」

栞子「ほとんど立ってるだけだから私はいいって言ったんだけど」

愛 「へー感心だね」

愛 (何か理由つけて休憩にしたかったんだろうなあ)

栞子「愛さんは? 部活の帰り?」

愛 「今日は休み。実は一昨日、長野の親戚から桃が送られてきてさ」

栞子「桃?」

愛 「そーそー。で渋谷に住んでる別の親戚と、あと知り合いの所にお裾分けして……そんで帰ってきたとこ」

愛 「おばーちゃんも朝から人使いが荒いよね」

遥 「え、朝から渋谷に行って今まで……? 長くないですか?」

愛 「ちょっと、いろいろ手間取ってさ。思ってたより掛かっちゃった」

遥 「……?」

93名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:11:00 ID:EeysCLwI
栞子「まあいいじゃない。豆大福と月餅だよね、ちょっと待ってて♪」

栞子「ええと、何個ずつ?」

愛 「あー……いつもと同じ分と、あと月餅の方は余分に2個ちょうだい。あと供え物用の落雁も貰える?」

栞子「はーい(高音)。……近江さん、その棚にある“落雁”って書かれた箱1つ取って(低音)」

遥 「あ、うん……」ゴトゴト

遥 「らくがん……コレだよね。はい」

栞子「ありがと(低音)。じゃあ愛さん御会計しちゃうね(高音)?」

愛 「はいよー」

……………………

……………………

栞子「はいっ! 50円お釣りね(高音)」

愛 「はい、ありがとー」

遥 「……うーん」ジロジロ

栞子「……近江さん、さっきからどうしたの? ジロジロ見て」

遥 「え、あ、ごめん……」

遥 「いや気のせいかもしれないけど何か……三船さん声が」

栞子「は?」

遥 「その……話す時ね、私と愛先輩とで声の感じが違うなあ、って思って」

愛 「あ、それアタシも思ったわ」

遥 「ですよね!」

栞子「…………」

栞子「何の事か全然……」

遥 「Oh, 無自覚!」

愛 「ははは」

栞子「?」

94名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:11:34 ID:EeysCLwI

愛 「アタシと話す時と、遥と話す時とで、栞子ちゃんの声の高さが微妙に違うって話だよね」

遥 「そうです! そうなんですよ!」

遥 「愛先輩と話す時、三船さん何か優しそうな話し方だよ! わたしと話す時つっけんどんな感じなのに!」

遥 「何でなの三船さん!」

栞子「……」

栞子「ああ……そういう。やっと分かった」

栞子「別に、近江さんを軽んじてるつもりはないの。単に付き合いの長さの差が表れただけでしょ」

遥 「えー! なにそれぇ!?」

栞子「うるさいんだけど……」

愛 (何か、普段の果林先輩とカナ先輩のノリに似てる気がするなぁ)

愛 (……何だろ、この違和感)

遥 「ぬぎぎ……何か悔しいぞ。わたし三船さんの一番の友達のつもりだったのに」

愛 「あっはは、まあ栞子ちゃんと遥も、暫く付き合ってれば自然と柔らかい感じになれるよ」

遥 「で、ですよね! きっと三船さん、わたしにも柔らかくなってくれますよね!」

栞子「そのためにも早く成績で私を安心させて。虹学の生徒会が、その辺り厳しいの知ってるでしょ」

遥 「くぅーん……」🐶

愛 「大丈夫だって。栞子ちゃん案外、人見知りが長いタイプだからね。時間が解決してくれるよ」

栞子「人見知りなんかしてない!」

95名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:12:46 ID:EeysCLwI

愛 「で、そもそも2人が知り合ったのって?」

遥 「三船さんと初めて会ったのは入会面接の時ですね」

愛 「あ、そっか。うちの生徒会、面接に通らないと入れないんだっけ」

栞子「はい。でも本当、何であの体たらくで2人とも受かったのか不思議で不思議で……」

愛 「え、どゆこと?」

遥 「入会希望者同士でグループディスカッションもするんですけど、その時にちょっと」

栞子「近江さん、最初から最後までトンチンカンな事ばっかり言ってて、私ずっとフォローに回る羽目になって」

遥 「だ、だってー……わたしサンドイッチの話だとばかり……」

愛 「サンドイッチ????」

栞子「それは“BLT”でしょ!! “LGBT”も知らなくて、よく虹学に受かったわね本当!」

愛 「……遥ぁ、もしかして入学試験から燃え尽きてない?」

遥 「そ、そんな事ないですぅー!」

栞子「それだけじゃない! 活動始めてからも、あなたパソコンすら碌に使えなくて、結局は私が教える事になって!」

遥 「す、スマホで事足りてたんだもーん!」

愛 「大丈夫かよ遥ぁ? これはカナ先輩に報告案件かな」

遥 「やめてくださーい!」

96名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:13:49 ID:EeysCLwI

愛 「はは、何か2人の新しい一面がザクザク出てくるなぁ」

愛 「でもアタシ的には、遥ちゃんが採用された理由も分からなくないけどね」

栞子「何でですか……」

愛 「組織には必要なんだよ。そういう、ムードメーカーっていうか……空気を堅くなり過ぎないように出来る人が」

遥 「そ、そうだよ三船さん! わたし生徒会に欠かせない要素なんだからね!」

栞子「そのムードメーカーさんは、エクセルのショートカット一覧そろそろ覚えられた?」

遥 「ぱ、パソコンの話はヒキョーだぞ!」

愛 「あははっ! まあ何にせよ、あの栞子ちゃんにも良い友達が出来て嬉しいよ愛さん……」

栞子「“あの”って……」

愛 「よっしゃ、そんなの見せられたら、これをあげない訳にいかない!」ガサッ

愛 「頑張る2人に翼を授ける!」🐥

遥 「へ?」

97名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:14:53 ID:EeysCLwI

遥 「な、何ですかこの袋」

愛 「差し入れ! 本当は自分用に買った物だけど、特別に2人にあげちゃうぜ!」

栞子「あー……」

遥 「え!? い、いいですよぉ! 先輩にそんな……」

栞子「近江さん、気にしないで。ありがたく貰っておきましょ」

遥 「ほえ?」

栞子「愛さん、昔からそう。……何かあると、すぐ食べ物とか渡してくる癖があるの。親戚のおじさんみたいでしょ」

遥 「へ、へえ……」

愛 「ひでぇ言われようだな。まあそーゆーことだから、遠慮せず受け取りなはれ」

愛 「はいどーぞ! エナドリと、少ないけどお菓子が入ってるよ! 駅前のセブンで帰りに買ってきたんだ!」

遥 「じゃ、じゃあ甘えさせてもらって」

愛 「おう! あ、見てみ? 偶然だけど栞子ちゃんの大好きなやつ入ってるよ!」

栞子「えっ�� なになに?」ガサガサ

遥 (いまの三船さん、生徒会の皆に見せてみたい……)

愛 「あ、レッドブル3本入ってるから1本返してね。2人で1本ずつ飲んで」

栞子「うん」ガサガサ

栞子「それで他には……」

栞子「え」

遥 「何なの? 三船さんの好きなの、って」

遥 「え」

98名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:20:44 ID:4lkEG.iQ
遥 「こ、これは……」

栞子「あ……あ」


https://i.imgur.com/hUk3WRd.jpg


遥 (〇ン〇ン〇ンの……ペロペロチョコ……)

愛 「どやっ」

栞子「な……なぁ……」アワアワ

愛 「いやあ、たまたまコンビニで見掛けて、つい懐かしくなっちゃってさあ」

愛 「栞子ちゃん、前それあげたら凄い喜んでたし、好きだよね!」

栞子「……は、はい」ヒキツリ

栞子(それ年長の頃の話ィイイイ!!)

愛 「うん! 何本かあるから、良ければ遥も食べてねー」

遥 「は、はーい……」←苦笑い

遥 (どう反応すれば模範解答なのこれ)

愛 「あっと、そろそろ時間かな……」

愛 「じゃ、また学園でね。ティ・アーモ♪」

……………………

……………………

99名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:21:23 ID:4lkEG.iQ

遥 「ありがとうございましたー」

遥 「えーっと」チラッ

栞子「……」

遥 「その、何て言えば良いか……愛先輩ってスゴい人だよね、いろんな意味で」

栞子「……うん」💀

遥 「…………」

遥 「にしても……三船さん、これ好きだったんだ。意外かも」

栞子「い、いいでしょ! それ5歳の頃の話だもん!!」カァァ

遥 「悪いなんて言ってないよお。三船さんの新しい一面じゃん、良いと思うよ」

栞子「もおおおぉ恥ずかしいぃぃ! 何であんな、おばあちゃんみたいな事するのっ! 愛さんのバカ!」

遥 「三船さん可愛いよー」

栞子「可愛くないっ!」

遥 「あははっ、可愛い可愛い」

栞子「ああいう唐突に変なことするの昔から変わらないんだからっ! ほんと勘弁してほしいんだけどっ!」

遥 (ふふ……そう言ってても、何か嬉しそうなのは気のせいかな)

遥 (にしても三船さん、学校でもそんな感じでいればいいのに。きっと今の比じゃないくらいモテ始めるよ)

遥 「あ、美味しい……」ペロペロ

栞子「もうっ!」

100名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:22:11 ID:4lkEG.iQ

愛 (ふっふーん♪ 今日は気分良いぜ)

愛 (にしても意外な組み合わせがあるもんだ。彼方先輩、遥の事ちょっと心配してたけど上手くやれてるじゃん。良かった良かった)

愛 (いやあ、それにしても璃奈ん家はデカかったなー)

愛 (近所の人に訊いて回って、見つけるの随分掛かったけど……へへっ! 璃奈、喜んでくれてるかな)

愛 (さーて、帰ってゲームしよ。昨日は少佐が死んじゃってヘコんだけど……今日こそ全クリアするぞー!)

愛 (……)

愛 (分かった、さっきの違和感の正体。デジャブだ)

果林先輩とカナ先輩

栞子ちゃんと遥

歩夢とアタシ───

愛 (似てるんだわ。この3組の関係性)





.

101名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:24:06 ID:4lkEG.iQ

プルルルルルル……ガチャ

部長「はい制作部……あ、天王寺さん? 珍しいじゃん、この番号に」

部長「え? ……うん、どした?」

部長「……は? 帰ってきたら玄関に……変な袋?」

部長「ちょ、ちょっと待って」ガタッ…ゴソゴソ…

部長「はい、いいよ。うん……宛名は無し……“1番のファン”とだけ(……ええ、ヤバ)……うん」メモメモ

部長「宅配便の伝票も無く、ドアの前に……筆跡は男か女か分かり辛い……うん」メモメモ

部長「見るからに怪しいな……ちなみにだけど、同好会で天王寺さんの住所を知ってるのは……」

部長「あ、今んとこ誰にも教えた憶え無い……? そう、か」

部長「……」

部長(自宅が特定されてる……? 考え過ぎて悪い事は無い、よな)

部長「とりあえず、一応これから部員に確認するから。絶対に触らないで、そこに放置ね」

部長「うん、大丈夫。怖いと思うけど、危ない目には遭わせないから安心して」

部長「じゃあ、暫く家の中で動かないでね。もし何かあったら躊躇わず通報して。また後で掛ける」

ガチャン……





───このあと愛先輩は、事情を知った歩夢先輩から絞られた

102名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:28:01 ID:4lkEG.iQ
また今度ね

103名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:17:18 ID:r.At8cz6

───当作に百合はありません


歩夢「愛ちゃんが本気で怒ったこと?」

歩夢「あー……そういえば無いなあ全然」

歩夢「まあ、わたしが憶えてる限り、1度だけあるにはあるんだけどね」

菜々「え、たった1度だけですか?」

歩夢「うん、性格通りというか、怒ったり人と喧嘩したりするの苦手みたいで」

菜々「性格通り……?」

歩夢「普段ああだけど、繊細な所もあるんだよ」

菜々「……こないだ、教室に出たカナブン素手で外に放り投げてましたよ?」

歩夢「“たまには”繊細な所もあるんだよ」😅

菜々「愛さんって中学時代からああいう……その、豪快というか、空気読めないというか、みたいな感じだったんですか?」

歩夢「そうだね。わたしも中学より前の愛ちゃんは知らないけど、まあノリで生きてるのはその時からそうだったよ」

歩夢「……あーでもまあ、前の方が、ある種の落ち着きはあった方だと思うけどなあ」

菜々「そうなんですか? こ、高校に上がって悪化してると」

歩夢「思春期補正(?)じゃないかな」

.

104名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:19:21 ID:r.At8cz6

歩夢「昔と変わったのは、愛ちゃんより寧ろわたしの方なんだよね」

菜々「歩夢さんが?」

菜々「あれ、そういえばなんですけど、歩夢さんって中学の頃は何部に入ってたんですか?」

歩夢「わたし? あー……わたしはね」

菜々「部長さんは確かダンス部で……愛さんはバスケ部でしたっけ? 歩夢さんだけ聞いてなかったですね」

歩夢「……わたしね。それが……書類上は料理部にいたんだけど」

菜々「おお料理部! 良いですね、イメージぴったりですよ。お似合いじゃないですか」

歩夢「ありがと。でも、ぶっちゃけ殆ど幽霊部員みたいなものでさ」

菜々「えっ? ゆ、ゆーれい……何ですか?」👀❓

歩夢「籍だけ置いてて、普段は活動に来ない人の事をそう言うの」

菜々「そ、それって要するに……」

菜々「うん。驚くかもしれないけど、わたし3年間で部活動に参加した事なんて、片手の指で数えられるくらいしか無いんだ」

菜々「───ええっ!? まさかの歩夢さん不良路線ですか!?」

歩夢「ち、違う違う。まあ先生達からしたら不良に見られてたかもしれないけど……」

菜々「いや驚きました。どうしてそんな……」

歩夢「実は、ね、わたし……簡単に言うなら対人恐怖症みたいな感じで」

菜々「は?」

歩夢「昔は本当に人と話せなかったんだ。家族とか昔から知ってる人以外だと、同性とも」

菜々「えええ!? 嘘ですよ!」

.

105名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:19:54 ID:r.At8cz6

.


先生「じゃあ、次の段落を始めから“兵十がひとりごとをいいました”の所まで……」

先生「あー、上原」

歩夢(片目隠れ)「!!」ビクッ

先生「どうだ、読んでみるか?」

歩夢「あ、え、そ……えと」

部長「歩夢、無理そう?」ヒソヒソ

歩夢「! う、……が、ん、ばる……って、みる」ヒソヒソ

歩夢「大丈夫です……よみ、ます」ガタリ

先生「! そうか!」

  ざわ… ざわ…

    ざわ… ざわ…

先生「静かに! じゃあ上原、落ち着いて読んでくれ」

先生「もし駄目そうなら、無理する事はないからな」

歩夢「はい……」


.

106名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:20:42 ID:r.At8cz6

.


女子「上原さ───」

歩夢(片目隠れ)「ッアい!? あ、」ビクビクッ

女子「……大丈夫?」

歩夢「あ、ふぇ……は、い」

女子「…………」

女子「えーと、ね。今度、インフルの予防接種あるじゃん? その問診票なんだけど」

女子「上原さん、まだ提出してないでしょ?」

歩夢「あえ」

歩夢「あっ、……あ、うあああ!?」ガタッ

女子「待った落ち着いて別に怒ってるワケじゃないから」

歩夢「ごっ、ご、ごめ、なさ」オロオロオロオロ

女子「大丈夫だから! あーも……新しい用紙もあるから! 明後日までに書けば大丈夫なの!」

歩夢「あ、あえあ……ちが、あわあ……ご、ごめんなさい違うんですごめんなさい───」

女子「あーもー……ごめん五十嵐ちょっと来て!」


.

107名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:22:20 ID:r.At8cz6

菜々「いや誰ですか今の」👆😓

歩夢「わたしわたし」👈😁

歩夢「ちなみに確か小4くらいの頃ね。教科書の時は、最後まで噛まずに読めて、拍手起こったよ」

菜々「そっ、え、嘘でしょ!? そんな高レベルな対人恐怖症ですか!?」

歩夢「ふっふ、ビックリするでしょ」

菜々「何でちょっと誇らしそうなんですか……」

歩夢「幸い、理解ある人も沢山いたから、嫌な事されたりはなかったけど、本当に仲の良い友達は殆ど出来なかったなぁ」

歩夢「流石に中学上がる頃には大分マシになったんだけどね。それでも先輩後輩の関係は荷が重くて……」

菜々「な、なるほど……で、良いんですかね? まあ中学の上下関係がキツいのは分かりますが」

歩夢「だから、出来れば帰宅部になりたかったんだけど、校則で部活は何かしら入らないといけないから───」

歩夢「うん、とりあえずで入部届を書いただけっていうか……えへへ」

菜々「可愛く言ってますけど何か不良の気配を感じますよ!」

歩夢「違うもんわたし不良じゃないもん……成績は良い方だったもん」

菜々「えええー、でも意外ですね。歩夢さんの新しいキャラ発掘しちゃいました」

歩夢「黒歴史ですー」

菜々「あ、そうだ。歩夢さんが良いなら、今度の生放送でカミングアウトするのどうです? ファン増えるんじゃないですかね!」

歩夢「あざと過ぎてウケないよ、きっと……」

菜々「そうですか?」

歩夢「そうだよ……」

.

108名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:23:10 ID:r.At8cz6

歩夢「で、中学に上がって、最初の頃の璃奈ちゃんくらいまで改善したんだけど」

菜々「それ大幅改善じゃないですか」

歩夢「成長だよ成長。ココロもカラダも健やかに」😏

歩夢「愛ちゃんと仲良くなったのは丁度その頃だったね」

菜々「ここで愛さんですか……」

歩夢「うん」

歩夢「わたし達の通ってた私立中学なんだけどね、評判は都内でも良い方なんだけど……わたし達が入った年は、そういう、ちょっと嫌な人達のグループが一緒に入ってきてて」

菜々「…………」

歩夢「その人達、よりによってわたし達のクラスにいてね……」

歩夢「“わたしは幸い大丈夫だったんだけど”、そういう気弱な人とかを脅したり意地悪したりしてたの」

菜々「! ……虐め、ですか」

歩夢「うん、簡単に言えばね。菜々ちゃんごめん、これあんまり人に言わないでくれると嬉しいかも」

菜々「い、言いませんよ絶対! 約束です!」

歩夢「ふふ、ありがとっ。……だからね、入学してから暫く空気の悪い時間が続いたんだ」

歩夢「そんな時に、同じクラスにいた愛ちゃんが……ふふ、あの時の愛ちゃん、本当にカッコ良かったなぁ」

菜々「本気で怒った、と」

歩夢「そういう事」

.

109名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:24:05 ID:r.At8cz6
歩夢「愛ちゃん、その虐めの主犯の人達とも仲良い方だったんだけど……」

歩夢「だからこそね、自分と交流ある人達が、そういうヒドい事をしてるのが、悲しくて、許せなかったんだと思う」

菜々「……それで、どうなったんです? クラスは」

歩夢「もう最悪。それまでクラスの中心に近かったのに、今度は愛ちゃんが仲間外れみたいになるし、クラス内の会話も激減するし」

菜々「学級崩壊って感じですか……」

歩夢「そこまでじゃなかったけど、まあ崩壊始まりくらいには」

歩夢「それでも愛ちゃんのおかげで、クラスの実態とかが先生達にも知れ渡って、とりあえず虐め自体は治まったけど……」

歩夢「その1年間は、もう最高に空気悪かったよね。先生も、わたし達を腫れ物みたいに扱ってた」

菜々「そう、ですか……それで、お2人はそこから、どうやって愛さんと?」

歩夢「ふふん……実はね、孤立し掛けてた愛ちゃんに、わたしの方から話し掛けたんだ」

菜々「!?」

菜々「えっ、あ、歩夢さんの方から!?」

歩夢「正確には、わたしが言い出して、それに賛成してくれた彼と一緒に、だけどね」

菜々「いや、いやいや! それでも凄いんじゃないですか!? 大成長ですよ歩夢さん!」

歩夢「えへ、彼にも驚かれちゃった。話し掛けてみようよって言ったら、目まん丸にしてたなぁ」

菜々「いやあ、それはそうなりますよ……だって小学生の頃と比べたら……」

歩夢「まーね」ドヤッ

.

110名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:25:13 ID:r.At8cz6

歩夢「仲間外れにされてから、ちょっとだけ愛ちゃんも腐り掛けてる感じだったんだけど、わたし達と話し始めてから暫くしたら、またいつもの調子を取り戻せてたみたいだった」

菜々「歩夢さんのおかげ、という事ですね」

歩夢「そんなそんな」😳

歩夢「わたし最初、愛ちゃんを見てね、本当にビックリしたんだ。いまの世の中に、こんな人前で堂々と物を言える子が居たんだなって」

歩夢「わたしみたいに会話にも苦労する人がいる中で、あんな立派な事が出来る人もいる。それが……何か悔しい気がして」

菜々「そこで尻込みしない所、歩夢さんの良い所だと思いますよ」

歩夢「あはは……そう考えてたら、何となくわたしも、愛ちゃんみたいな人に近付いてみたいなって自然と思えたの」

菜々「良い話ですね……」

歩夢「まあ実際に付き合ってみたら、知っての通り大概オバカだったんだけどね」

菜々「ま、まあまあ、この際それは置いておきましょう」😅

菜々「愛さん、確かに変な部分もありますけど……そういう熱い所は変わってないんですね」

歩夢「……うん。あの時の愛ちゃん、本当にカッコ良かった」

歩夢「もし男の子だったら……ちょっと良いかもって思っちゃうくらい」

菜々「ええー(笑) それ部長さんが聞いたら泣いちゃいますよ……」

歩夢「大丈夫だよ(笑) 彼、案外そういうの気にしないから」

歩夢「わたし最初、愛ちゃんの事は、誰にでも馴れ馴れしい人くらいにしか思ってなかったけど、付き合ってみると、人として大切な事っていうのかな。そういうのを、よく知ってる印象が出てくるの」

歩夢「だから……そういう所は、わたし尊敬してる。愛ちゃんの事」

菜々「───」

.

111名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:27:07 ID:r.At8cz6
.



    「2人とも迷惑かけて、ホントごめんね」



.

112名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:27:59 ID:r.At8cz6

菜々「……ええ、そうですね。私も何となく分かる気がします」

歩夢「そう?」

菜々「はい。友達が多いのも、そういう愛さんの誠実な部分の賜物なんですよね、きっと」

菜々(3人のこういう関係、ちょっと羨ましいなぁ私……)

……………………

……………………

歩夢「で」

歩夢「その後は徐々にオバカに浸食されて、わたしの対人恐怖症はグングン治りました♪」😁✌

菜々「き、急に台無しにしてきた!?」💦

歩夢「今ではこの通り逞しく生きてます! 上原歩夢をヨロシクね」

菜々「さっきの回想と落差がヒドい! 最早ポケモン的な進化を疑いますよ! 何があったんですか!?」

菜々「この数年どんなに濃い時間すごしてきたんですか!」

歩夢「それはもう、チーズ特盛り濃厚でハイカロリーな毎日でした」

菜々「胸焼けしそうです!」

エマ(さっきから大声で何してルんだろ)

.

113名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:28:50 ID:r.At8cz6

.


歩夢「…………」

歩夢(ごめん菜々ちゃん……ちょっとだけ嘘ついた)

歩夢(でも許してほしい。例え菜々ちゃんでも……自分が虐めの標的にされていた過去は伏せさせてもらいたい)

歩夢(まだ少しだけ、わたしは過去に縛られているから。そういう過去を人に知られるのは、少しだけ怖いから)

歩夢(だから───ごめんなさい)


.

114名無しさん@転載は禁止:2021/08/21(土) 00:03:54 ID:GPt5m7/Y
いい話だ

115名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:40:54 ID:Ad0Bd5LM
>>114
ありがとう
励みになります

116名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:41:07 ID:Ad0Bd5LM

───璃奈の避難所


カタカタカタ…

制作部B「衣装の進捗確認メール来てます?」

制作部A「(カチカチ…)や、まだっぽい。遅れてるみたいだわ」

制作部A「一応、途中でも進行状況は送るように言っておく」

制作部C「ごめん、その辺りにハサミ無い?」

制作部E「ホワイトボードんとこに掛かってるよ。あー部長、NK1仕上がりどうです?」

部長 「もうラストスパートに入ってる。この分なら、今日の活動内には何とか仕上がるわ」

制作部E「ナイス! このペースなら間に合いそうですね」

   ガー…ガー… カチカチ… カタカタカタ…

      カリカリ… ガチャガチャ… ガー…ガー…

制作部D「忙しい所すいません部長、今度の文化祭配信なんですけど───」

部長 「何かあった?」

制作部A「あー……コピー用紙が切れてるわ スーパーホワイト在庫まだある?」

制作部E「それならロッカーに……無いな。ちょっと印刷室で借りてくる。待ってて」

制作部D「という事なんですけど」

部長 「あー……そうなると枠自体を入れ替えなきゃならなくなるかも」

制作部D「じゃあ、いっそ1年枠を最後に回しますか……? んーでもそれだと───」

制作部C「ラミネーターは……あった。ちょっとコンセント1つ使うわ」

制作部B「部屋の端のが空いてるから、そっち使って」

璃奈 「…………」Zzz

.

117名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:41:37 ID:Ad0Bd5LM

-制作部-

歩夢「はい、お茶だよ」🍵

部長「ん、サンキュー。助かる」

歩夢「それで、さっきから気になってたんだけど……璃奈ちゃん何してるの? こんな所で」

璃奈「…………」Zzz

部長「ああ」ズズ…

部長「何かちょっと前……半月前くらいかな。フラッとここに来て、ここで休憩しても良いか、みたいな事を言ってきたんだよ」

歩夢「休憩? ここで?」

部長「そう。んで以来、昼休みは大体ここで昼寝してる」

部長「俺も気になって、それとなく訊いてみたんだけど……何か、俺達の作業してる環境音が最高に落ち着くらしい」

歩夢「えぇ……?」

歩夢「───」👂

歩夢「これが?」

部長「俺と同じ反応してら」

歩夢「いや(笑)だって、気が散るじゃん……」

部長「親父から聞いたんだけど、あんま静か過ぎると逆に落ち着かなくなる人もいるんだと。音楽掛けないと眠れなかったり」

歩夢「そうなの?」

部長「職場でも、特に事務方の仕事してる人に多いらしい」

歩夢「へ、へぇー……璃奈ちゃんも何かやってるのかな」

歩夢「何にしても、ちょっと変わってるね」

部長「な、変わってるよな」ズズ…

歩夢「まあ、とりあえず」

部長「?」

歩夢「1つ言えるのは、これ愛ちゃんには教えない方が良さそうだって事だよね」

部長「余さず同感だわ」

.

118名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:42:17 ID:Ad0Bd5LM




愛 「何か最近……昼に璃奈と会ってない気がするんだよなあ」

エマ「? 璃奈ちゃん、最近は制作部に顔を出しテルよ?」

愛 「え、何で」

エマ「さあ?」



.

119名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:42:37 ID:Ad0Bd5LM

歩夢「皆、熱心にやってるね。いま昼休みなのに」

部長「入試前に頑張った甲斐ありだよ。報酬も充分に出してるからな」

部長「始めたら何かしらデカいトラブルも起こると思ってたけど、今の所は割と上手くやれてる」

歩夢「このペースなら、来週の全体新曲も出来そう?」

部長「おかげさまで何とか。本当に有難い限りだよ」

部長「皆の力あって、こうして2年目も順調に出来てる」

歩夢「感謝しないとね」

部長「いつもしてるよ。勿論、歩夢達にも」

歩夢「どーいたしましてー♪」

歩夢「ふふ……」

制作部A「爆発しろ」ボソッ

制作部B「おいやめろって……」ヒソヒソ

.

120名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:43:11 ID:Ad0Bd5LM
璃奈「…………」Zzz

歩夢「さ、そろそろ時間だし、璃奈ちゃん起こさないとね」

歩夢「にしても、そっちは璃奈ちゃんいて気が散ったりしないの?」

部長「いや……作業効率が落ちてるとかは無い」

部長「寧ろ逆だよ。皆、女の子が居るってんで余計に気合い入ってる。寝息は聞こえるけど、別にうるさい訳でもないしね」

歩夢「な、なるほど」

歩夢「…………」

歩夢「ねーねー」

部長「?」

歩夢「わたしがいたらさ……もっとモチベーション上がる?」

部長「上がるんじゃないの? 皆、良くも悪くも素直だから」

歩夢「……」

部長「……」

部長「な、なに」

歩夢「いや……あなたは?」

部長「俺……? いや俺は……」

部長「……ノーコメント」

歩夢「は?」👹

部長「ブチ上がるに決まってんじゃーん」😅

歩夢「ふふん」

制作部C(爆発しろ)

制作部D(爆発しろ)

制作部E(爆発しろ)

璃奈  (バルス)

.

121名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:44:00 ID:Ad0Bd5LM

───兄2人と姉1人もいます


かすみ「そういやアンタ、そろそろ誕生日だよね?」

弟  「んあ? あーそうだっけ」

かすみ「そうだっけって……記念すべき小6の誕生日でしょ。そろそろ大人の仲間入りだぞ?」

弟  「いつもと変わらねーだろ別に。どうせ夕飯が気持ち豪華になるだけだし……」

かすみ「んっふー、そんなこと言って良いのかなー? 折角だから、お姉ちゃんプレゼント用意してあげなくもないけど」

弟  「え、マジで? ……いやでも、どうせ自作のパン寄越してくるオチ……」

かすみ「いやいやあ、1万円までなら金掛けてあげなくもないよ? 12歳は結構な節目なんだから」

弟  「……いや、別に金は掛けてくれなくてもいいし。気持ちだけで」

かすみ「おお? ほーん、子どものくせに生意気なことを……」

弟  「うるせえっ。姉ちゃんだって子どもだろ!」

かすみ「あははっ♪」

.

122名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:44:33 ID:Ad0Bd5LM

かすみ「じゃ何が欲しいの。まさか要らない訳ないよね?」

弟  「そりゃまあ貰えるなら……。欲しい物もあるっちゃある、けど」

かすみ「言ってみ、ホラホラ♪ お姉ちゃんに出来るなら何だって良いよ?」

弟  (…………)

弟  「じゃあ……貰ってきて」

かすみ「ん?」

弟  「だ、だから……サインが欲しい。姉ちゃんトコの人の」

かすみ「わたしのトコ……あ、同好会の人の!?」

弟  「声デケーって!」

かすみ「へえ、へええー。まさかアンタがね」😁

弟  「なんだよ……そういうの駄目なのか?」

かすみ「あ、いや別に構わないけど。……うん、規約的にはセーフだね」

かすみ(寧ろ素直に嬉しいし。でもまさかコイツがね……ませてるなあ)

かすみ「……それで誰のサイン? え、もしかして全員分くれとか」

弟  「そんなに欲張るつもりねーよ流石に。……その」

かすみ「ん?」

弟  「みやし」

かすみ「待って」

弟  「…………」

.

123名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:44:56 ID:Ad0Bd5LM

かすみ「ごめん待って、ちょ待って」

弟  「な、何だよ……」

かすみ「いま誰の名前を言おうとした? みやし?」

弟  「うう……」

かすみ「って来たら1人しか居ないよね? まさか愛先輩なの?」

弟  「……そ、そうだよっ! おれ宮下愛ファンなんだよ悪いかよ!」

かすみ(えぇぇエぇ絵ぇェぇェえエ江ぇエぇ得ェえエぇ絵エ江ぇエぇえーっっ)

弟  「分かってんだよ! 高望みやめろとか言うんだろッ! でも仕方ねーよ、ファンなもんはファンなんだから!」

かすみ(なんということでしょう)

弟  「何で頭抱えてんだよッ」

かすみ「いやあの、あのね? ちょっと厳しいこと言うんだけども」

弟  「どうせオレに宮下愛は勿体無いから乗り換えろとか」

かすみ「いやちがっ! そうでなくてね!」

かすみ「単に……その、理想くらい高く持った方がいいよって言おうと思って……みたいな」

弟  「……わけわかんねーんだけど」

かすみ(ぬぐうううぅ!)

.

124名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:45:22 ID:Ad0Bd5LM

↓↓ここから中須の思考概略↓↓

わかってる……誰のファンになろうが当人の自由って事くらい……そんなの百も承知

でも駄目なの! 姉として複雑過ぎるの! よりによって愛先輩が“推し”だなんて!

あの人はファンに見せてる姿と普段の姿じゃ、日本刀と丸めた新聞紙くらい差があるんだよ!

仮の話、愛先輩にサインを頼んだら……あの予測不可能者の事だもん、“特別に会ったげるよー♪”とか言い出す可能性も!

もしそうなったら、12歳の少年をアレに直面させるのは酷過ぎる! かすみん上手く捌き切る自信無い!

もしかしたら奇跡的に空気読んで、カッコいいままの愛先輩でいてくれるかもしれないけど……

ぶっちゃけ! 愛先輩が愛先輩でいる以上! どう転んでも不安は消えない(辛辣)! 弟の夢は姉が守る!

↑↑思考概略以上(この間4秒)↑↑

.

125名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:45:47 ID:Ad0Bd5LM

弟  「……なあなあ、もしかして姉ちゃんも宮下愛のファ」

かすみ「冗談でもやめてくんない?」

弟  「ん?」

かすみ「何でもない」

弟  「……え、いま何か」

かすみ「わたしの事はいいの! それよりサインだよサイン!」

弟  「姉ちゃんに出来るなら何でも良いんだろ? 宮下愛にサイン頼んできてよ」

かすみ「そ、それだけは」

弟  「何なんだヨさっきから!」ガーッ!

かすみ「あはは……」

かすみ「あー、じゃ2番目! 2番目にファンの人にしよっか! ね!? 悪いことは言わないから!」

弟  「ふざけんなー! ……なあ、何でそんな必死なんだよ。姉ちゃん変だぜ、何かキモいんだけど……」

かすみ「い、いいから! 愛先輩は……えーと、そう! 厄介なファンが多くて!」

弟  「厄介な……?」

かすみ「そ、そう! 最早ストーカー紛いの! だから本人もウンザリしてて!」

かすみ「特に最近はサインとかそういうの、あまり乗り気じゃなくなってるっていうか……」

かすみ「ほらその、書いてはくれるだろーけどね? 同じメンバーとして、サイン頼むのも気を使っちゃうというか、そのー……」

かすみ「えへっ」

126名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:46:10 ID:Ad0Bd5LM

弟  「───」

弟  「……姉ちゃん」

かすみ「は、はい?」

弟  「嘘が下手すぎる」👉💥

かすみ「をえ゙」😨

弟  「誤魔化すのも下手すぎる」👉💥

かすみ「うぐぅ……」😵

弟  「ついでにパン以外の料理も下手過ぎる」

かすみ「関係ないわそれは!」

弟  「俺にそんなの通じねーぞ。何で嘘つくんだよ、コソコソなに企んでんだ?」

かすみ「た、企みなんてそんな」

弟  「あるんだろ?」

かすみ「ぐぬ……」

弟  「やっぱね。分かりやすい姉で助かるわー」

かすみ「うぎぎ……」😡

かすみ「う、うるさーい! 子どもの癖に口答えすんなっ!! とにかく愛先輩はナシ!」

弟  「…………」😒

かすみ「な、何だよその目はっ」

弟  「別にぃ? また出たと思って。姉ちゃん負けそうになると、いつも勢いでゴリ押ししてくる」

弟  「悪い癖だよ」

かすみ「う、うるさ───」

弟  「そんなんだから、彼氏とも2ヶ月で駄目に」

かすみ「言ってはならんコト言ったな貴様!!」

.

127名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:46:45 ID:Ad0Bd5LM

かすみ「とに」

弟  「また“とにかく”だろ」

かすみ「とにかく!!」

弟  「うわ突破してきたよこいつ。そういうとこ逆に尊敬するわ」

かすみ「と、に、か、く! 愛先輩はナシ! これには深い理由があるんだから!」

かすみ「小6なら聞き分けなさい!」

弟  「何だよ小6ならって……押し切ろうたってそうは……」

かすみ「うるしゃーい! とにかく愛先輩は駄目なのッ!」

弟  (やっぱファンなんだろ姉ちゃん……)

かすみ「そういう訳だから2番目の推し! さあ言ってみ、誰なん!?」

弟  「うっ……」

かすみ「誰!? それなら良いから! サインでも手形でも貰ってきてあげる! さあ!」ズイッ

弟  「に、2番目って……そ、それは……」

かすみ「誰!?」ズズイッ

弟  「近いんだけど」

かすみ「言わないとこのままチューね」

弟  「やめろって。……あーえっと、その……」

弟  「…………」

かすみ「?」

弟  「……」

弟  「ぜってー言わね」ムスッ

かすみ「へ」

弟  「姉ちゃんにだけは言わねえから絶対」

かすみ「な、なーんでよぉー」

弟  「う……あーもうるせっ! こうなったら何が何でも宮下愛のサイン貰ってきてもらうからなッ!」

かすみ「えええー……チューするけど良いの?」

弟  「死ねっ」👊ブンッ

かすみ「甘い! 喰らえいっ!」💗ムッチュ

弟  「ギャーッ!?」

.

128名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:47:08 ID:Ad0Bd5LM

───で


愛  「え、誕プレにサイン? ふーん、かすみ弟さんいたの」

かすみ「はい……えへへ」

かすみ(普通に終われ普通に終われ普通に終われ普通に終われ普通に終われ普通に)

愛  「良いね姉弟愛! 任しといて、サインくらい何枚でもあげる!」

かすみ(ヨシ!)👈😼

愛  「んじゃ、オマケで今度、特別に会ってあげ」

かすみ「Notヨシ!!!」👈💀

愛  「え、なに!?」ビクッ

.

129名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:47:46 ID:Ad0Bd5LM

───ここで感染しました


-スクールアイドル同好会 部室-

歩夢「あれ、日誌ここで書いてるの?」

愛 「お、歩夢おつかれー」

歩夢「お疲れさま」

愛 「そーなんだよね。今日アタシ日直だったから……」

愛 「相方の人に、文章苦手だからって押し付けられちゃってさー」

愛 「アタシだって手書き文はド苦手だってのにもー……」

歩夢「でも、ソコで断れないのが愛ちゃんの良い所だよね」

愛 「はっは、まーね。愛さん見た目通り優しいから」

歩夢「そういうとこだよ愛ちゃん」

愛 「え」

歩夢「でも……相変わらず綺麗な字だよね、本当に」

愛 「え……あ、ああ、まあね。数少ないアタシの自慢出来そうなとこだからねー」

愛 (気のせい気のせい……そうに決まってる)

.

130名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:48:09 ID:Ad0Bd5LM

歩夢「ところで、それとは関係無いんだけど」

愛 「うん」

歩夢「重くないの? 背中のそれ」

彼方「スヤァ…………」

愛 「うん、やっとツッコんでくれたね。待ってたよ」

歩夢「物凄い体勢なんだけど……どうなってるの」

愛 「だよね。よく座ってる人間に寄り掛かって寝られるよね」

愛 「何か“あったかいんだからぁ〜♪”とか言ってのし掛かってきて、面倒だからそのままにしてたんだけど……」

愛 「気付いたら背中から寝息が聞こえ始めてさ。仮にも先輩を弾き落とすのもマズいし」

歩夢「あはは……訳分かんない」

歩夢「それで、どうするのそれ。生徒会行って遥ちゃん呼んでくる?」

愛 「いや、遥よりエマっち呼んできて……」

愛 「あの人ならメンバーでは一番苦無く持ち上げられるから。これ」

彼方「😪」←これ

.

131名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:48:30 ID:Ad0Bd5LM

歩夢「は、はあ……じゃあ、急いで呼んでくるね」

愛 「頼むわ。ホント動けないからマジで」

歩夢「も、もう少し頑張ってね」タタタタ…

愛 「よろしーくー」

愛 「…………」

愛 「ふぃー……疲れるわぁ」

愛 (これ剥がしたら、レッドブル1杯やりにいこ)

彼方「トリニク……キュウリ……Zzz」

愛 「…………」

璃奈「…………」

愛 「あのね」

璃奈「…………」

愛 「いまアタシ迂闊に動けないからアレだけど、本気で心臓止まるかと思ったからね」

愛 「急に璃奈が居て」

璃奈「…………」

愛 「璃奈? ちょっと?」

璃奈「…………」

愛 「り、りなりー?」

璃奈「それやめてって言ったでしょ」

愛 「すんません」

.

132名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:48:54 ID:Ad0Bd5LM

璃奈「…………」チラリ

愛さん鞄「くっ」

璃奈「…………」スタスタ

璃奈「……愛先輩って確か、さ」ガサゴソ

愛 「ち、ちょっと璃奈!?」

璃奈「普段からさ、スマホのロック掛けない派、だったよね?」つ愛スマホ

愛 「───!?!??」

愛 「や、やめて!! 早まんないで!! それだけはやめ」

彼方「…ウルヒャイ」ベチッ

愛 「あでっ」

璃奈「これと……これと……これも」ポチポチ

愛 「あ」

愛 「あ、ああああああぁ……あああ、あああ!」

璃奈「何かデッドプールの画像が大量に……あ」

璃奈「これ……いつ撮ったの。私の寝顔」

愛 「や、やめてそれだけはぁ……」

璃奈「はい削除ォ」ポチポチ

愛 「いやあああぁ……!」

愛 「やめてぇえええおねがいぃ……!」

彼方「ふぁ……?」

.

133名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:49:22 ID:Ad0Bd5LM

璃奈「これは……まあいっか」ポチポチ

璃奈「これは駄目だね」ポチポチ

愛 「あ、あ、ああ……アタシの思い出が……」

璃奈「やかましい」

璃奈「これは駄目……これは、まあよし」ポチポチ

璃奈「……ッッ!? さ、削除ッッ」ポチッッ!

璃奈「先輩……後で話あるから」ギロッ

愛 「ああああああああああああ!」

愛 「ああああああああああああ!!」

……………………

……………………

歩夢「…………」

エマ「え、ええと……何カナ、これ」

歩夢「…………はぁ」

歩夢「自業自得だよ。愛ちゃんのオバカ」

愛 「ふ、ふたりとも璃奈を止めてぇ……」

歩夢「いやです。少し頭を冷やしなさい」

歩夢「さっ行きましょ、わざわざ呼び出してすみません。お詫びに後で美味しい物ご馳走しますね」

エマ「あ、ありがと……デモ良いの? 愛ちゃん泣いテルよ……?」

歩夢「いいんですよ。寧ろ良い薬ですから」

彼方(つい起きちゃったけど……ちょっと寝たふりしてよ)ノシカカリ

愛 「いいいいぃ↓やああああぁ!!↑(裏声)」

.

134名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:51:45 ID:TOzGW9Ic

───1人に渡すことで頭がいっぱいでした


愛 「メリーバレンタイーン☆」

歩夢「ハッピーバレンタインね」

愛 「それだと略したらハピバじゃん。ややこしいじゃん豆板醤」

歩夢「略さなきゃいいじゃんジャンバルジャン。……で、そのパンパンの紙袋なに?」

愛 「これ? ふっふ、お待ちかねのブツだぜ相棒」ガサッ

歩夢「相棒じゃなくて友達」

愛 「同じ同じ。はいチョコ、歩夢の分ね。メッセージカード入ってるよ」🍫

歩夢「やっぱりチョコなんだ。ありがと……にしても毎年よくやるね、愛ちゃんも」

愛 「何言ってんのー。イベントは楽しむためにあるんだぜ、知らんの?」

歩夢「まあ、そうだけどね」

歩夢「……え、ていうかそれ……紙袋の中、全部チョコなの? 多くない?」

愛 「そう、全部チョコ」

愛 「あ、でも殆ど普通のガーナね。クラスの男子にあげるやつ」

歩夢「……パリピ(死語)だね愛ちゃん」

愛 「ノンノン、愛さんパリピ(死語)じゃないよ。単に買い出し役になっただけ」

歩夢「?」

.

135名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:52:28 ID:TOzGW9Ic

愛 「実はアタシのクラスね……明日、女子だけ早く行って、男子にサプライズする事になってさ」

歩夢「サプライズ……? あーもしかして、ホワイトボードに絵とか描いたりする感じの」

愛 「大」😊

愛 「正」😄

愛 「解」😉

愛 「日頃クラスを面白くしてくれる感謝の気持ちを込めてね」

歩夢「ふーん……」

歩夢「誰が発案者?」

愛 「宮下愛っていう子」

歩夢「パリピ(死語)じゃん」

愛 「パリピ(死語)ちゃうよー」

歩夢「あっはははは」

愛 「あっはははは」

愛 「じゃあ、はい」✋

歩夢「…………」

愛 「…………」✋

.

136名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:52:52 ID:TOzGW9Ic

歩夢「何この手」

愛 「……え? いや、チョコは?」✋

歩夢「…………」

愛 「歩夢から愛さんへのチョコは?」✋

愛 「……永遠の友情を誓うチョコは?」✋

歩夢「…………」

愛 「……」✋

歩夢「……」

愛 「おい」👊

歩夢「ごめんド忘れ!」ダッ

愛 「オラッ! 逃がすかっ!」ダッ

歩夢「明日! 明日に渡すから!」

愛 「許さん!」

.

137名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:53:21 ID:TOzGW9Ic

───同好会に入ってからは、特に


果林(155cm)「ちょっと近江さん! こんな所で何してるの!」

彼方「んー……Zzz」

果林「ほら起きなさい! 早く!」ユサユサ

彼方「んがっ……んーなんね……誰アンタ……」

果林「授業もう始まってるって言ってるでしょ! さっき2限目終わったんだけど!?」

彼方「え……」

彼方「ふぁっ!? うっそ!?」ガバッ

果林「やっと起きた……」

彼方「ちょ、あーえっと……」

果林「委員長の朝香果林。もう4月も終わるんだから、いい加減に覚えて」

彼方「お、おう朝香ちゃんね。……ところでいま西暦何時?」←寝惚け

果林「……」👉

彼方「……」(  👀)

時計「10:53」

彼方「……おうマジか」

彼方「あああぅおおおしまっっっっっったあああああぁぁぁ……」😱

果林「まったく。学校の中庭で寝過ごす人なんて見たことないんだけど」

果林「たまたま私が見つけたから良かったけど、そうじゃなかったら大変な事になってたわ」 

.

138名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:53:44 ID:TOzGW9Ic

彼方「ち、ちげーんだって! ほら、かな……わたし上京して日が浅いからワクワクしてさー」

果林「アンタも上京組だったの」

彼方「鹿児島からねー」

彼方「んで今夜、住んでる学生アパートがね、何か歓迎会みたいなの開いてくれるってんでワクワクしてたら、今朝かなり早く起きちゃったんだよ」

果林「なるほど、あるあるね。良い所じゃないそのアパート。……それで?」

彼方「やる事も無いし調子に乗って始発で来たら、校門は通れたんだけど、当然まだ校舎は開いてなくて……」

彼方「仕方ねーから中庭のベンチで待ってたら……はい」

果林「寝落ちた、と」

果林「そういうこと?」

彼方「しょうゆこと!」

果林「そう……(無関心)」

彼方「そーなんすよ!」

果林「よく分かった」

果林「じゃ、それカンカンに怒ってる先生の前で言ってくれば」スタスタ

彼方「ぬおおおおお!」ガッシ!

果林「ぎゃああああ!? 何すんのよっ!?」

.

139名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:54:34 ID:TOzGW9Ic

果林「ちょ、この、やめろ変態! 変なとこ掴むな見えちゃうでしょ!」

彼方「どうか御勘弁をォォ」

果林「私が勘弁して何になるってのよ! 自業自得でしょ諦めなさい!」

果林「こういうのは素直に頭を下げておくのが一番なの。ほら放して」

彼方「特待生としてあかんのや心証とか色んな意味で……」

果林「特待生も六芒星もあるか。素直に怒られなさい間抜け」

果林「…………」

果林「特待生ってなに?」

彼方「? あれ、言ってなかったっけ」

彼方「わたし、まあLD科の主席入学者で、簡単に言えば特待生なんだ」

果林「……」

彼方「だから拙いんだよう、こんなポカやらかしたら、立場ある者として……」

果林「……」

彼方「……どしたん?」

果林「なンでもなイ」←補欠合格者

彼方「???」

果林「早ク行くワよ」ズルズル

彼方「ぐええ」ズルズル

彼方「にゅおおおおお許してええええズルズル

.

140名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 04:54:59 ID:TOzGW9Ic

……………………

……………………

果林「彼方ァ!」

彼方「ふぁっ」

果林「いつまで寝てんの起きなさい!」👊💥ボカッ

彼方「あ痛ァ!?」

彼方「んがっ……? おう果林ちゃん」

果林(167cm)「おう、じゃないわよ。もう授業始まるわよ」

彼方「…………」

彼方「やっぱロリ巨乳よか、こっちの果林ちゃんだね」

果林「は?」

彼方「何でもなーい。懐かしい夢を見てたのさ」

果林「……?」

彼方「なあ果林ちゃん」

果林「なによ」

彼方「期末、順位どうだった?」

果林「なに急に……アンタ何か気持ち悪いわよ」

果林「LD科で12位だったけど」

彼方「そっか……」

彼方「えらいねぇ」ナデナデ

果林「ちょ、何なのよ! 馬鹿にすんじゃないわよ万年首位のくせに!」バシッ

彼方「…………」

彼方「ははっ、時間が経つのは早いなーと思ってさ……」ゴロリ

果林「???? ……アンタ風邪でも引いたの?」

果林「って何また寝ようとしてんのよ。起きなさい、ちょっと」

彼方「おやすみー」

果林「ちょっと!」

.

141名無しさん@転載は禁止:2021/08/30(月) 21:48:12 ID:WwtcYLN6
部長は爆発するべき

142名無しさん@転載は禁止:2021/08/31(火) 09:04:24 ID:lY1Kxrz2
クライシス好きなのか

143名無しさん@転載は禁止:2022/01/22(土) 23:39:38 ID:BaB6SNrc
>>142
今でもやる程度には

144名無しさん@転載は禁止:2022/01/22(土) 23:39:54 ID:BaB6SNrc

-給湯室-

歩夢「あれ、栞子ちゃんだ」

栞子「ん……ああ、上原先輩ですか。御無沙汰してます」

栞子「前に巣鴨で会って以来ですね」

歩夢「だね。美味しかったよ、美舟庵の塩豆大福」

栞子「あはは……ありがとうございます」

歩夢「お茶いれてるの? 随分、沢山あるね……」

栞子「これから生徒会で会議がありますので、全員の分を用意してるんです。先輩もですか?」

歩夢「うん。でもわたしは1人分だけ。お疲れみたいだったからね」

栞子「?」

歩夢「あ、ううん。こっちの話なの」

栞子「? ……はあ、そうですか?」

……………………

……………………

栞子「それで、今日は練習は無いんですか? 制服のままですけど」

歩夢「うん、今日は無いの。部員の半分以上、何となく部室に集まってるけどね」

歩夢「昨日やっと新作の撮影が終わったんだ。暫く制作部の皆が忙しくなるから、本格的な練習再開は、ちょっと先かも」

栞子「いろいろあるんですね」

栞子「あー……そういえば、見ましたよ。この前のMV」

歩夢「えっ!」

.

145名無しさん@転載は禁止:2022/01/22(土) 23:40:49 ID:BaB6SNrc

歩夢「うそっ!? 栞子ちゃんも見てくれてるの!?」

栞子「……そんな驚きます?」

歩夢「あ、いや……何かイメージというか、あまりアイドルとか見向きしなさそうだなーって」

栞子「……」

歩夢「ご、ごめんなさい」

栞子「いえ……」

歩夢「ち、ちなみに誰推し? やっぱり果林先輩とか?」

栞子「推し……とかは特に。単に、あんな凄い映像が撮れたり、皆さんあんなに踊れて凄いな、とか思うだけで」

歩夢「愛ちゃんは?」

栞子「愛さんは昔から知ってますもん。今更そんな特別に入れ込む事なんて無いですよ」

歩夢「え……そ、そうなんだ(笑)」

歩夢(案外、乾いてる所あるよねー栞子ちゃんって)

栞子「あ、でも」

歩夢「?」

栞子「……そうですね。近江先輩は、ちょっと気になるかもしれません」

歩夢「え、彼方先輩?」

栞子「はい」

歩夢「へー意外。え、どの辺りが?」

栞子「まあ……毎日のように特待生がどうの自慢されるので、嫌でも気になるというか」

歩夢「ん?」

.

146名無しさん@転載は禁止:2022/01/22(土) 23:41:23 ID:BaB6SNrc

───桜坂家の日常


姉  「しずく……最近ちょっと思うんだけどね」

しずく「なに?」←米研ぎ中

姉  「あなた……その、この頃メイクが派手になったんじゃないの?」

姉  「っていう話、なんだけど……」

しずく「メイク?」ジャッコジャッコ

しずく「ああ、これは……」ジャー

姉  「もしかして彼氏でも出来た?」

兄  「なに! 遂に来たか!!(歓喜)」ガタッ

しずく「ぶっ!? ち、違うよっ!!」バッシャ

しずく「あっ」

.

147名無しさん@転載は禁止:2022/01/22(土) 23:41:47 ID:BaB6SNrc

───桜坂家の日常2

兄 「おはよう、しずくは出たの?」

姉 「おはよう兄さん。つい今しがた出ましたよ」

兄 「そうか……相変わらず健康優良児だね」

姉 「そうですね。たまに本当に私達の妹なのか疑っちゃいます」

兄 「不穏なこと言わないでよ……」

姉 「ふふふっ」

兄 「……でも、あれだね。君の事を思ってだとは分かってるけど……いい加減、寮に入るのを納得させたい」

姉 「そうなんですよねぇ……私もそれとなく言ったんですけど、“嫌です”の一点張りでしたよ……」

姉 「私の身体の事は気にしなくて良いのに。毎日、鎌倉から東京まで大変そうですよ」

兄 「優しすぎるんだよ、しずくは。誰に似たのかな」

姉 「兄さんですよ、きっと」

兄 「いや、君だよ」

姉 「兄さんです」

兄 「君だ」

姉 「兄さん」

兄 「君」

姉 「兄さ」

母親「イチャついてないで早く支度なさい!!」

.

148名無しさん@転載は禁止:2022/01/22(土) 23:42:15 ID:BaB6SNrc

───桜坂家の日常3

姉  「すくーる……あいどる?」

しずく「そうなの! 面白そうだったから、思い切って受けちゃった!」

兄  「スクールアイドルって……字面的に何となくアレだけど、具体的に何をするの?」

しずく「えーっと、部活動でアイドルグループ作って、配信とかライブもやって、それでそれで───」

しずく「そうだ! 配信されてる動画もあるの! 見てみる?」

兄  「へえ……」

姉  「どれどれ?」

……………………

……………………

兄  「あー何か、これ見たことある? かも……」

姉  「え、本当?」

兄  「去年の終わりくらい、かな。朝の情報番組の……何だろ? そういう特集に出てたような気がする」

兄  「よく見てなくて気付かなかったけど、あれ虹ヶ咲だったんだねぇ」

しずく「うん、テレビで特集された事もあるって言ってたよ」

姉  「え、凄いじゃない! そんな所からスカウトされちゃったの!」

兄  「はは、まあ何にしても凄い偶然だね」

しずく「そうなの! もうビックリしちゃって!」

しずく「まだ詳しくは教えてもらってないんだけど、部長さんて人が何か凄いみたい」

.

149名無しさん@転載は禁止:2022/01/22(土) 23:42:38 ID:BaB6SNrc

兄  「まあ最終的に判断するのは父さんだけど、僕らから特に言っておく事は無いね」

兄  「しずくが、そのスクールアイドルをやりたいなら、それでいい」

しずく「!」

姉  「そうね。しずくが楽しいのが一番よ」

しずく「ありがとう! わたし頑張るね!」

兄  「はは……あーところで、演劇部の方はどうするの?」

しずく「え?」

姉  「あ、そういえばそうだった」

姉  「しずく確か、最初は演劇部に入るつもりだったんでしょ?」

しずく「あ、えと」

姉  「確か、入学式の日に仮入部届は提出しちゃったのよね?」

.

150名無しさん@転載は禁止:2022/01/22(土) 23:44:32 ID:V8LrQ.qs

兄  「もう辞退する事は伝えたのかな?」

しずく「……」

兄  「しずく?」

姉  「?」

しずく「……」ダラダラ

兄  「───」

兄  「まさか、兼部する気でいた?」

姉  「え」

しずく「ひょ」ギク

姉  「……そうなの?」

しずく「あ、その」

兄  「……」

しずく「ええと」

しずく「……」

しずく「だめぇ?」

兄  「絶対に駄目だ」

しずく「あうあ」😵

姉  「そうよ。いくらあなたでも限度があります」

しずく「うぅ……」😢

.

151名無しさん@転載は禁止:2022/01/22(土) 23:51:46 ID:AER//btY
まさかの続き来た
読んでる

152名無しさん@転載は禁止:2022/01/22(土) 23:54:18 ID:V8LrQ.qs
>>151
ありがとう
丁度この先で詰まってるけど結末は出来てるから頑張るよ

153名無しさん@転載は禁止:2022/01/23(日) 01:02:03 ID:jaR2.EEY
待ってるよ

154名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:11:17 ID:4JLCejPU
───え待って超イケメンなんだけど私!


璃奈「先輩……何の写真を見てるの?」

愛 「おう璃奈か」

璃奈「まさか、また変な写真……」

愛 「ち、違う違う」

愛 「これね、この前、菜々達と池袋でコスイベに参加してさ」

璃奈「コスイベ……? コスプレしたの?」

愛 「そう! その時の写真を見てたんだよ。これ菜々。どこから見ても別人にしか見えないよ、ほら」

璃奈「……! 綾華だ」

愛 「アヤカ……? あーそうか。このキャラ、アヤカっていうんだ」

璃奈「え」

愛 「コスプレって奥が深いんだよー、ただ服着て終わりじゃないの。原作のシチュエーション再現してみたり、他の人達と合わせてみたりとか」

愛 「アタシこんなの初めてだったけど、本当に別人になったみたいで、イベント中ずっとキャラに寄せて関西弁で話してたんだ。似非だけど。いやー楽しかった」

愛 「ちなみに衣装を作ったのは、ウチの衣装担当の知り合いの人だよ。アタシは、こっちのミニ浴衣の子ね。衣装以外あんまり普段と変わんない感じで笑っちゃったよね」

璃奈「…………」

璃奈「……ねえ先輩、自分がコスプレしたキャラの名前、憶えてる?」

愛 「え? あー……ちょっと憶えてないなあ。確か宮本がどーとか」

璃奈「宵宮」

愛 「え?」ビクッ

璃奈「宵宮(威圧)」

愛 「り」

璃奈「 よ い み や 」

愛 「……よいみや」

璃奈「覚えて、今すぐ」

愛 「は、はい……お、覚えます……?」

璃奈「よし」

愛 「り、璃奈さん……?」ビクビク

.

155名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:11:48 ID:4JLCejPU

璃奈「……ところで、こっちのトーマと綾人は誰?」

愛 「え、どれ?」

璃奈「👈 ト ー マ 、 あ や と 👉」

愛 「わ、分かった分かった覚えるよ」😓

璃奈「よし」

愛 「はは……え、この肩組んでる2人の事?」

璃奈「そう。イベントで一緒になった人?」

愛 「……ふふふふ」ニヤーッ

璃奈「な、なに」

愛 「ふふん。これね、璃奈もよーく知ってる人なんだ実は」

璃奈「え?」

愛 「凄いでしょ、部長と果林先輩だよ」

璃奈「……」

璃奈「……????」

.

156参考画像:2022/05/03(火) 03:13:15 ID:4JLCejPU
https://i.imgur.com/il2QeAw.jpg

左から宵宮、綾華、トーマ、綾人

157参考画像:2022/05/03(火) 03:14:34 ID:4JLCejPU

───そうやって人は輪を広げる


菜々(あー……最近は特に忙しいなぁ……ちょっと疲れちゃった)

菜々(確か近くに自販機があるし、何か買って飲もっと)

……………………

……………………



菜々「さてさて鶴瓶さんの麦茶……。……え」

菜々(えー、売り切れてる。マジ最悪なんだけど)←素

菜々(まあ仕方ないか。別のにして……)

菜々(あれ……これ、よく璃奈さんが飲んでるのだよね)

菜々(モンスターエナジー……あー、これ爪跡のマークだったんだ。唐辛子の絵だと思ってた)

菜々(辛いのかな? 何かいっぱい種類あるけど、やっぱり色毎に味が違うんだよね?)

菜々(カラフルだな……)

菜々(どうしよう、お茶を買うつもりだったのに───気になっちゃう)チラチラ

菜々(ひえっ、200円もするんだ。何でこんな高いんだろう)

菜々(あ、こっちのは知ってる。愛さんが飲んでるレッドブルっていうやつ)

菜々(よく2人で並んで飲んでるとこ見るよなぁ)

菜々(缶を片手に……楽しそうに話しながら……)

菜々(…………)

菜々(よくよく思い返せば、愛さんが一方的にペラペラ話してるだけだ)

.

158参考画像:2022/05/03(火) 03:15:02 ID:4JLCejPU

でも正直な所、ちょっと……ああいうの良いなと以前から思っていた

2人で共通の趣味を楽しみながら、ああして何でもない雑談に興じる姿……

世辞にも同好会外の友人が多いと言えない自分には、一種の憧憬のような感情がある

菜々(あれは……そう、大人達がタバコ吸いながら談笑したり、酒を飲みながら難しい話を交わしている姿を見た時の気分に似てる)

菜々(自分がやったことない事、出来ない事を、他人が片手間でやってる姿、それが何かカッコいいような……羨ましいような気がして)

菜々(ちょっとだけ自分もやってみたい、でも少しだけ怖い気も───そんな感じの)

菜々(……でも、あれは所詮、清涼飲料水の一種。当然、成人してないと飲んじゃ駄目、という訳では全くない……)

菜々(それなら……)

菜々「…………」

菜々(いったれ)

……………………

……………………

菜々(ああ、つい買っちゃった……何か可愛かったから、ピンク色のやつ)

菜々(開ける)プシコン

菜々(開いちゃった……当たり前だけど)

菜々(ニオイは……フルーツ系? 普通のジュースみたいな感じ)クンクン

菜々(シュワシュワしてる……何か凄い色)

菜々(……)

菜々(一体さっきから何を怖がってるんだろう私は)

.

159名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:17:46 ID:Fz48WUAo

菜々(普通の飲み物じゃないか。別に飲んだら身体が灰になって死ぬ訳でもない)

菜々(飲み物なんだから飲めば良い。簡単なことだ)

菜々(そう、簡単簡単)

菜々「はー……ふー……」←意味も無く深呼吸

菜々(……よし、いくぞっ)

菜々(いくぞー! ほんとにいくぞー!)←えいえいおーのポーズ

栞子(何あの人……)

菜々(せーの、そいやっ!)グイッ

ゴク……ゴク……

菜々「…………」ゴクン…

菜々「…………」シュワシュワ

菜々「───」

パキ…

菜々(うわ、思ったより甘かった。でも……うん、普通に美味しい)パキ…

菜々(何だ、案外)パキッ

菜々(……案……外……)パキパキッ

菜々(あ、やばっ)パキ

菜々「https://i.imgur.com/5CTtgpb.jpg」パキーン

.

160名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:18:43 ID:Fz48WUAo

果林「それでね、皆で秋葉原までカラコンとウィッグとか選びに───」

エマ「……」

果林「……どうしたのエマ?」

エマ「ほら、あれ」👉

果林「え? ……あら、1人増えてるじゃない」

果林「菜々もハマったんだ、あのケバい缶のやつ」

エマ「レッドブルと……えーと、サンスターだっけ?」

果林「モンスターね。寧ろ歯周病リスク高めるわよ」

エマ「ほえー」

果林「練習直後だってのに、あんな変な味なの飲んで、よく平気ね。しかも炭酸」

エマ「飲んだことあるの?」

果林「あるわよ。モンスターは無いけど、レッドブルは1回だけ試しでね」

果林「でも……ぶっちゃけ子ども用の飲み薬と変わらない味で、すぐ駄目になっちゃった」

エマ「へえー」

果林「エマは飲んだことないの? 確かレッドブルはヨーロッパ生まれじゃない」

エマ「うーん、ないなあ。そんな美味しくないみたいだし、ああいうのに頼るほど疲れる事なかったから」

果林「……そう考えると、あの3人は日常的に飲むくらい疲れてるってこと?」

エマ「分かんないけど……一応、部長サンに報告しておく?」

果林「な、何か急に不安になってきた。後で私から話しとくわ」

エマ「うん……」

.

161名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:19:15 ID:Fz48WUAo

果林「まあでも、何だかんだ良かったと思うわ」

エマ「なにがー?」

果林「ほら、ここの2年生って4人中3人が幼馴染じゃない?」

エマ「だね」

果林「それで菜々、最初の頃ちょっと疎外感みたいなの感じてたみたいで……あ、これ言わないでよ?」

エマ「ほえー」

果林「コスイベの時もだけど、色々と切掛け作って、最近は割と馴染めてるみたいだし、良かったなって」

エマ「……」

果林「エナドリでも何でも、そうやって菜々が、友達の輪を広げる入口を持てるのは良い事だと思うの」

エマ「そーなんだー」ニコニコ

果林「…………」

エマ「どーしたの?」ニコニコ

果林「ねえ……さっきからどうしたの。話ちゃんと聞いてる?」

エマ「聞いてるよぉ」ニコニコ

エマ「ただ、嬉しいなって思って。果林ちゃんが、そうやって人のこと考えてあげられる子なのが」

果林「……その節は大変お世話になりました」

エマ「ふふふー、どーいたしましてぇ」

.

162名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:19:40 ID:Fz48WUAo

エマ「……でも、何か不思議とカッコいい気もするよね。ああいうの」

果林「そう?」

エマ「うん。昔パパが、近所のおじさん達と、タバコ吸いながら世間話してたの思い出しちゃうんだぁ」

果林「そ、そんな渋そうな光景と一緒に考えていいものかしらね」😓

.

163本編に歓迎はありません:2022/05/03(火) 03:20:46 ID:Fz48WUAo

・歩夢:普通科特進(保健委員)
→味が予想の数倍濃くて駄目だったタイプ

・愛:普通科特進
→始めはイマイチだけど舌と喉が覚えちゃうタイプ

・菜々:普通科特進
→やめられない

・璃奈:情報処理科
→とまらない

・かすみ:普通科一般
→全く興味ないけど飲んだらハマるタイプ

・しずく:国際交流科(体育委員)
→半分くらい飲んだ所でリタイアし掛けるけど根性で飲みきるタイプ

・果林:LD科(風紀委員)
→子ども用の飲み薬と違いが分からないタイプ

・彼方:LD科(保健委員)
→死ぬまでコーラ派です(キリッ

・エマ:国際交流科(3ーB)
→得体の知れない物を口に入れたくないタイプ



・部長:芸術科B(音楽クラス)
→そもそも清涼飲料水に手が伸びないタイプ(緑茶が最近ブーム)


・遥:普通科一般(生徒会役員)
→期待しないで飲んだら割と好みの味でびっくり


・栞子:普通科特進(生徒会役員)
→シュワシュワ飲めない😝

.

164名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:21:50 ID:Fz48WUAo

───ちょっと過去作ネタ


歩夢「ねえねえ! 璃奈ちゃんさ、今度の土曜日、わたし達と出掛けない?」

璃奈「え……わたし?」

璃奈「土曜に、何かあるんですか?」

部長「俺の兄貴が久しぶりに個展やるんだよ。神山町のレンタルギャラリーで」

璃奈「個展? 神山町って……もしかして、うちの近所?」

部長「大分ね。場所はスクランブル交差点から……ええと、確か文化村通りに入って暫くの……」

歩夢「そう、コンビニの隣にある建物だね」

璃奈「本当に近所だった……」

.

165名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:22:15 ID:Fz48WUAo

璃奈「部長先輩のお兄さんって確か……」

歩夢「そう、マルチアーティストの五十嵐大樹さんね」

部長「周りからは新進気鋭とか言われてるけど、まあ俺からすりゃ飲んだくれの───」

歩夢「こらっ!」

部長「…………」

部長「えーと、やっぱ知ってる? 俺の兄貴のこと」

璃奈「うん。造形雑誌とかで……でも、何となく触れたらいけないかな、って思ってて」

部長「いいよいいよ別に。何か疾しい事があるでもないし」スマホポチポチ

部長「これね、ちょっと前に兄貴が関わった、ゲーム作品の背景コンセプトアート」👉📱

璃奈「! うわぁ……綺麗」

部長「たまに関わった作品に出した中で、お蔵入りになったのを急に見せびらかしてくるんだよ。暇な人だよな」

歩夢「暇な人とか言わない」

.

166名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:22:38 ID:Fz48WUAo

部長「でも、こういう世間的に貴重な絵とかも放出同然に出したりするから、きっと今回も個展外じゃ見られないのがあるよ」

璃奈「そうなんだ……」キラキラ

歩夢「かなり興味あるみたいだね!」

璃奈「うん……行ってみたいかも」

愛 (愛さんも興味あります!)📡⚡

歩夢「…………」

部長「…………」

璃奈「わたし、一緒に行ってもいい?」

歩夢「え……あ、うん勿論だよ! じゃあ一緒に行こうね!」

部長「よ、よし! じゃあ集合場所は駅前交番で、大体9時くらいに───」

愛 (愛さんも行きたいなー))📡⚡

.

167名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:23:36 ID:Fz48WUAo

部長「ただ、天王寺さんは一般入場扱いになるから、ちょっと手間取るかもしれないんだけど……」

璃奈「そのくらい大丈夫。有名アーティストの未公開作が見られるなら」

部長「そ、そっか。そう言われると何か嬉しい気もするな」

愛 (愛さんも行きたいなー!))📡⚡

璃奈「でも、2人はいいの? わたしが居ても」

歩夢「え、何が?」

璃奈「だって2人は……その」

璃奈「あの……お邪魔になっちゃう、みたいな」

歩夢「あ……」

部長「あー……」

愛 (あーいーさーんーもー))📡⚡

歩夢「い、いいのいいの大丈夫! その日はそういうのじゃないから!」アセアセ

部長「……その、気遣ってくれてありがとう」

部長「でも天王寺さんは気にしないでほしい。俺達2人で話し合って決めた事なんだ」

歩夢「そうだよ! そういうのは抜きにして、一緒に楽しもうね!」

璃奈「そ、そうなの?」

愛 (いーきーたーいーどーん))📡⚡

.

168名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:24:13 ID:Fz48WUAo

璃奈「……うん、じゃあ……行きたい」

歩夢「大歓迎だよ!」

愛 (あー! いー! さー! んー! もー!))📡⚡

部長「よし、じゃあ朝9時くらいに……まあハチ公像前でいいか。そこに集合で」

璃奈「うん、分かった」

愛 (つー! れー! てー! けー! にゃー!))📡⚡

歩夢「見終わった後で、部長がランチに連れてってくれるから、それも楽しみにしててね」

部長「!?」

歩夢「だよね?」

璃奈「そうなの?」

部長「お、おう。任せて」

愛 (───)👹

.

169名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:24:52 ID:Fz48WUAo

歩夢「じゃあ、そういう事だから、そろそろ練習に───」

愛 「ヘイ! 無視してんじゃねーぞ2人ともァ!」

璃奈「!?」ビクッ

歩夢「あーもー聞こえないフリしてたのに!」

部長「うるせえよお前、さっきから!」

璃奈「え……え? 何のこと?」

歩夢「さっきから愛ちゃんが一緒に行きたいってうるさいんだよお……」

璃奈「愛先輩ずっと音楽聴いてたけど……」

愛 「なんで無視すんだよ2人して! 愛さんも連れてけよう! 泣いちゃうぞコラ!」

歩夢「ちゃんと口に出さないから無視するんだよ! 子どもじゃないんだから横着やめなさい!」

璃奈「???????」

.

170名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:25:32 ID:Fz48WUAo

璃奈(深入りしない方が良いのかな)

愛 「じゃあ口に出して言うぜ、アタシのイケボを堪能しろ」

愛 「アタシも行きたい、連れて行ってください(イケボ)」

部長「いや、無理だよ」

愛 「絶望した(イケボ)」

愛 「何で!? ちゃんと口に出して言ったでしょ!?」

歩夢「それとこれとは話が別だよ」

愛 「意地悪か!」

歩夢「別に意地悪してる訳じゃなくて、単にチケットがもう……」

愛 「皆と一緒に楽しく休日を過ごしたい!」

歩夢「だから違うから。話を───」

愛 「あわよくばランチにたかりたい!」

部長「おい」

愛 「ねー璃奈? 愛さんも行って良いよね?」

璃奈「……わたしは、別に(どうでも)いいけど」

愛 「ほらー! やっぱ璃奈は分かってる! 愛さん参戦決定!」

部長「だから、駄目なんだよ! お前は連れて行けないんだ! だって」

愛 「仲間外れやめてくださーい!」

部長「いや、だから」

愛 「いーじゃーん! 皆と行きたいのー! 連れてって連れてってつーれーてーってー!」

部長「だーから! 連れていこうにも出来ないんだっつの!」

愛 「───」

愛 「へ?」

.

171名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:25:58 ID:Fz48WUAo

歩夢「理由も無いのに連れて行かないわけないでしょ。いい? 訳を話すよ?」

歩夢「お兄さんの個展かなり人気あるから、混雑避けのため前売チケット買わないと入場は出来ないの」

部長「一般入場チケットは、ここにある残り1枚しかないから、どっちにしろ無理なんだよ」

愛 「……マジ?」

部長「マジだよ。世間的には……まあ、兄貴の作品は結構レア物らしいからな」😖

愛 「じゃ、じゃあつまり……」

部長「手元にあるのは、兄貴から俺と歩夢に送られてきた、関係者用の個人優待チケット1枚ずつ」

部長「それとオマケで兄貴が一枠だけ確保した一般チケット1枚、これはもう天王寺さんに渡した」

愛 「……」

歩夢「もう一般チケットは、とっくの昔に完売してる」

歩夢「で、璃奈ちゃんが最後の1枚使うから、愛ちゃんは来れないよって事」

部長「そういう事。悪いなのび太」

愛 「ぬがっ」😨

.

172名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:26:30 ID:Fz48WUAo

璃奈「……残念だったね」

愛 「そ、そんなあああ……!」😭

部長「泣くほどかよ……」

歩夢「ね、別に意地悪してる訳じゃないの」

歩夢「代わりに今度、何か美味しいもの作ってあげるから」

愛 「……じゃあ、マリトッツォ食べたい」

部長「歩夢、付け上がるから放っておこう」

歩夢「だね、璃奈ちゃん行こ」

璃奈「はあ」

愛 「あー! ちょ待って待って!」

璃奈「……」

.

173名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:27:14 ID:Fz48WUAo

───欲を言えば自分も映りたかったらしい

Psycho:Got the bastard!

愛 「おっしゃああああ! 倒したあああぁぁぁ!!」💪

愛 「やったぞ少佐! 仇を取ったぞオォ!」

愛 「これで最後だ───」

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ……

愛 「───と思ったんだけ、ど……違うの?」

愛 「えラスボス? ……うそラスボス?! 次が最後!?」

愛 「よ、よっしゃ! やっちゃるぜ! どこだ……? どこから来るんだ……?」

愛 「え、海……。……え、なにこの……? でか……え、こいつラスボス?!」

愛 「あ、まさか……そうだ、さっき海を泳いでたやつ!? デカ過ぎだろ!?」

Psycho:Whoa... shit! They brought out the big guns.

Psycho:Nomad, take out those cannons!

愛 「よ、よおし! これで最後だ!」

愛 「デカさがなんぼのもんじゃ! オラッ! 来いオラッ!」

愛 「こちとらっ……! ガウスライフルに……! ミニガンと……!」

愛 「おまけにミサイルランチャーもフル装備だっつの……!」カチカチカチカチカチカチカチカチ

愛 「うわっ! 何これ……こ、こいつもバリア持ちだとぅ?!」

愛 「ぎゃー! また冷凍光線! か、カッチカチやぞ……ちょ、動けな」カチカチカチカチ

愛 「あっあっあっ」カチカチカチカチ

───NOMAD IS DEAD

愛 「やだぁ!(CV:IKKO)」

→continue

.

174名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:27:37 ID:Fz48WUAo

愛 「リトライ!」

───NOMAD IS DEAD

愛 「悔しいですッ!」

→continue

.

175名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:28:11 ID:Fz48WUAo

愛 「撤退! クソ食らえ!」

───NOMAD IS DEAD

愛 「アタイ……許せへん……!」

→continue

.

176名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:28:33 ID:Fz48WUAo

愛 「崖っぷちが最高のチャンスなんだぜ!」😼キリッ

───NOMAD IS DEAD

愛 「諦めんなよオマエ!(自己暗示)」

→continue

177名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:29:13 ID:Fz48WUAo

愛 「ダヴァイ♥ ダヴァイ♥」

───NOMAD IS DEAD

愛 「ぶりゃーち!」😠

→continue

.

178名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:29:42 ID:Fz48WUAo

───NOMAD IS DEAD(n回目)

愛「……」

愛「💔」パリーン

愛「だーーーーーー」

愛「かーーーてーーーねーーーーーー!」←n回目

.

179名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:30:07 ID:Fz48WUAo

愛 「だー……くそぅ………………ル」

愛 「何だよアイツ……何度やっても冷凍光線でやられるし……」

愛 「あ゙ー……」

愛 「……」

愛 「……」

愛 (ゲームでクヨクヨしたって仕方ないか)コロッ

愛 (大丈夫! 何回もトライしてれば、その内すんなり行けるさ)

愛 (散歩してこよ。帰ってきたら勉強して、モチベ戻ったら再開しよう、そうしよう)

愛 「しゃっ!」ガバッ

.

180名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:30:56 ID:Fz48WUAo

愛 「おばーちゃーん! ちょっと出掛けてくるねー!」

<ハイよー

愛 「フライデー! 東京都、今日の天気と気温は? これから散歩するんだけど!」

アレクサ:アレクサです

アレクサ:現在、都内全域が概ね晴れ……現在地近辺の気温は、摂氏20度です

アレクサ:今日は、1日を通して過ごしやすく、外出日和となるでしょう

愛 「良いね!」

愛 「じゃあ駅前辺りまでブラブラ───」📱<キャプテンデェーップゥー♪

愛 「良い所で……あれ、璃奈だ」


***************

璃奈:先輩があまりに不憫なので、
   撮った写真を何枚か送ります

璃奈:気に入ってくれるとうれしいです

璃奈:ちょっと待ってて

***************


愛 「り、璃奈ぁ……↑ 何て良い子なんだ君は……!」

ピロン♪

愛 「お、来た来た!」

愛 「どれどれ、どんな写真……が」ポチポチ

愛 「……」

・何かよく分からない象の抽象画みたいなの

・複数の男女が寄り添って空を見上げているラフ画

・何やら激レア物らしい、未来都市を描いた油絵

・その他なんか凄そうな作品数点の画像

***************

璃奈:撮影OKの物だけです

璃奈:ごめんなさい

***************

愛「り、璃奈ぁ……↓」

愛「ありがとうね……でも違う、そうじゃないんだ……いや嬉しい。嬉しいんだけどそうじゃないんよ……!」ポチポチ

.

181名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:32:04 ID:Fz48WUAo

***************

       プリントして神棚に飾っとくね♥:愛


       あと出来れば璃奈が楽しそうにし:愛
       てる写真をいただけないかなーと


璃奈:いまレア物に囲まれてて良い気分
   だから余計なこと言わないで

***************

愛「……」

愛「……」

愛「外出中止ィィィッ! 次こそブッ倒す!(現実逃避)」

愛「フライデー! エイリアンの戦艦を一撃で破壊する方法!」

アレクサ:一撃は無理です。まず砲台の破壊に集中しましょう

→to be continued





📱<Maximum Effort!

愛 「ん? ……え、あいつから?」

***************

五十嵐:感謝しろよ

五十嵐:*画像*

***************

愛 「こ、これは!」

愛 「……」

愛 「……今度ランチ奢ったるか……」➡☁

.

182名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:32:42 ID:Fz48WUAo
遅くてごめんね

183名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:07:40 ID:XsVqOjug

───家族の誰よりも大切な

エマ「あれー?」

彼方「どしたん」

エマ「なんかー……いまスマホの電源を入れたんだけど、開いた憶え無いアプリが開かれててぇ……」

彼方「は? 何のアプリよ」

エマ「インスタ……」

彼方「───ちょい、貸してみ」

エマ「え、はい……」

……………………

……………………

彼方「見た所、変な投稿があるでもなし……アカウントが弄られた形跡も……なし」

彼方「大丈夫っぽいね、うん。返すよ」

エマ「あ、ありがと」

彼方「でもエマっちよお……それヤバいかもしれないぜえ」

エマ「そお?」

彼方「そお、じゃねえぜ……」

.

184名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:08:08 ID:XsVqOjug

ガラッ

愛 「お疲れサンマでー……す?」

愛 「どしたん2人して深刻そうな顔して」

彼方「おう愛後輩」

エマ「愛ちゃんイエーイ」🙌

愛 「エマっちイエーイ」🙌

彼方「……」

エマ「……」チラッ

愛 「……」チラッ

彼方「やらんぞ彼方ちゃんは」

愛 「なんだよう」

.

185名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:08:40 ID:XsVqOjug

愛 「へえ、エマっちのスマホが?」

彼方「そうなんだよ、こいつ呑気そうな顔しよってからに」

エマ「えへっ」

彼方「何がウェヒヒだ」

エマ「そんな言い方してないよぉ……」

愛 「でも今日はインスタ開いた憶え全然ないんでしょ? 普通に怖いわな」

彼方「気のせいって可能性もあるかもしれない。でも心配するに越した事も無いじゃんか」

エマ「そうだけどぉ……何も無いみたいだし、気にしなくても良いかなぁ、って」

愛 「いやよかないっしょ……行き過ぎた寛容は身を滅ぼすよ」

彼方「それみろそれみろ」

エマ「むう」

彼方「今日、長くスマホ手放してる時間なかった?」

エマ「……あ」

エマ「そういえば……2限の後で移動教室あって、その間HR教室の机の中に入れっぱなしだった気も」

彼方「怪しいとしたら、間違いなくそこだねぇ」

愛 「深刻に考えた方が良いよエマっち。こういうの、何か起こった後じゃ取り返しつかないんだからね」

愛 「愛さん嫌だからね。折角こうして仲良くなった人が、こんな事で苦しむかもしれないなんて」

エマ「……うん」

愛 「あ、ごめん。キツい言い方になったけど、別に怒ってるんじゃないからね」

エマ「ううん、分かってるよぉ」

.

186名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:09:18 ID:XsVqOjug

彼方「てゆーかさエマっち、これつまり、スマホのロックが通り抜けられてるって事じゃね」

エマ「ロック?」

彼方「暗証番号なり掛けてるっしょ? それがどっかで知られてるって可能性も───」

エマ「掛けてないよ?」

彼方「……は?」

愛 「あ、アタシも」

彼方「何で!?」

彼方「いや愛後輩オメー、あんな偉そうに言っといてロック掛けてないんかい!?」

愛 「ウェヒヒ」

彼方「えへっ、て何だよ!」

愛 「言ってない言ってない」

愛 「いやあ、アタシ自分でも引くくらい四六時中スマホと一緒だから、出す度に解除するの面倒でさー」

エマ「わかる」

愛 「だよね!」

エマ「正直、今まで掛けなくて困った事なかったからー……」

彼方「……(絶句)」

.

187名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:10:06 ID:XsVqOjug

彼方「お2人さんよう……スマートフォンは個人情報の塊なんだぜ?」

彼方「しかも彼方ちゃん達こういう立場にいるんだよ。何が言いたいか分かるっしょ?」

エマ「うん。だから、わたしは今日からロック掛けるようにしようと思います」

愛 「アタシはパスしようと思います」

彼方「おーい」

愛 「いや、だって! スマホ使い始めて長いけど、ロック解除するの手間なんだもん!」

彼方「……はあぁ、もう好きにしなされ」😰

彼方「でも、そんなこと言ってオメー……いつか墓穴掘っても知らんぞ?」

愛 「大丈夫だってえ。アタシ以外と抜け目ないからね!」

彼方「どーだかね」

エマ「2人とも設定のやり方おしえてー」

彼方「はいはい……」

愛 「任せろ!」

彼方「……この後、変な電話とか掛かってきたら、すぐ部長さんに言えよ? マジで」

エマ「うん、分かったあ」ポワポワ

彼方「……本当に分かってんのかい君」

.

188名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:10:50 ID:XsVqOjug

愛 「ここをこうして……ほい、出来た」

エマ「おおー」

彼方「あとは好きな番号を設定するだけだね。やってみー」

エマ「分かった」

エマ「……」

彼方「……」

愛 「……エマっち?」

エマ「ごめん、何が良いんだろ、こういうのって」

彼方「ええ……そんなの、別に好きな数字入れれば?」

エマ「そ、そうなんだけど……わたし、こういうの忘れっぽくて」

.

189名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:11:35 ID:XsVqOjug

彼方「んーまあ、チョイ捻った方が良いのはあるけど、そんな難しくても忘れた時があれだからね」

エマ「彼方ちゃんのロック番号は何なの?」

彼方「いや教えねーよ(笑)」

エマ「あ、そっか」

愛 「ちなみにアタシはロック使ってた頃“531128”にしてた」

彼方「……その心は?」

愛 「松平健の誕生日! おばーちゃんが好きだから!」

彼方「あ、ああそう……」

エマ「まつけんさんば?」

愛 「おお! エマっち知ってんの?!」

彼方「後にせい! 今はロック番号!」

愛 「へーい」

.

190名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:12:06 ID:XsVqOjug

彼方「まーつっても、誰かの誕生日に設定するのは定番かもしれんね」

彼方「実際、彼方ちゃんのロック番号もそうだし」

愛 「あ、そうなんだ」

エマ「じゃあ、わたしも……うん、ガブリエルの誕生日にしよう」ポチポチ

愛 「誰よ」

エマ「同い年の弟」

彼方「まあ彼方ちゃんは、そこに一捻り加えてあるけどね」

エマ「一捻り?」

彼方「逆さまにしただけだよ。それだけでも防犯効果は飛躍的に上がるぜ」

エマ「おおー」

愛 「……ちなみに誰の誕生日?」

彼方「なあ、さっきから君ら彼方ちゃんのスマホ暴こうとしてね?」

エマ「そんなそんな」

愛 「まさかまさか」

彼方「ガキ共!」

.

191名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:33:45 ID:XsVqOjug

───意識の奥の奥底に眠る、きっと願望


-?????-

愛 「ただいまー!」

歩夢「……ほあ?」

愛 「ただいまー……あれ、どしたん歩夢、そんなとこでボッとして」

歩夢「ううん、なんれも……。わたし、髪こんらに明るくしたかなって」

愛 「えー?」

愛 「こないだアンタらが2人揃って染め直してきたんじゃん。これで3人お揃いだーって」

歩夢「ええ……そーらっけ?」

愛 「そうだよ! アイツなんかコッソリ耳まで開けてきて、普通そんなの忘れる?」

愛 「さては寝惚けてんな。それとも、まだ酔ってんの?」

.

192名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:34:31 ID:XsVqOjug

歩夢「……酔うってなあに? わらしィまら未成年らよ?」

愛 「やっぱり酔ってんのか……ほら、家事はアタシらでやるから。暫く寝てな」

歩夢「?? はれぇ、がっこおは?」

愛 「───はああ? アンタいつの話してんだよ一体。重患だなこりゃ」

歩夢「……ふくーるあいどるは?」

愛 「しかも高校時代まで戻ってんのかよ……」

愛 「こ! こ! は! アメリカ! ニューヨークのマンハッタン!」

歩夢「……まんはったん?」

愛 「そう! 日本じゃないでしょ、シッカリしなよ!」

愛 「それにアタシら、もう30近いでしょ!」

歩夢「……はええ?」

.

193名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:34:56 ID:XsVqOjug

部長「どうしたんだ? ……ん、起きたのか歩夢」

愛 「あ、ちょっと聞いてよ、歩夢ったらさー」

歩夢「…………」

歩夢「…………」

愛 「んで、何つったと思うよ。聞いて驚け“スクールアイドルはぁ?”だとよ」

部長「なっつかし……! マンハッタンまで来て下積み時代の夢かよ……(笑)」

愛 「おっかしいよねー」

歩夢「…………」

歩夢「……えへ……へへぇ」ニヘラァ

部長「まったく、弱いのに無理して飲むから……」

.

194名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:36:58 ID:0ViMokxU

部長「バナナ買ってきて良かったな。スムージー作ってやろう」

愛 「あ、アタシにも作ってー」

部長「お前は酔ってないだろ……」

愛 「いーいーじゃーん! 好きなんだもん、作ってハニー♥」

部長「やめろ歳を考えろ。……特別だぞ」

愛 「やったぜ」

歩夢(なんだ、そうだったね)

歩夢(そうだ、そういえば、そうだった)

歩夢(わたしと愛ちゃんは、あれから何の運命が働いたか、歌手として世界的に有名になって……)

歩夢(いまは故郷から遠く離れた地で暮らしてて)

歩夢「あは……あははっ」

部長「?」

そういえば、そうだった


───そうだったね、そうだったんだ!


 そ お だ っ た ん だ あ

.

195名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:37:34 ID:0ViMokxU

歩夢「ふ、ふふ、ふふふ」

部長「あ、あゆ、む?」

歩夢「あははっは、はは。おかしいなぁ……なんで今更あんな夢、見てたんだろ」

歩夢「あはははっ! 何でかなぁ! あははっ!」ケラケラ

愛 「……」ゾクッ

愛 「……ねえ、大丈夫なの、こいつ。ヤバくない? 今までこんな酔い方しなかったよね?」

部長「ああ。お、おい歩夢、明後日の公演やめにするか? 体調がアレなら無理しないでも……」

歩夢「ううん! 大丈夫! 寧ろ最高の気分だよ! 今なら……この3人なら、何でも歌えそう!」

歩夢「あははっ! あはははっ!」

歩夢「ねえ2人とも! ───大好きだよ」

愛 「……は、はあ?」

部長「な、何だよ。どうしたんだ急に」

歩夢「わたしね、いまとっても幸せ」

歩夢「離れたくない。ずっと2人といられるなら、わたし何でもする」

部長「……おまえ」

愛 「あ、歩夢……アンタ一体」

歩夢「だから……」

歩夢「これからも3人で───ずっと一緒に───

ず        っ        と











侑 「はい、そこまで」

歩夢「えっ?」

……………………

……………………

.

196名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:38:19 ID:0ViMokxU

-東京都中央区銀座 上原家-

チュン  チュン

  チュン  チュン


歩夢「…………」

歩夢「…………」

歩夢「最悪……」

.

197名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 20:38:58 ID:0ViMokxU
ここまでね

198名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 21:07:43 ID:PyAnwMIs
続き来た
五十嵐君羨ましすぎる
と思ったら何か良からぬことでもあったのか

199名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 23:06:24 ID:g7xUXvgw
まさか更新があるとは

202名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 00:16:50 ID:sTkOJ2JU
      .
      .
      .
  前回までの虹ヶ咲!
      .
      .
      .



……目を醒ますと、そこは知らない天井だった

窓から見えるのは、見慣れた東京の街並みではない、どこか遠い国の摩天楼

朦朧とする意識の中、歩夢は自身に起きた事態を何とか思い出そうとする

スクールアイドル同好会……2人の大切な人……そして、知らない記憶の断片

そこに突如として現れた愛と部長は、歩夢に対して驚愕の事実を告げる───

それは歩夢の意識の奥底に眠る、かつての彼女の弱さ、醜さの片鱗

過去に捨て置いてきた筈の、独占欲と逃避衝動の発露……

───歩夢が無意識に抱いていた、剥き出しの願望の顕れ

一体……彼女に、このような悪夢を見せたのは誰なのか?

今朝2時頃、豊島区上空にて観測された謎の巨大思念波との関連は?

そして、時を同じくして就寝中の近江彼方を襲った怪現象の正体とは……?

全ての鍵は……あの宮下愛が握っている……?

…………

…………

-虹ヶ咲学園 生徒会室-

栞子「ん……ねえ、もしかしてテレビつけてるの?」

栞子「うん、少しボリューム落として。声よく聞こえない」

栞子「……」

栞子「ん、良い感じ。聞こえる聞こえる」

.

203名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 00:17:46 ID:sTkOJ2JU

栞子「……うん……うん……へえ、そんな事が」

栞子「こっち? うん、元気だよ皆。愛さんも会いたがってた」

栞子「いや、一緒に日が暮れるまでバスケで勝負してた人でしょ。憶えてないの?」

栞子「そう……」

栞子「…………」

栞子「本当? ……じゃあ、うん。分かった、やってみる」

栞子「うん……うん……スケジュールは何とか調整してみるね」

栞子「……うん、私も楽しみにしてる」

栞子「それじゃ……うん、またね」ピッ

栞子「ふう……」

遥 「えへっ」ヒョコ

栞子「わっ!?」

遥 「みーふねさん! そんな隅っこで、お電話ですか?」

栞子「こ、近江さん……もしかして聞いてたの?」

遥 「今の英語だよね! 三船さん英語もペラペラなんだ!」

栞子「ま、まあね……小さい頃から海外には行ってたから……」

遥 「誰? 誰と話してたの? もしかして三船さんって親戚に海外の人が───」

栞子「ち、違うから……中等部の頃、ショートステイでウチに来てた子」

遥 「?」

.

204名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 00:24:43 ID:xf0qQFuI

遥 「ショートステイ?」

栞子「そう、ショートステイ。1週間のね」

遥 「……」

遥 「あ、ああ! ホームステイのこと!」

栞子「そう、香港から」

遥 「ほんこん……」💭

栞子「……ちなみに、その島は台湾の方」

遥 「きゃー! 人の考え覗かないでー!」

.

205名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 00:25:16 ID:xf0qQFuI

遥 「中等部って事は、1年か2年前くらいの話?」

栞子「つい去年の話」

栞子「前年にショートステイ行事が中止になったからって理由で、その年は夏と冬の2回あったんだけど……その子、何と2回ともうちにステイ希望したの」

遥 「えっ何でさ」

栞子「……その、私の家って結構な日本家屋で……それが気に入ったみたいで。帰国してから今までも割と連絡を取ってるの」

遥 「ほおー……愛されちゃってますなあ三船さん」

栞子「べ、別に? 愛されてるのは私の家の方だし」

遥 「ぬぬ! 三船さんが照れています! 遥さんジェラシーですよジェラシー!」

栞子「馬鹿じゃないの……」

.

206名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 00:25:44 ID:xf0qQFuI

遥 「それで、今のは何の電話だったの?」

栞子「今度、こっちで会う約束をね。……向こう、結構な財閥の娘さんで、ちょっと無茶な所あって」

栞子「こうと決めたら絶対に曲げないタイプなの。決して悪い子じゃあ、ないんだけどね」

遥 「……ふふふふ」

栞子「なに」

遥 「あ、ううん。ちゃんと三船さんにも仲良い子いてよか……あ、何でもない」

栞子「ばっ馬鹿にしてんの?! 友達くらいいるわ普通に!」

遥 「こないだ見たけど三船さん教室で1人だったじゃん」

栞子「あ、ぐ……う、うるさい! 友達なんか多くても面倒なだけだもん!」

遥 「え」

栞子「は?」

.

207名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 00:26:16 ID:xf0qQFuI

遥 「……ほ、本当に1人なの?」

栞子「───」

栞子「!!!」カアァァ

遥 「その、流石に予想外でした」

栞子「こ、こ、この……! 騙し、騙した……!」

栞子「この卑怯者お!!」

遥 「うひょー!」

会長「…………」

遥 「あ」

栞子「あ」

……………………

……………………

遥 「怒られたじゃん……」ヒソヒソ

栞子「あんたのせいでしょ……」ヒソヒソ

.

208名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 00:27:22 ID:xf0qQFuI

遥 「でも……そっか、三船さんの家かあ」

遥 「───」

遥 「……よし」

栞子「嫌だからね」

遥 「わたし今度、三船さんの家で勉強合宿したい」

栞子「聞きなさいよ」

遥 「意外に思うでしょうが、わたし実は学業成績が芳しくございません」

栞子「うちの役員で知らない人はいないと思うけど」

遥 「きこえなーいきこえなーい」

栞子「……(呆れ)」

遥 「三船さんとわたし、何だかんだ知り合ってちょっと経つ訳だし、これを機に更なる親密性の向上を図りたい!」

栞子「なら後で一緒に自習室……」

遥 「却下します」

栞子「あなたね」

遥 「お願いします。三船さんと同じ環境で、同じ負荷を受ける事で、何か得る物がある筈なのです」

遥 「そのためにも何卒、近江遥、近江遥を三船さんのハウスに……」

栞子「選挙カーか」

.

209名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 00:27:50 ID:xf0qQFuI

遥 「お願いします……! 何でもします……!」🙇

栞子「だーかーら……」

栞子「…………」

遥 「…………」🙇

栞子「はあ……分かった。まあ正直、私も近江さんの成績は不安だったから」

遥 「!」

栞子「私で良ければ見てあげる。その代わり、今度の定期で結果出さなかったら酷いからね」

遥 「やったーい!」

遥 「……」

遥 「酷いとは?」

栞子「さあ? その時に乞う御期待って事で」

遥 「ぬぐっ……が、頑張るぜ!」

栞子「その意気その意気。何でもするって言ったからね、あなた」

遥 「こ、近江遥は過去を振り返らない」😼キリッ

.

210名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 00:28:32 ID:xf0qQFuI

遥 「この合宿を通じ、近江遥は優等生に生まれ変わってみせる」

栞子「はいはい」

遥 「頼りにしてるよ三船さん」

栞子「任せなさい。私、割と人に教えるのは得意なんだから」

遥 「おおー」

栞子「……で、本心は?」

遥 「三船さんの家どんなのか気になります!」

栞子「そんなこったろうと思ったわ!!」

会長「呼んだ?」

栞子「ないです、ごめんなさい……」

会長「静かにね」

栞子「はい……」

遥 「やーい怒られた」

会長「…………」

遥 「ごべんなざい……」

.

211名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 00:32:21 ID:xf0qQFuI
>>198
そんな深くシリアスに潜る事はないので安心してね

>>199
何とか完結まではこぎ着けたい

212名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 09:33:03 ID:HMCXcRic
急になにかと思ったわw
ランジュも出るのかなこれは

213名無しさん@転載は禁止:2023/07/01(土) 23:41:09 ID:ywxN01d.
───受け継がれる愛


-虹ヶ咲学園 普通科特進(FB)1年教室-

  ざわ…    ざわ…

     ざわ…     ざわ…


菜々「そもそも作中にプリキュアが1人だけっていう案は過去にあったものなんですけど、震災の煽りを受けて一度は立消えになっちゃった背景がありまして」

歩夢「そうなの? え、震災ってあの?」

菜々「です。震災のあった翌年に“1人で孤独に戦うヒロイン”はどうなの、って事で色々と計画が見直されて───」ペラペラ

歩夢「あー……そういう感じのね」

菜々「はい! で最終的に、その年は当初と真逆の“5人で力を合わせる”コンセプトに落ち着いた経緯があるんですよね」ペラペラ

歩夢「へえー……じゃあこれも、その企画のリベンジを今になって、っていう事なのかなあ」

菜々「まさに! そういう事なんですよ! いや公式は何も明言してないんですけど、ファンとしては本当、遂に来たか! って感じで!」

菜々「しかもタイトルが……もう原点作に喧嘩を売ってるとしか思えませんって、こんなの」

歩夢「“ふたりは”に対する“わたしは”って事なんだね」

菜々「そうなんですよ! しかも予告PVを見るに敵組織は小さい女の子向けアニメを原作とするものにあるまじき───」ペラペラ

🚪<ガラッ!

彼方「へーい歩夢チャーン!」

菜々「ッ!?」

彼方「おっ、菜々チャンもおるやん」

歩夢「わっ……彼方先輩?」

.

214名無しさん@転載は禁止:2023/07/01(土) 23:42:38 ID:ywxN01d.

彼方「あーごめんごめん驚かした? 今度から静かに登場しようね」

歩夢「大丈夫ですけど……何か御用ですか?」

彼方「そーよ。あーちょっと1個お願いなんだけど……どっちかジャージ貸してくんない?」

歩夢「ジャージ……?」

彼方「せやせや。申し訳ないんだけど、この後の体育で使うんだよー」

彼方「昨日の朝、確かに洗濯したんだけど……うっかり鞄に入れとくの忘れてたっぽいんだよねー」

彼方「今日グラウンド授業だから、この寒さで半袖短パンは流石にキツくってさ」

菜々「……すいません、私のは今日は無いですね」

歩夢「あ、じゃあわたしが貸しますよ。ロッカーに予備の置くようにしてますので」

彼方「おお! いやー助かるよ歩夢チャーン。今度モンエナでも奢ったげるね」

菜々「あ、いいな」

歩夢「あはは、お気持ちだけで大丈夫ですよ」😅

菜々「えっ」

彼方「あらそう? 遠慮せんでいいのに」

歩夢「あ、じゃあ待っててください、いま取ってきますので」

彼方「ごめーん、感謝感激よ」

菜々(もんえな……)😫

彼方「後で無理矢理にでも渡すから、歩夢ちゃんにくれるよう頼んでみな」

菜々「な、何も言ってないです!」

歩夢「?」

……………………

……………………

.

215名無しさん@転載は禁止:2023/07/01(土) 23:47:33 ID:ywxN01d.

歩夢「はい、これです」

彼方「おうセンキュー」

彼方(すげー良い匂いするんだが)クンクン

歩夢「ナチュラルに嗅がないでくださいよ!」

菜々「でも、どうして先輩ここまで借りに来たんですか?」

彼方「んー?」

歩夢「あ、そうですよね。ここLD科から離れてますし」

彼方「おう……ははは、悲しいことに彼方ちゃん、LD科じゃ友達ゼロのボッチちゃんだからね」

歩夢「え」

菜々「え」

彼方「冗談どえーす」

歩夢「あらっ」ガクッ

菜々「何なんですか! もう!」

彼方「ここの近く通り掛かったタイミングで、たまたま忘れてるの思い出したってだけよ」

.

216名無しさん@転載は禁止:2023/07/01(土) 23:50:51 ID:ywxN01d.

菜々「でも……それにしたって学年違うとジャージの色も違いますよ? それで授業出たら目立つんじゃ……」

歩夢「そうだよね」

彼方「ははは……彼方ちゃん別に気にしないよ、そんな事」

彼方「それにね君ら、彼方ちゃん達は仮にもアイドルやってるんだよ? そんな目立つ事なんて今更だと思わんか」

歩夢「え、ええ……? それは何か目立ち方のベクトルが違う気が」

菜々「ロックですね彼方先輩……」

菜々「(ボッチだけに)」

彼方「何か言った?」

菜々「あっいえ、さすがは彼方先輩だなあ、と」

彼方「褒めるな褒めるな。まあ彼方ちゃんはそろそろ引退だけどねー」

……………………

……………………

.

217名無しさん@転載は禁止:2023/07/01(土) 23:51:59 ID:ywxN01d.

彼方「んじゃそーゆーことで! 洗って明日に返すねー!」😉

歩夢「お、お構いなく」😅

彼方「しーゆーれいらー」

🚪<ガララ……パタン

菜々「……行っちゃいました」

歩夢「言動がのんびりしてるだけで、実は賑やかな人だよね」

菜々「ですねえ、あれで友達いないは無理がありまくりですよ」

歩夢「大体あの人、果林先輩って友達がいるもんね。言ったら全力で否定しそうだけど」

菜々「あの2人、いい加減お互い素直になれば良いのにって思いますよね」

歩夢「あはは、本当だよね。それで……。……あ、あれ? 何の話してたんだっけ」

菜々「えっ?」

歩夢「ほら1つ挟まるとすぐ忘れちゃう。歳かな」

菜々「やめてくださいよ、私達まだ高校生ですよ……」

菜々「確か……えーと……あれ、何の話してたんでしたっけ」

歩夢「菜々ちゃんもじゃん。わたし達、若年性健忘症コンビだね」

菜々「急にリアルな病名出さないでください! うぐぐ……私は若者……私は若者……」←自己暗示

歩夢(若年性健忘症コンビ……次回の配信で使ってみようかな。例のサジェスト消せるかも)

菜々「えーとえーと……あ、そうだ! 大人向けプリキュアがアマプラ限定で配信される話!」

歩夢「ああっ! そうだったそうだった! もー2人揃っておばさんじゃん」

菜々「私は若者ですもん……あーそれで、確かタイトルが原点作に……」

菜々「……」

.

218名無しさん@転載は禁止:2023/07/01(土) 23:53:50 ID:ywxN01d.

菜々「……」

歩夢「菜々ちゃん? え、どうかした?」

菜々「あ、いえ……ちょっと冷静になる時間があったので」

歩夢「え?」

菜々「よくよく考えたら私、さっきから自分ばかり話してて……」

菜々「その、ちょっと調子に乗り過ぎたかなと」

歩夢「……どういうこと?」

菜々「私、その……アニメの事とか話し始めると際限無く、みたいな所ありますよね?」

歩夢「───」

菜々「彼方先輩を挟んだら、急に自覚が出てきて……それで、ちょっと」

歩夢「……」

菜々「あの、歩夢さん?」

歩夢「あ、ううん、何でもない」

歩夢「なるほどね。もしかして菜々ちゃん、それで友達に引かれちゃった経験があったり?」

菜々「うっ……は、はい、実の所」

歩夢「ふふふ、ごめんね変なこと訊いて」

菜々「い、いえいえ! そんな事は!」

.

219名無しさん@転載は禁止:2023/07/01(土) 23:54:44 ID:ywxN01d.

歩夢「でも、菜々ちゃんの気持ち分かるよ。話したい事が溢れて止まらなくなる時、あるよね」

菜々「え?」

歩夢「何を隠そう、わたしもそうだもん」

菜々「そ、そうなんですか? 歩夢さんも?」

歩夢「うん、気付いたら自分ばっかり話してたりね」

歩夢「でも、そういうの割と誰にでもある部分だから、あんまり気にしなくて良いと思う」

菜々「……そう、言ってくれるのは、嬉しいですけど……」

歩夢「別に菜々ちゃんの顔色とか伺ってる訳じゃないよ? わたしの本心だよ、これは」

歩夢「それに、菜々ちゃんの話って聞いてて元気が出るし、菜々ちゃんがどういう人かも知れるから、わたし嬉しい」

菜々「!?」

歩夢「だから、そんな事は気にしないで、これからも沢山お話してね」😊✨

菜々「……あ、わ」

菜々「……」ササッ

歩夢「あれ……菜々ちゃん? え、どうしたの、急にそっぽ向いて」

菜々「いえ……その」

菜々「すいません……いまの歩夢さん、私には眩し過ぎて直視出来ないです」

歩夢「えええ?」

菜々(この人、本当に元対人恐怖症なのかな……)

.

220名無しさん@転載は禁止:2023/07/01(土) 23:55:22 ID:ywxN01d.

───別れ、の、その先に


かすみ「ヴ……えぅ……」😢

菜々 「おはようござ……うわ」

しずく「あ、おはようございます」

愛  「よっすー。ピーナッツ食べる?」ポリポリ

菜々 「あ、どうも」ポリポリ

菜々 「……どうしたんですか、彼女。何かヘッドホンして泣いてますけど」ポリポリ

愛  「あー……ね。何か時間差で来た寂寥感、だそうだよ」

菜々 「え?」

しずく「“イニシアティブ”を聴いてるんですよ、さっきからずっと」※果林ソロ曲

菜々 「果林先輩の……」

しずく「はい、卒業式の後はスッキリお別れ出来てたみたいですけど……」

愛  「週が明けて部室に来たら、この1年間のこと色々と思い出しちゃったみたいでさ。さっきからずっと、あの調子」

愛  「イニシアティブは果林先輩とデュオで歌った事もあったし、きっと思い出の曲なんだろね」

菜々 「……そういうことですか」

かすみ「うぐ……うぇ……」😢

.

221名無しさん@転載は禁止:2023/07/01(土) 23:57:17 ID:ywxN01d.

愛  「アタシ2番目に部室に来たんだけど、その時からずーっとあんな感じ」

愛  「肩ゆすって、どうしたのって聞いたら……」


───ただの時間差で来た寂寥感です、放っておいてくださいませ


愛  「って」

菜々 「何かキャラ変になってる……でも、そ、そうですか……じゃあ、そっとしておいてあげましょう」

愛  「だね」

しずく「かすみさん大丈夫かな……今日も練習なのに」

愛  「そこは……大丈夫っしょ、かすみ絶妙にクレバーな所あるから」

菜々 「ですね、練習に対してはストイックですもんね。いざ始まればコロッと練習モードですよ、多分」

しずく「信頼度が凄まじい……」

愛  「ここに入るために虹ヶ咲を受けた、なんて豪語された側とすりゃね」

菜々 「試しに練習開始のチャイム鳴らしてみます? 即座にヘッドホン放り出しますよ」

しずく「や、やめたげてください、怒られますよ」😅

かすみ「ぐすっ……ひっく」🎧🎶

.

222名無しさん@転載は禁止:2023/07/01(土) 23:57:59 ID:ywxN01d.

愛  「3人いないだけで、本当に静かになるもんだよねぇ」

しずく「もう2人の喧嘩も、エマ先輩が何かやってるのも見られないんですもんね……」

菜々 「な、何かやってるって何ですか」

愛  「あー……そういやエマっちって、いつも何かやってたもんね……」

菜々 「分からないでもないですけど……でも、もう少し他に無いんですか表現的に」

しずく「一度、部長さんから貰ってプラモデル作ってた事ありましたよね、あの……ええと、あの大きいの」

菜々 「VF-31AX“カイロスプラス”!」キリッ

しずく「な、名前までは憶えてないですよぉ」

愛  「あー、あったね。接着剤が指に付いて半泣きになっててさ」

愛  「……あれ今どこにあるんだろ。持って帰ったのかなエマっち」

しずく「他にも発掘恐竜やってたり、スライムで遊んでたり……」

愛  「あと一時期ネット麻雀にハマってた事もあったっけ」

菜々 「ありましたありました。本当、何事も全力でエンジョイする人でしたよね」

愛  「最初の頃、2人で横浜まで遊びに行った事あって、その時に聞いたんだけど……ずっと憧れてた土地らしいんだよね、この国」

愛  「だから、滞在してる間は楽しくて仕方なかったんだと思うよ」

しずく「何か妙に嬉しくなっちゃいますね。日本に住む1人としては」

愛  「ねー」

.

223名無しさん@転載は禁止:2023/07/02(日) 00:00:09 ID:Fbp8BXWI

かすみ「ぐす……えぐっ」🎧🎶

愛  「ちなみに横浜には、雑誌に載ってたベーカリー目当てで行ったんだけど……」

しずく「えっ!? もしかしてそのベーカリーが……」😲

愛  「かすみん家じゃないんだなあ、これが」😁

しずく「あらっ」ガクッ

菜々 「愛さんはもう……意味も無くそういう事しますよね」

愛  「だはは……あー、かすみはまだ泣いてるね」

しずく「果林さんの曲、もう何ループ目なんだろ……」

菜々 「そういえば果林先輩、勉強見てあげたり、かすみさんには何かと良くしてあげてたみたいですよね」

彼方 「赤点連発者同士、ほっとけなかったんだよ。あいつ昔はマジのドベだったからね」

愛  「え」

菜々 「……私も話には聞いてましたけど……果林先輩って本当に勉強が苦手だったんですね」

.

224名無しさん@転載は禁止:2023/07/02(日) 00:02:19 ID:Fbp8BXWI

しずく「私の知ってる果林先輩は、あまりそんな感じしませんでした」

彼方 「そう。あいつ1年の頃ずっと勉強で苦しい思いしてたから。かすみちゃんに同じ苦労を背負わせたくなかったのさ」

菜々 「果林先輩が……」

彼方 「当の自分は体調崩して人に迷惑掛けて……どこまでもアホだった癖にね」

しずく「そうだったんですか……でも、お優しい人だったんですね」

しずく「……」

菜々 「……」

菜々 「かなたせんぱい?」

彼方 「よう菜々ちゃん」

しずく「かな、た先輩?」

彼方 「ハローしずっちゃん」

愛  「……」

愛  「ピーナッツ、食べる?」

彼方 「おっ! せんきゅー愛後輩!」

菜々 「え、えっ!? (💥ガッ)あ痛ッちょあっ!? な、なん、彼方先輩なんで!?!」

しずく「か、彼方先輩!? どうして?!」ガタッ

かすみ「すみませんちょっと静かに……!?」

かすみ「えええ彼方先輩!?」ビクビクッ

彼方 「おう、彼方先輩! 元気してるか皆!」

ガチャ

歩夢 「こんにちはー……え、彼方先輩!?」

部長 「どうした歩夢彼方先輩!?」

しずく「彼方先輩!」

菜々 「彼方先輩!」


  - 彼 方 先 輩 ! ? -


愛 「皆ちょっと落ち着きなって」

璃奈「彼方先輩……」

彼方「いえーい、皆さんお揃いで」ポリポリ

.

225名無しさん@転載は禁止:2023/07/02(日) 00:04:12 ID:Fbp8BXWI

───何でここにいるんですか!? 卒業しましたよね!?

───いやあ、ちょっと特待生の最後の仕事が残ってて

───最後の仕事……?

───来年の1年共に学科代表メッセージを残さなくちゃならないんだけど……

───間抜けなことに、先生がそれウッカリ忘れてたみたいでねー

………………

………………


愛 「はは、まさか彼方先輩が来るとは。別れの余韻ブチ壊しだよ」

愛 「でも、これで今度こそ、明日から7人だけになっちゃうね……」

璃奈「……うん」

愛 「璃奈は寂しい?」

璃奈「……」

璃奈「ううん、寂しくない」

愛 「お?」

璃奈「もう二度と会えない訳じゃないし……それに」

璃奈「皆がいるから」😊

愛 「……」

愛 「へへ、そっか」😁

.

226名無しさん@転載は禁止:2023/07/02(日) 00:09:22 ID:Fbp8BXWI
>>212
ごめん
出す予定ない

227名無しさん@転載は禁止:2023/07/02(日) 02:12:39 ID:wY8v3qUY
突然の復活

228名無しさん@転載は禁止:2023/07/04(火) 10:25:40 ID:v3e57M62

───だって女子ばっかだし気は遣うし


愛  「夏はガリガリ君に限るね!」

エマ 「すいかばー❤ すいかばー❤」

📲♪

***************


朝香果林 :この時期いちご練乳氷あるわよね? あれで

かなたそ :完熟マンゴーのアイスバーよろ

かす☆みん:ラムネバーを所望します

桜坂しずく:チョコモナカジャンボお願いします

宮下AI :あずきバーとかじゃなくて?

桜坂しずく:チョコモナカジャンボお願いします!😡

NNNA :アイスの実カフェオレ味!無ければぶどう味で!

ぽむさん :あいすくりん最中

宮下AI :それ高知限定だわ!

ぽむさん :じゃあバニラのワッフルコーンで

R!NA :スイカバー食べたい

EMMA.V :あ、わたしと同じだ❤

R!NA :❤

宮下AI :❤

R!NA :💔👋

宮下AI :😭

***************

.

229名無しさん@転載は禁止:2023/07/04(火) 10:27:40 ID:v3e57M62

ミーンミンミン…


-セブンイレブン 学園前店-


愛  (あいつから返ってこないな……アタシと同じで良いか)

愛  「エマっち日本の夏は好きかい」

エマ 「あんま好きくないです……」

愛  「愛さんもー……」

愛  「でも虹ヶ咲学園は最高だね、どの部屋もエアコン完備だもん」

エマ 「学園の夏は好きです!」

愛  「愛さんも! 戻ったら涼しい中で練習とかいう天国が……」

店員A「御会計¥(#値下げしろ全日本)です」

愛  「あっはい、ペイペイで」📱

店員A「かしこまりましたー」

.

230名無しさん@転載は禁止:2023/07/04(火) 10:28:40 ID:v3e57M62

<アリガトーゴザイマシター

ミーンミンミン…

愛 「うわ暑ッ!? 外あっつ!? ヤバいヤバい、早く部室に戻らないと皆のアイス溶けちゃう」

エマ「早く戻ろうね」

愛 「うん……うわ見てよ、外気37.8℃だって……まさに酷暑」😳

エマ「国書?」

愛 「酷い暑さで“コクショ”ね」

エマ「あえ……えーと……“猛暑”じゃないんですか?」

愛 「どっちでも同じだよ。好きに使えば良いの」

エマ「日本語難しいです……」

愛 「分かる」

愛 「アタシもモスクワから日本に来たての頃はそう思ってた」

エマ「そうなんだ」

エマ「……」

エマ「……えっ!? 愛ちゃんロシアに住んでたの!?」

愛 「生まれも育ちも豊島区巣鴨でーす」

エマ「……」イラッ

愛 「エマっち?」

エマ「ッ! な、何でもない! 何でもないよ! もー愛ちゃんてばあ」

愛 「?」

エマ(危ない危ない……ここではエマは優しい子……簡単には怒らない子……)🌀ミョンミョン

.

231名無しさん@転載は禁止:2023/07/04(火) 10:29:54 ID:v3e57M62

-虹ヶ咲学園 スクールアイドル同好会部室-

愛 「ふー焦ったぁ……早いとこ冷凍庫に入れちゃおこれ」

エマ「ひゃー練習前なのに汗びっしょりだよぉ。エアコン付けて良いかな」

愛 「多分もう付けられると思うよ。でも涼しくなるまで暫く温風が出てくるだろうなあ」

エマ「うぐっ……で、でも天国のためなら」ピッ

エアコン:冷房運転を開始します

愛 「うわっ……」😵

エマ「な、生温い風がぁ……」😣

愛 「が、我慢だぞエマっち……暫くすれば、涼しい中で皆とアイスの時間が待ってるからな!」

エマ「ううう……もうYシャツ脱ぎたいよぉ」←汗だく

愛 「そ、それはアカン! 特にエマっちは!」

エマ「脱ぎたいよぉ……ベタベタやだよぉ」😭

232名無しさん@転載は禁止:2023/07/04(火) 10:31:06 ID:v3e57M62



                                _、<(>''~:\/: : : \/: : : : : /\: : : / \: : : :/\ /  / ///, ::::|
                           lニニ,、<(>''~\/ : : /\: :..:.:/\: : : /: : : \/ : : : \/: : : /  / /  /:/, :::|
                         _、<\>''~\: : : /\ /: : : \:/: : : \/: : : : : /\: : : :/\: :/  / /// : /,::::|
  ミーンミンミン…                _、<(_>''|: : :\: / : \/: : :/\: : : :/\: : : :/\: : : /: : : \:/: : : :/  / /..::.////,: :|
                  _,、<(>'''~: : |: | |\: :.\: : :/\:/: : :.:\/: : : :\:/: : : \/: : : : : /\: :./  / /// :.://:|:::|
               _,、<(>''~: |\ |: : :|: | |: :| \: :.\: : :/\: : : :/\: : : :/\: : : :/\: : : /: : : :./  / /: : ///:.:.:/:|:::|
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二二| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄丁|二| ̄ ̄| ̄|¨|-‐|…'T¨|二ニ=||‐ |\: .:.:.:|三三三|二ミ| |.:.:.:|_|,,.. ⊥ -一 |'' ~ ̄|ミト|ミ|Tr────''"´ ̄
   ̄|          ||¬iー┬┴┬::|-‐|…'T¨|二ニ=||‐ |/\__|三三三|  |\|´|_|,,.. ⊥ -一 |'' ~ ̄|ミト|ミ|:::| |工工工工工工
__|_____..|..|  |  | :| ̄ ̄|-‐|…'T¨|二ニ=||‐ |アアアアアアニ|  |  |=|_|,,.. ⊥ -一 |'' ~ ̄|ミト|ミ|:::| | |::::::| |二二二
/\  /\   /\ ̄ ̄/\ ̄\‐=ニ二:|__「二| ̄「| ̄「l<ニニ|  |  |: |_|,,.. ⊥ -一 |'' ~ ̄|ミト|ミ|:::| | |::::::| |::::::::::::::::
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233名無しさん@転載は禁止:2023/07/04(火) 19:20:55 ID:llUCYmBo
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234名無しさん@転載は禁止:2023/09/11(月) 23:56:04 ID:bYssF/66

愛 「Foo! やっと少し涼しくなってきたね!」

エマ「うう……まだ汗で気持ち悪い」

愛 「そうだねー……練習で流す汗は気持ち良いくらいなのに」👜;ガサゴソ

愛 「……お、あった。シート使う? 小さいやつだから顔しか拭けないけど」

エマ「ありがとー❤❤❤」😍

愛 「喜びっぷりが凄まじいなオイ」

エマ「あっ……ご、ごめんね、今度から校内でも持つようにする」

愛 「お、おうアタイ別に怒ってるわけやないよ」

.

235名無しさん@転載は禁止:2023/09/11(月) 23:56:49 ID:bYssF/66

エマ「顔サッパリ❤ でも身体ベタベタのまま……」😣

愛 「そっちは練習に入れば気にならなくなるって。それに練習後のシャワー、きっと極楽だよ」

エマ「それもそっか」😆

愛 (表情コロコロ変わるな)

───校内にいる生徒の皆さん、夏い中での部活動、お疲れ様です

───体調に注意して、健やかな一時を過ごしましょう

愛 「お、そろそろ皆も来る頃だね」

エマ「皆とアイス♪ 皆とアイス♪」

愛 「はいはい、もう少しだからね……あー、やっとマシになった」

エマ「アイス♪アイス♪」

愛 「そんなに楽しみか」

エマ「うん!」

🚪<ガチャ

部長「あれ、早いな」

愛 「おーっす、ガリガリ君でいい?」

部長「いや何の話だよ」

エマ「部長サンお疲れー」

部長「先輩も暑い中ありがとうございます」

エマ「いえいえ♪」

.

236名無しさん@転載は禁止:2023/09/11(月) 23:57:36 ID:bYssF/66

…………

…………

部長「え、アイス?」

愛 「そうだよ……アンタ本当に個人アカの反応薄いよね。アイス買ってくるから何にするかって送ったのに」

部長「え、マジで? じゃあ俺あずきバー」

愛 「遅いわ! もう買っちまったよ! 大人しくアタシとガリガリ君をガリガリしろ」

部長「なんてこった……でもありがたく貰う」

愛 「冷凍庫の中に入ってるから皆が来たら一緒に食おうぜ」

エマ「皆とアイス❤」

愛 「……さっきから変に拘るね? エマっち」

エマ「うん! わたし夏の日本で大勢の友達とアイス食べるの夢だったの!」

愛 「随分ピンポイントな夢だね!?」

エマ「好きな小説にそういうシーンがあって、ずっと憧れてたんだ!」👜ガサゴソ

エマ「ほら見て、風鈴もある! これ吊っておけば、もっとアイス美味しくなるんだよね!」🎐

部長「それは初耳なんですが……」

愛 「本当エマっちってアタシらより日本人してるよね」

.

237名無しさん@転載は禁止:2023/09/11(月) 23:58:38 ID:bYssF/66

部長「……え? てゆーか、もしかして俺も頭数に入ってます?」

エマ「もちろんだよ?」

部長「えー……ハードル高ェ」

愛 「?」

愛 「あ、もしかして女子ばかりの中でアイス食べんの恥ずかしいみたいな?」

部長「ぐ」

愛 「はははっ全員アンタが集めた癖に情けないねー」😁

部長「うっせえ! 9:1だぞ当たり前だろ!」😠

エマ「恥ずかしくなんかないよ部長サン! 皆、部長サンのこと大好きだから気にしないで!」

部長「……」

愛 「見なよエマっち、美人に優しくされてキョドッてる(笑)」

エマ「愛ちゃん! 意地悪ダメ!」

部長(後で憶えてろコイツ……)

🚪<ガッチャ!

かすみ「っひゃあ゙あ゙涼しい゙ィ゙!!💢 かすみのアイスはどこですか!!💢💢」

愛  「いや開口一番それかよ!」

.

238名無しさん@転載は禁止:2023/09/11(月) 23:59:33 ID:bYssF/66


🎐チリン



.

239名無しさん@転載は禁止:2023/09/12(火) 08:38:28 ID:hVMOFrWI
まさかの更新

240名無しさん@転載は禁止:2023/09/17(日) 11:49:09 ID:kqEqPCqw

───没ネタ供養、最も外れた“微ギャル設定”


しずく「ええ! ナンパですか!?」

愛  「そーなんだよねー」

愛  「この前、歩夢と渋谷に行った時に……何と2人揃って誘われちゃったよ」

しずく「大丈夫だったんですか!?」

歩夢 「だ、大丈夫だよ……こうして今ここに居るんだから」

しずく「あ……そ、そういえばそうですね(恥)」

彼方 「ナンパねぇ……漫画だけの話だと思ってたけど、そういうの本当にあるんだねー」

愛  「うん、本当に漫画で見るような、古くさーい感じのナンパだった。 “お茶しなーい?”って」

歩夢 「あー……もしかしたら、あの外見で相当なオジさんだったのかもよ?」

愛  「うわ一気にキモくなった」

.

241名無しさん@転載は禁止:2023/09/17(日) 11:49:35 ID:kqEqPCqw

しずく「でも、何か変な事とかされたり言われたり……」

愛  「……された?」

歩夢 「あんまり、そんな感じの事は無かったよね」

愛  「だよね。普通にランチ誘われたくらい」

彼方 「典型的やん」

歩夢 「え?」

愛  「何が?」

彼方 「付いていかなくて良かったねー。それ実は危ないパターンだよ」

かすみ「というと?」

彼方 「簡単には逃げられない状況を作る口実なんだ」

彼方 「店の絶妙に奥まった席、楽しいランチの最中……男が何の脈絡も無く、万札数枚をギュッと握らせてきて───」

歩夢 「!」ゾワッ

愛  「うわぁ(笑)」

かすみ「ぎゃああああああキモいキモいキモい無理無理無理!!」ゾゾゾゾ

しずく「彼方先輩そういうの急に出すのやめてくださいよ……」←鳥肌

彼方 「はっは、失敬失敬(笑)」

かすみ「なーに笑ってんですか! 本気で背筋に来ましたよ!」ゾクゾク

歩夢 「つ、付いてかなくて良かったね、本当に」

愛  「ねー」

.

242名無しさん@転載は禁止:2023/09/17(日) 11:50:04 ID:kqEqPCqw

歩夢 「でも……あれかな。わたし達って、そんなに遊んでそうに見えるのかな」

かすみ「いやいや、愛先輩はともかく歩夢先輩は別にそんな事ないですよ」

愛  「おい!」

しずく「そうですよ」

しずく「軽そうに見えたとかじゃなくて、歩夢先輩がそういうのに慣れてなさそうに見えたから、行けると思ったんじゃないですか?」

歩夢 「え」

しずく「きっと、その人は愛先輩より手頃な相手と決め付けて歩夢先輩を狙ってたんですよ」

歩夢 「えええ……失礼ここに極まれり」

しずく「本当ですよね」

愛  「おいコラ、まるで愛さんは慣れまくってるみたいな言い方やめろや」

彼方 「いや、そうとも言えねえかもよ。もしかしたらそのおじさん(確定)ギャル好きなのかも」

かすみ「え?」

しずく「え?」

彼方 「まあナンパ男の考えなんて分かったって何の得も無いけど……」

彼方 「厳然たる事実としてさ、歩夢ちゃんて同好会じゃ愛後輩に次いで派手そうじゃん。見た目の話」

歩夢 「えっ!?」

彼方 「性格云々は別にしてね」

歩夢 「え、えええ!? そんな事は───」チラ

しずく「…………」

かすみ「…………」

歩夢 「ないよね!? わたし地味でしょ!?」

彼方 「諦めーや」

愛  「髪色、ピアス(小さいけど)、アクセ。派手っちゃ派手だね」

歩夢 「ガチギャル星人にまで派手って言われた!」

愛  「何なん君らさっきから」

.

243名無しさん@転載は禁止:2023/09/17(日) 11:53:15 ID:kqEqPCqw
(※璃奈とかのあれは漫画的表現ということで)



彼方 「別に知らなくても無理は無いよね。歩夢ちゃんエゴサとかしなさそうだし」

歩夢 「エゴサ?……確かに精神に悪そうなのでした事ありませんけど」

歩夢 「急に何の話ですか?」

かすみ「ああ、もしかしてあれの事ですか。知らないんです? 歩夢先輩と愛先輩のコンビが何て呼ばれてるか」

愛  「あー……あの」

歩夢 「え、わたしと愛ちゃんにコンビ名なんか付いてるの……? 嫌なんだけど」

愛  「おい」

歩夢 「でもわたしと愛ちゃんなら……普通に幼馴染コンビとか」

彼方 「虹学ギャルコンビ」

歩夢 「にじがくぎゃるこんび!?」

しずく「虹学ギャルコンビ……」

かすみ「あれ、しず子も知らなかった?」

しずく「うん。そもそも私ネットとか殆ど見ないから……」

かすみ「な、なるほど……」

.

244名無しさん@転載は禁止:2023/09/17(日) 11:53:41 ID:kqEqPCqw

歩夢 「ぎゃる!? わたしファンからギャル認識されてるんですか!?」

彼方 「その筋で、まことしやかに」

歩夢 「まことしやかに!?」ガーン

愛  「まあ、ぶっちゃけ他メンバーと比べて髪色が明るくて、アタシと頻繁に組んでるから、ってだけな気もするけど」

愛  「つまり、ほぼ愛さん補正だね」

歩夢 「それだけの理由でぇ……?」ゲンナリ

しずく「確かに……ありますよね、そういうの」

しずく「黒髪ロングってだけで思考の古臭い清楚キャラにされたりとか」シミジミ

彼方 「いや、しずくちゃんは清楚でしょ」

しずく「え」😓

歩夢 「うん、しずくちゃんは清楚だよ。特に古臭くはないと思うけど」

愛  「寧ろ清楚しかないっしょ、って感じだね。たまに茶目っ気あるのも清楚」

かすみ「下手したら国で保護されるレベルの清楚」

しずく「そんな!?」😨

.

245名無しさん@転載は禁止:2023/09/17(日) 11:54:25 ID:kqEqPCqw

しずく「最近メイクも変えたのに……」😢

かすみ「ドンマイしず子」

歩夢 「うう……で、でも! ピアスして髪ちょっと染めてるくらいでギャルなんて……」

彼方 「分かってないね、歩夢ちゃん」

歩夢 「え……」

彼方 「世間からしてみりゃね、結局は“見てくれ”だけが答えなんだよ」

彼方 「“そう”見えるから“そう”に違いない。もしかしたら違うのかもしれないけど、(視界の範囲の)皆が納得してるし本人達も何も言わないから“そう”で良いだろう」

彼方 「悲しいけど、それが解釈ってものなのさ」

かすみ「ですよ歩夢先輩。きっと彼らの中にも、本当は“いや歩夢ちゃんはギャルじゃないだろ”って思ってる人もいるんです」

歩夢 「……理不尽だよぉ」

愛  「髪は染めてるしピアスもしてる。外見だけならアタシに次いで派手だし、そのアタシと仲良いから、歩夢はギャルだろう、そういう程度の認識なんだよね。確かに理不尽ではある」

歩夢 「違うもん……わたしギャルじゃないもん……遊び慣れてなんかないもん……」

しずく「先輩、仲間はここにいますよ」

歩夢 「……しずくちゃん、ちょっと今から金髪にしてこよっか」

しずく「い、嫌ですよっ!」

かすみ「自分から目線を逸らさせるつもりですか歩夢先輩……」

.

246名無しさん@転載は禁止:2023/09/17(日) 11:54:50 ID:kqEqPCqw

彼方 「それに、まだ君ら2人は良い方じゃん」

歩夢 「?」

彼方 「彼方ちゃんと果林ちゃんが何て呼ばれてるか、教えてやろうか?」

歩夢 「彼方先輩と果林先輩……」

歩夢 「……あ、“漫才コンビ”とかですか?」

彼方 「ははは、それがねぇ───おい何で分かった」

愛  「それは……うん、何となく分かるっしょ」

かすみ「ですね」

しずく「あはは……」

彼方 「解せぬ」

.

247名無しさん@転載は禁止:2023/09/20(水) 00:05:13 ID:BQY4p3ng

―別の日―

歩夢「……」📱ポチポチ

歩夢「……」📱




─────────────────────
🔍 上原歩夢           ×│🎙 🔍
─────────────────────
🔍 上原歩夢 ソロ

🔍 上原歩夢 配信 出演情報

🔍 上原歩夢 彼氏 誰

🔍 上原歩夢 彼氏いない

🔍 上原歩夢 私服 地雷系

🔍 上原歩夢 宮下愛 ギャルコンビ

🔍 上原歩夢 宮下愛 幼なじみ

🔍 上原歩夢 父 警察官

🔍 上原歩夢 嫌い



歩夢「……」

歩夢「ああああああ……」

歩夢「見るんじゃなかった……」

.

248名無しさん@転載は禁止:2024/01/31(水) 04:52:13 ID:NOnxthG6

女性「社長、いま宜しいですか?」

男性「どうしました?」

女性「お電話が入っています」

男性「? はあ、どこからです?」

女性「息子さんから、なんですけど」

男性「ええ? ……ああ、またか。対応ありがとうございます。まったく大樹の奴、今度は何をやらかして」

女性「いえ、そちらではなくて」

男性「は?」

女性「若葉くん……の方から、なんですが」

男性「……」

男性「何かの間違いでは」

.

249名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 16:28:47 ID:sKxQrAwM

───青春


-私立星条中学校-


瑞希「ハロー、あらら随分と絞られたみたいだね」

愛 「……先輩」

瑞希「うわ声ひっく。こりゃガチな感じか」

愛 「……だいじょうぶ」

瑞希「どこがだよ、そんな項垂れて。まー酷い話だよね、愛は何も間違った事なんてしてないのに」

愛 「……」

瑞希「そもそも普通に考えりゃ分かりそうなもんだけど、平気で人を虐める連中を部に置いとくリスクの方がヤバいだろって」

瑞希「ねえ?」

愛 「……3年生は、何て?」

瑞希「んーまあ愛が言われた事と大体変わらないと思うよ? 退部させろとか何とか。空気と感情で物言ってる奴ばっか」

瑞希「そうやって腕のある人間を追い出して、その後の事なんて多分ちっとも考えてないんだよね。顧問も何か言えば良いのに」

愛 「……」

.

250名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 16:31:50 ID:sKxQrAwM

瑞希「でもとりあえず、安心だけはしといてよ。愛の事は絶対に退部なんてさせないから」

愛 「え」

瑞希「当たり前でしょ? 愛が辞めさせられちゃ星条バスケ部お先真っ暗だし、後腐れヤバすぎだし」

瑞希「何より友達じゃん、あたしら」

愛 「!」

瑞希「正直、主にアホ連中のせいで分の悪い展開になるだろうけど……それでも、あいつらみたいなのばかりじゃない。愛の事ちゃんと評価してる人達も沢山いるからね」

瑞希「だからさ、瑞希先輩にも少し頑張らせてよ。じゃなきゃ、大体こんなのあんまりじゃんか」

愛 「……あり、がとう」

瑞希「辛気臭いなあ……もう下ばっか向いてないでよ、ほら」

瑞希「ほい! いつもみたいに!」

愛 「あ、ありがとう」

瑞希「上を向いて元気に!」

愛 「ありがとうございます!」

瑞希「いいね」👍

瑞希(……とは意気込んだけど、これから大変になるなぁ。はてさてどうするとしましょうか)

.

251名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 16:32:16 ID:sKxQrAwM

部長「あの……」

瑞希「ん?」

愛 「あっ」

瑞希「……君は?」

部長「1年の五十嵐です。すみません、宮下さんがここに居ると聞きまして」

部長「その、盗み聞くつもりはなかったんですけど」

瑞希「あらま、聞かれちゃった? 恥ずかしいトコ見られちゃったね。え、愛に何か用?」

愛 「先輩、この人が」

瑞希「ん? ああー……もしかして例のカップ……ごほん、被害者2人の片方の子ね」

部長「そうです……」

瑞希「ごめん、口滑ったとはいえ無神経過ぎた。マジごめん」

部長「い、いえ、大丈夫です」

.

252名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 16:34:23 ID:sKxQrAwM

部長「で、宮下さん」

愛 「えっ!? は、はい!」

部長「この場で言うのも何だけど、まずは本当にありがとう。歩夢のこと庇ってくれて」

愛 「あっ……う、ううん! そんなこと気にしないでよ! あれはアタシが勝手に……やったことだし」

部長「仮にそうだとしても、俺達は本当に救われた。いくら感謝しても足りないくらい」

部長「歩夢も少しずつだけど立ち直ってきてる。向こうも宮下さんに感謝していた。普段あんなだけど、割と話は出来る子なんだ」

瑞希「ほら、評価してくれる人いたじゃん。良かったね」

愛 「あ、えと……その」ムズッ

愛 「そ、それほどでもあるぜェ」

部長「えっ?」😓

瑞希「こら、また悪い癖が出てる」😠

愛 「だって恥ずかしいんだもん……」😳

部長「???」

.

253名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 16:35:07 ID:sKxQrAwM

部長「ええと、それで本題なんですけど」

瑞希「あーそういえばそうだったね。結局どうしてここに?」

部長「実は俺、ここに来る前から知っていたんです。俺達に代わって、今度は宮下さんがクラス内外で嫌な扱い受けてるの」

部長「部を辞めさせられそうになってるとかは、いま初めて知りましたけど……」

愛 「……」

瑞希「うんうん、そうなの。参ったよね本当。君らを虐めてた連中の中に、うちの部長の身内がいてさ」

部長「それで───」

瑞希「そうなの。経緯スッ飛ばして愛を辞めさせろの一点張りよ」

瑞希「しかも顧問は殆どダンマリ、他の部員も知らんぷり、これぞ正に八方塞がり……どうしようムカついてきたよ」

愛 「せ、先輩」

瑞希「ごめん、大丈夫。でもそういう事。これが全大常連こと星条中学バスケ部の正体だったんだよ」

部長「でも先輩は宮下さんを?」

瑞希「そうだよ。あたしは全面的に愛の味方」

瑞希「あ、さっきも言ったけど別にあたしだけが愛側って訳じゃないよ? ちゃんと正しく状況を見てるのも何人かはいる」

部長「……そうですか」

254名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 16:35:45 ID:sKxQrAwM

瑞希「それで? 本題ってのは?」

部長「……」

部長「単刀直入に言って俺に……正確には俺の力じゃないんですけど、その……宮下さんの力にならせてほしくて」

瑞希「!」

愛 「え?」

部長「俺、宮下さんに思い出させもらったんです。大事なこと」

愛 「え……え? アタシ?」

部長「あの時の宮下さんの姿を見たら、何だか今まで足踏みしてた自分が馬鹿らしくなってきて」

瑞希「んー何かよく分からないけど、要するに君はあたしらの味方になりたいって事? だよね」

部長「はい」

瑞希「……」

.

255名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 16:36:16 ID:sKxQrAwM

自分の中に、前へ進む意思の力があったのに

その手に、振るえるだけの力が握られていたのに

手の中の力で助けられるものがあるのに……俺は黙ったままでいた

宮下愛と俺達2人に、同じクラスに在籍している以上の関係は無かった

はっきり言って赤の他人

なのに、この結果は何だ

俺は、どこまで行っても臆病者で、立ち向かう事も出来ず……大事なものを傷付け続け

そうして今度は、その赤の他人に助けられ、挙げ句それすら傷付ける事になって

……

256名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 16:36:54 ID:sKxQrAwM

俺は何をしているんだろう

こんな結果を招いてまで、尚も動かないでいるつもりなのか

もう迷ってなんかいられない

もう後悔したくない

……だから、俺は

それが、どんなに格好悪い事でも、他力本願であったとしても

自分や自分の大事なもの

その大事なものを守ってくれた、見ず知らずの彼女に誇れる自分になりたい

と、思った

.

257名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 16:38:49 ID:sKxQrAwM

父親「久しぶりだな……一体どういう、風の吹き回しだ?」

若葉「……お久しぶりです、父さん」

若葉「実は───」

.

258名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 16:54:34 ID:sKxQrAwM

───愛「んごっ……うぅん……」💤


-神奈川県鎌倉市 桜坂邸-

母親 「よいですか、しずく」

しずく「はあ」

母親 「まず誤解の無いよう先に述べておきますが」

母親 「私達も、娘が新たな分野に挑戦しようとする事、それ自体は大いに賛成なのです」

父親 「そうだね、昔から君は、面白そうと見るや何にでも挑みたがる子だった」

父親 「それにスクールアイドルも、今になってやろうとする者がいるのは実に面白いと思うよ」←若干世代

母親 「私達も、当時は少しばかりスクールアイドルを見聞きする機会がありました」←Not世代

母親 「話を聞くに安全面も問題ないようですし……娘があの世界に身を置くのも、まあ面白いかもしれません」

しずく「…………はあ」

母親 「しかし! それとこれとは別問題!」

母親 「何なのですこの衣装は? 多少は目を瞑る気でしたが、これは度を越しています!」

父親 「流石に見過ごせないね、こういう……その、露出の行き過ぎた物を着た娘が衆目に晒されるのは……」

母親 「あなた御覧になって! ちょっと動いたら下着が見えそうよ!」チラッチラッ

母親 「何ということかしら!」チラッ! チラッ!

父親 「おお……これは……なかなか……」

しずく「何ということかしら! じゃあないんですよ!!!」

しずく「何でそれ着てるんですか! お母様が!?」

.

259名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 16:55:38 ID:sKxQrAwM

母親 「年頃の娘の部屋に入るのに、ノックを失念。それは明確に母の非です……しかし!」

しずく「何スルーしてんですか!」

母親 「その年頃の娘が! このような破廉恥な装いに身を任せ! 人生に禍根を残すのを見過ごしてはおけません!」

父親 「若いからこそ弾けたい、その気持ちは理解するよ。しかし、度というのはどうしても越えてほしくないんだ」

しずく「今まさに度を超えた光景が展開されてますよ!? 娘の視覚上で禍根が刻まれてますよ!?」

しずく「興味本位で着たわたしがバカだった!! 出来る事なら過去に戻って自分を殴りたい!!」

しずく「ついでに中須も!」

.

260名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 16:57:19 ID:sKxQrAwM

母親 「繰り返しますが、私達はあなたのスクールアイドル志望に賛成です」

父親 「だけど、それは健全な部、健全な活動である事を条件に、だよ。分かるね?」

しずく「…………」

母親 「その通り! 桜坂の者が、このような装いで衆目に曝される事など! あってはなりません!」

母親 「それは正に失態! 末代までの恥と形容すべきもの!(キャルンッ)

母親 「外に出る前に現場を押さえられて、幸いと言う外ない!(キャルンッ)」

しずく「…………」プルプルプル

母親 「歴史ある桜坂の娘として!(キランッ) 極めて嘆かわしい事なのですよ!(キャピンッ)」

しずく「何がなのですよだ! 今すぐそれやめろっ!!」

母親 「……何のことです?」

しずく「取ってんだよ! ポーズを! さっきから感嘆符1個ごとに! 何がしたいんだよ40代後半ァ!」

父親 「ごめん、もう少し目線こっちに貰えるかな」📷

母親 「テンアゲかしら?」

父親 「超テンアゲだよ!」📷❇

しずく「わたしはテンサゲだよ撮るな! 桜坂の看板にヘドロぶちまるな! 消せ今すぐ!」

.

261名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 16:58:46 ID:sKxQrAwM

しずく「それに! その衣装は同好会の物じゃないんです!」

母親 「……はい?」

父親 「そうなのかい?」

しずく「そうですよ! 大体、学校の部活で、こんな公序良俗に反しかねない物を使える訳ないでしょう!」

しずく「それは中須……お友達が悪戯でわたしの鞄に入れやが……入れた物です! 決して同好会で使うものじゃありません!」

母親 「……真実ですね?」チラッ

しずく「誓って真実です。いかがわしい事をする同好会ではありません」

しずく「どさくさでスカート捲ろうとするな」

父親 「……」📷❇

しずく「撮るな!!」

.

262名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 17:01:05 ID:sKxQrAwM

母親 「何だ、そうだったの」

しずく「わたしも興味本位で試着する愚行は犯しましたけど、決して人前で着るつもりはありませんから」

しずく「だから、もう不毛な説教は終わりにしましょう。本当に疲れるので」

母親 「あらいやだ……恥ずかしいわ。こんな大仰な説教を投げておいて早とちりだなんて」

父親 「僕たちも半分パニックになってしまったいたね」

しずく「いえ……いいんです」

しずく(恥ずかしいのはアンタの格好だよ。そしてパニックなんて可愛いレベルじゃねーよ)

父親 「……では、これは遠慮なく母が貰って」

しずく「脱げ! 今すぐ!!!」グイーッ

母親 「きゃー!? あ、あなた向こうを向いてて!」

父親 「はわわっ!? し、しずく駄目だよ! 女性の衣服を急に脱がすなんてっ……!」チラチラ

しずく「黙れ馬鹿共! もうやめて! 娘の精神を破壊しないで!! 助けてオフィーリア!!」

しずく「くっそ何でコイツこんな肌綺麗なんだ40代後半の癖に!」

兄  「……」

姉  「……」

兄  「向こうに行こう……こんな所に入ったら病気が悪化してしまうよ」

姉  「そうですね……」

しずく「兄さん! スルーしないで助けてよぉ!」

.

263名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 17:01:44 ID:sKxQrAwM

璃奈(愛さん、魘されてる……?)

璃奈(そろそろ起こした方が良いかな)

.

264名無しさん@転載は禁止:2024/03/20(水) 22:29:31 ID:ZWWSonOU
待ってたよ

265名無しさん@転載は禁止:2024/04/10(水) 19:06:01 ID:ObJ/5U02

-虹ヶ咲学園 女子寮-

エマ「ほ、本当に撃っちゃったの!? パパったら……相変わらず無茶するんだから」

エマ「それで、ソフィア達の方は何て?」

弟 :そっちは相変わらずかな、エマがいなくて平和だとか

エマ「あはは……やっぱりね」

弟 :気にするな、意地を張ってるだけだ。本当は寂しくて仕方ない筈だよ

エマ「分かってる。でも……やっぱり少しだけ心配もしちゃうなぁ」

弟 :エマこそ相変わらずの心配性だな

エマ「お互いさまでーす。ガブリエルこそ、わたしがいなくて寂しくなーい?」

弟 :……寂しいに決まってるよ

エマ「じゃあハグしに帰国してあげよっか?」

弟 :ば、馬鹿を言うな!

.

266名無しさん@転載は禁止:2024/04/10(水) 19:07:50 ID:ObJ/5U02

弟 :でも、その感じだと日本には慣れたのか?

エマ「うん、もう最高だよぉ。皆とても優しいし、面白い人ばかりだし。素敵な所だよ」

エマ「そうそう、この前なんか学校見学会で仲良くなった子と、その日にヨコハマまでお出掛けしちゃったんだ!」

弟 :学校見学? ……ああ、来年に入学してくる人達のか。こんな早い時期から始まってるんだな

エマ「うん! アイちゃんっていうんだけどね、とっても優しくて楽しい子! オバカだけど!」

弟 :へえ?

弟 :…… ……オバカだけど?

エマ「うん!」😊

弟 :そ、そうか……

エマ「今度、機会があったら紹介してあげるね」

弟 :どんな顔して会えば良いんだ……

.

267名無しさん@転載は禁止:2024/04/10(水) 19:10:54 ID:ObJ/5U02

エマ「じゃあ、もうそこの角曲がれば部屋だから、そろそろ切るね」スタスタ

弟 :ん、分かった。またな

弟 :皆に伝えておく事あるか?

エマ「伝えておく事なんて決まってるよぉ。喧嘩しないで、元気で過ごして」スタスタ

弟 :はは、そうだった。エマも次に会うときまで元気で

エマ「うん!」

エマ「でも本当、ガブリエル達には心配───」⤵クルッ

倒れ伏す果林「   」

エマ「ばっひょ」

弟 :?!?!

.

268名無しさん@転載は禁止:2024/04/10(水) 19:11:38 ID:ObJ/5U02

倒れ伏す果林「   」



        エマ「ひええぇぇっ?!」ズザザザザ

弟 :ッッ!? どうした!? 何かあったのかエマ!!



        エマ「ひ、ひと、ひとがっ! ひと、死んっ、でるっ!」

弟 :な、何だって!? すぐ警察を───

倒れ伏す果林「いき……てる……わよ」ピクピク



        エマ「あ、よかった生きてた」

弟 :ええ……

.

269名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:34:36 ID:pE3pKmD6

───果たして愛先輩アイドルモードは出るのか


女子K「ねえねえ、桜坂さんだよね! さっきの誰!?」

しずく「はい?」

女子K「あ、私同じクラスの」

しずく「ああ……失礼」

しずく(でっか)チラチラ

女子K「どしたの?」

しずく「い、いえ!」

女子K「……? まいいや。んで、さっきの人って誰なん!?」

しずく「さっきの?」

女子K「話し掛けられてたじゃん2年生の男子から! もしかして彼氏とか……」

しずく「あ……ち、違います! あの人は……」

しずく「ええと、何というか……そう、スカウト? の人で」

女子K「スカウト……?」

しずく「はい、部活の勧誘です。ちょっと書類の不備の事で話してて」

女子K「なーんだ、彼氏じゃないの……」ガックシ

しずく「あはは……」

しずく(何でそんな残念そうなんだろう)

.

270名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:35:10 ID:pE3pKmD6

女子K「そういえば聞いてるよ桜坂さん。スゴいんでしょ、水泳とか陸上とか受賞歴」

女子K「あと演劇だっけ? 何か凄いコンクールで優勝したんだよね?」

しずく「ま、まあ……そこそこですね」🚶スタスタ

女子K「謙遜しちゃってぇん」🚶スタスタ

しずく(自然に付いてくるな、この人……)

女子K「やっぱ噂は流れるもんなんだよね、私もバレー経験あるんだけど、やってたの小学生の頃なのに声掛けられたもん」

しずく「はあ……」

女子K「一体どっから仕入れてくるんだろね? こわいわー虹ヶ咲こわいわー」

女子K「で、あの人は何部の人? 水泳? 陸上?」

しずく「……いえ、2つとも違います」

女子K「あら? すると……やっぱ演劇部」

しずく「いえ、それでもなくて」

女子K「ちゃうの?」

.

271名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:35:43 ID:pE3pKmD6

女子K「じゃあ何の部活だったのさ?」

しずく「…………」

女子K「桜坂さん?」

しずく「ええと、“スクールアイドル”って御存知ですか?」

女子K「ほ?」

しずく「スクールアイドル」

女子K「す、すく……アイドル?」

しずく「あはは、やっぱり知らないですよね。もう十何年も前に流行ったらしくて、まんま部活でアイドル活動するみたいですよ」

女子K「す、す……すく」カタカタカタ

しずく「当時は本当に凄く流行ったみたいなんですけど、何年かして資金力格差とか色々な問題が出てきて───」

女子K「スクドル部にスカウトされたの!?」

しずく「わっしょい(驚愕)」

.

272名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:36:05 ID:pE3pKmD6

しずく「びっくりした……」ドクンドクン

女子K「ご、ごめん。でも桜坂さんスクドル部だよ?! ヤバいっしょ!」

しずく「ヤバい……とは」

女子K「もしかして桜坂さん知らないの? ちょっと前に朝のニュースでミニ特集されてたんだよ、そのスクドル部!」

しずく「え、えええ。そうだったんですか」

女子K「スカウトの人、そんな話してなかったの?」

しずく「いえ全く……」

女子K「何で言わないのさ……?」

しずく「さ、さあ」

女子K「ユーチューブにチャンネル開設されてるから見てみなよ、普通に一動画万単位で再生されてるよ!」

しずく「へえー……全然そんなの知らなかった。確かに珍しい部活だなって思ったけど……」

.

273名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:36:32 ID:pE3pKmD6

しずく「実はわたし、あなたの言う通り、元は演劇部に入るつもりでいたんですけど……」

しずく「その……スカウトさんの話を聞いてみると、スクールアイドルって少し楽しそうで」

女子K「え、じゃあ演劇部は……」

しずく「はい。ちょっと欲張りさんですけど、演劇部と兼部でやってみようかな、と」

女子K「…………」

しずく「どうしました?」

女子K「いや……いや兼部て」

しずく「そうですが、何か変ですか?」

女子K「斜め上過ぎる返答が来た……てっきり演劇部は辞めるものかと」

しずく「辞めませんよ? きっと大変な生活になるでしょうけど、わたし演劇も好きですから」

女子K「いやあ大変どころじゃないっしょ多分。桜坂さん大丈夫なの、倒れたりしない?」

しずく「大丈夫! 昔から“体力底無しずく”って言われてきましたから!」💪

女子K「そ、そこなしずく……」

しずく「それに、やりたいと思ったら何でも徹底的に取り組み着る主義なんです!」

女子K「……」

しずく「挑戦したいものが多いなら、それに越した事はないですからね」

女子K「はえー……凄えわ桜坂さん。挑戦心の塊やん。純粋に尊敬だわ」

しずく「そ、そうですか?」

女子K「でも絶対あんた、その内どっかからストップ掛かるべ。ドクターとか家族とかから」

しずく「そうかなあ」

女子K「そうだよ……ほどほどにした方が良いよ」

.

274名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:37:02 ID:pE3pKmD6

女子K「でも、結局そういう人こそ端から見てたら応援したくなっちゃうよね」

しずく「そんな……」

女子K「んー……よし。したら、私が桜坂さんのファン1号ってやつになる」

しずく「えっ?」

女子K「はい決定。もう決まりました。良いよね? 答えは聞いてないけど!」

しずく「え、あ……い、良いというか、わたしまだ入部すら済んでないんですけど……」

女子K「でも、入部するんでしょ?」

しずく「そ、そうですけど」

女子K「なら無問題やん! こういうのは早いほど良いって相場が気まっとん」

しずく「えええ……」

女子K「縁(えにし)ってやつだよ。こうして互いに知り合ったんだから、大切にしていこうぜ!」

しずく「縁……」

女子K「……ええと、あかんかな?」

しずく「……いえ、そうですね、では、ファンお願いします」

女子K「しゃっ! お願いされた! これからよろしくね! あ、ファンだけじゃなくて友達としても」

しずく「あはは、勿論」

女子K「……所で、ファンってお願いされてなるもの?」

しずく「……」

女子K「……」

しずく「ふっ(笑)」

女子K「あははっ!」

.

275名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:37:28 ID:pE3pKmD6

しずく「でも……な、何か変な感じですね。わたし達、さっき話し始めたばかりなのに」

女子K「気にしない気にしない。私コミュ力には自信あるからねー」

女子K「…………」

女子K「そーだ、コミュ力っていえば、桜坂さん知ってる?」

しずく「え?」

女子K「スクールアイドル同好会に宮下愛って人がいるんだけど」

しずく「宮、下……」

女子K「おりょ、知らない? その人がね、もう───すっっッッごいカッコいい人なんだよ……」

しずく「そ、そんなに」

女子K「そう!! そんなに!」ズイッ

しずく「近いです……」

女子K「私ちょっとしたファンなんだよぉ……! 綺麗に染めた金髪で、優しい口調で、配信の時も気配り上手な雰囲気が凄いし、それにクールで美人で」

女子K「しかも校外でも有名なコミュ力お化けらしくて、噂だと本当に友達100人いるとか!」

しずく「な、なるほど……?」

女子K「桜坂さん部室に行ったんだよね、なら会ったんじゃないの!? どんな感じだった!?」

しずく「金髪で、優しくて、気配り上手で、クールで美人で……」

……………………

……………………

.

276名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:38:27 ID:pE3pKmD6

-スクールアイドル同好会 部室前-


部長 「じゃあ、そのパンフは差し上げますね。……それでなんですけど」

しずく「?」

部長 「すいません、スカウトさせてもらった傍から申し訳ないんですが、色々と規約があって正式な部員じゃないと部室には入れられないんですよ……」

しずく「ああ……はい、それは大丈夫です」

部長 「ありがとうございます……」

部長 「じゃあ、ちょっとここで待っててください。契約書類と、あとサンプルメディアとか持ってきます。書類はお持ち帰り頂きまして、御自宅で記入してきてください」

しずく「あ、はーい」

部長 「では……」

ガチャ

愛 「おっつー…… (扉閉まる) あれ、今の新入りの人?」バリボリ

🚪<「おう、その予定。えーと支給品カタログの在庫どこ置いたっけ」

🚪<「カタログならデスクの上の棚で見た気がするけど」ゴクゴク

🚪<「マジか。そんなとこ仕舞ったっけ」

🚪<「んで? もう採用は確定なの彼女」

🚪<「半分以上はな。とりあえず今日の所は書類とか渡すだけ……っておい!? その品川巻き俺の分だろが!」

🚪<「はえ? あー、ごみんごみん。つい腹ペコで」バリボリ

🚪<「ごみんじゃねえよ取っといたのに!」

🚪<「……おい待て生茶も飲みやがったなテメェ!?」💢

🚪<「あちょ、ごめ……あいったたたた! き、気安くレディのカラダに触れおってぇ……!」ギチギチ

🚪<「ほざけオラ!」

しずく(……)😓

.

277名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:39:15 ID:pE3pKmD6

……………………

……………………

しずく「…………」

しずく「うーん、金髪の人はいたけど、その宮下愛さんじゃないと思います」

女子K「あらホント? 不在だったのかな」

しずく「部長さんと、その人と……他には多分いなかったと思います。その時は」

女子K(……あそこ他に金髪の人いたっけ。上原先輩も近江先輩も金髪とは違うし……)

しずく「どうかしました?」

女子K「ううん、何でも」

女子K(そういえば裏方で色々やってる人達がいるんだっけ。そこの人かな)

女子K「とにかく、男女問わずヤベーくらいファン多いんだよ宮下愛!」

しずく「そうなんですねー。宮下愛さんか……どんな人なんだろう」

しずく「今度、部室に行ったら見てみます」

女子K「どんな感じだったか教えてね!」

.

278名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:41:18 ID:pE3pKmD6
───女子FのFは普通科の普通の人のF


女子F「あなた近江さんだよね?」

遥  「最初に言っておく!」👉💥

女子F「へっ」

遥  「同好会メンバーのサイン! その他関連品の譲渡は、イベント以外では一切! 駄目!」👐

女子F「……」😓

遥  「むん!」😤フスーッ

ーーーーーーーーーーーー✂

───

───

🎬

女子F「あなた近江さんだよね?」

遥  「な、何でリテイクするの!?」

女子F「別にサインとか貰いたい訳じゃなんだけど」

遥  「ありゃ?」

279名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:42:35 ID:pE3pKmD6

遥  「い、いらないの? サイン……」

女子F「別にいらない」

遥  「……じ、じゃあ……」

遥  「わたしの鞄の、へなちょこ果林ちゃんアクキー(姉手作り)が欲しいとか……」

女子F「普通にいらない」

遥  「いらないの!?」ガーン

女子F「そんなショック受けられても」

遥  「なんということだ……はっ!」

遥  「で、では……もしかして、最近おめー調子こいてんだろ屋上来いよ的な……」ガタガタ

女子F「違う、もう喋らないでいいから人の話を聞いて」

遥  「……」

女子F「はい、じゃあ最初の質問だけど、あなた近江遥さんでしょ?」

遥  「……」

女子F「……」

遥  「……」

女子F「ごめん、喋っていいよ」

.

280名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:43:25 ID:pE3pKmD6

遥  「はい! 近江彼方の妹、近江遥と申します!」🙋

遥  「僭越ながら生徒会役員など務めさせて頂いております! わたしに何か御用でしょうか!」

女子F(何でこんなテンション高いの……)

女子F「あーその、ね……これなんだけど」📃スッ

遥  「ほい?」

・歯科検診日程告知

遥  「……」

遥  「これわ?」

女子F「いや書いてあるでしょ、歯科検診の日程だよ」

女子F「近江さん、金曜日は体調不良で早退したでしょ? 私、保健委員だから預かってたの」

遥  「……はあ、御苦労様です」

女子F「はい、確かに渡したからね」

遥  「……」

女子F「用件は以上。じゃ私はこれで───」

遥  「えええこれだけ!? ここまで引っ張って!?」

女子F「そうだよそれだけだよそんだけ! 寧ろ他に何があるっての他に!」😠

.

281名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:43:59 ID:pE3pKmD6

遥  「勝手に……勝手に1人で盛り上がって……こんなの、わたしが馬鹿みたいじゃん!」😭

女子F「……」😒

遥  「な、なんだその目は!」😡

女子F「いや逆に訊きたいわ」

遥  「うっ」

女子F「何で昼間から紙ペラ1枚ごときのために、こんなスタミナ削り取られなきゃならんの」

遥  「ううっ……そ、それは、誠に申し訳なく存じますと言いますか」

遥  「私事になるんですけど……ここに来てから、ずっと姉の事で根掘り葉掘りだったもので」

女子F「まあ、お姉さんの事は私も人並み程度に知ってるけどさ。またその手の者だって思った訳? 」

遥  「うす……」

女子F「色々と言いたい事はある……けどまあ、一先ず事情は分かった」

遥  「お騒がせしました」😢

女子F「いいよもう」

.

282名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:44:37 ID:pE3pKmD6

女子F「ていうか、根掘り葉掘りって質問攻めって意味でしょ? そんなにヒドいの?」

遥  「う、うん、お姉ちゃんの事でね。普段どんな感じなのーとか、どういう話するのーとか……好きなタイプはーとか」

女子F「くだらない……そもそも妹じゃなくて本人に訊けば良いのに」

遥  「あ、あはは。それはそれで凄い度胸」

女子F「あなたも嫌なら嫌ってハッキリ……言えないから困ってるんだよね、そうだよね、ごめん」

遥  「う、ううん、気にしないで」

女子F「本当に大丈夫? クラスで気が休まらないんじゃない?」

遥  「大丈夫大丈夫! 一応、気の休まる場所が無い訳でもないから」

女子F「そう? なら良いんだけど」

遥  「それに」

女子F「ん?」

遥  「丁度いま、クラスに気の休まりそうな場所を見つけたので」ニヒヒ

女子F「……?」

.

283名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:46:14 ID:pE3pKmD6

───中等部、仁義なき受験戦争の果て


男子J「ん」

璃奈 「あ……」

男子J「……」

璃奈 「……」

男子J「昼は食べた?」

璃奈 「う、うん」

男子J「じゃあ今、ちょっと一緒に来れる?」

璃奈 「……大丈夫、だけど」

男子J「ありがとう」

男子J「話があるんだ。ここじゃあれだし、ラウンジまでお願い」

.

284名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:46:49 ID:pE3pKmD6

-虹ヶ咲学園 ラウンジ-


男子A「お? お前どうした? 浮気か?」

男子B「いーけないんだいけないんだ彼女さんに言っちゃお」

男子J「真面目な話してんだよ来んなボケ!」

男子A「うぃー(笑)」

男子B「ごゆっくりー(笑)」

男子J「アホ共が……」

璃奈 「と、友達?」

男子J「俺らと同じクラスの奴らでしょ。外部進学の」

璃奈 「そうだっけ」

男子J「まあ俺も話したの今が初めてだけど」

璃奈 「ええ……」

.

285名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:47:25 ID:pE3pKmD6

男子J「そういや聞いたよ。例のスクールアイドル同好会にスカウトされたんだって?」

璃奈 「う……どこから、き、聞いたの。まだやるとは決めてな、いけど」

男子J「あれ、そうだった? でも、あれだけ目立ってれば嫌でも耳に入るというかね」

璃奈 「ぐ」

男子J「……もしかして、あんま気が進まない感じ?」

璃奈 「……」

男子J「なら、ハッキリ断る選択肢もあるんじゃないの」

璃奈 「───」

男子J「GBの五十嵐先輩でしょ?」

男子J「確かに色々な意味で気後れする相手だよね。でも別に変な噂も聞かないし、正面から断れば普通に折れてくれると……」

璃奈 「……」

男子J「!」ハッ

男子J「ごめん、ごめん。言い辛いなら言わなくていい。深入りし過ぎた」

璃奈 「うん……」

男子J「それに、そんな事を話すのに呼び出したんじゃないしね」

璃奈 「話って……あ、あのこと?」

璃奈 「なん、だよね」

男子J「……うん、そうだよ。中1の時の」

璃奈 「……」

男子J「ここまで言わずに来ちゃったけど、あの時は本当に申し訳なかった」

.

286名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:47:58 ID:pE3pKmD6

男子J「皆あの時は色々とピリピリしててさ……君がどういう気持ちでいるとか考えて……」

男子J「───いや、違うか。分かってるのに無視してたんだ。……本当に、ごめんなさい」

璃奈 「……ううん、い、いいよ」

璃奈 「た、確かに大変な事になっちゃったけど、あの時の中等部は、その、酷かったもん。誰の目、から見ても」

男子J「……それは完全に同意」

璃奈 「少数の嫌な人達のために、全体が迷惑するのなんて……そ、そんなの絶対、間違ってる」

璃奈 「皆のやった事は、間違ってはなかった、と思う……だから、もういい。そ、れに、あれが無かったら、わたしも、今頃どうなってたか、分からない、し」

男子J「……ありが、とう」

璃奈 「…………」

璃奈 「じ、実はね、ちょっと前に、あなた、みたいに謝ってきた人が、いたんだ」

男子J「えっ?」

.

287名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:48:58 ID:pE3pKmD6

───あの時は本当に申し訳ありませんでした!

───許してくれなんて言える立場じゃないのは分かっています!

───でも……このまま何も言わないで終わるのだけは駄目だから……だから!

.

288名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:49:35 ID:pE3pKmD6

璃奈 「って感じで」

男子J「うわー……うわ本当? 格好悪いじゃん俺……」

璃奈 「そ、そんな事はない、と思うけど」

男子J「……でも、その上で謝らせてほしい。本当に申し訳なかった」

璃奈 「ううん、お、大事にはなっちゃったけど、でも今は平穏に学校生活出来てる。だから、も、もう良いんだよ」

璃奈 「それより……ひ、1つ訊きたいんだけど、ね」

男子J「うん?」

璃奈 「……」ポソポソ

男子J「え?」

璃奈 「わ、私みたいな……表情の無い子が、あ、アイドルやる、って……変か、な」ポソポソ

男子J「───別に変とかないでしょ」キッパリ

璃奈 「!」

.

289名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:50:02 ID:pE3pKmD6

男子J「確かに、そういう前例は無いかもしれないし、最初の内は何か言われる、と思う」

男子J「でも、表情が上手く出せない事がアイドルを……だけじゃない、他の何にしても……表舞台を志しちゃいけない理由にはならないと思う」

璃奈 「……」

男子J「先の見えない選択肢は不安かもだけど……」

男子J「少なくとも天王寺さんがアイドルやる事は変じゃない。それだけは本当」

璃奈 「……そう」

男子J「そうだよ」

璃奈 「……そっか」

男子J「なんて俺如きが偉そうに講釈垂れたけど……はい、回答としては以上、です」

璃奈 「ううん、ありがとう。す、少し気が楽になったかも」

男子J「本当? ……なら、うん。良かったかな」

男子J(あれ、何でこんな話になってんだ……まあ、いいか)

璃奈 「……」

璃奈 「し、正直わたし、五十嵐……部長先輩にスカウトされた時……全然、わ、訳が分からなかったの」

男子J「どういうこと?」

.

290名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:50:30 ID:pE3pKmD6

璃奈 「だって……そうでしょ。わ、わたし、顔の事、が無く、ても、性格は明るくないし……そ、そんな可愛い訳でも、ない」

璃奈 「声だって、小さいし……」

男子J「いくらなんでも卑下し過ぎだと思うけど」

璃奈 「……」

男子J「俺の主観、天王寺さんは容姿的には優れてると思うし、さっきも言ったけど別にアイドルやって変だな、なんて思わないよ」

璃奈 「そう、かな」

男子J「そうだよ、変じゃない変じゃない。……ぶっちゃけちょっと見たい気もするな、天王寺さんのアイドル姿」

璃奈 「……嘘」

男子J「いや割とマジで」

男子J「うんまあ、いきなりで戸惑うのは分かるけどさ……少なくとも五十嵐先輩っていう、天王寺さんの適性を見出した人が確かに居るんだから……やりたいって気持ちがあるなら、信じて進むのも悪い事じゃ思うよ?」

璃奈 「適正……」

璃奈 「わ、わたしに、本当にあったのかな、そん、なのが」

男子J「無いのにスカウトされるとは考えられないでしょ(笑)」

男子J「それに五十嵐先輩の実家って───」


───ランチタイムの終了時刻です。各自、次の授業の準備を……

.

291名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 18:51:05 ID:pE3pKmD6

男子J「……」

璃奈 「……」

男子J「そういう感じで」

璃奈 「締まらないなあ」

男子J「はは、ごめん」

璃奈 「へへ」

璃奈 「でも、うん……じゃあ、考えてみる、よ。考えて……も、もしそうなったら、頑張って、みる」

男子J「そっか」

璃奈 「うん」

男子J「じゃあ、また後で」

璃奈 「うん、またね」

.

292名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 19:00:44 ID:pE3pKmD6

-虹ヶ咲学園-


瑞希「ハローハロー」👉ツンツン

部長「え? ……あっ!?」

瑞希「よっ! 遅くなったけど入学おめでと。おうおう、たった数年で伸びたね身長」

部長「み、瑞希先輩!? ……ですよね!? どうしてここに!」

瑞希「ふふっ歩夢ちゃんに劣らず良い反応。今日は東雲学院バスケ部として来たんだよ、これから合同練習」

部長「あ、ああ……なるほど。バスケ部でしたね、そういえば」

瑞希「聞いたよ、何か面白そうな事やってるみたいじゃん? スクールアイドルだっけ」

部長「あ、あはは……僭越ながら部の舵取りの方を」

瑞希「見たよ公式チャンネルのMV。……いや予想より六段くらい上のクオリティ行ってて、ちょっと口開いちゃった」

瑞希「あの曲って殆ど全部、君の作詞作曲なんでしょ? ……初めて会った時は全然そんな感じしなかったけど、君って大概ヤバい子だったんだね……」

部長「き、恐縮っす」😅

.

293名無しさん@転載は禁止:2024/04/20(土) 19:09:02 ID:pE3pKmD6

部長「というか先輩、歩夢に会ったんですか」

瑞希「一応さっきね。何かスタイル良い人と歩いてたよ」

部長(果林先輩かな)

瑞希「声掛けた途端に悲鳴上げて逃げられたけど(笑)」

部長「……ん、まあ、そうでしょうね。先輩があんな事すれば誰でもそうなりますって」

瑞希「ふふふ、やっぱバスケだね。バスケは全てを解決する。歩夢ちゃんもバスケの神に掛かればあんなもんよ」

瑞希「すっかり明るい性格になってくれて、特訓した身としては鼻が高くなっちゃう」

部長(代わりに別のトラウマが生えてきたわ)

瑞希「いやあ、何か思い出しちゃうな。あの頃は4人で本当に楽しかった」

部長(後でメンタルケアしといた方が良いかな)

部長「それで、あいつの方には会ってないんですか?」

瑞希「あいつ? ……ああ愛の事。愛は……今は会わなくてもいいかな別に」

部長「え、どうしてです」

愛 「ビデオ通話を含めれば今も週2くらいで会ってるし」

部長「……なるほど」

.


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