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Awake

44Awake 3話(14/24):2013/09/20(金) 05:43:12
「うぇっ……ひっく」
 俺は道中ずっと小声で泣き続けて唯でさえ周りの行進についていくのがやっとの俺の小
さい足は、これから行なわれることの恐怖で何度も後れを取り、そのたびにヒューは俺の手を
握って遅れないよう引っ張っていた。
 やがて無数の瓦礫が散乱している城跡が見えてくると、村人達の恐怖と忌避の入り混じ
ったどよめきが次第に伝播するように広がる。
「何てこった……瓦礫だらけじゃねぇか」
「死体なんてあるのか?」
「あっても穢れた死体だべ、見つからない方が幸せだ」
 村人達の無慈悲な言葉は逆に見つからない方が残虐な方法で辱められない事を意味して
いたのだろうが、それでも両親が悪事を働いたみたいな言い方をしているように聞こえて
声のした方を向いて俺は睨み付けた。
 しばらくして瓦礫の小山が見え輔祭は師匠を呼び、静かな声で両親の遺体を安置した場
所を教えるように言うと師匠は疲労と情けなさで涙が溢れて来そうになっている澱んだ目
を拭い、怯えと狂気の眼差しで師匠を見つめている村人の間を峻厳な態度で進み出て列の
先頭に立った。
 それから少し離れた場所だったので小声でしか会話が聞こえなかったが師匠が医者に両
親の遺体の状況を説明したようで、まもなく医者は検死を始めた。
「どうだ、先生?」
「……あなたが報告した通り、男性の方は胸部骨折による失血死で女性の方も裂傷による
失血死だ。いや……これは酷い、膝の下から欠損している。はっきり言って私とてあなた
と同じで、ここまで損壊されている遺体でなくとも……」


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