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平成仮面ライダーバトルロワイアルスレ2

1二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/02(木) 22:48:38 ID:HtbcufRI
当スレッドはTV放映された
平成仮面ライダーシリーズを題材とした、バトルロワイヤル企画スレです。
注意点として、バトルロワイアルという性質上
登場人物が死亡・敗北する、または残酷な描写が多数演出されます。
また、原作のネタバレも多く出ます。
閲覧の際は、その点をご理解の上でよろしくお願いします。


当ロワの信条は、初心者大歓迎。
執筆の条件は、仮面ライダーへの愛です。
荒らし・煽りは徹底的にスルー。


平成仮面ライダーバトルロワイアル@ウィキ
ttp://www43.atwiki.jp/heisei-rider/pages/1.html

前スレ
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1288082693

避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/14262/

2chパロロワ事典@wiki
ttp://www11.atwiki.jp/row/

執筆の際は、以下のページを参照にしてください
ttp://www43.atwiki.jp/heisei-rider/pages/30.html

2二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/02(木) 22:49:10 ID:HtbcufRI
【参加者名簿】

【主催者】
大ショッカー@仮面ライダーディケイド

【仮面ライダークウガ】 5/5
○五代雄介/○一条薫/○ズ・ゴオマ・グ/○ゴ・ガドル・バ/○ン・ダグバ・ゼバ

【仮面ライダーアギト】 5/5
○津上翔一/○葦原涼/○木野薫/○北條 透/○小沢澄子

【仮面ライダー龍騎】 6/6
○城戸真司/○秋山 蓮/○北岡秀一/○浅倉威/○東條 悟/○霧島美穂

【仮面ライダー555】 5/7
○乾巧/○草加雅人/○三原修二/●木場勇治/●園田真理/○海堂直也/○村上峡児

【仮面ライダー剣】 6/6
○剣崎一真/○橘朔也/○相川始/○桐生豪/○金居/○志村純一

【仮面ライダー響鬼】 4/4
○響鬼(日高仁志)/○天美 あきら/○桐矢京介/○斬鬼

【仮面ライダーカブト】 6/6
○天道総司/○加賀美新/○矢車想/○擬態天道/○間宮 麗奈/○乃木怜司

【仮面ライダー電王】 5/5
○野上良太郎/○モモタロス/○リュウタロス/○牙王/○ネガタロス

【仮面ライダーキバ】 4/4
○紅渡/○名護啓介/○紅 音也/○キング

【仮面ライダーディケイド】 5/5
○門矢 士/○光 夏海/○小野寺 ユウスケ/○海東 大樹/○アポロガイスト

【仮面ライダーW】 7/7
○左翔太郎/○フィリップ/○照井竜/○鳴海亜樹子/○園咲 冴子/○園咲 霧彦/○井坂 深紅郎

58/60

3二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/02(木) 22:49:46 ID:HtbcufRI
【修正要求について】
・投下されたSSに前作と明らかに矛盾している点がある場合、避難所にある議論用スレにて指摘すること。それ以外はいっさいの不満不平は受け付けない。
・修正要求された場合、該当書き手が3日以内(実生活の都合を考慮)に同じく議論用スレにて返答。必要とあらば修正。問題無しならそのまま通し。
・修正要求者の主観的な意見の場合は一切通用しません。具体的な箇所の指摘のみお願いいたします。

【書き手参加について】
・当ロワは初心者の方でも大歓迎です。
・書き手参加をご希望の方は避難所にある予約スレにて予約をするべし。
・その他、書き手参加で不明な点、質問は本スレ、もしくは避難所の雑談スレにでも質問をお書きください。気づきしだい対応致します。

基本ルール
各ライダー世界から参加者を集め、世界別に分けたチーム戦を行う。
勝利条件は、他の世界の住民を全員殺害する。
参加者を全員殺害する必要はなく、自分の世界の住民が一人でも残っていればいい。
最後まで残った世界だけが残り、参加者は生還することが出来る。
全滅した参加者の世界は、消滅する。

4 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:53:57 ID:VTV3nv6A
そろそろ時間ですので
門矢士、北條透、牙王、アポロガイストを本投下します

5巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:55:32 ID:VTV3nv6A
上から降り注ぐ太陽の光に、森は照らされていた。
青く広がる空では、白い雲が風で流されている。
微風は涼しく、浴びる者に心地よさを感じさせるかもしれない。
辺りを流れるそれは、木の葉を揺らしていく。
だが、青年はその音を聞いても、何とも思わなかった。
漆黒色のロングコートと赤いシャツ、デニム生地のズボンに身を包む彼、門矢士は歩いている。
その手に、力が失われてしまったライダーカードを持ちながら。

「やれやれ、こんな事になるなんてな」

溜息を吐きながら、士はぼやく。
彼はいつものように、仲間達と共に世界を巡る旅を行っている最中だった。
しかし突然、大ショッカーに知らない内に拉致され、こんな世界に放り込まれる。
そしてホールにいた死神博士は、見覚えのある映像を見せてきた。
様々な世界にいた仮面ライダー達が、怪人と戦う姿。
広大な宇宙に浮かぶ幾つもの銀河。
それらが衝突した結果、崩壊する世界。
無論、そこにいた存在全てもまた、消滅する。
歴史が、町が、人が、怪人が、仮面ライダーが。
何一つとて、残らない。
あの光景には、見覚えがあった。
かつて自分に世界を巡る旅を命じた男、紅渡と出会った際に見せられた物と、よく似ている。

「にしても、大ショッカーは潰した筈だ…………どうなってる?」

無意識の内に、疑問を口にした。
そう、数多の世界に魔の手を伸ばした秘密結社、大ショッカー。
奴らは仲間達と力を合わせて、潰したはず。
それなのに何故、再び結成されたのか。
スーパーショッカーのように新たに立て直したのか。
だがどんな理由にせよ、蘇ったのなら叩き潰せば良いだけ。

「カードの力が全て失われてる……まあ、あいつらの仕業か」

異世界に存在する仮面ライダーの力が込められた、ライダーカード。
ディケイドの物以外、全て灰色に染まっている。
ネガの世界でも起こった災難が、再び襲い掛かるとは。
加えて、ケータッチも手元には無い。
だが、無いなら取り戻せば良いだけだ。

6巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:56:02 ID:VTV3nv6A
「しかし、アポロガイストや剣崎一真までいるとはな」

デイバッグの中に入っている、参加者の名簿。
その中には、信じられない名前が混ざっていた。
一人は、Xライダーの世界で脅威となった大ショッカーの幹部、アポロガイスト。
幾度と無く立ち向かってきたが、その度に返り討ちにし、最後には叩き潰した。
恐らく大ショッカーが、この殺し合いの為に蘇らせた可能性が高い。
そしてもう一人。
剣崎一真。
自分がかつて訪れたブレイドの世界。
そこを守っていた剣立カズマとは違う、もう一人の仮面ライダーブレイドだ。
ライダー大戦が始まった際、戦いを繰り広げた記憶がある。
その男までもが、連れてこられたとは。
だが、今はそれよりも気にする事態がある。
それは、自分と同じように連れてこられた三人の仲間達だ。

「死ぬなよ、お前ら…………」

仲間の身を案じながら、士は呟く。
光写真館で自分の帰りを待っていた女性、光夏海。
クウガの世界で始めて出会った仲間、小野寺ユウスケ。
財宝を求めて旅に同行するコソ泥、海東大樹。
何だかんだで、頼もしい仲間達だ。
こんな訳の分からない戦いで、犠牲にさせるわけにはいかない。
一人でも欠けてしまっては、残された爺さんが悲しむだろう。
大ショッカーは戦いに勝ち残れば、願いは何でも叶えると言った。
だが、あんな奴らが約束など守るわけが無い。
まずは仲間達との合流を目指し、大ショッカーへの対抗することが先決だ。
そう思う士は、木々の間を進み続ける。







「参りましたね……殺し合いなんて」

『アギトの世界』から連れてこられた、ビジネススーツに身を包んだ青年、北条透は溜息を吐いた。
警視庁捜査一課の警部補であり、本庁きってのエリートと呼ばれた彼は、雑草と土を踏みしめながら歩く。
北条は違和感を覚えながらも、現状を把握した。
まず、自分が今いる場所は、大ショッカーと名乗った集団が用意した殺し合いの場。
この戦いは、六十人もの人間が集められ、それぞれ世界ごとにグループで分けられている。
そして生き残らなければ、自分の生まれた世界は跡形も無く、消滅。
どこまでが本当なのか、疑問だった。
だがこの状況は、夢ではなく紛れも無い現実。
首から伝わる感触が、その証拠だ。
到底信じがたいが、現実逃避はしてはいけない。

「迷惑な話ですよ……私はこんな事で時間を潰している場合ではないのに」

大ショッカーと現状の不満を感じて、北条は愚痴を漏らす。
そもそも自分は、警察上層部からの命を受けて、アギト殲滅作戦を行っているはずだった。
その為に、G3システムを使い、アンノウンを保護する。

7巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:56:36 ID:VTV3nv6A
しかしその最中に、得体の知れない連中によって、こんな戦いに繰り出されるとは。
しかも名簿を確認してみると、見覚えのある名前がいくつかある。
アギト殲滅作戦のターゲットとなった、津上翔一と葦原涼。
既に亡くなった筈の男、木野薫。
犬猿の仲とも呼べるライバル、小沢澄子。
翔一はともかく、他の三人とは合流したところで、上手く協力できるか。
特に小沢と葦原は、一悶着は避けられない。
だが、背に腹は変えられないだろう。
今だけは、何とか協力関係を持つしかない。

「しかし……『仮面ライダー』とは一体……?」

始まりのホールで、死神博士と名乗った老人の言葉を思い出す。
あそこから推測すると、別々の次元に存在する世界を引き寄せて、融合させてしまう存在らしい。
そして、仮面ライダーと敵対する組織や怪人とやらも、世界が崩壊する因子の一つ。
正直な所、これだけでは上手く概念が断定できない。
それにあの言葉が真実ではない可能性も、充分にある。
自分達を拉致して、殺し合いを強制させるような組織が、生贄に何を教えるのか。
だが何にせよ、情報があまりにも足りない。
大ショッカーについても、世界の崩壊に関しても。
ここは知り合いと一刻も早く合流し、戦場からの脱出を行うべき。
奴らは戦いに勝ち残れば、どんな願いでも叶えると言った。
しかし、そんな餌に釣られる訳が無い。
仮に殺し合いに乗って、生き残ったとしよう。
その後に、大ショッカーが約束を守る保障など、何処にあるのか。
最悪の場合、殺される可能性が高い。
北条が考えを巡らせていた、最中だった。

「おい、お前は『仮面ライダー』って奴か?」

突然、背後から声が聞こえる。
自分にとって、全く覚えの無い声が。
北条は、反射的に振り向く。
その瞬間、彼は金縛りにあったかのように、全身が硬直した。
目の前に立つ壮年の男から、あまりにも凄まじい威圧感が放たれていた為。
見た目は自分より、遥かに年上に見えた。
屈強な体格を、所々から棘が突き出た、鰐の皮みたいな模様の衣装で包んでいる。

「え…………?」
「聞いてるんだよ、お前は『仮面ライダー』なのか? とっとと答えろ」

男の低い声を聞いて、北条は思わず後ずさった。
しかし、こんな場所に連れてこられてから、初めて出会った人間。
だから質問には、答えなければならない。
恐怖を感じながらも、口を開く。

「いえ、私はそのような者ではありませんが——」
「チッ、ハズレかよ」

だが、北条の言葉はあっさりと遮られた。
男は舌打ちをしながら、不満の目線をこちらに向ける。
それを受けて、北条の頬から汗が流れた。
発せられるプレッシャーに、恐怖を感じたため。
本当なら、今すぐにでも逃げ出したかった。
しかし、初対面の人間に対して、それはあまりにも無礼な対応。
そう思った北条は、何とか対話を続けようとした。

8巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:57:18 ID:VTV3nv6A

「まあ、こんな所に呼ばれたからには、少しは腹の足しにはなるか?」

だが、彼の思いは叶わない。
北条が言葉を紡ごうとした瞬間、男は語った。
その瞬間、腰に奇妙なベルトが現れる。
恐竜の顎を模したような、バックルが装着された。
あまりにも唐突過ぎる出来事に、北条は驚愕を覚える。
一方で男は、バックルの脇に付いたボタンを押した。
すると、パイプオルガンの演奏のような盛大な音が、発せられる。
北条には、何がなんだか分からない。
この男が一体、何をしようとしているのか。
混乱が生じていく中、男は懐に右手を入れる。
その中から、黄金のカードケースを取り出した。

「変身」
『GAOH−FORM』

そして、取り出したそれをバックルの前に翳す。
ベルトから電子音声が響くと同時に、カードケースが分解された。
破片は男の全身に纏わり付き、鎧を生み出す。
金色に輝く胸板、そこから上に伸びた二本の白い角、恐竜の頭を象った両肩の装甲、金と黒の二色で構成された強化スーツ。
金属の破片は最後に、顔面に集中する。
そのまま、恐竜の顔によく似た形を作り、仮面となった。
全ての過程を終えると、全身から真紅の波動を放つ。
こうして男は、変身を完了した。
それは『電王の世界』に存在する神の路線を奪い、全てを喰らおうと企んだ仮面ライダー。
時の列車、デンライナーを奪った狂える牙の王。
男の名は牙王。
またの名を、仮面ライダーガオウ。

「なっ…………!」

目の前から突き刺さる威圧感によって、北条は再び数歩だけ後退してしまう。
二メートルにまで達しそうな巨体に、凄まじいほどのプレッシャー。
この二つから北条は、男が危険人物であると判断した。
正体は全く分からないが、どう考えても殺し合いに乗っている。
アンノウンと同じで、話し合いなど通用する相手ではない。
何とか逃げ出そうとするが、身体が動かなかった。
まるで、蛇に睨まれた蛙のように。

「つまらねえな……」

ガオウは舌打ちをしながら、一歩一歩前に出る。
そして腰に備え付けられた二つのパーツを取り出し、装着した。
一瞬の内に、刃から棘が突き出た剣、ガオウガッシャーへと形を変える。
この時、北条は生きる事を諦めた。
渡されたデイバッグの中には、この状況を打破する物は何も無い。
今更逃げたところで、追いつかれるに決まっている。
ああ、自分の最後はこんなに呆気ないとは。
警察官になって人々を守るために、アンノウンと戦い続けた。
だがその結果が、これとは。
もしも神というのがいるのなら、呪ってやりたい。
そう思いながらも、せめてもの抵抗として北条は下がり続けた。
ガオウは無常にも剣を掲げ、振り下ろそうとする。
その時だった。

9巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:58:14 ID:VTV3nv6A

「変身!」
『KAMEN RIDE』

突如、二つの声が聞こえる。
人間の肉声と、機械の電子音声。
その二つは、北条とガオウの鼓膜を刺激した。
反射的に、二人は同時に振り向く。
そこには見知らぬ青年が、悠然と佇んでいるのが見えた。
腰には、バックルに赤い石が埋め込まれた、ベルトが巻かれている。
青年、門矢士は両脇に手をつけて、押し込んだ。

『DECADE』

白銀に輝くベルト、ディケイドライバーから音声が再び響く。
直後、バックルから光が放たれ、紋章が浮かび上がった。
続いて、士の周りに九個のエンブレムが出現。
その場所を中心とするように、人型の残像が次々と作られた。
それらは、士の身体に装着される。
すると一瞬で、黒いアーマーに形を変えた。
それに伴い、ディケイドライバーから七つの板が、真紅の輝きを放ちながら吹き出す。
現れたプレートは、頭部の仮面に突き刺さった。
刹那、全身のアーマーにはマゼンタが彩られ、額と両眼から光を放つ。
いつものように、門矢士は変身を果たした。
仮面ライダーディケイドと呼ばれる、戦士へと。
そのまま彼は、動けなくなった北条の前に立った。

「ほう? 少しは喰いがいがありそうだな」

現れたディケイドを見て、ガオウは仮面の下で笑みを浮かべる。
そのまま、ガオウガッシャーの先端を突きつけた。
それに構わず、対するディケイドは脇腹からライドブッカーを手に取る。
取っ手を曲げると、反対から刃が飛び出した。
剣を構えるディケイドは、北条の方に振り向く。

「貴方は、一体」
「あんたは、ここでじっとしてろ」

疑問を遮ると、敵に顔を向けた。
ライドブッカーを構えて、ディケイドは地面を蹴る。
勢いよくガオウに突進すると、剣を振りかぶった。
直後、甲高い金属音が鳴り響く。
それは、ガオウの持つガオウガッシャーと、激突したことによって発生した音。
ガオウもまた、その手に持つ得物を振るったのだ。
互いの刃が激突したことで、火花が飛び散る。
しかし、一瞬で風に流された。
これを合図として、戦いのゴングが響く。
ディケイドとガオウは、互いに後ろへ飛んで距離を取った。
そして素早く、距離を詰める。

10巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:59:01 ID:VTV3nv6A

「はあああぁぁぁっ!」

凄まじい勢いで、ディケイドはライドブッカーを横薙ぎに振るった。
しかし、ガオウはあっさりと払う。
そのまま、ガオウガッシャーで突きを繰り出した。
標的となったディケイドは、身体を捻って回避する。
その直後に、彼の後ろで佇んでいた木が、空気と共に貫かれた。
ガオウガッシャーを引き抜いた途端、音を立てながら折れていく。
そして地面に倒れて、振動を起こした。
数え切れない程の木の葉が舞い落ちる中、彼らは睨み合う。
視線が交錯する中、今度はガオウから突進を仕掛けた。

「フンッ!」

仮面の下から掛け声と共に、ガオウガッシャーを振るう。
その一撃は、大気を揺らしながら木の葉を次々と両断した。
対するディケイドは、咄嗟の判断でライドブッカーを掲げる。
彼らの得物は、再度激突した。

「ぐっ……!」

しかし、突如ディケイドの両腕に痺れを感じる。
衝撃でライドブッカーを落としそうになるが、何とか堪えた。
刃と刃が擦れ合い、鍔迫り合いが始まる。
だが、ディケイドは押し返すことが出来ない。
ガオウの攻撃が、あまりにも重すぎたのだ。
向こうが少しでも力を込めれば、こちらが一気に崩れる。
本能でディケイドは察すると、バックステップを取って後ろに下がった。
一瞬だけ、ガオウが怯む。
その隙を付いて、ディケイドは突進しながら斬りかかった。
風に揺れる木の葉と共に、ガオウの鎧を切断する。
火花が飛び散ったが、それだけ。
ディケイドは追撃を仕掛けようとする。
だが、それは届かない。

「効かねぇな」

ガオウの持つ剣に、一撃を阻まれる。
その瞬間、お返しとでも言うかのようにディケイドの胸が切り裂かれた。
先程の再現のように、身体が抉られる。
しかし、ガオウはそれだけで終わらない。
畳みかけるかのように、ガオウガッシャーを振るった。
右上から脇腹へ、斬り返すように右肩へ、横薙ぎに胴へ。
まるで血に飢えた猛獣のように、得物を振るっていた。
一見力任せと思われるが、それらは確実にダメージを与えている。
ディケイドは何とか対抗して、ライドブッカーで捌こうとした。
だが、最初の一撃が原因で、思うように動けない。
よって、いくら弾こうとしても意味が無かった。
ガオウが繰り広げる嵐のような連撃によって、次々と傷が刻まれていく。
血漿のように、鎧から火花が噴出し続けた。
数多の衝撃によって、ディケイドは蹌踉めいてしまう。
体勢を崩した隙を、ガオウは見逃さなかった。
彼は右足に、力を込める。
すると、その部分から真紅のオーラが放たれた。

11巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:59:40 ID:VTV3nv6A

「でえいっ!」

渾身の力を込めて、鋭い前蹴りを繰り出す。
ガオウの足は、ディケイドの腹部にあっさりと沈み込んでいった。
凄まじい衝撃を受けてしまい、彼の身体は宙に浮かんでいく。
受け身を取ることも出来ず、そのまま地面に激突した。
数回ほど転がった後、何とか勢いを止める。
身体の節々に痛みを感じながらも、ディケイドは体勢を立て直した。

「お前、真面目にやってるのか? 全然喰い足りないぞ」

舌打ちしながら、ガオウが近づいてくる。
その姿を見て、ディケイドは危機感を覚えた。
目の前の仮面ライダーは、やはりこの戦いに乗っている。
襲われていた男を助けるために変身したが、逆に自分がピンチになるなんて。
認めたくないが、このままではやられる。
この状況を打破する為の方法は、一つしかない。

(一気に決めてやるか……!)

そう、一刻も早い勝負の決着。
ダラダラと長引かせても、消耗が激しくなるだけ。
この考えに至ったディケイドは、一旦ライドブッカーを元の位置に戻す。
そして、蓋を横に開いた。
彼はケースの中から、一枚のライダーカードを取り出す。
表面にディケイドの紋章が、金色で書かれているカードを。
相手との距離は、幸いにも空いている。
確信したディケイドは、カードをディケイドライバーの上部から挿入した。

『FINAL ATTACK RIDE』

バックルに、黄金色の紋章が浮かび上がる。
それはディケイドの仮面を、象っていた。
聞き慣れた音を耳にした彼は、ディケイドライバーのサイドハンドルを両手で押し込む。

『DE、DE、DE、DECADE』

再び、電子音声が空気を振るわせた。
その瞬間、バックルから放つ輝きが更に強くなり、カードに込められていた力が全身に流れ込む。
するとディケイドの前に、金の輝きを放つ十枚のエネルギーが、ゲートのように現れた。
彼は両足に力を込めて、跳躍する。
動きに合わせるかのように、ゲートも空に浮かんでいった。

「なるほどな」

自身の前に出現した光の門を見て、ガオウは呟く。
敵は、決着をつけようとしているのだ。
その為に、必殺の一撃を繰り出そうとしている。
戦士としての勘から、感じ取ることが出来た。
それならば、上等。
こちらも全力の一撃を使うだけだ。
そう思いながら、ガオウはマスターパスを取り出す。
手からそれを落とすと、バックルと交錯した。

12巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:00:48 ID:VTV3nv6A

『FULL CHRAGE』

ディケイドライバーのように、ベルトから声が発せられる。
それによって、大量のエネルギーがそこから噴出された。
腰から右肩、そしてガオウガッシャーに伝わっていく。
すると、刃がドリルのように高速回転を始めた。
両手でガオウガッシャーを握り締め、ガオウは空を見上げる。
視界の先からは、光のゲートを通りながら右足を向ける、ディケイドの姿があった。

「はあああぁぁぁぁぁぁっ!」
「フンッ!」

仮面ライダー達の叫びが、森林に響く。
ガオウに目がけてディケイドが放つ必殺の蹴り、ディメンションキック。
ディケイドに目がけてガオウが放つ刃の一撃、タイラントクラッシュ。
上から下を目指した蹴りと、下から上を目指した刃が、徐々に迫る。
そこから一秒の時間もかからずに、激突した。
その瞬間、二つのエネルギーがぶつかったことによって、大爆発が起こる。
轟音と共に、衝撃波が空気を振るわせた。
次々に木が倒れ、木の葉は吹き飛ばされ、雑草に火が燃え移る。

「ぐあああっ!」

そんな中、ディケイドは吹き飛ばされてしまった。
悲鳴と共に、地面に叩きつけられる。
対するガオウは、まるで何事もなかったかのように佇んでいた。
これが示すのはたった一つ。
ディケイドの必殺技、ディメンションキックが通用しなかった事。
何故、こうなったのか。
その答えをディケイドは知っている。
ガオウの度重なる攻撃によって、身体が思うように動かなかったのだ。
戦闘では、受けたダメージが影響を及ぼすことがある。
故に、力を込めようとしても痛みが邪魔をして、威力が出なかったのだ。

「くっ…………!」

しかし、そんな事は関係ない。
例え効かなかったとしても、もう一度使えばいいだけ。
今は、この仮面ライダーを倒す事からだ。
痛みを堪えながら、ディケイドは何とか立ち上がる。
そしてライドブッカーを、構えた。
だが、彼の思いはすぐに裏切られてしまう。

「があっ!?」

突如、右肩に衝撃が走った。
それにより、仮面の下から絶叫を漏らしてしまう。
次の瞬間、ディケイドの全身から、大量の火花が吹き出してきた。
同時に、激痛を感じる。
何が起こったのか察知する前に、彼の体勢は崩れていった。
そのまま、背中から地面に倒れていく。
衝撃によって、ディケイドの鎧が限界を迎えた。
変身が解けてしまい、元の姿に戻る。

(な、何だ…………!?)

視界がぼやける中、士は思考を巡らせた。

13巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:02:08 ID:VTV3nv6A
そして、周囲を見渡す。
次の瞬間、彼の目は衝撃によって見開かれた。
その理由は、木々の間から新たなる怪人が現れたため。
元は『Xライダーの世界』に存在する組織、GOD機関に所属する怪人だった大ショッカーの大幹部。
銅色の仮面、額に彩られているステンドグラスのような模様、首からかけられた白いマント、黒いスーツ。
幾度となく戦いを繰り広げた宇宙一迷惑な男、スーパーアポロガイストだった。
その手には巨大なマグナム銃が握られている。

「フッフッフ、まさかこんなにも早く貴様と再会できるとはな。ディケイド!」

銃口からは、煙が流れているのが見えた。
どうも、自分はあれで撃たれたらしい。
戦いの隙を付かれるとは、情けないにも程がある。
抵抗しようにも、身体が動かない。
焼かれるような激痛と、倦怠感が身体を支配していた。
それに伴って、眠気が襲いかかる。

(…………こんな所で、終わってたまるか!)

スーパーアポロガイストに、名前も知らない仮面ライダー。
こんな身体で、今の状況を打破できる訳が無い。
破壊者として生きてきた自分は、こんなにも呆気なく破壊されてしまうのか。
いや、あり得ない。
俺達の旅は、こんな事で終わるものではないからだ。
士は何とか足掻こうとするも、身体が言う事を聞かない。
瞼が閉じていき、次第に視界が暗くなる。
彼の意識が闇に沈むのに、時間は必要なかった。







無様に倒れた士を見て、スーパーアポロガイストは充足感を覚える。
今まで自分は、この男に何度も煮え湯を飲まされた。
殺し合いに来て早々、ディケイドが仮面ライダーと戦っている光景を目撃した。
そのシステムから見て、電王の世界から連れて来られたのかもしれない。
必殺技同士の激突後、ディケイドは吹き飛ばされた。
この隙を付いて変身し、アポロショットを使う。
結果、ディケイドは倒れた。

(ククク、無様だなディケイド。 さあ、私がトドメを————)
「おい」

スーパーアポロガイストの歩みは、突然止まる。
その目前に、輝きを放つ刃が現れたため。
振り向いた先では、ガオウがこちらに武器を向けているのが見えた。
邪魔をされた事に怒りを覚え、スーパーアポロガイストは口を開く。

14巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:03:32 ID:VTV3nv6A
「何だ貴様、私の邪魔をする気か?」
「こっちの台詞だ。俺の獲物を横取りしようとするとは、いい度胸じゃねえか」

しかし、ガオウは質問に答えない。
彼もまた、怒りを覚えていたのだ。
勝負に水を差された事と、獲物を横取りしようとする馬鹿が現れた事。
この二つが、ガオウの逆鱗に触れたのだ。
それに気付いたのか、スーパーアポロガイストは新たなる武器を出現させる。
スーパーガイスカッターの名を持つ、鋼鉄のチャクラムを。

「フン、ならば貴様から始末するのみ!」
「面白い、やってみろよ!」

スーパーアポロガイストとガオウは、怒号を掛け合う。
そのまま、互いに武器を振るって、激突させた。
ガオウが剛剣を振り下ろし、スーパーアポロガイストがそれを受け止める。
狂える牙の王と、宇宙一迷惑な男の戦いが始まった一方で、木の陰から一人の男が現れた。
それは、戦いをずっと見守っていた北条。

(どうやら、今しかありませんね)

彼は、気絶した士の元へ向かう。
そのまま、彼の手とデイバッグを肩にかけて動きだした。
幸いにも、相手は戦いに集中しているようなので、気付かれていない。
バッグ二つと、男一人の身体。
総重量は凄まじいが、動けないほどでもない。
アンノウンと戦う為に、G3ユニットやV−1システムを扱った事があるので、それなりに体力はある。
今は、この場からの撤退が優先だった。
アギトとも、警視庁が作り出したシステムとも違う、謎の鎧。
突然現れた、アンノウンのような怪物。
そして、この殺し合い。
次から次へと謎が増えて、北条の頭は混乱しそうになる。
だが、それらの推理は後。

(まずは、この青年の安全を確保しなければ)

警察官としての正義が、彼を動かしている。
名前も知らないが、自分を助けてくれた。
少なくとも、あの男のような危険人物ではないと思われる。
まずは安全な場所まで避難し、青年の応急処置。
そして情報を聞いた後、地図に書かれていた病院までの移動。
幸運にも、自分のバッグには救急箱が存在している。
それでどこまでいけるか分からないが、やるしかない。
このまま放置していては、いつ死んでもおかしくないだろう。
北条は最後の力を振り絞って、木々の間を駆け抜けた。
その甲斐があってか数分後、森林からの脱出に成功する。
彼らのいく先に何が待つのかは、誰にも分からない。

15巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:04:37 ID:VTV3nv6A
【1日目 昼】
【C−7 平原】

【門矢士@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】気絶中、重傷、疲労(大)、 ディケイドに二時間変身不可
【装備】ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド、ライダーカード一式@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品×2
【思考・状況】
1:…………(気絶中)
【備考】
※デイバッグの中身は確認しました
※現在、ライダーカードはディケイドの物以外、力を使う事が出来ません。
※該当するライダーと出会い、互いに信頼を得ればカードは力を取り戻します。

【北条透@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終盤 アギト殲滅作戦決行中
【状態】疲労(小)、士を背負っている
【装備】無し
【道具】支給品一式、救急箱@現実、不明支給品×2
【思考・状況】
1:まずは安全な場所に移動し、青年(士)を手当てする。
2:牙王、アポロガイストを警戒する。(両名とも、名前は知らない)
3:知人と合流し、情報を集める。

【備考】
※デイバッグの中身は確認しました
※その中には、彼にとって戦力になるような物はありません







士と北条の二人が逃走した事に気付かずに、戦士たちは戦いを繰り広げていた。
ガオウガッシャーとスーパーガイスカッターの激突は続き、金属音が響く。
時折、スーパーアポロガイストは、アポロショットの引き金を引いた。
しかし弾丸は、ガオウによって全て弾かれる。
そこから、ガオウガッシャーの刃が振るわれたが、スーパーアポロガイストはあっさりと回避。
哀れにもその結果、木々が次々に砕け散ってしまった。
まさに、一進一退と呼べる戦い。
そんな中、互いに大きく踏み出し、力強く武器を振るった。
激突の瞬間、彼らは密着する。
刃とチャクラムを使った、鍔迫り合いが始まった。
押し合うも、力はほぼ互角。
そんな中、ガオウは仮面の下で笑みを浮かべながら、呟いた。

「終わりだな」
「何?」

刹那、スーパーアポロガイストは気づく。
ガオウが、片手でしか武器を持っていないことを。
その意味を、一瞬で気づいた。

16巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:05:11 ID:VTV3nv6A

(しまった! 初めからこれが狙いか!)

電王の世界にいる仮面ライダーは、必殺技を使う際にある物を使う。
それは、ライダーパス。
ベルトに翳して、エネルギーをチャージするのに。
そして自分は、至近距離で戦っている。

『FULL CHARGE』

悪い予感は、的中した。
案の定、目の前の仮面ライダーは取り出したパスを、ベルトに近づけている。
それを示す音声が響くと、刃が回転を始めた。
金属が削れるような、鋭い音が聞こえる。
こんなゼロ距離で受けては、いくら自分とて一溜りもない。
そう危惧すると、スーパーアポロガイストは後退した。
しかし、時は既に遅し。
タイラントクラッシュの一撃は、スーパーガイスカッターを砕き、持ち主の身体へ到達した。

「ぐおおぉぉぉっ!?」

悲痛な叫び声が、スーパーアポロガイストから漏れる。
その巨体は、必殺技の衝撃によってあっさりと吹き飛んだ。
そして地面に激突した瞬間、その変身が解かれてしまう。
白いスーツを身に纏った壮年の男性、ガイの姿に戻ってしまった。
彼は自分の姿を見て、驚愕の表情を浮かべる。

(バカな、何故この程度で元の姿に戻る!?)

ここに、ガイの知らない事実があった。
参加者全員を縛り付ける首輪。
その効果は、殺し合いのバランスをとる為、能力を抑える事がある。
スーパーアポロガイストとて、例外ではない。
それに加えて、ガオウの放った必殺の攻撃。
制限されているとはいえ、凄まじい威力を持つことは変わらない。
タイラントクラッシュを至近距離で受けた事で、ガイの変身は解除されたのだ。

「さて、そろそろ喰らわせてもらうか……」

ガオウは、パスを構えながら迫り来る。
それを見て、ガイはスーツのポケットに手を入れた。
その中から『龍騎の世界』に存在していた変身アイテム、シザースのカードデッキを取り出す。
ガイはそれを、すぐ近くの湖に翳した。
この動作によって、彼の腰に銀色のベルト、Vバックルが巻かれる。

「変身ッ!」

数多の仮面ライダーが口にした言葉を、ガイは告げた。
右手で掴んだカードデッキを、横からVバックルに差し込む。
ベルトから光が放たれ、ガイの周りに複数の虚像が現れた。
それは回転しながら、彼の身体に重なっていく。
瞬く間に、ガイは変身を完了した。
蟹を彷彿とさせる仮面、金色の輝きを放つ鎧、左右非対称の大きさを持つ鋏、下半身を守る黒いスーツ。
『龍騎の世界』で戦っていた仮面ライダーの一人、仮面ライダーシザースへと、ガイは姿を変える。
それを見て、ガオウは足を止めた。

「ほう、少しは喰いがいがありそうだな?」

ただの獲物だと思ってた敵が、まだ自分に抗おうとする。
その事実が、ガオウの神経を高ぶらせていた。
ならば、それに応えてやればいい。
ガオウガッシャーを構える一方で、シザースはカードデッキに手を伸ばす。
そこから一枚のカードを引いた。
彼はそのまま、左腕に装着された鋏、シザースバイザーに差し込む。

17巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:05:46 ID:VTV3nv6A

『ADVENT』

電子音声が、発せられた。
刹那、近くの湖から巨大な影が出現する。
それは、龍騎の世界に存在する、魔物だった。
その世界では、ミラーワールドと呼ばれる、全ての物が反転した異世界が存在する。
ここには、ミラーモンスターの名を持つ人を喰らう怪物が、生息していた。
シザースが呼び出したのは、その一匹。
持ち主のように身体を金色に輝かせるミラーモンスター、ボルキャンサーだった。

「GYAAAAAAAAAA!」

蟹の魔獣は、咆哮を発して空気を揺らす。
そのまま、ボルキャンサーはガオウに突進を仕掛けた。
主に危害を加える敵を、潰す為に。
しかし、それをただ食らうほどガオウはお人よしではない。
ボルキャンサーの巨体を、身体を捻って軽々と避ける。
そのまま横腹に、鋭い蹴りを放った。
微かな悲鳴と共に、ボルキャンサーは吹き飛ぶ。
ガオウはそんな様子に目もくれず、シザースの方に振り向いた。
だが、敵の姿はない。

「チッ、逃がしたか…………」

舌打ちと共に、ガオウは呟く。
その瞬間、水が破裂するような音が聞こえた。
そちらに顔を向けたが、ボルキャンサーも既にいない。
湖を覗き込むが、気配はなかった。
直後、異変が起こる。
身に纏っていたガオウの鎧が、唐突に消えた。
恐竜の仮面ライダーから、元の壮年の男に戻ってしまう。
これは牙王の知らない、首輪の効力による現象。
十分間の時間制限が、訪れたのだ。

「次から次へと、どうなってやがる……?」

牙王の中で、苛立ちが募っていく。
大ショッカーに連れて来られてから、今の現状に期待した。
恐らく、こんな場所なら喰いがいのある奴らが、いくらでもいるはず。
だが、実際はどうだ。
出会った獲物は骨がないどころか、自分から逃げ出すような腰抜け揃い。
それに加えて、解除しようと思ってないのに、変身が終わった。
可能性としては、大ショッカーが何か下らない仕掛けでも、施したのだろう。

「つまらん事を…………」

牙王には、戦いの褒美も世界の崩壊もまるで興味がない。
心の中にあるのは、全てを喰らう事だけ。
それだけの、シンプルな欲望。
参加者を皆殺しにして、最後に大ショッカーも潰す。
ただ一つだけだった。
破壊の欲望に駆られた牙王のデイバッグの中に、あるアイテムが眠っている。
それは『Wの世界』に存在する、ガイアメモリの一つ。
ミュージアムに所属する処刑執行人、イナゴの女が使っていたメモリ。
ホッパー・ドーパントの力が封印されたガイアメモリは、牙王に何をもたらすのか。

18巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:06:22 ID:VTV3nv6A

【1日目 昼】
【B−7 森】


【牙王@仮面ライダー電王】
【時間軸】:不明。
【状態】:健康、苛立ち、ガオウに二時間変身不可。
【装備】:ガオウベルト&マスターパス@仮面ライダー電王、ガイアメモリ(ホッパー) @仮面ライダーW
【道具】、支給品一式、不明支給品×2(確認済み)
【思考・状況】
1:全ての参加者を喰らい、最後に大ショッカーも喰う。
2:変身が解除されたことによる、疑問。


【備考】
※牙王がどの時間軸からやってきたかは、後続の書き手さんにお任せします。







シザースは、木々の間を全速力で駆け抜けている。
ボルキャンサーを召還した後、彼は戦場からの撤退を選んだ。
先程戦った仮面ライダーが、あまりにも強すぎたため。
ディケイドを易々と打ち破るからには、それなりの力は予想できた。
だが、まさかスーパーガイスカッターを砕くなんて。
戦いで消耗していると思ったが、そんな様子は見られない。
そして、いつもより発揮できない力。
恐らく大ショッカーが、自分に何らかのハンデを架したのかもしれない。
しかし真相の究明は、後だ。
まずは安全な場所までに撤退し、体勢を立て直すべき。

(もう少しでディケイドを始末できたのだが、あの仮面ライダーめ……!)

ガオウに対する苛立ちを覚え、仮面の下で歯軋りをする。
後ろからは、追ってくる気配はない。
それを察すると、彼は変身を解いて元の姿に戻った。
ふと、彼の中で疑問が芽生える。
ディケイドを狙撃した時、いつもより弾丸が発射されるペースが遅い気がした。
その原因は、恐らくこの首輪。
まさか、他にも何か影響が出ているのではないか。

「アポロ、チェンジ!」

ガイは全身に力を込めて、変身を行う。
しかし、何も起こらない。
その事実に驚愕するも、彼は確信した。
この首輪は普段の力だけでなく、変身を阻害する効果も持っている。
だが、それは一時的で時間が経てば、また変身は可能。
理由は、永続的に阻害しては殺し合いが進まないからだ。
だとすれば、変身道具は一つだけでは心許ない。
他のライダーのアイテムも、奪うことを考えに入れるべきだろう。

19巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:07:00 ID:VTV3nv6A

(そして、これは逆にチャンスでもあるか)

首輪の効果は、何も自分だけではない。
参加者全員にも、届いているはずだ。
この首輪は自分を縛る枷だけではなく、時として武器にもなるだろう。
しかし何にせよ、まずは身体を休めることからだ。
ガイは息を整えながら、そんなことを考える。



【1日目 昼】
【B−6 平原】


【アポロガイスト@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】死亡後
【状態】疲労(小)、ダメージ(小)、怪人体及びシザースに二時間変身不可
【装備】シザースのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、ディスクアニマル(アカネタカ)@仮面ライダー響鬼
【思考・状況】
1:大ショッカーの意思通り、全ての敵を倒し、世界を破壊する。
2:まずは体勢を立て直す。
3:ディケイド、牙王はいずれ始末する。
4:全てのライダーと怪人にとって迷惑な存在となる。
【備考】
※スーパーアポロガイストの状態ですが、能力は抑えられています。
※能力が抑えられていることを、何となく把握しました。

20 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:08:33 ID:VTV3nv6A
以上、本投下を終了します

21 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/03(金) 22:13:31 ID:4qL7YOf6
投下乙です。
なんだかんだで結局、北條さんは良い人ですね
士はまさかの初戦敗退……まあ、脱落はしてないけど
牙王に関してはメモリの使いようが気になりますね
逆に変身を使い果たしたアポロガイストはどうなるのか……


別件ですが、自分も本投下するべきでしょうか?
昨日投下した時点では本スレもありませんし、一応本投下のつもりで投下したんですが

22 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 22:16:25 ID:VTV3nv6A
いえ、氏は大丈夫です
昨日の段階では、仕方ありませんでしたし。
今後の本投下はこちらでお願いします

23 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 13:29:30 ID:fadYM7uc
わかりました。
それでは、桐矢京介と間宮麗奈を投下します。

24差し伸べる手 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 13:30:03 ID:fadYM7uc
 私の名前は間宮麗奈──。
 自分の名前を頭の中で反芻させる。それが自分の名前である、という実感を得るために。
 まるで他人の名前のように、その名前の響きは冷徹だった。気が狂いそうなほど、その名前は連鎖される。
 脳内で交錯する名前を、なんとか掴み取ろうとして──そのたびに素通りする感覚。


「私は──」


 麗奈は今、ウカワームではなく人間だった。
 確かに彼女はウカワームなのだが、その記憶の中では、彼女は間宮麗奈。
 間宮麗奈として生まれ、育ち、人に恋をする記憶がずっと頭の中を巡っていた。


 だから、今彼女の名前の中で固く結ばれたまま、解くことの出来ない男に助けを求めてどこかの民家のテーブルの下に隠れていた。
 もしかしたら、この家の主はここにいないのかもしれない。それでも、この家の主がここに来たとき、泥棒か何かと疑われるのは怖い。
 周りの人間に軽蔑され、叱咤されるのは、彼女の内に強いストレスを溜め込むだけだった。


(私の名前は間宮麗奈……私の名前は間宮麗奈……私の名前は……)


 彼女は歌うことも忘れて、脳内にその言葉をひたすらに連呼させた。

 すると、フローリングの床を踏む音が聞こえてきた。
 一閃の恐怖──。

 この家の主か、それとも殺し合いの参加者か。
 どちらにせよ、それが近づいてくることは恐怖以外の何物でもない。
 殺し合いの参加者ならば、きっと殺し合いに乗っている──何故なら、それぞれが自分の世界を背負っているのだから。
 世界がどうなってもいい、なんていう希少な人間と出会うことはないだろう。
 人間が凶暴な生物だ。人を殺すことに躊躇いなんてないんだ。だから、自分の世界を消さないためには、相手を殺すようなことも平気だろう。

 麗奈は自分に支給された道具を再び思い返す。
 今、敵を倒すのに使える支給品は何か。
 もはや、相手が同じ世界の住人であろうと関係はない。自分に害を及ぼすようなら、殺すしかない。


 デンカメンソードという胡散臭い剣が支給されていたが、剣として使うには重過ぎる。余計な装飾品がついているのがネックだろう。剣以上に、鈍器として使えるが、まずそこまで接近するのは彼女の恐怖とストレスを煽るだけだ。
 『長いお別れ』という本も支給されているが、これは武器ですらない。

 ここで一番使えるのは、ファンガイアバスターという銃。他の支給品は武器には向いていない。


 が、それを握ろうとしたとき────手が震える。
 人差し指を引き金にかけることさえできない。
 銃口は床に向いてしまう。


 人を殺す、或いは、人に殺される。
 そのどちらも恐ろしい。その、どこから溢れるかわからない恐怖が彼女の震源地だった。


 震える指からファンガイアバスターが解け、床に引かれていく。
 唯一使える武器は今、地面に落ちてしまった。震える手はそれを再び手に取ることを許さない。

25差し伸べる手 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 13:31:32 ID:fadYM7uc
「誰か、いるのか……?」


 今の音が聞こえた──。
 そのせいで、誰か……近づいてくる。
 声から考えれば、相手は男だ。力では劣る。ならば、ファンガイアバスターを拾うしかない。
 だが、手が動いてくれない。


「いたら返事してください。俺は……誰かを殺すつもりはないから」


 麗奈が信用するはずがない。
 そんな甘い言葉があるわけない。自分に言い聞かせ、ただそれを拾うことに集中する。
 しかし、そこには何の障害もないというのに、拾うことはまだできなかった。
 そして、彼の言葉を信用したいという気持ちが彼女に武器を取らせる力を……完全に失わせた。


「……俺の名前は桐矢京介。あなたとは違う世界の人間かもしれないけど、俺は人は殺さない。
 何かの事情で動けなかったり、返事ができないなら俺が手を貸します。……それが、俺の仕事ですから」


 乗るな……っ!!
 そんな言葉、信用できるはずがない。
 ただ、近づいてきたらファンガイアバスターで仕留める……それでいいんだ。


「警戒しないでください。支給品は渡します」


 テーブルの下に、デイパックが滑り向かってきたことで、京介という少年が麗奈の居場所を把握していることに気づく。やはり、ファンガイアバスターを落としてしまったことに気づいたのだろうか。
 だが、一方で麗奈には収穫があった。デイパックとともに、ファンガイアバスターも滑り向かってきたのだ。
 これで、距離が近づきファンガイアバスターを手に取ることができた。

 ──が、彼女が取れた理由は単純に距離が近づいたからではない。
 どこか、相手を信用してしまったからである。そして、それは同時に相手を殺す気も完全に消え去ってしまったということだった。


「……私の名前は間宮麗奈」

「間宮さん、ですか……。デイパックはそちらで持っていて構いませんから、姿を現してくれませんか?」

「ええ……」


 テーブルの下から、ゆっくりと麗奈は日向に出る。
 ガラス越しから浴びせられる日当たりが心地よかった。
 二つのデイパックを両肩に背負い、指先にファンガイアバスターを絡めた麗奈は、久々に立ち上がった気分だった。


「ずっとここにいたんですか?」

「ええ……連れて来られた時から」

「もう、この殺し合いが始まってから、二時間も経ってますよ」

「! そんなに……?」


 それだけ長い間、麗奈はこの狭いテーブルの下で隠れていたというのか。
 そう思うと、だんだん足に痺れを感じてくる。


「……俺、これでも鍛えてますから、大ショッカーを倒すことはできなくても、あなたを守ることくらいならできます。
 人を守るのが、俺の仕事なんです。……だから、安心してください」


 京介はそう諭す。
 そんな京介が本当に何も持っていないことに気づいた麗奈は、慌ててデイパックを返した。


「あの……これ」

「ああ、持たせてしまってすみません」

「いえ……」

「しばらくは俺と一緒に行動しましょう。ここには本当に化け物がいるみたいです」


 京介はこの殺し合いが始まったときに見付けた、赤鬼や龍の化け物のことを忘れてはいない。
 彼らは魔化魍のような化け物なのかもしれないのだから。


「化け物……」


 麗奈は、本人も気づかぬうちに、そう呟いていた。

26差し伸べる手 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 13:32:17 ID:fadYM7uc
【1日目 日中】
【E−1 民家】

【間宮麗奈@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第40話終了後
【状態】健康 人間不信 ワームの記憶喪失
【装備】ファンガイアバスター@仮面ライダーキバ
【道具】支給品一式、デンカメンソード@仮面ライダー電王、『長いお別れ』ほかフィリップ・マーロウの小説@仮面ライダーW
【思考・状況】
0:化け物……?
1:とりあえず京介についていく。
2:他人が怖い。
3:殺さなければ殺される……。
【備考】
※ウカワームの記憶を失っているため、現状では変身することができませんが、何かの拍子で思い出すかもしれません。


【桐矢京介@仮面ライダー響鬼】
【時間軸】最終回後
【状態】健康
【装備】変身音叉@仮面ライダー響鬼
【道具】支給品一式、不明支給品×0〜2
【思考・状況】
1:人を守る。
2:麗奈を守る。
3:化け物(イマジン)が気になる。

27 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 13:33:57 ID:fadYM7uc
以上、投下終了です。
修正点、問題点などあれば指摘お願いします。

28 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:23:29 ID:Vmt2MlEQ
誤爆したorz
改めて修正版投下します

29代償 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:24:48 ID:Vmt2MlEQ
「リントグ ゲゲルゾ ジサブドパ バ(リントが、ゲゲルを開くとはな)」
 
 G−1の廃工場の中、丁寧にも彼らグロンギの言語で記されたルールブックを読みながら、黒いコートに身を包んだ男、ズ・ゴオマ・グは呟いた。
 ダグバのベルトの破片を体内へと埋め込み、究極体へと進化した彼は、クウガを容易くあしらい、ダグバの気配を感じて森へと向かった所、気付けばあの会場にいた。
 戦いの邪魔をされた事に関して激しかけた矢先、スクリーンに映る映像と爆発で機先を制された彼は、事の成り行きをおとなしく見ている事しかできなかった。
 そして、現在にいたる。以前に、ゴオマらグロンギの行なうゲゲルでルールに背き、ゲゲル参加権を剥奪されたばかりか、体のいい使い走りとしてこき使われた苦い思い出。
 ゲゲルの時は自ら率先して破った為自業自得なのだが、リントのゲゲルもどきで、ルールを破ったおかげでまた痛い目を見るのは御免だと考え、ゴオマはルールブックを熟読している。

「ギギバシビ バスボパ ギャブダガ ン リント スススパ スススバ (リントの言いなりになるのは癪だが、ルールはルールか)」

 時間経過ごとに増えて行く侵入禁止エリア、自身の行動を制限する首輪、何よりも、大ショッカーを名乗るリント――ゴオマはリントとグロンギの種族以外の知的生命体を知らず、グロンギとして面識のない死神博士が人間体であった事もありリントと見なしたのだが――に自分の命を握られる事には、かなりの屈辱を覚えている。
 だが同時に、時間制限こそないが、一定の実力を持った異世界の戦士を対象とする、特殊条件下での殺し合いは、彼がついぞ参加する事の無かったゲゲル、それも上位に位置するゲリザギバスゲゲルに似た所があり、奇妙な高揚感がゴオマを支配する。
 結論から言えば、自分の世界など関係なく、自分の欲望の赴くまま、参加の叶わなかった本来のゲゲルへの代償行動として、ゴオマはこの殺し合いに乗るつもりであった。
 一通りルールブックに目を通し、名簿へと目を移して、ゴオマは目を見開いた。

「ザド ダグバ……!?(ダグバ、だと……!?)」

 ゼギザリバスゲゲルを成功した先にあるザギバスゲゲルで戦う最強のグロンギであり、少し前に『整理』と称し、ズとメに属するグロンギを虐殺した究極の闇、そして、この場所へと飛ばされる前に戦おうと探していた存在がこの場にいる。
 ゴオマの体が震える。それが、恐怖から来る物か、歓喜から来る物かは、ゴオマ自身にもわからない。自分でも気付かぬ内に、ゴオマの口角が三日月型に吊り上がって行く。

「は、はは、はははははははははは!」

 一人しか残れぬ、この狭い空間にダグバがいる。生き残るにはダグバを殺す必要がある。だとすれば、これはゼギザリバスゲゲルなどではなく、実質ザギバスゲゲルと変わらない代物だ。
 引きつった笑顔でゴオマは笑い声を挙げる。ゲゲルにも参加できなかった彼が、ゲゲルの参加を剥奪され、他のグロンギから見下され続けてきた彼が、ザギバスゲゲルと同等の舞台へと参加する事ができた。その奇跡としか言い様の無い事実に、彼は文字通り狂喜する。
 ダグバを自分の手で倒せるならばそれで良し。万が一にでもダグバが倒されでもしたら、その倒した参加者を自分の手で倒せば、究極的には最後の一人になれれば、それは究極の闇よりも強者であると言っても過言ではない。
 ゴオマのテンションはあまりにも幸運な出来事に舞い上がっていた。所謂、最高にハイ!という状態に近いかもしれない。

30代償 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:25:27 ID:Vmt2MlEQ
「バヂボボス! ゴセパ バヂボボデデジャスゾ!(勝ち残る! 俺は勝ち残ってやるぞ!)」
「うるせぇ! 少しは静かにしやがれ!」

 ゴオマのいる部屋のドアが蹴破られ、耳障りな金属音が部屋に響いた。
 怒声を張り上げ、最高の気分に水を指したのは、赤い鬼の姿をした、片手に剣を持つ異形、モモタロスであった。

「おいテメェ、人がこんなふざけたモンに巻き込まれてイライラしてるのに、耳障りな笑い声を挙げるんじゃねぇ! しかもグギグギうるせぇんだよ、人にもわかる言葉で話やがれ!」

 モモタロスは憤慨していた。
 殺し合えなどと、高圧的かつ一方的な命令がモモタロスの気に障った、そして何よりも、自分や良太郎が世界を滅ぼすと聞いては怒らない方がおかしいといえる。
 そのぶつけようもない怒りでイライラしている所にゴオマの笑い声を聞き、八つ当たり気味にその怒りが爆発。直情的な性格が災いし、笑い声のしたこの部屋へと、文字通り殴り込んできたという次第である。

「リントでも、グロンギでも、ない、な」
「ああん? カリントウにブンドキだぁ? 何言ってんだテメェ」

 明らか異形である自身の姿を見ても、身構える事も怯える事もしない目の前の男の態度に、モモタロスは微かな疑問を覚え、そして、それが若干なりとも頭を冷やす機会となる。
 多少冷えた頭で考えると、この男が怪しいという事実に気付く。この殺し合いの場で、あんな高笑いをする時点で怪しくない訳が無いのだ。
 
「テメェ、まさか……」
「本当に、面白いゲゲルだ」

 ルールブックを、置いてあった自身のデイパックの方へと放り投げ、心底愉しそうに笑いながら、男が蝙蝠を彷彿とさせる異形へとその姿を変える。
 一瞬、良太郎と初めて出会った時に倒したイマジンを思い出す。別の世界のライダーの敵、そんな言葉が一瞬だけ脳裏をよぎる。
 そしてモモタロスは確信する。目の前の男はこの殺し合いに乗っていると。モモタロスもまた、デイパックを放り投げ、自分の愛剣モモタロスォ―ドを構えて、臨戦態勢に入る。

「へっ、そうかよ。そういう事なら、容赦はしねぇぜ!」
「ゼンギジョグゲンザ ン ダグバ ボソグ!(ダグバの前哨戦だ、殺す!)」

 モモタロスとゴオマは同時に相手に向かい飛びかかる。
 機先を制したのはモモタロス。武器の分だけリーチが伸びていたのが幸いした。ゴオマの胸元を斜め下に一閃、金属と金属がぶつかりあうような耳障りな音を響かせながら、ゴオマが一瞬怯む。
 ゴオマが怯んだ拍子に、更に横に一薙ぎ。生身の人間であれば今の時点で死んでいてもおかしくはない。だが、斬撃の際の接触音と、モモタロス自身が感じた手応えが、その結果を否定する。
 そして、それを証明するかの如く、特にダメージらしいダメージを受けた様子もなしに、ゴオマは斬撃を受けた部分を撫でながら薄く笑みを浮かべた。
 この程度では俺にダメージを与える事などできないと言外に語っていた。それが、モモタロスの神経を逆なでする。

「テメェ、余裕こいてるんじゃねぇ!」

 怒りの感情を力に変えて、全力でモモタロスォードを振り下ろす。が、ゴオマの頭部目がけて放たれたその一撃は当たる寸前にゴオマの左手に止められた。
 刀身を握ったせいで、手のひらから出血こそしている物の、モモタロスォードの刃はそこで止まり、ゴオマの手を切断し頭部へと到達する事は叶わない。
 押しても退いても動かないその剛力に、モモタロスは仲間であるキンタロスクラスの力があると感じる。

「こんのっ、放し、やがれ!」

 業をにやし、空いた片方の手で、顔面目がけてパンチを放つ。狙い過たず拳はゴオマの横っ面に入った。

31代償 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:25:59 ID:Vmt2MlEQ
(ッ……! 堅ぇ!)

 まるで分厚い鉄板の様な感触。これではモモタロスォードでも決定打が与えられなかった事に頷けよう物であった。
 拳を受けたまま、ゴオマの顔が歪む。正確には薄く浮かべていた笑みを残忍に歪め、拳を握りしめる。
 マズい。漠然とモモタロスが感じるのと、胸部に衝撃を受けて吹き飛ばされるたのは、ほぼ同時であった。

「マンヂ デデンパ ボグススンザジョ(パンチってのはこうすんだよ)」

 嘲り混じりの声を聞きながら、モモタロスは、もんどり打って転がる。
 咳き込むと同時にモモタロスの口から出た血代わりの砂を吐く。
 小物そうな見た目に反して強い。対峙した相手をモモタロスはそう判断する。
 決してモモタロスが弱い訳では無い。本来、ズやメのグロンギ程度であれば、モモタロスでも十分対処できるレベルであろう。
 だが、ゴオマは違う。究極の闇、ン・ダグバ・ゼバのベルトの破片を体内に取り込み、究極体となったゴオマは、金の力の状態のクウガですら圧倒する力を得ている。能力や精神はともかくとして、その身体能力はゴのグロンギに匹敵するのだ。
 
(クソッ、まさかこんな化け物までいるとはな)

 殴られた際にモモタロスが手放したモモタロスォードを片手に、ゴオマがにじり寄ってくる。一気に襲ってこないのは嬲って遊んでいるつもりなのだろう
 最初の攻防であまりにもはっきりと痛感した実力差。電王に変身できれば、まだ戦いようはあるかもしれないが、生憎と変身ベルトの類はモモタロスには支給されていなかった。
 勝ち目は薄い。だからといって逃げるという選択支は浮かばない。
 元々負けず嫌いな性質であるのだが、それ以上に宿主でもある良太郎の事があった。

(あいつは弱ぇ癖に根性が座ってやがるからな)

 ここで逃げれば、目の前の蝙蝠男は参加者を殺して回るだろう、もしもそんな人物に良太郎が出会ったら?
 軟弱そうに見えて、一度こうと決めたら梃子でも動かない。それも、誰かの命がかかっているとしたら絶対だ。実力差など関係なく、止めに入るだろう。
 だから、良太郎より腕っ節の強い自分がなんとかしなければならない。元々こういった荒事はキンタロスや自分の専門だったのだから。
 だが、戦おうにも唯一の武器は敵の手に渡り、武器らしい武器はない。
 どうしたものか、と考えるモモタロスの脳裏に、自分に支給された物が浮かんだ

(確かT2ガイアメモリとかいってたな)

 この部屋に向かう前、とりあえず使える物はないかと荷物を確認した時にあった、もう一つの支給品。首輪のコネクタを使ってドーパントという怪人に変身するツール。
 正直なところ胡散臭いと感じたモモタロスは、使う必要もないと、デイパックにしまっていた。そして、幸運な事にもそのデイパックは今自分の真後ろ、手の届く距離に転がっている。
 手を伸ばし、中身を探る。それらしい物を引き当てた。

(試して、みるか)

 なににしろ、このままでは待っているのは死。で、あるならば最後まで足掻いて足掻き抜く。
 モモタロスは、立ち上がりながら説明書通りにガイアメモリのスイッチを押す。

32代償 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:26:39 ID:Vmt2MlEQ
――メェタルゥ!――
「バビ?(何?)」

 急に鳴り響いた電子音に思わず身構えたゴオマを尻目に、モモタロスはメタルのT2メモリを首輪のコネクタへと接続する。
 まるで溶け込むように首輪とメモリが同化するのと同様にモモタロスの姿が変わって行く。
 燃える様な赤い体から鈍い光を放つ鋼の体。
 二本の角は消え、赤く光る単眼以外に特に装飾の無い頭部。
 そして、その左手には鋭く尖ったかぎ爪。
 メタル・ドーパント、かつて風都タワーを占拠したテロ組織の一員が変身したドーパントであった。

「へっ、さっきは遅れを取ったが、次はこうはいかねぇぞ。 第二ラウンドといこうじゃねえか、蝙蝠野郎!!」
「グガダグ バパダダバサ ゾグザド ギグボザ!(姿が変わったからどうだというのだ!)」

 モモタロスォードとメタル・ドーパントのかぎ爪がぶつかり合い、火花が散った。一合、二合、捌いては捌かれ、捌かれては捌く。
 ゴオマの戦闘スタイルは素手である。武器の類は使い慣れていない。武器を持ったまま攻撃を仕掛けた、ゴオマの失敗である。
 とはいえ、剣とかぎ爪ではリーチの差が存在する。不慣れな攻撃手段と、不利な攻撃手段。その結果、二人の攻防は拮抗している。
 このままではじり貧、どうするか、とモモタロスは思案する。そんな彼に幸運が舞い降りた。

「!?」

 突然、ゴオマの姿が異形の姿から、人の体へと戻っていく。突然の自体に驚くモモタロスであるが、驚いたのはゴオマも同じであった。
 青白く、不健康な肌を引きつらせ、ゴオマは驚愕に目を見開く。何が起こったのか。予想外の事態にゴオマはパニックを起こしかける。
 ルールブックには載っていない、一つの制限が存在する。変身時間の制限。
 ダグバのベルトの破片を取り込んだ事による強化。問題はそこだった。
 このバトルロワイアルにおいて、通常の変身は10分、強化形態には5分と、変身可能時間の制限が設けられている。
 だが、ゴオマが変身してから、まだ5分しか経っていない。何故変身が解けたのか?
 本来、ゴオマにモモタロスを圧倒できるような力はない。ダグバのベルトの破片を体内に取り込み、強化されたからこそ、今の強さがあるのは先にも述べた通りである。
 今のゴオマはダグバのベルトの破片により怪人体が強化されている。で、あるならば、この究極体への変身可能時間は5分間までとなってもおかしくはない。
 問題は、ゴオマの怪人体の強化が一歩通行。究極体にはなれても昔の怪人体には戻れず、またその形態には変身できない事。
 つまりゴオマは、この殺し合いにおいて、自身の怪人体への変身時間は5分間のみ、というハンデを背負ってしまったのだ。
 だが、そんな事情をしる由もないゴオマは混乱する事しかできない。そして、それは彼にとって致命的なミスとなる。

「オラァ!!」

 モモタロスが左手を振るう。咄嗟に構えたモモタロスォードが弾き飛ばされる。
 続けざま、かぎ爪でもう一撃、間一髪避ける事はできたが、その青白い頬に幾筋か紅い線が描かれる。
 
「さっきはよくもやってくれたじゃねぇか、ええ?」

 勝ち誇った調子のモモタロスを相手にゴオマは後ずさる事しかできない。
 悲しいかな、変身のできなくなった今、ゴオマには殺される以外の選択支が存在しない。

「テメェみたいなのを生かしておく理由はねえ、覚悟しやがれ」

 黒一色の瞳に確かな殺気を宿らせ、モモタロスが左手を握りしめる。
 絶体絶命の状況に、ゴオマは逃げようとする事しかできなかった。既に高揚感などという物は消し飛んでいる。
 不意に後ずさる足の踵に何かが触れる感触があった。
 視線を動かすと、何時の間にか戦闘に巻き込まれたのか、横倒しになっている彼のデイパックと倒れた時の衝撃か散らばっている荷物。
 そして、触れた物は、金色に輝く、Sの字が描かれたガイアメモリ。
 ここに来て望外の幸運。藁にもすがる思いでそれを掴み取る。変身の方法は先程間近で確認している。

33代償 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:27:16 ID:Vmt2MlEQ
「それは……! やらせるかよぉ!」
――スミロドン!――

 ゴオマが手にとった物を確認した、モモタロスは、そうはさせじと、ゴオマ目がけ駆けながら、かぎ爪を突き出す。
 だが、それは少しばかり遅かった。

「……ッ!!」
「これで、五分と五分だ」

 突き出されたカギ爪は、獣を思わせる体毛に覆われた両の腕から伸びる鋭く巨大な爪により止めていた。
 猫科の動物を連想させる頭部に、構内に収まりきらず外へと伸びる二本の犬歯。園崎家の始末人であるスミロドン・ドーパントへと、ゴオマは姿を変えていた。
 ゴオマはそのままモモタロスの左手を撥ね除ける。ゴオマの変身を許してしまった事に、一瞬だけでも動揺してしまったモモタロスは対応が遅れ、撥ね除けられた勢いで体勢を崩す。
 一瞬だった。腹部に衝撃。熱く痺れる様な感覚モモタロスの腹部には鋭い爪が深々と刺さっていた。
 ゴオマが突き刺していた爪を腹部から引き抜くと同時に、崩れるようにして、モモタロスが前のめりに倒れる。
 それを尻目に、ゴオマは引き抜いた爪に付着した砂を、しげしげと見つめる。
 倒れたモモタロスの腹部からは血が流れるかの様に砂が床に広がって行く。不思議な現象だが、恐らくそういう生体なのだとゴオマは納得した。

「まずは、一人目だ」

 自分が仕留めた相手への興味はすぐに失せる。まずは一人目、沸き上がる歓喜の情が抑えきれず、猛獣の顔は歪な笑みを浮かべる。
 勝利。負け続け、惨めな思いをしていたゴオマにとって、それは狂おしいまでに甘美な感覚。
 そしてそれは、元々散漫気味だったゴオマの注意力を更に散漫にさせていた。
 ゴオマの右足に激痛が走った。

「ガアッ!?」

 何事かと下を見ると、足に深々と突き刺さる、メタル・ドーパントのかぎ爪と左腕。無論、その先にあるのは、ゴオマが始末したと思われていたメタル・ドーパントことモモタロス。
 モモタロスが受けた腹部への攻撃は出血(?)量からして、明らかに致命傷。だからといって、すぐに死亡する訳でもない。
 致命傷を与え、倒れ伏したからといって勝利した気になったゴオマのミスであった。

「ビ、ガラァ……!!(き、さまぁ……!!)」
「だから……、何言ってるのか、わかんねぇ、よ。まあ、大体、予想は、つくけど、な……」

 怒りに打ち震えるゴオマに対し、得意気にモモタロスは笑ってみせる。
 とはいえ、現在進行形で命の火が消えているモモタロスにとって、今の不意打ちが精一杯のお返しであった。もはや、体は満足に動かす事もできず、意識も薄れ始めている。
 だが、そのイタチの最後っ屁はゴオマに屈辱を与えるには十分だったろう。

(チッ、全然殴り足りねぇってのに、これが精一杯かよ)
「ギベェェェェェ!!(死ねぇぇぇぇ!!)」

 モモタロスの頭部目がけて、スミロドン・ドーパントの爪が振り下ろされる。
 モモタロスには避ける手だてがない。
 脳裏に、良太郎や、デンライナーの仲間達が浮かんだ。

(すまねぇ、良太郎。俺はここまでみたいだ。亀、熊、小僧、良太郎の事、頼……)

 耳障りな音が響く。一拍おいて、モモタロスであった者の首輪から、役目を終えたガイアメモリが床に落ち、割れる音が響いた。

34代償 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:27:56 ID:Vmt2MlEQ
「グァァァァァァ!!」

 ゴオマは怒り狂っていた。優勢だった相手に究極体であれば圧勝していた相手に、右足を負傷させられた。それが何よりも腹立たしかった。
 当たり散らす様に暴れ回る事、数分。制限時間が来たのか、ガイアメモリが排出され、変身が解ける。
 突然、ゴオマは酷い疲労感に襲われた。立つ事すらままならず、思わず膝をつく。

「バビグ……!?(何が……!?)」

 そのまま、突っ伏す様にゴオマは倒れ込んでしまった。
 ゴオマも知らない事実。一部の人間にしか渡らない、金のガイアメモリ。絶大な力を持つ代わりに、この殺し合いには一つの制約を設けられていた。
 今、ゴオマが襲われている極度の疲労がその制約。フルタイムで力の限り暴れ続ければ、グロンギですらも倒れ込む程の消耗をしてしまう。
 ダグバの力、金のメモリ、自分の身の丈以上の力を手にしたゴオマのツケは払い終える事ができるのか、それは誰にもわからない。

【モモタロス@仮面ライダー電王 死亡確認】

【一日目 昼】
【G-1 廃工場の一室】

【ズ・ゴオマ・グ@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第39話「強魔」、ダグバに殺害される前
【状態】疲労(極大)右頬に軽度の裂傷、左掌に軽度の裂傷、右足に重度の裂傷。スミロドン・ドーパント、ズ・ゴオマ・グ究極体に二時間変身不可
【装備】なし
【道具】支給品一式、ガイアメモリ(スミロドン)、不明支給品1〜2
【思考・状況】
基本思考:優勝する。できればダグバは自分が倒す。
1:とりあえず休む
【備考】
※怪人体には究極体にしかなれず、強化形態の制限時間に準じます。
※ルールブックは粗方読み終わりました。

【共通備考】
※G-1の廃工場の一室にモモタロスの死体(首輪付き)と、モモタロスォード、モモタロスのデイパック(不明支給品無し)があります。
※T2メモリ(メタル)は破壊されました。

35 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:30:32 ID:Vmt2MlEQ
以上で投下を終わります。
修正点としては

ルールブックから変身の時間制限のくだりを削除
血を砂に変えたので、それに関連した部分の修正
状態表に負傷箇所が抜けていたので追加

となっています。
遅れてしまった事、重ね重ね申し訳ありません。

36このレスは荒らしによって破壊されてしまった:このレスは荒らしによって破壊されてしまった
このレスは荒らしによって破壊されてしまった

37 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 17:19:07 ID:fadYM7uc
投下乙です。
こちらも投下します。

38人を護るライダー ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 17:19:48 ID:fadYM7uc
 城戸真司は、仮面ライダーである。
 彼に与えられた使命は、他のライダーを殺すこと。
 ──だが、その使命に背いていたのが彼の変身する龍騎というライダーだった。


 彼の住む龍騎の世界は、時間の巻き戻りによって幾つもの戦いの歴史を繰り返していた。
 今の彼が記憶する歴史は──残り6人のライダーが残り3日の死闘を繰り広げた世界である。
 しかし、彼の知る情報では現状での仮面ライダーの数は、4人。自ら戦いをやめた北岡までも参加している。
 そして──


「……浅倉威に東條悟。こいつは死んだはずなんだけどな……」


 ゲームが始まりを告げるときに見かけた東條・浅倉の姿も、名簿に載っている二人の名前も確かに死者のものであった。
 死んだはずの人間が生きているということは、やはり大ショッカーには不思議な力が備わっているということだろうか。
 そうだとして、大ショッカーは何故その力を世界崩壊の阻止に使わないのか。
 無数にある世界の人間たちが、阻止することはできないのか。


「止めてやる……止めてやるからな、こんな戦いも世界の崩壊も……絶対!」


 龍騎のデッキを、真司は強く握り締めた。
 真司はかつて、この力を殺しあうためではなく、守るために使うと決心していた。
 だから、この殺し合いで誰にも死んでほしくないし、世界も崩壊させたくない。

 そして、左手に握られたもう一つのデッキ──それは龍騎の知る残り5人のライダーでも、死んだライダーのものでもない謎のデッキだった。
 それは一体何なのか。真司の世界には存在すらしていないデッキだった。

 アビスのデッキ。契約モンスターはアビスハンマーとアビスラッシャー。
 かつて龍騎が倒したモンスターだったが、モンスターは同じ種が複数存在することもある。


「これが……最後のライダーなのか? 最後のライダーは、このデッキを使って……」


 現れていない最後のライダー。既に12人のライダーを見た彼が、そう誤解するのは仕方がないことだった。
 龍騎、ナイト、ファム──そして最後のたった一人のライダーが、アビス。


「この事を、蓮やあいつにも伝えないと……」


 秋山蓮と霧島美穂。彼らならば、きっと殺し合いをやめてくれる。
 彼らは、誰よりも人間に近い心を持っているライダーなのだから。
 北岡だって、今はライダーバトルをやめたのだから、きっと今回も殺し合いなんてしないだろう。

 彼らに、最後のライダーの事実を伝えなければならない。
 それが、今は「仲間」として互いに協力すべきライダーが共有するべき情報だ。


「そこのあなた……」


 真司は、突然かけられた背後からの女性の声に振り向いた。
 彼の知っている女性──霧島美穂の声とは違う。


「ほどけてるわよ」

「え?」

「靴紐」


 見下ろすと、確かに靴紐がほどけていた。まるで、美穂のようなことを言うのだな……と真司は思う。
 それが、こんな状況でもどこかマイペースな、しかし真司を警戒して銃を構える女性──小沢澄子との出会いだった。


△ ▽

39人を護るライダー ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 17:20:21 ID:fadYM7uc
「随分と壮絶な世界に生きていたのね……あなた」


 龍騎の世界の事情を知った小沢の最初の感想は、そんな言葉だった。
 当然だが、絶句する。大ショッカーははっきりと、「ライダーと敵対する怪人・組織」と言ったが、彼らの世界にそれはないのだろう。
 ライダーの敵はライダーなのだから。


「お疲れ様、城戸くん……そんな世界で、よく生きてこれたわね。
 それだけ強いサバイバル能力があるなら、この場でもきっと生き残ることができるわ」

「いや、俺は……」

「まずは、生きること。それが最優先よ。でなきゃ、他人を守ることだってできないじゃない」


 小沢はそう諭すと、真司の背中を叩く。
 どうやら、真司の周りにはいないタイプの女性のようだ。姉御肌、というやつだろうか?
 真司も周りに比べれば、よく吠えがちだが、これほどエネルギッシュな女性も珍しい。


「こう見えても私だって警察なの。アンノウンに対抗する兵器だって開発してきたわ。まあ、今回の支給品は解析し難いものばかりだけど」


 彼女の支給品は、コルト・パイソンと呼ばれる銃のほかに、「狙撃手」の記憶を内包したメモリと青の胸像があった。
 説明書を読む限りでは、それらは真司や小沢のような人間には信じ難い能力が備わっているらしい。
 唯一、小沢が理解できるのはかつて未確認生命体との戦いに使われた「コルト・パイソン」のみだ。

 真司が小沢に見せた支給品も、龍騎とアビスのデッキは原理がわからず、天才的頭脳も混乱に陥ってしまう。
 もう一つの支給品である不ぞろいなトランプカードならばまだ理解できるが……。


「なんでスペードのカードの一部だけ支給されてるんだ?」

「それはきっと、カードを使って戦うあなたに対する宛てつけね。
 ……大ショッカーはきっと、ゲーム感覚で世界の存亡と人の命を操ってる。これで確信がもてたわ」

「じゃあ、ライダーのせいで世界が滅びるっていうのは嘘!?」

「それはわからないけど、ライダーたちを惑わせるための嘘っていうのも、可能性としてゼロじゃないわね」


 どちらにせよ、こういった形で「挑戦状」を寄越してきた大ショッカーがこの殺し合いを楽しんでいるのは事実だろう。
 真司はそんな大ショッカーに強い怒りの感情を覚える。


「……? ところで小沢さん」

「何かしら?」

「小沢さんって、もしかしてお好み焼屋で焼肉食べたりします」

「どうして?」

「ここに来るちょっと前に──ほら、さっき話した霧島美穂と一緒にお好み焼屋に行ったら、小沢さんに似た人に青海苔ぶつけちゃって」

「安心して。それは私じゃないわ。……ただ、やっぱりあなたって面白い人ね」


 氷川誠のような男だ──そう、小沢は思った。
 靴紐さえまともに結べず、お好み焼屋に行けば他の客に青海苔をぶつける。そんな不器用さ。
 そして、こうして大ショッカーに立ち向かおうとする勇気と正義感は確かに氷川に近いものがある。


「──となると、美穂さんって人も将来大変ね」

「え?」

「なんでもないわ」


 氷川という男を可愛いく思いつつも、彼が恋人に向かないタイプだというのは、小沢も熟知していた。


△ ▽

40人を護るライダー ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 17:20:55 ID:fadYM7uc
「お。早速見つけたぞ、他の参加者」


 G−4エリアに向かったヒビキは、早速二人の参加者を遠目に発見していた。
 仮面ライダーの中でも、龍騎の世界とは違って「護りし者」という括りのなされた響鬼の世界の住人は、他者を護るために動くのが目的である。
 ヒビキは先ほど、津上翔一という参加者と出会い、その決意を確かなものにしたばかりだ。


「まあ、良い意味でのカモってわけか。仕事だもんな」


 報酬は受け取らないものの、「お得意様」になってもらうべく、ヒビキは軽快に動き始めた。
 二人一組というのは、同じ世界で協力したのだろうか。できればああして一緒にいるのが違う世界の人間であったほうが、色々とやりやすいものだが。


「おい、お二人さん!」


 ヒビキはなれなれしくも、そう声をかける。
 当然だが、返ってきたのは怪訝そうな表情であった。


「お互い厄介な事に巻き込まれたね」

「……あなたは?」

「俺はヒビキ。名簿には日高仁志で載ってるけど、そっちのほうが慣れてるからヒビキって呼んでくれ」


 胡散臭い上に、怪しい男・ヒビキに、二人──小沢と真司は警戒を隠せない。
 それだけでなく、日高仁志という名前とヒビキのあだ名の接点が見当たらないのだ。
 馴れ馴れしい口調といい、どうもこの男のペースには順応できない。

 そんなヒビキに、こちらが警戒しているという合図の意味で小沢はコルト・パイソンを向けた。


「ちょっと……やめろよ小沢さん!」


 真司の制止を無視して、小沢はコルト・パイソンの銃口をヒビキに向け続けた。
 そういえば、真司との出会いの瞬間もこれを向けていた。流石に、警戒心という武器は捨てきれないらしい。


「あ。ひどいな。同じ仮面ライダー仲間だろ?」

「残念だけど私は違うの。彼はそうみたいだけど」

「ほら、やっぱり同じライダーだ。なら話がしたいんだよ」

「小沢さん、話くらいさせてくれよ!」


 小沢は銃を降ろすも、その右手は銃を握ったまま離さない。
 咄嗟にヒビキに攻撃ができるようにはしてあるのだ。


「……俺はこれでも、人間を護るっていう使命を持ってるんだよ。だから、他のライダーにもその使命を受け取ってもらおうと思って」

「はい。それなら、俺も同じ考えです。俺だって、ライダーの力を誰かの為に使いたいから」

「お。やっぱりライダーはみんな良い心がけしてるから話が早いなぁ。
 今から12時間後──まあ、ド深夜だけど夜の12時に、E−4エリアの病院の屋上に来て欲しいんだ。俺が来てなくても、津上ってやつがいると思うから」


 ツガミ──その響きを、真司は知っていた。
 どこかで聞いたからだ。──そう、小沢から聞いた名前だった。
 真司は小沢の方を向いて、顔色を確かめる。小沢はこちらを向いて、頷いた。

41人を護るライダー ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 17:21:26 ID:fadYM7uc
「……津上翔一、でしょ? 私の知り合いよ」

「え? 小沢さん、津上と知り合いだったの?」

「ええ。あの津上くんに間違いなさそうね。彼がどこに行ったか知らない?」

「津上ならE−2に向かったはずだよ。そうだな……今頃、E−2で助けるべき人を探してるはずだから、行ってやったらあいつも喜ぶと思うよ」

「じゃあ、ヒビキさん、小沢さん、俺と一緒に行きましょう!」


 真司はそう提案する。が、そう言った真司の屈託のない笑顔を破壊するかのように、駆ける足音が耳を通ってきた。
 一体、その足音の主はなぜ走っているのか──。そういう疑問と、不安がヒビキたちの中を駆け巡る。


「近くに誰かいるみたいだな」

「それも、俺たちの望む形じゃなさそうだ。何か物騒な奴から逃げてるんじゃないかな」

「なら、助けに行かなきゃ……」


 と、龍騎のデッキを構えた真司が走り出そうとする。
 ──が、ヒビキがそれを制止した。


「お前は、小沢さんと一緒に津上のところに行ってこい」

「え……? でも、大丈夫かよ、ヒビキさん」

「大丈夫大丈夫。鍛えてますから」

「それならいいけど……」

「うん。じゃあな──また、後で」


 そう言ったヒビキはもう走り出していた。


「行きましょう、城戸くん」

「……はい」


 橋を抜けようというヒビキに背を向けて、二人は走り出した。


△ ▽


「なんだ、じゃあ逃げ切った後だったわけか」


 と、ヒビキは目の前の男二人──海堂直也と小野寺ユウスケに言った。
 同じように駆け足で出会った三人だったが、海堂と違ってヒビキはほぼ息切れというものをしていない。


「津上と一緒にこっちに来てれば、もう仲間が五人もできてたんだけど」


 ヒビキは最初に津上翔一と別れたことを多少後悔していた。
 彼と一緒にこちらのエリアに来ていれば、ヒビキは五人の仲間と協力することができたのだ。
 それが惜しい事実だったのは確かだろう。


「どうだ? 落ち着いたか? 二人とも」

「……はぁ……はぁ……おっさん、なんでそんなに元気なんだよ。ちゅーか、なんで汗一つかいてないだろ……」

「鍛えてますから。それに、こう見えても俺、仮面ライダーだから」

「……仮面ライダー? 名前は?」


 とユウスケが反応する。


「ヒビキです」

「仮面ライダー響鬼……魔化魍と戦ってた音激戦士だ」

「……ん? 俺のこと知ってたのか?」

「……あなたの知ってること……そして、あなたが出会った残り三人の参加者のこと、聞かせてもらえませんか?
 俺も、知ってることは包み隠さず話しますから」


 彼らはそれぞれ、話すに充分なほど『仮面ライダー』と出会ってきた戦士であった。

42人を護るライダー ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 17:22:13 ID:fadYM7uc
【一日目 昼】
【G−4 草原】

【日高仁志@仮面ライダー響鬼】
【時間軸】本編第41話終了後
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、アタックライドカードセット@仮面ライダーディケイド、着替え(残り2着)、寝袋
【思考・状況】
1:打倒大ショッカー
2:殺し合いはさせない
3:大ショッカー、世界崩壊についての知識、情報を知る人物との接触
4:俺がしっかりしないと……
5:ユウスケ、海堂の話を聞く
【備考】
※カードセットの中身はカメンライド ライオトルーパー、アタックライド インビジブル、イリュージョン、ギガントです
※ライオトルーパーとイリュージョンはディエンド用です。
※インビジブルとギガントはディケイド用のカードですが激情態にならなければ使用できません。
※アギトの世界についての基本的な情報を得ました。アギト世界での『第四号』関連の情報を得ました。


【海堂直也@仮面ライダー555】
【時間軸】最終話 アークオルフェノク撃破後
【状態】疲労(小)、 スネークオルフェノクに二時間変身不可、ライオトルーパーに変身中
【装備】スマートバックル@仮面ライダー555
【道具】支給品一式、不明支給品×2
【思考・状況】
1:ヒビキ、ユウスケとの情報交換
【備考】
※デイバッグの中はまだきちんと調べていません。


【小野寺ユウスケ@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】第30話 ライダー大戦の世界
【状態】疲労(中) クウガに二時間変身不可
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品×3
【思考・状況】
1:海堂直也は信じてもいいのか?
2:殺し合いには絶対に乗らない
3:まずはヒビキに出会ってきた参加者のことを聞く
【備考】
※デイバッグの中身はまだ確認していません。



【一日目 昼】
【G−2 橋】

【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】劇場版 霧島とお好み焼を食べた後
【状態】健康
【装備】龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎、アビスのデッキ@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、ラウズカード(スペードの7,8,10〜K)@仮面ライダー剣
【思考・状況】
1:小沢と一緒に津上翔一に会いに行く
2:ヒビキが心配
3:絶対に戦いを止める
4:蓮、霧島、北岡にアビスのことを伝える
5:大ショッカーは許せない
【備考】
※支給品がトランプだったことを、カードを使って戦う龍騎に対する宛てつけだと認識しました。
※アビスこそが「現われていないライダー」だと誤解しています。
※アギトの世界について認識しました。


【小沢澄子@仮面ライダーアギト】
【時間軸】劇場版 霧島とお好み焼を食べた後
【状態】健康
【装備】コルト・パイソン+神経断裂弾@仮面ライダークウガ
【道具】支給品一式、トリガーメモリ@仮面ライダーW、ガルルセイバー(胸像モード)@仮面ライダーキバ
【思考・状況】
1:真司と一緒に津上翔一に会いに行く
2:殺し合いには乗らない
3:打倒大ショッカー
【備考】
※真司の支給品がトランプだったことを、カードを使って戦う龍騎に対する宛てつけだと認識しました。


【共通備考】
※1日目0時、E-4エリアの病院屋上で合流する予定です(ユウスケ、海堂にはまだ話していません)

43 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 17:23:21 ID:fadYM7uc
以上、投下終了です。
問題点、修正点などありましたら報告お願いします。

44二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/04(土) 17:37:27 ID:pTTZZml.
投下乙です
問題はないですが一つだけ
小沢さんの時間軸が真司と被ってるので
そこは直した方がいいかと

45 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 19:53:49 ID:fadYM7uc
すみません。真司の状態表をコピーして書き換えたため、ミスが生じてました。
正しくは、下の状態表です。

【小沢澄子@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終盤
【状態】健康
【装備】コルト・パイソン+神経断裂弾@仮面ライダークウガ
【道具】支給品一式、トリガーメモリ@仮面ライダーW、ガルルセイバー(胸像モード)@仮面ライダーキバ
【思考・状況】
1:真司と一緒に津上翔一に会いに行く
2:殺し合いには乗らない
3:打倒大ショッカー
【備考】
※真司の支給品がトランプだったことを、カードを使って戦う龍騎に対する宛てつけだと認識しました。

46 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:44:33 ID:yOy20F0I
特にご指摘無かったので本投下しておきます

47Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:45:11 ID:yOy20F0I
木漏れ日を照明に、川のせせらぎをBGMに山道を歩く中年の男がいた。
頼れる男の雰囲気を纏い左手にはデイバッグ、背中にはギター。
いくつもの修羅場を潜り抜けてきた男を人はザンキと呼んだ。

(どういうつもりかは知らないが、ありがたく使わせてもらうぜ)

背中のギターの重みを感じながらザンキは歩く。

音撃真弦・烈斬

鬼として復帰したザンキに猛士が送った新たな剣。
彼が目覚めた時デイバッグと共に「使え」とばかりにそれは地面に突き刺さっていた。
他の支給品も確認したが当然のごとく烈斬を武器として選択し、背中に背負う。

(大ショッカーだかなんだか知らないが、俺の命は誰かと戦う為にあるんじゃない。
 護る為にあるんだ。お前達の好きにはさせねぇ……)

大ショッカー打倒を胸に歩き続け、やがて舗装された道が姿を現した。

「まずはヒビキ達と合流しないことには始まらんな……ここは、A-4辺りか?」

道路上で立ち止まり地図と睨めっこをするザンキの頭上が一瞬暗くなる。
予感を感じ空を見上げるが空は今までと変わりなく晴天だった。

(気のせいか?いかんな、思ったよりも限界が近いのか)

自らの肉体が既にボロボロであるのは覚悟の上での鬼への復帰だったが……
ザンキの脳裏にどこまでやれるのか、という不安が広がる。その時――


「助けてぇーーっ!!」


若い女性の悲鳴が静寂を破る。
迷うことなくザンキは声のした方へと走り出した。
手遅れにならない事を願いながら全力で走り続け、やがて視界が開けていく。
川を横切るように作られたコンクリートの通路。丁度中間ほどの位置で女性が腰を抜かすように座り込み、
すぐ近くには今にも襲わんとばかりに白鳥型のモンスターが羽ばたいていた。

走りながらデイバッグを投げ捨て、左腕の変身音源・音枷のカバーを開き弦を弾く。
空から降り注いだ落雷がザンキを包み込み――

「セヤッ!」

右手で雷を振り払い鉛色の仮面の鬼へと姿を変える。
大幅に強化された脚力で飛び上がり、白鳥型モンスターに不意打ちの飛び蹴りを浴びせ反転。
女性を護るように目の前に着地する。

「まさか魔化魍がこんな所にまでいるとはな、だがどんな場所であれ好きには……あ?」

不意打ちを受け吹き飛ばされた白鳥モンスターは反撃しようと斬鬼まで迫るが
唐突に体中から粒子を噴出しながら消滅してしまう。

「妙に手応えの無い奴だったな、まだいるんじゃねぇだろうな……」

周囲を警戒しつつも背後の女性の方に向き直り右手を差し出す。

「奴がまだどこかに潜んでいるかもしれねぇ、お前さんは早くここから逃げな」

恐怖とも驚きとも思える表情を見せた女性は一瞬目を泳がせた後、叫んだ。

「化け物ぉっ!近づかないでっ!!」
「おいおい、こんなナリしてるが俺は――」


「ウォォォオォォォッッ!!」


斬鬼の言葉は強烈な雄たけびにかき消され、
何事かと確認しようとした時には既に空へと吹き飛ばされていた。


  ◆  ◆  ◆

48Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:45:49 ID:yOy20F0I
葦原涼が目覚めたのは木々生い茂る森の中だった。
起き上がった彼はまず首に巻かれた物体の感触を確かめ、次に諦めのため息をつく。

(夢、で済むわけもなかったか。大事に巻き込まれるのはもう慣れたが……)

立ち上がり、身体の汚れを軽く叩き落としディバッグの中身を確認しようとしたその時――


「助けてぇーーっ!!」


悲鳴が聞こえ、一瞬身体が硬直するがすぐにデイバッグを抱え駆け出していく。
少し走ると舗装された道路までたどり着き、道路に沿って走り続ける。
視界が開け、コンクリートの通路が姿を現し、その中間ほどの位置に悲鳴の持ち主であろう女性が座り込み、
鉛色と深緑のアギトやアンノウンとも異なる怪人が眼前に立ち尽くしていた。
怪人が女性に手を伸ばした時、再び悲鳴があがる。

「化け物ぉっ!近づかないでっ!!」

涼はデイバッグを投げ捨て両手を交差させ――

「ウォォォオォォォッッ!!」

腰に金色のベルトが浮かび上がり瞬時に緑色の異形の姿、ギルスへと変身する。
怪人の隙を突いて強引に蹴り飛ばし、通路から吹き飛ばす。

「お前は逃げろ!」

女性に一言だけ声をかけ、怪人を追う為ギルスも下に流れる川へと飛び降りた。

『俺の力で人を護ってみるのも悪くない』

この会場に来る少し前に思えた涼の素直な感情だった。
そしてそれは今も変わらない。

(大ショッカーの言葉に従う奴ら、人の命を脅かす奴らは全員俺が片っ端からぶっ潰す!)

確固たる意思を胸にギルスは着地し、フラフラとしながらも立ち上がった怪人と対峙する。


  ◆  ◆  ◆

49Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:46:19 ID:yOy20F0I
(何が、起こった?)

不意を突かれた一撃と地上との激突の衝撃に身体を痺れさせながらも斬鬼はフラフラと立ち上がる。
彼の足元を流れる川は膝下程度の深さしかなく激突の衝撃を和らげてくれる事は無かった。
肩を震わせながら咆哮を上げる緑の怪人を見ながら先ほどのコンクリートの通路はダムの堤体上通路であった事を確認する。

(あの高さから落ちたのか、そりゃ効くわな……)

緑の怪人が両手を振りかぶりながら斬鬼に接近する。
それに応えるように斬鬼も構えを取るが思考が戦闘に集中できないでいた。

(あの白鳥の仲間?いや、違う。女はまだ無事のようだ、とするとまったく別の第三者なのか)

「ガァッ!」

雄叫びと共に緑の怪人が右手を振るい、左腕で受け止める。
次いで迫り来る蹴り上げを右手でいなし距離を取る。

(クソッ、左腕が痺れやがる!なんてパワーしてやがんだあの野郎!ってそうじゃねぇ、おい――)
「ガハッ……!?」

声を出そうとした斬鬼の口から出たのは言葉にならない異音、そして口中に広がる鉄の味。

「オォォォ!」

声を上げながら緑の怪人が再び距離を詰め再び右手を振るう。
先ほどと同じように左腕で受け止めよう振り上げ――寸前で身体を大きく屈め怪人の攻撃を避ける。
怪人の右腕にはいつの間にか鎌のような緑色の爪が生えていたのだ、先ほどと同じように受けていたら大きな痛手を受けていただろう。
追撃を狙う怪人を両手で突き飛ばして体勢を崩し、その間に再び僅かに距離を取る。

(冗談じゃねぇ、奴さん本気も本気だな。仕方ねぇ……)

背中に抱えた音撃真弦・烈斬を抜刀したかのようにゆっくりと構える。
緑の怪人はその異様な武器を警戒し、迂闊には攻め込んでこない。
お互いゆっくりと円を描くように動き、相手の出方を伺う。

「ガァァァッッッ!」

やがて痺れを切らした緑の怪人が一気に距離を詰めようと駆け寄った。
初手の右腕の爪を烈斬で捌きつつ懐に飛び込み、鳩尾へと肘うちを喰らわせる。
僅かに怯んだ隙を見逃さず蹴り飛ばし、大きく体勢を崩させる。
緑の怪人は踏みとどまろうとするがそれこそ斬鬼の狙い。
烈斬を使える距離を作り上げ、更に踏ん張る為に硬直した体を狙い横薙ぎに烈斬を振るう。

「グガァ!」

うめき声をあげ緑の怪人が吹き飛ぶ。しかしやられてばかりで終わるわけが無かった。

50Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:47:09 ID:yOy20F0I
赤い触手が右腕から伸び、烈斬を振るい隙ができていた斬鬼の首に巻きついていく。
吹き飛ぶ勢いに引きずられ、斬鬼も前のめりに倒れこんでしまった。
元々の体力の差か、緑の怪人が先に立ち上がり立ち上がろうとしていた斬鬼の首を締め上げる。
そのまま強引に振り回し、更に締め付けを強化する。

(まずい、このまま、じゃっ!)

遠のきかけた意識を気合で呼び覚まし、烈斬で触手を斬りつけなんとか拘束を振りほどく。
勢い余った緑の怪人が体勢を崩し、斬鬼は追撃を狙うが――

「ゴホッ、ゴホッ!」

身体が思うように動かず片膝をつき、血反吐を吐く。
首を締め付けられたまま散々振り回され、既に斬鬼の体力は限界を超えたのだった。
それでも立ち上がろうと顔をあげた斬鬼の視界に右足を振り上げた緑の怪人が映りこむ。
踵の先から死神の鎌とも思えるような爪が伸び、それが徐々に迫り――

(こんな所でやられてたまるかよ……っ!)

烈斬を盾にするように緑の怪人の右足を押さえ込む。
それでも尚、踵の爪が斬鬼にジリジリと迫るが両手で烈斬を支えなんとか持ちこたえる。
しかし残った体力の差か、徐々にその均衡が崩れ少しずつ爪が斬鬼に近づいていく。

「オォォォッッッ!」
「ヌゥゥ……ッ!」

お互いうなり声をあげる。だが遂に力負けした斬鬼の背中に爪が食い込んでいく。
グチュリを何かをつぶすような音を出しながら爪が深く深く身体に突き刺さる。

「ウゥゥオォォォッッッ!」

勝利を確信した緑の怪人が咆哮を上げる。

「勝ち名乗りの……つもりか貴様ぁぁっ!!」

しかしそれ以上の声で血反吐を吐きながらも斬鬼が吼える。
ベルトのバックルから音撃震・斬撤を取り出し、烈斬に装着し怪人を支える左足に狙いを定めるが――

斬鬼自身の足元に烈斬を突き刺し斬撤に指を掛ける。

「音撃斬!雷電斬震!!」

掛け声と共に清めの音を次々とかき鳴らす。
清めの音が川に波紋を呼びそれがやがて波となる。
烈斬を突き刺した川底の地面に亀裂が走り亀裂から雷が噴出する。

「グゥ……ガァッ!」

斬鬼を中心にあふれ流れるエネルギーに耐え切れず緑の怪人が川から吹き飛ばされ、
川沿いの木々の中に突っ込んだ。

姿が見えなくなった事を確認した斬鬼は斬撤の弦から指を放し、空を見上げ息を一つ吐いた。


  ◆  ◆  ◆

51Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:47:47 ID:yOy20F0I
葦原涼が再び目覚めたのは木々生い茂る地面の上だった。先ほどと違うのはすぐ近くに川が見えている事か。
鉛色と深緑の怪人の姿を探すが意識を失っている間に逃がしてしまったらしい。
涼は痛む体を気にしつつ堤体上まで戻り、デイバッグを回収しながら先ほどの女性の姿を探すがこちらも見つからなかった。

「無事逃げ切れたならいいが……」

女性が逃げるだけの時間稼ぎは十分出来たとは思うが怪人を仕留め損なった事が涼の心に不安を宿す。

「あいつ、次見つけたときにはこんどこそ逃がさない……っ!」

不安をかき消すように決意を口に出し、歩き出す。


【1日目 昼】
【A-5 ダムに繋がる道路】

【葦原涼@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編36話終了後
【状態】中程度の疲労、胸元にダメージ 、仮面ライダーギルスに2時間変身不可
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品×1〜3(未確認)
【思考・状況】
1:殺し合いに乗ってる奴らはぶっつぶす
2:人を護る
3:鉛色と深緑の怪人を警戒
【備考】
※支給品と共に名簿も確認していません。


  ◆  ◆  ◆

52Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:48:34 ID:yOy20F0I
葦原涼が去った方向とは丁度逆の方向の堤体上通路の陰にザンキは潜んでいた。
涼が立ち去った事を確認し、疲れきったため息をつく。

「あんた、何であいつの身体にあのギター刺さなかったの?」

茂みの中から逃げたと思っていた女が姿を現し、ザンキは多少驚いた。

「お前、逃げたんじゃなかったのか?」
「答えてよ、あれだけすごい力だったら直接刺せばひょっとして倒せたんじゃないの?」
「かもな……だが、俺が倒すべき敵はあいつじゃない。少なくともあいつは良い奴だ。
 ああするのが一番と思ったからそうしたまでだ」

女の問いに答えつつもザンキは考えていた、何故女が残っているのかを。
そして女の雰囲気から答えを導き出し、薄く笑みを浮かべた。

「何笑ってるのよ」
「お前、このふざけた企画に『乗ってる』。そういうことか」

僅かに残していた弱気な女の仮面を捨て、女は髪をかき上げた。

「ご名答。よくわかったわね?」
「お前がもう隠そうとしなかったから、な。まったくたいしたタマだぜ……相打ちがお望みだったか?」
「別に……」
「はっ、そうかよ。……ガハッ!」

ザンキが血反吐を吐き身体を震わせる。

「トドメさしてあげようかと思ったけど、その様子じゃどっちみち長くはなさそうね」
「……元々長くはない、命だ。動けるうちは、動かすか。お前さんが『乗ってる』って言うなら見逃せないからな」

フラフラと立ち上がり音枷のカバーを開き、弦を弾く。
女が懐から何かを取り出そうと構えるが、そこで動きが止まる。
本来なら変わるはずのザンキの姿が変わらなかったのだ。
ザンキは自嘲の笑みを浮かべドサッと座り込む。

「チッ、変身するだけの体力すら残っちゃいねぇか。命の使いどころを誤ったな……」

女は興味を無くしたのか放り投げられていたザンキのデイバッグを拾い上げ、ザンキの傍らに置かれた烈斬を見つめる。

「悪いが、こいつは譲れねぇな。あとの物は好きにしな」
「そう」

短く返事を返し、自らのデイバッグとザンキの分をデイバッグを抱え女はその場を後にした。

誰もその場にいなくなった事を確認するとザンキは烈斬を杖代わりにフラフラと立ち上がる。
目の前にはダムによってできた水面が先ほどの衝撃の余波でゆらゆらと揺れていた。
ゆっくりと目を閉じ、ザンキはその身を通路から投げ捨てた。

(どちらにせよ、俺は死ぬ。それなら俺の死体は残したくねぇ。ヒビキやあきらが見つけちまった時の事を考えると、な……
 ヒビキ、お前にだけ背負わせちまう事になるが……後の事は頼む)

遠くなる水面を見つめ、やがてザンキの思考も閉ざされていった。
堤体上通路で烈斬だけがザンキの最期を見守った。

【財津原蔵王丸@仮面ライダー響鬼 死亡】
  残り56人


  ◆  ◆  ◆

53Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:50:17 ID:yOy20F0I
ザンキのデイバッグを整理しながら女、霧島美穂は改めてこの戦いの事を考えていた。
たった一つの世界だけが勝ち残る世界。そして勝ち残った世界の参加者には望む物が手に入る。
結局の所は彼女の世界で行われたライダーバトルと同じである。
違う所は二つ、参加が強制である事と大ショッカーの言葉、少なくとも技術は確かなものである事。
死者を蘇生する、不可能な夢物語と思っていたが彼女自身の身体でもって証明されてしまった。
そう、霧島美穂は一度死んだ身だった。最期を誰に看取られること無く静かに死んだ、はずだった。
それがこうしてこの場で動いているのだから大ショッカーの技術は信じるほか無い。

(私の望みは変わらない、勝ち残って、大ショッカーにお姉ちゃんを生き返らせる)

彼女はそうして戦いに乗ることを決意した。手始めに自らの契約モンスターであるブランウイングを召喚し辺りを偵察させた。
近くに参加者が近くにいた事を確認すると彼女はブランウイングと共に自作自演のピンチを作り上げる。
悲鳴に誘われた参加者が傍観を決めたならブランウイングを使って逃走、もしも助けにきたなら自らとブランウイングでの挟み撃ち。
都合のいいことにやってきた男は助けに来るタイプであった。途中姿を変えた事には驚いたが。
想定外だったのはブランウイングが早々に消滅してしまった事だった。倒されたのかと彼女は一瞬焦ったが時間切れであったと判断した。
策が使えなくなり、さてどうしたものかと考えあぐねていた彼女の視界の隅にもう一人の参加者が映った。

ここで彼女は別の策を思いつく。といってもブランウイングを自分を助けにきた目の前の男に変えただけの策だが。
更なる悲鳴をあげ、新たにやってきた第三者が傍観を決めたら目の前の男と、逆に助けにきた場合は第三者の男と共闘する。
誤解を解く暇を与えずどちらかの参加者を始末するつもりだった。うれしい誤算だったのは第三者の男が妙に積極的だった事か。
自分がわざわざ加わる必要は無くなったと判断した彼女は身を隠し、事の顛末を見守ったのだった……

デイバッグの整理を終え、ここにきてから二度目となる名簿の確認を行う。

(秋山蓮、東條悟……名前は知らないけれど同じ世界の参加者なら、ライダーバトルに参加するほどの欲のある人間なら協力できるかな。
 北岡秀一は悔しいけれどこの場は協力するしかない、許すつもりは毛頭ないけれど……)

「浅倉……っ」

姉の仇である男の名前を見つめるたびに彼女の心に黒い炎が燃え上がる。

(私と同じようにアンタも生き返ったっていうなら殺してやる……何度でも、何度でも!)

そんな黒い炎も最後に見つめる名前の人物の事を思うと――

(真司……アンタはきっとこの戦いに乗らないんだろうね、バカだよね、ほんとう……
 でもさ、生き残るには戦わなきゃいけないんだよ?真司。だからさ、だから……
 アンタは変わらなくていい、私が、私達が他の世界を消してあげる。
 そうすれば真司も護れる、お姉ちゃんも生き返る。もうちょっとだけ、待ってて)

黒い炎が更に燃え上がる。様々な感情を燃料に強く、激しく。
その炎に感化された支給品の一つも強く、激しく燃え上がる。

    ―― SURVIVE ――

生き残る為、生き残らせる為、彼女は戦場へ向かう。

【1日目 昼】
【A-4 ダム付近】

【霧島美穂@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】映画死亡後
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式×2、ファムのデッキ@仮面ライダー龍騎、サバイブ「烈火」@仮面ライダー龍騎、不明支給品×1〜4(確認済み)
【思考・状況】
1:あらゆる手を使い他の世界の参加者を倒す
2:秋山蓮、北岡秀一、東條悟と接触、協力。
3:浅倉威は許さない、見つけ次第倒す。
4:城戸真司とは会いたいけれど…

54Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:55:09 ID:yOy20F0I
付け加えたかった文忘れてました

【1日目 昼】
【A-4 ダム付近】

【霧島美穂@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】映画死亡後
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式×2、ファムのデッキ@仮面ライダー龍騎、サバイブ「烈火」@仮面ライダー龍騎、不明支給品×1〜4(確認済み)
【思考・状況】
1:あらゆる手を使い他の世界の参加者を倒す
2:秋山蓮、北岡秀一、東條悟と接触、協力。
3:浅倉威は許さない、見つけ次第倒す。
4:城戸真司とは会いたいけれど…

※ダムは仮面ライダーW第32話でビースト&ゾーンドーパントと対決した場所です

以上で投下終了です
実際のダムの名前は神水ダムという発電目的のダムだそうです。ロケ地調べる人達はすごいですね…

55 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/05(日) 13:24:00 ID:B31MKa72
乃木怜治を投下します

56魔王が 動き出す 日 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/05(日) 13:24:56 ID:B31MKa72

「とんだ目にあったな…………」

日の光に照らされた道を、一人の男が歩きながら呟いた。
その声からは、明らかな苛立ちが感じられる。
肩まで届く黒い長髪、暗闇のような色のロングコート、その下に纏われているスーツ。
全てが、漆黒で統一されている。
その格好からは、まるでこの世の全てを飲み込むような、禍々しい雰囲気を放っていた。
彼の名は、乃木怜司。
『カブトの世界』で猛威を振るっていた、宇宙より飛来した人間に擬態する生命体、ワームを率いる王。

「俺としたことが、油断したか……?」

自らと大ショッカーに対する苛立ちを感じ、舌打ちをする。
本来ならば、ワームの軍勢を率いて、人類に攻撃を仕掛けている最中だった。
忌々しいZECTが生み出した、マスクドライダーシステムの秘密を奪うために、エリアZに進撃。
そしてあと一歩の所で、勝利を収めるはずだった。
だが気がついたら、大ショッカーと名乗った連中に、拉致されるなんて。
そして訳の分からない殺し合いを強制された。
その目的は、自分が住む世界を崩壊から救うこと。
首から伝わる冷たい感触が、その証。
鋼鉄製の首輪には、どうやら爆弾が仕掛けられているようだ。
先程、その犠牲となった男がいる。
名前は確か、影山瞬と言った筈。
ZECTの一員として、ワームに何度も刃向かった。
そして、自分にも。
一度目は、仮面ライダーパンチホッパーとして、他のライダーと徒党を組んだ。
二度目は、エリアZに進撃した際に仮面ライダーザビーの姿で、仮面ライダーガタックと共に抗った。
だがどちらも、自分は掠り傷すらも負わずに勝利する。
それどころか後者の戦いでは、ザビーとガタックの必殺技を手に入れる事に、成功した。
そのままエリアZの最深部に突入しようとした矢先、こんな戦いに繰り出される羽目になるなんて。
しかし過ぎたことをこれ以上考えても、仕方がない。
やるべきことは、一刻も早く元の世界に帰還して、ZECTを潰すこと。

「さて、どうするか」

だが、まずはその方法を探ることからだ。
いくら行動方針を定めたところで、肝心の手段が無ければどうしようもない。
選択肢は、二つ。
一つ目はワームの王としての力を発揮し、参加者を皆殺しにする。
この選択を取ることは楽だ。
自分の力さえ用いれば、負けることは無い。
だが、それはあくまでも自分の世界の話。
大ショッカーはこの会場に、違う世界の住民を連れてきた。
それが、予想以上の力を持っている可能性は充分にある。
地球の人間は、井の中の蛙という諺を作った。

57魔王が 動き出す 日 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/05(日) 13:25:38 ID:B31MKa72
奴らの言葉を借りるのは癪だが、下手に喧嘩を仕掛けてもこうなる可能性がある。
そして何より、この選択を取ることは大ショッカーに屈したも同然。
ワームの王としての誇りが、それを許さなかった。
第一、生き残ったところで奴らが約束を守るとは思えない。
最後の一人になった瞬間、大ショッカーがこちらを始末しに来る事も、充分にあり得る。
返り討ちにしてやればいいが、そうもいかない。
敵は自分を拉致し、このような首輪を巻いた。
この事実からすると、大ショッカーは確実にこちらの手の内を、全て知っている。
そして何らかの対抗策も、既に固めているはずだ。
少なくとも自分が大ショッカーの立場なら、そうしている。
駒に反旗を翻させないために。

(奴らの駒になるだと…………考えただけでも反吐が出る)

怒りによって、腸が煮えくり返りそうになった。
だがそれを押さえて、乃木はもう一つの選択に思考を巡らせる。
二つ目は参加者と結託し、大ショッカーを打ち滅ぼす事。
人間と仲良く手を取り合うつもりなどない。
ワームの本領に応じて、利用する。
戦力となるなら引き入れて、駄目なら餌にするだけ。
そして首輪を解除できる環境も作り、この世界から脱出する方法を探る。
最後は、自らをこんな場所に放り込んだ愚か者への制裁だ。

「ここには、奴らがいるか」

自分に持たされたデイバッグを開いて、支給されていた名簿を確認する。
どうやらこの会場には、自分が知る者が少しはいるようだ。
ZECTが作り上げたマスクドライダーを使う人間と、ワームの同胞。
まず、天道総司。
仮面ライダーカブトの資格者として、我々ワームに何度も刃向かった愚かな男。
自分も、奴には煮え湯を飲まされた。
大ショッカーに啖呵を切ったところを見ると、反旗を翻そうとしているに違いない。
最も自分には、どうでもいいことだが。
潰そうとするのなら、勝手にすればいい。自分の邪魔になったときに、始末すればいいだけ。
次に、加賀美新。
仮面ライダーガタックの資格者として、カブト共に我々の邪魔をした、マスクドライダーの一人。
天道ほどではないが、この男も厄介だ。
そして、矢車想。
仮面ライダーキックホッパーの資格者であるこの男は、いまいち訳が分からない。
ワームの邪魔をしている。
かといってZECTの犬となっている訳でもない。
最後に、仮面ライダーダークカブトに選ばれた、あの男。
ZECTの手によってエリアXの最深部に幽閉され、天道総司に擬態したネイティブらしい。
あれの存在は最高機密らしいが、ワームの情報網さえあれば存在を知るなど、朝飯前。

「まさか、あの間宮麗奈までもがここにいるとはな」

名簿を見ながら、乃木は呟く。
そこには、意外な名前が書いてあったため。
間宮麗奈。
ワームの中でも高い地位に就いており、多くの仲間を率いてきた。
だがある時、カブトとの戦いで記憶を失ったと聞く。
その時に仮面ライダードレイクに選ばれた男、風間大介と恋に落ちて、最後には死んだらしい。
あの女が愚かな人間に愛を抱いたことに、多少ながら驚愕した。

58魔王 が 動き出す 日 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/05(日) 13:28:10 ID:B31MKa72
しかし、それだけ。
精々、駒が一つ減った程度にしか感じない。
無念を晴らそうとも、敵を取ろうとも思わなかった。
人間などに思いを寄せた愚か者など、仲間とは思わない。

「どうやら、奴らの言葉はあながち嘘ではないようだな…………」

間宮麗奈の名前を見て、乃木は思い出す。
最初の地で、死神博士と名乗った老人は言っていた。
戦いに勝ち残れば、願いを叶えると。
そしてそれには、不可能はないらしい。
無限の命、敵対組織の根絶、過去の改変。
恐らく、間宮麗奈も何らかの方法で蘇生させて、盤上の駒としたか。
もしくはハイパーゼクターのように、時を越えて死ぬ前から連れてきたか。
何にせよ、奴らの技術は本物の可能性が高い。
自分をこんな所に拉致することだ。
奪わない手はない。
これを上手く利用すれば、ZECTを潰すことも可能なはず。
乃木の行動方針は、ようやく決まった。
まずは大ショッカーに対抗出来る、人材の確保。
使える者を手駒に引き入れ、駄目な奴は餌にする。
ZECTのライダーも、視野に入れなければならない。
奴らと手を組むなど、本来なら反吐が出る行為だ。
しかし、今は堪えなければならない。
大ショッカーを打ち破るまでの辛抱だ。
その後に、自分の餌にする。

「愚かな大ショッカーの諸君、待っているがいい…………」

乃木は動き出した。
自らの信念に基づいて、大ショッカーを潰すために。
彼のバッグには、一本の剣が眠っていた。
それは『BLACKの世界』に君臨する創世王だけが、使うことを許された剣。
大ショッカーのトップ、大首領の座に君臨した男、月影ノブヒコ。
またの名を、シャドームーンが愛用していた、絶大なる力を持つ剣だった。
血のように赤く煌めく刃は、サタンサーベルと呼ばれる。
それが今、ワームを率いる魔王の手に渡った。
乃木怜司の行く先には、何が待つか。

59魔王 が 動き出す 日 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/05(日) 13:29:06 ID:B31MKa72

【1日目 昼】
【D−3 橋】



【乃木怜司@仮面ライダーカブト】
【時間軸】44話 ザビー&ガタック勝利後
【状態】健康
【装備】サタンサーベル@劇場版仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー
【道具】支給品一式、不明支給品×2(確認済み)
【思考・状況】
1:大ショッカーを潰すために戦力を集める。使えない奴は、餌にする。
2:状況次第では、ZECTのマスクドライダー資格者も利用する。
3:最終的には大ショッカーの技術を奪い、自分の世界を支配する。
【備考】
※カッシスワーム グラディウスの状態から参戦しました。
※現在覚えている技は、ライダーキック(ガタック)、ライダーカッティング、ライダースティング、ライダースラッシュの四つです。

60 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/05(日) 13:29:42 ID:B31MKa72
これにて、投下終了です
矛盾点・指摘などがありましたらお願いします

61二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/05(日) 15:35:49 ID:xfp24BcA
投下乙です。しかし、いくつか気になる点がありました。

・現時点で吸収した技を4つも覚えているのは、序盤の対主催キャラにしては戦力が大きすぎるような
・本来「仮面ライダーBLACK」出典のアイテムである筈のサタンサーベルを出すのはさすがに駄目じゃないでしょうか
 ディケイドに少しでも関わったもの全部OKにしたら、平成オンリーがコンセプトなのに実質全シリーズ許容になってしまうのでは

62 ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:37:57 ID:kmsDnPrw
投下します

63止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:41:34 ID:kmsDnPrw
-----私、天美 あきらは突然殺し合いに参加させられました。見知らぬホテルで目を覚ました私はそこで大変なものを見てしまう。今、私の目の前には…悪魔がいる! -----

---1時間前

「これより諸君には、己が世界の命運を賭けて殺し合ってもらう」

私には目の前の老人が何を言っているのか、すぐには理解出来ませんでした。
…世界の命運……殺し合い…何一つとして現実味を感じません。
ようやく理解出来たのは、それから間もなくのこと…弾けとんだ男性の首。吹き出す血潮。
まやかしではない…現実の死…
魔化魍に襲われたわけでもない…ただの悪意によって人の命が奪われた。
その事実が私の心に届いたとき、やっと老人の言葉が嘘ではないと理解することが出来ました。

「最後に生き残るのはどこの世界か――戦わなければ生き残れない。抗うがいい、仮面ライダーたちよ!」

頭上から迫り来る光の壁…それに飲み込まれた私は…その衝撃に意識を失いました…


-----気がついたとき、私は見知らぬベッドの上にいました。

普段の生活とは無縁な、明らかに高級感漂う純白のベールをどけ、起き上がった私の目の前には…一人の紳士がいました。

「お目覚めになられましたか…」
「あの…ここは…?」
「B-6…ホテルの一室。これが会場の地図です」

高級なホテルが醸し出す雰囲気に、その紳士の佇まいは非常に良く馴染んでいました。
彼が手渡してくれた地図は、殺し合いの舞台であるこの会場の地図…やはり、あの老人の言葉は嘘ではなかった。

「いきなり殺し合いを強要されては戸惑い、気を失うのも無理はありません。よろしかったらお水をどうぞ」
「どうも…」

私の戸惑いはまだ醒めず、手渡されたペットボトルを開けることも出来ず…ただ目の前の紳士の顔を眺めていました。

「申し遅れました…私はスマートブレイン代表取締役社長、村上峡児と申します。この参加者名簿では上から4つめの世界の参加者として書かれていますね」

丁寧に名刺を渡しながら、参加者名簿の名前と照らし合わせて自己紹介をする姿勢、先ほどまでの親切な振る舞い…それらに私はとても好感を覚えました。

「失礼ですが…お嬢さん。あなたのお名前は?」
「あ…天美 あきらです…」
「成る程…6つ目の世界の方ですか。参加者が4人とは大変少ないですね…どなたかお知り合いはいらっしゃいますか?」

名簿に目を通した私は知り合いの名前を見つけ、喜びと戸惑いが激しく混ざり合いました。
イブキさんは…いない。
ヒビキさん、ザンキさんはこんな状況でもきっと大丈夫…鬼として、殺し合いに巻き込まれた人たちを助けているはず。
桐谷くんは…まだまだ、ただの一般人。こんな殺し合いにいてはいけない。

「3人とも…知り合いです。そのうちの2人はとても強く、しっかりとしている方たちですが……」
「助けが必要な方もいらっしゃる…?」
「…はい!」

私は鬼にはなれない…これまでの修行を通して、そう実感した。
でも…安達くんと桐谷くんには未来がある。彼らならきっと鬼になれる。
だから、桐谷くんをここで死なせるわけにはいかない…私は鬼にはなれないが、人を助けるという道は…決して鬼になるということだけではない。

「私は…正直、誰かを守るために十分な力はありません。でも…それでも困っている方々の助けになりたいと思います…村上さん、手伝っていただけませんか?」
「…素晴らしい! いや、お若いのに実に崇高な精神の持ち主だ…まさに上の上と言ったところです……ただし………」

村上さんの笑顔が消え、その顔に暗い影が落ちるのを…私ははっきりと見ました。

「ここが戦場であることを考慮に入れるならば…その精神は下の下です…!」

-----私、天美 あきらは突然殺し合いに参加させられました。見知らぬホテルで目を覚ました私はそこで大変なものを見てしまう。今、私の目の前には…悪魔がいる! -----

64止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:42:09 ID:kmsDnPrw
「戦場では力なき者から消えていく…あなたが力なき者で…非常に残念です」

目の目の紳士は一転、それは…まるでベッドのシーツのような、純白の悪魔へと姿を変えました。

「村上さん……まさか、殺し合いに乗るんですか!?」
「いいえ、大ショッカーのいいなりになるなど下の下…以下です」

白い悪魔の拳が眼前に迫るのを、思わず屈んで避けると、私はもう使うことなどないと思っていた…鬼笛を手に取りました。
甲高くもどこか清らかな音が鳴り響くと、私のカバンから出てきたのはディスクアニマル…ニビイロヘビ。

「何ですか…これは…?」

細長い体をくねらせ、必死で食らいつきにいくニビイロヘビ。それに村上さんが気を取られている隙に、私は自分のカバンを取り、中身を確認しました。
先ほどディスクアニマルが出てきたカバンです。他にも、何かこの場を切り抜けられるものが入っていると信じて……

「…煩わしい!」

村上さんはニビイロヘビをつかむと、苛立ちのあまりかそれを投げ捨てました。
窓ガラスを突き破って消えていくニビイロヘビを一瞥すると、村上さんは再びこちらに向かってきます。

「あなたの力は分かりました。どうです…? あのヘビを操る力について教えてくれませんか…? 共に大ショッカーと戦う力があるならば、ここで殺す必要もない。役立たずの下の下の命しか、私は奪うつもりはありませんから……」
「…お断りします!」

私は鬼笛を鳴らすと、それを額に翳す…完全な鬼にはなれないが…抗う力くらいならば……

「ハァッ…!」

風を纏い、風を切り裂く…以前にも感じた鬼へと変わるこの感覚…

「ほぉ…まだそんな力も持っていたとは…どうです…? 共に戦う気はありませんか…?」
「簡単に…人の命を奪おうとする人の言うことなど…聞けません…」
「そうですか…実に、残念です」

村上さんの拳には、これまで以上の殺意がこもっていました。鬼としての修行で鍛えた反射神経…胴体視力…それらを総動員しても避けるのがやっと……
カバンから取り出した不格好な剣を持ってはみたものの、とても反撃する暇がありません。

「異世界の戦士の力…この程度ですか…」

そう言うと、彼の頭から飛びだしたのは…薔薇の花びら…
紙吹雪のように舞う無数の花びらが、私の体の周りで爆発していく。為す術も無く爆発に巻き込まれていく私の視界に入ったのは、青白く輝く村上さんの掌…
そこから飛び出してきた光の球をまともに腹に受けた私は……そのまま、意識を失いました。

65止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:43:27 ID:kmsDnPrw
-----1時間前

-----私、村上峡児は怒りを感じていた。上の上たる自分に訳の分からない殺し合いを強要した大ショッカーに対して…-----

B-6…ホテルの一室。
見るからに上の上たるスイートルーム。まさに私に相応しい部屋だ。ベッドに見知らぬ子供が寝ているのは気になるが……とりあえず、現状を整理しよう。
ここは殺し合いの場…異世界の住人を滅ぼさなければ、元の世界に帰れない…?
だから、大ショッカーのいいなりになって殺しあう…?
そんなの下の下以下の行動だ。
ならば、今後の方針は決まっている。大ショッカーを滅ぼす…それが上の上の選択。
戦力となる人材を集め、役立たずは始末する。
大ショッカーの言葉を信じるわけではないが、最終的に自分の世界だけが助かればいい。
他世界のお荷物まで面倒を見る必要はない。役に立たなければ消えればいい。
そして大ショッカーを滅ぼし、この世界から脱出する。

「そのためには…この首輪が邪魔ですね…」

名簿を確認するに、自分の知らぬ世界の住人が多数いる。
彼らから情報を集め、戦力を募り、目標を達成する……
まずは、支給品の確認…次に、目の前の少女から話を聞くとしますか。

------そして、今に至る。

オルフェノクでも、ライダーズギアを使ったわけでもなく、変身してみせた彼女の力に興味はあるが、仲間になるつもりがないならば仕方がない。

「他愛もない…とどめです」

変身が解け、ベッドの上でうつ伏せになって倒れこむ裸の少女に手を翳す。

「女の子に乱暴するなんて、関心しないな…」

そのとき、背後から聞こえた声に私はとっさに振り向いた。

「何者です…?」
「女の子の味方…かな…?」

青いメッシュの入った髪に、あくまでもおしゃれを装ったような眼鏡。
まさに、今時の若い男といった風貌だ。

「ド…ドーパント…!? その娘から…離れなさい!!」

その傍らには、これまた若い娘…あの男の連れだろう。
そんなことよりも、第一に感じた疑問がある……

「あなた…何故、この広いホテルで、私がここにいると分かったのです?」
「案内してもらったのさ…そこのヘビさんにね…」

男の指差したものは、先ほど投げ捨てたヘビのおもちゃ…成る程、主に仕える使いとしてはなかなか優秀だ。

「始めは何かの罠かとも思ったけど、他人の釣りを見極めてみるのも悪くないかと思ってね…でも、女の子が助けを呼んでいたとはね。来て正解だったわけだ」

男はそう言うとベルトを腰に巻き、こちらに歩み寄ってくる。

「良太郎くん…? そのベルトって…もしかして…私聞いてない…!!」
「亜樹子ちゃん、ここは僕に任せて。あの女の子をお願い…」
「…分かった。良太郎くんも気をつけて…!」

66止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:44:04 ID:kmsDnPrw
女は少女をシーツで包んで担ぎ上げると、一目散に部屋から出て行く。
そして、男がベルトのボタンを押すと何やら賑やかな音楽が流れ出した。

「…変身」

-----Rod form-----

黒いスーツを纏い、さらにその上から宙を舞った装甲が装着された男。
彼は長い棒状の武器を器用に組み立てると、こちらに向かって軽く手を伸ばす。

「お前…僕に釣られてみる?」

長い棒を室内の空間目一杯に振り回し、こちらを打ち据えてくる。
だが、こちらも上の上だるオルフェノク。幸い相手の力はファイズたちとさほど変わらない…
この程度の攻撃ならばどうということはない。
もともと硬い装甲なのだ。まともに浴びても怖くない。
だが、いつまでも攻撃を浴びつづけるのも気にくわない。
落ち着いて一撃一撃を見切り、カウンターぎみに拳を一発叩き込むのみ。
正面から打ってきた…片手で竿を掴み、空いた片手でガラ空きの胴体を殴りつける。
横薙ぎに振るってきた…竿の進行方向に合わせてこちらも動く。そのまま相手の背後に回ってエルボーを叩き込む。
相手の体制が崩れた隙に追い討ちをかけるように背中を蹴り込む…!

「意外と硬いな…キンちゃん、交代…!」
---ほい、来た! 任せんかい…! ---

-----Axe form-----

再び、相手の装甲が宙を舞い、その姿を変えていく。それに合わせて手元の武器も長竿から斧へと変形されていく。

「俺の強さにお前が泣いた…!」

姿が変わったところで、先ほどと同じ戦士。その性能は推して知るべし。
余裕の姿勢を崩さずに立ち向かう…つもりだった。

「なに…!?」

急速に体から力が抜けていく…そして、オルフェノクの変身が解けていく…
まさか…変身に対する制限…? これも大ショッカーの仕業か…!?

「ここは…一旦引かざるをえませんね…」

支給品の確認を済ませておいて正解だった。スーツのポケットから取り出したメモリを首輪へと差し込む。

----バード-----

「成る程…これはいい…」

体中に染み渡るオルフェノクとはまた違った力…肉体の変質…高揚感さえ感じる……

「待て、逃すかい……」

斧を持った戦士が向かってくるが、羽の一振りが発する風圧で弾き飛ばす。
実にいい…素晴らしい力だ……このまま飛び立つ…あの窓から…!
先ほどヘビを投げ捨てた窓から、今度は私自身が飛び立つ…素晴らしい…
私は今…空を飛んでいる……!!

67止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:44:45 ID:kmsDnPrw
-----10分前

-----僕、野上良太郎は今日も不運の真っ只中です。殺し合いに巻き込まれた僕の足元にいたのは、1匹のヘビでした-----

「それじゃあ、亜樹子ちゃん。とりあえずどこか落ち着けるところに行こうか…まずは今後のことをゆっくりと考えてみないかい?」
「うん…そうだね。ごめんね、良太郎くん…私、いきなりこんなところ連れてこられたから、何か…自分でもどうしたらいいのか、よくわかんなくて…」
「こんな状況じゃ当然さ…さぁ、行こう…」

-----ウラタロス、どこに向かうの?-----

「女性と休憩する場所といったら決まってるでしょ、良太郎…」

-----それって…もしかして…-----

「あったあった。地図の通りだ…立派なホテルじゃない…亜樹子ちゃん、ここに入るよ…って、うわっ…!」
足元に違和感を感じて思わず転ぶ…流石良太郎。不運全開……

-----ウラタロス、何かが足にまとわりついてる!-----

「分かってる…何だこれ…?」

-----ヘビ…やな-----
-----そう…みたいだね-----

「良太郎くん…大丈夫?」
「大丈夫だよ、亜樹子ちゃん。それより…あのヘビは?」
「ホテルの中に入っていったよ…」

-----ウラタロス、どうする?-----

「面白いじゃない…亜樹子ちゃん、あのヘビの後を追うよ…」
「え…ちょっと、良太郎くん!?」

------そして、今に至る。

「なんや、けったいな奴やったな…やたらと気分良く空飛んでったで」

-----何か危ない感じだったね。ああいうのがいっぱいいるとなると気をつけないと-----
-----そうだね…とりあえず、亜樹子さんたちのところに戻ろうか…-----

【1日目 昼】
【B−6 ホテル】

【鳴海亜樹子@仮面ライダーW】
【時間軸】番組後半
【状態】健康
【装備】ツッコミ用のスリッパ@仮面ライダーW
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜2)
【思考・状況】
1:風都のために戦うべきか、他の世界を守るべきか。結論が出せない。
2:知り合いと合流する。
3:良太郎のお笑い魂には関心。
4:良太郎くんが仮面ライダー? 私聞いてない!
【備考】
※ 良太郎について、職業:芸人、憑依は芸と誤認しています。

68止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:45:39 ID:kmsDnPrw
【天美 あきら@仮面ライダー響鬼】
【時間軸】 41話終了後
【状態】全裸 気絶中 全身に軽度の怪我 あきら変身体2時間変身不可
【装備】鬼笛@仮面ライダー響鬼
【道具】支給品一式、ニビイロヘビ@仮面ライダー響鬼、サソードヤイバー@仮面ライダーカブト、不明支給品(0〜1 確認済)
【思考・状況】
1:人を助けるため、自分に出来ることをやる。
2:知り合いと合流する。

【野上良太郎@仮面ライダー電王】
【時間軸】第38話終了後
【状態】頭痛 キンタロス憑依中 電王2時間変身不可
【装備】デンオウベルト&ライダーパス@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考・状況】
1:とりあえず、殺し合いには乗らない。
2:亜樹子、少女(あきら)と一緒に行動する。
3:モモタロス、リュウタロスを捜す。
4:殺し合いに乗っている人物に警戒
【備考】
※ ハナが劇中で述べていた「イマジンによって破壊された世界」は「ライダーによって破壊された世界」ではないかと考えています。確証はしていません。
※ キンタロス、ウラタロスが憑依しています。

【村上峡児@仮面ライダー555】
【時間軸】不明 少なくとも死亡前
【状態】健康  気分高揚 ローズオルフェノク2時間変身不可 バードドーパント変身中
【装備】なし
【道具】支給品一式、バードメモリ@仮面ライダーW 不明支給品×2(確認済み)
【思考・状況】
1:バードメモリの毒素で不安定。

69止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:46:18 ID:kmsDnPrw
以上です

70 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/05(日) 19:01:33 ID:B31MKa72
投下乙です
あきら、良太郎と所長のコンビに合流できて一安心?
村上社長もこれからどう動くか期待できますね。

>>61
ご指摘ありがとうございます
それでは、問題点を直して修正スレに再度投下させて頂きます

71 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/05(日) 20:10:19 ID:.MtIuX.o
投下乙です。
ウラタロスにハーレムがw
女好きキャラはハーレム作っちゃうのがライダーロワなんでしょうか?ww
女性キャラは不安定な亜樹子と全裸のあきらの二人……色々心配かも……。


ところで、wikiに収録するときにタイトルを間違えたので、
「人を護るライダー」は「人を護るためのライダー」にタイトルを変えます。

72二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/06(月) 06:22:05 ID:XeiPdXaY
投下乙です
村上は最初いい人かと思ったけど、やっぱりそうなるかw
でも時間制限があったのは良かった。電王じゃ薔薇はきついからなぁ

ちょっと気になったんですが、首輪のコネクタは直挿しと違って使用者への害はないと思っていたのですが、どうなんでしょう
バードは元々コネクタの無い人間でも直挿し出来ていたし、首輪のコネクタ使ったならそれよりはマシなんじゃないかなと思ったので

73 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:38:52 ID:SOKFk70k
投下開始します。

74Iは流れる/朽ち果てる ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:40:41 ID:SOKFk70k
 どれだけの距離を歩いただろう。
 森を突き抜けた彼──鬼札・ジョーカーは更なる"貰い手"を探し、彷徨っていた。
 志村純一、その腕は既に一人の少女の生き血を奪い、その鼓動を消し去った。
 彼が自分の支配すべき世界にすること──
 それは──


「井坂さん、でしたか……あなたのような人と出会えて、安心していますよ」


 偽の笑顔を振りまき、相手を油断させることである。
 彼が次の鴨としたのは、井坂深紅郎という男で、「医者」というなかなか特殊な職業に就いている男であった。

 その仕事は、人の命を救うことであり、純一としては「面白い相手に出会えた」という気分であった。
 そんな人間がこの殺し合いに乗るか。答えはノーだ。

 ならば、真理の時と同じく最大限の情報を引き出した後、殺す。


「いえいえ、こちらこそ」


 井坂は社交辞令にしても、あまりに淡白な態度でそう答えた。純一を見ようともせず、その顔は終始無表情である。
 志村純一という男に一切の興味を示さない彼の態度に、流石に苛立ちを覚えるが、純一はそれでも表情を笑顔で固めて、情報を得ようと声をかける。


「あの……大ショッカーは『世界の選別』と言ってましたが、世界が無数に存在するのって本当なんでしょうか?」

「さあ。しかし、それなら私とあなたの世界には何か『相違点』があるはずだ。
 教えてもらいましょう、まずはあなたの世界について──」


 純一は、まるで逆手にとられたかのような表情で彼を一瞬──ほんの一瞬だけ鬼神のごとき表情で睨んだ。
 どうやら、目的はどうであれ井坂という男も同じことを望んでいたらしい。
 異世界に興味を持つのは仕方がないことだが、こうなると目の前の男がだんだんと怪しく見えてくる。
 目の前の人間が『黒』である可能性が出た瞬間、純一はその懐のグレイブバックルをさりげなく握った。


「──その体で」


 ──ウェザー──

 やはりか、と思いつつ純一はグレイブバックルを体に巻く。

 ──Open up──

 井坂の体が白のウェザー・ドーパントへ、純一の体が黒の仮面ライダーグレイブに変わる。
 変身はおよそ、同時であった。

75Iは流れる/朽ち果てる ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:41:13 ID:SOKFk70k
「それがあなたの世界の仮面ライダーですか。では、実験させてもらいましょう」


 ウェザー・ドーパントの先手。
 その猛吹雪がグレイブの体に直撃し、その体の表面を凍らせる。内部に通ってくる冷気も、純一の体に早速深刻なダメージを与えた。
 機能を麻痺させたグレイブの装甲が、火花を散らす。


「……成る程、強度はこの程度ですか」


 グレイブは反撃を試みるが、関節部までも凍ったグレイブの体は動かなかった。
 アルビノジョーカーの姿だったならば、こんな風にグレイブの体が動かなくなることはない。だが、グレイブの姿を借りた以上、ここで躓いてしまうのは仕方のないことであった。
 なんとか変身解除してアルビノジョーカーの姿になろうとするが、変身を解除するということは殺す隙を与えることに他ならない。


「では、雷によるダメージを与えてみましょう」


 グレイブの真上に発生した小さな雲から、雷と豪雨が降り注ぐ。
 水の浸透したグレイブの体中を、雷が襲う。たった一閃の雷は、轟音で耳を一瞬殺すと同時に、グレイブの機能を潰していた。
 グレイブの体が、遥か後方へと吹き飛ばされる。


「……ウガァッッッ!!」


 そのあまりの衝撃に思わずアンデッドとしての声が漏れた。
 地面に叩きつけられた体が、グレイブの装甲の中で小さくバウンドする。体に強烈な痛みを感じつつも、自分が引いたジョーカーを純一は呪う。
 体は先ほどの落雷で一時的に痺れた体は、頭で考えるように動くことを忘れていた。
 どこから近づいてくるかもわからない井坂という男を、純一は恐れる。それを確認することさえできない恐怖。


「──異世界の仮面ライダー、どうやら取るに足らない存在というわけですね。
 ……しかし、世界の存亡のためにも死んでもらいましょう」


 急に舞い上がったグレイブの体。
 首に温度を感じる。目の前には薄っすらとウェザーの姿が見える。
 どうやら、首を掴まれ、持ち上がられたらしいというのを純一は感じた。
 ……が、それは好機でもあった。

76Iは流れる/朽ち果てる ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:42:01 ID:SOKFk70k
 ──MIGHTY──

 自らの首元を掴むウェザー・ドーパントの胴に光剣の斬撃が飛び込む。
 高熱を帯びた剣が体表面を伝った。グレイブの首元を離さずに、しかし強大なダメージに体を支えきれずに膝がよろける。


「ウッ……!! 一撃でこれだけのダメージを与えるとは……攻撃力は並ではありませんね」


 ウェザーの体に確かな一撃の痕が残っている。
 深かった。
 溶けたような痕が、陰に隠れて見えないほどに遠い。
 ……ウェザーはその痛みに少しの焦りを感じる。この一撃は決定的とはならないものの、何度も食らえば致命傷となりかねない。
 戦闘を続けるか、続かないか。その迷い。

 折角、ここまで追い詰めた相手の息の根を止めずに放っておくのか。


(……いや、深追いすべき相手ではなさそうだ)


 相手の裂傷を見て、ウェザーはその男を投げ捨てるように放った。
 このままならば、放っておいても他の参加者にとって鴨となるのは間違いない。自分の行動は決して無駄ではなかったのだろう、とウェザーはグレイブが立ち上がる前に思考を飲み込んだ。


「良い実験になりましたよ、異世界の仮面ライダー」


 そう言ってウェザー──いや、井坂深紅郎となった彼はグレイブの元を後にする。

77Iは流れる/朽ち果てる ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:42:33 ID:SOKFk70k
 ──だが、それは井坂の決定的なミスであった。
 草原に倒れていたのは志村純一でもなく、仮面ライダーグレイブでもなく、──アルビノジョーカーという白い悪魔だったのだから。


 自分を痛めつけた復讐。──そんな怨念に取り付かれたジョーカーは、鎌を掴んだまま井坂の下へと走る。


「……懲りないですね、あなたも」


 再び、振り向きもせずに井坂がウェザーメモリを耳に挿し込む。が、そのメモリが音を発することはなかった。
 そして、井坂の白衣も異形へは変わらない。
 そこにあるのはドーパントではなく、ただの医者の姿であった。


「!? どういうことだ……!?」


 一瞬焦ったアルビノジョーカーであったが、その変身が不可能となった井坂を前ににやけた。
 その鎌──デスサイズは、二人目の命を吸い尽くそうと、井坂の眼前で振り上げられた。


(どうして……一体どうして!?)


 井坂の脳裏に、一人の女性の姿が浮かんだ。
 どうやら、それが走馬灯というものらしいのは井坂にもわかった。
 その幻影を振りほどいて、対処方法を考えたいところだが、その女性の姿は頭の中から離れない。


 園咲冴子。
 今の井坂には、何故この女性の顔が浮かんでしまうのかわからなかった。
 ただ、彼女は園咲に近づくために利用したに過ぎないのに。


 そのとき、何故自分が世界の存亡などというものを理由に戦おうとしたのか、全てがわかった。


(成る程……。私は、あなたを愛していたんですね……冴子さん)


 デスサイズは重力に従うように、井坂の頭部に振り下ろされた。



△ ▽

78Iは流れる/朽ち果てる ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:43:03 ID:SOKFk70k
 彼のいた世界が一体、どの世界だったかはわからない。
 ただ、井坂深紅郎という名前が名簿の下方にあるように、彼が別の世界の人間であるというのは間違いないだろう。
 この時だけ、純一の笑顔は心底から出てくるものだったのかもしれない。
 受けた屈辱を返した、その快感に顔も引きつるというものだ。


 そんな笑顔を隠せないまま、純一は井坂のデイパックにある必要物を自分と真理のデイパックに移していた。流石に、大量のデイパックを所持していれば怪しまれるからだ。
 その時、初めて純一はその支給品に『アタリ』と『ハズレ』があることに気づいた。


 自分自身の支給品は、言うならば『中間』。
 変身した相手を倒すことはまずできない道具である。
 ひとつは、『ステルス』というスタンスをとった純一にはうってつけのもので、ペンとライターに分離するZECT-GUNである。一見して、ただの日用道具にしか見えない二つのユニットを組み合わせることで銃になるという代物だ。
 もうひとつは、トライアクセラーという警棒である。どうやら、トライチェイサーあるいはビートチェイサーというバイクの始動キーともなるらしいが、そのバイクはどこにあるのかわからない。


 最初に殺した少女・真理の支給品は、早くして死んだ彼女にしては『アタリ』であったことも意外であった。  ゼクターの力を借りて強力な一撃を放つパーフェクトゼクターという剣。
 『オルタナティブ・ゼロ』という擬似ライダーに変身する道具。


 そして、今殺した男の支給品は『ハズレ』ばかりであった。
 インドネシアの魔除けのお面という、なんとも不気味な面が支給されている。
 もう一つは、人を殺す刃物にすらならない美容師用のハサミやそのセット一式である。
 当然、純一にこんなものは必要ない。デイパックと共に、井坂の死体に置いておくような代物である。


 全ての準備を終え、ジョーカーはいずこともなく歩いていった。



【井坂深紅郎@仮面ライダーW 死亡確認】
※井坂の支給品のうち、純一が不要と判断したものはデイパックと共にC-6に放置されています。
※ウェザーメモリと井坂のランダムアイテムである、インドネシアの魔除けのお面@仮面ライダークウガと真理の携帯美容師セット@仮面ライダー555はデイパックと一緒に放置されています。

79Iは流れる/朽ち果てる ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:43:33 ID:SOKFk70k
【1日目 日中】
【C-6 草原】


【志村純一@仮面ライダー剣MISSING ACE】
【時間軸】不明
【状態】全身の各所に火傷と凍傷 アルビノジョーカー及びグレイブに二時間変身不可
【装備】グレイブバックル@仮面ライダー剣MISSING ACE、オルタナティブ・ゼロのデッキ@仮面ライダー龍騎、パーフェクトゼクター@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式×3(ただし必要なもののみ入れてます)、ZECT-GUN(分離中)@仮面ライダーカブト、トライアクセラー@仮面ライダークウガ
【思考・状況】
1:自分が支配する世界を守る為、剣の世界を勝利へ導く。
2:人前では仮面ライダーグレイブとしての善良な自分を演じる。
3:誰も見て居なければアルビノジョーカーとなって少しずつ参加者を間引いていく。
【備考】
※園田真理のデイバッグを奪いました。
※555の世界の大まかな情報を得ました。

80 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:44:04 ID:SOKFk70k
以上、投下終了です。
修正点、問題点があったら指摘お願いします。。

81二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/06(月) 16:57:58 ID:lUdEh23.
投下乙。
井坂さん・・・制限のこと知らなかったとはいえ間抜けすぎる。

82二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/06(月) 20:49:57 ID:05YrQC56
投下乙です
井坂はここで脱落か。世界対抗だと手軽に組むこともできないんだなぁ

ただ一つ気になるのですが、メモリブレイクしてないならウェザーメモリは無事ですよね?
使い方は井坂が実践したから志村には分かっているはずで(といっても井坂の方法では志村は変身できませんが)、
その上身をもって強力だと知っているので、放置していくとは考えにくいです

83 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 22:00:00 ID:SOKFk70k
指摘ありがとうございます。

自分は書いているときは、逆にウェザーメモリを持ち帰るほうが不自然な感じがしました。
剣の世界におけるウェザードーパントのような怪人は人間に擬態していて道具を使わず直接変身しますから、志村としてはメモリが怪人の力になるものだということを認識できるとは思えません。
目の前でメモリを使ったとはいえ、それが「変身するもの」ではなく「井坂のみが怪人の姿に戻る道具」と認識するほうがありえる気がしました。
また、二度目は変身すら出来なかったので見ている側としてもメモリが信憑性に足る道具と感じることもできないでしょう。

本文には書きませんでしたが、やはりこういった思考も挿入しておくべきでしょうか?

84二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/06(月) 23:11:45 ID:B3MKMYTA
次のバトルで普通にメモリを手に入れるような展開になった場合矛盾するから入れといた方がいいんじゃない?
まぁみんな普通に他世界の変身アイテム使ってるのに、志村だけ気付かないっつーのも変な気もするけど

85 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/07(火) 17:50:39 ID:I26d0kos
>>84
確か支給品には説明書が付属してますし、そのお陰で変身方法を知っているのかと。
井坂の場合は説明書不要で変身方法がわかってますし。

では、>>78の本文を

 当然、純一にこんなものは必要ない。デイパックと共に、井坂の死体に置いておくような代物である。

 それから、──そう、井坂が変身に使用していた道具だ。
 純一の世界では、あのような怪人への変身は道具など使わず、直接姿を変える。
 だが、彼はそれぞれ一度の変身と変身未遂の際に、あの道具を使っている。


(力を発揮するための道具か……? どちらにせよ、ライダーシステムのようにはいかなそうだ)


 井坂の使っていた道具は、二度目の変身を拒んだ。
 井坂自体がウェザーとしての元の力を使い切ってしまった、ということだろうか。
 どちらにせよ、それがライダーシステムやアルビノジョーカーに比べて使い勝手の悪い道具であるというのは間違いない。
 肝心な部分で、井坂と同じ過ちで封印される可能性も考えられる。
 その思考が導き出した答えは、ウェザー・メモリを「ハズレ」とすることであった。

 全ての準備を終え、ジョーカーはいずこともなく歩いていく。
 強力であるはずの武器を後にして。


という風に修正します。
また、状態表の備考で、以下の文を追加します。

※ウェザードーパントはメモリの力ではなく、井坂自身の本当の姿であると勘違いしています。

86 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:02:11 ID:nkwfRPrU
剣崎一真、東條悟、矢車想、光夏海、ネガタロス、擬態天道を投下します

87 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:04:25 ID:nkwfRPrU

静寂に満ちていたはずの病院は、音が響いている。
急患が来たことによる騒ぎや、医師や患者の話し声などではない。
それは、金属と金属が激突することによって響き渡る、冷酷な音だった。
つやが輝いているリノリウムで出来た、長い通路。
その中で、二人の人影が駆け抜けていた。
片や、不死の生命体・アンデッドが生息する『ブレイドの世界』を象徴する、己の運命と戦い続ける戦士。
ヘラクレスオオカブトの如く伸びた、銀色に輝く角。
灼熱のように赤い輝きを放つ、二つの瞳。
スペードの紋章が大きく刻まれた、身体を守る鎧。
その下に存在する、群青のスーツ。
そして、腰に巻かれたベルトには、装甲と同じようにスペードのマークが健在していた。
『ブレイドの世界』には、アンデッドと戦うBOARDと呼ばれる組織が存在する。
ライダーシステム第二号機、仮面ライダーブレイド。
その装着者の名は、剣崎一真。

「でえぇぇぇぇぃっ!」

ブレイドに変身している剣崎は、醒剣ブレイラウザーを振るった。
殺し合いに乗った、目の前の仮面ライダーを止めるために。
ブレイラウザーの刃は、仮面ライダータイガの胸に、当たろうとした。
しかし、それは防がれる。
タイガの持つ、白召斧デストバイザーによって。
火花が飛び散り、薄暗い廊下がほんの少し照らされる。
その瞬間、タイガは後ろに飛んで距離をとった。
ブレイドから離れて、カードデッキから一枚のカードを取り出す。
そして、デストバイザーに差し込んだ。

『STRIKE VENT』

白召斧から、音声が発せられる。
刹那、タイガの両腕に巨大な爪が出現した。
デストクローと名付けられた獲物を見て、ブレイドは目を見開く。
自分の世界と同じように、この仮面ライダーもカードを使って戦うという事実に。
しかし、驚いている暇は無い。
巨大な爪を構えながら、タイガは迫る。
頭上に大きくデストクローを掲げて、振り下ろした。

「くっ!」

だが、ブレイドは後ろに飛んで、爪を避ける。
そのまま、ブレイラウザーを横に振るった。
刃は横一文字に、タイガの胸に傷を刻ませる。
痛みは中にいる東条にも伝わって、悲鳴が漏れた。
それを聞いた瞬間、ブレイドの中で罪悪感が芽生える。
相手はかつて、ライダー同士の戦いを止めようとしていた。
そんな立派な信念を持った彼を傷つけるのは、やはり心苦しいところがある。
だからこそ、止めなければならない。
彼はこの戦いに乗ってしまった。
これ以上、間違いを犯させたりはしない。
その為に今は、全力で戦う。

「はあぁぁぁぁっ!」

思いを胸に、ブレイドは剣を振るった。
だが、そう易々に通らない。
ブレイラウザーの刃は、右腕に装着されたデストクローの爪に遮られた。
この瞬間、ブレイドの勢いが止まる。
動き出そうとするが、遅かった。
タイガはもう片方の腕に装着されたデストクローで、ブレイドの腹を突き刺した。

88 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:05:07 ID:nkwfRPrU

「がはっ!」

悲鳴と共に、彼の身体は吹き飛んでいく。
腹部から火花が迸って、痛みによる熱を感じた。
そのまま、背中から勢いよく床に叩きつけられる。
痛みと冷たさが伝わるが、感じている暇は無い。
ブレイドは瞬時に、顔を上げる。
目の前からは、タイガが迫っているからだ。
起き上がるのと同時に、ブレイドはブレイラウザーを振るった。
斜めより繰り出されたその一閃は、タイガの身体を切り裂く。
とっさの攻撃に対応しきれず、彼の体制は崩れてしまった。
よろめいた隙を突き、ブレイドは一歩前に踏み出す。
そして、ブレイラウザーを横に払った。

「でえいっ!」

仮面の下から、叫びが聞こえる。
タイガの右腕に装着されたデストクローを、弾き飛ばした。
続くようにブレイドは力を込めて、ブレイラウザーを振るう。
その一撃によって、もう片方のデストクローもまた、床へ落とされた。
二つの獲物が音を立てながら、転がっていく。
一度跳ねる度に、廊下の床に傷が付いた。
しかし、二人はそれに目を向けない。
互いに睨み合うだけだった。
そんな中、タイガは再びデストバイザーを手に取る。
続くようにデッキからカードを取り出して、斧に入れた。

『ADVENT』

広がるかと思われた静寂は、破られる。
デストバイザーから音声が響いて、ブレイドは反射的に構えた。
だが、それは意味を成さない。

『GAAAAAAッ!』
「なっ!?」

突如、不気味な咆吼が聞こえる。
それを耳にして、ブレイドはそちらへ振り向いた。
すると、白虎を思わせる巨大な魔獣が、窓ガラスから現れるのが見える。
『龍騎の世界』に存在するミラーモンスターの一種、デストワイルダーだった。
あまりにも唐突すぎる出来事に、ブレイドは対応することが出来ない。
鏡より現れたデストワイルダーの体当たりを、無惨に受けてしまう。

「ぐうっ!」

二八〇キロの巨体に、彼の身体は耐えられなかった。
受け身を取る暇すら無く、ブレイドは壁に叩きつけられる。
しかし、それだけでは止まらない。
突進の衝撃波は凄まじく、背中に位置するコンクリートに亀裂が走る。
そのまま、壁が粉々に砕け散ってしまい、ブレイドは隣の部屋に放り込まれた。
瓦礫となったコンクリートが、音を立てて落下する。
微かな粉塵が、辺りに広がった。

「痛ッ…………!」

身体の節々に痛みを感じながらも、ブレイドは立ち上がる。
空いた穴の向こうからは、タイガとデストワイルダーがこちらを見つめていた。
そして、一歩踏み出してくる。
ブレイドは、この部屋を見渡した。
白いシーツが敷かれたベッドが、いくつも見られる。
窓には、同じ色のカーテンが掛けられていた。
どうやら大人数用が共同で使える病室のようで、広さもそれなりにある。
だが、戦いに影響を与えるとは思えない。
唯一の出入り口は、敵に塞がれている。
追いつめられたと言っても、過言ではない。
だからといって、必殺技を無闇に使うことは出来なかった。

89 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:06:21 ID:nkwfRPrU

(あいつも、俺の世界と同じようにカードを使うライダーか……!)

目の前に立つ異世界の仮面ライダーを見て、ブレイドは考える。
タイガも、自分の世界と同じように、カードを使った戦い方が特徴のようだ。
違いを挙げるなら、武器やモンスターの召喚。
だが、相手はまだ何か手を残してるかもしれない。
無理に突っ込んだところで、返り討ちになる可能性も充分にある。
こちらのラウズカードは七枚だけ。
スペードのAから6と、9のカードしか手元にない。
ブレイラウザーのAP5000を考えれば、必殺技を使えることには使える。
敵の数から、ライトニングブラストとライトニングスラッシュを、それぞれ一発ずつ使う事は出来た。
しかし万が一、あのような巨大な怪物がもう一体いたらどうする。
APが足りなくなった隙を付かれるのがオチだ。

(いや、そんなことは関係ない! 今は彼を止めることだけを考えろ!)

頭の中で芽生え始めた、後ろ向きな考えを振り払う。
自分が今やるべき事は何か。
こんな所で、不安に駆られていることではない。
東條を止めて、分かり合うことだ。
ブレイドは自らにそう言い聞かせると、地面を蹴る。
部屋に入ってきた敵に向かって、突進を開始した。

『GYAAAッ!』

耳を劈くような咆吼と共に、デストワイルダーもまた床を蹴る。
二メートルを超える巨体からは想像できないほど、素早い速度だ。
勢いに任せながら巨大な爪を掲げて、振り下ろす。
しかしブレイドは、身体を捻って紙一重の差で避けた。
かぎ爪は空を切ると、床に大きな傷を刻む。
その隙を付いて、ブレイドはデストワイルダーの懐に潜り込んだ。

「だあっ!」

掛け声と共に、ブレイラウザーを下腹部から縦に切り刻む。
硬質感の溢れるデストワイルダーの肌が、抉られた。
それに激痛を感じ、鈍い悲鳴を漏らす。
だが、ブレイドの攻撃はこれで終わらない。
彼は続けざまに、軌道を戻すように剣を振るった。
続いて一閃。左から右に薙ぎ払う。
そこから反撃の隙を与えないために、ブレイラウザーを振るい続けた。
左肩から右脇腹へ。右の胴から左の胴へ。返すように、胸部を一閃。続けるように、右肩から左脇腹へ。
合計六回の斬撃を受けて、デストワイルダーが硬直する。
その瞬間、ブレイドは左足を軸に一回転をした。
生じた勢いを利用して、デストワイルダーの腹部に蹴りを放つ。
すると、その巨体は大きく蹌踉めいた。
ブレイドが放つ一回のキック力は、480のAPを誇る。
数字で直すと、4.8トンの重さがあった。
いかにミラーモンスターといえども、何度も刃を浴びたことで腹部が脆くなっている。
加えて鋭い蹴りを受けては、吹き飛ぶのも当然だった。

『GU……ッ!』

数歩ほど、デストワイルダーは後退してしまう。
そのままベッドに足を躓かせてしまい、背中から大きく倒れた。
デストワイルダーの重量によって、床が音を立てながら僅かに沈む。
振動が部屋に伝わる中、ブレイドは後ろへ振り向いた。
視界の先からは、タイガが跳び上がりながらこちらに迫っているのが見える。
彼の両腕には、先程弾き飛ばした二つのデストクローが、顕在していた。

「ふんっ!」

迫り来る爪を前に、ブレイドはブレイラウザーを頭上に掲げる。
それによって、異なる二つの獲物が激突した。
接触面から鋭い音が響き、火花が散る。
刹那、ブレイドは剣を握る腕に力を込めて、一気に突き出した。
デストクローを装着するタイガは、押し合いに負けて体勢を崩す。
そして、ブレイドは空いた腹部を目指し、ブレイラウザーで突きを繰り出した。

90 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:06:59 ID:nkwfRPrU
「うわあっ!」

タイガの胸に、輝きを放つ刃が突き刺さる。
ブレイラウザーの刃先を受けて、その身体が吹き飛んだ。
穴が空いた壁に激突し、廊下へ転がる。
床の上で転がるが、すぐに起きあがった。
そして、デストバイザーを手に取る。
続くように、デッキの中からカードを取り出して、白召斧にセットした。

『FINAL VENT』

デストバイザーより、声が発せられる。
瞬間、デストワイルダーが起きあがった。
ブレイドの後頭部を掴んで床に叩き付けられる。
そのままデストワイルダーは、獲物を引きずりながら主の方に向かった。
必殺の一撃である、クリスタルブレイクを決めるために。

「うわあぁぁっ!?」

ブレイドはそれに反応することが、出来なかった。
身体が床と擦れ合い、火花が飛び散る。
焼け付くような痛みを感じるが、ブレイドは耐えた。
そして、足掻き続ける。
しかしデストワイルダーの握力は凄まじく、振り解くことが出来ない。
視界の先では、タイガがデストクローを構えながら立ちはだかっているのが見えた。

(このままじゃ…………!)

ブレイドの中で、焦りが生じる。
両手に床を付けるが、魔獣の進行は止められない。
この状況では、ラウズカードを使うことも出来なかった。
かといって、放置していたら負けは確実。
何とか現状を打破しようと思考を巡らせるが、浮かばない。
タイガとの距離が徐々に縮んでいき、目前にまで迫ろうとした。

「なっ!?」

その瞬間。
首の裏に感じていた圧迫感が、急に消える。
同時に、ブレイドの進行が止まった。
何事かと思い、彼は後ろに顔を向ける。
先程まで自分を掴んでいたデストワイルダーが、姿を消していた。
身体に熱を感じながらも、ブレイドは立ち上がる。

「どういう事…………!?」

一方で、タイガは身体をわなわなと震わせていた。
戻した覚えもないのに、デストワイルダーが消えてしまった事実によって。
この殺し合いに参加させられたライダー達に科せられた、制限の影響だった。
『龍騎の世界』からやって来た戦士は、ミラーモンスターを使役している。
だが、制限の効果によって彼らは、この世界に一分間しかいることが出来ない。
タイガがデストワイルダーを召喚してから、既にそれだけの時間が経過している。
タイムリミットが訪れたことで、ミラーモンスターは消滅してしまったのだ。
無論、この事実を知る者は誰一人としていない。

「お前、こんなことはもう止めるんだ! こんな戦いを続けて、一体何になるんだ!」

ブレイドは、何とか説得を試みる。
人の尊厳を奪う巨悪に屈して、誰かを殺して何になるのか。
大ショッカーは願いを叶えると言っていたが、そんな事があり得るわけがない。
そもそも、こんな訳の分からない戦いを強要させる連中が、真実を言うのか。
否、可能性は限りなく低い。
例え世界の崩壊が真実だったとしても、奴らに何の権利があってこんな事をさせるのか。
こんな不条理に満ちた戦いを、認めるわけにはいかない。
その思いを胸に、ブレイドは叫ぶ。

91 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:07:47 ID:nkwfRPrU

「言ったでしょ? 僕は英雄になるって。その為に、君は死んでよ!」

しかし、その言葉はタイガには届かなかった。
彼が戦う理由。
それは『英雄』という、称号を得る為。
彼は恩師である香川英行より、英雄の覚悟を学んだ。
『多くの者を救うためには、一つの者を犠牲にしなければならない勇気』が、必要であると。
つまり、自分の世界を救うために、参加者を皆殺しにする事だ。
そして英雄になって、皆から崇められる。
これがタイガを、動かす信念だった。
英雄への願望を胸に、デストクローを横薙ぎに振るう。

「ふざけるなっ!」

しかし、それは呆気なく弾かれた。
怒号と共にブレイラウザーを振るった、ブレイドによって。
激情によって放たれた一閃により、タイガは右腕に痺れを感じる。
それに構うことなく、ブレイドは獲物を振り続けた。
あまりにも身勝手極まりない、相手の言い分に怒りを覚えて。
同じように、タイガも両腕の爪を使って斬りかかる。

「英雄だと? 人を殺そうとする奴の、何処が英雄だっ!?」
「分からない? 英雄になるためにはね、大切な人を殺さなきゃいけないんだよ」
「バカなことを言うな!」
「そっちこそ!」

互いの意見は、平行線を辿っていた。
言葉と合わさるように、彼らの武器は激突を続ける。
ブレイドは、ブレイラウザーを縦一文字を描くように振るった。
タイガは、それを右腕に装着されたデストクローで、防ぐ。
金属音が鳴った瞬間、もう一つの爪をブレイドに突き出した。
だが、それが触れることはない。
命中する直前に、ブレイドは後ろに飛んだ。
それによって、デストクローは空振りに終わる。
空いた距離を詰めるために、ブレイドは勢いよく飛んだ。
そして、渾身の力を込めてブレイラウザーで突きを繰り出す。
迫り来る攻撃を防ごうと、タイガは両腕を交差させた。
瞬間、ブレイラウザーとデストクローが衝突。
その衝撃によって、タイガはほんの少しだけ後退してしまう。
足元はふらついてしまうが、すぐに整えた。
日の光が差し込む薄暗い廊下で、二人は睨み合う。
ブレイドは、その瞳に怒りを込めて。
タイガは、その瞳に野望を込めて。
それぞれの視線が、激突した。
しかし、それはすぐに中断されてしまう。

「「なっ――!?」」

突如、足元の床が沈んだ。
その直後、轟音と共に崩壊する。
あまりにも唐突すぎる現象に、ブレイドもタイガも対処できない。
彼らを支えていた床は、一気に瓦礫と化していく。
ブレイドとタイガは、崩落する通路と一緒に落下した。






92 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:09:20 ID:nkwfRPrU
時間が、ほんの少しだけ遡る。
矢車想は、生気が感じられない暗い瞳で、この病室で戦う二人のライダーを眺めていた。
片や光夏海が変身する、正義を自称する白い仮面ライダー。
片や電王と呼ばれた、悪を自称する紫の仮面ライダー。
仮面ライダーキバーラと仮面ライダーネガ電王が、互いに剣を振るって戦っていた。
純白の刃と真紅の刃は、一度激突する度に金属音が、狭い部屋に響く。
敵意に満ちた戦いの空間で、矢車は生身を晒し続けていた。
先程、突然この病室に現れたライダー。
いきなり『善』か『悪』のどちらか、と訳の分からないことを聞いてきた挙げ句、仲間になれと言ってきた。
それを断ると、自分のことを殺そうとする。
自分は死の運命を受け入れた。
そうすることで、本当の地獄に堕ちる事が出来る。
だが夏海は、あの白いライダーに変身してそれを邪魔しようとした。

(…………何故、お前は戦う?)

キバーラが戦う姿を見つめながら、矢車は心の中で呟く。
あの女は何故、戦うのか。
こんな戦いをして、何の意味があるのか。
何故、自分の死を邪魔するのか。
『正義』とやらの為か。
高潔な名前を背負った自分に、酔っているのか。
そして薄汚い自分を救った、英雄を気取りたいのか。

(くだらない)

矢車は、鼻を鳴らす。
ライダーに変身した夏海の姿が、茶番にしか見えなかった。
いくら戦ったところで、何かが変わる訳ではない。
自分達は、大ショッカーに命を握られているのだから。
この首輪がある限り、死に抗うことなど出来るわけがない。
それでも生き残るのなら、方法は一つだけ。
大ショッカーの人形となって、殺戮者になること。
たった一つ。
そうすれば奴らは、願いを何でも叶えてくれると言っていた。
現に、自分に襲いかかったあのライダーは、戦いに乗っている。
その理由は、どうせ自分の願いを叶えるため。

(『仮面ライダー』なんてのは…………そんなもんだ)

仮面ライダー。
弟を殺した老人、死神博士は世界の象徴などと、大層な言葉を飾っていた。
だが実際は、願いという餌に釣られて他者を潰す、醜い存在。
自分の前で戦う黒いライダーが、その証拠だ。
ここに連れてこられた連中も、どうせそんな人間ばかりだろう。
矢車が空虚な視線を向けている一方で、剣戟はぶつかり続けていた。
それと同じように、持ち主であるライダー達の目線も、激突する。

「たあっ!」

キバーラは、純白の輝きを放つサーベルを振るった。
病院に現れた電王とよく似た、仮面ライダー。
しかし、その素性は自分の知る電王とは、似ても似つかない。
あの世界で出会った電王は、口は悪いが無意味に殺生をする者ではなかった。
だが、このライダーは明らかに危険人物。
放置していたら、犠牲者は必ず出る。
そんなことを、許すわけにはいかない。

93勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:09:56 ID:nkwfRPrU

「遅いっ!」

正義に相応しい熱い感情を胸に、繰り出すキバーラサーベル。
それはネガ電王の一閃により、弾かれた。
続くように、ネガデンガッシャーで突きを放つ。
切っ先は、キバーラの華奢な身体に進んでいった。

「キャアッ!?」

甲高い悲鳴が、仮面から漏れる。
紫色の刃は、彼女の右肩に刺さった。
鋭い衝撃を感じて、身体が宙に吹き飛ばされる。
そのまま背中から、壁を突き破っていった。
勢いは止まらず、キバーラは床に叩き付けられてしまう。
しかし、瞬時に立ち上がった。
彼女の目前では、ネガ電王が得物の先端を向けているのが見える。

「ハッ、まるで話にならねぇ。やはり強いのは『悪』だな…………」

そう言うと、ネガデンガッシャーが一瞬だけ煌めいた。
刀身は、まるで血の色を思わせるくらいに赤い。
そこに刻まれている模様。鎧と合わさって、禍々しさを引き立たせるスパイスとなっていた。
『最強の悪』を自負するライダー、ネガ電王。
全身から放たれる覇気を感じて、キバーラは戦慄した。

(強い……!)

仮面の下で、夏海の頬から汗が流れる。
先程から何度もキバーラサーベルを振るったが、弾かれるばかりだ。
たまに鎧を切り裂く事はあるが、効き目があるように感じない。
むしろ、こちらが攻撃を喰らってばかりだ。
しかもその一撃は、あまりにも重い。
このままでは、負ける可能性が高かった。
でも、退くことはしない。

(士君も、ユウスケも、大樹さんも、みんな諦めなかった! だから私も……!)

諦めたりしない。
頼れる仲間達はみんな、どんな窮地に立たされても、その度に切り抜けてきた。
ここで目の前のライダーに屈することは、彼らへの裏切りに他ならない。
何より、矢車さんが後ろにいる。
あの人に生きる気力を取り戻させるため、今は戦わなければならない。
病院に空いた穴から、一陣の風が入り込む。
埃が舞い上がる中、キバーラは地面を蹴った。
両足に力を込めたことで、ネガ電王に向かって突き進んでいく。
そして、キバーラサーベルを横薙ぎに振るった。

「フンッ!」

ネガ電王は、それをネガデンガッシャーで受け止める。
激突し、鍔迫り合いが始まった。
二つの刃が擦れ、鋭い音が響いていく。
力が拮抗して、互いに睨み合った。
その最中、ネガ電王は後ろに飛んで距離を取る。
そして、ネガデンガッシャーの形を変えた。
近距離で戦うためのソードモードから、遠距離用のガンモードへと。

94勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:10:43 ID:nkwfRPrU

(あれは…………!)

キバーラには、見覚えがあった。
『電王の世界』を代表するライダー、電王はフォームチェンジに合わせて、武器の形も変えている。
だがこの悪い電王は、フォームを変えなくてもそれを行った。
その理由はただ一つ。
察した彼女は、防御の構えを取った。
直後、ネガ電王はネガデンガッシャーの引き金を引く。
銃声が響くと同時に、弾丸が放たれた。
空気を引き裂きながら、凄まじい勢いで進んでいく。

「くっ!」

白い刃を振るって、弾丸を防ごうとした。
しかし完全に落とすことは出来ず、一部の弾丸が着弾する。
痛みを感じるも、彼女は堪えた。

『FULL CHARGE』

突如、電子音が響く。
それはライダーパスを手に取ったネガ電王が、ベルトに翳した事で鳴った音だった。
バックルからエネルギーが、紫色の輝きを放ちながら噴出していく。
そのまま、ネガデンガッシャーを握る右腕に流れていった。

「終わりだ」

ネガ電王は呟きながら、銃口を向ける。
キバーラはそれを目にすると、サーベルを握る腕に力を込めた。
相手の気配を感じて、反射的に。
本能で構えを取った。
その直後、彼女の背中から光り輝く翼が生じる。
それはまるで、天使のようだった。

「やあああぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「くたばりやがれ!」

二人の叫び声が、同時に重なる。
キバーラは地面を蹴って突撃を行い、ネガ電王は銃のトリガーを引いた。
キバーラサーベルからは、翼のように眩い光が放たれて。
ネガデンガッシャーからは、真紅の光弾が放たれて。
それぞれ、敵に目掛けて突き進み、激突した。
キバーラの使うソニックスタンプの一撃と、ネガ電王の使うネガワイルドショットの一撃。
凄まじい威力を持つ二つの技は、病室という戦場で押し合っていた。
されど、それはすぐに終わりを告げる。
数秒の時間が経過すると、激突面で爆発が起こった。

「きゃあぁぁっ!?」
「ぐおおぉぉっ!?」

二つの悲鳴は、爆音に飲み込まれてしまう。
その衝撃によって大気は振るえ、キバーラとネガ電王は後ろに吹き飛んだ。
無論、余波は矢車にも及ぶ。
彼の身体は衝撃波で飛ばされてしまい、灰色の壁に叩き付けられた。
打ち所が悪かったのか、そのまま矢車の意識は消えていく。

「矢車さんっ!?」

気を失った彼の姿を見て、キバーラは狼狽した。
あの人を守るために戦っていたのに、巻き込んでしまうなんて。
彼女は急いで、倒れた矢車の元に駆け寄ろうとする。
誰も、気がつかなかった。
戦いの余波によって、天井に亀裂が走っていることを。
その影響で、コンクリートの粉が降り注いでいることを。
そして、限界が訪れていることを。
キバーラは前に一歩だけ、踏み出す。
その直後だった。

95勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:11:19 ID:nkwfRPrU

「うあああぁぁぁぁぁぁっ!」

突如、轟音と共に天井が崩れ落ちる。
それに混じって、男の悲鳴も振ってきた。
天井を構成するコンクリートは瓦礫と化して、床を容赦なく砕く。
そして、粉塵が辺りの視界を包んでいった。

「えっ!?」
「何だっ!?」

キバーラとネガ電王は、突然の出来事に驚愕する。
そんな中、煙はすぐに晴れていった。
そして、来訪者の姿を二人に映し出す。

「痛っ…………どうなってるんだ?」

現れた存在は、キバーラにとって見覚えがある者だった。
赤い瞳、銀色と青の鎧、バックルに刻まれたスペードのマーク。
それは『ブレイドの世界』を代表する仮面ライダー、仮面ライダーブレイドだった。

「貴方は…………ブレイド!?」
「えっ?」

ブレイドと目線を合わせたキバーラは、思わず名前を呼んでしまう。
彼は、あのブレイドなのか。
自分達が旅の途中で出会った、剣立カズマ。
いや違う。名簿には、彼の名前は書かれていない。
だとすると、もう一人の仮面ライダーブレイドなのか。
かつて、世界の崩壊を防ぐために士を襲った、ライダーの一人。
剣崎一真なのか。
その推測はある意味では正解で、ある意味では間違いだった。
目の前に立つ仮面ライダーブレイドは、確かに『剣崎一真』が変身している。
しかしこの『剣崎一真』は、ディケイドの事は何も知らない、別の時間からやって来た存在。
同じように、キバーラもこの『剣崎一真』の正体を、全く知らない。
この事実が、一体どのような運命を導き出すか。











(何で俺のことを……? それに、このライダー達は一体?)

廊下からこの階に落下したブレイドの中に、疑問が広がっていく。
タイガと戦っていたら、いきなり床が崩れた。
その先に現れたのは、見知らぬ二人のライダーと倒れている男がいる。
そして、自分の名前を知っている白いライダー。
何がどうなってるのか、今の彼には分からなかった。
しかしやるべき事が、一つ出来る。

(あのライダー……どうして俺の名前を知ってるんだ?)

そう、ブレイドの名前を呼んだ白いライダー。
声からして、女性と思われる。
まさか、BOARDの関係者なのか。
だが、考えていても始まらない。
まずはタイガを止めて、このライダーから話を聞くべき。
ブレイドの行動方針は、こうして決まった。

96勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:13:36 ID:nkwfRPrU









「おい、お前は『善』か? それとも『悪』か?」

ネガ電王は、目の前に現れたライダーへ声を掛ける。
白虎を思わせる姿のライダー、タイガに。
その理由はただ一つ、自分の戦力に加えるため。
もしも、正義を自称するなら叩き潰す。
もしも、悪を自称するなら迎え入れる。
二つに一つ。
シンプルで分かりやすい、望みだった。

「僕? 僕はどっちでもないよ…………だって『英雄』になるんだから」
「そうか」

タイガの答えを聞いて、ネガ電王は決める。
奴も、自分が潰さなければならない奴だ。
英雄。
自分にとって正義と同じくらい、憎むべき存在。
そんな奴を生かしておく理由など、全く無い。

「なら、てめえにも見せてやるよ! 最強の『悪』の力を!」
(ふふっ、僕は英雄に近づけるんだ…………!)

ネガ電王とタイガは、互いに武器を構える。
そして、彼らは地面を蹴った。
ネガデンガッシャーとデストクローは、金属音を鳴らしながら激突する。






97勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:14:21 ID:nkwfRPrU
彼は、天に向かって真っ直ぐに伸びる、巨大な赤い塔から目を背けるように歩く。
日本に住む者なら、誰でも知っている東京タワー。
そして、空から降り注ぐ太陽の輝き。
それがまるで、自分の最も忌むべき男を象徴しているかのように見えた。
だから彼は、それら二つから目を背ける。
本当なら自分の姿も、反吐が出るような物だった。
自分が存在する『カブトの世界』を代表する男、天道総司をそのまま複製したような、この身体。
だが奴と自分の境遇には、天と地ほどの差がある。
奴は太陽の下、ぬくぬくと人生を過ごした。
だが自分は望んでもいないのに、こんな姿にされた挙げ句、あらゆる自由と尊厳を奪われた。
いつからこうなったのかは、もう覚えていない。
覚えたところで、何の意味もないからだ。

「天道、総司…………ッ!」

憎悪に満ちた声で、名前を呟く。
これは自分が潰そうとしている男の名。
これは自分から全てを奪った男の名。
これは自分の全てを否定した男の名。
何故奴が太陽の下を歩けて、自分が歩けない。
何故奴が全てを手に入れて、自分は何も手にすることが出来ない。
何故奴が人間として生きられて、自分は蛆虫同然の生き方しかできない。
何故世界は奴を受け入れて、自分を受け入れない。
自分と奴で、何が違う。
姿も声も身体も、全て同じだ。
奴が普通の人間で、自分がワームだからか。
それだけか。
たったそれだけの、小さな理由でか。

(僕は、好きでこんな姿になった訳じゃないのに?)

自分は、望んでこんな姿になった訳じゃない。
それなのに、世界は自分を受け入れないのか。
そういうことなら、そんな世界は必要ない。
壊してしまえばいいだけ。
本当なら、こんな姿でいることにも耐えられなかった。
出来るならば、この顔の皮膚を全て剥いでやりたい。
だが、自分の目的は違う。
この会場に集められた全ての命を潰し、全ての世界を滅ぼすことだ。
特にあの男、天道総司は徹底的に苦しめてから、殺す。
ただで殺すことはしない。
自分の受けた仕打ちを全て、味わわせても足りない。
手足を千切り、目を潰し、骨を砕く。
こうなってはあの男も、薄汚い本性を現すはずだ。
そして、惨めな姿で自分に命乞いをするだろう。
だがそうなっても、許すつもりはない。
血の一滴が枯れるまで、痛めつける。

「僕に与えた仕打ち…………そのまま返してあげるよ」

彼の瞳は、まるで幽鬼のようだった。
そのままゆっくりと、足を進める。
『天道総司』への、尽きることがない憎しみを全身に込めて。
やがて、彼は見つけた。
自分の犠牲となる、哀れな生け贄が集う場所を。
それは、病院。
耳を澄ませると、音が聞こえる。
どうやら、騒ぎが起こっているようだ。
なら、自分のやることは一つ。
彼は手に取った。
自分の相棒とも呼べる黒いカブト虫、ダークカブトゼクターを。
既に、銀色に輝くライダーベルトを腰に巻いていた。
いつものように、言葉を口にする。

98勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:14:59 ID:nkwfRPrU

「変身」
『HENSIN』

ダークカブトゼクターから、鈍い声が発せられた。
その直後、ベルトからタキオン粒子が吹き出してくる。
一瞬で全身を包んで、ヒヒイロノカネと呼ばれる金属へと形を変えた。
そして、銀色に輝く重量感溢れる鎧に、変貌。
巨大な瞳は、金色の輝きを放った。
こうして、彼は変身を果たす。
仮面ライダーダークカブト マスクドフォームの名を持つ、マスクドライダーシステムが生み出した、戦士へと。
闇のカブトに選ばされた彼は、動き続けた。
全ての世界を、破壊するために。





【1日目 昼】
【E−4 病院/一階診察室】
※診察室の天井と壁が破壊されています。
※二階の廊下が破壊され、一階診察室と繋がっています。
※二階の病室の壁が、破壊されています。





【剣崎一真@仮面ライダー剣】
【時間軸】第40話終了後
【状態】疲労(小)、ダメージ(小)、仮面ライダーブレイドに変身中
【装備】ブレイバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(スペードA〜6.9)@仮面ライダー剣
【道具】支給品一式、ガイアメモリ(ヒート)@仮面ライダーW、ケータッチ@仮面ライダーディケイド
【思考・状況】
基本行動方針:人々を守り、大ショッカーを倒す。
0:キバーラから話を聞いて、東條を止める。
1:橘朔也、相川始と合流したい。
2:何故、桐生さんが?……
3:Wとディケイドが殺し合いに否定的ならアイテムを渡したい。
4:龍騎の世界で行われているライダーバトルを止めたい。
【備考】
※龍騎の世界について情報を得ました。
※ブレイドに変身してから、5分の時間が経過しました。


【矢車想@仮面ライダーカブト】
【時間軸】48話終了後
【状態】気絶中、弟たちを失った事による自己嫌悪、あらゆる物に関心がない
【装備】カードデッキ(リュウガ)@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜1)
0:…………(気絶中)
1:光夏海と行動するが、守る気はない。
2:殺し合いも、戦いの褒美もどうでもいい。
3:天道や加賀美と出会ったら……?
【備考】
※支給品は未だに確認していません。
※ディケイド世界の参加者と大ショッカーについて、大まかに把握しました。
※ゼクトバックルは床に放置しています。

99勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:15:45 ID:nkwfRPrU


【光夏海@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】疲労(中)、ダメージ(中)、仮面ライダーキバーラに変身中
【装備】キバーラ@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜2)
【思考・状況】
0:まずは目の前の謎の電王を倒す。
1:矢車と行動する。放っておけない。
2:士、ユウスケ、大樹との合流。
3:おじいちゃんが心配。
4:キバーラに事情を説明する。
5:このブレイドは一体…………?
【備考】
※支給品は未だに確認していません。
※矢車にかつての士の姿を重ねています。
※矢車の名前しか知らないので、カブト世界の情報を知りません。
※大ショッカーに死神博士がいたことから、栄次郎が囚われの身になっていると考えています。
※キバーラは現状を把握していません。
※目の前にいるブレイドが、自分の知るブレイドとは別人であると知りません。
※キバーラに変身してから、5分の時間が経過しました。



【ネガタロス@仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事】
【時間軸】死亡後
【状態】疲労(小)、ダメージ(小)、強い怨念 仮面ライダーネガ電王に変身中
【装備】デンオウベルト+ライダーパス@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜2)
【思考・状況】
1:最強の悪の組織を作る。
2:まずは目の前の正義と英雄を倒し、矢車を殺す。
3:キバに似てる……?
4:様々な世界の悪を捜す。
5:大ショッカーは潰すか、自分の組織に招き入れる。
6:電王、キバのほか善は全て倒す。
【備考】
※ネガ電王に変身してから、5分の時間が経過しました。


【東條悟@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】インペラー戦後(インペラーは自分が倒したと思ってます)
【状態】疲労(小)、ダメージ(小)、仮面ライダータイガに変身中(デストワイルダー二時間召還不可)
【装備】タイガのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考・状況】
1:全ての参加者を犠牲にして、ただ一人生還。英雄になる。
2:自分の世界の相手も犠牲にする。
3:まずは剣崎と紫のライダー(ネガタロス)を犠牲にして強くなる。
4:基本的には病院で参加者を待ち伏せてから殺す(二階の廊下が気に入ってます)。
【備考】
※剣の世界について情報を得ました。
※タイガに変身してから、5分の時間が経過しました。


【擬態天道総司(ダークカブト)@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第47話 カブトとの戦闘前(三島に自分の真実を聞いてはいません)
【状態】健康 情緒不安定気味 仮面ライダーダークカブトに変身中
【装備】ライダーベルト(ダークカブト)@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考・状況】
0:病院にいる参加者達を、全員殺す。
1:天道総司を殺し、『天道総司』に成り代わる。
2:全ての世界を破壊するため、手当たり次第全員殺す。
3:特に優先的に『カブトの世界』の五人を殺害する(最終的には自分も死ぬ予定)。
4:僕はワームだった……。
【備考】
※ 名簿には本名が載っていますが、彼自身は天道総司を名乗るつもりです。
※ 参戦時期ではまだ自分がワームだと認識していませんが、名簿の名前を見て『自分がワームにされた人間』だったことを思い出しました。詳しい過去は覚えていません。

100 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:17:26 ID:nkwfRPrU
以上で、投下終了です
矛盾点や疑問点があれば、指摘をお願いします。

101二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/10(金) 09:18:38 ID:lj9nR65U
投下乙です

102二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/10(金) 15:08:24 ID:RX88goKE
投下乙
なんという混戦模様
しかもダブト接近中とか

103 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 19:37:43 ID:Gy92slLI
えっと、状態表の【1日目 昼】 を
【1日目 日中】に修正します

104このロワは読み手様によって破壊されてしまった:2010/12/11(土) 20:24:04 ID:X61NvhYE
管理人も馬鹿だから仕方ないけどな
感想少ないとか嘆いてたら、実際よりも悲惨な状況に見えるんだよ

せめて、感想はこっちのスレに書いたら?
雑談と本スレを分ける意味なんて無いんだし、両方あわせりゃそれなりの書き込み数になるから
パッと見は今より盛り上がってるように見えるだろ
ま、根本的な解決にはならないけどなw

105 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/11(土) 22:43:09 ID:wmV5c6.U
只今より、ズ・ゴオマ・グ、津上翔一を投下します。

106『クウガ』と『アギト』 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/11(土) 22:43:53 ID:wmV5c6.U
 疲労が、ただゴオマの体の動騒を奪っていた。
 体の節々が自分のものではないかのように、立ち上がることもままならない苛つきを隠せなかった。
 彼の属するグロンギという集団は、戦いと殺しがその人生といっても過言ではない。
 そんな闘争本能に従えない彼に、価値は無いと言っていい。
 それを自覚している以上、ゴオマはその「価値」を取り戻すための思考を始めた。

 何をすべきか。
 周りを見渡すが、使えそうなものは何もない。
 外出の必需品である傘は手元にあるが──それを杖に立つことさえ、体は許さなかった。
 彼に立ち上がるだけの力を与えようというものは、この場には無い。
 そこで、デイパックの中を探る。先ほどの「ガイアメモリ」に体力を回復させる効果が無い──むしろ、それを奪うものであるというのは人でない彼にも理解ができた。

 そっとジッパーに手をかけ、中身を探っていく。
 一部の道具たちは、おそらく全員に支給されたものだろう。
 そんなものはいい、とゴオマは手を動かす速度を上げる。彼が探すのは、見たことのあるものではなく、個々に渡されたはずの道具なのだから。


「ボセグ ゴセン ヅビバ (これが おれの 武器か)」


 見覚えのない道具は、たったひとつ。
 眠りにつく、たった一匹の蝙蝠の寝息である。
 デイパックの闇から解放された赤と黒のそれは、漏れた光を不快がるように、目を開けた。

 蝙蝠──それは、ゴオマにとって近しい存在である。
 かといって、それと群れはしない。しかし、不思議とそれを見つけたことは彼の頬を緩ませた。


「コラッ! 昼間から起こすな。…………なんだ、お前は?」

「ボン ヅビパ ザバグボバ(この 武器は 話すのか)」

「日本人じゃないのか……?」


 蝙蝠は全身黒というゴオマの姿、そして言葉を警戒した。
 濁音にまみれた言葉の暴力性。それをなんとなく感じ取った。
 ……が、言葉の通じない相手に、ゴオマは咄嗟にリントの言葉で対応する。


「おまえに、用がある」

「……俺に何の用だ」

「誰かを、ここに連れて来い」

107『クウガ』と『アギト』 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/11(土) 22:44:25 ID:wmV5c6.U
 今の動けないゴオマにとって、必要なものは使える支給品と、人の屍だった。
 助けなどではなく、少しでも使える力を殺人に奮い、その支給品を奪う。逆に相手に殺されることは絶対に考えない。
 それがダグバの力を手に入れた今の彼の、自信というものだった。


「ふざけるな。……と言いたいところだが、お前の様子を見る限りでは助けがいるようだな」

「助けなど、いらん」

「無理するな。人が要るんだろう? ならば、呼んできてやる」


 ゴオマの考える意図とは違っているが、意思は伝わったらしい。
 人を呼んでもらえれば、それで大いに構わないのだ。目の前で起こる「死」に、この蝙蝠がどう反応するかはわからないが。


「お前は、俺が守ってやる。ありがたく思え」


 そう言い残して、蝙蝠は軽やかに空中を遊泳し、光の漏れる場所へと消えていく。
 彼の向かった先を、見つめようともせずにゴオマは笑みを浮かべた。
 ここに来る獲物を惨殺する未来を想像しているのか、それともその反動を忘れて強い力におぼれているのか──。
 工場の闇に黒服を溶かし、笑い声だけがそこに残っていた。



△ ▽



(長いな〜、やっぱり……)


 津上翔一は、ゆっくりと近づいてくる街並みを遠く見上げた。
 道路に立ち上がる彼は、この場所で「護るべきもの」を探している。
 戦場に怯える弱き人々を──その命を、護るために、長い道のりを歩いてきたのだ。
 この街並みの中に、怯える人間がいるかもしれない。隠れている人間がいるかもしれない。
 そんな人間が存在してしまう現実を呪いながら、彼は街へと近づいていった。


「……俺も、シャキッとしないと」


 ヒビキという男と出会った彼は、人を護る人がどんな顔をするのか──それを確かに知った気がした。
 微かな不安を帯びながら、しかし人の持つ大切なものを護ろうと、そんな気概を感じるまっすぐな瞳。
 それを、人の前に出たときも忘れてはいけないだろう。
 翔一は、その頬を意気込みとともに軽く叩いた。
 自分はアギトだ。そうである以上、人を殺させない。
 そんな、護りし者の気合。それを外に逃がさないため。


「おい、そこの男」


 翔一は背後からかけられた声に、顔を顰める。
 先ほどまでは、確かに四方のどこにも人間なんていなかった。だというのに、こんなに近くから聞こえる声は何か。
 足音も、気配さえも殺して近づいたそれは何か。

 後ろを向いたとき、そこにあったのは蝙蝠──と言うには、不自然な体をしているが、それ以上の呼び名を考えようもない生物が空中を浮遊していた。
 一秒ごとに揺れる羽。羽音は小さい。気づくはずも無いだろう。


「蝙蝠さん、ですか……?」

「ああ。俺の名前はキバットバットⅡ世だ」

「俺、蝙蝠と話すのは初めてですけど、……なんか、変わってますね」


 相手がアンノウンではない。それは翔一の顔を緩ませるに充分であった。
 通常の人間とは、真逆の対応で返す翔一は、その存在を特殊とは知りつつも、いつも通りのマイペースで返す。


「お前も随分変わっていると思うが……まあいい、簡単に言ってやろう。……助けが必要な奴がいる」

108『クウガ』と『アギト』 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/11(土) 22:45:03 ID:wmV5c6.U
 翔一はその一言を聞いて、顔色を変えた。
 今、翔一が護りたいと願っている存在が、助けを呼びに来たらしい。
 人が傷つくのは嫌いだが、もし傷ついた人間が助けを求めているときは、それに応じる。──それが津上翔一という男なのだから。


「ついて来られるか?」

「ええ。今すぐ助けに向かいます! で、場所は?」

「こっちだ!」


 キバットⅡ世の飛んでいく先は、翔一が向かってきた場所とは真逆である。
 翔一は、自分が向かおうとしていた場所の建物の群れを一瞬だけ、未練でもあるように振り替える。
 そこに助けを求めている人がいるかのような予感がして──。


(でも、俺が今やるべきことは人を助けることだから……俺、行かなくちゃ)


 翔一は草原を突っ切り、キバットの後を追っていった。



△ ▽



「おーい、助けを呼んできてやったぞ」


 やっとか、とゴオマは思う。
 キバットの向かった場所が非常に遠かったせいか、その時間の経過は非常に長かった。
 ゴオマにとっても、退屈しか呼ばない。節々の痛みも癒されぬまま長い時間が経過していたのだ。
 体中の痛みを我慢し続けるだけの一時間数十分──話す相手も、戦う相手もない、というのは我慢ならないものである。
 それは強いストレスであり、赤黒の蝙蝠に対する怒りにも繋がっていた。


「今、助けに行きますから!」

「こっちだ、翔一」


 遠くから聞こえてくるそんな声に、笑みを漏らす間もない。
 力を発動させる。そのためにゴオマは体に力を込める。

 ……が、彼はまだその姿を異形へと変えることができなかった。
 あとほんの数分、彼に与えられた時間は足りなかった。


「大丈夫ですか!?」


 と、ゴオマを見つけた翔一は瀕死の男に近づいた。
 ゴオマの姿は変わっていない。……そのため、翔一は相手を「人間」としたうえで近づいた。


「……大変だ、これだけの傷じゃあ歩けないでしょう……」


 ゴオマは、もう一度変身を狙う。が、またしてもその姿は人のまま変わることはない。
 蝙蝠としての自分を発揮できないのだ。


「……もしかして、こいつにやられたんですか?」


 そんなゴオマの思惑も知らない翔一は、先ほどから気になっていた「それ」に目をつける。
 赤い鬼の異形──その、ピクリとも動かない姿。
 それは、彼のいた世界で言うなら、アンノウンという存在に酷似していた。

 彼らは、アギトに覚醒する人間ばかりを狙う。
 決して人は殺さない。もし、この男がアンノウンに狙われたとしたなら。そして、そのアンノウンを倒したなら、きっと──


(この人はアギトだ。……それなら尚更、一緒にいてあげないと)


 この殺し合いにアンノウンが参加している以上、彼はまた狙われることになる。
 それを阻止する、それが彼の──仮面ライダーのやるべきことなのだから。

109『クウガ』と『アギト』 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/11(土) 22:45:44 ID:wmV5c6.U
「でも、この人の怪我、ここにあるものじゃ治せそうにないな……」


 アギトならば、ある程度治癒力は高いはずだが、現状の彼はアギトに変身したことによって逆に強い疲労感に陥っている。
 例えるなら、ギルス──。不完全なアギト。


 そんな思考の中に潜り込んだ翔一を、──彼が何を考えているかは知らないが、ゴオマは嘲笑った。
 ようやく、ようやくだろう。
 不思議な力が血潮とともに、ゴオマの中を駆け巡っている。
 その力が、解き放たれた。
 彼は、その究極の力を使い、再び黒の蝙蝠へと変身した。


「──やっぱり、アギトだったんですね」


 翔一は、変身したゴオマを前にしても、妙に達観した姿勢で見守る。
 そう、彼は目の前の男のアギトとしての不完全な姿を見守っているのだ。
 ゴオマが、湧き上がる力とともに立ち上がり、翔一に右の拳を送り込んだ。
 その受身を取りながら、翔一の腰にオルタリングが光る──変身。

 仮面ライダーアギト。
 完全なアギトである彼が、目の前の「不完全なアギト」を止めるためにその力を目覚めさせた。


「クウガ!?」


 ゴオマがそう誤解するのも無理はない。
 その複眼、そのベルト、その金色の角。全てがゴオマらグロンギの宿敵に酷似していた。
 ──ゴオマにとっては、都合の悪い相手に他ならない。


「とんでもない展開になってきたな……。俺は知らんぞ」


 キバットは天上にその足をつけて二人から距離を置く。
 戦いを避けつつも、蝙蝠の怪人には何か──キバの面影を思い出さざるを得ない。
 全く別の変身方法、全く別の形状とはいえ、蝙蝠のシルエットは同じである「それ」の姿を見つめる。


(この人、あんまり攻撃できないな……)


 傷だらけの体で攻撃をするゴオマに、アギトは防御の姿勢を固める。
 倒すのが目的でない戦いは、なかなか難しいものがあるのだ。
 一撃、一撃、一撃。突き刺さるように痛い──が、反撃はできない。


「クウガ ヂバサゾ ヅバパバギボバ(クウガ 力を 使わないのか)」


 アギトの耳に流れる、意味不明な言語。
 もう一度、「クウガ」という単語が聞こえている。
 そのフレーズが、頭のどこかでつっかかってくる。

 だが、ゴオマはその思考から何かを取り外す間も与えなかった。
 次の一撃。最早、グランドフォームの彼では防御し切れない攻撃であった。


「すみません!! 誰だか知らないけど──」


 ゴオマの傷を抉るような、アギトのパンチ。
 その、たった一撃でゴオマは全身にしびれるような痛みを帯び、その体を床に倒した。

110『クウガ』と『アギト』 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/11(土) 22:46:34 ID:wmV5c6.U
「少し痛いけど、我慢してもらいます」


 倒れた彼に、馬乗りになってその首筋に軽いチョップを見舞わせる。
 と、全身傷だらけに疲労という危機的状態であったゴオマは意識を失い、その体を人のものへと戻らせた。

 最早、彼にはモモタロスによって変身すらままならない傷を受けていたのだ。
 これから先の戦いに響く、重大な傷の数々を。


「容赦ないな」

「これくらいやらないと、この人は止まらないかもしれないから」

「まあ、妥当な判断だろうな」


 倒れたゴオマを、アギトの変身を解いた翔一が背負った。
 流石に重いようで、平均を保つには数秒の間をおくことになる。
 だが、彼を背負った翔一に迷いはなかった。


「キバット、俺、この人を連れて病院に行ってくる」


 病院のあるエリアは遠く、どれだけ時間がかかるかわからないが、このまま工場などにいてもまず彼は助からないだろう。


「なら、俺はバッグの中で昼寝をさせてもらう」

「ああ、キバットは休んでて」


 そのまま、キバットは翔一のデイパックの中へと消えて行った。
 津上翔一──彼はその遠い道程を越えて、不完全なアギトを救おうとしていた。


 それがかつて世間を騒がせた未確認生命体である、ということさえ知らずに──。


【一日目 日中】
【G-1 廃工場の一室】


【ズ・ゴオマ・グ@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第39話「強魔」、ダグバに殺害される前
【状態】疲労(極大)右頬に軽度の裂傷、左掌に軽度の裂傷、右足に重度の裂傷。気絶中。翔一に背負われてます。ズ・ゴオマ・グ究極体に二時間変身不可
【装備】なし
【道具】支給品一式、ガイアメモリ(スミロドン)、不明支給品0〜1
【思考・状況】
※以下、気絶前の思考です。
基本思考:優勝する。できればダグバは自分が倒す。
1:とりあえず休む
2:クウガ……?
【備考】
※怪人体には究極体にしかなれず、強化形態の制限時間に準じます。
※ルールブックは粗方読み終わりました。


【津上翔一@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終了後
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、コックコート@仮面ライダーアギト、ケータロス@仮面ライダー電王、ふうと君キーホルダー@仮面ライダーW、キバットバットⅡ世@仮面ライダーキバ
【思考・状況】
1:打倒大ショッカー
2:殺し合いはさせない
3:この男性(ゴオマ) を病院に連れて行く。
4:大ショッカー、世界崩壊についての知識、情報を知る人物との接触
5:木野さんと会ったらどうしよう?
【備考】
※ふうと君キーホルダーはデイバッグに取り付けられています。
※響鬼の世界についての基本的な情報を得ました。
※ゴオマを「不完全なアギトに覚醒した男」、モモタロスを「アンノウン」と認識しています。


【共通備考】
※G-1の廃工場の一室にモモタロスの死体(首輪付き)と、モモタロスォード、モモタロスのデイパック(不明支給品無し)があります。

111『クウガ』と『アギト』 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/11(土) 22:47:14 ID:wmV5c6.U
以上、投下終了です。
問題点、修正点などあれば指摘お願いします。

112 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/12(日) 09:37:29 ID:kwYJVenA
投下乙です!
ゴオマにせよ翔一君にせよ、勘違いをするのは当然ですよね〜
お互いの存在を、詳しく知らないのですし
そしてⅡ世がここで登場ですか。
どうなるか楽しみです

あと、翔一君の状態表ですが
アギトの変身を解いたのですから、それも表記した方がいいかと

それではこれより、左翔太郎を投下させて頂きます

113Xの可能性/悲しみを背負い ◆LuuKRM2PEg:2010/12/12(日) 09:40:58 ID:kwYJVenA



太陽の光に照らされた、G−7エリア。
そこは数時間前に起こった戦いによって、荒れ果てていた。
ここの大地には、小さく盛り上がった土の山がある。
その前で、黒いハット帽を被った一人の青年が立っていた。
左翔太郎。
『Wの世界』を代表する仮面ライダーに変身する、青年の一人。
彼の手には、鋼鉄製の首輪が握られている。

「すまねぇ……木場さん。俺が不甲斐ないばっかりに…………!」

悔しげな表情を浮かべながら、拳を握り締める。
翔太郎は、先程の戦いを思い返していた。
この会場に連れてこられてから出会った優しい青年、木場勇治。
『ファイズの世界』で生まれた彼は、ドーパントのような異形の存在になった。
だが、絶対に悪ではない。
彼もまた、こんな戦いを止めようとしていたのだから。
だが、情けない自分を庇って、死んでしまった。

(これじゃあ、おやっさんの時と同じだ…………! 俺は、今まで何をやって来たんだよ!)

灰となった木場が眠る墓を見て、翔太郎は思い出す。
それは全ての始まりである、ビギンズ・ナイト。
相棒の母、シュラウドから受けた依頼。
恩師である鳴海荘吉と共に、ミュージアムからフィリップを奪還するため、とある施設に進入する。
初めは、順調だった。
だが、自分が不甲斐ないばっかりに、おやっさんを死なせてしまう。
それでも何とかフィリップだけでも助け出し、相乗りをした。
こうして、自分は仮面ライダーWとなって、風都を守るための戦いに身を投じる。
あれからもう、一年以上の時が経った。
あんな事は二度と、起こさないと誓ったのに。
木場さんを死なせてしまった。
見ず知らずの自分に、協力してくれたのに。

(ちくしょう…………俺は一人じゃ何も出来ねぇ能無しなのか? やっぱり、フィリップがいないと――――?)

その考えに至った途端、翔太郎はハッとしたような表情を浮かべた。
こんな時に、いない相棒にすがってどうする。
あいつだって、何処かで戦っているはずだ。
それに、ここには照井竜や鳴海亜樹子だっている。
恐らくあいつらは、この戦いを止めるために動いているはずだ。
なら、自分はこんな所で止まっている場合ではない。

――世界を救うために……行けよ、人類の味方……仮面ライダー……

最後の言葉を、思い出す。
そうだ。後悔に沈んで足を止めることは、木場さんに対する最大の侮辱になる。
あの人も、戦いを止めようとした。
だったら俺は、あの人の意志を継いで大ショッカーを倒す。
決意を新たに固めた翔太郎は、思いっきり頬を叩いた。

「木場さん、俺は情けねぇかもしれない。でも、こんな馬鹿な戦いだけは…………絶対に止めてみせるからな!」

その言葉は彼の真っ直ぐな気持ちを表すかのように、力強い。
ふと、一陣の微風を感じる。
それはとても心地よくて、まるで風都に吹きつける風のようだった。
一瞬だけ、気持ちが揺らぎそうになる。
しかし、今はそんな場合じゃない。

114Xの可能性/悲しみを背負い ◆LuuKRM2PEg:2010/12/12(日) 09:48:07 ID:kwYJVenA

「行ってくるぜ、木場さん」

木場の眠る墓標に、踵を返した。
仲間達と再会し、こんな戦いを強制させる連中を潰すため。
そして木場が死んだことを、同じ世界の住民に伝えなければならない。
行きつけのクリーニング店のバイト、乾巧と園田真理。
その友人である草加雅人と三原修二。
木場の頼れる仲間である、海堂直也。

(そして、気を付けるのはこの村上峡児って奴だな……)

村上峡児。
木場さんの話によると、悪の道に走ったオルフェノクはスマートブレインという会社で、人々を襲っているという。
そして、村上という男がそれを束ねているらしい。
もっとも詳しいところまでは、謎に包まれているらしいが。
だが何にせよ、警戒するべきだろう。

(にしても、どういうことだ? 霧彦や園崎冴子、それに井坂の野郎まで…………)

翔太郎の中で、疑問が増え続けていた。
その理由は、名簿に書かれていた参加者の名前。
既に潰した組織、ミュージアム幹部の名がいくつも書かれていた。
風都を愛していたガイアメモリの販売人、園崎霧彦。
その妻であり、フィリップの姉の一人でもある、園崎冴子。
そして、照井の家族を殺した男、井坂深紅郎。
全員既に死んだはずなのに、何故。

(まさか、ネクロオーバーとなって蘇ったのか……?)

一つの仮説を翔太郎は立てる。
かつて風都にT2ガイアメモリをばらまき、町のみんなをドーパントにさせた組織、NEVER。
その構成員は世界中で破壊活動を行う、傭兵集団だ。
しかしただの人間ではなく、様々な化学薬品を投与した結果、再び動き出したネクロオーバーと呼ばれる死体。
仮面ライダーエターナルに変身した、大道克己を筆頭としたあの組織ではなく、財団Xに所属していた加頭順もネクロオーバーだったらしい。
だとすると、あの大ショッカーとかいう組織に、財団Xが関わっている可能性がある。
目的は、自分達の存在を守るため。
大ショッカーに協力すれば、Wの世界の人間が全滅しても、財団Xは消滅しないようになっている。
その見返りとして、ネクロオーバーの技術を提供した。
財団Xが関連していないにしても、大ショッカーが自分の世界から技術を吸収した事は、充分にあり得る。
そして、この殺し合いを進めるために、ミュージアムの幹部達をネクロオーバーにして蘇らせた。
あるいは、違う世界にはネクロオーバーのように死者を復活させる技術があり、それを利用したか。
恐らくその際に、Wの弱点に関する情報を全て与えられてるかもしれない。

(それだけじゃない、下手すると大ショッカーの奴らがとんでもない事を、あいつらにしたかもしれねえな……)

次に彼は、主催者の方に思考を巡らせる。
大ショッカーは、多くの世界に存在する住民達を集めて、この戦場に放り込んだ。
この事実から察するに、技術力は本物と言ってもいいだろう。
恐らく、自分の世界で猛威を振るっていたミュージアムや財団Xと同等。
いや、それすらも上回る可能性は充分にある。

115Xの可能性/悲しみを背負い ◆LuuKRM2PEg:2010/12/12(日) 09:50:36 ID:kwYJVenA

(参ったな……こりゃ、こっちの手札は完全に読まれてるって考えた方がいいな)

多くの世界から人間を攫ってくるような組織だ。
仮にフィリップ達と再会し、エクストリームの力を取り戻したとしても、大ショッカーはその上を行っている。
いや、そもそもエクストリームメモリがこの会場にあるのかどうか。
自分の切り札を、わざわざご丁寧に用意するとも思えない。
仮に誰かの支給品に混ざっていたとすれば、それはそれで問題だ。
例え本来の力を取り戻しても、何の脅威にもならないという意思表示に他ならない。
それ以前に、手元に帰ってくる可能性自体が、そこまで期待できない。
先程戦ったあの黒いライダーのように、危険人物の手に渡っていたらどうなるか。
今の力では取り戻すことは、困難に近い。
最悪、メモリ自体を破壊される可能性もある。

(…………いけねぇ、また情けない事を考えてどうする。こんなんじゃ、フィリップ達と合流したって何も出来ないだろ)

翔太郎は、自分を叱咤した。
木場の死が原因で、思考が後ろ向きとなっている。
だがそんなことは許されない。
今は不安に駆られることではなく、行動することからだ。
おやっさんも、きっとそうするはず。
それならまずは、先程戦ったあの黒いライダーを探すことからだ。
妙なカードを使っていた、異世界の戦士。
どんな理由があるにしても、木場さんを殺したのは紛れもない事実。
必ずこの手で、ぶっ潰さなければならない。
このまま放置しては、犠牲者は増えるばかりだ。
涼しい風を身体で浴びながら、翔太郎は歩く。
木場勇治の意志を継いで。




そんな彼の姿を、物陰から見つめる存在があった。
とても小さく、緑と茶色という二色に彩られた身体が、太陽に照らされている。
彼は『カブトの世界』から連れてこられ、この戦いの見せしめにされた男。
影山瞬の相棒だった。
ワームと戦うために生み出された、マスクドライダーシステムの一つ。
仮面ライダーパンチホッパーに変身するための、バッタ型変身コアだった。
実は木場の荷物の中には、一つのベルトが眠っている。
それに呼応するように、彼もまたこの場所に現れたのだ。
目の前の男は絶望を味わったが、すぐに光を取り戻す。
しかし、まだ見限るのは早い。
もしかしたら、これから更なる暗闇が彼に襲いかかる事もあり得る。
だから今は見守ろう。
この男の行く末を。
翔太郎の後をついていくように、ホッパーゼクターは跳ね続けた。

116Xの可能性/悲しみを背負い ◆LuuKRM2PEg:2010/12/12(日) 09:51:54 ID:kwYJVenA
【1日目 日中】
【G−7】


【左翔太郎@仮面ライダーW】
【時間軸】本編終了後
【状態】健康、悲しみと罪悪感、それ以上の決意、ライダージョーカーに1時間変身不能
【装備】ロストドライバー&ジョーカーメモリ@仮面ライダーW
【道具】支給品一式×2(翔太郎、木場)、翔太郎の不明支給品(0〜2)、木場の不明支給品(0〜2) 、ゼクトバックル(パンチホッパー)@仮面ライダーカブト、首輪(木場)
【思考・状況】
1:仮面ライダーとして、世界の破壊を止める。
2:カリス(名前を知らない)を絶対に倒す。
3:フィリップ達と合流し、木場のような仲間を集める。
4:『ファイズの世界』の住民に、木場の死を伝える。(ただし、村上は警戒)
5:ミュージアムの幹部達を警戒。
【備考】
※ 木場のいた世界の仮面ライダー(ファイズ)は悪だと認識しています。
※ 555の世界について、木場の主観による詳細を知りました。
※ オルフェノクはドーパントに近いものだと思っています(人類が直接変貌したものだと思っていない)。
※ ミュージアムの幹部達は、ネクロオーバーとなって蘇ったと推測しています。
※ また、大ショッカーと財団Xに何らかの繋がりがあると考えています。
※ ホッパーゼクターにはまだ認められていません。

117 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/12(日) 09:52:41 ID:kwYJVenA
以上で投下終了です
疑問点及び矛盾点がありましたら、ご指摘をお願いします

118二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/12(日) 15:35:36 ID:fnOo2Mio
◆LQDxlRz1mQ氏のクウガとアギトなんですけど、2点ほど軽い突込みを
まずモモタロスを見て津上がすぐアンノウンと判断してますがモモの容姿はどう見ても鬼ですよね?
日高が鬼に変身する力を持ってるということを津上は把握してますがその実物はまだ見ていません
モモタロス=アンノウンよりもひょっとして鬼?と考える方が違和感はないかと
その後のゴオマの変身で鬼じゃなくてアンノウンだったのかな?という思考にたどり着くのはありえるとは思いますが…
ただ津上の知る限りのアギトの容姿とゴオマの姿はかなりかけ離れてるんですよね。アンノウンをアギトと勘違いした描写とか劇中にはないですし
アギトと感じるよりも他の世界の怪人と考える方がより自然だとは思います

それとこっちは本当軽い突っ込みなんですが時間軸的にズバットは津上よりも城戸、小沢コンビの方が見つける可能性は高いのでは?
このコンビ、日高から情報をもらって昼の時間のままG-2橋まできてますし
さらに言えばゴオマの変身制限が解除されてる事を考えると少なくとも津上はG-2に戻る際にコンビに気づくはずです
まぁズバットも津上も『視界が狭かった』で済みますがw
もしくはこのコンビがその時間帯にはG-2エリアにいなかった、とか。これは城戸、小沢コンビの今後の描写次第ですね

119二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/12(日) 15:48:58 ID:fnOo2Mio
◆LuuKRM2PEg氏投下乙です。細かい事ですが>>113の あれからもう、一年以上の時が経った。
W最終話で更に1年経過してますし二年以上は経過してますよね。別に一年以上のままでまったく問題ないのですが

どうでもいいけどホッパーゼクターってロワの中じゃ結構尻軽ビッチですよnうわ何をする(ry

120 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/12(日) 16:27:31 ID:oeVsRiWU
>>118
「代償」の描写を考えると、モモタロスはうつ伏せに倒れているので、それが角だと認識するのは難しいと思います。
また、工場の一室はあまり光が届いていない場所と描写したので、翔一は現状で「異形」以上の条件を把握できなかったというのが言い訳です。
彼にとっての異形っていったら、アギトやアンノウンですし、アンノウンと描写しました。
……実はヒビキさんと鬼についての情報交換してたのを忘れてたってのもありますけど……。
「鬼」だと認識したほうが展開的に美味しかったですね……反省します。誰か、今後の書き手さんにお願いしたいです。

ゴオマの変身に関しては、翔一もアギトについてかなり凄く詳しく知っているわけではないですし、アギトの外見の条件に「これ」という決めがあるというわけではないと思います。
まあ、翔一も不完全なアギトについては劇中でもギルス、アナザーアギトの2種類見ているので、不完全アギトの姿が何種類か存在しているというのは認識してると思うんです。
ゴオマの姿が彼の知るアギトの姿でないにしても、不完全なアギトだと認識するならば問題ないと思って書きました。
他の世界の怪人といっても、彼の場合は実際に見たことがあるわけではないですし、……まあ、未確認生命体が普段人間の姿をしていることなら知っているかもしれませんが。

2バットの視界は基本的に向かった先が人のいそうな街でしょうし、橋にいた小沢さんと真司は視界に入らなかったと思ってください(殺し合いを把握していない彼が街に向かうのは一応当然?)。
翔一は工場に向かう際、草原を突っ切って向かったと描写したので、道路を渡っているであろう小沢真司には気づかないと思います。
見晴らしの良い草原とはいえ、隣のエリアが見えるとするなら今までの作品にも矛盾ができてしまうでしょうし……。

121二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/12(日) 16:41:12 ID:fnOo2Mio
◆LQDxlRz1mQ氏が直すつもりはないようなのでこのままでも構わないと思います
人が姿を変える=アギトって考えがおかしいと私は思いますが
津上は日高の変身を実際に見たわけではないので変身の際に物を使う発想がまだ乏しいのでは
とすると他の参加者の変身=自分と同じように変身、という思考になるでしょうし
変身したからこの人はアギト!は無理じゃねー、とか
展開的にはほとんど変わりませんし他の世界の参加者と認識するだけでいいと思いますが
まー結局は個人の考えの違いですしね。◆LQDxlRz1mQ氏が直さなくてもいいと思うならもうそれでいいと思います

キバットはE2方向の街は見えて同じ距離のG4の街も見えたけどとりあえずE2に向かったんですね
もうちょい落ち着けば城戸小沢コンビ見えたのに、この慌てんぼさんめ

122 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/12(日) 17:04:47 ID:oeVsRiWU
色々と思うところも多いのかもしれませんが、直さないでいいというのなら、一応このまま通すつもりです。
ひとつ修正点を挙げるなら、>>108の「赤い鬼の異形」という部分を「赤い異形」と差し替えておきます。

では、北條透、門矢士を投下します。

123ただの人間 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/12(日) 17:05:37 ID:oeVsRiWU
 遂に、草ではなくアスファルトを踏むときが来た。
 自分でも、よくここまで来たと関心してしまう。
 私こと北條透は、それだけ険しい道を歩んできたのだから。
 私の背負ってきた青年──名は知らないが、彼はきっと仮面ライダーと呼ばれる存在なのだろう。
 大ショッカーなる組織が見せた映像と、彼の変身した姿はそれだけ酷似していた。

「……だというなら、私が保護する対象ではないでしょうに」

 自分でも呆れてしまう。
 仮面ライダーという存在が本当に世界を破壊するというのなら、私は彼を殺す。それだけ危険な存在だというのなら、生かしておけば人類にとってマイナスの存在としかなり得ないのだから。
 だが、彼のした行動は、言うならば──善。
 人間の善の心を信じる私としては、その「善人」という存在は極力保護したい。それに、この青年はアギトのように直接からだを変身させるわけではなく、特殊な器具を使って変身した……いわば、オーバーテクノロジーで作られたG-3システムのような存在だ。
 つまり、変身するのはただの人間。殺すのではなく、器具を破壊すれば済む話だ。

 ──それなら、アギトだけを狙えば良い話じゃないか……?

 私たちを狙った怪人は、アギトのようなタイプであったか。否だ。
 彼もまた、器具を使っての変身。──まあ、彼は決して善人では無かったが。
 アギトのようなタイプならば、仮面ライダーそのものを抹殺する必要がある。一方、器具を使って変身する仮面ライダーならば器具を破壊すれば終る話。
 それをせず、わざわざそれを渡して戦いを誘発するような真似をする必要はあるのだろうか?

「大ショッカー……やはり信用に足る組織では無さそうだ」

 本当に世界の破壊があるというのなら、私も自分の世界のために戦うだろう。
 そういった気持ちを逆手にとって、殺し合いを楽しむような意図が見え隠れしている。
 彼らの真意は世界の選別などではない。おそらく、それを餌にした殺人合戦を楽しむといったところだろう。

「その為に、この施設を借りるとは──いくら温厚な私でも、ブチギレてしまいそうだ」

 ──踏んだアスファルト。
 それが囲っているのは、警察署。私の職場であった。


△ ▽


 私は青年を、ソファに寝せると早速、人が身を守るための道具を探し始めた。
 私は彼と違って、仮面ライダーではない。この身一つで戦うというのは、いくらなんでも心細いだろう。
 ──まあ、デイパックの中に道具は配給されていたが、それは戦いの場で使うものではなかった。

 私の支給品を説明すると、ひとつは青年に応急処置を施した救急箱である。
 包帯、バンドエイド、消毒薬、ガーゼ、湿布……医薬品の類は少なく、道具の多くは傷を治すようなものばかり。
 大ショッカーとやらの義理だろうか。殺す道具で無かったのは、私としては気分が良かった。

 ふたつめは、ラウズアブゾーバーという器具。
 これは、仮面ライダーが使うものらしいが、もしかすれば青年のものかもしれない。私にとっては護身の武器にさえならないようなものだ。
 これと同時に、カードも必要なようだがそれは私には支給されていない。

 みっつめは、ファイズポインターとカイザポインターのセット。
 これもまた仮面ライダーの道具の一つであり、生身でもそれぞれ高性能ライト、双眼鏡として使うことができる。
 ライトは既に必需品として渡されているが、双眼鏡はまあ有難い道具といえる。

124ただの人間 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/12(日) 17:06:10 ID:oeVsRiWU
 ──だが、こんなものでは自分の身を守れるわけはない。
 これでは双眼鏡で敵が来るのを眺めて逃げるか、味わった傷を治すことしかできないのだ。
 当然だが、私も死にたくない。ましてや、こんなところで何もせず、誰にも知られずに死ぬというのは惜しいものがある。

 そのために、私の把握する限りの『武器のある場所』を片っ端から探していこうと私は歩いていた。

「……やはり、全て無くなっている」

 まるでコソ泥のような行動なので、気分が解せないが、警察のロッカーから銃があるはずの場所を漁っていく。
 厳重に鍵がかかっていたというのに、そこには何もない。監視カメラも起動していないように見える。どうやら、この殺し合いはそういうものらしい。
 この警察署も根本的に場所が違う。私の職場とは、窓からの情景が違うにも関わらず構造や壁の傷さえも同じ。

 これが、この世界における私の警察署なのだ。
 随分と見晴らしの良い場所に、私の警察署はある。そして、そんな世界が殺し合いに使われてたのだ。


 ふと、窓からちらりと映った『それ』に目が行った。
 見たことのあるものだ──あれは、そう。

「Gトレーラー……それに、あのバイクは……」

 トラックの銀と、傍らのバイク。
 私はその二つをよく知っている。それもまた、殺し合いの道具になったというのか。
 ──なんとも虚しい気分になる。
 私も、一度はそれに乗ってアンノウンと戦ったことがあったのだから。

 忘れはしない──憎らしい同僚が戦っていたGトレーラー。
 かつて警察が開発したバイク・トライチェイサー2000。
 その二つが、野に放置されている。
 下を見下げると、その二つの機械が確かに見える。

 その中身が果たして、G-3システムを装備したものなのかはわからない。──先ほどのロッカーのように、空ということもある。
 が、所謂凡人でしかない私は、G-3システムを積んでいるという可能性に賭けようと、その場へ向かっていた。


△ ▽


 ──私の求めていた可能性。
 それは、当たっていたのか間違っていたのか。

 警察署の思い当たる場所に、鍵はなかった。
 Gトレーラーの車体は、鍵無しで開くことを拒んでいた。
 もし、その鍵の在り処を挙げるとするなら──

「小沢さん、か……」

 彼女が持っているという可能性が高いだろう。
 このGトレーラーの全権を握る責任者は彼女だったのだから。
 私は折角、身を守れるだけのものを眼前にしながら、それを得ることができないもどかしさに、なんとかしてGトレーラーを開けようと何度もドアを開ける仕草をとった。
 ……が、駄目だった。

 もう片方。
 トライチェイサー2000は右のグリップが欠品している。──駆動キーでもあるトライアクセラーがないのだから、動くはずもない。
 仮に動いたとして、それをどう使うか。右グリップのないバイクを操縦する技術などあるはずがない。

 私は、一つ溜息をしてから二つの武器に背を向けた。
 ──が、ここで私は思い立つ。
 G3-Xと同系のシステムたちは、どこにあるのか。
 V-1システムやG3システムたちに関わった私は、一応その機密について知っている。

 ──地下だ。

125ただの人間 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/12(日) 17:06:58 ID:oeVsRiWU
 地下へ向かい、システムを回収すれば私にも勝機ができる。
 Gトレーラーなど使わなくても……。


「その前に……」


 あの青年、そろそろ目覚めた頃だろうか。
 システムが保管されているか確証のない私にとって、今武器と呼べるのは仮面ライダーだけなのだから。
 彼のことが、気にかかって仕方がなかった。


△ ▽


「まだ、目が覚めてはいないようですね……」


 私は門矢士の傷だらけの姿を横目に流した。見てみれば、少し位置がずれているような気もするが、寝相というやつだろう。
 彼の寝るソファを通り過ぎていく。


「落ち着かないな、あんた」


 私は、不意を突かれたように驚いた。
 どうやら、青年はもう、目を覚ましていたらしい。そうした上で私の行動を警戒していたのだろうか。
 まあ、無理もないだろう。我々は世界の存亡をかけて殺しあっていたのだから。


「起きていたんですか」

「ああ、少し前にな」


 青年は上半身を起こし、ソファに座ったような体勢になる。
 少し、傷はふさがってきたのだろうか。まあ、あれから何時間かになるのだから無理もない。
 私は彼と目をあわせる。それが、会話の第一歩だ。


「あんたが助けてくれたのか」

「お互い様ですよ。あなたも私を助けたんですから」

「確かにな、ギブアンドテイクってやつだ」


 ここで謙遜しないほど、態度の大きい男というのも珍しい。
 私より下の世代はこういう性格の者ばかりなのだろうか。
 事実とはいえ、社交辞令というものをわきまえたほうがいい。


「……私にはやるべきことがあるので、しばらくここで待っておいてもらいますが、念のためあなたの名前を聞いておきましょう」


 この男から解放されるためにも、私は適当に理屈をこねた上で名前を聞く。
 こんな男と一緒にいるとストレスで胃に穴が開いてしまいそうだ。
 ……助けてもらった手前、何もいえないのだが。


「門矢士だ、あんたは?」

「北條透。警察ですよ」

「警察か……俺と同じだな」

「は? まさか、あなた警察なんですか!?」


 私も流石に驚きを隠せない。
 警察にしては若く、その上に態度が大きすぎる。
 階級といった面倒臭いシステムのある社会で、こんな男が通用するのか。


「ああ、そうだったこともある。他にも色々やったが……俺の伝説を聞きたいか?」

「冗談として受け取っておきます」


 ──私はこの男が嫌いだ。

 そう、心の中で呟くと、私は警察署の地下へ向かった。


△ ▽

126ただの人間 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/12(日) 17:07:34 ID:oeVsRiWU
「……世界の破壊、か」

 俺は前にも何度か言ったような単語を呟く。
 仮面ライダーディケイドの存在による世界の破壊は止まったはずだ。
 それがまたしても、大ショッカーの手によって動いてしまったのか。
 どちらにせよ──

「大ショッカーは、俺が潰す!」

 そして、たとえ世界を破壊する存在だとしても、仮面ライダーを倒すというのはもう御免だ。
 かつて、敵になったことがあっても俺たちを支えてくれた戦士たち──仮面ライダー。

 1号、2号、V3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガー、スカイライダー、スーパー1、ZX、BLACK、BLACK RX、シン、ZO、J。
 クウガ、アギト、龍騎、ファイズ、ブレイド、響鬼、カブト、電王、キバ。

 その名前を、姿をかつて俺は刻み込んだ。
 忘れもしない、世界を守る英雄たち。
 俺が出会ってきたその英雄たちが、世界を破壊する存在だとはもう言わせない。

 そして、誰よりも──


(俺が、仮面ライダーだ!!)


 「北條透」。その名を頭に刻み付けると、俺はディケイドライバーを強く握った。



【1日目 日中】
【E−6 警察署(警視庁)】
※外部にGトレーラーとトライチェイサー2000が並んで配置されています。


【門矢士@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】重傷(軽い応急処置済み)、疲労(大) 警察署のソファに座っています
【装備】ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド、ライダーカード一式@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品×2
【思考・状況】
1:大ショッカーは、俺が潰す!
2:仲間との合流。
3:今はここで北條を待つ。
4:友好的な仮面ライダーと協力する。
【備考】
※デイバッグの中身は確認しました
※現在、ライダーカードはディケイドの物以外、力を使う事が出来ません。
※該当するライダーと出会い、互いに信頼を得ればカードは力を取り戻します。


【北条透@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終盤 アギト殲滅作戦決行中
【状態】疲労(小)
【装備】無し
【道具】支給品一式、救急箱@現実、ラウズアブゾーバー@仮面ライダー剣、ファイズポインター&カイザポインター@仮面ライダー555
【思考・状況】
1:警視庁の地下で使えそうなものを探す。
2:牙王、アポロガイストを警戒する。(両名とも、名前は知らない)
3:知人と合流し、情報を集める。
4:小沢と合流して、Gトレーラーの鍵を渡してもらう。
5:士は嫌いだが、この場では一緒に行動するのも仕方がない。
【備考】
※Gトレーラーの鍵は小沢が持っていると考えています。

127 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/12(日) 17:08:15 ID:oeVsRiWU
以上、投下終了です。
修正点、問題点などあれば指摘お願いします。

128二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/12(日) 17:21:40 ID:fnOo2Mio
>>122
それでは津上がゴオマをアギトの異種と考えてる部分を異世界の怪人ないし参加者
という認識に修正お願いします。

129 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/12(日) 18:30:43 ID:kwYJVenA
>>119
ご指摘ありがとうございます
それでは、収録時にその様に修正させて頂きます

そして◆LQDxlRz1mQ氏、投下乙です
士はどうにか、一安心のようですね。
まだ、怪我が治ってないので分かりませんが
果たして、今後北条さんとはどうなるか…………?
今後が楽しみですね

130 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/14(火) 16:30:50 ID:/MFGFWLg
只今より、投下を開始します。

131カンタータ・オルビス ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/14(火) 16:31:26 ID:/MFGFWLg
 戦いの神──その異名を持つ戦士が、相刀を構えたまま二人の戦士を見つめる。
 自分の世界を守るために他人の命を消し去る覚悟を背負った二人の戦士。
 彼らの重い戦いを、彼は知らない。
 仮面ライダーが二人。怪人が一人。

 だが、これはダブルライダーが怪人と対峙する、という王道展開にはなり得ない。
 彼らは互いに敵なのだから。


 重力の赴くままに地を蹴ってエンジンブレードを振り下ろしたのは、仮面ライダーキバであった。
 その狙い目は、タブー・ドーパントである。
 が、その重力というものを無視するように、タブーは浮遊して後退する。振り下ろす間に、長い隙が出来るのは当然のことともいえる。
 小さな竜巻が、振り下ろした地面に一瞬だけ吹き乱れる。風の形を見えなくしたのは、地を焼いた火花だ。
 焦げの臭いすらもすき飛ばすように、紅の光がエンジンブレードを包み込んだ。


 それが、熱いと感じるまでにキバの脳はエンジンブレードを置いて後退するという手を考えさせなかった。
 その手は、自然と力を入れることを拒む。エンジンブレードの全てが、地面に落ちていた。
 手ぶらになったキバを、タブーの次の一撃が待つ。


「食らいなさい」


 キバの体の軋みはその命令に従順であった。意思がそうしているわけではないが、キバの体を赤いエネルギーが吹き飛ばす。
 宙を歩く目の前の敵に、強い重力の攻撃は効果が薄い。
 キバは立ち上がると、エンジンブレードを拾おうともせずにタブーを睨んだ。

 ──どうすべきか

 目の前の敵に適切な力は、ヒットが短く、刀身の重いエンジンブレードではない。
 飛び道具であるバッシャーマグナムだ。
 キバはそんな思考と共に、バッシャーのフエッスルを握る。


「バッシャーマグナム!」


 フエッスルを噛んだキバットは武器を喚ぶ。
 本来ならばキャッスルドランから排出されるはずのバッシャーの武器は、意外な場所から現われた。
 加賀美のデイパックである。デイパックから飛び出てきた胸像を、躊躇いながらもキバは握る。

 それはキバの能力を変える武器であった。
 バッシャーフォーム。緑を帯びたキバは、タブーの体に照準を合わせる。
 だが、それが銃の形をした以上、タブーがそう簡単にそれに当たるはずがなかった。

 銃口が向いていれば、弾丸を避けるのも難しいことではない。
 引き金を引く瞬間に、弾丸の軌道から体を反らせばいいだけなのだから。タイミングに問題さえなければ、当たらない。

 一発、二発、三発、四発。
 その全ての弾丸が虚空に消えていく。

 だが、飛び道具を使うのは彼だけではなかった。
 真横から受ける、五発、六発、七発、八発目の弾丸。それは、ガタックの肩に装備された、ガタックバルカンの雨である。
 まるで鴨が撃ち落されたかのように、タブーはふらふらと抵抗を続けながら重力に流されていく。

 それを、キバは見逃しはしなかった。
 彼の手は既に、先ほど地面に捨てたはずのエンジンブレードを握り、タブーの落下予測地点を捉えて走っていた。
 エンジンブレードの刃を天に向けたキバが、果たして何をしようというのか──ガタックは、加賀美は恐ろしい想像をする。

 ──串刺し。

132カンタータ・オルビス ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/14(火) 16:32:06 ID:/MFGFWLg
「渡君っ……!!」


 ガタックはそんなキバの行動に「狂気」を感じていた。
 彼がそれを望んで、楽しんでやっているわけではないというのは理解できる。──が、いくら敵が怪人といえど、そんな殺人に抵抗を見せない紅渡の行動を、肯定しようとは思わなかった。


 咄嗟に、そう、咄嗟に──

 ──CAST OFF──

 そんなキバを、止める。蛹から脱皮するように、そこから青いクワガタが姿を見せた。
 脱皮した「ぬけがら」はあと一秒で鴨を突き刺そうというキバを吹き飛ばす。
 それとほぼ同時に、キバの手から重量が離される。
 青い幻影が、キバの手から刃を奪っていた。抗う間もなく──それもまた、ガタックであった。


「ちょ、超加速……?」


 倒れ付すタブーは、その一瞬の出来事に戸惑いを覚える。
 知覚も難しいほどのスピードで地面を走った青い風。
 まるで、どこかのゴキブリのような力である。


 そんな戸惑いのタブーとは逆に、キバは立ち上がり、バッシャーマグナムをガタックに向ける。
 それは、あと一歩で敵を仕留めることができたキバの、怒りと嫉妬が込められていた。


「やめろ、渡君……っ!!」


 引き金を引いたキバも、それを当てた感触がないことに気づく。
 やはり、その──加速というシステムが厄介であった。
 一秒前のガタックを貫いたはずの弾丸は、今のガタックのいる場所を、ずっと前に過ぎ去っているのだから。


「渡、お前のやっていることは間違っちゃいない。だが……」


 ガタックに代わり、ベルトのバックルがキバに語りかけた。


「──お前らしくねえじゃねえか、こんなの」


 キバットは寂しそうに渡を諭す。
 キバの力を与える根源は、渡が残酷無比なやり方で敵を倒すことに、流石に抵抗を感じていたのだろう。
 黙っていたとしても、それは確かに彼の心の中に矛盾を生み出していた。

 敵を倒すことに、手段を選ぶ必要はない。相手が冷酷ならば尚更だ。
 ──だが、それは紅渡らしくはない。生き物を殺すことに抵抗を感じず、まして残酷にそれを殺めようというのは、人間の血を受け継いでいるものとして、間違っている気がするからだ。


「でも、僕はファンガイアを倒すんだ……大切な人の音楽を護るために──」

「それなら、それでやり方ってもんがあるだろうが……お前の、お前らしいやり方が」


 キバットの言葉に、一瞬だけ鼓音が高まる。
 もちろん、キバットは渡がどうやって世界を守ろうとしているかをまだ知らない。
 だが、そんな渡のスタンスをわかったうえで否定しているかのようなキバットの言葉。

133カンタータ・オルビス ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/14(火) 16:32:59 ID:/MFGFWLg
「──それでも」


 バッシャーマグナムの銃口がタブーを狙う。
 今のタブーは、身動きが苦手であった。立ち上がろうと、這い上がろうと、生き残ろうと、地面を押して足に力を込め、必死で戦おうとする彼女の姿に、何かが揺らぎかけた。
 が、渡の思いは変わらない。


「守りたい世界があるんだ!!」


 バッシャーマグナムの口が、次々と光を放つ。
 何発も、何発も。手加減などしない。死体になっていたとしても、撃ちつづける。
 そうでもないと、渡の精神が敵の攻撃を恐れ続けるのだ。

 世界を背負った彼を、プレッシャーが襲っている。
 渡の命は渡のものだけではないのだという、重さ。
 だから、敵の攻撃を食らってはいけないという精神的圧迫に見舞われる。

 もはや、何も見えてはいなかった。
 ただ、目の前で数え切れないほどの光が連射し続けられているというのは認識できた。

 それを止めたのは、ほかならぬキバ自身であった。
 渡ではない。キバットの羽がバッシャーマグナムを吹き飛ばしたのだ。


「なあ、もういいだろ、渡」


 キバの視界に、ようやく眼前の光景が見え始めていた。
 やはり、と渡もキバットも思っていた。
 ガタックがそこにいる。エンジンブレードを盾に、そこで弾丸を受け続けていたのだ。
 彼はただ、ひたすらにタブー・ドーパントという自分を襲った怪人を庇い続けていた。
 園咲冴子のためではなく、紅渡のために──。


「渡君……誰かの為に戦うことは、素晴らしいことだと思う。
 ……でも! そのために誰かを犠牲にするなんて、仮面ライダーのすることじゃない!」


 ガタックは、そう言い切る。
 仮面ライダーガタックは、その言葉と共にエンジンブレードを地面に突き刺した。
 いや、杖にしていたのだ。
 流石に、何発かの攻撃を彼は受けていたのだから。


「──隙あり、よ」


 タブー・ドーパントの声と、バッシャーのものではない乱射音。
 彼女の支給品は、GX-05 ケルベロスというガトリングガンであった。
 人間の手に開発されたとは思えないほどに、その威力は凄まじい。

 ガタックの背中を、幾度とない弾丸の嵐が突き刺した。
 クロックアップする間もない、怒涛の攻撃。
 タブーの持つ、強力な支給品とはこのケルベロスのことだったのだ。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」


 止まない悲鳴。
 仮面ライダーから発される、人間の声。
 わずか数秒で、そのガトリングガンは音を止む。しかし、その余韻としてガタックの背中に残った痛みは強かった。


 ガタックの力が消え、──加賀美新のうつ伏せがその場に残った。
 硝煙の臭い。背中を焦がすような熱。
 ガタックの力から解放された彼にも、その激痛が身を焦がす。

 一方、ケルベロスを構えているのもドーパントではなく、人間であった。
 それは園咲冴子に間違いない。
 息を切らした彼女もまた、硝煙の臭いを厄介に思っていた。
 ──それは、女として生理的に厭というだけだったが。


 そこにいる異形は、ただひとり。仮面ライダーキバ。
 好機といえる状況である。当然、人は仮面ライダーに勝てない。
 人の頭を潰すにかかる時間は、一秒もかからないだろう。

134カンタータ・オルビス ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/14(火) 16:34:03 ID:/MFGFWLg
 キバは加賀美に近づき、エンジンブレードを拾い上げた。
 重い。やはり、ずっしりとくる。


「おい、何をする気だ!? 渡ッ!!」


 キバットの声を、渡は聞こうともしない。
 ただ、それを高く振り上げるのみ。


 ──そのために誰かを犠牲にするなんて、仮面ライダーのすることじゃない!


 彼はそう言った。
 それが仮面ライダーなら、


「──僕は、仮面ライダーじゃない」


 そんなキバの前を、加賀美を庇うようにガタックゼクターが飛び回る。
 自らの選んだ相手を失いたくないと、キバの邪魔をするガタックゼクター──その心情は渡の殺し合いに乗った理由にも似ている。
 だが、加賀美を倒すうえでの障害となるのが確かであったそれを、キバは拳で叩き落とす。
 ガタックゼクターは羽音を鈍らせ、地面に落ちた。


「ガタックゼクター!!」


 そんな自分の相棒を見ると、加賀美も決して振り上げられようというエンジンブレードにこのまま殺されようとはしなかった。
 殺されてもいい。ただ、それが彼を止めることの手助けとなるのなら。
 だが、ここで殺しを覚えた彼はきっと、このまま止まることはない──

 加賀美は気合を振り絞り、震える足を立ち上がらせると、己の体ひとつでキバにタックルする。


(天道……お前なら、もっとマシなやり方ができたかもな……)


 無論、人の力は仮面ライダーを超えられはしない。キバは微動だにしなかった。
 だが、力が駄目なら、何か言葉をかけようと、加賀美は口を開く。


「お前はまだ、誰も殺してない! それなら──」


 その時──
 渡の体から、キバットが弾き出され、屈強な戦士・仮面ライダーキバは姿を消す。
 代わりにあったのは、非力な青年・紅渡である。

 変身制限。十分と定められていた時間を越えたキバは、渡へとその身を返した。
 加賀美も、渡もそれには驚きを隠せなかった。
 二人の口が自然と開く。目も見開く。

 渡の頭上。力加減を変えなければ持ち上げることのできないエンジンブレードの刀身が、バランスを崩す。
 止めようとしても止められない速度で、エンジンブレードはまっすぐ前に落ちていく。


 そう、エンジンブレードは加賀美新の頭めがけて、落ちていたのだ。
 それは、必然のように加賀美の頭を砕き、その中身を掘り出した。
 血飛沫だけではなく、何か嫌な固体までも、渡の体を触っていく。
 それが、人の死という事象だと渡は認識する。


「……うわ……うっ……うわああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

135カンタータ・オルビス ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/14(火) 16:34:49 ID:/MFGFWLg
 エンジンブレードは渡の手から滑り落ち、地面を撥ねた。
 血まみれの渡は、頭を抱えて座り込む。
 見たくない現実。そして、考えたくない未来。

 ファンガイアではない。
 人を、殺めた。
 それがどういうことなのか、この鉄の味がわからせようとしていた。

 キバットが何か、自分に向かって語らいかけているのが聞こえる。
 当然だが、それは叱咤の声。そんなもの、聞きたくは無い。

 ──心の底から加賀美をこんな風に殺めたかったわけではない。変身が急に解けてしまって、バランスを崩してしまったからこうなってしまった。
 湧き上がる言い訳。それが、恐ろしいほどに自分を責める。


「……たるっ!! 渡っ!!!!」


 キバットの怒号。
 それを聞きたくない、と渡はふさぎ込む。


「危ねえぞ、渡っ!!!!」


(────え?)


 キバットの声の真の意図をようやく悟った渡は顔を上げ、キバットの方に振り向いた。
 そこにあるのは、キバットだけの姿ではない。
 その後ろに見えるのは、ナイフを持った女性の姿であった。冴子である。


「戦え!! 渡!!」


 冴子の突き出してきたナイフを、渡はよろけながらも回避する。
 それを避けてもよろけたまま、渡は思うように動けない。
 喪失感。失望感。絶望感。嫌悪感。罪悪感。
 そして、強い恐怖感。
 あらゆるものが、渡の体をうまく動かさせてくれなかった。
 冴子が両手に持ち替えたナイフが振り上げられる。

 あの時──あの瞬間と同じ。
 こうして振り上げられた武器を、まっすぐに受けて加賀美は死んだ。
 その瞬間に見えた光景が、渡の脳裏をよぎる。

 ただ、何が起こったのかもわからずに刃先を見つめて驚愕の表情を浮かべた加賀美。
 死ぬ恐怖が、彼の思考を一瞬止めていたに違いない。

 そして今、渡は彼と同じ状況に陥っている。

 そのとき、渡は咄嗟にあの時の加賀美の行動を実行していた。
 効果的だと思ったからではない。この状況に加賀美の行動を連想させてしまったのだ。
 タックル。武器を持った相手に、生身でぶつかるという無謀なワザ。

 二人が、バランスを崩して地面に体をぶつけた。
 ナイフはどこか。
 渡は真っ先に、気になったものを探す。
 だが、そんな思考は不意の悲鳴にかき消された。


「いったああぁっ!!!」

136カンタータ・オルビス ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/14(火) 16:35:22 ID:/MFGFWLg
立ち上がると、冴子の左の太ももを血が汚しているのが見えた。見たところあまり深くはないが、ナイフが刺さったのだ。それでも充分、血が被服を染め上げていくのは早い。
 和らぐ恐怖感。だが、罪悪感だけは膨れ上がっていく。
 破裂してしまいそうなほどに、大きく膨れる。
 それはきっと、萎むことを知らない。

 悶える冴子。
 彼女の目には何も映っていない。
 渡の姿など、脇目にも映らず、ただその激痛と戦っている。

 それを見ると、恐ろしさが募っていく。
 他人にこれだけの痛みを与えないと誰かを守ることはできないというのだろうか……。


「僕は……それでも……」


 恐る恐る冴子の体に近づいていく渡。
 冴子はその姿をようやく認識する。自分が何度も殺そうとした相手であり、自分を殺そうとした相手。
 
 ──また、相手の番が回ってきた。

 そう、認識する。
 渡はそのナイフを抜き取ろうと、冴子の太ももをめがけて走り出す。
 一番手近な武器は間違いなく、それだった。

 加賀美のグロテスクな死体の傍らに落ちる重量の重すぎるエンジンブレード。
 弾丸の切れたケルベロス。
 胸像の姿になったバッシャーマグナム。

 それらより、今必要なのは抜き取って相手を仕留められるナイフ。
 それを目がけ、渡は飛び掛った。

 が、そんな渡の指先に痛みが走った。
 キバットの牙が、渡を静止するように渡の指を強く噛んでいる。
 力を与えるためではなく、失わせるために。


「いい加減にしろよ、渡!」

「うるさいっ!」


 渡はそんなキバットを振り払う。
 半泣きである。
 その表情が、純粋な痛みのものではないというのは、その場にいる誰もが気づいていた。


「なんだか知らねえが、お前がやってるのは、『人の音楽を奪う』ってことじゃないのか……!?
 あの兄ちゃんもお前の手で殺しちまって、これ以上罪を重ねるのか!? 渡!!」

「うるさいっ! うるさいよ、キバット!!
 これが僕の世界を守るためにやらなきゃいけないことで、名護さんや深央さん、太牙さん……みんなを護るためのことなんだ。
 だから──────」


 言いかけた、その渡の口を塞ぐように一言、誰かが割り込む言葉をかけた。


「──一時休戦、でどう?」

137カンタータ・オルビス ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/14(火) 16:36:04 ID:/MFGFWLg
 冴子である。冴子は左足を軽く曲げたまま、辛苦を噛む表情で立ち上がり、渡とキバットを睨むように見つめていた。
 彼女の形相は、終戦協定とは思えないほど──般若のように歪んでいる。


「私も私で、帰るべき世界がある。あなたにはあなたで、別の世界がある。
 残念ながら結果的に敵になるけど、このままじゃあお互い不完全でしょう?
 あなたは心が、私は体が不安定。このままゲームが進めば、二人とも脱落ね」

「……」

「あなたが戦って、私がトドメを刺す。それでどう? あなたは血を見なくていい……」

「やめろ、渡。こんなヤツの言うことを信用するんじゃないい!!」


 キバットが渡の顔を見ると、腑抜けになった彼は今にも冴子の話に呑まれてしまいそうな表情になっていた。


「口うるさい蝙蝠は私が預かるわ。互いに変身道具や武器を交換して、戦うときだけ元通りにする。
 そうすれば、私が裏切ってあなたを襲うこともないし、あなたが私を襲う心配もなくなる。
 どう? このまま私とあなたで争っても埒が明かないと思うけど」

「……ます」

「え?」

「やります。僕、しばらくはあなたと行動することにします」


 冴子はこのまま彼に殺されないという安心感で、笑みを浮かべる。


「じゃあ、早速私のガイアメモリとケルベロスをあなたに託すわ」

「僕の武器はエンジンブレードと加賀美さんのバッシャーマグナム、それにキバット……」


 二人は互いのデイパックを拾い上げ、武器を互いの手に渡す。
 無論、相手に明かされているものだけを渡して、都合の悪いものを渡そうとはしない。


「お、おい!! やめろ!! やめろ、渡!!」


 暴れるキバットを、渡はデイパックに放り込んだ。
 それを冴子に渡すと、渡は表情を引き締めた。


「契約完了ね。もし裏切ったときは、当然──死んでもらうわ」


 加賀美のようになる。──そんな身近な死が、渡の脳裏をよぎった。
 動いて、話していた人間が一瞬で脳の中身を撒き散らして死んだ。
 今も渡の背には凶器とともにその死体があるのだ。


「今までの事は一時お預けにする。この傷も、当然……ね」


 冴子は自らの傷口からナイフを抜き取っていく。
 深くなかったとはいえ、その表情は激痛との戦いを強制されていた。


「それから、あれも使わせてもらわないと」


 痛みの残留を押し殺しながら、冴子は渡の真横を通り過ぎる。
 彼女が手に取ろうとしているのは、エンジンブレードである。
 重々しいそれは、怪我人の──しかも女性の力で握ることは難しい。
 だが、ドーパントとして戦っていた彼女は苦汁を舐めながらもそれを握った。


「これじゃあ、色男も台無しね」


 加賀美の死体を見下ろして、彼女はそう呟いた。



△ ▽

138カンタータ・オルビス ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/14(火) 16:36:37 ID:/MFGFWLg
 主人を守ろうと身を張って、その結果として機能に一時的な障害を受けたガタックゼクターは、その羽を再び羽ばたかせた。
 だが、彼を待っていたのは加賀美新の物言わぬ姿である。

 悲しくは無い。
 そういう感情ではないが、何か大切なものを失ったようにガタックゼクターは加賀美という男を見つめていた。

 ガタックゼクターは、その男の腰を覆っている銀と、僅かな血色のベルトを取り外した。
 この男の表情はもう、潰れてしまってわからない。
 顔がない。
 それでも、その姿を見て、彼には何か未練があるような……そんな感じがしていた。


 仮面ライダーガタック。
 その最初の資格者はここに死んでしまったが、ガタックは死んではいない。
 彼の遣り残したことを果たす《ガタック》を探すために、ガタックゼクターは羽ばたいていった。


【加賀美新@仮面ライダーカブト 死亡確認】
※ガタックゼクターとライダーベルトは次の資格者を探してどこかへ行きました。



【1日目 昼】
【D-8 園咲邸の庭】

【紅渡@仮面ライダーキバ】
【時間軸】第43話終了後
【状態】身体的には健康 返り血 加賀美の死にトラウマ 精神が不安定 二時間変身不可(キバ)
【装備】ガイアメモリ(タブー)+ガイアドライバー@仮面ライダーW、GX-05 ケルベロス(弾丸未装填)@仮面ライダーアギト
【道具】支給品一式
【思考・状況】
1:何を犠牲にしても、大切な人達を守り抜く。
2:今は冴子と協力して参加者を減らす。
3:加賀美の死への強いトラウマ。
【備考】
※過去へ行く前からの参戦なので、音也と面識がありません。また、キングを知りません。


【園咲冴子@仮面ライダーW】
【時間軸】第16話終了後
【状態】左の太ももに刺し傷 疲労と小程度のダメージ 二時間変身不可(タブー)
【装備】キバットバットⅢ世@仮面ライダーキバ、エンジンブレード+エンジンメモリ@仮面ライダーW、バッシャーマグナム@仮面ライダーキバ、ファンガイアスレイヤー@仮面ライダーキバ
【道具】支給品一式×2、加賀美の支給品0〜1
【思考・状況】
1:最後まで生き残り、元の世界に帰還する。
2:同じ世界の参加者に会った場合、価値がある者なら利用する。
3:今は渡と協力して参加者を減らす。
【備考】
※照井と井坂を知らない時期からの参戦です。
※ガイアドライバーを使って変身しているため、メモリの副作用がありません。

139 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/14(火) 16:37:28 ID:/MFGFWLg
以上、投下終了です。
修正点、問題点、矛盾点などあったら報告お願いします。

140二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/15(水) 01:07:25 ID:dkmzxl1o
投下乙

ゲェーッ!加賀美の脳天がばっさりと
折角説得したのにこれじゃあな…

141 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/15(水) 02:09:19 ID:XYjC6a2.
只今より、鳴海亜樹子、野上良太郎、天美あきら、村上峡児、葦原涼、鳴海亜樹子を投下します。

142そして、Xする思考 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/15(水) 02:10:32 ID:XYjC6a2.
 空を飛ぶのは緑の怪人。──バード・ドーパント。
 その姿を変えたのは、村上峡児である。

 空気を切って、空を飛ぶ高揚感に見舞われ、思わず自分が逃走をしていることさえ忘れている。
 異世界の怪人が使う、その不思議な力。オルフェノクには及ばないが、やはり人類の進歩・進化が生み出した快感に打ちひしがれてしまう。
 人の科学の進歩は人を異形に変え、空を飛ぶ力を生み出した!
 もしかすれば、開発したのは異世界で同じように進化を果たした人類の力なのかもしれない。
 だが、もはやそんなことは関係ない。空を飛ぶことなど、宙を浮くことのできる彼には難しいことではないはずなのに──不思議な快感が頭の中の、縫合されていた何かをほどいていく。


 ガイアメモリの力。
 地球の持つ記憶の素晴らしさ。
 表面上は、そんなものに溺れている感覚。
 ──内面を巡っているのは、そんな圧倒的な力。
 敵を吹き飛ばし、地面を離れたこの感動。


 そんなバードの真横を、白い障害が遮り、一瞬だがバードの飛行を妨害する。
 バードはバランスを崩すが、体勢を立て直してその敵を目で捕捉する。

 空を飛ぶ、もうひとつの何か。
 それは、白鳥──そう呼ぶには、巨大すぎる何かであった。
 ドーパントや、オルフェノクではない。そもそも、人の形をしていないのだから。

 ブランウイング。バードは知らないが、その白鳥にはそんな名前があった。
 バードの体を、ブランウイングの羽から放たれる突風が吹き飛ばす。
 その力を前に、バードの重みは簡単に地面に落とされた。真下は草原。土でなければ、バードがすぐに起き上がることはなかっただろう。
 そうして起き上がったバードを、ブランウイングが低空飛行のまま襲う。
 絶体絶命である。
 敵の正体を知らないままここで負けるというのは、村上のプライドが廃ってしまう。──だが、オルフェノクの時と同じ要領で真横に避けようとした彼は、それをうまくかわすことができなかった。
 力が足りない。
 上級オルフェノクという「強すぎる力」では、それに比べて弱い力を制御するのが難しかったのか。

 避けるのが一瞬遅れる。
 ブランウイングはそのクチバシをバードの腹に向けて突き出し、死を与えるために向かっていく。


「ぐっ……!」


 一瞬だけその腹に刺されたような痛みを感じるが、それは本当に一瞬の出来事であった。
 何が起こったか──彼の視界に、白鳥の姿は無かった。
 白鳥が向かってくるだけの威圧感もなく、恐ろしいほどに押し黙った空気だ。

 そんな村上の心境は、安心ではなく戸惑いである。
 何故、止めを刺さないままに、怪物はバードの前で消えたのか。
 あんな絶好の機会を逃して、眼前で消えた理由は何か。


「まだ近くにいるかもしれませんね……」


 バードは周囲をきょろきょろと見回す。
 だが、見渡しの良い平原のどこにも、その巨体は見受けられなかった。
 本当に、近くにもいないらしい。
 どれだけのスピードで空を飛べば、こんなに早く姿を消すことができるのかはわからないが、とにかく敵が姿を消したバードは、ようやく安心することができた。


「そこまでよ、ドーパント!」


 バードが後ろを振り向くと、そこにあるのは三人の男女の姿である。
 戦いの中で、逃避を忘れたバードは多少の焦りを感じながら、三人と対峙する。

 もしや、彼らがあの白鳥を出したのか。
 だとすると、やはり本来の敵である三人には策がある。
 村上はわざわざ白鳥を撤退させてまで、目の前に現れた三人にどんな意図があるのか──それを理解できないまま、その「理解できない」という恐ろしさをかみ締めた。

143そして、Xする思考 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/15(水) 02:11:06 ID:XYjC6a2.
「もう一回いくで! 変身!」


 デンオウベルトを撒いて、ライダーパスを通過させる良太郎。
 仮面ライダー電王としての姿を望んだキンタロスであったが、──その体は装甲が包んではくれない。
 彼の姿は、野上良太郎の姿を維持しているのである。
 滑稽にも、変身ポーズは取っただけで終ってしまう。


「どういうことや!?」

「なにやら、策が外れたようですね」


 バードは再び、羽根を交えた突風を三人に送る。
 変身していない彼らは、あっという間に風に押されてしまった。
 だが、村上の目的は彼らの殺害ではない。このまま放っておいても村上に害はなく、むしろ弱者に手を下すことの方が遥かに──上の上の者としては小物すぎる。
 彼らがこうして視界を奪われている間に逃げようと、バードは彼らに背を向け、翼を開いた。

 ──だが、そんな彼の眼前から駆けて来る一人の戦士。


「ウガァァァァァァッ!!!」


 そんな咆哮とともに、緑の仮面ライダー──ギルスが猛獣のようにバードに飛び掛った。
 その武器は己の体。それのみであった彼のパンチが突き刺さるように痛いのは当然であった。


(全く次から次へと……ついていないですね)


 反撃するには、バードの能力は少なすぎた。
 その腹、胸、顔を次々と殴打する緑の怪人に対抗する術を、バードは持っていないのだ。
 その体を突き刺す一撃、一撃を黙って食らうしかない。
 そのもどかしさを痛感する。


 その瞬間──。
 バードのメモリは、彼の首輪から落ちて行く。
 十分間。それだけの時間が、この戦いでは過ぎてしまったのだ。
 ギルスが殴ろうとしたのは、バード・ドーパントではなく村上という一人の男性。
 その体を、ギルスは一瞬の躊躇とともに殴り飛ばした。


 村上の体は軋むような痛みとともに、後方へ吹き飛んでいく。
 そこにいるのは二人の女性と一人の男性。
 ──絶体絶命だ、と村上は感じた。


「……村上さん」


 そんな村上に、あきらが一言声をかける。
 村上はその姿を見上げるが、そこにいるのは彼女だけである。
 よく見れば、彼女がいるのはギルスと村上の間。まるで、ギルスが村上を攻撃することに抵抗しているかのように。
 ギルスは村上に掴みかかろうとした足を止める。

 そういえば、始めは仲間になるつもりで彼女に近づいたんだったか。
 考えの違いから、激突する形になってしまったが。


「私、言いましたよね? 私は困ってる人を助けるって」

「言ったでしょう? それは、この場では下の下の考えだと」

「人を助けようという気持ちや、何かを護ろうという気持ちに、格なんてありません」


 あきらの言葉に感銘などは受けない。それが、オルフェノクとドーパントの二つの力に溺れた人間の性なのだから。
 だが、彼女の言葉に負の感情を抱くこともなかった。
 一理ある、と言えるからだ。それに、その思考が結果的にあきら自身も、村上も傷つけていない。
 人を守る精神などで、自分の身を犠牲にすれば愚かしい話で、笑ってしまうところだが、結果的にこの状況ではあきらこそが正しかったのだろう。


「礼を言いましょう、天美さん。あなたの考えはもしかしたら、正しいのかもしれません。
 ですが、念を押して忠告しておきましょう。……あなたは、いつかその考えで身を滅ぼすことになる」

「構いません。それに、私は死にません」


 そんなあきらに、緑の仮面ライダーは歩み寄った。
 一瞬、四人の人間がそれを警戒する。彼らはまだ、彼の目的を認識していないのだから。


「……よく言ったな」


 ギルス──いや、葦原涼はそう告げ、あきらの肩を軽く叩いて村上に向かっていく。
 屈み込み、倒れた村上に目線をあわせ、涼は一言だけ彼に言った。
 彼が今、本当にすべきことはそれなのだ。

144そして、Xする思考 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/15(水) 02:11:45 ID:XYjC6a2.
「もう、人を襲うなよ」

「さあ、それはわかりません」

「それなら、俺がお前を見張る。それだけの力を持ちながら、なんでお前は人を護ろうとしないんだ」

「私には私の、授かった使命というものがあるんですよ。それに殉じる為には、そんな馬鹿な考えは捨てなければならない」


 彼はオルフェノクとなったその日から、悪へと変わった。
 狡猾で、冷酷。人の死など気にも留めず、他人の命を奪うことは厭わない──むしろ、人の命と引き換えに僅かな確立で行われる使徒再生こそが村上の目的なのだから。


「これ以上、人を襲うというのなら、俺はお前を潰す」

「……とりあえず、もう人は襲わないと言っておきましょうか。真実とは限りませんが」

「それが真実じゃなかったときは……俺が、そんなことさせない」


 涼は村上を睨むが、堪える様子は無かった。村上の表情は真顔のまま、変わらない。
 ただ、彼は『必要とあれば』敵を潰すのみである。


「村上さん、あなたは私たちが支えます。人を襲ったりなんて、もうさせないようにさせてみせますから」

「支える、ですか……。面白い表現ですね」


 村上は自嘲するように笑って、痛んだ体を立ち上がらせる。
 できれば、情報交換や必要時の共闘以上の関係は築きたくは無かったが、彼らはそういう方針で自分を仲間に引き入れようとしているらしい──当然、村上の意思は彼らとは真逆のものとなっているのだが。


「あなた方の正義感には関心しますよ。ただ、これ以上私のように『信用できない人』を仲間に引き入れようとするのなら、私はここを抜けます」

「構いません。ただ、しばらくはあなたをみんなで監視します」

「なんか、うまく話がまとまったみたいやな」

「フッ……。多勢に無勢というところですか。
 大ショッカーは不愉快な人間ばかり、たくさん集める……」


 村上は今の状況を皮肉って、そう呟いた。



△ ▽



 ──人を助けようという気持ちや、何かを護ろうという気持ちに、格なんてありません

 亜樹子の中から離れない、あきらのそんな言葉。
 確かに良い言葉だと、亜樹子は思う。だが、亜樹子はこの言葉の宿る『別の意味』を心の中で探っていた。

 人の何かを護ろうという気持ちに格はないと言う。
 誰かを護ろうという気持ちにも、格はない。
 それを、彼女は『敵を守る』という形で果たした。誰の命も護りたいという気持ちの表れなのだろうか。

 人を護りたいという気持ちが人それぞれなら、今亜樹子が護りたいと思っているものは何なのか。

 良太郎たちか。──いや、これは護りたいんじゃなくて、『傷つけたくない』というだけの感情だった。


 亜樹子が本当に護りたいものを浮かべると、浮かんでくるのは会って間もない彼らの顔ではない。

 翔太郎。フィリップ。竜。そして父、壮吉。──彼らと、彼らが護ってきた風都という街の、気の良い住人たち。
 彼らとの楽しい思い出たち。
 おどけた住人たちとの、何気ない時間。

 それを浮かべたとき、再びあきらの言葉が思い浮かんでしまうのだ。


 個々の持つ、誰かを護ろうという気持ち。そういう気持ちに偽りはなく、格はない。
 みんなを護りたいというあきらの気持ちと、風都を護りたいという亜樹子の気持ちにも格差などないのだ。

 傷つけたくないという気持ちと、守りたい気持ちのジレンマが、彼女の中で交錯する。
 翔太郎やフィリップ、竜はどう行動しているのだろうか──。
 彼らに会ったとき、彼らの護りたいものは何か。最早、そんなものは関係ないのかもしれない。


 そして、彼らの顔を思い出すたびに膨らんでしまうのは決意であった。

 ──私はやっぱり、風都を護りたい──

 風都という街を、愛する人たち。亜樹子もまた、その一人であった。
 だから、その愛がどうしても、他の何かに勝らない。

 それでも、彼女に良太郎を傷つけることはできなかった。


「私、やっぱりみんなと一緒に行けないよ」


 亜樹子は、思わずそう呟いてしまった。



△ ▽

145そして、Xする思考 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/15(水) 02:12:23 ID:XYjC6a2.
「……え?」


 あきらは、亜樹子の言葉を聞いて振り返った。
 凍り付いていく時間。四人が、皆亜樹子を見ていた。
 その威圧感に、先ほどの言葉を撤回したくなるが、やはりそれが亜樹子の気持ちだったのだ。


「ほら、敵を仲間にすれば、チームは分裂するんですよ」


 状況が状況ならば、亜樹子の心境を知らずに「村上とは行動できない」と認識するのは無理もない話であった。
 勝手に村上を仲間に引き入れてしまったあきらと涼は、彼女にかける言葉が見当たらない。
 そんな二人の様子を察して、良太郎──キンタロスが聞く。


「亜樹子、やっぱりこの男が信用できんのか?」

「違う……違うよ良太郎くん。私が……私が悪いんだよ。やっぱり、私は風都を捨てられない」


 亜樹子がそう言うことで、誰も傷つかないで済むように場を去ろうとする。
 村上の名前を利用して、この場を抜けることもできたが──それはフェアじゃない。
 亜樹子は今、とにかく誰かと関わりたくなかった。
 誰かと関われば情が移ってしまう。風都を守ることが難しくなってしまうから。


「一体、何があったの? 亜樹子ちゃん。さっきから顔色が変だよ」


 それをウラタロスの憑依した良太郎が問い返す。
 女性に関しては、ウラタロスに任せるのが一番と思っての判断だろう。
 だが、彼の言葉を素直に受け取ることができない。彼が心配してこういう言葉をかけているのは、亜樹子にもわかっているのだが──


「こんなときにふざけないで!」


 そんなきつい言葉を返してしまう。
 こんなに迷っている亜樹子とは対照的に、『芸』をするだけの余裕がある良太郎に、苛立ちを隠せない。
 怒号は響き、さらにその場を重くする。


「……ばいばい、良太郎くん。こんな状況じゃなければ、良太郎くんの芸も楽しく笑えたかもしれないのにね」


 亜樹子の頬を、気づかぬうちに熱い液体が流れていく。
 そんな顔を見られたくないし、──それ以上に彼らを見ていたくなかった。

 彼らが同じ世界の住人だったなら、こうして戦うことにはならなかったのに……。
 そんな、どうしようもない悲しみを抱きながら、亜樹子は走り出した。


 この先で誰かを見かけたなら、亜樹子はその相手を殺さなければならない。
 たとえ、良太郎や翔太郎、フィリップや竜のような人間であったとしても。そんな性格を知る前に、殺すしかない。


 まっすぐ、まっすぐ、まっすぐ、亜樹子は走る。
 その右手には支給された、小さな剣を握りながら。


 少し走ると、亜樹子の目は女性の姿を捉えた。
 その女性もこちらを見ていて、こちらの様子に気づいているらしい。


「ごめんなさいっ!!」


 間合いを狭めて、亜樹子はその剣を女性に向けて振るう。
 が、その女性は身を翻してそれを避け、亜樹子のわき腹に鉄パイプの一撃を送る。
 刃先が自分の方を向いている以上、それを避けるのは難ではないのだ。
 亜樹子は剣を手放して腹を押さえ、倒れこむ。
 スピードを出して走ってきた彼女には、尚更重い一撃であった。


(人間が相手なら、案外使えるんだね)

「うぅっ……」


 倒れこむ亜樹子を、彼女──霧島美穂は黙って見つめていた。
 先ほど、鳥の怪人にブランウイングをけしかけたのは、紛れも無い彼女である。

146そして、Xする思考 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/15(水) 02:12:53 ID:XYjC6a2.
(戦う女は私だけじゃないんだね……。でも、私は勝たなきゃいけない。
 彼女に同情なんて、してる余裕はないんだ!)


 鉄パイプが、次の一撃を送ろうとする。
 ……が、その手が止まった。

 女性の姿をしているということが相手を騙すスキルだというのは、美穂の経験上、覚えのある話である。
 特に、この場によくいる『バカ』ならば当然、女性の姿に引っかかってしまう。
 この相手を、利用しない手はないだろう。


「……私と、手を組みましょう」


 美穂はそう、亜樹子にけしかけた。
 わき腹を押さえる亜樹子も、激痛と戦いながら美穂の言葉を聞く。


「女が二人もいれば、男はきっと食いついてくる。ここにはバカがいっぱいいるからさ」

「……私は……」

「そういう能力がないと、この場を渡っていくのは大変ね。どんな手を使っても勝つ……。
 そうでないと、ライダーバトルを生き残るなんて無理だ」

「殺せる……わけないよ、……親しくなった人を……」

「──大丈夫。私が全部、教えるから」


 用済みになったら、この女も殺す。
 そんな思惑を抱きながら、美穂は笑顔で亜樹子に近づいた。


(たとえ同じ女でも、絶対に同情なんてしない。私は、勝たなきゃいけないんだから!)


【1日目 日中】
【C−5 草原】

【霧島美穂@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】映画死亡後
【状態】健康。アドベント ブランウイング2時間使用不可
【装備】鉄パイプ@現実
【道具】支給品一式×2、ファムのデッキ@仮面ライダー龍騎、サバイブ「烈火」@仮面ライダー龍騎、不明支給品×0〜3(確認済み)
【思考・状況】
1:あらゆる手を使い他の世界の参加者を倒す
2:秋山蓮、北岡秀一、東條悟と接触、協力。
3:浅倉威は許さない、見つけ次第倒す。
4:城戸真司とは会いたいけれど…
5:今は亜樹子を利用して、一緒にステルスとして参加者を減らす。


【鳴海亜樹子@仮面ライダーW】
【時間軸】番組後半
【状態】わき腹を打撲 精神に深い迷い
【装備】ツッコミ用のスリッパ@仮面ライダーW
【道具】支給品一式、装甲声刃@仮面ライダー響鬼、不明支給品(0〜1)
【思考・状況】
1:風都を護るため、殺し合いに乗る。
2:情を移さないため、あまり人と接触しない。
3:美穂と行動する。人を騙す術を教えてくれるらしいが…
4:良太郎やあきらとはなるべく会いたくない。
5:知り合いと合流し、そのスタンスを知りたい。
【備考】
※ 良太郎について、職業:芸人、憑依は芸と誤認しています。


△ ▽

147そして、Xする思考 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/15(水) 02:13:47 ID:XYjC6a2.
「私を仲間にしたのは良いですが、仲間が一人減りましたよ? 彼女はきっと……死ぬ、でしょうね」


 こうして複数人で行動する村上、あきら、良太郎、涼はそれぞれ安全圏にいると言っていい。
 だが、ライダーの力も持たない少女が一人で行動するということは──それだけ殺されやすい状況にいるということである。


「私、やっぱり追ってきます」


 あきらは真っ先にそう言う。が、それを涼は制止した。
 彼はただ一言、彼女に問うた。


「……この男を、一人で止めることはできるか?」

「え?」

「できるなら、俺があいつを探してくる」


 あきらがこのまま行っても、同じように危険だというのを涼は理解していた。
 亜樹子もあきらも、見た目の年齢はあまり変わらない。それぞれが一人で行動することが、等しく危険なことだというのはわかり切っている。


「できます」

「わかった。また、近いうちにここで会おう。一応、名前を聞いておくがいいな?」

「天美あきらです」

「……野上良太郎だよ」

「あきらに良太郎か。俺は葦原涼。あいつの名前は?」

「鳴海亜樹子ちゃん、だよ。くれぐれも、女性の扱いには気をつけてね」


 涼はウラタロスの言葉を冗談と受け取ったのか、それとも本気と受け取ったうえでか、それを無視して彼らに背を向ける。
 涼にもかつて恋人はいたが……その女性の扱いというものが悪かったと自覚している。
 ほとんど、会うこともない時期があり……やがてギルスの姿を前に、彼女は涼を拒絶した。
 正直、そういうものは苦手だったが、だからこそ、今度こそ失いたくないと彼を突き動かすのだ。
 涼が走り出した。彼らはただ、それを見送るのみ。
 やがて、彼が帰ってくるときまで、ここで待ち続けることしかできない。


「……あの男、私を無視するとは、下の下ですね」


 村上は、そんな小さな苛立ちをかみ締めた。



【1日目 日中】
【B−6 ホテル付近】


【葦原涼@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編36話終了後
【状態】中程度の疲労、胸元にダメージ 、仮面ライダーギルスに2時間変身不可
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品×1〜3(未確認)
【思考・状況】
0:今は亜樹子を負う
1:殺し合いに乗ってる奴らはぶっつぶす
2:人を護る
3:あきらや良太郎の下に戻ったら、一緒に行動する
4:鉛色と深緑の怪人を警戒
【備考】
※支給品と共に名簿も確認していません。

148そして、Xする思考 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/15(水) 02:14:29 ID:XYjC6a2.
【天美 あきら@仮面ライダー響鬼】
【時間軸】 41話終了後
【状態】全裸 気絶中 全身に軽度の怪我 あきら変身体2時間変身不可
【装備】鬼笛@仮面ライダー響鬼
【道具】支給品一式、ニビイロヘビ@仮面ライダー響鬼、サソードヤイバー@仮面ライダーカブト、不明支給品(0〜1 確認済)
【思考・状況】
0:ホテルの付近で涼を待つ。
1:人を助けるため、自分に出来ることをやる。
2:知り合いと合流する。
3:村上が人を襲うことがあれば、止める。


【野上良太郎@仮面ライダー電王】
【時間軸】第38話終了後
【状態】頭痛 ウラタロス憑依中 電王2時間変身不可
【装備】デンオウベルト&ライダーパス@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考・状況】
1:とりあえず、殺し合いには乗らない。
2:あきら、村上と一緒に行動する。涼が戻ってくるのを待つ。
3:亜樹子が心配。一体どうしたんだろう…
4:モモタロス、リュウタロスを捜す。
5:殺し合いに乗っている人物に警戒
6:電王に変身できなかったのは何故…?
【備考】
※ ハナが劇中で述べていた「イマジンによって破壊された世界」は「ライダーによって破壊された世界」ではないかと考えています。確証はしていません。
※ キンタロス、ウラタロスが憑依しています。


【村上峡児@仮面ライダー555】
【時間軸】不明 少なくとも死亡前
【状態】腹部に痛み 二時間変身不可(バード、ローズ) バードメモリに溺れ気味
【装備】なし
【道具】支給品一式、バードメモリ@仮面ライダーW 不明支給品×2(確認済み)
【思考・状況】
1:殺し合いには乗らないが、不要なものは殺す。
2:あきら、良太郎らと行動するが、彼らに情は移していない。
3:亜樹子の逃走や、それを追った涼にはあまり感心が沸かない。
4:白鳥(ブランウイング)がどうなったのか気にかかる。

149そして、Xする思考 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/15(水) 02:15:00 ID:XYjC6a2.
以上、投下を終了します。

150二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/15(水) 09:32:57 ID:xD0CKghk
投下乙です
ああ、所長が殺し合いに乗ってしまったか
果たして葦原さんは、彼女を止める事が出来るのか。


そういや、社長はバードの力に溺れ気味みたいですけど
その度合いはデルタみたいに、書き手任せと考えればいいでしょうか?

151二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/15(水) 12:39:17 ID:kbpzesz6
投下乙

誤字の修正で葦原の状態表の追うが負うになっています。

152 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/15(水) 14:04:44 ID:Rf14KRsY
乾巧、園咲霧彦、紅音也、浅倉威、木野薫、ン・ダグバ・ゼバ投下します

153動き出す闇 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/15(水) 14:05:15 ID:Rf14KRsY
窓が締め切られ、昼だと言うのに薄暗い室内。
その中に置かれたベッドの白いシーツに溶け込むようにうずくまる白い青年がいた。
テラー・ドーパントの力で恐怖という名の感情を植えつけられた魔王、ン・ダグバ・ゼバ。
初めて覚えた感情を全身で、全神経で噛みしめる。
身体が地震のように震え、身体中から雨のように冷や汗を流す。
それでいながら心は真冬よりも凍えている、そんな感覚。
カチカチと何かがぶつかる音が聞こえ、目だけを動かし辺りを伺い音の出所を探し、出所が自らの口元である事を理解する。
聴覚に続き視覚までも恐怖を伝え始める。部屋の片隅の暗闇に何かがいるように思える。
自らの吐く息がすぐ耳元で誰かが囁いているかのように錯覚してしまう。

恐怖

他人に与える事はあっても自分は知る事ができなかった恐怖。
初めての体験に彼は、ン・ダグバ・ゼバは――

「あは、あはは……っ!」

歓喜した。
背筋が震えゾクゾクする。何千何万の命を奪って得た快感を軽く上回る震え。
くだらない事に怯える滑稽な自分自身すら楽しい。
いつまでも味わっていたいとすら思える感情、恐怖。

だが何事にもやがて終わりは訪れる。
身体の震えは徐々に収まり、妙に高ぶっていた心も次第に落ち着いていく。
ぼやけた視界も鮮明になっていき、幻聴も幻覚も消えうせていく。
ダグバは自らを力強く抱きしめた。
まだ内部に残る僅かな恐怖を逃さないよう、少しでも長く味わえるよう。
しかし手で掬った水のように、恐怖も彼の心から完全に消え去ってしまった。

ゆっくりと起き上がり、気が抜けたようにダグバは動かない。
右の手の平を見つめる。先ほどの震えは幻のように消えうせていた。
どうしうようもない喪失感がダグバを包み、次いで激しい欲望が膨れ上がる。

楽しい

恐怖は楽しい

もっと味わいたい

もっと震えたい。もっともっと怯えたい

いつもいつまでも、今よりももっと上の、さらに上の、もっともっともっと…………

すぐ近くで何かがぶつかるような音が何度も聞こえる。
恐らく先ほどの連中がまだ戦闘を続けているのだろう。
なら間に合う、いけばまた恐怖を味わえる。今度はじっくり、長く、しっかりと味わいたい。

恐怖という名の麻薬を求めダグバは部屋を飛び出した。その手の中に黄金色に輝く理想郷を握り締め――


  ◆  ◆  ◆

154動き出す闇 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/15(水) 14:06:24 ID:Rf14KRsY
市街地の開けた一角で4人の男達が対峙していた。
青い王冠と黒いマントを身に付けたドーパントの王、テラー・ドーパント。
全身を青く染めた鋼の面を持つ戦士、ナスカ・ドーパント。
全てを喰らい尽くさんとする紫の大蛇、王蛇。
黒いスーツに赤いラインが映える仮面ライダー、ファイズ。
しばらく様子見とばかりに4人は動かなかったが痺れを切らした王蛇がテラー・ドーパントへと駆け出す。

――Sword Vent――

電子音声を合図に虚空から飛ばされたベノサーベルを受け取りそのまま飛び上がる。

「オラァ!」

強引に振り下ろされた剣をテラー・ドーパントは軽々と受け止め、空いた右手で王蛇を殴り飛ばす。
吹き飛ばされかけた王蛇だが地面にベノサーベルを突き刺し即座に体勢を整え再び襲い掛かる。
先程よりも僅かに距離を離した位置から何度もベノサーベルを振るいカウンターを許さない。
対するテラー・ドーパントも木野自身の戦闘能力とテラーフィールドを巧みに操り、王蛇の連続攻撃を完全に捌ききる。

「中々楽しませるじゃねぇか、アァッ!?」
「ふん……っ!」

その戦いに加わわらずファイズは気絶したままの音也の傍へと駆け寄る。

「おい、あいつらがあいつら同士やりあうってんならわざわざ立ち入る必要はねぇだろ。紅背負ってトンズラしようぜ」
「いや……あのメモリはお義父さんの物だ。アレを手にする事ができれば、冴子だって私を認めなおしてくれるはず!」

剣を構えたナスカは戦場へと向かい駆け出していく。

「あ!?あの馬鹿……ちっ」

ファイズは気絶した音也と離れていくナスカを交互に見つめ――

「仕方ねぇ!」

ナスカを追って駆け出した。
走りながら自らの装備を確かめる。

               あいつ
(ポインターがねぇ!?エッジはバジンのハンドルだしな……ついてねぇな)

それでも残されたファイズショットにミッションメモリー差込み、右腕に装備しナスカに追いついていく。

「覚悟したまえ!」

ナスカが剣を構えるがテラー・ドーパントから放出されたテラーフィールドがその動きを封じる。
怯んだナスカを飛び越えたファイズが右腕を突き出すが紙一重で避けられその身を受け止められてしまい

「ふん!」

王蛇へと投げ飛ばされる。二人はそのまま絡まるようにゴロゴロと転がり、なんとか起き上がった。

「祭りだな、楽しいじゃねぇか!」
「うわっ!て、てめぇ!」

起き上がると共に王蛇がファイズへとベノサーベルを振るい、胸部装甲に傷を付けられる。

「お前、あいつが狙いじゃねぇのかよ!」
「俺は戦えれば誰でもいいんだよ!」

王蛇の狂気を感じつつファイズは追撃を避けきり体勢を整え距離を取る。
一方、動きを封じられたナスカにテラー・ドーパントがゆっくりと近づいていく。

「貴様、覚悟しろだと?ふざけた言葉を……」
「ふざけてなどいない。私は大真面目だ!」
「それがふざけてると言うんだ!」

怒りを顕わにしながら拳をナスカへと打ち付ける。
殴られた衝撃で拘束から抜け出したナスカは剣を構え

「超加速!」

一瞬の超加速でテラー・ドーパントに不意打ちの一撃を与えこちらも距離を取る。
ファイズとナスカ、背中合わせになりながらそれぞれの相手の動きを伺い、隙を見てファイズが小声で話しかける。

「おい、紅の奴を巻き込む訳にはいかねぇ。少しでも離れるぞ」
「仕方が無いか……」
「あいつが気になるって言うなら始末してやるよ」

――AdVent――

二人の様子から気絶している音也を気にしている事を悟った王蛇がカードを使用する。
耳鳴りのような音と共に民家の窓から紫色の巨大毒蛇ベノスネイカーが飛び出し、未だ気絶中の音也へと襲い掛かった。
咄嗟に反応できたナスカが超加速を再び使い、ベノスネイカーの前に立ちふさがり斬りつける。
しかし一撃を喰らった程度でベノスネイカーの闘志は消えない。唸り声をあげナスカとの睨み合いが始まる。
王蛇はつまらなそうに声をあげ、ベノバイザーを振り上げファイズを狙う、が。
ファイズは左腕でベノバイザーを受け止め、王蛇の腹部を蹴りこみ奇襲を防ぐ。
よろけた隙を逃さず右腕のファイズショットで強引に殴り飛ばし王蛇を突き放す。

今の一撃は多少は効いたのか、王蛇がしばらくは立ち上がってきそうに無い事を確認すると、
ファイズはテラー・ドーパントに向かうため振り返り、自らの目を疑う。
右腕を押さえうずくまっていたのだ。

「雅人、何故なんだ……雅人ぉぉぉ……」
「どうなってやがんだよ……」

155動き出す闇 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/15(水) 14:07:02 ID:Rf14KRsY
呆然とするファイズとは対照的にナスカは苦戦を強いられていた。
ベノスネイカーの巨体をいかした尻尾の振り抜きを剣で受け止めたと思えば頭上からナスカを飲み込もうと大口が迫る。
反撃を与える暇が無く回避と防御に専念させられる。本当なら飛行能力を活かし上空からエネルギー弾の乱射を行いたいが……
背後で眠る音也の事を考えるとそれもできない。目の前の壁が無くなった途端ベノスネイカーは音也を狙うだろう。

「私がこんな男の為に戦わなければならないとはな……!」

知り合って間もない、しかも自分とは明らかに価値観の違う音也。
それでも見捨てる事ができないのは何故だろうか、ナスカはふと考える。
思考のせいで一瞬動きが鈍ったのか、いつの間にか右腕に握られていた剣の刃先が溶け始めていた。
驚きつつも剣を放り捨てる。主から離れた剣はぶすぶすと音をあげながら溶けていきその姿を消した。
ナスカが溶かした正体を見極めようと視線を上に向ける。ベノスネイカーの口元から紫色の液体が溢れ、今にも零れそうに……

危険を感じた時には既に毒液は発射されていた。しかしナスカは慌てない、彼には超加速があるのだから。
ナスカに避けられ、毒液は当然背後にいた音也へと向かう。

「しまった!」

再び超加速を行おうとするが身体が言う事を効かない、制限もあるが超加速は確実にナスカの体力を奪っていたのだ。
見ているしかないのかと諦めかけた時、救いの手が差し伸べられる。
王蛇を退けたファイズだ。いつの間にか握られていたデイバッグを盾に毒液を受け止める。

「乾君か、助かった」
「気にすんな、慣れてる。しかし直接受け止めてたらヤバかったな」

ドロドロとデイバッグが溶けていき、中に仕舞い込まれていた支給品が零れ落ちていく。
用済みとなったデイバッグを放り捨てベノスネイカーに駆け寄りながらファイズフォンへと手を伸ばす。

――Exceed Charge――

ファイズドライバーから右腕に装備されたファイズショットにエネルギーが送られ赤く発光する。
グランインパクトの準備が整い、拳を振り上げ後は打ち付けるのみという所でファイズは突然吹き飛ばされた。
ファイズを受け止めつつナスカは辺りを見渡しすぐ近くに突き刺さったベノサーベルに気がついた。

「あの野郎、もう回復してやがったか……」

左肩を抑えながら悔しそうにファイズが呟く。その視線の先にはベノサーベルを投げつけた王蛇の姿が。

「そこそこ楽しめたぜ……こいつは礼だ」

――Final Vent――

主の命に従いベノスネイカーが王蛇の背後に回る。
ナスカとファイズを狙うその視界の隅に異形が映る。

「おいおい、逃げれると思ってるのか……?」

王蛇が飛び上がり、ベノスネイカーの口から放たれたエネルギーを背中に受け獲物へと飛び込んでいく。
その狙いはナスカでもファイズでも音也でもなく、この場から逃げ出そうとしていたテラー・ドーパント。
奇襲に気がつき咄嗟にテラーフィールドを盾のように展開し王蛇の必殺技を受け止める、が。

「ハッハァ!」

お構いなしに王蛇は連続蹴りを続け、少しずつテラーフィールドを蹴り破っていく。
限界を悟りテラー・ドーパントが逃げ出そうとするが一足先に完全にテラーフィールドを破った王蛇のベノクラッシュが炸裂した。

「俺は、まだ死ねない……」

吹き飛ばされてもすぐに立ち上がれたのは防御が少しでもできたからであろう。テラー・ドーパントは住宅街の中へと逃げていく。

「逃がすかよ……」

蛇のようなしつこさで王蛇はその背中を追い、住宅街へと消えた。


  ◆  ◆  ◆

156動き出す闇 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/15(水) 14:08:18 ID:Rf14KRsY
残されたファイズとナスカは一息吐くと共に変身を解除し腰を落とす。

「まったく、開始早々やんなっちまうぜ。紅の奴は結局起きねぇしよ」
「テラー・ドーパントの力は強大だ、生身で受けてはしばらくは起きないだろう……ゴホッゴホッ」
「おい、大丈夫かよ!?」

心配する巧を霧彦は右手でそれを制す。

「大丈夫、癖なんだよ……」

ナスカに変身する事は霧彦の寿命が削られていく事に他ならない。再び死ぬまでどれだけの猶予があるのか、と霧彦は自らの身体に問いかける。

「お前がそう言うならそれ以上は詮索しないけどよ」

巧が立ち上がり、先ほどベノスネイカーの毒液を受けたデイバッグから零れ落ちた支給品の品々を回収していく。
霧彦も巧を手伝う為に辺りを見回す。どうやらデイバッグは音也の物だったらしく巧や霧彦の知らぬ物がいくつか落ちていた。
そんな中一つだけ見覚えのある物を見つける。先ほどの王蛇が使っていたのと同じ物らしきカードが詰められた箱。
巧は使えるかもしれないと判断し、説明書が無いか辺りを確認する。

「乾君、あいつらがまたやってくるかもしれない。お義父さんのメモリは惜しいが、ここは一度離れた方がいい」
「それもそうだけどよ……これの説明書がないんだ、探すの手伝え」
「大丈夫だ、それなら私が見つけた」

座り込んだままの霧彦の右手にヒラヒラと揺れる紙。巧は早く言えよとぶつぶつ呟きつつ回収し終えた支給品を自らのデイバッグに詰めていく。


「よかった、間に合った……」


静かだが妙に存在感のある声に二人は視線を向ける。
ここから最も早く抜け出した白服の青年がそこにはいた。
走ってきたのか身体を震わせ、遠目でも汗をかいている事がわかり、それでいて妙に笑顔で。

「お前……」
「びっくりしちゃうね、またここにくるだけでこんなにドキドキするなんて。すっごく怖かったんだ、本当に……」
「くそ、探知機を見張っているべきだったか……」

警戒する巧と霧彦、しかしそれを無視するかのように白服の青年ダグバは笑い声をあげる。

「ねぇ、もっと僕を怖がらせて、もっと恐怖を与えてよ。僕がリントにしてあげたようにさ。
 いいよ、大丈夫だよ。僕も怖がらせてあげるから……」

ガイアドライバーを取り出し腰に装着し、右手に黄金色に輝くメモリを握り締める。

「僕も、皆も恐怖する、それが――」

――ユートピア!――

ユートピアメモリを差込白服が錆びた黄金色に包まれていく。
繁栄の無い滅ぶだけの理想郷を目指すユートピア・ドーパントがこの場に誕生した。
即座に巧と霧彦もそれぞれの変身アイテムを取り出し変身を行おうとするが、叶わない。

「何だ?うんともすんとも言わねぇ!?」
「どういうことなんだ、頼むナスカ!」

二人はそれぞれ何度もボタンを押すがアイテム達は答えてくれない。

「いいね、その表情いいよ。でも足りないかな……もっともっと怯えようよ」

どこからか取り出した杖をつきながらゆっくりとユートピア・ドーパントが二人に迫る。

「……仕方が無い、乾君。君が先ほど拾ったカードデッキを私に」
「カードデッキって、これの事か!?」

巧が懐から取り出した赤紫色のそれを強引に奪い取りファイズドライバーに反射させる。
すると霧彦の腰にガイアドライバーとは異なる銀色のベルトが装着され――

「変身!」

赤紫色のカードデッキをバックルに装填し霧彦の身体に虚像が重なりやがて赤紫色の鎧を形成し、ライアへと変身を遂げる。

「私が時間を稼ぐ、乾君はそこの馬鹿を連れてこの場から逃げるんだ」
「お前一人だけに無茶なんかさせるかよ、これ使えるんだろ?」

巧が取り出した黄色のメモリを見つめライアが寂しそうに首を横に振る。

「それはルナメモリといって君や私には使えない。仮面ライダー君でなければ、な」
「なら、しょうがねぇ……」
「そうだ、君は……何!?」

ライアの横で巧の身体が全身銀色の怪物、ウルフオルフェノクへと変化する。

「君は……」
「あぁ、俺は人間じゃない、オルフェノクって化け物だ。軽蔑したか?」
「……驚きはしたよ、だが、今は君のその力にも頼らせてもらおう」

戦闘体勢を整えた二人の戦士を前にユートピア・ドーパントの心は躍る。

「あぁ、君達はどれだけ僕を怖がらせてくれる?お願いだから、すぐに壊れちゃいやだよ?」

157動き出す闇 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/15(水) 14:09:47 ID:Rf14KRsY
【1日目 日中】
【F-6 市街地】


【乾巧@仮面ライダー555】
【時間軸】原作終了後
【状態】恐怖(小)、疲労(中)、ウルフオルフェノクに変身中、仮面ライダーファイズに2時間変身不可
【装備】なし
【道具】支給品一式、ルナメモリ@仮面ライダーW、ファイズギア+ファイズショット@仮面ライダー555 不明支給品1〜2
【思考・状況】
1:打倒大ショッカー
2:仲間を探して協力を呼びかける
3:ユートピア・ドーパントへの対処
【備考】
不明支給品は元々は音也の物を回収したものです


【園咲霧彦@仮面ライダーW】
【時間軸】死の直前
【状態】恐怖(小)、疲労(大)、仮面ライダーライアに変身中、 ナスカ・ドーパントに2時間変身不可
【装備】ライアのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、首輪探知機、ガイアメモリ(ナスカ)+ガイアドライバー@仮面ライダーW
【思考・状況】
1:打倒大ショッカー
2:今度こそ冴子を説得し、帰還後共に風都を守る
3:ユートピア・ドーパントへの対処
4:テラーメモリを手に入れて冴子に認めなおしてもらいたい
5:人間ではなかった乾巧に若干驚き
【備考】
※ガイアドライバーを使って変身しているため、メモリの副作用がありません。


【紅音也@仮面ライダーキバ】
【時間軸】原作終盤(少なくとも渡を自分の息子と認識している時期)
【状態】気絶 恐怖(中) 疲労(大)
【装備】イクサナックル(プロトタイプ)@仮面ライダーキバ
【道具】なし
【思考・状況】
0:気絶中…
1:最後まで生き残り、元の世界に帰還する
2:女性を見たらとりあえず口説く


【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
【時間軸】不明
【状態】恐怖(小)、若干ハイ、ユートピア・ドーパントに変身中。怪人体に1時間40分変身不可
【装備】ガイアメモリ(ユートピア)+ガイアドライバー@仮面ライダーW
【道具】支給品一式
【思考・状況】
1:恐怖をもっと味わいたい。楽しみたい
2:目の前の二人が恐怖をもたらしてくれる事を期待
【備考】
※ガイアドライバーを使って変身しているため、メモリの副作用がありません。


  ◆  ◆  ◆

158動き出す闇 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/15(水) 14:10:43 ID:Rf14KRsY
テラー・ドーパントの変身も既に解けてしまった木野薫は住宅の陰の中へと隠れ潜んでいた。
変身が解けた途端に訪れた途方もない疲労感、そして未だに続く右腕の発作。
王蛇から受けたベノクラッシュの傷が疼き木野は思わずうめき声をあげる。

(なんだ、この疲労感は……こいつの、副作用か?今思えばあのスーツの男はベルトのような物をつけた上に使用していた、な)

震える手でテラーメモリを支え、見つめる。強大な力を持つこのメモリを使いこなす事ができるのだろうか。
アギトの力と共に自分は完全に飲み込まれてしまうのではないか、そんな不安に包まれる。
突然メモリが奪われる。木野が何事かと見上げると目の前には茶髪の青年が立っていた。その表情は陰になって伺う事はできない。

「探したぜぇ、大将……」
「その声、あのアンノウン!?人間だったのか……そのメモリを返せ!う、ぐっ……」

立ち上がりメモリを取り返そうとするがすぐに再び座り込んでしまう。

「おつかれかい?そんなにこいつが大切か……」

右手で玩んでいたテラーメモリを茶髪の青年、浅倉は力の限り握り締める。
木野の制止の言葉を無視して力を込め続け、やがてバキバキと音が鳴る。

「ざぁんねぇんでしたぁ……ハァ……」

粉々になったテラーメモリを浅倉は菓子でも食べるかのように口に入れバキボキと何度か噛み砕いた後、飲み込んだ。

「前菜はこんな所かぁ?」

口から口内裂傷による血を流しながら浅倉は呟く。ここにきて初めて木野は浅倉が笑っている事に気がついた。
その木野の眼前に暗闇が迫り、グシャッという音が聞こえる。浅倉の靴底が木野の顔面にめり込んだ。
赤い糸を引きながら靴が離れ、木野は咳き込みながら両腕を交差させ集中力を高めようとする。
だがそんな自由は許さないとばかりに交差させた両腕を浅倉は蹴り上げる。良い音が鳴った。折れたのかもしれない。
痛みに苦しむ木野うめき声を浅倉は笑顔で堪能する。
しかしそれにも飽きたのか拳を木野の顔面へと打ち込む。




何度か繰り返した所で反応が無くなった事に気がつき、つばを吐いて浅倉はその場を後にした。
力に呑み込まれ、過去に縛られた男の亡骸だけがその場に残された。

【木野薫@仮面ライダーアギト 死亡】
 残り54人
【A-7 市街地】付近に支給品一式と木野薫の撲殺死体が放置されています。

【1日目 日中】
【F-7 市街地】

【浅倉威@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】不明
【状態】疲労(中)、ちょっぴり満足感、仮面ライダー王蛇に2時間変身不可
【装備】カードデッキ(王蛇)@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、ランダム支給品1〜3(確認済)
【思考・状況】
1:イライラするんだよ……
2:殴るか殴られるかしてないと落ち着かない
【備考】
※テラーメモリを美味しく食べました。恐らく副作用はありません

159 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/15(水) 14:13:36 ID:Rf14KRsY
投下終了です。天道総司を長期間縛ってしまい申し訳ございませんでした。
書くのも遅いですしご迷惑おかけしてばかりなのでしばらく予約控えます。
本当に申し訳ありませんでした。
ご指摘よろしくお願いします。

160二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/15(水) 16:58:44 ID:2TsKpCSE
投下乙です
浅倉、メモリを食べるなんて……この男は凄まじいなw
そしてたっくん達はダグバと戦えるのかぁ!?

最後に、予約は別に遠慮をしなくてもいいと思います
キャラを入れる事が出来なくなるのは仕方ないと思いますし
これからも、良作を待ってます

161 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/15(水) 18:11:39 ID:XYjC6a2.
投下乙です。
木野さんはやはり浅倉に殺される運命か…。
悪食すぎるだろ浅倉ww
さすが狂人www
たっくんと霧彦さんはなんだかんだで良いコンビになれそう。
やり取りがカッコよかったです。

162二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/15(水) 23:52:48 ID:WTUScPfg
投下乙です。
巧と霧彦も無事テラーを切り抜けて何より、と思いきや更にヤバイのがw
ヒーロー2人と未だいいとこ無しの音也の今後が少し怖いけど期待。
そして浅倉、初殺害はなんと生身。こいつはやばいやばすぎる。

あと、予約を自重しようなんて考えなくていいと思いますよ。
作品の執筆で必要なことなら何ら問題はありませんし。

163仮面ライダーになりたくない男 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/16(木) 14:02:36 ID:QHGPP42M
只今より、投下をします。

164仮面ライダーになりたくない男 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/16(木) 14:03:06 ID:QHGPP42M
「君は、俺に一体何をしたんだよ?」


 三原は目の前の異形にそう訊く。
 オルフェノクのような異形でありながら、殺人の意思を持たずに子供のように無邪気な神経を持つ目の前の怪人に、少しの恐れを抱きながらも、どこか安心しながらリュウタロスを眺める。


「何って、憑いただけだけど?」

「憑く?」

「うん、いつもは良太郎に憑いてるけど、お前弱っちいから早く良太郎に会いたいー」


 こうして、当人を前にしても失礼な事を言えるあたりが、やはり子供だと思える。
 そして──それが図星な以上、三原は何も反論することができなかった。
 こんな子供に「憑く」とかいう行為で助けられた三原は、情けなさを痛感する。


「お前はどうして戦わないの?」


 こんな言葉をかけられるほどだ。
 戦いたくないから──そう答えることへは、抵抗を感じる。三原はリュウタロスを「子供」としか見ていない。
 だから、大人としてそんな応答をするわけにはいかなかった。


「足が痛いんだ。それに、朝から熱っぽくて……」

「──お前、ふざけてるの?」


 リュウタロスの口調は、遊びの口調から本気へと変わる。
 三原の一言は、イマジンとの戦いを続けてきたリュウタロスを怒らせるに充分な言葉である。
 良太郎は、弱くても言い訳などしなかった。良太郎は、弱くても戦うための努力をした。
 三原は、自分の弱さから逃げている──いわば、本当の意味での弱虫なのだ。
 言い訳して逃げて、それで安全圏にいようとする三原をリュウタロスは許せなかった。


「お前、修正するけどいいよね?」

「え……?」

「答えは聞いてないけど」


 三原の頬を、リュウタロスの拳が殴った。
 そのまま、三原は地面に体をぶつける。彼にとっては、倒れた衝撃よりも、頬に残った痛みが強い。それだけリュウタロスの心は強い怒りに包まれていた。
 歯が折れてしまいそうなほどの強い拳を、三原は顔中で感じていた。唾に混じって、血が喉を通る。


「足が痛いんでしょ? 立ち上がれないんでしょ? それなら、ここでずっとしててよ。僕が、お前を潰しちゃうから」


 リュウタロスは明らかな怒りを、三原に向ける。
 リュウタロスは、そのままその手にリュウボルバーを握り、三原の眼前にその銃口を向ける。

 異形に銃を向けられた人間は、その体中に嫌な汗を感じていた。
 この怪物は、このまま自分を殺すかもしれない。この銃口から弾丸が放たれたとき──たったそれだけの動作で、三原は死んでしまうのだから。

165仮面ライダーになりたくない男 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/16(木) 14:03:38 ID:QHGPP42M
「や、やめてくれよ。おい……俺が何したって言うんだよ! 俺は関係ないんだ、俺は何もしてない!」

「あと、三秒で撃つよ」

「俺は世界の崩壊なんて関係ないんだ……! そうだ、バイトがあるから家に帰らないと……! だから──」

「──二秒」


 そんな、冷淡な一言に三原は狂気を感じた。
 このまま本当に、僅かな時間が過ぎるとともに三原は殺される。
 それなら、その僅かな時間で何ができるというのか。

 三原は震える足で地面を蹴り、立ち上がった。
 戦うためではなく、逃げるために──。

 そんな三原をリュウタロスは許さない。
 リュウボルバーで三原の体を強く、叩いた。痣になるほどの痛みが、三原の背中を襲う。
 その痛みに打ちひしがれて、三原は再び地面に倒れこんだ。
 今度は、リュウボルバーの銃口は三原に向かってはいない。……だだ、リュウタロスが険しい表情で三原の顔を見つめるだけである。


「お前、やっぱり本当はどこも痛くないんでしょ? 立って歩けるんでしょ? それだけの力があるのに、どうして戦わないの?」

「だって……俺は関係ないんだぞ!? 戦いたくなんてないのに、こんな場所に連れて来られて!」

「それならお前、どうして関係ない人を巻き込む大ショッカーを倒そうとしないの?」

「た……倒せるわけないだろ!? だって俺たちの首には──」


 首輪。逆らう者を一掃する鉄の凶器。
 それがあるうちは、誰も逆らうことはできない。
 そんな恐怖が、何よりも三原の心を占めている。


「──答えは、聞いてない!」


 リュウタロスが聞きたくなかったのは答えではなく言い訳である。
 これだけ痛めつけられてもわからない三原には、殺意さえ覚える。
 それでも、人は殺さないのがリュウタロスの今の信念である。
 だから、リュウタロスは彼を消さずに、修正しようとしたのだ。


「お前、ここで鍛えてもらうけどいいよね? 勿論、答えは聞いてないけど」


 広いサーキット会場。そこは、人を鍛えるには打ってつけの場所であった。



△ ▽

166仮面ライダーになりたくない男 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/16(木) 14:04:27 ID:QHGPP42M

「駄目だ……もう無理だ……」

「だめだめぇ〜!! やめたら、強くなれないじゃんか〜!! あと一周するくらい根性見せろ〜」


 本来ならばバイクが走るコースであるサーキットを、三原は足で走っていた。
 その腰にロープを巻き、さらにその先にタイヤを巻きつけた三原はもはや限界に近かった。
 喉は潤いを消し去り、しかし体の表面を汗が覆っている。
 特訓の中で、三原は死にそうなほど体の疲労感に見舞われていた。
 足は棒のようになり、腰にロープが食い込んでいる。視界はもはや、汗が入って歪んでいた。
 太陽が自分を見下しているのを、嫌というほど強く感じてしまうほどだ。


「足が……本当に動かない……」


 サーキットの僅かな傾斜も、三原の足はもう登ることができなかった。
 三原はそのまま倒れ伏す。
 土が、汗のせいで顔にくっついたが、土の冷たさが心地よかった。
 足の疲れも、そのお陰で少しずつ抜けていく。


「……もう仕方が無いなぁ。特訓おわり! これで戦えるよね?」

「……ああ、……とりあえず……やってみるさ……俺に何ができるかは……わからないけど……」


 息も切れきれの三原が、「もうどうにでもなれ」とばかりにリュウタロスにそう言う。
 次に他の参加者に会ったとき──彼は特訓の成果を見せることができるのだろうか。
 この一時、彼は決意と呼ぶには、あまりにも弱弱しい言葉を発した。



【1日目 昼】
【B-1 サーキット場】


【三原修二@仮面ライダー555】
【時間軸】初めてデルタに変身する以前
【状態】疲労(極大)、筋肉痛 、 地面に倒れてます
【装備】デルタドライバー、デルタフォン、デルタムーバー@仮面ライダー555
【道具】なし
1:疲れた……
2:草加や巧、真理と合流したい
3:戦いたくないが、とにかくやれるだけのことはやる
【備考】
※リュウタロスに憑依されていても変身カウントは三原自身のものです。


【リュウタロス@仮面ライダー電王】
【時間軸】本編終了後
【状態】胸にダメージ(小)
【装備】リュウボルバー@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式×、不明支給品(0〜2)
1:三原を鍛える
2:良太郎に会いたい
3:大ショッカーは倒す
【備考】
※人間への憑依は可能ですが対象に拒否されると強制的に追い出されます。

167 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/16(木) 14:06:39 ID:QHGPP42M
ごめんなさい、「昼」は「日中」の間違いです。
今回は短いですが、投下終了します。

168二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/16(木) 14:46:12 ID:Db4laqzg
投下乙です!
ああ、リュウタがカッコいい……
三原は成長出来るのか

169 ◆MiRaiTlHUI:2010/12/17(金) 02:47:15 ID:O7tiMMrk
投下乙です。
そういえば三原も良太郎も弱い者同士だったなぁ。
その弱さにどう立ち向かうかが良太郎と三原の違いか。
三原がこれからどう成長できるかに期待です。
何気にリュウタと三原はいいコンビ?



それでは、予約分の投下を開始します。

170二人のジョーカー ◆MiRaiTlHUI:2010/12/17(金) 02:48:19 ID:O7tiMMrk
 相川始の心は、揺れ動いていた。
 どんなに振り解こうとしても、罪悪感は消えない。
 自分は人を殺してしまった。罪も無い命を奪ってしまったのだ。
 間違いなくこの殺し合いを打倒しようとしていた男を、この手で。
 他の世界を消滅させてでも自分の世界を守らなければならない。
 その気持ちに嘘は無いし、その行動方針を変えるつもりもない。
 だけれど、それでも吹きつのる罪悪感は消えはしない。 

(剣崎……)

 始にとって唯一「友」と呼べる相手を、心中で思い描く。
 彼ならば、この殺し合いの場で、一体どんな行動を取るだろう。
 考え始めて一秒と経たず、簡単すぎる答えが思い浮かんだ。
 言い切ってもいい。あの男ならば、絶対に殺し合いに乗ったりはしない。
 何が何でも、他者を救って、大ショッカーを打倒しようとするだろう。
 だが、そんな剣崎を責めるつもりは無いし、寧ろ誇らしいとも思う。
 そんな立派な「友」を持てた事を、自分の誇りだとも思う。

(剣崎とは一緒に戦えないな)

 だが、だからこそ。
 一緒に戦う事は絶対に出来ない。
 自分の存在は間違いなく剣崎にとって重荷となる。
 当然だ。目的は同じ世界を守る事であっても、やり方は真逆なのだから。
 剣崎は他者と手を取り合い、共に大ショッカーを倒す事で世界を守る。
 自分は他者の命を奪い、大ショッカーに従う事で世界を守る。
 人の心が芽生え始めていた始にとって、それは苦渋の選択ではあるが、仕方がない。
 これも守る為なのだ。人として、守りたい世界を守る為に、命を奪う。
 剣崎とは真逆。それでも、求めるモノは、世界を守りたいという気持ちは同じ。

(どうせ辛い思いをする事になるんだろうな、剣崎は……なら、俺が汚れ役を買ってやる)

 それが始が考えた、戦う理由であった。
 あの御人好しの剣崎一真は、確かに強い。
 人としての心も、仮面ライダーとしても、だ。
 だけれど、それでも剣崎はこの戦いでは不利だと言える。
 剣崎は人が良すぎるのだ。きっと奴はどんな人間でも救おうとするだろう。
 例え自分の身が危険に晒されようと、どんなクズ人間であっても、見捨てないだろう。
 それが剣崎にとっての一番の弱点。死に繋がる一番の要因。
 なればこそ、汚れ仕事は自分が買おう。
 殺し合いに乗ったクズの様な相手は、率先してこの手で殺す。
 そうする事で、剣崎の目指そうとする道のりを少しでも楽にしてやる。

(そうだ……俺は俺のやり方で世界を守る。だから剣崎……お前はお前の道を行け)

 最終的に剣崎が大ショッカーを打倒し、世界を救えるならそれで善し。
 だが、そうでないなら自分が他の世界の参加者を皆殺しにする。
 こんなやり方でしか世界を救えない自分と剣崎は違う。
 だから、もう一つの可能性を剣崎に任せて、自分は狩りに没頭できる。
 それで感じる罪悪感は相当なものだろう。
 だけど、始の脚は止まらない。
 敵を求めて、ただ前へ歩く。

 そして見付けた。
 次の獲物を。

171二人のジョーカー ◆MiRaiTlHUI:2010/12/17(金) 02:48:49 ID:O7tiMMrk
 




 二人の間に、言葉などは必要なかった。
 否、正確には二言三言交わしたのだろうが、それは大きな問題では無い。
 重要なのは、目の前の相手が殺し合いに乗っている、という事実。
 お互いの命を賭けて、始まったのはやるかやられるかの殺し合い。

 黒の装甲に身を包んで、駆けるカリス。
 黒の外骨格に身を包んで、駆けるガドル。

 幾度かの激突の後で、二人はお互いの間合いを計り合っていた。
 そんな二人に訪れるチャンスは刹那的。踏み込み、飛び込むのもまた刹那。
 一瞬の隙を見付けた二人の剣は、甲高い金属音を打ち鳴らして激突した。
 歴戦の闘士二人の戦いに、舌舐めずりなんてものは存在しない。
 お互いの実力が分かっているからこそ、最初から全力で激突する。

「トゥッ!」

 掛け声を一声。
 弓とも剣ともつかない両刃の刃を、力一杯に振り上げる。
 対するガドルは、まるでその軌道を読んでいたかのような動き。
 巨大な大剣を、信じられない程に軽々しく持ち上げて、カリスの動きに対応したのだ。
 きぃん!と、鋭い金属音が辺りに響いて、手応えが無い事を悟る。
 醒弓を翻し、もう一方の刃で切りかかるが、結果は同じ。
 ガドルの大剣はそれにも難なく対応した。

「フンッ!」

 今度はガドルだった。
 カリスの装甲を斬らんと、その大剣を一気に振り下ろした。
 見るからに重量を持っているであろうその大剣を、正面から受け止めようとはしない。
 ハートの複眼に大剣を捉えた瞬間には、後方へと飛び退り、離脱。
 ゴウッ! と音を立てて、風を切り裂いたのは大剣。
 その威力の程を想像しながら、カリスは弓を引き絞り、光弾を放った。

「――ッ!」

 放たれた数発の光弾はガドルの胸部で爆ぜた。
 白い煙を立ち昇らせ、派手に火花を撒き散らすガドルの装甲。
 だけれど、それがさしたる意味を持たない事は、考えるまでも無かった。
 ガドルは痛みを感じて居ないのだ。全弾胸部に喰らおうとも、呻き一つ漏らさない。
 ただ、身構える際の声にすらならない吐息が聞こえただけだった。
 ならばとばかりにアスファルトを蹴って、間合いを詰める。

「トゥァッ!」
「ッ!」

 駆け出したカリスの速力たるや、まさに韋駄天の如く。
 一瞬のうちにガドルの懐に飛び込んで、俊敏な動きで醒弓を振り抜いた。
 カリスの見立てでは、この怪人は俊敏なタイプでは無い。
 一瞬で飛び込み攻撃を加え、すぐに離脱。後はそれの繰り返し。
 ヒット&アウェイの連続で体力を削り、トドメに必殺技を叩き込む。
 敵の情報をろくに知らぬカリスにとっては、それが正しい判断かと思えた。

 だけど、現実はそう甘くは行かず。
 横一閃に振り抜いた醒弓は、アスファルトに突き立てた剣によって阻まれていた。
 仮面の下で舌打ち一つ。すぐに体勢を立て直そうとしたカリスはしかし、目の前の変化に目を奪われてしまった。
 そして、それが間違いであった事に気付くのは、その直後の事だ。
 振り上げられた漆黒の槍が、カリスの胸部を強かに打ち付けた。

172二人のジョーカー ◆MiRaiTlHUI:2010/12/17(金) 02:49:20 ID:O7tiMMrk
 
「ぐぁっ……!」

 火花を舞い散らし、宙に舞うカリスの身体。
 アスファルトに打ち付けられる前に受身を取って、体勢を立て直す。
 見れば先程まで握って居た大剣は、禍々しい槍へとその姿を変えていた。
 先程懐に飛び込んだ瞬間に驚愕したのは、大剣が槍に変わった、この変化だ。
 どうやらあの敵はあらゆる状況に応じて武器を変える事が出来るらかった。

「技量だけはクウガよりも上、といった所か」

 ガドルが、何事かをのたまった。
 当然、カリスに敵の言葉の意味を考えてやる義理は無い。
 醒弓を引き絞り、再び光の弓を無数に発射。単なる牽制攻撃だ。
 これで弾幕を張り、その隙に懐に飛び込み、一撃を叩き込むのだ。
 今更そんな小細工が通じるとは思えないが、それならそれでやり様はある。

 ――CHOP――

 一枚のカードをラウズして、アンデッドの力を輝きと共に吸収した。
 ガドルの表面で光の弓が爆ぜて、真っ白の煙がその視界を覆う。
 狙いはこれだ。この一瞬で接近して、攻撃力を上げたチョップを叩き込む。
 輝きを放つ手刀を振り上げて、駆け出す。

 しかし、再び二人が肉薄するよりも早く、行動を起こしたのはガドルだ。
 未だ白い煙の晴れぬ視界の中、手に持った槍をカリスに向けて真っ直ぐに突き出した。
 同時、槍は奇妙な形状変化を伴って、漆黒のボウガンへと変化。
 次いで飛び出したのは、圧縮されたエネルギーの矢。

「何っ!」

 咄嗟の判断であった。
 目前まで迫り来る矢に向けて、手刀を振り下ろした。
 圧縮されたエネルギーはチョップの一撃に撃ち落とされ、掻き消える。
 だけど、それで終わらせてくれる訳がない。仮面を上げれば、次々と迫る矢が見えた。
 まだチョップのカードの輝きは消え去っては居ない。
 ガドルとの間合いを詰めながら、一発、また一発と矢を叩き落す。
 だけれど、その度にチョップの輝きは薄れ、その光を弱らせてゆき。

「ハッ!」

 ガドルに肉薄し、その手刀を振り下ろした時には、輝きは殆ど残っては居なかった。
 申し訳程度の輝きが現すのは、カードの効果を既に十分使い切った事による消耗。
 振り下ろした手刀はガドルの分厚い腕に阻まれて――次に感じたのは、衝撃。

173二人のジョーカー ◆MiRaiTlHUI:2010/12/17(金) 02:49:50 ID:O7tiMMrk
 
「グッ――!?」

 カリスの胸元に押し付けられたボウガン。光を放つ発射口。
 当然反応するだけの余裕など与えられる筈も無く、カリスの身体は吹き飛んでいた。
 一発、二発、三発、四発。止まる事の無い矢の嵐が、カリスの胸部を捉える。
 一撃命中する度、感じるのは装甲の上から身体を突き破る様な激痛。
 胸部から背中まで突き抜ける様な鋭い痛みが、カリスのあらゆる行動を封じる。
 やがて、黒の身体は後方のビルディングの壁に叩き付けられ、それ以上の後退を封じられた。
 最後の一撃はカリスの胸部で弾けて、その衝撃はコンクリートで出来た壁へ伝わる。
 みしっ、と音を立てて、亀裂を作ったコンクリート。
 同時に、崩れ落ちるカリスの身体。

 変身を保つ事すら出来なくなり、その身体が人間の物へと変わってゆく。
 どうやら、過度のダメージを受ければ変身は解除され、自動的にこの姿に戻ってしまうらしい。
 これではまるで仮面ライダーに変身する人間と同じだな、と始は思う。
 だけれども、今がそんな事を考えている場合では無い。

 このままでは、殺される。

 何も成す事無く、殺される。

 あの家族を守る事すら出来ないまま――。
 そう考えた瞬間、始の身体を、何かが突き破る様な錯覚を感じた。
 言うなれば、衝動。偽りの人の皮を突き破って、表に出ようとしている破壊の衝動だ。
 全身の血が沸き立ち、毛穴が開く。内に秘める闘争本能が、飛び出しそうになる。
 だけれど、すぐに理性が働いて、その衝動を抑えようとした。

 それは芽生え始めた人間としての理性。
 本来の“あの姿”を忌み嫌う、始としての心。
 だけど、目の前に迫るあの怪人は間違いなく自分を殺すだろう。
 一歩、また一歩と、死を招く異形がその歩を進める。
 始は何をするでもなく、ただガドルを睨むだけだった。

 もう、あの姿になって戦うしかないのか。
 目の前の敵を叩き潰し、全てを破壊するあの悪魔に。
 何もかもを終焉へと導く、あの死神――


 ――ジョォォカァァァッ!!!――


 しかし、始の耳朶を叩いたのは、自分の中の“それ”では無かった。
 野太く、だけど良く響き渡るその音声は、彼方から聞こえてくる。
 先程自分がこの目に焼き付けたばかりの男。
 あの時出会った、ジョーカーの男。

 名前すら知らない男が、真っ直ぐに走って来る。
 赤のベルトは紫の光を輝かせて、漆黒の欠片が男に集まってゆく。
 いくつもの黒い欠片は男の身を完全に覆い隠し、その姿をジョーカーへと変えていた。
 自分が忌み嫌う名前を持つ男が。あの時自分を相手に手も足も出なかった男が。
 赤の複眼を煌めかせて、目の前の怪人へと殴り掛ったのだ。

174二人のジョーカー ◆MiRaiTlHUI:2010/12/17(金) 02:50:21 ID:O7tiMMrk
 
「っらぁ!!」
「フンッ」

 漆黒の拳は、しかしその分厚い装甲へは届かない。
 ジョーカーの男の右のパンチは、ガドルの左の掌に収まった。
 ならばとばかりに左足を振り上げ、ガドルの顔面を打ち据える。
 だけど悲しいかな、威力が足りない。蹴りはガドルの首を多少傾けさせるだけに留まった。

「硬ぇ!?」
「お前はクウガよりも、今戦ったリントよりも弱い」
「……んだと!?」

 ジョーカーがそれ以上言葉を発する事は無かった。
 言葉にしろ、行動にしろ、次に何らかのアクションを起こす前に、届いたのはガドルのパンチだ。
 同じ漆黒の拳と言えど、敵のパンチとジョーカーのパンチの威力の差は段違い。
 漆黒の胸部装甲にガドルの拳は減り込んで、その身体を一気に後方へと吹っ飛ばした。
 始の眼前をごろごろと転がって、ジョーカーが再び起き上がる。

「ここは俺に任せて、アンタはとっとと逃げな」
「ジョーカーの男……奴と戦えば死ぬぞ」
「さあ、そいつはやってみないと分からねえぜ」
「……その自身は何処から来る」
「俺は仮面ライダーだからな」

 ジョーカーの男の言い分は、良く解る。
 仮面ライダーは人々を守らねばならない。故に逃げる訳には行かない。
 仮面ライダーが敵に背を向けてしまえば、人々は殺されてしまうからだ。
 長い時間を剣崎達と過ごしてきた始だからこそ、その心理は分かる。
 だから、ジョーカーの男の言い分を否定する気にはなれなかった。
 それを否定してしまう事は、剣崎を否定する事に繋がるから。

「無謀と勇気は違うぞ、仮面ライダー」
「ああ、分かってるぜそんな事。けどな、俺はもう、あんな犠牲は誰一人出したくねえんだ」

 刹那、始は、何処か心が締め付けられる様な感覚を覚えた。
 もしも目の前に居るのが剣崎であったなら、この男と同じ選択を選んだだろう。
 勝てるかどうか分からなくとも、命を守る為に、無謀でも立ち向かっていく。
 問題なのは、目の前の男の行動理念となった“あの男の死”についてだ。
 剣崎と似た仮面ライダーの戦う理由を作ったのは、自分でもある。
 自分があの木場という男を殺したから、この男はこうも必死になるのだろう。
 しかもタチが悪い事に、この男はその下手人が自分である事に気付いて居ない。
 だからこそ、自分を助けようとなんてするのだろう。

「……なら、勝手にしろ」
「ああ、そうするさ」

 言うが早いか、ジョーカーが駆け出した。
 それに伴い、始も立ち上がろうと腰に力を言える。
 瞬間、身体を突き刺す様な痛みが始の身体を襲った。
 先程連続で受け続けたあの矢によるダメージだ。
 不覚を取った、と。口惜しさに奥歯を噛み締める。

「さあ、行くぜマッチョメン!」

 今度は飛び蹴りだった。
 加速を付け、飛び上がったジョーカーは右の脚を真っ直ぐに突き出す。
 太陽の光を背に、ガドルに向かって真っ直ぐに飛び退るが、結果は同じだ。
 ジョーカーの脚の裏がガドルを捉える前に、ガドルが振り上げた右脚に叩き落される。
 ジョーカーの飛び蹴りも決して未熟だった訳ではない。
 だけど、ガドルの回し蹴りがそれ以上だったのだ。
 脚と脚の激突の末に、アスファルトを転がったのはジョーカーだ。
 始は思う。今のジョーカーに、あの敵を倒す術は皆無だと。
 どう頑張った所で、勝てる見込みが全く無いのだ。
 だけれど、あの男は絶対に諦めようとはしない。
 ただの馬鹿なのかとすら思える程に。

175二人のジョーカー ◆MiRaiTlHUI:2010/12/17(金) 02:52:06 ID:O7tiMMrk
 
「――ぁあっ!?」

 目の前で、立ち上がったジョーカーが殴られた。
 大仰な動きでその身を後退させて、それでも立ち向かう。
 そうなれば、待って居るのはガドルによる打撃攻撃だ。
 一撃受ける度に後退して、ボロボロになって、それでも立ち向かう事を止めはしない。
 仮面ライダーだから。仮面ライダーだから、どんな強敵にも背を向けてはならない。
 考えは立派だが、それでは殺されてしまう。殺し合いともなれば、尚更だ。
 いい加減苛立ちさえ覚え始めた時、変わった行動を起こしたのはジョーカーの方だった。

「……お前には、コイツで勝負だ」

 ――ジョォォカァァッ!!!――
 ――マキシマムドライブッ!!!――

 再び鳴り響いたのは、甲高い、だけど野太い男の声。
 ベルトの横に装着されたスロットに黒い箱を叩き込んで、両腕で構えを作る。
 ぐぐぐ、と。拳に力を込めて、限界まで引き絞り――やがてその拳を覆ったのは、漆黒の輝き。
 そのまま走り出した仮面ライダーは、疾風の如くガドルの間合いまで踏み込み。
 その拳を、振り抜いた。

「ライダーパンチッ……!」
「グッ……」

 ガドルも拳を振り抜くが、それは当たらなかった。
 ジョーカーが膝を落とし、上体を屈め、敵の拳を回避。
 カウンターの要領で、ガドルの顔面に、ライダーパンチを叩き込んだのだ。
 それが単なるまぐれなのか。それとも、この、ここ一番の勝負強さこそ、彼の才能なのか。
 それは始には分からなかったが、ジョーカーの拳が、ガドルの顔面を捉えた事だけは揺るがぬ事実。
 その攻撃が効いたのか、効いていないのか、それを判断するよりも先に、変化が訪れる。
 ガドルの身体を包んで居た外骨格が、突如として消え失せたのだ。
 ジョーカー相手に、生身を晒すは軍服の男。

「変身が……!」
「っらぁぁっ!!」
「――ッ!?」

 チャンスは一瞬。
 変身が解けた軍服に向けて放たれたのは、回し蹴り。
 見ていて心地が良い程に見事な軌道を描いて、漆黒の脛はガドルに叩き付けられた。
 当然ガドルはガドルで、受身に両腕を構えるが、生身の人間が仮面ライダーを止められる訳がない。
 軍服の腕はジョーカーの回し蹴りを受け止めきれずに、その身体が後方へと吹っ飛んだ。
 その身体をアスファルトへと強かに打ち付けて、それでもゆらりと立ち上がる。

「どうだ! マキシマムを受けたんだ、もう戦えねえだろ!?」

 それは、実質的な勝利宣言。
 高らかに宣言したジョーカーは、軍服の男を見据えて言った。
 だけどその問いに対する返事は無い。軍服は、何も言わずに駆け出した。
 今回は自分の敗北を悟ったのだろう。入り組む町並みの中へと消えて行った。

「あっ、待て!」

 咄嗟に追いかけようとするが、すぐにその脚を止める。
 ジョーカーの男は、その変身を解除し、始の眼前まで歩み寄った。
 探偵風のハットに、黒のベストと、カッターシャツ。
 何処からどう見ても「探偵です」と言っている様な外見であった。
 始の眼前へと突き出された掌を掴んで、ゆっくりと起き上がる。

「無事で良かった。あんた、名前は何て言うんだ?」
「……相川、始」
「相川始、か。俺の名前は左翔太郎。探偵だ」

 ここに再び、二人の“ジョーカーの男”が邂逅した。
 ジョーカーとは切り札であり、同時に鬼札でもある。
 出会ってしまったのは、切り札と鬼札。似て非なる二人の存在。
 それが、どんな未来を招く事になるのかは、誰も知らない。

176二人のジョーカー ◆MiRaiTlHUI:2010/12/17(金) 02:52:52 ID:O7tiMMrk
 

【1日目 日中】
【G-5 市街地】

【相川始@仮面ライダー剣】
【時間軸】本編後半あたり
【状態】疲労(大)、カリスに二時間変身不能、罪悪感
【装備】ラウズカード(ハートのA〜6)@仮面ライダー剣
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜2)
【思考・状況】
1:栗原親子のいる世界を破壊させないため、殺し合いに乗る。
2:左翔太郎を殺すか? それとも……
【備考】
※ ラウズカードで変身する場合は、全てのラウズカードに制限がかかります。ただし、戦闘時間中に他のラウズカードで変身することは可能です。
※ 時間内にヒューマンアンデッドに戻らなければならないため、変身制限を知っています。時間を過ぎても変身したままの場合、どうなるかは後の書き手さんにお任せします。
※ 左翔太郎を『ジョーカーの男』として認識しています。また、翔太郎の雄たけびで木場の名前を知りました。

【左翔太郎@仮面ライダーW】
【時間軸】本編終了後
【状態】疲労(中)、悲しみと罪悪感、それ以上の決意、仮面ライダージョーカーに二時間変身不能
【装備】ロストドライバー&ジョーカーメモリ@仮面ライダーW
【道具】支給品一式×2(翔太郎、木場)、翔太郎の不明支給品(0〜2)、木場の不明支給品(0〜2) 、ゼクトバックル(パンチホッパー)@仮面ライダーカブト、首輪(木場)
【思考・状況】
1:仮面ライダーとして、世界の破壊を止める。
2:出来れば相川始と協力したい。
2:カリス(名前を知らない)を絶対に倒す。
3:フィリップ達と合流し、木場のような仲間を集める。
4:『ファイズの世界』の住民に、木場の死を伝える。(ただし、村上は警戒)
5:ミュージアムの幹部達を警戒。
【備考】
※ 木場のいた世界の仮面ライダー(ファイズ)は悪だと認識しています。
※ 555の世界について、木場の主観による詳細を知りました。
※ オルフェノクはドーパントに近いものだと思っています(人類が直接変貌したものだと思っていない)。
※ ミュージアムの幹部達は、ネクロオーバーとなって蘇ったと推測しています。
※ また、大ショッカーと財団Xに何らかの繋がりがあると考えています。
※ ホッパーゼクターにはまだ認められていません。

177二人のジョーカー ◆MiRaiTlHUI:2010/12/17(金) 02:54:35 ID:O7tiMMrk
 

 ガドルにとっては、不運としか言えなかった。
 この市街地内で、ガドルが探し歩いたのは他の参加者。
 だけれど、ここは元の世界と違って、そこら中にリントが歩いている訳ではない。
 探せども探せども一向に見つからず、苛立ちを覚え始めて来た所で、出会ったのは一人の男。
 トレンチコートを羽織ったその男を、ガドルは標的として見なし、戦闘を開始した。
 だけど、男の正体は只のリントではなく、何処かクウガにも似た漆黒の戦士。
 あれが、最初に言って居た仮面ライダーと呼ばれる存在なのだろうか。
 その実力、技量だけならガドルの敵・クウガ以上と言える。
 そんな戦闘に慣れた男との勝負は、ガドルの勝ちに終わった。
 しかし、いざトドメを刺そうと男に迫れば、突然現れたのは黒の仮面ライダー。
 男の実力はクウガどころか先程戦ったライダーにも及ばないものだった。
 だけどタフさはクウガと同等か、それ以上。そう簡単にはへたばらない。
 やがて奴が振り抜いた最後のパンチは、ガドルにも響いた。

「面白いな、仮面ライダー」

 僅かに腫れた頬を軽く触れて、ぽつりと呟いた。
 この会場には、まだまだ強い仮面ライダーが沢山居る。
 先程は原因不明の変身解除で撤退せざるを得なかったが、次からはそうはいかない。
 恐らくこの会場では、10分も戦えば強制的に変身が解除されるのだろう。
 先程の仮面ライダーとの戦いだって、あれは変身制限による変身解除だ。
 決してライダーパンチとやらを受けた事で変身状態を保って居られなくなった訳ではない。
 だけど、変身制限さえ知って居れば、やり様はいくらでもある。

 ガドルは決めた。
 この場に居る仮面ライダーを全て倒すと。
 そうして、いずれはダグバをも倒し――自分はグロンギの王となるのだ。
 その為に求めるのは、更なる戦い。更なる力を持った参加者。
 激闘を求めて、ガドルは歩き出した。


【1日目 日中】
【G-5 市街地】

【ゴ・ガドル・バ@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第45話 クウガに勝利後
【状態】疲労(中)、怪人体に二時間変身不可
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品×3
【思考・状況】
1:ゲゲルを続行する
2:強い「仮面ライダー」に興味。
【備考】
※デイバッグの中はまだきちんと調べていません。
※変身制限がだいたい10分であると気付きました。

178 ◆MiRaiTlHUI:2010/12/17(金) 02:55:55 ID:O7tiMMrk
投下終了です。
何かあれば指摘などよろしくお願いします。

179二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/17(金) 03:32:49 ID:1AfijeDs
投下乙!
木場を殺した始を翔太郎が助けるのか…しかし始が変身するときこの関係は崩れることが決定してるんだよなぁ
ジョーカーはさすが低スペックで有名なライダーだけあって非力だが、翔太郎がガッツでカバーしてていい感じだ

180二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/17(金) 09:19:12 ID:ht8uIsrk
投下乙です!
まさか翔太郎が始を助けるなんて……
これでカリスだと知ったら、どうなるだろう

181 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/17(金) 16:20:54 ID:OQUNlSDQ
只今より、投下します。

182敵か味方か? ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/17(金) 16:21:59 ID:OQUNlSDQ
「──桐生豪か、同じ世界の住人だな」


 剣の世界の鍵言葉「運命」。──そんなものに導かれてか、二人の参加者は川沿いの平原で顔をあわせることとなった。
 顎鬚の男、桐生豪。眼鏡の男、金居。
 それぞれは互いの名前を問うと、相手が同じ世界の枠で囲われた相手だと知る。
 無論、偽名という可能性も否定はできないが。


「なら殺し合う必要はない。手をどけろ」


 桐生は金居の襟元を強く掴んでいた。
 それが人間のものではない、というのは金居はすぐに認識できたが、同じ世界にいるアンデッド──或いは、仮面ライダーの中にこんな男はいない。
 偽名という線も考えられないわけではない。
 だが、桐生の次の行動は、彼が同じ世界の人間であると確信させるものであった。


 ──Open Up──


 仮面ライダーレンゲル。その名を冠されたクラブの仮面ライダーの剛身が目の前で現われる。
 ほかならぬ、桐生が変身した姿である。
 金居は桐生を知らないが、この仮面ライダーならば知っている。

 わからないのは、何故この男が変身したのかである。
 同じ世界の人間だとわからせるためでもあるまい。金居はそれを怪訝に思う。

 或いは、金居が利用しようとしていた、「元の世界の因縁」というものがこの男に「目の前のアンデッドを倒せ」と語りかけているのだろうか。
 どういう理由であるにしろ、金居は目の前の仮面ライダーを相手に身構える。


「──どうした、人間の力では仮面ライダーには勝てないか?」


 成る程、と金居は思う。
 そういえば、レンゲルの力の源であるスパイダーアンデッドはこういう奴だったか。
 適合率が悪ければ、スパイダーアンデッドの力に屈し、己の理性を破壊する。
 いわば、麻薬のような中毒性と自己制御能力の破壊が、この男を殺人衝動から放さないのだ。


「……ただ、同じ世界の人間で戦う意味はないだけだ。不毛なことはしたくない」

「俺はこの場にいる人間全てを殺すまでだ。貴様もな!」


 レンゲルラウザーが金居に向けて一撃を見舞おうと、まっすぐに突き出される。
 その醒杖がある一点で、強い力をもって静止させられる。
 それを押さえるのは、異形の腕。ごてごてとした左腕は、それを掴んだまま離さない。

183敵か味方か? ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/17(金) 16:22:35 ID:OQUNlSDQ
「アンデッドか!」

「あまり使いたくはなかったんだがな」


 力を求める今の桐生の中では、目の前の敵を倒すという気概が強まっていく。
 アンデッドの力を得れば、仮面ライダーは尚更強くなっていく。
 ましてや、目の前のアンデッドは人間としての姿を持つ上級アンデッドなのだから。

 それだけの力を持っている相手を窘めるだけの力は、今の桐生にはない。
 藪を突いて出てきた蛇に対抗するため、レンゲルは一体のアンデッドを解放した。

 パラドキサアンデッド。
 桐生はまだ見たことが無かったが、ハートのカテゴリーキングである。
 このカードは元々、三原修二の支給品であったが、彼の支給品を頂戴した桐生はこのカードを持っていたことに歓喜した。
 一人の参加者との戦いは無駄ではなかったらしい。


「──カテゴリーキングを相手にはカテゴリーキング。単純な発想だな」


 仮面ライダーレンゲルとパラドキサアンデッド、対峙するのはギラファアンデッド。
 そんな不利を思しき状況に陥っても、ギラファはその剛とした態度を止めない。
 双剣を構え、それぞれ一つの刃が一人の敵を狙うように両腕を開いた。


「はぁっ!!」


 そのまま、ギラファアンデッドは二人との間合いを狭める。
 アンデッドの脚力は、一瞬でそれを零にした。
 刃と装甲が交わり、火花が散る。その二つの切っ先は、レンゲルに血反吐を吐かせるには充分なものであった。


「ぐっ!!」


 だが、もう一人のカテゴリーキングはその程度では体を痛めない。
 そこを過ぎ去ったギラファアンデッドは背後からの真空鎌に棘まみれの背中を切り裂かれた。
 ギラファアンデッドがその痛みに気づいたとき、そこに凶器はない。鎌はただの酸素の塊でしかないのだから。


「なるほど、確かに強い一撃だ」


 ギラファの二つの刃とは違い、遠くからでも放つことのできる一撃。
 その威力は、およそギラファの刃と同じと言っていい。
 ならば、武器を見れば戦況的に不利なのはギラファである。


「だが、間合いを狭めれば刃そのものの威力が弱まる」


 パラドキサの体を何度も斬りつける。
 その全てが、パラドキサの体に強大すぎる一撃を与えていく。
 連射性というものは、ギラファのほうが圧倒的である。

 だが、それを打ち破るもう一人の戦士がいるという点においては、パラドキサは有利である。

184敵か味方か? ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/17(金) 16:23:05 ID:OQUNlSDQ
「俺を忘れるな!」


 ──BITE──
 ──BLIZZARD──

 二つのカードをラウズしたレンゲルは、吹雪を帯びた両足でブリザードクラッシュを放つ。
 当然、ギラファもそれを回避する方法を見つけ、体を回転させる。
 レンゲルの前にあるのは、ギラファではなくパラドキサの体なのだ。


 ギラファに痛めつけられた体にブリザードクラッシュを受けたパラドキサは、そのまま何時目を覚ますとも知れない封印へとその身の在り処を戻す。
 だが、ギラファの狙い目は、必殺技を放って隙ができたレンゲルの方である。
 パラドキサが消えると同時に、其処に居るのはレンゲル。その身を、ギラファの双剣が×印に切り刻んだ。


「ぐぁっ!」

「──わかったか? 力の差が」


 ギラファはレンゲルに止めを刺そうとはせずに、しかし何かすれば殺すぞとばかりの威圧で詰め寄る。
 首元にその剣をかざして殺意を明確にすると、ギラファはレンゲルに一つだけ命令する。


「変身を解け」

「殺す気か?」

「同じ世界の相手なら、殺すのは後だ。この場においては仲間は極限まで利用するべきだ」

「なるほど」


 レンゲルは言われるがまま、変身を解く。
 桐生は物怖じしない態度で、ギラファの剣を突き放す。
 ギラファもまた、それを見て金居の姿へと戻る。


「──だが、俺は俺のやり方でこの戦いを制する。お前もいずれ、殺す」

「言ったろう、それは俺たちの世界がこのバトルファイトで勝ち残ってからだ」

「それは構わん。望む通り、他の参加者も消してやる。だが、橘朔也は俺が殺す」

「ああ、一人ぐらいなら大きな痛手にはならない。
 そいつからギャレンバックルを奪ってもらえば、俺が封印される可能性も減るしな」


 二人の戦士は背を向け、それから互いを再び見ることもなく、それぞれの戦い方を果たすために歩いていった。

185敵か味方か? ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/17(金) 16:23:40 ID:OQUNlSDQ
【1日目 日中】
【C−3 川沿いの草原】


【金居@仮面ライダー剣】
【時間軸】第42話終了後
【状態】健康 ギラファアンデッドに二時間変身不可
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品×3(確認済み)
【思考・状況】
1:自分の世界の勝利を目指す為、他の世界の参加者同士で潰し合わせる。能動的に戦うつもりはない。
2:他の世界、及び大ショッカーの情報を集める。
3:自分の世界の仮面ライダーは利用出来るなら利用する。アンデッドには遭遇したくない。
【備考】
※アンデッドが致命傷を受ければ封印(=カード化)されると考えています


【桐生豪@仮面ライダー剣】
【時間軸】本編で橘と戦い敗れる直前
【状態】疲労(小)、スパイダーアンデッドに精神を支配されている、レンゲルに二時間変身不能
【装備】レンゲルバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(クラブA〜10、ハート7〜K)@仮面ライダー剣
【道具】支給品一式×2、不明支給品(0〜3)
1:橘と決着を着ける
2:そのために邪魔になる者は全て倒す
【備考】
※変身制限に気づいています。

186 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/17(金) 16:35:09 ID:OQUNlSDQ
以上、投下終了です。

>>150
メモリは全部それでいいと思います。
劇中で社長がメモリを使ったわけではないですし、どの程度溺れるかは書き手の裁量で。

>>二人のジョーカー
因縁の相手である始と協力する意外な展開になりましたね
一応、他のアンデッドに変身すれば激突は回避できるか…?
何あれ、色々と心配なコンビですねww
ガドルが相手なだけに心配してましたが、なんとか翔太郎は死を免れた…。

187二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/17(金) 21:12:21 ID:Z0Zs5eik
投下乙です
ああ、金居は強いなぁ……
流石はカテゴリーキング

188 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/18(土) 20:18:11 ID:CiDpsiMQ
只今より投下を開始します。

189 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/18(土) 20:18:42 ID:CiDpsiMQ
一回上げます。

190 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/18(土) 20:19:26 ID:CiDpsiMQ
 天の道を往く男は、一時のみ天を外れて、ある建物で休息を取っていた。
 情報──まずは殺し合いの状況の有無よりも、それを探して。
 しばらく時間は経過しているが、現在のところ天道は他の参加者に会っていない。
 そのせいで戦いが行われているかの有無さえ、彼は未だ掴んではいないのだから。
 それならば、戦いに赴く前に出来うる限りの情報を得るが吉である。


(支給品は──どちらも他のライダーの強化アイテムか)


 天道に支給されたものは三つとも、カブトには関係のない──他の仮面ライダーたちのパワーアップアイテムである。
 仮面ライダーディエンドの強化道具・青のケータッチ。
 仮面ライダーナイトの強化道具・疾風のサバイブ。
 いずれも、対象ライダーが信用に足る存在だと知らなければ渡すことはできない道具だ。


(なら、ハイパーゼクターやパーフェクトゼクターも誰かに支給されているのか?)


 数時間前に一度、天道は「変身」をしている。
 あくまで、「変身したまま行動する」という行動ができるか否かを試しての行動である。戦闘行動は行われては居ない。
 だが、天道の予想した通り、それはできなかった。時計が指したのは丁度十分の経過と、そのときに急速にカブトの力を振り払うような強力すぎる力。
 参加者の変身時間を計って、その上で一定時間が過ぎたら変身が解けるようなシステムを持っているのだろうか。──時間自体も細かく、その可能性は非常に高い。
 ゼクターの能力を解析して、ゼクターの改造でもしたのだろうか──その行動も、ワームの乃木怜司や間宮麗奈には対処できない。
 ライダーの変身システムなら変身解除のシステムを作ることも可能かもしれないが、直接変身する相手にはおそらく不可能。──ということは、制限を行っているものは非常に身近にあるものと考えられる。


(この首輪とか、な……)


 その中でも、特に怪しいのはこの首輪である。
 参加者全員が共通して身につけているものといえば、首輪である。或いは、踏んでいる地だろうか。
 空を飛ぶような能力を持っていれば、それも不可能。首輪ならば、外すこともままならない道具であり、制限を付与するには最も有効だ。

 制限はおそらくこれだけではない。
 カブトゼクターが天道の元から離れないのも、おそらくその一つ。彼の資格者の元へのワープ能力も制限されている。
 また、カブトに変身したままパーフェクトゼクターやハイパーゼクターを呼ぶこともできなかった。
 空間そのものにも何らかのワープ制限を加えられているという可能性は高い。


(それなら、この場所は一体……?)

191 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/18(土) 20:20:07 ID:CiDpsiMQ
 建物は全て、天道の世界と同じ構造。てっきり、どこかの世界の街の人間を追い出して使っているのかと思っていたが、それならば何故、制限などを設けられるのか。
 どこかにそんな装置があるということか、それともその空間に街を運んできたのか。
 ここで考えられるのはやはり、前者である。街を空間に運ぶなど、たとえ仮面ライダーが怪人と戦う世界においても難易な話である。
 装置があると考えた方が、始めに天道が広間からワープをしたことに関しても、その装置を使ったと考えれば説明がつく。


(まずはその装置を破壊して、大ショッカーの元に向かいたいが……それは【禁止エリア】に抵触する可能性が高い)


 それだけ重要なエリアがあるなら、それはおそらく禁止エリア。
 主催者にとって都合の悪いエリアに参加者を入れさせないのは当然である。


(つまり、首輪からどうにかしなければならないということか)


 天道は首の巻かれたそれを触ると、ため息をついた。
 いくら天道であっても、見えもしないものを解除するのは不可能。
 誰かしらの協力者は必要となる。


(得られる限りの情報は得た。他の参加者を探しに行くか……できるなら加賀美──お前を)


 運命は、彼を親友とめぐり合わせてはくれない。



△ ▽



「はぁっ!」

「せやぁっ!」


 ウルフオルフェノク、仮面ライダーライア。形状の異なる二人の戦士が、目の前の敵にパンチ、キック、チョップ──多様な攻撃で攻める。
 だが、ユートピア・ドーパントはそれを軽々と避けていく。
 彼の持つ戦闘力が破格な以上、それは仕方のないことなのかもしれない。攻撃が一撃も当たらないもどかしさを感じながら、二人の戦士は退かずに攻撃を送り込む。
 無論、そのプレゼントは敵に届くことはないのだが。


「二人がかりで当たらないなんて……」

「全然怖くないなぁ。──もっと僕を怖がらせて、もっと僕を笑顔にしてよ」


 そのプレゼントを送り返すように、ユートピアの両手が二つの顔面に叩き込まれた。
 豪腕と呼ぶに相応しいその両腕は、二人の頭を重力に帰す。体ごと転がっていく二人は、再び目の前の敵を見据えた。
 そんなライアとウルフオルフェノクはユートピアの力で強制的に──見えない力に立ち上がらされる。


「ぐっ……」


 立ち上がった二人は、そのまま体をぶつけ合う。
 意思ではない。そんなものは最早、ユートピアの力を前には無意味であった。
 再び倒れこんだ二人に、ユートピアは余裕で、しかし不満そうに見つめながら向かっていた。

192 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/18(土) 20:20:37 ID:CiDpsiMQ
「メモリの能力が強すぎる……」


 流石はゴールドメモリというところである。一日に二度もそんな相手と戦う自分の不幸を呪ってしまう。
 テラー・フィールドの効果はおそらく働いていない。──それでも霧彦は、目の前の相手が怖かった。
 そう、この敵が予言したとおり、恐怖させられているのだ。
 近づいてくる目の前の相手に、ライアは一言呟く。


「接近戦では勝ち目がないな」

「だが、ファイズに変身できなきゃ、俺は──」


 ファイズならまだしも、ウルフオルフェノクには飛び道具がない。
 メリケンサックや刃物を武具とするウルフオルフェノクには勝率がないということになるだろう。
 そんなウルフオルフェノクにかけるべき言葉を、ライアはかける。


「私に任せろ」


 ──SWING VENT──

 ライアの手に空から落ちるのは、エビルダイバーの尾──エビルウィップである。
 このライダーもまた遠距離戦の道具ではないが、ライアはそれを振るい、ユートピアのヒットから外れて敵に確実に一撃を与えていく。
 まるでライア自身に跳ね返ってしまいそうなほどの勢いで振るわれる鞭の一撃がユートピアを一時翻弄する。


「少し、痛いけど──」


 エビルウィップを振るわれながらもそれが平常であるかのように、ユートピアは、ダグバの姿が自然発火をするときのように右手を翳した。
 そう、それは彼にとって最も出しやすい「炎」の出し方なのだ。
 ──ユートピアの能力にも、その力は在った。


「──怖くは、ないね」


 ライアの体を、突如炎が包む。
 装甲から伝わってきた霧彦の体を襲う熱。
 その力は強大すぎるためにユートピアの力は一定であったが──それは火達磨となったライアの中で戦う霧彦を苦しませるに充分な攻撃であった。


「霧彦!」

193 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/18(土) 20:21:39 ID:CiDpsiMQ
 ウルフオルフェノクは前線に出てライアを庇い戦おうとするが、そんな巧を制止するように、ライアが悲痛を堪えて堂々と立ち上がる。
 前に出てこようとする巧をどうこうしようというつもりはない。
 確かに霧彦は街を愛で、その中で何か大切なことを成し遂げようとし続けた男である。
 だが──


「待て……この方が……好都合だ……」


 ──今の彼を突き動かすのは、見知らぬ男の心配ではなく、街を汚す「園咲」の力への反抗であった。
 何が風都の未来を担う子供たちを狂わせてきたのか。
 何が風都を愛する霧彦の心を利用してきたのか。
 何が冴子や若菜を狂わせてしまったのか。
 そう、全ては園咲琉兵衛──彼のゴールドメモリによる暗躍である。


 ライアは、目の前の金色のドーパントを睨み、その体めがめて脚力の限界を発揮して走り出す。
 当然、体は燃え盛り、今にも全てを灰にしようと業火が攻めてくる。
 だが、もはや自分の体など近いうちに滅びる運命なのだ。
 それなら──


 彼がしようとしているのは、無茶な特攻である。
 炎に包まれた体で敵の体にその業火を移す。それが彼の目的である。


「おい、やめろ……! 霧彦!」

「ぐっ……! ぐぁっ……!」


 ──FINAL VENT──


 巧の呼びかけを拒否して、霧彦はカードをセットする。
 エビルダイバーの体に炎の体を移し、ライアは炎のハイドベノンを試みる。
 カードに準拠したエビルダイバーはファイナルベントの発動を拒むことはなかった。
 まっすぐ、まっすぐ、まっすぐ。加速していく炎のエビルダイバー。

 後悔しても、止まらない。
 そこから下りることもできない。
 たとえ下りたとしても、それが敵を倒すことはない。


 その体は望みどおり、ユートピアの体と接触──いや、激突と呼べる動作でユートピアの体に炎を移した。


「ぐあああああぁあぁあぁぁぁぁっぁぁぁぁぁあぁぁぁあ!!!!」


 ──それは、ン・ダグバ・ゼバのものではなく、これまで堪えていた園咲霧彦の雄たけびである。
 炎に痺れる彼の体が、強い力の中でこげたような臭いを発する。
 それは彼の装甲には耐え難く……中で熱に耐えていた霧彦をライアの中から解き放った。

194 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/18(土) 20:22:28 ID:CiDpsiMQ
「ふはっ……!! ふははははっ!! いいね……面白い攻撃だよ」


 クウガの放つ炎を思わせる、ダグバの体を焼く炎。
 その輝きに、ダグバはかつての戦いを映していた。
 それに──炎で目立たないが、激突の痛みも相当なものであった。


「狂人がぁっ!!」


 そんなユートピアに、突き刺さる一撃。
 一瞬で間合いを狭めたウルフオルフェノクは、その体に強く重い一撃を与える。
 その手の棘が突き刺さる。それはウルフオルフェノクの拳が感じているものよりも遥かに痛いはずなのに、ユートピアは笑っていた。
 体に痛みを与えないとしても、ウルフオルフェノクは確かに、敵に「痛手」を与えていた。


「壊してやったぜ、霧彦ぉ……! 諸悪の根源を……」


 ユートピアはその右腕を掴み、霧彦の元へと吹き飛ばした。
 ウルフオルフェノクは霧彦に傷をつけないため、霧彦に激突する直前に変身を解く。

 そして、目の前の敵もまた──


「もう終っちゃったんだ」


 ウルフオルフェノクの拳は、的確にゴールドメモリを破壊していたのだ。

 変身が解けたダグバは、白い服を汚しながらも笑顔で三つの体を見下ろしていた。
 その体が、ゆっくりと巧の下へと向かっていた。この中で戦えそうな相手は一人だけなのだから。
 巧の頬を、ダグバの右腕が殴り飛ばす。
 ダグバの頬を、巧の右腕が殴り飛ばす。
 あんなに力の差が開いているように見えていた二人は、今、互角の力で殴りあう。

 怪人と怪人。その戦いには違いない。
 だが、善と悪。二つがぶつかっていた。

 右。左。下。正面。
 あらゆる方向から顔に飛んでくる拳を、二人は真正面から受けた。
 ダグバは、食らうのが目的だった。
 巧は、体力が避けることを許してくれなかった。
 いずれにせよ、二人の攻撃は全て当たっていた。


「もっともっと……僕を笑顔にしてよ、リントの戦士……」

「ああ、させてやる……俺はお前を倒して、全部真っ白にしてやるさ……」

「あははっ……。真っ白に……ね!」

「今は、お前が、この、世界の、汚れだ!」


 二人のパンチは止まない。
 まっすぐに、あるいは真横から、あるいは下から、攻撃というものを飛ばしてくる。


 先に倒れてしまった方が、死ぬ。
 巧の視界は歪んで、敵の顔などもはや見えない。
 ただ、そこにある歪んだ肌色──あるいは赤色をひたすらに突いているだけである。


「どうしたの? もう弱いよ」


 ダグバはまっすぐ、巧の正面にジャブに近いパンチを打ち込んだ。
 ダウン──テンカウントはおろか、何カウントあったとしても立ち上がれないような体の疲労と激痛。
 そこに、ダグバが近づいていることに巧は気づけない。

 だが、ダグバは次の一瞬で「別のもの」に興味を示すことになった。
 今のダグバにとって大切なことは、人を殺すことではなく、自分を怖がらせる存在を探すことなのだから。

195 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/18(土) 20:23:06 ID:CiDpsiMQ
「穏やかじゃないな」


 天道総司。天の道を往く男が、その悪魔に近づいていたのだ。
 彼は血まみれの喧嘩で笑っている青年に、底知れぬ狂気を感じつつも、三つの倒れた体を眺めたうえで──介入すべきだと判断した。


「……他のリントだね。僕を笑顔にしてくれるかな?」

「ああ……俺が笑顔を教えてやる。
 ──お前はその体で二人連れて逃げられるか?」


 二つ目の問いは自分に向けられたものだと、巧は気づく。
 それに対する答えは──


「ああ、だが……少し……キツイな……」


 二人も運ぶのは、この体では至難。
 ただでさえ、二人は成人男性なのだから。


「俺を忘れてもらっては困るなぁ、巧」


 だが、そんな言葉とともに音也は立ち上がる。
 彼もまた、テラーの──ゴールドメモリの力に抗った男だったのか。
 その力を前に倒された人間としては、明らかに起き上がるのが早かった。


「音也! てめえいつの間に……」

「まあ、俺は男は助けないが」

「……んなこと言ってる場合かよ」

「だが、コイツの奏でる音楽だけは、俺が護ってやる」

「──決定だな」


 天道がダグバと対峙している間に、音也と巧は霧彦を担いで、よろよろと逃げていく。
 ダグバはもはや、そんな敗者たちに興味はなかった。
 見逃そうと、今のダグバのゲゲルにはあまり関係ないのだ。


「じゃあ、僕が君を殺してあげるよ」

「それは、不可能だ。──何故ならお前には、速さが足りない」


 ──HEN-SHIN──
 ──CAST OFF──

 天道はすぐに仮面ライダーカブト・ライダーフォームの姿に変身する。
 生身の人間が仮面ライダーに敵うはずはないのだ。
 ──だが

 ──CLOCK UP──

 一瞬でカブトの姿はダグバの前から消える。
 否、──逃げた。


「あいつ……っ!!」


△ ▽

196 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/18(土) 20:23:39 ID:CiDpsiMQ
「おばあちゃんが言っていた……戦いとは、逃げるが勝ち。足の速いやつが勝つ……と」

「説得力がねえな」


 建物の中で、四人の成人男性が休養をとっていた。
 深刻なのは、園咲霧彦と乾巧である。
 全身大火傷の霧彦は動くこともままならない。通常なら、全治何ヶ月という大怪我である。


「なあ、乾君、紅君、それに……天道君だったか」


 霧彦は簡易ベットの上で、無残な火傷の傷を晒したまま三人に語りかける。


「託したいものがある」

「おい、死ぬみたいなことを言うなよ!」

「良かった……これは、無事だったのか……」


 怒る巧を前に、霧彦は笑っていた。
 彼は自分の顔の前に、スカーフをかざしていた。それは燃え尽きては居ない。
 自分の体が今にもそうなろうとしているのに、そんな小さなものの安全を見て霧彦は満足そうに見つめていた。


「妹がくれたスカーフだ。これを、乾君……君に、洗濯してもらいたいんだ」


 そんな霧彦に、怒号をかけたくなったが──やめた。
 巧でもわかってしまう。──彼は本当に、これで最期なのだ。
 折角、こうして会うことのできた相手を最後に怒鳴ってしまうような真似はしたくなかった。


「…………ああ、わかったよ。これでもクリーニング屋だからな」

「ありがとう……」

「お前の嫁さんも、俺たちが代わりに護ってやるさ」

「ありがとう……」

「お前の街も護ってやる。お前の妹だって死なせやしない。お前の好きな風を、世界中に吹かせてやる」


 霧彦は、巧がそれだけ「人を幸せにするコツ」を知っていたことを思うと、笑顔が漏れてしまう。
 彼は不器用そうに見えてきっと、人を幸せにすることを誰よりも強く願い続けているのだろう。今まで与えた少ない情報で、これだけ霧彦の望みを考え出すことができたのだから。

197 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/18(土) 20:24:16 ID:CiDpsiMQ
「──それなら、早く行ったほうがいいんじゃないか? 世界に良い風を吹かせるために……」

「ああ、お前を看取ったらな……」

「──そんなことはいいんだ。行けよ、人類の味方・仮面ライダー君」


 それは、巧の親友である男が、霧彦の親友にかけた言葉と同じであった。
 この言葉は仮面ライダーを背負う親友への最期の言葉である。
 命令されたなら、逆らってその姿を看取ることなどできない。
 いや、本当はそんな理由で呑み込んだわけではないのだろう。
 何故なら、それは彼らの使命だったのだから──。


「また来るぜ。綺麗になった世界をあんたに見てもらうためにもな」


 それから、霧彦は何度か振り返る彼らに背を向けるように転がると、目を瞑った。
 ドアの開く音が聞こえると安心する。──彼らは行ったのだと。


(死に場所は選んだつもりだったんだが……いや、ここもいずれは良い風が吹く、か……
 その時が……楽しみだなぁ……早く、見せてくれよ……仮面、ライダー君……)


 先ほどまで燃え盛っていたはずの体は冷たくなっていく。
 本当の本当に、誰かと話すだけの力もなくなってしまった。拳を握る力も、立ち上がる力もない。
 無論、風都のために戦う力も、冴子を止める力もない。
 だが、それを代わりにやってくれる男たちがいる。ただそれだけで、園咲霧彦は満足だった。


 ──彼は仮面ライダーを押していく、「良い風」となれたのだから。



【園咲霧彦@仮面ライダーW 死亡確認】
残り52人

198 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/18(土) 20:25:10 ID:CiDpsiMQ
【1日目 日中】
【F-5 市街地】

【乾巧@仮面ライダー555】
【時間軸】原作終了後
【状態】顔中に複数の打撲、疲労(大)、ウルフオルフェノクに二時間変身不可、仮面ライダーファイズに一時間半程度変身不可
【装備】ファイズギア+ファイズショット@仮面ライダー555、
【道具】支給品一式×2、ルナメモリ@仮面ライダーW、首輪探知機、ガイアメモリ(ナスカ)+ガイアドライバー@仮面ライダーW、霧彦のスカーフ@仮面ライダーW
【思考・状況】
1:打倒大ショッカー。世界を守る。
2:仲間を探して協力を呼びかける。
3:霧彦のスカーフを洗濯する。
4:後でまた霧彦のいた場所に戻り、綺麗になった世界を見せたい。


【紅音也@仮面ライダーキバ】
【時間軸】原作終盤(少なくとも渡を自分の息子と認識している時期)
【状態】疲労(大)
【装備】イクサナックル(プロトタイプ)@仮面ライダーキバ、ライアのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考・状況】
1:最後まで生き残り、元の世界に帰還する
2:女性を見たらとりあえず口説く


【天道総司@仮面ライダーカブト】
【時間軸】最終回後
【状態】健康 カブトの二時間変身不可
【装備】ライダーベルト(カブト)+カブトゼクター@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、ディエンド用ケータッチ@仮面ライダー電王トリロジー、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎
【思考・状況】
1:仲間達と合流して、この殺し合いを打破する。
2:首輪をどうにかする。
3:間宮麗奈、乃木怜司を警戒。
4:情報を集める。
【備考】
※首輪による制限が十分であることと、二時間〜三時間ほどで再変身が可能だと認識しました。
※空間自体にも制限があり、そのための装置がどこかにあると考えています。


【1日目 日中】
【F-6 市街地】

【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
【時間軸】不明
【状態】苛立ち、怪人体に1時間程度変身不可、一応ユートピアにも二時間変身不可
【装備】ガイアドライバー@仮面ライダーW
【道具】支給品一式
【思考・状況】
1:恐怖をもっと味わいたい。楽しみたい
2:目の前の二人が恐怖をもたらしてくれる事を期待
【備考】
※ガイアドライバーを使って変身しているため、メモリの副作用がありません。
※ユートピアメモリは破壊されました。

199 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/18(土) 20:25:46 ID:CiDpsiMQ
以上、投下終了です。
問題点、矛盾点、修正点などあれば指摘お願いします。

200二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/18(土) 21:10:29 ID:GkFFJJJE
とりあえず、ユートピアメモリに発火能力はありません。修正をお願いします。

あと、ちょっと前の話になりますが、あきらが服着てないのは仕様ですか?

201 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/18(土) 21:28:52 ID:CiDpsiMQ
ユートピア・ドーパントは劇中でもアクセルに対して数回、手のひらから炎を発する攻撃をしていたはずです。
それとも、制限で使えないということでしょうか?
そういう描写は読み返しても見当たりませんが……。

あきらは「止まらないB/もえるホテル」でシーツを巻いている描写があります。
シーツをくるんだまま行動しているという解釈で書いてましたが。

202二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/18(土) 21:31:46 ID:FPQCThfs
>>200
あれ、確かユートピアって嵐や炎などウェザーと同じような
自然現象が起こせたような……

203 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/18(土) 21:35:58 ID:yABUedG.
ユートピアは発火と放電能力ありましたよね。あれ、放電はどうだったかな…
重力操作は杖の方だと思いますけど

◆LQDxlRz1mQ氏投下乙です

204二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/18(土) 22:02:42 ID:O3P5AB/M
あれってアクセルの力奪ったからアクセルを火だるまにしてたって設定じゃあなかったでしたっけ?
相手のメモリの力を使えるってのがユートピアメモリの能力ですから。
それと裸にシーツ一枚で平然としている女子高生や、そんな姿の女の子を気にかけず対応する登場人物達に違和感があります。
修正をお願いします。

205二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/18(土) 22:04:35 ID:O3P5AB/M
今確認したら「クウガとアギト」の修正要請も出てますね。
そちらにも対応お願いします。

206二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/18(土) 22:12:01 ID:jbC.Ecj6
ユートピアの力はメモリの能力を奪うんじゃなくてメモリの能力を無効化&気力と生気減少だよ
発火や竜巻は杖のデフォ技

207 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/18(土) 22:20:04 ID:yABUedG.
47話のサーキットでのユートピア初変身時アクセルとの対決で火炎放射と竜巻、放電を披露してますね
火炎放射と放電はアクセルとエンジンメモリから奪った力と解釈できますが竜巻は難しいかな…
スチームとジェットを組み合わせたという事も考えられなくはないのですが…

>>206
杖の能力は重力の操作で発火、竜巻放電はユートピア自身の能力かと
47話でわざわざ杖をどかして左手から火炎放射を行ってますから

ただ発火、放電、竜巻をアクセル及びエンジンから奪った力と解釈できなくもないです
48話でも離れた場所に放火してますがこれら全てアクセルメモリの力かも…
wikiなどには発火能力ありとされてますが肝心のテレビ朝日じゃそういうことは書かれてませんしね

208 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/18(土) 22:26:03 ID:yABUedG.
肝心な所忘れてた

アクセル&エンジンメモリの力を奪って一度変身を解いても奪ったままだったとも考えられますし
重力(飛行や地割れもこれに含む)、メモリの力吸収の他に発火、竜巻、放電能力を有していてぶっちゃけウェザー涙目

とも考えられます。正直ユートピアメモリ壊れましたしこのままでもいいんじゃないかな、と私は思うのですが

209二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/18(土) 23:07:55 ID:Z2jvBdGo
このロワでは強姦はあり?なし?

210二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/18(土) 23:58:21 ID:wSab36eU
>>208
まあそうだよね。
完全に作中からそうと読みとれない能力使ったならともかく、見た人次第で判断が分かれるような能力なわけだし
ユートピアメモリはこの話限りで完結してるんだから特に修正の必要はないと思います

211二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/19(日) 00:03:33 ID:R/Lc5wIk
おっと、感想忘れてました
霧彦脱落か・・・しかし最後まで風のような男だった
ガイアドライバーとメモリは巧が受け継いだから、これはナスカ巧がくるかも知れんね

ただ、よくわからない点が一つ
天道が来た時点ではダグバは変身が解けていたんですよね?
カブトになれる天道がその状態のダグバから逃げる理由が少し不可解です
人間体のダグバを怪人とは認識していない、ということでしょうか?

212二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/19(日) 00:25:27 ID:t.ZRSnxU
・翔一のアギト認定基準(解釈は>>120-121
・あきらの裸シーツが全員に無視されてる件
・ユートピアの発火能力(修正必要なし?)
・明らかに勝てる状況で天道が逃走した理由

ここまで挙がった疑問点はこんなところでしょうか?
あと個人的には、巧の攻撃がどうやってメモリを破壊したのか少し解りづらかったです

213二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/19(日) 00:31:03 ID:t.ZRSnxU
もう一つ、ダグバの状態表に身体ダメージと疲労が記載されてないのが気になりました
必殺技被弾+生身の殴り合いまでやって何も無しってことはないのでは

214二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/19(日) 01:24:31 ID:R/Lc5wIk
っと、すみません
こういった疑問は本スレではなく議論スレで言うべきでしたね
投下しづらいレスを残してしまって申し訳ないです

215 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:25:36 ID:87zY5Vmc
五代雄介、海東大樹、草加雅人、フィリップ、秋山蓮、北岡秀一、キングを投下します

216究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:26:18 ID:87zY5Vmc

エリア、B−8。
燦々とした太陽に照らされた、緑豊かな森林だった。
空より降り注ぐ光が、枝の間から次々と差し込んでいく。
本来ならば、小鳥の囀りや穏やかな風の音が、広がっているかもしれない。
だが今は、そのような癒しとも呼べるリズムは、一片たりともなかった。
辺りに響くのは、盛大な爆音。
闘争によって鳴り響く、戦場の音だった。

「フンッ!」

そんな中で、一つの異形が腕を前に向ける。
蝙蝠を連想させる醜悪な顔面、背中から生えた一対の翼、両腕に付属された手甲、そこに刻まれた髭を生やした男性の顔。
『キバの世界』には、人間のライフエナジーを狙おうとする、ファンガイアと呼ばれる闇の一族が猛威を振るっている。
その中でも頂点の座に君臨する四人は、チェックメイト・フォーの称号が与えられた。
ルーク、ビショップ、クイーン、キング。
その異形は、全てのファンガイアを統率する王だった。
キングと呼ばれる今の彼は、バットファンガイアの姿を取っている。
相対するのは別世界に存在する、二人の仮面ライダー。
仮面ライダーナイトと、仮面ライダーゾルダ。
自身が生まれた『龍騎の世界』を守るために、戦いを決意した戦士達。
バットファンガイアが翳した掌から、漆黒の波動が放たれる。
禍々しい闇は、ナイトとゾルダの身体を容赦なく飲み込んだ。

「「ぐああぁあああっ!?」」

仮面の下から絶叫が漏れる。
衝撃波は鎧など関係ないかのように、中にいる人間にダメージを与えた。
二人の全身からは、鮮血のように火花が飛び散る。
鎧が爆発していたのだ。
衝撃に耐えるも、痛みは容赦なく伝わってくる。
やがて、彼らの身体は大きく吹き飛ばされていった。
ナイトとゾルダは、勢いよく地面に叩き付けられていく。
激痛によって、二人は蹲った。
そんな彼らの元へと、バットファンガイアは足を進める。

「フン、まるで脆い…………『仮面ライダー』とやらはこの程度か?」

鼻を鳴らしながら、侮蔑の言葉を口にした。
それに構うことなく、ナイトとゾルダは立ち上がる。
彼らは武器を構えた。
ナイトは翼召剣ダークバイザーを掲げながら、地面を蹴る。
そして、勢いよく突きを放った。

「トウッ!」

掛け声と共に、刃は敵に突き進む。
しかしバットファンガイアは、右手で呆気なく防いだ。
それでも、続くようにダークバイザーを力強く振るい続ける。
だが、金属音と火花が拡散するだけで、それ以上の効果は期待できない。
これでは駄目だとナイトは判断して、一旦後ろに飛んだ。
その結果、距離が僅かに空く。
ナイトはカードデッキへと手を伸ばした。
そして、一枚のカードを取って、ダークバイザーに差し込む。

『SWORD VENT』

独特の音声が、武器より発せられた。
その直後、ナイトの頭上から黒い輝きを放つ、一本の槍が現れる。
ウイングランサーに手を伸ばして、掴んだ。

217究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:27:06 ID:87zY5Vmc
一見、ダークバイザーより威力がありそうな武器。
しかしバットファンガイアは、何の反応も示さない。
たかが静寂な人間が、武器を持ち替えたところで何を驚く必要がある。
そう思いながら、バットファンガイアは足を進めた。
しかし、それは止まってしまう。

『SHOOT VENT』

突如、電子音声が響いた。
バットファンガイアは反応して、そちらに振り向く。
見ると、その先にいるゾルダの両肩には、巨大な大砲が乗っかっていた。
機召銃マグナバイザーに、シュートベントのカードを差し込んだことで使える武装、ギガキャノン。
ナイトの動作はゾルダへ意識を向けさせない為の、囮だった。
バットファンガイアは気づくが、もう遅い。
二つの砲口から、弾丸が発射される。
バットファンガイアの身体に一瞬で着弾して、盛大な爆発を起こした。
轟音が響き、エネルギーが周囲に拡散する。
その衝撃によって辺りの木々が吹き飛び、煙が広がった。
爆風によって、大気が震える。
しかしゾルダは、一切の安堵を感じていなかった。

「おいおい、嘘でしょ……」

仮面の下から、呆れたような声が漏れる。
充満する煙の中から、バットファンガイアが姿を現したため。
しかも、まるでダメージを追っているように見えない。

「下らん!」

その言葉と共に、バットファンガイアは走る。
一瞬でゾルダとの距離が埋まると、強靱な腕を振るった。
バットファンガイアの拳は、重厚な鎧を紙のように削っていく。
無論、ゾルダ自身も無事でいられなかった。

「があっ!?」

悲鳴と共に、再び地面に倒れる。
背中から叩き付けられ、仰向けの体勢にされた。
無様な姿を晒すゾルダだが、バットファンガイアは目を向けない。
まるで、興味がなかった。
そのまま、次の獲物であるナイトに振り向こうとする。

『FINAL VENT』

直後、電子音によってバットファンガイアの鼓膜が刺激された。
目の前からは、ナイトが姿勢を低くしながら駆け抜けているのが見える。
そんな彼の頭上に、巨大な蝙蝠が空からやってきた。
ナイトと契約を果たしたミラーモンスター、闇の翼ダークウイング。
蝙蝠はその大きな翼を広げると、主の身体を包み込む。
すると、一瞬の内にマントへと姿を変えていった。

218究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:27:46 ID:87zY5Vmc

「フンッ!」

両足をばねにして、ナイトは跳躍する。
そのまま天高く飛びながら、身体を回転させた。
するとナイトは、背中に羽織る漆黒のマントに包まれていく。
そして、バットファンガイアをめがけて急降下を開始した。
必殺の一撃である飛翔斬を決めるために。
この勢いでは、回避は不可能。
そう判断したバットファンガイアは、両腕を交差させた。
刹那、彼らは激突を開始する。

「オオオオオォォォォォッ!」
「ヌウッ…………!」

ナイトの身体はまるでドリルのように、バットファンガイアの手を削った。
ガリガリと抉れるような音と、火花が周囲に拡散する。
飛翔斬の威力は、5000AP。
それだけの重さが、バットファンガイアに襲いかかっていた。
互いの力が、拮抗する。

「小賢しいッ!」

しかし、力比べはすぐに終わった。
バットファンガイアが腕に力を込めて、ナイトの攻撃を弾いたために。
重力による落下も利用した、飛翔斬。
だが、バットファンガイアにとっては子供騙しに過ぎない。
吹き飛ばすことなど、造作もなかった。
大した徒労もなく、バットファンガイアは両腕を横に広げる。
それだけでも、ナイトを吹き飛ばすには充分な力を誇っていた。

「ぐあぁぁっ!」

両足から衝撃を感じて、空中で体勢が崩れる。
激痛の感覚は神経を駆け巡り、一瞬で脳に到達。
反射的に、悲鳴を漏らした。
ほんの数秒ほど宙を漂った後で、ナイトの身体が地面に叩き付けられる。
受け身を取る暇ですらも、彼にはなかった。

「くっ…………やってくれたな」

一方で、バットファンガイアは両腕を見つめる。
たった今受けた飛翔斬によって、微かに痛みを感じていたのだ。
掠り傷にも満たないとはいえ、脆弱な人間からダメージを受ける。
ファンガイアの王としての誇りが、その事実を許さなかった。
そして自分に傷を負わせた愚か者は、目の前で無様な姿を晒している。
それを見逃すつもりは、毛頭ない。
ナイトとの距離は、十メートル以上離れている。
わざわざこちらから出向いて、捻り潰すのも面倒。
バットファンガイアはそう思いながら、トドメを刺すために腕を向けようとした。

219究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:28:34 ID:87zY5Vmc

『FINAL VENT』

何度目になるか分からない人工音声が、戦場に響く。
それはゾルダが現状に危機感を感じ、マグナバイザーにカードを差し込んだことで鳴った音。
すると、地面に突き刺さったディスカリバーの刀身から、一匹の巨大な魔物が飛び出してきた。
空想のみに存在する生物、ミノタウロスが二足歩行の機械で出来ているような、ゾルダと契約した緑色のミラーモンスター。
鋼の巨人、マグナギガ。

「なっ!」

現れたマグナギガを見て、ナイトはすぐに立ち上がる。
ゾルダの戦い方を、この目で何度も見てきた。
だから何をするつもりなのかを、ナイトはすぐに予測できた。
彼の撤退を目にすると、ゾルダはマグナギガの背中に拳銃を刺す。
それによって、魔獣の四肢に存在する門が、一斉に開かれた。
直後、マグナギガのゲートに大気が集中していく。
そして、ゾルダはマグナバイザーの引き金を引いた。

『OOOOOOOOOッ!』

マグナギガは、大きく咆吼する。
それと共に、自分の中に蓄積された全ての砲弾が、発射された。
ゲートから放たれる攻撃は、バットファンガイアを目がけて進んでいく。
瞬く間に、爆音が森の中に響いた。
空気は振動し、大地は砕け、植物は次々と吹き飛ばされていく。
その様子はまるで、世界そのものが破壊されていくかのようだった。
ゾルダの必殺技である、エンド・オブ・ワールド。
それによって放たれる数多の爆撃は、バットファンガイアを容赦なく飲み込んでいく。
やがて、雷鳴が轟いたような轟音が響いた。
そして爆風が、周囲に広がっていく。











辺りに、粉塵が舞い上がっていた。
先程までの爆発が嘘のように、静寂が広がっている。
ゾルダは、徒労を感じて息を吐いた。
初めての戦いが、よりにもよってあんな化け物だったなんて。
浅倉とかの方が、ただの人間だった分まだ可愛げがある。

220究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:29:57 ID:87zY5Vmc

(…………ま、あいつもあいつで怖いけどさ)

それはともかくとして、今後が心配だ。
あのような怪物が、他にいないとも限らない。
そんな連中ばかりを相手にしてたら、命がいくつあっても足りないだろう。
最も、不老不死になれたとしても戦う気は毛頭ないが。
そんなことを考えていると、ゾルダの耳が足音を察知する。
振り向くと、煙の中からナイトが姿を現していた。

「ああ、やっぱり無事だったのね」
「北岡…………俺を殺すつもりか」
「しょうがないでしょ、チャンスを逃すわけにもいかないし。それにあの距離なら、避けられたでしょ?」

あまり悪びれていないゾルダの態度に、ナイトは溜息を漏らす。
苛立ちを込めながら。
確かに奴が言うように、エンド・オブ・ワールドが来ることは予測できる。
そして、敵に吹き飛ばされた距離から見て、射程圏からも外れていた。
回避行動だって取ろうと思えば、充分に取れる。
規格外の強さを持つあの怪物と戦うには、一方が攻撃を仕掛けて、もう一方が準備をしなければならなかった。
よってゾルダの行動は、正しいかもしれない。
だが、それでも納得が出来なかった。
しかしこれ以上言及したところで、どうなるわけでもない。
ナイトはそう思う中、風が吹き続けている。
その瞬間、粉塵を掻き分けながら、二つの影が飛び出してきた。
それらは回転しながら、ナイトとゾルダに激突する。

「うっ!?」
「があっ!?」

あまりにも唐突すぎる出来事に、対応が出来なかった。
彼らの身体からは、同時に火花が吹き出していく。
凄まじい衝撃により、彼らは地面に叩き付けられた。
それによって、度重なるダメージがついに限界を迎える。
直後、ナイトとゾルダの変身が解除された。
鎧の下からは、秋山蓮と北岡秀一が姿を現す。
しかし、二人とも意識を失っていた。
そんな彼らの前に、バットファンガイアが煙を掻き分けながら姿を現す。
彼は両腕に装備している手甲から発したエネルギーを、二人に投げつけたのだ。
投げつけた武器は回転を重ねた後、手元に戻る。

「人間如きが、小癪な真似を…………!」

わなわなと体を震わせながら、怒りの言葉を口にした。
その直後、彼の瞳が怪しく輝きを放つ。
刹那、空中に四本の牙が生成された。
ファンガイア一族が人間のライフエナジーを吸い取るための、武器。
無慈悲にも、それは北岡の首筋に突き刺さった。
そしてバットファンガイアは、気絶した彼からライフエナジーを吸っていく。
瞬く間にその身体は色を無くして、ガラスのように呆気なく砕け散った。
後に残ったのは、銀色に輝く首輪だけ。

221究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:31:35 ID:87zY5Vmc

「どういうことだ……?」

北岡から全てを吸い尽くしたバットファンガイアは、疑問の声を漏らす。
ライフエナジーを吸う為の牙が、一人分しか出てこなかったため。
加減をするつもりなど、まるでなかった。
気絶している蓮を見ながら、バットファンガイアは再び牙を出そうとする。
しかし、現れない。
これは彼に巻かれた、首輪の効果だった。
ファンガイアの中でも最高の実力者である、バットファンガイア。
一度に、多くのライフエナジーを吸うことなど、造作もない。
だが、それはこの戦いのバランスを崩す要因となる。
よって、牙が現れることはなかった。
無論、それを知る術はない。

(まあいい、この手で潰せばいいだけのこと…………)

バットファンガイアは、冷酷な決断をする。
面倒だが、塵にするだけ。
そう思いながら、バットファンガイアは足を進める。
その時だった。

「うおおりゃああああぁぁぁぁぁっ!」

突如、何処からともなく大声が聞こえる。
それに反応して、バットファンガイアは歩みを止めた。
振り向くと、こちらに足を向ける戦士の姿が見える。
全身と両眼が、赤く輝いていた。
『クウガの世界』を代表する、超古代より蘇ったリントの勇者、仮面ライダークウガ。
彼は必殺の蹴り、マイティキックを放つ。
バットファンガイアの胸板に叩きつけると、紋章が刻まれた。
衝撃によって怪人が後ずさる一方で、クウガは地面に着地する。
そして、蓮を庇うように立った。

(俺は…………間に合わなかったのかっ!)

クウガに変身した五代雄介の中に、罪悪感が芽生える。
命を守れなかったことに対して。
森の中に響く轟音を聞きつけ、すぐさま駆けつける。
そこで、目の前の怪物に男の人達が襲われているのが見えた。
助けに行こうとするが、一人は殺されてしまう。
バットファンガイアを見て、クウガの中に闇が芽生えた。
憎悪と怒りによって生み出される、どす黒い感情。
だが、それを必死に抑えた。
憎しみに負けて、戦ってはいけない。
だって俺は、クウガだから。

「雄介!」

後ろから、声が聞こえる。
振り向くと、先程出会ったフィリップという少年が、蓮を担いでいた。
その隣には、草加雅人もいる。

222究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:34:07 ID:87zY5Vmc

「彼は僕達に任せてくれ!」
「ありがとう、フィリップ君!」

フィリップの言葉に、クウガは力強く頷いた。
そして、バットファンガイアに振り向く。
クウガの隣に、変身を果たした海東大樹が並んだ。
この殺し合いに乗った、バットファンガイアの邪魔をするために。
シアンと黒を基調とした鎧、マスクに付けられた仕切り、右手に握られているディエンドライバーと呼ばれる拳銃。
数多の世界を渡り、財宝を狙い続ける大泥棒、仮面ライダーディエンド。

「ファンガイア……『キバの世界』で人間のライフエナジーを狙っていた、闇の一族か」
「何だ貴様は、俺の世界を知っているのか…………?」
「まあね」

ディエンドは、軽々と答えた。
バットファンガイアはその態度を見て、疑問を抱く。
この仮面ライダーは、ファンガイアの事を知っている。
もしや、自分の世界の住民なのか。
だが、その姿はキバともイクサとも違う。
あの忌々しい『素晴らしき青空の会』とやらが、また新しい兵器を作り出したのか。

(…………いや、関係ないか)

どんな理由にせよ、自分の邪魔をしようとしている。
ならば塵にすればいいだけ。
そして、逃げ出した人間共のライフエナジーを奪えばいい。
行動を決めて、バットファンガイアは前に出た。
立ち向かう為に、クウガとディエンドも突撃を開始する。











「君、大丈夫かっ!?」

戦場から少し離れた位置で、フィリップは気絶した蓮に呼びかけた。
しかし、反応はない。
殺し合いに乗っているかは分からなかったが、助けなければならなかった。
そんなフィリップの姿を、草加は冷ややかな目で見ている。

(やれやれ、分かりやすい奴らだな。まあ、その方が助かるけど)

これは、五代雄介の提案だった。
何処の誰かも分からない奴を、迷わず助けた。
こんな場所では、付け入られる隙となる。
だが、逆を言えば自分にとっても利用しやすい。
このフィリップも、殺そうと思えば殺せる。
しかし今は、五代や海東を利用するために我慢だ。

223究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:35:07 ID:87zY5Vmc

(そして、カイザが使えないとは…………)

三人と行動してから、隙を見てカイザギアを使おうとする。
だが、何の反応も示さなかった。
恐らく大ショッカーが、何か細工を仕掛けたのだろう。
殺し合いのバランスを取るために。
これはデメリットになるが、チャンスにもなる。
この細工は、何も自分だけに架せられた物ではないかもしれない。
異世界の仮面ライダーにも、同様の罠が仕掛けられているはず。
ならば、変身できない隙を突いて、殺すことも出来るかもしれない。
それは五代と海東にも、架せられているはず。
殺すことは出来るだろうが、今は我慢だ。

(フィリップといったか、良かったじゃないか。死ぬまでの時間を伸ばすことが出来て)

草加は心の中で呟きながら、フィリップを冷たく見つめる。
五代と海東という、邪魔者を潰すための戦力。
フィリップとは、草加にとってそれを確保するための手段に過ぎない。
もしも役に立たなくなったら、自分で始末する。
あるいは、いざという時の盾にすればいい。
不意に、草加は戦いが繰り広げられている場所に目を向ける。
そこではクウガとディエンドが、バットファンガイアと戦っているのが見えた。
見たところ、二人は不利な状況に追い込まれているように見える。
だが、どんな結果に終わろうと関係なかった。
勝てるのなら、それで良し。
奴らが負けるなら、見捨てれば良いだけ。
どんな結果になるにせよ、関係がなかった。

(待ってくれ、真理…………君は必ず、俺が生き返らせてみせるから)

既にこの世にいない愛しき少女、園田真理。
彼女への歪んだ思いを込めながら、草加は誰にも気づかれないように握り締める。
仮面ライダーナイトに変身するための、カードデッキを。
そして、北岡秀一の首輪も。
それは蓮を連れて行く際に、拾った物だった。
付属していた説明書によると、異世界の仮面ライダーに変身するための道具らしい。
だが、草加はこれを使うつもりはなかった。
今はクウガとディエンドが戦っている。
それなら別に、自分が無理に戦う必要はない。
こんな状況では、無闇に突っ込んだところで消耗するだけ。
それは馬鹿のすることだ。

(その為にも、君達にはうんと働いて貰わないとね…………)

草加の目には、同行する者達はただの捨て駒にしか映らない。
全ては真理を蘇らせるため。
その為に、草加は戦わなければならなかった。







224究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:37:22 ID:87zY5Vmc
「ダアッ!」

バットファンガイアの剛拳が、クウガを目掛けて放たれる。
神速の勢いで、真っ直ぐに突き進んでいった。
巨大な拳を、クウガは身体を捻って回避しようと試みる。
それによって、肩を掠めるだけで終わった。
チャンスが出来たと確信して、クウガはカウンターのパンチを放つ。

「はあっ!」

赤い拳は、バットファンガイアの巨体に叩き込まれた。
しかし、微塵にも揺れない。
クウガの拳は、蚊を刺す程度の痛みすらも感じなかった。
それでも諦めるつもりは、微塵も無い。
一発で駄目なら、もっと叩き込めばいいだけ。
こんな奴に、これ以上誰かの奪わせたくないから。
クウガは力を込めて、パンチとキックを放ち続ける。
しかしバットファンガイアは、それら全てを体勢をずらして、いとも簡単に避けた。

「うわあぁっ!」

直後、何かが砕けるような鈍い音が、悲鳴と共に響く。
バットファンガイアが、クウガの胸を殴りつけた音だった。
その威力はとても凄まじく、赤い鎧に凹みが生じる。
クウガの身体は、後ろへ大きく吹き飛んでいった。
地面を転がる一方で、ディエンドは銃口を敵に向ける。
そして引き金を引いて、弾丸を放った。

「ぬっ!」

銃声と同時に、バットファンガイアに命中する。
だが乾いた音を鳴らしながら、弾かれるだけだった。
ディエンドライバーから弾丸が放たれる一方で、バットファンガイアは地面を蹴る。
痛みなど感じていないので、避ける必要はなかった。
ディエンドとの距離を一瞬で詰めると、バットファンガイアは拳を振るう。

「うっ!」

剛拳によって、鎧に亀裂が生じた。
悲鳴を漏らしながら、ディエンドは地面に叩き付けられる。
倒れた彼に追い打ちを掛けるように、バットファンガイアは接近。
そして右足を振り上げて、勢いよく叩き付けた。

「フンッ!」
「――――っ!」

その悲鳴は、声になっていない。
バットファンガイアは続けざまに、ディエンドの胸を潰そうと何度も踏みつける。
一度受けるたびに、悲痛な声が漏れた。
ディエンドは抵抗しようとするが、激痛によって身体が動かない。
圧倒的な暴力は、一切の反抗を許さなかった。
バットファンガイアはディエンドを踏みにじる事に、意識を集中している。
その為、失念していた。
自分に拳を向けようとする、もう一人の存在を。

225究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:39:10 ID:87zY5Vmc

「ああああぁぁぁぁぁっ!」

咆吼と共に、視界の外から何かが近づいてくる。
それはバットファンガイアに激突して、衝撃が走った。
直後、異形の巨体は揺らいで、ディエンドから離れていく。
蹌踉めいた体勢を、バットファンガイアはすぐに立て直した。
そして、睨み付ける。
ディエンドと共に戦っている戦士、クウガを。
その姿は、先程とは少々異なっていた。
赤い鎧は黒く染まって、四肢の装飾品はボリュームを増し、ベルトの宝石が金色に輝いている。
それは放電を伴って会得した形態、ライジングフォームの最上位だった。
雷を司る、黒の金のクウガ。
アメイジングマイティフォームへと、クウガは姿を変えていた。

「うあぁっ!」

黒い戦士は、走る。
これ以上、この怪物に誰かの笑顔を奪わせないために。
これ以上、みんなを傷つけさせないために。
本当は、戦いなんて嫌だった。
殴るとは、相手の尊厳を傷つけることになる。
笑顔を壊すことになる。
それでも今は、戦わなければならない。
この怪物は、未確認生命体と同じだ。
人を何とも思わない、暴力の権化。
心が痛むのを感じるが、クウガは堪えた。
そして拳を握り締め、力強く振るう。
しかし、それをバットファンガイアは呆気なく止めた。
いくら上位形態とはいえ、相手はチェックメイトフォーのキング。
アメイジングマイティとなっても、差が開いたままだった。
反撃の一撃を、バットファンガイアは放つ。
それはクウガの頬に衝突して、体勢を崩した。
だが、すぐに立て直す。

(強い…………けど、ここで倒れちゃ駄目だ!)

クウガは、自分にそう言い聞かせた。
後ろには海東さん、草加さん、フィリップ君、そして名前も知らない男の人がいる。
そして、この世界には一条さんも何処かにいる。
ここで倒れたら、誰がみんなを守るのか。
絶対に諦めてはいけない。
絶対に倒れてはいけない。
痛みに堪えながら、クウガは拳を振るい続けた。
バットファンガイアも、殴り返してくる。
身体と胸が痛い。
でも、止まっては駄目だ。
こいつだけはここで倒さなければならない。
絶対に、許してはいけない。
殺された人は、もう戻ってこないのだから。
次第にクウガは、感情が高ぶっていく。

226究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:42:25 ID:87zY5Vmc
その最中、彼の脳裏にある光景が浮かび上がった。
四本の角が金色に輝き、全身が黒い輝きを放つ凄まじき戦士。
究極の闇の中から、稲妻を身体に纏って現れるクウガが。
興奮と共に、アークルから電流が流れ出す。
それは、全身へと流れていった。
両腕に、両足に、頭部に。

「――――だああぁぁぁぁぁぁっ!」
「――――おおぉぉぉぉぉっ!」

クウガとバットファンガイアは、同時にストレートを放った。
そして、クロスカウンターの体勢で、互いの頬に入る。
だが、吹き飛んだのはクウガだけ。
バットファンガイアだけは、未だに佇んでいた。
まさに王の名を背負うに相応しいほど、威風堂々とした様子で。

「つまらん、この程度か」

あっさりとバットファンガイアは、言い放つ。
姿を変えたのだから、てっきり力を増したのかと思った。
現に、先程より一撃が重くなっている。
だが、所詮は人間。
致命傷と呼べるようなダメージを、自分に追わせるなど出来なかった。

「目障りだ」

バットファンガイアは、両腕を広げる。
すると、ようやく立ち上がったクウガに向かって、真紅のエネルギー波が放出された。
それはクウガだけでなく、ディエンドをも巻き込んでいく。
膨大な熱量によって、彼らの鎧が爆発を始めた。

「「うああぁぁぁぁっ!」」

クウガとディエンドは、絶叫を発する。
規格外とも呼べるような、攻撃によって。
いくら苦しんでも、エネルギーの暴走が止むことはない。
そんな中、ディエンドは後ろに吹き飛ばされていく。
横目でそれを見たクウガは、耐え続けていた。

(海東さん…………っ!)

刹那、彼の中である感情が沸き上がっていく。
人を殺して、海東を殺そうとするバットファンガイアへの怒り。
力が足りない、自分自身への怒り。
そしてこんな戦いを開いて、人々を犠牲にしようとする大ショッカーへの怒り。
全てが、憎悪へと変わった。
そしてアマダムから、力が流れる。
クウガの瞳は、バットファンガイアを真っ直ぐに見据えた。
そのまま、彼は地面を蹴って前へ走り出す。
衝撃波の痛みに耐えながら。

227究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:44:02 ID:87zY5Vmc

「何…………?」

バットファンガイアは、疑問の声を漏らす。
クウガがエネルギー波を受けながら、未だ顕在していることに驚愕を抱いていた。
その黒い身体は、確かに損傷している。
だが、止まる気配が一向に見られなかった。
そして一歩進む度に、クウガの身体が変わっていくのが見える。
ベルトの石が黒く染まり、そこから電流が迸った。

「おおおあああああぁぁぁぁぁっ!」

咆吼と共に、クウガは超変身を続ける。
両肩と四肢から突起が飛び出し、装甲が厚みを増した。
血管のような筋が、全身に生まれていく。
最後に、瞳が鎧と同じ色に変貌した。
アマダムから、膨大なるエネルギーが噴出している。
『クウガの世界』に残された碑文には、ある伝説が書かれていた。
『聖なる泉枯れ果てし時、凄まじき戦士、雷の如く出で、太陽は闇に葬られん』と記された、究極の存在を示す一節。
それが今、再現されようとしていた。
凄まじき戦士と呼ばれる、仮面ライダークウガの究極形態。
全ての存在を破壊する暴力の化身、アルティメットフォーム。
そして、距離はゼロになる。
クウガは、拳を振るった。

「グウッ!?」

バットファンガイアは、呻き声を漏らす。
この一撃が、今までより圧倒的に重いため。
アルティメットフォームのパンチ力は、80トンもの威力がある。
いかにチェックメイトフォーのキングといえども、それを受けてはただで済まない。
だが、吹き飛ぶことはなかった。
王としての誇りが、それを許さない。

「おのれっ…………!」

負けじとバットファンガイアも、剛拳を放った。
クウガは揺らぐが、すぐに持ち直す。
吐息のかかる距離で、彼らは拳をぶつけ続けた。
一発、十発、五十発、百発。
一度激突する度に、大気と地面が轟音と共に震える。
達人とも呼べる戦士達が揃ったからこそ、起こる現象だった。
やがて互いの拳は、互いの頬に叩き込まれる。
すると、クウガとバットファンガイアは大きく後ろに吹き飛ばされた。
当たったヶ所に、鋭い痛みを感じる。

「くっ…………!」

バットファンガイアは嗚咽を漏らしながら、ふらふらと立ち上がった。
一方でクウガは地面に倒れると、変身が解除されてしまう。
首輪の制限によって生じる、タイムリミットを迎えたため。
本来ならば、それは来るまでまだ時間があるはずだった。
しかし、上位の形態に変身すると、半分になるという制限も付けられている。
アメイジングマイティフォームに変身し、クウガの変身時間が短縮された。
そこから最上級のアルティメットフォームに覚醒したため、更に減少してしまう。
結果、クウガの変身は解除されてしまった。
生身を晒した五代雄介は、起きあがる気配が見られない。
いくら強化形態になったとはいえ、相手はファンガイアの王。
その戦いで負った傷が、あまりにも深すぎた。
五代の命を奪おうと、バットファンガイアは歩く。

228究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:46:20 ID:87zY5Vmc

「ぐっ!?」

その最中、身体に僅かな衝撃が走った。
ディエンドが放った、銃弾が命中したことによって。
バットファンガイアの足が止まった瞬間、その身体が変化していく。
それを好機と見たディエンドは、五代を抱えて走り出す。
そのまま全速力で仲間達の元に向かい、この場から離れることに成功した。
バットファンガイアは追おうとする。
直後、その身体が人間の姿に戻ってしまった。

「な、何……!?」

あまりに唐突すぎる現象に、キングは驚愕する。
彼もまた、この戦いで架せられた十分の制限時間が、訪れてしまった。
無論、それを知ることはない。
木どころか、雑草すらも残っていない荒れ地で、キングは佇む。
先程ライフエナジーを吸った男、北岡秀一の遺品を彼は手に取った。
仮面ライダーゾルダに変身するためのカードデッキと、デイバッグを。
そして、『カブトの世界』に存在するディスカビル家に伝わる名剣、ディスカリバーも。

(…………どうやら、大ショッカーとやらが下らん細工を仕掛けたか)

キングは、自分の力に制限が掛けられていると推測する。
その証拠に、再びバットファンガイアに変身しようとするが、出来なかった。
どうやら、ファンガイアの力だけでは生き残れそうにないだろう。
これだけでなく、他の仮面ライダーの力を奪うことも、考えるべき。

「真夜…………」

不意に、最愛の女性の名を呟く。
彼女はファンガイアである自分よりも、人間であるあの男を取った。
この会場の何処かにいる、忌まわしい紅音也。
そして未来から来たと言われる、奴の息子である紅渡も何処かにいる。
この二人は、絶対に潰さなければならない。
奴らはキバに変身して、自分を殺した。
息子である太牙に全てを託したが、その必要はない。
自分がここで、奴らを殺せばいいのだから。

(そして、願いを叶えてみせる…………)

大ショッカーは、自分の世界の住民と協力し、戦いに残れと言った。
だがそんな真似など、出来るわけがない。
何処の世界に、敵対する種族と手を取り合う馬鹿がいる。
他の世界の住民は当然のこと、奴らも始末する。
そして、再び真夜を自分の物にする。
ファンガイアの王は利己的な愛を抱きながら、前に進んだ。
自らの願いのために。
そんなキングのデイバッグには、ある物が眠っていた。
先程殺した北岡が住む『龍騎の世界』のアイテム。
ライダーバトルに勝ち残った戦士の前に、初めて姿を現す十三人目の仮面ライダー。
仮面ライダーオーディンに変身するためのカードデッキが、キングのデイバッグに眠っていた。
本来の時間なら彼は、チェックメイト・フォーの一角、ビショップの手によって心なき殺戮マシーンとなっている。
しかし、大ショッカーは彼に再び自我を与えた。
己を取り戻した、キングの行く末は果たして。

229究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:48:39 ID:87zY5Vmc

【1日目 日中】
【B−8 森林】
※戦いの余波によって、ほぼ荒れ地となっています

【キング@仮面ライダーキバ】
【時間軸】現代編/復活後
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、バッドファンガイアに二時間変身不可
【装備】ゾルダのデッキ@仮面ライダー龍騎、オーディンのデッキ(タイムベント抜き)@仮面ライダー龍騎、ディスカリバー@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式×2、不明支給品(1〜2)、北岡の不明支給品(0〜2)
【思考・状況】
1:ゲームに勝ち残り、真夜を再び自分の物にする。
2:先程戦った仮面ライダー達(クウガ、ディエンド、ナイト、草加、フィリップ)を殺す。
3:紅渡と紅音也を殺す。
【備考】
※ 制限によって、ライフエナジーを吸う牙は、一度に一人分しか現れません。
※ 再び現れるのに、時間が必要です(どの程度かは、後続の書き手さんにお任せします)










森林から脱出して数分後、五人は皆生きていた。
しかし、五代と蓮は未だに目を覚まさない。
バットファンガイアとの戦いの傷が、深かったのだ。
そんな中、ディエンドの変身を解いた海東は考えている。
この会場で出会った初めての男、五代雄介。
本人は自分のことを、クウガと言っていた。
クウガと言えば、旅の仲間である小野寺ユウスケしか知らない。

(まさか、彼は本当にクウガだったとは)

その姿は、確かに仮面ライダークウガだった。
しかも、自分の見慣れているのと寸分の違いもない、赤い戦士に。
異なる点があるとすれば、フォームチェンジの後だ。
全身が黒く染まった、禍々しい二つの形態。
あの時一瞬だけ、バットファンガイアに迫るほどの力を発揮していた。
これがユウスケのクウガとは、また違う証拠。
やはり、自分が知る以外にも『クウガの世界』はもう一つ存在するというのか。

(…………まぁ、これはあとでいいか。さて、問題はこっちかな)

海東は、フィリップの背負った男の方を見つめる。
何処の世界の誰かも知らない青年。
五代が草加とフィリップに頼んだから、ここまで連れてきた。
だが、この人物が何者なのかは不明。
もしかしたら、殺し合いに乗っている可能性もある。

230究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:49:37 ID:87zY5Vmc

(いや、その時はその時かな。いざとなったら、あの恐竜君もいるしね)

フィリップの支給品であるファングメモリを見つめながら、海東は結論を付ける。
あれは自らの意志を持つようで、戦うことも出来る優れ物だ。
出来るならば、手に入れてみたい気持ちがある。



三人の警戒を浴びていることを、秋山蓮は知らない。
そして自分の世界の住民が既に死んでいることを、秋山蓮は知らない。
目覚めた彼に、どんな運命が待ち受けているか。


【北岡秀一@仮面ライダー龍騎 死亡確認】
 残り51人
※ライフエナジーを吸い取られたことにより、北岡の遺体は消滅しました。



【1日目 日中】
【C−8 草原】



【五代雄介@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第46話終了後
【状態】気絶中、疲労(大)、ダメージ(大)、仮面ライダークウガに二時間変身不可
【装備】アマダム@仮面ライダークウガ
【道具】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考・状況】
0:…………(気絶中)
1:人々の笑顔を守る。
2:みんなと共に行動する。
3:一条さんと合流したい。
4:仮面ライダーとは何だろう?
【備考】
※支給品はまだ確認していません



【海東大樹@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】最終話終了後
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、仮面ライダーディエンドに二時間変身不可。
【装備】ディエンドライバー@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品1〜3(確認済み)
【思考・状況】
0:お宝を守る。
1:殺し合いに乗った奴の邪魔をする。
2:五代雄介、草加雅人、フィリップと共に行動
3:五代雄介の知り合いと合流
4:知らない世界はまだあるようだ
5:蓮(名前を知らない)を警戒
【備考】
※クウガの世界が別にあることを知りました。

231究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:50:50 ID:87zY5Vmc

【草加雅人@仮面ライダー555】
【時間軸】原作中盤以降
【状態】健康、仮面ライダーカイザに三十分変身不可
【装備】カイザドライバー@仮面ライダー555、カイザブレイガン@仮面ライダー555、ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、首輪(北岡)、不明支給品1〜2
【思考・状況】
1:真理の居る世界を守る為に、555の世界を優勝させる。
2:勝ち残る為にも今は演技を続けるが、隙があれば異世界の参加者は殺す。
3:真理を殺した奴を見付け出し、この手で殺す。
4:出来る限り、戦いは他の奴に任せる。
5:蓮(名前を知らない)を警戒。
【備考】
※カイザドライバーに何処までツールが付属しているかは後続の書き手さんに任せます。



【フィリップ@仮面ライダーW】
【時間軸】原作中盤以降
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、ファングメモリ@仮面ライダーW、バットショット@仮面ライダーW、ダブルドライバー+ガイアメモリ(サイクロン)@仮面ライダーW
【思考・状況】
1:大ショッカーは信用しない。
2:出来ればここに居る皆と情報を交換したい。
3:草加雅人は完全に信用しない方が良い。
4:真理を殺したのは白い化け物。
【備考】
※支給品の最後の一つはダブルドライバーでした。
※バットショットにアルビノジョーカーの鮮明な画像を保存しています。



【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】第34話終了後
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、仮面ライダーナイトに二時間変身不可
【装備】ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜1)
【思考・状況】
0:…………(気絶中)
1:自分の世界のために他世界の人間を倒す。
2:まずは目の前の敵・バットファンガイアを倒す。
3:北岡と協力する。協力できるなら、同じ世界の人間と協力したい。
4:同じ世界の人間を捜す(城戸優先)。浅倉とは会いたくない。
5:北岡や協力者と決着をつけるのは元の世界に帰ってから。
【備考】
※ サバイブのカードは没収されています(蓮は気づいていない)。

232 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 09:53:09 ID:87zY5Vmc
以上で、投下終了です
矛盾点や疑問点などがありましたら、ご指摘をお願いします

そしてLQDxlRz1mQ氏、投下乙です
霧彦さん、お疲れ様…………
彼の意志を、たっくんが継いでくれることに期待したいです

233 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 10:16:52 ID:87zY5Vmc
あ、蓮の状態を以下のように修正します
【状態】気絶中、疲労(大)、ダメージ(大)、仮面ライダーナイトに二時間変身不可

234二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/19(日) 11:32:03 ID:KleOM/gg
投下乙

北岡さんやられてしまったか…
お疲れ様…
そしてデッキはキングへ。海東達や蓮の今後の行動も気になります。


そういえば初代でも剣の方のキングもゾルダのデッキを(ry

235二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/19(日) 11:35:58 ID:KleOM/gg
追記

まぁこっちも使用するかどうかですが

236二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/19(日) 12:17:45 ID:dRRLb8JY
投下乙です。
流石にキバのラスボス一筋縄にはいかないか(そうか、現代編復活時なら自我ないけど今回はある状態なのか)……北岡さんお疲れした。
で、地味にクウガがアルティメット化……しかも原作ではイメージでしか登場しなかった黒目状態……強化形態なのに素直に喜べないなぁ……
そういや上位形態制限ルールから察するとアルティメット化出来るのって最大2.5分だけなのか……それ恐ろしい程使いにくい気が(ただ、アルティメットはチートだから仕方ないか……ダグバは普通に10分変身出来るのに……)

しかしこの集団地味に危険すぎるなぁ……草加はステルス、蓮はマーダー……とりあえずフィリップ逃げてーそれは下手なドーパントよりも危険だー!

……あれ、そういやナイトのデッキは草加が持っているんだよな……蓮の状態表にもナイトのデッキがある気が……まぁ些細な修正で済む話か。

237 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 15:16:35 ID:87zY5Vmc
ご指摘ありがとうございます
それでは、状態表を以下のように修正します

【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】第34話終了後
【状態】気絶中、疲労(大)、ダメージ(大)、仮面ライダーナイトに二時間変身不可
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜1)
【思考・状況】
0:…………(気絶中)
1:自分の世界のために他世界の人間を倒す。
2:まずは目の前の敵・バットファンガイアを倒す。
3:北岡と協力する。協力できるなら、同じ世界の人間と協力したい。
4:同じ世界の人間を捜す(城戸優先)。浅倉とは会いたくない。
5:北岡や協力者と決着をつけるのは元の世界に帰ってから。
【備考】
※ サバイブのカードは没収されています(蓮は気づいていない)。

238二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/19(日) 18:16:04 ID:hATqFkM.
投下乙です。
同世界の人間がいきなり合流すると起こるジンクスは未だ健在。
草加と蓮が早期合流、キングのゾルダなど過去ロワを彷彿させる展開もありという感じで、パロロワ的に王道なんでしょうか?w
五代以外はみんなサブライダーですねぇ。主役一人にしても、力は強大だから今後が楽しみです。

一つ気になったんですが、オーディンのデッキの文って必要でしょうか?
以前にもライダーロワNEXTでオーディンのデッキに関して議論になってましたから、あんまり意味なく出さない方がいいと思ったんですけど。

239 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/19(日) 19:15:34 ID:87zY5Vmc
分かりました オーディンに関する部分を全てカットさせていただきます

>>228を。以下のように修正しますがよろしいでしょうか?


大ショッカーは、自分の世界の住民と協力し、戦いに残れと言った。
だがそんな真似など、出来るわけがない。
何処の世界に、敵対する種族と手を取り合う馬鹿がいる。
他の世界の住民は当然のこと、奴らも始末する。
そして、再び真夜を自分の物にする。
ファンガイアの王は利己的な愛を抱きながら、前に進んだ。
自らの願いのために。
本来の時間なら彼は、チェックメイト・フォーの一角、ビショップの手によって心なき殺戮マシーンとなっている。
しかし、大ショッカーは彼に再び自我を与えた。
己を取り戻した、キングの行く末は果たして。

240 ◆7pf62HiyTE:2010/12/19(日) 20:58:00 ID:o0.EtqBI
三原修二、リュウタロス分投下します。

241Try-Action Delta form ◆7pf62HiyTE:2010/12/19(日) 20:59:50 ID:o0.EtqBI
 『過去』と『現在』、そして『未来』が1つに重なる瞬間、
 彼は何を思うのだろうか――
 考えなければならない、戦う理由を――
 そして彼は何をするべきなのか――





「じゃあ行こうよ」
「ちょ……ちょっと待ってくれ」



 そう言って息切れしている三原修二と共にB-1にあるサーキット場から出ようとするリュウタロスであったが、
 三原は先程リュウタロスによって強いられた特訓で疲労状態に陥っている為まともに動ける状態ではない。
 故に何とか断ろうとしたが、



「さっき『やってみるさ』って言ってたけど、それウソだったの?」
「本当に身体が痛……」



 先程、戦いを拒む際に『足が痛い』と口にしたのと違い今度は本当に特訓による筋肉痛になっている事を伝えようとした。
 しかしこのまま口にした所で先程と同じ事の繰り返しになると考え何とか踏みとどまった。
 だが、動ける状態では無い事は事実。
 幾ら(本音は戦いたくはないが)戦うと言った所でこんな状態では戦いにすらならないだろう。故に何とか身体を休めたいと考え、



「……そうだ、お前良太郎って知り合いがいたよな。もっと詳しい事聞かせてくれないか?」



 先程からリュウタロスは『良太郎に会いたい』と口にしていた。その事について詳しく聞く事で休む為の時間を稼ぐ事にした。
 戦うにせよ戦わないにせよ何もわからない状態では動き様がない。何か情報が得られればむしろ好都合だろう。



「んーいいけど」
「もしかしたら他にも仲間とかがいるかも知れないだろ、名簿見せてくれないか?」
「お前持ってないの?」
「俺のバックはアイツが……」



 三原のデイパックは中身毎数時間前に戦った桐生豪が持ち去っていった。故に三原の手元にあるのはデルタギア一式だけである。
 ともかく、リュウタロスも三原の話を了承し名簿を2人で見ながらリュウタロスの関係者についての話を聞いた。

 名簿にあったリュウタロスの関係者は3人、野上良太郎、モモタロス、牙王の3人だ。
 が、ここからの話が三原にとっては信じがたい話だった。
 リュウタロスの世界ではイマジンという未来の人類が自分達の都合の良い様に過去や現代を改変しようとしており、
 その時の運行を守る為時の列車デンライナーと電王がイマジンと戦っているという話だ。
 その電王に変身するのが良太郎でリュウタロスとモモタロス、そして名簿には載っていないがウラタロスとキンタロスの4人のイマジンが彼に力を貸しているという話だ。
 なお、牙王は“神の路線”を狙った際に戦い良太郎達が倒し『た』という話である。

 前述の通り三原にとってはあまりにも信じがたい話だ。だが、先程自分に憑依され身体を乗っ取られた事実を踏まえればそれは事実としか言いようがないだろう。



「とりあえず良太郎とモモタロスが仲間か……」
「でもモモは1人でも大丈夫だと思うけどね」
「……そういえばネガタロスっていうのは? お前達の仲間じゃないのか?」
「? そんなヤツ知らないけど?」



 名簿にはネガタロスというモモタロスやリュウタロスに名前が似た者がいた。しかしリュウタロスが知らない以上詳しい事はわからない。
 ネガという名前だから悪い奴……という事も一瞬だけ考えたが流石に名前だけでそこまで判断するのは早計だろう。



「(そういえば……モモにウラにキン……桃太郎に浦島太郎に金太郎か……じゃあコイツは……?)」



 リュウタロスの名前について少し疑問に思ったもののあまり考えても仕方ないと思い話を進める事にした。

242Try-Action Delta form ◆7pf62HiyTE:2010/12/19(日) 21:02:05 ID:o0.EtqBI



「ねぇねぇ、僕ばっかり話しているけどお前には仲間とかいないの?」



 そうリュウタロスが聞き返してきて三原は改めて名簿を確認する。
 三原の視点から見て知っている人物は4人だけ。
 まず、同じ流星塾出身の園田真理と草加雅人、
 真理が信頼しているらしい乾巧、
 そしてスマートブレイン社長の村上峡児、
 自分の世界の出身の人間が他にもいるかも知れないが三原が把握しているのはこの4人だけだ。

 三原自身が流星塾との関わり合いを断ちたがっていた為、詳しい状況を把握し切れていないが自身の置かれている状況は以下の通りだ。
 自分達の育ての親である先代社長が3つのライダーズギアを流星塾出身の仲間達に送ったらしい。だがそれを現社長にして進化した人類とも言うべきオルフェノクの村上が狙っており、配下のオルフェノクを差し向けている。
 ファイズとカイザのベルトは紆余曲折を経てそれぞれ巧と草加が所有しデルタは流星塾生の間を転々と……という話だ。
 そして巧と草加はそれぞれの意志を持ち人々の命を脅かすオルフェノク、そしてスマートブレインと戦っているというわけだ。

 そういう観点でいうならば巧と草加は頼れる味方で、真理もまた仲間といえる。そして村上は敵という事になる。

 ――だが、今回に限ってはそうとは言い切れないのが現状だ。
 勿論、真理と彼女が信頼する巧に関しては信頼出来るだろう。真理は恐らくこの状況なら大ショッカー打倒を考えるだろうし詳しくは知らないが彼女の信頼する巧も概ね信用出来るだろう。
 だが草加に関しては一抹の不安を感じる。いや、少なくても三原から見れば圧倒的に頼れる味方だ。
 しかし草加は敵と判断した相手に対してはどこまでも敵だと判断しているのが見てとれる。かつての仲間であった澤田に対しても容赦なく敵だと断じている。
 少なくても草加から見た場合、オルフェノクは絶対的な敵と考えて良い。

 もし、草加がリュウタロスを見た場合、オルフェノクの様な異形の怪物と断じて倒そうとする可能性が高い。
 いやそれ以前に、今回の殺し合いのルール上他の世界の連中を皆殺しにするだけで少なくても自分の世界は守れる。
 草加の場合、自分の世界や自分達仲間達を守る為、リュウタロス達他の世界の連中を皆殺しにする可能性は否定出来ない。
 だが、三原個人としては他の世界の連中全員を敵と断じて戦いたくはない。
 聞く限り良太郎は真理や巧同様頼れる味方だろうし、話してみて感じた事だがリュウタロスが倒される事に関しては良い気はしない。
 良くも悪くもリュウタロスは『子供』なのだ、見た目はどうあれ『悪人』とは思えないし実際良太郎と共に世界を守ってきている。

 故に同郷の出身の仲間といえ草加を頼れる味方と話すわけにはいかないのだ。

 ちなみにルール上は村上も味方だが彼を味方だとは全く思っていない。
 状況から考え村上と自分が出会ったらベルトを奪われ殺されるのがオチだろう。そんな奴を信用する気はない。
 無論、未知のオルフェノクに関してもほぼ同様の理由で警戒すべきだ。未知の人間に至ってはそもそも無力な人間に頼るのが間違いだ。



「味方は真理と巧さんだけだな……草加と村上は自分の世界を守る為だったら他の世界の奴等を皆殺しにするかもしれない」



 何にせよリュウタロスには詳しい事情は話さず、以上の事を伝えるに留める。勿論草加に関しては信じたいが否定しきれない以上はある意味仕方がない。



「友達少ないんだね」
「別にいいだろ……そういえば、お前その銃以外に何か無かったのか?」



 と、リュウボルバー以外に支給されたものは無いのか問う。
 真面目な話、デルタギアの様な変身ツールがあれば都合が良い。自分が変身して戦わなくて済むならそれにこした事は無いからだ。
 だがそれは望み薄だろう。あるならば先程の戦闘でわざわざ自分に憑依してデルタに変身する必要などないのだから。



「えーっとコレと……」



 そんな三原の思惑を余所にリュウタロスはデイパックから『あるもの』を取り出した。そしてそれを見て三原は驚愕した。

243Try-Action Delta form ◆7pf62HiyTE:2010/12/19(日) 21:03:00 ID:o0.EtqBI



「ちょっと待て! これは……」
「え? このデカイの何か知ってるの?」
「いや、俺も詳しい事は知らないけど……これ俺の世界のものだ」



 それは三原の世界に存在するスマートブレインが作り出したあるツール。
 そう、その世界に存在する仮面ライダーに最強の力を与えるツールだ。
 その名はファイズブラスター、ファイズをブラスターフォームに変身させ同時ファイズの武器となるものだ。
 勿論、三原自身そこまで把握しているわけではない。だが、スマートブレインのロゴと色合いから見てファイズに力を与えるツールである事は把握している。



「早速使って見てよ」



 しかし事情を知らないリュウタロスは目を輝かせて三原にせびる。



「無茶言うなよ、これはデルタの武器じゃないから使いようがない。ファイズじゃないと使えないんだ」
「じゃあ、ファイズだったら使えるんだ。アレみたいなものか」



 リュウタロスが言う『アレ』とは電王をライナーフォームへと変身させるデンカメンソードだ。だが、三原はそれを軽く聞き流す。



「多分……だけどどっちにしても俺やお前じゃ使えない。巧さんか草加じゃないと……」



 そう、仮にこの場にファイズのベルトがあっても適合しない者では変身する事すら出来ない。少なくとも三原に使う事は不可能と考えて良い。
 だが、ここまで考えて今更ながらにある疑問が浮かんだ。



「(ちょっと待て……そういえばどうして巧さんや草加が使えるんだ?)」



 そう、先代社長が流星塾の皆に送った3つのライダーズギアは基本的に普通の人間が扱う事は出来ない。
 真理に送られた筈のファイズギアは真理には扱えず結局巧が使用している。
 カイザギアに関しては流星塾の仲間が何人か使ったが草加以外は変身後灰となって死亡した。
 デルタギアについては一応使用は出来たがその力に溺れ醜い争いを繰り広げた事を聞いている。一応、今さっき自分が使った限りそういう影響は見られなかったが今後も大丈夫かは不明瞭だ。
 しかし、何れのベルトであってもオルフェノクは普通に扱えるらしい。

 これだけ見れば大きな謎である。しかし三原には心当たりが1つあった。



「(澤田は異常なまでに俺達流星塾の仲間を消したがっていた……それと何か関係があるのか?)」



 かつての流星塾の仲間でオルフェノクとなった澤田は何故か自分達を消したがっており、実際に何人もの仲間が彼に殺された。
 もしや流星塾の仲間達の間で自分の知りらない何かがあったとでもいうのか?
 澤田がオルフェノクになった事と関係があるのか?
 草加がベルトを扱える事と関係があるのか?
 自分達にベルトが送られた事と関係があるのか?

 草加だったら何か知っているかも知れないが前述の通り下手に接触も出来ない。
 更に言えば真相がわかった所で状況が好転するわけでもない。
 故にこの疑問はひとまず留めておく。

 だが、巧が変身出来る理由に関しては保留には仕切れない。
 巧は流星塾とは何の関わりも無く、たまたま真理を助けたからファイズになったに過ぎない。
 では何故巧がベルトの力をあつかえるのか?



「(まさか……巧さんはオルフェノクなのか……?)」



 それは巧が自分達の敵とも言うべきオルフェノクだったという仮説だ。確かにそれなら変身出来る理由に説明が付く。
 それ自体が驚愕だが同時に大きな疑問が生じる。
 何しろ巧は真理達人間を守る為に彼にとっての同胞とも言うべきオルフェノクを次々倒しているからだ。
 何故彼はそこまで出来るのだろうか?
 彼が真理達を騙している? 確かにそれも考えないではないが、自分よりもずっと付き合いの長い真理が信頼している限りその可能性は低いだろう。

244Try-Action Delta form ◆7pf62HiyTE:2010/12/19(日) 21:03:40 ID:o0.EtqBI



「ねぇねぇ、さっきから黙りこんでどうしたの?」



 と、リュウタロスが思考の渦に引きずり込まれそうになった三原に声をかける。



「あ、いや……何でもない……」



 と、リュウタロスの顔を見てその疑問の答えらしきものがわかった様な気がした。
 そう、リュウタロスはイマジンでありながら人間である良太郎に力を貸し悪いイマジンと戦っていった。
 もしかすると巧もリュウタロスと同じなのかも知れない。
 巧はオルフェノクでありながら人間である真理達を守る為、オルフェノクと戦っている。
 詳しい事情はわからないがそういう事なのだろう。
 全てのオルフェノクが巧の様に人間と敵対しないとまでは言う気は無いが全部が全部敵とは限らないのかもしれない。
 今はそれ以上の事を考えても仕方がないだろう。



「ともかく、コイツは何とかして巧さんに届ける」



 真相はどうあれファイズブラスターはファイズに変身する巧以外には使えない事に変わりはない。
 故にファイズブラスターは巧に届ける以外の選択肢はない。可能性は低いが巧が危険人物ならばファイズブラスターを壊せば済む話だ。
 三原としても巧との合流は望む所である。問題は何処にいるのかがわからないことだが。
 話が纏まり、ファイズブラスターは再びデイパックに仕舞われる。



「後はコレ」



 それは何かのグリップの様なものだった。



「デルタフォンみたいだな……」



 そこには『ZECT』と書かれていた事から、ゼクトなる組織か会社が作った武器……あるいは変身用のツールである事はわかる。
 それに『何か』を取り付ける、もしくはそれを『何か』に取り付ける事で変身出来る可能性が高い。
 だがその『何か』が無い以上、現状では無用の長物でしかない。
 使えない以上アテには出来ない為、それもデイパックに仕舞われた。










 そして暫くしてサーキット場から2人が出てきた。当面の目的地は南方向にある市街地だ。
 市街地まで行けば巧や良太郎といった仲間の情報が掴めるだろうし上手く行けば合流出来るかもしれない。



「そういえば良太郎には会いたいって言っていたけど、モモタロスの方には会いたくないのか?」
「モモだったら1人でも大丈夫だって、バカだけど強いし。でも、僕の方が強いけどね」



 そう口にするリュウタロスではあったが三原はそれについては懐疑的だ。
 参加させられている者は恐らくそれぞれの世界の仮面ライダーとそれと敵対するオルフェノクやイマジン、アンデッド等といった怪物、そしてその関係者だ。
 それから察するに仮面ライダーに匹敵する参加者も数多いという事になるのは言うまでもない。仮にモモタロスが強くても無事である保証は全く無い。
 しかも外見だけでいえばオルフェノクとは違うものの怪物と判断される可能性が高い。それは桐生がリュウタロスを見てアンデッドと呼んだ事からも明らかだ。
 そうなればモモタロスは仮面ライダーからも人間からも怪物だと認定され一方的に倒される側になるだろう。

 また、無事であるかの問題に関しては他の参加者についても同様だ。
 仮面ライダーやそれに匹敵する怪物が数多い以上、巧や草加、それに良太郎が無事である確証は何処にもない。
 先の戦いでも一歩間違えれば仮面ライダーである筈の桐生がリュウタロスに倒される可能性があった為有り得ないとは言えない。
 更に言えば真理に至っては変身する事の出来ない一般人、生き残れる道理は皆無だ。

245Try-Action Delta form ◆7pf62HiyTE:2010/12/19(日) 21:04:30 ID:o0.EtqBI



「(無理だよな……どう考えても……)」



 巧達でさえこの有様だ、『今の段階では』しがない一般人でしかない三原が戦い抜ける道理は全く無いだろう。

 『今の段階では』? そう、三原の脳裏にはある種の仮説が浮かんでいた。。
 それは先程リュウタロスから牙王の事について聞いた時に感じた疑問が発端だった。
 牙王は良太郎達が力を合わせて倒したと語られていた。つまり既に死亡している筈である。
 リュウタロスは別に疑問に感じていなかったみたいだがこれは明らかに奇妙な話だ。
 何しろ死んだ人間がこの世に蘇っているからだ。
 だが、三原の知る限りそういう人物はもう1人いる。
 そう、真理がそれに該当しているのだ。真理も三原の知る限り、澤田に襲われ死亡している筈である。
 この場に来た当初は動揺していた事に加え早々に桐生に襲われた為その事を思い返す余裕も無かった。
 だが、冷静に思い出せば真理は確かに死亡した筈なのだ、何故死亡した真理がこの場にいるのか?
 勿論、大ショッカーの技術力と結論付ける事で思考停止する事は簡単だ。
 しかし三原はリュウタロスから聞いた話からある仮説を導き出した。
 リュウタロス達の世界では過去や未来を行き来する事が出来るデンライナーが存在していた。過去や未来に干渉する技術が存在すると考えて良い。
 つまり、死亡した者に関しては死亡する前から連れて来れば説明がつくという事だ。
 勿論、あまりにも都合が良い仮説だ。だが十分に可能性はあるだろう。

 その仮説を推し進める事で、デルタギアを持った事がない自分の手元に何故かデルタギアがあった事にも一応の理由付けが出来る。
 最初は理不尽さしか感じなかったが、もしかすると以下の可能性が考えられる。
 恐らく少し未来の自分は何かしらの理由でデルタギアを手にしデルタに変身してオルフェノクと戦っていたのだろう。
 その時の自分が何故戦う気になったのかは知らないし知りたくもない。
 だが、それが確かならば自分の手元にデルタギアがある事に説明が付く。何故ならデルタギアは自分のベルトという事になるのだからだ。



「(だったら、少し未来の俺を巻き込めばいいだろ……何で今の俺なんだよ……)」



 自分でも理不尽な事を内心で呟きながらも自分が逃げられない状況に追い込まれている事だけは理解出来た。
 仮説が正しいという確証は無いが自分が巻き込まれた理由に関してはこれで説明出来るのだから。
 少なくても全くの無関係という事は無いのだろう。



「俺も戦わなければならないのかも知れない……」



 それは今まで逃げ続けた者にとっては非常に弱々しい決意、
 だが、今まで戦おうとしなかった者にとってはとても大きく、同時に小さな一歩であった。



 不安を感じさせないリュウタロスを余所に三原の不安は尽きない。
 2時間と少し後の放送で自分達の知り合いの名前が呼ばれればどうなるかわからないのだ。
 モモタロスや良太郎の名前が呼ばれればリュウタロスはどうするのだろうか?
 蘇らせる為に殺し合いに乗る可能性だって否定出来ない。
 同じ事は自分達にも言える、自分が死んだ所で大きな影響は無いだろうが真理が死ねば草加や巧がどう動くかは予想出来ない。
 もしかしたら優勝狙いに切り替えるかもしれない。



「大丈夫……だよな……?」
「修二、何か言った?」
「いや、何でもない」
「別にいいけど、それより早く行かないと置いてくよ」
「待ってくれリュウタ、まだ筋肉痛が……」
「答えは聞いてない」

246Try-Action Delta form ◆7pf62HiyTE:2010/12/19(日) 21:05:20 ID:o0.EtqBI







 ――その2人を上空から見つめる者がいた。

 それは青のドラゴンフライを模した機械、
 『彼』の名はドレイクゼクター、トンボ型昆虫コアだ。
 『彼』は資格を有する者がドレイクグリップをかざした時、その者の元に現れ仮面ライダードレイクに変身する力を与えてくれる。
 だが、本来の資格者はこの地にはいない。
 故に『彼』は今の所、ドレイクグリップを持つ者リュウタロスを上空から見つめるだけだ。
 『彼』がリュウタロス、あるいは三原を認めるかはわからない。
 『彼』は只、自由に空を舞いながら2人を見つめていた。

 それはさながら大空を自由に飛び回るトンボの様に――





 三者の旅は始まった。
 彼等の立ち位置はさながら三角形、TriangleあるいはDeltaの様であった。
 彼等の想いは未だ重ならない。だが仮に彼等の声が重なったならばその強さは――
 無論、そうそう都合良い話は無い。しかし挑まなければそれすら分からない。
 歩き出さなければ何も始まらないのだ。

 進むだけである、答えを聞かない間にも――





【1日目 日中】
【C-1】
【三原修二@仮面ライダー555】
【時間軸】初めてデルタに変身する以前
【状態】疲労(大)、筋肉痛
【装備】デルタドライバー、デルタフォン、デルタムーバー@仮面ライダー555
【道具】なし
1:リュウタロスと共に市街地に向かう。
2:巧、真理、良太郎、モモタロスと合流したい。草加、村上、牙王を警戒。
3:戦いたくないが、とにかくやれるだけのことはやる
4:オルフェノク等の中にも信用出来る者はいるのか?
【備考】
※リュウタロスに憑依されていても変身カウントは三原自身のものです。
※同一世界の仲間達であっても異なる時間軸から連れて来られている可能性に気付きました。同時に後の時間軸において自分がデルタギアを使っている可能性に気付きました。
※巧がオルフェノクの可能性に気付いたもののある程度信用しています。

【リュウタロス@仮面ライダー電王】
【時間軸】本編終了後
【状態】胸にダメージ(小)
【装備】リュウボルバー@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、ファイズブラスター@仮面ライダー555、ドレイクグリップ@仮面ライダーカブト
1:三原と共に市街地へ向かう。
2:良太郎に会いたい
3:大ショッカーは倒す。
【備考】
※人間への憑依は可能ですが対象に拒否されると強制的に追い出されます。
※ドレイクゼクターがリュウタロスを認めているかは現状不明です。

247 ◆7pf62HiyTE:2010/12/19(日) 21:06:15 ID:o0.EtqBI
投下完了しました。何か問題点や疑問点等があれば指摘の方お願いします。

248二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/20(月) 03:04:41 ID:PtO6e4Aw
投下乙
察しがいいな三原
リュウタは自由だからドレイク似合うだろうな

249 ◆MiRaiTlHUI:2010/12/21(火) 19:14:27 ID:/6CcXFDc
投下乙です。
確かに自由奔放なリュウタロスならドレイクにも認められそう。
三原には何気にファイズブラスターを支給か。
上手くたっくんの手に渡ればいいけど……。


それでは、只今より予約分の投下を開始します。

250悪の組織は永遠に ◆MiRaiTlHUI:2010/12/21(火) 19:21:28 ID:/6CcXFDc
 病院内で鳴り響く、金属音の応酬。
 甲高い音は非常に耳触りで、まともな会話すらも掻き消されてしまう。
 それ以前に、この現状でまともな会話を交わす事自体が難易度の高い事であるのだが。
 タイガとネガ電王が打ち鳴らす金属音を背景に、それでも二人は言葉を交わした。

「ブレイド……貴方はやはり、剣崎一真なんですか!?」
「何っ!? なんで俺の名前を知ってるんだ!?」
「じゃあやっぱり、また私達の旅を終わらせる為に……!?」
「何言ってるんだアンタ一体!」

 だけど二人の意思はかみ合わない。
 お互いの知り得る常識が、かけ離れ過ぎているのだ。
 仕方のない事と言えば、仕方がない。

「第一、何でブレイドを知ってるんだ!?」
「貴方、私を覚えてないんですか!?」
「だから何の話をしてるんだ!」

 埒が明かないとばかりに、ブレイドが怒鳴った。
 光夏海が知る剣崎一真と、今ここに居る剣崎一真はイコールではない。
 別の時間軸の同一人物なのか。はたまた全く別の世界の存在なのか。
 その答えを知る術は残念ながら存在し得なかった。

「貴方はまた、士君を消す為に戦うつもりじゃないんですか……!?」
「その士って奴が誰なのかは知らないけど、俺は殺し合いに乗ったつもりはない!」
「えっ……、士君を、知らない……?」

 ここで夏海を襲うのは、壮絶な違和感。
 この剣崎一真という男、あの時出会った剣崎一真とは違い過ぎる。
 何よりも、あの時の様な余裕が感じられないし、あの時の様に嫌な感じもしない。
 どちらかと言うと、真っ直ぐに生きる剣立カズマに近いイメージであった。
 もしかしたら、あの剣崎一真とは別の剣崎一真なのかも知れない。
 ネガの世界に居た、自分とは異なるもう一人の自分の存在を思い出す。
 それを考えれば、同じ顔と名前をしているからと言って、同一人物と断定するのは早計だ。

「わかりました、剣崎さん。今は貴方を信じますっ……」
「……ああ、何が何だか分からないけど、話はアイツらを止めた後だ!」

 キバーラとブレイド。
 二人の視線が交差して、共に頷いた。
 話は目の前で戦う二人を止めてからでも遅くは無い。
 それぞれの剣を構えて、二人は戦場へと駆け出した。

251悪の組織は永遠に ◆MiRaiTlHUI:2010/12/21(火) 19:26:26 ID:/6CcXFDc
 




 視界を埋め尽くすのは、廃墟。
 何処までも続く、破壊され尽くした廃墟の山。
 地面には瓦礫が降り積もって、足場と呼べる場所は僅かしかない。
 乃木怜治率いるワーム軍団によって破壊されたエリアの一つであった。
 荒廃し、無秩序な世界となった大地を、矢車は踏み締める。

 全てを失った彼にとっては、別に世界がどうなろうが知った事では無かった。
 それこそ、ワームが人類を滅ぼして、地獄を創ろうと自分には関係ない。
 世界も他者も……それどころか、自分にすらも興味が沸かない。
 正直な所、矢車にとっては何もかもどうだって良かった。

 どうでもいい世界で、どうでもいい枠組みの中で。
 どうでもいい他人が、どうでもいい人間関係を築いて。
 どうでもいい諍いが、どうでもいい戦いを招いて、そしてどうでもいい結末を迎える。
 どうでもいい自分は、当然の様にどうでもいい他者と必要以上の接点を持とうとはしない。
 そんなどうでもいい枠組みの中で生きて行く事には苦痛しか感じない。
 だから矢車は、自分が死のうと、他人が死のうと、全く動じはしない。
 ――筈だった。

「兄貴……」

 だけど、そんなどうでもいい世界の中に、たった一人だけ。
 どうでもいいでは済ませなくなってしまった、大切な人が居たとしたら。
 何もかもを捨てた矢車が、たった一つだけ捨てる事が出来なかったもの――。
 人間らしい一切の感情を投げ捨てて、だけども人間を捨てられないたった一つの要因。
 大切な大切な、誰よりも大切な「弟」が、そこには居た。

「……相棒」
「お願いだよ兄貴」

 弟は、矢車にすがる。
 無様に跪いて、無様な泣き顔を見せて。
 それでも弟はすがった。たった一人の兄に。

「俺の仇を取ってくれよ……兄貴」
「はぁ……」

 最早、溜息を漏らす事しか出来なかった。
 こんな自分に何かを求めるのは、もうきっと彼だけなのだろう。
 矢車の存在だけを心の支えにして、矢車という拠り所にすがって生きて行く。
 結局の所、弟が誰かに敗北したとして、その無念を晴らすのはいつだって兄である矢車だった。

 嗚呼、これは夢だ。儚い夢でしかないのだ。
 死んでしまった弟への想いが、こんな下らない夢を矢車に見せるのだ。
 だけど、夢と分かって居ても、それをただの夢を切り捨てる事は出来ない。

 どうでもいい世界の中で、たった一人。
 どうでもいいとは言えない大切な人からの願い。

 それが兄による仇討ち。弟を笑った奴らへの復讐。
 ちっぽけで、陳腐な願いだけれど、それこそが死んでしまった彼の唯一の願い。
 そんな弟の最期の願いに報いる事が、自分に出来る唯一の兄らしい事だとするなら。
 矢車に、兄として弟にしてやれる事は、たった一つしか無いのではないか。

 結局の所、矢車は本当の意味で何もかもを捨てる事は出来なかった。

252悪の組織は永遠に ◆MiRaiTlHUI:2010/12/21(火) 19:28:06 ID:/6CcXFDc



 これで何度目になるだろうか。
 硬質な白虎の爪と、青白い炎を描いた紫の剣が激突した。
 振り下ろされた紫の刃を、左の爪で受け止めて、絡め取る。
 剣の自由を奪ってから、即座に右の爪でネガ電王の身体を切り裂いた。
 仰け反ったネガ電王は、しかし剣を離そうとはしない。
 紫の剣を叩き落して、タイガが再び爪を振り下ろす。

「君、弱いね」

 バランスを崩したまま後退する事も出来ずに、ネガ電王の装甲が爆ぜた。
 紫の装甲に、硬く鋭い爪に引き裂かれた傷跡を生々しく残して、火花と共に数歩後退。
 状況は現在、圧倒的にタイガの優勢。その理由は、二人の武器にあった。
 武器を両腕に装備したタイガと違い、ネガ電王の武器はあくまで一つ。
 斧や槍に変型させようが、銃にして距離を取ろうが、結局は武器の数で劣る。
 それこそが単純な力のぶつけ合いで、戦力を分かつ決定的な理由だった。

「チッ……お前、英雄にしちゃ中々『ワル』いオーラ放ってんじゃねえか」
「だから僕は、最終的に英雄になれるなら、正義だろうと悪だろうとどっちだって構わないんだってば」

 大仰な動きでタイガが振り抜いた爪を、紫の剣で受け止めた。
 手首一つで振るう剣と、肘から先の腕全体で振るう爪の重量の差。
 それがそのまま威力の差となって、ネガ電王の腕に振動を響かせる。
 すぐに剣を引き抜いて、矢継ぎ早に振り上げられた右の爪にぶつけ返す。

「英雄は英雄でも、悪の英雄でも構わねえって事か」
「まぁ……そういう事になるかも」

 振り下ろされた左の爪を剣で受け止めて、ネガ電王は笑った。
 こいつは強い。それも、目的の為に手段を選らばない辺り、悪としての素質は十分過ぎる。
 自分の組織に招き入れ、一から悪の魅力について教え込んでやるのも有りかも知れない。

「よし、気に入った。お前、俺の悪の組織に入らねえか? 幹部の椅子を用意するぜ?」
「別にいいけど、君の仲間になれば、僕がもっと英雄に近付けるって保証でもあるのかな」
「ああ、俺の組織は最後に勝てる悪の組織だからな。お前を最強の悪の英雄にしてやるよ」
「ふーん……」

 タイガの攻撃が止んだ。
 次いで、ネガ電王もその腕を引く。
 お互いの視線が交差して、一拍の間が流れた。

「それも、面白そうかも」
「なら、決まりだな?」

 お互いの意見が一致した。
 同時に、それぞれの武器を力一杯に振り下ろす。
 タイガの爪がブレイドを。ネガ電王の剣がキバーラを。
 この戦いを止める為、戦いに割り込もうと走り込んで来た二人を切り裂いた。

253悪の組織は永遠に ◆MiRaiTlHUI:2010/12/21(火) 19:28:42 ID:/6CcXFDc
 
「うわっ!?」
「きゃあっ!?」

 二人の正義が、もんどりうって病院の床を転がる。
 破壊する事に躊躇いを持たぬ悪の刃が、正義の装甲を抉ったのだ。
 装甲を突き抜ける痛みが二人の身体を蝕んで、すぐに体勢を立て直す事を困難とさせる。

「何やってんだお前……!」
「何って……僕は英雄になれればそれでいいから」
「ま、そういうこった。こいつは俺が立派な悪の英雄に育ててやるから、安心しな」

 そう言って嘲笑うネガ電王に、剣崎一真は怒りすら感じた。
 東條の願いは、元を辿ればライダーバトルを止めたい、という物だった筈。
 そんな彼の純粋な心を利用して、人の命を奪う悪の道へと引きずり込もうとする。
 元は剣崎と同じ「人を守る仮面ライダー」だった男が、道を踏み外すのが堪らなく嫌だった。

「何言ってんだ、ふざけるなっ! そいつに利用されてるってわからないのか!」
「利用でも何でもすればいいよ。僕もその悪の組織っていうのを利用するだけだから」
「ククク……益々気に入ったぜ、お前。コイツを正義の英雄なんかにするのは勿体ねえ」

 このネガ電王とかいう奴は、分かっていない。
 東條は、大切な人間を全て殺す事で英雄になろうとしている。
 悪の組織の一員として戦い、最後には仲間を皆殺しにするつもりなのだ。
 歪んだ考えだと思うし、そんな事で英雄になれるのだとしたら、絶対に間違っている。
 ブレイドの身体を突き動かすのは、命を守りたいというたった一つの願い。
 悪とは言え、こんな下らない事で命が奪われてたまるものか。
 醒剣を突き立てて、その身体を起こした。

「東條……俺はお前に、そんな間違った英雄になって欲しくない!」
「そうです……! 英雄になりたいなら、私達と一緒に大ショッカーを倒すべきです!」

 キバーラが身を起こし、言った。
 彼女の言う通りだと、剣崎一真は思う。
 死ぬ必要の無い無数の命を守り抜き、全ての世界を救う方法を見付ける。
 その方が遥かに困難で、だけど人として遥かに立派な行動。まさしく英雄と言える。

「わかんねえのか? そんな事言ってる奴らから食われるんだよ」
「うん。英雄になる前に、あの“見せしめの人”みたいに首輪を爆発されるのは御免だし」

 嘲笑う様に、タイガが言った。
 見せしめ……影山瞬という名の、一人の男の死。
 剣崎は知らない男だけど、それでも怒りを覚えずには居られない。
 彼がどんな人間かは知らないが、死んでいい命なんて有りはしないのだ。
 人間には一人一人違った人生があって、誰にだって、自分を待つ大切な人が居る。
 だからこそ命は尊いのに……それなのに奴らは、簡単に命を踏み躙った。
 その瞬間に、剣崎一真の行動は決まったと言っていい。
 大ショッカーには絶対に従わない。
 何があっても殺し合いを潰す。
 その為にも。

「これ以上あんな犠牲を出さない為にも、俺達仮面ライダーが戦うんだろ!」
「ごめん剣崎君……悪いけど、これ以上君と話しても時間の無駄っぽいかも」

 それ以上の言葉は必要なかった。
 タイガがその爪を振り上げて、走り出す。
 だけど、その道を塞いだのは、緑の閃光だった。
 何処からともなく現れた緑が、機械仕掛けのバッタが。
 病院の床を跳ね回って、その身体に体当たりを仕掛けたのだ。

254悪の組織は永遠に ◆MiRaiTlHUI:2010/12/21(火) 19:29:12 ID:/6CcXFDc
 
「あの“見せしめの人”みたいに……だとぉ?」

 その声には、怒りが含まれて居た。
 凍て付く様に冷たい、だけど燃え上る様に熱い感情。
 彼の怒りは、周囲の空気を凍て付かせて、誰も彼もが動きを止めた。
 黒のコートを翻して、床に転がった銀のベルトを腰に装着して――
 男は冷たい眼差しでもって、タイガを睨み付けた。

「笑ったな……? お前今……俺の弟を笑ったな?」
「……何言ってるの?」
「ククッ……ハハハッ……いいぜ、笑えよ……」

 ああ、そうだ。
 笑いたいなら笑えばいい。

「もっと笑えよ……?」

 その代わり。

「……変身」

 弟を笑った奴は、兄である自分が叩き潰すから。





 程なくして、戦況は大きく変わった。
 緑のライダー――キックホッパーの乱入。
 その、たった一人の男の行動が、場の流れを変えたのだ。

「はぁっ!」

 緑の右脚が、宙で弧を描いた。
 タイガは当然巨大な手甲でそれを受け止める。
 だけれど、それは所詮最初の一撃を防いだだけに過ぎない。
 キックホッパーの攻撃は、その名の通り良くも悪くもキックだけ。
 キックだけに特化したライダーの攻撃が、一撃で終わる訳が無かった。

「せやっ!」

 一撃目を防いでから、一秒と経過してはいない。
 右脚を一度も地面に着地させる事無く、繰り出されるのは次の蹴り。
 それが終わったら、また次。その次も、キック、キック、キック。
 目にも止まらぬキックの嵐が、タイガの身体を襲った。

「くっ……こんな攻撃……」

 呟くも、タイガは対処し切れない。
 そもそもタイガの攻撃は、一撃一撃が非常に重たい。
 それ故に予備動作も大きく、攻撃の速度も必然的に遅くなる。
 今まではテクニックで補っていたのだが、今回は状況が別だった。
 ホッパーの蹴りの連続が、あまりにも速過ぎるのだ。

「はぁっ! ふんっ! らぁっ!」
「ぐっ……」

 防ぎきれていたのも、最初の数発だけだ。
 戦いが長引けば長引く程に、隙が大きくなってゆく。
 直線的な打撃ならば、まだ対処のしようだってあっただろう。
 だけど、ホッパーの攻撃は読めない。何処から蹴りが飛んでくるか分からないのだ。
 それ故に防ごうにも防ぎ切れず、謝った方向でガードを出せば、突いて来るのはその隙。
 出来た隙に、一撃でもキックを叩き込まれれば、そこから全てが瓦解してゆく。

「つっ――」
「らぁぁっ!!」

 それでもタイガは手甲を構える。
 蹴り脚が見えた左方向へと、半ば反射的に。
 だけど、緑の回し蹴りは手甲の直前でその軌道を変えて。
 内側へと捻り込まれた膝によって、足全体の軌道が上部へ逸れた。
 結果、緑の脚は見事にタイガの仮面を打ち据えたのだ。

255悪の組織は永遠に ◆MiRaiTlHUI:2010/12/21(火) 19:29:44 ID:/6CcXFDc
 
「このっ……」

 ふらつく足元。
 頭が揺らされ、感じる目眩は軽い脳震盪。
 如何に仮面ライダーの仮面と言えど、その上からの揺さぶりには無意味。
 開いてしまった上半身へと連続的に叩き込まれるのは、次の蹴りだ。
 宙に掲げた膝を軸に、足先を自由に回転させ、打ち込まれる打撃。
 右から、左から、上部から、前方から。
 最早対処は完全に不能。

「……ライダージャンプ」

 ――RIDER JUMP――

 遠くなりかけた意識の中で、タイガが微かにその声を聞いた。
 霞んで見える視界の中で、目の前の緑の左脚が真っ赤に光輝いた。
 拙い。このままでは死ぬ、と。東條悟の本能が、警鐘を鳴らし立てる。
 対する判断は、両腕の手甲を前方で重ね、ガードの姿勢を作る事だった。

「ライダーキック……!!」

 ――RIDER KICK――

 電子音と共に、緑の身体が舞い上がった。
 病院の天井に触れるか触れないかの位置まで飛び上がって。
 緑とも赤ともつかない眩い光が、稲妻となって緑の脚を駆け廻る。
 後の事など考えている余裕は無い。今持てる全力であのキックを防ぐのだ。
 自分は既にアドベントもファイナルベントも使っているのだから、そうするしか生き残る術が無かった。
 二本の脚でリノリウムの床を踏み締めて、構える両腕に持てる全力を注ぎ込む。

「はぁっ――!!」
「うっ……!!」

 刹那、緑と赤の稲妻が、タイガの手甲で弾けた。
 爆発的な衝撃。両腕を吹き飛ばされてしまいそうな振動。
 踏ん張る脚に激烈な重みを感じて、その威力を身を持って知る。
 だけど、それでも、耐えた。デストクローの装甲は、敵のキックに耐え抜いたのだ。
 痺れる腕で何とか手甲を握り締めて、安心感と、一縷の希望を胸に抱く。
 だけども、そんな希望を打ち砕いたのは、目の前の“金色の脚”だった。

「えっ――」

 まるで、バッタの脚をそのまま模した様な金具。
 緑の左足に装着された金色の脚が、ガチャンと音を立てて動いた。
 何が起こったのかを理解するよりも先に、飛び跳ねたのは緑の身体。
 再びその左足にタキオンの稲妻を纏わせて、繰り出される第二の飛び蹴り。
 手甲を構えたままの状態で、その脚がもう一度手甲を捉えたのは一瞬の後。
 そして、そこから繰り出されるのは、連続でのライダーキック。
 二撃目で、手甲に僅かな亀裂が走った。
 三撃目で、手甲の亀裂が全体へと広がった。
 四撃目で、手甲は甲高い音を立てて砕け散った。

「嘘だっ……」

 輝く緑のライダーキック、その五撃目。
 今度の攻撃は、酷くスローモーションに見えた気がした。
 勝ち続けて英雄になる筈の自分が、こんな所で死んでしまうのか。
 そんな疑問が東條の頭を駆け廻って、これ以上の対処は不可能であった。
 何の対処も成さないタイガの銀の装甲に直撃するは、稲妻迸る必殺の蹴り。
 刹那、全身に響き渡る衝撃と振動。銀の胸部装甲が砕かれ、次いで全身の鎧が消失する。
 最早それが痛みと呼べる感覚であるのかを感知する暇すら無く、東條は意識を手放した。

256悪の組織は永遠に ◆MiRaiTlHUI:2010/12/21(火) 19:30:15 ID:/6CcXFDc
 




「チッ……こいつはやべえな」

 紫の剣で白銀のサーベルを受け止めて、ネガ電王はごちる。
 あの緑のライダーが現れた事で、戦況は大きく変わってしまった。
 タイガは緑のライダーにやられ、自分に課せられたのは二人の正義との戦い。
 たった一人で、白銀のライダーと、紫紺のライダーを相手にせねばならないのだ。
 先程まで圧倒的に有利だった筈の悪が、今では正義に屈しかけている。
 この現状を、ネガタロスは呪わずには居られなかった。

「ヴェイッ!」
「ぐっ……!」

 ブレイドの醒剣が、ネガ電王の身体に叩き付けられた。
 眩い火花が閃いて、電王の装甲を通して僅かな痛みがネガタロスを襲う。
 だけども、この程度で怯む事はない。すぐに体勢を立て直し、剣を振るった。
 紫の剣はブレイドの銀の装甲を切り裂いて、その身を後退させる。
 だけど、直後に待って居るのは、白銀のサーベルによる攻撃。

「チッ……!」

 何度も言うが、現状は一対二。
 例え片方に攻撃を仕掛けようと、その後で待って居るのはもう一方の攻撃。
 一方の攻撃を防いだところで、その隙を突いて来るのはもう一人の剣。
 認めたくは無いが、特に変わった武装でも無い限り、現状で勝利する事は難しい。
 どう考えたって、たった一人でそれなりに戦える二人を相手にするのは難しかった。

「またこの展開かよ……!」

 思えば、あの時だってそうだ。
 有利かと思っていた電王との戦い。現れたのは突然の乱入者。
 真っ赤に煌めくキバの鎧を身に纏い、名も知らぬ敵がネガ電王の邪魔をした。
 結果、二人の正義の仮面ライダーを相手に、ネガ電王は成す術もなく敗退した。
 だけどそれは、ネガタロスにとっても貴重な経験となった。
 今回は違う。今回は前の様には行かない。
 いざとなれば。

「仕方ねえっ!」

 ――FULL CHARGE――

 一瞬の隙を突いて、翳したのはライダーパス。
 紫の光を放つバックルが、必殺の電子音声を響かせる。
 だけど今回は、これを戦いの為に使用するつもりはない。
 そう、前回の戦いで学んだ事を活かす為に。

(無理な状況では、無理に戦わない……それが勝つ悪の賢さだ!)

 禍々しい光を伴った剣先を、横一閃に振り抜いた。
 飛び出した刃は、キバーラとブレイドの上体を切り裂いて、すぐに帰還する。
 ネガタロスの予想通り、二人は僅かな爆発と共に、一瞬ではあるが動きを止めた。
 一応こちらの必殺技なのだ。倒すつもりで使ったのでは無いとは言え、只で済む訳はない。
 相手が体勢を立て直すその前に、ネガ電王は病院の窓ガラスを突き破って、外へと躍り出た。

 ネガタロスが選んだ最後の手段とは、戦略的撤退であった。

257悪の組織は永遠に ◆MiRaiTlHUI:2010/12/21(火) 19:30:55 ID:/6CcXFDc
 




 黒のコートを翻して、矢車は大きく嘆息した。
 今し方自分が倒した男は、無様にリノリウムの床を転がっている。
 見ればこの男はまだ若い。自分よりも大幅に年下に見える。
 動かなくなった東條の顔を一瞥して、苛立ちを込めた嘆息を、また一つ。
 その場へ駆け付けて来たのは、先程まで一緒に居た夏海と、もう一人の男だった。
 夏海はすぐに横たわる東條を抱き起こし、その様態を確認する。

「……大丈夫です、気絶してますけど、まだ生きてます!」

 どうやら自分が倒した男はまだ生きていたらしい。
 別に命を奪うつもりも無かった。ただ腹が立ったから、潰しただけだ。
 それ故に男の安否に蚊程の興味も無かったし、これ以上その男の顔を見ている気にもなれなかった。
 だから何も言わずに、このまま立ち去ろう。
 そう思い、歩き出そうとした時であった。

「おい、待てよ! アンタ、さっきは助けてくれたんだよな?」
「……あ?」
「ありがとう」

 振り返った矢車を待ち受けていたのは、笑顔を浮かべる男であった。
 男は、剣崎一真は、何の裏も持たない笑みで、矢車を真っ直ぐに見詰める。
 その視線が眩しくて。その言葉が眩しくて。剣崎という男が、眩しくて。
 これ以上見てられないとばかりに、矢車は剣崎から視線を外した。
 そのまま何も言わずに立ち去ろうとするが、しかし剣崎はそれを許さない。

「お、おい、ちょっと待ってくれよ!」

 剣崎の手が、矢車の肩を掴んだ。
 行く手を阻まれた矢車は、ただ項垂れるように立ち止まる。
 溜息だけを微かに漏らして、矢車は何をするでもなく、その場で腕を組んだ。

「アンタ、味方なんだよな? 一緒に大ショッカーと戦ってくれるんだよな?」
「お願いします矢車さん……私達と一緒に大ショッカーと戦って下さい!」

 僅かに首を傾けて、様子を見遣る。
 東條から道具一式を預かった夏海が、またも眩しい瞳で自分を見詰めていた。
 地獄に落ちて、それでも白夜を目指そうとした、こんな自分に掛けられたのは、期待。
 下らない、ちっぽけな自分に、こいつらはまだ何かをさせようと言うのか。

「はぁ……気が変わった。弟を笑った大ショッカーは俺が叩き潰す……だが、お前らと行動する気は無い」
「なんでそんな事言うんですか! 目的が同じなら、一緒に戦えばいいじゃないですか!」

 夏海の言葉は尤もだ。
 大ショッカーの言う通りに戦う気にもなれないし、出来る事ならとっとと死にたかった。
 だけど、それ以前に矢車は、大切な事を忘れていた。忘れてはいけない、大切な事を――。
 そう。下らない理由で大切な弟を死に追いやったのは、他でも無い大ショッカーなのだ。
 奴らは勝手な基準で弟を不必要と決めつけ、何の抵抗も許さぬまま、弟を惨殺した。
 それを思い出した途端、込み上げて来る感情は、熱く、激しい怒り――愛憎。
 弟の待つあの世へ行くのは、大ショッカーを叩き潰してからでもいい。
 自分が仇を討つ事を、あの弟もきっと望むだろう。
 だから、矢車は行動を開始したのだ。

「今の俺にはまだ、お前らは眩しすぎる」
「またそんな訳の分からない事を……!」

 そう、まだ彼らは眩しすぎる。
 白夜を目指して旅を始めた矢車は、しかしまだ白夜を見付けては居ない。
 これから旅立とうとした矢先、弟を失って、自分はこんな所へ連れて来られたのだから。
 弟の居なくなってしまった世界で、自分一人白夜を目指した所で意味がない。
 それ故に、矢車はもう一度光から目を背け、生きる道を選んだのだ。
 だけど――それなのに。

「それでも、俺達はアンタと一緒に行くぞ。その方が安全だからな」

 今度は、剣崎だった。
 東條の身体をその背に抱えて、矢車に追随する。
 こいつらはどうあっても、自分を一人にはしてくれないらしかった。
 言っても聞かないなら、何を言っても無駄か。ならばもう、好きにするがいい。
 矢車はぽつりと、勝手にしろ、と呟き、その歩を進めるのであった。

258悪の組織は永遠に ◆MiRaiTlHUI:2010/12/21(火) 19:31:33 ID:/6CcXFDc
 

【1日目 日中】
【E−4 病院/一階診察室】
※診察室の天井と壁が破壊されています。
※二階の廊下が破壊され、一階診察室と繋がっています。
※二階の病室の壁が、破壊されています。


【剣崎一真@仮面ライダー剣】
【時間軸】第40話終了後
【状態】疲労(小)、ダメージ(小)、仮面ライダーブレイドに二時間変身不可
【装備】ブレイバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(スペードA〜6.9)@仮面ライダー剣
【道具】支給品一式、ガイアメモリ(ヒート)@仮面ライダーW、ケータッチ@仮面ライダーディケイド
【思考・状況】
基本行動方針:人々を守り、大ショッカーを倒す。
1:今は夏海、矢車と共に行動する。
1:橘朔也、相川始と合流したい。
2:何故、桐生さんが?……
3:Wとディケイドが殺し合いに否定的ならアイテムを渡したい。
4:龍騎の世界で行われているライダーバトルを止めたい。
【備考】
※龍騎の世界について情報を得ました。


【矢車想@仮面ライダーカブト】
【時間軸】48話終了後
【状態】気絶中、弟たちを失った事による自己嫌悪、キックホッパーに二時間変身不可
【装備】ゼクトバックル+ホッパーゼクター@仮面ライダーカブト、カードデッキ(リュウガ)@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜1)
基本行動方針:弟を殺した大ショッカーを潰す。
1:剣崎一真、光夏海と行動するが、守る気はない。
2:殺し合いも戦いの褒美もどうでもいいが、大ショッカーは許さない。
3:天道や加賀美と出会ったら……?
【備考】
※支給品は未だに確認していません。
※ディケイド世界の参加者と大ショッカーについて、大まかに把握しました。


【光夏海@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】疲労(中)、ダメージ(中)、仮面ライダーキバーラに二時間変身不可
【装備】キバーラ@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式×2、不明支給品(0〜4)
【思考・状況】
基本行動方針:大ショッカーを倒し、皆と共に帰還する。
1:剣崎と共に、矢車と行動する。放っておけない。
2:士、ユウスケ、大樹との合流。
3:おじいちゃんが心配。
4:キバーラに事情を説明する。
5:出来れば皆で情報交換もしたい。特にブレイドについて。
【備考】
※支給品は未だに確認していません。
※矢車にかつての士の姿を重ねています。
※矢車の名前しか知らないので、カブト世界の情報を知りません。
※大ショッカーに死神博士がいたことから、栄次郎が囚われの身になっていると考えています。
※キバーラは現状を把握していません。
※目の前にいるブレイドが、自分の知るブレイドとは別人であると知りません。
※キバーラに変身してから、5分の時間が経過しました。
※東條の道具を預かっています。


【東條悟@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】インペラー戦後(インペラーは自分が倒したと思ってます)
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、仮面ライダータイガに二時間変身不可
【装備】なし
【道具】なし
【思考・状況】
基本行動方針:全ての参加者を犠牲にして、ただ一人生還。英雄になる。
1:……………………(気絶中)。
2:自分の世界の相手も犠牲にする。
3:ネガタロスを利用し、悪の英雄になるのもいい。
4:基本的には病院で参加者を待ち伏せてから殺す(二階の廊下が気に入ってます)。
【備考】
※剣の世界について情報を得ました。
※タイガに変身してから、5分の時間が経過しました。

259悪の組織は永遠に ◆MiRaiTlHUI:2010/12/21(火) 19:32:03 ID:/6CcXFDc
 


 ぱりぃん!と。
 周囲に響き渡るガラスの破砕音。
 先程窓を突き破ったネガタロスが立てた音であった。
 漆黒の身体を太陽の下に晒して、ネガタロスは気付いた。

「……変身が解けてやがる」

 電王の紫のオーラアーマーが、消失していた。
 解除した覚えは無い。戦闘が終わって、病院から飛び出た時には既に、だ。
 一体どういう理由で電王の変身が解けてしまったのか。
 それについても思考しなければならない。

「その為にも、まずは仲間だ!」

 そう。何が何でも、まずは優秀な仲間を見付けなければならない。
 優秀な悪を見付けだして、幹部ないし兵隊として招き入れてやる。
 そうして、揺るがぬ確実な組織力を手にしてから、この殺し合いを蹂躙するのだ。
 最後まで勝ち残った自分の組織は、元締めである大ショッカーを潰しにかかる。
 それを締めとして、新たな悪の組織の真の旗揚げとなるのだ。
 その為にも、今はボスである自分の安全を確かなものとする。
 ボスさえ居れば組織は何度でも復活出来るのだから。

 しかし、物事はそう上手くは行かない。

「なっ――」

 突然自分を襲ったのは、銀の何か。
 無数の銀の塊が、弾丸の如く自分の身へ迫った。
 何の対処も出来ずに、ネガタロスの身体は飛び交う銀に打ち据えられた。
 思いもよらぬ出来事に体力を奪われ、それでもその場に踏ん張って、目を見張る。

「壊してやる……」
「あ? なんだ……お前」

 そこに居るのは、漆黒の戦士。
 まるでカブトムシの様な黒と赤の装甲。
 金色の瞳は不気味に揺らめいて、自分を真っ直ぐに見据える。
 スリムなそのボディは、太陽に背を向けて、不気味に歩を進める。
 それだけで、ネガタロスには分かった。
 こいつは悪だ。揺るぎなき悪だ。

「お前、悪だろ……! いいぜ、今なら俺の組織に入れてやる!」

 両手を高らかに広げ、宣言する。
 この男は、間違いなく立派な兵隊となる。
 強くて、揺るぎの無い悪。それが目の前の黒いカブト。
 こいつをここで引き込む事は、間違いなく自分の勝利に繋がるのだ。
 だけど、ネガタロスの申し出に対しての返答は、電子音であった。

 ――CLOCK UP――

 それからの事は、ネガタロスにも良く解らなかった。
 何が起こったのか。自分の身を何が襲ったのか。
 少なくとも、この時点では、何一つ。

「今なら幹部の椅子を用意してや――」

 言葉を言い終える前に、黒いカブトが消えた。
 それから一秒――一瞬すら待たずに、自分を襲ったのは激痛。
 黄色とも赤ともつかない稲妻が胴体で弾けて、大量の砂が噴き出した。
 何かに蹴られたのか? と、そんな疑問を抱く痛みだった。
 だけどもうこれ以上は、立って居る事すらも難しい。
 崩れゆく体制のまま、僅かに残った意識を向ける。
 そこに居たのは、漆黒の悪魔。

「やっぱ……最後に勝つのは、強い悪か」

 こいつは間違いなく、悪だった。
 有無を言わさぬ完全な悪だった。
 自分とは違う、仲間を必要としない悪だった。
 そう。勝つのは何時だって、強い悪なのだ。
 自論を証明するのは、皮肉にも自分自身の最期。

「潰れちゃえ」

 黒いライダーの短刀が、ネガタロスの首を掻き切った。
 こうしてネガタロスは、悪に生き、悪に散るという結末を迎える。
 最期まで悪として生きようとしたネガタロスにとっては、最高のクライマックスであったとも言えよう。
 しかし、それで死んでしまっては意味が無いのだが――そんな事は今更言っても遅過ぎる。



【ネガタロス@仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事 死亡確認】



 黒い悪魔は、先へ進む。
 大量の砂と、黒い死体を踏み躙って。
 彼が先程まで持って居た道具を全て奪い取って。
 病院の中に居るであろう参加者を、皆殺しにする為に。

260悪の組織は永遠に ◆MiRaiTlHUI:2010/12/21(火) 19:32:35 ID:/6CcXFDc
 

【擬態天道総司(ダークカブト)@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第47話 カブトとの戦闘前(三島に自分の真実を聞いてはいません)
【状態】健康 情緒不安定気味 仮面ライダーダークカブトに変身中
【装備】ライダーベルト(ダークカブト)@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、不明支給品(1〜3)、デンオウベルト+ライダーパス@仮面ライダー電王
【思考・状況】
0:病院にいる参加者達を、全員殺す。
1:天道総司を殺し、『天道総司』に成り代わる。
2:全ての世界を破壊するため、手当たり次第全員殺す。
3:特に優先的に『カブトの世界』の五人を殺害する(最終的には自分も死ぬ予定)。
4:僕はワームだった……。
【備考】
※ 名簿には本名が載っていますが、彼自身は天道総司を名乗るつもりです。
※ 参戦時期ではまだ自分がワームだと認識していませんが、名簿の名前を見て『自分がワームにされた人間』だったことを思い出しました。詳しい過去は覚えていません。
※ ネガタロスの支給品を全て奪いました。

261 ◆MiRaiTlHUI:2010/12/21(火) 19:33:19 ID:/6CcXFDc
投下完了です。
何かあればまた指摘などよろしくお願いします。

262二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/21(火) 19:56:46 ID:Ic1Jlyt.
投下乙です
ああ、ネガタロスが脱落したか…………
矢車さんはやる気になったけど、ダブトが接近してるっ!?
しかもみんな変身解いてるし
やばいよっ!?w

263 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:14:00 ID:uLjmpZYg
投下乙でした。

ああ、東條……矢車兄貴の心に火を付けたのが最大の不幸か……
それにネガタロス……運悪くダークカブトに遭遇してしまったか……
って、ダークカブト迫っているが全員変身解除……ダークカブトの変身時間は残り何分? 変身ツールはどうする?

それでは自分もゴ・ガドル・バ、ン・ダグバ・ゼバ、ズ・ゴウマ・グ、津上翔一分投下します。

264三様 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:15:06 ID:uLjmpZYg





 参加者に支給された物の中に名簿が存在する。
 そこには参加者の名前が描かれている事は言うまでもない。
 当然まず確認するべきは自分の知り合いあるいは身内の有無の確認だ。





 名簿をざっと確認しても五代雄介、一条薫等という風に日本人の名前が大半を占めるのは誰の目にも明らかだろう。
 片仮名の名前もあるがそれは極々一部だ。
 しかし、これらの名前の中に3つ程明らかに異質な名前が存在している。
 ズ・ゴオマ・グ、ゴ・ガドル・バ、ン・ダグバ・ゼバの3つの事だ。これらの名前は固有名詞の前後に1〜2文字の片仮名が付いている。
 これだけを見てもこの3人が関係者と推測する事が可能だろう。それは正解だ。
 彼等はある世界の超古代に存在し封印されたものの現代に蘇った種族グロンギである。
 彼等はリントという超古代に存在していた民族を標的としての殺人ゲームゲゲルを行っており、蘇った現代においても人間達をリントと見なし彼等を標的にしてゲゲルを行っている。
 そしてそのグロンギと戦うのがリントの戦士クウガであり、青年五代雄介が発掘されたベルトを身に着けた事で現代にクウガが蘇ったというわけだ。
 もっとも、現代社会においては彼等は異質な存在である。故にグロンギは一般には未確認生命体と呼称され当初はクウガも未確認生命体として扱われていた。
 未確認生命体は確認された順に第1号、第2号とナンバリングされていった。
 ズ・ゴオマ・グが第3号、ゴ・ガドル・バが第46号、そしてン・ダグバ・ゼバが第0号である。
 第0号というのは第1号が確認される前の映像において全ての未確認生命体を復活させた最初の存在故にそう呼称されている。
 ちなみにクウガは初めて確認された時の白い姿が第2号、赤い姿が第4号として世間一般では認知されている。

 今回の殺し合いは同一世界の参加者は同じチームとなっている。故にクウガこと五代雄介、彼をサポートする刑事一条薫、そして未確認生命体ことグロンギの3人は一応味方同士という扱いだ。
 しかし、彼等が組む事は有り得ない。五代にしても一条にしても殺し合いに乗るつもりは全く無いが、グロンギ3人は共にこの地でも各々殺し合いに乗りそれを楽しもうとしている。
 彼等が相容れる事は有り得ないという事だ。
 それ以前に、五代にしても一条にしても彼等の本名すら知らないのだ、名簿を見た所で3人が未確認生命体の誰かという所までしかわからないだろう。
 では、グロンギ3人同士ならばどうか? 結論から言えばそれも有り得ない。
 彼等には協力し合うという概念が存在しないのだ。グロンギ同士であってもゲゲルの中においては敵同士でしかない。
 彼等にとっては他のグロンギも最終的には倒すべき敵ということだ。
 気が狂っている? そう思う方も多いだろうが彼等にとってはゲゲルは神聖なものであり同時に極上の遊戯なのだ。理解出来ない者も多いだろうがそれがグロンギということなのだろう。
 ともかく、3者のグロンギにとっては他のグロンギも倒すべき敵でしかないという事だ。





 ガドル、ダグバ、ゴオマ、3人のグロンギはそれぞれの場所でそれぞれのゲゲルに挑んでいる。
 彼等の思惑は三者三様、リント――人間から見れば同じ様に見えてもグロンギである彼等にとっては大きく異なっている――

265三様 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:15:55 ID:uLjmpZYg










【F-2 路上 03:14 p.m.】





「おい……」



 そう、津上翔一の背負うデイパックから声が響く。



「え? もしかして気が付きました?」



 翔一はその声の主が今現在背負っている男性だと思ったが、



「違う、俺だ」
「あ、キバット。起こしちゃったかな?」



 声の主はキバット族の名門、キバットバット家の二代目キバットバット二世だ。もっとも、傍目から見れば小型の蝙蝠型モンスターでしかない。
 彼は数十分程前、翔一のデイパックの中に入り昼寝をしていた筈である。



「そうではない。気になる事があってな」
「気になる事?」
「率直に言うぞ……今何が起こっている?」

266三様 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:16:40 ID:uLjmpZYg











【G-6 路上 03:19 p.m.】





 軍服を着た男ゴ・ガドル・バはF-6にある市街地を目指し道路を歩いていた。
 数十分程前漆黒の戦士、そして黒の仮面ライダーとの戦いを終えた彼は更なる激闘を求め、粗方探索を終えた市街地を離れ、別の市街地へ向かっていたのだ。
 これまでに遭遇したのはクウガと灰色の怪人に変身しオレンジの甲冑を身に着けた男、そして前述の2人の黒の戦士だけだ。
 ガドルにとってのゲゲルは戦うリントを殺害する事、
 故に他の戦うリントや仮面ライダー、あるいは戦士を探す為に移動していたというわけだ。

 殺し合いに乗っているのはある意味では自分の世界を守る為ではある。だが、ガドルにとって重要なのはそこではない。
 最終的な目的はザギバスゲゲルに勝利し最強となる事だ。
 この殺し合いはその前哨戦でしか無いという事だ。



「クウガ……」



 だが、気になる事が無いではない。この地で出会ったクウガに違和感を覚えていたのだ。



「クウガバボバ、ガセパゾンドグビ」



 その時のクウガは何故か元の世界で戦った時よりもずっと弱体化していた。『あの力』を使う事もなく戦い方もずっと未熟だった。
 更に言えば声等にも何処か違和感を覚えていた。
 真面目な話をすればあのクウガが同じゴであるゴ・バベル・ダやゴ・ジャーザ・ギを倒したとは思えないのだ。
 クウガだがクウガではない、そう思えてならないのだ。



「ラガギギ、バンベキバギ、クウガザソグガババソグガ」



 だが、その事など些細な事でしかない。次に戦った時に殺せば良いだけの話だ。
 この地にはクウガ以外にも数多の戦士や仮面ライダーが存在する。クウガに拘る必要など皆無だ。
 それ以前に、クウガ自体ガドルにとっては前哨戦でしかない。
 クウガと戦う前にクウガが得た『あの力』をガドルが得たのも全てはその先の為、
 そうザギバスゲゲル、ン・ダグバ・ゼバとの戦いの為なのだ。



「ダグバ、ラデデギソ……」

267三様 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:17:30 ID:uLjmpZYg










【F-2 路上 03:23 p.m.】





「世界を賭けた殺し合い……随分と悪趣味な話だな」



 キバットは翔一から今行われている殺し合いを聞きそう呟いた。



「本当ですよね、だから俺達がこの殺し合いを止める仲間を集めている所なんですよ」
「その為に街に向かおうとした所、俺が呼び止めたというわけだな。邪魔だったか?」
「いえ、むしろ感謝しています。だって、こうやって『アギト』を助ける事が出来ましたから。そうだ、キバットには誰か仲間とか知り合いとかいないんですか?」



 暫し間をおいて、



「……真夜」
「真夜さんですか? ちょっと待ってください……」



 と、翔一はデイパックから名簿を出し確認を行う。キバットもその時だけデイパックから出て後ろから名簿を覗き込む。



「いない……よかったですね、彼女は巻き込まれてないですよ。他に誰かいないんですか?」
「……」



 キバットからの答えはない。翔一は他に知り合いはいないと判断し名簿をデイパックに仕舞う。そのタイミングでキバットもデイパックの中に戻る。
 そして、再び歩き出す。



「せめて手当て出来る道具があれば良かったのに……」



 翔一が気にしているのは背負われている男性の事だ。彼の傷は見た目以上に深い。病院に行く前に応急処置を施したかったが自分と男性、そして廃工場にあった物ではそれすらままならなかった。



「……もう1つ聞かせろ、お前はこの男を『アギト』と呼んでいたな。『アギト』とは何だ?」

268三様 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:18:15 ID:uLjmpZYg










【G-6 T字路 03:23 p.m.】





「ダグバ……」
「ガドル……」





 それは偶然の出会い、T字路をそのまま直進しようと前進していたら前方に白い服を着た少年が姿を見せたのだ。
 だが、ガドルはその少年を知っている。同時に少年もガドルを知っている。
 そう、少年こそがグロンギの王ン・ダグバ・ゼバだったのだ。





 予期せぬ遭遇にガドルの体に緊張が奔る。





「ドブゾビリガボパガサゲ、ギデブセスボバギゲガゴビ?」





 ダグバの表情からは笑みが零れているのが見て取れる。
 ガドルは理解した、ダグバは自分と戦おうとしているのだと。
 しかし同時に奇妙な話ではある。本来ならば自分のゲゲルの最中の筈だ。
 今まだダグバとの戦いザギバスゲゲルではない。
 つまり、今はまだ戦う時ではないはずだ。





 そう思考するガドルを余所にダグバは手を出して構える。それはダグバが戦闘態勢に入ったという事だ。





「ゾグギダボ? ボパガサゲジョ、ドブゾ」

269三様 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:19:24 ID:uLjmpZYg





 ダグバは誘っている。自分と戦えと――
 確かにダグバと戦う事自体は望む所だ。少々時期尚早ではあるがそれ自体に異論はない。





「ギギザソグ……」





 故にガドルもまた戦闘態勢に入る。だが――





「バゼザ?」





 自身の姿が変化しない。そう、怪人態とも言うべき本来の姿に変化しないのだ。





「バゼバパサン! ラガバ……」





 ガドルの表情に焦りが現れる。
 大ショッカーが課した制限の影響か1回で変身出来る時間は10分という事は把握出来ている。
 だが、この様子では他にも制限が課せられていると考えて良い。1度変身すればある程度時間をおかなければ再変身出来ないという事だ。
 確か前に変身してからまだ1時間経過していない、1時間程度では変身不能は解除されないという事なのか?





 だが、今はそんな事などどうでも良い。重要なのは目の前のダグバだ。変身出来なければ『あの力』も使いようがない。
 このまま戦いにもならない蹂躙という形でダグバに殺されるしかないだろう。

270三様 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:20:10 ID:uLjmpZYg





 だが――





「……バビ?」





 ダグバの方も本来の姿に変化していない。もしやダグバもつい数十分前に変身したばかりだというのか?
 しかしダグバの表情は変わらない。変わらず楽しそうな笑みを浮かべている。
 理解しているのか? ここで自分が変身すれば一方的に殺されるだけなのだぞ?





 そんな思惑を余所にダグバはゆっくりとガドルに近付きその距離を詰めていく、





 9――





 6――





 3――





 2――





 1――

271三様 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:21:00 ID:uLjmpZYg















「……バゼザ?」




 ガドルは自分を通り過ぎたダグバに問う。何故、戦わないのかと――





「ドブゾボパガサゲダシ、ゲガゴビギダシ、ゾビバビドゴロダダバサ、ギラボビリジャ……ヅビビガダダドビ、ドブゾボパガサゲデゲガゴビギデジョ、ラドドヅジョブバドド」





 その答えで理解した。ガドルは見逃されたのだと。
 屈辱ではある。それでもこの場はそれを受け入れる事にした。





「バビガガドド?」





 ガドルはダグバにそう問いかける。
 ダグバの顔には誰かに殴られた跡があり、腹部には見慣れないベルトが巻かれていた。
 更に言えばダグバの言動を見る限り『恐怖』を求めている風に感じたのだ。





「バパダダリントバギダンザ。ゴギゲデブセダンザリントバ。『ボパギ』デデギグボドゾベ……ボボデスドロヅブダダロボザジョ、リントバ」
「ダグバビギパゲスドパバ、ゴボラゼ……」





 そう言ってガドルは再び歩き出す。目的地はダグバが向かってきた方向にある市街地だ。
 ダグバにすら影響を与えたリントの戦士に会えるかも知れないのだ。

272三様 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:21:45 ID:uLjmpZYg





「ダグバ、マデデギソ」





 それがダグバに対するガドルの挨拶だった。そして、ダグバもまた





「マデデスジョ」





 自分達の言葉でそう答えた。





【1日目 日中】
【G-6 T字路】
【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
【時間軸】不明
【状態】疲労(小)、腹部にダメージ、顔面出血、苛立ち、5分変身不可(怪人体)、35分変身不可(ユートピアドーパント)
【装備】ガイアドライバー@仮面ライダーW
【道具】支給品一式
【思考・状況】
1:恐怖をもっと味わいたい。楽しみたい。
2:ガドルやリントの戦士達が恐怖をもたらしてくれる事を期待。
【備考】
※ガイアドライバーを使って変身しているため、メモリの副作用がありません。
※ユートピアメモリは破壊されました。





 ダグバとの遭遇はほんの数分だった。しかしガドルの全身からは汗が流れ出ていた。
 別に戦いになったわけではない。故に体に受けたダメージは皆無だ。
 だが、ダグバの全身からは強大な威圧感を感じた。変身していなくても強大な力を持っている事は明らかだ。

 確かに戦いにならなかったのは自身が変身出来なかったからだ。しかし、変身出来たとしてダグバと戦いになっただろうか?
 わからない? そう、わからないのだ。ゴの中でも最強で、同時にクウガすらも凌駕する力を得た自分でもわからないのだ。
 『あの力』を使った所でどうなるかは全くわからないのだ。
 戦いになるかも知れないしならないかも知れない、それがわからないぐらい強大だったということだ。





「ゴゴセデギダ……ゴセバ……?」





 ダグバが口にしていた『恐怖』……それを自分は感じていたのだろうか?
 真相はどうあれダグバを甘く見ていた事だけは確かだ。
 『あの力』を得てクウガをも圧倒し、この地においても基本的には相手を凌駕し続けていたがそれは甘かったという事だ。
 言ってしまえば天狗になっていたのかも知れない。





「ゴオマザ、ボセゼパラスゼ」





 脳裏にはずっと格下の存在のグロンギが。そいつはダグバのベルトの欠片を得た事で自身を強化し最強の存在になったといってダグバを殺そうとした。
 しかし自分達ゴは最初からダグバに勝てるとは思っておらず、実際ダグバに瞬殺された。それが現実である。
 だが、今の自分の姿は力を得ただけで調子に乗っていた愚者でしかない。これではあの男を馬鹿にする事など出来ない。

 自分の愚かしさに怒りすら覚える。それでこものタイミングで気付けた事は幸運だ。この教訓を胸に進むだけである。





「ゴセパザバギンザシグラゴ・ガドル・バザ、ゴセパダグバンラゲビダヅ、ババサズ」

273三様 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:22:45 ID:uLjmpZYg










【F-2 道路 03:36 p.m.】





「……というわけなんですよ」



 アギトとそれを狙うアンノウンに関する説明が大体終わった。



「それでこの男が『アギト』で、あそこにいた鬼が『アンノウン』だと思ったわけだな?」
「はい、アンノウンはアギトを狙いますから」
「……では『クウガ』は何だ?」
「え? 『クウガ』ですか?」
「この男がお前のあの姿を見てそう呼んでいた。もっとも俺にはお前もこの男も似た様なものに見えたがな」
「さぁ、『アギト』の親戚……じゃないんですかね?」
「俺にとってはどっちでも良いがな。もう一眠りさせてもらうぞ」

 キバットはそれきり黙り込んでしまった。そして翔一もまたキバット及び背負っている男性を起こさない様に再び病院へ向けて歩き出した。





 しかし、





「(全く……本当に悪趣味な話だ)」



 キバットは未だ眠りについてはいなかった。
 気が付いたら男性のデイパックの中にいて、起こされたと思ったらいきなり命令をされたのだ。誇り高きキバット家の主としては腹立たしいことこの上ない。
 一応は昼寝していたがその事が気になりまともに眠れずすぐに目が覚めた。故に翔一に事情を聞いたというわけだ。
 聞けば世界を懸けた殺し合いという話ではないか。恐らく自分の役割は自身が支給された先、即ち男性に『キバの鎧』を与える事なのだろう。
 確かにその男性は蝙蝠を模した怪人になっていた。そういう意味では『キバの鎧』が相応しい事は理解出来なくもない。



「(巫山戯るな……俺は連中の都合の良い道具ではない……)」



 キバットは道具ではない、立派な一つの生命体だ。道具扱いされて良い気などするわけがない。
 故に大ショッカーに対して強い怒りを感じていた。
 それ以前に、少なくてもこの男性に力を貸した所でキバットには何のメリットもない。
 この男性は自分の世界の人間ではない。つまり、この男が優勝した所で自分の世界が滅びるだけだ。
 何故に自分が自分の世界を滅ぼす為に戦わなければならないというのだ?
 少なくても真夜がいる世界を滅ぼしたいと思うわけがない。
 キバットが一番悪趣味に感じているのはそこなのだ。

274三様 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:23:20 ID:uLjmpZYg

 とはいえ現状、大ショッカーを打倒すると口にしている翔一に全面的に協力するつもりもない。
 真夜の世界を守りたいとはいえわざわざ人間に協力する義理などないからだ。正面から敵対するつもりも無いが協力するつもりもない。
 当面は静観させてもらうつもりだ。

 真面目な話、キバットにとってはあまりにも分が悪い話だ。
 真夜のいる世界を守る方法は大ショッカーを打倒するか、自分の世界の優勝だ。
 だが、自分の世界の優勝に関しては少なくとも自分がすることなどない。
 翔一は気付いていなかったが名簿を後ろからのぞき見た所、知っている名前が3つあった。

 紅音也――真夜を愛し、同時に真夜に愛された人間の男
 紅渡――未来からやって来たという真夜と音也の間に生まれた男
 キング――かつての自分が仕えていたファンガイアの男

 もしかすると真夜にボタンをくれた男がこの地にいるかもと多少は考えたが流石にそれは無いだろう。
 何にせよ優勝を目指すのならばこの3人と合流すれば良い筈だ。
 だが、真夜に非情な仕打ちをしたキングに今更力を与えるつもりは全く無い。
 また、渡には恐らく自分の息子という事になっているキバットバットⅢ世がいるだろう。少なくても自分が力を貸す必要は皆無だ。
 そして、音也――確かにこの男に力を貸す事に関してはある程度考えても良い。

 だがそれもやはり避けるべきだろう。
 確かに自分は『闇のキバの鎧』を与える事が出来る。
 しかしそれは決して都合の良い力ではない。その力は確かに絶大だが装着者が受ける反動もまた非情に大きく資格のない者が身に纏えばそれだけで死に至る。
 扱えるのはそれこそ最強のファンガイアとも言うべきキングクラスぐらいなものだ。
 そう、少し強い程度のファンガイアや人間が扱えるわけがないのだ。
 音也はキングから真夜そして真夜とキングの子である太牙を助ける為に自分の力を使い闇のキバの鎧を纏い、渡と共に戦いキングに勝利した。
 音也はその精神力で何とか生き続けたが所詮は人間、近い内に死ぬ事は確定的だった。

 この戦いは1人だけを倒せば済む話ではない。その状況で自分が音也に力を与えた所で無駄に奴を死なせるだけだろう。
 それで戦いが終われば良いがそんな都合の良い話はない。故に自分が音也に力を与えるわけにはいかないという事だ。

 そもそもの話、何故倒した筈のキングがいるのかという根本的な疑問もあるわけだがあまり深く考えても仕方が無いだろう。

 何にせよ、自分がすべき事は特にない。故に今は只静観させてもらうだけだ。多少は口を出しても良いがそれはあくまで気紛れ程度の事だ。





 そんな中、自分が支給された男について考える。
 恐らく自分が寝ていた間に男は鬼みたいな奴と激闘を繰り広げ殺したのだろう。
 翔一は鬼がアンノウンでアギトである男を襲ったと言ったが果たしてその通りなのだろうか?



「(俺には『アギト』と『アンノウン』の戦いとは思えないがな……むしろあの男が殺し合いに乗り、あの鬼と戦い殺したといった所だろう)」



 少なくてもキバットはそう感じた。自分が接触した限り、あの男は異常なまでに好戦的だった。傷付いてもなお他者を殺したいという風に見えた。
 そして翔一が助けに来てやろうとした事は翔一を襲う事、客観的に見ればどう見ても危険人物だ。
 だが、キバットは敢えて口を出すつもりはない。実際に翔一の言う通りという可能性もあったし、全く別の真相もあるだろう。
 それ以前に翔一に対してそこまで助けてやる義理もないからだ。仮にこの男が再び翔一を襲い殺したとしても翔一が馬鹿を見るだけだ。



「(せいぜい寝首をかかれない様に気を付けろ)」



 そう内心で呟いた。
 そんな中、自分が支給された事について改めて考える。いうまでもなく、自分を支給した理由はこの男に『闇のキバの力』を与える為だ。
 だが、キバットにはこの男がその力に耐えられるとは思えなかった。
 むしろ、男自身の持つ力ですらも持て余している様に感じた。身の丈に合っていないと言っても良い。
 そんな男が自分の力を得た所でその先に待つのは死だけだ。
 大ショッカーは何を考えて自分をこの男に支給したのか? 蝙蝠繋がりというだけで支給したなら本当に悪趣味としか言いようがない。



「(本当に悪趣味な話だな……もっとも、同情はしないがな)」



 そう言って、今度こそキバットは眠りについていった。

275三様 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:24:15 ID:uLjmpZYg





 その男はダグバのベルトの欠片を得た事で強大な力を得た。しかしそれは自身の体をも変質させる程の危険な強化であった。
 彼の支給品の1つであるスミロドンのガイアメモリ、強大な力を持つゴールドメモリのそれも彼に非常に強い負担を与えた。
 そして、もう1つの支給品であるキバットが与えし『闇のキバの鎧』は生命を脅かす危険な物だ。



 それらはグロンギの中でも下級のズの者であるズ・ゴオマ・グにとってはあまりにも身の丈に合わない者だった。
 だが、その事を当の本人だけは知らない。



「クウガ……ダグバ……ゴセガボソグ……」



 誰にもその寝言の意味を理解される事無く、ゴオマは静かに眠り続けていた。





【1日目 日中】
【F-2 道路】
【ズ・ゴオマ・グ@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第39話「強魔」、ダグバに殺害される前
【状態】疲労(極大)右頬に軽度の裂傷、左掌に軽度の裂傷、右足に重度の裂傷。気絶中。翔一に背負われてます。1時間変身不能(ズ・ゴオマ・グ究極体)
【装備】なし
【道具】支給品一式、ガイアメモリ(スミロドン)、不明支給品0〜1
【思考・状況】
※以下、気絶前の思考です。
基本思考:優勝する。できればダグバは自分が倒す。
1:とりあえず休む
2:クウガ……?
【備考】
※怪人体には究極体にしかなれず、強化形態の制限時間に準じます。
※ルールブックは粗方読み終わりました。

【津上翔一@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終了後
【状態】健康 1時間変身不能(アギト)
【装備】なし
【道具】支給品一式、コックコート@仮面ライダーアギト、ケータロス@仮面ライダー電王、ふうと君キーホルダー@仮面ライダーW、キバットバットⅡ世@仮面ライダーキバ
【思考・状況】
1:打倒大ショッカー
2:殺し合いはさせない
3:この男性(ゴオマ) を病院に連れて行く。
4:大ショッカー、世界崩壊についての知識、情報を知る人物との接触
5:木野さんと会ったらどうしよう?
【備考】
※ふうと君キーホルダーはデイバッグに取り付けられています。
※響鬼の世界についての基本的な情報を得ました。
※ゴオマを「不完全なアギトに覚醒した男」、モモタロスを「アンノウン」と認識しています。

276三様 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:25:00 ID:uLjmpZYg










【F-6 市街地 03:45 p.m.】





 先に結論を言おう。
 ガドルとダグバが戦闘にならなかったのは幾つもの幸運と不運が重なったからだ。
 そう、ガドルが変身不能だったのと同様にダグバもその時点では変身不能だったのだ。
 しかしあと10数分遭遇が遅ければダグバは変身可能になっていた。そうなれば変身出来ないガドルはただ蹂躙されるだけだっただろう。
 が、実を言えば場合によってはガドルがここでダグバを仕留める事の出来る可能性もあった。
 ガドルの手元には未確認の支給品が幾つか存在していた。それらを使えば状況が変わるかも知れなかったという事だ。
 だが、ガドルはここに至るまで概ね順調だった事もありまともに支給品の確認をしていない。故に使い方も全く把握出来ていない。
 使えない道具など無いのと同じ、その失敗が今回の結果を引き起こしたというわけだ。

 しかし、ダグバとの遭遇で大きな収穫を得た。
 ダグバにも影響を与えた程のリントの存在と強力な道具の存在。
 屈辱的な敗北ではあったが、その事実は更なる闘争を予感させる為、ガドルの胸を大いに高ぶらせた。
 故にF-6の住宅地に入りガドルは遂にデイパックの中身を確認する事にしたのだ。
 ダグバが身に着けていたのは何かのベルト。そういえばあの灰色の怪物に変化した男も何かのベルトでオレンジの甲冑を身に着けていた。
 恐らく、リントの中にはそういう力を与える道具が支給されているのだろう。確か黒の戦士も何かのカードで体を変化させていた。



「ゴロギソギ……」



 そして自分にもそういう道具が支給されている可能性は否定出来ない。無論そういう道具に頼り切るつもりはないが、変身出来ない状況に陥る事も多い、あるに越した事はないだろう。

 ガドルはデイパックを開け中にある支給品の1つ『ある物』を取り出した。

 その『ある物』はキバットバットⅢ世が持つ『キバの鎧』を強化する為のもの、
 現状ではガドルにとっては無用の長物でしかない。
 だが、仮に『キバの鎧』を持つ者に渡せばその者は強化される事になる。
 普通の参加者にとっては望む事ではない。しかし強者との戦いを望むガドルにとってはむしろ好都合、当たりと言っても良い。

 そのモノとは――



「びゅんびゅーん! フィーバー♪」
「バンザ、ボセパ?」



 魔皇龍タツロットである。



【1日目 日中】
【F-6 市街地】
【ゴ・ガドル・バ@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第45話 クウガに勝利後
【状態】疲労(中)、1時間変身不可(怪人態)
【装備】無し
【道具】支給品一式、魔皇龍タツロット@仮面ライダーキバ、不明支給品×2
【思考・状況】
1:デイパックの中身を確認、その後ゲゲルを続行する。
2:強い「仮面ライダー」及びリントに興味。
【備考】
※デイバッグの中はまだきちんと調べていません。
※変身制限がだいたい10分であると気付きました。

277 ◆7pf62HiyTE:2010/12/21(火) 21:26:05 ID:uLjmpZYg
投下完了しました。何か問題点や疑問点等があれば指摘の方お願いします。

278二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/21(火) 21:41:59 ID:3ql496n2
投下乙

>悪の組織は永遠に
ネガタロスがここで脱落か…
それにしてもダブトがおっかないw
下手したら全滅じゃないか?
それと矢車と東條の状態表の方が前回と同じの部分がありますので修正してください。

279二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/21(火) 21:43:02 ID:4mXs4rZQ
投下乙です
閣下とダグバ、出会ったと思ったら制限で戦えなかったか……
まぁ、その方がいいかもしれないけど

280二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/22(水) 02:16:50 ID:Vz7y38.6
◆MiRaiTlHUIに◆7pf62HiyTE、投下乙です。

>悪の組織は永遠に
兄貴圧倒的じゃないか。タイガフルボッコww
こんな男が(微妙とはいえ)味方とは心強い
病院戦の死者はネガタロスか。こうなれば擬態天道は誰が止めるんだ?

>三様
これはやばい状況かな、と思ったが今回は血を見ずにすんだか
変身なしでガドルをビビらせるとはさすが究極の闇
ダキバの参戦時期は過去キング打倒後なんだな。しかしクールねこいつ

281二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/22(水) 07:43:31 ID:afmTLT.Y
投下乙です
グロンギ語の文法についてどうしても気になったので指摘させて頂きます。
まず、グロンギ語では相手の名前等の名詞は最後に来ます。「クウガ」や「ダグバ」を文中に入れる場合はそれぞれの名前を最後に持ってくるのが自然かと。
また、グロンギ語は長い台詞になると要所要所で区切られます。全て繋げて表現されると非常に読みにくいので、間に「・」か「、」等を挟むように修正お願いします。

282 ◆7pf62HiyTE:2010/12/22(水) 11:04:30 ID:G9WEIIas
了解です。修正が必要なグロンギ語の台詞を修正用スレに投下します。なお、区切りに関しては他の話では空白を開ける事で対応していたので、こちらもその形で修正します。
また問題があれば指摘の方お願いします。

283 ◆MiRaiTlHUI:2010/12/22(水) 14:21:33 ID:8vZUe3Bc
投下乙です。
ガドルにタツロットか……ガドルが相手じゃ全く話にならなさそうなw
ダグバを相手にして意識を改めたみたいだし、ガドルの今後に期待です。


指摘して頂いた状態表について、了解しました。
矢車・東條と、夏海の方にも不備を発見しましたので、修正用スレの方に修正稿を投下しておきます。

284 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/24(金) 10:30:05 ID:lWBci5K2
只今より、アポロガイストを投下します。

285太陽と天候 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/24(金) 10:30:53 ID:lWBci5K2
 東京タワーが周囲から見て目立つ建物であるのは間違いなかった。
 その中で痛んだ休めるというのは自殺行為に等しい。
 ガイが休んでいるのは、その脇にあるビル街である。

 東京タワーはあまりに目立ちすぎる。
 現実の巨大観を押さえつつも、やはりその高い搭は存在感を引っ込めない。
 仮面ライダーや怪人の力を持ってすれば、根元からへし折ることもできるかもしれない。
 だが、その脇の建物というのは案外盲点なのである。


「──二時間か」


 シザースの装甲が彼の身を纏っていた。
 時間制限は確かに気にかかるが、彼にはまだアポロガイストの姿が残っている。
 具体的な時間の経過を知るために、一度くらいは変身をしておいたほうがいいと考えた彼は今、シザースの殻を被ったのである。


「どうせこの力ではディケイドに届くまい」


 シザースの力はどちらかといえば軟弱である。
 彼の知りうる限りの仮面ライダーたちと比較してもおそらく、最底辺レベル。
 Xライダー、ディケイド、ディエンド、クウガ、ガオウ……彼の仇となる仮面ライダーたちに及ぶだけの能力を有さないライダーは正直、あまり有効性を持たない。

 だが、この状況では微力であっても相手を凌駕できる可能性を有しているのだ。


(仮面ライダーでなくなった相手ならば、いとも簡単に倒すことができるだろう)


 そう、ガイが把握すべきは変身制限である。
 これを完全に把握した上で、敵の知らぬ部分を突けばいい。
 十分の戦闘制限と、それから二時間の休憩。
 二つの事象を把握したアポロガイストは、相手の状況を見て「力を持たない敵」を殺すことができる。

286太陽と天候 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/24(金) 10:32:04 ID:lWBci5K2
(敵にとっては迷惑なシステムだが、それを究めた私にとっては好都合なのだ! 存分に利用させてもらう!)


 架せられた制限をどれだけ巧く利用するか──。
 その一点が勝負を左右することもある。
 変身は最後の手段としておいた方がいいというのも、よく理解したつもりである。

 シザースの変身は十分の経過とともに解ける。
 白いスーツに身を包んだ男は、カードデッキを懐に戻す。


(これで二時間、このデッキは使えない。しばらくは動かない方がいいか)


 これでは、現状で使える力はアポロガイストのみとなってしまう。
 例え弱弱しくても、この状況下でシザースの力が使えるのは事実なのだから、なるべく使用できる状態で戦いたいとは願っていた。


(シザースが使えるようになったときは、賭けに出るか……?)


 彼の言う「賭け」とは変身のバリエーションを増やすために戦闘に出て、敵から変身アイテムを奪うということである。
 シザースのように誰でも変身できるアイテムが好ましいが、本人のみ使用可能というアイテムも回収しておくべきだろう。
 要は、変身の数が他の参加者より勝っていれば勝機は見える。自分の変身数を増やす一方で、相手の変身数を減らすのも作戦の一つとなる。

 ならば、人間体からアイテム無しで変身できるアポロガイストは有利ともいえる。
 変身アイテムを奪われれば変身さえままらない参加者も何人か存在するのだから。
 それでも二段変身はまだ足りない。──参加者の数に等しく、変身の力はあるのだから。

287太陽と天候 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/24(金) 10:34:18 ID:lWBci5K2
あの死体に添えられていた道具も使えそうにはないな。……まあ、念のために所持しておこう)


 ガイがC−6の平原を通った際に出会った一つの死と、それに添えられていた「メモリ」。
 それがどんなものなのか、ガイは知らない。それは未知なる世界の変身アイテムだったのだから。
 自らの首輪を確認することができれば、それに気づくことはできたのかもしれないが、今の彼はまだ知らない。

 ウェザーメモリ。
 そのシザースとは比べ物にならない強力な力を。



【1日目 午後】
【B−6 平原】


【アポロガイスト@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】死亡後
【状態】ダメージ(小)、シザースに二時間変身不可
【装備】シザースのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、ディスクアニマル(アカネタカ)@仮面ライダー響鬼、インドネシアの魔除けのお面@仮面ライダークウガ、真理の携帯美容師セット@仮面ライダー555、ウェザーメモリ@仮面ライダーW
【思考・状況】
1:大ショッカーの意思通り、全ての敵を倒し、世界を破壊する。
2:参加者の変身アイテムを奪う(たとえ自分の力にならなくても)。
3:まずはここでシザースの制限が解けるのを気長に待つ。
4:ディケイド、牙王はいずれ始末する。
5:全てのライダーと怪人にとって迷惑な存在となる。
【備考】
※スーパーアポロガイストの状態ですが、能力は抑えられています。
※制限の詳細な時間設定と能力が抑えられていることを、何となく把握しました。
※メモリの使い方を知りません。

288 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/24(金) 10:34:54 ID:lWBci5K2
以上、投下終了です。

289二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/24(金) 11:24:26 ID:yfIRq5DA
投下乙です
ウェザーはアポロガイストの手に渡ったか……
照井がアポロガイストを見たら誤解しそうだw

290 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/25(土) 12:27:01 ID:LhEe/Lkk
現在地ミス。
C−5に修正します。

291 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/25(土) 23:35:15 ID:fO6dlGdo
照井竜、一条薫、間宮麗奈、桐矢京介を投下します

292Rの定義/心に響く声 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/25(土) 23:36:07 ID:fO6dlGdo
空より降り注ぐ輝きによって、辺りは暖かかった。
全ての生物が必要な、光という存在。
しかしそれを浴びても、道を歩く一組の男女は良い感情を抱かなかった。
とある民家で、つい先程出会った二人。
桐谷京介と間宮麗奈。
一見すると、年の離れた姉弟のように見える二人。
そんな中、麗奈の表情は恐怖に染まっていた。
彼女の脳裏に、ある光景が浮かんでいる為。

(化け物…………)

何度もフラッシュバックする、異形の姿。
昆虫のシオマネキと似ている、白い化け物。
何故かは知らないが、よく知っている気がした。
まるで、運命共同体であるかのように。
ここではない何処かから、まるで自分のことを見つめているような気がする。
もしかしたら今も、何処かで監視しているかもしれない。

『間宮麗奈』

頭の中で、自分のことを呼ぶ声がする。
黒装束を纏った女が、自分を見つめていた。
その視線には、明確な殺意が感じられる。

『お前は―――の心を失った、処刑する』

人形のように、暖かみが感じられない言葉。
その瞬間、女は化け物へと変わっていく。
自分のことを殺すために。
何故、ただの声楽家である自分を襲うのか。
何故、只の人間である自分を襲うのか。

(…………人間?)

不意に、疑問が芽生える。
自分は本当に、人間なのか。
この世界に連れてこられる前の、記憶がないのに。
もしかしたら、自分のあの怪物と同じ存在。

(違う…………私は間宮麗奈、間宮麗奈という人間)

頭の中で、必死に連呼した。
自分は何処にでもいる、普通の人間であると。
劇団で歌を歌い、多くの歌劇を奏でてきた。
仲間達から、支えて貰いながら。

(麗奈さん)

そして、そんな自分を支えてくれた大切な人。
風間大介。
風のように現れて、自分のことを守ってくれた。
その彼はここにはいない。
でも、あの人は自分を人間だと証明してくれている。

293Rの定義/心に響く声 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/25(土) 23:36:54 ID:fO6dlGdo

「あの、間宮さん……?」

耳に声が響いて、麗奈は顔を上げた。
見ると、その先には桐谷が怪訝な表情でこちらを見つめている。

「どうかしたんですか?」
「いえ、何でもないわ……」

麗奈はぎこちない笑みを浮かべながら、言葉を紡いだ。
このような年下の少年を、不安にさせないため。
彼女の意図を酌み取ったのか、桐谷も笑顔を浮かべる。
しかし彼は、麗奈が怯えていることが容易に読みとれた。
こんな戦場に放り込まれて、不安になるのは当然。
鬼としての修行を積んだ自分でも、怖くないと言えば嘘になる。
でも、怯えている場合じゃない。

(ここには、ヒビキさん達だっている…………俺がしっかりしないと)

大ショッカーという奴らに連れてこられたのは、自分だけではない。
配られた名簿には、知っている名前がいくつかあった。
自分や安達明日夢がヒビキと呼んでいる師匠、日高仁志。
イブキの弟子の少女、天美あきら。
二人が連れてこられたことに、桐谷は驚く。
そしてもう一つ、信じられない名前があったのだ。
財津原蔵王丸。
ザンキと呼ばれる彼もまた、鬼の一人だった。
響鬼の先輩であり、多くの人から尊敬を得ている。
しかし彼は、既に亡くなったはず。
もしかしたら、同名の他人か。

(…………いや、今はそんなことよりも、間宮さんを守らないと)

自分にそう言い聞かせながら、桐谷は周りに意識を向ける。
最初に連れてこられたホールには、魔化魍とよく似た化け物がいた。
そいつらが、この近くに彷徨いているかもしれない。
未熟な自分がどれだけやれるかは分からないが、麗奈だけは守ってみせる。
ヒビキさん達もきっと、同じ行動を取るはずだから。

「…………ん?」

麗奈の前を歩いていた桐谷は、声を漏らす。
目の前に、二人組の男性を見つけた為。
それぞれ炎のように赤いジャケットと、茶色のロングコートを身に纏っている。
どちらも自分より年上に見えた。
桐谷が声を掛けようとした途端、向こうと視界が合う。
どうやらあちらも自分達に、気づいたようだった。
恐らく、敵意はないと思われる。
そう判断した桐谷は、二人の方へ近づいた。






294Rの定義/心に響く声 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/25(土) 23:37:44 ID:fO6dlGdo
E−2地点の、とある民家。
そこでは、外で出会った四人が集まっていた。
『クウガの世界』より連れてこられた、一条薫。
『響鬼の世界』より連れてこられた、桐谷京介。
『カブトの世界』より連れてこられた、間宮麗奈。
『Wの世界』より連れてこられた、照井竜。
彼らは、互いの持つ情報を交換していた。
同じ世界に住む、知人達。
自分の世界にいる仮面ライダーと、人々に危害を加える怪人達。
そして互いに渡された支給品。
桐谷の話す情報を、一条と照井は受け取っていた。
しかし、怯えている麗奈からは、そういった情報はあまり得られていない。
最も、誰一人として聞くつもりはなかった。
精神が不安定な一般市民に、無理に話をさせてもどうにもならない。
怯えている麗奈を一条が落ち着かせている一方で、照井と桐谷は顔を合わせていた。

「つまり、君の世界では『鬼』と呼ばれる戦士が『仮面ライダー』…………なのか?」
「そうですね、ずっと昔から人を襲う『魔化魍』って化け物と戦っています」
「なるほどな……」

説明を受け止める。
そして照井は、これまでに得た『仮面ライダー』についての情報を、整理し始めた。
一条の住む世界では、人類に牙を向ける存在である『仮面ライダー』。
桐谷の住む世界では、古来より『魔化魍』から人々を守る『仮面ライダー』は『鬼』と呼ばれる。
そして、自分の住む世界では町を守るヒーローとされている『仮面ライダー』。

(…………やはり、定義はそれぞれの世界で違っているようだな)

これまでの情報を元に、仮説を立てる。
最初の場所で、死神博士という老人は『仮面ライダー』が、世界を崩壊させる原因と言った。
その言葉の通り、一条の世界の『仮面ライダー』とは『未確認生命体』と呼ばれる怪人らしい。
だが、桐谷という少年の世界では『仮面ライダー』は、人々のために戦っている。
自分の世界とほぼ定義が近い。
これらの事実から推測するに、世界によって意味が違うのかもしれない。
ある世界では『仮面ライダー』は人類の味方でも、ある世界では『仮面ライダー』は人類の敵。
そしてまた別の世界では、更に違う意味合いを持つ可能性も否定できない。
恐らく、世界ごとで『仮面ライダー』の認識に、それぞれ食い違いがあるだろう。

(どうやら、この単語を出すのに細心の注意を払う必要があるな)

先程、一条は『仮面ライダー』を警戒しているような事を言っていた。
それと同じように、他の世界では『仮面ライダー』に悪い感情を持っている人物も、いるかもしれない。
最悪のケースとしては、この単語を聞いただけで一悶着を起こす者も出てくる可能性がある。
その可能性を危惧した照井は、ここにいる三人に告げた。
『仮面ライダー』の単語は、無闇に口にするべきではないと。
そして『仮面ライダー』に関する認識が、世界ごとに違う可能性も。
照井の提案を、三人は頷いた。
そこから、彼らは今後の行動方針を決める。
自分と同じ世界にいる知人との合流。
一条薫のパートナー、五代雄介。
桐谷京介と同じ志を持つ二人、日高仁志と天美あきら。
照井竜の知人である、左翔太郎とフィリップと鳴海亜紀子の三人。
特にフィリップは、この首輪を外すのに大いに力になるかもしれない。
そう、照井は語った。

295Rの定義/心に響く声 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/25(土) 23:40:06 ID:fO6dlGdo

「間宮さん、大丈夫ですか……?」
「え、ええ……大丈夫です」

一条は、麗奈の身体を支えながら口を開く。
同行していた桐谷が言うには、彼女は一部の記憶を失っているようだ。
そんな一般人まで、こんな殺し合いに駆り出される事実に、一条は憤りを感じる。
何故、彼女を連れてくる必要があるのか。

(まさか、少しでも『仮面ライダー』に関与しただけで、この戦いに関与させられてしまったのか?)

先程麗奈から聞いたことを、一条は思い返す。
奇妙な機械を使って、不気味な化け物と戦う戦士達。
それが彼女の世界の『仮面ライダー』なのかもしれないが、信頼に当たる人物なのかは判別がつかない。
照井の言葉通り、人類に牙を向ける存在である可能性も充分にある。
だが、そちらにばかり気を向けていられない。
麗奈の言っていた『仮面ライダー』が、必ずこの世界にいる訳でもないからだ。
楽観的に考えるつもりはないが、いるか分からない者の事を考えていても仕方がない。
まずは五代、そして照井や桐谷の知り合いと合流を目指して、大ショッカーを打倒するための策を練ることからだ。
それぞれ違う世界から連れてこられた四人は、行動を開始する。









麗奈の脳裏に、浮かぶ光景。
それは始まりの地で、直面した悲劇だった。
大ショッカーによって、奪われた一つの命。
スーツを身に纏った、見知らぬ男性。
それでも、初めて見た気がしなかった。
まるで、何度も会った事がある気がする。

(あの人は一体…………?)

眠っている、ワームとしての本能が知っていたのだ。
影山瞬という人間を。
間宮麗奈という皮を被った、ウカワーム。
『カブトの世界』で人類を欺き続けた怪人、ワーム。
その本性を取り戻す時は来るのか。
誰にも分からない。




【1日目 日中】
【E−2 民家】

【全体事項】

※四人の間で、情報交換が行われました(どの程度かは、後続の書き手さんにお任せします)

296Rの定義/心に響く声 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/25(土) 23:41:18 ID:fO6dlGdo


【一条薫@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第46話 未確認生命体第46号(ゴ・ガドル・バ)撃破後
【状態】健康
【装備】AK-47 カラシニコフ(対オルフェノク用スパイラル弾入り)@仮面ライダー555
【道具】支給品一式、名護のボタンコレクション@仮面ライダーキバ、車の鍵@???
【思考・状況】
1:照井、桐谷、麗奈と行動を共にする。
2:鍵に合う車を探す。
3:『仮面ライダー』には気をつける。一般人は他世界の人間であっても危害は加えない。
4:五代、桐谷や照井の知り合いと合流したい。
5:未確認への対抗が世界を破壊に導いてしまった……?
6:麗奈を保護する。
【備考】
※ 『仮面ライダー』はグロンギのような存在のことだと誤認しています。
※ 『オルフェノク』は『ある世界の仮面ライダー≒グロンギのような存在』だと思っています。
※ 対オルフェノク用のスパイラル弾はオルフェノクにほぼ効きませんが、有効なものであると勘違いしいています。
※ 『仮面ライダー』の定義が世界ごとによって異なると、推測しています。


【照井竜@仮面ライダーW】
【時間軸】第20話終了あたり(初登場ごろ)
【状態】健康
【装備】アクセルドライバー&アクセルメモリ@仮面ライダーW
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考・状況】
1:一条、桐谷、麗奈と行動を共にする。
2:知り合いとの合流。
3:『仮面ライダー』が敵……?
【備考】
※ 参戦時期が早いため、復讐心や他人に対する態度は安定していません。
※ 『仮面ライダー』の定義が世界ごとによって異なると、推測しています。


【間宮麗奈@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第40話終了後
【状態】健康 人間不信 ワームの記憶喪失
【装備】ファンガイアバスター@仮面ライダーキバ
【道具】支給品一式、デンカメンソード@仮面ライダー電王、『長いお別れ』ほかフィリップ・マーロウの小説@仮面ライダーW
【思考・状況】
0:化け物……?
1:とりあえず一条、京介、照井についていく。
2:他人が怖い。
3:殺さなければ殺される……。
4:あの人(影山)は一体……?
【備考】
※ウカワームの記憶を失っているため、現状では変身することができませんが、何かの拍子で思い出すかもしれません。
※ 『仮面ライダー』の定義が世界ごとによって異なると、推測しています。


【桐矢京介@仮面ライダー響鬼】
【時間軸】最終回後
【状態】健康
【装備】変身音叉@仮面ライダー響鬼
【道具】支給品一式、不明支給品×0〜2
【思考・状況】
1:人を守る。
2:麗奈を守る。
3:化け物(イマジン)が気になる。
4:一条、照井、麗奈と行動を共にする。
5:響鬼達との合流を目指す。
【備考】
※名簿に書かれた『財津原蔵王丸』の事を、同名の他人だと思っています。
※ 『仮面ライダー』の定義が世界ごとによって異なると、推測しています。

297 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/25(土) 23:42:18 ID:fO6dlGdo
投下終了です
問題点などがありましたら、ご指摘をお願いします

298二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/26(日) 11:07:01 ID:8BDZFbn6
シオマネキは昆虫ではなくカニです

299 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/26(日) 11:14:42 ID:w5GH0vnM
ご指摘ありがとうございます
収録の際に修正します

300 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/26(日) 20:17:18 ID:pfvYO3fk
ただいまより、投下を開始します。

301パラダイス・ロスト ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/26(日) 20:20:06 ID:pfvYO3fk
 三人の仮面ライダーが病院の廊下を踏んでいく。
 もう一人、足を宙に浮かせて剣崎一真の背に体重を預けている男も仮面ライダーである。
 この場所には、既に四人の仮面ライダーが手を伸ばせば体が触れる距離で集まり、歩いているのだ。
 そして、その誰もが自分たちのパーティを脅かす危機に晒されているということに、毛ほども気付いてはいなかった。

 仮面ライダーブレイド/剣崎一真。
 仮面ライダーキバーラ/光夏海。
 仮面ライダーキックホッパー/矢車想。
 仮面ライダータイガ/東條悟。

 彼らは、その「変身」を封じられていること、──そして、変身した悪魔が近づいていることを知る由も無い。
 ただ、危機が来ても自分の力、そして他人の力──つまり、仮面ライダーの力がなんとかするだろうという意識のもと、彼らは矢車の後を追うように歩く。
 この場の主導権は、協力の意思のない男に委ねられている。
 その男を手放すまいと、剣崎や夏海が勝手についている。だから、矢車が休まない限り彼らも休めず、矢車が歩かない限り彼らも歩けない。
 今は、「休めない」という状況であった。

 剣崎の顔色は至って悪い。
 何故なら、その背に成人男性を背負っているのだから。
 それに対し、矢車はすたこらと早歩きをして剣崎に追いつく余地はない。

「変わりましょうか? 剣崎さん」

「いや……いい。それに、女の子じゃこいつの体重背負うなんて無理だ」

 確かに、意識を失った東條の体重を夏海が背負えるという自信はなかった。
 なら、夏海にできることは他に何があるだろうか。

「矢車さん、少し休みましょうよ」

 まずは、矢車に注意を呼びかけることである。
 剣崎に余計な苦労を背負わせているのは矢車の早歩きだ。もう少し彼がスピードを緩めてくれたなら、剣崎はもう少し軽い気持ちで歩いていくことができるだろう。

「お前らが勝手についてきているだけだ」

 これには反論の余地がない。
 実際、そうなのだから。
 しかし、剣崎の痛みをわかった上でもう少し気の利いた配慮をしてほしいとも思う。

「何ぃ〜、あの態度! 夏海、あんなの勝手に行かせちゃいましょ」

 キバーラは額に怒りのマークを浮かばせて、夏海にそう提案するが、彼と彼女の性格は、キバーラと同じようにはいかない。

「大ショッカーを倒すには、より大きい力が必要なんだ……!」

「それに、矢車さん一人じゃ……またああいう敵が来た時にどうなるかわかりません」

 目的は大ショッカーの打倒、そして参加者の保護。
 そんな仮面ライダーの正義感を破ることは難しい。
 キバーラもつい呆れてしまうような人間たちだ。
 とんでもないお人よし。自分たちを襲った東條までも一緒に行動させようと運んでいるのだ。

302パラダイス・ロスト ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/26(日) 20:21:10 ID:pfvYO3fk
 そんな彼らを見て、少しだけ目を瞑ってため息をつくと、そのまま瞼を開く。
 彼女はその瞳が、先ほどまでなかったものを映していたことに気がついた。
 何か。

「夏海、あれ……」

 その先に映っていたのは、こちらを見つめる黒い仮面ライダーの姿であった。
 カブト。
 矢車の住むカブトの世界、あるいは夏海の旅したネガの世界。
 そこに存在する黒いカブトである。
 名を、ダークカブト。

 ──CLOCK UP──

 彼の存在を意識ある者全員が認知すると、ダークカブトはあの厄介なシステムを発動させたのだった。


△ ▽


 同じ仮面ライダーでありながら、彼らは相手の持つ「闇の色」に危機を感じずにはいられない。
 夏海の知るダークカブトは、敵だった。
 そして、相手の持つ無情な気配──その右手に堂々と凶器を持った外見。
 全てが、彼らを「変身」へと誘導した。

「「「変身」」」

 その掛け声は同時。
 だが、目の前を切る黒い風がその声を掻き消す。
 夏海、矢車、剣崎、東條。四つの体が吹き飛ばされる。
 全員、どこかしら体の一部に痛みを感じ、全員、その風の正体を見るのは風が止んでからだった。

「……変身ができない」

303パラダイス・ロスト ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/26(日) 20:21:44 ID:pfvYO3fk
 決して妨害されたからではなく、ライダーシステム自体が仮面ライダーへの変身を拒んでいた。その事に、剣崎はいち早く気付く。
 目の前に青い壁が現れたなら、ダークカブトは剣崎を攻撃することができなかったはずなのだから。
 誰もが変身の掛け声をとりながら、そこにあるのは生身。
 どこかを傷つけ、立ち上がろうとする彼らの姿は、いずれも仮面ライダーではなく人間である。

「何か、変身を妨害する力が働いてるらしいな」

「やっぱり? 折角、かぁぷをしたのに……」

 三人とキバーラは息を呑む。
 目の前の鬼神にどう立ち向かうか……?
 変身した相手に立ち向かうだけの力を、彼らは有していない。
 勝ち目はない。
 絶体絶命。
 死ぬ。
 そんな負の感情と、恐怖が誰かの心を掴んでいた。



 ────だが、誰よりも「人を助けること」にこだわり続ける男が、その中にはいた。



 生身で、それでも立ち上がってダークカブトに立ち向かおうとする男。
 剣崎一真。
 仮面ライダーブレイドではない。
 一人の人間・剣崎一真は闇の仮面ライダーにタックルした。

「ウェェェェェェェイ!」

304パラダイス・ロスト ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/26(日) 20:26:29 ID:pfvYO3fk
 その攻撃を余地しないダークカブトは一瞬ながらバランスを崩す。
 剣崎一真はこういう男であった。
 たとえライダーに変身できなくても、目の前の敵に立ち向かうだけの勇気を持つ。
 そして、その勇気が彼の最大の武器なのであった。

「今のうちに東條を連れて逃げるんだ……!」

 ダークカブトは体勢を立て直すと、すぐに自分に掴みかかる男を弾き飛ばす。
 剣崎という男は、再び地面を蹴って目の前の敵に掴みかかっていく。

「早く行けよ……! このままじゃ全員助からない……! それなら……」

「でも……っ!」

 一度に何箇所の打撲を負っているだろうか。
 それが仮面ライダーと人間の差。
 だが、剣崎は何度跳ね返されようと、もう一度立ち上がる。
 ダークカブトはもう何度目かわからないが、再び剣崎を跳ね返す。──そして、剣崎もその体に限界を感じながら、ダークカブトに掴みかかっていく。

 その時、ダークカブトを押さえつけていた男は剣崎ひとりではなかった。


「その姿への借りを、今思い出した」


 かつてカブトの抹殺を企てた男──矢車想。
 二人の男に押さえつけられたダークカブトは、力の差がありながらも身動きを取るに難しい態勢であった。

305パラダイス・ロスト ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/26(日) 20:27:07 ID:pfvYO3fk
 最早、何も言うまい。
 夏海は自分に相応しくないウェイトを背負いながらも、必死で走った。
 振り向けば、痛めつけられていく二人の姿がある。
 そんなもの、見たくない。
 ただ前だけを見て、走っていくしかない。ただひたすら、前を向いて……。

 女に生まれた身を呪いながら、少女は泣いた。
 ────自らの首に、首輪とは違うもう一つの冷たさを感じていることに、光夏海はこの時まだ気付いていなかった。


△ ▽


「ふんっ!」

 二つの体が空中を旋回する。
 それは自らの意思によるものではなく、黒い悪魔に腕を放されてのものだった。
 壁にぶち当たった二人は、頭に血の川を作りながら、目の前の敵を睨む。

 その敵に立ち向かおうとはしている。
 だが、体は動かない。
 力が抜けていく。二人は互いが立ち上がろうとしているのかさえ、把握することができなかった。
 ただ、自分が立ち向かわなければならないということだけを認識しながら敵の存在を捕捉する。
 そいつがどう動くか。それに、彼らの生命は左右されていた。

 どちらにせよ、ダークカブトは敵。
 問題は、どちらが早くこの世を離れるのか。その一点である。
 早く離れることか、後に離れることか。彼らがどちらを望むのかは言うまでも無い。
 自分を捨てて他人の身を案じるだけの気概を持つ男と、誰よりも地獄を求めている男──そんな二人なのだから。

 それでも、そんな心配は無用であった。

「全部……壊れちゃえ」

 ──CLOCK UP──

 ダークカブトがゼクトクナイガンを構え、病院の壁に巨大な線を描いていく。
 その線の巨大さは、クロックアップが解けたときに崩れるものの巨大さも表していた。
 剣崎と矢車が倒れる頭上に描かれたのは不規則な線。
 不規則だからこそ恐ろしい。
 不規則だからこそ、どう崩れるかわからない。
 全ての破壊が目的であり、その為に自分の命さえも惜しまない男に、躊躇などなかった。

 気付かぬうちに、止まった時間が再び流れていく。
 上から落ちてくる何かを眺めながら、剣崎は呟く。

306パラダイス・ロスト ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/26(日) 20:27:44 ID:pfvYO3fk
「…………あの…………子…………うま、く…………逃げた、か、な………………」

「さあ、な…………」


 轟音が二人の聴覚を包んでいく。
 もう、ダークカブトの姿なんて彼らの目には映らない。
 きっと、クロックアップを使ったからこの場にはもういないのだろう。
 壁から降り注いでくる白い粉が、彼らの髪を汚していく。
 巨大な塊が落ちてくるのは、もう目に見えていた。


(あんな女、俺の知ったことじゃない……)


 それでも最後のとき、矢車の脳裏にはその顔が浮かんだ。

 仮面ライダーキバーラとは、闇に生息する蝙蝠の仮面ライダーである。
 しかし、彼女の姿は純白。闇に溶け込むにはいささか目立つ色合いであった。
 『光』夏海。
 闇を照らす光。彼は知らぬ間に、そんな名前の少女と出会っていた。

 もしかすれば、矢車想は彼女を妹のように大切に思っていたのかもしれない。
 もはや、彼が死んでしまった以上は、誰もそれを知ることはなかった。


△ ▽


 夏海の息は切れていた。
 錘を背負って、ある程度の距離を走ってきたのだから。
 夏海は、そんな自分の息が苦しいのが、単純にある程度の距離を走ったからではないということに気付いた。
 首を触られている──いや、掴まれているという感触。

「うっ……」

 やっと出た声が、それだった。
 自分が背負っている男。その手が夏海の首を押さえつける強い感触。
 唾が咽喉を通らない。酸素を取り込むことも、できない。

307パラダイス・ロスト ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/26(日) 20:28:50 ID:pfvYO3fk
 顔中に強い圧力がかかっているような感覚。
 頭が痛い。後ろの男がどんな表情をしているのか確かめる術もなく、夏海は苦しみの中で体力を失っていく。

(キバーラ……)

 朦朧とする意識の中、キバーラが自分の前を飛んでいるのが見える。
 そういえば、ここにも仲間はいたんだなと彼女に声をかけようとした。
 キバーラは気付かない。
 自分のパートナーが、ここで死にそうな目に遭っているということに。

(つかさ、く……)

 彼女に助けを求めることができないと知った夏海は、「世界の守護者」と信じる男に助けを求めた。
 それでも、彼は助けてくれない。

 ──安心しろ、夏みかん。お前は俺が助ける。

 病院の廊下を駆ける仮面ライダーディケイド。
 その声は、間違いなく門矢士のものであった。

 ──きみ、誰?
 ──通りすがりの仮面ライダーだ! 覚えておけ。

 虎の仮面ライダーを倒していくディケイド。
 その圧倒的な力が、きっと夏海を助けてくれる。

 ────そんな夢である。
 きっと助けてくれると信じた夏海は夢を見る。
 ようやく助かる……そんな幸せな夢だったが、長続きはしない。
 夏海は呼吸のできない苦しみとともに、意識をこの世から切り離した。
 魂の抜けた体は、東條の手を離れて地面に転がる。そこに生気など無かった。

308パラダイス・ロスト ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/26(日) 20:29:51 ID:pfvYO3fk
 彼女の錘──東條悟は、薄ら笑いを浮かべる。
 タイガの力なしで、東條はまず一人殺した。
 これで英雄に近づける。
 これで英雄になれる。
 世界を救った英雄になれる。

「ん……? 夏海……?」

 足音が聞えないことに気付き、キバーラは振り向く。
 そこに見えるのは、地面に倒れた夏海の姿と、それを見下ろして笑う東條の姿であった。
 夏海は死んだように倒れているとは思ったが、まさか本当に死んでいるとは気付くまい。
 ただ、東條が夏海に何かをしたことだけ、キバーラは認識する。

「ちょっとあんた、夏海に一体何────」

 言いかけたキバーラに、巨大な瓦礫が降り注いだ。
 最早、目の前の男に気をとられているような段階ではなかったのだ。
 そして、東條もまた、夏海を殺したことに気をとられている暇はなかった。

 東條は懐を探り、タイガのデッキを探す。その表情には余裕も含まれていた。
 タイガの力があれば、降り注ぐ瓦礫など問題ではない。だが、タイガのデッキはどこにもない。

「え……?」

 東條はそのまま、瓦礫に呑まれた。
 元の世界の彼と違ったのは、誰も救うことができなかったこと。
 そして、英雄になれなかったこと。
 だが、確かにひとつだけ同じことがあった。

(香川……先生………………次は、誰を…………)

 最後に彼が思うこと──それは、亡き香川教授への問いかけである。
 英雄になるにはどうすればいいか?

 ────英雄になるならば、彼はきっと、来る場所を間違えたのだ。


△ ▽

309パラダイス・ロスト ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/26(日) 20:30:37 ID:pfvYO3fk
 ダークカブトの変身は自然に解けた。
 瓦礫の山と変わり果てた病院を背にして、彼は全ての破壊を目的に歩き続ける。
 ネガタロス、剣崎一真、矢車想、光夏海、キバーラ、東條悟。
 病院に集った参加者たちは、戦いすぎた。
 それが仇となった。
 仮面ライダーだった者たちは、その本当の力を発揮することなく、仮面ライダーに倒されてしまったのだから。
 度重なる戦いの渦から開放されたのが、戦いしか知らぬ彼らにとって救済となりえたのかはわからない。
 ただ、まだ戦おうというものが、ここにはいた。


「まだだ……全部、壊してやる……こんな世界…………」


 それでも、悪の仮面ライダーダークカブトは止まらない。
 全てを破壊していくまで、彼の暴走は止まらないのだ。



【剣崎一真@仮面ライダー剣 死亡確認】
【矢車想@仮面ライダーカブト 死亡確認】
【光夏海@仮面ライダーディケイド 死亡確認】
【キバーラ@仮面ライダーディケイド 死亡確認】
【東條悟@仮面ライダー龍騎 死亡確認】
残り46人


【1日目 日中】
【E−4/元・病院前】
※病院は倒壊しました。剣崎一真、矢車想、光夏海、東條悟の死体と支給品は全て瓦礫の下にありますが、その状態は後続の書き手さんにお任せします。

【擬態天道総司(ダークカブト)@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第47話 カブトとの戦闘前(三島に自分の真実を聞いてはいません)
【状態】健康 情緒不安定気味 ダークカブトに二時間変身不可
【装備】ライダーベルト(ダークカブト)@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜4)、デンオウベルト+ライダーパス@仮面ライダー電王
【思考・状況】
1:天道総司を殺し、『天道総司』に成り代わる。
2:全ての世界を破壊するため、手当たり次第全員殺す。
3:特に優先的に『カブトの世界』の五人を殺害する(最終的には自分も死ぬ予定)。
4:僕はワームだった……。
【備考】
※ 名簿には本名が載っていますが、彼自身は天道総司を名乗るつもりです。
※ 参戦時期ではまだ自分がワームだと認識していませんが、名簿の名前を見て『自分がワームにされた人間』だったことを思い出しました。詳しい過去は覚えていません。
※ ネガタロスの支給品を全て奪いました。後に彼の起こした病院の倒壊で死亡した参加者の支給品は回収し損なっています。

310パラダイス・ロスト ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/26(日) 20:31:19 ID:pfvYO3fk
以上、投下終了です。

311二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/26(日) 20:41:56 ID:kD4cWqes
まさか 剣崎が死ぬなんて

312二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/26(日) 20:52:53 ID:w5GH0vnM
投下乙です
ああ、擬態天道は殺しすぎだなw
そしてみんな、お疲れ様…………
特に士は夏海の死を知ったら、どうだるだろう……?

313二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/26(日) 20:53:49 ID:w5GH0vnM
どうなるだろう でした

314このレスは管理人によって破壊されてしまった:このレスは管理人によって破壊されてしまった
このレスは管理人によって破壊されてしまった

315二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/26(日) 22:13:47 ID:s4MjQxa.
修正要請すればいいじゃない

316 ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/26(日) 23:32:55 ID:5EBJdFu2
◆LuuKRM2PEg氏投下乙です。
そっか、照井以外は『仮面ライダー』を知らないんだな。
こっちがテレビで見る分には簡単な構図なのに、ロワになると複雑なものだ。
あと麗奈の抱えるウカ爆弾に期待。いつ爆発するかなーw

◆LQDxlRz1mQ氏、投下乙です。
 凄 惨
その一言に尽きる。


それでは、自分も霧島美穂、鳴海亜樹子、乃木怜治を投下します。

317亜樹子オン・ザ・ライ ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/26(日) 23:34:33 ID:5EBJdFu2
D−5エリア、平原。
今ここに二人の女性と一人の男性がいる。
「じゃあ、あなたはずっとバイクで走ってたってこと?」
二十歳という年齢の割には幼い顔つきで、少女と形容してもいい外見の女性、鳴海亜樹子。
「にもかかわらず、この何時間も誰一人会うことがなかったと」
すらっとした高身長に整った顔立ちの女性、霧島美穂。
「ああ。このやけに大掛かりな戦いが始まってから、やっと会えたのが君達というわけだ」
そして、黒いコートを羽織る長髪の男、乃木怜治。

風都『だけ』を守る決意を胸に良太郎たちから離反した亜樹子は、しばらく経って美穂と合流することとなった。
おそらく来るであろう追っ手を撒くためにどこかへ隠れる。
ついでに『馬鹿な参加者達』を意のままに扱うための術を教授する。こう切り出したのは美穂だ。
亜樹子からすれば利点の多い提案だ。すぐに受け入れ、話は目的地の選択へと移った。
とはいえ、近くにある建造物といえば限られてくる。
地図を見る必要も無しに存在が把握できる巨大な赤い塔、東京タワー。
または、その近くに陰になるようにそびえるビル。
「東京タワーの方にしましょう。展望台ってのがあるはずだから」
美穂曰く、地上100メートル以上のフロアに設置された望遠鏡を覗けば、周辺の参加者の位置が把握できるということだ。
追っ手も含めた他の参加者の様子を眺めて、誰と接触するか、誰と距離を置くかを考えたいらしい。
「うん、わかった」
と、ひとまずの行動方針をお互いで決め、歩き始めた。
そんな時だった。
「そこの女性諸君! このつまらないゲームを打破するために、少し話でもしないかね?」
高慢な台詞と共に、銀色に輝くバイクに跨った乃木怜治が現れたのは。

318亜樹子オン・ザ・ライ ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/26(日) 23:35:25 ID:5EBJdFu2



「羨ましいわねあなた、そんな便利な移動手段貰っちゃって。支給品としては大当たりじゃない」
「まあな。けど、使える物といえばこのくらいで、後は外れだ」
そう言って乃木はディバッグから何かを取り出した。
「えっと…札?」
「みたいだな。正真正銘、ただの木の板だ」
片手で持てるほどの二枚の小さな木製プレート。それが彼の支給品だった。
材料と工具さえ揃えば子供でも数十分あれば作れそうな玩具にしか見えず、有効な使い道があるとは思えない。
貴重な枠の一部が役立たずとくれば、乃木も溜息を零さずにいられない。
「こんなものを何に使えというんだろうな」
「…メモリ?」
「何?」
板を見た亜樹子がぽつりと呟く。それを乃木は聞き逃さなかった。

「おい、まさかこれに心当たりでもあるのか」
「えっ、…」
亜樹子が反応を示すのも無理はない。板に書かれた二つの熟語の組み合わせが、言い方さえ変えれば何度も聞き慣れたものだからだ。
意識しない内にこちらの知る知識の片鱗を明かしてしまい、「しまった」と思うがもう遅い。
「丁度いい、これが何なのか早速教えてもらおうか。もしや当たりなのか、これは?
…できれば、下手に嘘はつかないでほしいものだが?」
「あ、あの…」
乃木に問い詰められ、亜樹子は口籠ってってしまう。
嘘をつくことで勝ち残ると決めた矢先の失敗で、脳は焦りに囚われる。
嘘をつくことに慣れていないから当然で、追求されることにも慣れていないのから当然だ。

319亜樹子オン・ザ・ライ ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/26(日) 23:36:23 ID:5EBJdFu2
いや、そうでなくとも解説に困る代物なのだ。
ただ『疾風』『切札』と書かれただけの、名前が同じだけでどう見てもガイアメモリでない板など、どこからどう説明していいものなのか。

「あの、そういうの後にしてくれない?」
亜樹子の回答が得られず場の空気が悪くなろうというところで、美穂が口を挟んだ。
「実は私達、早いところ東京タワーに行きたいの。お互いの話をするにも落ち着ける場所がいいし」
「ああそうかい。だが、そういうことは早く言ってくれないかな?」
乃木が美穂を睨みつけてきた。少し険悪なことには変わりないが、とりあえず亜樹子への追求が逸れて一安心といったところだろう。
展望台を利用するつもりだと説明し終わったとき、亜樹子からすれば信じられない意見が持ちかけられた。
「折角だし、あなたも来る? 聞きたいことだって、絶対急ぎってわけでもないでしょう?」
「…ふむ、俺も丁度考えていたところだ。一度合流といこうじゃないか」
一安心でもなかった。美穂の言葉に亜樹子は思わず目を見開く。頭の中で「何それ、あたし聞いてない!」とも叫ぶ。
数分前に決定した行動の中には、二人以外に誰もいないことが前提となるものがある。
にも関わらず全くの赤の他人を引き入れたら、嘘の付き方を教えてもらう約束が無碍にされてしまう。
「それと、一つ頼みがあるの」
だが、そんな不安交じりの亜樹子に一瞬だけ目配せして、美穂はもう一つの提案をした。
「折角バイクに乗ってるんだし、ちょっとこの辺りを見回りして?」

「…俺を使い走りにしようというのか?」
乃木の眉が険しくなった。亜樹子の肝が冷えるが、美穂は涼しい顔で続ける。
「違うわよ。あなただからお願いできること。
もし近くに人がいたら、東京タワーに来てもらうように言ってほしいのよ。
『このゲームに反抗する人同士、手を組んで行動しよう』ってね」
「…成程な。つまりお前達は、正義のヒーローの一大チームを結成して、主催打倒のための力を蓄えよう、というわけか」
乃木は感心したように頷く。しかし美穂は頷かない。
「一部正解、だけど惜しい。
 確かにある程度味方が居た方が心強いけど、ただあそこでずっと待ってようってわけでもないの。私達も探したい人がいるから」
 探したい人。美穂がはっきりと名前を口にしなくても、乃木には何を指すのか解釈できた。

320亜樹子オン・ザ・ライ ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/26(日) 23:37:41 ID:5EBJdFu2
「同じ世界出身の人間、か」
「…ま、一番確実な味方が望ましいからね」
ここまで話し終えてから乃木の様子を見る。
「素晴らしいよ! あのふざけた組織を潰すための正義に燃える者同士、力を合わせれば未来は掴めるはずだ!」…とはなってくれない。
まだ何かを考え込んでるようだ。そしてこちらを見つめる目は未だ信用していない感じがする。
このままでは、疑念をもたれたままこの男に付きまとわれることになるかもしれない。

「それとも、私にそのバイク貸す?」
突然のもう一つの申し出に、流石に乃木も驚きを露わにした。
「貴様、俺からこいつを奪おうというのか? バイクに乗っても逃げないと保障できるのか?」
「だって、人を集めるのにバイクは必要でしょう?」
少なくとも集合地点まで折り返すには歩く参加者に合わせなければならないが、その前はバイクでの移動で構わない。片道だけでも時間短縮にはもってこいだ。
また、万が一危険人物に出くわしたとしても逃走手段としても使える。
この二つの利点の説明をした上で、美穂は付け加えた。
「で、あなたが捜索を嫌がるなら、私が乗るほかに道はないの」
「…このまま俺と同行しながら手駒を探す、というのでは駄目なのか?」
「それだとあなたが私達に合わせなきゃ駄目じゃない。あなたがバイクでも私達は歩くのよ? 三人乗りなんてできないし」
対主催勢力の結集と迅速なメンバー探しの両立には、少なくとも誰かがバイクに乗って移動しなければならない。
東京タワーへ行くことを譲れない以上、二つの両立には誰かがバイクに乗るべきだ。
「どう? …もしかして、やっぱり信用できない?」
ほんの僅かに寂しそうな声を発する。
伝わるか伝わらないかくらいの辛さを目の辺りにした乃木が続けたのは。
「…まあ、いいだろう」
受諾の言葉。とりあえずは交渉成立ということだ。
「良かった…ありがとう」
ここで美穂は微笑みかける。大体の男は照れて目を逸らすものだが、あいにく乃木は仏頂面のままだった。

321亜樹子オン・ザ・ライ ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/26(日) 23:39:05 ID:5EBJdFu2
「できれば早く来てね。長居したいわけでもないし。
 …そうね、一回目の放送が始まる前にはタワーを出たいから、それまで待つわ。いいよね?」
「え? あ、うん」
「6時までだな? わかった」
そう言い残し、乃木は二人のもとから走り去っていった。




「…あれで良かったの?」
再び二人きりになり、亜樹子が尋ねた。
「ごめんね、勝手に予定変えちゃって。でもあのウザい奴を引き離すのに手っ取り早いと思って」
「うん、そこは上手くいったけど。でも、なんで人を集めるにしても、なんであの条件をつけたの?」
味方を集めようという点に疑問はない。いずれ殺すとはいっても、暫くは身を守るための戦力になってくれる。
亜樹子にとっての疑問は、美穂の提示した約束の時間が午後6時前、今から約3時間後だという部分だ。
乃木がバイクで移動できるとはいっても、人数を集めるには時間が短いのではないか。
この亜樹子の問いに対して、美穂は特に悩むこともなく返答した。

「正直言うと、あんまりいっぱい来られても困るのよね。変な奴…私みたいに人を騙すのが得意な奴が混じってくるかもしれないのに」
バイクで二人を轢き殺そうとはせず、積極的に情報交換を持ちかけてきた乃木は『乗っていない』可能性が高い。
だが、彼が集める人間も同じく安全だとは限らない。彼が手当たり次第に協力を持ちかけたりしたら、品定めを一度に行う手間が出てくる。
「男なんてね、取っ換え引っ換えが一番楽なのよ。どうせその場限りの関係だし」

それともう一つ、合流を呼びかけることに良い効果がある。
「もしあなたを追いかけてきた奴が現れても信用してもらえるかもしれないじゃない」
忘れていた顔を思い出した。もしかしたら良太郎達の内の誰かが亜樹子を追ってくるかもしれないのだ。
しかし美穂はその誰かに追いつかれてもいいと言う。
「『殺し合いに乗るかと思われた鳴海亜樹子は、霧島美穂の説得を受けてもう一度大ショッカーに立ち向かう決意を固めた』ってことにしちゃいましょう。
 そのための行動も取ったわけだし」
そもそも他人を信用できない状況だし、ちょっとでも綺麗な姿に見せかけないとね。長く続いた解説を締めくくり、美穂は悪戯っぽく笑った。

322亜樹子オン・ザ・ライ ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/26(日) 23:40:17 ID:5EBJdFu2
「でも、一回酷いこと言ったのに大丈夫かな…?」
「…亜樹子ちゃん、まだ誰も殺してないでしょう? だったら可能性はあるんじゃない?」

まだ罪を犯していない。フォローの言葉が亜樹子の心に冷たく響く。
現時点では言う通りだ。手は血に染まらず、真っ白だ。
だがこの清らかさが、罪を犯し、楽しいだけの日々を崩すための踏み台になるのだ。
「…ごめん。ちょっと励まし方間違えた」
辛さが表情に出ていたのだろうか。美穂がまた謝罪を口にする。
沈んだ気分が立ち直るよりも先に、亜樹子には一つの謎が生まれた。
「ねえ美穂さん」
「なに?」
「なんで、私に手を貸してくれるの? 私達も最後には敵なんだよ?」
美穂は何かと力になると言ってくれた。それは素直に嬉しい。
だが、全ての世界を救うヒーローだとは名乗らなかった。亜樹子と同じく、彼女には彼女の守りたい世界があるのだ。
だからこそ、ここまで亜樹子の世話を焼いてくれるのが気がかりだ。
なんだか優しいお姉さん(年下だけど)と呼びたくなるような彼女の態度が理解できない
無視できない矛盾への問いに対して、美穂の答えはあっさりとしていた。

「確かにバカがどうなるかなんてどうでもいいけど、あのお爺さんが嘘をついてる可能性もあるでしょ?
 もしもそうだった時、良い思いを共有する相手がいてもいいかなって。…ま、女の共感ってやつ?」
───嘘だ。
今更あの老人の言葉を信じない理由なんてどこにもない。
だから殺し合いに乗ることを決めたんだ。
仮に理由があったとしても、とっくに恐怖が希望に勝っているから考えたくない。
最早これは可能性ではなく覚悟の問題だ。
同じ道を選んだ美穂だってもうわかっているはずである。
けれど、優しさという仮面を顔に着けて、こうして割り切った関係を続けている。
虚構だとわかっているのに甘えたくなる愛情を与えながら。
素顔の美穂は冷酷であるはずなのに、憧れさえ感じてしまう。
たった少しの触れ合いで迷いが生じ、苦悩を抱えている自分とは大違いだ。
「…すごいね」
「そう?」
押し黙った亜樹子を見て、これで話は一段落と判断したらしい美穂は顔を前へ向き直した。

323亜樹子オン・ザ・ライ ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/26(日) 23:41:03 ID:5EBJdFu2
(あたし駄目だな。親しくなるのが厭だから良太郎くんたちから逃げたのに)
決意を鈍らせると感じたから人との関わりを捨てたのに、美穂に会ってまた暖かい感情が生まれそうになっている。
最後には壊れる関係とわかっているのに、綺麗な想いを抱いてしまう。
けどこれじゃ駄目だ。風都のためにも甘さはいらない。
必要なのは、美穂のようなクールさ。良太郎やあきらの優しさを踏みにじられるような非情さだ。
それがもし翔太郎やフィリップ達に蔑まれるやり方だとしても、もう決めたのだから。

(ごめんね…みんな)
心の中で、誰にでもなく謝った。これが最後の弱音だと自分自身に言い聞かせながら。
ようやく東京タワーの真下まで辿り着いたとき、すぐに空に映える赤い三角を見上げた。
こうでもしないと、目から涙が零れそうだったから。





女に言いくるめられ、体よく利用された。
第三者から見れば、乃木怜治の行動は滑稽に見えるかもしれない。
しかし当の乃木本人の心中に不満は無い。実際の所、美穂の言葉に従っても乃木の考えていた行動方針は大して変わらないからだ。
「さて、この辺りの生存者はあと二人。どちらに会うべきかな?」
乃木は周辺にいる参加者の人数を断定した上での悩みを口にした。
周囲に目を向けたところで、小さな人影さえ見えない。だが、乃木にはわかる。
すでに高みから周辺を見渡して、情報を得た乃木にはわかるのだ。

先に言っておくと、乃木はこのゲームが始まってから数時間後、一度だけ東京タワーに立ち寄っていた。
そこで取った行動は美穂の持ちかけた案とほとんど同じ。周辺の参加者の配置を把握した上で、接触に値する人物を見定めていた。
市街地の方に目を向けてみた。人影がちらほらと見えたが、建造物に阻まれてなかなか様子を伺えなかった。
やはり近場からの方が手っ取り早いだろうとタワー周辺の平原に目を向けた。その結果見つけた参加者は五人。
いや、正確に言えば四人だろうか。
一人目と二人目は霧島美穂と鳴海亜樹子。
三人目は、革ジャケットの男。その男は何かを探そうとしているように見えた。走りながら周囲へ忙しく視線を動かしていたからだ。
四人目は、白いスーツを着た男。彼は真っ直ぐ東京タワーのある方角へと歩いている最中だった。
もっとも遠くから見ただけでは、目当ての場所が何処なのか確信できなかったが。
五人目、とカウントしていいのかわからない男が一人いた。その黒いスーツの男は赤い血溜りの中に横たわっていて、もう既に事切れてることが明らかだ。

324亜樹子オン・ザ・ライ ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/26(日) 23:42:02 ID:5EBJdFu2
候補の中で真っ先に切り捨てたのは死体だ。
彼を殺害した何者かによって所持品が残らず持ち去られたことは容易に想像できる。
おまけに命まで失っているのだから『擬態』もできない。
ワームの特性である『擬態』は、対象となる人間の姿形や才能はもちろん、記憶までもワームのものにしてしまう。
そして人間に求められる最低限の条件は、どんな有様になっても生存していることだ。
天才だろうと凡人だろうと、死んでしまえば等しくただのモノでしかない。
彼が誰と会い誰に殺されたか、亡き者になった今では知る由もない。
顔くらい覚えていこうかとも考えたが、頭が潰されているのが見えたため不可能だ。
よって、わざわざただの亡骸を見に行ったところで大した収穫は無いと判断し、タワーから最も近くにいた美穂と亜樹子への接触を優先した。

美穂達と別れた現在の乃木が抱える問題はまず一つ。
二人の男のどちらに会いに行くべきかの選択だ。
高くから見ただけでは、どちらも『乗っている』か『乗っていない』か判別できない。
強いて言うなら白いスーツの男が死体の方向から歩いていったように見えたので、彼が殺人犯の可能性もあるが、断定するには証拠が無い。
どちらにしても確実なメリットもデメリットも見出せない以上、あまり悩むべきでないかもしれない。

「あと、あの女をどう扱うかも決めないとな」
加えて、美穂と亜樹子への対応も見極めなければならない。
両方とも『乗っていない』ような素振りを見せたが、気を許すことはできない。
鳴海亜樹子の方はただ平和ボケしただけの一般人のようにも見える。
あの動揺の仕方は命のやり取りに晒されることのない日々を甘受した人間そのものだ。
しかし、霧島美穂は用心するべきだろう。冷静さを備え機転も利き、何より戦闘が可能だ。
その彼女が万が一敵となったら。

325亜樹子オン・ザ・ライ ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/26(日) 23:42:42 ID:5EBJdFu2
「だからこそ、まだ迂闊に信用できない」
彼女たちにはいくつか隠し事をした。
一つは東京タワーに行ったことを口にしなかったこと。
もう一つは腰掛けている銀のバイク、名はオートバシン。
割り振られた支給品として紹介したが、嘘だ。
東京タワーに立ち寄った際、駐車スペースにひっそりと隠すように置かれていたのを発見したのであって、いわば現地調達の品物だ。
だが彼女達の前では支給品扱いし、本来の支給品の中で最も価値のある一つを秘匿して、結局明らかにしなかった。

「仮面ライダーファム…敵になってほしくないものだがな」
参加者の解説が付いたルールブック。これが乃木の隠した支給品の正体である。
他とは異なるこのルールブックは、参加者名簿のページの後ろに全参加者の顔写真、性別、年齢、そして変身するライダーもしくは怪人の名前が記載されている。
使用するアイテムや変身のプロセスまで知ることができないが、やはり能力を先に把握できるのは有利だ。
現に霧島美穂───仮面ライダーファムを警戒する理由がひとつ得られたのだから。
鳴海亜樹子───変身能力の無い一般人がか弱き存在であることも既に知っていたのだ。

「…許せないものだよ。ここまで人間に気を遣わなければならないなど」
今この場には厄介な存在で溢れている。
因縁のマスクドライダー諸君、映像で見せられた異世界の異形達、そして霧島美穂のような知恵の回る女。
全員とまではいかずとも、いつか何らかの手段で牙を剥くかもしれない相手が何十人もいるのだ。
故に見極めは用心深く行わなければならない。
手駒として立派に働いてくれるか、有害な外敵となるかは会ってみないとわからないから。

「忘れるなよ? 俺に手間をかけさせた愚か者には、相応の報いがあることを」
これから出会うであろう者達に向けて、乃木は忌々しげに警告の言葉を呟いた。
その響きは、すぐにエンジン音にかき消された。


【1日目 日中】
【D−5 東京タワーの真下】

326亜樹子オン・ザ・ライ ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/26(日) 23:43:51 ID:5EBJdFu2
【霧島美穂@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】映画死亡後
【状態】健康
【装備】鉄パイプ@現実
【道具】支給品一式×2、ファムのデッキ@仮面ライダー龍騎、サバイブ「烈火」@仮面ライダー龍騎、不明支給品×0〜3(確認済み)
【思考・状況】
1:あらゆる手を使い他の世界の参加者を倒す。
2:秋山蓮、北岡秀一、東條悟と接触、協力。
3:浅倉威は許さない、見つけ次第倒す。
4:城戸真司とは会いたいけれど…
5:今は亜樹子を利用して、一緒にステルスとして参加者を減らす。
6:亜樹子と話しながら乃木を待つ。

【鳴海亜樹子@仮面ライダーW】
【時間軸】番組後半
【状態】わき腹を打撲 精神に深い迷い
【装備】ツッコミ用のスリッパ@仮面ライダーW
【道具】支給品一式、装甲声刃@仮面ライダー響鬼、不明支給品(0〜1)
【思考・状況】
1:風都を護るため、殺し合いに乗る。
2:情を移さないため、あまり人と接触しない。
3:美穂と行動する。人を騙す術を教えてくれるらしいが…
4:良太郎やあきらとはなるべく会いたくない。
5:知り合いと合流し、そのスタンスを知りたい。
6:美穂と話しながら乃木を待つ。
【備考】
※ 良太郎について、職業:芸人、憑依は芸と誤認しています。

327亜樹子オン・ザ・ライ ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/26(日) 23:44:29 ID:5EBJdFu2
【D−5 平原】

【乃木怜司@仮面ライダーカブト】
【時間軸】44話 エリアZ進撃直前
【状態】健康
【装備】オートバシン@仮面ライダー555
【道具】支給品一式、木製ガイアメモリ(疾風、切札)@仮面ライダーW、参加者の解説付きルールブック@現実
【思考・状況】
1:大ショッカーを潰すために戦力を集める。使えない奴は、餌にする。
2:状況次第では、ZECTのマスクドライダー資格者も利用する。
3:最終的には大ショッカーの技術を奪い、自分の世界を支配する。
4:C−5エリアで二人の男(葦原、アポロガイスト)のどちらかと接触する。
5:東京タワーに行き、美穂・亜樹子と合流する。
6:美穂には注意する。
【備考】
※カッシスワーム グラディウスの状態から参戦しました。
※現在覚えている技は、ライダーキック(ガタック)、ライダースラッシュの二つです。
※現時点では、解説付きルールブックを他人と共有する気はありません。
※葦原とアポロガイストのどちらに接触するかは後続の書き手さんにお任せします。

【共通行動方針】
1:対主催勢力を東京タワーに結集し、チームを作る。
2:美穂と亜樹子は東京タワーで先に待機。乃木が参加者を集める。
3:第1回放送の前には東京タワーを離れる。乃木が帰ってこない場合も同様。

328亜樹子オン・ザ・ライ ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/26(日) 23:46:06 ID:5EBJdFu2
【支給品の解説】
・木製ガイアメモリ@仮面ライダーW
本編第29話にて、翔太郎の夢の中で使用された木製のガイアメモリ。
夢の舞台が翔太郎の鑑賞していた時代劇「風の左平次 パニックリベンジャー」の世界観に近かったため、この影響を受けて和風の形状になったと思われる。
このロワでガイアメモリとしての効果は全く無い。正真正銘ただの木の板である。

・参加者の解説付きルールブック@現実
通常のルールブックとは異なり、参加者名簿のページの後ろに全参加者の顔写真、性別、年齢、変身するライダーまたは怪人の名前が記載されている。
ただし具体的な変身方法については書かれておらず、またこのロワで初めて他人の変身道具を支給された例は記述対象外となる。
仮面ライダーと怪人の二通りの姿を持つ場合は、仮面ライダーの名前のみが記載されている。
変身手段を持たない一般人については、「能力:なし」と記載される。
・記載例
名前:乾巧
性別:男
年齢:18歳
能力:仮面ライダーファイズに変身できる
※ウルフオルフェノクの記述は無い

329亜樹子オン・ザ・ライ ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/26(日) 23:47:46 ID:5EBJdFu2
以上で投下を終了します。
問題点、矛盾点等があればご指摘お願いします。

330二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/26(日) 23:49:43 ID:.qlEmt7g
投下乙です
乃木さんにはとんでもないアイテムが支給されたか
まさかの木のガイアメモリw

331二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/26(日) 23:52:39 ID:s4MjQxa.
\疾風!/  \切札!/
投下乙です

332二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/27(月) 03:11:00 ID:cHSxgK06
パラダイス・ロストについて指摘します。
ダークカブトはゼクトクナイガンで病院を破壊したようですが、流石にそれは無理なのではないでしょうか?
この病院の規模は、エリア一つ分以上です。そんな大病院が、ゼクトクナイガンの弾丸だけで倒壊するとは思えません。
少なくとも、正直な感想として、こんなことで病院が倒壊し、こんなことで大勢の参加者が死亡する事に納得が出来ませんでした。
言い方は悪いかも知れませんが、「参加者を皆殺しにする為に無理矢理病院を倒壊させ、無理矢理全員死なせた」ようにしか見えません。
今まで書き手を続けて下さっていた実績があって、楽しみにしていただけに、今回の作品は本当に残念でなりませんです。
今回の件は恐らく今後にも影響し、恐らく以後は氏の予約に期待を持ってくれる読者は大幅に減ってしまうのではないかと。
少なくとも今回の作品に限って言えば、はっきり言って「つまらない」と思った読者は少なくない筈です。
どうか今後のロワ進行と、氏自身の評価の事も鑑みて、修正ないし破棄しては頂けないでしょうか?

333二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/27(月) 09:13:52 ID:HO5IFGKI
大量に死んだことについては驚愕しました、しかしたまにはこういうことも有ってもいいと私は思います。それから大病院の一部だけ破壊したのなら辻褄もあうのでは?

334 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/27(月) 09:46:36 ID:jhl.kYSI
自分個人としてもこの作品には全く納得していないので、破棄でも構わないんです。
短期間でこれだけの批判が来ることも投下前になんとなく想像はしていましたし。
はじめは「救う」目的で予約したんですが、当初の目的が矛盾する結果になってしまったので、こういう展開になってしまいました。
追加予約しようにも、周囲が自分の投下した作品が最終登場のキャラばかりだったので予約できませんし、そもそも彼らがロワ開始から二時間十五分しか経ってないことと矛盾することになりかねないと思いました。
異例ですが、これを破棄して「これ以外の結末」を議論するのも悪くないと思います。

335二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/27(月) 11:16:22 ID:xomw5zOs
>>334
投下乙です
今回は残念でしたが氏が破棄するならそれでよろしいかと思います
また、次に良作を投下してくれるのを期待しています

336 ◆Wy4qMnIQy2:2010/12/27(月) 15:19:35 ID:zRT.OTAI
>>334
そうですか。まあ破棄も一つの手かなと思います。
今回がどうであっても、次回の投下を期待しています。

あと昨夜投下した自分のSSについてですが、作中の流れでそれほど時間は経ってない気がしたので
美穂の状態表を以下のように修正しますが、よろしいでしょうか。
【霧島美穂@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】映画死亡後
【状態】健康、仮面ライダーファムに1時間変身不可
【装備】カードデッキ(ファム)@仮面ライダー龍騎、鉄パイプ@現実
【道具】支給品一式×2、サバイブ「烈火」@仮面ライダー龍騎、不明支給品×0〜3(確認済み)
【思考・状況】
1:あらゆる手を使い他の世界の参加者を倒す。
2:秋山蓮、北岡秀一、東條悟と接触、協力。
3:浅倉威は許さない、見つけ次第倒す。
4:城戸真司とは会いたいけれど…
5:今は亜樹子を利用して、一緒にステルスとして参加者を減らす。
6:亜樹子と話しながら乃木を待つ。

337二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/27(月) 17:24:13 ID:QembEfDs
それで問題はないと思います

338二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/27(月) 20:02:04 ID:hkg1wpxM
>>334
破棄するかどうかはお任せしますが、自己リレーについては予約時に一言言い添えてもらえるなら構わないと思います。
層が厚いと言えるほど多くの書き手はいないように見受けられますし、その中で氏の投下数は最多です。
書きたい、書けると思われるならどんどん書いてほしいですね。

もちろん、一人の書き手が一つのパートだけを連続して進めていくというのはNGですけど。

339 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/27(月) 20:47:09 ID:jhl.kYSI
これはリレー企画なので、極力一人リレーはしたくないんですよねぇ……。
前回は表現が曖昧だとベノスレにあったので、今回は他の書き手・読み手さんがロワ離れする可能性も踏まえて正式に破棄します。
ただ、前に書いたとおり状況が状況なので、彼らのパートは繋ぎにくいかもしれません。
誰も予約をしないようなら、病院組をどうするかの議論も必要になると思います。

340二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/28(火) 19:37:34 ID:VdrIfkf2
病院以前に他にもリレーされるまでに時間が掛かったパートは沢山あります
何もダブトが参加者を皆殺しにするだけが次の展開ではないし、繋ぎや回避などいくらでもリレーの方法はありますので、病院組だけそんなに気を遣って議論する必要はないのではと

ところで今回破棄になった作品に関しては、没ネタページに掲載という形でいいのでしょうか?

341Kの名を胸に刻め/闇に消える光 ◆/5Zb5jrQi2:2011/01/02(日) 12:13:37 ID:U/dZBcP.
あけましておめでとうございます
投下します

342Kの名を胸に刻め/闇に消える光 ◆/5Zb5jrQi2:2011/01/02(日) 12:15:39 ID:U/dZBcP.
「モモタロス……剣崎"カズマ"……天道"ソウジ"……成る程、だいたい分かった」
参加者名簿を見ながら門矢士は思考していた。
「何が分かったんですか……?」
地下から戻ってきた北条は開口一番問い掛ける。
士も気にするどころか、寧ろ得意げに語りだす。
「たいしたことじゃない……この殺し合いに参加している各世界の代表ライダーに当たりがついただけだ」
「それは十分にたいしたことだと思いますが……こちらはあまり好ましい収穫はありませんでした」
そう言うと北条は士へ一枚のカードを手渡す。
「地下倉庫も空っぽ……あったのはそれだけです」

ーーーKAMENRIDE G-3ーーー

「カード一枚とは……当てつけにも程がある」
愚痴を零す北条と対照的に、士は機嫌を良くする。
「北条、お前は警視庁の地下にG-3システムがあると思ってたのか?」
「……貴方、何故G-3を知っているのですか?」
「やはりそうか……これで参加者の大部分の出身世界が分かった」

士の仮説……それは異世界のライダーの名前の共通点
ブレイドに変身する人間の名前は"カズマ"、
G-3を知っている北条と同じ世界の参加者……"ショウイチ"。
"ユウスケ"、"ショウイチ"、"シンジ"、"タクミ"、"カズマ"、"ソウジ"、"ワタル"。
彼らは自分の知る仮面ライダーに変身する可能性が高いだろう。
そして、それを踏まえれば各参加者の出身世界もだいたい検討がつく。
名簿が世界別表記だったのは幸いである。
響鬼の世界は同姓同名の"あきら"、電王の世界はモモタロスで判別出来る。

「もっとも……検討もつかない世界が一つ残ったがな」
士の仮説では把握できない世界、仮面ライダーWの参戦を士はまだ知らない。

343Kの名を胸に刻め/闇に消える光 ◆/5Zb5jrQi2:2011/01/02(日) 12:19:47 ID:U/dZBcP.

「あなたは……剣崎一真なんですよね?」

最初に口を開いたのは夏海だった。

「ああ、そうだけど……君は何故俺のことを知っているんだ?」
「会ったことがあるんです。あなたそっくりのブレイドに……」

東條を背負い、矢車の後に続きながら病院の廊下を歩む剣崎に彼女は話を続けた。
仮面ライダーディケイドー門矢士ーと歩んだ旅の数々……

「お喋りはそこまでにしとけ……」
彼女の話の途中で矢車が遮った。

     コン……
         コン……

前方から近づく物音にその場の皆が警戒を強める。
「あいつは……」
悠然と歩を進める漆黒のカブト……ダークカブトが凶器を手に一歩ずつ、確かに歩み寄る。
そこから感じるは明らかな敵愾心……友好的な香りなど微塵もしない。

「「「変身!」」」

彼らが戦闘態勢に入るのと、ダークカブトが腰のスイッチを押したのは同時だった。

……しかし、戦場には何の変化も見られない。
三者三様の変身も見られなければ、ダークカブトもまた戸惑ったように立ち尽くすのみ。

「変身出来ない……なんで!?」
「……逃げるぞ」
困惑する夏海をよそに矢車は退避を始める。
ライダー相手に生身で逃げるのは無謀とも思える。
だが、制限を貸せられたのは自分たちだけではない。
その証拠にダークカブトはクロックアップを試みたものの、不発に終わったことに戸惑いを隠せていない。
何らかの能力制限があるのは明らかだ。
ならば、敵に自分たち同様の変身制限がかかるまで逃げ通す……
そして、そんな矢車の判断を理解した男がいた。

344Kの名を胸に刻め/闇に消える光 ◆/5Zb5jrQi2:2011/01/02(日) 12:21:24 ID:U/dZBcP.
「あんた、その娘と東條を頼む!!」
「……何?」
矢車の退避を薦める言葉を無視し、剣崎はダークカブトの進路に立ち塞がる。
「逃げきれるだけの時間は俺が稼ぐ……だから……」
言葉も途中で剣崎の体にダークカブトの拳が迫り、軽く吹き飛ばされる。

「剣崎さん……!?」
そこに近づこうとする夏海の肩を矢車が掴む。
「やめろ……ここは逃げるぞ……」
「でも、このままじゃ剣崎さんが……」
「だったらここで死ぬのか……奴の意思を無駄にする気か……?」
矢車の言葉に夏海は何も言えなくなる。
「行くぞ。死にたければ勝手にしろ……」
東條を担ぎ、走っていく矢車の後に夏海も続いた。

(よかった……やっと行ったか……)
頭を打ち付け、朦朧とする意識の中、剣崎は逃げていく仲間の姿を何とか確認した。
あとは少しでも時間を稼がなければ……
「ウェェェーイ!!」
先程の戦闘で撒き散らされた瓦礫の一つを手に殴り掛かる。
ぶつけた瓦礫は脆く崩れ、何の牽制にもならんと言わんばかりにダークカブトはクナイガンの刃を振りかざす。
咄嗟に身を屈めて刃を避けるも、続けて飛んできた蹴りが左腕に直撃する。
その衝撃は胴体まで響いていく。
骨が軋み、口から血が吹き出る。
点々と血痕を残しながら廊下を転がる剣崎の姿から、ダークカブトは彼の死を悟った。
総てを破壊する……その意思の下、次にすべきは、逃げた参加者を追いかけること。

「……待てよ」

細く弱々しい声……しかし、それでいて強い意思が感じられる。
その声にダークカブトは振り返った。

「お前……何で動ける?」
「俺は……仮面ライダーだから……」
痛む左腕、左脇腹を押さえながら、ふらつく足で何とか立ち上がる剣崎。
「たとえブレイドに変身出来なくたって……誰かを護れるはずだ。
俺に……仮面ライダーの資格があるならば!!」
「……死ね」
ダークカブトの返事はそれだけだった。
無情に降り注ぐクナイガンの銃撃が爆発を巻き起こし、剣崎の姿は瓦礫と煙の渦の中に消えた……

345Kの名を胸に刻め/闇に消える光 ◆/5Zb5jrQi2:2011/01/02(日) 12:22:49 ID:U/dZBcP.
「剣崎さん……」
病院の外まで移動した矢車たちは剣崎の方を見つめた。
自分たちはあの男を見殺しにした。言い訳はしない。
「また一つ……光が消えたか」
矢車は何処までも真っ直ぐな剣崎の姿に熱血漢な知人を思い出していた。
天道のようにずば抜けた才があるわけでもない。
ましてや自分のように地獄に堕ちたわけでもない。
ただ自分らしく闘い続けたあの男。
矢車は知らない……
その男、加賀美新は既にこの闘いで命を落としていることを……

粉塵漂う中、漆黒のカブトは更なる獲物を探していた。
「壊してやる……全部……」
「残念ながら、そいつは俺の役目だ」
ダークカブトの言葉を遮り、もはや荒れ果てた病院を気にも止めず、男は歩き続ける。

「変身!」

ーーーKAMENRIDE DECADEーーー

かつての世界の破壊者、ディケイドが総ての破壊者、ダークカブトと対峙する。

「あんたが……ディケイドか……」
そのとき、ダークカブトの背後から聞こえた声に二人揃って目を向けた。
「剣崎一真……!?」
「お前……何故まだ生きている!?」
理由は異なるが、驚きを隠せない両者に剣崎は答える。

「俺は……まだ闘える!」

剣崎の腰に巻かれた銀色のベルト、そして、彼の周囲を飛び回り、瓦礫と煙を吹き飛ばす青いクワガタムシ……!
そのクワガタに導かれるように、剣崎は自然とその手を動かす。

「変身!!」

ーーーHENSHINーーー

闘いの神、仮面ライダーガタックがその姿を再び現した。

「馬鹿な……」
ダークカブトには理解できない。
先程の銃撃時の瓦礫の波はあのクワガタが防いだのだろう。
だが、そんな程度では問題にならないほど剣崎の体はとっくに限界を迎えているはずだ。
「なんで……なんで壊れないんだよ!!」
「お前にその男は壊せない」
そう語るはディケイド。

346Kの名を胸に刻め/闇に消える光 ◆/5Zb5jrQi2:2011/01/02(日) 12:24:08 ID:U/dZBcP.
「その男は仲間の為、世界の為、護るべきものを護る為に……己一人でも闘い続ける。
たとえ、どんな困難な道でも、そいつは決して諦めない。
命ある限り闘う……それが仮面ライダーだ!!」
「お前……何者だ?」
ディケイドはダークカブトの正面に立ち、声高らかに宣言する。

「通りすがりの仮面ライダーだ……覚えておけ!!」

そのとき、ライドブッカーから光と共に飛びだしたのはライダーカード。

「一真、お前の力を借りるぞ」

ーーーKAMENRIDE BLADEーーー

「カブトムシにはカブトムシ……だな」

剣崎との交流は実に短いものだった。
だが、士の知る仮面ライダーの生き様に目の前の青年は一致していた。
一方の剣崎も、予め夏海から士の話を聞いていた。
だからこそ、彼の言葉をより深く聞きいった。

二人の心が通じあい、ここに仮面ライダー剣が甦った!!

「調子に乗るなぁ……!」
いつまでも制限がかかっているわけではない。
ダークカブトは苛立ちながら腰のスイッチに手をかざす。

ーーーATACKRIDE MACHーーー

そうはさせじと、ディケイドはマッハの名の通り、高速移動でダークカブトに斬りかかる。
「一真! クワガタの角を倒せ!!」
「角……?」

ーーーCAST OFFーーー

弾け飛ぶ装甲、現れる双剣。

ーーーCHANGE STAG BEETLEーーー

「よし……」
フォームチェンジの成功を確認すると、士は次のカードを取り出す。
「あとは奴に合わせろ。とどめはこっちでなんとかする」

ーーーATACKRIDE METALーーー

「あ……あぁ……分かった」
予想外の展開の連続で戸惑う剣崎。
だが、士の言葉を信じて敵の動きを良く見る。
だからこそ見のがさなかった。ダークカブトの手が腰に向かうのを。

ーーーCLOCK UPーーー
ーーーCLOCK UPーーー

制止する時の中、動き出すカブトとクワガタ。
ダークカブトはまず、目の前のディケイドを弾き飛ばそうと蹴りつける。
「……!?」
しかし、微動だにしない。
メタルで強化されたブレイドの超装甲。
ディケイドの堅さはそれほどまでに予想外だった。
その隙を剣崎は逃さない。
ディケイドの陰から飛び出すや否や、蹴るや殴るや打撃のラッシュ。
持てる力の全てを尽くし、ひたすらにダークカブトを壁際へ追いやる。
「ウェェェーイ!!」
渾身の一撃……さながらブレイドの必殺技のごとく跳び蹴りを浴びせる。
ガタックが力使い果たして倒れ込み、ダークカブトが壁に押し付けられたそのとき、

ーーーCLOCK OVERーーー
ーーーCLOCK OVERーーー

時は再び動き出す……!

ーーーFINAL ATACKRIDE B,B,B,BLADEーーー

「はぁ!!」
そこへ迫るは雷を帯びた跳び蹴り……
剣崎が、ブレイドが、数々の敵を葬ってきた必殺技……!
漆黒のカブトに迫る青い稲妻。
その一撃は病院の壁を砕き、ダークカブトを吹き飛ばす。
「やったか……」
敵の撃退に成功した士は剣崎の姿を探した。
彼の目に映ったのは既に変身が解け、血を吐き倒れ込むただの人間の姿だった。
「一真!!」

347Kの名を胸に刻め/闇に消える光 ◆/5Zb5jrQi2:2011/01/02(日) 12:25:13 ID:U/dZBcP.
混沌とする意識の中、剣崎の目に映るのはブレイドの勇姿。
「ディケイド……最期の頼み……聞いてくれ」
「……一真」
「ブレイドの……仮面ライダーの力で……みんなを護ってくれ……」
剣崎は自分の荷物、そしてブレイバックルを士に手渡すと、静かにその目を閉じた。
ダークカブトと生身でやり合った時点で既に剣崎の体は限界だったのだ。
それをここまで持たせたのは、誰かを護りたいという強い意思。
命ある限り闘う……
剣崎一真……そう、彼は正に仮面ライダーだった。


「くっ……」
ダークカブトの変身が解け、瓦礫の中からはい出てきたのは、ネイティブと呼ばれる異形。
士にこの姿を知られていないのが不幸中の幸いだった。
生身では致命傷だったであろう瓦礫の数々もこの姿ならばさほど苦にならない。
「仮面ライダー……必ず壊してやる!!」
破壊者は動き出す……新たな恨みを胸に抱き。



「大丈夫ですか!」
小休止していた矢車たちの下に駆け寄る男が一人。
「あなたは……?」
「北条透、警察の者です。病院の中には私の仲間の門矢士さんが向かっています」
士を病院へと連れていく途中、北条は双眼鏡で病院の異変を察知した。
結果、戦力外の北条は避難先の人々に合流。
士が一人で戦場に向かうこととなったのだ。

「士くんがいるんですか……!」
北条の言葉に夏海の顔に明るい笑みが浮かぶ。
戦場に咲いた一輪の花……まばゆい光。


……それは、一瞬にして黒龍の口に呑み込まれた。


「何!?」
「夏海!!」
矢車、キバーラの叫びが青空に響く。
その空を舞う黒龍は食事を楽しむかのように咀嚼をし続ける。

「駄目だよ……こんな便利なものをしまい込んでちゃ……」
「お前、起きてたのか……」
原因は明らかだ。
矢車の背中で寝ていた筈のあの男。
彼は矢車の荷物に手を突っ込み、黒龍宿る箱を見つけていた。
その男、東條は矢車の背中を蹴り、大地へと飛び降りた。
「さっきのお返しさせてもらうよ。英雄になる為にね……変身」
鏡像重なり、漆黒の鎧を纏い、黒龍従え君臨する悪魔。

「一難去って、また一難……ですか」
思わず北条は呟く。

漆黒の龍騎士は英雄を目指し、その牙を向けた。

【剣崎一真@仮面ライダー剣 死亡確認】

【光夏海@仮面ライダーディケイド 死亡確認】

348Kの名を胸に刻め/闇に消える光 ◆/5Zb5jrQi2:2011/01/02(日) 12:26:52 ID:U/dZBcP.
【1日目 午後】
【E−4 病院/外】
【擬態天道総司(ダークカブト)@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第47話 カブトとの戦闘前(三島に自分の真実を聞いてはいません)
【状態】疲労大 全身打撲 情緒不安定気味 仮面ライダーダークカブト、ネイティブ2時間変身不可
【装備】ライダーベルト(ダークカブト)@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、不明支給品(1〜3)、デンオウベルト+ライダーパス@仮面ライダー電王
【思考・状況】
0:仮面ライダーを全員殺す。
1:天道総司を殺し、『天道総司』に成り代わる。
2:全ての世界を破壊するため、手当たり次第全員殺す。
3:特に優先的に『カブトの世界』の五人を殺害する(最終的には自分も死ぬ予定)。
4:僕はワームだった……。
【備考】
※ 名簿には本名が載っていますが、彼自身は天道総司を名乗るつもりです。
※ 参戦時期ではまだ自分がワームだと認識していませんが、名簿の名前を見て『自分がワームにされた人間』だったことを思い出しました。詳しい過去は覚えていません。
※ ネガタロスの支給品を全て奪いました。

【1日目 午後】
【E−4 病院/一階廊下】
※一階廊下の壁と、診察室の天井と壁が破壊されています。
※二階の廊下が破壊され、一階診察室と繋がっています。
※二階の病室の壁が破壊されています。

【門矢士@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】重傷(軽い応急処置済み)、疲労(小)、ディケイド2時間変身不可
【装備】ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド、ライダーカード一式@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式×2、不明支給品×2、ブレイバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(スペードA〜6.9)@仮面ライダー剣、ガイアメモリ(ヒート)@仮面ライダーW、ケータッチ@仮面ライダーディケイド、ライダーカード(G3)@仮面ライダーディケイド
【思考・状況】
1:大ショッカーは、俺が潰す!
2:仲間との合流。
3:友好的な仮面ライダーと協力する。
【備考】
※デイバッグの中身は確認しました
※現在、ライダーカードはディケイド、ブレイドの物以外、力を使う事が出来ません。
※該当するライダーと出会い、互いに信頼を得ればカードは力を取り戻します。
※カメンライドジースリーはディエンドのみ使えます。
※ガタックのライダーベルトは剣崎の腰に巻かれています。

【1日目 午後】
【E−4 住宅街】

【矢車想@仮面ライダーカブト】
【時間軸】48話終了後
【状態】キックホッパーに1時間50分変身不可
【装備】ゼクトバックル+ホッパーゼクター@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜1)
基本行動方針:弟を殺した大ショッカーを潰す。
1:目の前の敵をどうにかする。
2:殺し合いも戦いの褒美もどうでもいいが、大ショッカーは許さない。
3:天道や加賀美と出会ったら……?
【備考】
※支給品は未だに確認していません。
※ディケイド世界の参加者と大ショッカーについて、大まかに把握しました。

【東條悟@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】インペラー戦後(インペラーは自分が倒したと思ってます)
【状態】疲労(中)、ダメージ(大)、仮面ライダータイガ1時間50分変身不可
【装備】カードデッキ(リュウガ)@仮面ライダー龍騎
【道具】なし
【思考・状況】
基本行動方針:全ての参加者を犠牲にして、ただ一人生還。英雄になる。
1:自分の世界の相手も犠牲にする。
2:ネガタロスを利用し、悪の英雄になるのもいい。
3:基本的には病院で参加者を待ち伏せてから殺す(二階の廊下が気に入ってます)。
【備考】
※剣の世界について情報を得ました。
※キバーラ、タイガのデッキ、支給品一式×2、不明支給品(0〜4)は夏海が落としたまま放置されています。

【北条透@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終盤 アギト殲滅作戦決行中
【状態】疲労(小)
【装備】無し
【道具】支給品一式、救急箱@現実、ラウズアブゾーバー@仮面ライダー剣、ファイズポインター&カイザポインター@仮面ライダー555
【思考・状況】
1:目の前の男をどうにかする。
2:牙王、アポロガイストを警戒する。(両名とも、名前は知らない)
3:知人と合流し、情報を集める。
4:小沢と合流して、Gトレーラーの鍵を渡してもらう。
5:士は嫌いだが、この場では一緒に行動するのも仕方がない。
【備考】
※Gトレーラーの鍵は小沢が持っていると考えています。

349Kの名を胸に刻め/闇に消える光 ◆/5Zb5jrQi2:2011/01/02(日) 12:27:35 ID:U/dZBcP.
以上です。

350二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/02(日) 13:15:04 ID:wa1Ohnj2
投下乙です
ああ、剣崎と夏みかん…………南無
士もやっと再会できると思ったのに
そして東條にリュウガが渡っちゃったなんてw

351二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/02(日) 13:26:52 ID:SOBOvl7Q
投下乙です
ケンジャキー!!!
お前はやっぱり序盤で退場したか…
けど熱かった!剣崎はやっぱり仮面ライダーだぜ!
今後ガタックが誰の手に渡るかが気掛かりだが…士は士で色々ゲットしたし、今後が楽しみだぜ
そしてどうなる矢車さん!

352二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/02(日) 19:24:39 ID:3Cg8memw
投下乙です
剣崎序盤退場のジンクスは覆らなかったか…でも、その姿は最期まで仮面ライダーそのものだ
友情の象徴カメンライドカードが出現する展開も燃える
あっ、東條が変身しちゃった… みんな変身解いちゃったし、誰がこいつを止めるんだ?

あと一つ、電子音声の部分で「ー」を使うのはちょっと違和感がありました
これは長音記号(ライダ"ー"、カ"ー"ド)なので、この使い方はあまり一般的ではないと思います
「ー」の変換例の中にダッシュ記号「―」があると思うので、そっちの方が望ましいかと

353二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/02(日) 19:32:45 ID:tbAZnukY
投下乙です!
剣崎……ジンクスに逆らわず、今回も逝ったか。
剣崎の早期退場は最早ネタとも思えるけど、その最期はやっぱり熱かったなあ。
最後の瞬間まで仮面ライダーらしくあり続け、その魂をディケイドに託した剣崎。
そんな彼にならガタックゼクターも喜んで力を貸したんだろうな……。
また主人を失ってしまったガタックだけど、今度は誰になるんだろう。
そしてまあ予想はしていたけど、東條はやっぱりやらかしたかw

354二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/04(火) 00:26:22 ID:v35VburU
ゲゲゲー!
泣けるでぇ・・・

355 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:13:00 ID:136X3D0c
紅渡、キング、園咲冴子、牙王分投下します。

356加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:18:00 ID:136X3D0c
「みんな知ってるか? ワルツ王と呼ばれるヨハン・シュトラウス2世は生涯に3回結婚しており、その父ヨハン・シュトラウス1世は愛人……



 ってんなこと言っている場合じゃねぇぇぇぇ! 渡!! 頼むから考え直してくれぇぇぇぇぇ」







「さっきから五月蠅いわねこの蝙蝠……結婚とか愛人とか……」
「すみません……キバット、少し黙っててくれる? ところで、気になったんですけど……妙にここに詳しい気が……」
「当然よ、ここ私の家だもの」



 園崎邸のある部屋に園崎冴子、紅渡がいた。先程の戦闘で冴子が負った怪我の応急処置をする為だ。



「それじゃ、この場所は冴子さんの街……」
「とは限らないわ。私も最初は風都だと思ったけど……」



 と、窓から見える西数キロ先にある巨大なタワーを指す。



「東京タワー?」
「あそこには風都タワーがある筈だった……でも、実際には違う建物がある……それに、本当だったらこの場所から風都タワーなんて見えない筈なのよ」



 冴子によると2年程前に風都第三ビルが建てられ、それにより今いる冴子の妹である園崎若菜の部屋から風都タワーは見えなくなっていたのだ。
 ちなみに冴子がわざわざ若菜の部屋に入ったのは自分の部屋を渡に伏せる為、若菜の部屋に使える物があればそれを確保する為である。もっとも、若菜の部屋には冴子から見て使えるものは無かったが。



「恐らく、殺し合いの舞台として私達の住む風都をベースにして街を作ったって所ね。勿論、ベースはあくまでもベース、所々変えている部分があるから私をアテにしても無駄よ」



 地図を見ながら冴子は語る。風都をベースにしているとはいえ、建物の所在も元々の風都と同じとは限らず、全く違う場所に存在する可能性もあるという事だ。



「それよりも、貴方の世界の知り合いについて教えてくれるかしら?」
「え?」
「一応組んでいる以上は当面互いの世界の相手に手を出すわけにはいかないでしょ。まぁ、名簿の配置から大方見当は付くだろうけど」



 2人は互いの知り合いについて話し合う。
 冴子の世界の知り合いは4人、
 冴子の夫で園崎家の婿養子となった園崎霧彦、
 風都にある鳴海探偵事務所で探偵をしている左翔太郎、
 鳴海探偵事務所の所長である鳴海亜樹子、
 そして――



「名簿ではフィリップと書かれているけど――来人、私の弟よ」



 冴子の弟である園崎来人、以上について語られた。



「え? どうしてフィリップになって……?」



 と、渡は当然浮かぶ疑問を口にするものの、冴子としてもそこまで話すつもりはない。



「そこまで話す義……」
「この女の事情なんてどうだっていいだろうが……それより渡、考え直すなら今の……」
「……それより貴方の方は?」
「オィィィィィ!」

357加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:19:00 ID:136X3D0c



 キバットバットⅢ世の言葉に気を留める事無く2人は話を続ける。
 渡の世界の知り合いは2人、
 会った事のない渡の父親である紅音也、
 ファンガイアや犯罪者を許さない強い正義感の持ち主でイクサの変身者であり一時期渡の師匠でもあった名護啓介、



「……それだけ?」
「はい、僕の知っている人は……それに、冴子さんの方もそれだけですか?」
「もしかしたら1人か2人はいるかも知れないけど私の知っている人はこれで全部よ、それよりキングって名前に心当たりは無いの?」



 冴子が指摘するのは渡達の近くに書かれていたキングという名前だ。渡の世界の参加者である可能性が高いが――



「……無いです。」
「わかったわ、当面はお互いの世界の参加者には手を出さない。私も貴方のお父様や名護さんには手を出さないから、貴方も霧彦さんや来人に手を出さないってことで良いわね?」
「……左さんと鳴海さんは?」
「その2人なら別に構わないわ、まぁ今の貴方じゃトドメさせないだろうけどね。但し、霧彦さんや来人に手を出すなら……」
「……わかりました」

 本来ならば冴子にとって同じ世界の参加者である翔太郎と亜樹子は味方である。
 しかし、元々の世界で敵対している事を踏まえるとこの場でも敵対は避けられない。故にこの2人については排除しても構わないと判断した。
 もっとも、2人で1人の仮面ライダーである翔太郎が1人でどうにか出来るとは思えないし、亜樹子に至っては何の力も持たない人間だ。特別警戒する事もないだろう。





 その一方、




「(渡の奴……本気でこの女と組んで殺し合いに乗る気か……)」



 キバットは冴子のデイパックの中で苛立ちを感じていた。
 このままだと冴子に都合よく利用される事は確実だ。そして利用価値が無くなればゴミの様に捨てられるだろう。
 キバット自身、渡が殺し合いに乗る事を望んではいない。故に本来なら今の渡をキバに変身させたくはない。
 だが、今突っぱねればそのまま冴子に利用価値無しと見なされそのまま殺されるのがオチだ。
 確かに互いの変身道具や武器の殆どは交換しているから互いに手が出せない様に見える。だが実際はそうではない。
 冴子は自身に支給されていた武器の中で渡に渡していないものがあった。先の戦闘で冴子が使っていたナイフことファンガイアスレイヤーのことだ。
 つまり、今刃向かった所で武器を持つ冴子に殺されるだけという事だ。



「(完全に渡にとって不利な状況じゃねぇか……)」



 とはいえ、現状ではこのまま冴子に従う以外の選択肢は無い。隙を見てキバに変身した時に何とか渡を説得し冴子から離れるべきだろう。



「(最大の問題は、渡を説得出来るかって事だ……)」



 渡を説得出来る可能性について考える。諦めてはいないものの、今の渡には自分が何を言っても聞いてくれそうにない。
 原因についての心当たりはある。渡自身の手で最愛の女性である鈴木深央を結果として殺してしまったからだ。
 もう二度と大切な人を失わない為、自分の大事な人達のいる世界を守る為に殺し合いに乗り優勝を目指している。
 キバット自身、その想いを理解していないわけではないし、その決意をそう簡単に変えられるとは思っていない。
 だが、そんな渡の行動を名護や恵、静香、健吾達が望むわけがない。渡が他の世界の人々を悲しませてまで守られたいとは思わないはずだ。



「(けど俺じゃ無理だ……名護や渡の親父さんの声なら届くか……)」



 名護や音也ならば渡を説得出来るかもしれない。
 名護は色々奇行も目立ち何度も対立したが最近では何故か心境の変化があったせいか渡の正体を知っても尚、渡の味方をしてくれた。不安要素が無いではないが、彼ならば何とかなるかもしれない。
 音也は言うまでもなく渡の親父だ、きっと渡の暴走を止めてくれる筈だ。問題は――

358加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:19:45 ID:136X3D0c



「(でも、会った事ねぇんだよなぁ……父ちゃんから聞いた事はあ……いや)」



 実は、一度だけキバットは音也と出会っている。正確には渡に音也の魂が乗り移った時に出会ったわけだが、



『渡? 知らないなぁ、そんな奴』
『神様の悪戯だな、コイツの身体に俺の魂が宿っちまったらしい』



「(アイツじゃ無理な気がしてきたぁぁぁ! この女に騙されそうな気すらするんだけどよぉぉ!)」



 その時の言動を見る限り、音也に渡の説得は難しい気がしたキバットであった。



「(後は加賀美の兄ちゃんが言ってた『俺よりもすごい奴』か……せめて名前だけでも聞いていれば……)」



 そんな中、先の知り合いについて話していた時、キバットから見て1点だけ気になる点があったのだ。
 それは渡達の近くに書かれている『キング』の存在だ。
 渡は心当たりが無いと言っていたが厳密に言えばあるのだ。
 ファンガイアの中でも実力者とも言うべき『ルーク』、『ビショップ』、『クイーン』、そして『キング』と呼ばれるチェックメイトフォー、『キング』はその中でも頂点に君臨している。
 分かり易く言えばファンガイアの王と言っても良い。
 渡達の時代のキングは登太牙、しかし渡にとってはファンガイアのキングではなく、幼き頃からの親友あるいは父親違いの兄である。
 故にキングという名前だけで太牙の存在に結びつかなかったのだ。
 一方のキバットはキングが指し示しているのがファンガイアのキングの可能性が高い事に薄々気付いていた。
 だが、それならば奇妙な話なのだ。



「(だったら太牙って名簿に書けば良いだろ……その方が渡や名護が気付く筈だ……)」



 そう、登太牙ではなくキングという名前が名簿に書かれている事が奇妙なのだ。他の世界にとってはどちらであっても構わない。
 だが、自分達の世界、少なくても太牙の存在を知る渡や名護にとっては太牙という名前の方が都合が良いのだ。



「(待てよ……結局の所、『キング』ってのは称号だ……つまり……この『キング』は太牙の事じゃないって事か……)」



 キバットの脳裏にある仮説が浮かんだ。それが意味する事は通常はまず有り得ない事だ。だが、



「(いや、死んだ筈の渡の親父さんもいるんだ……有り得ないとは言い切れねぇ……)」



 とはいえ、



「(考えても仕方ねぇか、太牙じゃなければ渡の知らない人物でしかねぇ……太牙であってもアイツは渡を恨んでいる……どうにもならねぇか……くそっ……大ショッカーの奴等……悪趣味な事しやがって……)」

359加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:21:40 ID:136X3D0c















Interlude King & Fang





「随分と派手な事しやがって……」



 荒れ地となったB-8に1人の壮年の男性いた。彼の名は牙王、全てを喰らわんとする男だ。

 ディケイド及びアポロガイストとの戦闘直後、牙王はある事を確かめた。
 1つは支給品の中にあったガイアメモリ、ホッパーメモリの能力だ。
 説明書きによると首輪にあるコネクタに挿し込む事でホッパー・ドーパントなるものに変身出来るとあった。
 来た当初は使うつもりは無かったがある問題が起こったのだ。
 それは先程の戦闘時、突然変身が解除されたという問題だ。理由は不明だが長時間の変身は不可能ということだ。
 更に再変身を試みたがマスターパスは反応せず変身は出来なかった。どうやら1度変身した場合、ある程度時間をおかなければ変身出来ないらしい。
 これでは折角の獲物を見つけても喰らう事が出来ない。変身出来なくてもある程度渡り合える自信はあるが圧倒的に不利である事に違いはない。
 故に、得体は知れないもののガイアメモリを使う事にしたのだ。
 牙王は試しにメモリを首輪に挿し込みホッパー・ドーパントに変身した。その能力はホッパーの名の通り驚異的な跳躍力、単純ではあるが使う者次第では凶悪な力を発揮する。
 事実として本来の持ち主であるイナゴを食すゴシックロリータファッションの女は変身せずとも驚異的な身体能力を誇っていた。
 その彼女とホッパーの組み合わせは強大、ミュージアムにおいても処刑執行人としての重要な役割を与えられていた。

 その観点から考えれば牙王との相性も良いと言えよう。
 牙王はマスターパスを使いガオウへと変身し同じ世界の仮面ライダーである電王及びゼロノスを圧倒している。
 特に決戦においては桜井侑斗の機転により各フォームに変身した4人の電王とゼロノスが立ち塞がったにも関わらずそれらを圧倒、
 しかし、ガオウの能力は実の所同じ世界の仮面ライダーである電王の各フォーム及びゼロノスと比較して圧倒的に秀でているというわけではない。
 にもかかわらず圧倒出来たのはひとえに変身者である牙王自身の能力と言って良い。
 素の能力が優れているのであれば当然ホッパーの力も引き出せるのは容易に理解出来るだろう。

 変身解除後、暫くの間は食事をしつつ身体を休めていた。そしてB-8での戦いの音を聞き動こうとした。
 あわよくば戦場にいる連中を皆喰らうつもりではあった。
 が、結論から言えば戦闘に介入することは出来なかった。
 戦場に向かう前に変身しようとしたがその時点ではまだ変身出来なかったのだ。実の所再変身可能までにはほんの数分足りなかったというわけだ。
 故に牙王は戦闘に介入せずそのまま待ち続け戦闘が終わった後、変身する事無くゆっくりと戦地に駆けつけたというわけだ。

 戦闘が激しかったという事は容易に理解出来る。その激しい戦闘に介入出来なかった事が悔しかった。
 さぞかしその場所にいた連中は喰い甲斐のある連中であっただろう。自分が先に出会った獲物達とは比べものにならない位にだ。

360加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:22:20 ID:136X3D0c

 その最中、牙王の脳裏にある連中の姿が浮かび上がる。
 それは神の列車を巡る戦いで対立した相手、特異点1人を消す程度の意味しか持ち得ないある1日を消そうとした自分に対し、



『たった1日でも死んでも忘れたくない時間はあるんだ……無くしたくない時間が……』



 そう言い放った少年だ。その人物こそその時牙王が消そうとした特異点である。そして、



『モモタロス!』
『良太郎、思い出したか!』



 そう言って特異点こと野上良太郎、モモタロス他仲間のイマジン達が電王へと変身し自分へと立ち向かってきたのだ。
 前述の通り、4人の電王及びゼロノスをガオウは圧倒した。だが、それでも良太郎とモモタロスが変身した電王は立ち上がり、



『そういうのを往生際が悪いって言うんだ、知ってるか?』
『ああ、最後までクライマックスって意味だろ?』



 そう言って往生際悪くガオウへと挑み――遂にダメージを与えたのだ。そしてガオウライナーとデンライナー及びゼロライナーによる列車戦にすら敗北し、最後の一騎打ちの果てに――



『時間に喰われるのは……俺の方か……』



 そう言って牙王は砂になって消えた――と思ったが気が付いたら大ショッカー立ちのいる最初の場所にいたという事だ。
 何故自分が生きているのかについては別段気にしていない。時間に喰われたと思ったら喰われなかった程度の問題でしかない。
 生きているなら今度こそ全てを喰らえば良いだけの話だ。
 名簿には良太郎とモモタロス、それにリュウタロスの名前があった。あの時同様立ち向かってくるだろう、喰い甲斐のある連中である奴等は――



「喰ってやるさ……次こそな」



 向かってくるならば次こそ喰らう、同じ世界であっても組むつもりはない。
 彼等は先に出会った連中よりもずっと喰い甲斐があるだろう。何しろ自分を一度は喰らった奴等なのだから。

 無論、彼等に固着するつもりもない。喰い甲斐がある奴等がいるならばそいつらでも構わない。
 彼等を喰らえる事は期待しつつ牙の王の名を持つ男は往く――

361加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:23:00 ID:136X3D0c







 其処より少し離れた場所、1人の男性がアテもなく歩いていた。彼はキング、ファンガイアの頂点に君臨する男だ。
 B-8の惨状を引き起こした元凶の1人であるその男はその場所で自分に刃向かい逃げていった5人を追いかけようとしたが結局見失った。
 制限のせいか本来の姿であるバッドファンガイアに変身する事は出来ないが、戦闘後自身のデイパックを確認した所自分に相応しいものがあった。
 先の戦闘で殺した男の持つ変身道具も手元にあったがそれよりもずっと自分にとって都合の良いものだ。
 それはファンガイアの王を守護する為に作られたヘビ型人工モンスターサガークと専用武器のジャコーダー、腰に取り付く事でベルトに変形しジャコーダーを挿し込む事で運命の鎧とも呼ばれるサガの鎧を纏う事が出来るのだ。
 武装こそ少ないがキバに匹敵する潜在能力を持っている。
 この説明だけでもファンガイアの王であるキングに相応しいのは理解出来るだろう。
 サガークはキングから見て未来の世界のファンガイアの王にしてキングの息子である太牙が所持しているものだ。
 本来なら息子が持っているであろうサガの鎧が自分に支給されたという事実はその名の通り運命的なものを感じずにはいられない。
 仮にファンガイアの姿に戻れずとも、サガの力があれば十分に戦える。元々ファンガイアの王の為の武装なのだ、使わずとも戦い方は概ね把握出来ている。
 説明書によるとサガークの眷属であるククルカンやマザーサガークは制限の都合呼び出せないが問題は何もない。
 サガとファンガイアの力を以て他の世界の参加者を皆殺しにし、紅音也、紅渡の親子を殺しこの手に愛する真夜を取り戻すのだ。

 その名が示す通り、運命に導かれる様にかつてキバの鎧を纏っていたキングの称号を持つ男は往く――





Interlude out

362加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:24:30 ID:136X3D0c















「っぷ……」



 喉の奥から胃の中の物が湧き上がってくるのを感じた。
 冴子と渡は園崎邸を出た後、目的地をB-6のホテルに定め移動を行っていた。
 目的はホテルに集うであろう参加者を仕留める為である。ホテルは拠点にするには丁度良い場所だからだ。
 誰もいない可能性もあるがその時は其処で待ち伏せるなり自分達の拠点にするなりすればよい。

 その途中のC-6を通りかかった時に1人の頭部を割られた死体を見つけたのだ。渡はそれを見て先程自分が殺した加賀美の事を思い出し嘔吐感をもよおしたというわけだ。



「冴子さん……」



 早くこの場所から離れたい、そう言おうとした渡であったが、



「少し気になる事があるわ、気持ち悪いんだったら向こうに行っててくれる?」



 冴子は死体を調べるつもりだった為、渡の言葉に取り合わない。



「わかりました……」



 渡は渋々冴子と死体から距離を取って行く。そして残された冴子は死体の頭部を眺めあるものを見つけた。



「これはガイアメモリのコネクタ……」



 血塗れだったが故に識別しにくかったがこめかみの所にガイアメモリのコネクタを見つける事が出来た。
 それが意味する事は男が自分と同じ世界からの参加者という事だ。
 ガイアメモリを使いドーパントに変身したが敗北した? 真っ先に考え付くのはそれだ。しかし、仮にそうならあるものが無いのが妙だ。
 もしドーパントに変身して敗北し殺された場合、メモリブレイクされたガイアメモリが近くに無ければおかしい。
 仕留めた人物が確保する可能性は低いだろう、メモリブレイクされたメモリなど無用の長物以外の何物でもないからだ。
 だが、現場の近くにメモリはない。恐らく持ち去ったと考えるのが自然だ。

 では、何故メモリを持ち去ったのだろうか? ブレイクされたメモリなど必要無かろう?
 が、こうは考えられないだろうか? ブレイクされていなかったとしたら?
 つまりお粗末な話ではあるが、変身していない状態で襲われ殺されたという事だ。これならメモリはブレイクされずに残り、同時に持っていく意義も出てくるだろう。

 だが、それならそれで別の疑問が出てくる。ガイアメモリを持っていく事自体は別に良い。
 しかしガイアメモリは生体コネクタもしくはドライバーに挿して使う物だ。それ無しに使う事は不可能である。
 生体コネクタ自体は専用の道具があればすぐに付けられるがそんな都合良く生体コネクタを付ける道具が支給されるわけもないし、ドライバーにしても同じ事だろう。
 つまり、基本的にガイアメモリは自分の世界の人間以外にとっては無用の長物という事だ。何を考えてガイアメモリを持ち去ったのだろうか?

363加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:25:10 ID:136X3D0c



「使えないけど持っていく……確かにかさばる物じゃないから有り得なくはないけど……何か引っかかるわね……」



 そう口にしながら死体を眺めていった。
 それは只の死体、冴子にとっては何の意味も持たないものだ。
 自分の世界の人間であっても冴子にとってはとるに足らない人物でしかない筈だ。
 それでもだ、
 それでも冴子はその死体から目を逸らす事が出来なかった。
 心の奥底から何かが湧き上がってくる様な気すらしたのだ。



「悲しんでいる……? 馬鹿馬鹿しい、そんな事有り得ないわ……」



 それはきっと気のせいなのだろう。早々にこの場所から離れホテルで休んだ方が良いだろう。
 そう思い死体から目を逸らそうとした。が、その直前あるものが目に付いた。



「……!」



 そう、それは首輪だ。冴子の脳裏にある仮説が浮かび死体の首輪を注視した。そして、



「見つけたわ……」



 仮説通り、首輪にガイアメモリを挿し込むコネクタを見つける事が出来た。
 恐らく首輪にドライバーと同様の機能を持たせ、ガイアメモリを用いドーパントへと変身する事を可能にしたという事だろう。
 その気になって調べればコネクタを見つける事自体は難しくはない。恐らく仕留めた人物はドーパントに変身する力を得る為にメモリを奪ったという事だろう。
 そしてこの事実は2つの事を浮き彫りにする。
 1つは参加者に他のガイアメモリが支給されている可能性、わざわざ首輪にコネクタを付加したのだ。ドーパントに変身させる為にガイアメモリを支給する可能性は大いにあり得る。
 もう1つはガイアメモリの技術を手にしたという事実から大ショッカーの背後にガイアメモリの技術を与えた人物がいる可能性があるという事だ。
 真っ先に考え付くのは自身の父である園崎琉兵衛、それに園崎家を出て行ったシュラウドこと冴子の母園崎文音だ。
 だが必ずしも彼等とは限らない。ミュージアムの協力者は数多く存在するし個人レベルでもガイアメモリの改造や研究は一応可能だからだ。現状これ以上考えても仕方がないだろう。


 そして今一度死体を一瞥する。もし、何気なく少し眺めただけだったら首輪のコネクタの存在に気付く事はなかった。
 この死体に思う所が無ければ長々と注視する事など無かったという事だ。
 死体の人物が誰かを冴子は知らない。それ故に何故気になったか等知る事は無いだろう。


 その人物がほんの少し未来に冴子が出会う筈だった人物であったとしても今の冴子にそれを知る術など無い。



 安い言葉で言うならば運命――それが2人を引き合わせ重要な事に気付かせたのだろう。それで十分だ。



「さて……そろそろ行こうかしら」





 その一方、死体から十数メートル離れた渡は1人冴子を待っていた。
 冴子の様子を見る限り死体の人物に何か思う所があったのは渡にもわかる。
 もしかすると死体の人物は冴子にとって大切な人だったのだろうか?
 だが、少なくても霧彦や来人ではないのは確かだったし、それ以外に大切な人が参加させられているわけではないのは聞いている。勿論、隠していた可能性もあるだろうが。
 疑問は尽きないが、何にしても冴子が哀しみを感じていると渡は感じていた。そしてそれを感じる度、自分の心の奥底が締め付けられる気がした。
 守る為とはいえ、誰かを殺めるという事はその哀しみを他の皆に与える事、キバットや加賀美が何度も止めようとした事も理解出来ないわけではない。



「それでも……僕は……」



 だが、今更もう戻る事など許されない。自分の世界の皆を守る為に敢えて自分は修羅の道へ進むのだ――







 そして、運命の円舞曲は静かに奏でられる――

364加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:30:15 ID:136X3D0c







「待たせたわね、わた……」




 遠方から冴子が声をかけようとした時、何かが数回渡にぶつかっていった。



「え? サガーク……?」



 渡は何が起こったのか考えつつ振り向くと、



「こんなに早く会えるとは、紅渡……」



 眼前にはロックミュージシャンの服装をした男が立っていた。



「え、僕を知っているんですか……?」



 自分の世界からの参加者なら協力してくれるかもしれない。少なくとも敵対する理由は皆無だ。しかし、



「キング自ら貴様を地獄に送ってやる……絶滅せよ」



 目の前の人物が何を言っているのか理解出来なかった。



「サガーク」



 そして、太牙が持っていた筈のサガークがその男の腹部に取り付きベルトとなり、



「変身」



 その言葉と共にジャコーダーを挿し込みサガへと姿を変えた。サガは早々にジャコーダーを鞭状に変形し状況が理解出来ない渡を絡め取り数メートル先へと放り投げた。



「がばっ……」



 渡の全身に激痛が奔る。それでも何とか立ち上がり、



「どうした? キバに変身しないのか?」
「ちょ、ちょっと待ってください……どうして僕を殺そうとするんですか? 僕達が戦う理由なんて……」



 渡には理解出来なかった。ルール上、同じ世界の人間と敵対する必要は全く無い。だが、



「理由だと? 貴様と紅音也は俺から真夜を奪った、それだけあれば十分だろう」
「僕と父さんが……母さんを……?」



 目の前の男性の口ぶりから音也と渡の母である真夜、そして男の三者の間に何かがあった事はわかる。だが、何故自分もなのだろうか?
 少なくても自分は目の前の男とは初対面だ。渡の理解が追いつかないまま、



「キバに変身しないならばそれでも構わん。そのまま死ね」



 サガのジャコーダーによる攻撃が渡を襲おうとしていた――

365加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:31:00 ID:136X3D0c







「何が起こりやがった! 俺にわかるように事情を説明しろ!」



 冴子のデイパックの中で轟音を聞きつけたキバットが騒ぐ。



「口で言うより見た方が早いわね」



 そう言って冴子はデイパックからキバットを出す。キバットは外の様子を見て驚愕した。20数メートル先では渡が何度もサガによる行く度の攻撃を必死に回避していたのだ。



「なっ……サガだと!? まさかあのキングは太牙の事か!?」
「太牙? 誰なの?」
「渡の親友で兄……」
「それじゃ違うわね、少なくともあの子はあの男を知らなかったわ……そういえばあの子と音也が真夜を奪ったとかどうとか言っていたわね? その事について心当たりは無い?」
「あるぜ……そいつは恐らく太牙の親父さんだ。くっ、渡の親父さんがいたから可能性はあるとは思ったが……
 だが、それならおかしいじゃねぇか! 何で渡が渡のお袋さんを奪ったって事になるんだ!? 少なくとも渡は関係ねぇ筈だぜ!」
「さぁ、私はあの男の気持ちが全くわからないわけじゃないけど……それよりこの状況を何とかするのが先決よ」
「そうだ、早く渡を助けねぇと」



 と、すぐさま飛び立とうとしたが、冴子の手に掴まれ動けない。



「何しやがる!」
「状況を考えなさい、相手は貴方達の事を知っているのよ。変身する前に貴方を仕留めるに決まっているでしょ」



 キバへの変身はキバットが噛みつく事で行われる。つまりこのまま考え無しに向かっていった所で先にキバットを叩けば簡単に変身を阻止出来るという事だ。



「距離にして20メートル、相手の武器は中距離でも使える鞭……策も無しに向かっていっても潰されるのがオチね」
「じゃあどうするっていうんだ!? 渡を見捨てて逃げるっていうんじゃねぇんだろうな!?」
「あの子にタブーのメモリを預けているのよ? それを取り戻さないでこのまま逃げられるわけないでしょ」



 現状キングは渡に夢中で冴子の方には気付いていない。故にこのまま逃げる事自体は可能だ。
 だが、ここで逃げればほぼ確実にタブーのメモリを失う事になる。この殺し合いを勝ち抜く為にはそれは避けねばならない。
 かといって変身していない状況では手持ちの道具を使ってもサガに対抗する事は不可能だ。
 変身解除されるまで渡が逃げ切ってくれればまだ可能性はあるが望みは薄いだろう。



「言っておくが、奴がファンガイアのキングならファンガイアになれる筈だ、太牙が変身した所は見た事ねぇがアイツもそうだとは限らねぇ。変身するって考えた方が良い」
「ともかく、一端あの男と距離をとって互いの道具を戻して変身して戦うしかないわね……」
「……ていうかよ、どっちにしろ一度渡を助けなきゃならねぇだろうが」



 そう、距離を取る為には一度渡を助ける為戦闘に介入する必要がある。だが、サガを相手に生身で向かうのは自殺行為だ。



「こうなりゃ仕方ねぇ、俺は1人でも渡を助けに行く、テメェは何処へなりとも逃げやがれ!」



 と、強引に冴子の手から逃れようとしたが、

366加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:32:40 ID:136X3D0c



「……1つ方法があるわ」
「本当か!?」
「但し、その為には貴方の協力が必要よ」



 冴子はキバットにその方法を説明する。



「ちょっと待て、俺にそれをやれっていうのか!?」
「少なくても貴方1匹が無鉄砲に突っ込むより可能性はあるわよ。それで出来るの? 出来ないの?」



 キバットは躊躇するものの、今にもサガに殺されそうな渡を見て、



「出来なくはねぇが……どうなっても知らねぇぞ……」
「じゃあ決まりね、早くしなさいあの子を助けたいんでしょ?」
「……くっ、テメーはいけ好かねぇが渡を助ける為には仕方ねぇ、その代わり絶対に渡を助けろよ!」
「善処するわ。それにもし上手く行ったら共闘している間は今後私のする事には逆らわない、それで良いわね」
「あぁ……本当はイヤだが状況が状況だ、仕方ねぇ飲んでやる」





 そう言って冴子の手を離れ、





「キバっていくぜぇぇぇぇぇ!!」





 その言葉と共に冴子の手の甲へと噛みつき魔皇力を注入していく。それと共に冴子にベルトが巻かれ、





「変身」





 冴子はキバットを手に取りバックルへと取り付ける。するとキバットから波動が放たれると共に冴子の姿がキバへと変化したのだ。
 そしてすぐさま緑のフエッスルをバックルにセットし、





「バッシャーマグナム!」





 その声と共にデイパックからバッシャーマグナムが飛び出しキバの右手に収まると共に右腕に上半身、そして複眼が変化し色も緑色のバッシャーフォームとなった。

 冴子の考えた作戦は、冴子自身がキバへと変身しその力で渡を救出しすぐさま離脱し、その後互いの道具を戻して再度変身を行いサガを撃破するというものだ。
 バッシャーフォームとなったのはタブードーパント変身時における光球による遠距離攻撃を冴子が得意とする為、遠距離攻撃に適したフォームをとったという事だ。



「それでも、今のキバじゃサガとやり合える程の力はねぇし、普通の人間がキバの力に耐えられるかまではわからねぇ、死ぬ事は無いと思うが長時間戦うのは無理だぜ」



 サガのスペックは魔皇竜タツロットの力で真の姿となったエンペラーフォームと同等、つまりタツロットが無いが故エンペラーフォームとなれず力を抑制されたキバではサガとやり合うのは厳しい。
 また、その強大すぎる力故暴発の危険を抱えたかつてのキバであるダークキバの反省を生かし今のキバはダークキバと比較して安全性は向上したものの強大な力を持つ事に違いはない。
 資質を持たないものがそうそう簡単に扱える代物ではない。



「私の事を心配してくれているの? いけ好かないんじゃなかったの?」
「そんなんじゃねぇ、俺様の力を使って死なれちゃ目覚めが悪いだけだ! 後から文句言われるのもイヤだしな」
「ふっ、余計な心配は無用よ、仮にもミュージアムの頂点に立つことになる私がその力に耐えられないワケがないわ。さっさとあの子を助け出しあの男を倒す、異論は無いわね」
「ああ」

367加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:34:40 ID:136X3D0c





 そう言って、渡を助けに向かおうとし――





 ――たものの、背後から何かが迫ってくるのが見えた。フィッシュアイ効果により前方240度の視界を確保出来るバッシャーでなければ気付けなかっただろう。





 すぐさまデイパックからエンジンブレードを取り出し振り向き、





「ほう、なかなかやるじゃねぇか」





 迫る斬撃を防いだ――目の前には冴子が知らない謎の戦士がいた。



「誰……まさかあの男の仲間?」
「俺は牙王だ。別にあいつは仲間じゃねぇ……獲物だ」



 その戦士は牙王が変身したガオウだった。
 アテも無く歩いていたらサガが渡を襲っているのを見つけガオウに変身して仕掛けようとしたら冴子がキバに変身したのが見えた。故にまずは手近なキバを喰らおうと奇襲をしかけたという事だ。



「獲物……まさか貴方1人で私達全員を相手にするつもり?」
「そうだ、全員俺が喰ってやる」
「出来るものならやってみなさい」



 ガオウの言葉にもキバは決して怯まない。
 だが、内心では、



「(マズイわね……あの子が殺されるのは時間の問題……それ自体はともかくタブーも失いかねないわ……かといってこの男が一筋縄ではいかないのも確か……)」



 焦りを感じていた。当初考えていたプランが潰されそうになっているのだ、焦って当然と言えよう。

368加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:36:30 ID:136X3D0c







 一方、



「何時までも逃げられると思うな」



 何度も飛び交うジャコーダーによる攻撃を渡はかわし続けていた。最初の一撃以降は何とかかわし続けているが疲労は蓄積される。
 執拗な攻撃はキバットを持つ冴子に気を回す余裕すら与えてくれず、更にはキバットが来る様子もない。
 時間が来ればあの時同様変身が解除されるだろうが、それまで保つとは思えない。

 その最中、渡は目の前の男に襲われる理由を考えていた。
 あの男の話では音也が真夜を奪ったという事らしい。それが意味する事は1つ、男は太牙の父親で真夜と太牙の仲を音也が引き裂いたという事だろう。
 真夜と音也の間に自分が生まれた事を踏まえるならば自分が真夜を奪ったという事もある意味では正解だ。
 つまり――



「僕が――僕さえ生まれなければ誰も不幸にならなかったの――」



 自分の存在そのものが全ての元凶と考えたのだ。自分さえ生まれなければ、深央を殺す事も無かった筈で全てが上手く行っていただろう。
 しかし今更自分が死んだ所で起こった事は戻らない。



「だったら――僕はどうしたら良いの――?」



 自身の存在を自ら呪う者は目的を見失いながら踊り続ける――







 そして、彼を今でも救おうとする相棒は――



「(くっ、このままコイツに構っていたら渡が危ねぇ……それに……)」



 少し離れた場所にはホテルが見える。



「(このまま戦いが続けばホテルから誰かがやって来る……これ以上ややこしい事になればそれこそどうなるかわからねぇ……どうすりゃいいんだよ……)」





 更なる混乱と闘争の予感に不安を感じていた――





 時刻は4時よりほんの数分前、





 戦いの円舞曲は決して終わる事はなく――





 むしろそのテンポを加速度的に上げて行こうとしていた――

369加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:38:10 ID:136X3D0c





【1日目 午後】
【C−6 平原】


【紅渡@仮面ライダーキバ】
【時間軸】第43話終了後
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)、返り血、加賀美の死にトラウマ、精神が不安定
【装備】ガイアメモリ(タブー)+ガイアドライバー@仮面ライダーW、GX-05 ケルベロス(弾丸未装填)@仮面ライダーアギト
【道具】支給品一式
【思考・状況】
1:何を犠牲にしても、大切な人達を守り抜く。
2:今は冴子と協力して参加者を減らす。
3:加賀美の死への強いトラウマ。
【備考】
※過去へ行く前からの参戦なので、音也と面識がありません。また、キングを知りません。


【キング@仮面ライダーキバ】
【時間軸】現代編/復活後
【状態】疲労(中)、ダメージ(中)、仮面ライダーサガに変身中、バッドファンガイアに5分変身不可
【装備】サガーク+ジャコーダー@仮面ライダーキバ、ゾルダのデッキ@仮面ライダー龍騎、ディスカリバー@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式×2、不明支給品(0〜1)、北岡の不明支給品(0〜2)
【思考・状況】
1:目の前の渡を殺す。
2:ゲームに勝ち残り、真夜を再び自分の物にする。
3:先程戦った仮面ライダー達(クウガ、ディエンド、ナイト、草加、フィリップ)を殺す。
4:紅渡と紅音也を殺す。
【備考】
※ 制限によって、ライフエナジーを吸う牙は、一度に一人分しか現れません。
※ 再び現れるのに、時間が必要です(どの程度かは、後続の書き手さんにお任せします)


【園咲冴子@仮面ライダーW】
【時間軸】第16話終了後
【状態】左の太ももに刺し傷(応急処置済)、ダメージ(小)、仮面ライダーキババッシャーフォームに変身中
【装備】キバットバットⅢ世@仮面ライダーキバ、エンジンブレード+エンジンメモリ@仮面ライダーW、バッシャーマグナム@仮面ライダーキバ、ファンガイアスレイヤー@仮面ライダーキバ
【道具】支給品一式×2、加賀美の支給品0〜1
【思考・状況】
1:この場を切り抜ける。
2:最後まで生き残り、元の世界に帰還する。
3:同じ世界の参加者に会った場合、価値がある者なら利用する。
4:今は渡と協力して参加者を減らす。
【備考】
※照井と井坂を知らない時期からの参戦です。
※ガイアドライバーを使って変身しているため、メモリの副作用がありません。


【牙王@仮面ライダー電王】
【時間軸】:死亡後
【状態】:健康、仮面ライダーガオウに変身中
【装備】:ガオウベルト&マスターパス@仮面ライダー電王、ガイアメモリ(ホッパー) @仮面ライダーW
【道具】、支給品一式、不明支給品×2(確認済み)
【思考・状況】
1:目の前の3人を喰らう。
2:全ての参加者を喰らい、最後に大ショッカーも喰う。
3:変身が解除されたことによる、疑問。

370 ◆7pf62HiyTE:2011/01/04(火) 19:39:00 ID:136X3D0c
投下完了しました。何か問題点や疑問点等があれば指摘の方お願いします。

371二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/04(火) 20:06:41 ID:mTDknBU.
投下乙です
ああ、サガークがキングに支給されてるなんて…………
しかも、冴子さんは牙王と出会す
どうなる、渡!?

372二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/05(水) 23:32:57 ID:okYnIWts
投下乙です。
やばい。頭の中で杉田のハイテンションな喋りが再生される
でも笑えるだけでなく、キバットと冴子の推測も読み応えがあるから面白い
戦闘では冴子キバ参上、しかしまさかの牙王乱入ときた
そして生身の渡の前にいるのはサガに変身中+ファンガイア制限解放間近のキング
…渡、これはマジでやばい

373 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 21:47:00 ID:nCMy1mCI
城戸真司、小沢澄子、桐生豪分投下します。

374嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 21:47:45 ID:nCMy1mCI
 むかしむかし、あるところにひとりのおとこのこがいました。


 あるひ、おとこのこはこうえんでひとりであそんでいました。


 きがつくとみたことのないおんなのこがたっていて、ふたりはいっしょにあそぶことになりました。


 それはとてもたのしいじかんだったのです。


 おとこのこはおんなのことやくそくしました、またあしたもここであおうと。


 しかしつぎのひはあめ、そのためおとこのこはいきませんでした。


 ところがとつぜんおんなのこがへやにあらわれました。


 おとこのこはおどろいたもののまだこどもだったこともありとにかくあそぶことにしました。


 そのときにふたりはいっしょにてるてるぼうずをつくるなどしてあそびました。


 ところがきがつくとおんなのこはいなくなっていました。


 さよならをいうこともなく、けむりみたいに……


 それはそれはゆめみたいなふしぎなおはなしでしたとさ。





 ◇ ◇ ◇





「……で、これがFINAL VENTのカードね、大体わかったわ」



 仮面ライダーアビスに変身できるカードデッキの中身を確認し小沢澄子はそう口にした。
 城戸真司と小沢はG-4にてヒビキから小沢の知り合いである津上翔一が助けが必要な仲間を捜す為E-2の住宅地に向かったと聞きそこへ向かった。
 早足で移動したものの翔一と合流する事も他の参加者とも遭遇する事無く2人はE-2の住宅地に到着した。
 そして、2人は翔一達を探していたわけだが、その最中小沢がアビスのデッキを貸してと言いだした。
 大まかな説明自体は既に真司から聞いていたものの実際に手に持ったわけではないので詳しく手にとって調べたいというのが理由の1つ。
 もう1つはもし敵と出くわした時に変身する必要が出てくるかもしれないからだ。
 真司としてはライダーとは無関係な女性にデッキを持たせて変身させ戦わせたくはない為、躊躇はした。
 だが、真司が龍騎に変身している状況でアビスのデッキを遊ばせる理由は無いと小沢から説明を受け渋々デッキを渡したというわけだ。
 とはいえ、小沢自身は内心では、



「(貸してくれた事自体は良いけど流石に人が良すぎるわね……氷川君と似たタイプだから予想は付いたけど……
  でもこういうのって、他人に色々利用されるタイプなのよね……後でバカ見る事にならなきゃ良いけど……)」



 真司の人の良さを心配していた。
 真司が渋った理由は前述の通り小沢を戦わせたく無い為だ。だが、本来ならば自分の戦力をむやみに他人に渡す事は極力避けるべきだろう。
 しかし、真司はそういう理由で渋ってはいない。ある意味では小沢を信頼していると言って良いだろう。
 だが、もし小沢が悪人であればバカを見るのは真司だ。それ故に、安易に自分を信用した真司の人格を心配したのである。



「うーん……」



 一方の真司は自身のもう1つの支給品であるトランプのカードを見つめ何か考えていた。それ故に小沢の声も聞こえていない様だった。

375嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 21:48:30 ID:nCMy1mCI



「城戸君? 聞いているの?」
「あ、はい……」
「そのトランプに何か気になる事でもあったのかしら?」



 先程小沢はトランプがカードを使って戦う真司達に対する当てつけという推測し説明している。真司もそれについては納得していたものの、



「このトランプがモンスターになるのかなって考えて……」



 そのトランプは通常と違い牛や鷹、山羊など動物が描かれ『MAGNET』、『FUSION』、『ABSORB』などという英文が入っている。少なくても一般的なトランプとは違うのは誰の目にも明らかだ。
 しかし、真司が口にしたのはトランプがモンスター、小沢視点で言えばアンノウンになるのではという話だ。



「そんなバカな……と言いたい所だけど、そういうからには何か理由があるんでしょうね?」
「ちょっと優衣ちゃんの話を思い出して……」



 そう言って真司はこの場に連れて来られる前にライダーの戦いを取り仕切っている神崎士郎の妹である神崎優衣から聞いた話を小沢に説明する。



 幼き頃、両親を亡くし士郎とも離れ離れになった優衣は1人ずっと鏡の前でモンスターの絵を描いていた。
 モンスターが自分を守ってくれると願って――
 その後、1度だけ外に出た時にある少年と知り合いになり、また遊ぶ事を約束した。
 しかしその約束は果たされず、優衣は1人部屋で泣いていた。
 その時、鏡の中の優衣に誘われ鏡の世界に行きそこで楽しく遊んだ。
 そして2人はずっと楽しく遊んだが――



『もう帰れない、帰れる時間は過ぎちゃったから。元の世界に戻ったら死んじゃうよ』



 その言葉に泣き出す優衣に対し、もう1人の優衣が自分の命をあげると言った。その代わりとしてモンスターの絵を求めたのだが――

 そのモンスターの絵が実体化したものが人々を脅かすとともに、仮面ライダーのデッキの力の源になるモンスターとなっていた。
 優衣によるとモンスターが人を襲うのは彼等自身に命が無いから生きる為に襲っているらしいが――



「にわかには信じがたい話ね……」
「やっぱり?」



 小沢の反応も無理はない、小沢視点で言えばアンノウンや未確認生命体の様な怪物が年端もいかない少女の絵から生まれていたという事になるからだ。
 真面目な話、優衣もアギトの一種なんじゃないかと考えずにはいられない。



「その話が真実だとしたら、それが貴方の世界の戦いの切欠になっているのは間違いないわね」
「そりゃそうだろうけど……でも理由が……」



 そう、ここまでの話だけではモンスターが出没する理由はわかってもライダー同士の戦いが行われる理由にはなりえない。
 何故、神崎は優衣の絵を元にしたモンスターの力を宿したデッキで戦わせようとしているのだろうか?



「(でもなんだろう、何かひっかかるな……)」



 考える事が苦手な真司にはその理由がわからない。しかし、今の話に何処か引っかかる所があったのを感じていた。



「まぁ、その話の真偽がどうあれ、そのモンスターの様にトランプに書かれている動物も実体化して暴れるんじゃないかって考えているわけね。
 心配するのはわかるけど、そこまで気にしてもしょうがないわね」
「え?」
「モンスターが何処から出てくるにせよ、城戸君がする事が変わるわけじゃないでしょ」



 そう、モンスターの正体が如何なるものであっても、真司がすべき事はモンスターの脅威から人々を守り、仮面ライダー同士の戦いを止める事である事に変わりはない。
 故にトランプに描かれた動物が実体化した所で、それが人々に仇なすならば倒すという事に違いは無いということだ。
 それ以前に、真司の懸念自体が杞憂である可能性もある。最初の推測通り、真司に対する当てつけの為に大ショッカーがわざわざ動物の描かれたトランプを支給した可能性も否定出来ない。
 どちらにしても、長々と頭を抱える意味は無いという事だ。

376嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 21:49:50 ID:nCMy1mCI



「そんなモンスターよりも、ある意味では人間の方がよっぽど怖いかも知れないわよ」
「モンスターよりも……人間が?」



 小沢によると、アンノウンは超能力者……いや、アギトとなる可能性の高い人間を襲っている。また真司の知る通りモンスターは餌とする為に人間を襲っている。
 勿論、襲われる側から見ればたまったものではないが実体が分かればまだやりようはある。
 だが、人間はそうではない。



「善人ぶった様に見えるけど実は極悪人、そんな奴は幾らでもいるわよ」
「そりゃ……まぁ」



 真司にも心当たりはある。彼の出会った仮面ライダーの中にもそういった人物が数多くいたのだ。
 警察官だったにも拘わらず裏で悪事を働き殺人を犯した須藤雅史、
 普通の大学生だったのにゲーム感覚で人々を殺し合わせようとした芝浦淳、
 ここまで極端では無いが弁護士の北岡秀一も色々悪名が轟いていたし、霧島美穂に至っては幾度となく詐欺を繰り返し真司も何度も騙されていた。
 また浅倉威も家族の情に訴えた様に見せかけ弟を惨殺している。
 そういうのを目の当たりにしている以上、真司は小沢の言葉を否定する事は出来ない。



「それに、私や貴方の知り合いが殺し合いに乗っている可能性は否定出来ないわ」
「だからそれを止めて……」



 浅倉や東條悟はともかく、秋山蓮、美穂、北岡ならば自分の話に耳を傾け、戦いを止めて貰えると真司は考えている。しかし、



「仮にも1年の間延々と説得を続けたにも関わらず聞き届けてくれなかったんでしょ、そんな簡単に聞いて貰えるならこの1年は何だったの? って話になるでしょ」
「うっ……」



 出会って間もない美穂はともかく、蓮と北岡とは約1年の付き合いだ。それまでずっと戦いを止めないでいたのに、ここで止めるという確証は何処にもない。
 更に言えば蓮にはどうしても戦いに勝たなければならない理由が存在する事を真司は知っている。だからといって戦いを止めさせる事に違いはないものの、蓮の戦いの重みを知る以上、それが難しい事は理解している。
 もしかすると、北岡や美穂、果ては浅倉や東條にも同様にそういう理由があるのかも知れない。



「それでも俺は……ん、そういえば小沢さんの知り合いも殺し合いに乗っている可能性があるって……」
「津上君はまず大丈夫だろうけど、葦原涼に木野薫がどうするかはわからないわ」



 葦原涼と木野薫、両名とも翔一と同じくアギトの力を持つ者だ。
 ちなみに小沢の話では木野は少し前に死亡したらしいが、真司は浅倉や東條同様、大ショッカーの不思議な力で生き返っているのだろうと判断しそこまで気に留めていない。
 また、小沢もまた理由はどうあれ木野がいるらしいという事実を認識する程度に留めている。
 何にせよ、2人のアギトがどういう行動を取るかは小沢にも予測が不可能だ。アギトの力に溺れて暴れ回っている可能性は否定出来ない。



「……北條透って人は?」
「あのバカはね……きっとまたよからぬ事を考えているわよ。まぁ、それならそれで手痛いしっぺ返し喰らうだけだろうけど」



 とりあえず、北條透についてはそれ以上触れない事にした。

377嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 21:51:30 ID:nCMy1mCI



「でも、最後のライダーの事は伝えないと……もしかしたらこの場所にいるかも……」



 蓮達がこの地でも願いを叶える為殺し合いに乗っているとはいえ、最後のライダーがアビスという情報は伝えたいと考えている。



「ああ、それならいないわよ。仮にいたとしてもそこまで気にする必要は無いわ」
「え、どうして?」
「城戸君の手に貴方自身のデッキがある事が証拠よ」



 真司の手元に龍騎のデッキがある事が証拠? それを聞いても真司にはわからない。



「デッキはそれぞれの持ち主に支給されている可能性が高いわ。デッキが無かったら戦えない以上、当然よね」
「そりゃまぁ……」
「じゃあ、このアビスのデッキも本来の持ち主の手元にあるべきだと思わない?」
「あ!」
「それがここにあるという事は、アビスの持ち主はいないって事よ。仮にいた所でデッキが無ければ戦う力を持たない無力な人間でしかないわけだけど」



 真司の手元に龍騎のデッキがあるならば、恐らく蓮の手元にナイト、北岡の手元にゾルダ、そして美穂の手元にファムのデッキがあるだろう。
 つまりデッキは持ち主の手元にあるということだ。そこから考えるにアビスのデッキも本来ならば持ち主の手元にある筈だ。
 しかし実際は真司の手元にある。つまりこれはアビスのデッキの持ち主はいないという状況証拠になりうる。もし仮にいたとしてもデッキが無ければ戦えない普通の人間である。



「問題はどうして城戸君に2つもデッキを持たせたかよ……龍騎のデッキがある以上、使う必要性が低い筈よ……」
「予備とかじゃ……」
「城戸君を有利にする……大ショッカーがそんな殊勝な事するわけもないわね……」
「サバイブのカードも無かったしなぁ……」



 小沢に説明する際、カードの中身を見せながら説明した為、その際に強化形態であるサバイブ体に変身する為のサバイブのカードが無くなっている事を確認した。



「まぁ、長々と考えても仕方ないわね。とりあず今は津上君を探しましょう」



 気になる事が多いとはいえ、現状は翔一との合流を優先すべきだ。
 ヒビキの話ではE-2周辺の住宅地で仲間を集め、今から8時間半ぐらい後の深夜0時にE-4の病院で集まる手筈となっている。
 故に当面はこの辺り4エリアを散策し、時間が来ればE-4に向かえば良いだろう。
 仮に会えなくてもお互いに生きているならば最悪E-4で遭遇出来る可能性が高い。

378嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 21:53:00 ID:nCMy1mCI



 その最中、



「それにしても……妙に冷えるわね」
「そういえば……わっ!」



 と、真司が転倒し地面を滑りそのまま前方数メートル程滑っていった。



「何やっているのよ……」
「だって急に滑……」



 と、後方にいる小沢の方へ振り向きながら立ち上がろうとするが、白い怪物が小沢のすぐ横まで迫っているのが見えた。



「小沢さん、危ない!」



 真司はとっさにデイパックを怪物へと投げつけた。



「……!」



 怪物は真司の行動に気付き飛んできたデイパックをその手に掴む。
 そして、怪物の存在に気付いた小沢が距離を取ろうとするが、足元が滑り転倒した。



「……なっ……凍っているっていうの!?」



 怪物は転倒した小沢に迫るが、



「モンスターか……こうなったら……」



 真司は何とか立ち上がり、懐から龍の紋章が入ったデッキを取り出し、すぐ近くにある建物の窓ガラスに映す。
 すると、Vバックルが出現し真司に装着され、



「変身!」



 Vバックルにカードデッキを挿入、すると真司の全身に銀と赤の甲冑が纏われ、仮面ライダー龍騎へと変身した。

379嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 21:53:30 ID:nCMy1mCI



「ッシャァッ!」



 そう言って、足元に気を付けつつ、すぐさま怪物へと組み付く。



「小沢さん今の内に!」
「わかったわ!」



 そういって小沢も何とか2人から離れ建物の陰まで移動した。その間にも怪物は拘束を振り解き龍騎を地面に叩き付ける。



「くっ……」


 地面が凍結しているが為、龍騎の身体はそのまま滑っていく。その間にも怪物は龍騎に迫る。凍結した地面を滑る様に移動する為その速度は速い。



 ──SWORD VENT──



 龍騎は怪物が迫る前に1枚のカードを左手甲に装備されているドラグバイザーへと挿入した。
 その後、バイザーから音声が響くと同時に龍騎の右手に契約モンスター無双龍ドラグレッダーの尾を模した剣ドラグセイバーが装備される。
 そして迫る怪物をドラグセイバーで迎撃しようと――



 龍騎と怪物が戦いを繰り広げる中、少し離れた場所から小沢は戦いの様子を見ていた。
 その手には神経断裂弾が装填されたコルト・パイソンが握られている。
 だが、小沢は恐らく通用しないと考えている。
 神経断裂弾は未確認生命体に対し絶大な力を持っている。
 しかし、後に現れたアンノウンに対しては対未確認用の装備が殆ど通じなかった。
 そして目の前の凍結能力を持った怪物はアンノウンの可能性が高い、それを踏まえるならば銃弾は相手の気を逸らす程度の力しかないだろう。
 その一方で考える。


 あの怪物は本当にアンノウンなのか――?


 アンノウンが襲うのはアギト及びアギトに目覚めようとする超能力者その血縁関係者達だ。
 しかし少なくても小沢と真司は超能力者でもその血縁関係者でもない。アンノウンに一方的に襲撃される理由はない。
 何よりも、目の前の怪物がデイパックを所持しているのが見えた。アンノウンがデイパックを抱えて移動する知性を持っているとは思えない。
 故に小沢は怪物がアンノウンではなく、アギトの力に溺れた参加者である可能性が高いと判断した。
 外見上はこれまでのアギトと全く共通項が見られない為、断定は不可能。それでもアギトと同等の力を持っていると考えて良いだろう。
 なお、目の前の怪物がアギトであったとしてもアンノウンと同等以上の力を持っているのは確かなので、どちらにしても対未確認の装備は通用しないと考えて良い。



「あの怪物は物体を凍らせる力を持っているわ、気を付けて城戸君!」



 どちらにしても自分に出来る事は龍騎に変身している真司のサポートだ。アビスに変身して介入するよりもそれが適切な判断だろう。



「凍ったぁー!?」
「だからそう言っているでしょ! ちゃんと聞きなさい!」



 怪物が手から放出した冷気によりドラグセイバーの表面が凍結していた。
 幸い凍結部位は剣だけなので龍騎本体にはダメージはない。もし、ドラグクローを装備しての攻撃であれば恐らく腕そのものが凍り付いていただろう。



「これじゃ、ドラグクローは使えない……」



 その間にも怪物は冷気を放射しつつ龍騎に仕掛けていく。龍騎はその攻撃をかわしながらドラグセイバーで反撃を試みる。
 だが、足場を滑る様に移動する怪物に対し、不安定な足場で思う様に戦えない龍騎、その差は大きく龍騎は一方的に押されていく。

380嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 21:54:00 ID:nCMy1mCI



「その場所にいたら勝てないわ、凍結していない所まで下がって!」



 小沢が凍結していない場所で戦う様に指示を出す。
 これまでの戦いを見る限り龍騎に変身した真司の動き自体は1年戦ってきただけの事もあり、G-3Xを装着した氷川誠に負けるとも劣らないものだ。
 足場の不利さえ無くなれば目の前の怪物とも十分に渡り合える筈である。



「よし、なんとか……」



 転倒する事無く凍結していない場所まで下がり体勢を整えようとする龍騎だったが、すぐさま怪物が眼前まで迫り地面へと冷気を急速に放出する。



「あ、足が!?」



 すると、龍騎の足が地面ごと凍結し張り付けられた。



「う、動けない!?」



 その間にも怪物は龍騎を一気に凍り付かせようと迫る。



「くっ……」



 龍騎は何とかカードをバイザーに装填しようとするが、それよりも怪物の攻撃の方が早く間に合わない。



 故に――



 だが、それよりも早く1つの影が怪物から1つのデイパックを奪い去り――



 その直後もう1つの影が怪物へと水を放出した。



「城戸君、今の内に!」



 怪物が振り向くと小沢がデッキを片手に構えながら出てきていた。
 小沢はデッキの契約モンスターであるアビスラッシャーとアビスハンマーを召喚し怪物へと差し向ける事で自分へと注意を向けさせたのだ。
 なお、拳銃を使わなかったのは前述の通り通じない可能性が高かったから、アビスに変身しなかったのは変身する時間すら惜しかったからである。



 ──ADVENT──



 だが、すぐさま怪物は2体のモンスターをかわし、モンスターを召喚した小沢に迫る。
 小沢は変身しようとデッキを構えるようとするがそれよりも怪物の動きは早い。
 生身の人間が怪物の冷気を受ければどうなるかなど語るまでも無い。



 だが――

381嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 21:54:30 ID:nCMy1mCI



「どうやら間に合ったみたいね」



 それよりも早く、ドラグレッダーが両者の間へと割り込んでいった。怪物はすぐさま後ろを振り向く。



 そこには凍結した足を溶かした龍騎が1枚のカードを構えて立っていた。
 小沢の行動により怪物の注意が自分から外れた隙を突き、カードを装填しドラグレッダーを召喚しその炎で凍結した地面を溶かした。その後、小沢を助ける為にドラグレッダーを飛ばしたのだ。



 そして、1枚のカードをドラグバイザーへと挿入し、



 ──FINAL VENT──



「はぁぁぁぁぁぁっ!!」



 龍騎が雄叫びと共に構え、同時にドラグレッダーが舞う。



 その後ドラグレッダーと共に駆けだし飛び上がり、



 ドラグレッダーの吐き出す炎を纏いその勢いを以て――



 白き怪物へと炎の蹴りを叩き込んだ――



 ドラゴンライダーキック、それが龍騎の必殺技である――







 爆煙が収まる――残されたのは龍騎と小沢だけ、怪物も、2人が召喚したモンスター達も姿を消している。



「はぁ……はぁ……やったか?」


 そこそこ疲労しているもののダメージは殆ど無い。相手を撃退出来たか気にはなるものの、


「いいえ、逃げられたみたいね」



 と、小沢が残された氷の欠片を手に取る。



「氷で身代わりを作って本体は逃走したって所ね」
「そっか……それにしても何だったんだあのモンスター……」
「参加者である事は確かね、それも殺し合いに乗った凶悪な……」

382嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 21:58:00 ID:nCMy1mCI















「城戸真司に小沢澄子、そう簡単には倒せないか」



 そう口にする男性桐生豪の手にはあるものが握られていた。
 それはコネクタに挿し込む事でドーパントなる存在へと変身する力を与えるガイアメモリと呼ばれるものだ。
 桐生が手に持つのはその1つ、アイスエイジのメモリである。説明書きによると首輪にあるコネクタに挿し込むことでアイスエイジドーパントへと変身する事が出来るらしい。

 つい数十分程前金居との戦った後、桐生は単身住宅地へと入った。市街地へ向かえば決着を着けたい相手である橘朔也に出会える可能性もあると考えたのだ。

 いや、もしかすると彼の持つレンゲルに宿るスパイダーアンデッドの邪悪なる意志が参加者を皆殺しにしろと訴えていたのかも知れない――

 何はともあれ、桐生はD-2にて少し離れた所で真司と小沢が話しているのを見つけたのだ。
 そして2人に気付かれるよりも早くレンゲルに変身しようとしたがベルトは全く反応しなかった。
 これも大ショッカーが課した制限なのだろうと結論付けたが、このまま2人を放置するのも惜しかった。
 その時、ふと桐生は自分に支給されたガイアメモリの存在を思い出した。
 支給品そのものは三原修二及びリュウタロスと交戦後確認したが、今まで全く使う機会が無かったという事だ。
 説明書きを読み大まかな使い方は把握した。レンゲルも氷の技を使う事もあり、氷河期の記憶を宿したアイスエイジは自分に合っていると言えよう。

 そして、白き怪物アイスエイジドーパントへと変身しまずは2人に気付かれない様地面を凍結させた。
 相手の動きをある程度制限させ、その後奇襲を仕掛けるというものだ。
 もっとも、幸か不幸か真司が滑った事が切欠で奇襲は失敗に終わり戦闘になってしまったが。

 真司が自分達とは違うカードを使う仮面ライダーに変身した事に少し驚いたものの先に足場を押さえた事により戦闘は桐生が有利に進める事が出来た。
 見たところ真司の人格はどことなく橘の後輩である剣崎一真を彷彿させた。その動きは戦士としては未熟に思えたが、実際に戦い中々の強者に感じた。
 同時に炎の力を持つ龍騎は氷の力を持つレンゲル及びアイスエイジにとって相性の悪い相手だ。そういう意味でも厄介な相手だった。

 それだけではなく、小沢も真司と同じ様なデッキを所持し自分に仕掛けてきた。
 結果として2対1となり桐生が劣勢であるのは明らか、理想を言えば1人仕留めたかった所だが2人の連携によりそれは出来ず、逃走するしかなかった。

 だが、収穫が無いわけではない。
 最初に真司が小沢を守る為にデイパックを投げつけて来た事により真司のデイパックを手に入れる事が出来た。
 その代わり、小沢によって自身のデイパックが取られたが実の所影響はない。
 何しろ、レンゲルのベルトはデイパック内ではなくラウズカードと一緒に懐にいれており、同時にデイパックの中にある最後の支給品は完全に『ハズレ』だったからだ。
 更に三原から奪取したデイパックはそのまま手元にある。
 そして、真司のデイパックの中にはスペードのラウズカードが数枚あった。結果として更なる力を得る事が出来た事という事だ。



「さて、これからどうするか」



 戦おうにもレンゲルにもアイスエイジドーパントにも当分は変身出来ない。
 更に度重なる連戦やここまでの移動で疲労もそれなりに蓄積している。
 故に暫く何処かで休む事に決めた。地図を確認した所、現在位置はD-2、桐生が定めた目的地は――



「そうだな、病院にでも行くか」



 冷たい足取りのまま桐生は往く――



 アンデッドとガイアメモリの邪悪な毒に浸食されながら――



【1日目 午後】
【D−1 住宅街】
【桐生豪@仮面ライダー剣】
【時間軸】本編で橘と戦い敗れる直前
【状態】疲労(中)、スパイダーアンデッドに精神を支配されている、仮面ライダーレンゲルに1時間変身不能、アイスエイジドーパントに2時間変身不能
【装備】レンゲルバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(クラブA〜10、ハート7〜K、スペードの7,8,10〜K)@仮面ライダー剣、ガイアメモリ(アイスエイジ)@仮面ライダーW
【道具】支給品一式×2、三原の不明支給品(0〜1)
1:病院に向かい休む。
2:橘と決着を着ける
3:そのために邪魔になる者は全て倒す
【備考】
※変身制限に気づいています。

383嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 22:01:15 ID:nCMy1mCI















「城戸真司に小沢澄子、そう簡単には倒せないか」



 そう口にする男性桐生豪の手にはあるものが握られていた。
 それはコネクタに挿し込む事でドーパントなる存在へと変身する力を与えるガイアメモリと呼ばれるものだ。
 桐生が手に持つのはその1つ、アイスエイジのメモリである。説明書きによると首輪にあるコネクタに挿し込むことでアイスエイジドーパントへと変身する事が出来るらしい。

 つい数十分程前金居との戦った後、桐生は単身住宅地へと入った。市街地へ向かえば決着を着けたい相手である橘朔也に出会える可能性もあると考えたのだ。

 いや、もしかすると彼の持つレンゲルに宿るスパイダーアンデッドの邪悪なる意志が参加者を皆殺しにしろと訴えていたのかも知れない――

 何はともあれ、桐生はD-2にて少し離れた所で真司と小沢が話しているのを見つけたのだ。
 そして2人に気付かれるよりも早くレンゲルに変身しようとしたがベルトは全く反応しなかった。
 これも大ショッカーが課した制限なのだろうと結論付けたが、このまま2人を放置するのも惜しかった。
 その時、ふと桐生は自分に支給されたガイアメモリの存在を思い出した。
 支給品そのものは三原修二及びリュウタロスと交戦後確認したが、今まで全く使う機会が無かったという事だ。
 説明書きを読み大まかな使い方は把握した。レンゲルも氷の技を使う事もあり、氷河期の記憶を宿したアイスエイジは自分に合っていると言えよう。

 そして、白き怪物アイスエイジドーパントへと変身しまずは2人に気付かれない様地面を凍結させた。
 相手の動きをある程度制限させ、その後奇襲を仕掛けるというものだ。
 もっとも、幸か不幸か真司が滑った事が切欠で奇襲は失敗に終わり戦闘になってしまったが。

 真司が自分達とは違うカードを使う仮面ライダーに変身した事に少し驚いたものの先に足場を押さえた事により戦闘は桐生が有利に進める事が出来た。
 見たところ真司の人格はどことなく橘の後輩である剣崎一真を彷彿させた。その動きは戦士としては未熟に思えたが、実際に戦い中々の強者に感じた。
 同時に炎の力を持つ龍騎は氷の力を持つレンゲル及びアイスエイジにとって相性の悪い相手だ。そういう意味でも厄介な相手だった。

 それだけではなく、小沢も真司と同じ様なデッキを所持し自分に仕掛けてきた。
 結果として2対1となり桐生が劣勢であるのは明らか、理想を言えば1人仕留めたかった所だが2人の連携によりそれは出来ず、逃走するしかなかった。幸い凍結させれば高速で動ける為、逃走自体は容易だった。

 だが、収穫が無いわけではない。
 最初に真司が小沢を守る為にデイパックを投げつけて来た事により真司のデイパックを手に入れる事が出来た。
 その代わり、小沢によって自身のデイパックが取られたが実の所影響はない。
 何しろ、レンゲルのベルトはデイパック内ではなくラウズカードと一緒に懐にいれており、同時にデイパックの中にある最後の支給品は完全に『ハズレ』だったからだ。
 更に三原から奪取したデイパックはそのまま手元にある。
 そして、真司のデイパックの中にはスペードのラウズカードが数枚あった。結果として更なる力を得る事が出来た事という事だ。



「さて、これからどうするか」



 戦おうにもレンゲルにもアイスエイジドーパントにも当分は変身出来ない。
 更に度重なる連戦やここまでの移動で疲労もそれなりに蓄積している。
 故に暫く何処かで休む事に決めた。地図を確認した所、現在位置はD-1、桐生が定めた目的地は――



「そうだな、病院にでも行くか」



 冷たい足取りのまま桐生は行く――



 アンデッドとガイアメモリの邪悪な毒に浸食されながら――



【1日目 午後】
【D−1 住宅街】
【桐生豪@仮面ライダー剣】
【時間軸】本編で橘と戦い敗れる直前
【状態】疲労(中)、スパイダーアンデッドに精神を支配されている、仮面ライダーレンゲルに1時間変身不能、アイスエイジドーパントに2時間変身不能
【装備】レンゲルバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(クラブA〜10、ハート7〜K、スペードの7,8,10〜K)@仮面ライダー剣、ガイアメモリ(アイスエイジ)@仮面ライダーW
【道具】支給品一式×2、三原の不明支給品(0〜1)
1:病院に向かい休む。
2:橘と決着を着ける
3:そのために邪魔になる者は全て倒す
【備考】
※変身制限に気づいています。

384嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 22:03:00 ID:nCMy1mCI















「あれ? 変身が解けた?」



 龍騎は変身を解除しないまま暫く周囲を警戒していたが、突然変身が解除されたのだ。それを見た小沢は語る。



「モンスターもいきなり消えた所を見ると、何かしらの制限がかけられていると考えて良いわね。暫くは変身出来ないと考えて良いわね」
「どうして?」
「貴方ね、変身が解けてもすぐに変身出来るんだったら意味ないでしょ。1回に変身出来る時間は大体10分、それでも戦いたいなら別の変身手段を使えって事ね。
 良かったわね、2つもデッキが支給された理由がわかったわ」
「いや、あんまり嬉しくは……」



 その最中、小沢が真司にデイパックを渡し、



「それからこれ、貴方が投げたデイパック取り返しておいたわよ」
「あ、どうも……って、これ俺のデイパックじゃないぞ?」
「あら? そういえば3つ程持っていたわね……間違えたかしら?」
「まぁ、取られたのはあのトランプだけだから問題は……」



 そう言いながら真司はデイパックの中身を確かめる。トランプは無くなったものの名簿などはあるので今後の行動に影響はない。



「それにしても問題はあの怪物ね……アンノウンにせよアギトにせよ、城戸君の持つライダーの様なものにせよ、また襲ってこないとも限らないわ。他にいないとも限らないだろうし早く津上君と合流し……」



 今後の事に頭を抱え真司に同意を求める小沢だったが、真司が固まって動かないのを見て言葉に詰まる。



「どうした?」



 真司の手にはてるてる坊主が握られていた。更に説明書きも握られていたので小沢はそれを手に取り確認する。



「神崎優衣のてるてる坊主……城戸君が話していた子ね……ってこんなもの支給してどうしろっていうのよ……」



 それは本当になんの変哲もないてるてる坊主だ。何の力も持っていないのは誰の目にも明らか、故に完全なハズレといえる。



 しかし、真司はずっと俯いたままだ。小沢にはそれがわからないでいた。



 そして、震える声で真司は言葉を紡ぎ出す。

385嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 22:03:30 ID:nCMy1mCI



「優衣ちゃんだったんだ……俺が出会った……あの女の子……」



 幼き日、真司は1人の少女と仲良くなった。その際、その翌日も遊ぶ約束をしていた。
 しかし翌日は雨、故に真司は外へ行かなかった。
 だが、突然部屋に少女が現れたのだ。真司は驚いたもののまだ子供だったが故に一緒にてるてる坊主を作る等して遊んだ。
 が、いつの間にか少女はさよならも言わずに煙みたいに消えたのだ。
 それはまさしく不思議な話であり、夢だったと言われれば否定する事の出来ない話だ。

 さて、この話と繋がる話を何処かで聞いていないだろうか? 先程の優衣の話がそれだ。
 優衣の話に出てきた少年は真司だったというわけだ、優衣のてるてる坊主が真司がかつて優衣と一緒に作ったものと同じようなものだったというのがその証拠だ。

 つまり、真司と優衣は遊ぶ約束をしていながら真司がその約束を破ったが故に、優衣は鏡の中へ行き、代わりの命と引き換えにモンスターの絵を渡す事となった。
 そしてそのモンスターが関わるライダーの戦いが始まった。

 勿論、神崎が何故ライダー同士の戦いを行っているのかについて、真司の知り得ない部分はまだある。
 だがこの一件が無ければライダー同士の戦いは起こらなかったと言って良い。

 モンスターによって蓮の恋人が眠り続ける事になり蓮を戦わせる事になったのも――
 多くのライダー達やその関係者、そして何の罪もない人々が犠牲になったのも――
 そしてこの世界に仮面ライダーが誕生した事により、世界を懸けた殺し合いに巻き込まれる羽目になったのも――



「全部……俺のせいじゃないか……優衣ちゃんが鏡の中に行ったのも……



 ラ……ライダーの戦いが始まったのも、全部……俺が約束を守らなかったせいじゃないか……」



 全ての元凶が自分にある事を知った者は嘆く――



 その彼に吹き付ける風は――



 氷河期の様に冷たかった――





 ◇ ◇ ◇





 むかしむかしあるところにひとりのおんなのこがいました。


 おやをなくしあにともはなればなれになり、おんなのこはひとりさびしくかがみのまえでえをかいていました。


 そんなあるひ、そとにでたときにおとこのことしりあいになり、またあそぼうとやくそくしました。


 しかしおとこのこはやくそくをまもることなくきてくれませんでした。


 ずっとないていたおんなのこでしたが、かがみのなかのおんなのこがあそびにさそってくれました。


 おんなのこはかがみのなかのせかいでもうひとりのおんなのこといっしょにあそびました。


 それはとてもたのしいじかんでした。


 しかし、もうひとりのおんなのこからつたえられたのはざんこくなことばでした。


 もうかえれず、もどったらしんでしまうと、


 なきだしたおんなのこにもうひとりのおんなのこはじぶんのいのちをあげるといいました。


 そのかわり、おんなのこのかいたえをくれるとたのんだのでした。

386嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 22:04:00 ID:nCMy1mCI





 ですが、はなしはこれでおわりではありませんでした。


 そのいのちはおんなのこがおとなになったらきえるものでした。


 にじゅっかいめのたんじょうびがきたときにきえるいのちだったのです。


 しかし、おんなのこのおにいさんがあたらしいいのちをあたえようします。


 じゅうさんにんのかめんらいだーをたたかわせ、いちばんつよいいのちをえらびそれをおんなのこにあたえようと……


 それはまさしくじゅんすいなねがいだったのです。





 しかし、それがきっかけでせかいをかけたたたかいにまきこまれることとなりました。


 はたしてだれがわるいのでしょうか?


 ひとりさびしくえをかいたおんなのこでしょうか?


 おんなのこにいのちをあたえるべくたたかいをおこしたおにいさんでしょうか?


 それとも、おんなのことのやくそくをやぶったおとこのこでしょうか?





 そして、そのことにきづいたおとこのこはどうすればよいのでしょうか?


【D−2 住宅街】
【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】劇場版 霧島とお好み焼を食べた後
【状態】疲労(小)、愕然、仮面ライダー龍騎に2時間変身不能
【装備】龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎、
【道具】支給品一式、優衣のてるてる坊主@仮面ライダー龍騎
【思考・状況】
1:俺のせいで……
2:小沢と一緒に津上翔一に会いに行く
3:ヒビキが心配
4:絶対に戦いを止める
5:蓮、霧島、北岡にアビスのことを伝える
6:大ショッカーは許せない
【備考】
※支給品がトランプだったことを、カードを使って戦う龍騎に対する宛てつけだと認識しました。
※アビスこそが「現われていないライダー」だと誤解しています。
※アギトの世界について認識しました。


【小沢澄子@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終盤(第46話終了後以降)
【状態】健康、アビスハンマーとアビスラッシャー2時間召喚不可
【装備】コルト・パイソン+神経断裂弾@仮面ライダークウガ、アビスのデッキ@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、トリガーメモリ@仮面ライダーW、ガルルセイバー(胸像モード)@仮面ライダーキバ
【思考・状況】
1:真司と一緒に津上翔一に会いに行く
2:殺し合いには乗らない
3:打倒大ショッカー
【備考】
※真司の支給品がトランプだったことを、カードを使って戦う龍騎に対する宛てつけだと認識しました。
※龍騎の世界について大まかに把握しました。

【真司と小沢の共通備考】
※1日目0時、E-4エリアの病院屋上で合流する予定です。

387嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE:2011/01/10(月) 22:05:40 ID:nCMy1mCI
投下完了しました。>>382は投下ミスなので>>383が正しい内容です(本文の現在位置が間違っていたので修正した)。
何か他に問題点や疑問点等があれば指摘の方お願いします。

388二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/10(月) 23:29:02 ID:bCufcgY2
投下乙です
アイスエイジの冷気は洒落にならんから下手したら真司君ここでリタイアだったなぁw
何も知らずにリタイアした方が案外幸せだったのかもしれないけれど。真相を知った真ちゃんどうする!?
それにしても桐生さんマーダー頑張るなぁ、今の所サラマンだけど。ズガン枠だと思ってましたごめんなさい

389二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/10(月) 23:30:57 ID:Lhps.6EU
投下乙です
ああ、桐生さんは頑張るなぁw
ここでアイスエイジが出てくるなんて
小沢さんと真司は、なにやら良いコンビになりそうだな

390 ◆LuuKRM2PEg:2011/01/11(火) 17:42:13 ID:r6mWHRtQ
投下乙です
おお、桐生さんにもガイアメモリが支給されてるとは
これは、絶好調ですね。
小沢さんと真司のコンビも、これからに期待できますね

それでは、自分も
日高仁志、小野寺ユウスケ、海堂直也、橘朔也、名護啓介分を投下します。

391メモリと勘違いと呪い ◆LuuKRM2PEg:2011/01/11(火) 17:42:59 ID:r6mWHRtQ


キバの世界には、凄まじき威力を誇る魔皇剣が存在する。
チェックメイト・フォーのキングによって、キャッスルドランに封印された剣。
それは、ファンガイア一族の中でも王の血を持つ者にしか、扱うことが許されない。
もしもそれを破れば、たちまち己の精神が剣に支配されてしまう。
現に、キバの鎧を持つ紅渡も、一度はそうなってしまったのだから。
しかし彼は、アームズモンスター達の力を借りた事によって、剣を己の物にする。
剣とキバの仲介人とも呼べる幻影怪物、ザンバットバット。
その力を借りたことでようやく、制御が出来る。
王だけが扱うことを許される命吸う妖剣、ザンバットソード。
大ショッカーの手によって、それもまたこの戦場に放り込まれた。
それは今、ある人物の手に渡っている。












「なるほど、君は凄い旅をしてきたんだな」

『響鬼の世界』を代表する仮面ライダー、響鬼に変身する日高仁志。
ヒビキは、頷いていた。
先程出会った、小野寺ユウスケと海堂直也の話を聞いて。
三人は合流してから、互いに情報交換を行っていた。
海堂直也が生きる、人とオルフェノクが共に生きる世界。
古来より人を喰らう魔化魍を、鬼となって倒してきたヒビキの世界。
仲間達と共にいくつもの世界を巡った、小野寺ユウスケの旅。
それらを、ヒビキは上手く纏めた。

「ん、ちゅうことはあれか? 小野寺の言葉が正しけりゃ、おっさんもその魔化魍って化け物になっちまうのか!?」
「おい、海堂!」

海堂の言葉を、ユウスケは咎める。
ここにいるヒビキとはまた違う、もう一人のヒビキ。
彼は世捨て人として、世間から離れて生きてきた。
しかしその真意は、鬼の力が制御できなくなってしまい、牛鬼という魔化魍になってしまったため。
そんな不安を抱いていると、ヒビキは感じた。
だが、彼はいつものように力強い笑みを浮かべる。

「大丈夫、俺は鍛えてますから」

二本の指を立てて、海堂とユウスケに向けた。
しかし、ヒビキの心中は少しだけ暗くなっている。
ユウスケが言っていた、もう一人の自分とも呼べる戦士。
人を守るはずの鬼なのに、その力に飲み込まれてしまった。
そんな彼を、アスムという名前の弟子が響鬼になって、ようやく止める。
ヒビキと明日夢。
偶然にしては、あまりにも出来すぎていた。

392メモリと勘違いと呪い ◆LuuKRM2PEg:2011/01/11(火) 17:43:37 ID:r6mWHRtQ

(きっと、向こうのヒビキさんも一生懸命に、少年君を鍛えてたんだろうな…………イブキやザンキさんやあきらがいるなら、京介ももう一人いたりして)

出来ることなら、彼らと会って話がしてみたい気持ちがある。
無理なことは、分かっているが。
もう一人のヒビキの気持ちが、ここにいるヒビキには共感できる。
そして、彼の背負った運命の辛さも。
本当なら、人を守りたいという気持ちで鬼になった。
それなのに、敵であるはずの魔化魍になってしまう。
一体どんな辛さだったか。
きっと、自分が想像している以上だろう。

(俺も、うかうかしていられないな。帰ったら、一から鍛え直さないとな…………)

これは決して、他人事なんかじゃない。
自分も油断していたら、鬼の力に飲み込まれて魔化魍にされてしまう事も、充分にあり得る。
いや、今だってそうなるかもしれない。
人を守るはずの鬼なのに、それでは本末転倒だ。
こう考えるのは失礼だろうが、向こうのヒビキさんと同じ事になってはいけない。

「…………ん?」

そんな中、ヒビキは気づいた。
海堂とユウスケの背後に、二人の男が立っていることに。
向こうもどうやら、こちらに気づいているようだ。
ヒビキの反応に気づき、海堂とユウスケも後ろを向く。
二人組の男は、既に目前にまで迫っていた。

「な、なんじゃいお前ら!?」
「ちょっと待て、海堂!」

海堂は反射的に身構えるが、ユウスケはそれを止める。
それを見て、黒いタートルネックとカーゴパンツに身を包んだ男、名護啓介は一歩だけ前に出た。

「驚かせてすまない、俺たちは敵じゃない」

そう言うと彼は、自分のデイバッグを道に落とす。
そして、両腕を上げた。
名護の行動を見て、傍らにいた橘朔也は、目を見開く。

「何をしている名護、まだ彼らが――!」
「いや、待ってくれ」

橘の言葉を、名護は遮った。
そのやり取りを見て、三人は確信する。
現れた二人組は、危険人物ではない事を。
しかし、誰一人として油断はしていない。

「あ、手を下げてください」

ヒビキも、一歩前に出ながら笑顔で口を開く。
それを聞いて、名護は言葉の通りに両腕を下げた。

393メモリと勘違いと呪い ◆LuuKRM2PEg:2011/01/11(火) 17:45:16 ID:r6mWHRtQ

「俺はヒビキ。名簿には日高仁志って書いてあるけど、こっちでよろしく!」
「そうか、俺は名護啓介。こっちは――」
「橘朔也だ」
「名護に橘か、よろしく」

三人は、互いに自己紹介をする。
続くように、海堂とユウスケも二人に名乗った。
そして、橘と名護を加えて、情報交換を再開する。
それぞれの世界について。
同じ世界より連れてこられた、親しい者達。


海堂が知るのは、乾巧と草加雅人と三原修二と木場勇治と園田真理と村上峡児の六人。
橘が知るのは、剣崎一真と相川始と桐生豪の三人。
ヒビキが知るのは、天美 あきらと桐矢京介と財津原蔵王丸の三人。
名護が知るのは、紅渡と紅音也とキングの三人。
ユウスケが知るのは、門矢士と光夏海と海東大樹とアポロガイストの四人。


この中で、友好的とそうでない人物について話し合われた。
まず友好的なのは、以下の人物。
乾巧、三原修二、木場勇治、園田真理。
剣崎一真、相川始。
天美あきら、桐谷京介、財津原蔵王丸。
紅渡、紅音也。
門矢士、光夏海、海東大樹。
この中で、真理とあきらと桐谷と夏海は、あまり強い戦力を持たない。
よって早急の保護が必要だと、結論が出た。
始に関しても、内面が分からないところがあるが、ひとまず信頼には値すると橘は語る。
そしてヒビキが出会った、友好的人物。
津上翔一と、小沢澄子と、城戸真司の三人。
彼らとはこの戦いを阻止する仲間を集めるため、別行動を取っている。
今日の0時に、E−4エリアの病院屋上で合流する予定となった。


次に危険なのは、以下の人物。
草加雅人、村上峡児。
キング。
アポロガイスト。
話し合いの最中で、書かれている名前に疑問の声をあげる者がいた。
名簿の中に、既に死んでいるはずの人物が何人もいるため。
それによって、彼らの中で疑惑が広がろうとしていた。

「まさか、大ショッカーの言っていた『願い』とは本当なのか…………?」

不意に、橘が口を開く。
四人の視線を浴びる中、彼は思い出した。
大ショッカーが、始まりの地で言った言葉を。
世界の選別という名目の、殺し合い。
それで生き残れば、あらゆる望みだろうと叶えてみせると。
そこから、彼はある仮説を立てた。

394メモリと勘違いと呪い ◆LuuKRM2PEg:2011/01/11(火) 17:45:59 ID:r6mWHRtQ

「みんな、これはただの仮説なんだが…………聞いて欲しいことがある」

橘は冷静に、考えを述べる。
名簿に書かれている、既に死んだはずの人間。
これは、大ショッカーが自分達の言葉が真実であると、証明する手段なのではないか。
いくら『どんな願いでも叶えてみせる』と言っても、信じない人物は必ず現れる。
そういった者を焚きつけるために、死者の名前が書かれているのではないか。
大ショッカーとは、別々の世界にいる自分達を一ヶ所に集めるほどの、技術を持つ輩だ。
それならば死人の一人や二人、生き返らせることが出来ても不思議ではないかもしれない。
その言葉に、誰もが驚愕の表情を浮かべた。

「死者を蘇らせるだと…………やはり、馬鹿げている!」

直後、名護の身体は震える。
彼の表情は、驚きから憤怒へと変わっていた。
命という尊い物を、冒涜する大ショッカーへの憤り。
いくらどれだけ高い技術を持っていようとも、何の権利があって犠牲者を出すのか。
まさか、神を気取っているつもりなのか。
名護の中で、大ショッカーへの怒りが強くなっていく。
だが、それに飲み込まれることはしなかった。
怒りに身を任せるのは、自分が弱いことの証明。
かつてならともかく、今はそれを知った。
紅渡を始めとする、多くの仲間達のお陰で。

「そしてだ、ここから本題に入りたい」
「本題?」
「ああ…………これはもしかしたら、俺たちに巻かれている首輪を解体するために、必要なことなんだ」

一方で橘は、怪訝な表情を浮かべるヒビキと目を合わせている。
そして、ポケットに手を入れた。
彼はそこから、ライアー・ドーパントの力が封印されたガイアメモリを取り出す。

「それは……?」
「ガイアメモリだ、あんたも持っているはずだ」
「えっ?」

橘は、首輪に関して立てた考案を語った。
このガイアメモリには、ドーパントという怪人の力が封印されている。
そして、首輪に付けられたコネクタに差し込めば、その怪人に変身することが出来るようだ。
それならば、自分達に巻かれた首輪は『ガイアメモリを知る世界の人間』ならば、解除することが出来るのではないか。
更にこのガイアメモリとは、参加者全員に配られている可能性だってある。
大勢に配って、誰が『ガイアメモリを知る世界の人間』であるかを、分からなくするために。
自分達は、その人間を捜している最中であると。

「なるほど、そういうことか…………ん、でもちょっと待って。俺にそんなの配られてなかったけど?」
「何?」
「ほら、これ見てよ」

驚く橘を前に、ヒビキは自分のデイバッグの中身を出す。
そこにあるのは、変身音叉・音角とアタックライドカードセットと、着替えの服が二着のみ。
ガイアメモリは存在していなかった。

「馬鹿な…………まさか、俺の考えはただの――」
「あ、もしかしてこれか?」

勘違いなのか。

395メモリと勘違いと呪い ◆LuuKRM2PEg:2011/01/11(火) 17:46:49 ID:r6mWHRtQ
そう続こうとした橘の言葉は、ユウスケによって阻まれる。
これまで、確認する暇の無かったデイバッグ。
その中から、ユウスケは見つけたのだ。
『Wの世界』を象徴するアイテム、ガイアメモリを。
『S』の文字が、骸骨のように書かれているそのメモリは、通常の物とは少し違う。
連動するのは首輪ではなく、ロストドライバーと呼ばれる機械。
仮面ライダースカルに変身するために使う、ガイアメモリだった。

「おっ、俺様にも配られてる」

同じように、海堂も見つける。
首輪のコネクタには使うことの出来ない、ガイアメモリを。
『闘士の記憶』が封印されている、仮面ライダーWのフォームチェンジに使用するためのメモリ。
メタルメモリが、海堂のデイバッグより現れたのだ。

「どういうことなんだ……」

二つのメモリを見て橘は、困惑する。
ガイアメモリはてっきり、全員に配られていると思った。
しかし、ヒビキは持っていないと言う。
その一方で、海堂とユウスケのデイバッグからは、ガイアメモリが出てきた。

「あ、もしかしたら……」

疑問が広がっていく一方で、ヒビキは口を開く。

「……もしかしたら?」
「俺のガイアメモリ、知らない間にどっかに落としちゃったんだと思う」

橘の疑問に、そう答えた。
ヒビキはこの地に連れてこられてから、津上翔一という青年と出会う。
その時に、互いに支給品を見せ合った。
もしかしたらその時、あるいは歩いている最中に落としてしまったのではないか。
そう、ヒビキは語る。
しかし、彼の推測は間違いだった。
そもそもガイアメモリ自体、ヒビキには支給されていない。
そして橘の考える、ガイアメモリが全員に支給されているという説も、ただの勘違いだ。
だがこの場には、それに気付く者は誰一人としていない。
その結果、不幸にも勘違いは広まることになってしまった。

「そうか、なら仕方がないか……そういえば、ヒビキが出会った三人はどうだった?」
「いや、津上も小沢さんも城戸からも、聞き出せなかったかな。多分、メモリを知ってる世界の人間じゃないと思うけど……」
「わかった、すまないな。とにかく今は、ガイアメモリを知る世界の人間を捜そう」
「そうだな。俺たちも手伝うよ、一緒にいる方が心強いし」

五人の行動方針は、ようやく決まる。
まず、この戦いを打破するために仲間を集める事と、ガイアメモリを知る世界の人間の捜索。
そして、0時までにE−4エリアに向かう。







396メモリと勘違いと呪い ◆LuuKRM2PEg:2011/01/11(火) 17:47:38 ID:r6mWHRtQ
やるべき事が決まった一方で、ユウスケはとある資料に目を通していた。
彼はヒビキから、アタックライドカードセットを受け取った後、橘と名護が見つけた『未確認生命体第4号』に関するファイル。
その内容が、ユウスケにとっては信じられない物だった。
ここには、人々の笑顔を奪う未確認生命体と、自分が変身する第4号の戦いの記録について書かれている。
恐らく『クウガの世界』の新聞記者が、記事として残していたと考えるのが筋。
だが、所々におかしい物も存在する。
『未確認生命体第41号』が、クウガによって倒された。
しかし、その影響によって半径3km全てが吹き飛ぶほどの、大爆発が発生。
幸いにも警察の対応が良かったため、死者は一人も出ていないが。

「ユウスケ君、君は本当に知らないのか?」
「ああ……俺は確かに『第4号』って呼ばれてた。でも、こんな事は起こしてない!」

名護の問いに、ユウスケは答える。
情報交換の際に、ユウスケが『第4号』である事を知った。
そしてホレボレで見つけた資料を見せる。
だが、名護は違和感を感じていた。
この資料に書かれている『第4号』と、ユウスケの話しに食い違いがあるため。
ここに書かれている『第4号』とは、クウガという名前の『仮面ライダー』らしい。
そして、小野寺ユウスケは自身が元いた世界で、未確認生命体と戦っていた。
しかし、このファイルに書かれていた出来事を知らないと言う。

「もしかしたら…………パラレルワールドか?」

名護が思考を巡らせている中、橘が割り込んだ。
そして困惑している二人に、自分の説を話す。
パラレルワールド。
自分達が生きている世界とはまた別に、平行して存在するもう一つの世界。
ここに集まっている、自分達のような物だ。

「恐らく、ここにいる『第4号』とは小野寺とはまた違う、もう一人の『第4号』なのだろう」
「それって、クウガの世界はもう一つあるって事か!?」
「有り得ない話ではない。この戦いの意義は、生き残る世界を決める事だ…………何よりこういうのは、君自身が一番よく知ってるんじゃないのか?」

橘の言葉を聞いて、ユウスケは思う。
自分とは違う、もう一人のクウガが何処かの世界にいるのか。
確かに、有り得ない話ではない。
かつて訪れた『響鬼の世界』にいたヒビキとは別の、もう一人のヒビキがここにいたくらいだ。
それなら、クウガがもう一人いてもおかしくないかもしれない。

(もう一人のクウガか…………)

その言葉に、ユウスケは不思議な心境に駆られる。
自分と同じように、みんなの笑顔のために未確認生命体達と戦う、もう一人のクウガ。
一体、どんな人物なのか。
そして、どんな思いを抱えて戦っているのか。
出来るなら、会って話をしてみたい。
でも今は士達と合流して、大ショッカーを倒すことが先決だ。
そう思ったユウスケは荷物をバッグに纏めて、移動しようとする。

「…………ん?」

そんな中、ユウスケは素っ頓狂な声を漏らした。
海堂が、呆然としたような表情で突っ立っていたため。
その手には、一本の剣が握られていた。
刃は銀色に輝き、黒い取っ手のすぐ上には、蝙蝠を象ったような金色の飾りが付けられている。

397メモリと勘違いと呪い ◆LuuKRM2PEg:2011/01/11(火) 17:48:21 ID:r6mWHRtQ

「おい海堂、何やってるんだよ!」
「…………んあ?」

ユウスケは怒鳴った。
それによって、海堂はハッと意識を取り戻す。
緊張感を感じられない様子にユウスケは呆れて、溜息を漏らした。

「そんな所で突っ立ってるなら、置いてくぞ!」

既に、他の三人は先に行っている。
彼らを追うために、ユウスケもまた足を進めた。

「あ、ちょっと待たんかい! 俺様を置いてくな!」

海堂も荷物を纏めると、四人の元に向かう。
そのデイバッグに仕舞った剣が、何であるかを知らずに。











海堂直也に支給された、一本の剣。
それこそが、魔皇剣ザンバットソードだった。
ファンガイアのキングでない者が握ると、たちまちその精神を剣に支配される。
オルフェノクである海堂とて、それは例外ではない。
しかしザンバットバットによって、剣が持つ意志は押さえられている。
そして海堂は、多くの戦いを乗り越えてきたことによって、それなりに強い精神を持つ。
よって、剣の支配に対抗することが出来た。
それでも、ザンバットソードは海堂の精神を蝕んでいく。
決して逃れることが出来ない、魔剣の呪い。
今は対抗できているが、無情にも時間は流れる。
海堂はこのまま、ザンバットソードに飲み込まれてしまうのか。





【1日目 午後】
【G−4 道路】

【チーム:考案! 勘違い5GOGO!】
【全体事項】


※五人の間で、情報交換が行われました。
※その結果、名簿に死人の名前が書かれている理由は、大ショッカーが自分達の技術が本物であると証明する手段であるという、仮説を立てました。
※現在の行動方針は、以下の通りです。

1:まずはこの五人で行動して、仲間を集める。
2:『ガイアメモリを知る世界の人間』を探して、首輪の手がかりを見つける。
3:午前0時までに、E−4エリアの病院屋上に行く。

398メモリと勘違いと呪い ◆LuuKRM2PEg:2011/01/11(火) 17:49:20 ID:r6mWHRtQ



【日高仁志@仮面ライダー響鬼】
【時間軸】本編第41話終了後
【状態】健康
【装備】変身音叉・音角@仮面ライダー響鬼
【道具】支給品一式、着替え(残り2着)
【思考・状況】
1:打倒大ショッカー
2:殺し合いはさせない
3:大ショッカー、ガイアメモリを知る世界、世界崩壊についての知識、情報を知る人物との接触
4:俺がしっかりしないと……
5:ガイアメモリ、どこかに落としちゃったのかな
【備考】
※アギトの世界についての基本的な情報を得ました。アギト世界での『第四号』関連の情報を得ました。
※『Wの世界』の人間が首輪の解除方法を知っているかもしれないと勘違いしています。
※ガイアメモリが全員に支給されていると勘違いしています。
※ガイアメモリは自分にも支給されていたが、知らない間にどこかに落としてしまったと勘違いしています。


【海堂直也@仮面ライダー555】
【時間軸】最終話 アークオルフェノク撃破後
【状態】健康、ザンバットソードによる精神支配(小)
【装備】スマートバックル@仮面ライダー555、ザンバットソード(ザンバットバット付属)@仮面ライダーキバ
【道具】支給品一式、ガイアメモリ(メタル)@仮面ライダーW
【思考・状況】
1:とりあえず、まずは五人で行動する
【備考】
※『Wの世界』の人間が首輪の解除方法を知っているかもしれないと勘違いしています。
※ガイアメモリが全員に支給されていると勘違いしています。
※ザンバットソードに精神を支配されています。
※ザンバットバットの力で、現状は対抗できていますが、時間の経過と共に変化するかもしれません。


【小野寺ユウスケ@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】第30話 ライダー大戦の世界
【状態】疲労(小)
【装備】アマダム@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、アタックライドカードセット@仮面ライダーディケイド、ガイアメモリ(スカル)@仮面ライダーW、おやっさんの4号スクラップ@仮面ライダークウガ 、不明支給品×2(確認済み)
【思考・状況】
1:海堂直也は、現状では信じている。
2:殺し合いには絶対に乗らない
3:まずは五人で行動する。
4:もう一人のクウガか…………
【備考】
※デイバッグの中身は確認しました。
※『Wの世界』の人間が首輪の解除方法を知っているかもしれないと勘違いしています。
※ガイアメモリが全員に支給されていると勘違いしています。
※おやっさんの4号スクラップは、未確認生命体第41号を倒したときの記事が入っていますが、他にも何かあるかもしれません(具体的には、後続の書き手さんにお任せします)
※カードセットの中身はカメンライド ライオトルーパー、アタックライド インビジブル、イリュージョン、ギガントです
※ライオトルーパーとイリュージョンはディエンド用です。
※インビジブルとギガントはディケイド用のカードですが激情態にならなければ使用できません。


【橘朔也@仮面ライダー剣】
【時間軸】第42話終了後
【状態】健康
【装備】ギャレンバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(クローバーA〜?)@仮面ライダー剣、
    ガイアメモリ(ライアー)@仮面ライダーW
【道具】支給品一式、ゼクトルーパースーツ&ヘルメット(マシンガンブレードはついてません)@仮面ライダーカブト
【思考・状況】
1:とにかく首輪を解除するため、『ガイアメモリのある世界』の人間と接触する。
2:とりあえず、まずはこの五人で行動をする。
3:殺し合いで勝たなければ自分たちの世界が滅びる……。
【備考】
※『Wの世界』の人間が首輪の解除方法を知っているかもしれないと勘違いしています。
※ガイアメモリが全員に支給されていると勘違いしています。



【名護啓介@仮面ライダーキバ】
【時間軸】本編終了後
【状態】健康
【装備】イクサナックル(ver.XI)@仮面ライダーキバ、ガイアメモリ(スイーツ)@仮面ライダーW
【道具】支給品一式
【思考・状況】
1:悪魔の集団 大ショッカー……その命、神に返しなさい!
2:とにかく首輪を解除するため、『ガイアメモリのある世界』の人間と接触する。
3:まずはこの五人で行動する。
【備考】
※時間軸的にもライジングイクサに変身できますが、変身中は消費時間が倍になります。
※支給品の竜巻@仮面ライダー響鬼は自身の手で破壊しました。
※『Wの世界』の人間が首輪の解除方法を知っているかもしれないと勘違いしています。
※ガイアメモリが全員に支給されていると勘違いしています。

399 ◆LuuKRM2PEg:2011/01/11(火) 17:50:06 ID:r6mWHRtQ
以上で、投下終了です
疑問点などがありましたら、ご指摘をお願いします

400二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/11(火) 19:01:49 ID:V8RyecnA
投下乙

てかタチバナサンの勘違いが伝染してプリキュア結成しちゃったよw

401二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/11(火) 19:17:25 ID:KJufivxk
投下乙です、

橘さぁーん! 気持ちはわかるけど、『あんたも持っているはずだ』って勘違い増長しちゃダメー!!
ていうかヒビキさん、翔一と支給品見せ合った時に翔一君が持っていない事は知っている筈でしょー! そこはもっと考えて鍛えてー!
それに海堂……まさかザンバットソードで外道堕ちフラグか!?

……そういや名護さん、今回マトモだったなぁ(まぁ原作終了後参戦だからマトモだろうけど。)

402二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/11(火) 19:35:24 ID:ZVBW6x5o
お二人とも投下乙です。

>嘆きの龍騎
今回の真司もまた過去の重すぎる失敗を知ってしまったか。
元の世界の罪さえも圧し掛かってくるとは非情な話だ。
龍騎世界唯一の対主催の城戸にも影が差すか、または…

>メモリと勘違いと呪い
ただの勘違いなのに信憑性アップ、不運は重なるものだなあ。
ユウスケと海堂のメモリはそのままじゃ使えないからまあ大丈夫だろう、
と思ったら妖刀ザンバットソードは海堂に渡っちゃった。
対主催チーム結成なのに、持ち物が爆弾だらけw 先行き不安すぎるww

403二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/11(火) 21:51:16 ID:vMXJgxIU
ザンバットソードって普段はタツロットに収納されてるんじゃ…

404二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/11(火) 23:29:23 ID:Wx2l91hw
最初は城の壁に埋まってた剣だから、素で出してもOKじゃないかと

405 ◆LuuKRM2PEg:2011/01/19(水) 17:45:47 ID:3i/MCtbc
天美 あきら、野上良太郎、村上峡児、金居、志村純一を投下します

406Round ZERO 〜KING AND JOKER ◆LuuKRM2PEg:2011/01/19(水) 17:52:51 ID:3i/MCtbc


『ブレイドの世界』における、あらゆる生命体の始祖たる怪人。
永劫の時を経て生きる不死の存在、アンデッド。
地球上で覇権を握るため、己と同属の存在を賭けて五十二体のアンデッドが、それぞれ戦いを繰り広げている。
統制者が管理する、バトルファイトという名目の戦い。
それはまるで、大ショッカーが生き残る世界を選定するこの殺し合いと似ていた。
しかし今は、二つのイレギュラーも存在する。
ジョーカーと言う名の、死神が。
そして、このライダーバトルにはたった一体だけ、アンデッドも参加させられている。
アンデッドの中でも、特に高い力と知恵を兼ね揃えている、十二体の上級アンデッド。
その中でも、王(キング)の称号が与えられた四人。
今ここにいるのは、その一角であるダイアスートのカテゴリーキング。
ギラファノコギリクワガタの始祖である、ギラファアンデッドの仮の姿。
金居の名を持つ男が、身体を休めている。

「……武器は、これだけか」

彼は、自分の支給品を再び見直していた。
この戦いに放り込んだ、忌々しい大ショッカー。
奴らの施しを受けるのは癪だが、今は状況が状況だ。
与えられた装備を把握しなければ、足元を掬われかねない。
デイバッグの中に入っていた、銀色の輝きを放つ一丁の拳銃。
説明書によると、人間が扱う物では世界最高の威力を誇るらしい。
デザートイーグルの名が与えられた、自動拳銃。
仮面ライダーやアンデッドのような怪人相手に効くとは思えないが、無いよりはマシだろう。
特に、力が制限されている今の状況では。

「どうやら、この首輪は力を抑える効果もあるようだな」

自信を縛り付ける首輪に指をつけながら、金居は呟く。
数時間前、戦いを繰り広げた同じ世界の住民と思われる男、桐生豪。
降りかかる火の粉を払うために、アンデッドの力を使って追い払う事に成功する。
だが、問題はそこからだ。
あの時の戦いで、いつもより攻撃の手ごたえが無いのを感じる。
そこで念の為、もう一度本来の姿に戻ろうとした。
しかし、何の変化も起こらない。
どうやら、一度力を発揮すると再び使えるまで、ある程度の時間がかかるようだ。
何故そのような事を。という疑問が芽生えたものの、ある仮説を立てる。
もしや、殺し合いにおけるパワーバランスを取るためではないか。
この会場には、幾つもの世界から参加者が連れて来られている。
その中には、恐らくカテゴリーキングやジョーカーと同等、あるいはそれらを軽く凌駕するような化け物もいるに違いない。
これでは、一方的なワンサイドゲームになってしまう。
そうしないために、隙を生んでいるのではないか。
圧倒的な差を埋めるほどの、首輪の効力。
一見すると魅力的だが、過度な期待も出来ない。

(これは、ここにいる全員に共通する事か……)

いくら圧倒的強者の隙を狙えると言っても、それは自分にも言えること。
今だって、力を封じられている隙を狙われて、不意を突かれる可能性がある。
こんな状況で襲撃者が現れたら、一溜まりも無い。
今のところは、そんな気配は感じられないが。

「やれやれ、前途多難だな」

407Round ZERO 〜KING AND JOKER ◆LuuKRM2PEg:2011/01/19(水) 17:53:49 ID:3i/MCtbc

金居は荷物をまとめると、溜息とともに愚痴を漏らす。
しかし、ここでぼやいた所で始まらない。
今やるべき事は、参加者同士の潰し合いと情報収集。
仮に参加者に出くわしても、まずは対話からだ。
利用出来る者なら、利用する。
殺し合いに乗った者なら始末する。
それだけの事。
やがて金居は立ち上がる。
世界を守り、種の絶対なる繁栄を目指して。



仮面ライダーと、それに仇なす怪人達が放り込まれた戦場。
その中では、あまり『当たり』の部類に入るとは呼べないデザートイーグル。
だが、金居に支給されたのはそれだけではない。
一つ目は、大ショッカーに利用された門矢小夜が、幼少の頃より身につけていた物。
地の石がデイバッグの中で、輝きを放っていた。
彼女は預言の大神官、大神官ビシュムに覚醒した際にそれを使って、仮面ライダークウガを己の手中に収める。
全てを破壊する邪悪なる雷神、ライジングアルティメットの力を与えて。
もう一つは『555の世界』を代表する仮面ライダー、ファイズの能力を解放するためのアイテム。
スマートブレイン社が開発した、腕時計型アタッチメント。
仮面ライダーファイズが、超高速に特化した形態であるアクセルフォームに変化するための装備、ファイズアクセル。
三つの支給品は、金居に何をもたらすのか。



【1日目 午後】
【B−5 道路】



【金居@仮面ライダー剣】
【時間軸】第42話終了後
【状態】健康 ギラファアンデッドに五分変身不可
【装備】デザートイーグル@現実
【道具】支給品一式、地の石@劇場版仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー、ファイズアクセル@仮面ライダー555
【思考・状況】
1:自分の世界の勝利を目指す為、他の世界の参加者同士で潰し合わせる。能動的に戦うつもりはない。
2:他の世界、及び大ショッカーの情報を集める。
3:自分の世界の仮面ライダーは利用出来るなら利用する。アンデッドには遭遇したくない。
【備考】
※アンデッドが致命傷を受ければ封印(=カード化)されると考えています
※首輪が自身の力に制限をかけていることに気づきました









エリアB−6に建てられた、巨大なホテル。
その一階ロビーに、四つの人影があった。
『電王の世界』を代表する仮面ライダー、電王に変身する野上良太郎。
『555の世界』に存在する企業、スマートブレインを束ねる村上峡児。
『響鬼の世界』で己を鍛えて鬼を目指す少女、天美あきら。
そして、もう一人。

408Round ZERO 〜KING AND JOKER ◆LuuKRM2PEg:2011/01/19(水) 17:54:49 ID:3i/MCtbc

「いや……ここに来て正解ですよ。まさか、野上さん達みたいな人がいるとは」
「僕達も心強いですよ。志村さんみたいな人と出会えるなんて」

良太郎はホテルに現れた人物に、笑顔を向けていた。
先程、殺し合いに乗ると宣言して飛び出した、鳴海亜紀子を葦原涼が追ってから、数時間後の事。
志村純一と名乗る青年が、三人の前に現れたのだ。
そして、互いに情報交換を行う。
ただし、ウラタロスの意志を借りて。
このような状況では、彼のように口の上手い者が前に出るのが、ベストだった。
いくら友好的な態度を見せても、それが仮の姿である可能性もある。
そのような人物に、考えも無しに全ての情報を渡しては、殺される可能性が高い。
だから、言うにしても相手が出すペースに合わせていた。
人の記憶を読み取り、過去を変えようとするイマジンという怪人。
時を越える列車、デンライナーとゼロライナー。
牙王という、危険人物。
精々、それに関する事しか話していない。
同じ世界の住民であるモモタロスやリュウタロス、電王の詳細な能力は、信頼できるまで話さないつもりだ。

「志村さんは、そのグレイブってライダーに変身して、アンデットという化け物と戦っていると」
「そうですね。そして僕の先輩である、剣崎さんと橘チーフもこんな戦いに連れてこられていて……」
「なるほど」

良太郎の身体に潜むウラタロスは、志村の言葉に頷く。
これまでの情報交換で、相手の世界についていくつか把握できた。
まず志村の世界には、アンデッドという不死の化け物が、互いに戦いながら人を襲っているらしい。
その脅威を少しでも防ぐために、ラウズカードというのを使う仮面ライダーが存在する。
自分の世界と似ているが、こちらではどうやら職業と似たような扱いらしい。
そして志村の先輩がこの戦場に、二人も連れてこられている。
剣崎一真と橘朔也。
もしも彼の情報が本当なら、合流を目指したい。

(そして、相川始って奴が世界を破滅させる化け物、ジョーカーって奴ね……)

志村と話している最中に、危険人物の存在を知る。
相川始という男。
表向きは、仮面ライダーと共にアンデッドを封印していた戦士の一人らしい。
しかしその本性は、世界を破滅寸前にまで追い込んだ、ジョーカーという怪物のようだ。
本来は既に封印されていたはずだが、名前が書かれている。
真実かどうかは分からないが、一応警戒だけはしておくべき。

「そういえば志村さん、貴方は確か白い怪物に襲われたんでしたっけ……?」
「ええ、いきなり不意を付かれて……何とか対抗したのですが、逃げられてしまい……申し訳ありません」

志村は暗い表情を浮かべながら、謝罪の言葉を告げる。
彼の話によると、いきなり襲いかかった白い怪物は、雷や嵐を呼び寄せるらしい。
戦闘力はかなりの物だったが、どうにかして追い払った。
そう語る志村に対して、あきらは真摯な瞳を向ける。

「志村さん、気を落としちゃ駄目です。無事だったから、それで充分ですよ」
「……ありがとう、あきらちゃん」

志村が笑うのに合わせて、あきらも柔らかい笑みを浮かべた。
その様子を、U良太郎は横目で見ている。
そうして、彼らの情報交換を終えた。
そして、これからのことも決める。
まず、亜紀子を追った涼が来るまでホテルに待つこと。
それまでは、周りの警戒のみ。
その最中、U良太郎は誰もいない部屋に、あきらを呼びつけた。
別に口説こうというわけではない。
本当はそうしたいが、今はそれよりも大事なことを教えるべきだ。

409Round ZERO 〜KING AND JOKER ◆LuuKRM2PEg:2011/01/19(水) 17:56:43 ID:3i/MCtbc
「あの、どうかしたんですか? 良太郎さん……」
「あきらちゃん。こういう所では、あまり自分のことをペラペラ喋るのは良くないよ?」
「えっ?」

唐突な発言に、あきらは目をパチクリとさせる。
その仕草を見て、U良太郎は愛嬌を感じたが
、本能を押さえた。

「あまり、人を信じすぎちゃいけないよ。 いいね?」
「はぁ……わかりました」

U良太郎は釘を刺すが、あきらは納得することができない。
空返事を返すことしか出来なかった。









(ウラタロス……一体どうしたの? 志村さんと話してから、ちょっと変だよ)
(そうやウラの字! お前、何考えとるん?)

良太郎とキンタロスは、意識の中でウラタロスに話しかける。
ホテルに志村が現れてから、様子がどうにもおかしいと感じたため。

(いや……どうにも、あの志村って人が胡散臭いなって思ってね)
(胡散臭い? お前がそれを言える立場か?)
(ハハッ、そうかもね)

疑問を口にするキンタロスに、ウラタロスは笑いながら返す。
しかし、今はふざけている場合ではない。

(……あの人から、血の臭いがしたんだよ)
(血の臭い? でも、志村さんはここに来る途中に白い化け物と戦ったって言ってたよ)
(そうだよ。でもね、僕の勘が言ってるんだよ……何か、やばそうってね)

良太郎の言い分は、もっともだった。
むしろ、そういう風に判断するのが普通かもしれない。
しかしそれでも、ウラタロスは志村を完全に信用していなかった。
彼はこれまで、詐欺師として多くの嘘をついてきている。
そして、数え切れないほどの嘘を見破ってきた。
その為か、嘘をつく人間が持つ、独特のオーラを読み取ることが出来るようになる。
先程から話した結果、志村はそれを持っているように見えた。

(……そんなん、ウラの字の勘違いやないのか?)
(だといいけどね)

キンタロスの言葉通りに、出来ることならただの勘違いであって欲しい。
そう願っているが、ここは生き残る世界を選定する戦場。
楽観的に考えることは、出来なかった。
そんな良太郎のデイバッグに、ある武器が眠っている。
『キバの世界』を代表する仮面ライダー、仮面ライダーキバがフォームチェンジをするのに必要な道具。
ドッガフォームの変身に必要な武器、魔鉄槌ドッガハンマー。
そして、本来の持ち主である紅渡も近くのエリアにいる。
一体、どのような運命を導き出すか。

410Round ZERO 〜KING AND JOKER ◆LuuKRM2PEg:2011/01/19(水) 17:59:14 ID:3i/MCtbc










「よろしくお願いします、村上さん」
「ええ、こちらこそ」

村上峡児は、ビジネスの取引をするときに浮かべるような笑みを、志村に向けている。
良太郎とあきらが、新しく仲間に引き入れたこの男。
あの二人は信用しているようだが、そんなのは下の下の考えだ。
油断していては、いつ寝首をかかれてもおかしくない。
まあ、精々利用させてもらおう。

(そして、まさかアレがこんな所にあるとは……)

村上の意識は、デイバッグの中に向いていた。
先程から、騒動が続いたせいで確認できなかった、支給品。
その一つに、スマートブレイン社の地下でまだ開発中だった、ベルトが存在していたのだ。
本来は『555の世界』の遠くない未来、どこかの国で使われているはずの、帝王のベルト。
スマートブレイン社が率いるオルフェノクによって、支配された世界で木場勇治が使用していた地のベルトだった。
仮面ライダーオーガへの変身を可能とさせる、比類無き力が封印されたオーガギア。

(開発中のこれを盗んだ挙げ句、勝手に完成させて戦場に放り込むとは……!)

大ショッカーに対する怒りが、村上の中で沸き上がってくる。
しかしその一方で、評価している部分もあった。
厳重な警備を固めているスマートブレイン社にこのような事が出来ることは、大ショッカーの技術は本物と言っても良い。
それこそ、スマートブレインを凌駕するほどだろう。
だが、関心ばかりもしていられない。
このままでは、大ショッカーの言いなりとなって本当に殺し合いに乗らざるを得ない状況が、来ることもあり得る。
別に下の下の存在を葬ることに抵抗はない。
しかし、それはプライドが許さなかった。
今はこの三人と、行動を共にするしかないだろう。
現状を打破するには、駒があまりにも足りない。

(まさか、こんな所で便利な奴らと三人も出会えるとはな……!)

一方で、志村も考えていた。
医者と自称した井坂深紅郎を殺してから、体を休めるためにホテルに入る。
だがそこで、戦いを打倒しようとしている三人の人間と出会った。
そして、可能な限りの情報を渡して、集団に取り入る。
ここにいる全員、最初に出会った園田真理とは違って、何かしらの戦力を持っているようだ。

(どうやら、ここに来て正解だったようだな。さて、精々お前達には頑張って貰わないとな!)

村上には爽やかな笑顔を見せながら、志村は心の中で大笑いをする。
これだけの手駒があるなら、戦闘は任せられる上にいざという時の盾としても便利。
使えなくなったら、葬ればいいだけだ。
オルフェノクを束ねる薔薇と、白の鬼札・ジョーカーは笑う。
その心の中に、闇を潜ませながら。



【1日目 午後】
【B−6 ホテル】

411Round ZERO 〜KING AND JOKER ◆LuuKRM2PEg:2011/01/19(水) 18:00:59 ID:3i/MCtbc



【天美 あきら@仮面ライダー響鬼】
【時間軸】 41話終了後
【状態】全身に軽度の怪我 あきら変身体五分変身不可
【装備】鬼笛@仮面ライダー響鬼
【道具】支給品一式、ニビイロヘビ@仮面ライダー響鬼、サソードヤイバー@仮面ライダーカブト、不明支給品(0〜1 確認済)
【思考・状況】
0:ホテルの付近で涼を待つ。
1:人を助けるため、自分に出来ることをやる。
2:知り合いと合流する。
3:村上が人を襲うことがあれば、止める。




【野上良太郎@仮面ライダー電王】
【時間軸】第38話終了後
【状態】健康 電王五分変身不可
【装備】デンオウベルト&ライダーパス@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、ドッガハンマー@仮面ライダーキバ
【思考・状況】
1:とりあえず、殺し合いには乗らない。
2:あきら、村上、志村と一緒に行動する。涼が戻ってくるのを待つ。
3:亜樹子が心配。一体どうしたんだろう…
4:モモタロス、リュウタロスを捜す。
5:殺し合いに乗っている人物に警戒
6:電王に変身できなかったのは何故…?
7:剣崎一真、橘朔也との合流を目指したい。相川始を警戒。
【備考】
※ ハナが劇中で述べていた「イマジンによって破壊された世界」は「ライダーによって破壊された世界」ではないかと考えています。確証はしていません。
※ キンタロス、ウラタロスが憑依しています。
※ ウラタロスは志村に警戒を抱いています。
※ ブレイドの世界の大まかな情報を得ました。



【村上峡児@仮面ライダー555】
【時間軸】不明 少なくとも死亡前
【状態】腹部に痛み 五分変身不可(バード、ローズ) バードメモリに溺れ気味、大ショッカーへの怒り
【装備】オーガギア@劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト
【道具】支給品一式、バードメモリ@仮面ライダーW 不明支給品×1(確認済み)
【思考・状況】
1:殺し合いには乗らないが、不要なものは殺す。
2:あきら、良太郎らと行動するが、彼らに情は移していない。
3:亜樹子の逃走や、それを追った涼にはあまり感心が沸かない。
4:志村に若干の警戒



【志村純一@仮面ライダー剣MISSING ACE】
【時間軸】不明
【状態】全身の各所に火傷と凍傷 アルビノジョーカー及びグレイブに五分変身不可
【装備】グレイブバックル@仮面ライダー剣MISSING ACE、オルタナティブ・ゼロのデッキ@仮面ライダー龍騎、パーフェクトゼクター@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式×3(ただし必要なもののみ入れてます)、ZECT-GUN(分離中)@仮面ライダーカブト、トライアクセラー@仮面ライダークウガ
【思考・状況】
1:自分が支配する世界を守る為、剣の世界を勝利へ導く。
2:人前では仮面ライダーグレイブとしての善良な自分を演じる。
3:誰も見て居なければアルビノジョーカーとなって少しずつ参加者を間引いていく。
4:この集団の中に潜み、利用する。
【備考】
※555の世界の大まかな情報を得ました。
※電王世界の大まかな情報を得ました。
※ただし、同じ世界の仲間や電王の具体的な戦闘スタイルは、ウラタロスが意図的に伏せています。




本来の歴史なら、出会うはずが無かった王と死神。
彼らの距離は、確実に縮んでいく。
そして不死の存在達の近くでは、戦いが繰り広げられていた。
もしも、この戦場で出会ってしまったら、一体どうなるのか。
それはまだ、誰にも分からない。

412 ◆LuuKRM2PEg:2011/01/19(水) 18:01:42 ID:3i/MCtbc
以上で、投下終了です
疑問点などがありましたら、指摘をお願いします。

413二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/19(水) 20:30:16 ID:puiw4IE6
投下乙です。

志村はホテル組に接触……ウラと社長が警戒して良太郎(withキン)とあきらは信頼か……あきらが納得しないのはあきらの世界にはそういう騙し討ちする奴がいないからなぁ。
そして遂に出てきた000(オーズではありませんオーガと読みます)! となるとサイガもあるのか!? ……ぶっちゃけ社長専用アイテムだよなぁ(木場退場済)
ドッガハンマーが出てきたという事はもうじきドッガフォーム解禁か、後はガルル……って小沢は思いっきり離れているがな……

……で、すぐ傍で渡と冴子キバ、それに牙王他1名が戦っていて更に金居接近中……危険過ぎるだろJK……後、涼も戻ってくる頃だろうし……危なすぎじゃねーの。



ここからは気になった点ですが、各々の変身不能時間が全員5分となっているんですが。他の話の兼ね合いを考えた時、

ホテル組(良太郎、あきら、村上)、
大体13:20位に変身終了(故に可能時間は15:20以降)
詳しい事は議論スレ>>64にある通りです。

志村
昼『白の鬼札』でアルビノジョーカーに変身し真理殺害
午後『Iは流れる/朽ち果てる』でもアルビノジョーカーに変身し井坂殺害
『白の鬼札』開始1分後に真理を瞬殺変身解除しても変身可能時間はどんなに早くても14:01、
そして再変身可能になった直後に井坂瞬殺して変身解除して14:02となり変身可能時間は最短で16:02

桐生(金居の説明に必要)
昼『運命の適合者』でレンゲルに変身、10分時間いっぱいまで戦闘。
午後『敵か味方か?』でレンゲルに変身
『運命の適合者』で開始直後に変身した場合変身解除されたのは12:10なので変身可能時間はどんなに早くても14:10、

金居
午後『敵か味方か?』で変身
桐生がこの時レンゲルに変身したので変身した時刻は確実に14:10以降。1分で変身解除したとして再変身可能は16:11

纏めると再変身可能時刻は以下の通り、
ホテル組:15:20前後
志村:最短でも16:02以降
金居:最短でも16:11以降
更にこの話が午後、それも『加速度円舞曲♯王と牙の運命』と同時刻ならばこの話の時間は15:50代……

多少の誤差があったとしても変身不能時間が全員共5分というのは流石におかしい様な気が……恐らく次の話で渡組の戦闘に何の問題も無く参戦させる狙いがあっての事だと思いますが。

勿論、氏がそれぞれの変身時間とこの話の時間について違う認識をしているかも知れませんが、少なくても変身不能時間とこの話の時間のどちらか修正した方が良いのではと思います。
特にアンデッド2人の変身可能時間は最短の場合かなりタイトなのでもう少し多めかもしれません。

414 ◆LuuKRM2PEg:2011/01/19(水) 21:25:50 ID:3i/MCtbc
ご指摘ありがとうございます
細かい点を見逃してしまい、申し訳ありません。
それでは、変身時間を以下のように修正しますがよろしいでしょうか?

ホテル組 変身可能
志村 十分変身不可
金居 三十分変身不可

415二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/19(水) 22:14:16 ID:w0Rlz2v6
修正乙です、その修正ならば大丈夫だと思います。

416 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 18:22:00 ID:m69pnI1k
紅音也、天道総司、乾巧、擬態天道、門矢士分投下します。

417綺想曲♭もう一人のカブトと音也 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 18:25:50 ID:.MvDO9mk
The First Movement "Decade"



『ブレイドの……仮面ライダーの力で……みんなを護ってくれ……』



 そう言い残し事切れた仮面ライダーブレイド剣崎一真の遺体は病室のベッドに安置されている。
 その傍で仮面ライダーディケイド門矢士が身体を休めていた。その手には剣崎から託されたブレイバックルが握られている。
 E-4に位置する病院にて14時を回る直前から始まった激闘は約20分の時を経て終わりを迎え、病院は漸く元の静寂を取り戻していた。
 士は剣崎に言われるまでもなく仮面ライダーの力で皆を守るつもりだ。そしてすぐにでも別れた北條透の元に戻りたかった。
 しかし、殺し合いが始まって数分のタイミングで戦った牙王との戦いで受けたダメージ、更に先程戦ったダークカブト戦での疲労は決して無視出来るレベルではない。
 故に士はもう暫くこの場で身を休める事にしたのだ。



 だが、結論から言えば士の判断は間違いだったとしか言いようがない。
 士が到着した時にはダークカブトと剣崎だけだった為知り得ない話だが実は到着する前には他に3人の参加者がいたのだ。
 剣崎が命を懸けたお陰で3人は離脱する事が出来、士と入れ違いになる形で北條と合流していた。
 だが、その内の1人で士の仲間である光夏海が同じく3人の内の1人の東條悟によって殺されていた。
 IFの話に意味など無いが、ダークカブト戦後すぐにでも北條の所に戻れば夏海を助ける事が出来たかもしれなかっただろう。
 その残酷な事実を士は知らない――



 閑話休題、身体を休める傍ら士には気になる事があった。
 それは剣崎についてだ。
 ちなみに病室に運んだ時には、先の戦闘で剣崎が仮面ライダーガタックに変身した際に巻いていたベルトはガタックゼクター共々何処かへと消えていた。もっとも、士は別段その事をあまり気にしてはいない。
 さて、士にとって剣崎は決して知らない人物ではない。かつて剣崎は世界崩壊を防ぐ為に破壊者である自分を紅渡、そして仲間の仮面ライダーと共に排除しようとしていた。
 それについて思う事が無いではないがこの際それは考えない。重要な事は――



「あの時のアイツと何処か違う気がしたが――どういう事だ?」



 破壊者である自分を知っていた事については別に不思議はない。むしろ問題は自分の素性を知っているにも関わらず自分と友好的だった事だ。
 士の手元にはディケイドをコンプリートフォームに強化するツールケータッチがある。これも先程剣崎から託されたものだ。
 だが、仮にあの時の剣崎と同じであればディケイドを強化するツールの存在を許すわけなど無いだろう。そうしなかった事が不思議だったのだ。
 既に剣崎は物言わぬ骸となっている。故に彼の真意を確かめる事は最早不可能だ――だが、



「いや、真意がどうあれ一真が人々を守ろうとする仮面ライダーである事に変わりはない……」



 そう、剣崎の願いが人々を世界を守る事に違いはない。ならば自分のすべき事はその願いに応える事だろう。



 その一方、ダークカブトとケータッチについてそれに関係するもう1つ気になる事を思い出した。
 そもそもの話、ケータッチを手に入れたのは9つの世界を訪れた後に訪れたある世界だ。
 その世界は夏海の世界の裏の世界、写真にポジとネガがある事に例えられネガの世界と呼ばれていた。
 ネガの世界では人間が生きる事は許されずダークライダーによって怪人達が管理されていた。
 そしてネガの世界にある大切な宝物がケータッチだったのだ。

418綺想曲♭もう一人のカブトと音也 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 18:27:50 ID:.MvDO9mk

 さて、先程ダークライダーについて触れたがその中にカブトのダーク版というべきダークカブトがいた。
 だが、重要なのはダークカブトそのものではない。
 キバのダーク版というべきダークキバに変身しダークカブトを含めた3人のダークライダーと共に士を試し立ち塞がってきたネガの世界の管理者がいたのだ。その男の名は――



「紅音也……」



 奇しくも音也は士達を旅へと導き、士を排除する時にはキバへと変身した渡と同じ姓を持っていた。
 キバに変身する渡、ダークキバに変身した音也、どちらもキバに変身した紅の性を持つ男だ。両者が関係者である可能性は非常に高い。
 それを裏付けるかの様に名簿においても渡と音也は近くに書かれている。十中八九両者は同じ世界……士達が行ったキバの世界とは別のキバの世界からの参加者だろう。
 無論、剣崎を見てもわかるように、この地にいる音也や渡が士の出会った両名と何処かしら違う可能性もある。とはいえ、どちらにしても無視は出来ないだろう。

 その最中、名簿を見る内に他にも気になる人物を見つけた。



「五代雄介……」



 それはクウガの世界で出会った旅の仲間、小野寺ユウスケと同じ名を持つ人物だ。
 渡や剣崎同様、五代もまたユウスケの世界とは違うクウガの世界出身でクウガに変身すると考えて良いだろう。
 とはいえ、彼については今はそれ以上触れる事も無いだろう。
 そして、



「志村純一……」



 士達の前に度々姿を現し『お宝』を手に入れる為に時に敵対時に共闘したもう1人の通りすがりの仮面ライダーディエンド海東大樹、その兄である海東純一と同じ名を持つ人物だ。
 海東純一は海東大樹の出身世界、言うなればディエンドの世界(但し、ディエンドがその世界で作られたわけではない)で出会った。
 その世界はローチおよびフォーティーンによって支配されていて海東大樹は彼等に従い、海東純一は仮面ライダーグレイブとなり仲間達と共にフォーティーンを打倒しようとしていた。
 しかし紆余曲折を経て海東純一がフォーティーンに操られる事になり、海東大樹は海東純一を取り戻す為ディエンドとなった。が、海東純一の真の目的こそ第2のフォーティーンとなり世界を支配する事だった。
 もっとも、海東純一自身は内心で人間の中で自由な意志を認めている為、彼がフォーティーンになる事は無いだろうが……

 さて、問題の志村純一の名前は剣崎から比較的近くに書かれている。それを踏まえるならば彼が剣崎と同じ世界、言うなればブレイドの世界からの出身の可能性が高い。
 考えてみればグレイブとブレイドのバックルの趣が似ていた。それから踏まえても同一世界の可能性が高いだろう。

 しかし、仮に志村純一が海東純一同様グレイブであったとしても全てが同じとは限らない。善良な人物か凶悪な人物かどうかすら判断がつかないという事だ。



「海東……お前は気付いているのか? こいつの存在に……?」



 海東大樹がディエンドになったのは海東純一を取り戻す為だった。それを踏まえるならば志村純一の存在を無視するとは思えない。
 海東大樹がどうしようが別に知った事では無いし海東純一と志村純一が同じグレイブであっても別人である以上そこまで気にする話ではない。
 しかし、海東大樹もまた仲間である以上どうしても気にせずにはいられなかった。

 とはいえ、気にした所ですぐにどうこうというわけでもない。故に、



「ユウスケ……海東……夏海……無事でいろよ……」



 今は只無事を祈るだけだ。もっとも、確実に1人には最早届く事は無いが――

419綺想曲♭もう一人のカブトと音也 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 18:28:35 ID:.MvDO9mk







The Second Movement "Road"



「なぁ、おっさん……あんた何歳なんだ?」
「おっさん言うな。俺は23歳だ、おっさん言われる歳じゃない」
「いや、あんた息子いるって言っていたよな? それも立派な大人……どう考えても20代は有り得ないだろうが」
「言っていなかったか? 渡は22年後の未来から来ているらしい」



 そんなやり取りを音也と乾巧が繰り広げる中、傍では天道総司が名簿を見ていた。
 3人は先程、園崎霧彦を看取った後、改めて互いに情報交換を行っていた。
 まずは3人と先程死亡した霧彦の知り合いについてだ。

 霧彦の知り合いは4人、
 霧彦の妻の園崎冴子、
 探偵の左翔太郎と相棒のフィリップ、2人は1人で風都の仮面ライダーダブルでもある。
 翔太郎の事務所の所長の鳴海亜樹子の計4人だ。

 巧の知り合いは6人、
 巧と同じくベルトを所有しスマートブレインのオルフェノクと戦った草加雅人と三原修二、草加がカイザを、三原がデルタを所有している。
 巧同様オルフェノクだが巧と共に戦った木場勇治と海堂直也、
 戦う力は無いが巧の仲間である園田真理、
 そしてスマートブレインの社長で巧達の持つベルトを狙いオルフェノクを差し向け立ち塞がってきた村上峡児の計6人、

 天道の知り合いは4人、
 天道同様マスクドライダーでワームと戦った加賀美新と矢車想、加賀美がガタック、矢車がホッパーだ。
 ワームの幹部である間宮麗奈と乃木怜治の計4人、
 それとは別に最初に首輪を爆破された人物が紆余曲折を経て矢車の弟になった影山瞬である事を伝えた。

 音也の知り合いは3人
 22年後の未来からやってきた音也の息子でキバに変身する渡、
 22年後の未来でイクサをしていて、一時的に音也の時代を訪れた事のあるファンガイアと戦う戦士名護啓介、
 22年後の未来でイクサやっており、一度音也の所へやって来たファンガイアと戦う戦士である名護啓介、
 そしてファンガイアの王であるキングの計3人、

 更に各々の世界に現れる怪物ドーパント、オルフェノク、ワーム、ファンガイア、更にそれと戦う戦士についての情報交換を行った。
 これまでの話を総合し、巧の世界におけるファイズやカイザ等、天道の世界におけるカブト等のマスクドライダーシステム、音也の世界におけるイクサそしてキバが大ショッカーの語る仮面ライダーと考えて良いだろう。

 さて、ここまでの話から気になる部分が出てきた。
 巧によると草加、木場、村上が既に死亡しており、天道からも麗奈と乃木を倒しており、音也の話によれば既にキングは打倒したという話だ。
 既に死亡している筈の人物が何故参加しているのかという根本的な疑問が出てきたのだ。

 しかし、これに関しては2つの説がある。
 1つは大ショッカーが蘇生させた上で参加させた説、もう1つは死亡する前から参加させたという説だ。
 どちらも非現実的ではあるが、音也の話から時間移動の技術が存在する以上、後者の説の可能性が高いと考えて良いだろう。
 だが、霧彦の話から前者の可能性も否定出来ない。どちらにせよ大ショッカーが強大な力を持っている事に違いはない。

 何にせよ、強大である大ショッカーを打倒する為には仲間達と合流する必要がある。
 しかしその過程の上で警戒すべき人物はいる。
 元々の世界で敵対していた事を踏まえ村上、麗奈、乃木、キングに対してだ。彼等については警戒しておくべきだろう。

420綺想曲♭もう一人のカブトと音也 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 18:29:40 ID:.MvDO9mk





「それじゃ、俺は行かせてもらうぞ」



 粗方の情報交換を終えた頃、そう言って音也が2人から離れようとする。



「何処へ行くつもりだ、紅?」



 音也に対し問いかけるのは天道、



「なんだ、まだ俺に聞きたい事があるのか?」
「いや、俺達と大ショッカーを倒すんじゃないのか?」



 そう聞き返すのは巧だ。



「悪いが俺に野郎共とつるむ趣味はない。俺は俺で勝手にやらせてもらおう」
「って、まさか女ナンパする気じゃねぇだろうな?」
「人聞きの悪い事を言うな、待っている俺の女達を助けに行くだけだ」
「俺の女達って、お前の知り合いの女いねぇだろうが……誰の事を言っているんだ……」



 と、ここで天道が口を開き、



「おばあちゃんが言っていた……」
「何をだ?」



「……全ての女性は等しく美しい」



「は?」



 その言葉にあっけに取られる巧の一方、



「……わかってるじゃないか、お前の婆さん」



 そう返すと共に歩き出す音也だった。



「っていいのかよ!? このまま行かせて……」
「想像以上にこのフィールドは広い、下手に固まるより別れて動くのも手だ……紅、もう1つ言っておく……間宮麗奈には気を付けろ」
「わかったわかった、お前達もキングには気を付けろよ」



 振り向くことなく去る音也だった。



「大丈夫か1人で……」
「変身時間の制限は伝えてある。それがわかっていて下手を打つ様な男じゃないだろう。そんなに気になるのならば乾、お前がついて行けば良い」
「天道の方は良いのか? 俺もそうだがお前だってまだ暫く変身出来ない筈だろ?」
「心配するな、俺が望みさえすれば運命は絶えず俺に味方する……この程度の障害など何て事はない」
「何処まで自信家なんだ……」

421綺想曲♭もう一人のカブトと音也 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 18:30:15 ID:.MvDO9mk



 そう言って、2人もまた音也とは別方向へと歩き出す。
 ちなみに巧の手元に首輪探知機があったものの周囲に自分達と音也以外の反応が無い事を確認後電源を切りデイパックの奥へ仕舞った。
 説明書では周囲1キロメートルと驚異的な範囲を誇るとあったが、実質的には半径150〜160メートルまでしか効果がない(ちなみにその範囲の周囲は1キロなので説明書が間違っているというわけではない)。
 それ以前に、このフィールド自体がどれくらいの広さなのかすら不明瞭である以上その範囲が全体の割合と比較してどれぐらいなのかもわからない。もっとも、それでも十分な広さではある。
 しかしそれとは別に首輪探知機の電池の残り残量も気になる所だ。先の戦い以降ずっと電源を入れていた事から大分消耗した筈だ。
 十二分に使える道具であるからこそ、むやみやたらと使うわけにはいかない。
 首輪の反応をキャッチするという事は首輪解除の手掛かりにもなりうる、下手に無駄に使う事など愚の骨頂でしかないということだ。



 その最中、天道は巧にも音也にも話していないある事について考えていた。
 それは自分の世界からの参加者についてだ。前述の通り天道の知る人物は4人だ。
 だが、果たして本当にそれだけなのだろうか?
 名簿に知っている名前が無い以上、普通に考えれば一般人かそれに擬態したしがないワームだろう。一般人ならば守る、ワームならば倒せばいいのでそれならば問題はない。
 注意すべきはマスクドライダー資格者もしくはワームあるいはネイティブの幹部クラスだ。しかしそれなら天道が名前を知らない筈がない。
 此処とは微妙に異なる世界のマスクドライダーもしくはワーム? 確かにその可能性も僅かに考えたがそれ以上に可能性がある者がいるではないか。
 そう、天道自身が本名を知り得ないマスクドライダー資格者が1人いるではないか。

 それはダークカブトの資格者にして天道自身に擬態したワーム……いや、この言い方は正確ではない。
 ワームよりも早くこの地球へと飛来したワームとは別種のワームネイティブ、彼等の手により幼少時代に拉致され様々な人体実験によってネイティブへと変えられた人間だ。
 そしてネイティブとなっても尚、マスクドライダー計画等の為に様々な実験を受けその際に天道へと擬態した。
 つまり、ダークカブトの資格者であるその男が、擬態先である天道総司ではなく人間だった時の本来の名前で参加させられているという事だ。
 無論、本来ならばネイティブとの決戦でこの世界を自分達に託して散っていった筈だ。
 だが、麗奈や乃木が存在している事を踏まえるとその前から連れて来られている可能性が高い。
 そして恐らくはその場合、日下部ひよりを巡って争っていた時期、あるいはひよりに拒絶された後世界を破壊しようとした時期から連れて来られていると見て良いだろう。
 前者ならば自分を排除する事が目的だ、それならばまだ良い。だが後者の場合ならば確実に無差別に人を襲うだろう。何としてでも止めなければならない。
 しかしその男が参加させられているというのは只の仮説に過ぎない。断定仕切れない以上、現段階で他の参加者に伝えるわけにはいかないだろう。



「(名簿だけでは恐らく加賀美や矢車達は気付けない……奴が暴走するならば倒すのは……俺だ!)」



 その一方、天道は一瞬だけ巧の方を見る。実の所、巧が話した人物の中で1人気になる人物がいた。それが草加だ。
 巧によると対立もしたが力強い仲間だと語っていたが天道はそれを無条件に信用するつもりはない。
 そもそも最初の説明の時に草加は死神博士に同一世界の参加者だけになれば良い事を確認していた。
 これが単純な確認ならばそれでも良い。だが殺し合いを破壊するならばそんな確認すら必要ないだろう。
 もしや草加は殺し合いに乗るつもりでは無いのか? 優勝の際の褒美の話を聞いて眼の色を変えた事からも有り得ないとはいえない。



「(杞憂であれば良いがな……)」

422綺想曲♭もう一人のカブトと音也 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 18:30:50 ID:.MvDO9mk



 一方の巧もある事について考えていた。
 天道や音也には村上以外は仲間だと伝えてはいる。だがどうしても気になる人物が3人いたのだ。
 1人は草加、オルフェノクを嫌悪する関係もあり何かと対立もしていたがスマートブレインとの戦いでは非常に頼れる仲間だった。
 だが、やはり最初の場での草加の口ぶりに引っかかる点があったのだ。草加の性格上、自分の世界を生き残らせる為に他の世界を排除する可能性は否定出来ない。だが、



「(いや、あの時だって……そんな筈ないよな、草加)」



 だが、巧はその可能性を否定する。
 かつての流星塾の仲間だった澤田によって真理が殺された際、草加はスマートブレインの技術を使えば蘇生出来ると語り一度は取引の為ベルトを渡そうとそこへ向かおうとした。
 しかし、草加はスマートブレインを打倒する為それを取りやめた。真理を犠牲にしてでも目的を果たそうとしたという事だ。
 大切な人を犠牲にしてでも倒すべき敵を倒そうとする草加なのだ、そんな奴が自分の世界可愛さに殺し合いに乗るとは思えない。

 次は木場だ。これまた仲間だと説明したものの、彼とは様々な行き違いで何度も対立し、決戦においてもスマートブレインの社長となりカイザに変身して立ち塞がってきた。
 最終的には味方になったわけだが一時的にでも敵になった事が問題なのだ。
 木場がスマートブレインの社長となって敵になっている時期から来たとしたら? その場合巧達の敵に回る可能性が高いだろう。



「(木場……お前は……)」



 草加の場合と違い此方は決して否定仕切れない。何しろ、木場がスマートブレイン側に付いた経緯自体はある程度理解出来るからだ。願わくば敵になって欲しくない。そう考えていた。



「(それに真理……無事でいろよ)」



 そして真理だ。他の仲間はベルトの所有者もしくはオルフェノクなので先に戦った白服の男等の様な奴等もいるため絶対ではないものの戦闘になってもそう簡単に倒される事はない。
 だが、真理だけは別だ。ベルトを扱えない普通の人間では戦いにすらならない。無論都合良く変身ツールが支給されている可能性もあるが、戦い慣れていない真理では厳しい。
 出来れば早く合流したい所だが――



 しかし、想いとは裏腹に木場と真理は既に死を迎え、草加は真理を生き返らせる為に優勝を目指そうとしてる――その非常なる現実が待つ事を今の巧に知る術はない――





 その2人がF-5の道路上で東に進む最中、



「あれは……!」



 天道は天を見上げるとそこにあるものを見つけた。



「ガタックゼクター……それにベルト……!」



 それはベルトを抱えたまま大空を舞うガタックゼクダーだ。ガタックゼクターはほんの一瞬天道の方を振り向いた様な仕草を見せたがすぐさま遙か遠くへと飛び去っていった。
 何故加賀美が持っている筈のゼクターとベルトが空を飛んでいたのか? いや、その答えなど容易に判る。



「そうか加賀美、お前は……」



 それが意味するのは加賀美の死、そして資格者を失ったゼクターは新たな資格者を求め飛び去っていったという事だ。
 加賀美はワームとの戦いの最中、時に対立する事もあったが心強い仲間であった。彼の存在がなければひよりを助け出す事は出来なかったと言って良いだろう。
 そして、天道にとって『友』と言える人物であった――

423綺想曲♭もう一人のカブトと音也 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 18:32:00 ID:.MvDO9mk



 だが、天道は決して歩みを止めたりはしない。例え誰が敵になろうとも怯むことなく立ち向かうのと同様に、仲間が死んだからといって決して立ち止まるつもりはない。
 そして何より、加賀美自身も立ち止まる事等望まないだろう。



『アメンボから人間まで地球上のあらゆる生き物を守るんじゃなかったのか? お前がそんなでっかい奴だからこそ俺はお前を越えたいと思ったんだぞ!』



 ひよりを助ける為に自身を犠牲にし後を加賀美に託そうとした天道の暴走を止めた際、そう口にした奴の事だ。きっと、



『俺の事は気にするな、お前はお前の道、天の道を行け!』



 そう言っている気がしてならなかった。無論、本当の所は誰にもわからない、だが、



「お前に言われるまでもない……俺が道を拓く!」



 人が歩む道、それを拓く事こそが天の道、天道はその名の如くその道を行くだけだ。



「……おい、あのクワガタがどうかしたのか?」



 そんな天道に巧が問いかけるが、



「いや、別に大した事じゃない」



 そう返した天道だった。



「……変な奴」



【1日目 午後】
【F−5 道路】
【天道総司@仮面ライダーカブト】
【時間軸】最終回後
【状態】健康、仮面ライダーカブトに40分変身不能
【装備】ライダーベルト(カブト)+カブトゼクター@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、ディエンド用ケータッチ@仮面ライダー電王トリロジー、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎
【思考・状況】
1:仲間達と合流して、この殺し合いを打破する。
2:首輪をどうにかする。
3:間宮麗奈、乃木怜治、擬態天道、草加雅人、村上峡児、キングを警戒。
4:情報を集める。
【備考】
※首輪による制限が十分であることと、二時間〜三時間ほどで再変身が可能だと認識しました。
※空間自体にも制限があり、そのための装置がどこかにあると考えています。
※巧の世界、音也の世界、霧彦の世界の大まかな情報を得ました。
※参加者達の時間軸に差異が出る可能性に気付きました。


【乾巧@仮面ライダー555】
【時間軸】原作終了後
【状態】顔中に複数の打撲、疲労(中)、ウルフオルフェノクに40分変身不能、仮面ライダーファイズに20分変身不能
【装備】ファイズギア+ファイズショット@仮面ライダー555
【道具】支給品一式×2、ルナメモリ@仮面ライダーW、首輪探知機、ガイアメモリ(ナスカ)+ガイアドライバー@仮面ライダーW、霧彦のスカーフ@仮面ライダーW
【思考・状況】
1:打倒大ショッカー。世界を守る。
2:仲間を探して協力を呼びかける。
3:間宮麗奈、乃木怜治、村上峡児、キングを警戒。
4:霧彦のスカーフを洗濯する。
5:後でまた霧彦のいた場所に戻り、綺麗になった世界を見せたい。
【備考】
※変身制限について天道から聞いています。
※天道の世界、音也の世界、霧彦の世界の大まかな情報を得ました。
※参加者達の時間軸に差異が出る可能性に気付きました。

424綺想曲♭もう一人のカブトと音也 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 18:34:15 ID:.MvDO9mk







The Third Movement "Destroyer"



 病院での戦闘後、『彼』は病院から離れそのまま移動を開始していた。
 その目的は全てを破壊する為――

 何故『彼』は全てを破壊するのだろうか?

 『彼』は世界の都合でその過去から現在、そして自分自身を都合の良い様に歪められたのだ。
 幼き頃に拉致され身体を弄られ人間からワームへと変えられそして別の人間に姿を変えられる羽目となった。
 それだけに留まらず長き時に渡り実験を繰り返され本来の姿だけではなく理性すら失ってしまった。
 希望無き絶望の中で出会えたひよりのお陰で世界の外へと解放され同時に理性も取り戻せた。
 『彼』にとってはひよりは何よりも大切な存在だったのだ。彼にとっては世界そのものと言っても良い。

 しかしそのひよりすらも自分の元から去っていった――またしても世界から拒絶されたという事だ。

 『彼』の心は再び絶望に満たされた。世界はまだ自分から奪うというのか?
 何故ここまで自分の全てが破壊されなければならないのだ?


 許せない――自分の人生を奪った世界が、
 許せない――人間としての自分を奪った世界が、
 許せない――本当の自分を奪った世界が、
 許せない――今の自分の姿にである『奴』が、
 許せない――自分を救ったひよりを奪った『奴』が、
 許せない――自分の元を去っていったひよりが、
 許せない――『奴』が守るであろう全ての世界が、


 だからこそ壊すのだ。自分以外の全てを――


 特に『奴』だけは確実に殺す。
 全てを失った自分に対して、全てを手に入れている『奴』、同じ姿をしているのにこの違いは理不尽以外の何者でもない。
 無論、好き好んで『奴』の姿と記憶を得たわけではなかったが――

 とはいえこの広いフィールド、そうそう簡単に出会えるわけもない。
 先の戦闘では『奴』の仲間に遭遇し、さらに別の『奴』の仲間が持っている筈のガタックが現れたがそんな都合の良い事が立て続けに起こるわけが――



「まさか……アレは……!」



 遠目に2人歩いているのが見えた。遠目だったが見間違えるわけもない。片方はよく知っている人物、今の自分自身と同じ姿、『奴』なのだから。



「天道総司……」



 『奴』こと天道がいたのだ。見つけたならば放置する理由は何処にもない、すぐさまダークカブトゼクターを構え、



「変身……」



 何時ものようにダークカブトへと変身しカブトに変身した天道を倒せば良――



「あれ……どういうことなんだ……?」



 しかしゼクターとベルトは応えてくれなかった。ダークカブトに変身するはずの姿は変わらなかったのだ。
 思えば先の戦闘でも何故か矢車は変身せず、自分のクロックアップも不発に終わっていた。
 もしかすると変身に関して何かしらの制限があるのかもしれない。
 だが、ダークカブトに変身出来ないのであれば別の姿に変身すれば良い。そう一瞬考えたが――

425綺想曲♭もう一人のカブトと音也 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 18:36:50 ID:.MvDO9mk



「無理だ……ダークカブトでなければカブトに変身したあいつは倒せない……」



 ここで戦いになっても勝てないと判断した。
 ワームの姿であっても病院で殺した鬼が持っていたベルトを使って変身しても恐らくカブトには届かない。



『所詮お前は過去の俺に擬態しただけ、俺は既に未来も掴んでいる』



 いつだったか天道はそう口にしていた。
 腹立たしいがその言葉は一理ある。同じ姿でも勝てるかどうかわからないのに、それよりも弱い姿になって勝てる道理など何処にもない。
 実際、『彼』はワームとはいえサナギ体、サナギ体如きではマスクドライダーに勝てるわけがない。
 また『彼』は知らないものの鬼が持っていたベルトことデンオウベルトにしても特異点ではない『彼』では扱う事が出来ない。
 出来たとしても大した力のないプラットフォームにしか変身出来ないだろう。どちらにしてもカブトに勝てる筈がない。



「いいよ、今は見逃してあげる……今の内に好きなだけ天の道を往けばいいよ……でも……僕は2人もいらない……次に会った時は絶対に……」



 そう口にし、後ろ髪引かれる想いを抱きつつ天道に背を向け『彼』は去っていった。
 かくして天道が気付くことなく、『彼』との遭遇は終わったのであった。

426綺想曲♭もう一人のカブトと音也 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 18:37:25 ID:.MvDO9mk





 そしてF-4の道路を南下する。その最中今後について考える。
 変身制限がある以上、変身出来ない間の対応を考える必要がある。とはいえ、表向きには『天道総司』と名乗れば何の問題も無い、この姿をしているのだから利用しない手はないだろう。

 が、理想を言えば他の変身手段も欲しい所だ。改めて『彼』は自身のデイパックと鬼が持っていたデイパックの中身を確認する。
 その結果、自分1つ、鬼2つの支給品を確認した。但し、変身に使える道具は1つだけだった。

 ちなみにそれの支給先は鬼ことネガタロスへの支給品だった。では、何故彼はそれを使わなかったのか?
 理由の1つは使い慣れたデンオウベルトを使えば済む話だからだ。変身制限に気付かない限り普通はそちらを使うだろう。
 理由のもう1つはネガタロスの背景事情に少し関わる。そもそもネガタロスはキバと電王に倒された後この場に来ていた。
 つまり、電王とキバに怨みがあるという事だ。
 先の戦闘の際、キバに似た姿であるキバーラを見てトラウマを呼び起こされた事からもそれはわかる。
 そして、その支給品もまた問題のキバを彷彿とさせるものであったのだ。故にネガタロスはすぐさまそれをデイパックの奥底へとしまい込んだ。
 その正体は――



「何者だお前?」



 対ファンガイア組織である素晴らしき青空の会と同様の目的を持つ組織ワールド・ワイド・ウィング・アソシエーション通称3WA、
 かつて名護も所属していたその組織がキバを研究し開発したライダーシステムレイの変身ツール、キバット族を模したデザインを持つそのツールの名はレイキバットである。
 余談だが、3WAで開発されたライダーシステムはレイ以外完成に至らずレイもまた普通の人間では扱えない代物だった。
 だが、支給先であるネガタロスはイマジン、扱う事は可能だ。
 そして、現在所持している『彼』もサナギ体とはいえネイティブワーム、人間よりも頑強である以上使用する事は可能だ。
 つまり、『彼』にとってダークカブトほどではないが使えるツールという事だ。

 そして、問いかけるレイキバットに対し、



「僕の名前は……天道総司……よろしくね」
「俺の名はレイキバット、行こうか? 華麗に激しく!」
「そうだね……行くよ、全てを壊しにね……」



【F−4 道路】
【擬態天道総司(ダークカブト)@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第47話 カブトとの戦闘前(三島に自分の真実を聞いてはいません)
【状態】疲労(中) 全身打撲 情緒不安定気味 仮面ライダーダークカブト40分変身不可 、ネイティブ40分変身不可
【装備】ライダーベルト(ダークカブト)+ダークカブトゼクター@仮面ライダーカブト、レイキバット@劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王
【道具】支給品一式、不明支給品×1、ネガタロスの不明支給品×1、デンオウベルト+ライダーパス@仮面ライダー電王
【思考・状況】
0:仮面ライダーを全員殺す。
1:天道総司を殺し、『天道総司』に成り代わる。
2:全ての世界を破壊するため、手当たり次第全員殺す。
3:特に優先的に『カブトの世界』の五人を殺害する(最終的には自分も死ぬ予定)。
4:僕はワームだった……。
【備考】
※名簿には本名が載っていますが、彼自身は天道総司を名乗るつもりです。
※参戦時期ではまだ自分がワームだと認識していませんが、名簿の名前を見て『自分がワームにされた人間』だったことを思い出しました。詳しい過去は覚えていません。
※残り不明支給品は何れも変身道具ではありません。

427綺想曲♭もう一人のカブトと音也 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 18:41:45 ID:.MvDO9mk







The Fourth Movement "Music"



 ここで1つ思い出して欲しい事がある。霧彦によると冴子に撃たれ死亡したと思ったらこの地にいたという話だ。
 普通に考えればそれ自体異常事態だ、だが音也は別段その事について疑問は持たなかった。何故か?
 答えは単純、音也自身もまた似たようなものだからだ。



『聞こえるか、俺の音楽が……』
『聞こえるわ、貴方の音楽は私の胸の中でずっと鳴り響いている……』
『そうだ、それで良い……それが俺の本当の……音楽だ……』



 愛する女性である真夜に愛情を込めたオムライスを作り、そして真夜の腕の中で眠りについた……それが音也がこの地を訪れる前の最後の記憶だ。
 キングから真夜の息子である太牙を助け出す為に音也は命の危険も省みず闇のキバの鎧を纏った。結果、太牙を助け出しキングも打倒したものの度重なる変身により既に音也の死は不可避だった。
 つまり、本来であればあの瞬間永遠の眠りが訪れる筈だったという事だ。
 だが、実際はそうはならなかった。こうして五体万全で殺し合いに参加させられている状態だ。しかもキングとの戦いで紛失した筈のイクサナックルまで手元にある。
 大ショッカーの技術力によるものだろうが、音也自身は自分の日頃の行いが良かった程度の認識しかない。

 さて、音也自身生きているなら生き残り元の世界にいる真夜や麻生ゆりの元に戻りたい所だが、その為に殺し合いに乗るつもりは全く無い。
 音也に女性を殺す発想など無いし、人の心が奏でる音楽を冒涜する事を良しとしない音也が殺し合いを良しとするわけもない。人に流れる音楽を守る為戦うつもりだ。
 だからといって男と行動を共にする趣味は無い為、天道達と別行動を取ったわけだが。

 ちなみにこの地にいる知り合いについては別段気にするつもりはない。
 倒したはずのキングに関しては明らかに強敵だが立ち塞がるならまた倒せば良い話だ。
 未来のイクサである名護に関してもその実力は確かなもの、合流せずとも問題ないだろう。
 そして息子である渡、息子であるとはいえ既に大人だ、自分がとやかく構う必要は無い。
 無論、自分と出会う前から来た可能性もあるしそれが無くても悩み多き年頃だ、色々迷い苦しんでいるというのは十分にあり得る。
 とはいえそれは出会った時に考えれば良い。出会ってもいない状況で頭を抱えるつもりはない。
 それよりも他の女達を探し出して守る方がよっぽど有意義だろう。
 麗奈を警戒しろと天道から言われているものの、それについては会ってから判断すれば良いだろう。



「さしあたり、霧彦の妻……冴子でも探すか。都合良く渡か名護が出会っていれば良いが流石にそれはないだろう」



 流石の音也といえでもまさか渡と冴子が行動を共にし殺し合いに乗っており、渡が天道の仲間である加賀美を結果として殺しているという事は想像もつかなかった。

428綺想曲♭もう一人のカブトと音也 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 18:42:40 ID:.MvDO9mk





 かくして、音也はE-4にある病院にたどり着く。そこを目的地に選んだのは只の気紛れ、その場所に誰か来ていると考えた程度の理由だ。
 丁度そのタイミングで病院から士が出てきた。気が付くと時計は3時半を過ぎており、何時まで経っても現れない北條の元へ戻ろうと考えたのだ。
 だが、目の前の士は音也の姿を見て驚いている。



「紅音也……」



 士にとって音也はネガの世界でダークライダーを纏めていた人物、その男が目の前にいる以上驚きを隠せないのは当然だ。
 しかし一方の音也にとって士は未知の人物だ、音也から見て士がどことなく警戒しているのはわかるがその理由はわからない。



「やれやれ、俺様のFAN……というわけではないようだな。お前、誰だ?」



 その音也の言葉で士は理解した。少なくても目の前の音也は剣崎同様自分が出会った音也とは別の存在だ。
 気になる事はあるが今は音也の問いかけに答えねばならないだろう。そう、何時ものように――



「通りすがりの仮面ライダーだ」



 士にとってはお決まりの台詞だ。だが音也にとってはそうではない。妙な事を口走っている為、少なくても関わり合いになりたいとは思えない相手だ。それ故に思わずこう応えた。



「何を言っている、お前?」



【E−4 病院前】
※剣崎の死体は病室に移されました。
※ガタックゼクターとライダーベルトは次の資格者を探してどこかへ行きました。


【紅音也@仮面ライダーキバ】
【時間軸】第46話終了後
【状態】疲労(中)
【装備】イクサナックル(プロトタイプ)@仮面ライダーキバ、ライアのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考・状況】
0:目の前の男(士)とあまり関わり合いになりたくない。
1:最後まで生き残り、元の世界に帰還する
2:女性を見たらとりあえず口説く。冴子辺り探してみる。
3:乃木怜治、村上峡児、キングを警戒。間宮麗奈については会ってから判断。
【備考】
※変身制限について天道から聞いています。
※天道の世界、巧の世界、霧彦の世界の大まかな情報を得ました。
※参加者達の時間軸に差異が出る可能性に気付きました。


【門矢士@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】重傷(軽い応急処置済み)、疲労(小)、仮面ライダーディケイド50分変身不可
【装備】ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド、ライダーカード一式@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式×2、不明支給品×2、ブレイバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(スペードA〜6.9)@仮面ライダー剣、ガイアメモリ(ヒート)@仮面ライダーW、ケータッチ@仮面ライダーディケイド、ライダーカード(G3)@仮面ライダーディケイド
【思考・状況】
0:音也から話を聞く。
1:大ショッカーは、俺が潰す!
2:仲間との合流。
3:友好的な仮面ライダーと協力する。
【備考】
※現在、ライダーカードはディケイド、ブレイドの物以外、力を使う事が出来ません。
※該当するライダーと出会い、互いに信頼を得ればカードは力を取り戻します。
※ライダーカード(G3)はディエンド用です。

429 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 18:44:15 ID:.MvDO9mk
投下完了しました。何か問題点や疑問点等があれば指摘の方お願いします。

430二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/22(土) 19:20:40 ID:h/PA0R7.
投下乙です
ここでレイキバットが出るとはw
そして巧&天道と分かれた音也が、もやしと合流するなんて……
もやしからすれば敵だったけど、どうなるだろうな

431 ◆7pf62HiyTE:2011/01/22(土) 20:33:05 ID:.MvDO9mk
>>419の一部に不備があったので修正します、

 音也の知り合いは3人
 22年後の未来からやってきた音也の息子でキバに変身する渡、
 22年後の未来でイクサをしていて、一時的に音也の時代を訪れた事のあるファンガイアと戦う戦士名護啓介、
 22年後の未来でイクサやっており、一度音也の所へやって来たファンガイアと戦う戦士である名護啓介、
 そしてファンガイアの王であるキングの計3人、

こちらの部分を以下の通りに、

 音也の知り合いは3人
 22年後の未来からやってきた音也の息子でキバに変身する渡、
 22年後の未来でイクサをしていて、一時的に音也の時代を訪れた事のあるファンガイアと戦う戦士名護啓介、
 そしてファンガイアの王であるキングの計3人、

432 ◆7pf62HiyTE:2011/01/24(月) 20:22:00 ID:wCPA3iDE
浅倉威分投下します。

433時(いま)を越えて… ◆7pf62HiyTE:2011/01/24(月) 20:24:00 ID:wCPA3iDE
『ライダーの戦いはこの3日の内に決着を付けなければ全て終わるという事だ、お前達は願いを叶える事は出来ない』



 神崎士郎は生き残った自分達にこう言い放った。元々仮面ライダーの戦いは願いを叶える為の戦いである。



『願いねぇ』



 だが、自分にとってはそもそも願いなど考えた事もない。戦える相手と戦うだけだ。



『残ったライダーはオーディンを除いてお前達3人だ』



 そう思った矢先、神崎は信じがたい事を口にした。



『待てよ、北岡はどうした?』



 自分はそう聞き返す。



『ここに来なければ脱落と見なす。3人いれば十分だろう、始めろ! 最後の1人を決めろ』



 だが、神崎は来なかった北岡秀一に構うことなく戦えと言い放つ。



『……やるか……戦いが終わるのはつまらんが……勝ち残って戦いを願うのも良い……』



 自分はそう口にした。結局神崎の妹が来たが為に戦いにはならなかった――
 だが、神崎の妹を追いかけた城戸真司や秋山連を追いかけて戦う気にはなれず――



『北岡……脱落だと……? させるかよ……』



 そう口にして自分は北岡の事務所に向かったが奴に会う事は出来ずイライラした。
 モンスターの群を倒しても倒してもイライラは決して晴れる事は無かった。
 その後残る2人である真司や蓮とも戦うことなく最後の1日を迎え、



『ははははっ……会いたかったぜ北岡……変身!』



 ようやく会えた北岡と戦う事が出来た――そして、



 ──FINAL VENT──



 その一撃を北岡が変身した仮面ライダーゾルダに叩き込む事が出来た。だが――



『北岡……北岡!』



 何かがおかしい、同時にどことなくイライラを感じた。そして、ゾルダの変身が解除された時現れたのは――



『先生……また……うまいもん買って帰ります……』



 北岡ではなかった――



 そして満たされぬままイライラを抱え鉄パイプ一本で外へ出た自分は――待ち伏せていた警察機動隊によって撃たれ――



 死んだ――

434時(いま)を越えて… ◆7pf62HiyTE:2011/01/24(月) 20:25:00 ID:wCPA3iDE










   ▽   ▲   ▽   ▲   ▽   ▲










「馬鹿馬鹿しい……イライラするぜ……」



 ゆっくりと浅倉威は意識を取り戻した。そして意識を手放す前の事を思い返していった。

 異常なまでにイライラした自分は見つけた5人の男と戦った。
 その中でも一番の獲物は冠とマントを付けたモンスターへと変身した男だった。
 だが、その男は突然逃げ出したので自分はそれを追いかけた。

 偶然にも男が逃げた方向は自分が元いた場所に近い方向だった。お陰で探す事自体は容易だった。
 そして見つけた男が持っていた見慣れないメモリを奪うと共に喰らい、そのまま男をボコボコに殴り倒した。

 イライラも少し晴れた所で元いた場所へ戻り休んだわけだが、どうやら思った以上に疲れていたらしくそのまま少し眠っていたらしい。

 そして先程の夢を見ていたのだろう。



「変な夢だ……」



 その夢は自分の体験した仮面ライダーの戦いの最後の3日間の事だった。
 一見すると自分の体験を夢という形で見たという事だろう。
 だが、明らかにおかしいのだ。



「何故、俺はあそこまで北岡に拘っていたんだ……?」



 夢の中の自分は異常なまでに北岡に執着していた。戦うだけなら真司や蓮で事足る。何故あそこまで北岡に執着していたというのだ?
 確かに北岡には色々と怨みはあるがあそこまで拘ってはいなかった。北岡に限らず誰でも構わず戦いイライラが晴れればそれで良かった筈だ。





 それ以前に、夢の経験は自分がこの地に来る前に起こった事と大分異なってるのだ。



 確かに現実でも神崎にタイムリミットは伝えられてはいた。
 だが自分の知る限りあの場には自分達3人だけではなく北岡も脱落する事無く来ていた。そして、神崎の話では残り6人という話だった。
 そして自分は北岡に拘る事無く何時ものように戦った。特に生き残りの1人であり自分が殺した女性の妹である霧島美穂が自分へ仇討ちすべく積極的に向かって来たので嬉々として奴と戦ったが、



「そうだ、あの時……」





 美穂が変身した仮面ライダーファムを追いつめ、自身の3体の契約モンスターを融合させたジェノサイダーのファイナルベントドゥームズデイを仕掛けようとした。
 だが別の仮面ライダーの横槍が入った事で失敗に終わり、奴のファイナルベントによってジェノサイダーは撃破された。
 モンスターを失った事で力を失い、美穂によってあっさりとデッキは破壊され変身が解除された。



『死ぬのか? 俺が? この……俺が……ははははは……』



 それでも、美穂を倒すべく喰らいついたがミラーワールド内部では長い間存在出来るわけもない。そのまま自身の身体は消滅――

435時(いま)を越えて… ◆7pf62HiyTE:2011/01/24(月) 20:26:30 ID:wCPA3iDE






「気が付いたら新たな戦いか……」



 意識を取り戻した時、目の前には死神博士なる老人がいて、そいつが戦えと言った。
 結局の所、取り仕切っているのが神崎ではなく大ショッカーに変わっていただけでやる事は今までと同じ、仮面ライダー同士で戦えという話だ。
 世界がどうこう言っていたがそんな事はどうでも良い。
 先の戦いでのイライラがあったが為、難しい話など頭に入っていない。戦いの場に送られた後はイライラを解消するべく戦いを求め彷徨った。
 そして、先の戦いを経て今に至るというわけだ。





 浅倉はパンを頬張りながら自身のカードデッキを確かめる。先の戦いでモンスターを失った筈だったがデッキにはモンスターのカードは収まっている。
 但し、後に契約した筈のメタルゲラス、エビルダイバーのカードは無くなってはいた。つまり、2体とは契約していない状態だが浅倉は別段気にしてはいない。
 続いて、名簿を眺め始める。もっとも浅倉にとっては基本誰でも構わない為只の気紛れでしかないが。
 名簿を見た所、真司と蓮、更に北岡の名前を確認した。連中がいるのは当然なので別に気にする必要はない。
 更に東條悟という小者もいたがコイツに関してはどうでも良いだろう。ちなみに本来ならば既に退場している筈なのだが浅倉はその事について全く気にしていない。

 そして――



「あの女ぁ……」



 自分を倒した美穂の名前を見つけた。奴を倒す事で一度倒されたイライラを晴らす。更に、



「そして奴をな……」



 あの時美穂を助けジェノサイダーを倒した仮面ライダー黒い龍騎も倒そうと考えていた。
 奴こそが神崎の言った最後の1人だろう。正体が誰かはわからないが間違いなく奴もここにいる筈だ。
 ちなみに浅倉は黒い龍騎の正体が龍騎に変身する城戸だとは全く考えていない。
 黒い龍騎の戦い振りが戦いを止める等とバカばかり言う城戸のやり口じゃない事は浅倉でもわかっているからだ。似たモンスターと契約した仮面ライダーというだけだろう。



 その最中、デイパックの中にからあるものを取り出す。



「インペラーか……何故ここに……?」



 それは13人いる仮面ライダーの1人インペラーのデッキだった。

 ちなみに浅倉に支給された支給品は3つ。この地に来てすぐに確認はしているが先に触れた通りイライラが頂点に達していた為、これまで全く思考が回らなかったのだ。

 さて、浅倉の知る限りインペラーは既に退場済み、ここにデッキがある筈が――と思ったものの破壊された筈の自身のデッキがある以上、あってもおかしくはないと結論付けた。
 それについて深く考える事もなくインペラーのデッキをデイパックの中に戻した。

436時(いま)を越えて… ◆7pf62HiyTE:2011/01/24(月) 20:30:00 ID:wCPA3iDE



「腹も膨れた……行くか……」



 そして浅倉は新たな戦いを求め行動を開始する。真司、蓮、北岡、霧島、黒い龍騎、そしてまだ見ぬ仮面ライダー共と戦う為に――



 自らの支給品の1つであるバイクのエンジンを起動させ走り出す。
 バイクは基本ミラーワールドでの移動手段であるライドシューターぐらいしか使っていないが、使う分には問題ないだろう。
 先に触れた通り、この場所は浅倉のスタート地点だ。そこに浅倉の支給品の1つが置かれていた。
 そう、浅倉の支給品の1つはデイパックには収まらない程大型のもの、それはバイクだ。浅倉には名護啓介同様バイクが支給されていたのだ。



 そのバイクはある街の探偵が駆る黒と緑のバイク。元々は街を泣かせる組織が開発したものだったがある一件で探偵が奪取、
 ハードボイルドに対する憧れから探偵はそのバイクに対しある名を付けた――


 その名はハードボイルダー、


 本来は人々を泣かせる邪悪を倒す探偵の仮面ライダーが所持する筈のそれを、人々を泣かせる邪悪な犯罪者の仮面ライダーに支給されたのはある種の皮肉かも知れない――



 なお、ハードボイルダーのスペックは従来のバイクを遙かに凌駕し常人では扱う事は困難。
 身体一つで警官達をなぎ倒せる程の身体能力を誇る浅倉であってもそう簡単に扱える代物ではない。
 それでも浅倉はそれを扱おうし、普通に走れる様になった。



「コイツ……イライラさせるなよ……」





 当然その足は速くいつしかF-7、F-6、E-6を越えE-5へと入っていった。





 時刻は4時より数分前――





 浅倉は向かい風の中を突き進む――





 OVER THE TIMES――





 時(いま)を越えるかの様に――





「待っていろ……仮面ライダァー!!」





【1日目 午後】
【E-5 道路】
【浅倉威@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】劇場版 死亡後
【状態】疲労(小)、仮面ライダー王蛇に5分変身不可
【装備】カードデッキ(王蛇)@仮面ライダー龍騎、ハードボイルダー@仮面ライダーW
【道具】支給品一式、カードデッキ(インペラー)@仮面ライダー龍騎、ランダム支給品×1(確認済)
【思考・状況】
1:イライラを晴らすべく仮面ライダーと戦う。
2:特に美穂、黒い龍騎(リュウガ)は自分で倒す。
3:殴るか殴られるかしてないと落ち着かない、故に誰でも良いから戦いたい。

437 ◆7pf62HiyTE:2011/01/24(月) 20:33:00 ID:wCPA3iDE
投下完了しました。何か問題点や疑問点等があれば指摘の方お願いします。
最後に一言……燦然! これだけは言わなければならない気がした。

438二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/24(月) 20:39:10 ID:rsqSgHc6
投下乙ッス

439二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/01/24(月) 20:52:42 ID:E3H5ShK6
投下乙です
ああ、浅倉にハードボイルダー&インペラーが渡るなんてw
これからに期待が出来ますね!

440 ◆XEdZc54D6s:2011/02/09(水) 20:58:36 ID:PspzkWjI
おくれました、
只今より投下します

441 ◆XEdZc54D6s:2011/02/09(水) 21:00:06 ID:PspzkWjI

パラレルワールド論というものをご存じだろうか、
いま私たちが生きているこの世界とは別の世界が存在するという説である。
もちろん仮面ライダーにもパラレルワールドは存在する。
今回はそんなお話





相変わらず天道と巧の珍道中は続いていた

「なぁ、お前本当に猫舌なのか?」
と天道は半ば軽蔑するような眼で巧を見る。


「あぁ、そうだよわりぃかよ」

「おばあちゃんが言っていた、猫舌なものは
人生の3分の一を損しているとな」

「ならばあさんに言っておいてくれ・・・」

その言葉の続きを言おうとしたところで天道が立ち止まる

「なぁ、おいどうしたんだよ」

「静かにしろ、誰か来るぞ」

先程までのにぎやかさは消え去り二人は話声がした建物の影を
じっと見つめ、耳を澄ました。

良く聞くと片方はとてもテンションの高い様子で、もう片方は
とても低い男の声だった。
つるんでいるのなら殺しあいに乗っている可能性は低い、そう考え
巧は声をかけようとした。

・・・が天道がそれを制しもう少し様子を
見るように促し、首輪探知機を見ろといった。
巧には天道の言っている言葉の意味がよくわからなかったが
いわれるがまま探知機を見た、
しかしそこには信じられないことが映っていた。

「なっ?!」

反応が自分たちのほかに一人しかなかったのだ、
故障したか、がっくりと肩を落とす巧と違い天道の目は輝いていた。

「おい、天道、何がそんなうれしいんだ?探知機が
壊れちまったかもしんねぇんだぞ?」

「いや、探知機は壊れてない、影を見てみろ」

言われたままに地面に目を落とした巧の眼には顔が龍な以外には
普通な人が立っていた。

「あぁほんとだ、一人しかいないってえぇ?!」

442かぶと虫 ◆XEdZc54D6s:2011/02/09(水) 21:02:33 ID:PspzkWjI

思わず巧の口から出てしまった大声を人間より優れた耳を持つ
グロンギが聞き逃すはずもなかった。

「誰だ!出てこい」

低い男の声が街に響き、空気がびりびりと震える、
改めて物陰から出てきたその姿を見ると男と空を飛ぶ龍がいた。
龍がしゃべっていたことには驚いたが一人が普通の人間なら問題ない。

「俺たちは丸腰だ、戦う気はない、殺しあいに乗っていないなら
俺たちの仲間にならないか?」

しかしその言葉は逆に敵を逆なでしてしまった。

「つまらん」

「あ?」

「この世界はお前らのような腰抜けばかりか!」

がっかりだった、リンとの考えたゲゲルとは所詮この程度なのだろうか。
だが、それでも一戦士ならプライドぐらいあるはずだ。
そう言ってガドルは姿を変えた、黒の甲殻に身を包んだ怪人へ

そしてその姿を見た男たちもまたそれぞれ自分のベルトを構え腰に巻いた。
その次の瞬間巧はファイズフォンに「555」を打ち込み、
天道の手にはカブトゼクターが舞い降りた。

――STANDINGBY――

「「変身!!」」

二人は同時に声をあげ、一瞬のうちに二人の体を白銀の鎧が包んだ。

――COMPLETE――   ――HENSHIN――

二つの電子音声が鳴り響きそこには二人の仮面ライダーが立っていた。

「巧、あいつは間違いなく強い、気をつけろ」

(んなこと言われなくてもわかってんだよ)

巧は手をスナップさせ戦闘態勢をとる。
やがて三者は一斉に走りだし同時に接触する。
三者は皆強かった。拳と拳がまじりあい、それぞれの胸に敵の拳が当たった

(これだ、この戦いを待っていた!)

思わぬ強敵との遭遇にガドルの胸が躍った。

(どちらもクウガと同等、もしくはそれに匹敵するといったところか)

443かぶと虫 ◆XEdZc54D6s:2011/02/09(水) 21:04:06 ID:PspzkWjI

「だが」

「ぐはぁ!?」

「天道!」

「お前は速さが足りないな」

そういうガドルの拳は的確にカブトの急所を突き、建物の中へ吹っ飛ばした

「ヤロォ、よくも天道を!」

そう言い向かってくるファイズをガドルは剣で切った。

「ガハァ」

「お前にはパワーが足りない」

そう言いながら、ガドルはファイズを何度も切った。
やがて、ファイズの変身が解除されてしまう。

「終わりだな、リントの戦士よ」

自分の身をオルフェノクの姿に変える暇もなく剣が振り下ろされる。

「おい、」

「!?」

みると、ガドルの背後には先程とは姿が違うカブトが立っていた。
うかつだった、まだ建物の中で気絶しているとばかり思っていた。
油断した罰なのかガドルの頭に斧が振り下ろされた、
・・・がそれを危機一髪でかわし肩から火花が飛び散った。
今の一撃がガドルに効いていないことを知ったカブトは一旦距離を置く。

「さぁて第2ラウンドか、おい巧邪魔だからどいとけ」

「ふん、第2ラウンドか、俺も参加させてくれよ」

――ナスカ――


(霧彦、力を貸してくれ)

友から譲り受けたドライバーを腰に巻きメモリを刺す。
するとそこには青き鎧に身を包んだナスカドーパントが立っていた。

「いくぞ」

「あぁ」

444 ◆XEdZc54D6s:2011/02/09(水) 21:08:57 ID:PspzkWjI
あぁ、すいません、最初のレスの時点で
21時を過ぎてしまったようですね。
予約スレの方も相当頭にきているようですし、レスはここでやめます
最初に葬儀の話が出た時点であきらめるべきでした。
スレ汚し本当にすいませんでした。

445 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:32:51 ID:K0P1APO.
これより、予約分の投下を開始します

446強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:33:48 ID:K0P1APO.

EPISODE53 『強魔』


『クウガの世界』における、人類の脅威。
人々から未確認生命体と呼ばれた、戦闘民族グロンギ。
人類に極めて近い身体の構造を持つものの、決定的に違う部分を持つ。
極めて高い残虐性と、闘争本能。
それに従って、数え切れないほどの命をゲームのように、奪った。
暴力を好む、邪悪なるもの。
遥か古代、クウガによって封印されたが、王によって二百体余りのグロンギが現代に蘇った。
その中でも、特に高い能力を持つグロンギ達が、殺し合いの会場に呼び出される。
破壊のカリスマ、ゴ・ガドル・バ。
究極の闇をもたらす者、ン・ダグバ・ゼバ。
そしてもう一体、世界の命運を賭けた殺し合いに参加したグロンギがいる。
しかし、その者はこの二人と比べると、圧倒的に力が不足していた。
それどころか、グロンギ族の中でも戦闘能力は低い。
ズ一族のグロンギ、未確認生命体第3号。
ズ・ゴオマ・グ。
本来ならば、ズの中でも底辺に値するほどの、力しか持たない。
だがある時、ラ・バルバ・デからダグバのベルトの破片を回収するという、命を受けた。
その時、ゴオマは破片を己の身体に取り込んで、強大な力を手に入れる。
金の力を手に入れたクウガを、凌駕するほどの力を。
理由は、ダグバに反旗を翻すため。
王は『整理』と称して、メやズのグロンギを虐殺していた。
ゴ集団の中でも、相当の実力者であるゴ・バダー・バが、クウガに敗れたため。
ならば、それより弱いグロンギなど必要ない。
当然、ゴオマは納得など出来なかった。
故にダグバのベルトを己の身体に取り込み、王に挑もうとする。
しかしその矢先に、大ショッカーによってこの戦いに放り込まれた。
そんなゴオマの行く先は。







D−1エリアに存在する、病院。
清潔感溢れる建物の一室に、二つの人影があった。
床から天井、部屋を支えている柱、そして窓際にかけられたカーテンまでもが、白で構成されている。
無人であるはずなのに、汚れどころか埃一つたりとも見られない。

447強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:34:24 ID:K0P1APO.

「よし…………と!」

津上翔一は、背負っていた黒いコートを身に纏っている、屈強な男をベッドに下ろす。
赤い鬼を思わせる風貌のアンノウンとの戦いで、怪我をしたと思われる不完全なアギト。
逞しそうな体のあちこちに、酷い傷が刻まれている。
ここに男を連れてくるまでに、翔一に疲労が溜まっていた。
しかし、休んでいる暇など無い。

(この人も、姉さんや可奈さんと同じだ……)

翔一の脳裏に、二人の女性の姿が思い浮かぶ。
たった一人の姉、沢木雪菜。
本当の『津上翔一』である沢木哲也の恋人だった彼女は、望まないアギトの力を手に入れてしまった。
それが暴走して人を殺してしまい、自らに絶望して命を絶ってしまう。
そしてもう一人は、岡村可奈。
かつて、自分と同じレストランでアルバイトをしていた彼女もまた、アギトの力を持っていた。
無論、雪菜の時のように自殺を図ろうとする。
しかし今度は違った。
自分と哲也が力を合わせて、可奈に生きる希望を与えた。
だから今度も、アギトである自分がやらなければならない。

(それにしても酷いな……アンノウンから追われるだけじゃなくて、こんな戦いに連れてこられるなんて)

アギトの力を持つ人間は、アンノウンに命を狙われる。
そうなったら、恐怖でまともに毎日を過ごせない。
それだけでなく、この人はこんな殺し合いに放り込まれた。
ならば、錯乱状態になってもおかしくない。

「おい、翔一」

大ショッカーとアンノウンへの憤りを感じていると、渋みのある声が聞こえる。
翔一は振り向くと、黒い蝙蝠が羽根をばたつかせているのが見えた。
キバットバットⅡ世は、その赤い瞳を輝かせている。

「この男は俺が見ておこう……お前は早く探してこい」
「分かったよキバット、ありがとう!」

翔一は朗らかな笑みを見せた。
そのままキバットに背を向けて、病室から飛び出す。
廊下は薄暗く、太陽の光が窓から差し込んでも、不気味な雰囲気を醸し出したままだった。
しかし翔一には、この程度は何てこともない。
眠りにつくアギトを助けるため、彼はリノリウムの床を駆け抜ける。


この時、翔一は気づかなかった。
病院の中に、侵入者がいることを。
知らぬ間にその人物と、入れ違いになってしまったことを。









桐生豪は、人気のない病院の廊下を歩いている。
先程の戦いによる、疲労を癒していた時だった。
何処からか、足音のような物が聞こえてくる。
桐生は辺りに警戒しながら、ゆっくりと近づいた。

448強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:35:30 ID:K0P1APO.
すると、話し声と床を走るような音が連続で聞こえてくる。
それを耳にした直後、桐生の精神が一気に高ぶった。
この病院には、参加者がいる。
かつての後輩である橘朔也か、それとも違う奴か。
だがどちらにせよ関係ない。
参加者がいるなら、潰せば良いだけだ。

(…………やはり、不意打ちをするにしても使い慣れたレンゲルだな)

桐生は、同じ世界の参加者である金居との戦いを思い出す。
ただの優男かと思ったが、その正体は自分の敵であるアンデッド。
しかも、上級アンデッドの一体であるカテゴリーキングだった。
城戸真司と小沢澄子の時もそう。
初めて見るガイアメモリという道具を使って、不意打ちを仕掛けたが失敗に終わった。
やはりここは、慣れたレンゲルで戦うのが一番。
桐生はドアの前で止まり、懐に手を伸ばす。
右手には、クラブのカテゴリーAに値するアンデッド、スパイダーアンデッドが封印されているラウズカードを。
左手には、黄金色に輝くレンゲルバックルを。
それぞれ手にした。
レンゲルバックルの中にラウズカードを入れて、腰に添える。
濁った音が辺りに響く中、バックルよりカードが飛び出してきた。
それはベルトとなるように、桐生の腰へ巻き付いていく。
そのまま彼は、バックルのレバーを引きながら呟いた。

「変身」
『OPEN UP』

電子音と同時に、蜘蛛の紋章が刻まれた青いゲートが、桐生の前に現れる。
彼はその中を潜り、変身を果たした。
緑と金の二色に輝く装甲、紫色の双眼、額より伸びた銀色に煌めく二本の角。
ビーコックアンデッドである伊坂が、烏丸 啓を初めとした研究者達を操って、完成させた『究極のライダーシステム』
仮面ライダーレンゲルへと、桐生豪は姿を変えていた。







「………グッ」

ズ・ゴオマ・グは、呻き声を漏らす。
身体の節々に倦怠感を感じながら、瞼を開いた。
視界の先に見えるのは、純白の天井。
何事かと思いながら、ゴオマは体を起こす。
周囲を見渡した先には、白で満ちていた。
壁、カーテン、ドア。
そして、自分が寝ていたと思われるベッドまでもが、白かった。
直後、ゴオマの中で疑問が芽生える。
ここはどこなのか。
何故自分はこのようなところにいるのか。
ゴオマは自らの記憶を探る。
まず、あの廃工場で赤い鬼と戦い、殺した。
その後に、黒い蝙蝠が連れてきたグロンギの宿敵、クウガと戦った。
そこからの記憶が、全くない。

449強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:37:24 ID:K0P1APO.

「ほう、目覚めたようだな」
「ん?」

思案に耽っているところに、聞き覚えのある声がする。
振り向くと、一匹の蝙蝠が目の前で飛んでいた。
先程、廃工場までクウガを連れてきたキバットバットⅡ世。
そんな彼に対して、ゴオマは嫌いなリントの言葉で質問した。

「何処だ、ここは」
「ここは病院だ……お前はあの男によって、ここまで背負われていた」
「背負われていた…………だと?」

淡々と告げるキバットの言葉を聞いて、ゴオマは憤りを感じる。
その言葉が正しければ、自分はクウガに助けられた。
グロンギより圧倒的に劣る、リントに。
戦いに負けただけ無く、情けまでもかけられる。
その事実が、ゴオマの無駄に高いプライドを傷つけた。

「あの男に感謝するのだな……あのままでは、お前はのたれ死になっていただろう」
「何……ッ!?」

しかし、キバットはそんな心境など全く知らずに、言葉を続ける。
するとゴオマの中で、怒りが一気に沸き上がった。
いくら同じ蝙蝠とは言え、こうまで言われて黙っているわけにはいかない。
無論、キバットに侮辱するような意図は一切無かった。
だがゴオマは、それを酌み取る心を持ち合わせていない。
気がつくと、身体の疲れと痛みがある程度癒されていた。
体内に埋め込まれた、ベルトの破片による効果だが、彼は気にかけない。
キバットを捻り潰す為に、ゴオマはベッドより立ち上がろうとした。

『OPEN UP』

すると、何処からともなく声が聞こえる。
その直後、轟音と共に部屋のドアが破壊された。
それに反応し、ゴオマとキバットは振り向く。
ドアが床の上を跳ねる中、部屋の外から侵入者が現れる。
緑と金色の装甲に身を包んだ、謎の人物が立っていた。

「…………フン、やはり怪我人か」

二本の角が伸びた仮面から、男の声が聞こえる。
恐らく、それなりに高い年齢かもしれない。
レンゲルという名前を持つが、それを知るのは誰もいなかった。

「何だお前は? 俺達に…………グオッ!?」

キバットは講義しようとするが、途中で言葉が遮られてしまう。
レンゲルがその手に持っている杖、醒杖レンゲルラウザーによって横薙ぎに叩かれた為。
その衝撃を受けたキバットは、勢いよく顔面から壁に叩きつけられてしまった。
彼はそのまま、滑り落ちるように床へ落下する。
そんなキバットの様子など目もくれず、レンゲルは口を開いた。

450強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:38:04 ID:K0P1APO.
「誰だろうと構わん……俺と戦え」

刹那、ゴオマの感情は高ぶっていく。
リントに助けられたという屈辱も。
自身が蔑まれたことによる怒りも。
レンゲルが現れたことによって、全てが払拭された。

「いいだろう……!」

邪悪な笑みを、レンゲルに向ける。
するとゴオマの体は、音を立てながら形が変わり始めた。
輪郭は歪み、黒いスーツの下から肉体が盛り上がっていく。
瞬時に、その体は異形へと変わっていった。
蝙蝠を思わせるような不気味な顔面、後頭部より流れる長髪、異様に発達した黒い肉体、両腕に備わった巨大な翼。
警察から『未確認生命体第3号』と称された怪人、ズ・ゴオマ・グの真の姿。
究極体と呼ばれる形態に、なっていた。

「貴様……アンデッドか? ならば、俺が封印してやろう!」

姿を変えたゴオマを見て、レンゲルは巨大な杖を振るう。
その先端は、敵の巨体を吹き飛ばすかのように思えた。
だが、それは届かない。

「ッ!?」

レンゲルは目の前の光景を、疑っていた。
勢いよく振るったレンゲルラウザーが、ゴオマに止められている。
しかも、片手の指五本だけで。
レンゲルは力を込めて、ゴオマの手を振り解こうとした。
だが、全く動かない。
まるで拘束具で、固く縛り付けられたかのようだ。
やがてレンゲルは苛立ちを感じて、反対側の手で殴ろうとする。

「ジョパギ、バ (弱い、な)」

しかし、その一撃も届かなかった。
ゴオマの声が聞こえた瞬間、視界が大きく揺れる。
それと同時に、レンゲルの身体は勢いよく床に倒れた。
脳が大きく揺れるのを感じる。
敵に殴られたと察知するのに、時間は必要なかった。
レンゲルラウザーを支えにして、彼は立ち上がろうとする。
その瞬間、首が締め付けられるのを感じ、身体が浮かび上がった。

「グ…………アッ!」
「チョグゾ、ギギ (ちょうど、いい)」

仮面の下から、呻き声が漏れる。
ゴオマは片手一本だけで、レンゲルの巨体を持ち上げていたのだ。
その手に込める力を、次第に強くする。
首の下から、メリメリと奇妙な音が鳴り始めた。
レンゲルは抵抗しようとするも、地に足がついていない状態ではロクに出来ない。
そんな反応に満足感を感じて、ゴオマは笑みを浮かべる。
弱者を蹂躙する、自身の圧倒的な力。
それによって、悶え苦しむリント。
この男の命を握っているのは、自分。
生きるも死ぬも、自身の思うがままだ。
ならば、もっと苦しめてやるのも悪くない。
身の程を知らないリントには、当然の報いだ。
ゴオマは、部屋の窓ガラスに目を向ける。

451強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:38:59 ID:K0P1APO.

「ダアッ!」

そのまま勢いよく、レンゲルの身体を投げつけた。
凄まじい腕力に抗う事が出来ず、そのまま窓に激突する。
ガラスが割れる高い音と共に、レンゲルは外に放り込まれていった。

「うおおおぉぉぉぉぉっ!」

破片と共に、悲鳴が落下していく。
重力に引きつけられたレンゲルの身体は、勢いよく地面にぶつかった。
そんな彼を追うために、ゴオマも割れたガラスから飛び出す。
そのままレンゲルのすぐ近くに、着地した。
倒れた仮面ライダーを見下ろしながら、無防備な脇腹を目がけて蹴りを放つ。

「フンッ!」
「ぐおっ!」

レンゲルは悲鳴を漏らした。
その声にゴオマは充足感を感じて、追撃を加える。
一度蹴られるたびに、レンゲルの装甲に不自然な凹みが生じて、火花が飛び散った。
衝撃が鎧を通じて、中にいる桐生の身体に襲いかかる。
しかし、ゴオマの攻撃が止まる事はない。
異様に発達した足による蹴りが、レンゲルに反撃する余地を奪っていた。
やがてゴオマは、ボールのように彼の身体にキックを放つ。
それによって、レンゲルは軽々と吹き飛ばされ、背中からコンクリートの壁に叩き付けられた。
彼は固い地面に落下するも、すぐに体勢を立て直す。
そして脇腹に備え付けられたホルダーより、二枚のラウズカードを取り出した。
レンゲルはそれを、レンゲルラウザーに読み込ませる。

『BITE』

一枚目。コブラアンデッドが封印されたクラブのカード、バイト。

『BLIZZARD』

二枚目。ポーラーアンデッドが封印されたクラブのカード、ブリザード。

『BLIZZARD CRUSH』

カードコンボ、ブリザードクラッシュの準備は整った。
アンデッドの力が、レンゲルの中に駆け巡る。
それを知らせる音声が、レンゲルラウザーから発せられた。
レンゲルは、勢いよく跳躍する。
そして空中で両足を、ゴオマに向けた。
眼下の敵に向かって、足の裏から膨大なる吹雪が放出される。
自らの身体をドリルのように、レンゲルは高速回転させた。

「ヌオオオオォォォォォォッ!」

咆吼と共に、ゴオマとの距離は縮んでいく。
両足から発せられる冷気は、異形の皮膚に突き刺さった。
そして、回転するレンゲルの両足は、グロンギに到達しようとする。
対するゴオマは、両腕を目前で交錯させた。
回避行動も取ろうとせずに。
その様子に、動揺と言ったものは一切感じられなかった。
刹那、レンゲルの足とゴオマの腕が衝突する。
轟音が響き渡り、コンクリートの地面が沈み込んだ。

452強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:39:46 ID:K0P1APO.

「オオオオオオォォォォッ!」

勢いを保ったまま、レンゲルはゴオマを潰そうと体重をかける。
ブリザードクラッシュのAPは、2400。
重量に換算すると、24トンもの威力を誇っている。
これだけの重さならば、敵はひとたまりもない。
レンゲルは自らの勝利を、心中で確信する。
その直後だった。

「ハアアァァッ!」

突如、咆吼が聞こえる。
その直後、レンゲルの視界は揺らぎ、体勢が一気に崩れ落ちた。
回転の勢いが制止された途端、彼の身体は吹き飛ばされていく。
目の前に、赤みの増した空が見えた。
途端、レンゲルは地面へ叩き付けられていく。

「グハッ!」

痛々しい悲鳴が、仮面より漏れた。
レンゲルが力押しに負けた理由。
ゴオマの腕力が、ブリザードクラッシュを押し返す程に強い。
それはごく単純で、シンプルな物だった。
しかし、本来ならば同じ状況に陥ったとしても、レンゲルに分があったかもしれない。
だが、今のゴオマはごく一部とは言え、究極の力をその身に取り込んでいる。
それは金の力を手に入れたクウガすらも、圧倒するほど。
よって、ブリザードクラッシュを弾き返しても、何らおかしくはない。
無論、レンゲルにそれを知る由はなかった。
この怪物は強い。
先程戦った、カテゴリーキングに迫る程かもしれない。
微かな戦慄を覚える中、既にゴオマは目前にまで迫っていた。
レンゲルは反撃しようと見上げるが、もう遅い。

「ボンゾパ ゴセン ダンザ (今度は、俺の番だ)」

ゴオマは嘲笑うように呟く。
右足を彼は振り上げて、勢いよく下ろす。
立ち上がろうとしたレンゲルは、蹴りによって再び倒れた。
そんな彼に目がけて、ゴオマは攻撃を続ける。
一発目の蹴りは、胸板に。
二発目の蹴りは、脇腹に。
三発目の蹴りは、太股に。
四発目の蹴りは、腹部に。
五発目の蹴りは、肩に。
一度打ち込まれるたびに、レンゲルの装甲から血液のように、火花が飛び散った。
その度に抵抗が弱くなるのを見て、ゴオマは更に力を込める。
そしてレンゲルの上に馬乗りになって、顔面に握り拳を叩き込んだ。

「フンッ!」

ゴオマは、レンゲルを殴る。

「グウッ!」

レンゲルは、ゴオマに殴られる。

「ダアッ!」

ゴオマは、レンゲルに拳を振るう。

「ガアッ!」

レンゲルは、ゴオマに殴られて悲鳴を漏らす。
もはや、これは戦いと呼べる光景ではなかった。

453強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:41:00 ID:K0P1APO.
ここにあるのは、ただの一方的ななぶり殺し。
片方が憂さを晴らすために、もう片方に暴力を振るう。
古来より数え切れないほど行われた、残虐な所為。
グロンギという種族を象徴するような、凶暴性がそこに感じられた。
やがて何度目になるか分からない、暴力の後。
ついに、レンゲルの鎧が限界を迎えてしまった。
装甲を構成する物質は、分解する。
それによって、資格者である桐生豪の生身が晒されてしまった。
だが、ゴオマはそれに気を止めるようなお人好しではない。

「き、貴様…………ッ!」

蚊の鳴くように弱々しい声が、喉から漏れる。
それが桐生豪の、この世に残す最後の言葉となってしまった。
ゴオマは、顔面を目がけて拳を叩き込む。
肉が潰れる、鈍い音が響いた。
この一撃によって、鼻骨が一気に沈んでいく。
続くように、ゴオマは顔の各部を潰していった。
額、両眼、耳、頬、首、頭部。
グロンギの圧倒的力ならば、この程度は容易い。
ゴオマの攻撃によって、桐生の身体は痙攣を起こす。
しかしそれも、すぐに止まってしまった。

「ボセゼ、ズダシレバ (これで、二人目か……)」

両手に血の生暖かい感触を感じながら、ゴオマは笑みを浮かべる。
また一つ、ゲゲルのスコアを上げた。
吹雪を伴った先程の蹴りを受けて、ほんの少しだけ腕に痛みを感じる。
だが、それだけ。
究極の力を手に入れた自分には、敵ではなかった。
物言わぬ屍となった桐生から離れた途端、ゴオマの身体に変化が起こる。
瞬く間に、脆弱なリントを模したような姿に、変わってしまった。
しかし、ゴオマは特に気に止めない。
彼は、桐生の遺品であるデイバッグとレンゲルバックルを手に取った。
どうやら、このゲゲルでは自身の能力が思うように使えない、ルールがあるらしい。
数度に渡る戦いで、ゴオマはそれを感じ取った。
ならば、戦うための道具は多いに越した事がない。
そして、ゴオマの関心を引く支給品がもう一つあった。
廃工場で繰り広げた戦いの時に使った、スミドロン・ドーパントに変身する為の道具とよく似た物。
アイスエイジ・ドーパントの記憶が込められた、ガイアメモリが彼の手に握られていた。

「ガセド、ビダジョグバゾググバ  (あれと、似たような道具か)」

その形から、ゴオマは判断する。
強大なる力の代償に、凄まじい疲労を残すガイアメモリの一種。
戦えるのは有り難いが、使うタイミングを見極めなければならない。

(戦え……戦え)

その直後、ゴオマの脳裏に声が聞こえた。
地の底から響くような、低い声。
それによって、彼の思考は一瞬で彼方へと消え去った。
何事かと思い、ゴオマは周囲を見渡す。
しかし、敵の気配は感じられない。
気のせいだと感じたゴオマは、病院に目を向けた。
この中には、宿敵のクウガに酷似したリントの戦士がいる。
ならば、潰さないわけにはいかない。
ゴオマは、病院に戻ろうとした。

「…………ん?」

だが、その足はすぐに止まる。
すぐ近くで、話し声のような物が聞こえたため。
ここより少し距離が離れているが、グロンギの卓越した聴覚を持ってすれば、察知する事など容易い。
耳を澄ませれば、どうやら集団のようだ。
それを察したゴオマの行動は、決まる。
近くにいると思われる集団を、この手で潰すこと。

(戦え…………戦え!)

頭の中に、再びあの低い声が聞こえる。
だが、ゴオマはそれに気を止めない。
ガイアメモリを手にしながら、己の本能のまま足を進めた。
更なる参加者と戦い、ゲゲルに勝ち残るために。
自分自身が、レンゲルバックルに封印された、アンデッドに支配されている事を知らずに。
クラブスートのカテゴリーA、スパイダーアンデッドの猛毒は、ゴオマの精神を確実に蝕んでいた。

454強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:41:55 ID:K0P1APO.





微かな光だけが差し込む廊下を、翔一は駆け抜けている。
その手に、多数の医薬品が入ったケースを抱え込みながら。
飲み薬、塗り薬、抗生物質、包帯、消毒薬、ギブス。
人を助けるために用いられる、様々な道具が彼のデイバッグに収まっていた。
無論、足元や振動に気を配っている。
不用意なミスで、駄目にしてしまっては本末転倒だ。

(やっぱり、もっと持ってくればよかったかな……いや、足りなかったらまた取りに行けばいいか)

翔一に、医学の知識など一切持ち合わせていない。
同じ世界から呼び出されている木野薫なら、同じ状況に陥っても難なく解決するだろう。
しかしそれは、彼が一流の医者だからだ。
ただの料理人にすぎない自分では、出来る事は限られている。
それでも、放っておくことなど出来ない。
今はアギトの力を持ってしまった人を、助けることだけを考えよう。
その思いを胸に、翔一は病室を目指した。

「なっ…………!」

だが直後、彼は絶句したような表情を浮かべる。
先ほどまであった筈のドアが、無い。
それだけでなく、病室が荒れ果てていた。
窓ガラスは割られ、カーテンは千切れ、床には不自然な傷跡がいくつも刻まれている。
しかし、それらは翔一の関心を引き付けることは出来なかった。
彼がいない。
ここまで連れて来たはずの、アギトがいない。

「くう…………っ」

気づいた直後、微かな呻き声が聞こえる。
反射的に、翔一は振り向いた。
見ると、アギトを見守っていたはずのキバットが、床に倒れている。
すぐさま翔一は、彼の元に駆け寄った。

「キバット、キバット! 大丈夫ですか!?」
「翔一…………か?」
「しっかりしてください! 一体何が!?」

動揺したように、キバットへ訪ねる。
訪ねられた彼は、苦痛に耐えながら口を開いた。

「お前と入れ違うように、妙な奴が現れた……恐らく、この殺し合いに乗っているだろう」
「あのアギトの人は!?」
「分からない……俺としたことが、不覚を受けてしまった」
「そんなっ……!」

直後、翔一は愕然とした表情を浮かべて、両足が地面に落ちてしまう。
自分が手間取ったせいで、怪我をした人が消えてしまった。
この殺し合いに乗っている人が現れて、キバットが酷い目にあった。
自身の行動の愚かさを。
自分が遅れたせいで、同じアギトを助けられなかったことを。
罪悪感と自責の念が、彼の心に広がっていく。

455強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:42:36 ID:K0P1APO.

「おい、翔一!」

二つの思いに押し潰されそうになった途端、声が聞こえた。
振り向いた先では、キバットが目の前で羽ばたいている。

「恐らく、まだそう遠くまで行ってないはずだ! 探すぞ!」
「そうだった、早く探さないと!」

後悔に潰されそうになった翔一は、力が戻った。
今はここで潰れている場合じゃない。
攫われた男の人を、助けることだ。
あの怪我では、どうなるか分からない。
翔一は己に活を入れて、キバットと共に病室から出た。


【1日目 夕方】
【D−1】


【津上翔一@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終了後
【状態】健康、罪悪感 
【装備】なし
【道具】支給品一式、コックコート@仮面ライダーアギト、ケータロス@仮面ライダー電王、ふうと君キーホルダー@仮面ライダーW、キバットバットⅡ世@仮面ライダーキバ、医療箱@現実
【思考・状況】
1:打倒大ショッカー
2:殺し合いはさせない
3:キバットと一緒にあの男性(ゴオマ) を探しに行く。
4:大ショッカー、世界崩壊についての知識、情報を知る人物との接触
5:木野さんと会ったらどうしよう?
【備考】
※ふうと君キーホルダーはデイバッグに取り付けられています。
※響鬼の世界についての基本的な情報を得ました。
※ゴオマを「不完全なアギトに覚醒した男」、モモタロスを「アンノウン」と認識しています。
※医療箱の中には、飲み薬、塗り薬、抗生物質、包帯、消毒薬、ギブスと様々な道具が入っています。





D−2エリアの住宅街。
城戸真司の心は、未だに揺れ動いていた。
先程戦った、吹雪を放つ謎の怪物が持っていた、デイバッグ。
その中より出てきた、てるてる坊主を見た事によって、彼は動揺していた。
神崎士郎を主催としたライダーバトルの原因は、自分にある事。
神崎結衣との約束を反故した為、悲劇が生まれてしまった事。
全ての元凶は、自分である事。
真司の心に、罪悪感が広がっていく。
それによって彼の表情は、未だに暗いままだった。

456強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:44:12 ID:K0P1APO.

「城戸君」

そんな姿に見かねた小沢澄子は、溜息とともに口を開く。
顔を上げた真司に、彼女は厳しい視線を向けた。

「事情は分かったわ。貴方がライダーバトルとか言う奴の、元凶かもしれないって」
「かもしれないじゃなくて、本当に――」
「でも、今はそれを悔やんでいる場合?」

後悔に満ちた言葉を、小沢は遮る。

「落ち着いて。ここで後悔したって、何にもならないわ…………今やるべきことは、こんな馬鹿げた戦いを止めることよ」
「それはそうですけど……」
「なら、シャキッとしなさい。そんな状態だと、何も変える事は出来ないわ」

真摯な表情で、真司を咎めた。
後悔する気持ちは、小沢にも理解できる。
自分の行動によって、多くの悲劇が生まれてしまった。
そうなってしまっては、誰だって悲しみに沈む。
だが、今はそんな場合ではない。
過去を悔やむ事は、いつだって出来る。
そして、それをやり直す事も。
そんな小沢の思いを察したのか、真司の顔に覇気が戻る。
先程の暗い表情が、まるで嘘のように。

「そうですね……すいません、こんな時に」
「後悔する事なんて、いつだって出来るわ……大切なのは、これからどうやって生きるかを考える事よ」
「はい!」

真司は力強く、小沢に返した。
まだ、彼の心には罪悪感が残っている。
しかし小沢が言うように、今はそれに溺れている場合ではない。
そんなことでは、戦いを止める事は出来ないし、大ショッカーの思う壺だ。

「わかってくれれば…………ん?」

それでいい。
そう続けようとした小沢は、口を閉じた。

「どうしたんですか……」
「静かに」

怪訝に思った真司の言葉を、彼女は小声で遮る。
そのまま、耳を澄ませた。
どこからともなく、音が聞こえてくる。
金属同士がぶつかる、鋭い音。
男性の声と思われる、英単語。
そして、何かが砕けるような鈍い音。
それらは小沢だけでなく、真司の鼓膜にも入ってきた。
この近くで戦いが起こっている事を、二人は瞬時に察する。
直後、大きな叫びも聞こえてきた。

「城戸君!」
「わかりました!」

真司と小沢は、すぐに走り出す。
近くで起こっている戦いを止めるために。
そして、こんな悲劇を少しでも抑えるために。

457強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:45:03 ID:K0P1APO.





時計の針は、少しだけ戻る。
E−2エリアに位置する、とある住宅街。
人々の声や、車の交通による騒音は、一切聞こえてこない。
まるでゴーストタウンを思わせる程の静寂が、辺りに広がっていた。
加えて、夕暮れによって空の明るさは徐々に減っていく。
沈んでいく太陽も、不気味さを引き立てるスパイスとなっていた。
その中を、四人の人物が歩いている。
戦闘を進む照井竜は、周囲の警戒を強めていた。
時計の針は、既に夕方の時間を差している。
そして赤みがかった空も、段々と暗くなっていた。
こんな戦場で、視界が効かなくなるのは正直言って、拙い。
殺し合いに乗った奴に、暗闇から襲撃を受ける可能性もある。

(おまけに、戦力として期待できるのが俺を含めて二人とは……)

照井は、後ろを歩く三人の方に意識を向けた。
別世界の刑事である、一条薫。
鬼と呼ばれる『仮面ライダー』となって魔化魍という化け物と戦う少年、桐谷京介。
ただの一般人と思われる女性、間宮麗奈。
刑事である一条は、それなりの体力や戦術はあるだろう。
だが、この場ではあまり期待できない。
この狭い世界の中には、ドーパントのような超人的腕力を持つ者が、大勢いるだろう。
そんな奴の前では、普通の刑事では赤子に等しい。
京介は、話が本当ならそれなりに期待できる。
しかし彼は、まだ若い。
そんな少年に、大人である自分が縋ってどうする。
万が一戦う状況に陥ったとしても、そこまで前面に出させてはいけない。
麗奈は論外だ。
彼女は、自分達警察官が守るべき一市民。
何が何でも、守らなければならない。

「一条、後ろはどうだ?」
「今のところ、足音などは聞こえてきません」
「そうか」

照井は、一番後ろの警戒を固めている一条と、軽い質疑を交わす。
そんな彼らの間では、怯えている麗奈を京介が励ましていた。
一般市民二人を、刑事二人が守るような体勢で、四人は歩いている。
体勢としては、当然の物だった。

「…………ん?」

その最中、照井は前方から一つの人影が近づいてくるのを、見つける。
距離が迫るごとに、その姿がはっきりと見えてきた。
見たところ、高い背丈を黒いコートで包んでいる、男性。
その体格は、引き締まっているように見えた。
年齢は、二十代から三十代の間かもしれない。
照井がそんな事を推測していると、男は足を止める。
それに合わせるかのように、四人も足を止めた。

(…………何だ?)

不意に、照井の中で疑問が芽生える。
男の表情に、目を向けた事によって。
そこにあるのは、笑顔だった。

458強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:47:12 ID:K0P1APO.
獰猛な獣が、獲物を見つけたときに浮かべるような、不気味な笑み。
それを見た照井の中で、違和感が更に強くなった。
だが、考えても仕方がない。
照井は声をかけようと、一歩前に出ようとした。

「Bー2号!?」

その直後。
背後より、驚愕の声が聞こえる。
それを聞いて、照井は反射的に振り向いた。
見ると、一条がAK−47 カラシニコフを構えている。

「一条、何を――!」
『ICEAGE』

照井の声は、遮られた。
後ろから聞こえる、電子音声によって。
聞き覚えのあるそれを聞いて、照井は再び前を向いた。
直後、彼の目は驚愕で見開かれる。
男の手に、照井がよく知る道具が握られていたため。

「ガイアメモリ……だと!?」

そう。自身の世界で流通されている、USBメモリーの形をした町を泣かせる悪魔。
秘密結社ミュージアムが開発している、ガイアメモリ。
しかも、自分がつい最近破壊した、アイスエイジ・ドーパントの力が封印されたメモリだ。
男はそれを、自らの首筋に突き刺す。
照井の行動は、決まっていた。

「敵襲だ、一条!」

彼は無意識のうちに叫ぶ。
そのまま、後ろに立つ桐谷と麗奈の首筋を掴み、横へ飛んだ。
刹那、彼らが立っていた位置の道路に、急激な冷気が通り過ぎる。
それによって、辺りが一瞬で凍り付いた。

「うわっ!?」
「キャアッ!」

京介と麗奈の悲鳴が聞こえる。
それに構わず、照井はすぐさま民家のドアを突き破り、玄関へ飛び込んだ。
三人の後をついてきたかのように、一条も姿を現す。

「照井さん。ガイアメモリと言いますと、あれは貴方の世界で人々に危害を加えていた……」
「そう、ドーパントだ。一条、お前の反応からすると奴は未確認生命体とやらで間違えないのか?」
「ええ、奴は我々の世界では『B−2号』や『第3号』と呼ばれていました」

二人の刑事は、先程交換した情報から襲撃者の正体を、一瞬で推測した。
まず、現れた男の正体。
それは一条の住む『クウガの世界』で、人々をある一定の法則性に従って殺した、未確認生命体。
そして未確認が使ったのが、照井の生きる『Wの世界』に流通していた機械、ガイアメモリ。
現れた敵は、ガイアメモリを使ってドーパントとなり、自分達に襲いかかってきた。

「しかし妙だ……奴は既に死んだはずだ。まさか、よく似ている別人……?」
「その究明は後だ。ガイアメモリを使っているなら、奴が危険人物である事は間違いない」

一条が疑問を口にするが、照井は遮る。
しかし彼自身、腑に落ちない点があった。
あの未確認生命体が持っているガイアメモリは、既にブレイク済み。

459強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:48:12 ID:K0P1APO.
それなのに何故、ここにあるのか。
加えて、一条は未確認が既に死んでいると語っている。
疑惑が増えるが、今はそれどころではない。
照井はデイバッグから、バイクのスロットルを象ったようなベルト、アクセルドライバーを取り出す。
それを腰に添えると、ドライバーが一瞬で腰へ巻き付かれた。

「一体、何を……?」
「一条、お前はここで二人を守れ。奴は俺が倒す」

照井は一条に告げると、バッグからアクセルメモリを取り出す。
彼は敵に立ち向かうために、家の外へ出た。
目の前には案の定、白い異形が殺気を向けている。
顔面はホッケーマスクに酷似した形で、全身からヤマアラシのように体毛が突き出していた。
氷河期の記憶を持つドーパント、アイスエイジ・ドーパント。
戦いを経験したとはいえ、油断は禁物。
そう思いながら彼は、アクセルメモリを懐より取り出した。

『ACCEL』

スイッチを押すと、メモリから高い音声が発せられる。
それを耳に感じた彼は、腕に力を込めながら、口を開いた。

「変……身ッ!」

手に取ったアクセルメモリを、ドライバーの上部に差し込む。
すると、ベルトの中央が赤く輝いた。
照井はアクセルドライバーのパワースロットルを、手前に捻る。

『ACCEL』

それによって、乗り物のエンジンが轟くような音と共に、復唱された。
Wのメモリの持ち主に対する、復讐を果たす力の名前が。
アクセルメモリから、ドライバーを通じてパワーが流れ込むのを感じる。
直後、照井の目前に真紅の破片が現れ、身体を覆った。
それは、一瞬の内に鎧へと変貌する。
青い輝きを放つ両眼、額から伸びるAの形を象った銀色の角、炎のような赤さを持つ装甲。
謎の女、シュラウドよりもたらされた、疾走の名を持つ戦士。
仮面ライダーアクセルへと、照井竜は姿を変えた。

「さあ……振り切るぜ!」

アイスエイジ・ドーパントと対峙しながら、アクセルは力強く告げる。
そのまま、地面を蹴って疾走を開始した。
頼れる武器とも呼べるエンジンブレードは、この手にはない。
しかし、それでも負けるつもりはなかった。
この程度の危機を乗り越えられないようでは、目的を果たせない。
自分から全てを奪った、Wのメモリを持つ男への復讐。
その思いを胸に、アクセルは拳を振るった。

「ダアッ!」

顔も知らぬ者への、憎悪が込められた一撃。
真っ直ぐに突き進むそれは、敵の身体に強く当たった。
アイスエイジ・ドーパントは一撃を受けて、微かな呻き声を漏らす。
蹌踉めくが、すぐに足元を立て直した。
すぐさま反撃の為に、両腕を前に突き出す。
それを見て、アクセルは横に飛んだ。
直後、敵の掌から膨大なる冷気が煙のように噴出する。

460強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:49:18 ID:K0P1APO.

「チッ!」

アイスエイジ・ドーパントは舌打ちをしながら、腕の向きを変えた。
しかし、放たれる冷気はアクセルの身体に掠りもしない。
彼はこの会場に連れてこられる前、アイスエイジ・ドーパントを倒した事がある。
その経験があって、冷気への対処法が学ばれていた。
だが、それを『今』のアイスエイジ・ドーパントが知る由はない。
ここにある事実は、獲物が手にかからないと言う事のみ。
それに苛立ちを覚えて、煙の流れを止めて突進した。
先程のお返しをするように、アイスエイジ・ドーパントは剛拳を振るう。
しかしアクセルは、身体を捻って敵の横に回り込んで、回避に成功。
そのまま、カウンターの横蹴りをアイスエイジ・ドーパントの右足に向けて、勢いよく放った。

「フンッ!」
「ガアッ!?」

十二トンの衝撃を受けて、悲痛な叫びを口から漏らす。
それによって、体勢が一気に崩れ落ちた。
アクセルが、敵の動きを封じるために繰り出した、回し蹴り。
命中したのは奇しくも、ゴオマの手によって命を奪われた、メタル・ドーパントに変身したモモタロスが最後にダメージを負わせた場所。
ようやく癒えてきた傷が、今の一撃によって再び開いてしまった。
右足に激痛を感じ、アイスエイジ・ドーパントはその場に蹲ってしまう。
その隙を見逃さずに、アクセルは次の一撃を繰り出そうとした。
しかしアイスエイジ・ドーパントは、右腕を前に突き出す。

「ッ!?」

それを見たアクセルは、反射的に背後へ跳躍。
敵の手から噴出される冷気を、回避する事に成功した。
本来ならば、受けても特に問題はない。
アクセルメモリの力があるので、身体を凍らされても溶かせば良いだけ。
しかし、今はエンジンブレードがないので、戦力に若干の不安がある。
故に、ほんの僅かな攻撃でも油断は出来なかった。

「ボソグ……ボソギデジャス! (殺す……殺してやる!)」

地の底から響くような声で、アイスエイジ・ドーパントは叫ぶ。
アクセルには敵が何を言っているのか、解読出来ない。
しかし、明確な殺意が込められている事は、瞬時に理解できた。
互いに距離が空いた中、睨み合う。
視線が激突する中、二人は地面を蹴った。
一瞬で距離は縮むと、互いの拳は激突する。
そこから、取っ組み合いが再び始まった。





アクセルとアイスエイジ・ドーパントの戦いを、一条は見守っている。
同時に、自身に支給されたアサルトライフルを構えていた。
彼は現在、アイスエイジ・ドーパントを狙撃するための隙を見極めている。
この状況では、弾丸数に限りがある為、無闇に発砲する事は出来ない。
加えてこの中に装填されている「対オルフェノク用スパイラル弾」という弾丸。
それが目の前のドーパントという存在にも、通用するかどうか。

461強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:50:21 ID:K0P1APO.

(あれが……彼の世界における『仮面ライダー』の姿か)

そして、照井が姿を変えた異形の戦士。
恐らくあれが、仮面ライダーと呼ばれる存在なのだろう。
照井の世界では、町を守るヒーローという意味合いを持つらしい。
それを体現するかのように、彼は戦っている。
まるで、第四号として未確認生命体達と戦ってきた、五代雄介のようだった。

(だが、大ショッカーは彼らの事を、世界を崩壊に導く存在と言っていた……)

始まりのホールで、死神博士が語っていた言葉。
世界を崩壊に導く因子。
仮面ライダー。及び、敵対する組織と怪人。
それを再び、思い返す。

(……しかし、何故彼らがその原因なんだ?)

ここで不意に、一条の中で疑問が芽生えた。
何故、これらの存在が世界を崩壊へと導いてしまうのか。
その因果関係が、あまりにも不明すぎる。
大ショッカーは現象を言っただけで、理由は述べていなかった。
刑事であるならば、他者の意見だけでなく自らの頭を使って、原因を突き止めなければならない。
もしも彼らの言っていたことが、仮に真実だとしよう。
自分達が生きる世界の為とはいえ、他の数え切れないほどの命を犠牲にしていいはずがない。
警察官として。いや、人間としてあってはならない。

「あの、一条さん!」

思考に意識を向けていた一条の耳に、声が響く。
振り向くと、京介が狼狽したような表情を浮かべていた。

「やっぱり俺も、照井さんの手伝いを!」
「それは駄目だ。いくら戦えるとは言え、君のような若者を危険な目にあわせる訳にはいかない」
「でも!」

尚も、頑なに懇願する。
その瞳には、人々を守りたいという強い意志が感じられた。
憧れなどではなく、本当の意味で。
この若さでそのような強い意志を持つ若者に、一条は共感を覚えた。
自分も彼の立場なら、真っ先に助けに行くかもしれない。
しかし、だからこそだ。
刑事である自分が、年下をあてにするようでは本末転倒になってしまう。

「それに君には、間宮さんを守って欲しいんだ」
「俺が?」
「そうだ。もしも今、君が照井さんを助けに行ったとしよう……その時に、危険人物が現れるかもしれない」

麗奈の方に振り向きながら、一条は京介を諭した。
熱意を無駄にするのではなく、代案を示す形で。
無理に断っても、相手は納得しない。
それならば、別の良好な手段を与える。
対話における、基本的な方法だ。

462強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:51:32 ID:K0P1APO.

「俺は情けない事に、君のような力を持っていない。だから、君にはここにいて欲しいんだ」
「分かりました……すみません、勝手に突っ走ろうとして」

一条の言葉に納得したのか、京介は頷く。
それに安堵を覚えて、彼は改めて戦場に振り向いた。
アクセルとアイスエイジ・ドーパントが戦いを繰り広げている、舞台に。
そして、ライフルを構え直す。
まだ、互いに取っ組み合いをしているままだ。
しかし焦る事はない。
狙撃するための、隙を待てば良いだけだ。
こちらが狙撃して、アクセルが決める。
その為に、白い怪物を標準に定めた。

(まだだ……)

一条は、待っている。
アクセルを妨害せずに、アイスエイジ・ドーパントにダメージを与えられるチャンスを。
白い怪物が、剛拳を振るう。
赤い戦士が、後ろに飛んで回避した。
それによって、両者の間に距離が開く。

(今だ!)

チャンスが出来たと、確信した。
銃身を構えて、一条は引き金を引く。
それによって、銃声と共に弾丸が発射された。
一発だけでなく、何十発も。
7.62口径の弾丸が、嵐の如く怪物に向かっていった。
空気を裂きながら、一瞬の内にアイスエイジ・ドーパントの身体に着弾。
直後、敵の意識はこちらへ向いた。

「今です!」

一条は、アクセルに叫ぶ。
これが目的だった。
最初から、ダメージなど期待していない。
少しでも敵の意識を、アクセルから外させるため。
本題は、ここからだった。

「でかしたぞ、一条!」
『ACCEL MAXIMUM DRIVE』

ベルトのレバーを、握り締める。
直後、力強い電子音声がバックルより発せられた。
それを耳にしながら、アクセルはパワースロットルを何度も捻る。
そして、ドライバーより膨大なるエネルギーが、全身に纏われていった。
炎のような赤いオーラが、アクセルより発せられる。
身体の底から力が沸き上がるのを感じた彼は、勢いよく地面を蹴った。

「ああああああぁぁぁぁぁっっ!」
「ッ!?」

咆吼と共に、疾走するアクセルはアイスエイジ・ドーパントと距離を詰める。
目前にまで迫って跳躍し、渾身の力を込めて後ろ回し蹴りを放った。
アクセルグランツァーの名を持つ一撃によって、アイスエイジ・ドーパントの身体は一気に吹き飛ばされていく。
そのまま、轟音を鳴らしながら民家の壁を破壊していった。
瓦礫が崩れ落ち、粉塵が周囲に舞い上がっていく。

463強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:52:35 ID:K0P1APO.

「絶望が、お前のゴールだ」

そんな中、アクセルは呟いた。
ガイアメモリという悪魔に溺れた、愚か者への宣言を。
しかし、まだ気を抜けなかった。
メモリブレイクは果たしたが、それが完全な勝利に繋がる訳ではない。
吹き飛んだ敵の方に、アクセルが振り向こうとした。

『OPEN UP』
「何ッ!?」

突如、電子音声が鳴り響く。
その直後、煙の中から一本の長い影が、勢いよく飛び出してきた。
それはアクセルに激突して、後ろに吹き飛ばす。
あまりに唐突な出来事に、彼は対応が遅れてしまった。

「ぐあっ!?」

仮面の下から、悲鳴が漏れる。
コンクリートの地面に激突するが、すぐに体勢を立て直した。
そして、振り向く。
突然現れた、金と緑の煌めきを放つ異形の戦士、仮面ライダーレンゲルの方へと。

「ジャデデ、ブセダバ……! (やって、くれたな……!)」

レンゲルラウザーを構えながら、憤怒の声を漏らす。
アクセルによって吹き飛ばされたゴオマは、すぐさまレンゲルへの変身を行った。
自身に煮え湯を飲ませた、愚かなリント達を潰すために。
彼は気づかなかった。
レンゲルの力とガイアメモリを利用した時点で、自身の精神が砕かれている事を。

「ウガアアァァァァァッ!」

一切の理性が感じられない咆吼を発しながら、レンゲルは走る。
そして、レンゲルラウザーを横薙ぎに振るった。

「ぐっ!」

アクセルには、それを避ける手だてがない。
レンゲルは、その獲物を振るい続ける。
一発、また一発とアクセルの身体にレンゲルラウザーを打ち付けていった。
胸部、肩、腕、股、顔、腹部。
まるで、暴風雨のような勢いだった。
先程の不意打ちに加え、相手はリーチの長い武器を持っている。
エンジンブレードがあれば対応できたかもしれないが、ここにはない。
それら二つの要因があって、彼は次第に追い込まれていった。
攻撃を避けるにしても、武器の長さがそれを許さない。
アクセルのダメージは、徐々に蓄積されていった。

「ガアアァァッ!」
「ぐは――――っ!」

やがて、レンゲルは渾身の力を込めた一撃を放つ。
それを受けて、アクセルは背後の壁に激突。

464強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:53:46 ID:K0P1APO.
直後、変身のタイムリミットが限界を迎えてしまった。
装甲を作る破片は分解され、照井の身体を晒す。
同時に、アクセルドライバーも地面に転がってしまった。

「くっ……!」

身体の節々に痛みを感じながらも、照井は起きあがろうとする。
だが、ダメージがそれを許さない。
そんな中、レンゲルは照井の命を奪おうと歩いていた。
一歩、また一歩と進もうとする。

「やめろっ!」

突然声が響き、レンゲルの足が止まった。
振り向くと、京介が変身音叉を構えながら、走っているのが見える。
彼はそれを額に掲げると、鬼の紋章が浮かび上がった。
そして、京介の身体を青い炎が包み込む。
変化は、すぐに終わりを告げた。
桐谷京介の身体は、銀色に輝く鬼へと変わる。
音撃戦士を目指した彼が、数え切れないほどの修行の末に会得した力。
京介変身体。またの名を強鬼。

「はあっ!」

姿を変えた彼は、レンゲルに拳を打ち付ける。
それは頬に勢いよく激突し、衝撃で巨体を蹌踉めかせた。
しかし、レンゲルはすぐに立ち直る。
そして睨んだ。
標的にした照井を庇うように立つ、京介変身体を。

「バンザ、ビガラ……? (何だ、貴様……?)」
「俺が相手だ!」

その一言を聞いて、レンゲルの中で苛立ちが芽生えた。
たかがリントの分際で、自分の邪魔をするなんて。
ならば、望み通りに潰してやろう。
明確な殺意を抱きながら、レンゲルラウザーを構えた。
その一方で、倒れた照井の元に一条と麗奈が駆けつける。

「照井さん、大丈夫ですか!?」
「一条……何故、彼がここにいる……?」
「申し訳ありません……私の力不足です」

京介が戦場に飛び出した理由。
それは照井を助けるという、善意からだった。
その為に、一条の制止を振り切って変身する。
後悔の表情から、照井は本能的にそれを察した。

「……いや、こうなった以上仕方がない……くっ!」

彼はアクセルドライバーに手を伸ばそうとする。
しかし、痛みがそれを邪魔した。
そんな照井の変わりに、一条がアクセルドライバーとメモリを取る。

465強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:55:02 ID:K0P1APO.

「その怪我では無理です、すみませんがお借りします」
「何をするつもりだ……!」
「私が行きます」

その一言を残して、彼は振り向いた。
自分達の為に戦っている、京介の方へと。

「フンッ!」
「うわっ!」

彼は敵の長い杖に翻弄されて、攻撃を受けている。
それを見た一条は、急いでアクセルドライバーを腹部に添えた。
すると先程照井がやったように、腰に巻き付かれていく。

『ACCEL』

一条はもう片方の手で、アクセルメモリのボタンを押した。
疾走を意味する言葉を耳にしながら、彼は思う。
自分も、彼のように未確認と戦うときが来たのだと。

(五代……俺も、戦うぞ!)

一条の脳裏に、浮かぶ男の姿。
自らの笑顔を犠牲にして、みんなの笑顔のために戦ってきた2000の技を持つ男。
本当は戦いたくないのに、未確認生命体第4号となって何度も戦った。
五代雄介。
彼に任せてばかりの自分に、嫌悪感を覚えた。
本当ならば彼のような一般市民を、守るための立場なのに。
そして、今も桐谷京介という若者に頼っている。
このままで、いいわけがない。
一条は力強い視線を向けながら、その言葉を口にした。

「変身ッ!」

五代が何度も口にした、戦うための二文字。
その声と共に、メモリをアクセルドライバーに突き刺した。
そのまま、パワーハンドルを捻る。

『ACCEL』

電子音声が鳴り響いた瞬間、一条の周囲に赤い欠片が生成された。
一瞬の内に、それらは彼の身体に集束される。
真紅の輝きを放つ戦士、仮面ライダーアクセルへと一条薫は姿を変えた。
理不尽な暴力から、人々を守るために。
失われてはいけない、誰かの笑顔を守るために。
アクセルが持つその思いは、似ていた。
まるで、五代雄介が仮面ライダークウガとなる為に抱いた信念と。

「おおおおぉぉぉっ!」

変身を果たしたアクセルは、その名の通りに疾走を始めた。
京介変身体と戦っている、戦場へと。
彼は力を込めて、拳を握り締める。
そのまま、レンゲルにそれをぶつけた。
未確認と戦っている、五代のように。

466強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:56:16 ID:K0P1APO.
「グッ!?」

京介変身体をいたぶる事に集中していたレンゲルは、その一撃を無様に受けてしまった。
吹き飛ぶ相手に目を向けず、アクセルは手を伸ばす。
レンゲルの手によって傷を受けて、倒れてしまった京介変身体へと。

「桐谷君、大丈夫か!」
「その声は……一条さん!? 俺は大丈夫です!」
「気持ちは分かるが、無茶をしすぎだ。彼女を放ってはいけないだろう」

赤い戦士は銀色の戦士を支えて、立ち上がらせる。
そして、突っ走った事に対して咎めた。

「すみません、でも俺は――!」
「分かっている、人を守りたいんだろう。だがそれは後だ」

謝罪の言葉を遮って、アクセルは振り向く。
既に起きあがっている、レンゲルに。
照井との戦いでダメージを負ったにも関わらず、未だに顕在していた。

「奴は強い。少しでも油断したら、負けると思うんだ」
「分かりました!」

アクセルの言葉に、京介変身体は頷く。
金の力を手に入れたクウガすらも圧倒した、未確認生命体第3号。
怪物の姿でなくても、それは顕在だった。
レンゲルに戦慄を覚えるが、負けるわけにはいかない。
アクセルと京介変身体は、敵に特攻しようとした。

「チッ!」

そんな二人を前に、レンゲルは脇腹より四枚のラウズカードを取り出す。
ハートのキング。
スペードのキング。
スペードのクイーン。
それらのカードを放り投げて、最後の一枚をレンゲルラウザーに読み込ませた。
クラブの10、テイビアリモートのカードを。
それによってレンゲルラウザーの先端から、三つの光が発射される。
すると、三枚のラウズカードは徐々に形を変えていった。

「「なっ!?」」

アクセルと京介変身体は、反射的に足を止める。
目の前に、突然三体の異形が姿を現したため。
パラドキサカマキリの始祖たるカテゴリーキング、パラドキサアンデッド。
コーカサスオオカブトの始祖たるカテゴリーキング、コーカサスビートルアンデッド。
ヤギの始祖たるカテゴリークイーン、カプリコーンアンデッド。
それら全てが、テイビアリモートの効果によって封印が解かれた、レンゲルの傀儡となった上級アンデッド。
レンゲルは三体の先頭に立って、進撃を開始した。

467強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:57:05 ID:K0P1APO.

「ハハハハハハハッ!」

邪悪な笑い声が、仮面の下から聞こえる。
レンゲルとコーカサスビートルアンデッドはアクセルに、パラドキサアンデッドとカプリコーンアンデッドは京介変身体に。
それぞれ二手に分かれて、攻撃を仕掛けた。
アクセルと京介変身体は、何とか立ち向かう。
しかし、二対一という数の優劣。
加えて召喚された、三体の上級アンデッド。
それらの要因によって、二人の仮面ライダーは不利に追い込まれてしまう。

「うわあっ!」

やがて京介変身体は、アンデッド達から攻撃を受けて吹き飛ばされた。
凄まじい一撃を受けて、彼は地面に叩き付けられる。
その瞬間、カプリコーンアンデッドは視界を別の方に移した。
この場では、何の力も持たない一組の男女の方へと。
レンゲルからダメージを受けた、照井竜。
そんな彼の元にいる、間宮麗奈。
そんな二人の元に、カプリコーンアンデッドは歩みを進めた。





「しまった!」

照井と麗奈の方を見て、アクセルは狼狽する。
カプリコーンアンデッドが、京介変身体を振り切った事に。
彼はすぐさま、二人の元へ向かおうとする。
しかし、レンゲルがそれを許さなかった。

「フンッ!」
「ハアッ!」
「くっ!」

レンゲルラウザーと、コーカサスビートルアンデッドの持つオーバーオールが、立て続けに迫る。
何度も振るわれる二つの獲物を、アクセルは避けるので精一杯だった。
反撃を繰り出そうとしても、リーチの長さがそれを許さない。

「くそっ……!」

痛む身体を無理矢理起こしながら、照井は麗奈を庇うように立つ。
だが、カプリコーンアンデッドには関係ない。
相手はただの人間。しかも、負傷している。
あっさりと、横薙ぎに吹き飛ばした。

「ぐあっ!」

カプリコーンアンデッドによって、照井の身体は地面に叩き付けられる。
残ったのは、生身を晒す麗奈一人だけ。
アンデッドの殺意は、彼女に向いていた。

「間宮さんっ!」

京介変身体は、パラドキサアンデッドから何とか切り抜けようとする。
しかし、相手はカテゴリーキング。
鬼の中でも、実力の低い彼では勝てる相手ではない。
パラドキサアンデッドに京介変身体は拳を振るう。
だが、呆気なく止められてしまい、逆に投げ飛ばされた。

468強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:58:00 ID:K0P1APO.

「い、嫌……!」

怯えた麗奈は、後退ってしまう。
それでもカプリコーンアンデッドは、彼女を目がけて進んだ。
麗奈の中を支配する感情。
恐怖。
殺し合いと言う現状と、目の前の化け物に対して。

(殺される…………! そんなのは、嫌!)

このままでは、殺される。
自分と共にいる男達も、今はこれない。
風間大介も、ここにいない。
自分を守る者は、誰もいない。
ならば、このまま殺されるしかないのか。
そんなのは嫌だ。
殺されたくない。
でも、何も出来ない。
死にたくない。
ならば、どうするべきか。
自分も戦うべきなのか。
どうやって。
答えは簡単だ。

自分がこの手で、目の前の怪物を殺してしまえばいい。

麗奈の中で、その考えが芽生える。
そんな事など知らずに、カプリコーンアンデッドは腕を振るった。
それは、彼女の身体を両断しようと迫る。

「ッ!?」

だが、その腕は届かない。
勢いを、止められてしまった。
カプリコーンアンデッドが叩き潰そうとした、麗奈によって。
腕を振り解こうとするが、全く動かない。
まるで万力で押さえつけられているかのようだった。

「フンッ!」

やがて麗奈は、カプリコーンアンデッドを投げ飛ばす。
その華奢な体格からは想像できない程の、圧倒的な力で。
倒れた異形を、彼女は勢いよく踏みつけた。

「愚かな……」

先程とは一片、永久凍土の如く冷たい表情で告げる。
彼女の瞳からは、圧倒的な威圧感が感じられた。
上級アンデッドの一体である、カプリコーンアンデッドを恐縮させてしまうほどに。
無論、その出来事を疑う者達は他にもいる。
アクセルも、照井も、京介変身体も、レンゲルも、召喚されたアンデッド達も。
麗奈がカプリコーンアンデッドを叩き付けている事実が、信じられなかった。
やがて、彼女は戦場に目を向ける。

469強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:58:45 ID:K0P1APO.

「お前達にも聞かせてやろう……」

そして呟いた。

「私のレクイエムを」

死に行く者達への、鎮魂歌。
自分に刃向かった者への、制裁。
麗奈は、自身の顔に右手を添える。
その直後、彼女の身体は音を立てながら、変化を始めた。
不気味な光が麗奈を覆って、異形の骨格となる。
地球に生息するシオマネキの如く、硬質感溢れる装甲。
全身から飛び出す棘。
右腕に装着された、巨大な鋏。
『カブトの世界』に潜むワームを束ねる、圧倒的実力を誇る異形。
ウカワームに、間宮麗奈は姿を変えた。

「何っ……!?」

それは、誰の声かは分からない。
ここにいる全員が、信じられなかった。
ただの人間だと思っていた麗奈が、化け物へと変わった事に。
その直後、ウカワームの身体が唐突に消えた。
ワームが持つ高速移動の特性、クロックアップを使った事によって。
後に残ったのは、風によって舞う砂煙のみ。

「グアッ!」

そして、レンゲルの口から悲鳴が漏れた。
鎌鼬のように動くウカワームの攻撃を、受けた事によって。
続くように、レンゲルが召喚したアンデッド達も宙に吹き飛んだ。
それはまるで、風に舞う木の葉のように。
直後、ウカワームは再びその姿を現す。
レンゲルは仕返ししようと、レンゲルラウザーを振るった。

「小賢しい」

しかし、ウカワームは左手でそれを容易く弾く。
衝撃によって蹌踉めいたレンゲルに、更なる一撃を加えた。
その一撃を受けて、軽々と吹き飛ばされていく。
アンデッド達は、既にカードに戻っていた。
制限による、一分間が過ぎてしまったため。
地面へと倒れたレンゲルを潰そうと、ウカワームは進もうとした。

「うっ!?」

突如、頭に衝撃を感じる。
ウカワームは反射的に、左手で押さえ込んだ。
何処からともなく、声が聞こえる。

『麗奈さん』

『間宮麗奈』の記憶が、鳴り響いた。
自分の正体を知っても尚、愛を向けてきた男の顔。

470強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 12:59:38 ID:K0P1APO.

『俺がそばにいる、ずっとそばにいるから!』

風間大介。
仮面ライダードレイクとなって、かつて自分を葬った人間。
そして、最期を見取った男。
あの男の声が、頭の中で響く。
人間として生きていけるなどと、あの男は言った。
だが自分はワーム。そのような事が、出来るはずがない。
分かっているはずなのに。
心の何処かが、何かがそれを拒む。

「…………くっ!」

やがてウカワームは、その場から走り去った。
何故そうしたのかは、自分でも分からない。
『間宮麗奈』の記憶が、人殺しを拒んだのか。
風間大介の言葉が、人殺しを拒んだのか。
あるいはその両方なのか。
答えは、見つからない。

「待てっ!」
「ガアアァァァァァッ!」

走り行くウカワームを、アクセルは制止しようとする。
しかしそんな彼の前で、レンゲルが杖を振るいながら迫ってきた。
横薙ぎに払われるレンゲルラウザーを、アクセルは紙一重で回避する。
だがレンゲルは、矢継ぎ早に杖を突き出そうとした。

「一条さんっ!」

それを阻むかのように、京介変身体がレンゲルラウザーを掴む。
それを見たレンゲルは、ラウズカードを取り出した。
クラブの4。ラッシュライノセラスのカードを。

『RUSH』

カードをレンゲルラウザーに通した。
音声が発せられる中、レンゲルは京介変身体を振り解く。
そして、レンゲルラウザーを用いて突きを繰り出した。

「うわああぁぁっ!」

怒濤の勢いで、杖が肉体に突き刺さっていく。
カードの力を借りた連続攻撃、ライノセラスラッシュ。
それは京介変身体を吹き飛ばすのに、充分な威力を持っていた。
彼の身体は大地に叩き付けられた途端、変身が解除される。
レンゲルとアンデッド達との戦いで受けたダメージによって、限界を迎えたのだ。
後に残るのは、全裸を晒す桐谷京介のみ。
度重なる負傷によって、彼は気を失ってしまった。

471強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 13:00:37 ID:K0P1APO.

「ボボデギゾバ、ブザサン (この程度か、くだらん)」

侮蔑の言葉を、レンゲルは倒れた少年に投げつける。
果敢に立ち向かったが、所詮はリント。
究極の力を手に入れた、自分の敵ではない。
そのまま、京介の命を奪おうとレンゲルは進む。
しかし、その道をアクセルが阻んだ。

「彼に……手を出すなぁっ!」

咆吼と共に、彼は拳を振るう。
敵に向かって一直線に向かっていく、パンチ。
だが到達する直前に、レンゲルはそれを止めた。
何の苦労もせずに。
そのまま、仮面の下で笑みを浮かべながら、アクセルの拳に圧力をかけた。
赤い戦士の手が、メリメリと音を立てながら軋む。

「ぐ……あっ!」
「レザパシ、バンザジョ(目障り、なんだよ)」

呻き声を漏らすアクセルに、レンゲルは杖をぶつけた。
真紅の身体が弾き飛ばされるが、道路を転がる。
しかし、それでもすぐに立ち上がった。

「まだだ、まだだぁっ!」

再びアクセルは吼える。
ここで倒れるわけにはいかない。
五代はいつも、こんな戦いを乗り越えてきた。
そして今も、殺し合いをしろと言われて、辛い気持ちのはず。
ならば、自分も戦わずにどうする。
ここで倒れたら、誰がみんなを守るのか。
こんな不条理な戦いに巻き込まれた、多くの命。
絶対に守らなければならない。
その強い信念を胸に、アクセルはレンゲルに対峙した。

「はあっ!」

何度目になるか分からない、パンチを放つ。
しかしレンゲルラウザーによって、呆気なく弾かれた。
手に感じる痛みを無視して、今度は蹴りを繰り出す。
レンゲルは、腰を反らしてそれを避けた。
そこから、反撃の一撃を放つ。
レンゲルラウザーの先端は、アクセルに容赦なく突き刺さった。

「があっ!」

血液のように、胸板から火花が飛び散る。
受け身を取る事も出来ずに、背中から地面に倒れた。
直後、京介のように彼も限界を迎えてしまう。
アクセルの装甲を構成する分子は崩れ、一条薫の姿を晒した。
しかし、それでもまだ意識は保っている。
そして幸いにも、アクセルドライバーは吹き飛んでいない。
痛む身体に鞭を打ちながら、一条はメモリのボタンを押した。

472強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 13:01:40 ID:K0P1APO.

『ACCEL』
「変身!」

電子音声を耳にしながら、アクセルドライバーに突き刺す。
だが、何の反応も示さない。

「何!?」

一条は狼狽する。
この戦いに科せられている、参加者全員の変身制限。
一度変身を解いた後は、二時間経過しなければ不可能。
無論、彼がそれを知る由はない。
そんな一条の無様な姿を眺めながら、レンゲルは目前にまで迫った。

「ジャガバ (じゃあな)」

レンゲルラウザーを掲げながら、あっさりと言い放つ。
そのまま、一条の命を奪うために振り下ろそうとした。

「させるかぁっ!」

その直後。
レンゲルの動きは、突如として止まった。
敵の身体に、照井がしがみついたため。
アンデッドの攻撃によって、額からは血が流れていた。
服装も所々が千切れ、至る所から出血している。

「照井さん!?」
「何をしている一条! 彼を連れて早く逃げろ!」

痛々しい姿の照井は、一条と目を合わせながら叫んだ。
そんな彼を振り解こうと、レンゲルは藻掻く。
しかし、照井は耐えた。

「こいつはまだ何か隠し球を持っている可能性がある! このままでは、俺達は全滅だ!」
「ですが、貴方は……!」
「俺に質問をするな! お前は警察官だろう! ならば、命に代えても一般市民を守るのが使命のはずだ!」

一条に対して、必死に言い聞かせる。
照井の言い分は、理解出来た。
自分の後ろには、一般市民の少年が倒れている。
そして、目の前にいるのは既に死んだはずの未確認生命体第3号。
ならば優先すべきは、人の命を守る事。
それが警察の本文であり、使命だ。
それでも、一条は同じ志を持つ人間を、見捨てる事は出来ない。

「しかし!」
「これは命令だ! 一刻も早く、彼を連れてこの場から離れろ! そして――!」

照井は、真っ直ぐな瞳を向ける。
その中には、確固たる信念が宿っていた。
彼はそれを言魂に込めて、大きく叫ぶ。

473強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 13:03:15 ID:K0P1APO.

「警察官として……仮面ライダーとして、このふざけた戦いにゴールを迎えさせろ! 一条薫、行けぇぇぇぇぇぇ!」

そう、警察官が持つ信念。
人々を守る揺るぎない正義。
そして、かつて左翔太郎が自身に告げた、仮面ライダーの意義。
町を泣かす悪魔から、人々を守る事。
それら二つが込められた、照井の叫び。
彼の思いを聞いて、一条は立ち上がった。
すぐさま京介を背負い、三人分のデイバッグを回収する。

「……申し訳ありませんっ!」

照井を一瞥すると、一条は走り出した。
人間一人と、バッグ三つ。
それなり重さだが、動けない事もない。
彼は振り向く事はせずに、無我夢中で走った。
一刻も早くここから離れて、京介を助けるために。

(俺は……何をやっている! 警察官の俺が、人を見捨てるなんて……!)

同じ刑事である照井竜を見捨てた事実が、一条の心を責め付けた。
自分の力が足りなかったせいで、この選択を取ってしまう。
五代ならば、照井の事も救えたはずなのに。
自分は、無力だ。
警察官として、いや人間として最低だ。

(そして……間宮麗奈。まさか、彼女も未確認だったのか!?)

先程、異形の怪物に姿を変えた間宮麗奈。
ただの一般市民と思っていた。
だがその正体は、未確認生命体。もしくは、異世界の怪人。
しかし今は、この究明に時間をかけている場合ではない。
まずは安全な場所まで避難し、京介を介抱する事。
状況の整理は、それからだ。

(俺も……あの人のように『仮面ライダー』として戦わなければいけないのか?)

照井が残した言葉。
仮面ライダーとして、この戦いを終わらせる。
彼の世界では、町を守るヒーローと呼ばれているらしい。
しかし、第3号はその力を使って、自分達を襲った。
そして大ショッカーは、仮面ライダーを世界が崩壊する原因と語る。

(『仮面ライダー』とは……一体何なんだ!?)

この単語に関する疑問が、一条の中で広がっていく。
答えを見つける事が出来るのか。
それはまだ、誰にも分からない。


そして、二人は撤退に成功した。

474強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 13:04:13 ID:K0P1APO.



【1日目 夕方】
【D−2 市街地】


【一条薫@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第46話 未確認生命体第46号(ゴ・ガドル・バ)撃破後
【状態】疲労(中)、ダメージ(中)、罪悪感、仮面ライダーアクセルに2時間変身不可
【装備】AK-47 カラシニコフ(対オルフェノク用スパイラル弾入り、残り15発)@仮面ライダー555、 アクセルドライバー&アクセルメモリ@仮面ライダーW
【道具】支給品一式×2、名護のボタンコレクション@仮面ライダーキバ、車の鍵@???、照井の不明支給品
【思考・状況】
1:桐谷と共に、安全な場所まで離れる。
2:鍵に合う車を探す。
3:『仮面ライダー』とは一体……?
4:一般人は他世界の人間であっても危害は加えない。
5:五代、桐谷や照井の知り合いと合流したい。
6:未確認への対抗が世界を破壊に導いてしまった……?
7:自身の無力さと、照井を見捨ててしまった事に嫌悪。
【備考】
※ 『仮面ライダー』はグロンギのような存在のことだと誤認しています。
※ 『オルフェノク』は『ある世界の仮面ライダー≒グロンギのような存在』だと思っています。
※ 対オルフェノク用のスパイラル弾はオルフェノクにほぼ効きませんが、有効なものであると勘違いしいています。
※ 『仮面ライダー』の定義が世界ごとによって異なると、推測しています。
※ 麗奈の事を未確認、あるいは異世界の怪人だと推測しています。


【桐矢京介@仮面ライダー響鬼】
【時間軸】最終回後
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、気絶中
【装備】変身音叉@仮面ライダー響鬼
【道具】支給品一式、不明支給品×0〜1、着替えの服(4着分)@現実
【思考・状況】
0:…………(気絶中)
1:人を守る。
2:麗奈を守る。
3:化け物(イマジン)が気になる。
4:一条、照井、麗奈と行動を共にする。
5:響鬼達との合流を目指す。
【備考】
※名簿に書かれた『財津原蔵王丸』の事を、同名の他人だと思っています。
※ 『仮面ライダー』の定義が世界ごとによって異なると、推測しています。








ウカワームは、力無くよろよろと走っている。
行くあてもなく、どこまでも。
自分の中の何かが、叫んでいる。
人を殺したくないと。

475強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 13:05:11 ID:K0P1APO.
これは、自分が擬態した人間の意志。
馬鹿な。何故今更、奴が出てくる。
もうとっくの昔に、消えたはずなのに。

「くっ……」

やがて、膝が地に落ちた。
答えは出てこない。
自分は一体、何がしたいのか。
人間達を何故、殺そうとしないのか。
疑念が広がる中、ウカワームの身体に変化が起こる。
瞬く間に、間宮麗奈の姿へと戻った。

「私は…………」

その直後、彼女の表情から覇気が消える。
間宮麗奈としての意識を、取り戻したため。
やがて、彼女は力無く倒れた。
その精神が、限界を迎えたため。
自らの運命に翻弄されたワームの意識は、闇へと消えた。





C−1エリア。
夕焼けに照らされた道に、二つの人影があった。
一人は、何処にでも見られそうな頼りなさげな雰囲気を放つ青年。
『555の世界』より連れてこられた、仮面ライダーデルタの資格者。
三原修二。
もう一人は、皮膚が紫色に染まった龍を思わせる外見の異形。
『電王の世界』で、時の運行を乱そうとするカイに反旗を翻した、イマジンの一人。
リュウタロス。

「ほらほら修二、遅いよ〜!」
「待ってくれって、リュウタ!」

彼らは今、赤みが増した空の元を歩いていた。
互いの仲間を捜すために。
走るリュウタロスを、三原が痛みを我慢して追う形となっていた。
ここで少しでも遅れたら、何をされるか分からない。
そんな思いで、三原は何とか走っている。

「あれ、あそこに誰か倒れてるや」

その最中、リュウタロスは突然足を止めた。
彼に合わせるように、三原も止まる。
そして、彼らは見つけた。
見知らぬ女性が、道端に倒れているのを。
二人はすぐさま、彼女の元に駆けつけた。

476強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 13:06:43 ID:K0P1APO.

「ねえ修二、このお姉ちゃんって知り合い?」
「いや、俺は知らないけど……」

リュウタロスの問いに、三原は首を横に振る。
この女性が、ただの一般人なのか。
それとも、最初の仮面ライダーのように戦いに乗ってるのか。
二人には判断がつかない。

「まあいいや、このお姉ちゃんを助けようよ」
「えっ? でも、もしかしたら……」
「答えは聞いてない」

気絶した女性を見て、リュウタロスはそう提案する。
一方的な決めつけだが、今回は三原も反対しなかった。
いくら彼でも、倒れている人間を助けるくらいの善意を持っている。
そして、もう一つ。

(……まあいっか、上手くいけば休めるかもしれないし)

三原を動かす理由。
それは、休む時間の確保。
危険人物にしてもそうでないにしても、建物の中に行かざるを得ない。
そうすれば、この女性が起きるまで休む事も出来るはずだ。
少し邪な考えを持ちながら、三原は背負う。


彼らは知らない。
自分達の支給品である、ドレイクグリップ。
それがかつて、間宮麗奈と恋に落ちた男の物である事を。
そして、ウカワームを葬った道具である事を。
奇妙な偶然によって巡り会った二つが、どんな運命を導き出すか。



【1日目 夕方】
【C−1】

【三原修二@仮面ライダー555】
【時間軸】初めてデルタに変身する以前
【状態】疲労(中)、筋肉痛
【装備】デルタドライバー、デルタフォン、デルタムーバー@仮面ライダー555
【道具】なし
1:リュウタロス、麗奈(名前を知らない)と共に市街地に向かう。
2:巧、真理、良太郎、モモタロスと合流したい。草加、村上、牙王を警戒。
3:戦いたくないが、とにかくやれるだけのことはやる
4:オルフェノク等の中にも信用出来る者はいるのか?
5:市街地に着いたら、建物に行って麗奈が起きるのを待つ。
【備考】
※リュウタロスに憑依されていても変身カウントは三原自身のものです。
※同一世界の仲間達であっても異なる時間軸から連れて来られている可能性に気付きました。同時に後の時間軸において自分がデルタギアを使っている可能性に気付きました。
※巧がオルフェノクの可能性に気付いたもののある程度信用しています。


【リュウタロス@仮面ライダー電王】
【時間軸】本編終了後
【状態】健康
【装備】リュウボルバー@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、ファイズブラスター@仮面ライダー555、ドレイクグリップ@仮面ライダーカブト
1:三原、麗奈(名前を知らない)と共に市街地へ向かう。
2:良太郎に会いたい
3:大ショッカーは倒す。
【備考】
※人間への憑依は可能ですが対象に拒否されると強制的に追い出されます。
※ドレイクゼクターがリュウタロスを認めているかは現状不明です。

477強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 13:07:35 ID:K0P1APO.


【間宮麗奈@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第40話終了後
【状態】気絶中、精神的疲労(大)、人間不信 ワームの記憶喪失、ウカワームに二時間変身不可
【装備】ファンガイアバスター@仮面ライダーキバ
【道具】支給品一式、デンカメンソード@仮面ライダー電王、『長いお別れ』ほかフィリップ・マーロウの小説@仮面ライダーW
【思考・状況】
0:…………(気絶中)
1:とりあえず一条、京介、照井についていく。
2:他人が怖い。
3:殺さなければ殺される……。
4:あの人(影山)は一体……?
【備考】
※ 『仮面ライダー』の定義が世界ごとによって異なると、推測しています。
※ 一時的にウカワームの記憶を取り戻しましたが、再び失いました。
※ ただし、何か強いショックがあれば取り戻すかもしれません。





「ぐあっ!」

照井の身体は、壁に叩き付けられる。
一条と京介を逃がすために押さえつけた、レンゲルによって。
その衝撃で、傷口からの出血がより一層激しくなる。
燃えるような激痛によって、照井の視界が徐々にぼやけてきた。
そんな彼の前に、レンゲルは立つ。

「ジョブロ、ジャラゾギデブセダバ……! (よくも、邪魔をしてくれたな……!)」

仮面の下から、憤怒の視線と言葉をぶつけた。
脆弱なリント如きが、ここまで自分の邪魔をする。
その事実が、レンゲルは溜まらなく屈辱だった。
怒りに任せて、レンゲルラウザーを振るう。

(これが、俺のゴールなのか……)

薄れていく意識の中で、照井は思った。
自分はもう、死ぬ事を。
愛する家族を皆殺しにした、Wのメモリを持つ男への復讐を果たしていないのに。
その為に、シュラウドと名乗る女から力を手に入れたのに。
無念が広がっていく。

(一条、お前は戦え……そして、俺から全てを奪ったあの男を……)

しかしその一方で、妙な充実感が生まれていた。
異世界の刑事である、一条薫。
仮面ライダーの力を持つ少年、桐谷京介。
彼らを逃がせた事。
それが出来ただけでも、穏やかな気分になれた。
何故かは分からない。
警察官としての理念を果たせたからなのか。

478強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 13:08:29 ID:K0P1APO.

(みんな、仇を取れなくてごめん。でも、これでいいんだよな)

やがて照井の瞳は、ゆっくりと閉じられる。
彼が思い浮かべる光景。
それは、幸せに満ちていた頃の日々。
父の雄治を目指して、警察官を目指した自分。
夢を応援してくれた、母と春子。
みんなとの、掛け替えのない思い出。
それが走馬燈のように、照井の中で浮かび上がっていった。

(今から、そっちに逝くよ…………)



瞳が閉じるのと同時に、彼の胸にレンゲルラウザーが容赦なく刺さる。
皮膚を、筋肉を、骨を、臓器を突き破って、背中を貫通した。
痛みを感じる暇も、もはやない。
復讐に身を任せた男、照井竜。
この時が、彼の戦いにおけるゴールだった。









「ゲハハ……ゲハハハハハ……ゲハハハハハハハァッ!」

狂った笑い声をあげながら、レンゲルは武器を振るう。
もう動く事のない、死体となった照井に目がけて。
激情と狂気に任せて、レンゲルラウザーを叩き付けた。
身体の至る部分を、杖で砕く。
その度に、鎧は血肉で汚れていった。
辺りに生臭い匂いが広がるが、そんなのは気に止めない。
弱いリントを嬲れるという、優越感。
ゲゲルのスコアを上げたという、充実感。
それら二つによる、勝利の美酒に酔いしれてる彼にとって。
スパイダーアンデッドとガイアメモリの毒に溺れた彼にとって、無い物に等しかった。

「止めろッ!」

そんな中、レンゲルの耳に男の声が響く。
それに反応して、攻撃を止めて振り向いた。
このエリアに現れた、一組の男女を。
声の主である茶髪の青年、城戸真司。
警察特有の制服に身を包む女性、小沢澄子。
これを意味するのは、ゲゲルのターゲットが増えた事。
そう確信したレンゲルは、笑みを更に強めた。

479強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 13:09:48 ID:K0P1APO.

「遅かった……!」

血にまみれた照井の屍を見て、小沢は愕然とした表情を浮かべる。
自分が間に合わなかった事。
そのせいで、人を死なせてしまった事。
レンゲルと自分自身に対する怒りが、小沢の中で沸き上がっていく。

「何でこんな事をっ……!」

一方で、真司も憤慨していた。
目の前の仮面ライダーは、こんな殺し合いに乗っている事に。
こんな戦いに乗っても、何も得られない。
浅倉威のように、人の命を無意味に奪う仮面ライダーを許すわけにはいかない。
真司と小沢は、デイバッグからカードデッキを取り出した。
足元には、ガラスの破片がいくつも散らばっているため。
彼らはそれに向けるように、カードデッキを構えた。
すると、それぞれの腰に銀色のベルトが巻かれる。

「「変身ッ!」」

二人は叫びながら、カードデッキをVバックルに装着。
刹那、人型の虚像が多数現れ、身体を包み込む。
変身は、一瞬で完了した。
平行して存在する、二つの『龍騎の世界』に存在する仮面ライダー。
龍の紋章が刻まれた仮面、その下で赤い輝きを放つ複眼、炎の如く真紅に彩られたスーツ、それを守る銀色の装甲、左腕に装着された龍の籠手。
『龍騎の世界』を代表する、無双龍ドラグレッダーを従える戦士、仮面ライダー龍騎へと城戸真司は姿を変える。
一方で、小沢も変化を果たした。
青と銀の二色に輝く鎧、その下で守られた黒いスーツ、右手に付けられた鮫の頭部を模した手甲。
本来はもう一つの『龍騎の世界』で、Atashiジャーナルの編集長を殺した鎌田が使用していた、アビスハンマーとアビスラッシャーの二体と契約した仮面ライダー。
仮面ライダーアビスへと、小沢澄子は姿を変えていた。

「キヒヒヒヒヒ……ヒヒヒヒヒハハハハハハッ!」

不気味な笑い声と共に、レンゲルはレンゲルラウザーを構える。
彼の感情は、非常に高ぶっていた。
弱い相手を殺した矢先に、また新たなリントが現れる。
それも二人も。
ならば望み通りに殺してやろう。
そして、逃げたリント達も殺す。
その後は、病院にいるクウガも殺す。
全ての参加者もダグバも、自分が殺す。
そうすれば、自分は並ぶ者のいない最強の存在であると証明出来る。
レンゲルは――ズ・ゴオマ・グは高笑いをしながら、仮面ライダー達に特攻していった。


【1日目 午後】
【E−2 住宅街】

480強魔 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 13:11:07 ID:K0P1APO.
【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】劇場版 霧島とお好み焼を食べた後
【状態】健康、罪悪感、仮面ライダー龍騎に変身中
【装備】龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎、
【道具】支給品一式、優衣のてるてる坊主@仮面ライダー龍騎
【思考・状況】
1:目の前の仮面ライダー(レンゲル)を倒す。
2:小沢と一緒に津上翔一に会いに行く
3:ヒビキが心配
4:絶対に戦いを止める
5:蓮、霧島、北岡にアビスのことを伝える
6:大ショッカーは許せない
【備考】
※支給品がトランプだったことを、カードを使って戦う龍騎に対する宛てつけだと認識しました。
※アビスこそが「現われていないライダー」だと誤解しています。
※アギトの世界について認識しました。



【小沢澄子@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終盤(第46話終了後以降)
【状態】健康、仮面ライダーアビスに変身中
【装備】コルト・パイソン+神経断裂弾@仮面ライダークウガ、アビスのデッキ@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、トリガーメモリ@仮面ライダーW、ガルルセイバー(胸像モード)@仮面ライダーキバ
【思考・状況】
0:目の前の敵(レンゲル)を倒す。
1:真司と一緒に津上翔一に会いに行く
2:殺し合いには乗らない
3:打倒大ショッカー
【備考】
※真司の支給品がトランプだったことを、カードを使って戦う龍騎に対する宛てつけだと認識しました。
※龍騎の世界について大まかに把握しました。


【ズ・ゴオマ・グ@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第39話「強魔」、ダグバに殺害される前
【状態】疲労(中)、極度の興奮状態、スパイダーアンデッドに精神を支配されている、右足に痛み。仮面ライダーレンゲルに変身中、2時間変身不能(ズ・ゴオマ・グ究極体、アイスエイジ・ドーパント)
【装備】レンゲルバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(クラブA〜10、ハート7〜K、スペードの7,8,10〜K)@仮面ライダー剣
【道具】支給品一式×3、ガイアメモリ(スミロドン)、不明支給品0〜1、三原の不明支給品(0〜1)
【思考・状況】
基本思考:優勝する。できればダグバは自分が倒す。
1:目の前のリント達を殺す。
2:それが終わったら逃げたリント(一条、桐谷)、病院にいたクウガ(アギト)を殺す。
【備考】
※怪人体には究極体にしかなれず、強化形態の制限時間に準じます。
※ルールブックは粗方読み終わりました。
※ガイアメモリ(アイスエイジ)は破壊されました
※コーカサスビートルアンデッド、パラドキサアンデッド、カプリコーンアンデッドが二時間召喚不可となりました
※レンゲルバックルとガイアメモリの影響により、精神に異常が起こっています
※レンゲルに変身してから、7分の時間が経過しました。



【真司と小沢の共通備考】
※1日目0時、E-4エリアの病院屋上で合流する予定です。



【桐生豪@仮面ライダー剣 死亡】
【照井竜@仮面ライダーW 死亡】
 残り46人



【全体備考】
※桐生豪の遺体はD−1エリアの何処かに放置されています。
※照井竜の遺体はE−2 住宅街に放置されています。

481 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 13:11:48 ID:K0P1APO.
これにて投下終了です
誤字脱字・矛盾点などがありましたらご指摘をお願いします。

482二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/02/23(水) 13:13:35 ID:c330pP3E
投下乙!

483 ◆LuuKRM2PEg:2011/02/23(水) 13:30:49 ID:K0P1APO.
>>479>>480の状態表を、一部修正します

【1日目 夕方】
【E−2 住宅街】

【ズ・ゴオマ・グ@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第39話「強魔」、ダグバに殺害される前
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、極度の興奮状態、スパイダーアンデッドに精神を支配されている、右足に痛み。仮面ライダーレンゲルに変身中、2時間変身不能(ズ・ゴオマ・グ究極体、アイスエイジ・ドーパント)
【装備】レンゲルバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(クラブA〜10、ハート7〜K、スペードの7,8,10〜K)@仮面ライダー剣
【道具】支給品一式×3、ガイアメモリ(スミロドン)、不明支給品0〜1、三原の不明支給品(0〜1)
【思考・状況】
基本思考:優勝する。できればダグバは自分が倒す。
1:目の前のリント達を殺す。
2:それが終わったら逃げたリント(一条、桐谷)、病院にいたクウガ(アギト)を殺す。
【備考】
※怪人体には究極体にしかなれず、強化形態の制限時間に準じます。
※ルールブックは粗方読み終わりました。
※ガイアメモリ(アイスエイジ)は破壊されました
※コーカサスビートルアンデッド、パラドキサアンデッド、カプリコーンアンデッドが二時間召喚不可となりました
※レンゲルバックルとガイアメモリの影響により、精神に異常が起こっています
※レンゲルに変身してから、7分の時間が経過しました。

484二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/02/23(水) 20:38:59 ID:6sdF/0wg
投下乙です。

嘘だろ…あのゴオマが無双だと…
対桐生レンゲル戦に始まり、照井アクセルに一条アクセルとの戦いを生き抜いたゴオマすげえ
その過程でどんどん頭がイッちまうゴオマヤべえ
しかしそろそろ変身もネタ切れが近い。あとレンゲル3分と金メモリだけ?不明支給品次第か?さてどうなるか

桐生さんに黙祷。結局精神を支配されたまま、正義のライダーにはなれず終いったか…
照井にも黙祷。こちらは憎しみを振り切れないながらも、しかし立派に正義のヒーローだった
他にも数々の見せ場を作りながら多人数を動かした大作、見事でした!

485二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/02/23(水) 22:16:14 ID:aeuiEyLg
投下乙です。

予約のメンバー的に総勢11人による大乱戦かと思いきや別にそんな事は無く恐ろしいまでのゴオマ無双(サブタイ的に考えてゴオマ退場かと思ったらそれも無かった……いや、ボロボロだけどね。)
まず圧倒的パワーで桐生を潰し……桐生、この前の話まで比較的順調だったのに終わってみればキルスコア0……考えてみればリュウタ、金居、真司とずっと負け続きだったからなぁ(勝った相手が三原じゃ褒められた結果じゃあないね)……残念だ。
一方、同じく退場であんまり見せ場なかった様な気もする照井はしっかりアイスエイジを撃破し一条に後を託したのは格好良かった。
参戦時期的に復讐心持っていたけどそんな感じは無く見事な仮面ライダーだった。(まぁその復讐対象退場済みなわけですが)
が、自分的に印象に残ったのは一条仮面ライダーアクセル化。というか一番退場しやすい人物なのに思いっきり託されているぞー。
一方、麗奈もウカ化で一条と京介に衝撃を与えた……で、奇しくもドレイク所持のリュウタと三原に拾われる……運命的だなぁ。
そして、ノリノリゴオマと対峙した真司と小沢……とりあえず小沢のお陰で真司が持ち直したがゴオマに勝てるか……だがゴオマはまだスミドロンの変身を1回残している……これが示す意味は……


で、翔一……お前が探しているアギトはアギトじゃなくて超危険なマーダーだ。とりあえず早くそれに気付けぇーこのままじゃ道化やで!

486 ◆XEdZc54D6s:2011/02/24(木) 01:36:50 ID:aE/UFakY
初使用のレンゲルで無双するゴオマさんまじかっけぇ
では私も投下を開始します

487積み重なるJ/切り札は自分だけ ◆XEdZc54D6s:2011/02/24(木) 01:38:15 ID:aE/UFakY

「いやぁ、本当無事でよかったぜ、始さん」

あのカブトムシのドーパントに襲われてからどれくらいが立ったろう、
あの時から何度も口にした言葉を翔太郎はもう一度声にした。
先程から行動を共にしている始は仮面ライダーへの変身方法が無いただの
一般人のようだ、そう考えれば考えるほど翔太郎は嬉しかった。

(木場さん、俺はもうあんたのような犠牲は出させねぇ、
少なくとも俺とかかわった人間は必ず守りとおす!!)

翔太郎の心は強い決心に燃えていた、が皮肉にも木場という1人の犠牲が
なければここまで強い気持ちは生まれていなかっただろう。

「おい、ジョーカーの男」

さっきまで全く自分に口をきいてくれなかった始が口をきいてくれた、
それだけでも翔太郎には十分だった。

「なんだよ始さん、あとそのジョーカーの男っていうのやめてくれないかな
他人行儀みたいでいやなんだよ、」

「俺が好きなように呼ぶ、それより何故お前は俺にそこまで優しくするんだ?」

素朴な疑問であった、確かに自分はあの怪人に殺されそうに
なっていた所を助けてもらったが、ここまでする必要はないのではないか
すると、翔太郎は鼻で笑い、当然のように答えた。

「当たり前だろ、俺は自分と関わった人間は必ず守るって決めたからな、それに・・・」

「それに?」

「人を守るのが仮面ライダーの仕事だからな」

同じだ、言っていること、甘ちゃんなところ、翔太郎の言っていること
全てが自分の友、剣崎と重なって見えてしまった。
それは自分の決意を大きく揺るがした、世界を、栗原親子を守るために
他世界の人間を殺す、硬かったはずの自分の決意はもろく崩れそうになった。
自分も本当の甘ちゃんになってしまったのか。
そんなことを考えている間に自分たちの目の前に男達が現れた。

488積み重なるJ/切り札は自分だけ ◆XEdZc54D6s:2011/02/24(木) 01:39:07 ID:aE/UFakY

「やぁ、こんちは」

他のメンバーに何か合図をしリーダーらしき人物が話しかけてきた、
翔太郎は警戒を解かずじっと相手を見つめる。


「そんな怖い眼すんなって、俺らで協力してさ、
こんな殺しあいなんてぶちこわそうぜ」

男の眼は輝いていた、翔太郎は一瞬何を言われたかわからなかったが
自分の行動方針と同じなのを確認すると手を取り合った。

「おい、みんな!新しい仲間が増えたぞ!でてこいよ、」

その合図を機に男たちが木陰からぞろぞろと出てきた。
そしてその中の一人は始と知り合いらしく顔を見合わせると
少し驚いた顔をした。

「元の世界のお仲間さんがいたか、
おっとそんなことより自己紹介がまだだったな、
俺ヒビキ、名簿には日高仁志って乗ってるけどヒビキって呼んでくれ」

彼の名乗りを機に各々が自分の名前を名乗りだした。
小野寺ユウスケ、名護啓介、橘朔也・・・次は確実に横のボサボサ頭の
番なのだが下を向いたっきり黙っている。
ユウスケと名乗った男が何回か揺さぶるとようやく意識を取り戻した。

「んあ?おい小野寺こいつらは誰と誰だ?」

「それを今から聞こうとしとるんだろうが」

男は海堂と名乗ったがどこかボケているのではないかと思った。
次に始さんが名乗り、いよいよおれの番だ。

「俺は左翔太郎、Wの世界で探偵をやってる、よろしく!」

ヒビキさんたちは名前を聞いた瞬間顔を見合わせ決心したような顔をして
こちらへ向かってきた。

「君は本当にあのWの世界の人間なのか?」

そう聞いたのは橘さんだ。
俺は他世界の人間にも知られるほど有名な探偵になったのか
そう思い違いをしていると

「Wの世界の人間なら知っているはずだ!この首輪の外し方を!」

翔太郎は思わずきょとんとした、そんなこと俺が知るはずもない
そんなすごいことを知っていたら、そもそも俺が首輪をしているはずがない
そう述べた。

489積み重なるJ/切り札は自分だけ ◆XEdZc54D6s:2011/02/24(木) 01:40:34 ID:aE/UFakY

「そんな、俺の推測は全くの勘違いだったというのか」

頭を抱え、小刻みに震えている、よっぽどショックだったのだろう。

「俺の推測は全部的外れだったのか、メモリを全員が持っているという事も
死者の名前が書いてあるのは大ショッカ―の科学力を証明するためというのも・・・」

「おい橘、そんな状態で歩いてても危ないから、あの建物入って
ちょっと休もうぜ」

海堂の心遣いでビルの前まで来ると橘の様子が変わった。

「ここは・・・ボードじゃないか!!」

自分の世界では当の昔に壊滅してしまった
自分の所属組織の姿がそこにあった、橘は嬉しそうな様子でとっとと行ってしまった。
他のメンバーもほとほと呆れたようにあとについて行った。

「すごい!内装もほとんどあの頃のままだ!!」

喜び歓喜する橘、しかしそれはほんの一瞬であった。

「俺たちの思い出の建物をこんな殺しあいの場に建てやがって・・・」

その言葉には憎しみが含まれていた、自分や剣崎、桐生さんの
思い出の場所をこんな殺しあいの場の一部にしてほしくなかった。

「ふざけるな・・・大ショッカー!貴様は俺たちがぶっ潰す!
たとえ首輪が外れなくとも俺は仲間たちとともに
こんな殺しあいなんてすぐ打破してやる!!」

今ここに橘は仮面ライダーとして殺し合いをやめさせる決意を固めたのだった。




先程はしゃぎすぎたのか、橘はソファーの上でいびきをかきながら眠っていた

「あんな偉そうなこと言ってた割に、グーグーねてらぁ」

海堂があきれたような声を出す。

「にしてもどうしようか、こいつを置いてくわけにもいかないし・・・」

ヒビキが溜息をつきながらいう。
確かに一刻も早く仲間を集めたいという思いは皆にある、しかし・・・

「ヒビキさん、ちょっと急ぎすぎじゃねぇのかここで少し休んで
支給品の確認でもしようじゃねぇか」

490積み重なるJ/切り札は自分だけ ◆XEdZc54D6s:2011/02/24(木) 01:41:16 ID:aE/UFakY

そうかもしれないと溜息をもらしながらヒビキはデイパックを開け
支給品をテーブルの上に置いた。
それを境に各々がデイパックを開けだした。
彼らはまだ知らない、デイパックの中にどんなものがあり、
それがどのようにこの戦場に影響するのかを・・・



【1日目 夕方】
【G−5 ボード内部@仮面ライダー剣】


【相川始@仮面ライダー剣】
【時間軸】本編後半あたり
【状態】疲労(小)罪悪感(大)
【装備】ラウズカード(ハートのA〜6)@仮面ライダー剣
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜2)
【思考・状況】
1:深い迷い
2:栗原親子のいる世界を破壊させないため、殺しあいに乗る?
3:左翔太郎を殺すか? それとも・・・
【備考】
※ラウズカードで変身する場合は、全てのラウズカードに制限がかかります。
ただし、戦闘時間中に他のラウズカードで変身することは可能です。
※時間内にヒューマンアンデッドに戻らなくてはいけないため変身制限を知っています。
時間をすぎても変身していた場合どうなるかは後続の書き手さんにお任せします。
※左翔太郎を『ジョーカーの男』として認識しています。
また翔太郎の雄たけびで木場の名前を知りました。

【左翔太郎@仮面ライダーW】
【時間軸】本編終了後
【状態】健康 悲しみと罪悪感、それ以上の決意
【装備】ロストドライバー&ジョーカーメモリ@仮面ライダーW
【道具】支給品一式×2(翔太郎、木場)、翔太郎の不明支給品(0〜2)
 木場の不明支給品(0〜2)ゼクトバックル(パンチホッパー)@仮面ライダーカブト、首輪(木場)
【思考・状況】
1:仮面ライダーとして、世界の崩壊を止める。
2:カリス(名前を知らない)を絶対に倒す。
3:フィリップ達と合流する。
4:『ファイズの世界』の住人に、木場の死を伝える(ただし、村上は警戒)
5:ミュージアムの幹部たちを警戒。
【備考】
※木場のいた世界の仮面ライダー(ファイズ)は悪だと認識しています。
※555の世界について、木場の主観による詳細を知りました。
※オルフェノクはドーパントに近いものだと思っています(人類が直接変貌したものだと思っていない)。
※ミュージアムの幹部達は、ネクロオーバーとなって蘇ったと推測しています。
※また、大ショッカーと財団Ⅹに何らかのつながりがあると考えています。

491積み重なるJ/切り札は自分だけ ◆XEdZc54D6s:2011/02/24(木) 01:41:48 ID:aE/UFakY

【橘朔也@仮面ライダー剣】
【時間軸】第42話終了後
【状態】健康、睡眠中
【装備】ギャレンバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(クローバーA〜10)@仮面ライダー剣
    ガイアメモリ(ライアー)@仮面ライダーW
【道具】支給品一式、ぜクトルーパースーツ&ヘルメット(マシンガンブレードは付いていません)@仮面ライダーカブト
【思考・状況】
0:・・・(睡眠中)
1:俺は間違っていた?
2:ボード!、ボード!
3:殺し合いに勝たなければ自分たちの世界が滅びる・・・。
【備考】
※ガイアメモリが全員に支給されていると勘違いしています。

【名護啓介@仮面ライダーキバ】
【時間軸】本編終了後
【状態】健康
【装備】イクサナックル(ver,XI)@仮面ライダーキバ、ガイアメモリ(スイーツ)@仮面ライダーW
【道具】支給品一式
【思考・状況】
1:悪魔の集団大ショッカー・・・その命神に返しなさい!
2:とりあえず、まずはこの7人で行動し、支給品を整理する。
【備考】
※時間軸的にもライジングイクサに変身できますが、変身中は消費時間が倍になります。
※支給品の竜巻@仮面ライダー響鬼は自身の手で破壊しまいしました。
※ガイアメモリが全人に支給されていると勘違いしています。

492積み重なるJ/切り札は自分だけ ◆XEdZc54D6s:2011/02/24(木) 01:45:51 ID:aE/UFakY

【日高仁志@仮面ライダー響鬼】
【時間軸】本編第41話終了後
【状態】健康
【装備】変身音叉・音角@仮面ライダー響鬼
【道具】支給品一式、着替え(残り2着)
【思考・状況】
1:とりあえず、7人で行動し支給品を整理する
2:打倒大ショッカー
3:殺し合いはさせない
4:大ショッカー、世界崩壊についての知識、情報を知る人物との接触
5:俺がしっかりしないと・・・
6:ガイアメモリ、どこかに落としちゃったのかな
【備考】
※アギトの世界についての大まかな情報を得ました。
アギト世界での『第4号』関連の情報を得ました。
※ガイアメモリが全員に支給されていると勘違いしています。
※ガイアメモリは自分にも支給されていたが、
知らない間の落としてしまったと勘違いしています。

【海堂直也@仮面ライダー555】
【時間軸】最終話 アークオルフェノク撃破後
【状態】健康、ザンバットソードによる精神支配(中)
【装備】スマートバックル@仮面ライダー555、
    ザンバットソード(ザンバットバット付属)@仮面ライダーキバ
【道具】支給品一式、ガイアメモリ(メタル)@仮面ライダーW
【思考・状況】
1:とりあえず、まずは7人で行動し、支給品を整理する
【備考】
※ガイアメモリが全員に支給されていると勘違いしています。
※ザンバットソードに精神を支配されています。
※ザンバットバットの力で現状は対抗出来ていますが、
時間の経過とともに変化するかもしれません。


【小野寺ユウスケ@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】第30話 ライダー大戦の世界
【状態】健康
【装備】アマダム@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、アタックライドカードセット@仮面ライダーディケイド
    ガイアメモリ(スカル)@仮面ライダーW、おやっさんの4号スクラップ@仮面ライダークウガ
    不明支給品×2(確認済み)
【思考・状況】
1:とりあえず7人で行動し、支給品の整理をする。
2:殺し合いには絶対に乗らない
3:もう一人のクウガか・・・・
【備考】
※デイバッグの中身は確認しました。
※ガイアメモリが全員に支給されていると勘違いしています。
※おやっさんの4号スクラップは、未確認生命体第41号を倒した時の
記事が入っていますが、他にも何かあるかもしれません(具体的には
後続の書き手さんにお任せします)
※カードセットの中身はカメンライド ライオトルーパー、
アタックライド インビジブル、イリュージョン、ギガントです
※ライオトルーパーとイリュージョンはディエンド用です。
※インビジブルとギガントはディケイド用ですが
激情態にならなければ使用できません。

493 ◆XEdZc54D6s:2011/02/24(木) 01:46:28 ID:aE/UFakY
以上です。

494二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/02/24(木) 07:23:05 ID:A250f1Kk
投下乙です
現在地がG−5と書かれていましたが、マップのこの場所には何もありません
もしかしたら、Fー5じゃないでしょうか?

495二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/02/24(木) 09:46:58 ID:88mY058c
投下乙、何事も無く7人が合流か……

……あんまり言いたくないけど、なんか登場人物がみんながみんな馬鹿になっている様な気がするのは気のせい?

ちょっと気になる所あるんですが、
いきなり翔太郎が自分を『Wの世界で探偵をやってる』と自分のいる世界を『Wの世界』とは言わないと思うんですよね。
また、橘達が探しているのはあくまでも『ガイアメモリのある世界の人物』であってそれがイコール『Wの世界』とはなっていない筈なんですよね。
それに、橘組にしてもユウスケ自身が翔太郎達の世界(Wの世界)を知らない以上、それがWの世界という事は知り得ない筈なんですよ。

前々から思っている事ですが『○○の世界』というのはあくまでも読んでいる側だけが把握している部分、もしくはディケイド関係者(士、海東、ユウスケ、夏海、アポロ)だけが知る情報であってそれをダイレクトに本編に組み込んで良い内容じゃないんですよね。
客観的に言えば橘や始が自分の世界を『剣の世界』と言ったり、名護が自分の世界を『キバの世界』と言うのは不自然という事なんですよね。(敢えていうなら『ブレイド(キバ)が存在する世界』)

それに状態表を見ていても橘の道具の『ゼクトルーパー』が『ぜクトルーパー』という風にコピペで済む部分が変わっているのもおかしいですし。


だからこそ、自分としては先程指摘された場所に関する部分だけではなく上記の描写の部分は最低限修正すべきだと思っています。修正しなくて良いのであれば最低出てもそれに関する見識説明は必要ではないでしょうか?
書き手のルールでもある通り、

『2:原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている』
『3:前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている(死んだキャラが普通に登場している等)』
『4:作品の中に矛盾がある、時間の進行が明らかにおかしい、重要な出来事の描写がない、状態表と本文が一致しないなど、内容的な不備がある』
『5:全体のバランスをこわしかねない展開やアイテムが含まれている(ただし、あらかじめ相談の上、住人や他書き手の許可を受けている場合を除きます)』

この部分に抵触している可能性があると思っています。正直、次の書き手がフォローを入れる事は可能だと思いますが、個人的には大きな展開縛りだと思いますし(個人的な意見だけど何事もなく7人合流は次の書き手への負担が大き過ぎるし、次の話であっさり崩壊させれば良いとしても正直興醒め過ぎる)




確かに前に『延長を使わず期限内に仕上げるのが本来の姿だ』と言われたから今回はそれで仕上げたというのはわからなくありません。
ですがそれは決して話の都合で設定無視や誤字脱字しても良いという免罪符にはなり得ません。

一応、ルール的には
『不安や疑問、質問などがある場合は、本スレに投下する前に 仮投下スレ に投下して意見を尋ねてみるのが吉です。 』
とあるわけですが、一度仮投下スレに投下して意見を扇ぐという方法だってあった筈です。というより今回の話は展開的にそれが必要だったと思います(ボート登場や7人合流)
それで問題があるなら修正してから本投下すれば良いわけですし。

氏に聞きたいのですが氏は今回のSSが『一字一句修正される事無く認められる。指摘は絶対に来ない』と思っていたのですか?
失礼を承知で言いますがそれは完全な間違いです。というより手慣れた書き手であっても『大丈夫だと思うけど、この展開で良かったのかなぁ?』と思う事は普通にあります。
完璧に見えるSSであっても何処かしらミス等、疑問点など引っかかる点はあります。ある程度は脳内保管でどうにか出来るとしてもそれは展開上の勢いで押し切れる場合です。読んでいる側を何かしらの理由で納得させられなければ何の意味もありません。

乱暴な言い方になりますが、氏の姿勢は何時か荒らしと取られる可能性があります。その辺をもう少し考えてください。

496二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/02/24(木) 15:11:48 ID:lZpgBlt2
投下乙。

>>495
言いたいことはわからんでもないがなげぇよ。3行にまとめなよ。

497二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/02/27(日) 00:15:41 ID:gezH71eA
・各キャラが「〜〜の世界」とか言い出すのがおかしい
・7人合流はキツい
・考え足らず

498 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:34:18 ID:kLWS2a9Y
これより矢車想、東條悟、北條透で投下を開始します。

499閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:35:01 ID:kLWS2a9Y
広い空から降り注ぐ暖かい日光が、大地に巨大な影を落としていた。
空を舞う黒龍、ドラグブラッカーの巨体によって。
その下の人影は三つ。その内の一人の姿は人間ではなく、龍の体色と同じ漆黒の鎧を纏っている。

「ふうん。デッキ見た時も思ったけど、やっぱり龍騎に似てる。じゃあ装備も同じかな」

東條悟は現在の自分の身体を眺め、そんな感想を口にした。
たった今、彼は目が覚めるとすぐに背負われていた男から一つのカードデッキを強奪、そのまま変身を果たしたのである。
彼が手にした鎧の名はリュウガ。彼の記憶にある赤い騎士、龍騎の全身を黒く染め上げたような外見である。
自分の姿を大体把握して、一度空を見上げると、ドラグブラッカーが咀嚼を終えて息を一つ吐き出すところだった。

「……とうとう一人消えちゃったね」

身体ごとその命を砕かれた女性、光夏海の死にリュウガは喜びを噛み締める。
他の人間を犠牲にすることが東條悟の願いを実現する唯一の手段。
他者から見れば酷く歪んだ、けれど彼にとっては純粋な理想にようやく一歩踏み出すことができたのだから。

「さあ、君達もすぐにあの子と同じになってほしいな」

リュウガが向けた舐めるような視線に、二人の男、北條透と矢車想は身を固める。
二人に共通して言えることは一つ。東條と違い生身を晒しているという点だ。

「不味いですね、今の私には彼に抗えるだけの力がありません」

北條は悔しげに毒づく。
これから騎士と怪物を相手にしなければならないというのに、今の北條は戦闘に使える道具を一切持っていないのだ。
だから今の頼みの綱は矢車想だけである。

「どうしたの? さっきみたいに飛蝗のライダーに変身したら?」

北條が矢車に声をかけようとしたとき、リュウガが挑発にも似た問いを投げかけてきた。
それを聞き、矢車へ向けられる北條の眼差しに淡い希望が混じる。
東條の言葉から察するに、矢車もまた「変身」の手段を持っていることになる。

500閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:35:47 ID:kLWS2a9Y
「……」

しかし、二人の視線を浴びてなお、矢車は一切の動きを見せない。
その態度は北條に違和感しか抱かせない。
今は敵に対抗する手段を使わなければ、一方的に命を奪われることが明らかな状況だ。
それにも関わらず、なぜ矢車は何もしないのか。

「……無理なのよ、今は」

矢車の代わりに答えたのは、北條の目の前に飛んできたキバーラだった。
なぜ蝙蝠が喋っているのかも不思議だが、それ以上に彼女の答えの方が気になった。

「どういうことです!? 今戦わないと我々は……」
「やっぱりね。モンスターみたいにライダーへの変身も制限つき、ってわけか」

声を荒げる北條だが、一方のリュウガは納得したような声を上げた。
仮面ライダーブレイドとの戦いの中で突然消えたデストワイルダーの謎と、キックホッパーに変身しない矢車の姿が一つの答えを導き出した。
ミラーモンスターの召喚、そして仮面ライダーへの変身には何らかの時間制限が課せられているのだと。
東條の言葉を聞き、ようやく北條の頭でも矢車の様子に合点がいった。
しかし今の北條にとって決して嬉しい事実にはならない。
陰湿な笑い声を零しながら接近するリュウガに対応する手段が無いことを意味するからだ。

「言っておくけど、あたしの魔皇力で変身できるのは夏海だけだから」
「……万事休す、ですかね」
「いや、まだ可能性はある」

矢車は小さく呟き、顎で東條の後方を指し示す。
そこには光夏海が遺した彼女自身のディバッグと東條のティバッグが落ちていた。

「あれの片方にはあいつのと似たようなデッキが入っている」

夏海のディバッグの中身は不明だが、少なくとも東條のディバッグについては存在を確認できたものが一つある。
仮面ライダータイガに変身するためのカードデッキだ。

501閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:36:41 ID:kLWS2a9Y
「あれを使えば、あの男にもある程度は……っ!?」

行動を指示しようとした矢車の言葉は突然遮られる。
これまでただ様子を眺めていただけのリュウガが一気に距離をつめてきて、遂に拳を向けてきた。
矢車は身体を捻り、顔面に向けられた拳をすんでの所で回避する。

「今度は僕の勝ちだよね。だって、君にはもう力がないから」
「はっ、どうだか……」

初撃をかわされながらも、勝利宣言に等しい言葉を聞かせてくる。
矢車もまた余裕の態度を見せ付けるが、それは見せかけだけなのは両者にわかっている。
人間対仮面ライダー、どちらが勝つかなど考えるまでもない。
リュウガは姿勢を整え、今度は左脚から蹴りが放たれる。

「くそっ、このままでは……」

北條は自分と矢車の間に立つリュウガを忌々しげに見つめる。
今はかわせているが、このまま戦い続ければ矢車が嬲られるのは目に見えている。
しかし、今の北條にできることといえば……

(あのディバッグの中身を回収すること、でしょうね)

矢車が示唆した一筋の光が、二つのディバッグのどちらかに隠されている。
幸いリュウガはこちら側に移動し、矢車の方に気を取られている。
少なくとも障害の一つは無くなったと見ていいだろう。

「GAAAAAAAAAA!!」
「くっ!!」

だが、あくまで一つ無くなっただけだ。
もう一つの障害、ドラグブラッカーは健在である。
北條がディバッグを狙っていることにも感づいているようで、ディバッグの間を埋めるように強靭な尾を地面に叩きつけた。
衝撃が地を揺るがし、思わず姿勢を崩す。
このままではディバッグを得られないどころか、怪物の餌になって終わりだ。

(向こうは仮面ライダー、こちらにはおまけのドラゴン。かわしつづけるだけじゃ埒が明かない。せめて私の方に何か援護でもくれたら……)

502閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:37:34 ID:kLWS2a9Y
「かわしてばかりじゃ辛くない?」

リュウガの攻撃は休むことなく続いていた。
拳を突き出し、脚を振り上げ、手を横に薙ぎ。
矢車は幾重もの攻めをどうにか回避しているが、全て当たる寸前で、といった状況だ。
これではただの消耗戦、いつかはこちらの身が捉えられる。
矢車のそんな不安に応じるように、とうとうリュウガの右膝が矢車の腹に当たった。

「ぐ……」
「ほらね」

ライダーの力で与えられた苦痛に呻きが漏れる。
さらにもう一発ダメージを負わせようとリュウガは拳を握り、叩きつけた。
矢車の身体が揺れたかと思った時、ついに矢車が回避以外の動作を見せる。

「ふんっ!!」

左脚での回し蹴りが放たれ、鮮やかな軌道を描く。
何に遮られることもなく、空気を切り裂き、リュウガの頭に吸い込まれる。
爪先が命中し、鈍い音が響いた。

「無理だよ」

結果、リュウガにダメージが与えられたかといえば……否。
いかに矢車の蹴りといえど、ただの人間の脚力で鉄仮面を破ることはできなかった。
リュウガは蔑みの目線を向け、右脚を矢車の腹に放つ。
こちらも命中し、吐瀉物が出そうな感覚がする。
だが、矢車は真っ直ぐにリュウガを見据え、諦めることをしない。

(まだ、死ねないんだよ)

警察官の肩書きを持つ北條や世界を守る旅を続けてきた夏海と違い、矢車には守りたい人がいなければ帰りたい場所もない。
それでも、あの夢の中で見つけた一つの目的を果たすまでは生きなければならない。
芽生えた意地はキックの応酬へと繋がる。
かわし続けるのがすでに困難なら、攻撃を続けるだけだ。
胸に、肩に、膝に、腕に。
前の戦いでキックホッパーとしてタイガに浴びせたように、矢車の蹴りがリュウガに隙を与えないほどに連続で叩き込まれる。
その中の一撃を受けて、リュウガが僅かに苦悶の声を漏らした。
装甲が薄く、なおかつ以前の闘いで傷を負った箇所に当たったようだ。

503閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:38:26 ID:kLWS2a9Y
「硬そうなのは頭だけか?」

チャンスを逃さず、追加で蹴りをお見舞いし続ける。
だからといってリュウガも黙って食らっているわけがない
またリュウガの拳が飛んできて、回避は叶わなかった。
再び受けたダメージに身体がよろめく。
仕返しのように続く、殴打、殴打、殴打。
この一方的な暴力が、いつまでも―――

「あああああっ!!」

―――続かず、キバーラの声に遮られた。
親指ほどの矮小な身体で、懸命にリュウガにタックルを仕掛ける。
リュウガへの嫌悪感と怒りがひしひしと伝わる叫びと共に、何度も何度も。
痛みは無くとも鬱陶しさはあったのか、リュウガの狙いは一度彼女へ向けられた。

「このっ」
「邪魔」

まるで蝿でも払いのけるかのように手を振るう。
その軽い一発を当てられただけで、キバーラは悲鳴を上げて吹き飛ばされてしまった。
それきりまた矢車へ顔を向けたが、ある変化に気付く。
何も持っていなかったはずの手にカギ爪のような奇妙な機械があった。
一体何だろうと思うより速く、その機械から小さな黄色い何かが飛び出す。
黄色い何かは真っ直ぐリュウガの身体へ突っ込み、衝突と同時に小さな爆発を起こした。

「何!?」

予想外の事態に、爆発が持つ矢車のキック以上の威力に驚きと苦痛の声を上げる。
その様子に矢車もまた驚き、しかし少し喜ぶ。
自分のディバッグの中から見つけ出した最後の支給品、ゼクトマイザーの攻撃力に。
幸運を味わう暇もなくそのまま数歩後退し、小型爆弾マイザーボマーを射出し続ける。

「くっ……調子に乗るな!」
―――SWORD VENT―――

504閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:38:56 ID:kLWS2a9Y
いくつもの爆発に耐えながら、リュウガは一枚のカードを左腕のバイザーにセットする。
直後、ドラグブラッカーの尾部を模した剣、ドラグセイバーが現れた。
柄を右手に握ると、向かって来た全てのマイザーボマーは一瞬の内に切り伏せられる。
それでも矢車は攻撃の手を緩めない。
一発、三発、五発とマイザーボマーを何発も撃ち続ける。
切り伏せられても、リュウガに当たることなく通り抜けていったとしても止めない。
少しでも、奴のいる方へ攻撃を与えねば。

「いい加減に!」

しかし最初に取った距離は詰められ、リュウガが振り上げた左手によってゼクトマイザーは弾かれ宙に弧を描く。
続けてリュウガの右拳が浴びせられ、矢車は地面に膝をついた。

「随分手を焼かされたけど、いよいよ終わりだね」

リュウガは満足気に矢車の身体を見下ろし、刃をつきつける。
この男には何度も痛い目に遭わされたが、それもここまで。
とうとう死を迎える矢車は顔を上げ、その両目はリュウガを―――



―――ではなく、その向こう側の光景を見つめていた。
その先では、黒龍ドラグブラッカーが苦悶の唸り声を漏らす様。

「やっと見つけましたよ」

そして、二つのディバッグの下に辿り着いた北條透の姿だった。
マイザーボマーは決してリュウガだけを狙っていたわけではない。
北條の動きを阻害するドラグブラッカーの巨体もまた攻撃対象だった。
だからこそ、マイザーボマーの何発かは敢えてリュウガが回避可能な方向に撃ったのだ。
そして傷を負ったドラグブラッカーが僅かでも動きを止めた隙に、北條は一気にディバッグの下へ駆けていった。

「……行け」

今、北條の手には東條のディバッグから取り出したタイガのカードデッキが握られている。
側の窓ガラスからVバックルが飛び出し、北條の腰に装着される。
この状況にふさわしい言葉は、ただ一つ。
北條は叫ぶ。



「変―――」

505閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:39:37 ID:kLWS2a9Y



「―――身、なんてさせないよ?」



リュウガの小さな呟き。
振り向くと共に北條めがけて投擲されるドラグセイバー。
一直線に、その鋭利な刃が北條の身体に迫る。

「まずい!?」

北條は変身のモーションを一旦取りやめ、後ろに飛び退いてドラグセイバーを回避する。
その隙を見逃すはずがないのはリュウガ、さらに。

「GAAAAA!!」

ドラグブラッカーだ。
太い尾を北條に向けて振り下ろしてきた。
地面を転がって直撃は免れるも、振動で身体が浮かび、地面に叩きつけられる。
今度こそドラグブラッカーは北條を仕留めようと、鋭い牙で噛み砕きにかかる。

「また消えた? ……時間制限か」

だが、北條の身体を捉える寸前でドラグブラッカーは消滅した。
どうやらデストワイルダーの時と同じく、召喚可能時間の限界が来たらしい。
だからといって、東條にとってさしたる問題はない。
リュウガは跳躍で一気に北條との距離を詰め、横たわる彼の手からタイガのデッキを奪い取る。
もう奪われることのないよう、デッキは回収した自分のディバッグに入れた。
これでもまだ北條が動きを見せるようなので、左手を踏みつけて痛めつける。

「残念だったね。これを使えばちょっとは抵抗できたかもしれないのに。」
「くうっ……ええ、残念です……」

506閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:40:15 ID:kLWS2a9Y
ついに諦めの言葉を口にした。
そうだ、二人は結局負けたのだ。
タイガのデッキを使うことは叶わず、ディバッグの中の他の支給品の中を手に入れたわけでもない。
それに、

(あれ、あの女のディバッグは……?)

少し気になって、夏海のディバッグに視線を移す。
ファスナーは、開いていた。

「残念ですよ。逆転劇を始めるのに、ここまで時間がかかったことが!!」

こちらを見る北條の目に、張り上げた北條の声に込められているのは、諦めではなく希望の光。
右手には、小さな青い箱が握られている。

「ちょっとそれって!?」

地面に落下したキバーラが驚愕している。
それが何故かなど北條に考える暇は無い。
今度こそ、逆転の一手は逃してたまるものか。



―――トリガァーーッ!!―――



青い箱、T2ガイアメモリを首輪に力強く挿し込む。
すると、北條に異変が起こる。
光と共に彼の身体は青く硬い皮膚に包まれる。
右手が細く長く伸び、先端は銃口になり、まるでライフルのような形になる。
呆気に取られるリュウガに向けて銃口から弾丸が放たれ、胸の装甲を抉り取った。
リュウガの拘束から解放された北條が立ち上がった時、姿は異形の狙撃手に変わっていた。
とある世界の技術により創り出された人類の新たなる姿、トリガー・ドーパントへと。

507閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:41:16 ID:kLWS2a9Y
「変身した!?」
「そのようですね!!」

トリガー・ドーパントは再びライフルから弾丸を連射し、同時にリュウガから離れていく。
近距離より中距離、中距離より遠距離。
自分の能力を発揮できる絶好の間隔を確保するために。

「この距離は、こちらのものです!」

リュウガの身体に弾丸の雨が容赦なく降り注ぐ。
小さくとも連続するダメージの中、対抗するにふさわしいカードは簡単に思いついた。
すぐにデッキから引き抜き、バイザーにセットする。

―――GUARD VENT―――

バイザーから低い電子音声が響き、ドラグブラッカーの腹部を模した盾、ドラグシールドが両肩に装着される。
二つの盾を前面に押し出して防御の体制を取ることで、弾丸は残らず弾かれた。
これを期に盾をかざして一気に距離を詰めていく。
銃撃以外の攻撃手段を持たないトリガー・ドーパントには最早打開策はないだろう。

「がっ!?」

しかし、その判断は迂闊だったと知らされることとなる。
リュウガの脛で何かが爆発した。
トリガー・ドーパントからでなければ一体どこから、という疑問が浮かぶが答えは明白だ。

「俺を忘れるな」

飛び道具を所持するもう一人の敵。
再びゼクトマイザーを手にした矢車だ。
突然の事態から冷静さを失い、片方のみに意識を集中していた己の不注意を呪った。
トリガー・ドーパントとゼクトマイザーの二方向からの射撃が続く。
防戦が続くリュウガの前で、矢車とトリガー・ドーパントは合流を果たした。

508閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:41:54 ID:kLWS2a9Y
「援護に感謝します。えっと……?」
「……矢車だ」
「矢車さん。一応彼女のディバッグからもう一つ持ってきました」

そう告げて矢車の前に『あるもの』を差し出す。
それを見た時、矢車は少しの溜息をついた。

「メモリの使い方がわかったのですが、こちらの方はさっぱりです。どうすれば……?」
「いや、十分だ」

(まずいな……ちょっと時間を使いすぎたかな?)

未だ狙撃を続けるトリガー・ドーパントを忌々しげに見つめながらも、東條の頭の中ではある懸念があった。
変身時間の制限である。
ブレイド達との交戦からわかったのは、変身の制限時間が少なくとも5分以上だということだけだ。
一方の矢車と北條は、東條に対して優位性を持っている。
一つ目は、矢車が変身時間の上限まで正確に把握している可能性があること。
二つ目は、北條の変身が東條より1分以上遅れていたこと。
前者はただの杞憂でしかないが、しばらく気を失っていた東條がそのことを知る由はない。
故に東條の頭は最悪の可能性を提示する。
矢車から変身時間の上限を聞き出した北條が東條の制限時間いっぱいまで逃げ切り、リュウガの変身が解けてから一気にこちらを制圧するつもりかもしれない、と。

(なんか、意外ときつい状況かな?)

東條がリュウガに変身してからもう3分は経つだろうか。
ここで東條が取れる選択肢は二つ、一気に勝負をかけるか、撤退するか。
ファイナルベント無しで怪人一体と人間一人を倒すのは可能か不可能か。
東條の頭が互いの勢力の力関係を検討し始める。

この時、東條の目に写るものがあった。
一心不乱にライフルを撃ち続けるトリガー・ドーパントの隣で、新たな動きを見せた矢車だ。

509閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:43:00 ID:kLWS2a9Y
彼は右手に銀色のブレスレットを持って。
ゆっくりと左腕に装着するような動きを見せて。
ただならぬ殺気を放ちながら、こちらを睨み付けていた。

「ここは、こうするべきか」
―――STRIKE VENT―――

リュウガは盾を放棄し、第三の装備を右手に着ける。
ドラグブラッカーの頭を思わせる武器、ドラグクローだ。
再び銃弾に襲われながら、ドラグクローを後ろに構える。
龍の口内で、紫炎が生まれる。

「これで終わりだ!」

腕を前に突き出し、火球を発射した。
火球は小さな銃弾をものともせずに進み、無色の空間を震わせて。
身を守るために回避運動を取ろうとしたトリガー・ドーパントの―――

―――少し前方の地面に着弾し、爆裂した。

「うっ!?」

爆発で生じた熱風に苦しむが、彼を苦しめるものがもう一つあった。
火球が炎の壁へ変わり、視界が阻まれてしまったのだ。
これではリュウガの姿が補足できず、リュウガを倒すのは困難だ。
せめてもの抵抗として、炎の壁を潜り抜けてくるだろうリュウガの襲来に備えた。

(……来ない?)

しかし、予期していた黒い鎧は現れない。
目眩ましを用意したのだから、この後の行動は奇襲ではないのか。
いや、もしかして奴は。

510閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:43:45 ID:kLWS2a9Y
(残念だけど、今回はここで終わりにするよ)

東條が選んだ選択は撤退だった。
彼にしては消極的な選択を決めた要因は矢車の行動にある。
こちらを向いた目から、矢車はあのブレスレットを使って何か反撃を試みようとしているかのような意志が感じられた。
もしも矢車があのブレスレットでライダーもしくは怪人に変身できるのだとしたら、こちらはかなり不利になるだろう。
迫るタイムリミットに加えて、2対1の戦いによる体力の浪費という負担。
戦いの続行は敗北の可能性の上昇に繋がると考え、逃亡を決断するに至った。

「まあ道具はそれなりに揃ったし、今回は一人殺せただけでも良しとするよ」

今回、身体に傷は負いながらも損失は無かった。
タイガのデッキと残り二つの支給品は奪還できて、さらにリュウガのデッキという収穫まであった。
自らの手で一人を殺す戦果だって挙げられたなら十分だろう。
満足感を胸に、東條は地面に落ちた自らのディバッグに手を伸ばした。

その瞬間、閃光が空を駆けた。
仮面の下で目を見開くリュウガの前で、それはディバッグに当たり、ぼん、と音を立てた。
えっ、という間の抜けた声を掻き消すように、二発、三発とディバッグに衝突し爆発する。
ディバッグの所々が焼き切れ、衝撃で中身が飛び散っていく。
四発、五発、六発と光は続き、宙を浮かぶタイガのデッキに命中する。
爆発に耐え切れなかったタイガのデッキに亀裂が生じ、全体に広がり、粉々に砕け散った。

「くそっ!!」

駄目押しとばかりに炎の壁を越えてくる脅威に苛立ちを覚えるが、今は反撃の時ではない。
リュウガはまだ無事な二つの支給品を掴み取ると、すぐに走り出しこの場を離れた。

こうして、英雄を目指す男と彼を阻む者達との闘いは、両者存命の引き分けという形で幕を閉じた。







「あの男、東條と言いましたか。結局逃げられてしまいました。申し訳ない」
「ああ。だが、別に構わないだろ」

511閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:44:31 ID:kLWS2a9Y
東條が去った後、トリガー・ドーパントの姿のまま北條は悔しげに言った。
北條は炎の壁が消えてからリュウガを追ったものの発見できなかったため、追撃を一旦断念し矢車のもとへと戻ってきたのだ。
報告を受けても特別悔しがっているように見えない矢車が、むしろ今の北條には不可解だった。

「しかし意外でしたよ。『十分だ』なんて言うからブレスレットで何かするのかと思ったら、結局何もしないんですから」
「そうよ。使い方知ってるなら使えばよかったじゃない」
「別に間違ったことは言ってない。使い方はわかるが、使えないってだけだ」

ザビーブレス。
それが光夏海への最後の支給品であり、現在矢車の左腕に巻かれているブレスレットの名前である。
矢車が妙な説明をしたのは、彼がこれを使えたのは世捨て人となる以前、ZECTの精鋭部隊シャドウの隊長を務めていた頃の話だからだ。

「ただ、あの時は使えるフリをした方がいいって思っただけだ」

トリガー・ドーパントの銃弾が盾で防がれる様を見た時、矢車の中で敗北の可能性が濃厚になっていた。
そこで、たとえ東條を倒せなくても戦いを終わらせることが先決だと考えた矢車は、差し出されたザビーブレスを見て一つの策を実行した。
まるでザビーブレスを使って反撃をするかのように装い、東條の方から逃げるよう恐怖心を煽ることだ。
成功はあまり期待できない策だったが無事に成功し、東條は自ら撤退した。
矢車は詳しい説明を省いているため、北條は腑に落ちない顔をするだけだが。

「それはともかく、さらに追い討ちをかけたのは見事でした。よくやりますよ」

炎の壁を作り出された時、もはや攻撃は不可能だと北條は考えていた。
だが、矢車は爆発の直前にゼクトマイザーを構え直し、東條のディバッグに狙いを定めた。
リュウガと違い、ディバッグは決して動くことはないから。
なにより、弟を嘲笑ったあの男に一矢報いなければ気が収まらないから。
矢車は炎の向こう側へマイザーボマーを何発も射出した。

「どうやらデッキを壊しただけで、残りは持っていかれたみたいだな」

矢車は残されたディバッグの残骸を眺める。
そこにあるのはボロボロのディバック、焼け焦げた食料やルールブックなどに加えてタイガのデッキの破片だけだった。
ふと横を見ると、トリガー・ドーパントは北條透の姿を取り戻した。
変身に課せられた時間の終わりが訪れたようだ。
どうやら10分が限界らしいと言って首輪から排出されたガイアメモリをキャッチする北條に、疑うような声がかけられる。

512閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:45:16 ID:kLWS2a9Y
「ねえ……あなた、何ともないの? かつての俺は死んだ〜、とか」

キバーラが聞きたいのは、ガイアメモリを使った北條がなぜ平然としているか、だ。
スーパーショッカーに囚われた光栄次郎がガイアメモリによって悪の大幹部死神博士になってしまい、今また同じ事態が起こっていることをキバーラは思い出す。
同じように北條もまたガイアメモリで姿を変えたが、栄次郎と違い元の人格を保っているようだ。

「いいえ、特に何ともないですが?」
「そう……」

北條がそう言うならそうなのだろうと、キバーラは自分を納得させるしかなかった。

「それで、あなたはこれからどうしますか」
「……動きたいが、流石に少し辛い」

話はこれからの行動方針へと移る。
矢車は生身で仮面ライダーと戦ったため、その苦痛と疲労は無視できない。
だから今は休息を申し出るほかなかった。

「そうですか。私はまだ余裕がありますから、彼の逃げた方へ向かいます。」
「えっ? ちょっと、私達は置いていくの? それに士がいるって……」

一方の北條といえば東條の追撃を決意したようだが、キバーラは異議を申し立てる。
矢車よりは体力に余裕があり、何より警察官ならこの場に残ってくれるだろうと考えていただけに心外でしかない。
黒いカブトの方へ向かったらしい門矢士さえ無視して離れようというのが余計に理解できない。

「確かに彼はまだ来ないようですが、危険な相手を放置するわけにもいきません」
「何よそれ……」
「それともう一つ、あなたのそのブレスレット、もしかして使うつもりはないのでしょうか?」

もっともらしい理由ではあるが、どうにも納得できない。
キバーラの不満をよそに、また北條は矢車に聞いてきた。
話題に挙げられたのは矢車のザビーブレスである。
北條の視線に気付いた矢車は、特に執着も見せずにザビーブレスを腕から外し放り投げる。

「ああ。俺には使えないし、別に使う気も起きない」
「それならこれは私が所持しましょう。もしかしたら何かに使えるかもしれません。では、門矢さんに会えたら宜しく言っておいてください」

それだけ言い残し、北條は矢車の下から立ち去っていった。

513閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:46:41 ID:kLWS2a9Y
「冷たすぎよあいつ。警察なのに怪我人ほっとくなんて」

再び病院の中に戻った矢車に向けて、キバーラは愚痴をこぼす。
5人のライダーが戦いを繰り広げた部屋とは別の診察室に入りベッドに腰掛けてもキバーラは口を休めず、非難対象は迎えに来ない士にまで及び始める。

「おいお前。何で俺について来るんだ?」

傷の手当てを終えた矢車が口を開き、キバーラの態度への疑問を投げかける。
門矢士とかいう男がすぐ側にいるのだから、これからしばらく動かない自分について回るよりそいつに会いにいけばいいものを。

「士なら大丈夫よ。……それに、夏海が気遣ってた男を私がほっとくわけにいかないでしょ。てゆーか、乙女に一人で出歩けなんて言う?」

キバーラの示した理由は気だるそうな言い方にしては律儀なものだった。
パートナーだった夏海が自分を気にしていたから、同じように構っているらしい。
亡くしてしまった大切な誰かの遺志を継いで、やり遂げられなかったことを受け継ぐ。
眩しいような心を見せる今の彼女は、まるで……

(俺とは違うか)

自分の欲望を弟の遺志にすり換えているに過ぎない自分とは別物だ。

「じゃあ俺はしばらく横になる。もし寝たら、誰か来た時には起こせ」
「はいはい。ゆっくり休みなさ〜い」

キバーラにはそれだけ言って、彼女から意識を外した。
休むついでにとりあえず当面の行動方針でも考えていよう。
キバーラがついてくるのは仕方が無いとして、当初のようにまた一人で動くか。
それとも、門矢士とかいう男が生きていたら会ってみようか。

【1日目 午後】
【E-4 病院/一階・診察室】

【矢車想@仮面ライダーカブト】
【時間軸】48話終了後
【状態】疲労(中)、全身に傷(手当て済)、仮面ライダーキックホッパーに1時間40分変身不可
【装備】ゼクトバックル+ホッパーゼクター@仮面ライダーカブト、ゼクトマイザー@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、キバーラ@仮面ライダーディケイド
基本行動方針:弟を殺した大ショッカーを潰す。
1:休む。ついでに今後の方針を考える。
2:殺し合いも戦いの褒美もどうでもいいが、大ショッカーは許さない。
3:天道や加賀美と出会ったら……?
【備考】
※ディケイド世界の参加者と大ショッカーについて、大まかに把握しました。
※10分間の変身制限を把握しました。
※仮面ライダーキバーラへの変身は夏海以外には出来ないようです。

514閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:47:53 ID:kLWS2a9Y







東條は逃亡を続ける間、ずっとリュウガの変身を解かなかった。
理由の一つは仮面ライダーの脚力で逃げた方が速いから、もう一つは変身時間の上限の把握のため。

「ライダーが10分、モンスターが1分か。今度は忘れないようにしよう」

変身が強制的に解除されて、鉄仮面の下から現れた東條はほくそ笑む。
殺し合いで勝ち残るためには重要となるだろう情報を得たからだ。
今回の戦いでは情報不足からくる焦燥と、おそらく相手はただの人間だという油断もあって苦渋を嘗める結果となった。
だからこそ失敗から学習をした今は同じ失敗をするまい。

「でも、病院はせっかく良い場所だったのに離れちゃった」

矢車達から逃げるためには止むを得なかったとはいえ本拠地を離れた失敗にしおれる。
参加者が集まりやすい場所を確保するメリットを手離した以上、他に何か人が集まりそうな場所はないものか。
病院に置いてきてしまった地図を記憶から引っ張り出し、鮮明でない画から目的地を考えていく。

「ここから南に街があって……あの変な施設は、確かG-7だったっけ?」

【1日目 午後】
【F-4 草原】

【東條悟@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】インペラー戦後(インペラーは自分が倒したと思ってます)
【状態】疲労(中)、ダメージ(大)、仮面ライダーリュウガに2時間変身不可(ドラグブラッカー1時間50分召喚不可)、仮面ライダータイガに1時間40分変身不可
【装備】カードデッキ(リュウガ)@仮面ライダー龍騎
【道具】不明支給品0〜2
【思考・状況】
基本行動方針:全ての参加者を犠牲にして、ただ一人生還。英雄になる。
1:自分の世界の相手も犠牲にする。
2:ネガタロスを利用し、悪の英雄になるのもいい。
3:今は病院を離れて、再び変身できる時を待つ。
4:他にどこか人が集まりそうな場所を探す。G-7の施設に興味。
【備考】
※剣の世界について情報を得ました。
※10分間の変身制限、1分間のミラーモンスター召喚制限を把握しました。
※ディバッグ、支給品一式、カードデッキ(タイガ)は破壊されました。

515閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:48:58 ID:kLWS2a9Y







警察官である北條透が民間人の安全確保を放棄したことは実に奇怪な話である。
これには、北條自身には決して気付くことのできない不可避の理由がある。

「誰が開発したか知りませんが、なかなか優れた道具ですね。G3、いや、アギトにも引けを取らないかもしれない。」

北條は感心したようにT2ガイアメモリを眺める。
これまで戦う手段を持たない故に守られるしかなかったが、ついに力を手に入れたのだ。
弾丸の威力と命中精度を利用すれば、遠くからでも人に害なす悪を仕留めることが可能だろう。
結局使い方がわからなかったザビーブレスについては保留としても、当面はこのガイアメモリで十分に目的を全うできる筈だ。

「……犠牲が出るのを防げなかった以上、せめて光夏海という方の残したこれは大事にしなければいけませんね」

警察官の自分がやるべきは、もう二度と彼女のような犠牲を出さないこと。
人々を脅かす危険な存在にこの身を挺して立ち向かうこと。
……危険な存在を、何としても消し去ることだ。

【1日目 午後】
【F-4 草原】

【北條透@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終盤 アギト殲滅作戦決行中
【状態】疲労(中)、トリガー・ドーパントに2時間分変身不可、ガイアメモリの精神汚染(小)
【装備】T2ガイアメモリ(トリガー)
【道具】支給品一式×2、救急箱@現実、ラウズアブゾーバー@仮面ライダー剣、ファイズポインター&カイザポインター@仮面ライダー555、ザビーブレス@仮面ライダーカブト
【思考・状況】
基本行動方針:人を探し、危険人物なら排除する。
1:東條を追う。
2:牙王、アポロガイストを警戒する。(両名とも、名前は知らない)
3:知人と合流し、情報を集める。
4:小沢と合流して、Gトレーラーの鍵を渡してもらう。
5:士は嫌いだが、無事ならいいとは思う。
【備考】
※10分間の変身制限を把握しました。
※Gトレーラーの鍵は小沢が持っていると考えています。
※ガイアメモリの精神汚染により正常な判断力が欠落しています。
※ザビーゼクターには認められていません。

516閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:49:52 ID:kLWS2a9Y







矢車が去り、東條が去り、北條が去り、誰もいなくなった戦いの跡地、E-4。
ここで破壊され、誰にも回収されずぽつりと残された、タイガのカードデッキの残骸。
だが、デッキを見つめる二つの光は確かに存在している。
二つの光は窓ガラスの向こう側で、カードデッキとは異なる空間で輝いている。

また一つ、唸り声が響く。
それはまだ誰に聞かれることもない。
光は窓ガラスから抜け出せる時を待ち続ける。
光は誰かがこの場に現れる時を待ち続ける。

現在の時刻は午後2時30分。
従うべき主を失くした獣が檻から解き放たれるのは、まだ少し先の話。

※カードデッキ(タイガ)が破壊されたため、デストワイルダーが暴走状態になりました。
※デストワイルダーはあと1時間35分現実世界に出現できません。

517 ◆Wy4qMnIQy2:2011/02/27(日) 23:51:55 ID:kLWS2a9Y
以上で投下を終了します。
疑問点、問題点などがありましたらご指摘お願いします。

518二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/02/28(月) 07:03:22 ID:X5e24ZHM
投下乙です
おお、矢車さんも北條さんも危機を脱したか……
と思ったら、北條さんがメモリの毒に浸食されてるー!?
それにザビーゼクター……果たして、このロワで再び輝けるのか。
デストワイルダーも、なにやら一騒動起こしそうな予感w

519二人で一人の/通りすがりの名無し:2011/02/28(月) 10:12:41 ID:lfSH.s7k
投下乙です。
何とか東條を撃退出来たけど……北條がメモリの毒に……ア北條、何やっとるんねん。
更にデストワイルダーが野良状態……E-4及び周囲にいる皆様逃げてぇー。
しかし東條は東條でリュウガ持ったけど……確か浅倉と美穂がリュウガにヤラレテいるんだよなぁ……(美穂はわからんが浅倉は確実に根に持っている筈)
で、矢車は病院で休息か……この話の作中時間が2時半ぐらいだから思いっきり士とニアミス状態だなぁ(確か士は病室で休息していた筈)。
そして遂に出てきたザビーゼクター……でもメモリに侵される前ならともかく今のア北條には使えないよなぁ……

520 ◆LuuKRM2PEg:2011/03/11(金) 06:55:29 ID:d6tnq/xE
天道総司、乾巧、ゴ・ガドル・バを投下します

521強敵金カブ ◆LuuKRM2PEg:2011/03/11(金) 06:56:13 ID:d6tnq/xE


燦々と輝く太陽は、時間と共に沈んでいく。
青い空は段々と赤みを増し、辺りに闇が広がっていた。
太陽が地平線に向かうのと同時に、星も徐々に見えてくる。
辺りに吹く風もまた、冷たくなっていた。
空気の流れと、木の葉が揺れる音以外何も聞こえてこない。
沈黙を突き破るかのように、足音が聞こえた。
F−6エリア。
一切の気配が感じられない町の中を、一人の男が進んでいる。
岩のように逞しい身体を、軍服で包んでいた。
険しい表情からは、数多の戦場を生き延びてきた豪傑という雰囲気を醸し出している。
『クウガの世界』でリントの戦士、警察を数え切れないほど殺し、自らを『破壊のカリスマ』と称したグロンギ。
ゴ集団の中でもトップクラスに値する実力者、ゴ・ガドル・バ。
彼はたった一人、人気の感じられない町を進んでいる。
元の世界で行っていた、強者を狩るゲゲルを続行するため。
この世界に連れてこられた、多くの『仮面ライダー』と戦うため。
そしてこの世界の何処かにいるグロンギの王、ン・ダグバ・ゼバと戦うため。

(恐怖か……)

先程の出来事を、ガドルは思い返した。
ダグバと遭遇して、戦おうとする。
しかしお互い力を発揮する事が出来なかった。
その時に、ダグバは言う。
リントによって、自分は恐怖を教わったと。
本来ならば与える側の筈な王が、脆弱たる一族に与えられた。
そのようなリントが、異世界にいるなんて。
ならば、戦わないわけにはいかない。
そして勝つ。
未知なる強者への興味が、ガドルを動かしていた。

「ガドルさぁ〜〜〜〜ん! みっつけましたよぉ〜〜〜!」

その最中、彼の耳に声が響く。
とても甲高く、陽気に満ちていた。
殺し合いという状況に、全く相応しくない明るい声。
ガドルはそちらに振り向く。
見ると、そこには一匹の龍が宙に浮かんでいた。
人の頭と同じサイズの全身が、眩い黄金に輝き、背中には彼の世界を象徴する赤い紋章が刻まれている。
それは『キバの世界』に存在する、仮面ライダーキバの力を解放する力を持つ龍。
大ショッカーの手によってガドルのデイバッグに封じ込められた、魔皇龍タツロット。

「お前か……」
「あっちにいたんですよ、参加者の人達が!」

淡々と呟くガドルとは対照的に、龍は歓喜したように身体を踊らせる。
先程デイバッグより飛び出してから、互いに情報を交換した。
この世界が戦場という、現状。
ダグバを初めとした、強者との戦いを求めるガドル。
元の世界の住民を捜すタツロット。
その際に、彼は語った。
自分は渡が変身する、キバの力を最大限に引き出す為のモンスターである事を。
紅渡、名護啓介、紅音也、キング。
同じ世界より連れてこられた四人はいずれも、鍛え抜かれた強者であると。
しかし音也とキングは、過去に飛んだ際に亡くなっている筈。
それがタツロットにとって、どうにも不可解だった。
だがガドルにとって、それは関心にない。
その四人が強者ならば、戦うだけだ。
加えて、タツロットは渡という男の力を発揮出来るらしい。
ならばそれまで、同行してもいいだろう。

522強敵金カブ ◆LuuKRM2PEg:2011/03/11(金) 06:57:07 ID:d6tnq/xE

「早く行きましょうよ! このままじゃ、遠くに行っちゃいますよ!」

タツロットは、ガドルを急き立てる。
彼は知らなかった。
ガドルが、この殺し合いに乗った危険人物であると。
自分が目の前の男に情報を与えた事で、渡の危険が増えてしまっていると。
ただ、勘違いをしてしまっていた。
ガドルは己を鍛えるために、戦いを望む気高き男である事を。
そして渡達と会うまで、この男の手伝いをしようと決意してしまった。
そんなタツロットを、ガドルは仏頂面で見つめている。

「わかった、行くぞ」
「了解です〜〜! 案内しますよ、びゅんびゅんびゅ〜〜〜んっ!」

空を飛ぶ龍の後ろを、男はついていった。
タツロットは、同行人の願いを叶えるため。
ガドルは、更なる参加者と戦うため。
それぞれ動き出した。

「ガドルさん、頑張ってくださいよ〜!」

タツロットの語りを無視して、ガドルは思う。
この先にいるのは、如何なるリントの戦士か。
自身を満足させるような強者か。
最初に戦った不自然なクウガのような弱者か。
だがどちらにしても、最後に殺せば良いだけだ。
もしも何も出来ない者ならば、無視すればいい。

「それにしても、ガドルさんみたいなお強い人を出会えるなんて……感激ですよ!」
(それにしても……)

足を進める中、ガドルは心の中で呟いた。
このタツロットとかいう奴は、甲高い声でやたらに喚く。
無視すれば良いだけだが、やかましい事には変わりはない。
始末する事も出来るが、参加者を捜すのにも役に立つ。
だから、我慢しなければならないが。

「ああっ、渡さん達にも会わせてみたいですねぇ〜! ガドルさん、私はあなたを応援してますよ〜!」
(こいつは黙る事は出来ないのか?)

ガドルは溜息を漏らす。
そんな彼の思いを知らずに、タツロットは飛び続けた。







日の光は徐々に薄くなり、闇が広がっていく。
規則的に並んでいる電柱柱から、次々と明かりが灯っていった。
そんな中を、二人の男が歩いている。

523強敵金カブ ◆LuuKRM2PEg:2011/03/11(金) 06:58:28 ID:d6tnq/xE
『555の世界』を代表する、ウルフオルフェノクとして覚醒し、人間とオルフェノクを守り抜いた仮面ライダーファイズに変身する青年。
乾巧。
『カブトの世界』を代表する、天の道を往き全てを司る男と自称する、仮面ライダーカブトに選ばれた男。
天道総司。
先程紅音也と別行動を取ってから、大ショッカーを打倒するために彼らは仲間を探していた。
同じ世界から連れてこられた住民達。
同じ志を持つ者達。
しかし、天道は最も信頼を寄せる男と出会えない事を、知ってしまった。

(加賀美……)

加賀美新の相棒である、ガタックゼクターがベルトと共に飛んでいるのを見て。
それが示すのは、資格者に何かがあった。
恐らく、既にこの世にいない可能性が高い。
それでも、挫ける事は許されなかった。
そんな事になってしまっては、何も守る事は出来ない。
不条理な殺し合いに巻き込まれた、多くの命。
平行して存在する、数多の世界。
みんなが生きる、自分の世界。
これ以上、何一つだろうと取りこぼすわけにはいかない。

(やれやれ、暗くなってきたな)

天道の隣を歩く巧は、辺りの警戒を強めていた。
時間からして、今はとても暗い。
こんな状況を利用して、汚い不意打ちを企む連中がいる可能性がある。
そうならないためにも、あまり気を抜けない。
オルフェノクの持つ驚異的な五感の内、二つを集中させた。
視覚と聴覚。
暗闇から誰かが現れる気配や、近づいてくる足音は感じられない。

(にしても、死人を生き返らせるか……ふざけんじゃねえよ)

その最中、巧は内心で毒を吐く。
こんな戦いを開いた大ショッカーは、優勝した暁には死者の蘇生も叶えると言った。
事実、それは真実かもしれない。
ここに来る前に、もう死んでしまったはずと言っていた音也や園崎霧彦。
木場勇治を初めとした、名簿に書かれている死者の名前。
しかし、巧にとってそれは悪趣味な行為にしか見えなかった。

(殺し合う為に生き返らせた……舐めてるのかあいつらは)

限られた命を、まるでゲームのリセットボタンを押すかのように、再び生き返らせる。
理由は、世界を救うという大義名分の、殺し合いをさせる為。
そう考えた途端、彼の中で憤りが生まれた。
死んだ人間が生き返ったところで、ロクな事にならない。
それはもう人ではなく、別の何かだ。
一度人間としての命を失い、オルフェノクとして覚醒してしまった自分には、一層そう感じられる。
事実それが原因で、自分の世界では数え切れないほどの悲劇が生まれた。
人間とオルフェノクの共存を目指したが、人間に絶望した末に命を落とした木場。
オルフェノクを研究しているという一部の警察に捕らわれて、最後には絶命してしまったと聞いた長田結花。
その強大な力に溺れて、数え切れないほどの命を奪った多くのオルフェノク。
道を踏み外したオルフェノクを利用して、悪事を働いたスマートブレイン。
結局、死者が蘇生したところで良い事などあるわけがない。

524強敵金カブ ◆LuuKRM2PEg:2011/03/11(金) 06:59:26 ID:d6tnq/xE

(気に入らねぇな……畜生)

過去の経験と今の状況にストレスを感じて、巧は道端の石ころを蹴った。
それで何かが解決するわけでも、苛立ちが晴れるわけでもない。
しかし、やらずにはいられなかった。

「…………ん?」

小石が地面を跳ねる中、巧は歩みを止める。
オルフェノクの発達した聴覚が、遠くより足音が響くのを察知した為。
方角は東。しかもかなり近い。
迫り来る気配に気づいたのか、天道もまた足を止める。

「乾」
「ああ……近いな」

一言、互いに声をかけた。
そして振り向く。
自分達に近づいてくる、存在の方へと。
薄暗い闇の中からは、軍服を身に纏った一人の男が現れる。
その瞳は鋭く、武人と呼ぶに相応しい雰囲気を醸し出していた。
男が放つ視線を浴びて、二人は反射的に構えを取る。

「何者だ」

天道は静かに口を開いた。
厳しく、警戒するような声で。
しかし男は、彼の言葉に眉一つたりとも動かさなかった。

「リントの戦士達か……」
「リント……だと?」

聞き覚えのある単語に、巧は疑問の表情を浮かべる。
リント。
それは霧彦を殺した、あの白い服を纏った男も口にした言葉。
あの時の戦いを思い出して、巧は確信する。
目の前の男は、奴と同じ世界の住民である事を。

「俺と戦え」

威圧感の籠もった声で、男は呟く。
その直後、鍛え抜かれた肉体が音を鳴らしながら、形を変えていった。
『クウガの世界』で人々を襲い続けた、暴力を振るう存在。
グロンギと呼ばれる戦闘民族。
カブト虫の物に酷似した角、鍛え抜かれた肉体を覆う外骨格、胸に飾られた銅の装飾品、金色に輝く腹部のバックル。
数え切れない程のゲゲルを乗り越えた破壊のカリスマ、ゴ・ガドル・バ。

「なるほどな……」

異形の姿へと変わった男を見て、天道は確信する。
異世界の住民である相手は、この戦いに乗っていると。
天道は傍らに飛ぶカブトゼクターを、右手で掴んだ。

525強敵金カブ ◆LuuKRM2PEg:2011/03/11(金) 07:00:32 ID:d6tnq/xE

「やれやれ……仕方ねえな」

同じように、巧も銀色の輝きを放つ携帯電話、ファイズフォンをバッグから取り出す。
その表面には、ファイズの仮面を思わせるような紋章が象られたカードキー、ミッションメモリーが装着されていた。
巧はその表面を開いて、コードを打ち込む。
自らの存在を証明する『5』の数字を、三回押した。
一度入力される度に、高い音が鳴る。
最後に、彼は『ENTER』のボタンを入力した。

『Standing by』

一連の動作によって、ファイズフォンから電子音声が発せられる。
巧はそれを耳にすると、握る腕を高く掲げた。
オルフェノクとは違う異世界の怪人と、戦うために。

「「変身ッ!」」

天道と巧は、同じ言葉を大声で紡ぐ。
今とは違う姿に、変身するために。
戦う姿への変身を、果たすために。
彼らの腰には、それを行うのに使うベルトが、銀色に輝いていた。
天道はカブトゼクターをライダーベルトに。
巧はファイズフォンをファイズギアに。
それぞれ、長い間共に戦ってきた相棒をセットした。

『Hensin』
『Complete』

カブトゼクターとファイズフォンから、異なる音声が発せられる。
そして、それぞれから内部に蓄積された物質が吹き出し、装着者の全身を駆け巡った。
カブトゼクターから噴出されるタキオン粒子が、天道の身体を包み込む。
ファイズフォンから流れ込むフォトンブラッドが、赤い線となって巧の全身を走り、輝きを放った。
ベルトから発せられる二つの光が、夜の闇を照らす。
それによって、ガドルは一瞬だけ目を細めた。
一方、中央にいる天道と巧の全身に、装甲が包まれていく。
光が収まる頃には、彼らは既に姿を変えていた。

「ほう……やはり仮面ライダーか」

そう、数多に存在する世界の象徴とも呼べる戦士。
仮面ライダーへと。
ガドルの前に立つ二人は、それぞれの世界を代表する戦士の姿となっていた。
片や天道が変身したのは、マスクドライダーシステム第1号である『カブトの世界』を象徴する仮面ライダー。
重厚感溢れる銀色の装甲と黒いスーツに身を覆い、単眼が青い輝きを放っている。
世界をワームから守り抜いた、太陽の神と呼ばれた戦士、仮面ライダーカブト・マスクドフォームへと天道総司は姿を変えていた。
片や巧が変身したのは、スマートブレイン社が開発したライダーズギアの一種である『555の世界』を象徴する仮面ライダー。
ギリシャ文字のφを象ったようなマスク、胸部と四肢を守る銀色の装甲、黒い強化スーツに走る赤いライン。
本来は、オルフェノクの王を守るために作られたベルトの戦士。
しかし巧は、人間を守るためにそれを使い戦った。
人間とオルフェノク。
種族の未来を守るために戦った戦士、仮面ライダーファイズへと乾巧は姿を変えていた。

「行くぞ」
「ああ」

変身を果たした彼らは、再び声をかけ合う。
カブトは、己の武器であるカブトクナイガンをアックスモードにして。
ファイズは、ファイズフォンからミッションメモリーを取り出し、ファイズショットに差し込んで。
それぞれの武器を握り締めながら、疾走を開始した。
彼らは二手に分かれ、左右から攻撃する事を選ぶ。
ガドルはそれを察すると、左手で胸の装飾品を一つ取り出す。
すると、飾りは肥大化して、一瞬の内に無骨な剣へと変わった。

526強敵金カブ ◆LuuKRM2PEg:2011/03/11(金) 07:01:35 ID:d6tnq/xE

「ハアッ!」
「ヤアッ!」

右からカブトが、左からファイズが。
それぞれ斧と拳を、力強く振るう。
対するガドルは、それを迎え撃った。
剣と右手を、掲げる事によって。
すると、互いの得物が激突し、金属音と火花を散らせた。
そのままガドルは、両腕に力を込めて二人を押し返す。

「くっ!」
「うわっ!」

カブトとファイズは、蹌踉めきながら後退した。
彼らは体勢を立て直すが、遅い。
その僅かな隙を付いて、ガドルは走りながら剣を振るった。
まずは、カブト。

「グッ!」

ガドルが横薙ぎに振るった剣を受けて、仮面の下から呻き声を漏らす。
そのまま、カブトの身体は地面に叩き付けられていった。
マスクドフォームの堅牢な鎧があってしても、身体に伝わる衝撃は凄まじい。
痛みのあまりに、中にいる天道の頬から汗が流れた。
倒れたカブトに目を向けず、ガドルはファイズに振り向く。
鋭い瞳を向けながら、剣を縦に振るった。

「フンッ!」

迫り来る、銅色の刃。
ファイズはそれを見て、体勢を一歩分ずらす。
それによって、剣先を掠ることなく回避に成功した。
しかし、続くようにガドルは獲物を振るう。
上から下、右から左、そして斜め。
縦横無尽に迫る刃を、ファイズは避ける事しかできなかった。
しかも完全には至らず、時折掠っている。

「ちっ!」

怒濤の勢いで振るわれる剣を見て、ファイズは舌打ちをするしかできない。
下手に反撃をする事も、出来なかった。
相手の剣は、重厚感溢れる鎧に包まれたカブトすらも、軽々と吹き飛ばした。
軽い装甲しかない自分があれを受けては、一溜まりもない。
今は致命傷を受けていないが、このままではどうなるか。
ガドルが振るう剣を、ファイズは避けながら考える。
反撃のチャンスを。
切り抜ける手段を。

527強敵金カブ ◆LuuKRM2PEg:2011/03/11(金) 07:02:51 ID:d6tnq/xE

「どうした、その程度か!?」

怒号と共に、ガドルは剣を掲げる。
そのまま勢いよく、ファイズに目がけて振り下ろした。
刃は彼の薄い装甲を、切り裂こうと迫る。
その直後、銃声が鳴り響いた。

「ヌッ!?」

ファイズに振り下ろされた剣は、届かない。
ガドルの動きが、唐突に止まったため。
それを見たファイズは、拳を強く握り締めた。

「ラアッ!」

勢いよく、ストレートの一撃をガドルに向けて放った。
鍛えられた胸板に叩き込まれ、巨体が少しだけ後退する。
しかし、手応えはあまり感じられない。
むしろ逆に、ファイズの拳が痛みを感じていた。

(硬え……何だよこいつの身体は!)

殴った手をぶらつかせながら、彼は舌打ちする。
分かっていた事だが、目の前の相手は強い。
スマートブレイン社にいる、ラッキークローバーにも匹敵するかもしれなかった。
特に、ドラゴンオルフェノクやこの会場の何処かにいるローズオルフェノク。
奴らと同等の力を、相手は持ってると確信した方が良い。
ファイズが戦慄する一方、ガドルは振り向いた。
先程吹き飛ばしたカブトの方へと。
銀色の鎧に包まれた戦士は、その手に拳銃を持っている。

「その程度か」

ガドルは何でもなさそうに、あっさりと言い放った。
熱と衝撃が、ほんの僅かだけ背中に感じる。
しかし、それだけ。
如何にカブトクナイガンから放たれるイオンビームでも、ガドルに傷を負わせる事は出来なかった。

「なるほどな」

仮面の下で、カブトは呟く。
先程吹き飛ばされた後、隙を見つけてクナイガンから弾丸を放った。
そして、ファイズは拳を叩き込む。
しかし効果はあまり見られない。
敵の骨格はそれほどまで、分厚いようだ。
加えて純粋な腕力は、マスクドフォームすらも上回る。

528強敵金カブ ◆LuuKRM2PEg:2011/03/11(金) 07:04:35 ID:d6tnq/xE

「オオオオオオォォォッ!」

カブトは考える中、ガドルは突貫してきた。
分厚く鋭い刃を、頭上に掲げる。
そのまま空気を震わすような勢いで、大剣を振り下ろした。
立ち向かうために、カブトもクナイガンを下から上に翳す。
刹那、異なる二つの刃が激突した。
金属音と、橙色の火花が周囲に広がる。
続くように、斧と剣が衝突を続けた。
一度ぶつかる度に、耳障りな音が闇の中で響く。
次々と生じる閃光が、微かに辺りを照らした。

「ハッ!」
「ダアッ!」

咆吼と共に、互いの武器が激突する。
一閃、二閃、三閃、四閃。
その度に、彼らの腕を衝撃が伝わっていた。
しかし、その勢いはガドルの方に傾いている。
相手の腕力は、規格外の物だ。
このまま真っ向からぶつかっても、勝てるわけがない。
数度に及ぶ刃の打ち合いの後、距離を取った。
三つの瞳が、互いに睨み合う。

(目には目を、歯には歯を、カブト虫にはカブト虫か)

敵意が激突する中、カブトは心の中で呟いた。
そして、腰に手を伸ばす。
赤い煌めきを放つゼクターの角