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辺獄バトル・ロワイヤル【第3節】

1 ◆2dNHP51a3Y:2021/06/25(金) 21:22:55 ID:riCoyL6w0
―――ソラを見よ、血染めの月が、世界を侵食(おか)す

833プラトン 清棲あかりの弁明 ◆s5tC4j7VZY:2024/05/07(火) 05:51:07 ID:A7x23/060

バシュウウウ……

「えっ!?」
「なっ!?」

結論から述べると、キヨスは無傷だった。なぜなら、アリスが防御したからだ。
アーナスが使用したスーパー宝具をも跳ね返したアリスのガードは鉄壁といっていいだろう。

『私も忘れてもらっちゃこまるわ!』

アリスがキヨスの盾になるかのように前に立つ。

「アリス!」

アリスはキヨスに顔を向けると、ピースをする。

「ふふ……今度はその小さな子供を盾にして生き延びるの?」
「……ッ!!」

脳裏によみがえる。
トッペイ君・エルピスの姿が。
自分だけが生き延びた姿が。

「どういう意味?」
「意味って言葉の通りよ。本当は気づいているんでしょ?生きる証を集めているなんてお題目があれば、少しでも長生きできるって!」
「!?」
「あの双子に対抗するグループから庇護されるかも!支給品を譲ってもらえるかも!そして、あわよくば死体から何か得られるかも!」
「隠しきれてないわよ?貴方のデイバックから漏れているわよ?死者の嘆きが」
「!?」

「私は知ってるんです。死者の、私たちを妬む声も、恨む声も。苦しみも、嘆きも。目を瞑っても、耳を塞いでも、ずっとずっと心の奥に溜まってる。」

「違う……私は」

零ちゃんの言葉が私の動きを鈍くする。

「あら。気づいたことに気づかないふりをしているだけ、ね」
「目を逸らして、己の欲望のためだけに、生きた証を集めるという名目で引剥を行うのよね?羅生門の老婆のように」

「……」

私を断罪する言葉。
老婆は餓死をさけるため、死者の髪を抜き鬘にしようとしていた。
私も死者の”生きた証”を集めている。
確かにそういう意味では、私と老婆は同一である。
エルピスの舌。巨人化したベルトルト・フーバーの皮膚等がそれの照明。

「あなたはワタシと同じ。エゴで動くお人形」
「……」

「退場なさい!」

今度は、全方位に剣を飛ばす魔法攻撃。

「……ッ!!」
(しまっ……!!)

ガガガッッッ!!!

『契約者に立て続けに死なれたら従魔の名折れよ』

再び、アリスは銀の盾に姿を変えてキヨスを守る。

「ごめん」
『気にすることないわ。それよりもしっかりしなさい!いくら私でも、生きる意志がない者を守り抜くのはできないわ』

アリスは私を叱責しつつ護衛する。

「面倒ね」

低級幽鬼かと思えば、その能力は厄介だ。
なら、圧倒的な力で押しつぶせばいい。

「ねじ曲げられた運命を、すべて断ち切れ!プラトン!」

その言葉が異形化への鍵だったのだろうか。
ヨミガエリを果たすために辺獄で集めてきた理念を開放する。
アナムネシスの姿が変化する。

834プラトン 清棲あかりの弁明 ◆s5tC4j7VZY:2024/05/07(火) 05:51:45 ID:A7x23/060

「さぁ、絶望なさい」

―――プラトン―――

「あ……ああ……」

足が震える。
先ほどの超大型巨人にも劣らない威圧感。

「……さぁ!清棲あかり!あなたを無残に殺してあげる!魂と肉体から、悲鳴を一滴残らず啜り取ってあげる!」
「貴方の魂を喰らい、この催しを優勝して、ワタシはヨミガエリを果たす!!!」

言葉と同時にいくつもの魔法陣が出現すると、そこから無数の矢が襲い掛かる。

「「!!??」」

私とプラトンの両者の間に立ちふさがった少女。
その姿は蝙蝠に似ていた。
そして、威厳があった。

「バカみたいに大声出して…見つけてくださいって言ってるようなもんね」

☆彡 ☆彡 ☆彡

「ねぇ、アンタ吸血鬼?」
「この姿で血を吸う蝙蝠と間違えるかしら?ワタシは幽鬼よ」
「ハン!”鬼”であることには変わりないじゃない」
「そして、人の命を何とも思わないゲスの鬼ね」
「……いってくれるわ」

王ルトンは、挑発だと理解しているが、やはり上から目線の傲慢な物言いに怒りを抑えられない。

「そこのアンタ!」
「!」

少女は私に視線を向けると。

「悪いけど邪魔よ」
「え!?」

言葉の刃を突き立てた。

「で、でも!」
「戦える顔じゃない。今のアンタが加勢したところで唯一残った命すら失うだけ。周りの命を巻き込んだ上でね」

―――ドクン

何度も脳裏に浮かぶトッペイ君とエルピスの無残の死骸を。

「さっ、はやく行きなさい」
「……」

トンッと背中を押されたような感じを受けつつ、私は助けてくれた少女に背を向けると走り出す。
ここで、死んだら、生きた証が残せないという言い訳を得たから。
ああ……私って本当に■■だな

835プラトン 清棲あかりの弁明 ◆s5tC4j7VZY:2024/05/07(火) 05:52:18 ID:A7x23/060

☆彡 ☆彡 ☆彡

「……」
(行ったようね……)

ドミノは立ち去るキヨスを見送ると、プルトンと対峙する。

「沈んで!」
四方八方から4色の魔法が襲い掛かる。
ドミノはそれらを紙一重でよけつつ、殴りかかろうとする。
―――が。

「……ッ!?」

すぐさま反転して距離をとる。
ドミノが距離をとった瞬間、プルトンの周囲が爆発する。

「……」
(厄介ね。距離をとれば、矢に魔法らしき攻撃。逆に距離をつめれば、爆発というわけか)

ドミノが対峙した悪魔人間(デビルマン)は、純粋なパワータイプだとしたら、プルトンは、技巧タイプ。
王道を歩むドミノとしては、技巧タイプなど、純粋に踏みつぶせばいいが、なかなかそうはいかない。

「あら、疲弊を隠しきれていないわよ?ふふっ、永遠の休息に入ったらどうかしら?」
「気遣いはいらないわ。この程度ハンデにもなりゃしないわよ」
「そう?なら退場なさい!」

杖による大ぶりな攻撃。
ドミノは持ち前の機動力でかわしつつ、ギュッと握った拳で殴りかかる。
たいていの吸血鬼ならこの一撃で仕留められる。
しかし、プラトン……アナムネシスは沈まない。

「チッ……」
(やっぱり、本調子じゃないからダメね)

傷ついた身体は、現在進行形として目下再生中。
王道を歩めぬクズなら何にも支障はない。
だが、プラトンと異形化したアナムネシスも、王とまではいかなくとも辺獄の管理者達から一目置かれ、ブルバキ達から信奉されるほどの実力者。再生中の片手間で仕留められる相手ではない。

「一撃が無理なら何度でもでいくわよ」
「ぐッ……この!」
(この子の一撃、結構重いわ……もし、万全だったらと思うとゾッとするわね……)

殴る。殴る。殴る。
いくら致命傷に繋がらなくとも一方的に殴られるのは気分が良いものではない。
プラトンは苛立ちを隠せない。

「ワタシはこの物語の主人公!光なのよ!」

矢が次々とドミノへ襲い掛かる。

「…ハッ。私が光よ」

836プラトン 清棲あかりのイデア論 ◆s5tC4j7VZY:2024/05/07(火) 05:52:49 ID:A7x23/060

☆彡 ☆彡 ☆彡

5章 自分に打ち勝つことが、もっとも偉大な勝利である

「……」

私はアリスに手を引っ張られながら走っている。

石に躓くと、私は転ぶ。

『ちょ……大丈夫!?』
「……」

いいの?
これでいいの?
このまま、現場から逃げて。
目を瞑る。
そして、知り合いたちを想起する。
決意を固めるために。

『キヨス!まさか、こんなことで諦めないわよね?』

鳴門さん。ええ、勿論!

『……君の良さはその行動力だ。立ち止まるのはらしくないな』

立花先生。ありがとうございます。生きて帰ったら、私、立花先生のハーブティ飲みたいです。

『うん。やっぱり、へこたれないキヨスちゃんはかわいいなぁ』

近い!まったく……こいつは

『キヨスちゃん。その採取したのDNA鑑定するわよ?』

堀内さん。助かります。この生きた証は必ず展示したいので。

『キヨス先生。その生きた証は私が燻蒸に立ち会いますね』

ありがとう。さっしーなら心配しないで任せられる。お願いしていい?

『どれ、そのポケモン図鑑とやらを見せてみろ。』

ありがとうございます!緒方さんのレプリカの造形は私のヴンダーカンマーに必要不可欠なので!

『キヨス!また同定をお願いしたいから!死ぬんじゃないよ!』

勿論、死ぬつもりはないよ、アメリちゃん。だから……再開したら飲もうね!

『かなでの森の博物館の鳥類担当なんだから、死んじゃ駄目よ?』

雅ちゃん……そうだね!私もまだまだかなでの森の博物館での常設展とか内装でやりたいことあるから!

『おう……キヨス。お前が死んだら鞍替えした意味なくなるだろ!だからお前らしく行動しろ』

キク……あ!そうそう、私を助けてくれた少女。なんだか蝙蝠に似ていたよ!後で詳しく話を聞いてみるね!

『よう、キヨスケ。今年もゴメ数えるんだろ?』

私はキヨスです!貴明さん。……はい!今年もよろしくお願いします。

『キヨス先生。この事件、聞き取りたいんですが、よろしいですか?』

鬼瓦刑事。いいですけど、荒唐無稽だなんていわないでくださいよ

『キヨス先生と辰巳先生はいつもギリギリですから早くお願いしますよ』

ごめんなさい。事務局長。ついつい忘れちゃうの。

『……!!』

館長!元気?

『ちょっと……キヨス先生?それは、カメ。館長はボク!!』

あ!人間の館長もね 

『ちょっとぉ』

『こんなに集めてどうするんですか?』

えーと……たしか役所から派遣された人だっけ。あのねー、どんな研究も材料がなきゃ始まんないでしょ!だから集めるの。100年後の未来にも届けるために。

837プラトン 清棲あかりのイデア論 ◆s5tC4j7VZY:2024/05/07(火) 05:53:11 ID:A7x23/060

『……アカリ』

マネーラ……
今の私を見たらマネーラは激怒するだろう。

戦わずに理想を掴めると思ってるの!って。
うん、うじうじ悩むには私じゃない!

『そいつがいたって証拠残せるのは俺だけだ』

……師匠。名も知らない私の師匠。
師匠との出会いがあるから私は今、ここにいる。

そう、この殺し合い。
”いたんだ”を残せるのは私だけ。
だから、私は集める!
そう……それは私のエゴ。
だけど、それ(エゴ)は人の心だから!!!

「……ごめん。アリス」
『え?』

言葉と同時に、私を立ち上がらせようと差し伸べた手を勢いよく払いのけると、自分で立ち上がって踵を返す。

『ちょ?ちょっと!もしかして戻るつもり!?』
「うん。やっぱりこのまま逃げたら私の勝利条件じゃなくなるから」
『アカリ。はっきりいって、ワタシたちは邪魔よ。』
「わかってる。でも、今のままじゃ”残せない”」
『残せないって……』
「”いたんだ”ってこと!!!」

私はアリスにそう答えると勢いよく走りだす。
零ちゃんに言われた言葉を思い出す。

「随分と、都合のいい解釈をするんですね。」

そうだね、でも、それができるのも大人なんだよ。

「命だったものを奪って。死者の生きた証に涙を流して――それで、死者は報われるんですか?」

私はそう信じている。この殺し合いがあったことを残さなければ、ただの行方不明者ですんじゃう。
そしたら、流すものも流せない。

「私は知ってるんです。死者の、私たちを妬む声も、恨む声も。苦しみも、嘆きも。目を瞑っても、耳を塞いでも、ずっとずっと心の奥に溜まってる。」

「――そんなあなたの『エゴ』に……私を巻き込まないでっ!」

ごめん!巻き込むね!だってそれが私だから!

『全く……アカリって突っ走る女ね』
「じっとしてられないんだ」

苦笑する。

『はい、これ』
「?髪飾り?」
『わたしの前の契約者……赤城みりあ……小さなアイドルのよ』
「アリス……」
『結局、巨人から身を守るので必死で、それぐらいしか残せなかったけど……』
「ありがとう!みりあちゃんの生きた証。確かに受け取ったよ!」
『それと!主人が行くなら私も行くにきまってるわ!』

さぁ!急いで戻らなくちゃ!

気づいたら―――
世界は再びカラフルに色づいていた。

838プラトン 清棲あかりのイデア論 ◆s5tC4j7VZY:2024/05/07(火) 05:54:58 ID:A7x23/060

☆彡 ☆彡 ☆彡

―――ザッ

「はぁ……はぁ……」
(思ったより、体力があるな……)

「くっ……」
(素早いわ……かゆいところに手がギリギリ届かないといった心境だわ)

互いに決定打が打てず、千日手といったところ。
しかし、互いに体力は極大の消耗。
どちらかが、強大な攻撃を決めれば勝負は決する。

「ちょっとまったーーー!!!」

山彦として帰ってきそうなほど、私は腹から大声を出した。

「あら?」
「ッ!」
(チっ!)

あちゃー……私を助けてくれたあの子。苛ついているな。
ごめんね。優しい蝙蝠?の女の子。
さて……覚悟を決めよう。

「そこをどいて!!!」
「!」

私の声が届いたのか、蝙蝠に似た少女は、プルトンから大きく距離をとってくれた。
よし、今なら!
私はグッと握りしめる。
朱い高級感漂うモンスターボール。
私の最後の支給品。
私をそれを―――

「そりゃぁぁぁぁああああああ!!!!!」

勢いよく投げる。
ボールが開き、ポケモンが出てくる。
中に入っているのは―――

「ズギャオォォォォォ!!!!!」

黄金に輝くボルケニオン。

839プラトン 清棲あかりのイデア論 ◆s5tC4j7VZY:2024/05/07(火) 05:55:12 ID:A7x23/060

☆彡 ☆彡 ☆彡

6章 人の器は、力を持ったとき、その力でなにを為すかで計られる

ボルケニオン―――それは幻のポケモンと呼ばれる中の一体。
だが、本来のボルケニオンは赤き紅き朱き空の平安京にも劣らない洋紅色のような真っ赤。
決して輝く色ではない。
では、所謂色違いなのか。
ポケモンには稀に見かける”色違い”と呼ばれる希少種がいる。

でも、このボルケニオンは突然変異な希少な色違いではない。
では、”あかいギャラドス”のように、とある犯罪組織が発した電波によるものなのか?
それも違う。
これは、0と1の電子の海が生み出した虚構の産物。
多くの小さな怪物の育成者はその虚構を信じた。
踊らされた結果、己の分身を失い、辺獄に堕ちた。
その無数の恨みや辛みの魂の声を辺獄の管理者である悪魔の双子と黄幡神を担当する陰陽師が実体化させた。
黄金のボルケニオンを。

「……ッ!」

これから行う行動は、傷が増える。
決して消えない傷が。
だけど、顔を背けない。
命を奪うことから。
だから……

腹の底から技の指示を出す。

「スチームバースト!!!」

それは一瞬であった。

840プラトン 清棲あかりのイデア論 ◆s5tC4j7VZY:2024/05/07(火) 05:55:33 ID:A7x23/060

☆彡 ☆彡 ☆彡

終章 優しくあれ。人は誰しもみな、戦ってるのだから

「……」
「〜〜〜♪」

ボルケニオンは、主人の敵を水蒸気の熱気で仕留めると、すりすりと頬を撫でつける。
それを私はポンポンと優しく頭に触れると、労をねぎらう。

「ありがとう。ゆっくりと休息して【アトミス】」

私はボルケニオン……アトミスをボールに戻す。
名前の由来はというと、ボルケニオンは分類にすると”スチームポケモン”というらしい。
スチームは蒸気を意味する。そこで、水蒸気を意味するギリシャ語から名付けた。
ボールにきちんと収納できたということは、どうやら、アトミスはギャブロ君やマネーラにエルピスとは違い、正真正銘のポケモンだったと証明された。

「……ワタシは主役ではなかったというわけね」

ボルケニオンの技を受けたアナムネシスは、プラトンから元の幽鬼の状態に戻っていた。
全身大火傷を負っている。
幽鬼でいえど、ここまでの傷を負っては助からない。
ゆっくりと衰弱死へと歩んでいる。

「……」

殺ってしまった。
それは、自分の信念(生きている生物は絶対生かす)を貫き通せなかった証拠。
喉が渇く。
誰かを殺すということはこういうことなのかな。
亡くなった生物を解体して剥製にしたときには感じたことない感覚が私の身体を駆け巡る。
もうすぐ、2回目の放送が流れる。
目の前の幽鬼と名乗る女性……アナムネシスの名が呼ばれる。
勿論、自分で選択した結果。
たとえ、殺し合いに乗った参加者の命を奪ってでも生きた証を集める私の”エゴ”
でも、もう迷わない。私は進む。

「……真」
「……え?」

「……恵羽想真。ワタシがアナムネシスとなる前の名よ」

そう、幽鬼の姫の手で辺獄へ堕ち、復讐を誓い、幽鬼アナムネシスとなる前の名。
死を目前なのか、ジグソーパズルが完成したかのように記憶が戻ったようだ。
故に……話す。このまま終わりを迎えるのを拒むかのように。

「娘の名は千。……ねぇ記してくれるかしら?それが貴方の”エゴ”なんでしょ?」
「……はい!勿論です」

―――フォン

白い本が目の前に現れた。

「これは……?」
「クス。大丈夫。それに触れれば、”知る”ことができるわ」

記憶溜り。
私はそれに触れると―――

841プラトン 清棲あかりのイデア論 ◆s5tC4j7VZY:2024/05/07(火) 05:55:49 ID:A7x23/060

☆彡 ☆彡 ☆彡

『本当にいいの?誠士郎さんと一緒に行かなくて』
『父さんは、あたしがそばにいなくても大丈夫な人だからね』
『あら?それって母さんをひとりにすると心配って言ってるように聞こえるわ』
『はは。父さんよりは、心配かな』
『……ごめんなさいね。あなたにとって、父さんは憧れだったのに』
『父さんの正義はあたしの目標だけど、離れていても目指し続けることはできるよ』
『あたしにとって、一緒の時間を歩きたかったのは母さんだから』
『……ありがとう、千。今は、その言葉に甘えさせてもらうわ』
『だkど……もしワタシたち家族に何かあったら……』
『あなたを守るのは、母さんの役目だからね。覚えておいて』

『……ここは?』
『目が覚めた?』
『母さん?……すべて、夢……ではないのだな』
『……ええ。あのあと、あなた気を失って……。なんとか、ここまで運んできたの』
『あいつのせいか……あの幽鬼の姫とかいう……。くっ……!』
『すぐに動くのは無理よ。ここで、休んでいて千……』
『そうだ……あれからどうなった!?他の乗客は!?』
『……母さんね。人はみんな、本当は優しいんだって信じてたの』
『そんなところが……検事の誠士郎さんとは合わなかったのかな』
『……母さん?なんの話を……』
『強要されても、助かる道が他になかったとしても、人が、誰かを傷つけるなんて、ないって思ってた……』
『……乗客が、殺し合いをしているのか?』
『あなたが気を失っていてよかった。人の……あんな姿を、子供に見せなくて済んだから』
『……お願い。あなたはこのまま、目を閉じていて』
『なにを言っている?乗客が襲ってくるかもしれないなら、逃げないと……』
『心配しなくてもいいのよ。誰にも、あなたを傷つけさせないから』
『母さん!?まさか……ダメだ!』
『……それで、あなたが助かるなら、母さんはなんでもするわ』
『あんなやつの言うことに従ってどうなる!?』
『……あら。ルールに従うのは、正義でしょ?』
『違う!殺し合いはルールなんかじゃない!あいつが言った、なんの保証もない戯言だ!』
『戯言に惑わされて、他者の命を奪うのは正義ではない!』
『誠士郎さんの正義は、そうでしょうね』
『父さんは、昔こんなことを言ってたわ』
『自分が、裁判で頑なにルールや法を遵守するのは、そこに少しでも人の情や自分の意思を入れてしまったら……』
『それはもう、神様の仕事になってしまう……自分は、最後まで人で居続けたいんだ……って』
『……父さんが、そんなことを』
『でもね……母親の正義は、違うの』
『他のすべてを犠牲にしても、絶対に子供を守る』
『子供を守るために必要なら、人間でなくてもいいわ』
『それが、母親よ』
『……母さん、お願いだ……やめてくれ……』
『だから、あなたは助かるわ』
『母が、すべてを捧げて、そう願い続けるから』
『ダメだ……戻って……』
『最後にひとつだけ、母さんの我儘をきいて……』
『これから母さんがすることを……あなたにだけは、見てほしくないから……』
『だから、千……すべてが終わるまで、目を閉じていて』
『……母さん!母さんっ!』
『こんなのはイヤだっ!母さん……行かないで!』
『なぜ、こんなときにあたしは、なにもできない……っ!』
『……あたしは……どこまで、無力なんだ……!』
『……強くなりたい……』
『自分の正義を……貫き通せるくらいにっ!』
『……母さん……』

842プラトン 清棲あかりのイデア論 ◆s5tC4j7VZY:2024/05/07(火) 05:56:06 ID:A7x23/060

☆彡 ☆彡 ☆彡

「……」
(今のは……想真さんの記憶?)

「……」
(これが……母親……)

なんとも言い表せないこの気持ち。
私はまだ、結婚をしていない身。しかし、同じ女性としてその行動原理は分かる。
勿論、だから他者の命を奪っていい理由にはならない。
ギュっと両手を強く握りしめる。
こんな悪趣味を行った幽鬼の姫への憤りを発散するために。

「!」
(これって……!?)

記憶をメモに残そうと目を向けると、自分の字ではない一文がそこには記されていた。

『悪魔の契約を打ち破るには、トラウマを克服するしかない』

それは、アナムネシスがメモに記した一文。
辺獄の悪魔に踊らされた一人の女性の抵抗の証。

「想真さん……」
「くす……頼んだわよ。千……貴方の成長を見守ることが出来なくて……母さんの役目を果たせないで……ごめんなさい……ね」

それは、親としての無念。
だが、託した。
一組の親子がたしかに”いた”ことを。
かくして運命に翻弄された女性は、舞台から降りた。

【アナムネシス@CRYSTAR -クライスタ- 死亡】 

「……」
(想真さんに、娘の千ちゃん。必ず”いなかった”ことにはしません)

両手を合わせ黙とうする。
内なる決意を深めつつ。

「以外に落ち着いてるのね」

私を守ってくれた少女。
”優しい”少女。
私と想真さんとのやり取りを黙って見守ってくれていたことがなによりの証。

「必死に平静を取り繕っているだけだよ。自分の意志で命を奪った事実に押しつぶされないように」
(そう、自分の人生の一部を切り捨ててでも前に進むことを選んだ)

「でも、もう迷わない。私はこの殺し合いに巻き込まれた人たちのたくさんの”いたんだ”を残す」

「……ふーん」
(死地を乗り越えたいい顔になったわね)

―――スッ

「……?」
「自己紹介してなかったね。私は清棲あかり……エゴの理想を叶えようとする博物館人だよ」

―――ニッ

「ドミノ・サザーランド。この世界を統べる女王よ」

別れ、そして新たな出会い。
へんなものみっけ!

843プラトン 清棲あかりのイデア論 ◆s5tC4j7VZY:2024/05/07(火) 05:56:21 ID:A7x23/060

【E-5 火災現場/一日目/昼】

【清棲あかり@へんなものみっけ 】
[状態]: 負傷(小) 疲労(中)身体のいたるところに切り傷(移動には支障なし) 自らのエゴを受け入れた黄金の精神、爆風で煤けて汚れている アリスと契約
[装備]:ポケモン図鑑@ポケットモンスター モンスターボール×8 ひかりのドレス@ドラクエ7 キングラウザー・スペードのラウズカード@仮面ライダー剣 色違いボルケニオン(アトミス)入りプレシャスボール@ワザップ!
[道具]:基本支給品X2(自分、アナムネシス) Eー3かねでの森博物館から持ってきたフィールドワークや解体用の道具(双眼鏡・ハイヒール(大型動物解体・調理用刃物)など) 火山灰(一人分の量)@血と灰の女王 エルピスの舌 理念(イデア) みりあの髪飾り 超大型巨人の皮膚(ベルトルト)ランダム支給品×0〜2 (アナムネシス) メガリスロッド@ファンタシースターオンライン2
[思考・状況]
基本方針:
0:ドミノちゃんと情報交換する。
1:たくさんの”いたんだ”を集めて伝え残す
2:ロック・鬼くびれ大羅漢(金髪の外人)に注意する
3:二日目の昼にはE-3のかなでの森博物館へ戻り、ギャブロ君達と合流して手にした情報を交換する
4:トラウマを克服……それが、紋章を打ち破る……
5:マネーラ……のらないよね?
6:エルピス……トッペイ君。私、必ず伝え残すよ
7:よろしくね、アリス!アトミス!
[備考]
※参戦時期は原作1話 事故死したカモシカを博物館に持って帰ったところ
※ロックの危険性について知りました。征史郎との会話から爆発させる能力はスタンドの力ではないかと推測しています。
※マネーラ・ギャブロ・藤丸立香の世界について簡単に知りました。
※トッペイとの情報交換でクライスタの世界観を大まかに把握しました。
※征史郎との情報交換でリベリオンズ、ブルーリフレクション、よるのないくに2の情報を得ました。
 ただしリベリオンズはDルートの為充、琴美以外の人物とは話が合いません。
※トッペイの治療により、本来の服装であるパーカーを足りない包帯代わりに使用しました。
※トッペイの治療でかなでの森博物館から持ってきたフィールドワーク用の包帯は使い切りました。治療に使える薬はまだあります。
※スペードスートのラウズカードの内、スート7メタルトリロバイト、スート10タイムスカラベを使用しました。
※劇場の涙を流したことで理念を出現させ、手に入れました。
※アナムネシスの記憶溜りからアナムネシスの記憶を見ました。
※ポケモン図鑑に参加者の情報が記録されました
(清棲あかり、マネーラ、ギャブロ 、藤丸立香、パンドラボックス、幡田零 、城本征史郎 、細谷はるな、司城夕月 、トッペイ、ベルトルト・フーバー 、赤城みりあ、松坂さとう、アルーシェ・アナトリア、アナムネシス、)

【ボルケニオン(色違い)@ワザップ!】
「背中の アームから 体内の 水蒸気を 噴射する。山 ひとつ 吹き飛ばす 威力」byポケモン図鑑
分類:スチームポケモン タイプ:ほのお、みず とくせい:ちょすい
あかりに支給された、プレシャスボールに入っていた幻のポケモン。
しかし、この色のボルケニオンは本来なら存在しない。
辺獄ロワという特殊環境が生み出した産物。とはいえ、本来のボルケニオン同様の力を有する。
あかりにより【アトミス】と名付けられた。
技構成
スチームバースト
フレアドライブ
くろいきり
だいばくはつ
「簡単です! まず初めに ボックス1の一番左上にポケモンがいないことを確認する。
 いるなら別の場所に移動してください。 〜〜〜→結果 ボルケニオンゲット! 」byワザップ
※この裏技はセーブデータを削除させようとする悪質な投稿です。決して実行なさらないでください。  
  詐欺罪と器物損壊罪で訴えないようお願い申し上げます。

844プラトン 清棲あかりのイデア論 ◆s5tC4j7VZY:2024/05/07(火) 05:56:34 ID:A7x23/060

【ドミノ・サザーランド@血と灰の女王】
[状態]:全身にダメージ(大)、疲労(極大)、身体を再生中、主催に対する強い怒り
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2、応急手当セット@現実
[思考・状況]
基本方針:メフィスとフェレスとかいうクソ野郎二人は必ず叩き潰す
1 :清棲あかりと情報交換をする。
2 :攻勢にでるわよ。西に行って様子を確認する。
3 :下僕たち(佐神善、日ノ元明)に充や彰の知り合いを探す。ニアミスなのは残念
4 :首輪及び紋章を何とかするために、主催を知ってそうな参加者は見つけた。後はどうするか……
5 :あの悪魔(不動明)がまた挑んでくるようなら迎え撃つ。
6 :日ノ元士郎はここで斃しておきたいけど今は待つ。堂島は信用しない。
7 :しおが『下僕』になるかは彼女次第。
8 :日ノ元とは何とか協定を結べたけど、下僕たちはどうするのやら。
9 :強姦魔(モッコス)とヘルメット(ジャギ)は出会ったら潰す。
10:蒔岡彰、先に出会ってたら下僕だったんだけどねぇ……
11:伯爵の関係者も漁ってみる。
12:ユーベン……まさか?
13:零や可奈美にあったら、まあ軽く仲裁はしておく。

[備考]
※参戦時期は88話から。
※真祖の能力に制限が課せられています
※主催者の関係者にユーベンが関係してる可能性を考えてます。
※ドミノ、しお、日ノ元、彰、オフィエル、みらい、沙夜と情報交換をしました。
 充はDルートなのではるなと彼女から話を聞いた人物、
 途中までならCルートと同一なので途中までは結衣と話が嚙み合います。
※ムラクモ達と情報交換をしました。

845プラトン 清棲あかりのイデア論 ◆s5tC4j7VZY:2024/05/07(火) 05:57:41 ID:A7x23/060
投下終了します。

1〜4章が 前半  プラトン 清棲あかりの弁明
5〜最後までが後半 プラトン 清棲あかりのイデア論 となります

846 ◆vV5.jnbCYw:2024/05/09(木) 23:22:16 ID:5/ozzfv20
投下お疲れ様です
しんのすけの時と言い、元の能力がそこまで高くないキャラをかっこよく見せるのが巧いですね。
パンドラボックスの最期は悲しかったので、光のドレスと言う形で清棲あかりを守っていたのが嬉しかったです
アナムネシスも存分に見せ場を発揮しており、彼女の全てと、運を使わなければ勝てないという説得力がありました
最後に色違いボルケニオンが出てきたのは驚きました。こいつをワザップジョルノが見たらどんな反応するのか気になります

847 ◆2dNHP51a3Y:2024/07/22(月) 18:40:19 ID:4CKIQH4E0
十条姫和、日ノ元明で予約します

848 ◆2dNHP51a3Y:2024/07/29(月) 00:49:09 ID:CU02PVVs0
予約延長してきます

849 ◆2dNHP51a3Y:2024/08/05(月) 17:25:19 ID:cycI.XZg0
期限には間に合わなさそうですので予約は取り下げます

850 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:15:59 ID:D7s.lMOg0
投下します

851 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:17:05 ID:D7s.lMOg0
 貴真の仕掛けた檻から脱した三人の生存者にして敗北者達。
 たった一人の男によってもたらされた理不尽は、
 三人もの仲間を喪うことことに繋がった完全な敗北だ。
 敵も減ったが、だからと言って手放しで喜ぶことはできなかった。
 悠奈は近くの茶屋の席に寝かせているが、決して目覚めることはない。
 誰もが死んでいると認識するには十分すぎるほどの、頭部の傷痕。
 彼女の死因となる顛末は既に聞き及んでおり、政が後頭部を掻く。

「……ひとまず追ってきてはねえみてえだな。」

 政が外の周囲を確認しながら安堵の息をつく。
 エスデスが追撃を仕掛けてきてたら冷や汗ものだったが、
 さすがにまほうの玉のダメージは大きかったことが推測できる。
 これならばそう簡単に動けなくなったのか、もしかしたら仕留めたか。
 いや。あれだけ化け物じみた強さを見せたのだ。あれでくたばったとは思えない。
 余り楽観視するつもりはなく、そのまま警戒を怠ることなく二人を見やる。

 互いに疲弊した様子だが、それだけではないのだろう。
 最初からほとんど一人で行動していた政とは違って、
 短くない時間過ごしてきた仲間であることは察せられる。

「まさか、あいつまでいるとはな。」

 放送からほどなくして出会った修平という男。
 メフィスの言うとおりだった。誰も六人とは言ってなかったし、
 同時に八人と思い込んでいたのが彼らの存在に気付かなかった要因だ。
 改めてメフィスたちの掌の上で踊らされてるという事実に怒りが募る。

「悪い。貴真の思惑を見抜けなかった俺の責任だ。」

 帽子を取りながら深く頭を下げる政。
 最初からあいつの本性を見抜いていれば、
 こんなことにはならなかったのだから。

「……いいや、あいつの方が上手だっただけだ。
 あんな支給品とかどう予想しろって言うんだよ……」

 どうにもならなかったとしか言いようがない。
 自分の目的の為であれば自分の命すら厭わず消耗品にする。
 悪魔よりも、よほど悪魔のような男だったと謝った政も思う。
 理不尽を体現して、満足にやりたい放題したあの男のにやけ面を思い出し、
 ミスターLはテーブルを強く叩く。

「……で、どうする? 俺はまんまと騙された奴だ。
 それにデビルマン、不動明を探すために戦ってるのは言ったな。
 だからちょいとお前らは方向性が違う。それでもいいなら仲間として扱ってくれるか?」

「殺し合いに乗る気はないんだろ? だったら良いが……」

 二人が会話に興じてる中、席についてから一言も発さずにいるエレン。
 緑郎に騙され、侑を殺された。目論見に気付いていれば最悪自分は写シで助かった。
 刀使としての矜持も守れず、ただただ生きのびるだけの自分にいくら普段は明るい彼女でも、
 そんな余裕は何処にもなく、静かに俯いていた。

「ま、あんなことあったばかりじゃ仕方ねえよな……」

 返事のないエレンを一瞥し再び後頭部を搔く。
 牧村美樹を守れなかった自分と同じ立場だ。
 そこからどう立ち直るかは彼女次第である。
 だから必要以上に干渉することはしない。

「とりあえず、飯にでもしておかねえか。
 食えるときに食っておかないと身が持たねえ。」

 そう言って政は基本支給品から食料を取り出す。
 いつ戦場になるかもわからないこの状況下を考えると、
 今が唯一落ち着いて飯にありつけれる貴重な時間だと思えた。
 二人も静かに頷いて、食料を取り出して食事にする。

 味気ない携帯食料をモソモソと口にし、それと一緒に水を流し込む。
 始まってからというもの、いろいろあって何も口にしてなかったからか、
 そんな味気ない携帯食料でもうまいもんだと政は感じた。

 食事をしながら思うのは、やはり不動明のことだ。
 あれから行方は未だ知れずの状態。
 殺戮が広がれば広がるほど彼を正気に戻す、
 その選択は仲間内で軋轢を生むことになるだろう。
 だから早く足取りを掴みたい。後手に回っていては手遅れになる。

「ところであのヤベー恰好の女は何者なんだ?
 あのふざけた見た目の割になんだあの強さは。」

 ふと先の戦いを思い返す。
 悠奈の卓越した銃撃。刀使のエレンと木刀の政、
 更にレオーネの徒手空拳におまけに侑の支援。
 加えて乱入とは言え修平たちの襲撃を受けても尚生きていた。
 悪魔人間でもあそこまで戦える奴はそうはいないと思えてならない。

「エスデスのことか? レオーネの話じゃ一人でも戦争を愉しむ戦闘狂だ。」

852 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:17:42 ID:D7s.lMOg0
 出会って戦っただけでわかる。
 ああいうのが理解できない存在なのだと。
 恰好が、ではなく思想が、という意味で。
 悠奈の遺志にとって立ちはだかる壁の筆頭。
 負傷しようと殺すまで止まることを知らない輩の類。

「狂った奴は、本当に何処の時代にでもいるんだな。」

 不動明を正気に戻すことも大事だが、エスデスも厄介な存在なのは間違いない。
 まだダメージを与えている分、少しは落ち着く可能性はあるかもしれないが、
 狂った奴は死ぬまで狂い続ける。生前の暴徒からのいやな教訓だ。

「それで、これからの方針だがどの方角へ向かう?
 俺は北へ行きたいがお前たちのルート次第で変えるつもりだ。
 まあ、日ノ元の方の明を考えるとそっちは南東が一番かもしれねえがな。」

 エスデス達と戦ったD-3からC-4の北東へと逃げ込んだ。
 また鉢合わせを回避するのを考えると西以外へ行きたい。
 今信用できて、ある程度の行き先が分かるのは政にとっては日ノ元明以外にいない。
 とはいえ彼女はヴァンパイア。すでにはるか遠くにいてもおかしくはないだろう。
 つまるところ行く当てはどこにもない。それはミスターLもエレンも同じことだ。

「E-3のかなでの森博物館……は禁止エリアだったか。
 ディメーンの野郎、その辺も見越して選びやがったな……」

 征史郎があかりと情報交換した際に行っていた合流場所。
 何かあった人がそこに合流してる可能性も無きにしも非ずだったが、
 ディメーンの通達によって禁止エリアにされた今合流できる人もいないだろう。

「私も北へ向かっていいデスカ? 堂島という人に聞きたいこともあるので。」

 侑を死なせてしまった以上、
 残る同好会のメンバーを守らなければならないものの手掛かりはなし。
 エスデスの言葉を信じるならば、薫の死を知る堂島も北にいると言っていた。
 私情を優先するつもりはないが、あてのない都合移動先としては都合がよかった。

「じゃあ北だな……っとその前に参加者みてーだな。」

 人気のない辺獄で静かに聞こえてくるのは一人の足音。
 一人なことから修平の可能性を危惧して真っ先に政が茶屋から飛び出す。
 続くようにエレンとミスターLも出てくるが、相手は別人だった。










 否。修平であったのならどれだけよかったのだろうか。



「貴様たち、全員人間のようだな。」



 相手は八将神、アーナスなのだから。
 はたから見れば最悪というほかないだろう。
 こんなのが相手ならば修平の方がはるかにましだ。
 三人とも彼女の殺気で察している。これは駄目な相手だと。
 挑んだらまず負ける。そう確信せざるを得ないほどの存在感。
 相手が満身創痍だからと言って、勝つ余裕などどこにもなかった。

「人間様だったらなんだってんだ?」

「人間は殺す。」

「暴走した不動みたいなことをいいやがるなてめえは!」

 その言葉を引き金に戦いは始まる。
 エレンが迅移で先行し、出現させたヨルドと越前康継がぶつかり合う。
 しかし八幡力をもってしても アーナスのヨルドを相手には分が悪い。
 やはり片手かつ疲労が蓄積された状況では、アーナスの敵には足りえない。

「ならこれならどうだ!」

 エレンが打ち合ってる隙をついて政が回り込む。
 完全な死角からの一撃だがそう易々と決まる相手ではない。
 エレンの攻撃を押しのけた後、即座にヨルドを鞭のように振るい木刀と打ち合う。
 木刀ごときたやすく両断すると思ったが木刀は木刀でも星砕きはそこらの木刀ではない。
 真剣であろうとも、夜の君の刃であろうとも打ち合うことが許される稀有な木刀だ。
 しかし使い手の問題がある。刀使でもなければ人間をやめた存在でもない彼に、
 夜の君とまともに打ち合えるだけの膂力は持ち合わせてはいない。
 一撃防ぐだけで大きく後退させられ、攻めに入ることができない。

(一人は何処へ行った?)

 いつのまにかエレンの後方にいたはずのミスターLの姿が消えている。
 周囲に姿はなく、即座に居場所を特定し回転しながら上空へと舞い上がる。
 はるか上空には予測通り彼がジャンプで飛び上がっており、そんな彼へと刃を向けた。

(気づかれたか! だがこの程度計算通りだ!)

853 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:18:45 ID:D7s.lMOg0
 相手の力量は不明でもおおよその察しはついている。
 これぐらいは気づいて当然であるということが。
 だからすでに攻撃の準備は整えていた。
 お得意のジャンプ攻撃では遅すぎると。

「コウラでポンってな!」

 故に刃が来る前に事前に動いていた。
 身の丈をゆうに超える巨大な甲羅が出現し、
 ミスターLはそれを蹴り飛ばしアーナスへとぶつける。
 顔面に直撃し大きくのけぞるアーナスではあるが、

「グッ……まだだ!」

 身を翻しながらヨルドの刃を伸ばす。
 剣の間合いの外だろうと関係なし。それが彼女の操る魔剣ヨルドの強みだ。
 しなやかに動く刃はミスターLの心臓へと一直線に向かう。

「させまセン!」

 追走するように跳躍したエレンが刃をぶつけ軌道をそらす。
 そらした刃はミスターLの脇腹をかすめるだけに留まり、大事には至らない。

「助かった!」

「無理しないでください!」

「そらおまけだ!」

 地上に落ちてきたコウラを、
 野球ボールの要領で打ち返す政。
 狙いは少しそれているが、球が巨大な分狙いはつけやすい。

「!」

 迫る甲羅を回転しながらヨルドで弾き、
 そのまま二人への第二の斬撃を見舞う。
 エレンはミスターLを守るべく咄嗟に蹴り飛ばしながら防ぐも、
 勢いの強さに耐え切れず近くの家屋の屋根を突き破るように墜落していく。

「おいエレン、無事か!?」

「写シがなければいろいろ危なかったデスネ……」

 ミスターLのほうは受け身を取り、
 何とか着地しながらエレンの様子をうかがう。
 政も合流し、再び三人はアーナスと対峙する構図へと戻る。

 わかっていたことではあるが、
 今の一瞬の攻防を見て理解した。
 ───このままでは勝てないと。

 満身創痍の相手であるにもかかわらず、
 勝ち目がない。いやでも理解させられてしまう。
 けれど逃げる手段も難しい。三対一でようやくなんとか戦えている。
 一対一になった瞬間、まず死ぬ。誰かを犠牲にしなければ逃げは成立しない。
 その非情な選択肢をとれるものは誰もいない。いや、取りたくとも取れないが近い。
 ボロボロであるはずの彼女にこれだけ追い詰められているこの状況下において、
 逃げたところで追いつかれるのがオチであると全員が理解しているからだ。

「デモンフォーム。蹴散らす。」

 三者に休む暇など与えられない。
 白い肌は血染めの空と言うことを差し引いたとしても紅い肌へ。
 その肌に重なるように肌を覆う黒い装飾、悪鬼のようなねじれた角。
 デモンフォーム。この形態が齎す能力は単純明快───

「燃えろ!」

 見た目通りともいうべき、炎の力。
 手を振るうと、三人の地面の近くから次々と噴き出す炎の柱。
 三人ともすんでのところで炎を回避するが、続けざまに来る炎の柱のせいで攻めに転じられない。
 回避に専念せざるを得なかったところを、元に戻ったアーナスが一気に肉薄する。
 三人纏めて首を刈り取らんとするヨルドの動きに対応できたのは、
 迅移で唯一常人以上のスピードが出せるエレンだけだった。

 再び刃がぶつかり合うが、力量の差は明白だ。
 元々、エレンは刀使としては特別秀でた実力はない。
 世界でもまれな第五段階の金剛身を体得してると言っても、
 薫とのコンビで初めて強さを発揮する場面も少なからずあった。
 事実、コンビで挑んでも折神親衛隊の燕結芽には勝てなかったぐらいだ。
 故に単独ではギースやエスデス、アーナスといった強豪相手にはどうしても見劣りする。
 何とか剣戟へと持ち込むものの、一撃の重さはアーナスの方が圧倒的に上だ。
 一撃一撃がパワーのある薫と同じか、それ以上に匹敵する重みをもつ。

「切り裂くッ!!」

854 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:21:46 ID:D7s.lMOg0
 縦に振るわれるヨルド。
 勢いから受け止めることは不可能と判断し後退するも、
 威力はすさまじく地面に衝撃波を放つほどの威力を誇る。
 隆起した地面は数メートル先まで伸び、エレンはもちろんとして、
 政とミスターLにも隆起した地面が打撲として突き刺さる。

「まだ、デス!」

 写シでダメージを無視できるエレンだけが唯一動ける。
 咄嗟に袈裟斬りを隙だらけのアーナスへと放つ。
 アーナスは即座に距離を取ることで、かすり傷程度にとどまる。

(今が一番のチャンスだったのに、とんでもない反応速度!
 ひよよんとおなじか、それ以上に厄介な敵と見た方が……!)

 思考の間にも攻撃は続く。
 鞭のように迫るヨルドを一人での対処は困難を極める。

「クソッ、なんて強さだ!」

 攻撃の合間を縫ってコルトパイソンで支援射撃するミスターL。
 剣戟の中でもアーナスはしっかりと弾丸を弾き飛ばしていき、
 援護は無駄だと言わんばかりの技術を見せつけてくる。

「なら二度目はどうだッ!」

 今度はチーターローションを塗っての高速移動から背後へ回り込み木刀を振り下ろす政。
 先ほどとは違い速度は段違いで彼女の頭部へと叩き込めると確信が持てた。
 だが速度を上げてもなおアーナスは対応し、近くの家屋の屋根へと跳躍。
 木刀の一撃は空振りに終わってしまう。

「蜘蛛みてえに楽に叩けりゃいいのによ。」

「What? 蜘蛛とは一体……?」

「どうみてもボロボロのはずなのになんつー強さして……」

 愚痴をこぼす暇すら与えられない。
 屋根を蹴って弾丸のように再び肉薄する。
 エレンは金剛身、ミスターLはジャンプ、政は後退することで回避に専念するが、
 アーナスは肉薄した瞬間地面を蹴り、ミスターLへと追撃をかける。

「げ!」

 唯一得物を持ってない相手だ。
 ヨルドと打ち合える手段を持ち合わせていない。
 ならば仕留めるのは容易だと判断に至った。
 当然、今の彼にヨルドを防ぐ手段は持ち合わせていない。
 空中という身動きがうまくとれない場所で、
 しなやかに動くヨルドを防ぐ手段はほぼない。

「!」

 しかしアーナスが刃を振るうのは別の方角。
 飛来してきたベッドを両断し、その勢いのまま斬りかかる。
 だがその一瞬の間にデイバックから取り出した大太刀で運よく防ぐ。
 身の丈並に長い御刀「蛍丸」は文字通りの無用の長物かと思えたが、
 こんな場面において役立つとは思いもしなかった。
 とはいえ威力に耐え切れず、すぐに取りこぼしてしまったが。

「ふむ、どうやら敵はあちらのようで。」

 ベッドというある意味謎の投擲を行ったものは、
 アーナスが先ほど着地した家屋の屋根の上へ立っていた。
 不敵な笑みを浮かべながら立つ彼女の名は───ドレミー・スイート。





 あれから三人は黙々と移動を続けていた。
 プロシュートは変わらず険しい顔つきで、
 そんな彼の後ろを結衣はとことことついていき、
 さらにその後ろから眺めるようにドレミーが付き添う。

(どうしたもんか……)

 優勝するにしろ抵抗するにしろ、
 不殺を要求する荻原結衣という存在は中々に困った存在だ。
 これから敵と出会っても彼女は不殺を貫くだろうし、
 ホワイトの時のように止めに入ることは目に見える。

「はぁ……」

 やはりいやでも真島達に押し付けるべきだったか。
 なんて今更なことを思い出しため息を吐く。

「どうしたんですか兄貴? 疲れましたか?」

 ため息を吐くプロシュートを、心配そうに由衣が顔を覗く。

「誰のせいでこうなってると思ってんだ。」

 呑気に様子を尋ねる元凶に追加のため息。
 どこまでも能天気な奴だと思わずにはいられない。
 だからこそこうしてついてくることに関して放棄してしまってるともいえる。

「短くない連戦と休息なしの徒歩で随分お疲れのようですし、ここはひとまず休憩してみては?」

「ため息の原因わかってんだろうが。」

855 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:23:16 ID:D7s.lMOg0
 縦に振るわれるヨルド。
 勢いから受け止めることは不可能と判断し後退するも、
 威力はすさまじく地面に衝撃波を放つほどの威力を誇る。
 隆起した地面は数メートル先まで伸び、エレンはもちろんとして、
 政とミスターLにも隆起した地面が打撲として突き刺さる。

「まだ、デス!」

 写シでダメージを無視できるエレンだけが唯一動ける。
 咄嗟に袈裟斬りを隙だらけのアーナスへと放つ。
 アーナスは即座に距離を取ることで、かすり傷程度にとどまる。

(今が一番のチャンスだったのに、とんでもない反応速度!
 ひよよんとおなじか、それ以上に厄介な敵と見た方が……!)

 思考の間にも攻撃は続く。
 鞭のように迫るヨルドを一人での対処は困難を極める。

「クソッ、なんて強さだ!」

 攻撃の合間を縫ってコルトパイソンで支援射撃するミスターL。
 剣戟の中でもアーナスはしっかりと弾丸を弾き飛ばしていき、
 援護は無駄だと言わんばかりの技術を見せつけてくる。

「なら二度目はどうだッ!」

 今度はチーターローションを塗っての高速移動から背後へ回り込み木刀を振り下ろす政。
 先ほどとは違い速度は段違いで彼女の頭部へと叩き込めると確信が持てた。
 だが速度を上げてもなおアーナスは対応し、近くの家屋の屋根へと跳躍。
 木刀の一撃は空振りに終わってしまう。

「蜘蛛みてえに楽に叩けりゃいいのによ。」

「What? 蜘蛛とは一体……?」

「どうみてもボロボロのはずなのになんつー強さして……」

 愚痴をこぼす暇すら与えられない。
 屋根を蹴って弾丸のように再び肉薄する。
 エレンは金剛身、ミスターLはジャンプ、政は後退することで回避に専念するが、
 アーナスは肉薄した瞬間地面を蹴り、ミスターLへと追撃をかける。

「げ!」

 唯一得物を持ってない相手だ。
 ヨルドと打ち合える手段を持ち合わせていない。
 ならば仕留めるのは容易だと判断に至った。
 当然、今の彼にヨルドを防ぐ手段は持ち合わせていない。
 空中という身動きがうまくとれない場所で、
 しなやかに動くヨルドを防ぐ手段はほぼない。

「!」

 しかしアーナスが刃を振るうのは別の方角。
 飛来してきたベッドを両断し、その勢いのまま斬りかかる。
 だがその一瞬の間にデイバックから取り出した大太刀で運よく防ぐ。
 身の丈並に長い御刀「蛍丸」は文字通りの無用の長物かと思えたが、
 こんな場面において役立つとは思いもしなかった。
 とはいえ威力に耐え切れず、すぐに取りこぼしてしまったが。

「ふむ、どうやら敵はあちらのようで。」

 ベッドというある意味謎の投擲を行ったものは、
 アーナスが先ほど着地した家屋の屋根の上へ立っていた。
 不敵な笑みを浮かべながら立つ彼女の名は───ドレミー・スイート。





 あれから三人は黙々と移動を続けていた。
 プロシュートは変わらず険しい顔つきで、
 そんな彼の後ろを結衣はとことことついていき、
 さらにその後ろから眺めるようにドレミーが付き添う。

(どうしたもんか……)

 優勝するにしろ抵抗するにしろ、
 不殺を要求する荻原結衣という存在は中々に困った存在だ。
 これから敵と出会っても彼女は不殺を貫くだろうし、
 ホワイトの時のように止めに入ることは目に見える。

「はぁ……」

 やはりいやでも真島達に押し付けるべきだったか。
 なんて今更なことを思い出しため息を吐く。

「どうしたんですか兄貴? 疲れましたか?」

 ため息を吐くプロシュートを、心配そうに由衣が顔を覗く。

「誰のせいでこうなってると思ってんだ。」

 呑気に様子を尋ねる元凶に追加のため息。
 どこまでも能天気な奴だと思わずにはいられない。
 だからこそこうしてついてくることに関して放棄してしまってるともいえる。

「短くない連戦と休息なしの徒歩で随分お疲れのようですし、ここはひとまず休憩してみては?」

「ため息の原因わかってんだろうが。」

856 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:42:29 ID:D7s.lMOg0
 残りの同行者もこの喰えない妖怪だ。
 もとよりあの場にいたメンツで同行者を選ぶとなれば、
 どいつもこいつも選べたものではないのは決まっていたことだが。
 ある意味では一番頭を抱えたくなる面子が同行してるとも言える。

「……どうやら誰かが交戦中のようで。」

 遠巻きからでも見えたコウラが三者の視界に入る。
 巨大なコウラは弾かれたことで三人の近くへと墜落し、
 地上を滑るようにどこかへと消えていく。

「距離もありますし、私が先行します。
 あ、その前に荻原さん。支給品の菓子をいただけますか?」

「え? はい、どうぞ。」

 一度地面へ着地した後、地面をけって再度跳躍して飛行するドレミー。
 追走するように二人も後を追う。





「新手の敵か!?」

「いえ。私の目的はこの酔夢が導く結末を見届けたいだけなので。
 殺し合いなんて物騒なことなんてとてもとても……」

 オヨヨと口元を隠しながら紡ぐドレミー。
 誰が見てもうさん臭さしか感じないその光景だが、
 ミスターLが助けられたのは事実であることは変わらない。
 とりあえず味方の判定でいいのだろうというのが三人の結論だ。

「貴様、人間ではないのに人間に与するのか?」

「妖怪ですけど誰彼構わず喰らうような、そんな野蛮な種ではないので。」

「ならば貴様も敵だ。」

「初めから敵ですよ?」

 一瞬のにらみ合い(と言ってもドレミーは不敵な笑みを浮かべてるが)から、
 今度はドレミーとアーナスによる戦いが始まる。

857 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:45:46 ID:D7s.lMOg0
「ちょっと本気でやりますからあなた方はあちらへ向かった方がいいですよ。」

 彼女も紛い物の鬼同様、
 何かしらに操られてる節はある。
 だが今回はそれを解除できるようにも思えない。
 何かしら強固な洗脳を施されてるのだと察し、全力で戦うことを選ぶ。

 夢符「無我夢中」

 宣言と同時に飛び交う無数の弾幕。
 空から降り注ぐ無数の光線はさながら流星群がごとし。
 いわれた意味を理解し、三人はすぐにその場から逃げ出す。

「おいおいなんなんだあいつは!」

「私も知りたいデスが、味方なのは間違いないデス!」

「だからと言って味方も巻き添えは滅茶苦茶すぎんだろ!」

 弾幕の雨を何とかしのぎながら、何とかその場を抜け出す三人。
 戦場に居合わせるのは夢の管理人と夜の君の二人だけになる。
 襲い掛かる無数の弾幕を手際よく回避しながら迫るアーナス。
 弾幕ごっこであれば加点されるであろう流麗な動きである。

「ですが、背後にも気を付けた方がいいですよ?」

 無我夢中は一部の弾幕が壁に反射し飛び交う弾幕だ。
 地面を穿つだけでなく、そのまま反射してアーナスへと襲い掛かってきた。
 前後左右上限、すべての方角からくる弾幕をヨルドを伸ばして捌いていく。

(もっと強めのスペルカードにするべきだった?
 いえ、相手の身体能力。あの負傷でも博麗の巫女に負けず劣らず。
 となれば一撃で仕留めなければ難しいか。)

 弾幕を容易に弾き飛ばし、
 伸びる刃が彼女の首を断ち切らんと迫る。
 弾幕を中断せざるを得ず、空へと飛びながら別の弾幕を放つ。

「ならば接近されないよう囲むように。」

 夢符「愁永遠の夢」

 前方を囲むように弾幕を展開し視界をふさぐ。
 それを正面切って弾幕を切り払いながら空飛ぶドレミーを追いかける。

(正面切ってくるとは。やはり弾幕「ごっこ」では厳しいか。)

 逃げに徹しながらも弾幕を放つが、
 迫る弾幕を次々とヨルドが打ち払っていく。
 中にはドレミーへ返すように飛ばす弾幕もあり、
 どちらが攻撃しているのかわからなくなるほどに戦いは熾烈を極めていく。



 一方そのころ。
 ドレミーの指示に従って逃げた先には、
 同じように走るプロシュートと由衣がおり互いに足を止める。

「あの服、益子さんと同じ……」

「! 薫をしってるんデスね!」

 下手人と呼ばれた堂島に聞けばいいと思っていたが、
 こんなところで事情を知ってる人がいた偶然に驚きを隠せない。
 一方で、由衣は薫のことを思うとどういえばいいのかと気が引ける。
 ミスティによって性奴隷にされ、最後は堂島によって切り殺された彼女のことを。

「おたくらの連れか? あのナイトキャップの女は。」

 だが幸か不幸か、そんなことを話している暇などない。
 二人が戦ってる中、悠長に情報交換する前に戦うべきだ。

「そういうことになる。
 ユイ、こいつらに氷渡してやってくれ。
 それと支給品の菓子、残ってる分も使い時だからふるまっとけ。俺はいい。」

「はいわかりました兄貴!」

「兄貴?」

「今度の奴にスタンドは効くかどうか、どうなることだか。」





「お手伝いしマース!」

858 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:48:33 ID:D7s.lMOg0
 同じように弾幕をかいくぐるものはアーナスだけではなかった。
 アーナスの後方から迫ってきたエレンの一撃がヨルドとぶつかり合う。
 さすがにスペルカードレベルの弾幕を使っては巻き添えはシャレにならないので中断する。

「これは驚き。弾幕の中かいくぐってくるとは。」

(なんだ? さっきよりも攻撃が重い。)

 相手は片腕を欠損してダメージを受けてるはず。
 なのに先ほどよりも攻撃が重く、ある程度剣戟に付き合えている。

「エレン、俺も行くぞ!」

「了解ですマッサー!」

 エレンの隙を埋めるように、政が素早くサポート。
 こちらも先ほどまでと打って変わって、ある程度だがアーナスとも剣戟ができる。

(こいつもだ。一体何を仕込んできた?)

 結衣が四人に振舞ったのはパナジェッツ。
 ただのお菓子ではなく辺獄では攻撃力の上がるお菓子として、商人が売っていたお菓子の一つだ。
 それをドレミー、政、エレン、ミスターLの四人が口にして攻撃力を底上げしている。

「だが弱い。」

 しかし刀使と違いただの人間の政の攻撃は、
 底上げされていたとしても見劣りしてしまう。
 数度は打ち合えたがそれで終わり。ヨルドが牙を剝く。

「打神風!!」

 ラジオのアンテナ、あるいは教鞭のようなものを振るいながら、風の刃を飛ばすミスターL。
 飛来する風の刃は受けきれぬと察し回避に専念し、その予想通り近くの塀が両断される。
 太公望が使用した宝貝は人一人ぐらいであれば両断などたやすく、その判断は正しいものだ。
 思考に支障が出つつも八将神であることには変わらない。殺戮のための最適解な行動はとれる。

「うげ、なんつー威力だ……悠奈が避けてた理由もわかるな。」

 悠奈の遺志を継ぐ以上不殺を心掛ける。だがこれは威力の調整が難しい代物だ。
 だからと言って、銃が通用しない相手にコルトパイソンを使い続けても意味は薄い。
 仲間に当てるのを気を付けつつ、細心の注意を払って打神鞭を使用する。
 四対一。数で言えば先の零児達と比べて少ないし、戦力も見劣りするものだ。
 だが疲労度は別だ。いくら八将神が再生能力を有してると言っても、
 サンダースマッシャーを筆頭に大量のダメージを受けてからの連戦では、
 いくら数も質も劣っていたとしても官女にも限度というものがある。

 エレンと政の攻撃を容易く捌いても、
 隙を埋めるようにドレミーが弾幕を飛ばしそれを対処し、
 さらに一番受けるわけにはいかないミスターLの打神鞭の回避を優先せざるを得ない。
 無論、だからと言って四人が無傷でいられるかというとまた別である。
 夜の君であるアーナスの地力は別格で、ドレミーがサポートしてるとは言え、
 魔剣ヨルドの攻撃を常によけられるだけの身体能力を持つのは限られる。

 政が防弾チョッキで巻いていたチェーンはついに切り落とされてしまい、
 服の下からじゃらじゃらと音を立てながら地面へ落ちていく。
 エレンも写シでダメージをごまかしているが被弾は免れておらず、
 接近戦を行わない残る二人だけが被弾を抑えられている。
 ミスターLも頬に傷をつけたりと少なからずダメージを負う。

(これだけの数でもものともしない。あれだけ動いてることを考えると、
 どこかにいるプロシュートがしてるはずの老化も通用してない。
 何かこの状況を打開できる方法があればいいのだけれど。)

 どうしたものかとか投げていると、鳴り響く銃声。
 この四人の中で銃を持ってるのはミスターLだけだが、
 彼はずっと打神鞭を両手に握っているため違う。
 では一体誰によるものなのか。

「あれだけ暴れて老化してねえってことは、
 テメーも同じ類ってことか……どこまでも環境が向かい風だな。」

 いつの間にか背後に立っていたプロシュートのニューナンブの銃声だ。
 銃弾は右肩を抉られ、出血とともに魔剣ヨルドを取りこぼす。
 絶好のチャンス。誰もがそう思わざるを得ない状況だった。

 プロシュートは支給品である透明マントを使い、ずっと身を潜めていた。
 いつ撃つべきか、いつスタンドで直に触れるべきか虎視眈々と。
 だが一向に老化現象が見受けられず、射撃の選択肢を決めて今に至る。
 いかにアーナスといえども、ずっと気配を殺し見えない敵からの射撃は読めない。

859名無しさん:2024/08/09(金) 22:49:50 ID:D7s.lMOg0
「畳みかけるぞ!」

「了解デス!」

「さすがに銃の方がよさそうだなここからは!」

 政の号令で一気に攻めに入る四人。
 しかしアーナスは両利きであり、ヨルドは自分の力で生み出すことが可能。
 即座に左手にヨルドを構え攻めに入った四人と銃弾を豪風のように吹き飛ばす。
 挟み撃ちの状態では態勢を整える余裕はないことへの証左とも言えた。

「ああ、それの方が都合がいいんですよ。」

 ただ一人、ドレミーだけが攻め手を変えていた。
 いつのまにかアーナスの頭上高く位置取った彼女はそのまま弾幕を放つが。

 超特急「ドリームエクスプレス」

 最早弾幕と呼ぶべき速度ではない。
 電車が如き高速で飛来する弾幕の塊。
 弾幕の塊を避けようとするアーナスだったが、
 再びプロシュートの銃撃により足を軽くかすめ、重心がずれる。
 それでもと地面を蹴ったアーナスではあったが回避は間に合わず、
 ドリームエクスプレスが直撃し。轟音とともに地面にクレーターを作った。





「お、おい……死んじゃあいねえよな?」

 一番心配するのはミスターLだ。
 たとえ敵であっても殺すつもりはない。
 無論、ギースみたいに最悪足を奪うつもりではあるが。

「てめーらも不殺主義者かよ……ドレミー、どうなんだ?」

 スペルカードを決めた後、
 別の家屋の屋根の上へと着地しながら様子をうかがうドレミー。

「……驚いたわ。あれだけの弾幕をぶつけても生きてるなんて。」

 クレーターの中心を眺めてみると、
 血だまりの中、まだ立ち上がろうとするアーナスの姿がある。
 生きてるだけでも途轍もない生命力を有していることが伺え、
 ドレミー以外のメンバーは全員その生命力に驚かされていた。
 八将神の再生力を知らない彼らには知りえない情報だ。

「で、でもあれだけの怪我ですしもう戦えないし殺す必要はないですよね!」

 あれだけの傷を受けても生きてる時点でありえないレベルなのに、
 呑気に何言ってんだこいつと言わんばかりに結衣を見やるプロシュート。

「両足だけは撃っておくのが賢明か。」

 念には念を入れる。
 クレーターの中心で倒れるアーナスへ銃を向けるプロシュート。
 とどめを刺すと後が面倒そうなので仕方なくの妥協といったところだ。
 此処で軋轢が生じれば後に響く。だから仕方なくだ。
 そう言い聞かせるように銃を構え、










 事態は急変する。

「な……」

 アーナスが起き上がると同時に、
 プロシュートへと一気に接近しヨルドで方から腰まで一気に袈裟斬りされていた。
 血だまりにいたはず。立ち上がるのもやっとだったはず。ドレミーのスペルカードも当たったはず。
 だというのにアーナスはダメージなど全くないどころか、抉ったはずの肩の傷すら消えた状態でいる。

「バ、バカな……あれだけの傷を受けてなぜこんな……」

「あ、兄貴───ッ!!」

860 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:52:16 ID:D7s.lMOg0
トリップが外れてました、すみません

861 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:52:48 ID:D7s.lMOg0
 崩れ落ちるプロシュートがクレーターの中に見たのは赤い瓶。
 何が入っていたかは不明だが、傷をいやすものだとはすぐに分かった。
 エリクシール。傷を完全に癒す、文字通りアーナス最後の反則級の支給品。
 八将神の再生力では追いつかないレベルの回復を、薬一本で成し遂げたのだ。
 だが気づいたころにはすでに手遅れだ。アーナスは完全回復を果たしている。
 疲弊した状態で勝負になっていたのに、この状態では勝負にならない。

「兄貴、しっかりして───」

 倒れるプロシュートを前に、結衣は駆け寄ってしまう。
 すぐそばにアーナスがいることに気付くのは、その一瞬だ。

「させません!」

 振り下ろされるヨルドをエレンが防ぐも、
 先ほどと違い万全な状態での一撃だ。
 もはやパナジェッツで強化された程度では敵にならず、
 一撃で吹き飛ばされ、倒れる彼女へと地面ごと彼女の胸を貫く。

「カハッ……!!」

 写シが解除される際に刃が刺さっていたなどの場合、
 ダメージの肩代わりされることない。故にそのまま血が噴き出す。
 それを見たドレミーはすぐに周囲に支給品のけむりだまをあるだけ投げ、
 周囲が大量のスモークで覆われる。

「各々散開! 自己の生存を優先するように逃走してください!!」

 先の疲労でギリギリ五分に持ち込めていたのに、
 今の状態のアーナスではもはや戦闘にならない。
 この状況にはさすがのドレミーもいつもの余裕は持てなかった。
 プロシュートもエレンも、この場において見捨てざるを得ない。
 それぐらいこの状況は最悪と言ってもいいものだ。

「畜生、また逃げるしかねえのかよ!」

 悠奈の遺志を継ぐ。
 その覚悟を決めたはずなのにまたも敗北と逃走。
 ヒーローになるなんて簡単なものではないのは分かっていたが、
 ここまで打ちのめされると精神的に来るものがあった。

「クソッ、もうどうにもならねえか!」

 政も諦めざるを得ない。
 不動明を正気に戻すまでは死ぬことは許されない。
 此処はドレミーの言う通り、指示に従うほかなかった。

「誰も逃がしはしない!」

 エレンからヨルドを引き抜き、
 空へ跳躍しようとするアーナス。
 いくら視界の悪い煙幕の中でも、
 上空まで飛べば相手のおおよその位置は把握できる。
 しかし、エレンが上半身を起こし御刀で彼女の足を突き刺す。

「グッ……」

「ま、まだ……終わりませんヨ!」

 もう写シを張ることはできない。
 傷も深いし、相手はタギツヒメ並みの化け物だ。
 此処で死が確定しているのは、いやでも理解させられる。
 だが、それでも刀使としての矜持を忘れることはない。
 血反吐を吐こうとも、相手が荒魂でなくとも命が費えるその時まで抗う。
 その抵抗も、首を刎ねられたことであっけなく終わりを迎えたが。
 薫の真実を知ることなく、何もかも取りこぼした刀使の生は容易く終わりを迎える。
 だが時間は稼げた。煙が晴れるころには、四人の姿はすでにどこにもなかった。

「……それで隠れたつもりか?」

 ただ一人だけ除いて。
 アーナスは空を切り裂くと、
 透明マントで隠れていた結衣の姿がさらされる。
 ニューナンブによって空いた風穴から、僅かに見え隠れする緋色の髪が見えた。
 一人逃げずにいたのは単に遅い自分が逃げても追いつかれるのと、
 まだ生きてるプロシュートを置いて逃げることができなかったがゆえに。

「貴様も終わりだ。」

「わ、私も、ただでは終わりません!」

 落ちてたニューナンブを拾い上げ、必死に足を狙って連射する結衣。
 至近距離ではあったがアーナスにとって取るに足らぬ存在だ。
 すべての弾丸を刃が弾き、その勢いのまま彼女の上半身と下半身を両断する。

「兄、貴……」

 泣き別れする自分の下半身。
 彼女が最期に見たのはそれだけ───ではなく。

「残りは何処へ行ったか……」

 仕留めるべき敵は仕留めた。
 逃げた三人はバラバラに動いてるはずだ。
 どこへ行こうか考えたその時、背後から物音がして振り返る。
 プロシュートが血を流しながらなおも立ち上がってきた。

862 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:53:56 ID:D7s.lMOg0
「無茶苦茶なガキだったな───だが、
 その覚悟を見ちまったならよぉ〜〜〜……俺も覚悟を見せてやるよ。
 こういうのを、日本では鼬の最後っ屁って言うんだったか……?」

 スタンド能力は通用しない。
 時間稼ぎでも、多少のダメージでも、ジャイアントキリングでも何でもいい。
 死ぬまでにこいつに何かしら決めてやらないと気が済まなかった。
 でなければ自分は暗殺者でありながら結衣以下ということになる。

「行くぜ! ザ・グレイトフル・デッド!!」

 スタンド能力は通用しない。
 だが殴り合いには十分に使える。
 血だらけの中無数の目のスタンドが片手の拳のラッシュを行う。
 だが悲しいが彼のスタンドのスピードはE判定。しかも、
 元々が老化による弱体化を前提とした戦闘である以上、
 アーナスにその拳はかすりもせずただ避けられるだけだ。

「その深手でなぜ動ける。」

「覚悟が違うんだよッ! テメーのように、
 ただ殺すだけの機械のようなテメーと違ってなぁ〜〜〜ッ!!」

 血をまき散らしながらもなお攻撃をやめない。
 自分の後のことなどお構いなしのやけくその攻撃。
 アーナスにはそうとしか見えず、冷徹にヨルドを振るう。
 回避に専念するも伸びる剣の回避方法など知るはずもなし。
 バッサリと腹を切られ、さらに大量の血を流す。

「所詮、人間だ。」

 この出血。放っておいても死ぬだけだ。
 そう判断したことで今度こそ三人のいずれかを追う。

「……だったら、人間の底力……知っておきやがれ。
 ぶっ殺したって言い終えるまでが、勝負なんだよッ!!」

 腹から臓物が見えそうなぐらいの傷を受けてもなお、プロシュートは立ち続ける。
 ポケットから赤い石を取り出し、それを空へと掲げる。
 まだ立つプロシュートに驚きながら振り返ると同時に、
 空から飛来する一人の男が視界に捉える。

『吹き荒れる炎に焼かれろ! 火尖槍!』

 青い鎧の男は炎をまとった槍を手に、アーナスへと襲来する。
 火と風の二つの力を持つ星晶獣、ナタクの刺突による奥義火尖槍。

「まだそんな手を───」

 迫るナタクの一撃をヨルドを横に構え鬩ぎ合う。
 大量の火花を散らしながら直撃を避けるべく何とか受け流す。
 だがしかし、地面に槍が突き立てられると爆炎と共に地面が隆起する。
 威力の強さに回避しきれるものではなく、互いにその余波を受け吹き飛ぶ。
 互いに大地を転がっていき、先にアーナスが起き上がる。

(チッ、せっかく情報を得たってのに……此処で終わりか……)

 宙を舞いながら、栄光を掴めないことを悔いるプロシュート。
 ワザップジョルノによれば暗殺チームは全員死ぬことが確約している。
 生きて戻れれば未来が変わったもしれないだけに、悔しく思う。

(最後のチャンス、掴めなかった……すまねえ。)

 正真正銘、最後のチャンスだったかもしれない。
 それだけに生き残れなかったことが口惜しく思いながら、
 アーナスが倒れていた血だまりの中へと沈んでいった。

;「……」

 倒れるプロシュートを一瞥し、
 今度こそ死んだことを確認する。
 戦ってみればしぶとくはあったが、なんてことはない敵に過ぎなかった。
 死者となる者たちの支給品を回収し、次なる標的を探すべく走りだす。

 プロシュートが言った言葉のように、
 自分が殺すだけの機械のような役割を与えられてるとは、微塵に思うことなく。
 それが宿業という呪いの力である。

【古波蔵エレン@刀使ノ巫女 死亡】
【荻原結衣@リベリオンズ Secret Game 2nd stage 死亡】
【プロシュート兄貴@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】

【E-3/一日目/昼】

863 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:57:10 ID:D7s.lMOg0
【E-3/一日目/昼】

【アーナス(歳刑神)@よるのないくに2 〜新月の花嫁〜】
[状態]:ダメージ(小)、混乱・困惑(中)魔力消耗(小)、吸血衝動(低下中)、人間への激しい憎悪?
[装備]:魔剣ヨルド、、盤古幡@封神演義
[道具]:基本支給品一式×4(自分、プロシュート、結衣、エレン)、ランダム支給品0〜1(結衣の分)、氷、ニューナンブ@ひぐらしのなく頃に 業、越前康継@刀使ノ巫女、ランダム支給品0〜2(エレンの分)、召喚石『ナタク』(使用不可能)@グランブルーファンタジー
[思考・状況]
基本方針:『夜の君』としての本能に従い、人間を殺していく
1:?????
2:『人間』を見つけて殺す?
3:小夜達(傘下)を利用する。
4:『人間』以外の参加者と出会えば、利用できそうなものであれば使役する。
5:リュリュ……リュリ―ティス……その名が頭から離れない……ッ!!
[備考]
※参戦時期は暴走状態の頃からとなりますが、
 主催者からの改竄により「夜の君」としての理性だけは取り戻しております。
※また主催者の改竄により「大切なもの」を奪いとったものは、
 「人間」であったと認識させられていたのが、本当にそうなのか、懐疑的になりました。
※人間だった頃の記憶及び半妖だった頃の記憶については、欠落から時折、フラッシュバックするようになりました。
※ディメーンとのやり取りから主催陣に懐疑的な感情が芽生えました。
※フォームチェンジは魔力と引き換えに連続して使用可能


【???/一日目/昼】

【ドレミー・スイート@東方project 】
[状態]:疲労(中)全身にダメージ(絶大)
[装備]:夢日記@ 東方project
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品0〜5 氷
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いと言う酔夢が導く結末を見届ける
1:逃げるしかない(襲い掛かってきた者には対処する)。
2:参加者が寝たとき、夢の世界へ介入する。
3:妖怪とは気まぐれな者ですよ。
4:アーナスへの対策の考慮、並びにあの場に居合わせたほかの方々との合流。
[備考]
※参戦時期は東方紺珠伝ED後
※メフィスとフェレスも管理者であると気付きました(何の管理者かは、まだつかめていません)
※リリア―ナの刻を止める能力を知りました。
※夢日記より
 ・サーヴァント達や第一部での顛末
 ・鬼滅の刃の鬼の体の構造
 ・リベリオンズの首輪の解除方法
 ・ギース・ハワードを知りました。
※プロシュートとの情報交換でプロシュートの世界について簡単に知りました。(スタンドの存在など)
※プロシュートのグレイトフル・デッドの能力を理解しています。
※累の父から基本・ランダム支給品を奪いました。

【木刀政@デビルマン(漫画版)】
[状態]:左腕に矢傷、疲労(大)
[装備]:妖刀『星砕き』@銀魂
[道具]:基本支給品×3(自分、貴真、せつ菜)、ドス六のドス@デビルマン(ドス六の支給品)、ランダム支給品×0〜1、チーターローション残り7/10@ドラえもん、コルトポケットもどき@クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝、ランダム支給品×0〜1(優木せつ菜の分、武器の類)

[思考・状況]
基本方針:不動を止める。
0:不動に一発お見舞いして目を覚まさせる。
1:修平と見知らぬ襲撃者・来夢・佐藤マサオ・針目・アーナス・日ノ元士郎に警戒する。(一部懐疑的)
2:畜生、逃げてばかりじゃねえか……!!
3:エスデス、あの女(アーナス)から逃げる。とりあえず当面の通り北だ。
[備考]
※参戦時期は死亡後。

864 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:57:43 ID:D7s.lMOg0
【ミスターL@スーパーペーパーマリオ】
[状態]:疲労(中)、精神ダメージ(特大)、悲しみ、修平に対する怒り
[装備]:コルトパイソン@リベリオンズSecret game 2nd Stage(予備弾数多め)、打神鞭@封神演義
[道具]:基本支給品一式×2(自分、悠奈)、基本支給品一式、ランダム支給品×1(悠奈の分)

[思考・状態]
基本方針:悠奈のバカバカしい生き方とやらで主催共を叩き潰す。
1:逃げるしかない。
2:伯爵さまを殺した奴は殺さないがとりあえずぶん殴る。
3:ヒーロー……か。
4:ユウナ! ジュネーヴ条約にジャマイカって何だったんだ……?
5:伯爵さまの遺志を継いでマネーラ、ナスタシアと共に脱出する。
6:工学だけではだめって、どうすりゃいいんだこれ。
7:一足先に侑達の所へついたが、まさかアンナがいるとはな!
8:悠奈……
9:修平の野郎は許さない。

[備考]
※参戦時期は6-2、マリオたちに敗北した直後
※悠奈からリベリオンズの世界について簡単な知識を得ました。
※名簿から伯爵さまたちが参加していることを知りました。
※悠奈から”拳銃”の脅威を知りました。
※レオーネからアカメの世界について簡単な知識を得ました。
※征史郎経由でマネーラ、ギャブロ、藤丸立香、キヨス、零、アルーシェ、夕月、ロックと関連人物の情報を得ました。
※ギャブロ、立香、侑、エレンと情報交換しました。
※立香から芦屋道満が関わってる可能性を示唆されてます。



※D-4にリリアーナのデイバック(基本支給品のみ)、雪走@ONE PIECEがあります
※E-3に蛍丸@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火、穴の空いた透明マント@ドラえもんが落ちてます
 E-3にエレン、由衣、プロシュート、悠奈の死体があります。



【コウラでポン@スーパーペーパーマリオ】
ミスターLに支給。昔ノコノコが使っていたコウラ
蹴とばして敵を攻撃するのだが、サイズがどうみても作中のノコノコの数倍はでかい。謎。
時間経過で消滅する。

【蛍丸@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火】
ミスターLに支給。調査隊の一人である山城由依が使用する御刀。御刀については千鳥参照。
蛍丸は一メートル以上の大太刀なので腕力や持久力が要求される。

【パナジェッツ@CRYSTAR -クライスタ-】
由衣に支給。カタルーニャ地方の伝統菓子だが、
辺獄においては行商人が売ってる、攻撃力が上がるお菓子。4個入り。

【打神鞭@封神演義】
悠奈の支給品。強弁、あるいはラジオのアンテナのような形状をしており、
風を生み出して操る能力を持つ。主にかまいたちのような真空刃として使う。
出力次第では竜巻もできるが、大きく力を消耗するので乱用はできない。
原作では改造されているが、本ロワでは改造はされてないころの打神鞭。

【透明マント@ドラえもん】
プロシュートに支給。ひみつ道具の一つで、見た目は白いマント。
マントを被ると姿が見えなくなり、疑似的な透明人間になる。
音や気配などは消せるわけではない。

【けむりだま@ポケットモンスターシリーズ】
塁の父に支給。使えば必ず戦闘から逃れるが、
本ロワでは単なる煙幕のようなもの。

【エリクシール@グランブルーファンタジー】
アーナスに支給。全回復するアイテム。

【ナタクの召喚石@グランブルーファンタジー】
プロシュートに支給。召喚石ついてはバアル参照。
空から飛来し、燃える槍『火尖槍』で突撃する。
召喚後、しばらくの間風と火の力を強化する効果がある。

865 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/09(金) 22:59:14 ID:D7s.lMOg0
以上で「襲葬来斬」投下終了です

866 ◆s5tC4j7VZY:2024/08/13(火) 08:48:32 ID:FdKCr4cw0
感想並びに投下お疲れ様です!

プラトン

色違いボルケニオンは、ワザップが参加者のこのロワでしか出せないと思い、当初から構想にありましたが、出せてほっとしております(●^o^●)
しんのすけの時と言い、元の能力がそこまで高くないキャラをかっこよく見せるのが巧いですね。
↑ありがとうございます!励みになります。このお話は、自分の中でもリレーの小説ならではの奇跡です。4Bl62HIpdEさんの「最後の巨人」EPyDv9DKJsさんの「決壊戦線」があるからこそ。お二人の作品をこうしてリレーができて嬉しいです。
こいつをワザップジョルノが見たらどんな反応するのか気になります
↑確かに!自分で色違いボルケニオンを出しておいてなんですが自分も気になります(笑)

867とびっきりの最強対最強 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/15(木) 22:37:24 ID:7e5GAUSE0
投下します

868とびっきりの最強対最強 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/15(木) 22:38:05 ID:7e5GAUSE0
 地が裂け、空が揺れる。
 整然かつ絢爛と混沌に満ちた平安京は荒れ果て、燃え盛る。
 此処は地獄───否、辺獄。そう言われて疑うものはいないだろう。
 荒れ果てた大地の上に一人の男が、一人の勝者が立っていた。










 ディメーンによる放送が終了し、やれやれと辟易するオフィエル。

「三割……これが現実、というものですね。」

 この殺し合いはまさに世界の縮図。そう思ったオフィエルだが、
 予想通りこの世界はその通りの憂うべき事態を運ぶ結果となった。
 出会った参加者は(ジャギを含めても)指で数えられる程度だ。
 その間にも人は多く死んでいく。いかように個人個人が努力しようとも、
 人が人を殺していくこの世界では手遅れな患者はいくらでも現れてくる。
 彼が世界を憂いだ理由そのものが、放送の内容とは言え展開されていた。

「真祖だけあって冷静なご様子で。心拍の上昇も見当たらない。」

「予想通りと言われれば予想通りな結果だ。
 これだけの大人数、ドミノが苦戦を強いる存在。
 いかにドミノの手の者がいようとも手の届かぬ場所は多すぎる。
 しかし佐神善も健在か。そう都合よく事が運ぶわけではないようだな。」

 他にもエスデス、貴真と言った警戒すべき人物の訃報もなし。
 風向きは余りよくない。手駒となる人物の候補は減っていくばかり。
 まだ自分たちが知らないだけで殺し合いに乗った参加者もいるはずだ。
 ドミノの方もこちらの情報を流していることだろう。元よりドミノ陣営とあの堂島と人数で不利。
 これ以上の遅れを取ればとるほどに、ドミノに駒を取られていく。
 取られた駒に自身が劣ることはないだろうが、後が厄介になるだろう。

「アカメ達が北へ向かったのを考えるに、
 間のC-4エリアが禁止エリアにより合流時間に間に合いそうにありませんね。
 彼らが向かうような目立つ施設に、先のように書き置きでもしておくのがいいかと。」

「うむ。このあたりで目立つとなれば……あれか。」

 元よりそのつもりではあったがオフィエルの助言により、
 平安京の地では似つかわしくない、広い庭を持った西洋の屋敷へと目を付けた。
 どこかの富豪の屋敷と言われても相違ない場所の玄関に書置きを残して後にする。
 彼らがそれに気づくかどうかはわからないが、しないでおくよりはましだろう。

「さて、オフィエルよ。君にぜひともやってもらいたいことがあるのだが。」

「はい、何なりと。」










「全力でこの場から離れることだ。君ならすぐに逃げられるだろう。」

 その奇妙な一言とともに、近くの家屋に墜落する何か。
 何かが墜落した。それだけのことでオフィエルはゾクリと身の毛がよだつ。
 まだ落ちてきただけだ。それが何かを把握してない。物か人かでさえも。
 にもかかわらずだ。普段冷静なオフィエルをもってして逃げろと脳が警鐘を鳴らす。
 ファレグに本気で殺されかけたあの時か、それ以上に警鐘が鳴り響いている。
 常人ならば卒倒しかねない殺気。それだけで離れろという意味を理解できた。
 しかしまだだ。脱兎の如く無様に逃げようものなら彼に愚民として見限られかねない。
 すべきことをして自分の評価を下げないようにする。それが今の彼にとって一番大事なことだ。

「恐らくだがドミノが言っていた怪物だな。
 なるほど、確かにこれは人外の域に達している。」

 無論日ノ元がその殺気を意に介することはない。
 この程度で揺らぐような精神など真祖は持ち合わせてない。
 壁を破壊しながら出てくるのは、悪鬼羅刹がごとき表情の悪魔人間(デビルマン)、アモンこと不動明。
 紛れもない人外の域を超えた、怪物の存在に日ノ元も顔が険しいものとなっていた。
 これは雑魚などではない。ドミノが後れを取るに相応しい難敵だと一瞬で見抜いた。

869とびっきりの最強対最強 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/15(木) 22:39:21 ID:7e5GAUSE0
「これは確かに、逃げなければいけないでしょうね。
 私がいたところで足手纏いにしかならないでしょうし。合流についてはいかように?」

「自由に動くといい。此方は変わらず北西を目指す。
 合流を目的とするのであれば、その方角にでも行くといい。」

 北西へ向かえばアカメと彰が禁止エリアで遠回りになるとしても、
 合流がありうる方角でもあるという合理的理由もある。
 必要な問答を終えると、仁王がごときヴァンパイアへと姿を変える。
 これから起きるのは最強格同士による戦い。観戦者など一人も許されない。
 否。いたら巻き添えで死んでしまう。そういう意味で許されなかった。

「わかりました。不必要なことかもしれませんが、ご武運を。」

 話を終えると、今度こそオフィエルは隔離術式で逃げの姿勢に入る。
 ただ走っていてはこの戦場から逃れることはまず不可能なのだから。
 一回目の隔離術式で距離を取ったその瞬間が戦いのゴングの合図となる。

「ヴォオオオオオ───ッ!!!」

 明が獣のような雄たけびを上げると同時に、
 日ノ元が空を舞い、背中についている触手を前面に押し出し、無数の光線を放つ。
 一発一発が真祖であっても被弾を許さない威力を誇る一撃。それを明は素早く躱していく。
 それだけで不動明がいた周囲は次々と破壊されていき瓦礫の山を形成していく。
 すでに書き置きをしていた遠野家も、ただの瓦礫の残骸の一つにすぎなくなった。
 その戦場の流れ弾を、死に物狂いで隔離術式で逃げるオフィエルを尻目に戦い続ける。
 彼を気にかけるほどの余裕は、日ノ元にもないほどに目の前の存在は別格だった。

 明もまた蝙蝠のような翼を広げて空へと舞い、日ノ元へと迫る。
 距離を取りつつビームを放ち続けるが展開は変わることなく。
 ビームが地面を穿ち、建物を破壊し、塀を突き破っていく。
 やがて拳が射程内に入ると、触手の一本が掴まれた。

「ヌゥ!」

 目的は分かっていても対応するには遅すぎる一瞬。
 明はそれを引っ張り、根元ごと触手を引きちぎった。
 破壊でも切断でもなく、素手の力でただ単に引きちぎるという力業で、だ。

 ドミノが苦戦していた相手だ。
 こちらとて油断するつもりはなく再び距離を取ることを選ぶ。
 躱すということはまだ無傷で済むか理解してないか、あるいは攻撃として通用するか。
 ドミノとの戦いで十分自分の攻撃は通用するはずなので、恐らくは後者だと推測する。
 しかし一本ちぎられた代償は大きい。ビームの総数が減ったことにより明の動きはより機敏となり、
 先と同様に二本、三本と次々と触手がちぎられて行ってしまう。

(これでは遠距離攻撃は指からだけだな。)

 ものの数分。それだけで最終的にすべてを引き抜かれてしまった。
 相手の目的が分かっていても、相手の膂力が想定を上回っているのが原因でもある。
 その手を掴もうとするころには触手を引き抜かれ離れられる、とてつもない怪力を持つ。
 正直なところ日ノ元は少し驚いている。障壁が姫和との戦いから出せなくなったとしても、
 こうも力業で自分の遠距離攻撃の手段の殆どを持っていくとは思わなかったからだ。

「先の小娘でもなせなかったことを容易に成し遂げてくるか。」

 技術だけで言えば姫和のほうが圧倒的に洗練されているだろう。
 目の前にいるのは、ただ暴れるだけの獣のようにしか思えなかった。
 しかし粗暴に見えて冴えと閃きは彼女に負けず劣らずの天賦の才を感じる。
 野生の勘、とでもいうべきなのだろうか。それともあれが八将神と言う類の一人で、
 何かしら底上げされた存在なのか。正体は定かではない。相手が交わす言葉を持ち合わせてない以上は。
 勇者と呼ばれるだけの悪魔の力を使っているのだ。当然と言えば当然のことだ。

「ならば再び接近戦と行くか。」

 何にせよやることは変わらない。
 空中戦はもはや無意味となっている。
 地上へと降り立つと全身を燦然と輝かせる。
 口から吐き出す火炎放射が空を覆うように日ノ元へと降り注ぐ。
 降り注ぐ業火を地を蹴り、ダッシュで駆け抜けて躱していく。
 瓦礫に上乗せするように燃え広がる炎。既にこのエリアは災害の地だ。
 この破壊をもたらした惨状がたった二人だと言って、誰が信じられるだろうか。
 いや、この仁王と悪魔の姿を見れば成し遂げたと言っても逆に誰も疑わないだろう。
 回避に専念しやがて背後まで回り込んで跳躍しようとした瞬間、明の姿が消える。

「無駄だ。」

 同時に背後の虚空に裏拳を振り向きながら放つ。
 放てばそこには明がおり、側頭部にクリーンヒットする。
 明はテレポートで日ノ元の背後へと回り込んだものの、
 それを彼は一瞬にして読んで先に攻撃を仕掛けていた。

870とびっきりの最強対最強 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/15(木) 22:39:55 ID:7e5GAUSE0
「部下にいるのだよ。使い方は違うが類似した能力を持つ者がな。」

 裏拳を受けた明は塀をぶち抜きながら、
 この戦いでまだ原形をとどめていた家屋を破壊するように突っ込む。
 すぐに倒壊した瓦礫の下から即座に飛び出しながら拳を突き出す。
 迫る拳には拳で対応するように日ノ元も拳を突き出しぶつかり合う。
 ぶつけ合うだけで周囲の残る塀にひびが入るほどの衝撃が走っており、
 此処にオフィエルが居残っていればまず無傷どころか、命はなかっただろう。
 ブシャリと、互いに互いの拳の威力に耐え切れなくなって互いに血が噴き出す。

(こちらの光───高速振動をものともせず迫るか。)

 二撃、三撃、否。もはや数えることのできないほどの拳がぶつかり合う。
 衝撃と血飛沫が周囲へとまき散らされ、破壊の爪痕を次々と広げていく。
 ダメージを受けているのは一応は明の方だ。元よりフェイトとの戦いにより、
 大ダメージを負っていたのだ。そこにこの舞台において最強格ともいえる日ノ元との交戦だ。
 体力差と言うものはこの場においては日ノ元の方が圧倒的に優位にある。

 一方で、だからと言って完全に日ノ元が優勢かというとそう言うわけでもない。
 八将神特有の再生能力だけではない。日ノ元の力は使えば使うほど自傷を起こすデメリットがある。
 故にどちらかが一方的に有利なわけではなく、しかしそれでいてどちらが不利なわけでもなかった。
 とはいえ消耗が速いのは日ノ元。超光を纏った拳を受けながらも再生しながら迫る攻撃では、
 次第に拳の打ち合いは明へと軍配が上がっていった。

「なるほど。これは厄介だな。」

 迫る拳を横から弾き、明の顔面へと拳を叩きこむ。
 顔面へ叩き込むと同時に骨にひびの入るような音が響く。

「だがその程度ならば見切れる。」

 相手は乱雑な攻撃でそれでいて鋭い攻撃だ。
 とはいえ、何度も見ていれば十分に見切れる。
 再び瓦礫の山へと明を突っ込ませ、軽く一息つく。

「貴様について興味は湧くが……私にもやることがある。お前は此処で死ね。」

 突っ込んだ瓦礫へと一気に肉薄する日ノ元。
 同時に瓦礫がはじけ飛び、明が触覚から電流を飛ばす。

「ム!」

 炎以外の遠距離攻撃は想定しておらず回避に専念するも、
 その隙を突かれて鋭い蹴りが鳩尾に叩き込まれ、たたらを踏む。
 すかさず回し蹴りが首をへし折らんと迫るが左腕を挟むことでガード。
 右手でその足を掴んで、地面へと思いっきり叩きつける。
 血飛沫を地面にまき散らしながらクレーターが出来上がり、
 容赦なく二度、三度と勢いを利用して地面へと叩きつけていく。
 それをやめたのは五度目ぐらいだろうか。触覚から電撃が飛び交い、
 手放さざるを得なくなったからだ。

(ダメージは大分入ったはずなのにものともしないな。
 改めて、これならばドミノが苦戦したのもよくわかる。)

 距離を取ると再び口からの火炎放射のブレスが襲い掛かる。
 広範囲に及ぶ炎に直撃は回避するものの、
 完全な回避が間に合わず左腕が焼けただれる。

「ほう、太陽を焼くか……面白い!」

 焼けただれた手で拳を作ると、
 再び肉薄し拳同士の殴り合いを始める。
 だが今度はぶつけ合うことはせず、ボクシングのように回避を優先する。
 相殺すれば互いにダメージが通る。互いにそれは避けなければならない。
 故に回避特化の攻防だ。どちらも一撃を当てれば優勢となるところだが、
 一撃を与えれば事態は進展する。その瞬間地面が大きく揺らぐ。
 地震ではない。日ノ元が震脚によって明を怯ませるに至ったのだ。

「これで通るな。」

 再び顔面を吹き飛ばす勢いでの右ストレート。
 咄嗟に両腕をクロスさせる形でガードをすることで直撃は防ぐが、
 大きく後ずさりするだけ、日ノ元の攻撃の威力を物語っている。
 三度火炎放射のため口を開くも、

「遅い。」

871とびっきりの最強対最強 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/15(木) 22:40:25 ID:7e5GAUSE0
 指先からビームを放つ。
 一瞬の溜めであり、出力も上げられなかった一撃だ。
 なので先ほどと違い両手に風穴を開ける程度で終わってしまう。
 この程度では悪魔人間には大した傷にならず、そのまま明は接近し逆に殴り飛ばす。
 風穴があいたと言えどもダメージは八将神からすれば軽微なものだ。
 殴られた威力は凄まじいもので日ノ元でも今度は吹き飛ばされる。

 瓦礫の上を転がりながら、起き上がると同時に指先からビームを放つ。
 だが距離があったのもあってか飛行することで回避し、今度は雷撃が降り注ぐ。
 まだ立ち上がれてない日ノ元は転がる形で回避するも何発か被弾する。
 並の電流ではない威力を前に、顔を顰める。

「チィ、炎も雷も一級品か……やはり真祖に匹敵するだけはあるな。」

 雷雨を抜け出した後は勢いで立ち上がり、
 その勢いのまま飛行することで空中にて殴り合いへと持ち込む。
 空中ゆえに互いに機動力を生かすことで敵の攻撃をいなしていく。
 再びどちらかが先に拳を叩きこむ勝負、かと思われたが。

「!」

 殴り合いの最中溜めていた火炎放射を至近距離で放ってきたからだ。
 動作に一瞬気づくことができたことで更に上空へ舞うこと回避するも、
 その一瞬のスキは大きく、アッパーカットが日ノ元の顎にクリーンヒットし下顎が吹き飛ぶ。
 残骸の中へと消えていく下顎を尻目に、ダメージに一切怯むことなく、
 同じようにアッパーカットを。明の腕へと叩き込みその右腕をへし折る。
 腕が折れ、下顎が消し飛んでも意に介することなく彼らは戦いを続ける。

 片腕を失ったで大きく不利になるも、
 更に上空へと飛行し足の鋭利な爪による斬撃を見舞う。
 それを片手で払いのけようとするもわずかに向こうの方が速い。
 左腕に軽い傷跡を残す程度ではあるが反撃は失敗する。

 そのまま旋回し背後を狙った蹴り。
 振り返りながらバックステップし、地上へ降り立ったところへ拳を叩きこむ。
 それを向こうも着地の勢いを利用して横へステップする形で躱し、
 左腕───ではなく折れた右腕が棍棒のように振るわれた。
 左腕の攻撃に備えていた日ノ元はこれを想定できず、折れた右腕の一撃を踏み転倒する。
 たとえ折れた腕であっても、悪魔人間であれば立派な武器になる。

「グガッ……」

 追撃の踏み付けが迫るが日ノ元は両腕で足を掴み、起き上がる勢いを利用し地面へと叩きつける。
 叩きつけた後そのまま勢いのまま心臓をぶち抜くかのような右ストレートが飛来するも、
 明が地面を蹴って跳躍したことで地面に大きなクレーターを作るだけに留まる。

 再び地上にいる日ノ元へとめがけて降下する明。
 
 しかしその前に日ノ元が跳躍し、一本背負いで逆にクレーターへと叩きつける。

「終わりだ。」

 出力をこの舞台での制限下限界まで上げたビーム。
 遠方からでも見えるようなまばゆい光を指先から地上の明へと放つ。
 核爆発でも起きたかのような光が周囲を包み込み、当然明も光に呑まれた。










 路上でもないのに周囲が完全に更地とクレーターばかりの平安京。
 先のビームにより大きくできたクレーターの上へと日ノ元が降り立ち、

「此処まで苦戦を強いられるとはな……」

 真祖の姿が維持できず、元の姿に戻る日ノ元。
 膝をつき、息を切らす。ダメージは甚大だ。
 相手の姿は見えない。威力が強すぎて生きてるか死んだのかも判断がつかない。
 それではやりすぎとは思ったが、やりすぎなぐらいでなければ奴は倒せない相手だ。

「……」

 周囲を見渡す。
 不動明を探しているだけではない。
 形あるものは残骸へと変わり果て、燃え盛る大地、崩れた大地。
 それは、まるで虐殺の王の門出の時のような惨状を思い出させる光景だった。

「……」

 真祖はただ沈黙する。今は回復をしなければならない。
 このままではドミノはおろか、隙をつかれれば堂島にも後れを取りかねない。
 災害のような戦場を後にし、日ノ元は歩き出した。


※D-5が酷く荒れています。

【D-5/一日目/午前】

872とびっきりの最強対最強 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/15(木) 22:41:05 ID:7e5GAUSE0
【日ノ元士郎@血と灰の女王】
[状態]:疲労(特大)、ダメージ(特大)、触手および障壁使用不可能
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3(回復系はない)
[思考・状況]
基本:立ち塞がる主催の面々は打ち倒す。
1 :『主催を打倒する』という目的を持った者たちを集める。
2 :今はドミノと戦う時ではないようだ。だが佐神善は出来れば始末。
3 :日ノ元明は見つけ次第保護する。
4 :先生には念の為警戒。
5 :オフィエルの言っていた男の為北西へ向かう。
6 :蒔岡彰、まっこと素晴らしくも、惜しい愚民だ。アカメは強い意志があるな。
7 :城咲充の方もより惜しいが、七原君に近いので相容れない気もする。
8 :オフィエルも何かしら行動はしてそうではあるな。
9 :三人目の真祖(エデン)、奴は何もせんだろうが気をつけてはおこう。
10:エスデスと怪物(不動明)と八将神が当面の敵か。
11:今は回復しなければ。

[備考]
※参戦時期は最低でもドミノ組との開戦前
※真祖としての力に制限が課せられています
※三人目の真祖(ユーベンではなく原作で言う四人目)が主催に関わってると考えてます。
※バリアは背中の触手が無事でも一度はがされたらしばらくは使えません。
 触手も同様です。
※八将神を知りました
※アカメと情報交換しました。





 不動明は結果的に言えば生きていた。
 しかし右腕は消失し、ボロボロの状態だ。
 八将神の恩恵により再生こそ進んでいるが、それでも限度がある。
 憎悪に燃える悪魔は空を漂う。どこにたどり着くかは誰にもわからない。

【???/一日目/午前】

【不動明@デビルマン(漫画版)/歳殺神】
[状態]:勇者アモンの状態、ダメージ(絶大)、右腕欠損(再生中)、『人間』への憎悪、精神不安定、みさえに対して安らぎの心情
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(タブレットはなし)、ランダム支給品×1(強くない、或いは武器以外)
[思考・状況]
基本方針:全てを滅ぼす
(アモン)
1:敵を殺す

(不動明)
1:政達との合流。最悪、あいつらやみさえさん達の知り合いだけでも逃がしたい。
2:この記憶が本物であった以上、元に戻ったらその時は……
2:襲ってくる者がいたら容赦しない。
3:俺は……不動明なのか!? 悪魔族のアモンなのか!?
4:みさえさん……俺にはまだ守るべき人間が残っている。なら、俺は……悪魔人間だ!

[備考]
※参戦時期は牧村美樹死亡後。
※八将神としての人格はアモンと統合されています。
 その為、アモンとしての人格と不動明としての人格が不定期に出たり引っ込んだりします。
※ドス六たちを殺した記憶が朧気ながらフラッシュバックされています。
※ドミノとの戦いはほとんど覚えていません。
※来夢の事情を知りました。(せつ菜を殺めた顛末)
※来夢からブルリフの世界について簡単な知識を得ました。
※みさえからクレヨンしんちゃんの世界について簡単な知識を得ました。
※彼方へと吹き飛ばされました。どの方角へ飛んだかは後続の書き手にお任せします。




 隔離術式で必死に逃げた後戦闘の射程外へ逃れたオフィエルは冷や汗を拭う。
 危うく死ぬところだった。それだけアレの存在が脅威だったのだと察した。
 戦いを尻目に見ただけで分かる。あれは敵に回してはならない、王者の姿だと。
 火の使途ファレグすら屠れる存在。最初に出会った際に唱えた公明正大を成し遂げられるだろう。
 しかし、それでも保険はかけておくべきか。それとも日ノ元にそのまま協力するべきか。
 オフィエルは後方の戦闘の轟音を背に隔離術式で移動しながら考え込んだ。

【D-5かその周囲のエリア/一日目/午前】

873とびっきりの最強対最強 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/15(木) 22:41:20 ID:7e5GAUSE0
【オフィエル・ハーバート@ファンタシースターオンライン2】
[状態]:疲労(中)
[装備]:ホカクカードSP×4@スーパーペーパーマリオ、咲夜のナイフ×大量@東方project
[道具]:基本支給品×2(自身、ジャギ)、ランダム支給品×1〜3(カンフーマン×0〜2、自身×0〜1、前者は未確認)、ジャギのカード、針×8@アカメが斬る!、黒銀の滅爪@グランブルーファンタジー
[思考・状況]
基本方針:願望を果たすまで死ぬわけにはいかない。場合によっては主催側へつくことも検討
1:日ノ元士郎に協力し、彼を見極める。
2:念の為に色々と仕込みを済ませておく。ホカクカードもそれに関して有用だ。
3:ジャギは体よく使い倒す。文字通りカードの使い時が大事だな。
4:あれがドミノか……余り敵視されないようにしておこう。
5:意味はないが北西へ向かう。
6:エスデスに八将神……この舞台の病巣か。
7:あれが怪物。納得せざるを得ない病巣だ。
8:合流するべきか、単独行動するべきか……さて。
[備考]
※参戦時期はEP4-8「壊れた進化」から
※隔離術式による対象の隔離及び空間接合による転移に制限が課せられています
※洗脳は初回は至近距離でのみ可能、洗脳にも時間を有します
 解けかけの相手であれば、コオリの時のように数メートル離れてても可能です
 精神的に脆かったり弱い相手であれば特に滞りなく可能ですが、
 洗脳に対する抵抗や洗脳できる人数の制限等は後続の書き手にお任せします
※彰、充、ドミノ、しおから参加者の情報を得ました。
 但し充の参戦時期はDルートなので、
 彼以外でははるなから話を聞いた人物、
 途中までであればCルートの結衣は話が通じます
※咲夜のナイフの本数は少なくとも五十本以上ですが、
 具体的な数は後続の書き手にお任せします。
※アカメと情報交換しました


【遠野家@MELTY BLOOD】
遠野秋葉が当主を務める遠野家の屋敷。
広い庭に絢爛な屋敷と、日本らしからぬ西洋の屋敷の建築となっている。
ただし日ノ元と不動明との戦いにより瓦礫と化した。

874とびっきりの最強対最強 ◆EPyDv9DKJs:2024/08/15(木) 22:41:43 ID:7e5GAUSE0
以上で投下終了です

875君だけの道 ◆EPyDv9DKJs:2025/03/26(水) 22:27:26 ID:heTZnBno0
投下します

876君だけの道 ◆EPyDv9DKJs:2025/03/26(水) 22:28:17 ID:heTZnBno0
「アカメさん、ストップ……と言うより、
 すみませんペースを落としてもらえますか?」

 食事を終え、アカメと彰は駆けていく。
 初音を探すべく快速で動く二人ではあるが、
 ナイトレイド屈指の実力者であるアカメと、
 いかに運動神経がいい彰で比べるのは酷なことだ。
 必然的にただ走っているだけでも距離がどんどん離れており、
 それに食らいつこうとしている彰は殆ど息切れを起こしている。

「すまなかった。抱えた方が早いだろうか。」

「効率を考えたら、その方がいいかもしれません。」

 息切れを起こす彰に対してアカメはまるで息を乱してない。
 どれだけ鍛錬をされた殺し屋なのかと言うことが伺える姿だ。
 だからこそ、なおのこと初音のことは何とかしなければならなかった。

『ボンジュール! と言ってもこの場所は昼も夜の境界なんて無いに等しいのだけれどさ!』

 息を整えるのには丁度良かったと言うべきか。
 ディメーンによる定時放送が始まり、足を止めざるを得ない。
 とはいうが、二人にとって大きな影響を齎す情報はなかった。
 琴美軽油の大祐とはるな、そして英吾の三人以外にないのだから。
 彰としては残念に思う。悠奈と共にあのゲームを抗おうとしたお陰で、
 悠奈はあの後生き延びて、多くの人を助けることに繋がったのだから。
 死後であってもお礼の一言ぐらいは言いたかったが。それも叶わなくなった。

「アカメさん、行きましょう。」

 悠奈さんだってそうしているはずだ。
 悲しくはあるが、それで立ち止まる精神はしてない。
 死者は四十名近くにまでのぼる。ヘルメットの男や強姦磨だけではまず足りない。
 敵はまだまだいる。貴真やエスデスを筆頭に、数多くの敵が。
 自分のできる限りのことをする。息切れも止まっている。
 拳を握り締め、走り出してそれにアカメも追走していく。

「そこの人達、止まってくれ。」

 二人を静止するように、道の中央に立つ一人の少女。
 相当な手練れ。両社が認識するのはそう時間はかからない。
 すぐに立ち止まり、互いに得物に手を構えた状態でにらみ合う。
 まるで剣士同士による立ち合い。些細なことが先頭に繋がる一色触発の雰囲気。

「二人組……君達は……」

「悪人だけとは言え、殺し屋である私を信じるかどうか。それはお前次第だ。」

「えっと、それって言って大丈夫なんですか?」

「後になって警戒されるよりはいい。」

「……殺し屋、か……ただその様子を見るに敵ではないのだろう。
 いや、やっと話がまともに通じる相手に安心してる部分も否めないかもしれない。」

 いかれた思考を持つ童磨にモッコス。
 この六時間以上の費やして出会えたのは二人だけだ。
 彼らや美鈴と比べれば体力の少ない璃奈のことを考えれば、
 それは無理からぬことではあるが人の出会いに運がなさすぎる。
 今度こそ腰を落ち着けて話し合うことができる相手ができるのは安心感が大きい。
 彰も相当な手練れと認識してるが、アカメは更に別格のものだと美鈴は任司k敷いている。
 今からでも一瞬で刃の間合いに入ることができる。

「私は草壁美鈴。同行者が一人いる。
 近くの建物に待機させている。話し合いたいのだが、いいだろうか?」

 美鈴達は情報が欲しかった。
 此処六時間以上得たのは童磨とモッコスの二名だけ。
 璃奈を連れて動いてる間に三十八名も死亡している状態だ。
 信用できる相手であるならば、早急に情報の共有を行いたかった。

「美鈴さん、よろしくお願いします。」

「頼む。」

 朗らかな表情と、無表情。
 同じ長い黒髪を持ちながらも、
 何処か対照的な表情で返す二人だった。

 建物へ戻ると、
 音に強く反応して璃奈は椅子を盾にするように隠れる。
 だが美鈴が一緒にいることで、敵ではないことが伺えて顔だけを出す。

「安心してほしい。彼らは味方だ。」

 少し逡巡した後、身を乗り出し、ぺこりと頭を下げ、奥の部屋へと入っていく。
 表情の硬さも相まって彰はソフィアさんみたいだと内心思う。
 彼女の場合は、言語の問題と言うのも少なからず存在していたが。

「すまないが蒔岡くん、彼女を見てやってくれないだろうか?
 アカメくんと情報の共有をしたいが、彼女は友人を亡くして疲弊している。
 一人で考えるのも勿論大事だが、誰かがいた方が精神的にも落ち着くだろう。
 私は、余りそういうのは得意と言えるような人でもないから、頼めるだろうか?」

877君だけの道 ◆EPyDv9DKJs:2025/03/26(水) 22:28:53 ID:heTZnBno0
 美鈴と言う少女らしい一面もあるが、
 やはり戦いに身を投じてきた面もあって、
 完全とまではいかずとも少々価値観のずれがある。
 外見的に一般的な生活をしてきた彰が話しかけた方が、
 幾分か気が楽になるだろうと言う美鈴の判断だ。

「と言っても、僕も少しあれでしたが……分かりました。アカメさん、お願いします。」

 日常は確かに過ごしていたが、
 最終的には殺し合いに招かれた人間だ。
 普通の人間か、と問われると疑問はあるものの、
 その辺の説明はまだしてないし、断る理由も特にない。
 それに、人の喪失となれば自分と同じ。放っておけるものではなく、
 奥の部屋のベッドの隅で丸くなっている璃奈を見つけ、距離を置いてベッドに腰掛ける。

「……」

 じーっと、枕で顔を隠しつつも視線だけは彰に向けてくる。
 興味ありげのようで、何処か熱っぽい視線に彰は疑念を持つ。

「あの、何か?」

 その視線が何を意味するか分からない。
 ひょっとして変なものでもついているのかと自分を見やるが、
 特に変わった様子はなく不思議に思う。

「……何でもない。」

「そうですか。」

 何だったのかは気にはなるものの、
 それ以上は聞こうとはしなかった。
 それから訪れるのは沈黙。互いに初対面だし、
 情報交換はアカメ達が行っている。なので、
 二人の間に何か関係性があるのかどうかも定かではない。
 ニアミスで歩夢が来たホテルだったり、モッコスが充から服を奪ったり、
 仮に共有していたとしても充の件で話していたことぐらいだろうか。
 故に沈黙。閑話休題以前に始まることすらないまま軽く時間が流れるが、

「英吾さんって、刑事がいたんですよね。」

 ふと、彰の方から語り掛ける。
 無機質な天井を見上げながら、ゆっくりと。

「その人、確か……」

「はい。放送で呼ばれてしまってます。
 未熟な僕や悠奈さんに、色々教えてくれたいい人でした。
 ……元の世界でも、こんな世界でも、殺されていい人じゃないんです。」

 彼は二度も殺し合いによって殺された。
 刑事として、大人として自分と悠奈を導いた彼が、
 此処で死ぬのは、刑事としてはきっと正しかったのだろう。
 あの人のことだから、きっと誰かのために命を張ったのだと。
 それでも。命を落とすことが納得ができるかどうかとなると別だ。
 できることならまた会いたかった。会ってお礼を言いたかった。
 彼がいたからこそ悠奈は、多くの人の命を救うことができたのだから。
 またとないチャンスではあったが、それが叶うこともなく。

「……せつ菜ちゃんも、そうだった。」

 口下手ながら、ゆっくりと璃奈も語っていく。
 自分や愛さんにとってのオリジンとなるアイドル。
 そして、自分を変えるきっかけをくれたようなもの。
 けれど、もう二度と十人揃うことはなくなってしまった。
 犯人が誰かも分からないまま、だからと言って仇討ちできる勇気もなく。
 ただ淡々と放送で告げられた、仲間の名前に未だ実感が沸かないでいる。
 まるで、ぽっかりと心に穴を空けられたような気分でいた。

「璃奈さんにとって、大事な人だったんですね。」

 その話を聞き、彰も表情に影を落とす。
 せつ奈が、奈々がどういう人物化は璃奈経由だ。
 だから深く理解したわけではない。けれど、
 自分を変えてくれた人を喪うのは辛いものだ。
 
「心に穴が空いたみたいで。死んだって言われても、実感が沸かなくて。」

 相手は趣味の悪い殺し合いを強要してきた相手だ。
 その言葉を鵜吞みにするなんてことしたくはなかった。
 ひょっとしたら放浪してる間に、ひょっこり顔を出して、
 『無事でしたか!』と駆け寄ってくれる彼女の姿があるのではないか。
 そんなありもしない幻想に縋りたくなってしまう。それほどまでに彼女は疲弊している。
 彰と違って殺し合いとも何の縁のない一般人だ。それは無理からぬことだ。

「……比較するつもりはないんですが、
 僕は多くの人を亡くしていきました。ソフィアさん、英吾さん、多くの人が……」

 理不尽で構築された悪辣なゲーム。
 必死に抗い、立ち向かおうとしたけれど、
 たった一人の男によって全てが崩壊してしまった。
 生き残れたのは一人。最終的に自分でさえ命を落としてしまったのだから。

878君だけの道 ◆EPyDv9DKJs:2025/03/26(水) 22:30:09 ID:heTZnBno0
 理不尽で構築された悪辣なゲーム。
 必死に抗い、立ち向かおうとしたけれど、
 たった一人の男によって全てが崩壊してしまった。
 生き残れたのは一人。最終的に自分でさえ命を落としてしまったのだから。

「貴方は、それをどうしたの?」

「……前へと、進み続けました。
 『自分を貫き続ける。それがきっとヒーローになるってこと』とは、
 此処に参加してる悠奈さんと言う人からの激励が、そうさせてくれたんです。」

 その激励だけではないのだろう。
 理不尽に抗う。その精神は彰にも根付いている。
 だからこそ前へと、戦う道を選ぶ、神祖なんて言う、
 いかに味方と言えども途方もない存在を見たとしても。
 もし彼のような存在が敵だったとしても、きっと立ち向かうのだろう。
 理不尽に抗う。それを貫き通す。それが自分にとってのオリジンなのだから。

「璃奈さんに強要できるものではないですし、
 極限状態の中にいたからこその言葉でもあると思います。
 でも、僕はそれに倣って、前に進もうと思ってます。」

 形は違うが、
 モッコスをシャンバラで飛ばした時のような、
 やったるぞーと意気込みを入れたあの時を思い出す。
 あの後、彼女の死で躓いてしまってこうなってるが、
 あの瞬間だけは、間違いなく彼のように理不尽に抗う姿勢を見せていた。

「僕はそういうのが得意ではないから分からないんですが、
 その穴を何かで埋め合わせる……それがいいんじゃないでしょうか。」

「何かで……」

 彰は美鈴と違ってお世辞にも頭がいいわけではない。
 機械の操作も苦手だったり、天然が入ってる部分もある。
 そういう意味では、美鈴とは別の意味でこういう対応は向いていない。
 でもできる限り、自分が思うできることを考えて行動する頭は持っている。

「友人の死を他で埋め合わせることなんて、
 そんな簡単にできないでしょうし、したくもないでしょう。
 それでも、前へ進みたいならそれも一つの手なんじゃないかと。」

 中性的な顔つきの微笑みは、何処か眩しくもあった。
 彼の話は過酷なものだ。二度も知り合いが殺されている。
 少なくとも彰のいた世界は人がより平然と死ぬ場所にいたのだと。
 それでもそんな風に前へ歩まんとする彼の姿は、璃奈には眩しく見える。
 スクールアイドルとはまた違った、輝きのような。

「……じゃあ、手伝ってもらってもいい?」

「? いいですよ。僕で良ければ何でも。」

 ───それでも。
 彼女はその埋め方を間違った方向で埋めようとする。
 それに気づくこともなく、彰は二つ返事でそれを受け入れると、

「え?」

 押し倒されていた。
 小さく、機械的な何処か無表情な顔が視界全体に移る。
 何が起きたのか分からないでいると、璃奈がズボンを下ろしにかかる。

「わわわわわ!? な、何してるんですか!?」

 当然全力で止めに入る。
 相手はスクールアイドルで鍛えてると言っても少女だ。
 彰の力であれば、止めること自体はそこまで難しいことではない。

「あの人に会ってから、身体が変……でも、
 その変なのが、怖いのを忘れさせてくれる。」

 モッコスの影響は彼女にとって決して小さくなかった。
 先延ばし症候群、と言うものがある。をの内のトム型は、
 要は現実逃避。目的や仕事よりも、目先の快楽と言う逃げ道を優先してしまう。
 今の璃奈はそれに近い。童磨を撃ち、モッコスに凌辱されそうになって、
 殺し合いと言うものに精神的に押し潰されそうになった中で出会えた、友好的な男性。
 悪夢のような現実から目を背けてくれる人が欲しかった。自分の穴を埋めてくれる人が欲しい。
 その結果がこれだ。彼女はモッコスの代わりに、彰でその穴を、快楽を埋めようとしていた。

「……すみません。それはできません。」

 抵抗を続けてる中、申し訳なさそうに彰が呟く。
 声を荒げるでも、受け入れるでもなく、寂し気な一言に璃奈の動きも止まる。

「僕には悠奈さんがいますから、それはできないんです。」

 彰も男性だ。けれど、そればかりは無理だった。
 彼女の中には、死後ですら悠奈が残っているのだ。
 でなければ、一年以上も死後の世界で待ち続けないだろう。
 だからできない。彼女以外の相手を受け入れることは、決して。

879君だけの道 ◆EPyDv9DKJs:2025/03/26(水) 22:30:41 ID:heTZnBno0
「……どう、して。」

「きっと、後悔します。」

 相手の股座に膝をついた状態で、上目遣いと潤んだ瞳。
 そういう趣向の相手なら、即座に抱いてしまいそうだろう。
 それでも操のように、彼は彼女を受け入れてはならないのだと。
 受け入れれば、きっと彼女はずっとこの先それで逃げ続けるのだろう。
 だめだ。一時的な逃避は、いずれ後で後悔することになることが分かる。
 ソフィアが最後は後悔の念を残して死んだことを思い出すと、なおのことだめだと。

「もっと別の方法を探しましょう。
 と、言っても今すぐ思い当たらないので、
 その場しのぎと言われたら返せないですけど……」

 諭された璃奈は、言葉に詰まる。
 一時の迷いで、誰かに身体を委ねようとしていた。
 すれば、彼の言う通り一生後悔しかねないようなことを。
 そう思うと、別の意味で顔が赤くなり始めていた。

「璃奈。そう言えば余裕がなくて聞いてなかったが。君の知り合いの名前をまだ……」

「あ。」

 部屋の扉が開き、美鈴が部屋に入る。
 入ると同時に、凍り付いた空間のような沈黙か訪れた。
 少なくとも璃奈は何もしていない。まだ何もしていない。
 しかしだ。それは横や上から見た角度の場合の話である。
 後方から見れば、どういう状態であるかは……想像するに難くない。

「な、ななななな……! 君もそういう類の輩なのか!?」

「あ、違います! 誤解です!」

 思わず刀を抜刀しそうになり、全力で弁明に入る彰。
 その後、璃奈が必死に止めに入り拙くともちゃんと説明したので、
 無事、彰は事なきを得ることにはなった。

「……コホン、先ほどは取り乱してすまなかった。
 連続して悪辣な輩に少々敏感になりすぎていたようだ。」

 いかれた鬼にいかれた性欲の塊。
 男運に恵まれてないと言うのは事実であり、
 出会った最初も彰に対しては実は少しばかり美鈴は身構えていた。
 実際はそんなことはない、天然はともかくできたひとであるのは確かなようだ。

「いえ、僕も僕でしたから……素直に大声を上げれば済みましたし。」

「……因みに、大声を出さなかった理由は>」

「璃奈さんに非が向けられると思って……」

「……ごめんなさい。」

 言ってしまえば逆レイプの類だ。
 そんな光景を他人に見られてしまえば、
 一生モノの傷になると思って流石に大声は出せなかった。
 実際、そのおかげで彰の方にヘイトが向けられていた感じだったので、
 行動自体は余り間違いではなかったのかもしれないが。

「あんなことがあったのだから、無理からぬことだとはある。
 とは言え、人数が揃った……攻勢に出るいい機会かもしれない。」

 力のなかった駆とかを守りながら戦う。
 あの赤い夜と違い相手は場合によってはより危険な人物が多い。
 特に相手は人だ。取り入ることでよからぬことを企んでる人物も多いだろう。
 事実、モッコスはそのよからぬことを企んでいる筆頭だったのだから猶更。
 その環境下で璃奈を自分一人で守り抜くと言うのは少々難しくもあったので、
 動くには動いていたが、なかなか参加者と接触できるほどの移動はできなかった。
 しかし二人、特にアカメはかなりの戦力となる。冷静で物事を見据えている。
 彰も自分たちほどではないにせよ、頼もしい戦力になることは間違いないだろう。

「初音さんも早く見つけたいですし、お願いします。美鈴さん、璃奈さん。」

 先ほどのことは水に流したように、再び朗らかな表情で対応する彰。
 先ほどしてしまったこともあって、何処か顔が赤くもある璃奈だった。


【B-5 民家内/一日目/午前】

880君だけの道 ◆EPyDv9DKJs:2025/03/26(水) 22:33:17 ID:heTZnBno0
【草壁美鈴@11eyes -罪と罰と贖いの少女-】
[状態]:健康、術の多用による疲労(小)
[装備]:小烏丸天国+雷切+童子切安綱@11eyes -罪と罰と贖いの少女-
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本方針:殺し合いの打破と、草壁七剣の回収。
1:アカメ、彰、璃奈と行動を共にする
2:この赤い夜もどきは一体何だ?……魔術によるものなのか?
3:次、外道(童麿)と相まみえたら、頸を刎ねることを試す
4:勇者……奴のあの才は危険だったが、今は大丈夫、か?
5:璃奈……今は、落ち着く時間が欲しいだろう……
[備考]
※参戦時期は本編終了後です。皐月駆と体を重ねています。
※モッコスが名乗るエドワードハインリッヒは偽名だと思っています。
※モッコスから松坂さとうの危険性について聞きました(半信半疑)
※頸を刎ねれば、童麿を祓うことができるのではないかと推測しています。
※璃奈からスクールアイドルについて簡単に知りました。
※モッコスが空白の才を手にしたことを知りました。
※残りの草壁七剣は以下の4本です。
 ・火車切広光
 ・鉋切長光
 ・鬼切(別名:鬼切安綱、髭切など)
 ・蜘蛛切(別名:膝丸、薄緑など)
※彰、アカメと情報交換しました

【天王寺璃奈@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会】
[状態]:発情(極小、大分理性で抑えられるように)、精神的疲労(大)、肉体的疲労(小)
[装備]:ドミネーター@PSYCHO-PASSシリーズ、次元方陣シャンバラ@アカメが斬る!、璃奈ちゃんボード@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない。
1:美鈴さんと行動を共にする
2:愛さんや同好会の友達と合流したい。でも、もし、みんな、もう……
3::……さっきの人達(童磨・エドワードハインリッヒ)とは、もう会いたくない。
4:力(ドミネーター)を使う意義が来たら撃つ
5:美鈴さん……大人の女性……璃奈ちゃんボード「ドキドキ」(?□!) ///
6:……頑張らないと。
[備考]
※参戦時期はアニメ最終話の後です。
※ドミネーターはエリミネーター1発分の電力を消費しましたが、充電しました。
 会場のどこかに充電設備が存在するかもしれません。(B-7※他にもあるかもしれません)
※結果的に殺してはいないものの、自分が銃の引き金を引いて血だまりを生み出してしまったことに内心動揺していましたが、美鈴の言葉から落ち着きを取り戻しました。
※モッコスのことを名乗ったエドワードハインリッヒと思っています。
※モッコスから松坂さとうの危険性について聞きました(半信半疑)
※モッコスが空白の才を手にしたことを知りました。
※美鈴から”赤い夜”の出来事について簡単に知りました。
※ドミネーターの使用について理解しました。(使用方法や犯罪係数など)
※モッコスによって刻まれた快楽的感覚が彼女の中でまた燻り始めました
 ただ、彰のお陰で大分抑えられるようになってます。
※アカメ、彰と情報交換しました

【蒔岡彰@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:顔に含み針の傷(目に支障なし、針は捨てた)、攻撃速度強化
[装備]:妖刀村正[改]@御城プロジェクト:Re
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:悠奈さんのところへと戻る。クリアせずともいい脱出方法で。
1:同じ考えの人を探す。
2:悠奈さんや姉さんが関わった人達に会いたい。
3:僕があの人(カンフーマン)の分も生きないと。
4:ドミノさんもいい人だ。
5:貴真さんは止める、絶対に。軍服の人は……もしかしてあの人?
6:ヘルメットの人(ジャギ)を追いたいけど初音さんをなんとかしたい。
7:エスデスさん、凄い人なんですね……
8:初音さんを死なせたくない。
9:璃奈さん、大丈夫でしょうか。
[備考]
※参戦時期はZルートラスト、死後に悠奈と再会後です。
※ドミノ、充、しお、日ノ元、オフィエル、アカメと情報交換をしました。
 充、琴美はDルートなのではるなと彼女から話を聞いた人物、
 および途中までならCルートと同一なので途中までは結衣と話が嚙み合います。
 オフィエル、日ノ元の具体的な本性については教えられていません。

881君だけの道 ◆EPyDv9DKJs:2025/03/26(水) 22:34:01 ID:heTZnBno0
【蒔岡彰@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:顔に含み針の傷(目に支障なし、針は捨てた)、攻撃速度強化
[装備]:妖刀村正[改]@御城プロジェクト:Re
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:悠奈さんのところへと戻る。クリアせずともいい脱出方法で。
1:同じ考えの人を探す。
2:悠奈さんや姉さんが関わった人達に会いたい。
3:僕があの人(カンフーマン)の分も生きないと。
4:ドミノさんもいい人だ。
5:貴真さんは止める、絶対に。軍服の人は……もしかしてあの人?
6:ヘルメットの人(ジャギ)を追いたいけど初音さんをなんとかしたい。
7:エスデスさん、凄い人なんですね……
8:初音さんを死なせたくない。
9:璃奈さん、大丈夫でしょうか。
[備考]
※参戦時期はZルートラスト、死後に悠奈と再会後です。
※ドミノ、充、しお、日ノ元、オフィエル、アカメと情報交換をしました。
 充、琴美はDルートなのではるなと彼女から話を聞いた人物、
 および途中までならCルートと同一なので途中までは結衣と話が嚙み合います。
 オフィエル、日ノ元の具体的な本性については教えられていません。
※璃奈、美鈴と情報交換しました。

【アカメ@アカメが斬る!】
[状態]:貧血、疲労(大)
[装備]:嘴平伊之助の日輪刀@鬼滅の刃、灰皿×2@現実、スサノオの核@アカメが斬る!、空白の才@うえきの法則、ミネルバブレス@ファイナルファンタジー7(バリアのマテリア@ファイナルファンタジー7装備)
〔道具]:基本支給品×6(自分、モッコス、琴美、充、ドドンタス、しお)、スサノオの槌@アカメが斬る! ランダム支給品×0〜9(琴美0〜1、ドドンタス0〜1、モッコス0〜1、充0〜1、一部未確認)、M93R@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage(弾薬まだ余裕あり)、空白の才@うえきの法則、ツヨツヨドリンク@スーパーペーパーマリオ、地獄耳の巻物×2@トルネコの大冒険、河童の秘薬(残り七割)@東方project

[思考・状況]
基本方針:主催を悪と見なして斬る。
0:美鈴達と行動する。
1:殺し合い阻止の為の仲間を募る。
2:エスデスを斬る。
3:あのおにぎり頭と初音を探し出し、悪ならば斬る。
4:レオーネと合流する。
5:琴美の関係者を探す。それと謝らなければならない。
6:主催はスーさんを復元できるのだろうか?
7:参加者に縁のある場所があるのか。
8:軍服の男やヘルメットの男、姫和に警戒。
9:八将神……だが彼女(姫和)は一体?

※参戦時期は漫画版、マイン廃人〜クロメと決着つける前の間
※琴美、充、彰視点でのリベリオンズ勢の関係を把握しました
 ただしDルート基準の為、他ルートとは齟齬があります
 (話が完全に一致するのは春菜、充のみ)
※雌豚調教の才はモッコス死亡により空白の才に戻りました
 少なくとも現時点でアカメは書いていません
※スサノオが無理な禍魂顕現をしたことで、性能が落ちてるかもしれません
※日ノ元、オフィエル、彰と情報交換しました
※D-6早朝時点で初音は別のエリアに行きました
 どこへ行ったかは後続の書き手にお任せします
※バリアマテリアによりバリアが使えます
 回数を重ねれば強くなるかも
※八将神を知りました
※美鈴、璃奈と情報交換しました。

882君だけの道 ◆EPyDv9DKJs:2025/03/26(水) 22:35:37 ID:heTZnBno0
以上で投下終了です


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