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電力・発電・原子力スレ

2150とはずがたり:2014/04/20(日) 10:55:34
>>2148-2150
 天然ガスは、気体だけに扱いにくいエネルギーでもある。

 米国や欧州など大陸国家は、産出地と消費地をパイプラインで結べばよく、世界の天然ガス貿易の7割はパイプラインでやりとりされているが、島国・日本はそうはいかない。

 主な輸入元であるインドネシアやマレーシア、オーストラリアなどに海底パイプラインを敷設するのは相当無理がある。そこで海上輸送するしかないが、これがコストを押し上げる。

 プロパンガスは圧縮すれば簡単に液化するが、メタンが主成分となる天然ガスは常温で圧縮しても液化しない。このため、マイナス162度まで冷却して液化させ、600分の1に圧縮した状態で専用LNG(液化天然ガス)タンカーで搬送するしかない。産出国側にも液化プラントなどを建設しなければならない。

 そこで「石油価格連動の長期契約」という商慣習ができた。10年を超える長期契約を結び、契約量を必ず買い取る−という買い手にかなり不利な契約だ。しかも調達価格は石油価格に連動する。スポット価格で買うより安価とはいえ、石油の長期的な高騰を受け、この契約により、国際的な平均価格よりずっと高い天然ガスを買い続けなければならなくなった。

 ドイツなど欧州の電力会社も石油価格連動契約を結んでいるケースも多いが、シェールガス革命やアフリカでの天然ガス増産を受け、買い手市場となり、次々に値下げを成功させている。

 ところが、日本だけは、原発停止で天然ガス需要が増大しており、売り手市場のまま。不平等契約の改定は進みそうもない。原発再稼働は天然ガスの安価・安定供給にもつながるのだ。

 備蓄の問題もある。

 石油については、昭和48年の第1次オイルショックを受け、政府は国内備蓄を着々と進めており、民間分と合わせると半年分を常時蓄えているが、LNGは民間備蓄に頼っており、わずか2週間分しかない。輸入元のインドネシアやマレーシア、カタールなどで政変が起きれば、途端に底をつく恐れもある。

× × ×

 明るい兆しがないことはない。

 欧州に中東・アフリカ産の天然ガスが流れ込んだことで、“天然ガス大国”のロシアが危機感を募らせているからだ。

 昨年6月、ロシアの国営企業ガスプロムは、極東・ウラジオストク近郊での日本向けLNG輸出基地の建設構想を発表した。露大統領のプーチンが、首相の安倍晋三と急接近しているのも、資源外交が念頭にあるからだとされる。ロシアからパイプラインが敷設され、天然ガスが安価で安定供給されれば、日本のエネルギー事情は劇的に変わることになるだろう。

 ところが、3月のロシアによるクリミア併合で、ロシアと欧米の関係が急激に悪化。日本政府も欧米に足並みをそろえており、日露交渉は膠着状態に陥ってしまった。再び動き出すには相当時間がかかりそうだ。

 米国のシェールガスが輸入されれば調達価格が下がるとも期待されるが、米国が戦略物資であるシェールガスを安値で供給する保証はない。

 それだけにしばらくは日本の電力各社の国際交渉力が試されることになる。独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構で、長年天然ガス問題を研究してきた石井彰(現、エネルギー・環境問題研究所代表)はこう語った。

 「原発が止まったままでは売り手は強気のまま。電源の多様性は交渉カードなんです。原発10基ほどを早急に再稼働し、交渉能力を上げなければ、せっかくのアベノミクス効果は吹き飛び、日本経済は潰れてしまいかねない」(敬称略)


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