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中・長編SS投稿スレ その2
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京都決戦後、事実上復権を果たした悠陽によって彼女は表舞台にでることを許されていた。そしてその初の大任として
この銀河帝国との交渉に加わることになった。少なくない人間が妹に華を持たせたいためではないかと穿った見方をしたが
それは大間違いだった。
(前の世界での彼らの振る舞いから、我々を滅ぼそうとするつもりはないのは判る。
ならば、彼らが何を目的として地球に来たか、これを探るのが我らの仕事になるだろう……)
彼女自身も前の世界の記憶もちであった。よって初めて帝国軍艦艇を見る人間よりは気圧される恐れが無いこと、さらに
身分も高いために交渉団の人間に選ばれたのだ。若さからの未熟を指摘する者もいたが、前の記憶を継承していることで
それもある程度はカバーできている。
だがそれ以上に驚くのは、香月夕呼、そして社霞がいたことだろう。
AL4という国連の計画の中枢を担う存在でありながら、交渉団に彼女が選ばれたときには多くの人間が驚愕した。魔女が
また何か裏技を使ったとの噂が駆け巡ったほどだ。
尤もそんなことなと露も気にかけない夕呼は、霞という切り札と共に交渉団に平然と加わり、今後のことを考えていた。
(彼らが第二のBETAかどうか見極めないと)
夕呼からすれば信じられないほどの航行速度を持つ宇宙船を多数建造したり、BETAを一蹴できる超技術を持つ帝国が
何も野心がないとは思えなかった。
国家である以上、国益を求めてわざわざ太陽系に来たことになる。無償で他国に奉仕する国家などあるはずが無いのだ。
(もしも何かが欲しいのなら、実力で手に入れていることができる。それなのにわざわざBETAを先に掃討した後
交渉に応じるということは実力行使ができない理由があるということ。
軍事的なものか、政治的なものか、はたまた宗教的な理由か。うまく突き止めることができれば何らかのカードになる
かもしれない)
そう考えた後、夕呼はドレスのような軍服を着た霞に顔を向ける。
「私が言うまで何もしなくていいわ。ただし相手が何かしてきたら言って」
「はい」
彼女が霞を同行させたのは意外なことに相手の思考を読むためではなく相手のリーディングを警戒してのことだ。
(さて連中はどんな手を打ってくることやら……)
さすがの夕呼も緊張せずにはいられない。勿論、緊張しているのは彼女だけではなく、交渉団全員に当てはまる。
しかしそんな彼らは予期せぬ歓迎を受けることになる。
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