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夜の帳が下りた静寂の刻の頃。
大陸東方に位置する小国、祖国の国教である竜神信教。
その総本山である大竜院の門前に、下弦の月明かりの下、まるで闇から浮び上るように一つの人影が現れた。
その人影は、まるで薄汚れた浮浪者のような赤錆色の襤褸を纏い、白木の杖を突いてフラフラと門を潜る。
まるで、何かを探るように、或いは何かに導かれるかのように参道を歩いてゆく赤錆の侵入者。
その歩みが巨大な鳥居を抜け、境内中央に聳える神木の横を通り過ぎようとした瞬間。
一陣の風が吹き、甲高い金属音が夜闇の中、響き渡った。
侵入者が握る白木杖に仕込まれた錆色の刃が、疾風の如く飛来した白刃の煌きを弾き。
間髪いれずに打ち込まれた迅雷のような一撃を捌きいなす。
驚いたように視線を向けた先には、表情に警戒の色を有々と見せる三人の人物。
「てめぇ、何者だ」
三人の内の一人、隻腕の武士道が問いかける。
その少し外れた場所には、神々しい程の魔力を内包した西洋剣の切先を向け殺気を放つ男装の麗人と、その隣でこちらを伺うように見つめる若い竜導師の姿があった。
「くふふ、イキナリ斬りかかってくるとは少々酷いではないデスかな?」
「だまれ、そんな禍々しい気配、隠そうともせずに撒き散らしやがって」
「それに鳥居に施した結界を強引に破り侵入してきたのです、問答無用に攻撃を受けるのも仕方が無いでしょう?」
「くふふ、ナルホド、確かにアポも無く夜闇に紛れ侵入しようとした儂に非がありマスか」
ニヤニヤと笑いながら、フラリフラリと揺れ動く赤錆。
「これで最後だ、もう一度だけ聞く、てめぇは何者だ、何が目的だ? まさか大神院の刺客じゃあないだろうな?」
「くくく、イヤイヤ、儂はタダの流浪人、ここに立ち寄ったのはタダの人探しデスよ」
片腕の青年から放たれる強烈な殺気を軽くいなしながら、ただ不気味に哂う。
「ほう……どなたをお探しで? 宜しければ詳しくお聞かせ願いたい、もしかしたら我々にも手伝いができるやもしれませんので」
そう言いながらも警戒心を深め、鋭い目付きで隣の男装の麗人へと目配せをする竜導師。
「くくく、ナァに心配しなくとも、ヌシらの大切な竜の巫女様方には興味は有りませぬヨ、【二代目一脚閃覇】、【西の御方】、それと……【紅剣の紅】」
「「「……っ!?」」」
ピクリ、と男装の麗人の構える剣先が揺れる。
竜導師の青年が、その顔から完全に表情を無くし。
隻腕の武士道の青年が、眉間に皺を寄せる。
「……錆赤子、何が目的だ」
「おや、儂の事を知っておりマシたか紅殿」
「貴様は【社会】では第一級災役者として指定されているからな…」
「錆赤子……まさか、大陸西部の生ける伝説ですか?」
「しかも、第一級災役者って、あの【鏖殺戦鬼】と同格かよ…」
ひやりと、三人の間に、冷たい空気が張り詰める。
第一級災役者【鏖殺戦鬼】、またの名を名無し、それは先日、大竜院を襲った最悪の災厄の一つの名である。
その力は強大で、武士道の青年の片腕を奪った元凶でもあるのだ。
そんな化物と同列に語られる存在、それが目の前に居る。
「くひひ…そう警戒せずとも良いデスよ、儂の目的はただ一つなのデスから、我が主を迎えるというね」
「我が主?」
「そう、我らが一族を束ねるべく膿まれし存在、尊くも荒々しき人ならざる御方……その名は」
ざわり、と、まるで嘲うかのように、腐臭の香る、邪の風が吹いた。
「獅死護弥……腐りに繋がれし獣の王である」
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