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鉄鋼・非鉄金属スレッド

190荷主研究者:2005/08/08(月) 02:03:41
>>189

【日本冶金工業:高機能ステンレス強化で業績回復 続き】

▽過剰投資で危機

日本冶金工業が経営危機に陥った大きな要因は過剰な設備投資。「ステンレス市場は拡大し続ける」との読みのもと、各社が設備拡張に走った結果、競争激化で製品の価格が下落。日本冶金工業もバブル経済崩壊以降、経常、最終損益ともに赤字が常態化する泥沼にはまり込んだ。

とりわけ重荷となったのは、1990年代半ばに約350億円を投じた川崎製造所(川崎市)の熱延設備の新設。「品質向上にはどうしても必要だった」(佐治社長)とはいえ、単独の売上高が1千億円に満たなかった同社には大きすぎた。

その後、バルブ類など鋳物を生産する金沢工場を99年秋に閉鎖するなど生産設備の見直しを進めたが、行川アイランド(千葉県勝浦市)などレジャー部門も低迷し、経営不振に追い討ちをかけた。01年6月に佐治氏が久々の生え抜き社長に就任して立て直しを図ったものの、結局、筆頭株主でもあるみずほコーポレート銀行への金融支援要請や75%の減資に追い込まれた。

「再建を全うしたい」と職にとどまった佐治社長が再建計画の柱として掲げたのが「高機能材」と呼ばれるステンレス特殊鋼の生産強化だ。電子部品や環境・エネルギー関連の装置に利用され、従来のステンレス鋼板に比べて成長が見込めると考えだ。

問題は、高機能材の製造工程が鋼板よりも複雑なこと。鋼板を作り慣れている製造現場からは「高機能材は難易度が高く、歩留まりも低い」と不満が続出した。まだ需要が少ない時期でもあり、営業部隊からも「本当に注文が入るのか」と疑問の声が上がった。

佐治社長は現場との溝を埋めようと「ランチ作戦」を展開した。昼時に川崎製造所の社員食堂に足しげく出向いて、社員と意見を交換した。1回に10−15人ずつと話し合い、結局、同製作所の約600人の社員に高機能材への生産シフトの意義を説得した。

市場拡大もあり、高機能材の販売は順調に増加した。会社の生産量に占める比率も当初の10%台から05年3月期には34%まで拡大する見通しだ。佐治社長は「経営悪化の要因の1つだった現場とのコミュニケーション不足も解消できた」と効果を説く。

03年4月には川崎製造所と大江山製造所(京都府宮津市)を分社する一方で、「必要な設備の更新や新商品の開発投資は無理してでもやった」(佐治社長)。こうした技術の種まきにより、ブラウン管テレビに使うシャドーマスク材などの事業が生まれた。

▽若手に権限委譲

「何でも若手に任せよう」と権限委譲も進めている。再建計画が前倒しで達成の見込みになったことで、昨年秋から40代前後の社員を各部門から計13人選び出し、06年3月期からの新たな3カ年計画の作成を任せている。

ただ、再建が早まったとはいえ、業績の回復は商品の値上げ効果などのかさ上げによるところも大きい。成長軌道に乗せるにはさらなる新商品の開発などが急務だ。今後、金属分野で世界トップレベルの技術を持つ東北大学などと産学連携も強めていく。

ステンレスは「汚れやさびが少ない」という意味。高機能材の生産比率を「08年3月期までに5割まで高めたい」と意気込む佐治社長は、日本冶金工業をさびのないピカピカの会社に生まれ変わらせることを目指している。(山下和成)


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