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Awake

57Awake 4話(3/9):2013/09/20(金) 05:54:08
――自分でも矛盾する感情が存在している事は信じられんが、そこは触れないで置こう。
これは俺の心の研鑽とは別の分野にあるから、そこまで考えるのは無駄だ。
しかし、あの「ごめん」という言葉を聞く度に、あいつは単に俺を求めているのではなく、
卑怯にも息子である俺に親父の姿を重ねているのではないかと思っている。

だからと言って己が育てられた恩を穢すのを懼れ、想いを遂げられないからと人の心身を
依代にするその姿勢に腹が立つ! あの臆病者! そんなに親父が欲しければ、死刑を覚
悟してでもぶつかればいい!!
頼むから人をだしにしてくれるな……俺は道化では無い。
その証拠に聖鞭を継承した数日前の朝から俺に唇を重ねる事は無かった。
それはその日から親父の愛情と信頼を一挙に手に入れたからだとしたら……?

馬鹿げている! だが、その考えが頭を過る度に否定していたが奴が継承して半年経って
も指揮系統を誤り、ほうほうの体で戦闘を終わらせる事が多くなって何度死にかけたか!
それに先程ゾンビに囲まれて死にそうな顔で怯えていた奴の顔を見たら、奴が実力で代々
ボールドウィン家に伝わる聖鞭を継承した訳ではないと思い知らされた。
だから俺はあまりの理不尽さに奴を詰った。
む? 奴だと? 俺はいつの間にネイサンに対して奴などと憎々しげな言葉で名指ししている?
憎い訳でも何でも無いのに? 何故? 

 ヒューはそこまで考え己が下種な考えを膨らませている事に嫌悪を感じ、咄嗟に佩いている
聖剣を素早く抜刀し力任せにレンガの漆喰に突き刺した。
 だが、そのような一時の衝動を形にしても感情のわだかまりは消える筈も無く、無作為
に突き立てた剣からの衝撃で両腕が痺れて我に返った。


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