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Awake

94Awake 7話(10/13):2013/09/22(日) 13:00:30
 確かにネイサンが持っている実際の力では、今までの敵は一人で倒す事は出来なかっただろ
う。
 だが、どんな形であれ打倒しない事にはどの道、ヒューも彼も助かる道は無かった。それな
のにこの期に及んで現在に至った過程を問うのはあまりにも幼く、浅墓にも程があった。
「貴様の両親が、俺の親父と共にドラキュラを封印したと言う事で、目を掛けられているに過
ぎん!それを忘れるな!」
 
 ヒューはネイサンが持っているモーリスに対する恩義を逆手にとり徹底的に詰った。
 それは負の感情にのまれかけている彼の状態で共闘すれば、近いうちに操られてしまい
ネイサンの足手まといになるのは自分でもよく判っていたからだ。
 それならばいっそ彼を傷つけ怯ませてでも追って来ないようにして別行動をとり、自分
の状態を正常に戻す。
 この場合は術者であるカーミラを倒す事だが、説明してもネイサンが自分との共闘を望むのは目
に見えていた。
 現に作戦行動に関してネイサンは何ら間違った行動は取っていない。それなのに己の矜持が
許さず、戦場の真っただ中で妬心さえ曝け出す見っとも無い感情が燻っている。
 ともかく悲愁を帯びた表情を向け、己の根底にある承認欲求に抗う事が出来ないまま激
高した口調でネイサンを詰り、邂逅するも共闘の道をまた自ら放棄したヒューは逃げるように彼の
もとから走り去った。
「上手く諌められない自分の後ろめたい感情が、恩義ある人の血族を守る盾となり損ねた。
 お前の心身を想う事さえ許してくれないのか? もしかして」
 引き留めようと手を翳そうとしたが躊躇して動けず、悔しさのあまり歯を食いしばると、
悲しそうに悔恨の情を醸した顔の双眸には涙が溢れていた。


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