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Tohazugatali Medical Review

4896とはずがたり:2017/07/07(金) 14:40:51

2016年12月21日
世界史を変えた新素材
動物が生み出した最高傑作――コラーゲン
佐藤健太郎
http://kangaeruhito.jp/articles/-/1902

■ヒトはなぜ旅をするのか

… ここではないどこかへ、時間を忘れて旅をしたいという思いを持つ人は、何も筆者だけではあるまい。人間という生き物は、みな遺伝子のどこかに漂泊の旅への思いが刻まれているのだと思う。でなければこんなにも、人類が世界の隅々まで広がることはなかっただろう。灼熱の砂漠から南極の果てまで、かくも生息範囲を広げた動物は人間の他に一種もいない。


人類の伝播ルート

 なぜヒトは旅するのだろうか。普通に考えればわざわざ旅などせず、どこか安全なひとところにじっと留まって暮らす方がよさそうなものだ。筆者の勝手な考えを書くなら、あちこち出歩くことを好む人は、新しいものに出会いやすいからではないだろうか。今までになかった優れたものを見つけ出し、活用することが、文明の進展には不可欠であった。

… マット・リドレー著「繁栄」には、その実例としてタスマニア島のケースが挙げられている。この島はかつてオーストラリア大陸と地続きであったが、海面の上昇によって1万年ほど前に本土から切り離された。すると、よそで開発された新技術は入ってこず、持っていた技術も継承者がいなくなるたびに消えていく。結局タスマニアからは、ブーメランや骨製の釣り針、魚とりの罠や衣服などを作る技術が、わずか数千年で失われてしまったという。外部との交流を断たれて自給自足の状態に追い込まれると、進歩が止まるどころか衰退さえ起きてしまうのだ。筋力ではなく頭脳を武器として生きる人類には、過酷な旅のリスクを冒してでも、移動と交流、交易を行なうことが決定的に重要なのだ。

マット・リドレー『繁栄』(早川書房)

 もちろん、好むと好まざるに関わらず、長い旅をしなければならないことも多かった。その証拠として、アメリカ先住民族はほとんど血液型がO型であるという事実がよく挙げられる。彼らは、当時まだ地続きであったベーリング海峡を渡って、アジアからアメリカ大陸に移り住んだ人々の子孫だ。この時の厳しい旅で、たまたまA型やB型の遺伝子を持つ人が減少してしまい、現在に至っていると考えられている。

 なぜ彼らは、こうした過酷な旅に出なければならなかったのだろうか?彼らがアメリカ大陸に渡った約2万5千年前は、地球が経験した(今のところ)最後の氷河期であったのだ。食糧のある新天地を求め、彼らは長くあてのない旅に出るほかはなかったのだ。

 人類はこの他にも、寒冷化による食料危機に何度も襲われており、それを裏付ける証拠もある。人類は、その個体数の割りに、驚くほど遺伝的特徴が均質であることが知られている。数百万年の歴史を経て、70億以上の個体がいる以上、もっと遺伝子に多様な変化が起きていてもよいはずなのだ。

 その原因として、トバ・カタストロフ理論という説が唱えられている。今から7万5千年ほど前、インドネシアにあるトバ火山が巨大噴火を起こした。その溶岩の量は、1980年に起きたセント・ヘレンズ火山大噴火の約3000倍という、途方もない大噴火であった。この時巻き上げられた火山灰は、以後数千年にわたって全地球に激烈な寒冷化をもたらす。人類は、わずかな食料と陽光を追い求め、あちこちさまようはめになったことだろう。

 この時かろうじて生き延びたわずか数千組の夫婦が、現代に生きる全ての人類の祖先になったと考えれば、先に述べた遺伝子の均一性が説明できるという。人類は真に絶滅ぎりぎりの、際どいところまで追い込まれていたのだ。


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