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尚六初夜SS「除夜」
1
:
名無しさん
:2007/12/31(月) 00:25:31
年末のご挨拶代わりに置いていきます。
よわよわ尚隆と深刻六太の、六太視点の初夜話です。
ベッドシーンはあるものの、内容的には15禁程度かと。
予定ではもっとメロドラマ度が高かったのですが、
実際に書く前に中盤のかなりの部分を忘れてしまい、結果的に随分湿度が下がりました。
地の文でさらりと流している箇所も、いろいろあったんですが。
でもまあ、最後までくどくど書くより、これはこれでいいかな、という感じです。
書き逃げに投下するつもりでしたが、思ったより長くなってしまったので
邪魔にならないよう単独スレにさせていただきました。
2
:
尚六初夜SS「除夜」(1)
:2007/12/31(月) 00:27:40
「鐘の音が聞こえるな……」
ふと尚隆がつぶやいた。臥室の玻璃の窓の傍らに立ち、夜の闇を透かすよう
に園林のほうを眺めている。真夜中の鐘まではまだ時間があったから、俺は読
んでいた書類から顔を上げて、問いかけるようにあいつを見た。
真冬の深夜。鐘の音どころか虫の音さえ聞こえず、あたりはしんと静まりか
えっている。
俺の様子には気づかぬふうに、相変わらず闇の向こうを見つめていた尚隆は、
ようやっと俺を振り返ると唐突に尋ねた。
「おまえ、除夜の鐘を覚えているか?」
俺が意図をはかりかねてじっと顔を見ていると、尚隆は続けた。
「蓬莱であったろう。大晦日の夜、一年の煩悩を払うために坊主が百八つの鐘
をつく、あれだ」
「ああ……」
俺はようやく合点がいった。もう今年も幾日も残っていないから、蓬莱では
確かにそろそろ除夜の鐘に思いを馳せても不思議はない。だが。
「……覚えているかって言ったら――覚えてないんだろうな」尚隆が尋ねたの
が、こちらの世界に来る前の話であることはわかったのでそう答えた。「そり
ゃ、知識としては知ってるし、実際に除夜の鐘を聞いたこともあるけど、それ
は随分あとになって蓬莱に遊びに行った時のものだから。子供の頃のことは何
となく覚えているような気もするけど、本当はそう思いこんでいるだけなんだ
ろうと思う」
「そうか……」
尚隆はつぶやくと、また窓の外に目を向けた。そうして長い時間が経ったあ
とで、やっと口を開いた。
「鐘の音がな、聞こえるのだ」
「え……」
「おかしなものだな。俺は辛気くさい坊主が苦手でな、朝に晩にやつらがつく
鐘のことは何とも思わなかったのに、この季節になるとな、どこからか鐘の音
が聞こえるのだ」
3
:
尚六初夜SS「除夜」(2)
:2007/12/31(月) 00:31:11
俺はぞくりとなった。尚隆は誰にも聞こえない鐘の音を聞いているのか。深
い深い闇の底から呼ぶものにこいつが引き寄せられているような気がして、俺
は思わず持っていた書類を握りしめた。とっさに笑い飛ばせれば良かったのに、
その一瞬を逃した俺は何を言うこともできず、ただ凍りついているしかなかっ
た。
普段は飄々として見えるくせに、こいつは案外もろい。ある日突然、本人す
らまったく予期せずに、何もかもを、自分さえ壊してしまうような危うさがあ
った。
俺が声を出せずにじっと息を殺していると、やっと尚隆が振り返って俺を見
た。先ほどまでの、妙に静かな横顔の気配は既にない。いつもの顔、見慣れた
昏君の顔だ。俺は詰めていた息をようやく吐いた。
「なに、今夜はやけに冷えるからな。褥でいい女が待っていてくれるわけでも
なし、淋しすぎて幻聴も聞こえるだろうよ」
「あのなあ……」
俺は呆れたように言った。闇の深淵の心象はまだ俺の心を捉えていた。それ
を気取られないように気をつける。尚隆は笑った。
「寒い夜に体をぬくめるには人肌が一番だぞ。何ならおまえが俺を慰めてはく
れんか?」
一瞬、意味をつかめずにぽかんとしたものの、すぐに理解して茫然とする。
いくら戯れとはいえ、こんなことを持ちかけられたこと自体が信じられなかっ
た。
「飢えてんなー」
冗談めかして返したものの、尚隆は何も答えずにこちらを見ているだけだ。
こうやってはかりがたい顔をしているときのこいつの心の内を探ることは不
可能だった。尚隆はゆっくりと俺のほうに歩み寄ると、榻に座っている俺を静
かに見おろした。尚隆を見上げる俺の頬に片手を伸ばして、そっと触れる。そ
の感触の思いがけない暖かさに、俺はうろたえた。
「俺はこれでけっこう優しい男だぞ」
静かな声。俺は追い詰められた心境で何とか言葉を探したものの、何も見つ
からなかった。
4
:
尚六初夜SS「除夜」(3)
:2007/12/31(月) 00:34:25
「……そうしたいのか?」やっとのことでそれだけを口にする。
「ああ」
「男なんか抱いても、つまんねえだろ」
「そうかもな」
そう言いながら、尚隆はじっと俺の返事を待っている。
俺が麟だったら、こいつもこんなことは言わなかっただろう。麒だからだ。
男なら、体を重ねてさえ、たちの悪い冗談で済む。
「おまえがそうしたいなら――」思わず声が震えて目を伏せる。「――いいよ」
闇の深淵から呼ばわる鐘の音に、こいつを取られるくらいなら。
雁がこいつを失うくらいなら。
俺の心がどうなろうと、何ほどのことはない。密かに恋いこがれている相手
に一夜の戯れに抱かれ、単に暖かい褥の代わりにされることなど何でもない。
暗闇に沈んだ露台で、欄干にもたれて頭上を見上げると、満天の星空から星
が降りそそぐようだった。何の根拠もなく、雲海の下は雪だという気がした。
下界で夜空を見上げれば、きっと雪が星の光と同じように降りそそぐのだろう。
音もなくしんしんと降り積もる雪に抱かれて、雪像になってしまえればいいの
に。
俺は裸体に軽く上着を羽織っただけ、しかも素足だったが、すっかり感覚が
麻痺してしまって、凍えるような寒さはとうに感じない。むろん臥室に戻れば
体を温めることができるが、到底そんな気にはなれなかった。
今夜は冷える、と尚隆は言ったけれど、宮城の暖房設備は完璧だ。主な場所
には壁の中の配管に常時湯が流されているから暖かいし、特に王の居室である
この正寝は念入りに暖房がなされている。室内にいる限り寒さなど感じるはず
もなく、薄着でも支障がないほどだ。
でも冷えると言ったのも淋しいと言ったのも、あながち嘘でもないのだろう
と思う。
俺は尚隆が寝入ったのを見計らって、そっと牀榻を抜け出したが、気配に聡
いあいつのこと、普段ならそんな俺の動きで目を覚ますはずなのに今夜は違っ
た。いつもなら狸寝入りということもあり得るが、そういうわけでもないよう
だった。
5
:
尚六初夜SS「除夜」(4)
:2007/12/31(月) 00:36:44
疲れたのだろうか。飽きたのだろうか。
――王であることに。
俺は頭を垂れ、背を丸めるようにして、冷たい欄干に体を預けた。
確かに尚隆は優しかった。だが愛撫は激しく、ある意味、容赦がなかった。
何の経験もなかった俺は、表面上は強がって見せたものの、自然と体が震え
てしまうのまでは止められなかった。何でもない、何でもない、と必死に自分
に言い聞かせながら、臥牀の上で俺の服を脱がせていく尚隆の手を、絶望の思
いで見守っていただけ。
あいつのことだから、そんな俺の様子には気づいていたと思う。困ったよう
に「怯えんでくれ」とささやいたのもそのせいだろう。命令口調だったなら、
却って虚勢を張れただろうに、そんなふうに言われてはうなずくしかなかった。
この体で尚隆をつなぎとめられるならと覚悟していたはずなのに、俺は結局、
わけのわからないうちに途中で泣いてしまった。そのあたりは混乱していて、
よく覚えていない。ただ尚隆が、あやすように俺の名前を繰り返し呼んでいた
ことだけはぼんやりと覚えている。そして俺を抱きしめながら、俺じゃない他
の誰かに向けた優しい言葉を口にしたことも。
俺は、ふう、と息をつき、欄干にもたれたまま自分の肩を抱いた。
尚隆は誰かに傷心で。俺は尚隆に傷心で。傷をなめあうってこういうことを
言うのかな、と考える。
そのとき背後で扉の開く大きな音がして、「何をしている」と驚いた声が投
げかけられた。俺が反応する間もなく、大きな単衫が頭からかぶせられるなり、
それごと後ろから抱きしめられる。
「すっかり冷え切っているではないか」
俺は首を軽く後ろに巡らせて、くすりと笑った。あわてている尚隆を見るな
んて滅多にないことだ。
「目が覚めたらおまえがおらん。どこへ行ったかと思えば――」
「添い寝が必要な餓鬼か、おまえは」
わざと茶化して言う。尚隆が黙り込んでしまったので、俺はこいつに向き直
ると、首に抱きついて接吻してやった。ことさら蓮っ葉に見えるように。
6
:
尚六初夜SS「除夜」(5)
:2007/12/31(月) 00:39:07
おまえが気にすることは何もない。こんなこと、俺は何とも思っちゃいない
んだから。
そんな思いを言外にこめ、俺はひとりでさっさと室内に戻ろうとした。だが
尚隆はそんな俺の体をひょいと抱きあげると、そのまま臥室に連れ戻った。た
だでさえ俺はこいつに比べてかなり小柄だし、体重が軽いとあって、尚隆にと
っては造作もない。
「今度は俺がおまえを暖めてやろう」
少し余裕を取り戻したようで、笑みを浮かべてそんなふざけたことを言った
ので、俺は不満げに鼻を鳴らした。
「それって、結局やることは同じじゃねーか」
「まあ、そうだな」
「そういうの、詭弁って言うんだよな」
「いやか」
また尚隆がちょっと困った顔をしたので、俺はあきれ顔を作って肩をすくめ
て見せた。
「別に」
そうしてまた牀榻に連れ込まれる。今度は大丈夫だ、と、俺は何度目かの覚
悟を決めた。最初のときとは違う。今度は尚隆に何をされるのかわかっている。
泣いたりなんかしないし、だから尚隆に「怯えんでくれ」「泣かんでくれ」と
懇願されることもない。さっきのように蓮っ葉に振る舞うこともできる――た
ぶん。
そんなふうに考えていたのに、いざ臥牀に押し倒されてみると体が震えた。
動きがぎこちなくなって、尚隆の顔を見ることもできなかった。
昔から俺が正寝に泊まることはよくあった。酒を飲んでいい気分で酔っぱら
い、牀榻で尚隆と折り重なるようにしてだらしなく寝ていたこともある。そも
そも尚隆のところへ行くことを目くらましにして、そこから宮城外へ抜け出す
ことも珍しくなかったから、こうして夜中まで尚隆の臥室にいても、まさかこ
いつと同衾しているとは誰も思うまい。
7
:
尚六初夜SS「除夜」(6)
:2007/12/31(月) 00:41:09
とはいえさすがに朝までいるわけにもいかない。女官たちは鋭いから、朝ま
で一緒に過ごしても何もなかった頃との違いを勘付かれる危険があった。俺は
身支度を整えると、露台から使令に乗って仁重殿に戻ろうとした。
「明晩、夕餉でも一緒にどうだ?」
俺を見送りながら尚隆がそう尋ねてきた。俺は内心でどきりとした。夕餉を
ともにして、そのあとにまた――という構図が垣間見えたからだ。
「うまいもん食わせるならいいぜ」
そんなふうに軽く返す。考え過ぎだ。おそらく今回の詫びのつもりなんだろ
う。きっとそれでチャラだ。
俺は「任せておけ」と応じる尚隆に笑って片手を上げ、悧角に乗って正寝を
出た。尚隆の姿が見えなくなったところで、やっと作り笑いをおさめる。今さ
ら泣くものか、と思う。もともと麒麟は王のもの。そのように定められている。
王にどんな無体をされようと、立派に国が治まっている限り、文句を言う筋合
いはない。
むしろ思い出になるじゃないか、と無理やり明るく考える。惚れている相手
に抱かれたんだぞ。未来永劫、絶対にありえないと思っていた奇跡が起きたん
だ、もう少し喜べよ。
新年を告げる鐘が重々しく鳴り響く頃には、きっと以前のように尚隆も元気
になっているだろう。そうして今晩のことはすっかり忘れ去っているだろう。
でも俺は覚えている。ずっと。
すっかり目が冴えてしまった俺は、わずかにうとうとしただけで朝の鐘の前
に既に目覚めていた。しかし起こしに来た女官に少々ぐずって見せ、いつもの
ように眠りこけていたさまを装う。その際に彼女たちの様子を窺ったが、特に
変わりはなかった。朝議の間も政務の間も、ずっと気がかりだったが、俺と尚
隆の間に起きたことを気づいた者はいないようだ。当たり前と言えば当たり前
かもしれない。
俺は極力、普段通りにして見せていたし、尚隆も何も変わった素振りを見せ
なかった。そりゃまあ、あいつのほうは普段から底が知れないところがあるわ
けだが。
8
:
尚六初夜SS「除夜」(7)
:2007/12/31(月) 00:44:21
正寝から正式に夕餉の招待が来ていたから、夕刻になると女官たちは俺の身
支度を整えて仁重殿から送り出した。
だが尚隆がいつも内輪で食事を摂る際に使っているこぢんまりとした房室に
赴いた俺は、室内に入るなり困惑した。派手な装飾のたぐいを嫌う尚隆は、普
段は簡素な外観を好む。だからこそ、特に何もない限りはこの房室を使ってく
つろいで食事を摂るというのに、今日に限っては妙に華やいだ気配に満ちてい
たからだ。
最初に目に入ったのは、壁一面を覆う濃い色の緞帳だった。普段は広い壁が
そのまま見えるのに、襞を綺麗に整えた緞帳が一面に張られていた。
それだけでも仰天なのに、緞帳の端々にも黒檀の食卓にも花が飾られ、甘い
匂いを放っていた。この時期だから、自然に咲いた花ではなく温室で育てたも
のだろうが、そういう花は匂いが薄いのが常だ。なのにこれほど香りが満ちて
いるのは、ふんだんに飾られているせいに違いない。
既に房室にいて俺を待っていた尚隆は、俺を見るなり軽く片手を上げて「お
う。来たな」と言った。俺は同じように挨拶を返したものの、内心ではこいつ
の意図がわからずに動揺していた。
そうこうしているうちに料理が運ばれてきて、あっという間に目の前が皿だ
らけになった。
さすがに俺も尚隆も慣れたが、こっちの世界の感覚は蓬莱と違ってかなり単
純なところがある。豪華というのは往々にしてけばけばしいことと同義であり、
ごちそうというのは量や皿数が多いことと同義だった。ある意味では質は二の
次三の次なのだ。だからもてなしにおいては客が食べきれないほどの量を出す
のが礼儀であり、客のほうもそんな主人の意を汲んで大量に食べ残すのが礼儀
だった。
だが概ね自分のやりたいようにやってきた尚隆は、他国からの賓客を迎える
などといった場合を除き、食卓を豪華にすることを好まなかった。自分ひとり
で食事をするときはもちろん、俺を招く程度ではささやかな品しか並べない。
量も本当に食べられるだけ。とはいえひとつひとつの料理は素材から吟味され
た極上の品であり、見た目は他の者が好むような豪華なものではないにしろ、
味は一級品というものが多かった。
9
:
尚六初夜SS「除夜」(8)
:2007/12/31(月) 00:47:25
蓬莱生まれの俺も、基本的な感覚は尚隆と同じだったから、困惑のままに言
った。
「あのさ……。俺、こんなに食えないんだけど」
「別にかまわんぞ。食いたいものだけ食えばいい。たまにはこういうのも悪く
ないだろう」
「う、うん」
ざっと見渡すと、野菜料理も豆腐料理も俺の好きなものばかりだった。体が
温まる煮込み料理を中心に、蒸しものや餡かけ、麺料理など、いろいろな種類
が並んでおり、漬け物類の中には、この時期に俺が好んで食べる白菜の甘酢漬
けもちゃんと用意されていた。
確かに「うまいもん食わせるなら」とは言ったわけで、その意味では尚隆は
俺の希望に添ってくれただけ。文句をつける筋合いはない。筋合いはないが…
…。
房室の飾りつけといい、あまりの不自然さに俺は居心地が悪かった。どの皿
に箸をつけるか悩むほど好きなものばかりなのに、いっこうに食が進まなかっ
た。
もったいないとは思う。俺は肉や魚は食べられないが、植物だって生きてい
る。その命をもらっているというのに、残してしまっては。
だが結局、俺は普段の食事の半分も食べないうちに腹がもたれてしまった。
「どうした。もう食わんのか?」
尚隆が少し心配そうに声をかけてくる。
「うん……。なんか、この皿数を見ただけで腹がいっぱいになっちゃったとい
うか」
「そうか。慣れないことをするものではないな」
尚隆はかすかに笑った。俺も笑い返したが、妙な雰囲気を感じてぎこちなか
ったと思う。
「それなら、腹がこなれるまで休んでいくといい」
さりげなく言われて、俺はどきりとした。まさか、とは思ったが同時に、や
はり、と思った。尚隆は最初からそのつもりだったのだ。
10
:
尚六初夜SS「除夜」(9)
:2007/12/31(月) 00:50:02
「じゃあ、そうする……」
狼狽を隠すために眠たげに答えたものの、内心では絶望と諦念がないまぜに
なって渦を巻いていた。
妙なことに、尚隆の牀榻も昨晩とは様子が違っていた。普段は暗いままなの
に、今夜に限っては淡くぼんやりと灯りがともされていた。もっとも光の強さ
で言えばろうそく一本程度の頼りないものだから、明るいというほどではなく、
牀榻の中が闇に沈むのを防いでいるといった程度の意味しかない。蓬莱で言う
ところのムードランプにも似ている。
その灯りで見ると、牀榻の隅にも花が飾られているのがわかった。ただしこ
の香りは食事の房室と違って花のものではない。俺が好きな、柑橘系のほのか
な香り。どこかに橙でも置いてあるのかと思ったが、臥牀の上に乗ると、その
拍子に舞い上がるように香りが強くなったから、衾にでも香を焚きしめている
のだろう。
ただでさえ狼狽しているというのもあったが、尚隆の意図をはかりかねた俺
は黙り込んだままだった。
気を遣っているつもりなのだろうか。俺の機嫌を取るつもりなのだろうか。
もしそうならありがたいと思わないわけではないが、何かおかしい。根本的
に方向性を間違っているとしか思えない。
そしてその晩も、夜半の鐘を過ぎて仁重殿に戻ろうとした俺に尚隆は言った。
「明晩はもっとうまいものを食わせるぞ」と。
三晩連続で抱かれると、いくら覚悟していてもさすがにやりきれなくなって
きた。一晩だけだと思えばこそ、戯れであっても何とか耐えられたものを、
もしかして新年になっても、なし崩しにこのまま関係を続けるつもりなのだ
ろうか。そんな懸念が頭をよぎる。
年が明ければ、しばらくは祭礼続き。それが目前に迫ったこの時期に出奔す
るわけにはいかないから、さすがの尚隆も例年おとなしくしている時期だ。当
然、妓楼にも通っていない。そのぶんの欲求不満を俺で解消しているというこ
となのかもしれないが、あれ以来、尚隆が妙に俺の機嫌を取ろうとするように
なったのが逆につらかった。きっとあいつなりに俺に悪いと思っているんだろ
う。
11
:
尚六初夜SS「除夜」(10)
:2007/12/31(月) 00:53:22
でも、と思う。
それなら俺を放っておいてくれ。俺の体はやるから、好きなようにしていい
から、妙なところで優しくしないでくれ。今まで一度だってそんな素振りを見
せたこともないくせに、気遣われたら余計に自分が惨めになるじゃないか。
昨夜はその前の晩にも増して食が進まず、ほとんど食べないうちに箸を置い
てしまった。尚隆は関弓で評判の菓子を買ってこさせていて、俺にそれを食べ
るよう勧めたが、普通の食事でさえ喉を通らないのに、甘い菓子など余計腹に
もたれるだけだ。それでも尚隆がせっかく用意してくれたものだし、あいつの
心配そうな視線が気になって無理にひとつ口にしたものの、おかげで気分が悪
くなってしまった。何とか顔に出さないよう努めてそのまま過ごしたが、吐か
ないでいられたのが不思議なくらいだった。
菓子にもさほど興味を示さないのを見て取ると、尚隆は「何ぞほしいものは
ないか?」と尋ねてきた。俺は「別に」と答えた。何を手に入れても、本当に
欲しいものに、この手は届かないのだから。
明日は新年という晩も、尚隆は俺を誘った。この頃になると俺はもう諦念の
ままに、こいつの欲求に応えようと思っていたが、年が明けて忙しくなれば自
然に関係が切れるのではないかとも思っていた。
臥室の片隅にある榻に座ってぼんやりしていると、尚隆が「どうした」と声
をかけてきた。意味がわからずに物憂げにあいつを見上げると、尚隆は「最近、
元気がないようだが」と続けた。俺は力なく笑った。
やっぱりこいつにとって、俺を抱くことなど大したことではないのだ。だか
らそのことで、よもや俺が落ちこんでいるなどとは思わないのだ。
「別に……」
「その台詞も、最近よく聞くな」
俺が黙り込むと、尚隆は俺の隣に座った。片手を伸ばして俺の頭に手を置き、
そのまま髪に指を通して乱暴になでる。
「最近、あまり笑わんのではないか?」
俺は肩をすくめて尚隆を見やり、口の端を歪めてみせる。
12
:
尚六初夜SS「除夜」(11)
:2007/12/31(月) 00:56:18
「気のせいじゃ?」
尚隆は、ふと息を吐くと立ち上がった。そうして俺の正面で膝をついてしゃ
がみ込む。そうすると俺が尚隆を見おろす形になった。俺は普段、こいつを見
上げることしかしないから、見おろす姿勢自体は楽だったものの、非日常的な
視界は妙な警戒心を呼び起こした。
俺が身構えるように体を固くしていると、尚隆は静かに尋ねた。
「俺の恋人になるのは嫌か?」
一瞬、何を言われたのかわからず、俺は目を見開いた。冗談を言っているよ
うには見えなかったが、何を意図してのことなのかもさっぱりわからなかった。
俺は目を伏せた。
「……嫌じゃないけど」正直に答える。「でもさ、本気じゃないことはあまり
簡単に言わないほうがいいと思うよ……」
力なく語尾が消える。言ったほうは軽い気持ちでも、言われたほうはつらい
から。
「六太」
尚隆が片手を伸ばして、俺の頬に触れた。そして尚隆が続けるより先に、俺
の口から言葉がほとばしり出た。
「麒麟だって人間なんだ」そんなことを言うつもりはなかったのに、いったん
口走るともう止められなかった。「麒麟だって心があるんだ。麒麟だって心を
踏まれたら痛いんだ」
まるで子供のように涙がぽろぽろとこぼれた。尚隆を困らせたくはなかった
のに、涙は止まらなかった。
「おまえは軽い気持ちで誰でも抱けるのかもしれないけど、俺はそうじゃない
んだ。遊びなら遊びで最後まで通してくれればいいものを、本気じゃないのに
そんなことを言われてもつらいだけだ」
そこまで言ってしまうと、いたたまれなくなった。涙で曇った視界のまま、
その場から逃げようとしたものの、尚隆は俺の両腕を握って押さえたまま離さ
なかったので、俺は座りこんだ榻から立ち上がることもできなかった。
「六太、六太。泣かんでくれ」
13
:
尚六初夜SS「除夜」(12)
:2007/12/31(月) 01:00:08
困惑した尚隆の声が届く。俺は心の中でごめんと謝った。本当にこんなこと
を言うつもりはなかったんだ。蓬莱の鐘の音におまえを取られるくらいなら、
この体でおまえを慰められるなら、それで満足だと思っていたはずなのに。
しばらくしてやっと涙が止まった俺に、尚隆が静かに言った。
「俺は本気だ」
俺は目を上げた。こんなに泣いたのは久しぶりだったせいか、頭の芯が鈍く
痛むような気がした。俺がぼんやりとした目で尚隆を見ていると、尚隆はもう
一度、「六太」と俺を呼んだ。
「本気って……いつから?」
「最初からだ。むろん」
そう言って、俺の腕を握ったままの手に力をこめる。混乱した俺が黙ってい
ると、尚隆は「俺の言葉が信じられんか?」と言った。俺はまた目を伏せた。
「だってさ……。俺のことを好きだとか言ってくれたこともないし、口説かれ
たわけでもないし」
「そうか」尚隆はかすかに苦く笑った。「これでも口説いていたつもりなんだ
が、通じておらんかったか。まあ、さすがにこれだけ長く過ごしたおまえが相
手だと、気恥ずかしさもあったからな、舌も鈍るか」
俺はぽかんとして尚隆を見た。尚隆はなだめるように俺の腕を軽くたたいた。
「だが、おまえを口説くには分が悪すぎるでな、その辺は大目に見てくれ。何
しろ食い物でも釣れんし、別段ほしいものもないという。後宮に房室をやろう
にも、おまえは既に自分の宮殿を持っている。身分も王の次に高い。俺がおま
えにやれるものは何もないからな」
俺が黙っていると、尚隆はまた俺の頬に片手を伸ばしてきた。
「そういうことなら最初からやりなおそう。俺がおまえを口説く。気に入らな
ければおまえは俺を突っぱねればいい。それでどうだ?」
俺は目をしばたたいた。まだ混乱は続いていて、いったい何と答えればいい
のかわからなかったものの、ようやくのことでおずおずとうなずく。すると尚
隆は、いきなり俺を抱えて立ち上がった。俺はあわてて、落とされないように
しがみついた。
14
:
尚六初夜SS「除夜」(13)
:2007/12/31(月) 01:02:58
「善は急げというからな、さっそく口説くとするか」
「ちょ――待てよ、そっちは牀榻――」
「臥牀でおまえを口説けば、そのあと場所を移す手間がなかろうが」
「俺が絶対におまえを受け入れるとでも思ってるのかよ?」
「さあ、どうだかな」
尚隆はそう言って笑うと、むくれた俺にはかまわず、さっさと牀榻の内に俺
を連れ込んだ。子供のように泣いてしまった気恥ずかしさも手伝って、俺はむ
っとした顔を尚隆に向ける。このままなし崩しに押し倒されてたまるか、と思
う。そんな俺の様子には構わず、尚隆は臥牀の上で俺と同じように座りこみ、
俺の頭に手を伸ばした。
「物で釣れんとなれば、おまえ自身の姿を褒めるしかないからな」
そう言って、俺の頭から肩、腕にかけてなでおろすついでに、長い髪の一房
を手に取り、目は俺に向けたまま毛先を自分の口元に押しつける。そのさまが
妙に淫靡に見え、俺はうろたえた。
「何と言ってもこの金の髪が美しい。長い髪が褥にふわりと広がり、おまえの
動きとともにしなやかに揺れ動くさまはまさに眼福」
うーん。悪くはないけど、ちょっと気持ち悪い。歯が浮くというか体がかゆ
くなるというか。
そんなことを考えていると、尚隆が俺の右手を取って指を口に含んでなめは
じめたので、俺はあわてて手を引いた。
「何すんだよ!」
「ふむ。感じるか?」
「か、感じ――」
羞恥でかあっと顔が熱くなる。尚隆はずいっと俺のほうに体を寄せてきた。
俺は後ずさろうとしたが、背には既に壁の固い感触。間近に迫る尚隆の顔に、
俺はなすすべもなく目を伏せた。
「白魚のような指も美しいが、この桜貝のような小さな唇も愛らしいものだ」
そういってそっと口づけてくる。
「おまけにこの唇は、俺に抱かれているとき、ひっきりなしに耳元で俺の名前
を呼ぶでな、俺はもう嬉しくて、それだけで達しそうになる」
15
:
尚六初夜SS「除夜」(14)
:2007/12/31(月) 01:05:03
こうなると俺を口説いているんだか、真っ赤になって目を白黒させている俺
の反応を見て楽しんでいるのかわからない。
尚隆は俺の両肩に手を置くと、さらに深く口づけてきた。俺が抵抗できずに
いると、そのままなでるように手をおろして、服を着たままの体を愛撫した。
「もう離さぬぞ」
最初の晩と同じ、そんな言葉を優しくささやきながら。
ああ、と俺は思った。反射的に、他の誰かに向けたと思いこんだこの言葉。
本当に俺に向けてのものだったのか。
俺はちょっと泣きそうになりながら、尚隆の体に手をかけて接吻に応えた。
すると尚隆は俺の背に腕を回してきつく抱きしめると、幾度も角度を変えなが
ら本格的に口づけてきた。
夜半の鐘が、重々しく鳴り響いた。日付が変わり、新年になったのだ。
臥牀の壁際に置いた詰め物にもたれて座る尚隆の腕の中で、俺はその音色を
聞いた。ふと陽子から聞いた除夜の鐘のうんちくを思い出す。
現在の蓬莱では日付が変わるときに鐘を鳴らし始めるのだが、昔は旧年中に
百七つ、新年になってから最後のひとつを打ったのだそうだ。百七つ目はゆく
年の最後に鳴らして煩悩が去ったことを告げる。百八つ目は新しい年の最初に
ついて、新年にあたり煩悩に惑わされないよう祈念する。
「もう聞こえないか?」尚隆の胸に背をもたれていた俺は、つぶやくように問
うた。
「うん?」
「蓬莱の鐘の音」
尚隆は少し驚いたように身じろぎした。
「ああ――そうだな。もう聞こえぬようだ」
「そっか……」
俺はほっと息を吐いた。そうしてしばらくして、「そろそろ仁重殿に戻る」
と言って体を起こそうとした。すると尚隆は腕を俺の体に回したまま、後ろか
ら首筋に顔を埋めてきた。
16
:
尚六初夜SS「除夜」(15)
:2007/12/31(月) 01:08:05
「朝までここにいればいい」
「え? でも」
「おまえは俺の恋人になってくれたのだろう?」
「う、うん」俺はうなずいた。「でも、さ。俺たちのこと、ばれちゃうよ」
「別にいいではないか」
「でも……」
「おまえは俺との仲が公になるのはいやなのか?」
「う、ううん」俺は慌てて首を振った。「俺はいいけど、尚隆が」
「かまわんと言ったろう」
そういって俺の体をまさぐって愛撫を深めてきたので、俺はもう何も言うこ
とができなかった。
朝まで尚隆の臥室にいたことがないわけじゃないが、これまでは色事とは無
縁だった。それだけに俺は、女官たちの反応が気になって仕方がなかった。尚
隆は「そんなことをせんでもいい」と言ったけれど、やはり服を着ていたほう
がいいのではないだろうか。
ふと、横で寝ていた尚隆が俺の頭をそっとなでて「どうした」と問うてきた。
俺はわざと尚隆から目をそらして、牀榻の扉のほうを見た。何しろ昨夜は初め
て感じてしまって、思いがけず乱れてしまったものだから、こいつの顔を見る
のが恥ずかしかったのだ。
「夜明けまであと四半刻ってとこかな」
「まあ、そんなところだろう」
「もう少しで女官たちが起こしにやってくるんだよな……」
そうして素っ裸のまま仲良く臥牀で抱き合っている俺たちを見つけるわけで
……。すると尚隆はちょっと気まずそうに言った。
「その、な。実際のところ、とうにばれていると思うぞ」
「ばれてるって、何が」
「俺たちの関係だ」
「まさか」
17
:
尚六初夜SS「除夜」(16/E)
:2007/12/31(月) 01:10:10
俺はいつも、夜半のうちに仁重殿に戻っていた。使令に見張らせていたから、
絶対に誰にも姿を見られていないはずだし、そもそも尚隆のところで騒いで盛
りあがり、遅くにこっそり帰ることはこれまでにもあった。
「褥を整えるのは女官の役目だろうが」
「うん……あっ」
情事のときのままの汚れた褥を見られれば、誤魔化しようがない。そんな当
たり前のことを失念していたことに初めて気づき、俺は茫然となった。
「それでな……。最初の晩の翌晩、おまえを夕餉に招いたときは房室に大仰に
緞帳が張り巡らされているは、そこらじゅうに花は飾られているはで俺も仰天
した。おまけにそれ以来、衾に香が焚きしめられるようになった上に、臥室に
までこうして花が飾られていてな……」
俺は絶句した。花にしろ衾の香りにしろ、てっきり尚隆の指図かと思ってい
た。
「それって、女官が気を利かせて……?」
「おそらくな」
俺は思わず衾を頭からかぶった。道理で尚隆らしくないと思ったわけだ。正
寝の馴染みの女官たちの顔が浮かぶ。恥ずかしさのあまり、体中から火が出そ
うだった。
「絶対にばれてないと思ってた……」
「まあ、いいではないか。どちらにしろ、このままでいればすぐにばれること
だ」
俺は衾をかぶったまま、うー、と唸った。尚隆がやけに嬉しそうなのが腹立
たしい。新年早々、前途多難だという気がした。
(終)
18
:
名無しさん
:2007/12/31(月) 01:24:42
一年の終わりに素敵な尚六をありがとう、姐さん
泣いちゃうろくたん可愛すぎ(*´∀`*)
19
:
名無しさん
:2010/08/08(日) 18:51:49
今日初めて読んで涙を流しました。
ステキな物語をありがとうございます
20
:
1
:2010/08/10(火) 23:38:45
こちらこそありがとうございます。
もう殆ど人がいないんだろなーと思ってたので
過去作品にレスを頂けてびっくり&嬉しかったです。
21
:
名無しさん
:2010/08/11(水) 02:52:18
おお、書き手さんからレスポンスがつくとは・・・!
02年当時からアニメではまって当時も萌えてたんですけど、ここにはきたことありませんでした。
なんだか最近無性にみたくなって全話見返して、そのまま熱が収まらずここまで来ましたw
当時も読もうと思ったものの時間他なくて読んでなかったのですが
これから原作も読んで一人パワフルに萌えようと思います、はい。
素晴らしい作品なのだからまた再放送ででもしてほしいですよね。
もちろん原作が08年のように少しでも出て、そしてアニメ未収録の部分が新作で出れば一番でしょうが・・・。
こういった場所があるおかげでマヌケな程ずれた時間で萌えに燃えてる人間も
幸せに浸れます。ほんとに今寝不足で毎日このしたらばに潜んでみなさんの作品読ませてもらってます。
こちらの作品はほんと嘘じゃなく読んでて両方の目からぽろり涙がこぼれました。
ほんとにありがとうございます!
22
:
名無しさん
:2010/08/11(水) 08:31:01
>>21
横レスすまん
姐さんの熱いレス見て嬉しくなったw
再放送・・・・いいねえ!
そろそろ何か大きな花火がないと
人は少なくなる一方だし寂しいよね
一番いいのはこの際月の影だけでいいからオリキャラ抜きで
作り直してくれる事だけど
テレアニは無理にしても2時間半位の凝縮したDVDで
ここもたまにリレーとか読み返しに来て
あの時の熱気よもう一度!とか夢見てるw
>>20
の姐さんの作品も自分的にツボなので
いつでもこうして読める所にずっとあるのは嬉しい
お気にの個人サイトなんかかなり消えちゃったしね
23
:
名無しさん
:2010/08/12(木) 00:18:50
自分も横レス
ここ全然もう人いないと思ってた
自分が書いたところは笑えるが、
リレー数日前に読み返したらやっぱり面白いな
アニメ続きやってくんないかな
一番いいのは原作の続きだけど
なんだかんだで自分はやっぱりずっと尚六が好きだ
このスレの
>>1
姐さんの話も好きだし
他の途中でとまってるスレの話も読みたいなあ
このスレに雑談してすまん
>>1
姐さん
24
:
1
:2010/08/13(金) 09:41:48
>>23
いえいえ。自分もほとんど人がいないと思ってたので、
思いがけず皆さんの熱い語りに遭遇して楽しかったです。
何しろ十二国記にはまったのが遅く、
リレー当時の熱気はまったく知らないもので
いいなーと羨ましく思ったりw
(自分が別館に来たとき、既にほとんど動いてなかった状態)
まあ、尚六SSスレなので、雑談ついでに尚六のほのぼの妄想小ネタを。
(今日は比較的涼しいので多少頭が働いた)
「最近、ご無沙汰だしさぁ……」と尚隆にちらりと流し目をやってから、
すねたように視線をそらす六太とか(熟年夫婦パターン)。
尚隆と関係ができたばかりで何かというと「尚隆が」を連発する六太に、
「あいつは『尚隆』しか言えんのか」とぼやく帷湍とか(新婚夫婦パターン)。
25
:
名無しさん
:2011/06/22(水) 18:52:20
数年遅れだが…
六太カワェェ!
不器用な尚隆にもモヘー
2人とも可愛くて悶えますた
1姐さん、もしまだ板にいたら、新作待ってます
26
:
1
:2011/06/25(土) 07:34:17
おお、もしかしてご新規さんですか? いらっしゃいませー。
気に入っていただけたようで何より。
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