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Awake

154Awake 13話(14/15):2013/10/14(月) 00:35:17
「……そう言えば衝撃波も光線も放出時には背後がガラ空きだった。試してみるか」
 出来るかどうか分からない予測を試してみるには、ネイサンの体力と気力は耐えられないく
らい消耗していたが、それでも何もしないで嬲られるよりは有益だと思い、部屋の中心に
ある足場の中段でカーミラの攻撃を待ち構える事にした。
「正面で戦うつもりか? 私との力の差がまだ解らぬか」
 突進してくるカーミラの嘲りを無視してネイサンは遠隔攻撃の挙動を待ちながら、彼女の本体に
クロスを投擲し、衝撃波を放ったと同時に足場を伝って彼女の後方に移動して攻撃が終わ
るまで聖鞭を振るった。
 彼女の肉体に攻撃した時に打撃音が響き、腐った血液が混じった体液が流れている事か
ら、ネイサンはダメージを確実に与えているのを確信すると、あとは紫弾や突進に気をつける
だけで一定の攻撃で彼女の肉は削がれ、体液を辺り一面に迸しらせることができた。
――攻撃方法がわかったとしても、こいつは体力がある……耐力が相当高い。
 やがて、カーミラの肉が崩れ体中から血を噴き出し、その魔力が微弱なものになった時、ネイ
サンの鼓膜が破れるくらい甲高い咆哮とも悲鳴ともつかない不快な叫び声が上がった。
 それから彼女の全身が浄化の炎によって燃え盛ると、すぐにその体は陽炎のように揺ら
めいた。
 そして、陽炎もその場から消散し強い光がまた空間全体に瞬いた。
 それから間を置かず、光が収束すると打撲痕や裂傷が体中におびただしい数を以って刻
まれ、ペチコートがところどころ裂かれ、焦げた様態で石畳にへたり込んだカーミラが現れた。
 口角から血をとめどなく流し、艶麗な容姿を苦痛に歪ませながらも自分を凝視し、血涙
を流しながら睨みつける灼眼に、ネイサンは勝者とはいえその悪鬼の表情に全身が粟立った。
――これで術者は掃討した。魔力がほとんど感じられない。真祖が消滅するのも時間の問
題か。
 ネイサンはそう考えたが、カーミラはその安堵した表情を見て口角を歪ませると、喉を鳴らす音
を出して吐血しながら彼を馬鹿にした歪んだ笑顔を見せた。


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