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Awake

145Awake 13話(5/15):2013/10/14(月) 00:26:02
セイレーンの発する声を聞いた者は幻視と幻聴に惑わされ海中に引きずり込まれるという。
この城に巣食うセイレーンもまた簡単に海中に引きずり込ませるくらいの力を持っていたが、カ
ーミラはその能力に確かな質量を持った幻視を見せる力を付与した。
 言葉と能力を与えられたセイレーンは歓喜するように、カーミラが命じたターゲットに向かい一斉
に群がると悲鳴のような鳴き声を上げながらネイサンの心に侵入してきたものの、瞬時にネイサン
の下から離れ、彼の攻撃の範囲外まで退避すると、その場で円を描くように飛び回った。
――オ前の心ヲ探シテイル。オ前ヲ求メテ浅マシイ姿デ
――カワイソウ。オ前ニ助ケテモライタイノニ、声ヲアゲラレナイナンテ本当ニカワイソ
ウ。
 セイレーンがネイサンの心の表層に語りかけている隙に、フローズンシェイドが氷弾を放ち追尾してきた。
 逃げ回りながら鋭利な羽根に追尾機能を持たせて武器にしているセイレーンとは違い、本体は
その場から動かないので楽に掃討できたが、進もうとしたと同時にセイレーンがまたネイサンを急襲
して来たため、今度は体勢が取れず交互に繰り出される遠隔攻撃と直接攻撃を躱すのに必
死になり、やがて誘導されるようにネイサンは壁際に押しやられた。
 しばらくの間、激しい波状攻撃による羽搏きでネイサンは視界を遮られたが、羽の隙間から
ヒューの幻が見えた。
 セイレーンはネイサンがヒューの姿を知覚できたのを確認すると、再び手が届かない範囲に逃げて効
力が切れないように、その近くで飛び交い始めた。

「なんでまた、お前がここに……」
 共闘を呼び掛けてもヒューが何度も撥ね退けた事は嫌でも覚えている。そんな彼がこの期に
おいて自分に対して態度を軟化させるとは信じがたいし、間違いなく魔性が見せる幻とは
理解している。


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