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ロシア・韃靼・ユーラシアスレ

1110とはずがたり:2019/01/05(土) 18:02:32
>>1109

高度成長が一転して低成長に
2000年代にロシアは、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の一角として、世界の成長を牽引する存在になると見られていました。プーチン政権自身も、当時は「10年間で国内総生産(GDP)を倍増させる」という意欲的な目標を掲げていました。

ところが、ロシア経済は2008年のリーマンショックで大打撃を受け、その後、一定の回復は遂げたものの、成長が力強さを欠くようになります。ロシアの政策担当者たちは、エネルギー・資源輸出に偏重した既存の経済モデルには限界があり、ロシア国家・経済の近代化が必要だと考えるようになりました。産業構造の高度化と多角化、ビジネス環境の改善を通じた投資の活性化などが、課題として浮上します。すでに述べた、ウクライナなどの周辺国を巻き込んでユーラシア経済連合を形成するという構想も、決して大国主義的な野心だけから出てきたわけではなく(そのような野心があったことは否定しませんが)、経済高度化に向けた布石という意味合いもあったのです。

しかし、ウクライナ危機後の5年間で、ロシア経済を取り巻く状況は一変しました。地政学的な危機が続く中で、低成長が常態化し、ロシアからの資本逃避が続いています。また、当初、直接的な影響はそれほど大きくないと考えられていた欧米による対ロシア制裁が、金融面で威力を発揮し始め、年を追うごとにボディーブローのように効いてきました。特に、トランプ政権成立後のアメリカが、気まぐれに対ロシア制裁を打ち出すようになり、2018年はロシアにとってずっとアメリカの追加制裁に怯えて過ごす年になりました。

2018年5月に4期目の政権をスタートさせたプーチン大統領は、「(2024年までに)ロシアを世界の5大経済大国の1つにし、世界平均を上回るテンポで経済を成長させる」という目標を表明しました。ちなみに、現時点の世界平均の成長率は3.7%程度と見られていますので、ロシアも少なくとも3%台の成長を実現しなければ、世界平均に追い付けません。

現実には、ロシア政府の公式経済見通しによると、2018年の成長率は1.8%、2019年も1.3%に留まると見られています。ロシア政府は、構造改革が実り2021年以降は3%台の成長に移行するとの見方を示しているものの、これは「予測」というより「願望」に近いと言わざるをえません。今のロシアの潜在成長率はせいぜい1.5%程度というのが、ロシア内外のコンセンサスになりつつあります。

ロシアはこの難局を、「強い国家」で乗り切ろうとしています(困った時のロシアの伝統ですね)。政策の重点は、投資環境の改善を通じた民間投資の促進から、国の主導によるインフラ投資にシフトしています。また、政府は産業育成、輸出促進、地域振興に向け、様々な施策を講じようとしています。ただ、ロシア企業や、ロシアでビジネスをしている外国企業に言わせれば、「政府はそんなに頑張らなくてもいい。そんなことより、欧米との関係を修復して、制裁という足枷から早く解放してくれ!」というのが本音なのではないでしょうか。
(服部倫卓 一般社団法人ロシアNIS貿易会・ロシアNIS経済研究所 副所長)

服部倫卓/朝日新聞社


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