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少女たちの夜

1プルヒッター:2012/08/16(木) 19:36:52
人里はなれた真夏のペンションの物語。
そこで少女たちは様々な恐怖の夜に巻き込まれていく

2プルヒッター:2012/08/16(木) 19:38:11
真夏の蒸暑い夏の日。
今日は少女たちが、撮影で海に来ていた。

3プルヒッター:2012/08/16(木) 19:38:47
真夏の蒸暑い夏の日。
今日は少女たちが、撮影で海に来ていた。

4プルヒッター:2012/08/16(木) 19:41:06
前田敦子『ねえ今日も暑かったねえ』
大島優子『本当ね、今日日焼け止めクリーム持ってきて良かったよ』

前田とは対照的に大島は子供のように意地悪っぽく言った。

5プルヒッター:2012/08/16(木) 19:42:57
高橋みなみ『あっちゃん…今日も無事にグラビアの撮影が終わったね』
麦藁帽子をかぶって来てやってきたのはAKBのまとめ役高橋みなみだ。

6プルヒッター:2012/08/16(木) 19:47:17
『ちょっと、みんないるっ』
暑さでもだえてやってきたのは小嶋陽菜だ。
『ただでさえ暑いのに今日はもっと暑いよ、南国にいる気分見たい』
板野友美が可愛い八重歯を除かせながら悪戯っぽく言う。
『うわあっ!!!30度超えているよ今日も』
篠田麻里子が目の前の壁の柱に掛かっている温度計を見ながら驚いている。
『溶けちゃいそうですよ』
渡辺麻友もそれに続く。

7プルヒッター:2012/08/16(木) 19:52:50
『日本じゃ考えられないくらいの暑さじゃないですか』
柏木由紀も真夏の暑さにすっかり参っているようだ。
『ところで今日はこれからどうするつもり』
前田敦子が高橋みなみに問いかけてくる。
『今日は泊まりで水着の撮影のロケだし、一足先に佐江ちゃんたちもペンションで合流する予定だと聞いたわ』
すっかり空が赤く染まっているにも関わらず、相変わらず気温だけは上がり続けているようだ。

8プルヒッター:2012/08/16(木) 20:01:09
少女たちが乗せたロケバスは山を登っていく。
『気味悪いねここの場所』
板野がちょっとぶるっと口を震えながら言う。
『そうですね、なんか…さびしい道ですよねここ』
柏木も同じ気分だ。
『…お化け出そう』
麻友もなんだか不気味に怖そうに言う。
かくして彼女たちを乗せたロケバスは山道を登り、一足先に着いた宮澤佐江たちと合流した。

9プルヒッター:2012/08/16(木) 20:07:40
『遅いっ』
宮澤佐江がちょっといらいらしながら高橋みなみたちに言ってきた。
待ちくたびれてどうやらイライラしていたようだ。
『佐江ちゃんごめん』
『ちょっと遅刻よ』
秋元才加が言った、どうやらほかのみんなと一緒にペンションの前で待ちあわていたんだろう。
『でもせっかくそろったことだし、これで全員だね。』
『うん、スタッフさんも何人か残っているし、今日はこのペンションにとまりだって秋元先生から聞いたんだ』
宮澤と秋元がそう言うと、皆はペンションの入り口に入った。

10プルヒッター:2012/08/16(木) 20:14:43
集まったメンバーは。
高橋みなみ、前田敦子、大島優子、板野友美、篠田麻里子、小嶋陽菜、柏木由紀、渡辺麻友。
そして合流したメンバーは。
秋元才加、宮澤佐江、北原里英、指原莉乃、高城亜樹、河西智美、横山由依の15人。
…あれっ秋元先生の話だと集まる人数は16人だと聞いたんだけど?

11プルヒッター:2012/08/16(木) 20:20:03
首を傾げるたかみな。
『遅れてくるんじゃないですか、ほら』
たかみなとは対照的に指原が言う。
『全く大事なグラビア撮影終了の跡に遅刻するとは』
『親の顔が見たいね。』
秋元と篠田がちょっと頬を膨らませながら言う。
来るはずだった峰岸は別の仕事で来れなくなったと言う。

12プルヒッター:2012/08/16(木) 20:26:02
その時!!
『RRRRRR』
たかみなの携帯電話が突然鳴り出した。
『こんなときに誰からだろう』
たかみなが携帯電話のスイッチを入れる。
『もしもーし私だよ!!!誰だかわかる?』
あっけらかんとした声、私も良く聞き覚えのある声。
『みいちゃん』
前田が割ってはいる。
『今こっちへ向かっているところなんだ、もっちぃも一緒でそっちのペンションに向かっているところ』
二人はどうやら遅れてくるとのことで秋元氏から話を聴いているようだ。
『たかみな…16人じゃなく19人くるって言ってたよ』
…えっ!!!
あっけらかんとした表情にメンバーの一同は呆れた表情だ。

13プルヒッター:2012/08/16(木) 20:33:26
『ちょっと、たかみな間違えたでしょう』
『今朝渡した紙読んでなかったんですか?』
にゃんにゃんはともかく。
指原にまで言われてしまうとは不覚だった。
たかみなは懐にしまってあった紙切れをもう一度見つめなおす…すると。

『ようこそ、本日はこのペンションに
 ご招待しご苦労様です。
 付きましては今宵楽しい時間を過ごすべく
 食事、様々なレジャーを楽しむべく
 皆…日ごろの疲れを癒していってください
 …なお、19人来る予定ですが。
 もう1人は遅れてやってくるので。
 申し訳ありませんが、しばらくくるまで
 よろしくお願いいたします。』
    
              ペンションの主

14プルヒッター:2012/08/16(木) 20:35:39
訂正10番と12番。

19人と書きましたが正しくは18人の間違いでした。
お詫びして訂正いたします。

15プルヒッター:2012/08/16(木) 20:38:21
『ちょっと18人くるって言ってるのにたかみな間違ってるじゃん』
佐江はきつく言う。
『ご、ごめん私が間違えた』
たかみなは必死で弁解しながら皆に謝る。
…おやっ?
でもちょっとまってよ招待状には18人来るっていっていた。
遅れてくる二人を入れると17人。
…じゃあ、18人目はいったい誰?

16プルヒッター:2012/08/16(木) 20:41:49
『あれっ招待状には18人来るって秋元先生が言っていたんだけども』
また首を傾げるたかみな。
『みいちゃんともっちぃも遅れてくるって言ってましたよねたかみなさん』
と高城。
『・・・・・・・・・』
その言葉にたかみなはいったん言葉を詰まらせるだけ。

17プルヒッター:2012/08/16(木) 20:48:54
PP!!
丁度その頃車のヘッドライトが皆を眩しく光らせた、車のクラクションとともに。
『みいちゃんともっちぃかな』
一台の車がやってきて扉が開く音と同時に峰岸みなみと倉持明日香が荷物のバックを肩にかけながら
車から降りる。

『ごめーん!!!遅れちゃってみんな』
『もっちぃ』
高城と北原が迎えにやってきた。
『ちょっとお父さんと一緒に仕事があったから遅れちゃって』
『私もちょうどもっちぃと一緒になって、早速秋元先生から私の携帯電話がかかって
 そうしたら今すぐそこに行けって言われたんだ。』

18プルヒッター:2012/08/16(木) 20:55:04
秋元先生が?
どういう事だろう…たかみなはまた困惑したまま。
首を捻るだけ。

『18人目って秋元先生のことじゃない
 だって招待状にひとり遅れてくるって言ってたんだし』
小嶋がドライに言う。
『そうだと良いんだけど』
『たかみな…あんまり深く考えてると年取るよ』
あっちゃんの言葉にちょっとたかみなはションボリする、しかしいつもの彼女の顔に戻った。

19プルヒッター:2012/08/16(木) 21:03:14
・・・談話室は静かな静寂を放っている。
やがてペンションの従業員の1人がやってきて部屋割りを決める。
『こちらが今日皆様が泊まる部屋です』

ペンションの部屋は全部で12個 二人一緒の部屋だ。
部屋割り表を見る。
たかみな・敦子
優子・ともちん
麻里子・陽菜
まゆゆ・ゆきりん
才加・佐江
きたりえ・あきちゃ
とも〜み・みいちゃん
ゆいはん・もっちぃ
さっし〜は1人だ。
『ちょっと私1人ってどういうことですかたかみなさん』
『文句いわないの』
『指原ならひとりでも大丈夫じゃない』
二人部屋なのに1人だけの指原。
篠田と北原が厳しく言う。

20プルヒッター:2012/08/16(木) 21:11:58
『なんや指原さんもしかしてもうおじけついたんやないんですか』
『横山…言って良いことと悪いこともあるじゃん』
ちょっと涙目にいう指原に対し…横山が意地悪っぽく言う。
『荷物を置きになりましたら1階の大食堂へといらしてください
 お食事の用意ができておりますので、はい』
ペンションの従業員の1人がそういってフロントの部屋へと消えて言った。
『…夕日がいつもと違って真っ赤だ』
敦子は窓を開けると…海沿いに見える太陽が赤く大きく染めているのがわかる。
まるでこの世の終わりが迫っている感じだった。
『本当ね、世界の終わりが来たって感じだよ。』
『秋元さん、どうして私たちをここに呼んだんだろう?』
『わからないわ、招待状にはそう書いてあったんだし、だいいち』
コンコン!!!
ドアの小さなたたく音がする。
誰だろうこんな時間に。
敦子がドアを開ける。
『やあっ!!!』

21プルヒッター:2012/08/16(木) 21:17:53
『麻里子』
篠田が2人の部屋を訪ねにやって来たのだ。
『ここのペンションの地図なんだ』
『それどこから持ってきたの?麻里子さま』
たかみなが不思議そうに言う。
『…あ、これ私の部屋にあったんだ』
『部屋に?じゃあ私たちの部屋にもあるかも』
たかみなは机の引き出しを開ける…と、机の引き出しの中には古くて汚い地図のようなものが。
だいぶボロボロにはなっていたものの見れない程ではないようだ。
よく見ると、ここのペンションの見取り図…ガイドマップのようだ。
1階は左側には大食堂、テラスの正面にはプール。
様々な施設があるようだ。

22プルヒッター:2012/08/16(木) 21:21:00
『このペンションの地図のようね』
『地図があるペンションなんて聞いたことないよ』
たかみながその地図を眺めると、敦子は不服そうに言う。

23プルヒッター:2012/08/16(木) 21:25:18
『お食事の用意ができました
 皆様1階の大食堂へおいでください』
メンバー全員が1階の大食堂へと足を運ぶ。
階段を下りて長い廊下を歩き続ける。
しばらくすると大きな両扉が目の前にあった。
フロントの1人が音を立てて両扉を開ける…中は白い布が掛かった長テーブルと18席の椅子があった
テーブルの上には誰か誰だか解るよう名前のネームプレートが書かれてある。

24プルヒッター:2012/08/16(木) 21:38:03
17人の少女たちは自分の書かれている椅子に座って腰掛ける。
そして目の前には一人1人に食器とナイフとフォークとスプーンが綺麗に置いてある。
『なんか凝ってない…ペンションなのにこんな豪華だっけ食堂って』
佐江はちょっと戸惑い気味だ。
『新しく作り変えただけじゃないの』
河西もその豪華ぶりにびっくり目を輝かせていた。
『映画でしか見たことしかないからびっくりしました』
『私も』
まゆゆ・ゆきりんもあまりの豪華さに初めて目を疑っているようだ。
ペンションのウェイターがグラスに次々とワインをつぐ。
ワインの飲めないメンバーはジュースだ。
『じゃあ、誰が乾杯の音頭取るの』
ワイングラス片手に大島優子が乾杯の音頭を誰に取らせるか決める。
『・・・えっ!!!』
指原の目を見る大島。
『誰も指原だって言ってないよ…ここは一つたかみなに取らせたらいいんじゃない』
『私もたかみなでよければ』
皆もその意見に賛同。
たかみなが一度深呼吸して乾杯の音頭を取る
『それじゃ…今日も一日ご苦労様、また明日もがんばりましょう。
 乾杯!!!』
『乾杯っ!!!!』
少女たちは自分の持っているグラスをもって乾杯した。
お互いのグラスの乾杯の音が心地よく聞こえる。

25プルヒッター:2012/08/16(木) 21:48:59
…そして運ばれた料理に舌鼓を打つメンバー
スープ・メインの肉料理や魚料理に皆は大変満足げに平らげていく。
それぞれの料理は皆の胃の中へと消えていった。

『こんな山奥にペンションがあったなんて考えもつかなかったよ。』
遅れてきた峯岸も喜びの顔があった。
『…しかし、気になるのはあの招待状に記された言葉』
『才加ちゃんまだ気にしているの?あの言葉を。』
北原が心配をよそに秋元に言う。
『でも…ちょっと怖い気もするし、やって来ないなんておかしいよ』
『大丈夫だよ、ちょっと用事で遅れてくるんだから気にしない気にしない』
優子が明るく言った。
…が、それが重々しい空気があるのは解っていた。
招待状に遅れて来るって書いてあるのは悪戯にもちょっと程がある。
大食堂が重い空気に包まれる。
『…7時過ぎか』
ともちんがチラッと自分の腕にしている腕時計を見る。

26プルヒッター:2012/08/16(木) 21:53:42
『時間がたつのは早いよね…今日はグラビア撮影だったのに色んなことが合った気分』
『長い一日だったよね』
陽菜と麻里子が口々に言う。
『…』
怖がりな指原もグラスのジュースを飲み干して沈黙が続く。

27プルヒッター:2012/08/16(木) 22:00:22
『あの…』
『ゆいはんどうした?』
佐江が横山に言う…沈黙していても仕方がなかったんだろう。
『今日なー秋元先生に言われたんやけど、グラビアの撮影って明日やろって言ってはりましたか?』
『さあー』
『ちょっと由依その話いつ聞いたの?』
佐江が横山に問い詰める。
『宮澤さんそんな怖い顔せえへんで、あたし聞いたんです、本当は今日はグラビア撮影じゃなくテレビの雑誌の撮影だとききはりまして』
あきちゃも横山の言葉に加担する。
『私もですよ、秋元先生に聞いたら本当はテレビの雑誌の仕事だと』

28プルヒッター:2012/08/16(木) 22:11:04
『ゴロゴロゴロゴロ』
一瞬静まり返った大食堂とともに大きな落雷が落ちるのがわかった。

『秋元先生もきっとスケジュールが合わないからじゃないの』
指原がドライに言う。
…が、皆はそれ以上言わなかった、いや言えなかったのだ。
ペンションのあたりの外は深い夜に包まれた。

29プルヒッター:2012/08/16(木) 22:13:09
夜8時
一同は大食堂を後にした。
気まずい空気に耐え兼ねないのか気分を変えて談話室へと移動。

30プルヒッター:2012/08/16(木) 22:17:45
『さて私はちょっと人泳ぎしてこようかな
 確かこのペンションって大きなプールがあるって聞いたんだけど』
その言葉に言ったことは才加だった。
『私も、ちょっと泳ぎたい気分なんだ』
麻里子も同じ気分だったんだろう…陽菜とたかみなも才加についていって
1階のプールへと足を向けた。

『こんな気分でよく泳げるよね』
ともちんは皮肉っぽく言う。
『ともちんは泳がないの?』
敦子が言う。
『そんな気分じゃないの…ただでさえ山の中なのに泳げないよ』
どうやらそんな気分じゃないのは解っていたようだ、敦子はこれ以上何も言わなかった。

31プルヒッター:2012/08/16(木) 22:22:48
結局1階の大広間の談話室に残ったのは
敦子とともちん
由依とみいちゃん
ゆきりんとまゆゆだった。

優子ときたりえ
佐江ともっちぃ
あきちゃと指原ととも〜みは暇なので
ペンションの中を紹介してももらおうと探検がてらに中を回っていった。

32プルヒッター:2012/08/16(木) 22:32:20
月夜に照らされた夜の中
大理石の石で作り上げたプールでたかみなたちが泳いでいた。
マーライオンの像の口から水が滝のように音を立てながら出ているのが解る。
4人は一度部屋に戻って水着を取りにここにやって来た。

昼間とは蒸暑くうってかわって夜は涼しかった。
夜風が頬を撫でるように伝わっていくのが解る。
嫌なこともすっかり忘れ去るきぶんで泳ぐたかみな。
『ふうっペンションにプールがあるなんて』
プカプカと仰向けに浮く陽菜はまるで子供のような気分。
麻里子は泳がないのだろうか?プールサイドの白いベンチでサングラスをかけないまま寝そべっている。
才加も同じ。
『ちょっとにゃんにゃん、いつまでそうやって仰向けにやっているつもり?
 まさか泳げないんじゃ』
たかみなが陽菜のわき腹を突く。
『違うよ、こうやって仰向けに寝ながら空のお月さんを見ているだけなの』
子供のように頬をプーッと膨らませながら言う陽菜、3人は爆笑する。

33プルヒッター:2012/08/16(木) 22:36:32
あまり水に使っても仕方がないので一度プールから出る2人
『ねえ才加、ちょっとは落ち着いた』
陽菜の言葉にちょっとドキッとする才加。
まさかにゃんにゃんの口からそんな事を言い出すとは。
私もまだまだだなと言い聞かせる秋元才加だった。
『ああっもう忘れたさ、私はチームKのキャプテンなんだからさ』
『陽菜に言われたんじゃおしまいよね』
『もうっ麻里子!!!いじわるっ』
麻里子の無茶ぶりの言葉に2人が笑ったのは言うまでもない。
才加もちょっと照れていた。

34プルヒッター:2012/08/16(木) 22:42:23
『まあ才加が元気になって本当によかったよ』
たかみながその場を慰めるように言う。
『本当はね私も気にしていたんだ、
 秋元先生が何をやるかって私は秋元先生を信じるよ』
たかみなの言葉に3人は納得する。
『あーっなんだかすっきりした
 ちょっとひと泳ぎするよ』
才加は吹っ切れるようにプールへと飛び込んだ、水飛沫が大きくはね上がり3人の顔に掛かる。
『才加元気になったようね』
『元気だけがとりえだからね』
陽菜と麻里子が言う、あの顔を見たら安心してもいいだろうと思う2人だった。
丁度気持ちよく泳いでいる才加。
とその時。

35プルヒッター:2012/08/16(木) 22:49:21
気持ちよく才加がクロールで泳いでいる最中、自分の足元に何か感触を感じたのだ。
水の中に手を入れる才加…すると。
『なんだこれ?
 赤いシュシュだ…いつの間にこんなところにあったなんて』
才加が水の中に手を入れたときにはこんなものはなかった。
『誰のシュシュだろう、メンバーは今日髪のシュシュなんてしていないし』
私は最近誰かかここで何かあったのだろうと感じたのを覚えた。
『才加どうしたの?なにかあったの』
遠くから離れているたかみなたちがこっちへやって来た。
『ねえ今日シュシュしてきた人いた?』
『いないけど、どうしたの』
水の中で見つけた赤いシュシュのことをしゃべる才加。

36プルヒッター:2012/08/16(木) 22:53:06
『誰かが落としたものじゃない』
麻里子が言う…たしかにこういったシュシュはあってもおかしくないからだと。
『今見つけたのその赤いシュシュ?』
たかみなの問いに才加はこくんと頷く。
『捨てちゃえば』
麻里子が言うに対し才加も同じ気分だった、赤いシュシュを投げようとした時。
『捨てないで』
『えっ』
4人の頭の中で女の声がした。

37プルヒッター:2012/08/17(金) 22:10:05
『誰』
誰もいない夜のプールでたかみなが叫んだ。

38プルヒッター:2012/08/17(金) 22:19:10
『ちょっと隠れてないで出てきなよ』
強気とは裏腹に声は震えている才加
『まさか!!!幽霊』
麻里子もちょっと疑わしいように言う。
『嫌だ!!!怖ーい』
陽菜はちょっとなきそうに言った。
『そのシュシュは捨てないで…お願い』
謎の女性らしき声は4人の頭の中に響く、たかみなが耐え切れすに言う。
『どういうことなの!!!この赤いシュシュがあなたのものだなんて
 それにこのシュシュがあなたのものだなんて証拠がないわ
 姿を見せてよ』
…しかし、声の返事はなかった。
しばらくして…1分ほど。

『今は姿を見せることはできないわ、いずれ解るわ
 それまでに赤いシュシュはあなたたちに預けるわ』
『ちょっといい加減にしてよ、さっきからおかしな事を言って
 それにどうしてこのシュシュを私たちが持っていないといけない
 訳?』
才加は怒りとともに喋りだす、しかし返事はまたも返ってこない。
『お願い…』
謎の声の主は言って消えた。

39プルヒッター:2012/08/17(金) 22:24:48
しばらく4人はただただ黙っていた。
沈黙の中…やがて誰一人しゃべるまでには約1分以上はかかったと言う。
『私たち…幽霊に出くわしたのかな?』
麻里子が不思議そうに言う。
『ちょっと待ってよ麻里子、声も私の方もしたんだから
 4人同じ声が聞こえたなんて変よ』
まだ状況が飲み込めていない才加はちょっとパニック状態のようだ。
たかみなも同じく状況を飲み込めないでいた。
ただ1人陽菜だけは落ち着いていた表情の様子。
いや特に何にも考えていないだけのようだと思う。

40プルヒッター:2012/08/17(金) 22:30:41
『とにかくここで起こったことをみんなに話さないと』
才加がプールで起こった事をみんなに知らせるように急かす。
『才加、落ち着いて…たとえ本当のことを言ったとしても
 皆が本気で信じるとは思えないわ、この事で起きた出来事は
 私たち4人の秘密にした方がいい』
麻里子が落ち着いた口調で才加に告げた
『私も麻里子さまと同じ意見に賛成だわ』
たかみなも麻里子の言葉に乗ってくれた、陽菜もそれに頷く
『…わ、解ったよこのことは4人の秘密にした方がいいな』
納得はしてはいないものの才加もそれに従うしか他なかったようだ。
しばらくして湿った風があったものの、今の謎の声の出現によって夜風が寒く感じるのは気のせいだと
たかみなは思った。

41プルヒッター:2012/08/17(金) 22:32:00
いっぽうその頃
談話室に残った敦子とともちんたちは。

42プルヒッター:2012/08/17(金) 22:43:03
ボーンボーンボーン
談話室の目の前にある大時計が大きな音を立てた。
よく見ると時間は9時過ぎだ。
時計の針は9時を迎えていたようだ。
皆が談話室を離れてからだいぶ経っていた。
談話室は大きなテーブルを囲んでソファーが並んでいた、皆そこに腰掛けていて疲れた表情は見えなかったが。
なんか気分がそがれた雰囲気の様子。
『ねえみいちゃん、秋元先生…どうして私たちここのペンションを選んだんだろう?
 ともさっぱりわかんないよ』
ともちんが痺れを切らし峯岸に喋りだしてきた。
『峯岸さん、倉持さんとそういえば遅れてやってきたと言ってはりましたよね、その理由を聞きたいんですわ』
横山のキツイ関西弁に峯岸は答えが見つからない。
…そういえば、なぜ峯岸と倉持だけが遅れてやって来たんだろうと前田もふと思った。
『…ごめんね、実は。』
峯岸がそう言おうとした時。
廊下の奥で叫び声が。
『ぎゃああああああああああっ!!!!』

43プルヒッター:2012/08/17(金) 22:47:14
『今の叫び声
 指原の叫び声じゃない』
ゆきりんが言う。
『指原』
『優子たちに何かあったんじゃ』
敦子とともちんを先頭にペンションの廊下の方へと走った。
急いで叫び声の方にしたところにやってきた敦子たち。
『あっ!!!あっちゃん丁度良かった、さっしーが』
指原が…廊下の手前の奥の扉に手をかける前田。
恐る恐る扉をめいっぱいあける敦子。

44プルヒッター:2012/08/17(金) 22:54:15
すると目の前には。
『指原大丈夫』
敦子が心配そうに言うが。
『ぎゃあああああ私、ゴキブリがだめなんですよ
 前田さん助けてください』
えっ!!と敦子は目を丸くする。
じゃあさっきの叫び声は。
『優子、今の叫び声って
 このゴキブリのせいなの…ひょっとして』
声をブルブル震わせながら敦子の口調は何処となく怒った表情だ。
『うん、ちょうど空き部屋を調べていたら指原が勝手にまだあけてない空部屋の
 扉を開けたんだすると』
『こうなったわけ』
優子が言い続けた後、佐江は呆れた表情ではき捨てるように言う。
尻餅をついたまま指原はその場を動けなかったようだ。
『さーしーはーら!!!!』
敦子の声が鋭くペンション内に大きく響き渡った。
その圧倒的な声にまた指原は大きく尻餅をついて転んでしまった。

45プルヒッター:2012/08/17(金) 22:58:35
『ごめんなさい前田さん、指原ちょっとこの部屋を調べようとしたとたん
 突然ゴキブリ3匹がベットの下から指原の顔にくっついたんです、だから
 思わず私叫び声をあげて』
涙目ながら指原はそう言った。
皆は呆れるやらため息交じりに呆れるしかなかった。
『もうっびっくりしたのよ
 突然談話室で大きな叫び声がしたんだから私たち前田さんとともちんさんもさっしーになにかあったと
 思ったんじゃない、それなのに…人騒がせなんだから』

46プルヒッター:2012/08/18(土) 19:07:20
後ろにいた柏木も呆れた顔の表情で指原に言う。
いつもは後ろにいるのに、ちょっとしたことで腹黒い事を言う柏木。
それはメンバーの面々も解っていた。
『でもまあ怪我なくてよかったんだし談話室に引き上げようよ
 指原も悪気あってやったんじゃないからさ』
ともちんがその場をどうにか納めるものの。
さっしーはまだ半泣き状態だ。
『こら指原いつまでも尻餅ついたまんまじゃだめ、これからは気をつけて行動しなさい』
『北原…ゴメン、グスッ』
指原の腕をつかんで立たせる北原。
どうやら指原が調べた空き部屋は何にもないただの部屋だった。
一同は談話室へと戻る。

47プルヒッター:2012/08/18(土) 19:13:51
指原も反省気味のまま廊下を歩き出していた。
敦子の言葉が応えたのか、ちょっとシュンとした表情。

『あっ』
いきなり立ち止まる敦子。
『ちょっとあっちゃんどうしたのよ、急に立ち止まってさ
 危ないじゃん、さてはさっきさっしーがあんまりかわいそうで許すって言わないでしょうね』
優子が言うには敦子は別の方向を指していた。
目の前にはさっきとはうって変わって変わった色のドアがあった。
先ほどまでに来るまでには気がつかなかったのか、メンバーが泊まる客席とは随分と離れていたらしい。
『あっちゃんときどきボーッとすることもあるからさ、佐江びっくりするよ』
宮澤も心配もよそに敦子に言ってくる。
『ねえ、あのドアってあったっけ今まで』
『そういえば』
『廊下を歩く途中には気がつかなかったはずですよ』
ともちん、ゆきりんも気づかないくらいだ。

48プルヒッター:2012/08/18(土) 19:20:57
『いかにもお化けでそうですよ』
こわがりのまゆゆはゆきりんの後ろに隠れていた。
『大丈夫よまゆゆ、ここペンションなんだからお化けなんていないって』
『ほんとうゆきりん』
彼女たちの泊まる部屋から結構とおく離れている扉…なんだか古くからある扉のようだ。
誰の部屋なのだろう?
赤茶色した扉の前にドアのノブに手をかける敦子。
…が。
ガチャガチャガチャ。
いくらノブに手をかけて回しても手ごたえがない…鍵かかかっているようだ。
ほかにもいろいろ試した結果、やっぱり鍵がかかっていて駄目だったようだ。
『よーし佐江が体当たりでこの扉をぶち壊してやるよ』
自信たっぷりに言う佐江、鍵がかかって入れないのをわかっていて直接体当たりをする佐江。
どーーーーんっ…と大きな音がし佐江はそのまま扉に跳ね返されたまま後ろ手の壁にぶつかってしまった。

49プルヒッター:2012/08/18(土) 19:55:41
『いったあーい』
壁に自分の後頭部をぶつけた佐江、その表情は痛々しい。
ゲンキングの愛称でもある佐江でもこの扉を破ることはできなかった。
『大丈夫佐江ちゃん、怪我してない』
もっちぃが佐江の怪我を心配しながら言った
『うん、大丈夫だよ』
まだ自分の頭を痛々しくさする佐江…ちょっとはずきずきするくらいの痛みでもあった。
『よーし今度は私が』
北原がかわって扉に体当たりをしようとする途端、優子は手できたりえを遮った。
『きたりえ、無駄だよ』
『優子ちゃん…どうしてまた?この部屋の中を知りたくないの?』
『私も皆と同じだよ、でもここをよく見て皆』
優子が扉の四つの隅を見た…よく見ると扉の隅には釘で打ち止めされていたのだ
『優子、どうしてわかったの』
敦子が問いただす。
『うんいまさっき佐江がさ扉に体当たりして跳ね飛ばされてたよね、簡単に言うと
 ここの扉ってよっぽど頑丈に作られたんじゃないかと思うんだ私は。』
『まさか』
『それに、このへやって私たちの2回の宿泊部屋から随分と離れているし
 もしかしたら誰かが昔使っていた部屋なんじゃないかと思うんだ』
優子が淡々と語っていく中
『信じられないよ、だいいちもともとここってペンションじゃないそもそも昔
 人が住んでいたなんて保証なんかないじゃん、どっちみちただの作り話だよそんなの』
体当たりで吹っ飛ばされた佐江は優子に対してちょっと怒り気味だった。いや怒りの矛先は
優子ではなく、さっき吹っ飛ばされた古い扉に向けていた。
よっぽど悔しがったのに違いない、なんだかやりきれない佐江だ。
『佐江落ち着いて、これは私の勘なんだけども…本当は誰かがここにいたって話しだから
 あんまり考え込んでも仕方ないよ、とにかく今はここの部屋は入ることは出来ないけど
 なんか気になるんだ』
優子はそれだけ言って終わったようだ。
『まあ優子が言うんじゃしょうがないし、気になるってそれは皆同じことだよ』
どうやら佐江を落ち着かせるのは失敗に終わったようだ、でももう扉に体当たりするのだけはやめたようだ
怪我してまで体当たりするのだけは勘弁のようであったからだ。

50プルヒッター:2012/08/18(土) 19:58:55
『なんにしろこの場所に扉があるのは覚えた方がいいんじゃない』
とも〜みの結論で結局片付けられたようだ、皆もそれにうなずく
『とにかくここの場所だけは覚えていた方がいいかもね』
敦子もそれに賛成したようだ。
…結局なにもわからずじまいで謎の部屋の探索は諦め一同は談話室へと再び戻っていく。

51プルヒッター:2012/08/18(土) 20:01:42
『結局あの部屋は何だったのかな?』
『まあ開かずの間じゃないかな…よく言うと』
『そうか・・・私もテレビで見たことあるからきっとそれだよともちん』
とも〜みとともちんがお互いに言う。
開かずの間…そう考えるとちょっと不謹慎だ、だいいちここはペンションなのだ
お客を閉じ込めてまで開かずの間だとはちょっと考えにくい。

52プルヒッター:2012/08/18(土) 20:07:04
『あっちゃんはどう思う?
 昔人が住んでいたと考えられる』
優子が言うと、敦子はちょっと首を捻っていた。
『わからない』
『そっか、あたしもわからないのにあっちゃんに解る分けないよね…ゴメンね変なこといって』
『誤らなくてもいいよ、優子だって本当は何を知りたいかあの扉に目をつけたわけ?』
『女の勘かな?』
『女の勘…どういうこと』
敦子が言うが優子はそれ以上何も言わなかった、メンバーはすっかり忘れてペンションの廊下を歩き続けた。

53プルヒッター:2012/08/18(土) 20:10:37
『あっ皆さん…何処へ行っていたんですか?
 心配して探していらしてたんですよ、談話室がもぬけの殻でしたもんで』
フロントの女性の人が心配で待っていたようだ。
『ごめんなさい、お友達がちょっと部屋を間違えたので探してたところだったんです』
敦子が事情を説明する…しかしあの開かずの間の部屋のことは一切口には出さなかった。
客商売だと思い余計な気遣いはきわめて警戒心を煽るだけのためである。

54プルヒッター:2012/08/18(土) 20:15:32
『そうでしたか』
フロントの女性もほっとしたような様子。
『ちょっと敦子…談話室空っぽにして何処に行っていたわけ』
『心配してたんだから、ひょっとしてペンション内で迷子になってたわけ』
たかみなと陽菜が心配した表情でいった。
ただたかみなはすこし怒りっぽい表情のご様子。
『ごめんたかみな』
ちょっと険悪なムードが漂ったが、その場は麻里子がどうやらやり過ごしたので険悪ムードは
落ち着いたようだ。

55プルヒッター:2012/08/18(土) 20:20:22
…再び談話室に少女たち17人が集う
相変わらず静かな談話室の集まりだ。

『お茶をお持ちいたしました…良かったら皆様でどうぞ』
フロントの男の人がワゴンとともにお茶のティーポットとカップを持ってやって来た。
フロントの男がお茶を注ぐ。
『ありがとうございます』
敦子がお礼の返事をする。
メンバーはそれぞれの熱々のカップに入ったお茶を口にする。

56プルヒッター:2012/08/18(土) 20:28:18
『おいしい』
そのお茶の味に感激したのは陽菜だ。
『本当ねこんな味の紅茶飲んだの初めて』
麻里子もその味に舌をうつ。
『なんか、日本にはない味だよねこれって』
『なんっつーか外国の国にあるお茶だよねこの味は』
『花の香りがするよ』
あきちゃと佐江…まゆゆもこのお茶の味に不思議がって飲んでいたようだ。
 
『当店自慢のラベンダーティーでございます』
男がそう言う。
『えーっラベンダーってあの紫色の花の』
『ラベンダーから作ったんですかこのお茶』
『そんなわけないでしょうが…ラベンダーの匂いがするから言っただけじゃないの』
『もう指原…笑わせないでよもう』
みいちゃん、指原の言葉に続きまたもゆきりんが腹黒い言葉をいった。
北原もちょっと笑いを浮かべた。
さっしーの意味不明な言葉にちょっと皆の笑いがしたようだ。

57プルヒッター:2012/08/18(土) 21:04:27
ラベンダーティーの味は予想通り彼女たちにお気に入ったようだ。
『なんかすべてを忘れさせる味だな』
才加もすっかり先程の事で起きた出来事は忘れたような雰囲気だ
『お茶って結構疲れを取れるよね』
とも〜みも満足のようだ、テーブルの上においてあるお茶菓子のクッキーを一つつまむ
『あ〜っ麻友もこの味にやびゃあですよ』
ずっと怖がっていた麻友もいつもの笑顔に戻った…テンションもあがりつつあるようだ。

58プルヒッター:2012/08/18(土) 21:11:16
『そうですね、嫌なことも忘れる気分ですもんね』
もっちぃは笑顔を見せながらカップのラベンダーティーをすする。
『よかった…皆に笑顔が戻って』
『食事のときもろくに笑わなかったもんね』
敦子と優子もお互いに笑顔をかわした様だ。
たかみなたちはプールサイドで起きた出来事。
そして…敦子たちも謎の開かずの間の発見のことはすべて忘れ去られたようだ。
お互いに談話室が明るくなった気分だ。
…それからペンションの従業員の人が様々なゲームや遊び道具を持ってきて仲間入りした。
トランプやらオセロ…それにすごろくもやってもうたいへんな騒ぎだ。
いつしかさっきまで起こった出来事はもうすべて忘れたい気分だった。
少女たちはお互いに楽しい時間を過ごし大変な有意義に時間を楽しんだようだ。

59プルヒッター:2012/08/18(土) 21:19:02
10時頃…少女たちは談話室を出て解散した。
それぞれ自分の部屋へと帰っていく。
部屋の明かりが一斉に消えていくのがわかる。
皆それぞれ深い眠りに就いた。

…しかし、この話はここから本当の恐怖が始まる。
そのことに少女たちはまだ知らないでいた。
はたして…少女たちの運命は?
そして、招待状に記されたまだ来ない18人目の人物とは

60プルヒッター:2012/08/18(土) 21:25:29
敦子は深い眠りについていた。
…ここはどこなんだろう?
よく見ると私は夢を見ていたようだ。

強い強い雨風とともにずぶ濡れのままの状態の敦子。
Tシャツとショートパンツがもうずぶ濡れのままだ…目の前に白いレインコートをきた人物が私の方をチラッと見る。
フードで素顔を見ることが出来なかったもののジーッと敦子の顔を見た。
『たかみな?優子?それとも…指原?』
なんでこんな場所で指原の名前が出るんだ!!!
私はちょっと憤慨まじりに言う。
すると、白いレインコートを着た人物が問いただしてきた。

61名無しAKB:2012/08/18(土) 22:07:14
『誰なの貴女は』
突如白いレインコートの人物は敦子に襲い掛かる。

62名無しAKB:2012/08/18(土) 22:13:49
夜の強い雨風に敦子は必死になって逃げ出す。
『助けて!!!たかみな!!! 優子 !!!!』
私は叫びにならない声で必死に叫んで逃げ出していた。
しかしそれは虚しく響くだけ…ひとり闇の中を1人走り出している敦子
何度も何度も足をとられ転びそうになり必死になって逃げる。
…やばい、本当にやばい…このままでは私は。
必死になって逃げ出した途端、ぬれた足にとられ転びだす…そのせいで上手く立ち上がれない。

動きを止めた白いレインコートの人物はゆっくりと私の方へと歩き出す。
動けない…私は殺される…絶体絶命だ。
白いレインコートは腕を振り上げ爪を立てて彼女に突き刺した。
『うわああああああああああっ』
闇夜の雨風のなか、私の叫び声がこだましたのを耳にした。

63プルヒッター:2012/08/18(土) 22:20:20
『!!!!!!』
突然目を覚ます敦子。
夢なのに額には汗が…心臓がまだドキドキいう、喉がカラカラと乾いていた。
『…夢か、それにしても怖い夢だった』
夢だと言い聞かせて何度も深呼吸する敦子。
私は本当に殺されると思ったのか?それにしてもいったいあの夢は。

ふと自分の腕時計を見ると夜中の2時30分だった
あれから眠りについて4時間ほどたったのだろうと敦子はそう自分に言い聞かせた。
ちょっと心を落ち着かせるために夜風に当りに行った。

64プルヒッター:2012/08/18(土) 22:26:24
部屋を出て2階のすぐそこのテラスに出る…そこに。
『あっ!!!あきちゃ』
テラスを出るとあきちゃがいた。

『あっ前田さん』
ドキッとしたあきちゃ、服は部屋着のままだ…赤いTシャツにショートパンツ姿だ。
『あきちゃも眠れないの』
『はいそうです、あっでも決して怖いんじゃなくちょっと眠れなかったんですよ』
意外だった。
いつも深夜の放送ではすぐに眠くなるといっているのに…今日はいつも違った。

65プルヒッター:2012/08/18(土) 22:31:36
『何か不思議だね、あきちゃっていっつも眠くなるって1人でいつも言っているのに
 今日に限ってあきちゃは違うって感じだよ』
『そうですね私も今日はいつもと違うんだと自分で言ってますから…その証拠に
 私とこうして前田さんと話が出来るのもそうそうありませんしね。』
いつも2人は離れ離れの活躍をしてきた証拠
チームAといえども個々の活躍の躍動感は全く違っていた、常にトップを維持してきている敦子に対し
あきちゃはまったくつかみどころのないマイペースで生きてきた人物だから。
『前田さんはどうしてここに』
『ちょっと夜風に当りたかったんだ…隣でグースカ眠っているたかみながうらやましいよ』

66プルヒッター:2012/08/18(土) 22:37:47
『たかみなさんらしいですね』
あきちゃはクスクスと小さく笑う。
『たかみながきいたら怒るよきっと』
敦子も小さく笑った…なんとなくあきちゃに会って気が楽になった気分。
夜風が2人の頬を優しく撫でていく
『そろそろ部屋に戻ろっか』
『そうですね、前田さんお休み』
2人がお互い自分の部屋に戻ろうとしたとき…

『う、うわあああああああああっ助けてくれ』
大きなペンション内に男の叫び声らしい悲鳴が響き渡った、2人は一瞬ビクッと体を震わせた。
その叫び声に危機感を感じた2人。

67プルヒッター:2012/08/18(土) 22:42:46
『あきちゃ』
敦子の声にあきちゃも頷く。
私は急いでたかみなをたたき起こしに自分の部屋へ、あきちゃも自分の部屋へと走った。
『たかみな!!!たかみな!!!ねえ起きて』
ベッドに眠りについているたかみなを揺さぶって起こす私。
全然起きそうにないたかみな。
『なーにさ敦子!!!こんな時間にもう!!!』
眠い目をこすりながらたかみなが目を覚ます。

68プルヒッター:2012/08/18(土) 22:47:40
私は先程起きた出来事をたかみなにすべて打ち上げて話した。
『そ、そんな…ちょっとこれってやばいんじゃない』
信じられないといった表情でたかみなは急いで部屋着にすばやく着替えた。
『私が2階のテラスで夜風に涼みに行ったあとあきちゃと一緒に凄い叫び声を聞いたんだ』
『それで!!!悲鳴の主は』
『…男の人の声だったよ』
まだ状況が飲み込めないたかみな…これは一大事だとおもいたかみなは皆をたたき起こす行動に移った。

69プルヒッター:2012/08/18(土) 22:52:56
『あっ!!!たかみなさん』
廊下の外ではすでにあきちゃときたりえが廊下の前に集まっていたようだ。
『話は後…とにかく皆を起こして事情を話そう』
たかみなの一声で4人はいっせいに行動に移った。
敦子はまず麻里子・陽菜のいる部屋へと向かった。
ドンドンと扉をたたく敦子。
『ちょっと誰っこんな夜中にもう!!!
 って、あっちゃんじゃない…どうしたのよこんな時間に』
突然の敦子の訪問に麻里子はびっくりする。
『にゃんにゃんはいる』

70プルヒッター:2012/08/18(土) 23:00:06
『ちょっと待ってて今起こすから』
麻里子は部屋の奥へと消えていった。
『どうしたのこんな夜中に、もう美容に悪いよ』
『それどころじゃないの、いま私とあきちゃ一緒に2階のテラスで』
敦子は先程起きた出来事を2人に話した。
『ちょっとそれ悪い冗談…私たちにはそんな悲鳴は』
麻里子は悪い冗談とばかりに信じてもらえない、無理もない聞いたのは敦子とあきちゃだけだから。
『たかみなも最初は信じてもらえなかった、でもこうして私が現に悲鳴を聞いたのは事実だし』
『そうなの?だとしたらそれって』
『ねえ麻里ちゃん、あっちゃんの言っていること本当みたいだけどもどうする』
陽菜は困惑した様子で麻里子に言った。
『どうするって、起きたことだから協力するわけないじゃん…あっちゃんが聞いたのも事実だって言うから
 それに…怖いのどうこう言っても始まらないし何とかしないと』
無茶振りな麻里子は声は強気なものの、彼女は怖い怪談話が苦手なのだ。

71プルヒッター:2012/08/18(土) 23:03:03
意を決したのか陽菜と麻里子は協力してくれた。

『どうしたんです』
ゆきりんのへやをたずねたたかみな。
敦子から聞いた出来事を話すと…ゆきりんはちょっとふらっと倒れそうになった。
『待っててください、麻友を呼んできますので』
ゆきりんは麻友を起こしに部屋の中へと消えた。

72プルヒッター:2012/08/18(土) 23:09:30
『呼んだ〜』
とも〜みが部屋の扉を開けてやってきた小さい欠伸をしながら敦子が今起こった出来事を話す。
『うっそ〜信じられない怖いわ』
『横山は起きてる…呼んできて』
とも〜みは由依をたたき起こして部屋を出た。
たかみなと敦子は全員を部屋からたたき起こし、全員を談話室へと集結させた。
眠くて文句を言う者や…ショックで倒れそうな者もいた。
たかみな、敦子、優子、ともちん、麻里子、ゆきりん
陽菜、まゆゆ、佐江、才加、みいちゃん、きたりえ
あきちゃ、もっちぃ、さっしー、とも〜み、由依
全員いるようだ。

73プルヒッター:2012/08/18(土) 23:17:04
深夜の3時
皆全員が談話室へ集結してから10分が経とうとしていた。
『ねえ一体どういうことなの、さっきからずっと黙っていてなんかしゃべってほしいですよ』
もっちぃがイライラしながら話しかけてきた。
無理もないさ・・・深夜にたたき起こされた揚句眠い時間に集まったのもイライラするのは
十分解っていた、敦子とたかみなはただただ黙っていたままだ。
『そろそろ話をしたらどうあっちゃん
 今ここで黙っていても仕方がないよ…それにあっちゃんとあきちゃとたかみなしか知らない
 んだし今この場で話をして』
敦子がたかみなの顔をチラッとみた
いいよと頷くたかみな。

74プルヒッター:2012/08/18(土) 23:25:22
小さく咳払いをする敦子
『私とあきちゃが2階のテラスで夜風を当っていたときに起きたことなんだ
 テラスから出ようとしたときに突然男のような悲鳴の叫び声がして急に危機感を
 覚えたんだ、あきちゃも聞いたよねあの叫び声もさ…それにあの叫び声は
 まるで誰かが助けを求めているような叫び声だった…怖いくらいに』
長い話を切り出した敦子。
皆黙っていた、話す人も口を噤むものもいない…何も言えなかった。
『私も最初敦子のことを信じられなかったけど実際に敦子が聞いたんだ
 誰も信じてくれとはいわないわだから』

75プルヒッター:2012/08/18(土) 23:26:19
小さく咳払いをする敦子
『私とあきちゃが2階のテラスで夜風を当っていたときに起きたことなんだ
 テラスから出ようとしたときに突然男のような悲鳴の叫び声がして急に危機感を
 覚えたんだ、あきちゃも聞いたよねあの叫び声もさ…それにあの叫び声は
 まるで誰かが助けを求めているような叫び声だった…怖いくらいに』
長い話を切り出した敦子。
皆黙っていた、話す人も口を噤むものもいない…何も言えなかった。
『私も最初敦子のことを信じられなかったけど実際に敦子が聞いたんだ
 誰も信じてくれとはいわないわだから』

76プルヒッター:2012/08/19(日) 00:21:36
『でもなあ、その叫び声のような悲鳴は現にあっちゃんとあきちゃだけしか聞こえていないし
 ひょっとして…ここのペンションの人の悪戯が趣味なんかの一つとしてのことじゃないかな?』
にわかに信じがたい佐江はその話をまだ理解しがたいようだった、まあ悪戯にしては
手が込んでいるんだと思ったからだろうと…
『それにしてもおかしいとおもいません、妙に眠りについているとは皆さんが普通悲鳴が
 聞こえないなんてありえへんですか…ふつうきずくはずですから』
横山もそのあとを追う。
『それってここのペンションって防音装置がなっているんじゃないの
 それだったら私もとっさに飛び出してその悲鳴をいち早く聞いていたはずだ』
『それはありえません、ここのペンションはすべて防音装置はありません
 だいいちここはすべて古くから木造のつくりでしたから』
才加の言葉にペンションの従業員がそれを打ち砕くように言った。
防音装置は一切ついていない?
どういうことだ。

77プルヒッター:2012/08/19(日) 00:26:49
『叫び声ってどの方から下のあっちゃん
 場所さえわかれば探しようがあるんだきっと』
優子も真相を突き止めるために敦子に加担する
『うーんっよくは解らないけども1階の奥のほうでその悲鳴のような叫び声はしたんだ
 でも1階の施設ってプールと大食堂しかないんじゃ』
『その点は心配ありません、皆様はきっと1階のごく一部しか見ていないんですよ。
 なんなら私が案内いたしましょうか?』
『…お願いします』
ペンションの従業員に任せ敦子たちは案内される。

78プルヒッター:2012/08/19(日) 00:33:11
談話室をでて右側をすすむ少女たち。
そういえばこっち側に来るのはなかったっけ
明かりを頼りに進んでいく少女たち、ペンションの従業員を先頭にずんずん進んでいく17人
ただでさえ暗いのに上の電気がより暗く見えるのは気のせいなのだろうか?敦子はそんなことさえ考えてた。

79プルヒッター:2012/08/19(日) 00:39:00
『着きましたよ
 皆様…ここはペンションで最も綺麗なピアノホールです』
たしかに扉も豪華なつくりでそれらしいものだった、だが話によると今は使われてはいない
何故なのか?
やっぱり明かりもつかない暗闇の部屋だった…従業員の1人が部屋のスイッチをつける。
明かりが灯った
『ちょっとねえ、なんかさ血のような臭いがしない
 様子が変よこの部屋』
ともちんが最初にこの部屋の異変を気づいたようだ…目の前には大きくて黒いグランドピアノが
あった

80プルヒッター:2012/08/19(日) 16:07:09
目の前にあるグランドピアノに近づくともちんと敦子。
すると・・・2人は突然の悲鳴とともに信じられないものをみた。
『きゃああああああっ』
大きな悲鳴がピアノホール内を響かせる。
なんと、ピアノの鍵盤の上にぐったりと男がぐったりと倒れている姿があった。

81プルヒッター:2012/08/19(日) 16:13:46
『ど、どうかしましたか…!!!』
ペンションの従業員の1人が慌てた様子でグランドピアノの前にやって来る。
『ああっなんということだ』
『…えっ知っている人なんですか』
『知っているも何も彼はここのペンションの従業員の1人なんですよ』
ピアノの鍵盤の上に顔を歪ませながら倒れている男がそこにあった、胸には小さい果物ナイフが刺さっており
出血は殆どないものの表情は愚問に満ちた表情…白目をむいていた。

『ああっなんてこった…私の従業員の風間が』
亡くなった男の人物の名は風間とペンションの従業員は言った。
『うっ!!!』
嫌なものを見たともちんはちょっと吐き気を催したようだ…ただでさえ暗くて怖いピアノホールなのに
余計なものを見た以上黙ってはいられなかった様子…敦子もそんな気持ちだ。

82プルヒッター:2012/08/19(日) 16:17:31
2人は死体をみて寒気を覚えた。
これは…殺人、いや誰が彼を殺したのか?
死体を見て敦子とともちんは恐怖の戦慄を覚えた。

他のメンバーは部屋の外でただただ2人の姿を見つめるしか出来なかった。

83プルヒッター:2012/08/19(日) 16:23:11
しばらくしてピアノホールを後にした一同。
17人の少女は再び談話室へと戻った。
…ペンションの従業員も集めて緊急事態だとわかり談話室へ集まっている。
『これで従業員は全員です』
改めてペンションのオーナーが名前とともに従業員を紹介する。
ちょっと小太り気味な料理長のコック・細田
アルバイトの・荒井、福沢、岩下。
そして、オーナーの新堂と…先程殺された風間もペンションの従業員の1人だという。

84プルヒッター:2012/08/19(日) 16:29:54
『あの・・・前田さん、ともちんさんいったい何があったんです?
 先程のピアノホールで、私たちちょっと遠くから離れて見えなかったんですけど』
痺れをきらしたのはまゆゆだ。
確かに殺された風間の死体を見たのは敦子とともちん…それにペンションのオーナーの新堂だけ目撃しただけだ。
『そうよわたしたち遠くで見ていたから良くわからないし
 その辺を詳しく説明してほしいなあ…もう黙っていてもしょうがないし』
峯岸も黙っているのは嫌だっただろう…皆も同じ考えだ。
『あっごめんねまゆゆ、みいちゃん…説明すれば長くなるけど、いま敦子といっしょに
 ピアノの前に行ったんだ、そしたら私たちの目の前に従業員の人が殺されたみたいなんだ。』
…みんな絶句した。
声を出さない人も、泣き出しそうなメンバーもいた。

85プルヒッター:2012/08/19(日) 16:35:33
『ほんとうなのそれ?』
たかみなが怪訝したそうに言うが…敦子とともちんはこくんと小さく頷く。
『嫌だっ怖い』
とも〜みはちょっと半泣きしたそうな表情で言った…きたりえとゆきりんは信じられないといった表情だ。
『うん、私とともで踏み込んだ時にちょっとした血の匂いがした
 何となく変に思った私はピアノに近づいてみたのよ…すると』
『殺されてたってわけ?』
敦子の問いかけに麻里子は慎重な口調で問いかけた、敦子はただ頷くしかなかった。

86プルヒッター:2012/08/19(日) 16:44:07
『そんな』
麻里子も信じられない現実を突きつけられた表情だ。
『しかし、いったい誰がこんなことを』
『まさかうちら1人ずつ殺されるって思ってはりませんか、そう考えるとちょっと怖いですよ』
きたりえ、ゆいはんはちょっと恐る恐るに答える。
『大丈夫よ
 一晩過ごせば…大丈夫だって、これだけの大人数がいれば何とかなるよ』
強がるみいちゃん…しかし強気とはうって変わって声はちょっと震え気味だ、空威張りのつもりなのか?
『オーナーさんはその叫び声をご存知だったんでしょう、だったらどうして気づかなかったんですか?』
詰問口調の優子は厳しく言う。
『私たちも叫び声まではまったく気づかなかったんです、ここのペンションは木造のつくりだったので防音の装置までは作られていませんし』
オーナーの新堂はそう言った。

87プルヒッター:2012/08/19(日) 16:46:33
『それにピアノホールだけは防音の装置が作られていました
 気づかないなんてありえませんか?オーナー』
女性のアルバイトの1人福沢はそう言った

88プルヒッター:2012/08/19(日) 16:58:31
『そういえば…あそこだけ防音装置がきいていたな、私もここに来たときは
 前オーナーの話には聞いた覚えがあるけども…詳しくは知らない』
オーナーの新堂も首を傾げるだけだ。
『僕もです』
料理長の細田ものんびりした口調で言う、アルバイトの荒井は無口のままだ。
『馬鹿馬鹿しい、そんなの信じられないわ…大体どうして私たちが殺されなきゃならないのよ
 風間さんがどうしてかは知らないけども私たち…こんなことに付き合うのはこりごりなのよ
 ただ・・昔のあのときのように』
ヒステリックに声を上げるのは女性アルバイトの1人岩下だ、その言葉に新堂は岩下の顔をギッと睨む。
『おいっどうして今になってあのことを言うんだ
 お客さんのいる前だぞ…こっちは客商売としてやっているのに余計なことを言うな』
『す、すいません』
オーナーの新堂は小さい小声で岩下を叱り付ける。
ビクッとする少女たち。
昔のことで?敦子とたかみなは良くわからなかった…しかし、そのことはいずれにしても後に
解ることだったが…それはまだ先のようであった。

89プルヒッター:2012/08/19(日) 17:07:09
『すいませんね、アルバイトの1人が余計なことを言ってしまって
 どうか彼女が言ったことは気にしないでほしい、申し訳ない本当に』
新堂は平謝りをしながら言った。
『…昔のことって何だろう?』
優子が敦子に小さく耳打ちしながら言ってきた。
『さあ?』
あの岩下って女性の剣幕な言葉に私はちょっとビクッとなった、ただでさえ怖いのに
あの人はなんだかちょっと苦手な人物だな…でも昔のことって一体何のことだろう?
『とにかく皆様、落ち着いてください
 今夜はもう皆様もお疲れのご様子です、今夜はもうお部屋にお戻りになさってお休みください
 明日の朝になれば直ちに警察に連絡しますのでどうか安心してください』

90プルヒッター:2012/08/19(日) 17:09:35
新堂オーナーが落ち着いた対応な口調で皆に言った。
『…じゃあ、皆気をつけて解散』
たかみなの言葉に少女たちはそれぞれ自分の部屋へと戻り眠りについた。
こうして暗く恐ろしい最初の夜は嫌な思いを残して過ぎていった。

91プルヒッター:2012/08/19(日) 17:16:04
…翌朝
私たちは何事もなく全員目が覚めた…腕時計を見ると朝の7時30分だ。
敦子とたかみなはベッドから目を覚まし服を着替えて1階の談話室へと向かう。
『おはよう敦子、どう昨日は眠れた?』
『…まあね、嫌な夢を見た後だったから少し』
私はすこし寝ぼけ眼の目をこすりながらたかみなに言う。
よく言うよ、私と違ってグーグー眠っていたんだから、全く無神経というかなんと言うか
どこでも眠れるたかみなが羨ましいよ。

92プルヒッター:2012/08/19(日) 17:22:46
『おーはーよーございまず!!!』
なさけない挨拶をしたのは1人部屋で過ごした指原だ。
『さっしーなんなのよその声は…声が擦れているよ』
どうやら彼女はあまり一睡も出来ないまま1人の夜を過ごしたようだ…一人で眠っていたから無理もないようだ。
両目はちょっと赤目をしたまま眠い目をこすっていた…おもむろに欠伸をするさっしー
たかみなの膝の上に膝枕しながら倒れこむようにして寝た。
『こら指原、いつ私の膝が枕になったんだ』
『そんなことーいわずにーたかみなさん』
『もうっしょうのない子ね』
たかみなは嫌がる指原を膝から引き離そうとしていた、しかしさっしーは離れようともしない。
まったく同じチームAなのにしょうのないやつ、私もちょっと呆れてた。

93プルヒッター:2012/08/19(日) 17:31:00
そして他の皆も部屋から出て起きてきたようだ。
優子、ともちんもそして皆も自分の部屋から出て談話室へとやってくる。
…ただ麻里子とにゃんにゃんの一緒の相部屋からはまだ出てこない?
まだ眠っているのだろうか?私はちょっと心配して2人のいる部屋のドアをノックする。
コンコン。
しかし返事が返ってこない…おかしいなあ。
と、その時
『キャア−ッ!!!』
にゃんにゃんの悲鳴がした、まさか2人のみに何か?
ドアをいつも以上にノックする…私はただならぬ気配を感じた。
開けてにゃんにゃん…早く。
『どうしたのよあっちゃん』
眠い目を擦りながら麻里子がドアを開けてきた、まだ寝ていた麻里子とはうって変わってちょっとほっとする敦子
それどころではないにゃんにゃんの悲鳴を聞こえなかったかと私は麻里子に訪ねた。
『えっ!!!!陽菜』
部屋の洗面所に行く2人。

94プルヒッター:2012/08/19(日) 17:39:09
洗面所の扉を開ける2人。
『大変なの・・・ちょっときてよ』
陽菜の叫び声が部屋へと響く…洗面所でなにかあったのか。
『怖いっ…』
『ちょっと落ち着いてにゃんにゃん…一体何があったの?』
『1人大声上げて、どうしたのよ』
ちょっとパニック状態の陽菜に敦子が洗面所の中へと入る、すると…洗面所の蛇口の水からでる水が赤く?出ているではないか。
『えっ!!!ちょっと冗談、どうして私たちの部屋の洗面所の蛇口から血が出ているわけ』
麻里子も蛇口から出ている水が異変だと気づいたときには一瞬びびった。
確かに紛れもなく蛇口から出ているのは赤い水だった…にゃんにゃんは起きて顔を洗おうとしたときに蛇口を捻った瞬間だった。
『嫌だっ怖い…これじゃ顔も洗えないよ』
にゃんにゃんは赤い水のことよりも顔を洗えないことが困っていた様子。

95プルヒッター:2012/08/19(日) 17:47:52
『どうする敦子…オーナーに言ったほうがいい』
『・・・・・・・』
麻里子の問いかけに敦子は半ば冷静でいた様子…やがて
赤い水はじょじょにではあるが段々ときれいな透明の水へと変わっていく、やがて赤い水も出てこなくなり
蛇口の水は普通の水へと変わった…きっと蛇口の中のパッキンが随分と錆びていたんだ。
『何々、どうしたのにゃんにゃん悲鳴を上げて』
優子も心配してやってきた。
『あっ優子、大丈夫よもう安心して…ちょっと蛇口の水がおかしかったってにゃんにゃんが1人で騒いでたの』
『もうっ脅かさないでよ陽菜…ただの錆だったんじゃない』
麻里子は陽菜に小さく叱った…事実にゃんにゃんは血だと思っていたに違いない。
『だってー血だと思ったんだもの』
『えっそれマジ!!!』
優子もマジなドヤ顔しながらにゃんにゃんに言う…俄には信じられないものの結局普通の水に戻って事情を説明した
ので優子もほっとしたご様子だった。

96プルヒッター:2012/08/19(日) 17:53:27
『でもどうして私たちの蛇口だけ錆び付いてたんだろう?
 幽霊じゃあるまいし…』
まだ麻里子は信じ固い傾向だったけども、一瞬蛇口から出ている水を見てホッとしたのだ。
幽霊?
私はそんなことが信じられなかった。
幽霊って人を脅かす脅威のものだと思っていたから、私は幽霊の存在を消したのだ。
結局何事もなく麻里子とにゃんにゃんは顔を洗って急いで服を着替え部屋を出た。
私もちょっと顔を洗い部屋を出る。

『朝食のご用意が出来ました。
 皆様大食堂へどうぞ』
オーナーの新堂さんが朝食の御用が出来たと知らせに来てくれた…私たちは大食堂へ移動した。

97プルヒッター:2012/08/19(日) 17:58:26
テーブルには人数全員の朝食が用意されていた。
焼きたてのパンの匂いが私の鼻に届くのが解る…いい匂いだ。
そしてカリカリに焼いたスクランブルエッグに色とりどりのカラフルな野菜サラダ。
椅子にすわり食事にあり付けた。

そして朝食も終わってグラビアの撮影に出かけロケバスに乗る私たち。
…仕事は何事もなく無事終了、そしていつものようにバスは山奥の上にあるペンションへと
向かっていった。
今日も夕焼け空が赤く染まった…いやそれ以上に赤かった。

98プルヒッター:2012/08/19(日) 19:28:55
山奥のペンションに戻ってきて1時間。
ロケバスを降りペンションの入り口に入るところ…優子が突然ピタッと足を止める。
『どうしたの優子ちゃん、急に立ち止まって』
立ち止まった優子にきたりえが急に話しかける。
…まただ。
昨日と同じ血の匂い…皆は優子の行動に読めずその場にいる。
『優子…何かあったの?急に立ち止まって』
あっ!!!この匂いって血の匂いじゃ・・・またこのペンションで何か起きたんじゃ。
嫌な事を想像した私と優子。

99プルヒッター:2012/08/19(日) 19:33:02
『あっちゃん、これって昨日と同じ空気だよ』
優子の震えた声にちょっと私は怖く感じたのだ。
『優子さん、前田さん…何かあったんですか?
 こんな所にいて立ち止まっておると風邪ひくで〜早く部屋いって着替えんと』
『あっ由依』
由依は私の言葉を無視し2階の自分の部屋へむかって階段を上ろうとする。
とその時だった!!!
『キャアアーッ!!!』
由依の叫び声だ。

100プルヒッター:2012/08/19(日) 19:41:35
『ちょっと今、由依の叫び声じゃない
 優子なんで黙っていたのよ、助けに行かないと』
佐江の声で後押しした私は、言われる事無く急いで悲鳴のした由依の方へ行く。
由依…無事でいてくれよ。
急いで走る優子と佐江…すると床に尻餅をついた由依が泣きそうに優子に泣きつく。
『由依・・・何があったのよ
 泣いてたんじゃ解らないよ・・・ちゃんと説明してよ』
佐江の体に蹲って泣いている由依が泣きながら説明をした。

101プルヒッター:2012/08/19(日) 19:50:15
『あんな…着替えに…グスッ…自分の部屋へ行こうとしたら
 突然2階の窓の外から誰かがうちのこと見てはったんや…そして思わず目があってな
 急に寒気してな、それで叫んでもうたんや』
泣きながら由依は関西弁で喋りとおした
『素顔は見なかったの?由依』
佐江は誰だったのか由依に問いただしてきた。
しかし恐怖のあまりなのかなかなかしゃべることが出来ず、喋るまで1分ほど掛かった。
ちょっと加呼吸ぎみでパニックにはなっていたものの落ち着きを取り戻す由依。
『由依落ち着いて…しっかりして、でその後はどうしたのよ』
『そこまでしか知らへん…怖かったわあの目は』
由依を恐怖に満ちた正体不明の人影。
またおかしな出来事が続いた。

102プルヒッター:2012/08/19(日) 19:58:19
私はいても経ってもいられずに2階の窓を開けて外を覗いた。
…ところが人影もいなければ影すらも見えない…見えるのは私の顔を照らす
真っ赤な赤い夕焼けの太陽だけ。
由依の見間違えだったのだろうか?
私はもう一度外を覗く…が、やはり誰もいない。
でも本人が見たというのならどこかに隠れて私たちを脅かすつもりだろう。
私は窓を閉め由依のところへ戻った。
『でもさ、変じゃないここ2階なのにどうして覗けるのよ』
佐江の言うとおりだ…それは私も気づいていた…ここはペンションの2階だ
人が届く場所は1つもない…あえて言えば動物や鳥なら可能だけども。
私は訳がわからない言葉を発していた、解らない。
混乱のまま私の頭はどうかしていた。

103プルヒッター:2012/08/19(日) 20:03:35
『とにかくこのことは皆に知らせないと
 由依大丈夫立てる』
佐江が由依を立たせて上げ、自分の部屋まで連れてって行った。
『予感的中ね
 由依…だいじょうぶかしら、結構彼女精神的にもろい所もあるし』
たかみなも心配しそうに2人の行方を目で送る。
『大丈夫よ…佐江ちゃんも付いているし由依もきっと』
あっちゃんが明るく2人を励ますように言った…何かとあっちゃんには助けられっぱなしだ。
私ももっとしっかりしなくては。

104プルヒッター:2012/08/19(日) 20:07:15
3人は一時自分の部屋に戻っていった。
7時…いつものように大食堂で夕食。
テーブルの上には豪華なご馳走があった…しかしいつもとは裏腹に夕食は皆誰も会話を口にしなかった。
楽しい夕食のはずが一転、重苦しい夕食となってしまった。
・・・だがこの後更なる恐怖が彼女たちを襲う。

105プルヒッター:2012/08/19(日) 20:16:54
夕食後。
1階の談話室の前にあるテレビを見ているさっしーがいた。
他愛のないバラエティー番組を見ていて大笑いしているのがわかる。
『こんなときに良く笑えるよねさっしーは』
ゆきりんがやってきて談話室のソファーに腰掛ける。
『いいじゃん指原もちょっとは昨日のことでちょっと忘れたいと思って笑ってるんだから』
『…もう無頓着というかなんというか』
『なにゆきりん何か言った』
『いや別に』
テレビのバラエティー番組を見ている最中、突然テレビの画面が切り替わった。
『あれっこんな時間にニュースだって、もうこれからが面白いところなのに』
さっしーはちょっと文句を言う。
『番組の途中ですがここで緊急ニュースをお送りします。
 きょう未明、○県○市でがけ崩れがあり道路は一時封鎖されました
 今日午後7時過ぎ突然のがけ崩れの影響で道が遮断され山道が一時立ち入り禁止となり
 けが人はいないということです、尚現場の話によりますと・・・』
『えっ!!!』
ゆきりんが一瞬ハッとした、この道には見覚えがある。
この道は私たちがロケバスで通った道

106プルヒッター:2012/08/19(日) 20:26:51
ゆきりんは食い入るようにテレビ画面のニュースを見ていた。
さっしーもその場所にいる。
なんてことだ。
『どうしましたか?』
新堂オーナーがゆきりんとさっしーのところに来た。
『すみません電話ありますか?
 あったら貸してくれませんでしょうか…お願いします』
ゆきりんの言葉にオーナーは了承してくれてもらった。
私とさっしーは入り口のフロントにある電話を貸していただいてくれた。
急いでダイヤルのボタンを押す私、が。
『あれっ?
 ツーという音が全く聞こえないわ…どうしたんだろう』
そうなのだ
いつも電話で言う通信音が全く聞こえないままツーという音がしないのだ、その後もいろいろ試したものの
電話はウンともスンとも言わず聞こえないままだ。
『どうかしましたか?』
『それが電話が…通じないんです』
『ええっ!!!!
 なんということだ…』
『じゃあ私たちこのまま帰ることも出来ずに山にも降りられないの』
新堂オーナーとさっしーは半ばパニック状態に陥った。
私も一瞬崖から突き落とされたままの状態でいた。
『どうしたのゆきりん?
 さっしーも一緒にいてさ』
まゆゆがやってきた。

107プルヒッター:2012/08/19(日) 20:31:35
『実は』
ゆきりんが麻友に説明をした、それを聞いたとき麻友はワンワンと泣き出すしか出来なかった。
『とにかくたかみなさんたちに知らせないと』
私は急いでたかみなさんの部屋に行き、たかみなさんと前田さんを呼んだ。
事情を聞いた途端たかみなさんと前田さんはすぐさま行動した。
…さすがたかみなさんと前田さん…私とは違う。
すぐさま行動に移ることが出来るなんて。

108プルヒッター:2012/08/19(日) 20:41:08
たかみなと敦子が行動を起こしている間に恐怖はやってくる。
才加と麻里子とみいちゃんが厨房で信じられないものを発見する。
『荒井さん』
『…死んでいるわ。』
2人が血の匂いをたどって厨房に入ると、そこにはアルバイトの荒井の変わり果てた姿があった。
舌を出して白目を見て死んでいるのが解ったからだ。
風間と同様血液の血はそれほどの量はなかった。
『もう嫌だ、人が次から次へと死んじゃうなんて。
 ここはおかしいよ、まるで悪魔のすむ家だよここは』
荒井の死体をモロに見た峯岸は自分の頭の髪をかきむしるように混乱していた。
『みいちゃんしっかりして
 そんなこといっていると秋元先生に叱られるよ』
『…麻里子、うわあああん』
みいちゃんは麻里子の体にうずめながら大泣きした。
麻里子の言葉がどうやら堪えたようだ。
『麻里子…一刻も早く皆に知らせないと』

109プルヒッター:2012/08/21(火) 20:13:42
『解っている』
静かに口を開く麻里子。
みいちゃんはまだ麻里子に抱きつかれたまま泣き出していた。
みいちゃんがこんなに取り乱すなんて、いつも明るい子なのに今日に限ってこんな風に。
なるとは、私がしっかりしていれば相手も死なずにすんだんだ。
才加も悔しそうに唇を噛む麻里子の顔を見た。
『とにかくここを離れよう麻里子…敦子とたかみなに知らせなくては』
麻里子達は一刻もはやく厨房の場所を離れた。

110プルヒッター:2012/08/21(火) 20:16:49
麻里子が談話室に戻って5分経った。
少女達は皆談話室にいる、無事を確認するようにホッと一安心する麻里子。
しかしいかんぜん危険な状況は変わらないことは皆知っている顔だった。

111プルヒッター:2012/08/21(火) 20:24:23
『で、麻里子さまの説明によると廊下で歩いているときに偶然厨房のドアを開いているのを
 知ったとたん荒井さんがその場に…倒れていたわけ』
たかみなの説明どおりに麻里子と才加は小さくうなずいた、みいちゃんはまだちょっと泣いていたようだ。
『ちょっと待ってください、あの厨房は普通アルバイトの人は立ち入りを禁止していた
 はずなんですけど』
女性アルバイトの福沢がちょっと首を捻って言ってきた。
『そういえば荒井くんと細田くんはいつも2人で料理当番時間だったはず
 皆さんが荒井くんの死体を見つけた時間は大体大きくずれているはずだ』

112プルヒッター:2012/08/21(火) 20:30:29
夕食が始まったのは7時。
が、彼が殺された時間は全く合わない…現に麻里子さまがちょうど今死体を発見したのは大体8時ごろ。
そのときまでまだ彼は生きていた。
でもどうやって立ち入り禁止の厨房のはずなのに人を殺すことなんて出来るんだろう?
たかみなはしきりに頭を考えつくす事無く混乱していた。
そして指原とゆきりんとまゆゆたフロントへ電話をかけた時間は7時30分過ぎ。
…もしや、透明人間?
いやいやいや、そんなはずない…立ち入り禁止の厨房が人が入るのは出来っこない。
私はくだらない発想を捨てた。

113プルヒッター:2012/08/21(火) 20:37:54
『それじゃどうやってあの場所に入っていったわけ?
 考えてもあそこは普段鍵がかかっていたのよ、私も普段は厨房に入ることはあまりないし
 現に鍵は新堂さんが普段管理してたはずよ』
女性アルバイトの岩下さんが怒ったように言い切った。
この人はいつもこんな調子で怒ったように言っているのか?私は彼女の怒鳴り声が寒気に近かった。
『あっでもここのオーナーさんは私達と一緒にフロントにいました』
ゆきりんがはっきりとそう言った。
あの時電話が通じなかったとき新堂オーナーはゆきりんとまゆゆと指原がフロントの電話に
いたのだ。
とすると、オーナーはまだそこにいたから到底荒井さんを殺害することは不可能だ。
私達は殺人に巻き込まれただけでなくこの山奥のペンションにも完全に退路を断たれた。
このまま私達は完全に閉じ込められた。
迎えに来るはずのロケバスも来ることは出来ない。

114プルヒッター:2012/08/21(火) 20:43:58
『なんにしても今部屋に2人一緒にいるのは危険だわ
 これからは危険を晒さないために多く行動した方がいい』
敦子は淡々とそれに語る。
皆口に出すこともなくそれに反対するものもいなかった。
『私もそう思うわ。
 今このペンションで2人でいるのは危険だわ、今日からとりあえずそうしないと』
ともちんも力強く言う…説得力のある言葉に皆の心が動き出す。
『オーナーさん、それでいいでしょうか』
たかみなも新堂オーナーに直訴する。
『…わかりました。
 皆様がそういうのであれば止めはしません…我々も危険だって事は十分承知しておりますから。
 とにかく今は…』
新堂オーナーがそういうと突如ペンションのすべての明かりがフッと消えた。
『きゃあああああ』
誰かの叫び声がした。
この停電で怖がるのは無理もない。

115プルヒッター:2012/08/21(火) 20:50:50
『皆どこっ』
佐江ちゃんの大きな声がペンションの暗闇の声がこだまする。
『こっちよ佐江』
才加の声もした。
いけない…これでは暗闇に足を取られて身動きが取れない、ただでさえ私は暗いところが嫌いなのに。
停電じゃ何も出来ないままだ…すると私の腕をギュッと握る反応を感じた。
だれっ?
『たかみな…怖いわ、これじゃ何も見えない』
敦子、その声は敦子ね。
よかった…ということは皆いるのか?
と、その時。
『皆様落ち着いてください・・・いま蝋燭に火を入れますからそのまま動かないでください』
この声は新堂オーナー。
新堂オーナーが一度フロントへ戻り蝋燭を取りに戻ってきた。
ライターに蝋燭の火を入れる。

116プルヒッター:2012/08/21(火) 20:57:43
蝋燭の火が付いた。
漆黒の闇のペンションにかすかな明かりがようやく灯った。
敦子、ともちん、優子、麻里子、にゃんにゃん、麻友
ゆきりん、佐江ちゃん、才加、ゆいはん、きたりえ、指原
とも〜み、みいちゃん、もっちぃ、あきちゃ、
そして私たかみな。
更にペンションのオーナー新堂さん、アルバイトの岩下さんに福沢さん。
料理長の細田さんの姿もある。
談話室のテーブルの上においてある3本のローソクの火がある。
ペンションはまだ全く闇の中ではあるものの頼りない蝋燭の火がちょっとうれしく思った。
赤々しい蝋燭の炎が私達をより明るく照らす。

117プルヒッター:2012/08/21(火) 21:02:31
『とにかくこのくらいままじゃままなりません
 申し訳ありませんが今日は皆様お早くお休みになられたほうがいいかと』
新堂オーナーの言葉に皆反対するものはいなかった。
むしろ皆も同じ考えだったと思う。
『皆様も気をつけてお休みください…それともし何かあったらフロントの隣にある我々スタッフの
 お部屋をお尋ねください』
『ええっ解りました』
たかみなもそう答えた。

118プルヒッター:2012/08/26(日) 22:31:09
たかみなの合図とともに皆一時解散。
私はみいちゃんと由依と才加の4人とともに一緒に一夜を過ごす。
ベッドが二つしかないのでオーナーさんが空き部屋から布団一式を持ってきて
くれた。
ありがたい。

119プルヒッター:2012/08/26(日) 22:38:37
でもここは一体どんなペンションだったのか?
まるで私たちをどこかで見ている気分でならない…そんな気がさえしていた。
たかみなは一度自分に言い聞かせながら自分の頭をグーで小さくポンッとたたく。
まさか?ここってお化け屋敷だったんじゃ。
いや、そんなことはないあれもきっと悪戯だったにすぎない。
私は嫌なことをあまり想像させないよう言い聞かせる。
もちろん完全には消せないではいたものの。
『たかみな・・・由依とみいちゃんに例の件を喋っちゃったほうがいいんじゃ』
例の件とは…それは?
たかみなたちが昨日の夜にプールで一息ついていたあの…赤いシュシュの事
しかしたかみなは。
『いやまだだめだよ…これは私たちの秘密にするって麻里子さまとにゃんにゃんに話したはず
 だから今は言っては駄目…今言ったら余計に2人を怖がらせる危険があるから言わない方がいい』
才加は話したがってはいたものの、たかみなの落ち着いた説得によって話さなかった。

120プルヒッター:2012/08/26(日) 22:48:53
一方。
敦子は麻里子と指原ときたりえの4人で一緒にいた。
まだ部屋の中は停電で暗くて皆の顔をまだまともには見れないものの…部屋の蝋燭の
明かりが何よりの助けしかなかった。
ベッドの横では指原がグースカと眠っていた。
非常時だというのによく眠いって言っていられるのが羨ましく思えるもんだ。
麻里子はそんな風に思った。
『もう、さっしーったら…あんだけ1人でビビッていたのに良く眠れるわね…こっちは
 寝るだけでも怖いのに…物怖じしない性格ね』
きたりえの言葉に敦子は小さく笑う。
『本当ね、確かに今一番怖がっているのはおそらく指原じゃないかな?
 あんだけ怖い怖いって言っているのに指原は、もう寝ますって言っちゃってさ』
『あっちゃんがそう言うなんて珍しいね、いつも指原に突っ込むのに』

121プルヒッター:2012/08/27(月) 14:52:13
『この子、いつか大物になるよきっと』
『いやいやいや、本人もわかってないよきっと』
敦子と麻里子はちょっとドライな言い方をする。
おそらく2人も指原のことを解ってまで言っているんだろうと、きたりえは思った。
だからさっしーの事を理解している…さすがです。

いっぽうその頃優子たちの方は?
『今日はこの暗い部屋の中で4人で怯えて過ごすのかな?』
佐江らしくない弱気な発言をする優子。
半ば暗い部屋で一緒にいるもっちぃだけは落ち着いた表情だ、まゆゆも同じである。

122プルヒッター:2012/08/27(月) 15:02:27
こじはるは優子の隣にべったりとくっ付いたまま離れようとしない…よっぽど怖いのだろうか?
部屋全体が停電にあった以上ずっとこのままの状態である、まったくしょうのない人だ…優子の腕にしがみつく陽菜。
『ちょっとにゃんにゃん、いつまで私の腕にしがみついているのよ?
 あっ!!!ひょっとしたら怖いのかな?』
『そ、そんなことないよ?ゆうちゃんだって同じじゃん、だってさこんな暗い部屋にずっといたら嫌じゃない』
子供のように駄々を捏ねる陽菜に佐江ともっちぃはクスクスと小さく笑う。
『あーっ、佐江ちゃん…もっちぃ笑ったでしょう」
子供っぽく怒る陽菜。
『あっはっはっ!!!!
 ゴメンゴメン、だってにゃんにゃんって結構怖いもの知らずだし全然びびってないと思っていたんだだからその』
『ごめんなさいこじはるさん、私も同じなんです』
陽菜を小馬鹿にからかう2人。
『えーっひどいよ、ゆうちゃんからも何か2人にいってよ』
『・・・・嫌だよ、なぜ私が言わなきゃならないの?にゃんにゃんってそういうところが可愛いんだもん』
優子は無邪気に言う。
『もう意地悪っ!!!!』
にゃんにゃんはちょっと膨れっつらしたようにいう、部屋の中は薄暗いままではあったが
会話でちょっと空気が明るくなった気分だ…弱弱しい蝋燭の明かりの中で笑い声がしたのは言うまでもない。

123プルヒッター:2012/08/27(月) 15:40:43
そしてともちんの部屋では。
『とも…こわい』
ともちんの腕にしがみつくとも〜みはちょっと泣きそうな声を絞り出すように言った、ともちんは弱弱しい蝋燭の炎を憎憎しく見た。
自分の腕時計をチラッとみた、まだ8時20分だ。
『あきちゃ、怖くないの?』
ゆきりんがあきちゃに心配しそうに言ってきた。
あきちゃは小さく頷いた…ただ身の危険があると本人も十分承知していた…ただでさえ停電しているのに彼女が怖いっていうのは嫌だったと。
あきちゃは嘘をついていたのだ。
『ともちんさんどうしますこれから?』
『どうするっていったって、今夜は皆で一夜を過ごすしかないんじゃない…これじゃ身動きも取れないし』
ともちんは冷静に言うしか出来なかった…重い空気がのしかかる。

124プルヒッター:2012/08/27(月) 15:42:15
ともちんの告白はそれで終わり
皆何事もなく深い眠りに付いた。

125プルヒッター:2012/08/27(月) 15:50:48
ガチャッ!!
ペンションの一つの部屋の扉が開く音がした。
誰かが部屋から出る音がする。

部屋から出てきたのは…優子とともに一緒にいたまゆゆと優子だった。
何故彼女が?
…じつは部屋のトイレがあまりにも暗くて使うのが怖いためだったので1階の便所に行きたいと言ってきたからだ。
優子にお願いしたまゆゆは…快く良いと言った。
『…まゆゆ、大丈夫?』
ペンション全体は相変わらず停電したまま電気が未だ通っていない様子、部屋にあった蝋燭を持ち出しゆっくりと2階の廊下を歩くまゆゆと優子
2階の廊下は怖いくらい静かであった、まるで皆が死に絶えているような空間に張り込んだ気分でもある。

126プルヒッター:2012/08/27(月) 15:58:35
『優子ちゃん…怖いよ、お化け出そうだ』
『落ち着いてまゆゆ、私も付いているから…大丈夫だって』
優子の心強い言葉に励まされたまゆゆ、ちょっと安堵の表情を浮かべるまゆゆ。
廊下から1階に降りる階段までおおよそ1分ほどかかった…この廊下が妙に長く続いてると思った2人。
まるで長い道を歩いていた気分だった。
階段を降りる2人。
ギシッギシッと嫌な階段の音がするのがわかりまゆゆは一瞬耳を塞いだ
蝋燭の炎だけが今は頼りだ…でもどうにか1階に下りて談話室の奥にある便所までたどり着くことが出来たのだ。
急いでようを足したまゆゆ。
早く帰りたいと思っていたまゆゆ・・・ペンションなのに薄くらい場所に立っていて彼女の心臓の音はいつも異常に早く脈を打っていた。
ここには長くいては危険だとわかったからまゆゆは一刻も早く便所から出たかった。

127プルヒッター:2012/08/27(月) 16:10:47
長居は無用とわかり2人は1階の便所を後にし2階へ戻る。
優子もそんなことで頭の中がいっぱいいっぱいであった。
暗闇で何度も足を取られながらもどうにか2階への階段の前に着く
ゆっくりと階段を登りきり2階へ付く。
なんとか自分の部屋までたどり着いた優子とまゆゆ、すると…付いてきたはずのまゆゆがいない。
どこに行ってしまったのか?
必死で1人2階の暗闇の廊下を探し歩く優子、胸騒ぎがする。
彼女も心臓の脈が大きく脈を打つ…まゆゆ、どこに行ったの?いるなら返事して。
『まゆゆ…どこにいるの?返事して』
しかし返ってくるのは彼女だけの虚しい声だけ・・・
一刻も早くまゆゆを探さないと、焦りだけが募る優子。
と、蝋燭の炎を廊下の奥に照らす。
『麻友どこにいってたの!!
 心配したんだからね…1人で勝手に行っちゃうんだから』
2階の廊下の奥に行っていた麻友、見つかってホッと安心する優子。
『どうしたのまゆゆ、扉の前にずっと立っていて…何かあったの?…ってここあっちゃんが言っていた例の開かずの扉の前じゃない、何しているのここで』
ここは昨日入ることが出来なかった開かずの間…佐江も扉を破ろうとした例の部屋?
何故ここに。
もしかしてまゆゆも扉を破ろうとするんじゃ?

128プルヒッター:2012/08/27(月) 16:21:16
いや。
いくらなんでもそれは無理な話…小さい体の彼女にそんなことが出来るはずがない。
非力の彼女では到底ありえないことだ。
優子はくだらない考えを捨てた。
『まゆゆ、ここにいてもしょうがないよ
 ここは開かずの間だよ、私たちじゃ入れないんだからさ…部屋戻ろう』
優子はまゆゆにやさしく声を掛けるもののまゆゆはそこから一歩も動こうとしない。
『この部屋…なにかあるよ優子ちゃん』
『えっ!!って開かずの間だよ…誰もいないからさ…それにさこの部屋は扉に
 釘が打ち付けられていて入れないんだ、だからここは諦めよう・・・ねっ』
優子は何度もまゆゆに声を掛けるものの彼女は全く優子の声に耳を傾けようとしない。
まゆゆは扉の真下のところを指差した。
お願いまゆゆ、私も怖い思いはしたくないんだ…だからこれ以上は。
ふと、扉の真下を蝋燭の炎で照らす優子。
するとそこに『麗美』と黒い文字で小さく書かれていた文字があった…一体誰のことだ?
そんな名前の人物は今までにはいなかった…誰かがいたずら書きしたのだろうと優子は思った。

129プルヒッター:2012/08/27(月) 16:26:50
まゆゆも文字を食い入るように見る。
だがそれ以上のことは全くわからない…2人はその場所を後にした。
結局解らずじまいで開かずの間を再び後にする。
優子は何事もなく部屋に戻って床についた。

130プルヒッター:2012/08/27(月) 16:29:38
あたりは大きな暗闇に包まれていた。
皆その場には誰もいない…まるで死に絶えたかのような静けさが包まれる。
電気は通らない、道は完全に遮断され、おまけに電話も繋がらない。
まさに少女たちは完全に閉じ込められてしまった。
このペンションに。

131プルヒッター:2012/08/27(月) 16:40:05
外は完全な夜に包まれていた。
大きな月が夜空を照らす…ペンションも大きく照らしていた。
しかし月がペンションを照らしていたとき。
2階には誰もいないはずの人影がペンションの床に大きく映し出す。
…その影は長い髪を大きく靡かせてゆっくりと床に照らしゆっくりと歩き出す。
外見からするとよくはわからないが女性の影であった。
足音は全くしない…一歩一歩影はゆっくりと歩いていき彼女たちのいる部屋を通り過ぎていった。
やがて影は動きを止め開かずの間の扉の前に立つ。
…少女たちが入ることが出来なかった開かずの間。
その時。
開かずの間の扉がゆっくりと音を立てて開いていく音がした…ゆっくりと歩き出し影はゆっくりと開かずの間の空間へと消えた。
そして、開かずの間の扉は音を小さく立てながらしまる音がした。
寝静まっている少女たちはまだその事を知らない。

132プルヒッター:2012/08/27(月) 16:41:51
開かずの間の扉は再び閉じられた。
だがどうやって音も立てずに入ることが出来たのだろうか?
何も知らない少女たちの夜がまた過ぎ去っていった。

133プルヒッター:2012/08/27(月) 16:45:55
夜が明けて3日目の朝。
料理長の細田が朝食を作ってくれた。
しかし皆食が細いせいなのかあまり食事は喉を通らなかった。
とくにまゆゆと優子とともちんは食事に手をつけずに大食堂をあとにした。
皆も気まずいせいなのか大食堂を後にする。

134プルヒッター:2012/08/27(月) 16:53:30
皆1階の談話室にいた…ペンションのスタッフ以外
ここは山の上、電話も繋がらなければ皆が持っている携帯電話も電波が通らない。
完全に檻の中に今はいる。
突然ともちんがソファから立ち上がった。
『どうしたのともちん、突然立ち上がってさ』
敦子の問いかけにともちんが答えた。
『ねえあっちゃん、ちょっと付き合ってほしいんだ一緒に』
『えっどうして?』
ともちんの言葉に敦子はちょっとしどろもどろした、付いてきてほしいって一体何処に。

135プルヒッター:2012/08/27(月) 17:03:23
『ピアノホールあったでしょう
 あそこに行きたいんだ私、それにここにいたってじっとしているのは嫌だし』
ともちんは何を思ったのか?
突然1階のピアノホールに行くと聞かない。
『ともちん突然どうしたのよ、ピアノホールに行きたいってどういうことなの?
 そのわけを教えてほしい私に。』
たかみながともちんに問いかけてきた。
『あのね、たかみなは見ていないかもしれないけどもあそこって最初にアルバイトの人が殺された場所だよね
 これは私の勘かもしれないけどもあそこになにかあるかもしれないんだ』
皆はえっと驚く表情を見せるものや、ビクッする者がいた。
敦子はただ黙っていた、しかしたかみなは。
『ともちん…それは無理
 現に勝手な行動してはいけない…それなのに興味本位で危険なところに行くのは私は許さない』
『たかみな』
怒ってはいないもののたかみなの口調はちょっと怒った口調でもあった。
敦子もその場を見守るしかなかった。

136プルヒッター:2012/08/27(月) 17:09:56
『わかっているわ。
 でもともだって皆の前でカッコつけているんじゃない…それに』
『それに…』
『皆も黙っていていられるわけないじゃない…秋元先生だって言っていた
 黙っていたっても始まらないし行動あるのみだって』
ともちんの必死な言葉にたかみなも聞く。
声が聞こえたせいなのか女性アルバイトの岩下が廊下で話を聞いていたからだ。
『ともちん…いくら秋元先生の言葉でもそれだけは駄目だわ。
 現に皆はこうしているだけでも精一杯なんだ…だから今は耐えて生き延びるしかないのよ』
たかみなははっきりと腹をくくって言葉を絞りながら言い切った。
と・・・突然岩下がやってきて。

137プルヒッター:2012/08/27(月) 17:14:22
『まるで皆は関係ない口ぶりね』
岩下の声がたかみなに突き刺さる。
『…どういう意味ですか?』
困惑したたかみなは
『まだ解らないの?
 まったくおめでたいわねあなた達は…私はねそのとおりの意味で言っているのよ』
少女たちも言葉が出せずに岩下の言葉に耳を傾ける。
『皆も容疑者の人間だって事を』
静寂な談話室に嵐が吹き荒れた
私たちが容疑者?だって。

138プルヒッター:2012/08/27(月) 17:19:29
『ちょっと待ってよ
 だいいち私たちが容疑者って一体どういうことなんだ』
才加は岩下に問いかける。
『だいいち最初に2人の死体を発見したのは
 あなたたちじゃないの?それに』
岩下の言葉は更に続く。
『最初に風間さんを声を聞いたのはあなたたち2人だけじゃない
 どっちかが風間さんを殺したのはおかしくないはずよ…私は少なくともそう思う』
岩下は敦子とともちんとあきちゃの3人の顔を見た。
確かに風間さんの叫び声を聞いたのは敦子とあきちゃだった。
そして…風間さんの死体を発見したのは敦子とともちん

139プルヒッター:2012/08/27(月) 17:28:39
そして厨房で殺された荒井さんの死体を発見したのは
麻里子、みいちゃんに才加の3人。
でも3人が死体を見つけた頃は昨日の夕食が終わった後だ。
とても犯行できる時間帯じゃ無理だ。
『とにかく私はこの目で見たわけじゃないからね…皆の目がそう言っているかもしれないわ
 だからってグループ皆が証言しても無駄よそんなものは証拠にもなりえないのよ』
はき捨てるように言い切る岩下。
と、もっちぃときたりえが岩下に負けじと猛講義する。
『ねえさっきから黙って聞いていたらさ、私たちってずっと部屋にいたよ
 それなのにさうちらを犯人扱いしてもらっちゃ困る…証拠がないよ大体』
きたりえの言葉が岩下に突き刺さるものの…彼女はいたって冷静な顔でいる。
『私も…だって私たちは客で来ているのにもかかわらず
 犯行時間が大きくずれているんです、同時に2人の殺人に手を掛けるなんて無理な話です』
もっちぃも負けじと言い出す。

140プルヒッター:2012/08/27(月) 17:31:30
『フンッそんなことは知ったことじゃないわ。』
岩下はあくまで少女たちが殺人者だと思い込んでいる様子、強気な女だこの人は。
『何を騒いでいる』
新堂オーナーがやって来て、岩下は新堂の顔を見る。

141プルヒッター:2012/08/27(月) 17:37:06
『オーナー』
『お客さんの前で何をやっているんだ』
『…失礼しました』
岩下は無言のまま談話室を後にする。
『いやあ皆様すみませんね。
 彼女も悪気があって言った訳じゃないので…どうかお許しください』
オーナーは平謝りをする。
『いいんですよ、私たちもここにいるわけですから疑われるのもおかしくありません』
たかみなは丁寧に話す。
『それにオーナーさんのせいではありませんし
 私たちは仕事でここにいるわけですから…彼女をあまり攻めないでくださいね』
優子もたかみなに助け舟を出す。
『申し訳ない…』
新堂オーナーは納得したようでフロントの奥へと消えていった。

142プルヒッター:2012/08/27(月) 19:31:17
コンコン
岩下がオーナーのいる部屋に入る。
『失礼します』
岩下が扉を開け中に入ると、新堂が険しい表情で岩下の顔を見た。
『お客様の前でなんであんなことを言った』
怒っていないような口調ではあるものの、その言葉はいつもの客商売のものの声ではない。
ヒッとビクッと顔を引きつらせる岩下。
『でも、現に彼女たちがここに来てまでずっといるのは返って危険じゃないかと』
『ばか者、どうせ今は彼女たちは今は帰ることも出来ない・・・現にこうして電気も使えない、電話も通じないんだ。
 それに俺たちや彼女たちもどうせ生きて変えることできない…かえって好都合じゃないか』
『しかしあの少女たちが2人を殺したに違いないって事はわかるわ・・・それに』
『それに・・・』
岩下が言いそうなことに新堂はまた自分の顔の眉を少しピクッと動かしこちらを見る。
『あの昔の出来事が起きなければ私たちは』
その言葉を喋ろうとしたとき新堂の顔色が変わった…づかづかと歩み寄る新堂オーナーは岩下の服の襟を強く掴む。
『その話はやめろっていったはずだ!!!
 いいか、あれは事故なんだ…我々が駆けつけてきたときにはあいつはもう死んだと警察からも言ってた
 それにいくら彼女たちが容疑者扱いだとしても彼女たちがやったと保障は何処にあるというのだ』
いつにもまして新堂オーナーの顔ではなかった、いやなにか昔の出来事にまだ取り付かれたように。

143プルヒッター:2012/08/27(月) 19:34:02
『とにかく今後このような話をするのはよせ
 今度はクビではすまない・・・もう忘れるんだな』
新堂は岩下の掴んだ服をぱっと離した。
岩下は頭を下げながらオーナーの部屋を後にした…彼らが起こした過去とは一体?

144プルヒッター:2012/08/28(火) 15:55:53
ともちんはやっぱり気にしていた。
ひとり単独でピアノホールの大扉の前にたっていた、皆が何を言われようともいい。
私だけでも真実を掴むため。
私は大扉のノブに手をかけようとした。
…とその時。
だれかが私の肩に手を掛けた。
誰だ?

145プルヒッター:2012/08/28(火) 16:03:31
私は恐る恐る後ろを見る…すると。
『たかみな!!どうしてここに』
たかみなだった、誰かと思ってちょっとホッとしたものの…たかみなはちょっと表情は険しい。
『ともちん
 あれほど言ったのに・・・もうっ!!言い出したら聞かないんだから』
『たかみな・・・ごめん』
私はたかみなに平謝りをする・・・すると後ろにはたかみなだけではなく敦子と優子もいる。
『ともちんって結構頑固ね・・・そういうところは昔から好きなんだ』
『でも・・・1人で行くのは危険すぎるよ、もしも何かあったら大変だし』
優子と敦子が私のことを心配してくれて私に言ってくれた・・・ゴメン私どうかしていたよ。
こんなに私のことを気遣ってくれて、とにかくこれだけいてくれれば怖いものなしだね、私は改めて謝る。
『ただし、もう絶対こんな事しちゃ駄目だよ・・・私たちも命の保障はないんだから』
私たちは最初に殺された場所への扉を静かに開けた。
地獄の扉をね。

146プルヒッター:2012/08/28(火) 16:14:12
ここに敦子と最初に死体を発見したのはあの時依頼に踏み入れるピアノホール。
まだ外は明るいのに妙に薄暗い。
私たちは死体がある白いシーツをなるべく見ないよう大きなグランドピアノへと向かう。
ピアノにたどり着く。
『なんか私たち現場検証の人みたいだ』
優子は探究心旺盛な気分で無邪気になっている。
明るいからなのかな?敦子とたかみなもピアノのあたりを詳しく調べる。
・・・とくにピアノ自体は怪しいものは見つからず何もなかった、やっぱり何もなかったのかな?
ともはちょっとシャクな気分だった。
諦めてピアノホールから引き上げようとする時敦子が大声を上げた。
『皆、来て』
敦子の声に私とたかみなと優子はそっちに行く。
『どうしたのあっちゃん・・・急に大声を上げちゃって何かあったの?』
『何か見つかったの?』
ピアノのあたりだけを探していて気づかなかったが・・・グランドピアノの隣にハンドルみたいな
ものがあった。
随分錆び付いてはいるものの何か仕掛けなのだろうか?

147プルヒッター:2012/08/28(火) 16:25:44
手を掛ける。
『うーーーーんっ』
たかみなが力いっぱいに錆びついたノブのハンドルを回す。
が・・・あまりに錆びついているせいなのか全く回らない、やっぱり女性の細腕では無理のようである。
『今度は4人で回してみよう』
たかみなの合図に頷く敦子たち
今度はどうか・・・4人の手に錆び付いたノブを回す。
ノブがゆっくりゆっくりと動くのが解る・・・これなら大丈夫だ、4人の手にますます力が入る。
すると…目の前にあるピアノホールの真ん中にある噴水の水が徐々になくなってきているではないか。
もっともっと力一杯ハンドルを回す。
手が痛くなってきた・・・でも我慢だ。
やがて噴水に異変が起きた、噴水の池の水がすべてなくなり噴水の下に隠し階段が現れたではないか。

148プルヒッター:2012/08/28(火) 16:31:32
『あっ噴水の水が無くなって噴水の下に階段が』
優子が最初に気づいた…この階段は一体何処に続くのだろうか?
地獄の底まで続くのか?それともある意味秘密の研究室なのか?
皆それぞれ思い思いの考えを浮かべていた。

『ペンションにこんな仕掛けがあったとは・・・全く知らなかった』
敦子もまだ目の前にある光景をいまだ信じられずにいる…たかみなもそうだった。
『どうするの
 行くそれとも?引き返すの』
ともちんも行くかやめるかためらっている。
『・・・とにかく皆に知らせよう』
4人は一旦ピアノホールを離れ、皆を呼び再びピアノホールへ向かった。

149プルヒッター:2012/08/28(火) 16:44:05
全員が再びピアノホールに戻って5分程経った頃。
皆がその光景を見たときには信じられないとの表情だ。
『嘘・・・でしょ』
麻里子さまが疑うように見て言い出した。
『こんなことって』
とも〜みも同じだ。
『夢でもみているのかしら…私たちって』
『何か怪物でもいるんじゃないの』
ゆきりんの困惑言葉に佐江は恐る恐るに言ってきた。
『私も目を疑ったわ…でも現実にこういう風な仕掛けがあったなんて、ちょっと怖い気分だったんだ』
たかみなもまだ信じられずにいる。
『それでたかみなたちはどうやってこの噴水の階段を発見できたの?
 まさか?噴水の水を全部飲んだ訳?』
陽菜の悪戯な言葉にたかみなはちょっと呆れた…私はゆっくりと皆を諭すように言った。
『私たちがここに来たときにともちんが最初1人できた。
 でも危険だと解って私たちもこのピアノホールの部屋に忍び込んだの、私たちはしっかりとピアノホールの
 グランドピアノの辺りを調べたんだ、だけどピアノには何も仕掛けもなく諦めて引き上げようとした』
たかみなの長い言葉の告白は続く。
『たかみなの言ったことはわかった。
 でもたかみな最初に言っていたよ、ともちんがどうしてもピアノホールを1人で
 調べに行くってたかみなが止めたんじゃない』
みいちゃんが私に問いかけてくる…あまりきつい言い方ではないがちょっと私に怒る表情を見せる。

150プルヒッター:2012/08/28(火) 16:55:47
『私も初めはともちんをとめた。
 でも・・・なんかともちんのことを聞いてさちょっと気になってだから』
みいちゃんも食い入るように私の顔を見ている。
『本当私っておバカだよね、あれほど危険なところに行くなって私自身が言ったのに。
 勝手なことをした私が死ぬほどバカだよ』
皆もそれに口を出すものがいなかったものの突然。
 パンッ!!
陽菜がいきなりたかみなの右頬に軽く平手打ちをした。
突然のことだったたかみな、バランスを崩し床に倒れこむたかみな。
あーっ私って結局嫌われたのかな?
にゃんにゃんに平手打ちを食らって。
が、立ち上がろうとした時陽菜の目からは一筋の涙が?
『どうしてこんな危険な事したのよたかみな
 自分でああいってさ、もしもたかみなや皆のことでなにかあったら私・・・私・・・』
陽菜の涙が止まらなかった…いや現に無理をしていたのか?いつものにゃんにゃんなら天然ボケのマイペースで終わるはずなのに。
こんな風ににゃんにゃんが私に手を出したのは初めてな光景だった。
同じくみいちゃんも泣いていた…同じユニットの『ノースリーブス』の絆なのか?
『たかみなは馬鹿だ・・・本当の馬鹿だよ・・・ともちんにあれほど言ったにも関わらずに
 自分だけカッコつけちゃってさ、そんな風にカッコつけて本当に・・本当におばかだよ』
みいちゃんも声をあげながら泣き出した。

151プルヒッター:2012/08/28(火) 17:02:54
たかみなは何も答えることが出来なかった。
2人の涙にたかみなもまた涙を流す…やっぱり私は馬鹿だった
今改めてたかみなは認識した、仲間の強い絆だと。
『ごめんね、にゃんにゃん・・・みいちゃん!!!!』
たかみなは陽菜とみいちゃんに抱きつかれながらお互い3人で号泣した、他の皆も同情を誘ったのだろうか
この光景に涙するものもいる。
まゆゆ、ゆきりんも涙を浮かべる。
麻里子は涙を流してはいないものの淋しそうな表情を出す。
『いい友情の証ですわ・・・うちもそんな友情に憧れていて・・・ホンマにもう・・・ううっ』
由依もつられて泣き出す。

152プルヒッター:2012/08/28(火) 17:08:09
ピアノホール内の泣き声が大きく響く。
それを尻目に敦子は噴水を見る。
敦子が噴水の奥深くの地下の階段をチラッと見る…この先には何かがある
そう言い聞かせる敦子だった。
『たかみな。
 ほらっしっかりして・・・これからはたかみながしっかりしないと駄目じゃないか。
 どうするの?このまま黙って立ち止まっているんじゃ気持ち悪いよ佐江はさ。
 そのためにここに来たはずだよ』
佐江ちゃんの言葉が私の背中を押してくれた・・・ゲンキングの彼女も内心心配をしてくれていたようだ。
ありがとう佐江ちゃん。

153プルヒッター:2012/08/28(火) 17:12:56
もう躊躇わない
私は地下の階段を見た。
『でもここに行くにしてもかえって危険じゃないかな?
 地下だし何か武器に必要となるもの持ってきてもいいんじゃない、何かあるか解らないし』
『自殺行為に等しいですよたかみなさん。
 それにこのままの丸腰ではうちらはかえってやられる一方じゃないですか』
きたりえとゆきりんの言葉にはもっともごもっともなことだった。
これから探索するときにメンバーに教えられるとは、まだまだ私も不覚。

154プルヒッター:2012/08/28(火) 17:20:16
とにかく武器を探す少女たち。
とはいったもののこんなペンションの山奥だからたいした武器は期待できない。
あるとしたら。
ペンションにあったモップ、カッターナイフしかない武器としては物足りないものだ。
厨房に包丁があったけども危険だから撤回した。
そして皆が部屋で使っていた数本の蝋燭を持ち出しいよいよ地下の扉を開く。
この先に何か待ち受けるのか
17人の少女たちがいま地下への扉を開いた。

155プルヒッター:2012/08/28(火) 17:29:29
もはやペンションの電気も通らない。
電話も使えない…帰る遮断も遮られた17人の少女たち。
ここのペンションにはもういられないとわかった17人の少女たち、出口を目指し危険な洞窟の中へもぐりこんだ。

一方その頃。
ピアノホールの大扉の前には人の影があった。
『・・・・奴らめ、遂に見つけてしまったのか?
 秘密の入り口の場所を、知られてしまってからには生きては返さない』
『そうね、我々の秘密を知った以上彼女たちに逃げ場はないわ…待っていなさいよ』
『それにしてもあの少女たちがあんなに頭のいい連中だとは』
『厄介なことになりそうね』
4人の人影の声が続くなか。
『まあまて、これからが面白いじゃないか
 あいつらは俺たちにとっては招かれざる客のメンバーだ、それに俺はああいった連中が
 好きなんでね、まあ逃げられはしないさ』
ある男の1人が冷徹な言葉で喋りだしてきた。
この男の正体と4人の影は。
『逃がすなよ、あいつらは俺たちの手で殺るんだ
 そして俺たちクラブの生贄の礎になるのさ…こんな面白いことはないぜ』
男はくくくっと不気味に笑い出した。

156プルヒッター:2012/08/28(火) 22:16:04
意を決してピアノホールの噴水の隠し階段の扉を開いた少女たち。
重々しい鉄の扉の開く大きな音が皆の耳に入る。
『もう後戻りは・・・出来ない、行くよ皆』
『絶対に生きて帰るんだ』
敦子とたかみなの言葉の合図に皆は頷く。

157プルヒッター:2012/08/28(火) 22:25:16
扉を開ける。
中は洞穴のような大きな空洞だった。
たかみなが最初に足を踏み入れる。
足を踏み入れた後、一度大きな深呼吸を吸った…気持ちを落ち着かせるようにと。
敦子、優子、そして他の皆も後に続く。
『信じられない
 ペンションの奥にこんな洞窟が存在してたなんて、何か不思議だな』
あきちゃは洞穴の中の辺りを見回した、妙に落ち着いた雰囲気を作るあきちゃ。
『皆、足に気をつけて歩かないと』
『滑って転んじゃう』
才加ととも〜みの言葉にたかみなはペンションの部屋から持ってきた蝋燭に火をつける。
火がついて洞窟の壁が明るくなった…完全には明るくはならないものの今は
この炎の蝋燭だけが頼りになる。
一旦後ろを振り向くと、突然鉄の扉が音を立てて閉まっていく。

 バターン!!!
佐江と才加がノブに手を掛ける。
だが、2人の力でさえ鉄の扉のノブは回らない。
『開かない・・・ここから先は行くしかないみたいね、たかみな』
才加の言葉に力強く頷くたかみな・・・そうだ、もう後戻りはもう出来ないのだ。
少女たちにとって過酷な道を選んだのだから。

158プルヒッター:2012/08/28(火) 22:30:16
敦子とたかみなと優子の3人を先頭に暗い洞穴の中を歩き続ける少女たち。
洞窟の中は思ったよりひんやりしていた。
『この洞窟一体誰が何のために作ったんだろう?』
優子が尋ねるものの知っているはずがない、皆もそう同じだ。
『知らないよ、だってここに来る以上にもう前に進むしかないじゃん』
ともちんが言う
『地震が来たらきっと皆、生き埋めじゃないですか』
由依が怖いことを言う、縁起でもないこと言わないでほしい。

159プルヒッター:2012/08/29(水) 22:41:17
『由依…そういうのは怖いからやめにしてよ…生きるか
 やられるかの瀬戸際なんだからね』
『たかみなさん、結構気にしてはるんでしたね…すみませんでした』
たかみなが怖がっている中、由依は平謝りして歩く。
そのとおりだ…今は生きるかやられるか、彼女たちの脱出にかかっている。
しかし彼女たちはまだ知らないでいた。
あのペンションの従業員たちが実は裏で大きな糸を引いていることにはまだ知らない。

160プルヒッター:2012/08/29(水) 22:47:08
『そういえばおなかすきましたね
 朝食もろくに皆口にはしていませんでしたし』
まゆゆがちょっとおなかがすいたことに気にしていたが。
敦子は言う。
『まゆゆ、ごめんね
 でもみんなそれは同じことよ、確かにお腹がすいているのはわかるわ・・・でも今は辛抱して』
『そうよ、私だって同じだからねまゆゆ弱音はいちゃ駄目』
敦子とゆきりんの言葉にションボリすると思われたものの、まゆゆは小さく頷いた。
どうやら2人の言葉を素直に受け止めてくれたみたいだ。
どうせこの洞窟の中だ…食料を持っていったとしてもかえって邪魔になる。
だから彼女たちは最初は躊躇ったもののあえて諦める形をとったのだ…とにかく空腹に耐えるには
いまこそチームワークを見せるときなのだから。

161プルヒッター:2012/08/29(水) 22:52:36
『しっかしこりゃ随分と長い洞穴の中をとおっているよね
 これで本当に脱出できるのかな?』
きたりえが心配しそうに言う、が敦子は言おうとしたが返って警戒心を煽るだけだ。
無駄な説得は返って逆効果を出すためだからなのだ。
『細い道を歩いていって随分かかるわこりゃ』
マイペースのあきちゃもちょっとお疲れ気味のよう。
『あきちゃ・・・諦めちゃだめだよ』
もっちぃがあきちゃを励ます…彼女はにこっともっちぃの顔を見て笑う。
あきちゃもまだ諦めることなんてない。
『これで怪物とか…お化けが出たらよりリアルだよこれ』
みいちゃんが突然怖いことを言い出す、リアルって言ったってここは本物の洞穴だよ。
本当に出たらそりゃ私も怖いんだから…たかみなはちょっとビビッた。

162プルヒッター:2012/08/29(水) 23:00:26
やがて長い洞穴の細い道を歩き続けて数分が経ち。
彼女の目の前にはようやく広い空間が目の前にあった。
大きな湖のような場所に出た少女たち。
『ようやく通路を出たわね…湖を一気に渡っていこうか』
勝ち誇るように言う麻里子。
『油断しちゃ駄目よ麻里子、湖といっても相当な深さだから』
『といってもどうやって渡ればいいのやら』
冷静にいう敦子とは対照的に麻里子はちょっと解らずじまいで困った顔をする。
『泳いでいくのはどうっ!?』
優子が大胆な言葉に皆はぎょっとする。
『えーっこの湖を泳ぐの優子ちゃん、そりゃ無理じゃ』
指原が急に情けない言葉を出す。
『指原、引き換えしたければ1人で戻ったら』
あまりにも優子の無常な言葉にさっしーは『えーっ』と困惑顔をする。
『そうね、指原を置いていっちゃおうよそれがいい優子』
『麻里子さまもひどいですよ』
子供のようにさっしーをからかう麻里子がふふっと小さく笑う。

163プルヒッター:2012/08/30(木) 22:04:34
『指原、我儘いわないの
 岩場を利用して歩いていけばいい・・・間違えても湖に落ちるのだけはやめなよ』
佐江もそれにチャチャを入れる。
『うーっ佐江ちゃんまで
 わかったよ、行けばいいんでしょもうっ』
駄々を捏ねながら渋々湖の岩場を渡る指原。
皆も足場に気をつけながらゆっくりと湖の岩を歩く…湖の水面はまるで鏡のような水面だ。
どうにか湖の岩場をやり過ごしていき再び洞窟の中を歩く少女たち。
と。
『あれっ行き止まりじゃない
 もうここでおしまいかなこの洞窟は、なんか物足りないな』
きたりえがちょっとがっかりしたように言う、指原が行き止まりの壁に寄りかかっている。
『本当だよ
 あれだけ散々期待していた洞窟探検もこれじゃ物足りないや、あーあかえってがっかり・・・』
『ちょっとさんざん1人で帰りたがっていたのは指原じゃないの』
才加がちょっと指原に文句をいう。
『文句いうわりには才加ちゃんも結構怖がりの場面あるじゃん。
 ここでみんな一休みしようかなって…いーーーーっ!!!!』
指原が壁に寄りかかって一休み使用としたその時
行き止まりの洞窟の壁の一部が大きく音を立てて崩れ落ちる・・・あえなくバランスを崩し
後ろに大きく仰向けに倒れるさっしーは何が何だか解らなかったからだ。

164プルヒッター:2012/08/30(木) 22:10:25
『痛てててっ
 一体どうなってるのよこれ…突然壁が崩れるなんて』
よくわからないさっしーはまだ状況を飲み込めずにいた。
『隠し通路ださっしーよく見つけたわね』
敦子も隠し通路に目を向ける。
『前田さんに褒められて指原うれしいです、指原ここが臭いんじゃないかなって』
調子に乗るさっしー
『嘘つけ』
優子がちょっと意地悪っぽい仕草な言い方でさっしーに言う。
『扉だ
 この先にいけるのかな?』
まゆゆが心配しそうに言う。
『とにかく扉開けて行こう行こう』
にゃんにゃんも早く行きたくて仕方がない、まるで子供だ…たかみなはそう思った。

165プルヒッター:2012/08/30(木) 22:18:59
扉をあける…すると。
『ここは』
敦子は目を疑っていた。
『何…この匂い、まるで薬の匂いがする』
優子は思わず鼻を摘む…強い薬の劇薬の匂いが私たちの鼻にツーンと来る。
麻酔の匂いが辺りを大きく包む。
洞穴の部屋の中は狂気に満ちた空間だった…棚には見たことのない劇薬や薬…それにボロボロに朽ち果てた
ベッド2つがある。
ここは病院なのか?いや洞穴の部屋の中にこんな場所は見たこともない…少女たちは驚きを隠せないでいた。

166プルヒッター:2012/08/30(木) 22:27:53
『ねえこれ、何のくすりかな』
もっちぃが興味本位で床に落ちてあった薬のビンの1つを拾う。
『もっちぃ…ちょっと勝手に』
たかみなが注意するともっちぃがハッと驚く顔をした。
『たかみなさん、これ…昔の薬ですよ、私見たことあるんです。
 お父さんからも聞いたことがあってこれは、やけど用の薬だ』
『火傷用の?』
火傷用の薬とは。
もっちぃの言葉にたかみなたちは唖然としていた、もっちぃが薬ビンの中身を確かめる。
『うーんっ名前は良くはわからないですけども、中はドローッとしていてクリーム色のようなものだわ
 そうだわ!!!!たしか昔の人は火傷用の薬のことをチンク油と言っていた、正式には火傷用のかゆみを消す
 塗り薬だって言っていた』
チンク油?
私たちの頭の中ではチンク油という薬は聞いたことも見たこともない、事実実物を見るのも初めてだ。
『もっちぃ、その知識どこから?』
敦子もちょっともっちぃの言葉に思いっきり困惑気味だった。

167プルヒッター:2012/09/02(日) 15:46:20
『私もともと歯科検視の方向に向かっていたんだ
 だから看護婦の方にずっと勉強に力をいれていたからその方の知識に強みがあったんじゃないかな?』
以外だった。
彼女はAKBに来るまでは違う分野での将来に未来を託していたのだから。
敦子はもっちぃのことを大きく期待をしていたのかもしれない。
『見てしまったのか・・・遂にここを』
誰だ?
少女たちの背後からドスの聞いた男の声がした
少女たちが振り向いたときにはすでに遅かった…白衣を着た男どもが謎の男とともに少女たちを取り込んだ。
そして。
『うわっ!!
 なんだこれ、何も辺りが見えないぞ』
優子は大声を挙げるが、徐々に意識を失いその場に倒れこんだ。
たかみなと敦子・・・それに他の皆もその白い霧のような空気に耐え切れず倒れこみ、そのまま意識を失った。
『も・・・もうだめ・・・・だ』
敦子は目を開けようとするも正体がわからずに深い闇の中へと落ちた。
少女たちの運命は。

168プルヒッター:2012/09/02(日) 15:52:01
一方その頃。

『前田さんたちがいなくなったって?』
舞台は前田たちが泊まっているペンションから大きく距離を離れている名古屋。
『うん・・・ニュースで言っていたんだ
 前田さんたちが某所のとある場所でグラビアの撮影を行った後…3日経っても秋葉原に戻っていないんだ』
彼女の言葉にもう一方のほうは大きく顔を青ざめながら聞いていた。
『玲奈ちゃん
 それってやばいんじゃ…だって私たち今回呼ばれなかったんだけども…なんかかえってやばくない』
彼女の名は…松井珠理奈
SKEのメンバーの1人。
そのもう1人は…松井玲奈だった。
彼女たちが東京に戻っていないまま3日が過ぎたからこうして報告してきたのだ。

169プルヒッター:2012/09/02(日) 15:55:22
もともとは2人も前田たちとともに同じグラビア撮影場所に
合流する予定であったが、急遽別の仕事がありキャンセルとなる形となった。

しかし、最悪な形は続いた。
合流するはずだったが、道が遮断されていくことは出来ず結局は
この名古屋で滞在するしか出来なかったからだ…二人の顔色に汗が流れる。
だが…2人は信じている。
必ず皆は帰ってくると…そう信じて2人は前田たちの無事を祈った。

170プルヒッター:2012/09/02(日) 15:59:07
『ようっ
 お目覚めかいお嬢さんたち』

男の声がする。
…そうか、私たちは地下の洞穴に捕まってそのまま意識を失い倒れたんだ。
うっすら目を開ける敦子たち。
目を開けるとそこはペンションの内部だった。
まだ頭がぼんやりとしている、ずっと気を失っていたからなのか
ここは…ペンションの大食堂のなか…天井がぼんやりと姿を映し出す。

171プルヒッター:2012/09/02(日) 16:03:52
気が付くと皆床に倒れこんでた。
私もそこにいた…目の前には見慣れた顔があった。
新堂さん…それに岩下さんに福沢さんに料理長の細田さんまでもが

だが4人の真ん中の男の顔は見たことがない人物だった。
『ふふっお目覚めかねお嬢さん方…ようこそ我ペンションに
 ここに来た君たちは我々の生贄となる準備でもあったんだよ』
男は得意げに淡々と語る…語るものの
その口調ぶりはどこか大きな寒気をも感じたからだ。
敦子とたかみなはそんなことさえ覚えていた。

172プルヒッター:2012/09/02(日) 16:08:46
深い眠りについていたメンバーたちもようやく目を覚ます。
『うーんっここどこなんだよ
 あれっここ、ペンションの大食堂じゃない…どうしてまたここに』
意識からまだ目を覚ますことが出来ない優子は頭を抑えながら起き上がる。
『新堂さん…どういうことです?
 いったい私たちをここに呼んでまで』
優子は新堂に答える。
『おいおい、まだ状況を理解できないのか?
 まったくおめでたいやつらだなお前たちは…よく聞けよこれはお前たちにとって
 これからが本当の地獄をみるためにここにやってきたんだぜ』
いつもの新堂オーナーの声ではない
まるで地獄の魔物に取り付かれているような口調であった…優子はぐっと唇をかみ締める。

173プルヒッター:2012/09/02(日) 22:04:10
大食堂の広間にいるのは敦子、たかみな、優子、ともちんの4人
それにペンションのオーナー新堂、岩下、福沢、細田。
そして・・・黒いダテ眼鏡を掛けている男の影がある。

他のメンバーはどこに行ったのか?
麻里子、ゆきりん、まゆゆ、にゃんにゃん…他のメンバーの姿は何処にも見当たらない。
どうしてしまったのだろうか?
ダテ眼鏡の男が喋り始めた。

174プルヒッター:2012/09/02(日) 22:10:56
『そんな顔をしなさんな。
 彼女たちは俺たちのペンションに閉じ込めているさ…だからお前たちに聞きたいのさ
 俺の名前を知りたいそうだな…いいだろう、俺の名は日野貞夫』
男の名は日野とそう語った。
『そしてこの日野さんこと俺たちの真のオーナーさ』
新堂がそう淡々と語った…では新堂はもともとオーナーではないのか?
優子は日野に問いただした。
『私たちを騙してここに来させたのも…全て罠だったって訳?』
優子は強気な口調で日野や新堂に直接問いかけた。
『そうさ、俺たちお前たちAKBがここに来るのはある事情があったわけさ
 お前たちも見ただろう、あの例の招待状をな』
招待状?

175プルヒッター:2012/09/02(日) 22:13:27
そう言えば。
私たちが最初にこのペンションに来たときに謎の招待状が渡された。
確か・・・招待状には18人を招待したと記されていた。
秋元先生が私たちにくれたあの招待状。
でも秋元先生が私たちに招待状を書いて送ったのは身に覚えがないはず?
もしかして?

176プルヒッター:2012/09/02(日) 22:17:03
『そのとおりさ
 俺たちが秋元に招待状を書いたのも全て我々の策略だ…秋元は俺たちにあっけなく承諾したよ
 ふふっあの秋元もあっけない男だったな…招待状を書いた揚句俺たちに殺されるなんて
 全くおめでたい男だお前たちの知っている人物は』
日野はおかしくってたまらないほど笑い出す。
たかみなは腹の底で怒りを覚えた。
なんてことを…私たちを出し抜いて秋元先生に招待状を書かせるなんて、しかも。
我々AKBのことを汚すとは、許すまじ行為。

177プルヒッター:2012/09/02(日) 22:24:35
『全くあっけない人物ですよね。
 その秋元という男は…あっけなく調理するまでもなく誘いを寄こすなんて』
料理長の細田も履き捨てるように言う。
女性アルバイトの岩下と福沢とふふっと小さく笑う。
『どうしてこんなことをしたの?
 私たちを利用してまで…ここに誘い出したのか教えて頂戴』
敦子は口をぶるぶる震わせながら言った…怒りに満ちた表情なのか
敦子は表情を大きく出す。
『全てあんたたちのせいなのよ、我々があなたたちを知ったのはある1人の少女が原因だったの
 それでね、来る日も来る日もあなたたちのことを聞いてから日々忘れることはなかったわ』
岩下はヒステリックに言う。
『私たちはね、あんたたちとは違って落ちこぼれの日々をおくったわ。
 でもそんな風に救ったのは日野さんだったのよ…あんたたちの復讐をも兼ねてね』
『それに…あの女があんたたちのかつての仲間だったとのこともね』
私たちの仲間?そんな人物いたっけかな
岩下、福沢の冷淡な会話は大食堂を大きく支配する、女性の会話がここまで怖いとは今日改めて知った。

178プルヒッター:2012/09/09(日) 16:07:55
仲間?
かつて私たちをはじめから知っている人物は存在しないはずだ。
じゃ・・・一体?

179プルヒッター:2012/09/09(日) 16:10:48
『お前たちの仲間も俺たちが至る所に閉じ込めた。
 救出するんなら俺たちに逆らわないことだな…ま、お前たちが助かる見込みは
 この俺たちのゲームに勝つことができればのはなしだがな』
ゲームだって。
こいつら私たちのことを寧ろ楽しんでいるようだ。
いわば私たちのことを駒と思っているようだ、こんなことになるなんて。

180プルヒッター:2012/09/09(日) 16:14:16
日野達はそういって大食堂から去っていった。
麻里子たちもきっとどこかに閉じ込められて助けを求めているはず。

敦子、たかみな、優子、ともちんの4人の力が今集結するときが試された。
私達があんな連中に負けるのはゴメンだ。
辺りはすっかり夜にふけた。
とにかく今は麻里子やにゃんにゃんやまゆゆたちを救出するのが先だ。
私達はすばやく行動を起こし大食堂を後にする。

181プルヒッター:2012/09/09(日) 16:18:52
大食堂をあとにしたのはいいものの
とにかく今は何をやるべきかは解っていた…相手の対決に欠かせないもの。
それは武器になるようなものだった。

いずれ相手となるべき厄介なものだから。
再び大食堂の部屋に何かないか探してみる。
…テーブルの上においてあった銀色のナイフやフォーク。
武器になるといえども頼りないものではあるが…そうは言ってられない。
私達は銀色のナイフとフォークを自分のズボンのポケットに入れる…そして後にする。

182プルヒッター:2012/09/09(日) 16:24:09
『あいつら、どこかできっと私達のことを見ているよ。
 あっちゃん…慎重に部屋を調べてみる?』
優子の言った言葉ももっともだ。
一つ一つ部屋を調べてみた方が価値がある…しかし。

『あれっ
 鍵がかかっている…これじゃ部屋の中を調べることが出来ないよ…こっちは急いでいるのに』
優子は不満そうに唇を尖らせながら言った。
『優子おちついて、こんなことしたって無駄だよ。
 鍵を管理しているところに行ってみないと』
ともちんが言った。
鍵の管理している場所って一体?
優子はちょっと首を捻っているようだが、3人は既に目星が付いていたようだ。

183プルヒッター:2012/09/09(日) 16:28:27
『ちょ、ちょっと!!
 鍵の管理している場所って一体何処?たかみな、ともちん、一体どういうことなの?教えてよ』
優子の問いかけに3人は既に廊下を走る、まだ優子はこの話にちょっと困惑気味だった。
『優子置いて行っちゃうよ、早く』
『ちょっと・・・たかみな(汗)こらっ!!置いていくな!』
たかみなの意地悪な言葉に優子も後に続く…私を置いてくなんてそうはいかないんだからね
たかみははちょっとふふっと小さく笑う。

184プルヒッター:2012/09/09(日) 16:44:50
大食堂から廊下を走って約1分ほど
談話室の前にたどり着いた4人…この談話室に何があるのだろうか?
優子はまだわからない風な顔をしていた

『談話室にきて何かあるの?ここって入り口以外何もないんじゃ?』
たかみなが変わって答えた。
『優子、あんたさっき部屋を一つ一つ調べようとしたよね、今更だけども鍵がかかっていては入れなかったよね。
 だったら最初にここに来るべきはただ1つだよ』
ただ1つ?
あっ!!そうか…私達が談話室に来たのは談話室ではない…そう談話室の前にあるオーナーのいたフロントの部屋
ようやく私には理解した…この部屋にはきっと何かがあるって。
従業員以外は立ち入り禁止のプレームネートと札が扉のノブにかかっていた。
今、入るべきか?
それとも。
いいや、こっちから来たからにはそうは言ってられないわ。
優子は覚悟を決めた、鬼が出るか蛇が出るか・・・それはもう頭の中で解っていたからだ。
『たかみな、この部屋には何があるんだろう?
 あのオーナーの言っていた部屋だからきっと何かが秘密があるんじゃないかな』
『うーんっ私達も入ることの出来なかったオーナーの部屋だからね…このペンション自体がお城みたいに作られているんじゃ』
『躊躇う必要なんかないさ、私達が入ってその証拠を潔白しようよ』
ともちんの言葉に皆賛成だ…反対するものはいない
これから先何があっても驚くことはない、こんなに強い仲間がいるんだ私には。
たかみなは意を決しフロントの扉のノブを静かに回す

185プルヒッター:2012/09/09(日) 16:53:51
ドアは音を立ててゆっくりと開く。
フロントのオーナーの部屋だからつくりは結構豪華だ。
ペンションのフロントの机にテーブル、それに本棚…オーナーの入る部屋だからかちゃんとベットがあった。

敦子とたかみなが先に足を踏み入れる。
特に仕掛けなどはない、どうやら大丈夫のようだ。
優子とともちんも足を踏み入れようとしたとき…
…ポッポ、ポッポ、ポッポ。
2人はいきなりビクッとした、よく見るとオーナーの部屋の鳩時計が11時を指す時報が鳴る。
窓の外はすっかり闇の漆黒の夜と染まった。
『あーもうびっくりした
 もう誰かと思ったらこの鳩時計のせい、驚かすにも程がある』
強気の口調のともちんがちょっと口を尖らせる…優子も同じだった。
『まったく、あいつらのせいで私達は』
優子が鳩時計を叩き壊そうとしたとき敦子が優子の手を止めたからだ
『まって優子』
『あっちゃん急に止めてどうしたのよ?何かあったの?』
コクンと小さく頷く敦子…優子はこぶしを降ろす…鳩時計の鳩の出る方を手探りで探る敦子。
…すると。
自分の指に何か金属みたいなような抵抗があったからだ。
慎重に手を入れて探る敦子。

186プルヒッター:2012/09/09(日) 17:04:31
『あっちゃん何か見つかった…そこに何かあるの?』
優子が敦子に問いかける…すると。
敦子の手から鳩時計の中から何か出てきた…それは。
『あっこれ…鍵束じゃん』
『ここのペンションの鍵束じゃないかな?』
敦子の手にはどうやらペンション内の鍵束が握っていた。
鍵束にはどうやら他の鍵も混ざっていたようだ、ここ以外の部屋って一体あったんだろうか?
敦子はちょっと困惑する。
『ここの時計って他に何かあった』
ともちんが答えるものの敦子はただ首を振った…どうやらこの鍵束以外は何もないようである。
が、ともちんは納得いかず更に鳩時計の中を探ると。
『あっ!!』
ともちんがちょっと大きい声を出す。
ともちんが何か手ごたえを感じたようだ、更に手を入れるともちん…何か小さいボタンのような
手ごたえを感じたからだ。
『ともちん何かあったの?』
『この時計の中に小さい押しボタンみたいなものがあったんだ』
『押しボタンだって…ともちん押してみて』
『えーっこわいよ、優子一緒に押そう』
『えーっともちん怖いの…しょうがないな、私が変わりに押すから』
小さいボタンを押すのにちょっと躊躇うともちん、優子がともちんの隣に立ち
変わりに鳩時計の中にある押しボタンを押した。

187プルヒッター:2012/09/09(日) 17:08:28
優子がボタンを押したあと
『カチッ!!』と音がしただけで何の手ごたえもない。
あれっ!!何も起こらない?
そう思ったときだった。

ゴゴゴゴゴ!!!!
オーナーの部屋にあるベットが音を立てて動き出したからだ。
4人は動くベットの動きにあっけにとられながらその光景を見た。

188プルヒッター:2012/09/09(日) 17:15:05
やがてベットの動きが止まる。
それまでベットのあった場所に大きな隠し階段が姿を現したからだ…その階段は
大きな口をあけたように私達を誘うかのように誘い込んでいるようだった。

『えっ!!!これは』
優子はまだベットが動くと解ってちょっとびっくりしていた。
『こんな秘密があったなんて…このペンションにこんな仕掛けがあったなんて』
たかみなも驚くやら呆れるやらこれ以上の言葉は出なかったようだ。
『きっとこの先に麻里子たちやまゆゆたちも捕われているに違いない…どうする敦子』
ともちんの言葉に敦子は心に決めた・・・そう迷いはなかった。
『皆、覚悟は出来ている
 ここまで来たらもう後には引けないわ…行こう』
敦子の言葉に3人は大きく頷いた。
蝋燭だけじゃ物足りないので、途中オーナーの部屋にあった懐中電灯を持ち出し。
いよいよこの部屋の隠し階段に足を踏み入れる。

189プルヒッター:2012/09/09(日) 17:18:16
隠し階段が私達の足元に踏み入れると妙にヒンヤリする。
階段を降りただけで寒気を感じたからだ。
敦子とたかみなはそう思った。
敦子が持っていた懐中電灯に明かりを付ける。
ゆっくりと懐中電灯の明かりを地下の辺りをぐるりと照らしていく。

190プルヒッター:2012/09/09(日) 17:24:23
歩くこと数分。
妙に狭い、この廊下が地獄の底まで続くことのないように祈る敦子だった。
丁度突き当たりのところに古い扉が1つ目にあった。

『妙に古ぼけた扉ね』
ともちんが目の前にある扉をみてそう答えた…確かに見ると
扉のペンキの一部が錆びて剥げていた。
敦子が扉のノブに手をかけようとする。
しかし鍵がかかって入れない…こりゃだめだ。
戻ろうとしたときたかみなが言った。
『あっちゃん、この部屋に入れないの
 おかしいよ…ここで行き止まりって言うのも変だし…引き返すのも悔しいじゃん』
たかみなの言葉ももっともだ。
どうにか考えようとする敦子、手にポケットを入れた瞬間…金属音のような音がポケットの中から聞こえた。

191プルヒッター:2012/09/09(日) 17:27:26
そうさっき部屋の中の鳩時計の中から見つかったあの鍵束のことをすっかり
忘れていた。
敦子はポケットから鍵束を取り出した。
鍵束を取り出し扉の鍵穴に鍵を入れる敦子。
…すると。
扉の開く音がした。

192プルヒッター:2012/09/09(日) 18:26:55
敦子は一度大きく深呼吸し、ゆっくりと鉄の錆びたドアを開ける。
中を覗いた。

193プルヒッター:2012/09/09(日) 18:32:23
『誰っ!!』
女の声がする。
その声は・・・麻里子なの?
敦子は麻里子の声がするほうへ耳を傾けた。
『麻里子…何処にいるの?』
何もないヒンヤリとした部屋からは麻里子の声しかしない…何処にいるのだろう?
もう一度よく耳を済ませる敦子は。

『その声は・・・あっちゃんね無事だったの?』
『うん、たかみなと優子とともちんも無事だよ…それより麻里子は何処にいるの教えて』
『ここよ』
ここと言われても周りの部屋は何にもなく壁しかない。
敦子は壁に耳をあてよーく麻里子の声をたどった。
『あっちゃん、ここよ』
だんだんと麻里子の声がはっきりとわかった…この壁が怪しい。

194プルヒッター:2012/09/09(日) 18:36:05
部屋の壁の一部の色が怪しい。
この奥の向こうに麻里子がいるのでは?
敦子は思いっきり壁を押してみた。
グイグイっと何か手ごたえを感じるのがわかる。
更に壁を押してみる…そして。

ガラガラガラと大きな音を立てて壁の崩れる音がした。
そして麻里子がいた。
『麻里子!!!』
『あっちゃん』
お互いに声を掛け合い2人で抱き合う。
麻里子は泣いてはいないものの助けを求めていた彼女にはちょっと怖がっていた。

195プルヒッター:2012/09/09(日) 18:38:15
『敦子、大丈夫!!!』
ともちんの声がする。
『その声はともね…大丈夫よ』
『麻里子…無事だったのね、良かった』
ともちんの安堵の声がここまで聞こえた…なんだかちょっと安心感が感じた。

196プルヒッター:2012/09/09(日) 21:03:07
『麻里子さま、大丈夫!!!!』
心配してきたたかみなが麻里子に突然抱きついてきた、あまりにびっくりした麻里子はちょっと
迷惑そうな顔をしたが…素顔に笑顔を見せる。
『みなみ、この私を誰だと思っているのよ
 私がムチャぶりの行動を知っているのだから簡単にくたばるわけがないでしょ』
『・・・良かった』
たかみなはちょっと涙ぐんでいた・・・仲間が見つかってホッと一安心したのだろう。

197プルヒッター:2012/09/09(日) 21:07:52
『たかみな、泣いている暇は無いよ
 早く他の皆も探さないと・・・それに今こうして麻里子が無事だったなら他の皆だって
 きっと生きている、早く助けに行かないと』
『うんっ
 ごめんねあっちゃん、泣いてちゃ駄目だよね・・・あっちゃんごめん』
敦子に慰められたたかみなはすぐに涙を拭い直しいつもの顔に戻る。
『でも・・・麻里ちゃん
 あたし達が大食堂に捕われてからずっとここにいたの?私達が来てあいつらが来たってことなの?』
麻里子が捕われてから優子たちはずっと大食堂にいた。
だが麻里子には優子の言っていたことが全く解らなかった…あいつらって一体誰のこと?

198プルヒッター:2012/09/09(日) 21:14:35
敦子が変わりに説明してくれた。
これまで大食堂で起こった出来事を全て麻里子に話す。
『麻里子がここにくるまで私達は大食堂に捕われていたの
 ねえ覚えている…あのピアノホールの奥にあった洞穴の秘密の部屋で起こったこと
 あのあと私達は妙な白い空気のような霧にのまれてあそこに倒れたんだ』
敦子は麻里子にさらに説明を続ける
『あの霧を吸ったあと私達は深い眠りに付いた
 で、その時私ははっきりと聞こえてたの…このペンションの本当のオーナーがいたってことを
 その男は秋元先生を裏で糸を引いていた人物でもあった』
敦子の長い長い説明の言葉に麻里子は愕然とする
『ちょっと待ってあっちゃん、その男って一体何者なの
 それに私達をおびき出してここに来たって言ったはずじゃない…どういうことなの一体』

199プルヒッター:2012/09/09(日) 21:19:01
こんどは優子が説明してくれた
『おそらくあの新堂って人は本当はここのペンションのオーナーじゃなかったわけ
 現に言えばあの新堂達はあの男の部下のような存在だったと思うの』
『で・・・その男の名前は皆聞いているの?』
恐る恐るに4人に尋ねる麻里子
『確か・・・日野って言っていた、とももちゃんと聞いてたんだ
 あの日野って男こそここの本当のペンションのオーナーだとおもうんだともは』

なんて事だ。
私達がみたペンションのオーナーはあの新堂ではなかった
そんなことって…麻里子はちょっと言葉を詰まらせるだけしか出来なかった。

200プルヒッター:2012/09/09(日) 21:35:05
『じゃあ岩下って人や福沢って人の女性アルバイトの人も全て・・・』
麻里子の言葉に4人はそれ以上は言わなかった、もう当然だという表情を麻里子に見せながら。
細田というあの男の料理長もそう思えたからだ。
『ったく冗談じゃないわよ、私達は
 結局あいつらにはめられていたって訳ね、ペンションの従業員っぷりもきっと演技だんじゃないの
 とも、あんな奴らだけに情けを掛けられたのは初めてだわ』
ともちんは心の底で怒りに満ちていた、普段おとなしいともちんがこんなに熱くなったのは
AKBに入って以来だった…たかみなと優子もそのおなじくらいの気分だ
ただ敦子だけは1人無表情のままであった。
『こうなったらこの怒りあいつらにぶつけてやろうじゃない
 うられた喧嘩はこっちからうってやろうじゃないの』
優子も再び怒りの炎が燃え上がった…これは彼女にとってはかつて無い屈辱だったのだろう。

『そうね。
 私達に優しいフリをして騙したのもあいつらね…許せない。
 こうなったら私もあいつらに怒りをぶつけるまでには絶対に皆生き延びて帰るんだから…だったら
 私も』
魅惑のポーカーフェイスの麻里子に火がついた。
お姉さん気取りの彼女にこんなに激昂したのは初めてだった…たかみなと敦子も大きく頷いた。
『麻里子、頼もしく見えるよ…だから絶対に皆見つけて生きて帰ろう
 そしてあいつらを追い詰めてこの勝負に勝つんだからね…絶対に!!!』
無表情の敦子も同じ気分だったに違いない。
それがAKBなのだから。
絶対皆を見つけ助け出しあいつら全員をとっちめてやるんだから。
たかみなにもその心の思いは熱く熱くゆれるのだった。
『ねえ、この部屋になんかあったわけ麻里ちゃん
 ここにずっと捕われたいみたいだから何かきっとあるはずよ』
相手の打倒にすっかり気持ちもそっちにいっていた皆は…麻里子の捕われていた部屋の中をくまなく探すことからはじめた。
だがそれらしいものは無かったものの変わりに通信機のようなものを発見。

201プルヒッター:2012/09/09(日) 21:40:38
敦子が部屋内に落ちてた通信機を拾った
通信機のスイッチにボタンを入れてみる。
どうやらまだこの通信機はまだまだ使えるようだった
バッテリーもまだまだ十分に残っている、これは使えるのでもって行くことにした
お互いに連絡を取り合えるので役に立つ事だろう。
さ、こうして入られない…次に行動を移さなければ。

202プルヒッター:2012/09/09(日) 21:43:53
『ここの扉怪しくないか』
麻里子が扉のある方に指を刺す
確かに何にも無い部屋だけだったが…扉があることだけには全く気づかなかった。
敦子はフロントで手に入れた鍵束を使い扉のドアを開ける。

203プルヒッター:2012/09/09(日) 21:46:10
中はどうやらただの客室のようであった
でも・・・こんな地下に客室があったとはどうも信じがたい。
と、その時
ギシッと誰かの足跡の音がした。

204プルヒッター:2012/09/09(日) 21:53:07
だんだん二つの足音が向こう側のほうから大きく音がする
たかみなと敦子が身構えて攻撃の態勢に入る。
そして大きな足音が聞こえたとき2人はいっせいに体当たりを仕掛けた。
ドターン!!!!
次の瞬間…床でもみ合う4人の大きな音がいっせいにした。

『こいつ・・・私達をさらってどういうこと』
敦子はたおれた相手に馬乗りして攻撃をしようとした・・・すると。
『痛い痛い痛いですよ!!!』
『ちょっと、一体どういうことなのこれっ』
えっ!!

205プルヒッター:2012/09/09(日) 21:55:57
聞き覚えのある声に耳を傾ける敦子とたかみな。
と、床に倒れていたのはゆきりんととも〜みだったではないか。

足音が聞こえたから敵かと思いこんだ2人は
『もう前田さん、たかみなさんどういうことですかこれ…突然私達を襲いにきて何の冗談ですこれ?』
『あっちゃん、たかみなひどいよお〜とつぜん私達に攻撃するなんて』
ゆきりんととも〜みはびっくりしている。

206プルヒッター:2012/09/15(土) 22:13:18
『ゆきりん、とも〜み
 どうしてここに?』
敦子の言葉にゆきりんととも〜みはまだ起き上がれずにいた。
いきなりの攻撃にちょっとビビリ気味の2人…とも〜みはちょっとふくれっつらの顔をしている。
ゆきりんは何が何だか解らずの顔をしていたようだ。

207プルヒッター:2012/09/15(土) 22:22:17
『とも〜み、何やっているの?こんな場所で』
ともちんが問いかける。
『何やっているのじゃないよ、それはこっちのセリフのセリフだって、とつぜんあっちゃんとたかみながいきなり
 飛び掛ってきてさ、もうっひどいよ』
ふくれっつらのとも〜みはちょっと泣き顔を見せる。
『あなたたちどうやってここまで来ていたのよ?
 あの地下の部屋で霧にまかれて以来無事だったの?』
優子は2人に尋ねてきた。
『あっ優子ちゃん…あのピアノホールの地下の洞穴で突然皆さん霧に巻かれて
 見えなくなってその場に倒れたんですよ…それ以来どうやってここにつれてこられたのかははっきりと覚えていない』
そうあの地下の洞穴の秘密の病室で皆全員あの妙な白い霧に巻かれて気絶したのを覚えているだろうか。
優子もその場にいて霧を吸い込み倒れていたところは覚えている。
…しかし、大食堂にいた頃にはとも〜みとゆきりんの姿はない。
『それは私達もその場にいたんだし
 あの霧を吸い込んで気絶したのは覚えているのよ…ところが私達ここに突然つれてこられて誰に連れてこられたのかは
 全く覚えが無いの』
優子も同じ気持ちだった。
『変じゃないか。
 あの時みんないたのにどうしてここでとも〜みとゆきりんの2人が遭遇するとなるとかえって変じゃない』
麻里子も訳がわからない風に答える。

208プルヒッター:2012/09/15(土) 22:42:44
そう少女達があの妙な白衣の男達に取り込まれて。
あのドスの聞いた男の声がしたんだ。
おそらくあのドスの聞いた声こそ日野貞夫だろう。
…じゃああの白衣の来た男達も多分日野の子分だろう。
少女達は日野の想像できない危ない考えをしたからだ。
あの日野って男は多分この病室やこのペンションにおける秘密を握る人物だ。

『この客室に役に立つものあるかな?』
1人優子が客室の中を探る。
朽ち果てた木のテーブルにはトンカチやらのこぎりの大工道具がおいてあった。
あの日野たちと対決するには何か役に立つはず。
優子は自分の半ズボンのベルトにトンカチとのこぎりを挟む。
まるで二刀流の侍の姿を感じさせる気分だ。
『優子中々にあっているよ…まるで宮本武蔵の気分じゃん』
たかみなも優子の姿を見てキラキラしている…他に何か武器になるか客室の中を調べる。
『ぱちんこだわ。
 何かと頼りないけど…護身用の武器としては上出来だわ』
ゆきりんはぱちんこと鉄の玉100個ほど見つけズボンのポケットに入れた。
とにかく他の武器がないか探したものの後は無かった。
『この客室には何も無いみたいだね…ここはもう離れて次の場所に行こうよみんな』
とも〜みの言葉ももっともだ。
しかしたかみなと敦子はどうも疑問に感じていた。
どうしてとも〜みとゆきりんがこの部屋にいたのか?
そればかり考え付かず少女達は客室の部屋を後にする…もうこの地下には用はない。
さっさとペンションに戻ろう。
待っていろよ…日野、新堂。
少女達の逆襲が始まった。

209プルヒッター:2012/09/15(土) 22:49:00
ペンションに戻って鳩時計を見る。
もう真夜中の12時だった。
辺りはすっかり真っ暗闇の中だ。
このペンションのオーナーの部屋だけは眩しいくらいに明るい。
さてこれからどうするべきか。
敦子たちはこれからどうするか行動を考えていた。
行動を考えている際にゆきりんが先に答えた。

『ねえもう一度あの例のピアノホールに行って見ません?
 怪しいものがあるとすれば最初に私達が来た場所へ行ってもう一度調べてみません?』
ゆきりんの意外な言葉に敦子はちょっと言葉を詰まらせる。
ピアノホールにどうして?
最初に私達が行ったあの例の洞穴にか?
またあの悪夢がよみがえるとなるとちょっと考え深い敦子は

210プルヒッター:2012/09/16(日) 15:34:58
敦子たちは賛成しなかったものの渋々ゆきりんの言葉に従うしかなかった。
音を立てずにペンションのオーナーの部屋から静かに出る少女達。

オーナーの部屋以外は辺りは真っ暗であった、きっと私達を待ち伏せしているかのように
部屋全体の明かりを落としたに違いない。
今頼りになるのはオーナー室の部屋で見つけた懐中電灯の明かりだけが頼り。
でもどうにかピアノホールの大扉の部屋の前にまでたどり着く少女達。

211プルヒッター:2012/09/16(日) 15:43:18
再びピアノホールの部屋に忍び込む少女達。
一度大きく深呼吸する敦子。

『真っ暗だね、やけに静かすぎて怖いよ』
敦子は懐中電灯片手に持ちながら恐怖に耐えるしかなかった。
そしてその隣にはゆきりんもいる。
『ゆきりんここに来て何かあったというの?
 ここに来たってことはきっとまたなにか秘密があるっていうの?』
『これは私の直感です』
・・・しどろもどろに答えるゆきりんに敦子はガクッとずっこけるリアクションを見せる。
直感っていっても。
じゃあどうしてここのピアノホールへきたって訳?
敦子は困惑していた。
ピアノホールの外にいるたかみなたちもちょっと呆れるやら何やら。

『もう、ここに来たとしても意味がないん・・・!?』
ちょうど敦子がピアノホールの部屋から出て行こうとしたときに懐中電灯を天井に照らす。
すると…天井の上には。

「外のプールサイドへ行け」
天井の上には乱暴に赤い文字で書かれてあった。
『前田さん・・・どうしたんですか急に立ち止まって!!!ああっ』
ゆきりんは天井の明かりをともしている赤い文字をみて驚いた表情で手で口を押さえる。

212プルヒッター:2012/09/16(日) 15:50:00
『あの人たちが書いたのかしら?』
ゆきりんはそう思った。
しかし、敦子は違った。
『いや、きっと違う人物だと思う私は』
えっ!!!前田さんこの字を見てなんとも思わないんですか?
現に私達をおびき出すために相手はきっと私達を誘う罠だと思うし。

しかしゆきりんはこれ以上前田にあえて追求することはやめにした。
私達は一刻も早くここから早く離れたかった・・・あの気味の悪い赤い文字をみてしまっては
なおさらである。
『たかみな…ここにいては危険、早く離れよう』
敦子の言葉にたかみなはわけがわからずその場を離れた

213プルヒッター:2012/09/16(日) 16:27:27
その時。
ピピッ!!!ザザーッ

敦子の持っている通信機に通信連絡が突然入った。
『誰かいる!!!!』
通信機の方から声がした。
この声は・・・みいちゃん
『みいちゃん…今何処にいるの?
 私達いま一階のペンションのピアノホールの外にいる…みいちゃん無事』
敦子は通信機を通し峯岸に声を通す。
『その声は…あっちゃん?
 無事だったんだね、私達いま洞穴の中にいるの』
洞穴?
『それでいまどうしているの?今助けに行く場所を教えて』
『音が・・・水の音がするんだ』
水といえば。
そうプールサイドだ。
敦子たちはたかみなに尋ねて急いでペンションの外に出てプールサイドへと向かう。

214プルヒッター:2012/09/16(日) 16:30:51
『あっちゃんどうしてプールサイドへ?』
ともちんの言葉に敦子は言うまでも無く走っていた。
『今みいちゃんから通信機で通信がはいったんだ…だからきっとみいちゃんもそこにいる』
『でも水が聞こえるって言っても私達そこから入ることできないじゃん』
『行けば解るわ』
ともちんのことばに敦子は走り出した。
他の皆もその言葉に頷く…プールサイドといえばたかみなたちが最初プールで例の赤いシュシュを見つけた場所。
そんなところに何故今更。

215プルヒッター:2012/09/16(日) 16:41:44
ペンションの裏側を回り裏手に行く少女達。
辺りはずっかり暗闇の中に包まれている…木々のはっぱが不気味に揺れ動く。
ペンションの裏道を回り、プールサイトへ着くには約5分もかからなかった。
『ここだ、みいちゃんたちが水が音する場所にいるのは』
敦子の言葉に皆頷く。

『あたしが最初ここにいて泳いだ場所』
たかみなが呟く…プールに激しく流れ落ちるマーライオンの噴水水が音を立てて流れていく。
『たかみな、ここで何かあったわけ?』
優子の問いかけにもう黙っていることが出来なかった、麻里子も同じ考えだった。
『みなみ・・・もう隠す必要は無いよ
 今ここで全て言わないとかえってよくないわ』
『・・・麻里子さま、わかったわ』
意を決してたかみながここで起こったことをすべて話す。
『たかみな…いったいどうしたのよ急にまじめな顔しちゃってさ、はやくしないとみいちゃんが』
とも〜みがちょっとイライラ気味だ。
『わかったわ。』
たかみながこのプールサイドで起こった出来事を今話した。

216プルヒッター:2012/09/16(日) 21:37:49
『私達が最初このペンションに泊まったときにそれは起こったの
 あの頃の夜最初にプールで人泳ぎしていたことに才加がおかしな赤いシュシュ
 を拾ったのが全ての始まりだったんだ。』
麻里子もその場所にいたから小さく頷き、たかみなはさらに話し始める。
『で、才加がプールで泳いでいたときにそのシュシュはプールの中で拾い上げていたんだ
 私と麻里子さまとにゃんにゃんも最初は誰かの落し物だと思ったの。』
敦子たちと最初に別れたときに起こったことを全て話したたかみな。
『でもその赤いシュシュって一体誰のものなの、たかみなと才加もそのシュシュの
 持ち主の人物は知っていたわけ、だったらなお更そのシュシュは誰のものか解らないんじゃ』
優子もその話に乗り出してくる。
たかみながフーッと深呼吸をし、更に話す。
静かな夜のプールサイドがますます不気味な静けさを増す。
『才加がそのシュシュを捨てようとしたときなんだ。
 突然私達の頭の中で女性らしき声がした、誰かは知らないけど…その声は何処と無く悲しい感じだった』
『その女性らしき声の正体は一体誰?』
『解らないわ、私達もはっきりと聞こえたんだ。
 頭の中でね…でもそれ以上問い詰めようとしたら声が聞こえなくなってね、あれ以来あの出来事を話すのは
 しばらくやめにしてね…それからずっと4人だけの秘密にしようと思って胸のうちにしまっておいてたんだ』
たかみなの長い長い出来事の告白はここで終わった。
『で、その赤いシュシュはたかみなが持っているの今も』
とも〜みがたかみなに例のシュシュを見せてほしいとせがんだ
たかみなが才加から預かっていた赤いシュシュをポケットのズボンから取り出した。
『これよ』
ポケットのズボンから取り出したシュシュを皆に見せるたかみな、確かに赤いシュシュだった。
『・・・チユウ、これが全ての私達が起きた出来事の全ての始まりなの
 これで信じてくれたかな』
たかみなはとも〜みにそう言った…とも〜みは信じるまで10秒ほどかかったもののどうやら小さく頷き納得してくれたようだ。
『うん、疑ってゴメンたかみな
 でも・・・このシュシュってさ何だか赤い色しているのに不気味に見えるんだチユウは』
食い入るように赤いシュシュを見つめるとも〜み。
するとシュシュの裏側には白い小さな文字でこう書いてあった。
『たかみなシュシュの裏に何か小さい文字みたいなものがある』
とも〜みはその文字を見る・・・すると白い文字でK・Rと書かれているイニシャルの文字が
K・Rって一体誰のことなのか。

217プルヒッター:2012/09/16(日) 21:50:27
そのイニシャルを調べようとしたとき突然プールサイドの草むらから音がした。

『そのシュシュこっちへよこせっ』
プールサイドの草むらの影から鋭い男の声がした。
皆はとっさに交わすことが出来たもののたかみながちょっとテンポがおくれてしまう。
たかみながこっちへ振り向いたとき男が突然たかみなをプールサイトの床に叩きつけるように
倒し…男はたかみなのうえに馬乗り状態になって赤いシュシュに手を掛けた。
『だ、誰だ・・・離せっ!!!』
仰向けに倒れた状態でたかみなは男の腕を振りほどこうとするも
相手の力強い攻撃に逆に抑えられビクともしない。

『たかみな!!!』
優子が男に攻撃を仕掛けようとするが
『動くな!!!
 動くとこいつの命はないぞ』
たかみなを盾にとる男・・・暗くてよく見えないがその男の声を聞いて優子はすぐにわかった。
『その声は!!!!新堂、たかみなを離せ』
優子が怒りをあらわにし新堂に攻撃を向ける、たかみなも必死で新堂からふりほどこうとするものの
相手の力の方が大きくいつしか動けない。
『こいつの持っているシュシュを渡してからにするんだ、渡せば命だけは助けてやるぜ』
なんて卑怯なやつ・・・命よりもシュシュのほうが大事なんて。
うかつに攻撃すればたかみなに危険がさらすだけだ。
『・・・フッ、楽になんなお嬢さん』
駄目だ・・・・と、その時。
『楽になるのは、こっちよ』
『何っ!!』
新堂がこっちを振り向いた瞬間、後ろにはプールサイドにおいてあった椅子を持った麻里子の姿が。

218プルヒッター:2012/09/16(日) 21:53:46
椅子を振り下ろす麻里子。
ガツン!!!
『ギャッ』
麻里子の振り下ろした椅子が新堂の頭に思いっきりヒットする。
新堂は体制を崩され、たかみなの体から離れた。
2度、3度椅子で新堂の体を殴りつける麻里子。
隙をついてたかみなに駆け寄る優子が助け出した。

219プルヒッター:2012/09/16(日) 22:04:01
『大丈夫たかみな、しっかりして』
優子が心配しそうにたかみなの小さい体を揺する。
『大丈夫よ』
たかみなは大丈夫のようだ。

『お前ら、ただで済むと思うなよ・・・女だからといって俺を怒らせたな』
椅子で麻里子に殴られた新堂の怒りの声がプールに響き渡る。
水面が揺れると思うくらいに声を挙げた・・・額からは血が流れている。
『もう勘弁しないぜ、おまえら3人プールへと落としてやるぜ』
新堂が怒り狂いながら3人に襲い掛かる、やつは本気で私達をプールへと落とすつもりだ。
このままでは、とその時。
しげみに隠れていたゆきりんがパチンコを使い鉄の玉を新堂の顔めがけて打ってきた。
弾に当ってのけぞる新堂。
『今だ!!!』
先程のお返しとばかりにたかみなと優子が新堂に体当たりを仕掛け、新堂はそのままプールの水辺へと落ちる。
大きな水飛沫をたてて新堂は溺れる。

220プルヒッター:2012/09/27(木) 17:39:24
『こおらあっ!!!!
 お前らただで済むと思うなよ』
プールの中に入っておぼれている新堂は怒りをあらわにして彼女達に怒りを向けている。

あんなやつに情けを掛けるのはゴメンだ。

221プルヒッター:2012/09/27(木) 17:42:50
急いでそのプールサイドを後にする敦子たち。
『ナイスフォローねゆきりん』
パチンコで応戦したゆきりんを褒める優子。
『たかみなさん、大丈夫ですか?』
新堂に馬乗りをされてちょっと体がぐらつくたかみな、しかしすぐに体制を取り戻す。
たかみなはにこっと笑顔を見せる。

『大丈夫よ、それよりゆきりんありがとう…助けてくれて』
『何言っているんですか、皆のピンチを黙って見ているわけにはいかないじゃないですか』

222プルヒッター:2012/10/08(月) 17:34:40
『ありがとうゆきりん、
 本当はね・・・私も怖かったんだ、相手の気負いに負けてしまって』
たかみなはまだちょっと自分の心臓がドキドキといっているようだ。
まだ正気にはちょっと戻っていないようだ。

『たかみな
 あいつはどうするの?』
敦子がプールで溺れている新堂をどうするかたかみなに問いかける。
このまま相手を仕留めるか、放っておくか・・・プールで溺れている新堂をチラッとみるたかみな。
『急ごう敦子、あいつの相手をしているほどうちらは暇じゃない・・・一刻も早いところ
 みいちゃんたちを探さないとみいちゃんが危ない』
強く言い切ったたかみな、敦子も力強く頷く。
ゆきりんも同感だった。

223名無しAKB:2012/11/04(日) 17:48:51
少女達は闇夜のプールサイドを後にし他を探した。

『くっそーひどい目にあったぜ
 あいつら、今度会ったらただじゃおかねえ・・・』
新堂がプールに上がろうとしたとき。
新堂の顔色が凍りつくように表情を凍らせた。

『お、お前何故!!死んだはずじゃ』
プールから上がろうとしたときに誰かにプールに沈め・・・新堂を完全に沈めていく。
彼が幾らプールに上がろうとしても相手の力がものすごく強く・・・完全に新堂はその力に屈してしまう。
新堂は・・・抵抗することも出来ずそのまま溺れ苦しんだ。
『ぐわあっ。く、苦しいぃ・・・・ゲホゲホ・・・』
大量の水を飲みこみ彼はそのまま動かなかった。

ガボガボガボ
・・・やがて新堂は・・・プールの上で仰向けに大の字となって水死した。
謎の存在は新堂を完全に死の淵に追いやりその場を後にした・・・音も立てずに。

224プルヒッター:2012/12/18(火) 22:03:40
峯岸と小嶋が暗い地下道を走る。
ハアハアハアと息を大きく切らせながら二人は敦子たちと合流するために。
何処までも走り続けてた。

このくらい道ってこんなに続いていたのだろうか?
峯岸は1人走りながらふとそんなことさえ考えていた。
真っ暗闇で明かりの無い場所をただひたすら走るのみ。
『ハアハア
 もう駄目、私もう走れないよ』
走り続けていた小嶋が、息を切らしながらもう既にハアハアと疲れきった表情だ。
『駄目だよ、にゃんにゃん、こんなところで諦めちゃ…あっちゃんや優子たちと一緒に合流しないと駄目だよ。』
峯岸はまだ諦めてはいないようだった。

確かにこのへんだった思う。
人の声がしたのを、峯岸はそう思ったからだ。

225プルヒッター:2012/12/18(火) 22:14:01
先程通信機を拾った峰岸は、前田たちの声に気づいたからだ。

しかし、ここは地下道・・・ペンションにこんな地下道があったのだろうか?
2人は急いで前田たちと合流するために走り続けていたからだ。
だが、今は通信機は通っておらず何も聞こえない。
またも前田たちの遮断を遮ってしまった、その時。

『・・・みいちゃん、ちょっと誰か居るよ』
『えーっ何を言っているのにゃんにゃん?』
峯岸には解らないが、地下道の影が忍び寄ってくる影がある。
まさか・・・あっちゃんたち?それとも。
峯岸の心臓が大きくドクドクと音がするのがわかった・・・緊張が走る二人。

もう何でもいい、お化けでもなんでも。
峯岸は・・・そう思った。
意を決して足音の方を見る峯岸・・・すると。

226プルヒッター:2013/01/04(金) 20:11:37
峯岸の方が先に飛び出していった
『うわっ!!!』

狭い暗闇の中での通路で叫び声がしたのがわかった。
『き、きたりえ』
影の正体は北原里英だった。

227プルヒッター:2013/01/04(金) 20:15:30
『ほ、ほんまにびっくりしたわ』
後ろからは横山由依の姿もある。

『峯岸さんの気迫にうちもびびってしまいましたわ』
『ご、ごめん由依』
頭をかきながら二人に謝る峯岸…小嶋はポカーンとした表情のご様子だ、こんなときに表情を変えない小嶋はある意味
大物だと思う。

『ところで、二人ともどうやってここに来たんだ
 由依ときたりえもあの日野って恐ろしい男からどうやってここまで逃げることができたんだ』

228プルヒッター:2013/01/08(火) 23:02:11
そうだ。
あの日野達からどうやって逃げてきたのか?
峯岸は不思議そうに思った。

どう考えても日野にはあの新堂たちがバックにいるから簡単に逃げられそうもない。
ではどうやって彼女たちは相手の手から逃れることができたんだろう?
と、その時。
『コラーッ!!!指原を置いてくなんてどういうことだ
 北原、横山!!ひどいぞ』
その一方で、後ろからべそをかいていた指原がようやく姿を現す。

229プルヒッター:2013/01/08(火) 23:08:50
『ごめんごめん、だって指原…ここに来てからずっとべそかいていたじゃん。
 もう帰りたい、もう帰りたいって一人べそかいて泣いていた顔していたじゃん』
『そんなこと言ったって、もう狭いし暗いしここ、道狭いじゃん…北原と横山もどんどん2人で先に進んじゃうし…指原もう怖かったんだからね』
『もう、そんな事言っていたらたかみなと麻里子さまに叱られるよ』
北原の言葉に指原はちょっとびくっとした。
同じチームAの先輩たちにいつもしごかれている指原だから、ちょっと2人の顔を思い浮かべていた。
『りえちゃん、それちょっとひどいんじゃないの?
 たかみなはともかく、麻里ちゃんはそんなに怒らないじゃん、陽菜いつもあの二人のことよく知っているんだからさ』

230プルヒッター:2013/01/08(火) 23:15:52
それまでずっと黙っていた小嶋陽菜が口を出す。
ぼんやりしているがやるときにはやる人、それが彼女、小嶋陽菜なのだ。

同じユニット『ノースリーブス』に所属している峯岸も彼女のことはよく知っているから。
『おーいっ
 2人ともそんな風に言い争っている場合じゃないよ、こんなことずっと言っていたら秋元先生とあっちゃんに笑われるよ
 急いであっちゃんと優子とたかみなに遭遇しないと帰れないんだからさ。』

峯岸の心強い口調が地下空洞に大きく響き渡る。
『そんなことより3人ともどうやってここまで来たの、あの日野さんからどうやってここまで逃げてきたのよ』
相変わらずの小嶋は相手が敵であろうとさんづけする。
そこが変わらないのがいいのかも知れない、私もそんなにゃんにゃんをずっと見続けているんだ。

231プルヒッター:2013/01/08(火) 23:34:57
その時。
『ピロピロピロピロリン』

北原の携帯電話の着信音が突然鳴り出した。
皆は一瞬ビクッとした。
こんなときに誰から、不満そうに携帯電話のスイッチを押す北原。

『あっきたりえ。
 今どこにいるの?』
甲高い女性の声だ、この声はおそらくゲンキングの宮澤佐江だ。
『佐江ちゃん、今どこにいるの?
 えっ今私たち、プールの奥深くにある下水道を通っているんだ、にゃんにゃんとみいちゃんもそこいるから変わる』

232プルヒッター:2013/01/08(火) 23:38:39
『才加と明日香も一緒なんだ
 皆、気をつけて…みいちゃん、あっちゃんと会ったの?』

『それがまだなんだ、声はしたんだけども…途中で声とともに見失ってしまってさ。
 だからまだみんなと合流できないんだ…とにかく佐江も気をつけて』
『うんっわかったよ…みいちゃんもみんなも気をつけてね』

携帯電話は佐江の方から先に切れた
今はもう迷っている場合じゃない、峯岸の決意が決まった。
今は走って走ってこの地下道から抜け出すしかない、そう言い聞かせながら皆は走り出した。

233プルヒッター:2013/01/08(火) 23:49:39
『みいちゃん、あっちゃん無事でいて』
宮澤は一刻も早くみんなと合流すると決めた。

『佐江ちゃん、みいちゃんはどこにいるって言ってたの?
 無事だと聞いたんだけどさ』
倉持は佐江に問いかける。
一度大きく深呼吸をしながら話し始めた。

『みいちゃん達は無事だよ、きたりえの言葉によると、にゃんにゃんと由衣もさっしーも無事に合流できたって』
その言葉を聴いて安堵の表情を出す倉持。
『それで、敦子たちとは…』
秋元は宮澤に問いかける。
…だが宮澤は首を横に振った。

『あっちゃんとはまだ合流できていない、さっき話を聞いたところ見失ったって』
秋元の表情が一瞬曇った。
倉持も同じだ。
『ねえ、佐江…敦子たちを探しにいこう。
 ここにずっといてもかえって危険だわ、一刻も早くみんなと合流しないとあいつらにやられてしまう』
『才加ちゃん、落ち着いて…今すぐに行動してもどこへどう行けばいいのかわからないよ、ただでさえ真っ暗の
 明かりのないペンションを下手に動き回ったら危ないわ』

倉持は秋元に落ち着いた口調で喋り通した…宮澤はその倉持の行動にただ感心しかできなかった。
かつては同じチームにいた明日香。
こういうときこそ、いつも落ち着いていたのは明日香だった、みんなを落ち着かせることがいつもうまいのも明日香。
私と才加のことをいつもコントロールできたのも彼女だった。
そう、宮澤はふと倉持といた同じチームのことを思い出していたのだ。

234プルヒッター:2013/01/08(火) 23:53:46
『だけども、このままじゃみんなを見殺しにするわけなの明日香は
 このままじゃ、、このままじゃ私達…一緒に帰ることもできないのよ、それをどう落ち着こうするのできるわけ、ねえっ』

暗いペンションの一角のなかで秋元はまたもパニック状態。
それは倉持自身も解っていたからだ、ただ一人秋元は泣きじゃくるだけだった…体育会系の少女がこんなにも取り乱すなんて考え付かないからだ。
と、その時宮澤が秋元の前に現れる。

235プルヒッター:2013/01/09(水) 00:00:47
パンッ!!!!
大きく渇く音がペンションの室内を大きく支配した。
宮澤が泣いている秋元を平手打ちしたのだ。
宮澤に思いっきり平手打ちをされた秋元はポカーンとした表情、倉持は信じられないといった表情をみせる。

『才加!!!!
 甘ったれんじゃないよ!!!!いつまでたっても成長しないんだから…どうしてこう先のことばっかり考えないの
 才加はいつもそうさ、あれのことこれの事ばっかり先に進んじゃうんだから・・・そんなふうに考えちゃうから
 才加は昔のままだ!!!!こんなことじゃチームのみんなにも…いや、優子に笑われてしまうよ!!!!!!!!』

宮澤の言葉に圧倒される秋元…彼女の言葉が大きく暗闇のペンションの室内を大きく支配した。
秋元はまだ涙を拭いたが…秋元を平手打ちした宮澤もまた涙を流していた、倉持も同じく続く。

236プルヒッター:2013/01/09(水) 00:06:40
『才加ちゃん・・・佐江ちゃんのことこれ以上苦しまないで
 私、いつも二人のことが羨ましかったんだよ…いつも2人でいたあの時が
 だから私、才加ちゃんのこと嫌いになっちゃうよ…だからお願い…佐江ちゃんを苦しまないで』

倉持も泣いていた。
宮澤は泣きじゃくっている倉持を優しく抱いた。

237名無しAKB:2013/01/27(日) 15:11:36
そして、残った2人は。

『ハアハア!!!』
『麻友、大丈夫!!』
高城が渡辺に声を掛ける、急いで走って逃げようとする二人は息も絶え絶えの表情だ。
『あきちゃ!!!大丈夫だおー。』
言葉ではそう言っていても、彼女はもうすでに肩で息をハアハアしてる。
とにかくこの場から逃げないと、そのままではあいつらの思う壺だと思った高城だった。

238プルヒッター:2013/01/27(日) 15:18:39
麻友が突然暗い道の前でしゃがみ込んだ。
走るのを突然とやめてしまう渡辺…高城は渡辺のところへと一旦引き返す。

『どうしたの?
 突然しゃがみ込んで、皆と合流しないと』
『麻友・・・もう走れないよ!!もう、駄目』
息も絶え絶えの麻友はもう走れないままその場にしゃがみこむ…皆とはぐれてから随分と時間がたった。
その皆も何処でどうなっているのかは2人にも解らない。
『ほらっちゃんと立って、立たないと』
高城が麻友を立たせようとする・・・しかし。

『あきちゃ、私のことはもういい・・・早く皆と一緒に合流して』

239プルヒッター:2013/01/27(日) 15:48:32
もはや渡辺は諦めていた様子。
が、高城は。

『麻友!!!諦めちゃ駄目・・・あなたのヲタ友達の仲間を見捨てるわけ?
 そんなに簡単に諦めたらあの子達も悲しむことになる…それでもいいの?』
普段はおっとりとしている高城とは考えられない激昂とした表情だった。
それをみて渡辺は一瞬ビクッとなる。

240プルヒッター:2013/01/27(日) 15:53:16
『あ、あきちゃ』
まるで高城が柏木に見えた渡辺だった、いつもお互いに一緒にいる柏木由紀
麻友は一瞬そう見えたのだ。
涙を拭いながらまた立ち上がった渡辺は。

『あきちゃ、ごめん…もうわがままは言わないよ』
すっかり彼女は立ち直ったようだ…高城もどうやら心のどこかでホッとした様子
一刻も早く、皆と合流しないと危険が迫っている。
高城と渡辺は追っ手の来ないうちに闇夜の外を再び走り出す。

241プルヒッター:2013/01/27(日) 16:00:36
2人が闇夜の外を再び走っている中、突然渡辺が。
『痛っ!!!』
勢い余って渡辺が躓いて転んでしまった。
左足の膝辺りは擦りむいて血が出ている。
どうしよう、こんな場所ではまともな治療も出来ない。
ましてやこのままにしてはおけない…高城はちょっとうろたえていた。

『あきちゃ、こんな擦り傷大丈夫だよ…唾つけておけば大丈夫だからさ、ねえっ』
彼女は負けん気な強がりを見せる。
『駄目よ…ちゃんと治療しないとばい菌が入って後が大変なんだから』
高城は半ズボンのポケットから自分のハンカチを取り出し…渡辺の左ひざにハンカチを巻いた。
とりあえずはこれで様子を見るしかない…ペンションに戻ったらちゃんとした薬とかもある。
高城はそう信じてた。

242ナックル:2013/02/04(月) 01:14:47
すごく面白いです!!!
更新頑張ってください!!!

243プルヒッター:2013/03/20(水) 21:32:13
『ありがとう、あきちゃ』
高城の暖かい愛情に渡辺はホッとした表情だ。
彼女の優しさが渡辺を大きく包んだ。
『なに言っているのよ、こんな怪我に負けちゃ駄目
 私も色々と大きな怪我をしてきたんだから、まゆゆだって』
いつもは穏やかな高城に対してこんなに熱く語る高城を初めてみたまゆゆ
これが、研究生最小で昇格してきた道なのか…高城がとても逞しく見えるまゆゆ。

244プルヒッター:2013/03/20(水) 21:57:05
『うんっ!!!』
まゆゆの顔つきが再び戻った…がむしゃらに頑張ったあの初日を思い出して
2人は再び走り出す。

一方、プールサイドでの戦場を切り抜けた敦子たちは。
ひとまず作戦が立てようと一旦ペンションの大食堂に戻った。
薄暗いままだと怖いと感じた彼女達は、ひとまず蝋燭に火をつける。
電気は以前止まったままだ、電気は使えない。
敦子、たかみな、優子、ともちん、麻里子、ゆきりん、とも〜みの7人が
この大食堂に集まる。
『ったく…あの新堂って男、かよわい私のことを何だと思っているのよ』
新堂に襲われたたかみなはまだちょっとムッとした様子…あの場面に出くわしたから
ちょっとご機嫌が悪いようだ。
『たかみな、何処か怪我とかしてないの?
 相手にずっと襲われたんだから…ちょっと心配したんだから大丈夫』
『ああ、敦子…私は大丈夫、ちょっとプールサイドで滑って転んだだけよ
 なーにこんな怪我私にとってはたいしたことじゃないんだから、私をなめんなよって』
『たかみな』
そういう風にいうたかみな、心配をよそにたかみなに声を掛ける前田。
でもたかみなの顔はちょっと浮かないようだった…あんなふうに強がって言ったのは
彼女も良くわかる前田…前田は解っていたのだ、本当は彼女は無理をしていたのだ。
そんなふうに言って表情を見せるのは何らかの意図がある。

『ところであっちゃん…ここに戻ってきたのはなんか作戦でもあったわけ』
話を続けてる祭に大島が前田に話しかけてくる。
『無い』
と、前田はキッパリと言うに対し…大島は思いっきりずっこける
『えーっ!!それじゃあなんでここに戻ったの?なんか作戦でもあったんだからきっとそうだと思った
 それに、他の皆の行方も知らないし…下手に動こうとするとまたあいつらに見つかるしどうしよう』
ちょっと困惑気味の大島優子だ。
喜怒哀楽の激しい優子に対し柏木はちょっと冷静だった。
こんな怖い思いをした大島とは全然正反対の2人、なんだかちょっと冷めた様子。

245プルヒッター:2013/03/23(土) 22:45:00
『優子ちゃん
 ここで焦っては駄目!!!前田さんはきっと何か考えてここに戻ってきた、それは優子ちゃんもたかみなさんたちも
 同じ考えなんじゃない?少し冷静になりましょう』
そんな冷めた沈黙の空気を破ったのは柏木だった。
いつもはメンバーからは腹黒いとかキツイ言葉をズゲズゲと繰り出す彼女。
柏木もこの数年間だいぶ成長した模様だ。
大島はそんな柏木の成長を誰も喜んでいたようだ…そんな彼女の言葉を後押ししたかのように
彼女は幾分か冷静を取り戻す。

246プルヒッター:2013/03/23(土) 22:50:57
何だか妙な気持ちだった。
柏木にこんなことを言われたのは生まれて初めてだ。
だが、今は騒いで嘆いている暇はない…一刻も早く皆と合流しなくては相手にやられるだけ
『おーお、ゆきりんも随分と偉くなったわね
 昔のあんただったらすぐ諦めて投げ出したっけ、そんなゆきりんが今は逞しく見えたよ』
たかみなも柏木の言葉に太鼓判だ。

『そうね、私も昔は弱い人間だったよ
 ゆきりんに教えられるなんて・・・まっそこがいいところなんだけどな、ともも負けてらんないよこれは』
『ゆきりん、今日はいつもよりかっこよく見えるよ。
 あたしね・・・ずっとゆきりんのことが羨ましかったんだ、チームのキャプテンになって180度変わったって』

247プルヒッター:2013/03/23(土) 22:59:28
『私も見直したよ。
 強くなったねゆきりん』

皆のうれしい言葉に耳を傾けた柏木は、うっすらと涙を小さく浮かべた・・・先輩達が私を褒めてくれたんだ
こんなにうれしい言葉を掛けてくれて褒めれらたのは初めての経験。
AKBにはいって早数年・・・初日は全くの劣等性であって皆に置いてけぼりの彼女。
歌やダンスも全くの経験が無く皆からはすぐさま取り残される日々が続いたからだ。
しかし、彼女は負けなかった。
負けてしまってはいけないからだと強い信念を持ちここまで来た。
柏木は今日ほどうれしいことはないと心から決めた。

何も発しなかった前田敦子もゆきりんのことを概ね認めていたのである。
彼女の力が今必要だと確信したからだ。

248プルヒッター:2013/03/23(土) 23:02:55
『ゆきりーんっ!!!偉いぞ』
突然…大食堂のテーブルから大きな音を立てて大きな声が上がった。
皆はビクッとなる。

『よくここまで成長したね』
『見直したよ』
テーブルの下から現れたのはなんと・・・秋元才加と宮澤佐江と倉持明日香の3人だった。

249プルヒッター:2013/03/23(土) 23:07:38
『さ、才加』
麻里子が3人の驚きの出現にちょっとのけぞった
『ちょっと、いきなり大声挙げてびっくりしたよ・・・敵かと思ったじゃない
 もう才加ったら、相変わらず声の大きい言い方するわね』
『ともお化けかと思っちゃったよ・・・いきなりこんな薄暗い部屋で大声あけちゃうから心臓まだバクバクいってるよ』

皆もちょっと引き気味の様子。
『ゴメンゴメン・・・相手が皆の狙っているあいつ等だったから
 いっせいに攻撃を仕掛けてとっちめようと思ってここのテーブルの下に隠れて攻撃をしようとしたんだ。
 で、そうしようとしたら丁度皆、敦子とたかみなたちの声がしてこうやって隠れていたんだ』

250プルヒッター:2013/03/23(土) 23:15:56
でも結果攻撃をせずに正解だったようだ。
おそらく彼女達は敵が来ると恐れていて真っ先にこの大食堂のテーブルの下に隠れていたようだった。
だからあえて攻撃するのをやめてゆきりんの言葉をただただ聴いていた。

『ところで才加・・・相手に見つからずよくここまでやってこれたわね?
 どうやってここまでこれたの?それにわたしたちの持っている通信機は持っていないはずじゃ?』
その言葉は宮澤が答えた。

『ごめんね、あっちゃん心配を掛けて
 佐江たちがここに来てだいぶ前なの・・・丁度ここに身を隠そうとした場所が無いか
 探していたんだけど・・・突然携帯電話が鳴り出してさ動くに動けなかったんだ』
『で、その声の相手って?一体』

優子が佐江に声の主が誰だか聞いてみた。
『私達がここにきたとき佐江ちゃんの携帯からみいちゃんの声がしたんだ』
『ええっみいちゃんが?』
どうやら彼女達も峯岸たちを探していたようだった、前田たちも峯岸たちを探していたが
見失ってしまったからだ。
彼女達は一旦落ち着いてまたまとめた。

251プルヒッター:2013/03/23(土) 23:19:39
『とにかく暗いままの部屋じゃ身動き取れないよ』
暗闇が苦手な秋元は食堂の部屋の明かりのスイッチを探し押す。
・・・でも、ペンション全体がブレーカーが落ちているんじゃ、敦子は思った。

が・・・その答えは彼女の行動に打ち砕かれる。
なんと何度もつけても付かなかった明かりがバーッと昼間のように明るくなった。

252プルヒッター:2013/03/23(土) 23:24:36
まるで狐に摘まれたようだ。
何度も何度も電気が通らなかったのに明かりがつくなんて。

外はまだひどい雨と嵐のようなのに。
これで10人・・・今ここにいる皆は全員無事だ。
たかみなは何度も安堵の様子を浮かべた・・・だがそれは彼女にとってはちょっと強がってるしぐさを見せた。
その行動に前田は見逃さなかった、たかみなのことを良く知っている前田はたかみなの顔のほうをチラッと見る。

253プルヒッター:2013/03/26(火) 14:40:19
『残ったのはみいちゃんたちと麻友とあきちゃのほうだね、今すぐ探しに行く?』
秋元は早く皆と合流するためせかしながら早く行動した方が言いと思いたかみなと敦子に問いだす。

『才加、今動くのは危険だわ。
 仮に明かりが付いてたとしてもうかつに動くのは危険だわ…ここはみいちゃんたちがうちらに連絡が付けば動きようが無いよ』
『私も…あっちゃんのいうとおりだわ、才加…せっかくあっちゃんたちと合流できただけでもこうして佐江たちは生きているんだ
 だからここはたかみなとあっちゃんの言うとおりにしたほうがいい』
前田と宮澤の言葉に説得されながら秋元は仕方なく頷くしかなかった。
ペンションの明かりが付いたとしても油断大敵…ここから先は誰一人掛けてはいけない。
しばらくは峯岸たちの連絡を待つしか出来なかった。

254プルヒッター:2013/03/26(火) 14:46:58
その頃、プールサイドの地下道をどうにか脱出できた峯岸と小嶋たちは。
再び暗い闇夜の外へと出る…顔に冷たい雨のしずくと風が頬を撫でるように当ったのが解る。
地下にいた時にはまったく強い風の音が感じなかったのに?
いつの間にかおかしな天候へとなったんだろう?
峯岸と小嶋はそんな悪戯な天候をちょっと憎んでいた。

255プルヒッター:2013/03/26(火) 14:57:34
地下道の裏口の錆び付いたドアを開ける。
すると出たところはペンションの裏口の物置小屋だった。

『こんなに風と雨が吹き荒れていたなんてちょっと怖いよ。』
『ほんまですね、このままじゃうちら皆風邪ひいてしまうで…ぬれるのも嫌やし』
北原と横山もちょっと愚痴をこぼす。
『ねえ、ここにかさがあるよ』
小嶋が物置小屋にあった傘を探し当てて皆に渡した・・・が。
一本足りない、どうやら傘は4本しかないようだ。

『これじゃあ、皆の分が無いよ…私このままペンションまでびしょぬれになって歩くのいやだあ〜』
『私達だって嫌だよ』
『うちもです』
『指原だって』
4つの傘しかないことにちょっとした文句を言い合う4人。

『ちょっと待ってよ〜私と陽菜で一緒に歩けばいいじゃんもう〜』
『あっその手があったか』
『やれやれ』
峯岸の言葉に小嶋は「あっなんだそうか」という表情をうかべながらポーンッと手のひらを軽く叩く。
そうなる前に気づけよと峯岸はそういうリアクションの表情をとる。
北原もちょっとはにかんだように笑う。

『凄い風、これじゃあ嵐というより台風だよ』
『傘を差すのだけでも大変そうだ…皆吹きとばされそうですよ』
『ぬれるのを覚悟してまで歩くしかないみたいだ』
地方組の絆が熱く2人のことを後押ししながら前へと進む。

256プルヒッター:2013/03/26(火) 18:57:52
とは言ったもののやはりこの強風の中ではやっぱり傘は役に立たない。
もし吹き飛ばされら最期…帰ってこれなくなるくらい怖かった一同。
それでも少女達は闇夜の中の道を歩き続けた。
服がびしょびしょになってもはってでも歩き続ける。
小嶋と峯岸がお互いに傘に入りながら歩く…2人の友情は揺るがないものとなった。

いまはお互いが持っている傘が命取り。
それでも5人の少女は再び歩き続けた。
ペンションの物置小屋から離れて歩き続けておよそ5分ほどだったころ。
先頭を歩いていた峯岸と小嶋の2人の足の歩みが止まった。

目の前には大きなペンションの姿があった。
ここに最初に来たときは小奇麗な大きなペンションだったのだが、いまは魔物の城にさえ感じる峯岸だった。
『やっとここへ帰ってきましたね。
 あの長い長い下水道を向けてまでやってここまで来たんですから、あとは麻友さんと高城さんの2人を探すだけや』
干渉に浸っているのか、横山の口調は勤めてなぜか明るい気がした。

257プルヒッター:2013/03/26(火) 19:01:02
2人がペンションの前の玄関のドアのノブを回した。
と、その時大きな2つの黒影が現れた。

『誰っ!!!』
大声を上げる黒影。
『あっ・・・みいちゃん、小嶋さん』
『麻友、あきちゃ』
ペンションにいた黒影の2つは渡辺と高城の姿が…あった。

258プルヒッター:2013/03/26(火) 19:08:01
『酷いびしょ濡れじゃないですか、この山道の中を歩いたんですか』
高城が小嶋と峯岸のことを大いに心配する。
無理もない…5人ともこの嵐の中の道を歩いてきたんだ。

『あきちゃー心配してたんだぞ!!!』
北原の大声が玄関内を大きく支配した。
『全く人に心配をかけてまでもうーっ!!』
指原も同じだ。
『ほんまですよ、高城さんって結構方向音痴なんですから』
横山もそのあとを続く
『でもまゆゆも無事だね…これで。
 あっその足、まゆゆどうしたのその足の傷』
ハンカチで覆い隠していた足の擦り傷が生々しく残っていた…心配そうに声を掛ける峯岸
『ちょっと山道で擦りむいてころんだんですよ、で、外じゃろくな応急処置がなかったので
 代わりといっては何ですけども…私のハンカチで血止めくらいにはなると思って』
『まゆゆ大丈夫なの?』
小嶋も渡辺の足の擦り傷を気にしていたようだ。

『大丈夫だよ、あきちゃのおかげでだいぶ良くなったよ…あきちゃがいなければ私』

259プルヒッター:2013/03/26(火) 19:16:36
『あのーこんなところで立ち話もええねんですけども
 早いところ麻友さんの足の傷も応急処置せねばあかんじゃないですか?』
『おっ横山いいこというじゃん
 早いところ中の部屋に言って怪我の治療しないとね、横山も随分というようになって来たよ』
『えーっ!!!そんな
 照れてしまうやないですか北原さんほんまに・・・でもありがとうございます』

260プルヒッター:2013/03/26(火) 19:25:27
とにかく今は応急処置をするのが一番だ。
玄関の場所を後にした7人の少女達は…取り合えずペンションのオーナー日野がいた部屋の
薬箱を探した。

薬箱はすぐ見つかった。
薬の1つを取り出す北原、早速応急処置をする。
『痛い!!』
薬の液体のせいなのか傷口にあてた瞬間、渡辺の顔が一瞬ちょっとした激痛を襲う。
『我慢して麻友。
 これくらい大丈夫よ…私達で治しちゃうんだから、だから平気でしょ』
北原の言葉に渡辺は頷いた…彼女の言葉に傷口は嘘のように痛みを感じない…いやむしろ彼女のことが大きな薬だったに違いない。

『まゆゆ、足を出して』
小嶋がガーゼを取り出し…擦り傷の部分を宛がった。
傷テープを貼り・・・最期は包帯で完治した…心底ホッとする渡辺。
『よしっ!!これで完了』
『麻友、大丈夫』
あきちゃと峯岸が心配しそうに渡辺に声を掛けてきた。
すると、渡辺は大丈夫だよという表情を浮かべ…笑顔を返すのだった、これでここでやったことはまんざら無駄ではなかった。
早いところはぐれた皆を探さなくては。
一同はすぐその場をそそくさと離れていったのだった。

261プルヒッター:2013/03/26(火) 19:32:34
『よーしっ!!!どんどん先に進んじゃうぞー!!!』
調子のいい指原の張りの良い声を先頭に進む少女達。

『ちょっとさっしー、あんたわかってて進んでいるの』
峯岸の言葉にちょっとグサッと来た指原。
『何にも考えずに歩くのだけは危険だよ指原…ここは先頭にみいちゃんが立つべきだよ』
北原もグサッとその言葉を指原に返してきた。
『そうですね、明るいといってもまだ危険ですし…うかつに先にずんずん進むのは危険じゃないですか』
横山もその言葉にウッとうなる指原

『そんな酷いよ、同じ地方組の人間なのに里英ちゃんと横山も言っていい事悪いことあるよ』
指原も負けじと2人に返してくる。
『自分勝手もいい加減にしてよさっしー、あんたはいつも調子に乗って
 すぐ皆を困らせるんだから…そんなんじゃ中西にだって嫌われるよ』

263プルヒッター:2013/03/31(日) 12:29:43
中西という人物はかつて同じ地方組にいたAKBのメンバーだった。
しかし、突然の人事異動で名古屋のSKEに飛ばされたのである。

不祥事を起こしたわけでもない、突然の移籍に彼女達も戸惑いを隠せなかったからだ。
彼女達にとってははじめての経験だったに違いない。
仲間が突然離れるんだから無理もなかった…北原と指原にとってはまさに
運命の悪戯にすぎない。

264名無しAKB:2013/03/31(日) 20:47:55
地方組はこれまでで様々な困難の壁に立ちふさがってきたからだ。
つい最近までに横山由依もこのAKBの門をくぐって今日まで来た。
だから彼女たちも同様傷つきながらたどり着いた証拠の証だったにすぎない。

地方組のまとめ役な存在の北原はそんな指原の行動にずっと我慢しきれなかったためあえてこうきつく言ったのだ。

265名無しAKB:2013/03/31(日) 21:01:34
長く薄暗い光の廊下での沈黙が続いた。
皆が口を出すまでにはおおよそ1分半はかかった。

『ごめん里英ちゃん、指原がどうかしてたよ
 確かに私が調子に乗ってしまいみんなのことを困らせてたんだ…だから私、私』
床にへたり込んでいた指原は啜り泣きをしながら喋っていた。
皆何も答えなかった。
いや、逆に喋ることが出来なかったのだ…つらい立場を見ていた北原でさえも理解していたからだ。

『さっしー、私だって…苦しいこともあったよ
 ダンスで踊れなかったことや、歌がうまく歌えなかった日々もあった…麻友もねさっしーと同じ
 目にあってきたんだから泣かないで。』
最初に沈黙を破ったのは足の膝の怪我をすりむいていた渡辺麻友の言葉だった。
彼女はあえて指原に優しくこう言ったのだ…下手に怒るとかえって警戒心を煽るのみ
指原にこういったからだ…麻友も泣いていた。
涙はそれほど出ていなかったものの、目は赤く腫れていた…彼女の惨めな姿に耐えかねなかったのだろう。
『でもね、そんなふうにいつも私の隣にはいつもゆきりんがいてくれて助けてもらった
 ゆきりんがいなければ私もさっしーと同じだったよ』
『・・・まゆゆ』

『もう分かったでしょ…麻友の言葉をしっかりと受け止めてほら立って』
峯岸がゆっくりと手を差し伸べて指原を立たせてあげた・・・ゆっくりと立ち上がる指原。
『さっしー、もう泣かないで…私たちだっているんだからさ・・・ほら』
高城がハンカチで指原の涙を拭いてあげていた。
『指原さん、しっかり・・・うちらも一緒に背負っていきましょう、地方組の意地を見せてもらわへんとだめですよ』
後輩の横山も指原の背中を押した。

266プルヒッター:2013/04/01(月) 20:08:04
『まゆゆ、北原、横山っ!!!!』
泣きじゃくる指原は二人の体をしっかりと受け止めた。
指原は改めて二人に大きな借りを受けたからだ…今度は自分が借りを返す番だと指原は思った。
『おーおー!!しっかりと団結しちゃったんだね地方組の3人は』
峯岸が3人を励ますように言う。

『みいちゃん・・・暗いよう〜
 早くみんなを探しに行かないと帰れなくなっちゃう』
小嶋は相変わらずのマイペースのご様子だ。
『こじはるさんは相変わらずですね』
高城はちょっと呆れたご様子でしゃべりだす始末。

267プルヒッター:2013/04/07(日) 12:52:55
長い長い薄暗いペンションの廊下を歩き続けて5分。
ようやく、小嶋たちも前田敦子たちと合流できた。

これでチリヂリとなっていたメンバーと再会できたのはいいが。

268プルヒッター:2013/04/07(日) 13:10:41
『たかみなー!!!
 会いたかったよー』
小嶋が高橋に抱きつきてきた。

『もうーっ!!!にゃんにゃんいきなり抱きつかないでよ』
『たかみなー怖かったんだから私』
抱きついてきたのはいいものの高橋はちょっと迷惑そうな顔をする始末・・・でもちょっとうれしそうな顔をしていた。
たかみなから離れた小嶋…その時小嶋の背後から。

『きゃっ!!!誰っ私の後ろから』
『だーれだ!!!』
大島が突然小嶋陽菜の後ろから現れて抱きつく、離そうとするものの簡単には離れようとしない大島。
『もうゆうちゃん、びっくりしたよ』
『ふふふ、もう離さないよ』
『ゆうちゃん、びっくりさせないでよ…こっちはこわかったんだから』
大島と小嶋のじゃれ合いがあった…久々に冗談を交えたのは初めてである。
が…今はそんな風に再会を会わせている暇はない。
これからどうするべきか。

269プルヒッター:2013/04/07(日) 13:17:58
前田が突然咳き込む。

『優子…にゃんにゃん、再会するのはいいけど今は状況を考えないと…第一私たちが今どんな
 状況がどうするか考えないと糸口が見つからないわ』
『そう敦子の言うとおりだわ、あの妙な連中がいつ見張られているかわからないし
 それに私たちも死にものぐるいで相手と戦わなければならないし』
前田と高橋の2人が大島と小嶋を注意する。
さすがに長年渡り合ってきた2人に大島と小嶋もちょっと反省気味。

『でもあっちゃん戦うって言っても私たち何にも力もないし、おまけに武器だってそんなに
 無いのよ、どうやって戦えばいいわけ…私戦いは嫌いだからさ』
『それを考えるのが私たちでしょ…弱気になっては駄目よにゃんにゃん』
小嶋はちょっと弱気な気分だった…それを後押しする高橋。

270プルヒッター:2013/04/07(日) 13:24:49
『ごめんたかみな』
ちょっと沈み気味で謝る小嶋。

『そうね私たちで何とかしないといけないよね、
 再会はまた後でとっておかないと…絶対生きて帰ろう皆』
大島もようやく落ち着きを取り戻す。
17人の少女たちの反撃が今始まろうとしている。

271プルヒッター:2013/04/07(日) 13:31:00
『ひとまずさここの大食堂から出よう、ここにいても暗いイメージが残るだけだよ
 それに動かないと勝てるものも勝てないし、とにかく脱出することを考えよう』
宮沢佐江の言葉に皆は頷く。
そうだ、今動かなかったら何も始まらない宮沢佐江の言葉を後押しを受けた一同は大食堂を出た。

272プルヒッター:2013/04/07(日) 13:41:42
大食堂を後にした少女たち。
長い廊下を歩いて丁度ペンションの真ん真ん中の談話室に着く。

ひとまず談話室に落ち着く皆。
『あー疲れたよ』
高橋がどっとソファに腰を落とし座り込む。
『ちょっとみなみ親父っぽい言葉だよ今の』
篠田の言葉が高橋の胸に突き刺さる。
『麻里子さまキツい言葉だね相変わらず…でもそこがいいところなんだ』
『あれ上から目線じゃん』
ムチャぶりが得意技の篠田…今日も相変わらず絶好調のご様子。
『あれっ指原がいないどこにいったんだろう』
そんなふざけている間にまた指原の姿がない。
いち早く前田が気づく。

273プルヒッター:2013/04/07(日) 13:47:24
『またあの子は勝手に行動するんだから…しょうのない奴だわ』
篠田がちょっと怒ったように言った。
『あっちゃん、みなみ私ちょっと探しに行くよ…指原の奴迷子になっているし
 それに明るくても薄暗いところに行く奴じゃないし私一人で探しに行ってみるよ』
『あっ待って…私も行きます』
『私もまりこさま…指原さっき言ったこと全然反省していないから一緒に探しに行きましょう』
『里英ちゃん、ゆいはんありがとう』

274プルヒッター:2013/04/07(日) 14:14:03
篠田は北原と横山と一緒に指原を探しに行った。
『もうさっしーったらさっき言ったことを全然反省していないみたいだ
 うちらと一緒に行動しようとするときにも勝手にあの子行こうとしたんですから』
『でも指原さん全然変わらないですね…そこが指原さんの特徴なんでしょうか』
『横山あいつは昔からそういう子なのよ…中西も全然変わらないんだから』
『ふふっ相変わらずね地方組の皆は』
北原…横山の言葉に篠田はちょっと小さく嬉しそうに笑う。
しばらくして1階の外れにやって来た篠田たち3人。
指原はすぐ見つかった。

275プルヒッター:2013/04/07(日) 14:19:40
指原の前には大きな両扉の前に佇んでいた。
『指原…探したよ
 全く一人で行動するなってあれほど言ったのに…全然懲りてないね』
北原が説教くさい言葉で指原に注意する。
『ごめん里英ちゃん』
小さく謝る指原、しかしその様子ではどうやら反省しきっている様子は内容だった。
『心配してだんですよ、急に指原さん居なくなったって前田さんとたかみなさん心配してるんですから』

『指原、あんたあっちゃんの気持ち解ってないようね。
 一人で勝手な行為をするのはいけないって何度も言ったよ…それなのに』
『まりこさま…ごめんなさい』
篠田もちょっと指原に注意するも、そこは優しく接した篠田。
『まあいいわ、さっしーその扉は』

276プルヒッター:2013/04/07(日) 14:39:25
『わかりません、ただ指原がここに偶然来ただけですから』
『なんだそれ』
北原はちょっと呆れたように言う。
『…この扉の先、どこへ続いているんでしょうか?』
『解らないわ…とにかくあっちゃんたちに連絡しないと』
新しい発見を知った篠田はいち早く自分の携帯電話で前田たちに連絡を取る。
連絡を取ろうとした篠田だったが…自分の携帯電話の電池がもう無いといち早く気づくべきだった。
すでに彼女の携帯電話の電池のバッテリーがもう無かった。
『くそっ、こんな時に携帯電話の電池がないなんて』
篠田は自分の携帯電話を憎々しそうに見る。

『あっ私がします』
しかしそんな篠田に助け船を出したのが横山由依だった、携帯電話で前田たちを呼び出した。
『篠田さん…大丈夫です前田さんたちこっちへ来ます』
『ゆいはんありがとう』
篠田に笑顔が見えた…前田たちは5分もたたないうちにすぐ合流した。

『こらーっ指原心配したのよ、勝手に出歩くんだからうちらまで心配したのよ』
大島がキツく注意する。
『優子ちゃんごめん、でも何にもしないと落ち着かなかったからつい』
『さっしー、全然反省していないようねもうこれからは一人で勝手に行動しちゃ駄目よ』
大島と秋元に注意された指原はちょっとテンション低めの様子。
『そんなことより麻里子、この大扉の先見た』
前田たちは着いたばっかりだからまだ状況は把握し切れていない様子だった。
『あっごめん、あっちゃんたちは来たばかりだから知らないのも無理無いよね
 扉を見つけたのは指原だったんだ、でもこの先の向こうは私たちも来たばかりだし何も知らない』
そう長々言い続ける篠田も首を横に小さく振る。

277プルヒッター:2013/04/07(日) 14:45:46
『…お化けでも出そうですね』
渡辺が小さくボソッと呟く
『まゆゆ演技でもないこと言わないで。
 本当にお化けでも出そうじゃない…もうちょっと怖いこと言わないでよ』
『…案外地獄への道案内に続くそうな扉ね』
『やめてよ才加、佐江怖いよ』
秋元の言葉に宮沢はちょっとビクッとなる、柏木も同じだ

『ひょっとしたらこの先きっと出口かもしれないわ、そう信じて行ってみよう
 脱出できるかもしれないし』
板野の言葉に17人の少女たちは頷く。
前田は意を決して大扉のノブを素早く回した、ドアを開けると。

278プルヒッター:2013/04/07(日) 14:51:43
『うわっ!!!』
前田の顔に何かが当たった感触を感じた。
雨に濡れた木のツタだった、当たっただけでも何か嫌な感触を覚えた前田
『酷い雨足だ…風も結構強いし行くの結構危険じゃない』
扉を開けると雨風が強い状態だった…風がペンションの中に吹き荒れる。
『外に出たのね
 ここって中庭なのかな…暗くてよくわからない敦子気をつけて歩いていこう』
小さく頷く前田…板野の手をしっかり小さく握る前田。

279プルヒッター:2013/04/07(日) 14:55:12
17人の少女たちは雨風の強い暗闇の中を歩いている気分だった。
高橋が懐中電灯の明かりを灯す。
『中庭のようね』
明かりが大きく中庭の辺りを懐中電灯で大きく灯す高橋…そこは見渡す限りの黄色い色をした怪しげな花だった。
いや、花と言うより花みたいな草花のように見えた。

280プルヒッター:2013/04/07(日) 16:44:27
『この花、何という名前なんだろう?』
雨風に打たれながら首を傾げて言う河西、こんな草花を見たのは初めてだろう。
皆もそう思ったからだ…それに不気味に感じた。

『日本にこんな草花あったっけ』
倉持も不気味な草花に興味を持ってしまう。

281プルヒッター:2013/04/07(日) 16:47:20
『不気味』
柏木がボソッと呟く。
『なんかこの草花事態、私たちを見ているみたい』
高城も続く。
『で、ここから先は道あるかしら…敦子なんか道とかあった』
『暗くてよく見えないよ…このまま先に進んだらきっと道に迷ってしまいそうだ』
板野の言葉を遮る前田

282プルヒッター:2013/04/07(日) 16:52:39
『そうね…これ以上先に暗闇の道を進むのは危険だわ
 それにここから脱出できてもまた相手が襲ってくるから怖いわ』
『そんな、ここまで来たのにまたペンションへと引き返すの』
たかみなの冷静な言葉に宮沢はちょっと悔しそうにいう…宮沢は憎々しそうに暗闇の空を見る。

283プルヒッター:2013/04/07(日) 17:03:48
17人の少女たちは黄色い色の草花を踏みちぎってペンションに戻った。
『あーあまた振り出しに戻ったわ』
板野はちょっとがっかりしている、しかしこれでよかったのかもしれない。
『なんか悔しいね…脱出できたかと思ったのに』
大島も悔しい様子…こうしてまた振り出しに戻ってしまった。

17人が落胆したまま談話室へ戻ると。
様子が違った…談話室には無かった大テーブルの上には古ぼけた1冊のノートがおいてあった。
『あれっこんなところにさっきまでノートなんかあったかしら』
『私たちが居たときには無かったよ』
大島と前田がテーブルの前に着く。

284プルヒッター:2013/04/07(日) 17:08:48
『ちょっとそのノート大丈夫?なんか怪しいよ』
篠田は恐がりを押し殺しながらノートを見る。
『誰が置いたのかしら』
柏木も怪訝そうに首を傾げながら見る。
『なんか不自然よね…いったい誰のイタズラかしら?ノートなんて持ってきたメンバーなんか居ないし』
『もしかして…透明人間、そうだとしたら怖いですよ』
秋元と渡辺も謎の古ぼけたノートをみてちょっと怯え気味。
透明人間?
そう考えたくない前田の頭は振り払った…また別の人間がこのペンションに住み着いたに違いない。

285プルヒッター:2013/04/07(日) 17:16:15
『そんな
 じゃあどうやってここの談話室に古ぼけたノートを置いていったのよ…私たちは
 先ほどまで談話室から離れたんだ…どうやってノートを置いていくことができるのよ』
宮沢は吐き捨てるように言う。
『佐江…それはまだ誰だかは知らないけども
 きっと誰かがここのノートを置いていって私たちを待ちかまえている罠かもしれない
 いや、違うかもしれない…だいたいここの談話室と裏口までの距離は結構あった私たちには
 到底無理な話だ…もしそうであれば別の第一人物じゃないかなって』
淡々に大島の口からそういった。
談話室の空気が再び戦慄を走ったからだ…妙な空気が張りつめる。
『とにかくこのノートの中身を見て見ようよ
 話はそれからだ』
前田は古ぼけたノートのページを開く。

286プルヒッター:2013/04/07(日) 17:17:17
そこにはこう書いてあった。

287プルヒッター:2013/04/07(日) 17:39:44
『私はAKBを許さない。
 だからこのノートに記す…このノートを見たときには命がないと思え
 私はAKBを復習するためにここに書き留める』

いきなり嫌な文章から始まった謎の古ぼけたノートの文字を見て彼女たちに戦慄が走る。
『いようAKBの子猫たち
 このノートを見たら必ず見て読んでほしいおまえたちがこれからしでかした罪は
 重大に当たる重罪だ…だからここに記したこれからおまえたちは俺たちの手によって
 十分な罪を償ってほしい
 これはおまえたちと俺たちにとっては十分罰に値する文だ…そしていま俺たちの手によって
 おまえたちに復讐するシナリオのスタートだ心して読め。』

そんなことが延々と綴られていた。
私たちに復讐するってどういうことなんだ?
ノートの文をみて全く把握ができずにいる前田と高橋と板野と大島。
ほかの皆も全く把握できずにいるようだ。
『私たちに復讐って一体何をしたんだ』
板野は不思議そうな顔をする…大島と高橋もそういう風な顔をする。
そしてそのノートを見たときに彼女たちの顔が一瞬凍り付いた。
前田が唇をふるわせながら古ぼけたノートの文字を全て読み上げる。
『篠田は細田の作ったカレーを不味そうに食べた
 小嶋は岩下よりスタイルが良い
 宮沢は俺より上から目線だ
 秋元は体育会系の言葉が生意気そうだった
 渡辺はアニメのこととなるとすぐうざそうに話す
 柏木は荒井のことを腹黒そうに思った
 北原は俺よりも成績が良かったから気にくわなかった
 指原はすぐ調子に乗って俺たちを困らせた
 横山はいつも一生懸命で嫌だった
 倉持は父親が野球をやっていて体育会系が嫌いだった
 河西は福沢の言葉を無視しわがままし放題だった
 峯岸はすぐギャグを言うから腹が立った
 高城は新堂よりテニスがうまくむかついた
 板野は風間の顔を見て笑った
 大島は変顔をしながら岩下の顔を見て文句を言った
 高橋はリーダー面が気に入らなかった
 前田は常に1番だったから俺が一番じゃないのが気に入らなかった
 そして…おまえたちの産みの親でもある秋元康は以前から俺たちのことを見下した
 汚い奴だ…そんな男がおまえたちの生みの親とは笑わせるぜ』

288プルヒッター:2013/04/07(日) 17:46:54
『酷い』
少女たちの名前とともにその言葉が延々と乱暴な字でノートに書き殴られていた。
そして少女たちの産みの親秋元康の名もそこにあった。

『くそっ!!!一体誰がこんなことを書いたんだよ』
秋元は怒りを通り越して自分の唇を噛みしめる…悪戯では済まされない言葉ばかりだ。
前田たちもその通りだった。
私たちの名前をこんな風に書きただすなんて許さないよ…このままでは相手の思うつぼ
少女たちは言いしれぬ怒りに溢れた。

289プルヒッター:2013/04/07(日) 17:51:08
『私たちだけでなく秋元さんの名前もこのノートに記されているなんて』
大島はちょっと涙ぐみながら怒りの声を絞り出す。
渡辺、柏木は泣いていた…こんなことを書かれてたたかれたのは生まれて初めてだったからだ
小嶋も同じだった。
篠田と秋元と宮沢は言葉がなかった。
ほかのメンバーも言葉が見つからない。

290プルヒッター:2013/04/07(日) 17:57:54
前田が最後のノートのページの文字を見た。
そしてこう書かれていた。

『この世に生を受けて選ばれし人脈たち・・・・・・狂気クラブ』
最後のノートにはそう書かれていた。
狂気クラブ。
見るからに恐ろしく凶暴的な名前だった。
前田はノートを読み上げるとノートの下にある名前を見つける。
日野貞夫…ノートには日野の名前が書かれてあった。
前田は思わずその名前を見てノートを落としそうになった…途端ノートの中身から怪しげなものが床に落ちるのが見えた。
思わずその床に落としたものを拾い上げる大島。

『これさっき私たちが見た黄色い草花と同じ花だよ』
そうそれは先ほど少女たちが見た怪しげな黄色い草花に似ていた…しかしその拾い上げた草花はすでに枯れてドライフラワー化していた。

291プルヒッター:2013/04/07(日) 18:01:05
そしてノートの一番前には赤い太文字でこう書かれていた。
弟切草の復讐の書
そう書かれていた。

『あの草花の花の名前は弟切草って名前なんだ』
たかみなはドライフラワーとなった弟切草を見てようやく判明した。
『聞いたこと無い草花ね怖い』

292プルヒッター:2013/04/14(日) 13:00:30
『日本に無い花なのかしら』
板野が首を傾げながら言った、確かにこんな草花は日本ではあまり見ないかもしれない
だがその草花はとてもキレイだとは思わなかった…なにか妖しげな異様なものを放っていたからだ。
こんな真っ暗闇の場所でこんな草花があるとはとても思えない。
『そんなの捨てちゃいなさいよみなみ』
篠田がドライフラワーとなった弟切草をみて高橋にそう言い出す。
篠田の言葉に高橋はペンションの窓を開けてドライフラワーの弟切草を闇夜の外へと放り捨てた。
ちょっと嫌な感触を覚える高橋だった。

293プルヒッター:2013/04/14(日) 13:17:11
薄明るくて暗いペンションの談話室は嘘のように大きな静寂に包まれてた。
17人の少女たちは何も言わない。

『もう逃げるのはやめた』
黙っていた皆に対し大島が突然大声を上げながら喋りだす。
前田、高橋、板野が大島の顔を見る。
『どうしちゃったのよ優子、そんな大声を上げちゃってさ』
『たかみな、もうこうなったら真実からは逃げられもしない…いっそこっちから行ってみない
 どうせこのペンションからも脱出する術もない…だったらこうなったらこっちから反撃しようと思うんだ』
大島の言葉にキッパリという。
『優子、どうしちゃったのよ』
『いつもはこんなこという優子じゃないのに』
前田と高橋も言葉を返すが…2人はまだ飲み込めないでいた。

『そのノートが全ての元凶なのよ…あいつら私たちのことを本当に復讐するっていう何よりの証拠だからさ
 だから私たちでそんな馬鹿げたことを解決しなくちゃならない』
大島の言葉はいつしか気迫に満ちあふれていた。
『ちょ、ちょっとまってよ』
そんな風に情けない言葉を出したのは河西だった。
『訳もわからない相手にうかつに手を出すのは危険じゃない…相手は私たちのことを狙われても
 おかしくない相手なんだから…このままじゃかえって逆効果だよ』
河西が静かに言った。
大島は言葉が詰まった。

294プルヒッター:2013/04/14(日) 17:14:56
『とも〜みらしくないこと言うわね
 いつもはふわっとしているのに突然こんなこと言い出すなんて』
親友でもある板野もちょっと驚きを見せていた。

『みんな生きて帰るんだから冷静に行動しないと私たち相手にやられちゃうよ』
『…ごめんとも〜み、うかつに考えて行動しなかった私が馬鹿だったわ…ごめんね』
大島が河西に謝った。
うかつに行動したらこっちがやられてしまうからだ。
きっと河西も前田たちの何かの役に立つために力になりたかったからなのか?
いや、じっとしているのも嫌だったからなのか…いつもの河西の姿はそこにはなかった。

295プルヒッター:2013/04/14(日) 17:26:17
『優子、謝るのはここのペンションから脱出するまでまだ早いよ
 とも〜みの言うとおりだわ…とにかく一刻も早くここから離れよう』
板野は大島に優しく接した。
板野の言葉に皆は大きく頷いた…彼女は普段クールな性格の持ち主だが、今日は厚い性格のようであった。

『ともちんありがとう』
大島は軽く板野に礼の言葉をかける。
『・・・・・・たかみな、このノート持っていっていい?』
『どうして敦子?』
『いや、なんとなく・・・私たちの戒めるために相手の対決には必要かもしれないから』
前田はそう言うが、高橋は何も答えなかった…ただどうして今になって日野の書いたノートを持っていくのかが疑問に感じていた。
いや彼女の考えがあるからだ…私はあえて言わなかった、この場は敦子の言葉に従おう。
いまいましいこの現実から早く逃げ出したかった、私はそのことで頭の中がいっぱいいっぱいだ。
『とにかくこんな誰もいない談話室から離れようよ』
北原もこの場から離れたがった、ちょっとイライラした口調で喋りだす。
そして談話室を後にする17人の少女たち。

296プルヒッター:2013/04/14(日) 17:46:06
ペンションの薄暗い廊下の明かりが頼りとなる。
歩き続けながら5分。
ペンションの外れを歩き廊下の外れに2階へと続く階段があった。
17人の前には今にも朽ち果てそうな階段が目の前にあった。
『上っていくしかないようね』
敦子の問いかけに私は小さく頷く…他の皆も同じく頷く。
敦子とたかみなの2人を先頭に階段を歩く…ギシギシと階段の音が大きく足下に響くのが解る。
嫌な音だ。
私はその音をなるべく聞かずにただ黙って階段を上っていった。

2階の廊下は嫌に静かだった…私たちが泊まっていた客室とはうって変わって違う空間に感じていた。
そういえば。
このペンションに来てから嫌におかしな現象がここ2,3日起こっているとのメンバーからの口から発言していたからだ。
一つはプールサイドで拾った真っ赤に染まった赤いシュシュ。
2階の外から時折私たちを見ている気がしたって…そういえばこれは横山が最初に目撃していたと言っていた。
麻里子さまとにゃんにゃんの部屋では水道の水が赤く染まったとの話もあった。
そして…ペンションの客席からずっと離れている釘に打ち付けられていた謎の開かずの部屋。
このところおかしな現象が続いていて私は頭が混乱していた。
それに私には霊感そのものは無いけども嫌な空気がこのペンションを覆っている。
それは私の気のせいなのだろうか?
たかみなはそんな風に考えていたからだ。

『たかみな何を考えているのさっきから一人でさ』
敦子が突然声をかけてきた…皆は先にずんずんと先に進んでいた。
『あっ!!!ちょっと皆置いていくなんて酷いよ…私を一人にしないで』
高橋は急いで前田たちのいる場所へ走っていく。
『たかみな一人にして先に行っちゃおうよ皆』
小嶋が悪戯っぽく言う、冗談じゃないよにゃんにゃん!
『コラー!!!私を置いてかないで』
急ぎ足で皆の元へ行く高橋みなみ、皆はちょっと笑った…悪戯っぽく。

外は相変わらず真っ暗闇の闇に包まれていた…雨風は一層止むことなく拭き続いていた。
窓ガラスが激しく当たる…このまま窓ガラスが割れて雨風が吹き込んできそうな勢い。
2階は自分の客室以外何もなく…これといって変化はない。
やっぱり何も無かったのか?
あきらめて他の場所を探そうとした前田。
と、その時。
『前田さーん!!!』
柏木の大きな叫び声がこだまする。
『ゆきりん』
前田は急いで柏木の叫び声をしたところに走っていった。
他の皆も続く・・・・・只ならぬ嫌なことを振り切りながら。

297プルヒッター:2013/04/20(土) 20:52:08
前田と高橋は息を切らせながら柏木の居る場所へと走ってきた。

『ゆきりん、何かあったの?』
高橋が心配そうに柏木に声を掛けてきた。
どうやらただごとじゃないような顔をしている柏木は、すぐ目の前の2階の突き当たりの扉に目を向けた。
ドアの足下には濡れている一部があった。

298プルヒッター:2013/04/20(土) 20:53:10
前田と高橋は息を切らせながら柏木の居る場所へと走ってきた。

『ゆきりん、何かあったの?』
高橋が心配そうに柏木に声を掛けてきた。
どうやらただごとじゃないような顔をしている柏木は、すぐ目の前の2階の突き当たりの扉に目を向けた。
ドアの足下には濡れている一部があった。

299プルヒッター:2013/04/20(土) 20:59:00
上の298は間違いでした。
すみません、訂正です。

300プルヒッター:2013/04/21(日) 15:50:58
遅れてきた板野と大島たちも後からやって来た。
濡れた足下の扉は何を意味しているのか?柏木が問いただしてきた。

『私が見つけたんです』
大島と板野もそう頷くだけ。
『濡れた足下の水が気になるよねこの部屋』
『いかにも妖しそうな部屋ね』
大島、板野はそう不可思議そうに見る。
『秘密の研究所とか』
『怖いこと言わないでよさっしー』
指原の悪戯な言葉に高城はちょっと戸惑う。
『・・・ペンションの客室からちょっと離れた場所にこんな部屋があったとはね・・・いかにも私たちを
 どうぞって案内している振りね、どうするのたかみな』
前田もこの妖しげな部屋に興味を持ってしまったようだ、怖いことが嫌いな高橋はちょっと引き気味。

『ここペンションなのかな?本当に。
 いかにも妖怪屋敷に見えるのは私だけかな・・・ちょっとここがペンションだって疑わしくなってきたよ』
板野はそう信じ込むのが精一杯だ。
『前田さん、たかみなさん本当に行くべきでしょうか?
 私もちょっとこのペンションが妖しくなってきたみたいで、不思議なことが起こってばかりですし怖いですよ』
『あの連中の秘密を知るべく行かないわけにはいかないし、ここはたかみなが判断した方がいいんじゃない』
大島はそう言うと高橋は。

『言っておくけども、私怖いのとお化けだけは苦手だからね。
 優子が言うんであれば私は止めはしないけども・・・ちょっと私嫌だな』
ビビり気味の高橋に・・・渡辺が。
『ここの扉の鍵・・・鍵がかかってませんね』
『麻友・・・勝手に扉を開けちゃ』
高橋の言葉を無視し、勝手に扉を開けた渡辺・・・渡辺が部屋の中を覗くと彼女はウッと言った表情を出す。
嫌な部屋の臭いが充満した、カビくさいにおいが鼻にツーンと来る。
『カビくさいよ』
渡辺は一端部屋の外へと出た・・無理もないカビくさい中部屋にいては誰だって出ていってしまうものだ。
『麻友大丈夫?』
柏木はちょっと咳き込んで咽せている渡辺に声を掛ける。
『部屋の中に何かあったの?まゆゆ』
前田は問い掛けるが・・・渡辺が話すまで約1分かかったようだ。
『前田さん、自分の目で確かめてください』
嫌なものを見たのか自分の目で確かめた方がいいと渡辺が前田と高橋に言う。

301プルヒッター:2013/04/21(日) 15:59:08
渡辺に問い掛けてきた前田と高橋が部屋の中を覗いた。
やはり部屋の中はカビ臭さが残る嫌な臭いが鼻の中に残る・・・あまりここには居たくない気分だ。
2人は懐中電灯を部屋の中を舐めるように明かりを照らす。
『何この部屋?』
『カビ臭さだけじゃなく嫌な薬品の臭いも鼻につくよ』
部屋の中を見ると妖しげな人体模型の標本のようなものや・・・ガラス瓶に入っている動物の標本や色々なものが戸棚の中にある。

『秘密の実験室かな?』
高橋が戯けた表情を出す。
『でもここペンションなんでしょ?どうしてこんな部屋がおかしな実験室なのかしら?』
部屋の中を更に調べる2人。
その時だった。

背後のテーブルから見もよだつ大声を上げて来た男のような声が2人を襲った。

302プルヒッター:2013/04/21(日) 16:02:50
テーブルを大きく床に跳ね返す大きな音が2人の耳の中に響く。
『見たなー』
影の正体はペンションの従業員・・・いや狂気クラブのメンバーの一人荒井昭二。
『あなたは』
『荒井さん』
前田と高橋は荒井の狂気に満ちた目を見る・・・まるで何かにとりつかれたかのような動物の目をしている荒井。

303プルヒッター:2013/04/28(日) 16:37:33
よくよく考えてみると声を聞いたときには既に荒井の声ではない。
何かに取り憑かれたかのような悪魔の死霊のうめき声のような声だった。

『僕たちは・・・あなた達を許せません
 だから今ここで・・・・・・やられてください・・・・うおおおおおおお』
声を涸らしてまで荒井は高橋と前田に襲いかかってくる。
だが、相手側の声に圧倒されていて手出しも出来ない。
どうしよう、このままでは私たちが。
と、その時・・・秋元と宮沢が2人の前に立ちはだかった。
秋元が素早く襲いかかってくる荒井の腕を掴み、宮沢が相手の股間の股を蹴り上げる。

『うぐっ』
宮沢に蹴りを食らった荒井は一瞬呻く。

304プルヒッター:2013/04/28(日) 16:51:24
しかし蹴りを受けたままの荒井はまだ平気な顔だ。
急所を受けたにも関わらず彼は次に秋元と宮沢の方に攻撃を向ける。
『くっ、このー』
荒井は宮沢の小さい首に腕を掛けて壁際に追いつめた。
『は、離せ』
『さ、佐江』
秋元は宮沢を助けようとするが、荒井はこう言った』
『動くな、動くとこの人の命はありませんよ』
荒井は淡々と静かに言う。

305プルヒッター:2013/04/29(月) 14:13:40
『卑怯よ!!!!佐江を離せ』
秋元は荒井に荒々しい声を上げる。
しかし、荒井が宮澤を締め付ける腕の力は緩めるどころか腕の力を上げるばかり。
『あんた、それでも人間なの・・・』
『僕は、あなた達を許せない・・・只それだけのことです、ですからあなた達には僕たちの復讐を成し遂げなければならないんだ』

秋元は動けない・・・どうすればいいんだ。
攻撃不能の秋元に荒井は不敵な笑みを浮かべるのみ・・・このままでは佐江が。
と、その時。
部屋の外からパチンコ玉が飛び交わってきた。
柏木の援護射撃によって一瞬ひるみを見せる荒井。

306プルヒッター:2013/05/01(水) 22:51:57
『ゆきりん、ナイスフォロー』
柏木のフォローによって秋元の反撃。
ひるむ荒井は一瞬、宮澤は難なく相手から離れ押し倒す。

荒井の後ろ手に回り襟を掴む。
そして、秋元の背負い投げが巨体の荒井を投げ飛ばした。
宙に舞う荒井は大きな音とともに床に大の字となって倒れた。

307プルヒッター:2013/05/04(土) 12:58:16
皆は大の字に倒れている荒井をチラッと目を向ける。

『さて、相手をどうしようか』
高橋が荒井の後始末をどうするべきか考え込む。
『このまま野放しにするのはいけませんよたかみなさん、いつまた襲ってくると思うと怖いですから』
柏木は冷静にその言葉を発する。

『殺してしまいたいけども、とりあえず』
『そうよね、野放しにするのはいやだから何かで縛っておいてほっといておこう』
秋元と宮澤の言葉に皆は高橋と柏木は頷く。

『ねえ佐江ちゃん、この部屋のロープを使おう・・・そうすれば相手も身動きがとれないようだから』
『ゆきりんナイス』
高橋と秋元は一旦部屋から出て宮澤と柏木の2人で気絶して倒れている荒井の巨体にロープでグルグル巻きにした。
壁際の柱にロープでグルグル巻きにした荒井はまた襲ってくることもなく気絶したまま壁際の柱のところで気絶したまま。

308プルヒッター:2013/05/04(土) 13:04:09
『前田さん、麻友の言葉を覚えていませんか?
 自分の目でこの部屋を確かめてと言ってましたよね・・・前田さん入って調べてみましょう』

『そうだね、ちょっと怖いけども調べてみる価値があるわね』
『敦子、尻込みしている場合じゃないよこの部屋調べてみよう』
部屋を調べる前田と高橋・・・大人数じゃ中に入れないので。
秋元、宮澤、柏木、渡辺の6人で部屋の中を調べる。

309プルヒッター:2013/05/04(土) 13:11:08
2人は中を覗いただけで、部屋の中は全く調べることが出来なかったが。
高橋と前田の先頭で部屋の中を調べた。

カビ臭い匂いが鼻の奥まで付く・・・ここには長くいたくはない。
前田はそう思った。
『ねえたかみなこの部屋をみてなんか思わない』
『どうしたの敦子』
部屋を見ていると昔のことを思い出す前田、たしかにそうだ。
この部屋を見ていると小学校で見たものばかりだったからだ・・・人体模型や骨格の標本
理科の授業で使ったビーカーや試験管、丸形フラスコやいろいろな理科の授業で使った
ものばかり。

『あっちゃん何か見つかった?どうしたの急に立ち止まってさ』
宮澤は立ち止まっている前田を見てきょとんとする。
『あっちゃん、ほらほらボーッとしてないでさ・・・部屋の中探すの手伝ってよ』
せかす宮澤は前田に声を掛ける。
『・・・えっ、あっごめん佐江』

310プルヒッター:2013/05/04(土) 13:17:33
薄暗い部屋の中で探索を始める6人。

『何も無いか・・・もうここまで来て証拠も無く帰るのだけは勘弁してよ』
高橋がちょっと愚痴る、秋元はまだ調べていない真ん中の机を調べてみた。
『たかみな、ここはまだ調べていないないよね・・・この真ん中の机調べてみた?』
秋元は目の前にある机に目を向けた・・・しかし机の引き出しは鍵がかかって居るせいか開かない。

『どうしよう、机の引き出しが開かないんじゃしらべようがないよ』
『お手上げ状態だね・・・全く』
宮澤と秋元は半ば諦めていた時。

311プルヒッター:2013/05/04(土) 13:27:18
『これを使ってみましょうよ』
柏木がどこからか持ってきたのか?さび付いた小さい鍵を皆に見せる。

312プルヒッター:2013/05/04(土) 13:32:34
『ゆきりん、そのさび付いた鍵どこで拾ったの?』
『佐江ちゃん今は詮索よりもこの机の引き出しを探るのが先・・・論より証拠』
宮澤は不思議そうに言う・・・その鍵は一体どこで拾ったのかを問いただそうとしたが。
今はこの机の中身を調べるのが先だった。

『ところでさその小さい鍵どこで拾ったの』
秋元も答えるが柏木は言葉を発しない・・・彼女は全く耳を貸さない。
『ゆきりん』
渡辺も声を掛けづらい状態だ・・・目の前の机の引き出しによほど集中したいのだろうか?
耳も貸さない。

313プルヒッター:2013/05/04(土) 13:38:33
さびた小さい鍵に鍵穴をはめる。
はまった・・・どうやらここの机の引き出しの鍵のようであることは間違いない。

『まあまあここはゆきりんにまかせてみよう・・・新しい発見があるかもしれないし』
『そうね』
高橋の言葉に諭された宮澤はそれに従う。
『ゆきりん、何かあったの?』
引き出しの中を探る柏木。

『前田さん、たかみなさん』
引き出しの中を見ていると柏木はちょっとビクッとした。

314プルヒッター:2013/05/05(日) 13:33:39
柏木は机の引き出しの中からファイルの一冊を前田と高橋に見せた。
『なに、このファイル』
『動物のようなおかしな奇妙な怪物のようなおかしな生物が多いよ』
『不気味』

皆はそれぞれ口を合わせて言い合う。
確かにファイルには見たことのない奇妙な怪物やら生物やら日本では見たこともない
ものばかりだ。

『ねえ、前田さんたかみなさん覚えてますか?』
『何ゆきりん』
高橋が柏木に問い掛けてくる。

315プルヒッター:2013/05/05(日) 13:38:12
『あのピアノホールの地下洞窟の研究所のことを』
そういえば、ピアノホールの地下洞窟の研究室のことを今になって思い出した。
色んな事があって忘れていたからその存在のことをすっかりと消えかかっていた。

そう、全てはあのおかしな地下洞窟の出来事から始まりだったんだ。
私たちあの妙な白い服を着た集団に妙な薬のような霧に包まれて
ペンションの大食堂へ捕らわれてた。


あの日野たちに捕らわれて以来。

316プルヒッター:2013/05/05(日) 13:43:45
日野はきっと私たちに復讐するためにきっとどこかで見ているに違いない。
恐ろしい男だあの日野って男は。
おそらくあのペンションにいた新堂たちも彼の手足となって動いているんだ。


彼は私たちをきっと踏みにじるためにやって来る。
このファイルもきっと何かの役に立ちそうだ持っていった方がいい。
高橋はその机の引き出しのファイルを持っていくと決めた。
もちろん誰も文句は言うメンバーは居なかった・・・同然だろう。


『みなみ、何か見つかったの?』
篠田がしびれを切らし部屋の中へと入る。
『あっ麻里子さま、この部屋の机の中にあったファイルを見つけただけなんだ。
 他にこれ以上のものは何も無かった。』
『そのファイルは一体』
『おそらくあの相手が記したものに違いないわ』

高橋がそう言い終えると篠田は「ふーん」とした表情を浮かべた。

317プルヒッター:2013/05/05(日) 13:50:12
『このカビ臭さにこんな部屋が存在したなんて』
篠田は信じられない表情だ。

『ここってペンションでしょ、なんでこんな場所に小学校のような
 実験室みたいなところが存在するわけ?もう信じられないよ・・・ペンションっていう代物じゃない』
前田と高橋とそれに皆も同じような複雑な気持ちだ。
たしかに麻里子さまのいうのもごもっとも・・・こんな山里離れた場所のペンションに
こんな変な実験室があるのも不気味だ。

幽霊?
いや、お化けか?そんなことはない。
現にペンションなのにそんなものが存在するのだろうか?
高橋は嫌な想像を頭の中から振り切った。

318プルヒッター:2013/05/05(日) 13:55:35
『それにしても呆れるほど恐ろしい場所だ。
 こんなペンション初めて聞いたよ・・・怖いくらいだ』
宮澤はこのペンションに不気味さをますます覚えてしまった。

『とにかくこの部屋から離れよう。
 人質と一緒に居たんじゃたまんないからさ・・いつ襲われるんじゃこっちが怖いよ』
秋元の言葉に皆賛成した。
部屋を出ていこうとした途端、高橋の持っているファイルの間から一枚の写真が
床に落ちた。
高橋は床に落ちた写真を拾い上げる。

319プルヒッター:2013/05/05(日) 14:00:09
その一枚の写真を拾い上げると前田も高橋の隣にたってのぞき見る。

『たかみなこの写真どこから?』
『ファイルの間に挟まっていたんだ』
高橋は写真を見た。
素顔はよく見えないが・・・・女性の後ろ姿があった。
髪はロングヘアーの黒髪で白衣を着ていた少女?
いや・・・もっと大人のような姿をしていたのか?よくわからない。

『このペンションの人かな?』
『解らないよ、素顔がまるでよく見えないから正体がわからない』

320プルヒッター:2013/05/05(日) 14:03:48
『前田さん、この人の写真の姿に何か持っていますよ』
渡辺が写真の姿にある何かに気が付く。
『まゆゆ、何かに気づいたの?』
『この人の持っている花、さっき私たちが見た黄色い花と同じ
 形してませんか?なんとなく私には見えるんですよ』
そう、写真の左手にはしっかりと黄色い花を握っていた・・・これは、弟切草。

『弟切草だ』

321プルヒッター:2013/05/05(日) 14:11:25
『この人、一体誰に復讐するっていうんだ?』
『復讐ってそんなの知らないよ』
秋元と宮澤は口々に揃って言う。

『そんな復讐っていったって誰に復讐するって言うんですか?
 私たち何にもしていないのこわいこと言わないでよ2人とも』
つい弱気な指原の言葉に秋元と宮澤はちょっとムッとした顔をする。
『さっしー、さっきも言ってたけども相手は私たちに復讐するためにきっと
 相手も私たちの事を恐れているんだ、それなのに急に弱気になるような事言うな』
秋元のキツい言葉に指原もちょっと退く

『まだ解らないの?
 さっしーはいつも鈍いんだから、この写真の人はきっとあの日記に書いてあった狂気クラブのメンバーに
 復讐するためにあるものだと思う』
北原が淡々という。

322プルヒッター:2013/05/05(日) 15:50:26
『北原、どうしてそんなことが解るの?』
『ほら私たちがさっき談話室で見つけたあのノートよ
 私たちをどうやら復讐するためにあのノートに記されたものなんだから』

北原は得意げに言う。
指原もようやくその言葉に納得したようだ・・・あのノートの事に気づいたようだ。

323プルヒッター:2013/05/05(日) 15:54:37
『里英ちゃんの言う通りだよ。
 たぶんあのノートはきっと私たちの陥れるためのワナだと思うの』
篠田もどうやら気づいているようだ。
『そんなふうに誰が一体』
峯岸も篠田に問いただす。

『おそらく、あの狂気メンバーって連中は・・・私たちのAKBに関係しているんじゃないかって』
『どうしてなの麻里子?そんなことわかるのよ』
『それは・・・』
峯岸が答えると同時に篠田はちょっと考え込んでしまった。
おそらく言葉に詰まったのだろう、これ以上詮索するのはかえって解らなかったようだ。
峯岸はあえて止めた。

324プルヒッター:2013/05/05(日) 15:57:04
『あの後ろ姿の女の写真の姿も私たちのことに関係しているんだろうか?』
高橋はちょっと解らなかったからだ。

『でもさ、どうして私たちだけじゃなくこの人も復讐を考えているんでしょうか』
いち早く写真の事に気づいた渡辺もまた解らずじまいの顔をしている。

325プルヒッター:2013/05/05(日) 15:59:40
『さあ・・・』
高橋はうーんと唸りながら顔を横にひねる。

他にこのカビ臭い部屋を調べてみたが全くの収穫はなかったようだ。
諦めてこの部屋を一同は後にした。
結局、一同は最初にいた玄関ロビーの談話室へと逆戻りした。

326プルヒッター:2013/05/05(日) 16:03:31
ペンションの外は相変わらず雨や風が強く、止む気配すらない。
外も辺りは全くの闇の中。
ひとまず談話室のソファーに腰を落とす17人。

『あれっ麻里子は』
前田は篠田が居ないことに気が付く。
『自分の部屋に一旦戻るって言ってた』
高橋はそう言った。
『そういえば麻里子、携帯電話のバッテリーが無くなったって一旦部屋に戻ったけど』
秋元もそう問い出す。

327プルヒッター:2013/05/05(日) 16:09:46
『そろそろ戻ってくる頃だと思うけど』
『そうね、部屋に戻って行ったきりにしては随分遅いよね』
小嶋と大島も篠田が部屋に戻っていったきりにしては随分遅いと思ったからだ。
そういえば、篠田と共に部屋に泊まった小嶋もちょっとソワソワしていたのが気になる。

『どうしたんですか小嶋さん、ついさっきからずっとソワソワしてて落ち着かんとですか』
心配をよそに横山が小嶋のそばに声を掛ける。
『私ちょっと見てくる、麻里ちゃんきっと怖くて迷っているんだわ』
『そうね、いくらなんでも部屋に行って帰ってきてもいいんだけどもいくら何でも遅すぎるよね』


小嶋と大島は何だか胸騒ぎがしたからだ。

328プルヒッター:2013/05/05(日) 16:24:45
小嶋と大島が篠田の居た部屋に行こうとしたとき突然。

『ちょっと待って』
前田が突然声を上げた。
『あのさ、さっきあの荒井ってひと死んでたハズじゃなかったっけ』
『それがどうしたのあっちゃん』
『あーっそういえば、あの荒井という人物はさ調理場で誰かに殺されたんじゃ』

秋元はふと思い出した。
『そういえば、私たちがさっき見たあの荒井は誰なの?』
『麻里子とみいちゃんと私で調理室で発見されたとこまでは覚えているんだ』
確かにペンションにいたあの荒井は死んだハズ。
なのに・・・どうして生きているんだ?

329プルヒッター:2013/05/08(水) 16:35:47
静かな談話室がまたしても大きな沈黙を包む。
そう、確かにあの荒井は何者によって殺害されたはずだ。

なのになんであの場所で生きていたんだろうか?謎が謎を呼ぶ少女たちの頭の中は
グチャグチャ状態。
あの調理場で殺害された荒井は一体何者なのか?
それとも初めから人間ではなかったのか?

秋元と峯岸はまったく雲をつかめない状態になっている。
そういえば、荒井の死体を見たのは篠田も目撃者の一人だ。
ひょっとしたら。

330プルヒッター:2013/05/08(水) 16:52:12
『にゃんにゃん、優子、私も連れてってほしい
 みいちゃんと私と・・・それに麻里子もあの荒井を見たんだから、麻里子にもし何かあったら』
秋元は小嶋と大島にそう直訴する。

『・・・・・わかったよ、才加
 私も麻里ちゃんが急に心配で・・・もしかしたらもう。』
小嶋も一刻も早く篠田のいた部屋に戻ると決心したからだ、妙な胸騒ぎを覚えたからなのだろう。

『あっちゃん、たかみな、ともちん・・・それにみんなここを動かないで。
 今一人で行動したら危険だからさ・・・・それに麻里ちゃんも身の危険が迫っている
 って事を私もびんびん感じるんだ』
大島の言葉に前田と高橋と板野は大きく頷いた。

『私も、麻里子はああいって強がっているんだけども、本当は人一倍恐がりな子だって』
峯岸もその言葉に一同はそう頷いた。

『みいちゃん、麻里子の事頼むね』
『うんっあっちゃん』
前田は峯岸にお願いを託した。
こうして小嶋、大島、秋元、峯岸の4人で篠田が戻った部屋へ2階の階段を上った。

階段を一段一段上がるたびに嫌な音が足下に響くのが解る。
嫌な音だ・・・この音を聞くたびに大島たちは嫌な気分を覚える。
階段を上り2階の客室の廊下の前に立つ4人。
2階は1階と違って薄暗いままだ。
何度この嫌な薄暗い廊下の先を歩いてきたんだろうと4人はそんな嫌気を覚える。
こうなったら篠田を捜すまで私たち諦めない、4人はそう誓ったからだ。

何度も歩いていって皆が泊まった客室のドアがある。
『ここね』
篠田の部屋の前にたどり着く4人。
ドンドンと客室のドアの扉を叩く秋元。
・・・しかし部屋からは何の反応も無い、嫌に静かだ。

331プルヒッター:2013/05/08(水) 16:59:20
まさか!!
この部屋で何か起こったのでは?急いでドアのノブを回す秋元。
しかし。

『駄目だ・・・ドアが開かない、何でだよ』
秋元の苛立った口調が2階の空間を包んだ。
『まさか、麻里子自信が鍵を掛けたんじゃ』
峯岸は嫌な予感を覚える。

『そんな、絶対にあり得ないよ麻里子に限って・・・携帯電話のバッテリーを取るだけで』
大島は慌てふためくように言う。
『麻里ちゃん、開けて皆が来たよ、ここを開けて』
小嶋も懸命に声を掛けるがやはり反応はまったく返ってこない・・・どうしよう。

『駄目だ、こうなったら皆でドアをぶち破るんだ』
扉が開かないと知った以上、ドアをぶち破るしかないと秋元はそう考えた。
4人の体当たりでドアを、2度、3度。

ようやく扉が開いた。

332プルヒッター:2013/05/09(木) 17:26:41
『麻里子!!!』
秋元が最初に部屋へと踏み込んだ。
篠田は・・・・ベッドの端のところで倒れていた。

『麻里ちゃん』
小嶋は手に唇を当てながらそう叫ぶのがやっとだった。
大島、峯岸も篠田の安否を心配しそうな目をする。

333プルヒッター:2013/05/09(木) 17:30:54
しかし篠田は目を開けない。
以前倒れたままで動かない。もしかしたら?
誰かがこの部屋にやって来て待ち伏せして攻撃をしたのか。

皆の顔が絶望の色へと変わる。
そんな。
麻里子がやられたなんて・・・
と、その時。

『ううっ!!』
倒れている篠田が呻きながら起きあがろうとした。
『麻里子、大丈夫?』
『しっかりして』
秋元と峯岸がしっかりと篠田の体を支えながら抱く。

334プルヒッター:2013/05/09(木) 17:34:26
大島と小嶋は心配そうな目で篠田の顔を見る。

『良かった〜心配してたのよ』
小嶋は心配をよそに泣きそうな顔をしながら言う。
『麻里子、大丈夫?
 怪我とかしてない・・・一体何が起こったって言うの?突然倒れたままだったから私もう駄目かと思って』
大島も篠田の事を心配しそうに言った。

『ごめん皆、心配掛けちゃって。』
篠田は心配していた皆に迷惑を掛けないように皆に謝った。

335プルヒッター:2013/05/09(木) 17:42:10
『私、一人で部屋へ携帯電話のバッテリーが切れたから部屋へと戻ったんだ。
 そして、部屋の中で捜し物をしている途端・・突然』
篠田は淡々と言う。
『誰かに閉じこめられて襲われたの?』
小嶋はそう言うが、篠田は首を横に振ってこういった。

『違うの、突然ペンションの窓から妖しげな人影がでて。
 それを見た途端私は叫びを挙げる暇もなく気絶したのよ、でも』
篠田は更に言う。

336プルヒッター:2013/05/09(木) 17:46:30
『ここってペンションの2階よ。
 だいいち人影が私のことを見て襲いかかってくるなんてあり得ない』
ちょっと取り乱したようにいう篠田。

『そう言えば。』
大島はふと横山の言葉を思い出した。
『横山も2階の窓の外で人影をチラッと見たって昨日言っていたのを覚えている
 確かに横山がそう言っていたんだ、でもさ横山以外にもその妖しい人影を見るなんてさ
 これは、ちょっと異常だよ・・・ましてやさここ2階なのに』


その通りだ
確かにここはペンションの2階、背が高い人間でも2階から見るのは到底不可能な話。
また別の人間がやって来て私たちに復讐をするんじゃないかと。

337プルヒッター:2013/05/09(木) 17:50:26
『ああ怖かった。
 そう言えばゆいはんも言っていたよ、あの妖しい人影を見たときにおかしな匂いを嗅意だ』
『その匂いって・・・まさか』
秋元は戦慄の恐怖を覚えたかのように怯えながら言った。

『うんゆいはんと同じ・・・血の匂いだった』
なんて事だ、ここにも横山と同じ目撃者がいたとは。
あの妙な血の匂いを残していったまま謎の影の正体がまた存在したとは。
これはひょっとして、私たちを教えるための警告の知らせなのか、いや解らない。

338プルヒッター:2013/05/09(木) 17:54:33
『他に襲われた相手は居ないの?』
峯岸は誰かに襲われたのか篠田に言う。
しかし、他に隠れる場所がいそうな人影は誰もいなかった。
どうして鍵がかかっていたのだろうか?
おそらくこの謎の存在がやって来て鍵を掛けたのだろうか?

『襲われた人物は居ないよ。
 とにかく私が部屋から出ようとしたとき鍵がかかっていた、部屋にはいるまでは鍵を開けていたのに』
まだ恐怖から落ち着きを見せていないのだろうか?
ひとまず部屋へと出た5人。
とりあえずここにいては怖さが増すばかりなので、ひとまず前田たちがいる1階の談話室へと戻った。

339プルヒッター:2013/05/09(木) 17:59:41
『ええっ!!!!それ本当の話』
談話室に戻って突然篠田が大声を上げて言う。
皆は口を出さず頷くのが精一杯だったようだ。

『確かにあの荒井って人は何者かによって殺されたところを
 私とみいちゃんと才加の3人で調理場で目撃したのを覚えているわ、でも』
『2階の外れのある部屋ではあの荒井は目撃したんですよね。』
柏木も妖しいとにらんでいるようだ。
どうして昨日までいた従業員が、いや狂気クラブのメンバーが殺されていてあのまま生き返った?
ゾンビでも無い限り、襲っては気はしないからなのだろうか?

340プルヒッター:2013/05/09(木) 18:02:34
『馬鹿な
 死んだはずの相手が私たちを襲って来るなんて、おかしいよ・・・ゲームの話じゃあるまいし』
板野はちょっと混乱気味だ。

『そうよね、ゾンビじゃあるまいし・・・そうなったら私たちもゾンビになっているよ』

341プルヒッター:2013/05/12(日) 15:00:06
『ねえ皆、先ほど例の実験室の部屋に行ったときに妖しげなファイルを持っていったのを覚えてる』
柏木がふと思い出したようにいう、確かに例の部屋に行ったときおかしなファイルを持った。

このファイルには様々な植物やらおかしな人物のような物が記されていた。
あの荒井って人物はもしかしたら。

『なんか不気味ね』
『このペンション自体がまるで生き物のように動いているみたい』
倉持と高城は不気味さを覚えるかのように口々と言った。
そうなんだ、ここは本当にペンションなのだろうか?
なんか誰かに見られていて不思議じゃないと皆そう思ったからだ。

342プルヒッター:2013/05/12(日) 15:04:25
だがペンションには監視カメラすら一つもついてはいない。

『そう、おまえたちは俺たちをつけているんだ』
突如談話室の背後からどす黒い声をした男が現れた。
この声は聞き覚えがある、日野だ。

いや、日野だけじゃない・・・福沢、岩下の姿もそこにあった。
『日野!!!』
前田が唇をふるわせながら言った。
『やっぱりあなたの仕業だったのね』
高橋も続く。

343プルヒッター:2013/05/12(日) 15:07:55
日野は腕を組んだまま立っていた。
大島は日野の顔を目で睨んだ。
板野も負けじと日野たちの方を睨む。

『私たちを復讐するためにここへ連れてきたわけ、そしてここに来て招待状を書いたのはあなたなのね』
大島は淡々に言ったが、日野は全く動じない。
『それに、秋元先生の事も知っていてここに来た訳なの』
板野は強気な口調で日野に言う。

344プルヒッター:2013/05/12(日) 15:10:53
『・・・・・・そうよ、俺たちは秋元康に頼んでおまえたちに招待状を書いた
 まんまと引っかかったのはおまえたちの方さ、おめでたい奴らだぜ』
それだけ言うと日野は口を手で隠しながらククッと小さく笑う。
岩下と福沢もにやりとした表情で不気味な小さい笑みを浮かべ、少女たちに視線を送った。

345プルヒッター:2013/05/12(日) 16:49:22
『やっぱり』
高橋は全てを悟ったかのようにやっと気づいたようだ。
前田、大島、板野もようやくそれに気づくのが精一杯だった

『おまえたちはこれから俺たちの手によって復讐される。
 どうだ、こんな嬉しいサプライズはないだろう、俺はこの日を境にここまで来たって事をね』
嬉しいサプライズだって。
私たちを襲ってのサプライズだと・・・冗談じゃないわ。
こんなサプライズは間違っている、こいつらは私たちの復讐のことで頭がいっぱいなんだ。
だからこんな奴らにサプライズの言葉を使うのは間違っている。

346プルヒッター:2013/05/12(日) 16:55:14
『冗談じゃないわ。
 私たちは今日までここに来たんだ、だからあなた達に復讐されるのは間違っている』
前田は怒りにまかせての大声を上げる。
『そうよ・・・敦子の言うとおりだわ、私たちは仲間よ
 ここまで来て復讐されるのはゴメンだわ、あんたたちのいいなりにはならないわ・・・それにあたしたちは
 絶対諦めないのよ!!!!』
板野も負けじと大声を上げながら日野たちを威嚇する。

『威勢がいいのは解った、しかしなそれだけでは俺たちには勝てないぜ。
 おまえたちがここまで来たのは正直驚いたぜ、新堂、風間、細田がやられたのは以外だがな』
日野は戦慄の言葉を言うように淡々と言ってくる。
一つ一つの言葉が彼女たちの胸の中にズシッと重くのしかかる。

347プルヒッター:2013/05/12(日) 16:57:55
言葉では言い表せない恐怖を覚える17人の少女たち。
だから余計なプレッシャーが少女たちの頭の中のよぎる形だ。
この男は・・・何をしでかすか解らない。
いわばこの男は相手がどうなってもいいとも思えない、なんて性格だ。

348プルヒッター:2013/05/12(日) 19:11:58
『前田、高橋、大島、そして板野。
 おまえたちだけで来い・・・そして他の奴らはここで待機していろ。
 もし変なことがあったらこの4人の命だけは無いと思え』
日野はそう宣言し、皆は福沢と岩下によってロープで手を縛られ身動きが出来ない。
彼女たちもまた身の危険が迫る。
ここから先は4人だけしかいけない秘密の場所なのだろうか?
前田は密かにそう考えたのだ。

あとの皆は残すと言い出した日野。
ああ、麻里子、にゃんにゃん、麻友、ゆきりん・・・私たちのことは大丈夫。
だからきっと帰ってくるから。
4人は日野に着いてこられペンションの奥へと足を向けた。

いよいよ最後の時が来たのか?
少女たちと狂気メンバーの最後の対決の時が来る。

349プルヒッター:2013/05/14(火) 17:40:36
歩き続けて何分かたった頃。
前田、大島、板野、高橋の4人は狂気メンバーのリーダー『日野貞夫』に
連れられてペンションの奥深くの廊下へと連れられた。
一体どこまで歩くつもりなんだ。
一体私たちはどうなるのだろうか?はっきりいってそれはわからない。

ただここまで私たちを連れてくのは相手側はよほどの自信がある。
こんな不毛なことはもう嫌だ、早く終わらせたい。
前田はそう願うのが精一杯だ、ほかの3人も表情がさえないままペンションの暗闇の廊下を歩き続ける。
焦ったらこっちの不利となる。
なんとかしてこっちの機転を利かせる逆転劇はないのか?
まだAKBとしてやることがいっぱいあるんだから。

350プルヒッター:2013/05/14(火) 18:20:12
ようやく日野の足が停まった。
ペンションの談話室から離れて役数分。

『ふっ、おまえたちよくここまでやって来たな褒めてやるぜ』
日野は口を滑らかにするように言う。
日野と一緒に居る岩下と福沢の女2人も不気味な笑みを浮かべる。
『あなた達は私たちの生け贄となるのよ』
岩下の笑みがますます不気味に見えるのが増した、この女はあの篠田と小嶋には無い恐ろしい色気の力があった。
生贄っていったい何のことだ。

私たちが生贄されるなんて、何かの間違いだわ。
『生贄されるってどういう事なの、おしえて日野』
『そうよ、わたしたちはあなたにも会ったことがないし、それに顔も覚えていない』
『顔も見るのも初めてだわ』
『冗談じゃないわ、生贄なんかされたくない、されるのはそっちよ』
4人はそれぞれ間違った事には納得できず口それぞれ言い出す。
4人の言葉を全く微動だにしていないのだろうか、日野貞夫はまったく動じない。
岩下と福沢も同じだ、このメンバーには血も涙も無いのか?
いや、むしろこのメンバーは楽しんでいる、殺戮という言葉に侵されながら楽しんでいるんだ。
我々のことを玩具のようにして。

『まだわからねえのか!!
 おまえたちは俺たちに反して逆らったものなんだ!!!それを間違ったことを
 俺は何一つも言っていない、おまえたちはこれから俺たちの手で生贄の少女となるんだ。
 フフフッこんな凄いサプライズは無いぜ。
 だからおまえたちは俺たちに復讐されるんだ、どうだ楽しいだろう』
『私はあなた達の事なんかこれっぽっちも考えてないのよ
 だから私たちはとばされた、あなた達や秋元康、それに支配人の戸賀崎にも見捨てられた
 それから私たちは世間の目にも冷たかったわ、わかる!!!!』
日野と岩下の喋りの口調が荒々しいように闇の廊下へと響く。
痛々しいくらいの声が耳の中まで大きく響く、悲痛な叫びとは裏腹に何か恨みも混じっていたようだ。

『そうよ、私たちはあなた達に見捨てられた哀れな人なの。
 これから私たちはあなた達にひれ伏すの、敦子ちゃん・・・かわいそうだけども
 ここでやられてちょうだい、我が狂気メンバーのためにも』
幼く見えた福沢も口調の喋りはどこか恐ろしさを感じる。

『・・・・・・そうはさせないわ。
 敦子たちはそう簡単にはやられはしない、あなた達が私たちを恨もうとしてもね。
 こっちはそんな権限はないわ、だいたい私はあなた達のことなんか覚えもない、認識もない。
 だからこっちが復讐されるのはおかしいわ。』
高橋も負けじと狂気メンバーの3人に食ってかかんばかりの口調で言う。
『たかみなの言うとおりだ。
 こっちはねどれだけ多くの人に認められるまでかなりの多くの時間と労力と体力を使った。
 それなのに、こうまで言った以上私は許さない。
 それにあなたたちがどれだけ頑張っても所詮私たちには勝てない、そのことがまだ解らないの』
『勝手なことばかり言って、私も大きな挫折の繰り返した。
 泣きながらも這いつくばってここまで来たんだ、だから私たちは何を言われても怖くないんだ。
 勝手な妄想をふくらませたのはあんたたちじゃない、そんなの横暴だわ』
高橋、大島、板野の3人の容赦ない言葉が日野と2人の胸に大きく突き刺さる。

『言いたいことはそれだけか!!!』
突然日野が静かに言った。
『何よ、まだいい足りないわけ日野』
高橋も負けじと言い出す。

『俺たちはな!!!おまえらが憎かった・・・俺はおまえたちの最初に選ばれるべきの人間だった。
 覚えているだろうか・・・あの組閣の時を』
そのとき前田たちはあの組閣の発表の時を思い出した。
確か、あの時の日本武道館で起きた何年か前に起きた劇場支配人、戸賀崎さんの発表があった。
私たちもその言葉にビクビクしていた。
この時、日野たちの顔はよく見ていなかった、いや見なかったのかもしれない。
そんななか岩下と福沢の顔が異様な引きつった表情を浮かべる。
岩下は声にならないくらいの叫び声を挙げようとするが、怖くて挙げようとしない。
福沢も同じだ。
やがて静かに大きな静寂にまた包まれた。

『おまえたちは覚えていないだろうか。
 俺たちはかつてここのAKBのスタッフだった、いやかつては時期劇場支配人にも選ばれる
 人材だったんだ。
 それをあの男が俺や岩下と福沢の事を』
あの男?
秋元康のことだろう・・・日野は淡々と言った。
そう、あれは4年前の真夏の日本武道館のコンサートが最高潮に達したまでの時間に遡った。

351プルヒッター:2013/05/14(火) 18:26:19
4年前の真夏の暑い都心。
AKB48のコンサートが行われた最中だった。

『ねえ今度のコンサートってさなんか緊張するわよね』
『本当、私たちこのAKBに居られただけでも幸せに思わなくちゃ駄目よ』
この姿は・・・岩下ともう一人は謎の女性?
『ねえ、岩下さん。
 最後の振り付けの動きのターン、教えてくれないかな?』
この福沢ももしや。

352プルヒッター:2013/05/14(火) 22:08:25
『ここはこうして、ああそうそう』
岩下は福沢にターンの練習を教える。
そして、岩下と福沢と一緒にいた謎の少女、他の2人とはうって違って大人の色気のイメージをも感じる人物。

『そうじゃないそうじゃないよ2人とも』
楽屋で見ていた少女は岩下と福沢のところにやって来てレッスンをする。
『ごめんなさい、私ちょっとステップを間違って』
『いいよいいよ、それよりもさ今の切れのターンをさもうちょっとこうして・・・』
少女はそういった。

少女の名は神崎麗未(うるみ)という人物である。
AKBにはいってから当初大きなカリスマ性を持つ少女だったらしい。

353プルヒッター:2013/05/16(木) 16:09:41
『麗未はやっぱり完璧主義者ね』
岩下もフフッと悪戯っぽい笑いを浮かべる。

そんな中彼女たちの当時マネージャーでもあった日野貞夫や新堂 誠たちの顔ぶれもそこにあった。
『日野さん、この子たちがきっとAKBを変えていく逸材になる存在だと思うんっすよ』
新堂は体育会系ばりの声を出すように言う。
『ああそうだな、岩下、福沢・・・それにこの神崎がきっとやってくれるはず』

『あっ前田さん』
岩下と福沢が丁度通りがかった前田の元にやって来る。
『あっあなたたち・・・初めて見る顔だけども』
そっけない前田の返事にちょっと彼女は戸惑う。

『あっそうかチームAにやって来た福沢さんだったけ、覚えているよ
 あなたのターンの切れなかなか良かったよ』
前田は福沢の踊りにベタ褒めした。
『ありがとうございます前田さん』
福沢も笑顔を見せる。

354プルヒッター:2013/05/16(木) 16:15:59
『あっちゃん、ここにいたのね・・・探したんだからもうっ!!』
板野が前田を捜してやって来た・・・板野も4年前まで当時は同じチームAの人物だった
岩下がもっともあこがれていた人物でもある。

『板野さんお疲れさまです』
福沢が板野に小さく挨拶をする
『あ、明美・・・お疲れさま、どうだった今日のライブは疲れたでしょう?』
『私は大丈夫です、それより板野さんとたかみなさんも疲れたでしょう?』
岩下は自分の疲れよりも先輩たちの事を先に優先していた。

『全然よ、私はこう見えてもタフなんだからさ』
『そうっ、たかみなって結構滑るタイプだからね』
高橋は戯けたようにいうと板野が小さくちょっかいを出す。
『ともちん、ひどいよ!!!』
『ごめんごめん、たかみな・・・でもさ無理しちゃいけないよ』
板野は優しく福沢と岩下にそう告げた。

355プルヒッター:2013/05/16(木) 16:25:35
『じゃあまたステージで会いましょう』
前田と高橋と板野はそれぞれ2人を見送ってステージの脇へと消えた。

『いい先輩だわ、決めた私あの3人の内の誰かになるわ
 きっと先輩の力になるって決めたの』
岩下は意気揚々と目標を掲げた・・・きっと先輩に同じような存在になると決めたって
福沢も岩下の後に次ぐために頷いた。

『前田さん・・・はいどうぞ』
当時スタッフで働いていた細田もその一人だった。
風間や荒井もその顔だった。
『ありがとうございます』
前田は細田からもらったタオルをもらい汗を拭く。

『いやあ君が居てくれたからこそ僕たちは幸せ者だよ、今度僕とデートにつきあわないか?』
軽いのりで言った風間がそう言う。
『そうしたいのはいいんですが・・・』
前田はちょっと困惑気味に笑みを浮かべる。

『だめですよ風間さん、前田さんたちは秋元さん言われているんですよ恋愛禁止だって言われているんですから』
『そうか・・・・いやあ残念残念』
荒井がそう言うと風間はちょっとハハハッて笑い飛ばす。

356プルヒッター:2013/05/16(木) 16:31:42
『そろそろアンコールに行きます・・・みなさん』
スタッフの一人が皆に音頭を取った。

『行くか』
前田は椅子からゆっくりと立ち上がりステージの裏へと消える。
『敦子、遅いよ』
高橋がちょっとはっぱを掛けながら前田に声かけた。

『それにしても、今やAKBも大きな存在となってきたよ』
『そうですね、これは僕たちも負けては居られない状況ですね』
『彼女たちは大舞台に強いタイプの子がいっぱいいますから』
風間、細田、荒井も彼女たちを何気に応援する気持ちが伝わったからだ。
だから3人も今は過酷なスタッフの仕事に耐えられるのだ、そんな風にひしひしと感じる今日この頃。

だが・・・そんなふうに言うのもこれが最後だと彼らはまだ知らなかった。
そうあの組閣が起きるまでは。

357プルヒッター:2013/05/16(木) 16:36:07
ライブのアンコールは今や最高潮へと達していた。
大勢の観客たちがペンライトやそれぞれ応援する者も少なくなかった。
彼女たちは全てのアンコールの曲を歌い終えた頃。
突然観客の声が嫌に騒々しくなる。

そう劇場支配人の戸賀崎が現れたからだ。
『ええっ今日は、この会場に足を運びにやって来て本当にありがとうございました。
 実は、今日はみなさんに大切なお知らせがありますので心して聞いてください。』
会場に大きな緊張が走る。
もちろんその場にいた前田たちも緊張の糸が張りつめるのが解る。

358プルヒッター:2013/05/16(木) 16:41:44
『これって組閣?
 もしかして私たちにもチャンスがあるって事か』
岩下の目がギラギラとしている。

『・・・・・チームA岩下明美と福沢玲子
 今日付けでSKEへと移籍します』
えっ!?
岩下と福沢はまだ状況が把握しきれていないようだった。
どうして・・・・なの?

359プルヒッター:2013/05/16(木) 16:44:40
『それにしたがい神崎麗未をチームAへと移籍』
戸賀崎の無情な言葉に岩下と福沢は絶望の淵へ落とされた気分を味わった。

岩下と福沢は落とされ・・・一緒にいた神崎は生き残ったという。
それを見ていたスタッフの新堂たちも驚きの色を隠せなかったようだ、だがもっとショックを受けたのは日野貞夫のほうだった

360プルヒッター:2013/05/16(木) 17:26:27
『そ、そんな』
日野の顔に絶望の色へと変わった。
一緒にやってきた岩下と福沢を名古屋へ移籍するなんて考えられなかった。
日野はまさに崖から突き落とされた気分だ。
発表された岩下と福沢はその言葉を聞いて大声で泣き出す始末・・・まだ信じられないようだった。
こんなつらい現実が彼女たちの胸を大きく突き刺さる。

その後ろにいた神崎もまた涙を大きく流した。
2人が私の前から居なくなる・・・だからその涙は堪えることはなかった。
『どうして岩下さんと福沢さんだけが』
風間もその発表に納得できないようだ・・・細田と荒井も同じ気分だ。

『でもよ・・・・なぜ神崎だけが』
新堂は何が何だか解らないまま神崎の方を見た。

『神崎・・・君が今度チームAの仲間入りだ、出来るか』
戸賀崎の言葉に神崎はただ頷くしかなかった。
涙を流したまま彼女はそうするのが精一杯だった・・・当時前田と高橋と小嶋・・篠田も彼女を迎えた。

『・・・・・そんな』
福沢はその場にヘタリと膝をがっくりついた
岩下はもう涙は無いがその目は真っ赤に染まっていた・・・・いやもう泣き尽くしたのだろうか
もう涙は出なかった。
こうして組閣の発表は終わった。
岩下と福沢はつらい現実を受け止められないままその場を後にする。
やがてライブは終わり観客は帰りの帰路へと付く


皆が楽屋の奥へ戻った頃神崎がチームAの挨拶をする。
『みなさん初めまして、今度チームAに所属する神崎麗未と言います』
新しくチームAへと移籍した神崎が改めて自己紹介をする。
同じくいたチームAの先輩たちに迎えられ大きな拍手がわき起こる

『ようこそチームAへ私が高橋みなみです』
高橋が笑顔で神崎を迎えた。
『わあ麗未ちゃん、かわいい・・・私小嶋陽菜なのよろしくね』
小嶋も同じく笑顔で迎えた・・・ちょっと恥ずかしながら。
『麗未ちゃん、私の後を次いでチームAの事よろしくね、私が違うチームへ行っても
 ともの代わり頼んだから』
『はいっ板野さん』
板野の頼もしい言葉に神崎はしっかりと受け止めた。
『おおっ君が新星の神崎麗未ちゃんだね
 私は篠田麻里子・・・辛い事いっぱいあるけども一緒に頑張ろう』
篠田がしっかりと神崎の手を握った。
握手した篠田の手は温かかった・・・神崎も笑顔で篠田に返す。

『麗未ちゃん、高城亜樹です・・・よろしくね
 私麗未ちゃんが来るって今日予感がしたんだ、一緒に頑張ろうね』
癒し系の高城も神崎を暖かく迎えた。
『あっ、あの・・・・指原です・・・・麗未ちゃん
 指原のこと好きですか?嫌いでしょうか?教えてください』
『ちょっと指原、麗未ちゃんの前で変なこと言わないでよ』
『ええっ麻里子さまひどいですよ』
篠田の妙なムチャぶりのつっこみに指原はちょっとへこむ。
神崎はちょっと大きく笑みを浮かべた・・・さっそく皆の輪に溶け込んだ。

『私は倉持明日香です。
 麗未ちゃん、長いつきあいになるけどよろしくね』
倉持もその後に笑顔を作る。
『私・・・まだみなさんの足を引っ張る可能性があるかもしれませんけども
 これから頑張りますのでよろしくお願いします先輩たち』
神崎はそう宣言した。

神崎はちょっと輪から離れている前田敦子の姿を目で追った。
なんて凄いオーラを感じるんだろう?この人には人を引きつけさせない力があるんだろうか?
神崎は自分の体から電撃が走ったかのようにみえた。
『あっちゃん、そんなところに離れていないでさ
 麗未ちゃんにほら、挨拶くらいの声を掛けてあげなよ』
篠田が前田に声をかけるも高橋がそれを制した。

『麻里子さま、この子はいつもこうなのよ・・・大丈夫
 麗未ちゃんはまだ知らないから無理もないけども紹介するわね一応。
 この子が私たちのチームの第一人者ともいえる人物の一人、前田敦子って言うんだよろしくね』
『・・・・前田さんこちらこそよろしくお願いいたします』

神崎は前田に声を掛けるが彼女は無表情のまま答えない。
『・・・・・・・えっ、ああ・・・・こちらこそよろしく』
なんか前田はちょっとよそよそしいそうに言った
『まあ初めてなんだしさ、でもねあの子は不器用ながらああ見えてもいい子なの
 ちょっと慣れるまでは大変だけども』
前田をよく知っている高橋は彼女のことをよく知っている・・・いわば当時はお互いの
盟友だからだ。
いいなあ、私もこういう盟友が出来たらなあと・・・神崎は思った。

361プルヒッター:2013/05/16(木) 17:37:52
『とにかく今日から新しいチームAの始まりだよ
 皆と共に新しいチームAを作っていきましょう、そしてこれからも』
高橋の音頭に一同は再び輪になって円陣を組んだ。
神崎は今日ほど嬉しい日はなかったとそう願った。


同じ頃
皆が帰ったあとの誰もいない会場のステージ内では、福沢と岩下の2人の姿があった。
もう涙も枯れ果てたのか放心状態のまま座り続けていた。

『どうして・・・・・どうして私たちだけ』
『・・・・・・・・・・・・』
まだ現実を受け止める事が出来ないのか?福沢はまた泣き出す。
岩下はショックを受けたままなのか、声を挙げることが出来ないでいた、あの組閣の発表で彼女たちの人生が変わった。
突きつけられた厳しい現実、それもまた現実だった。

362プルヒッター:2013/05/16(木) 17:43:12
突如SKEの移籍の発表を決められた2人。
それはAKBを離れると言う意味だった。
辛いときもあった、だからこそここに居た意味があったからこそ。

そんな風に彼女はやり場のない悲しみに満ちた。
『岩下・・・・今回は残念だったな。
 でもよ、俺はおまえたちの事をこれからも』
新堂は岩下に慰めの言葉をかけるが。

『慰めなんかいらないわ・・・なんでこうなのよ
 私たちが・・・私たちがこうなるなんて』
岩下はヒステリックに大声を上げる。
誰もいないコンサートの会場が大きく包んだ。

363プルヒッター:2013/05/16(木) 21:05:00
新堂は岩下の迫力のある声に圧倒するだけ。
後から付いてきた荒井、細田、風間もただ圧倒するだけしかない。

『こんなことって・・・私たちは一体何をやっていたの』
悔しさを押し殺しながら福沢は絞るように言う。
『私たち明日からもう・・・このAKB劇場のステージには立てないの
 それってもうAKBの活動が終わったって事なの』
岩下はまた大きなヒステリックな声を挙げる。

364プルヒッター:2013/05/19(日) 16:12:05
『岩下・・・』
風間は心配をよそに岩下に声を掛けるが、逆効果だった。
『私たち・・・・けっきょくAKBでは落ちこぼれの存在だったわけか・・・』
福沢が力無く言った。
今や2人にとっては天国から地獄へと堕ちた存在まで落ちたらしい気分だ。


『・・・・・・・岩下、福沢』
彼女たちのマネージャー的存在であった日野貞夫もその光景を見守ることしか出来なかった。

365プルヒッター:2013/05/19(日) 16:21:32
『・・・・・・・・許さない・・・・絶対に許せないわ』
落ち込んだままの岩下は怒りを大きく膨らませた。
黒い長髪を乱れ回し、メイクはもう完全に無い・・・再び怒りを増大させた

『みんな、みんな・・・・・麗未も・・・・・・・・秋元康も・・・・そして
 なにより私たちの仲間を奪ったAKBの奴らも』
完全に岩下の怒りはピークを超えた
もはやアイドルという肩書きの欠片はもうない・・・これからは全部の恨みをAKBにぶつける
ために。
こうしてかつてAKBにいた岩下明美と福沢玲子は完全に死んだ。

これからは虎視眈々とAKBに復讐の時を迎えながらAKBの元へ離れた。
それから移籍先のSKEになじめずわずか3日程で完全にアイドルも止めた2人。
さらに彼らには悪い現実が突きつけられた。

366プルヒッター:2013/05/19(日) 16:29:33
ある秋の寒いなかただ一人日野が戸賀崎に呼び出された。

『戸賀崎さん話って言うのは?』
日野は戸賀崎の顔を見る。
『日野、いやあこういっても辛いと思うけどな実は・・・・』
日野はとまどいを隠せない。
『おまえに時期支配人の看板を背負ってもらおうと思ったんだけども、運営の方に
 ドタキャンされたって話を聞いてね、残念ながら今回を持ってAKBの運営を離れてもらうって話が付いたんだ
 辛いと思うが、これも話し合いで決めた事だ』
申し訳なさそうにいう戸賀崎の言葉に対し、日野もまた戸賀崎の無情な言葉にショックを受ける。


『そ、そんな・・・・・どうして戸賀崎さん。
 俺を時期支配人候補を選んだ理由は、いままで一体なんだったんですか?』
『・・・・・・いまや岩下と福沢もアイドルを止めて
 自分の道を歩んでいるんだ、だからこれは我々が下した決断だったんだ・・・まあ仕方がないとはいえ
 仕方がなかったんだが、こればかりは』

『・・・・・・・・・・そんな』
『話は付いたようだ・・・・そんなわけで話はここまでだ』
日野は戸賀崎に方を小さく叩かれながら部屋を出てった。
日野にも絶望の漆黒の色が変わった・・・・もうAKBの方にいられないと解った
日野にも復讐の怒りが燃えた。

367プルヒッター:2013/05/19(日) 17:33:02
そうして今までの日野貞夫は全て捨てた
そう、地位も名誉も全て全部・・・AKBの復讐を待ちながらAKBの場所を後にした。
今までの日野貞夫をそこに置き去りにしながら。

日野はそうしてアイドルを止めた岩下と福沢を呼びだし、後に止めたのだろうか?
新堂、風間、細田、荒井の4人も呼び出した。
『俺たちは負け犬じゃない・・・解っているだろうな、俺たちは負け犬じゃないって事を』
他の6人もそう頷く・・・だからこそ1年ぶりに再会した。

こうして狂気メンバーという狂気クラブの活動が始まった。

368プルヒッター:2013/05/19(日) 17:38:07
日野がペンションの外れの部屋の前にたどり着く。
そう、最初訪れた例のあの開かずの間の扉の前だった。
日野がゆっくりとノブを回す。
いままで開かなかった開かずの間の扉が遂に目の前に姿を現す。
4人が日野や岩下、福沢に連れられて開かずの間の部屋へと入る。
そこには異様な光景だった。

369プルヒッター:2013/05/19(日) 17:39:40
日野がペンションの外れの部屋の前にたどり着く。
そう、最初訪れた例のあの開かずの間の扉の前だった。
日野がゆっくりとノブを回す。
いままで開かなかった開かずの間の扉が遂に目の前に姿を現す。
4人が日野や岩下、福沢に連れられて開かずの間の部屋へと入る。
そこには異様な光景だった。

370プルヒッター:2013/05/19(日) 17:42:05
『何ここの部屋は』
むせかえる焦げ臭い部屋の匂いだった。

『ここは・・・あいつの部屋だ』
あいつって一体何者か?
『そうここは麗未の部屋・・・・私たちはずっとここで麗未の帰りを待っていたのよ
 だからこそあいつを許せなかったのよ』
岩下は唇をふるわせながら言った。

371プルヒッター:2013/05/26(日) 19:37:55
『麗未って・・・まさか!!!』
虚をつかれたかのように高橋は驚く。

そう麗未はあの・・・・当時福沢と岩下と一緒にいたかつてのAKB48の
メンバーの一人だったのだ。
ようやく確信をもった高橋と前田。
でもどうしてここの部屋だけがこんなにすすだらけなのか?
疑問にも感じたからだ。

372プルヒッター:2013/05/28(火) 14:21:35
『そう、俺たちはあいつを許さなかった。
 いや許せなかったのさ、みんな奴の言いなりになって働いていたんだ。』
『本当に麗未は幸せ者よね、こんなかわいい女が切り捨てられるとはね』
日野と岩下が声をそろえながら言った。
4人の背筋から妙な寒気を感じた。
こんな風にどうして言えるんだ?神経がおかしいのではないだろうか?

『敦子ちゃん、聞きたい』
福沢は冷淡な言葉に耳を貸そうともしなかったが、それも出来なかった、いや出来なかった訳じゃない
どうしてこんな風になったのか前田は意を決して福沢の言葉を耳に貸した。

373プルヒッター:2013/05/28(火) 14:23:55
高橋は小さく頷いた。

『いいわ、私たちの悲劇の続きを話すわ』
福沢と岩下の悲劇の続きが始まった。
再び時間は4年前の日に遡った。

374プルヒッター:2013/05/28(火) 14:37:23
同じ頃前田たちが例の開かずの部屋に行った後。
篠田たちは一刻も早く前田たちの救出へ向かう。

『才加、このままじゃ身動きがとれないわなんとかしてあっちゃんやみなみ達を救出しに行かないと
 あいつら日野の餌食になるわ』
策もない篠田の絶望の言葉が秋元に突き刺さる。
『・・・・しかし、どうやってさ
 現にこっちは何も武器も残されていないんだ・・助けに行くにしても返って逆効果だ』
他の皆も後ろ手にロープで縛られていて身動きがとれないでいた。

『才加、絶望しちゃ駄目だよ
 私たちはAKBなんだ、こんなところで諦めてたら私たちだけじゃなくあっちゃんたちも助からないよ』
宮澤が秋元にちょっと渇を入れる。
他の皆も頷く。
北原が縛られながら何か言おうとしていた

『佐江ちゃん、私のズボンのポケットにカッターナイフが入っている。
 それをとって縄を解いて』
小さな小声で言っているが、北原は必死だ。
言うまでもなく宮澤は腕に縄を縛られながら北原の方へと向かう。
北原の背後に背を向ける宮澤、他の皆も固唾を飲む。

『佐江、早く・・・時間がないわ、早くしないと敦子達も』
秋元がせかすような言葉で宮澤に言う。
しかし、北原のポケットになかなか手が入らない・・・だが一度深呼吸しながらもう一度北原のズボンの
ポケットに左手に触れた。
・・・堅い物が何か手応えを感じる物を覚える。
そーっと指に入れる宮澤。
カッターだ。

『佐江ちゃん、見つかったのね・・・良かった・・・・それを使って早く皆の縄を解いて』
柏木は安堵の表情を浮かべる、そう頷く宮澤。
まず宮澤が後ろ手にカッターナイフを縄にゆっくりと当て、のこぎりのように縄を切る。

375プルヒッター:2013/05/28(火) 14:49:33
『佐江はやく!!』
河西が心配しそうに言う、宮澤も焦るばかりか縄を切るだけで精一杯だ。
他の皆も心配している。
ようやく縄が切れそうだ・・・そして。
・・・・縄が切れた。

『よしっ!!!!皆待ってて、このカッターで今縄を解くから』
ようやく自分の両手が自由になった宮澤、急いで皆のメンバーの縄を切る。
両手が自由になってホッとする少女達。
秋元の縄をようやくカッターで切った宮澤。

『ありがとう佐江、これで自由になったわ』
『礼ならあとだよ才加・・・そんなことより早くあっちゃんや優子達を助けに行こう』
そう、お礼を言うのは後回しだ。
私はそう才加に言う・・・この後はきっちり佐江のことを守ってほしいんだから。
宮澤は小さく笑みを浮かべる。
皆はすぐさま談話室を後に2階の続く部屋の方を見上げる。

『前田さんはどこに行ったんだろう』
柏木は皆の行きそうな場所を見当が付かないままだった、ちょうどその時渡辺が柏木のTシャツの裾を小さく引っ張る。
『そういえば、私、あそこだと思うんです前田さん達や日野達が行く場所は』
渡辺の頭の中に天明の光が表す。

『麻友、どこだか解るの?解るなら教えてちょうだい』
柏木は渡辺にせかすように言う。
『ゆきりん落ち着いて・・・私このペンションで優子ちゃんと一階のトイレにつきあってほしいと頼んだ日
 ちょうど便所に行き終えた後、ふと例の開かずの間に足を向いたんです』

376プルヒッター:2013/05/28(火) 15:13:47
皆は渡辺の戦慄の言葉に大きく頷く。
『で、麻友も佐江ちゃんと同じようにそのドアを開けようとしたの?』
人一倍心配していた柏木は渡辺にいうが。

『ゆきりん、まだ麻友の気持ちを知らないの?
 彼女はね何かと皆の力になりたかったのよ、だからあんな無茶な行動を起こしたんじゃないの
 私だって麻友と同じだったって事よ』
宮澤の容赦ない言葉に柏木の目から一筋の涙が流れた。

377プルヒッター:2013/05/31(金) 23:41:38
『ごめん麻友・・・・解ってもらえなくて、私、私』
柏木は泣きながら渡辺の小さな体をそっと優しく抱いた・・・渡辺も泣いては居ないが
柏木の体をそーっと優しく抱いた・・・蟠りが解けたのだ。

『いいの・・・・ゆきりん・・・ゆきりんだって辛い思いしてきたんだから
 私も麻友も同じだよ・・・だから一緒に前田さん達を助けに行こう、ゆきりん』
『・・・・・そうね麻友』
2人は決意を新たに前田達の元へとゆく。

『ああっおいっちょっと待ってよ・・・・2人だけで行くなんて危険だぞ』
『いいっていいって、ゆきりんとまゆゆは強くなったんだ・・・こうしちゃいられないよ才加』
おせっかいをやく秋元とは対照的に宮澤は2人をかばった。

『・・・皆、しっかりと立って
 あっちゃんたちの後を追うわよ・・・そして佐江たちや麻友たちをしっかりガードしないと』
篠田の頼もしい言葉に皆は大きく頷いた。
一度絶望し掛けたチームワークがまた再び取り戻そうとしている。
これからが本当の勝負・・・待っていなさい日野。
篠田達は前田達の遅れを取り戻すかのように皆と一緒に談話室を後にする。

378プルヒッター:2013/05/31(金) 23:49:37
少女達は歩いた。
薄暗いペンションの廊下をただひたすら歩いた。
柏木、渡辺、篠田、小嶋、峯岸、秋元、宮澤、河西、北原、指原、高城、倉持、横山
13人はひたすら歩いた。

やがて2階の階段を上がり上り終えた。
もはや日野や前田達の姿はない、先へと進んだのだろうか?しかし迷っている暇はない
今彼女たちに怖い物はないのだから・・・徐々に力強さがひしひしと大きく入る。

相変わらず外は強い雨風の音が大きく聞こえた・・・今にも窓ガラスが割れそうな雰囲気を見せている。
が、そんなことは今は考えている暇はもう無い。
一刻も早く前田達のところに行かないと、日野や岩下、福沢に何をされるか解らない。

しかしどこにいるか解らない・・・だが渡辺の言った言葉に皆は大体行き先の見当はついていた。
そう、私たちがこのペンションを訪れてずっと入れなかったあの開かずの部屋。
足は開かずの間へと向かっている。

379プルヒッター:2013/05/31(金) 23:56:34
皆が歩き続けている中、一人足を止める。
小嶋だ。

『ねえ、あの扉の下にさ何かイニシャルみたいなものが掘られてあるの覚えている?』
イニシャル?
そういえば、あっちゃんたちが先にそのことを話していたのを覚えているのを聞いた。
K,R
開かずの扉の下にはそう彫られていたのだ。
このK,Rは一体誰のことなのだろうか?

『それってたしか?』
倉持は思い出そうとしているがなかなか出来ない。
『私たちがチームAに初めてやって来たあの子のことかな?』
高城も何となく思い出そうとしている。
『指原もですよ・・・K,Rを見た途端だれかの人物だったって事を思い出したんで』
指原もそれに続く。

『それってもしかしたら・・・あのチームAに有望株の一人の』
秋元もだんだんと思いかけてきたようだ。

『・・・・・・・神崎麗未・・・・・・』
皆が大きく声をそろえて言い出す。

380プルヒッター:2013/06/01(土) 15:37:41
皆が虚を付かれたような顔をした。
そうあの・・・・・かつていた神崎がここのペンションの一員だったなんて。

嘘とは言い難かった、皆はそう信じられなかった・・・いや信じようとしないでいた。
『神崎ってチームAに組閣発表の後に入団したあの子』
宮澤はチームは違ったが、何となく見覚えがありそうな顔をする。
『・・・・・そんな』
河西はまだ信じられないようだ、かつてのAKBが狂気クラブのメンバーの一人だったとは。

『そういえば!!!』
北原もふと何か思い出しそうな顔をしている。
『あの時の組閣の発表の時に・・・あの2人の顔を見た覚えがあるよ私・・それに例の神崎も居た』
あの2人とは。
おそらく組閣の発表で一番人生を変えられた岩下明美と福沢玲子。
・・・・だが、2人の顔は全く身に覚えもなく知らない人も多かった・・・ずっとAKBに居続けた前田達さえも知らないと思ったからだ。

『里英ちゃん、あの2人ってもしかしたら』
篠田はようやく2人の顔を認識できた。
『あの・・・・私たちが入ってきた神崎麗未だったの?それじゃああの岩下と福沢もかつては・・・・私たちの仲間だった訳?』
篠田はまだ答えが手探り状態のままだったが・・・徐々に思い出せそう。

『おそらくそうでしょうね』
北原はそう言う。
『あっ、そういえば・・・解らなかったけどもあの神崎って子、よく岩下と福沢の2人に徹底的に教えていたのを
 指原は覚えています、私見たんですから』
どうやら指原はあの岩下と福沢の一部始終を見ていたようだ、それに神崎の事は知らなかったけども思い出す節があった

『そういえば、あの神崎は、よく秋元先生に期待を持っていた人物じゃない
 あの子はきっと大きな存在になると言われていたもん、だから私直接話したことも無いけどもスタイルは良かったよ』
早口で話し出す峯岸。
それぞれ神崎の伏線が一本一本繋がっていった

『でもそれだとしたら岩下と福沢もこのままAKBに残っていたハズなんじゃ』
高城はそう言う。
『・・・ところがさあの2人は戸賀崎さんにSKE移籍を発表させられたんだ
 あの2人にとっては嫌な味わいを受けたんじゃないかな・・・だってあのSKEに移籍させたのは何か意味があるんじゃ』
北原は淡々と言う・・・SKEはあのかつての北原と指原の地方組の同僚、中西優香がいる。

『あの〜今喋っていて申し訳ないんですが・・・私はちょっと』
ひとり引き気味の人物が居た・・・横山由依だ。
『そりゃだってしょうがないよ、あのときまだ横山はAKBに入ってからはまだ
 研究生の一角だったから・・・真実を知ろうにも無理があったよ』
指原は横山に諭されるように言った・・・あの時の組閣発表にはまだ横山由依の顔も無かったからだ。
あの時の横山はまだ研究生の一人だったから、本当の真実を知るのはまだ出来ないで居たからだ。

『皆さん覚えてはりますか?
 あの時前田さんが見つけた例の女性の写真の後ろ姿を・・あの後ろ姿こそ例の皆さんの言っている
 神崎さんじゃなかろうかと思うんですけど』
たしかにあの時、後ろ姿の写真を拾ったのを覚えた形跡がある。
でも、あの時の手に持っている花は・・・・弟切草

381プルヒッター:2013/06/01(土) 15:45:11
『そういえば素顔を知っているのはチームAに居た人だけだった
 でも・・・本当に話したことはあまり無いし・・・練習も一人でずっとやっていた、だから素顔をあんまり
 覚えていないんだ私たち・・・だから私たちの記憶も大きく外れていたんだと思うの』
『よく一人で練習していたし、自主練習もレッスンも一人でよくやっていたんだ
 声を掛けようとしてもなかなか出来なかったんだ』
小嶋と篠田は同じチームAの一員だったけども・・・神崎の素顔はほとんど見て居ないそうだった。
初めて素顔を見たのはあの初顔あわせの時しか覚えていない2人。

『そういえば、あっちゃんやたかみなも神崎のことはあまり多く語らなかったよ
 でもどうして何だろう?ずっとAKBにいるたかみなとあっちゃんがそんなに神崎の
 事を語ろうとしないなんて』
倉持は前田と高橋も知らないエピソードをここで知る事となる。

382プルヒッター:2013/06/01(土) 15:51:31
皆はまたシーンとした
だがそれを打破したのが意外にも横山だった

『おそらく皆さんがきっと神崎さんを知らないのは、秋元先生の意志だと思うんですよ
 だって秋元先生はようやく本当の原石を見つけただと思うんですよ・・・だから
 あえて神崎さんの事はあえて皆さんは知らないで居た、いやむしろ記憶が無かったんじゃないでしょうか?』
どうやら横山が真実を告げたようだ。
なんて事だ・・・本当の原石を見つけるまでにずっと秋元先生は私たちに本当の事を告げなかったんだと思う。
あえてそれを言ってしまえば彼女は大きく伸びない。
だから真実を伝えたらそれこそAKBには居られない。
そう言う選択の余地を与えたからだった。

383プルヒッター:2013/06/01(土) 16:00:59
『由依の言うとおりだったよ
 私たち、何にも知らなかったんだ・・・結局秋元先生が私たちに真相を告げるのを恐れていたんじゃない
 もっともっとAKBを盛り上げていこうと言う意義があってこそ神崎の事を言わなかったんだ』
秋元は横山の言葉に大きく胸を打たれた。
こんな後輩が私たちに真相をいち早く見つけていたなんて。

『・・・・もちろん
 私たちが最初に招待状を記していた18番目の・・・・少女って』
河西は唇を振るわせながら言う・・・今にも泣きそうな河西。

『・・・・・神崎の事だったのね』
宮澤はキッパリ言った・・・そう皆も解っているように18番目の少女は忘れられた少女
神崎麗未だったのだ。

384プルヒッター:2013/06/01(土) 16:10:19
『・・・・可哀想
 神崎さんが私たち18人目の少女だったなんて』
柏木は目にまた涙をためながら言う。
『本当にそうですよね・・・神崎さんが生きていれば・・・私たちの仲間だったのに』
渡辺も柏木の涙を後押ししたのだろうか?
彼女にも目に涙が溢れているのが解る

『ごめん・・・神崎、今になって覚えるのが遅れたよ』
篠田は申し訳なさそうに2階の天井を見上げていた。
小嶋も同じように天を仰ぐ・・・やっと彼女の存在を知った事に後悔を受けながら。

『麻里子、神崎はきっと解ってくれるよ・・・私たちの事を見てくれているんだから』
秋元はそーっと篠田の肩を優しくポンと叩いた。
とその時。

「ミナサン・・・・ヤットオボエテクレタノデスネ」
誰だ・・・一体この声は
皆の頭の中に美しくとても綺麗な声がする女性の声がした。
「ワタシガ・・・・カンザキレミ・・・・・イヤ・・・・ウルミデス」
うるみ?
レミじゃなかったのか?

385プルヒッター:2013/06/01(土) 16:12:42
『その声は・・・・神崎さん』
柏木はそう言い聞かせてた・・・ようやく話が見えた柏木。
『えっ?ゆきりん聞こえるの・・・・・あっ私の頭の中にも響いてくるのが解る』
渡辺はまるで不思議な世界にいるように神崎の声を聞き取った。

386プルヒッター:2013/06/03(月) 17:57:57
「ソウワタシガ・・・・カンザキウルミ・・・
 オヒサシブリデスミナサン・・・ワタシガ・・・カツテチームエー二イタ」
『神崎・・・私を覚えている?
 チームAの篠田麻里子・・・にゃろ・・いや、小嶋陽菜もいる・・・・それにあっちゃんとみなみも皆いる』

篠田の必死の呼びかけに神崎はどう応えるのだろうか?
・・・・しかしなかなか呼びかけようとしない・・・・諦めたその時。

「シノダサン・・・・マエダサン・・・・タカハシサン
 エエ・・・・・・・オボエテイマスヨ・・・・・・アノコロハタノシカッタ」
声だけしかしない神崎の声が薄暗い2階のペンションの廊下に響く。

『ねえ、答えてちょうだい
 あの神崎はさ、どうしてAKBに入ったの?それを私は知りたいんだ』
峯岸は必死に答える。
『あの岩下と福沢はいつも一緒だったの?神崎・・・答えてちょうだい』
宮澤も峯岸と同じように声だけしかしない神崎に必死に問い掛けてくる。

「・・・・・・・・・・・・・」
しかし、神崎は何も答えない。
よほどあの2人の事を恐れているのだろうか?何も答えようとはしない。

387プルヒッター:2013/06/06(木) 14:38:37
『神崎、教えて・・・あの岩下や福沢に何かされたの?』
小嶋は答えた・・・すると。

「ソレヲイワナイトイケナイトンデスカ」
『そうよ、私たちどうしてか知りたいのよ・・・・大丈夫
 もう安心して、だから神崎は何も怖がる事なんて無いんだから』
宮澤は先ほどよりも大きな声で神崎に言う。

「コウカイスルコトニナルカモシレマセンヨ」
『私たち後悔なんてしません・・・それで後悔なんてしたら私たち
 AKBじゃないです、怖い事なんてないですから』
ずっと黙り込んでいた渡辺も意を決したかのように神崎の心の声を辿った
『麻友の言うとおりよ、神崎さん
 私たち後悔するまで驚くなんて言いませんから・・・真実を教えてください』
柏木もその後を続く。

388プルヒッター:2013/06/15(土) 00:33:14
『で、あなたの写真を今拾ったんだ
 そして、その黄色い花は弟切草って言うけど・・・一体誰に復讐するっていうのよ』
混乱気味の秋元は懸命に答える。
『岩下、それとも福沢・・・私たちなの?』
倉持も懸命に答えるが・・・神崎の声はなかなか返ってこない。

「ソウ・・・・ワタシハアノヒトガニクイノ・・・イヤアノヒトタチガニクイノヨ」
また神崎の声が闇の中へと響き出す。
『あの人達って秋元先生達のこと?』
『そんな・・・・』
北原と横山も不安を抱いてまで問い掛ける。

389プルヒッター:2013/06/21(金) 16:40:05
『あの人達って秋元先生のことなの?』
高城もそれに続く。
『そんな・・・秋元先生がそんなことするなんて』
渡辺はまだ信じられないままの様子だ
『神崎さん・・・真実を知っているの?
 それを教えてほしいの、お願い・・・私たちもそれを願っているの』
神崎にお願いする柏木、しかし何も答えない神崎。
空間はエコーのままだ。

390プルヒッター:2013/06/21(金) 16:47:01
しかし答えない。
まるで日野たちの事を恐れているようだ。
・・・・やがて。

「ニクイノハ、アノヒノサダオ・・・ソレトシンドウタチガニクイ」
神崎の声はそうはっきりと言った。
今度は嘘じゃない・・・そう思った皆は納得の表情だ。
『日野が・・全ての元凶だったのね』
『じゃああいつらが神崎を』
『神崎を追いつめたのね』
『酷い・・・・』
篠田、秋元、小嶋は口々と言う。
渡辺はあまりの出来事に涙を浮かべながら言った。
『でも神崎さんは・・・どうして日野達の事を憎んでいるんですか?
 日野達の事を復讐するのを考えていたのですか?それが私たちにはまだ解らないんです』
話を割ってはいる横山も加わった。

『横山・・・』
指原も力無く横山に問い掛ける。

391プルヒッター:2013/06/23(日) 16:04:43
「ワタシハヒノトシンドウタチガユルセナカッタ・・・アノジケンガオコルマデハ」
暗闇の中・・・神崎の告白が始まる。

392プルヒッター:2013/06/23(日) 16:20:02
それは4年前の秋頃に大きく時間が遡る。

神崎がチームAに入ってきて早1ヶ月の頃だ。
いつものように1人自主練習を行っている神崎麗美。
練習の成果を見に来ていたのか・・・戸賀崎と秋元が神崎の姿を見ている。
『秋元先生・・・神崎の動きはどうでしょうか?』
支配人の戸賀崎が神崎の踊りを見て秋元に尋ねる。
『彼女には何か大きな力とオーラが見える・・・それに今後のAKBの未来を背負う
 大きな力となってくれるハズだ』
『は、はあ・・・・そうですね』

秋元と戸賀崎の言葉に全く耳を貸さずに神崎は1人踊りのステップの練習を続けている。
彼女はストイックな部分を大きく見られ・・・時期エース候補の1人と秋元は大きな期待を
寄せていたのだ。
秋元もきっとそんな風に神崎の力を見ていた。

『神崎・・・それくらいにして一休みしたらどうだ
 一日踊ってのレッスンは辛いだろう?』
支配人戸賀崎は神崎にそう言った。
『ありがとうございます・・・戸賀崎さん』
神崎は笑顔を浮かべて戸賀崎に礼の言葉を言う。
彼女の笑顔も支配人にも気持ちが伝わっていたのだ

『俺は劇場に戻るけど・・・練習もいいが少しは体を休めておけ
 お前1人の体じゃないからな』
『はい』
戸賀崎はレッスン場を後にして劇場に戻った。

『神崎・・・・君はこれから
 大きな壁にぶち当たっていく運命となる人物となるだろう・・・しかし案ずることはない
 君には大いなる未来と未知なる力を秘めているだろう、これからもよろしく頼む』
秋元の不思議な言葉に神崎はまた新たな使命を任された。

393プルヒッター:2013/06/30(日) 17:31:46
私が・・・これからのAKBの未来を担う中心人物か。
そう思って聞いた神崎、立ち止まっている場合じゃないんだ。
これは私が秋元先生にくれた最大のチャンスなんだ・・・私がこれから皆の
足を引っ張ったらだれがAKBを守っていくんだろう。

神崎は再び決意を新たに再度1人自主レッスンの練習へと戻った。
秋元は神崎の元へと去ったあと・・・1人劇場に戻っていたはずの戸賀崎が。
廊下の長椅子に座っていたからだ。

『戸賀崎・・・・戻っていたんじゃなかったのか?』
『・・・ちょっと、神崎のことをしんぱいしていたものですから。
 それにあいつは・・・・きっと大きな存在になっていくのですから私も本当に鼻が高いですよ。
 あいつはこの先・・・我々を超える大物になる。
 そう信じてるんですよ』
劇場支配人の戸賀崎は人一倍
神崎麗美の事を期待をしていたからこの場に残ったと言ったのだ。
秋元康もそんな風に寄せていたからだ。
だからこそ彼女は困難にぶつかっていく・・・そんな大きな逸材だったからこそ秋元の目は神崎に停まったのだ。
これから大きくつけていけば
いつかは前田敦子と高橋みなみの3本柱のエースが誕生する。
そんな期待を膨らませていたからなのだ・・・・秋元康はそう断言する。

『彼女は褒められて伸びるタイプではなく
 むしろ、叱られて伸びるタイプでもない・・・ある意味困難を乗り越えてこそ
 伸びるタイプだろう。』
『じゃあ・・・彼女はやがて』
『そう、やがては前田と高橋を超える逸材になると
 信じているんだよ・・・これは私の自己満足でしかないけどね』

394プルヒッター:2013/07/21(日) 15:08:20
『これは楽しみになってきましたね。
 私もあいつの成長を期待して安心してみられますよ』
戸賀崎支配人も絶対の笑みを見せる。
秋元も同じように笑みを見せた。
この子はやがていつかは大きなAKBの未来を変えてきてくれるに違いないとそう思った。
・・・・が、その未来はやがて脆くも崩れるとは2人とも知るよしもなかった。

395プルヒッター:2013/07/21(日) 15:19:25
いつものようにレッスンを終えて帰宅する神崎。
夕闇の夜の町を1人歩く神崎。
いつもなら人の多い住宅街の町並みに人がいるにもかかわらず、今日は妙に寂しい
何者かがそれを拒んでいるかのようにみえた
突然、神崎の足の歩みが停まったからだ。

『そ、そんなあなた達は』
まるで虚をつかれたかのような顔をしたのか?
神崎の目の前には・・・あの福沢と岩下の姿があった。

396プルヒッター:2013/08/11(日) 16:41:43
福沢と岩下の2人は腕組みしながら神崎の方を見た。
彼女たちはあれからすぐにAKBからSKEに移籍した後、3日後に自らすぐに脱退を申し出たのだ。
虚をつかれたように岩下と福沢の顔を見る神崎。

どうしてここに。
『久しぶりだな・・・・・・・・神崎』
そしてまた聞き覚えのある男の声がした。
そう、彼女と一緒にマネージメントをプロデュースした日野貞夫の姿が。
一瞬眼鏡の奥の目が野獣のようにキラリと光るのが見えた気がしたからだ、彼女の目に相当な危険な匂いを感じたからなのである。

『どうだ・・・・相変わらずアイドルに精を出しているそうだな、神崎』
得意げに日野は言う。
『私たちを出しおいて・・いい思いしているご様子ね』
岩下の喋る声が妖しく見えたことを神崎は見逃さなかった。
『麗未ちゃんは・・・幸せ者ね』
福沢はそんな神崎に負け惜しみの言葉を投げかける。
そんな、人がこんなに人格を変わるなんて・・・あり得ないことだわ?あれから何ヶ月が経っているのに。
こんなに人が変わるとは・・・神崎はいつもそこにいる3人の姿を見て思った。
もう昔の3人の姿はどこにも居ない・・・・いや、むしろ何かに取り憑かれて居るかのような物だった。

怖い。
私を待ち伏せていたかのように彼らは私の方を見る。
『ふっ、神崎。
 俺はお前のおかげで全てを失った、あの時のコンサートの後、岩下と福沢はすぐに名古屋へと移籍された。
 それだけでは無かった、その後俺は劇場支配人の戸賀崎に呼ばれ劇場スタッフを解雇されたんだ。』
日野の宣告の言葉は更に続いた。

『わかるか神崎、俺たちはお前に全てを失ったんだ。
 だから俺はお前を許さない、いやAKBだけの奴らではない・・・支配人、そしてあの秋元 康にすべて
 復讐するために俺たちは動き出したんだ。』
『・・・・・そう、日野さんはね私たちの事を救ったのよ
 だから私と福沢さんもその話に乗ったの・・・・それでいま貴方の前に現れたわけ』

397プルヒッター:2013/09/29(日) 17:18:15
話が見えない。
この人達はどうしてこんな風になってしまったのだろうか?
たった1つのことでこんなに人は変わってしまうのか?
もう信じられないくらい、神崎は理解できないままだろうと思ったからだ。

『さあ神崎・・俺たちの道具となって礎になってくれ
 お前は俺たちの道具として手足足取りとして使ってやるぜ』
怖い。
神崎は足がすくんで動けなかった・・・危険な匂いが漂ってくる。
神崎は急いで足早に逃げようとしたところ。

398AKB大好き:2013/12/22(日) 22:48:28
続きがきになります!
頑張ってください!

399プルヒッター:2014/01/11(土) 02:15:43
「お断りします!
 私は今、この活動に掛けているんです、あなた達とは
 決して道具にはならない」


神崎は強く言った、相手の道具にはならない!
このまま人生を壊されるのは、あってはならないこと

400プルヒッター:2014/01/11(土) 02:20:37
神崎は強く言った

「いい気になるな!
 ちょっと前田敦子に太鼓判を貰ったからと言って
 調子にのるんじゃねえ!俺はお前が道具になるのが
 始めから選ばしものなんだ」

401プルヒッター:2014/01/13(月) 22:56:33
日野貞夫は吐き捨てるように強く言った
そして、その3日後
神崎は謎の変死をとげる

秋元康と戸賀崎支配人は驚きの色を隠せない!
大事な原石の逸材を日野にうばわれたのた
その後、神崎の事は17人の少女には知らせずに隠した

402プルヒッター:2014/01/13(月) 23:14:19
「そこまでよ!
 話は全て聞いた!あなたが神崎を殺したのね」
開かずの扉が勢いよく開いた

「麻里子さま」
「無事だったのね」
たかみなと敦子が安堵の表情を見せる、他の皆も無事だった

「お前ら、どうやってここを」
日野は麻里子たちの突然の出現に一瞬たじろいだ
「この野郎」
日野が答える前に秋元才加の拳が日野貞夫の顔面に炸裂
日野は大きく吹っ飛んだ!

「何をする」
日野は少女たちを睨み付ける
「まだ分からないのか!自分がしたことを」
「あたし達に復讐するのをね」

佐江ともっちぃは日野に喰ってかかる

403プルヒッター:2014/01/13(月) 23:27:21
「私達の大事なものを奪ってまで」
「しかも、秋元先生を侮辱した」
小嶋と峯岸が日野に言葉を浴びせる

「そんな人が私達の人生だけでなく」
「AKBを奪うんですか!」
「もう、許せない!」
柏木と麻友と河西も続く

「あなたは人間じゃない!卑怯者よ」
「こんなに頭の悪い人とは思っても見なかった」
「そうだそうだ」
「大の男がうちらに侮辱するのは許せないで」
高城、北原、指原、横山も怒りの表情を見せた

404プルヒッター:2014/01/13(月) 23:38:28
皆の怒りの表情に一瞬、敦子は隠し持っていた例のノートを床に落としてしまう
「そのノートは俺の」

落としたノートに目を向けた日野 余程大事なものだろう
「返せ」
日野はノートを力ずくで奪おうとする

「敦子、こっちへ」
たかみなが返事をする ノートはたかみなとの手に渡った
「貴様」
今度は麻里子の手にポーンと投げ渡す

篠田は開かずの部屋の窓の側にいた、今にも崩れそうな壁だ
「このノートがあなたの大切なのは分かった!
でも簡単には渡せない」

405プルヒッター:2014/01/13(月) 23:51:07
「やめろそのノートは」
日野は篠田の持つノートをひったくろうとする

しかしノートは硝子のない窓から勢いよく飛んでいってしまう
「ああっ」
ノートが闇夜の外へ飛んだ

「俺の、俺のノートが」
無理にノートを取ろうとした時、ペンションの一部の壁が大きく崩れていった
「危ない」
篠田が声を掛けたときにはすでに遅かった
日野はバランスを崩しペンションの二階から落ちた

「あああああああああああっ」
日野の体が闇夜の宙を舞う、前田も見守るしかなかった
ドジャと大きく地面の叩きつける音がした

406プルヒッター:2014/01/13(月) 23:59:48
「き  狂気   クラブは 終わる    のか」
地面に激しく叩きつけられた日野はもう虫の息に近かった
口からは大量の血を吐いていた

「くっ      AKBは」
それが日野貞夫の最後の言葉だった
日野貞夫‥‥‥AKBを復讐する計画
だがそれも無情に終わり不幸な男だった

407プルヒッター:2014/01/14(火) 00:10:51
「そんな」
岩下はショックを隠せない
福沢も同様なまま


「ねえ」
前田が2人に声を掛け陽とした途端
「うわあああああ」
ヒステリックに声を上げる岩下は勢いよく開かずの部屋を飛び出した!
皆も後を追う

「岩下、どこ」
「たくどこ行った」
板野と篠田は探したが見つからない

他の皆も探したが岩下の姿はない
その時

「ああっ、あれを見て下さい」
渡辺が指を指した
二階に人影のようなものがあった、渡辺の合図に皆も急いで2階の階段を掛け上る17人

408プルヒッター:2014/01/15(水) 03:40:29
間に合ってくれ
敦子とたかみな。
そして他の皆も彼女の暴走を止めなければ!

少女たちは遂に二階の長いペンションの廊下を走り出した
バルコニーの方から風を感じる

「岩下、見つけたよ」
「もう馬鹿な真似は止めて」
「そうよ今ならまだやり直せる」
「今ここで飛び越えたら、全てが無駄になる!」

たかみな、敦子、優子、ともちんの必死のさ叫びに岩下は
4人の方を見る
‥‥しかし、彼女はすでに遅かった
「さよなら」

それが岩下明美の最後の言葉だった
さよならと言い残し、岩下明美の体が宙を舞う!
バルコニーから身を乗り出して二階から飛び降りてしまったのだ

17人の少女たちは止められないまま、その光景を見守るしか出来なかった

409プルヒッター:2014/01/15(水) 03:51:25
また地面に叩きつけられた鈍い音がした

岩下明美の死体が仰向けに大の字になって倒れていた
福沢もそのもの光景を見ることしか出来なかった


「これで
 狂気クラブも終わったか」
たかみなが小さく呟いた
「何も、自分から飛び降りてしまうことないのにな」
「結局、岩下明美は自らの最後を選んだわけですね」
小嶋はしんみりした言葉を送る
柏木は落ち着いた言葉を選んだ

「終わった全てね」
篠田が全てを完結させるように言い切った

410プルヒッター:2014/01/15(水) 03:58:52
外の嵐はいつの間にか止んでいた
眩しい日の明かりが、誰もいない無人のペンションを照らした

長い夜が終焉した
この3日間が古都の走馬灯のように思い出す少女たち

17人の少女たちはその場を立ち去った
福沢玲子を1人残し、ペンションの扉を開けた

411プルヒッター:2014/01/15(水) 04:14:46
「帰ろうみんな」
たかみなの言葉に皆は頷いた

こうして長い夜は嫌な思い出を残し、ペンションを立ち去った
少女たちが山道から離れたあと
ペンションの崩れていっていく大きな音がしたのを
少女たちは気づくのはその後のことだった


「ああっ、ペンションが」
指原が大声を上げて山の上を見た

「崩れていっていく」
「本当だ」
たかみな、敦子もその光景を見上げていた

「そして、福沢玲子もまた」
「狂気クラブともども飲み込まれていっていく」
「さよならもいわずに」

佐江もその光景を見上げていた
秋元は終わったと思って言い切った
横山はちょうと悲しそうに言った

その後山を降りきった17人の少女たちは麓の家に電話して
助けを呼び、バスで帰還したのである

412プルヒッター:2014/01/15(水) 17:39:19
そして

あの真夏のような恐怖の夜から数日後
無事に秋葉原に帰還した少女たちは

「心配していたぞ」
戸賀崎支配人は前田と高橋を迎えてくれた

413プルヒッター:2014/01/15(水) 17:46:43
「心配かけてすみません」
「連絡も出来ず、申し訳ありません!」

AKB劇場の控え室には前田と高橋
戸賀崎支配人の3人がいた
「あの時電話に出たときはお前たちが
 血相を変えていたのがわかった!」

しばらく話すまでは1分かかった
「で 神崎に会ったんだな」
戸賀崎の言葉に2人は頷いた

414プルヒッター:2014/01/15(水) 17:56:39
「あいつは可哀想な奴だよ
 日野に散々言われ、しまいには岩下、福沢もあいつの
 カリスマ性に嫉妬したのだろな」

「神崎」
前田はやや俯き気味だった

「日野のしたことは決して許すまじ行為だ
 せっかく秋元先生とともに見つけた逸材を潰されたのだからな
 俺は、支配人失格だな」

神崎の事を庇うように戸賀崎は絞ったような言葉で言った
あのとき日野を止めていればこんな事には
と、痛恨の表情を見せていた

415プルヒッター:2014/01/15(水) 18:12:20
そして戸賀崎は秋元康とともに
例のあった崩れていったペンションの跡地に向かった

「神崎、許してほしい、お前がもう少し秋元先生とともに
 日野を止めていればこんなことには」
「戸賀崎、ここに神崎麗美の墓を建てる
 神崎麗美の名前を一生忘れることのないようにな」

戸賀崎は秋元康の言葉に頷いた
2人の目の前には崩れていったペンションの残骸が
寂しく残った

季節はすっかり秋の足跡がやってきたのである



FIN

416AKB大好き:2014/01/30(木) 23:14:21
全て読みました!
すごくおもしろかったです!

417プルヒッター:2015/01/21(水) 01:23:10
次回

少女たちの夜 2を乞うご期待

418名無しAKB:2015/04/08(水) 18:36:05
お願いしますね

419プルヒッター:2015/06/21(日) 02:00:55
久々の続編の書き込み。

今後はどう描くのかがポイントかな。
今回は島崎遥香が初登場。

420プルヒッター:2015/08/23(日) 20:10:27
〜おまけ〜


日野たちの陰謀に逃れて幾日が過ぎた。
少女たちは再び・・・滅びた例のペンションに足を運ぶ。

17人の少女たちはロケバスに乗りこんだ。
たかみなの手には赤い花をしっかりと持ってバスに乗り込んだ。

ロケバスが例の神崎麗美の墓についた時は丸1時間ほどかかった。
たかみなを先頭に他の少女たちも神崎の墓標を寂しそうな目で見つめている、後悔と入り混じりながら。

『神崎・・・私たちここに来たよ、貴方が私に残してくれたのも
 全てあいつらが奪われたんだね・・・悔しいよね、だから私達は何もできなかったことを許してほしい』
たかみなは自分の自責の念を唱え続ける。
そっと赤い花束の束を神崎の墓標に備える。

『神崎さん、どうかAKBを見守ってて下さい・・・麻友はあなたの分も頑張るので』麻友がそう強く言う。
『もっと身近であなたのことを話したかった・・・それだけが心残りよ』寂しそうな声で柏木が言う。
『・・・・・顔も知らなかった私たち、神崎は今どんな心境で見ているのかな?』墓標の前で北原が言う。
『私たちの事・・・絶対に忘れないでほしいね・・・神崎永遠に見てね私たちのことを』河西はうるっとした表情で言葉を浮かべた。
『またここに来ていい神崎・・・今度はメンバー全員で会いに行くよ、神崎』倉持は笑顔を浮かべた。
『神崎がうらやましいよ、私ちょっと嫉妬したけどもそれでも好きだからね』指原がそう呟く。
『これからも見守っててほしいなあ、神崎は私たちのカリスマな存在だったんだから』高城が言い切る。
『あたしは何も出来ませんでしたけど、偉大な先輩からもっと教わりたかったのが残念やったと思います』無念の言葉に詰まる横山。
『あんたは私たちのメンバーだ、こう失うとなると悔しくてたまんないよ・・神崎』悔しさと申し訳なさが秋元の口から伝わる。
『・・・私ももっと神崎の素顔をもっと見たかったな〜 きっと目がくらむほどの美人だったんじゃないのかなってね、またね』小さく手を振る宮澤
『神崎、今は一人空の上で私たちの新しいチームでも作っているのかな?』峯岸がそう言う。
『神崎、ここでの思い出は一生の財産になる、だから安心して眠ってね』篠田が優しい言葉をかけた。
『寂しくないの?神崎、きっと一人ぼっちで寂しいといったら嘘になるよねだからまたね』小嶋も同じく優しい言葉をかける。
『また会えるかしら?時々ともも神崎の墓標に来てもいい?約束だよ』強く語った板野が答えた。
『私たちあなたとはもう少し早く会いたかった、そうすればいいお友達になれたのに』大島が悔しそうに見つめて答える。
『・・私も神崎にもっと早く会えたら良かった・・・神崎こんな私たちを許してほしい、こめんね』泣きながら高橋が言い切った。
『・・・・神崎、私たちはこれからもずっとずっと一緒だよね、私もずっと神崎のこと
 絶対に忘れないから、たから神崎は永遠に眠ってほしい、ずっとね』無念と入り混じった言葉で前田が締めた。

『神崎麗美は守護神のような存在だったよ』
17人の少女たちは揃って言いきった。
こうして神崎の墓参りを終えた少女たちは静かにその場を立ち去った。
17人の少女たちの後ろ姿はいつもより寂しさを感じた。




『アリガトウ・・・・・・ミンナ、サヨウナラ』



墓標の声で神崎の最後の言葉があった。
景色はすっかり秋めいた色景色の紅葉になった。



〜おまけ、FIN〜

421名無しAKB:2021/06/05(土) 15:53:54
またね

422名無しAKB:2021/06/05(土) 15:56:24
あとがき

この小説を書き終えて何年になるのだろうか
今やAKBも変化した。
更なる活躍を期待したい

少女たちの夜 〜18人目の少女〜 

FIN


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